説明

着色組成物、感光性着色樹脂組成物、着色画像形成用感光液、着色画像の製造法、カラーフィルタの製造法及びカラーフィルタ

【課題】 カラーフィルター製造において、色素としてピグメントレッド254を用いる着色画像形成用の感光液に用いられる着色組成物であって、加熱工程による異物の発生を抑制し欠陥をなくした高耐熱性着色組成物を提供する。
【解決手段】 ピグメントレッド254を含有する色素及び樹脂を含有する着色組成物において、樹脂がジシクロ環又はトリシクロ環を有するモノマ、水酸基を有するモノマ及びN−置換マレイミド基を有するモノマを含有するモノマ成分を重合して得られる重合体(A)に、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)を付加させて合成された樹脂である着色組成物。
CH2=C(R1)−COO―X−NCO (1)
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Xはアルキレン基、又は−R2−OCONH−R3−(R2はアルキレン基を表し、R3はジイソシアネート化合物中の2価の残基。)である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、感光性着色樹脂組成物、着色画像形成用感光液、着色画像の製造法、カラーフィルタ製造法及びカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示デバイス、センサー及び色分解デバイスなどにカラーフィルタが多用されている。このカラーフィルタの製造法において、画素の形成、ITO成膜時などに加熱工程が存在する。この加熱工程でピグメントレッド254を用いた着色画素では、熱析出物による異物が発生し欠陥となる問題があった。この問題を解決する方法として、例えば、特定の平均粒径を有するC.I.ピグメントレッド254を着色画素形成用の感放射線性組成物中の顔料として用いることが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2003−248115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来のカラーフィルタ製造工程で発生する問題を解消し、すなわち加熱工程による異物の発生を抑制し欠陥をなくした高耐熱性着色組成物、感光性着色樹脂組成物、着色画像形成用感光液、それらを用いた着色画像の製造法、カラーフィルタの製造法及びカラーフィルタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、カラーインデックス名でピグメントレッド254を、色素の全体量に対し5〜100重量%含有することを特徴とする色素及び、重量平均分子量(Mw)が3,000〜200,000の分子量を持つ樹脂を含有する着色組成物において、樹脂がジシクロ環又はトリシクロ環を有するモノマ(a1)、水酸基を有するモノマ(a2)及びN−置換マレイミド基を有するモノマ(a3)を含有するモノマ成分(a)を重合して得られる重合体(A)に、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)を付加させて合成された樹脂であり、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、モノマ(a1)の使用量が3〜70重量%、モノマ(a2)の使用量が5〜50重量%、モノマ(a3)の使用量が5〜50重量%、エチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の使用量が1〜30重量%であることを特徴とする着色組成物に関する。
CH2=C(R1)−COO―X−NCO (1)
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数2〜6個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は−R2−OCONH−R3−(R2は炭素数2〜6個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し、R3はCON−R3−NCOで表されるジイソシアネート化合物中の2価のR3基を表す。)である。]
【0005】
本発明は、また、モノマ成分(a)が、カルボキシル基を有するモノマ(a4)を更に含有し、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、モノマ(a4)の使用量が5〜50重量%であることを特徴とする上記の着色組成物に関する。
【0006】
本発明は、また、上記の着色組成物、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上含有するモノマ及び光開始剤を含有してなることを特徴とする感光性着色樹脂組成物に関する。
【0007】
本発明は、また、上記の感光性着色樹脂組成物及び有機溶剤を含むことを特徴とする着色画像形成用感光液に関する。
【0008】
本発明は、また、上記の感光性着色樹脂組成物からなる感光層を基板上に形成し、露光現像することを特徴とする着色画像の製造法に関する。
【0009】
本発明は、また、上記の着色画像形成用感光液を基板上に塗布、乾燥して感光性着色樹脂組成物からなる感光層を基板上に形成し、露光現像することを特徴とする着色画像の製造法に関する。
【0010】
本発明は、また、上記の着色画像の製造法により着色画像を形成する工程を含むカラーフィルタの製造法に関する。
【0011】
本発明は、また、上記の製造法で作られたカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の着色組成物、感光性樹脂組成物、着色画像形成用感光液は熱工程経過時に析出物の発生が無く、本発明になる着色画像の製造法によれば、耐熱特性に優れた着色画像を製造することができる。
【0013】
本発明になるカラーフィルタの製造法により耐熱特性に優れ、析出物による欠陥の無いカラーフィルタを製造することができる。
また、本発明になるカラーフィルタの製造法により作製されたカラーフィルタは、耐熱特性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳述する。
本発明の着色組成物に用いられる樹脂は、ジシクロ環又はトリシクロ環を有するモノマ(a1)、水酸基を有するモノマ(a2)及びN−置換マレイミド基を有するモノマ(a3)を含有するモノマ成分(a)を重合して得られる重合体(A)に、上記のエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)を付加させて合成される。
【0015】
モノマ成分(a)のうち、モノマ分子内にジシクロ環又はトリシクロ環を有するモノマ(a1)としては、例えば、ビニル重合可能なビニルモノマであることが好ましく、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基を持った(メタ)アクリル酸エステル等(例えば、メタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン)が挙げられる。特に、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基を持ったメタクリル酸エステル又はトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基を持ったメタクリル酸エステル樹脂が有効である。これらのモノマ(a1)は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。モノマ(a1)の使用量は、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、3〜70重量%であり、好ましくは5〜65重量%であり、より好ましくは10〜60重量%である。3重量%未満の場合は、得られる共重合樹脂の透明性が低下し、70重量%を超える場合は、得られる樹脂の粘度が高いことからハンドリング性が悪い他、色素を含有した系においては、分散安定性が低下する恐れがある。
【0016】
モノマ成分(a)のうち、水酸基を有するモノマ(a2)としては、例えばビニル重合可能なビニルモノマが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、パラヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらのモノマ(a2)は1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。モノマ(a2)の使用量は、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、5〜50重量%であり、10〜40重量%が好ましく、15〜35重量%がより好ましい。5重量%未満の場合は、パターン形成時間が遅くなり、本発明の特性が得られない。50重量%を超える場合は、得られる樹脂の粘度が高く、また、極性の低い溶剤に対しては、得られる樹脂が白濁する傾向がある。
【0017】
モノマ成分(a)の内、モノマ分子内にN−置換マレイミド基を有するモノマ(a3)としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−メチルヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド等が挙げられる。中でも、透明性及び溶解性の点で、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミドが特に好ましい。これらN−置換マレイミドは1種単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。モノマ(a3)の使用量は、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、5〜50重量%であり、10〜40重量%が好ましく、15〜30重量%がより好ましい。5重量%未満の場合は、アルカリ現像時の密着性及び熱履歴による密着性に対し、塗膜の十分な密着性が得られない。また、50重量%を越える場合、透明性が低下する恐れがある他、色素、その他の顔料分散型着色材料を分散し、塗膜とした場合、塗膜が脆くなり、得られる画素に欠けが生じる恐れがある。
【0018】
また、本発明の樹脂組成物をアルカリ現像を可能とする場合には、モノマ成分(a)として更にカルボキシル基を有するモノマ(a4)を用いる。モノマ(a4)としては、例えば、ビニル重合可能なビニルモノマが好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、α−クロロアクリル酸等が挙げられる。これらのモノマ(a4)は1種単独で用いてもよいし、2種類以上併用して使用してもよい。モノマ(a4)の使用量は、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、5〜50重量%であり、8〜40重量%であることがより好ましく、10〜30重量%であることが更に好ましい。5重量%未満であると、アルカリ現像を行なった場合にアルカリ現像不良を生じ、精細な画素パターンが得られない。また、色素の分散を行った際、短時間で凝集が起こり、十分な保存安定性を得ることができない。また50重量%を超える場合、得られる樹脂の粘度が高すぎハンドリングに不適切である他、硬化塗膜の耐湿性が低下し、また硬化塗膜の耐現像液性が低下する恐れがある。
【0019】
上記のようにして得られた重合体(A)にエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)を付加させることにより、本発明に用いられる樹脂を合成する。
【0020】
上記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の具体例としては、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアナートプロピル(メタ)アクリレート、2−イソシアナート−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアナート−1,1−ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4−イソシアナートシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、下記式(2)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと下記式(3)で表されるジイソシアネート化合物のモル比約1:1の反応生成物も挙げられる。
CH2=C(R1)−COOR2OH (2)
CON―R3−NCO (3)
(ここで、R1、R2及びR3は上記と同じ意味を有し、R2としてはエチレン基、プロピレン基が好ましく、ジメチレン基、トリメチレン基がより好ましく、ジメチレン基が特に好ましい。)
【0021】
式(3)で表されるジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(通称TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(同MDI)、3,5,5−トリメチル−3−イソシアナトメチルシクロヘキシルイソシアネート(同IPDI)、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、ピリジンジイルイソシアネート等が挙げられる。
これらの中で、工業的に有用な2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0022】
これらのエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。付加反応に用いられるエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の使用量は、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、1〜30重量%であり、3〜20重量%がより好ましく、5〜18重量%が更に好ましい。1重量%未満では、耐熱性向上に効果が無く、30重量%を超えると付加反応がすすまず、残留モノマが多くなり、色素の分散安定性が低下する。
【0023】
このようにして得られる本発明に用いられる樹脂の重量平均分子量は3,000〜200,000の範囲とされ、3,000〜100,000の範囲とすることが好ましく、5,000〜50,000の範囲が更に好ましい。この重量平均分子量が、3,000未満では、耐アルカリ性が低下し、また、200,000を超えると感光液にしたときに粘度が高くなり、スピンコートする際の塗布性が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
【0024】
また、本発明の着色組成物に用いられる色素には、C.I.ピグメントレッド254(カラーインデックス名)が必須成分として、色素の全体量に対し5〜100重量%の量で使用される。必要に応じ、色度調整用に、他の顔料や染料等の色素を色素の全体量に対して95重量%以下の量で併用してもよい。これらC.I.ピグメントレッド254以外の色素としては、染料、顔料いずれも使用できるが、耐熱性や耐光性を考慮すると顔料の方が好ましい。
例えば、本発明の着色組成物を赤色画像の形成に用いる場合、C.I.ピグメントレッド254には、色度調整用として、C.I.ピグメントレッド254以外の他の顔料や染料等を併用してもよい。通常、他の赤色顔料、黄色顔料及び橙色顔料の少なくとも1種が用いられる。これらの色度調整用の色素の使用量は、必要とされる色度に従って変更される。それらを使用する場合、好ましくは全色素成分に対して5〜95重量%である。
【0025】
色度調整用に使われるこれらの顔料としては、例えばカラーインデックス名で、C.I.ピグメントレッド9、57、123、155、166、168、177、180、209,217、220、224、C.I.ピグメントイエロー20、24、83、93、109、110、117、125、138、139、147、150、154、C.I.ピグメントオレンジ38、43、71などが挙げられる。
これらの色度調整用の赤色顔料、黄色顔料及び橙色顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。
【0026】
前記着色組成物には、他に光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマ、光開始剤等を含有させて感光性着色樹脂組成物とすることができ、さらに有機溶剤を含有させて着色画像形成用感光液とすることができる。
【0027】
上記の光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマとしては、例えば、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性ブチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、EO(エチレンオキシド)変性ジシクロペンテニルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチルジエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシ化シクロデカトリエンアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、EO変性リン酸アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ECH変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性リン酸ジアクリレート、ECH変性フタル酸ジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール400ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(POはプロピレンオキシドを意味する。以下同様)、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のアクリレート、これらに対応するメタクリレートなどが挙げられる。これらのモノマは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる
【0028】
光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体などが挙げられる。
これらの光開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0029】
有機溶剤としては、例えば、ケトン化合物、アルキレングリコールエーテル化合物、アルコール化合物、芳香族化合物などが挙げられる。具体的には、ケトン化合物として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等があり、アルキレングリコールエーテル化合物として、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール−t−ブチルエーテルアセテート等があり、アルコール化合物として、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール等があり、芳香族化合物として、ベンゼン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン等があり、その他として、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の有機溶剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
感光性着色樹脂組成物又は着色画像形成用感光液に使用される樹脂、色素、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマ及び光開始剤の配合割合は、これらの総量に対して、総樹脂量は、好ましくは10〜85重量%、より好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは25〜50重量%、色素は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜40重量%、特に好ましくは15〜30重量%、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマは、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは5〜45重量%、特に好ましくは10〜40重量%、光開始剤は、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは2から15重量%、特に好ましくは5〜10重量%とされる。
【0031】
感光性着色樹脂組成物又は着色画像形成用感光液に樹脂が少なくなりすぎると色素の分散安定性が低下する傾向があり、多すぎると感光液にしたときの粘度が高くなり、塗布性、特にスピンコートする際の塗布性が低下する傾向がある。
また、色素が少なくなりすぎると画像の色濃度が低くなる傾向があり、多すぎると光感度が低下する傾向がある。
【0032】
また、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマが少なくなりすぎると光感度が低くなる傾向があり、多すぎると色素の分散安定性が低下する傾向がある。
さらに、光開始剤が少なすぎると光感度が低くなる傾向があり、多すぎると密着性が低下する傾向がある。
【0033】
有機溶剤は、着色画像形成用感光液中の樹脂、色素、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上含有するモノマ及び光開始剤を含む全固形分が5〜40重量%の範囲になるように用いられることが好ましい。全固形分が40重量%を越えると粘度が高くなり、塗布性が悪くなる傾向がある。全固形分が5重量%未満であると粘度が低くなり、塗布性が悪くなる傾向がある。
【0034】
本発明における感光性着色樹脂組成物又は着色画像形成用感光液には、暗反応を抑制するための熱重合禁止剤(ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等)、基板との密着性を向上させるためのチタネートカップリング剤(ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有したシランカップリング剤やイソプロピルトリメタクリロイルチタネート、ジイソプロピルイソステアロイル−4−アミノベンゾイルチタネート等)、膜の平滑性を向上させるための界面活性剤(フッ素系、シリコン系、炭化水素系等)及びその他、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの各種添加剤を必要に応じて適宜使用することができる。
【0035】
次に、本発明の着色組成物、感光性着色樹脂組成物及び着色画像形成用感光液の製造法について説明する。
色素は樹脂及び有機溶剤並びに必要に応じて分散剤と混合し、分散させる。このとき、混合物は超音波分散機、三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ホモジナイザー、ニーダー等の分散・混練装置を用いて混練することにより分散処理することが好ましい。このとき、色素100重量部に対して樹脂を少なくとも20重量部用いることが好ましい。樹脂が少なすぎると色素の分散安定性が低下する傾向がある。有機溶剤は、分散時の色素及び樹脂の全量100重量部に対して、分散時に少なくとも100重量部用いることが好ましい。100重量部未満では分散時の粘度が高すぎて、特にボールミル、サンドミル、ビーズミルなどで分散する場合には分散が困難になる可能性がある。以上のようにして、着色組成物を製造することができる。
【0036】
感光性着色樹脂組成物又は着色画像形成用感光液とするには、さらに、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマ及び光開始剤を混合するが、これらは、この分散処理の前に混合してもよく、分散処理後に混合してもよい。樹脂は前記分散時に全量使用せず、残りを後で、特に着色画像形成用感光液の製造時に混合してもよい。
各成分の使用量は、最終的に前記した感光性着色樹脂組成物又は着色画像形成用感光液における配合割合になるように、前記着色組成物の製造時から調整される。
【0037】
分散剤としては、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスルホン酸型高分子界面活性剤等のアニオン系分散剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマ等のノニオン系分散剤、アントラキノン系、ペリレン系、フタロシアニン系、キナクリドン系等の有機色素にカルボキシル基、スルホン酸塩基、カルボン酸アミド基、水酸基等の置換基を導入した有機色素の誘導体などがある。顔料の分散性や分散安定性が向上し、好ましい。これらの顔料分散剤や有機色素の誘導体は、色素100重量部に対して50重量部以下で用いることが好ましい。50重量部を越えると色度がずれる傾向がある。
【0038】
前記の分散処理に際して、樹脂は、その全量を分散処理時に色素とともに用いてもよく、樹脂の一部を分散処理後に加えてもよい。ただし、分散処理時に樹脂は色素100重量部に対して少なくとも20重量部用いることが好ましい。20重量部未満では色素の分散安定性が低下する傾向がある。
【0039】
同様に有機溶剤もその全量を分散処理時に色素とともに用いてもよく、有機溶剤の一部を分散処理後に加えてもよい。ただし、有機溶剤は、分散処理時の色素及び樹脂の全量100重量部に対して、分散処理時に少なくとも100重量部用いることが好ましい。100重量部未満では分散処理時の粘度が高すぎて、特にボールミル、サンドミル、ビーズミルなどで分散する場合には分散が困難になる可能性がある。
【0040】
本発明のカラーフィルタを製造する場合には、赤、緑、青及び黒色等の着色画像に適した感光性着色樹脂組成物が用いられる。通常、本発明の感光性着色樹脂組成物及び着色画像形成用感光液は、赤色の着色画像の製造に用いられる。他の色の着色画像の形成に用いる感光性着色樹脂組成物及び着色画像形成用感光液は、本発明の感光性着色樹脂組成物及び着色画像形成用感光液において、色素を各着色画像に適したものに変更したものを用いてもよい。更に樹脂も適宜、感光性着色樹脂組成物及び着色画像形成用感光液に通常用いられる他の樹脂に変更してもよい。
【0041】
青色、緑色及び黒色等の着色画像の形成に用いられる色素には、染料、顔料いずれも使用できるが、耐熱性や耐光性を考慮すると顔料の方が好ましい。顔料には無機と有機があり、いずれも使用することができる。
【0042】
青色の着色画像には、単一の青色顔料系を用いてもよいし、紫色顔料系を青色顔料系に混合して調色を行ってもよい。青色顔料系としては、例えば、カラーインデックス名でピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、22、60、76等が挙げられる。また、紫色顔料系としては、例えば、カラーインデックス名でピグメントバイオレット10、19、23、29、37、50等が挙げられる。これらの青色及び紫色顔料は、それぞれ2種以上混合して用いることもできる。また、青色顔料系と紫色顔料系を混合して用いる場合には、青色顔料系と紫色顔料系の総量100重量部に対して紫色顔料系を90重量部以下で用いることが好ましい。
【0043】
緑色の着色画像には、単一の緑色顔料系を用いてもよいし、黄色顔料系を緑色顔料系に混合して調色を行なってもよい。緑色顔料系としては、例えば、カラーインデックス名でピグメントグリーン7、36、37などが挙げられる。また、黄色顔料系としては、例えば、カラーインデックス名で、ピグメントイエロー17、20、24、83、93、109、110、117、125、128、129、183、139、147、154などが挙げられる。これらの緑色及び黄色顔料は、それぞれ2種以上混合して用いることもできる。また、緑色顔料系と黄色顔料系を混合して用いる場合には、緑色顔料系と黄色顔料系の総量100重量部に対して黄色顔料系を90重量部以下で用いることが好ましい。
【0044】
黒色の着色画像には、例えば、カーボンブラック、黒鉛、チタンカーボン、黒色酸化鉄、二酸化マンガン等の黒色顔料が用いられる。
【0045】
感光性着色樹脂組成物を用いて基板上へ感光層を形成するには、着色画像形成溶感光液を基板に直接塗布するか、あるいはその感光液を一旦支持体に塗布して成膜した後、基板に形成するなどして行うことができる。
【0046】
上記の基板としては、用途により選択されるが、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス板、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製シート、フィルム又は板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などが挙げられる。これらの基板には予めクロム蒸着等によりブラックマトリックスが形成されているものでもよい。
【0047】
感光液を基板に塗布する方法としては、ロールコーター塗布、スピンコーター塗布、スプレー塗布、ホエラー塗布、ディップコーター塗布、カーテンフローコーター塗布、ワイヤーバーコーター塗布、グラビアコーター塗布、エアナイフコーター塗布などがある。塗布後、50〜130℃の温度で1〜30分乾燥することが好ましい。このようにして着色画像形成材料からなる膜を得ることができる。
このようにして形成された感光層の厚みは、用途によって適宜定まるが、0.1〜300μmの範囲とされることが好ましい。また、カラーフィルタに用いる場合には、0.2〜5μmの範囲とされることが好ましい。
【0048】
また、支持体上に上記と同様にして感光層を形成することができる。この感光層を前記の基板に形成するには、基板に膜を重ねてローラーを通して圧着する方法がある。このとき、ローラーを少し加熱することが好ましい。また、圧着を減圧下に行うことが好ましい。支持体は、基板に感光層を形成してから剥離することが好ましい。支持体としては、ポリエチレンフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。
【0049】
基板上に形成された感光層への露光は、その感光層に活性光線を画像状に照射することにより行うことができる。これにより露光部の膜を硬化させることができる。露光に際し、その膜の表面にポリビニルアルコール等の酸素遮断膜を0.5〜30μmの厚みで形成し、その上から露光してもよい。
【0050】
活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、可視光レーザーなどが好適である。これらの光源を用いてフォトマスクを介したパターン露光や走査による直接描写などを行うことにより画像状に活性光線が照射される。
上記の露光に続いて現像工程を行う。
【0051】
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等の無機アルカリ、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等の有機塩基、又は塩を含む水溶液(アルカリ現像液)、有機溶剤等の現像液を吹き付けるか、現像液に浸漬するなどして未露光部を除去し、画像に対応した硬化膜の着色画像パターンを得ることができる。
【0052】
現像後、さらに、着色画像パターンをより強固に硬化させるため、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、60〜280℃の温度が好ましく、加熱時間は1〜60分間程度が好ましい。
【0053】
このような着色画像形成工程により着色画像が得られるが、特に、カラーフィルタの製造法においては、着色画像形成工程を緑色の画像形成工程を含む、異なる3〜4色の着色画像について繰り返し行うことが好ましい。例えば、先にクロム蒸着などにより形成したブラックマトリックス上に赤、緑、青の着色画像が形成される。また、黒色の着色画像形成材料を用いてブラックマトリックスを形成した後、赤、緑、青の着色画像が形成される。さらに、赤、緑、青の着色画像を形成した後に、これらの着色画像の隙間に黒色の画像形成材料を用いてブラックマトリックスが形成される。赤、緑、青の着色画像形成順序は任意である。着色画像は各色について画素を形成するようにされる。
【実施例】
【0054】
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した樹脂の合成に用いた材料の配合表を表1に示し、樹脂の合成方法を下記に示す。
実施例及び比較例で使用した着色画像形成用感光液組成を表2に示す。
実施例及び比較例の着色画像形成用感光液の耐熱性評価を表3に示す。
【0055】
<樹脂Aの合成>
(A)1リットルの4つ口フラスコに320gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを秤取り、N2でバブリングしながら、液温を90℃に保った。(B)1リットルビーカー内で275gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(日立化成工業株式会社製、FANCRYL FA−513M)101.3g、N−シクロヘキシルマレイミド45g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート45gを混合し、N2でバブリングしながら溶解させた。N−シクロヘキシルマレイミドの溶解を確認した後、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル3gを溶解させた。(B)で得られた溶液を(A)の4つ口フラスコ中の90℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに3時間かけて連続的に滴下し、その後3時間90℃に保った。
3時間90℃に保っている間、数回に分けて40gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの中にあらかじめ溶解させておいた2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.6gを残存モノマ低減のため添加した。合計6時間90℃で反応を行なった後、120℃まで液温を上昇させ、その後1時間、120℃に保ち、自然冷却した。更に、2−イソシアナートエチルメタクリレート31g、ジブチル錫ラウリレート0.3gを添加し、70℃で4時間撹拌し、表1に記載の樹脂Aを得た。樹脂の重量平均分子量は、25,000であった。
【0056】
<樹脂Bの合成>
(A)1リットルの4つ口フラスコに320gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを秤取り、N2でバブリングしながら、液温を90℃に保った。(B)1リットルビーカー内で275gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メタクリロイルオキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(日立化成工業株式会社製、FANCRYL FA−513M)101.3g、N−シクロヘキシルマレイミド45g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート45g、メタクリル酸34gを混合し、N2でバブリングしながら溶解させた。N−シクロヘキシルマレイミドの溶解を確認した後、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル3gを溶解させた。(B)で得られた溶液を(A)の4つ口フラスコ中の90℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに3時間かけて連続的に滴下し、その後3時間90℃に保った。
3時間90℃に保っている間、数回に分けて40gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの中にあらかじめ溶解させておいた2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.6gを残存モノマ低減のため添加した。合計6時間90℃で反応を行なった後、120℃まで液温を上昇させ、その後1時間120℃に保ち、自然冷却した。更に、2−イソシアナートエチルメタクリレート31g、ジブチル錫ラウリレート0.3gを添加し、70℃で4時間撹拌し、表1に記載の樹脂Bを得た。樹脂の重量平均分子量は、25,000であった。
【0057】
<樹脂Cの合成>
(A)1リットルの4つ口フラスコに340gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを秤取り、N2でバブリングしながら、液温を90℃に保った。(B)1リットルビーカー内で295gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ベンジルメタクリレート160g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート34g、メタクリル酸34gを混合し、N2でバブリングしながら溶解させた。溶解を確認した後、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル3gを溶解させた。(B)で得られた溶液を(A)の4つ口フラスコ中の90℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに3時間かけて連続的に滴下し、その後3時間90℃に保った。
3時間90℃に保っている間、数回に分けて40gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの中にあらかじめ溶解させておいた2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.6gを残存モノマ低減のため添加した。合計6時間90℃で反応を行なった後、120℃まで液温を上昇させ、その後1時間120℃に保ち、自然冷却し、表1に記載の樹脂Cを得た。樹脂の重量平均分子量は、23,000であった。
【0058】
実施例1
(1)着色画像形成用感光液の製造
ジエチレングリコールジメチルエーテル250gに樹脂A:60gと、C.I.ピグメントレッド254 :36gを加え、ビーズミルを用いて2時間分散した。
この分散液220gに、モノマとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:35g、光開始剤としてベンゾフェノン:6g、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン:3g及びジエチレングリコールジメチルエーテル:125gを加えて混合し、表2に示す組成の感光性着色樹脂組成物を含む感光液を得た。
【0059】
(2)着色画像形成用感光液の耐熱性評価
(1)の感光液を、ガラス基板(コーニング社製、商品名7059)上にスピンコート法により塗布し、さらに110℃で5分間乾燥を行い、膜厚2.0μmの膜を形成した。
得られた膜に、超高圧水銀灯によりに100mJ/cmの露光を行った。
露光後の膜を200℃で30分間ポストベークをおこない、色度を測定した。
色度測定後の膜を200℃で60分間ポストベークし、その後、280℃で60分間ポストベークをおこない、光学顕微鏡で析出物の有無を観察した。この評価結果を表3に示す。
【0060】
実施例2
実施例1の(1)着色画像形成用感光液の製造で、使用樹脂を樹脂Bに変えた以外は同様にして、着色画像形成用感光液を作製した。この組成を表2に示す。
この感光液で、実施例1の(2)と同様にして、着色画像形成用感光液の耐熱性評価をおこなった。この評価結果を表3に示す。
【0061】
比較例1
実施例1の(1)着色画像形成用感光液の製造で、使用樹脂を樹脂Cに変更した以外は同様にして着色画像形成用感光液を作製した。この組成を表2に示す。
この感光液で、実施例1の(2)と同様にして、着色画像形成用感光液の耐熱性評価をおこなった。この評価結果を表3に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーインデックス名でピグメントレッド254を、色素の全体量に対し5〜100重量%含有することを特徴とする色素及び、重量平均分子量(Mw)が3,000〜200,000の分子量を持つ樹脂を含有する着色組成物において、樹脂がジシクロ環又はトリシクロ環を有するモノマ(a1)、水酸基を有するモノマ(a2)及びN−置換マレイミド基を有するモノマ(a3)を含有するモノマ成分(a)を重合して得られる重合体(A)に、下記一般式(1)で表されるエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)を付加させて合成された樹脂であり、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、モノマ(a1)の使用量が3〜70重量%、モノマ(a2)の使用量が5〜50重量%、モノマ(a3)の使用量が5〜50重量%、エチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の使用量が1〜30重量%であることを特徴とする着色組成物。
CH2=C(R1)−COO―X−NCO (1)
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、Xは炭素数2〜6個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は−R2−OCONH−R3−(R2は炭素数2〜6個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し、R3はCON−R3−NCOで表されるジイソシアネート化合物中の2価のR3基を表す。)である。]
【請求項2】
モノマ成分(a)が、カルボキシル基を有するモノマ(a4)を更に含有し、モノマ成分(a)とエチレン性不飽和基含有イソシアネート(B)の合計に対して、モノマ(a4)の使用量が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載の着色組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の着色組成物、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上含有するモノマ及び光開始剤を含有してなることを特徴とする感光性着色樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3記載の感光性着色樹脂組成物及び有機溶剤を含むことを特徴とする着色画像形成用感光液。
【請求項5】
請求項3記載の感光性着色樹脂組成物からなる感光層を基板上に形成し、露光現像することを特徴とする着色画像の製造法。
【請求項6】
請求項4記載の着色画像形成用感光液を基板上に塗布、乾燥して感光性着色樹脂組成物からなる感光層を基板上に形成し、露光現像することを特徴とする着色画像の製造法。
【請求項7】
請求項5又は6記載の着色画像の製造法により着色画像を形成する工程を含むカラーフィルタの製造法。
【請求項8】
請求項7記載の製造法で作られたカラーフィルタ。

【公開番号】特開2007−72412(P2007−72412A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262583(P2005−262583)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】