説明

研磨装置及び研磨方法

【課題】研磨中に研磨テープから砥粒が脱落してしまうことを極力防止し、また、たとえ基板の表面外周部を研磨中に研磨テープから砥粒が脱落したとしても、この脱落した砥粒が基板の中心部の素子形成領域等に入り込まないようにする。
【解決手段】表面に砥粒を固着した研磨テープ20を一方向に走行させつつ、該研磨テープ20の表面を基板Wの表面に押圧して該基板Wの表面を研磨する研磨ヘッド12と、研磨テープ20の走行方向に沿った研磨ヘッド12の上流側に配置され、研磨テープ20の表面から研磨中に砥粒が脱落するのを防止するように該表面を予めコンディショニングするコンディショニング装置(洗浄装置)30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の基板を研磨する研磨装置及び研磨方法に関し、特に半導体ウェーハ表面に素子の一部を形成する半導体装置の製造工程で、半導体ウェーハの表面外周部や裏面外周部を研磨もしくは研削する研磨装置及び研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に砥粒を固着した研磨テープを使用して、例えば半導体ウェーハの表面外周部(エッジ部乃至ベベル部)を研磨する場合、水平面内で回転中の半導体ウェーハの表面に純水を供給しながら、半導体ウェーハの表面外周部に研磨テープ表面を所定圧力で押付けることで、該外周部を研磨することが広く行われている。
【0003】
ここに、半導体ウェーハのベベル部とは、図10に示す半導体ウェーハWにおいて、半導体ウェーハWの上面及び下面の傾斜した上側傾斜部P及び下側傾斜部Q、並びに半導体ウェーハWの外周部の側面部RからなるB部分を指す。また、半導体ウェーハのエッジ部とは、図10に示す半導体ウェーハWにおいて、半導体ウェーハWのベベル部Bの内側の境界と半導体デバイスが形成されている半導体ウェーハWの上面Dとの間のE部分を指す。
【0004】
例えば、シリコン基板の外周部(エッジ部乃至ベベル部)の研磨に際し、水平面内で回転中のシリコン基板の表面から外周部(研磨部)に純水を供給しながら、例えばセリア砥粒を固着した研磨テープを該外周部に押付けてシリコンの一部が露出するまで絶縁膜を研磨し、しかる後、セリア砥粒よりもシリコン基板に対する研磨能力の高いダイヤモンド砥粒を固着した研磨テープで更に研磨することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、出願人は、基板の平坦部を含む外周部を、その元の角度を維持しながら、研磨テープを使用して研磨できるようにした研磨装置を提案している(特許文献2参照)。
【0006】
近年、2枚のシリコン基板(半導体素子が形成されたデバイス基板と支持基板)を熱処理等で貼合せる、いわゆる貼合せ法を用いて、SOI(Silicon On Insulator)基板を製造することが提案されている。このSOI基板は、例えば表面に半導体層(SIO層)を有し表面外周部を予め研磨除去した第1シリコン基板(デバイス基板)と第2シリコン基板(支持基板)とを互いに表面を対向させ絶縁膜を介して貼合せた後、前記半導体層を残して前記第1シリコン基板(デバイス基板)の裏面を研磨またはエッチングで削り取って製造される(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−263027号公報
【特許文献2】特開2009−208214号公報
【特許文献3】特開平4−85827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
研磨テープは消耗品であり、使用後の古い研磨テープは新たな研磨テープに取り換えられる。しかし、例えば研磨テープメーカが製造した研磨テープをそのまま使用して基板の研磨を行うと、研磨テープの表面に固着されている砥粒の粒径には一般にばらつきがあるため、特に大径の砥粒が研磨テープから脱落し易くなる。そして、研磨中に研磨テープから砥粒が脱落すると、この脱落した砥粒が研磨面に達して研磨面に大きな砥粒痕が生じる原因となる。
【0009】
研磨中に研磨テープから砥粒が脱落することを完全に防止することは困難である。このため、例えば水平面内で回転中の半導体ウェーハの表面に純水を供給しながら、半導体ウェーハ表面の外周部に研磨テープ表面を押付けて該外周部を研磨しているときに、研磨テープから砥粒が脱落すると、半導体ウェーハの表面は純水で被覆されているだけであるため、この脱落した砥粒が半導体ウェーハの中心側に向けて移動して、半導体ウェーハの表面を被覆して純水が砥粒で汚染されてしまう。半導体ウェーハの回転速度が速くなれば速くなるほど、この純水の砥粒による汚染が進む。
【0010】
例えば前述の表面に半導体層(SIO層)を有し表面外周部を予め研磨除去したシリコン基板(デバイス基板)の該表面外周部の研磨除去を行う時に、前述のように、半導体ウェーハ(シリコン基板)の表面を被覆している純水が砥粒で汚染されると、半導体層(SIO層)の砥粒による損傷に繋がってしまう。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、研磨中に研磨テープから砥粒が脱落してしまうことを極力防止することができるようにした研磨装置及び研磨方法を提供することを第1の目的とする。
【0012】
また、本発明は、たとえ基板の表面外周部を研磨中に研磨テープから砥粒が脱落したとしても、この脱落した砥粒が基板の中心部の素子形成領域等に入り込まないようにした研磨装置及び研磨方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、表面に砥粒を固着した研磨テープを一方向に走行させつつ、該研磨テープ表面を基板表面に押圧して該基板表面を研磨する研磨ヘッドと、前記研磨テープの走行方向に沿った前記研磨ヘッドの上流側に配置され、研磨テープ表面から砥粒が研磨中に脱落するのを防止するように該表面を予めコンディショニングするコンディショニング装置とを有することを特徴とすることを特徴とする研磨装置である。
【0014】
研磨テープ表面から研磨中に砥粒が脱落するのを防止するように該表面を予めコンディショニング装置でコンディショニングした研磨テープを研磨ヘッドに順次送ることで、例えば研磨テープメーカで製造された研磨テープをそのまま研磨装置に設置して研磨に使用することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に擦り具を擦り付けて該表面を洗浄する洗浄装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置である。
【0016】
このように、研磨テープ表面に擦り具を擦り付けて該表面を洗浄することで、研磨テープ表面を擦り具で洗浄しながら、研磨テープ表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒を研磨テーブル表面から擦り具で擦り落として除去し、これによって、研磨中に研磨テープ表面から砥粒が脱落するのを極力防止することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記擦り具は、洗浄ブラシからなることを特徴とする請求項2記載の研磨装置である。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記擦り具を洗浄する洗浄手段を有することを特徴とする請求項2または3記載の研磨装置である。
例えば、洗浄ブラシによる研磨テープのコンディショニング中に、洗浄ブラシを純水や薬液等の流体で洗浄することで、洗浄ブラシの清浄度を常に一定に保つことができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に向けて流体を吹付ける流体吹付け装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置である。
これにより、研磨テープ表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒を、研磨テープ表面に向けて吹付ける流体で吹き落として研磨テープ表面から除去することができる。流体としては、純水等の液体や、空気または窒素ガス等の不活性ガス等が挙げられる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記流体として、超音波振動させた流体を使用することを特徴とする請求項5記載の研磨装置である。
これにより、密着力が弱い砥粒の研磨テープ表面からの除去効果をより高めることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面を吸引する吸引装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置である。
これにより、研磨テープ表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒を、研磨テープ表面に作用する吸引力で吸引して研磨テープ表面から除去することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に砥石を押付けて該表面を研磨する研磨装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置である。
これにより、研磨テープ表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒を、研磨テープ表面を研磨することによって研磨テープ表面から除去することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に、表面に粘着性を有する粘着材を接触させる粘着材接触装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置である。
これにより、研磨テープ表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒を、粘着材に付着させて研磨テープ表面から除去することができる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、表面に砥粒を固着した研磨テープを一方向に走行させつつ、該研磨テープ表面を基板表面に押圧して該基板表面を研磨する研磨ヘッドと、前記研磨ヘッドで基板表面の外周部を研磨している時に研磨によって生じる異物から基板表面の中央部を保護する表面保護装置とを有すことを特徴とする研磨装置である。
【0025】
これにより、たとえ研磨ヘッドの研磨テープで基板表面の外周部を研磨している時に研磨テープから砥粒が脱落しても、この脱落した砥粒が基板表面の中央部の、例えば素子形成領域内に入り込んでしまうことを防止することができる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、前記表面保護装置は、基板表面の外周部を除く領域を前記異物の通過を防止するように包囲して保護する遮蔽具と、基板表面の外周部を除く領域の該外周部との境界部に向けて高圧流体を吹付ける流体吹付けノズルの少なくとも一方を有することを特徴とする請求項10記載の研磨装置である。
【0027】
請求項12に記載の発明は、前記遮蔽具は、基板表面に接触するように配置されるPVAスポンジからなることを特徴とする請求項11記載の研磨装置である。
これにより、基板表面が遮蔽具(PVAスポンジ)で傷付いてしまうことを防止しつつ、脱落した砥粒が基板表面の中央部の、例えば素子形成領域内に入り込んでしまうことをより確実に防止することができる。
【0028】
請求項13に記載の発明は、研磨中に研磨テープ表面から砥粒が脱落するのを防止するように研磨テープ表面をコンディショニングし、前記コンディショニングした研磨テープ表面を基板表面に押圧して該基板表面を研磨することを特徴とする研磨方法である。
【0029】
請求項14に記載の発明は、基板表面の外周部を研磨している時に研磨によって生じる異物から基板表面の中央部を保護しながら、研磨テープ表面を基板表面の外周部に押圧して該外周部を研磨することを特徴とする研磨方法である。
【発明の効果】
【0030】
研磨テープ表面から研磨中に砥粒が脱落するのを防止するように該表面を予めコンディショニングするようにした本発明によれば、研磨中に研磨テープ表面から砥粒が脱落することを極力防止して、基板をよりクリーンな状態で研磨することができる。
【0031】
また、研磨ヘッドで基板表面の外周部を研磨している時に研磨によって生じる異物から基板表面の中央部を保護するようにした本発明によれば、たとえ研磨中に研磨テープから砥粒が脱落しても、この脱落した砥粒が基板中央部の、例えば素子形成領域に入り込んで、砥粒によって素子等が損傷してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態の研磨装置を示す概要図である。
【図2】図1に示す研磨装置の研磨ヘッド及び洗浄装置(コンディショニング装置)を拡大して示す拡大図である
【図3】図2に示す洗浄装置の該洗浄装置で研磨テープを洗浄している時の状態を示す図である。
【図4】図1に示す研磨装置の研磨時における一部を拡大して示す一部拡大図である。
【図5】図1に示す研磨装置の研磨時における他の例を示す一部拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態の研磨装置の要部を示す要部拡大図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態の研磨装置における吸引装置(コンディショニング装置)を示す要部拡大図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態の研磨装置の要部を示す要部拡大図である。
【図9】図8に示す研磨装置の粘着材接触装置(コンディショニング装置)の変形例を示す図である。
【図10】半導体ウェーハのベベル部乃至エッジ部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の例では、表面に半導体素子を有する半導体ウェーハ等の基板の表面外周部を研磨して、例えば、前述の表面に半導体層(SIO層)を有し表面外周部を予め研磨除去したシリコン基板(デバイス基板)を作製するようにした例を示す。
【0034】
図1は、本発明の実施形態の研磨装置の概要を示す。図1に示すように、研磨装置は、表面(素子形成面)を上向きにして基板Wを着脱自在に吸着保持し回転させる基板ホルダ10と、基板ホルダ10で保持した基板Wの外周部の上方に配置されて該外周部を研磨する研磨ヘッド12と、基板ホルダ10で保持した基板Wの中心部上方に位置して基板Wの表面に純水等の流体を供給する流体供給ノズル14とを有している。
【0035】
研磨ヘッド12は、図2に詳細に示すように、上下動及び水平動自在な支持板16を備え、この支持板16に一対の走行ローラ18が所定間隔離間して配置されている。これにより、表面にダイヤモンドやセリア等の砥粒(研磨材)を固着した研磨テープ20が、表面(砥粒固着面)を下向きにして走行ローラ18間を一方向に水平に走行するように構成されている。この走行ローラ18間に位置する研磨テープ20の上方に位置して、昇降機構としてのシリンダ22が下向きに配置され、このシリンダ22のシリンダロッド23に押圧パッド24が固着されている。これによって、シリンダ22を介して、押圧パッド24を下降させることで、走行ローラ18間に位置する研磨テープ20の表面(下面)を、基板ホルダ10で保持した基板Wの表面に所定の押圧力で押圧できるようになっている。
【0036】
研磨テープ20は、その走行方向に沿った研磨ヘッド12の上流側で、一対のガイドローラ26を介して水平に走行するように構成され、この水平方向走行部に、この例では、洗浄装置30からなるコンディショニング装置が配置されている。この洗浄装置(コンディショニング装置)30は、研磨テープ20の表面から研磨中に砥粒が脱落するのを防止するように該表面を予めコンディショニングするためのもので、研磨テープ20が内部を水平に走行するハウジング32と、ハウジング32の内部に位置して研磨テープ20を挟んだ上下に配置された一対の洗浄ブラシ(擦り具)34と、この各洗浄ブラシ34をそれぞれ昇降させる昇降装置としてのシリンダ36を備えている。
【0037】
これによって、図3に示すように、研磨テープ20を挟んで上下に配置された一対の洗浄ブラシ34の先端を研磨テープ20の表裏両面に所定の圧力でそれぞれ接触させ、この状態で、研磨テープ20を一方向に走行させて、洗浄ブラシ34を研磨テープ20の表裏両面にそれぞれ擦り付けることで、この例では、研磨テープ20の表面の洗浄ブラシ34によるコンディショニング(洗浄)と、研磨テープ20の裏面の洗浄ブラシ34による洗浄を同時に行うようにしている。
【0038】
つまり、研磨テープ20の表裏両面は、洗浄ブラシ34をそれぞれ擦り付けることによって洗浄され、更に、研磨テープ20の表面にあっては、該表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒が研磨テーブル20の表面から洗浄ブラシ34で擦り落とされて除去されてコンディショニングされる。このように、研磨テープ20の表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒を、研磨に先立って、研磨テーブル20の表面から予め除去することで、研磨中に研磨テープ20の表面から砥粒が脱落するのを極力防止することができる。しかも、研磨テープ20の表裏両面を予め洗浄することで、研磨テープ20による研磨をよりクリーンな環境で行うことができる。
【0039】
研磨装置には、図1に示すように、研磨ヘッド12で基板Wの表面外周部を研磨している時に研磨によって生じる異物から基板Wの表面中央部を保護する表面保護装置40が備えられている。つまり、この表面保護装置40は、図4に詳細に示すように、上方に突出する円錐状で、中心部に液体供給ノズル14を挿通させた昇降自在な保護カバー42の下端に連結した、遮蔽具としての保護リング44と、基板Wの表面外周部を除く領域の該外周部との境界部に向けて流体を吹付ける流体吹付けノズル46とを備えている。保護カバー42は、例えば樹脂からなる剛体である。
【0040】
保護リング(遮蔽具)44の径は、基板Wの表面の、例えば素子形成領域の周囲を包囲する大きさに設定され、これによって、基板Wの表面の、例えば素子形成領域の上方は、円錐状の保護カバー42で覆われるようになっている。基板Wの表面外周部を除く領域の該外周部との境界部は、基板Wの表面の、例えば素子形成領域と非形成領域との境界部付近である。
【0041】
この例にあっては、保護リング44は、PVAスポンジから構成され、保護リング44の下端が基板ホルダ10で保持された基板Wの表面に接触し、これによって、たとえ基板Wの表面外周部を研磨テープ20で研磨している時に研磨テープ20の表面に固着された研磨テープ20の表面から砥粒が脱落しても、この脱落した砥粒や該砥粒を含む流体等が保護リング44の内部に入り込まないようになっている。
【0042】
このように、保護リング44をPVAスポンジで構成することにより、保護リング44が基板Wに接触することで基板Wが傷付くことを防止し、しかも、純水等の流体を連続発泡体であるPVAスポンジで吸水し、汚染した純水等が保護リング44の内部に侵入することを発泡層で防止することができる。更に、PVAスポンジの内部より純水等の流体を外部に出すことで、汚染した液体の除去を推進することができる。
【0043】
この例のように、基板Wの中央部を保護カバー42で覆うことで、研磨テープ20の表面から脱落した砥粒や該砥粒を含む流体等が、たとえミスト状になった状態でも、基板Wの上方から保護リング44の内側に入り込むことを防止することができる。また、保護カバー42を円錐状とすることで、保護カバー42の上面に降り注いだ液体が一定量集まると、水滴となって保護カバー42の上面に沿って流れるようにすることができる。
【0044】
更に、保護カバー42を挿通して延びる液体供給ノズル14から基板Wの表面に純水等の流体を供給することで、基板Wの表面を該液体で保護することができる。なお、純水等の流体の消耗を抑えて装置のランニングコストを低減するため、保護カバー42の内部に、流体の代わりに窒素等の気体を導入するようにしてもよい。
【0045】
流体吹付けノズル46は、流体吹付けノズル46から吹き出されて基板Wと衝突した流体が基板Wの直径方向の外方に向かって流れるよう、基板ホルダ10で保持された基板Wの表面に対し、下方に延びるに従って外方に向かうように傾斜して配置されている。そして、この流体吹付けノズル46から基板ホルダ10で保持した基板Wに向けて流体を吹付けることで、保護リング44とほぼ同様に、たとえ基板Wの表面外周部を研磨テープ20で研磨している時に研磨テープ20の表面に固着された研磨テープ20の表面から砥粒が脱落しても、この脱落した砥粒や該砥粒を含む液体を、流体吹付けノズル46から吹付けられる流体で基板Wの外方に吹き出し、これによって、脱落した砥粒や該砥粒を含む液体が基板Wの中央部の、例えば素子形成領域に入り込むことを防止することができる。
【0046】
この流体吹付けノズル46から吹き出される液体として、純水が好ましく使用されるが、純水の代わりに、薬液、イオン水またはオゾン水等を使用しても良い。更に、空気や、窒素ガス等の汚染物の入ってない任意の気体を使用しても良い。
【0047】
この例では、表面保護装置40として、保護リング44と、流体吹付けノズル46とを備え、これによって、脱落した砥粒や該砥粒を含む液体が基板Wの中央部の、例えば素子形成領域に入り込むことをより完全に防止するようにしているが、保護リング44と流体吹付けノズル46の一方を備えるようにしてもよく、また研磨条件等に合せて、保護リング44と流体吹付けノズル46の一方を選択に使用するようにしても良い。
【0048】
なお、脱落した砥粒や該砥粒を含む液体が基板Wの中央部の、例えば素子形成領域に入り込んでも問題が生じない場合や、入り込む恐れがない場合等には、表面保護装置40を省略してもよい。
【0049】
次に、この研磨装置によって、基板Wの表面外周部を研磨する時の動作について説明する。
先ず、基板ホルダ10で基板Wを保持し、しかる後、基板Wの表面に保護リング44の下端を当接させて基板Wの周辺部を除く中央部を保護カバー42で覆う。この状態で、基板ホルダ10で保持した基板Wを回転させながら、基板Wの表面に液体供給ノズル14から純水等の液体を供給し、更に、必要に応じて、流体吹付けノズル46から、基板ホルダ10で保持した基板Wの表面外周部を除く領域の該外周部との境界部に向けて純水等の液体を吹付ける。
【0050】
一方、研磨ヘッド12にあっては、待避位置から、基板ホルダ10で保持した基板Wの外周部上方の、研磨を開始したい位置に移動させる。そして、研磨テープ20を一定速度で一定方向に走行させながら、押圧パッド24を下降させ、設定した一定圧力で押圧パッド24を介して研磨テープ20の表面を基板Wに押圧し、これによって、基板Wと研磨テープ20との間に相対速度差による摩擦力を生じさせて基板Wの外周部を研磨する。
【0051】
この研磨時に、洗浄装置(コンディショニング)装置30を作動させて研磨テープ20の表裏両面に洗浄ブラシ34の先端をそれぞれ接触させる。これによって、研磨テープ20の表裏両面の洗浄ブラシ34による洗浄と、研磨テープ20の表面の洗浄ブラシ34によるコンディショニング、つまり研磨テープ20の表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒の洗浄ブラシ34による除去を行い、この洗浄装置30を通過した研磨テープ20が走行ローラ18間を走行するようにする。
【0052】
この研磨テープ20による研磨を、研磨ヘッド12を基板Wの直径方向の外方に向けて移動させながら行い、研磨ヘッド12が基板Wの端部まで移動した時に、研磨を終了させる。これにより、研磨距離を任意に変更することができる。そして、研磨終了後、研磨テープ20の走行を停止し、研磨ヘッド12を上昇させて基の待避位置に戻し、流体供給ノズル14からの流体の供給、液体吹付けノズル46からの液体の吹付け、及び基板Wの回転を停止し、更に、基板Wの表面から保護リング44を引き離した後、研磨後の基板Wを次工程に搬送する。
【0053】
この研磨時における研磨テープ20の走行速度は、例えば1〜50mm/minで、基板Wに対する研磨テープ20の押圧荷重は、例えば5〜20Nである。また、基板Wの回転速度は、100〜400rpmで、研磨テープ20として、例えば砥粒#2000以下(粒子径:9μm以上)のダイヤモンド粒子を固着したダイヤモンド粒子テープが使用される。
【0054】
この研磨時に、液体供給ノズル14から基板Wの表面に純水等の液体を供給して該表面を液体で覆うことで、基板Wの表面中央部の、例えば素子形成領域をゴミから保護することができる。この時に基板Wの表面に供給された液体は、PVAスポンジからなる保護リング44の内部を通過して基板Wの外周部に達し、これによって、液体の存在下で基板Wの外周部の研磨テープ20による研磨が行われる。また、基板Wの外周部に達した液体は、保護リング44で堰き止められて、該保護リング44の内部に流入することが阻止される。
【0055】
この例によれば、研磨テープ20の表面を洗浄ブラシ34で洗浄しながら、研磨テープ20の表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒を研磨テーブル20の表面から洗浄ブラシ34で擦り落として除去し、これによって、研磨中に研磨テープ20の表面から砥粒が脱落するのを極力防止することができる。しかも、研磨テープ20の表裏両面を洗浄ブラシ34で洗浄することで、よりクリーンな環境で研磨を行うことができる。
【0056】
しかも、たとえ研磨中に研磨テープ20の表面から砥粒が脱落し、この脱落した砥粒が液体供給ノズル14から基板Wの表面に供給されて基板Wの外周部に達する液体に混入しても、この基板Wの外周部に達した液体は、保護リング44で堰き止められて、該保護リング44の内部に流入することが阻止され、更に、流体吹付けノズル46から基板Wに向けて吹付けられる流体で基板Wの外方に吹き出される。これによって、基板Wの中央部の、例えば素子形成領域の表面が研磨テープ20の表面から脱落した砥粒から保護される。
【0057】
この例では、シリンダ36を介して洗浄ブラシ34の先端を研磨テープ20に所定の圧力で押圧するようにしているが、洗浄ブラシ34を回転させてもよく、また研磨テープ20の幅方向または長さ方向に、ある一定幅で洗浄ブラシ34を往復移動させてもよい。研磨テープに固着した砥粒の方が洗浄ブラシ自体より一般に硬度が高いため、洗浄ブラシ自体が磨耗していく状況においても、洗浄ブラシは平滑に磨耗され、洗浄ブラシ自体の平面度を変化させることなく使用することが可能となって、洗浄ブラシは長寿命な消耗品となる。
【0058】
図示していないが、洗浄ブラシによる研磨テープの洗浄(コンディショニング)中に、洗浄ブラシを流体純水や薬液等の流体で洗浄して、常に清浄度を保つようにしても良い。また、洗浄ブラシによる研磨テープの洗浄(コンディショニング)を行っていない時に、洗浄ブラシを移動させ、カップなど容器に入れた純水や薬液等で洗浄したり、超音波等の振動で洗浄したりするようにしても良い。
【0059】
研磨テープに流体を供給しながら、洗浄ブラシによる研磨テープの洗浄(コンディショニング)を行うようにしても良い。これにより、洗浄ブラシで研磨テープの表面から除去された砥粒を流体で浮かして不純物と共に流体で洗い流すことができる。この研磨テープに供給する流体として、酸性溶液を使用することで、研磨テープに付着しているメタル成分を洗い流して、基板に対するメタル汚染を極力無くすことができる。
【0060】
なお、図5に示すように、PVAスポンジからなる保護リング44の下端と基板ホルダ10で保持した基板Wの表面との間に、基板Wの外周部に達した液体を堰き止めて内部への流入を阻止できる、例えば0.1〜1.0mm程度の隙間Sを設けた状態で、基板Wの外周部を研磨テープ20で研磨するようにしてもよい。このように、保護リング44の下端が基板Wに接触しないようにすることで、保護リング44の寿命を飛躍的に延ばすことができる。
【0061】
図6は、本発明の他の実施形態の研磨装置の要部を示す。この例の図1乃至図4に示す例と異なる点は、洗浄装置30の代わりに、流体吹付け装置50でコンディショニング装置を構成している点にある。この流体吹付け装置(コンディショニング装置)50は、研磨テープ20が内部を水平に走行するハウジング52と、ハウジング52の内部に位置して研磨テープ20を挟んだ上下に配置された一対の流体吹付けノズル54とを備えており、各流体吹付けノズル54は、図示しない流体供給源から延び、内部にレギュレータ56及びバルブ58を設置した流体供給パイプ60に接続されている。
【0062】
ハウジング52の底部には、ドレインまたは排気管62が接続され、ハウジング52の内部には、流体吹付けノズル54から吹き出された流体の流れを規制する規制板64が配置されている。この規制板64は、流体として液体を使用した時には流体の飛散を防止する役割を、気体を使用した場合は気体の流れを整流するする役割を果たす。
【0063】
この流体吹付け装置50によれば、流体として、例えば空気を使用し、研磨テープ20を挟んで上下に配置された一対の流体吹付けノズル54から研磨テープ20に向けて高圧空気を吹付けながら、研磨テープ20を一方向に走行させることで、この例では、研磨テープ20の表面の高圧空気によるコンディショニング(洗浄)と、研磨テープ20の裏面の高圧空気による洗浄を同時に行うことができる。流体吹付けノズル54からは、一定の圧力の高圧空気が一定の流量で吹付けられる。
【0064】
つまり、研磨テープ20の表裏両面は、流体吹付けノズル54から吹付けられる高圧空気で洗浄され、更に、研磨テープ20の表面にあっては、該表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒が研磨テーブル20の表面から流体吹付けノズル54から吹付けられる高圧空気で吹き飛ばされて除去されてコンディショニングされる。
【0065】
流体として、空気の他に、窒素ガス等の不純物の少ない任意のガスを、環境に合せて選択して使用しても良い。また流体吹付けノズル54から高圧空気(または窒素ガス等)を吹付ける時、流体吹付けノズル54と研磨テープ20との距離を、洗浄能力が最適となるように管理することが好ましい。更に、流体吹付けノズル54の位置を管理した上で、流体吹付けノズル54を、研磨テープ20の水平方向及び垂直方向に一定の範囲で往復運動させることが好ましく、これにより、広範囲に高圧空気(または窒素ガス等)を吹付けることができる。このことは、下記の流体吹付けノズル54から液体を吹き出す場合にあっても同様である。
【0066】
高圧空気(又は窒素ガス等)は、流体吹付けノズル54から、例えば一定時間に亘って一定流量で研磨テープ20に向けて吹付けられるが、断続的でもよい。このように高圧空気(又は窒素ガス等)を断続的に吹付けることにより、高圧空気(又は窒素ガス等)の使用量を削減させ、さらに、研磨テープ20に力が不連続にかかるようにして、洗浄効果及び密着力が弱い砥粒等の除去効果を高めることができる。このことは、下記の流体吹付けノズル54から液体を吹き出す場合にあっても同様である。
【0067】
この流体吹付け装置50の流体として、純水等の液体を使用しても良い。このように液体を使用し、研磨テープ20を挟んで上下に配置された一対の流体吹付けノズル54から研磨テープ20に向けて高圧流体を吹付けながら、研磨テープ20を一方向に走行させることで、研磨テープ20の表面の高圧流体によるコンディショニング(洗浄)と、研磨テープ20の裏面の高圧流体による洗浄を同時に行うことができる。流体吹付けノズル54からは、一定の圧力の高圧流体が一定の流量で吹付けられる。
【0068】
静電気によるゴミ等の付着も考慮して、流体としてイオン水を使用しても良く、ゴミの除去を考慮して、流体としてオゾン水を使用してもよい。また、密着力が弱い砥粒を除去することを考慮して、流体として薬液を使用しても良い。更に、流体として弱酸性の薬液を使用して、研磨テープ20の表面に付着しているメタル成分を取り除くことにより、基板Wの表面にメタル成分が付着する可能性を低減させることができる。
【0069】
流体を研磨テープに当てる際、流体自体を高圧力にすることで研磨テープ自体に負荷をかけることができ、密着力の弱い砥粒及び汚れを除去することが可能になる。また流体を吹き出す流体吹付けノズル54の先端ノズル形状を、高い圧力で流体を吹き出すことが可能な丸い形状にしても良く、また広い範囲に拡げて液体を吹き出すことが可能な扇状にしてもよい。
【0070】
なお、流体吹付け装置50から吹き出される流体の温度を、例えば0〜90℃まで管理することにより、研磨特性を管理し変化させることができる。つまり、流体の温度を0〜20℃と低い側に変化させることにより、研磨テープ20の砥粒を保持している樹脂系バインダの硬度を硬化させ砥粒の保持力を向上させて、基板Wの研磨速度を速めることができる。逆に20〜90℃と高温側に変化させることにより、研磨テープの砥粒を保持している樹脂系バインダの硬度を軟化させ砥粒の保持力を低下させて、基板Wの研磨速度を遅くすることができる。基板Wの研磨速度を遅くすることで、研磨によって生じる研磨痕の深さをより浅くすることができる。
【0071】
また、研磨テープに超音波など微小な振動を与えた状態で、流体吹付けノズルから研磨テープに向けて流体を吹付けたり、超音波振動を与えた流体を使用したりしてもよく、これにより、研磨テープのより効果的な洗浄(コンディショニング)が可能となる。この場合、流体として酸溶液を使用してメタル洗浄を同時に行うようにしても良く、また、アルカリ洗浄水を使用して主にゴミ等の不純物の除去を行うようにしても良い。
【0072】
図7は、本発明の更に他の実施形態の研磨装置のコンディショニング装置に使用される吸引装置70を示す。図7に示す吸引装置70は、図1乃至図4に示す研磨装置の洗浄装置30の代わりに使用される。この吸引装置(コンディショニング装置)70は、研磨テープ20が内部を水平に走行するハウジング72と、ハウジング72の内部に位置して研磨テープ20を挟んだ上下に配置された一対の吸引ヘッド74とを備えており、各吸引ヘッド74は、内部にバルブ76を設置した吸引パイプ78の一端に接続され、吸引パイプ78の他端は、真空源に接続されている。
【0073】
この吸引装置70によれば、研磨テープ20を挟んで上下に配置された一対の吸引ヘッド74で研磨テープ20の表裏両面をそれぞれ真空吸引しながら、研磨テープ20を一方向に走行させることで、この例では、研磨テープ20の表面の真空吸引によるコンディショニング(洗浄)と、研磨テープ20の裏面の真空吸引による洗浄を同時に行うことができる。
【0074】
つまり、研磨テープ20の表裏両面は、吸引ヘッド74の真空吸引によって洗浄され、更に、研磨テープ20の表面にあっては、該表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒が吸引ヘッド74の真空吸引によって吸引され研磨テープ20の表面から除去されてコンディショニングされる。
【0075】
なお、図示しないが、研磨テープ20の流れ方向に沿った吸引ヘッド74の上流側に、研磨テープ20の表面及び裏面にそれぞれ接触するブラシ等を設置し、研磨テープの表面及び裏面にブラシ等を擦り付けるようにすることが好ましく、これにより、研磨テープ20の表面の真空吸引によるコンディショニング(洗浄)と、研磨テープ20の裏面の真空吸引による洗浄をより効果的に行うことができる。
【0076】
図8は、本発明の更に他の実施形態の研磨装置のコンディショニング装置の要部を示す。この例の図1乃至図4に示す例と異なる点は、洗浄装置30の代わりに、粘着剤接触装置80でコンディショニング装置を構成している点にある。この粘着剤接触装置(コンディショニング装置)80は、表面に粘着性を有する粘着剤を塗布した一対の粘着ロール82を有し、この両粘着ロール82の間に研磨テープ20を挟む込み、両粘着ロール82の互いに同期した逆方向の回転に伴って研磨テープ20が一方向に走行するようになっている。
【0077】
この粘着剤接触装置80によれば、粘着ロール82の表面を研磨テープ20の表面及び裏面にそれぞれ接触させつつ、粘着ロール82を互いに同期させて逆方向に回転させて研磨テープ20を一方向に走行させることで、この例では、研磨テープ20の表面の粘着ロール82によるコンディショニング(洗浄)と、研磨テープ20の裏面の粘着ロール82による洗浄を同時に行うことができる。
【0078】
つまり、研磨テープ20の表裏両面は、粘着ロール82の表面に塗布した粘着性を有する粘着剤に接触し、ゴミ等が粘着剤の粘着力で粘着ロール82に付着する粘着効果によって洗浄され、更に、研磨テープ20の表面にあっては、該表面に固着された砥粒の内、密着力が弱い砥粒が、粘着剤の粘着力で粘着ロール82に付着する粘着効果によって研磨テープ20の表面から除去されてコンディショニングされる。
【0079】
粘着ロール82は、その粘着物自体の汚れを除去するため、必要な洗浄を、特にメタル汚染に繋がらないように酸洗浄等を実施した後に、研磨装置に取り付けられる。図示しないが、粘着ロール82に超音波等の微小振動を付与する機構を付け、粘着ロール82と研磨テープ20と接触している箇所に振動による運動を追加することが好ましく、これにより、より密着力が弱い砥粒を研磨テープ20から除去することができる。
【0080】
なお、図9に示すように、3の粘着ロール82を使用し、粘着ロール82と研磨テープ20とが互いに接触する接触面積がより広くなるように、粘着剤接触装置80を構成してもよい。
【0081】
なお、図示しないが、図1乃至図4に示す、洗浄ブラシ34を有する洗浄装置30の代わりに、洗浄ブラシ34を砥石に置き換えた研磨装置を使用し、砥石を研磨テープの表裏両面に押付けて、研磨テープの表面の砥石研磨によるコンディショニング(洗浄)と、研磨テープの裏面の砥石研磨による洗浄とを同時に行うようにしても良い。
【0082】
このように砥石を研磨テープに押付けるときは、押付ける力を管理することが必要となるが、この押付ける力は、例えばシリンダ等を使用することで容易に管理することができる。また、砥石の研磨テープとの接触面の平坦度を、研磨装置に取り付ける前に砥石表面の精度を計測して管理することで、研磨テープに局部的な圧力をかかることを防止できる。また、砥石を研磨装置に取り付け直前に、砥石に対する酸洗浄等の洗浄処理をすることにより、砥石から研磨テープへの逆汚染を防止し、また、酸洗浄により砥石のメタル成分を洗浄することができる。
【0083】
また、砥石を、研磨テープに対して垂直または水平方向に、ある一定幅で往復移動させるようにしても良い。砥石を研磨テープに接触させる際、断続的に接触させるようにしても良く、これにより、研磨テープにかかる力を不連続にして、洗浄及び密着力が弱い砥粒の除去をより効果的に行うことができる。また、砥石を移動させることより、初期に管理した平坦度が研磨テープに接触して磨耗する状況となったとしても、砥石を研磨テープに均等に当てることにより、砥石が均等に磨耗され、平坦度も管理しながらの使用が可能となり、砥石の長期に亘る使用が可能となる。
【0084】
また、砥石による研磨の際、砥石に流体を供給することが好ましく、これにより、密着力が弱かった砥粒を研磨テープの砥粒固定材であるバインダから砥石による研磨で除去して流体に浮かせ、この流体の流れで外部に除去することができる。この流体として酸性流体を使用することで、研磨テープの製造工程で研磨テープに付着したメタル成分を除去することができる。また、砥石に超音波など微小な振動を付与して砥石を研磨テープに接触させたり、逆に研磨テープに微小な振動を付与して砥石を接触させたりすることで、洗浄及び密着力が弱い砥粒の除去をより効果的に行うことができる。
【0085】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
10 基板ホルダ
12 研磨ヘッド
14 流体供給ノズル
18 走行ローラ
20 研磨テープ
24 押圧パッド
30 洗浄装置(コンディショニング装置)
34 洗浄ブラシ
40 表面保護装置
42 保護カバー
44 保護リング
46 流体吹付けノズル
50 流体吹付け装置(コンディショニング装置)
54 流体吹付けノズル
70 吸引装置(コンディショニング装置)
74 吸引ヘッド
80 粘着剤接触装置(コンディショニング装置)
82 粘着ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に砥粒を固着した研磨テープを一方向に走行させつつ、該研磨テープ表面を基板表面に押圧して該基板表面を研磨する研磨ヘッドと、
前記研磨テープの走行方向に沿った前記研磨ヘッドの上流側に配置され、研磨テープ表面から研磨中に砥粒が脱落するのを防止するように該表面を予めコンディショニングするコンディショニング装置とを有することを特徴とすることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に擦り具を擦り付けて該表面を洗浄する洗浄装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項3】
前記擦り具は、洗浄ブラシからなることを特徴とする請求項2記載の研磨装置。
【請求項4】
前記擦り具を洗浄する洗浄手段を有することを特徴とする請求項2または3記載の研磨装置。
【請求項5】
前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に向けて流体を吹付ける流体吹付け装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項6】
前記流体として、超音波振動させた流体を使用することを特徴とする請求項5記載の研磨装置。
【請求項7】
前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面を吸引する吸引装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項8】
前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に砥石を押付けて該表面を研磨する研磨装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項9】
前記コンディショニング装置は、研磨テープ表面に、表面に粘着性を有する粘着材を接触させる粘着材接触装置からなることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項10】
表面に砥粒を固着した研磨テープを一方向に走行させつつ、該研磨テープ表面を基板表面に押圧して該基板表面を研磨する研磨ヘッドと、
前記研磨ヘッドで基板表面の外周部を研磨している時に研磨によって生じる異物から基板表面の中央部を保護する表面保護装置とを有すことを特徴とする研磨装置。
【請求項11】
前記表面保護装置は、基板表面の外周部を除く領域を前記異物の通過を防止するように包囲して保護する遮蔽具と、基板表面の外周部を除く領域の該外周部との境界部に向けて流体を吹付ける流体吹付けノズルの少なくとも一方を有することを特徴とする請求項10記載の研磨装置。
【請求項12】
前記遮断具は、基板表面に接触するように配置されるPVAスポンジからなることを特徴とする請求項11記載の研磨装置。
【請求項13】
研磨中に研磨テープ表面から砥粒が脱落するのを防止するように研磨テープ表面をコンディショニングし、
前記コンディショニングした研磨テープ表面を基板表面に押圧して該基板表面を研磨することを特徴とする研磨方法。
【請求項14】
基板表面の外周部を研磨している時に研磨によって生じる異物から基板表面の中央部を保護しながら、研磨テープ表面を基板表面の外周部に押圧して該外周部を研磨することを特徴とする研磨方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−177842(P2011−177842A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44846(P2010−44846)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】