説明

硬化膜の製造方法、感光性樹脂組成物、硬化膜、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置

【課題】高感度で安定した感度で製造でき、コンタクトホールのパターニング性能やITOスパッタ耐性、耐熱透明性に優れる硬化膜を、スリットコートで製造する製造方法を提供すること。
【解決手段】感光性樹脂組成物を10℃以下の温度にする工程、感光性樹脂組成物を基板上にスリットコートする工程、塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する工程、溶剤を除去した感光性樹脂組成物を活性光線により露光する工程、室温で45秒以上経過させる工程、水性現像液により現像する工程、熱硬化する工程を含み、感光性樹脂組成物が、(成分A)酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位、架橋基を有する構成単位、カルボキシ基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位を含有する共重合体、(成分B)光酸発生剤並びに(成分C)溶剤を含有する硬化膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化膜の製造方法、感光性樹脂組成物、硬化膜、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子、有機ELなどの電子部品においては、一般に、電子部品表面の平坦性を付与するための平坦化膜、電子部品の劣化や損傷を防ぐための保護膜や、絶縁性を保つための層間絶縁膜を形成する際に感光性樹脂組成物が使用される。近年の表示装置の大型化に伴い、スリットコータで塗布・製造できるスリットコート適性が要求されるようになった。さらにこの大型化に伴い、露光に時間がかかるようになり、露光時間短縮のために高感度が要求されるようになった。
特許文献1には、カルボキシ基含有ポリマー、キノンジアジド化合物、特定のオニウムを混合した感光性樹脂組成物をスリット塗布することが開示されている。しかし、この組成物では感度が充分ではない。高感度の層間絶縁膜用組成物として、例えば、特許文献2及び3には、アセタール構造並びにエポキシ基又は架橋性基を含有する樹脂、酸発生剤を含有する化学増幅型の感放射線性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−075329号公報
【特許文献2】特開2004−254623号公報
【特許文献3】特開2009−098616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが検討したところ、特許文献2及び3の高感度の感光性樹脂組成物をスリットコートした場合には、その感度が安定しないことがわかった。また、スリットコートして絶縁膜を作製した場合には、コンタクトホールのパターニング性能が充分ではなくなるという問題が生じることが判明した。これは、化学増幅型の感光性樹脂組成物をスリットコートで絶縁膜とする際の新たな課題である。
本発明が解決しようとする課題は、高感度で安定した感度で製造でき、コンタクトホールのパターニング性能やITOスパッタ適性、耐熱透明性に優れる硬化膜をスリットコートで製造する製造方法、前記製造方法に用いられる感光性樹脂組成物、前記製造方法により製造された硬化膜、前記硬化膜を含む有機EL表示装置、及び、液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は以下の<1>〜<12>に記載の手段によって解決された。
<1>(1)感光性樹脂組成物を10℃以下の温度にする低温処理工程、(2)前記感光性樹脂組成物を基板上にスリットコートする塗布工程、(3)塗布された前記感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、(4)溶剤を除去した前記感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、(5)室温で45秒以上経過させる工程、(6)水性現像液により現像する現像工程、及び、(7)熱硬化するポストベーク工程、をこの順番で含み、前記感光性樹脂組成物が、(成分A)少なくとも(a1)酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位、(a2)架橋基を有する構成単位、(a3)カルボキシ基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位、を含有する共重合体、(成分B)光酸発生剤、並びに、(成分C)溶剤、を含有することを特徴とする硬化膜の製造方法、
<2>前記構成単位(a1)が、カルボキシ基がアセタール又はケタールで保護された残基を有する構成単位である、<1>に記載の硬化膜の製造方法、
<3>前記構成単位(a1)が、式(A2)で表される、<1>又は<2>に記載の硬化膜の製造方法、
【0006】
【化1】

(式(A2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR1及びR2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R3は、アルキル基又はアリール基を表し、R1又はR2とR3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R4は、水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。)
【0007】
<4>前記構成単位(a2)が、エポキシ基、オキセタニル基、及び、エチレン性不飽和基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基を有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法、
<5>前記構成単位(a2)が、脂環エポキシ基、及び/又は、オキセタニル基を有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法、
<6>前記成分Bが、オキシムスルホネート残基を有する化合物である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法、
<7>前記成分Bが、式(OS−3)、式(OS−4)又は式(OS−5)で表される化合物である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法、
【0008】
【化2】

(式(OS−3)〜式(OS−5)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO又はSを表し、nは1又は2を表し、mは0〜6の整数を表す。)
【0009】
<8>前記感光性樹脂組成物が、化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法、
<9><1>〜<8>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法に用いられる、感光性樹脂組成物、
<10><1>〜<8>のいずれか1つに記載の硬化膜の製造方法により製造された、硬化膜、
<11><10>に記載の硬化膜を具備する、有機EL表示装置、
<12><10>に記載の硬化膜を具備する、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、高感度で安定した感度で製造でき、コンタクトホールのパターニング性能やITOスパッタ適性、耐熱透明性に優れる層間絶縁膜をスリットコートで作製する硬化膜の製造方法、前記製造方法に用いられる感光性樹脂組成物、前記製造方法により製造された硬化膜、前記硬化膜を含む有機EL表示装置、及び、液晶表示装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】有機EL表示装置の一例の構成概念図である。
【図2】液晶表示装置の一例を示す概念的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の硬化膜の製造方法は、(1)感光性樹脂組成物を10℃以下の温度にする低温処理工程、(2)前記感光性樹脂組成物を基板上にスリットコートする塗布工程、(3)塗布された前記感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、(4)溶剤を除去した前記感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、(5)室温で45秒以上経過させる工程、(6)水性現像液により現像する現像工程、及び、(7)熱硬化するポストベーク工程、をこの順番で含み、前記感光性樹脂組成物が、(成分A)少なくとも(a1)酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位、(a2)架橋基を有する構成単位、(a3)カルボキシ基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位、を含有する共重合体、(成分B)光酸発生剤、並びに、(成分C)溶剤、を含有することを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り、「A以上B以下」を意味し、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。
【0013】
I.感光性樹脂組成物
本発明の硬化膜の製造方法に用いられる感光性樹脂組成物(以下、本発明の感光性樹脂組成物ともいう。)は、前記成分A〜成分Cを含有し、必要に応じて、(成分D)増感剤、(成分E)架橋剤、(成分F)密着改良剤、(成分G)塩基性化合物、(成分H)界面活性剤等を含有する。以下、各成分について説明する。
【0014】
(成分A)
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分A)少なくとも(a1)酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位、(a2)架橋基を有する構成単位、(a3)カルボキシ基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位、を含有する共重合体を含有する。成分Aはアルカリ不溶性であり、かつ、酸分解性基が分解したときにアルカリ可溶性となる樹脂であることが好ましい。ここで、「酸分解性基」とは酸の存在下で分解可能な官能基を意味する。また、「アルカリ可溶性」とは、化合物(樹脂)の溶液を基板上に塗布し、90℃で2分間加熱して形成した塗膜(厚さ3μm)の、23℃における0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、0.01μm/秒以上であることをいう。一方、「アルカリ不溶性」とは、溶解速度が0.01μm/秒未満であることをいう。成分Aのアルカリ溶解速度は0.005μm/秒未満であることがより好ましい。
【0015】
成分Aは、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位を含む重合体であることがより好ましい。「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸、及び/又は、メタクリル酸」と同義である。なお、成分Aは、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンやビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
成分Aは、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来するモノマー単位を、全モノマー単位に対し、50モル%以上含有することが好ましく、90モル%以上含有することがより好ましく、100モル%含有する重合体であることが特に好ましい。
【0016】
また、成分Aが含有する構成単位を導入する方法は、重合法でもよく、高分子反応法でもよく、これらの2方法を併用してもよい。
重合法では、例えば、酸基が酸分解性基で保護された残基を有するエチレン性不飽和化合物、及び、架橋基を有するエチレン性不飽和化合物、カルボキシ基及び/又はフェノール性水酸基を有するエチレン性不飽和化合物等を混合して付加重合して、目的とする共重合体を得ることができる。
高分子反応法では、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを共重合した共重合体にエピクロロヒドリンを反応させてエポキシ基を導入することが例示できる。このように、反応性基を有するエチレン性不飽和化合物を共重合した後に、側鎖に残る反応性基を活用して、高分子反応によって、フェノール性水酸基若しくはカルボキシ基が酸分解性基で保護された残基、及び/又は、架橋基のような官能基を側鎖に導入することができる。
【0017】
(構成単位(a1))
成分Aは、(a1)酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位を含有する。成分Aが構成単位(a1)を有することにより、極めて高感度な感光性樹脂組成物とすることができる。酸基としては、カルボキシ基、及び、フェノール性水酸基が挙げられる。
【0018】
(a1−1)カルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位
(a1−1)カルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位(以下、「構成単位(a1−1)」ともいう。)としては、後述の(a1−1−1)、(a1−1−2)に記載の構成単位に含まれるカルボキシ基が酸分解性基によって保護された残基を有する構成単位であることが好ましい。
【0019】
(a1−1−1)カルボキシ基を有する構成単位
カルボキシ基を有する構成単位としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、けい皮酸などが挙げられる。また、不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物であってもよく、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、多価カルボン酸のモノ(2−(メタ)アクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)などが挙げられる。さらに、不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等も用いることができる。中でも、現像性の観点から、カルボキシ基を有する構成単位を形成するためには、(メタ)アクリル酸又は不飽和多価カルボン酸の無水物等を用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸を用いることがより好ましい。
カルボキシ基を有する構成単位(a1−1−1)は、1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。
【0020】
(a1−1−2)エチレン性不飽和基と酸無水物残基とを共に有する構成単位
エチレン性不飽和基と酸無水物残基とを共に有する構成単位(a1−1−2)は、エチレン性不飽和基を有する化合物中に存在する水酸基と、酸無水物と、を反応させて得られたモノマーに由来する構成単位であることが好ましい。なお、以下の説明において、酸無水物残基とは、水酸基と酸無水物とが反応することによって生成した残基の意であり、例えば、エステル結合及びカルボキシ基を有する残基である。
酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水コハク酸、が好ましい。
酸無水物の水酸基に対する反応率は、現像性の観点から、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。
【0021】
(a1−1)カルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位
カルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位とは、好ましくは前記(a1−1−1)、前記(a1−1−2)に記載の構成単位に含まれるカルボキシ基が酸分解性基によって保護された残基を有する構成単位である。
酸分解性基としては、KrF用ポジ型レジスト、ArF用ポジ型レジストにおける酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。酸分解性基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基等のアセタール系官能基)や、酸により比較的分解し難い基(例えば、t−ブチルエステル基、t−ブチルカーボネート基等のt−ブチル系官能基)が知られている。構成単位(a1−1)としては、カルボキシ基がアセタールで保護された残基、又は、カルボキシ基がケタールで保護された残基を有する構成単位が、感度やパターン形状、コンタクトホールの形成性の観点から好ましい。
【0022】
さらに酸分解性基の中でもカルボキシ基が式(A1)で表されるアセタール又はケタールで保護された残基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、カルボキシ基が式(A1)で表されるアセタール又はケタールで保護された残基である場合、残基の全体としては、−C(=O)−O−CR12(OR3)の構造となっている。
【0023】
【化3】

(式(A1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、少なくともR1及びR2のいずれか一方がアルキル基、又は、アリール基であり、R3は、アルキル基、又は、アリール基を表し、R1又はR2とR3とが連結して環状エーテルを形成してもよい。式(A1)における波線部分は、他の構造との結合位置を表す。))
【0024】
式(A1)中、R1、R2及びR3における、該アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることがさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることがさらに好ましい。環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。中でも、単環状のものが好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
前記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R1、R2、R3はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R1、R2、R3はアラルキル基となる。アラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
【0025】
式(A1)中、R1、R2及びR3における該アリール基としては、炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示でき、フェニル基が好ましい。
【0026】
また、式(A1)中、R1、R2及びR3は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができる。R1とR2、R1とR3又はR2とR3が結合した場合の環構造としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基及びテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
【0027】
なお、式(A1)において、R1及びR2のいずれか一方が、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
式(A1)で表される残基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、例えば特開2009−098616号公報の段落0025〜0026に記載の方法等、公知の方法で合成したものを用いてもよい。
【0028】
カルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位(a1−1)としては、式(A2)で表される構成単位がより好ましい。
【0029】
【化4】

(式(A2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR1及びR2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R3は、アルキル基又はアリール基を表し、R1又はR2とR3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R4は、水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。)
【0030】
式(A2)中、R1〜R3は、式(A1)におけるR1〜R3と同様であり、好ましい範囲も同様である。
式(A2)中、R1及びR2は、水素原子、又は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、又は、メチル基がより好ましい。R3は、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の炭素数6以下のアルキル基、又は、炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基がより好ましい。R1又はR2とR3とが連結した環状エー
テルとしては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基が好ましい。R4は、メチル基が好ましい。Xは単結合又はフェニレン基が好ましい。
【0031】
構成単位(a1−1)の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【0032】
【化5】

【0033】
構成単位(a1−1)としては、カルボキシ基が式(A3)で表される第3級アルキル基で保護された残基を有する構成単位であってもよい。アセタール又はケタールで保護された残基に比べると、感度は劣るが、保存安定性に優れるという点で好ましい。なお、カルボキシ基が式(A3)で表される第3級アルキル基で保護された残基である場合、残基の全体としては、−C(=O)−O−CR123の構造である。
【0034】
【化6】

【0035】
式(A3)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表し、R1、R2及びR3のいずれか2つが互いに結合して環を形成していてもよい。式(A3)における波線部分は、他の構造との結合位置を表す。式(A3)のR1〜R3における、アルキル基、アリール基の具体例は、式(A1)におけるアルキル基、アリール基の具体例と同様である。
式(A3)において、好ましい例としては、R1=R2=R3=メチル基の組み合わせや、R1=R2=メチル基でR3=ベンジル基の組み合わせが例示できる。
【0036】
(a1−2)フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位
(a1−2)フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位としては、(a1−2−1)フェノール性水酸基を有する構成単位のフェノール性水酸基が、酸分解性基によって保護された残基を有する構成単位が好ましい。
【0037】
(a1−2−1)フェノール性水酸基を有する構成単位
フェノール性水酸基を有する構成単位としては、ヒドロキシスチレン系構成単位やノボラック系の樹脂における構成単位が挙げられるが、これらの中ではα−メチルヒドロキシスチレンに由来する構成単位が透明性の観点から好ましい。フェノール性水酸基を有する構成単位の中でも、式(A4)で表される構成単位が透明性、感度の観点から好ましい。
【0038】
【化7】

(式(A4)中、R20は水素原子又はメチル基を表し、R21は単結合又は二価の連結基を表し、R22はそれぞれ独立にハロゲン原子又はアルキル基を表し、aは1〜5の整数を表し、bは0〜4の整数を表し、a+bは5以下である。)
【0039】
20はメチル基であることが好ましい。
21の二価の連結基としては炭素原子が主鎖に結合するエステル結合(−COO−)、アルキレン基が例示できる。アルキレン基としては、直鎖又は分岐を有する炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。−COO−である場合には、感度を向上させることができ、さらに硬化膜の透明性を向上させることができるので好ましい。中でも、R21が単結合、エステル結合であることが好ましい。また、前記二価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0040】
また、aは1〜5の整数を表すが、製造が容易であるという点から、aは1又は2であることが好ましく、aが1であることがより好ましい。
また、ベンゼン環における水酸基の結合位置は、R21と結合している炭素原子を基準(1位)としたとき、4位に結合していることが好ましい。
22はフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子又は炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。中でも製造が容易であることから、塩素原子、臭素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0041】
(a1−2)フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位
フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位は、(a1−2−1)フェノール性水酸基を有する構成単位のフェノール性水酸基が、酸分解性基によって保護された残基を有する構成単位である。
酸分解性基としては、前述したように、公知のものを使用でき、特に限定されない。
フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基中でもフェノール性水酸基がアセタール又はケタールで保護された残基を有する構成単位であることが、レジストの基本物性、特に感度やパターン形状、感光性樹脂組成物の保存安定性、コンタクトホールの形成性の観点から好ましい。さらに、フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基の中でもフェノール性水酸基が式(A1)で表されるアセタール又はケタールで保護された残基であることが、感度の観点からより好ましい。この場合、残基の全体としては、−Ar−O−CR12(OR3)の構造となっている。なお、Arはアリーレン基を表す。
フェノール性水酸基のアセタールエステル構造の好ましい例としては、R1=R2=R3=メチル基やR1=R2=メチル基でR3=ベンジル基の組み合わせが例示できる。
【0042】
また、フェノール性水酸基がアセタール又はケタールで保護された残基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシスチレンの1−アルコキシアルキル保護体、ヒドロキシスチレンのテトラヒドロピラニル保護体、α−メチルヒドロキシスチレンの1−アルコキシアルキル保護体、α−メチル−ヒドロキシスチレンのテトラヒドロピラニル保護体、4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの1−アルコキシアルキル保護体、4−ヒドロキシフェニルメタクリレートのテトラヒドロピラニル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(1−メタクリロイルオキシメチル)エステルの1−アルコキシアルキル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(1−メタクリロイルオキシメチル)エステルのテトラヒドロピラニル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(2−メタクリロイルオキシエチル)エステルの1−アルコキシアルキル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(2−メタクリロイルオキシエチル)エステルのテトラヒドロピラニル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステルの1−アルコキシアルキル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステルのテトラヒドロピラニル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エステルの1−アルコキシアルキル保護体、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エステルのテトラヒドロピラニル保護体などが挙げられる。これらの中で、α−メチル−ヒドロキシスチレンの1−アルコキシアルキル保護体が好ましい。
【0043】
フェノール性水酸基のアセタール保護基及びケタール保護基の具体例としては、1−アルコキシアルキル基が挙げられ、例えば、1−エトキシエチル基、1−メトキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチル基、1−ベンジルオキシエチル基などを挙げることができ、中でも1−エトキシエチル基が好ましい。これらは単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
構成単位(a1−2)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、フェノール性水酸基を有する化合物を酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させることにより合成することができる。上記の合成はフェノール性水酸基を有するモノマーをその他のモノマーと予め共重合させておき、その後に酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させてもよい。
【0045】
構成単位(a1−2)の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【0046】
【化8】

【0047】
カルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位は、フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位に比べると、現像が速い。よって、速く現像したい場合にはカルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位が好ましい。逆に現像を遅くしたい場合にはフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位を用いることが好ましい。
【0048】
成分Aを構成するモノマー単位中、構成単位(a1)に由来するモノマー単位の含有率は、感度の観点から、成分Aの共重合体の全モノマー単位中、20〜60モル%が好ましく、30〜50モル%がより好ましい。
【0049】
(構成単位(a2))
成分Aは、(a2)架橋基を有する構成単位を含有する。前記架橋基としては、加熱処理で、架橋反応を起こす基が好ましい。好ましい架橋基を有する構成単位の態様としては、3員環及び/又は4員環の環状エーテル残基、並びに、エチレン性不飽和基よりなる群から選ばれた少なくとも1つを含む構成単位が挙げられる。
【0050】
(a2−1)3員環及び/又は4員環の環状エーテル残基を有する構成単位
前記3員環の環状エーテル残基はエポキシ基とも呼ばれ、4員環の環状エーテル残基はオキセタニル基とも呼ばれる。これらの環状エーテル残基は、加熱処理で、カルボキシ基又はフェノール性水酸基と反応して共有結合を形成して架橋反応を起こす。前記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(a2−1)としては、脂環エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位であることが好ましく、オキセタニル基を有する構成単位であることがより好ましい。
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位は、1つの構成単位中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有していればよく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1〜3つ有することが好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有することがより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有することがさらに好ましい。
【0051】
エポキシ基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、特許第4168443号公報の段落0031〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物などが挙げられる。
オキセタニル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
本発明においては、構成単位(a2)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル構造を含有する単量体であることが好ましい。
【0052】
これらのモノマーの中で、さらに好ましいものとしては、特許第4168443号公報の段落0034〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物及び特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、特に好ましいものとしては特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。これらの中でも好ましいものは、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルであり、最も好ましいものは(メタ)アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルである。これらの構成単位は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0053】
構成単位(a2−1)が、式(A5)で表される構造から水素原子を1つ除いた残基及び式(A6)に示す残基よりなる群から選択された残基を有することが好ましい。
【0054】
【化9】

(式(A6)中、R1b及びR6bはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、R2b、R3b、R4b、R5b、R7b、R8b、R9b及びR10bはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アリール基を表す。式(A6)における波線部分は、他の構造との結合位置を表す。)
【0055】
式(A6)中、R1b及びR6bはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。
2b、R3b、R4b、R5b、R7b、R8b、R9b及びR10bはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アリール基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子及び塩素原子がより好ましく、フッ素原子がさらに好ましい。
アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜8であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることがさらに好ましい。環状アルキル基としては、炭素数3〜10であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数5〜7であることがさらに好ましい。なお、直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基は、環状アルキル基で置換されていてもよく、環状アルキル基は直鎖状及び/又は分岐鎖状アルキル基で置換されていてもよい。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリール基であることがさらに好ましい。
前記アルキル基、アリール基は、さらに置換基を有していてもよく、アルキル基の有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基が例示でき、アリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基が例示できる。
これらの中でも、R2b、R3b、R4b、R5b、R7b、R8b、R9b及びR10bはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又は、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
式(A6)で表される残基としては、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル基が好ましく例示できる。
【0056】
構成単位(a2−1)の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは水素原子又はメチル基を表す。
【0057】
【化10】

【0058】
本発明においては透過率(透明性)の観点から、オキセタニル基が好ましい。また、電気特性の観点からは脂環エポキシ基が好ましい。
【0059】
(a2−3)エチレン性不飽和基を有する構成単位
構成単位(a2)の1つとして、エチレン性不飽和基を有する構成単位(a2−3)が挙げられる。構成単位(a2−3)としては、例えば特開2008−256974号公報の段落0010〜0040に記載の構成単位を本発明においても使用できる。構成単位(a2−3)としては、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位が好ましく、末端にエチレン性不飽和基を有し、炭素数3〜16の側鎖を有する構成単位がより好ましく、式(A7)で表される側鎖を有する構成単位がさらに好ましい。
【0060】
【化11】

(式(A7)中、R1は炭素数1〜13の二価の連結基を表し、R3は水素原子又はメチル基を表す。式(A7)における波線部分は、主鎖との結合位置を表す。)
【0061】
1は、炭素数1〜13の二価の連結基であって、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリーレン基又はこれらを組み合わせた基を含み、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合等の結合を含んでいてもよい。また、二価の連結基は、任意の位置にヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有していてもよい。R1の具体例としては、特開2008−256974号公報の段落0016〜0017に記載の連結基が挙げられる。
また、前記式(A7)で表される側鎖に含まれるエチレン性不飽和基は、成分A150〜2,000gに対して1モル含まれることが好ましく、200〜1,300gに対して1モル含まれることがより好ましい。
本発明において、構成単位(a2−3)は、式(A8)で表される構成単位であることが好ましい。
【0062】
【化12】

(式(A8)中、R1は、炭素数1〜13の二価の連結基を表し、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。)
式(A8)におけるR1は、式(A7)におけるR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0063】
式(A7)で表される側鎖を有する構成単位(a2−3)を得る方法は、特に限定されないが、例えば、あらかじめラジカル重合等の重合方法によって、特定官能基を有する重合体を生成し、その特定官能基と反応する基及び末端にエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、特定化合物と称する。)とを反応させることによって構成単位(a2−3)を有する共重合体とすることができる。特定官能基、特定官能基を有する重合体、及び、特定化合物の具体例は、特開2008−256974号公報の段落0019〜0031に記載されており、本発明においても用いることができる。
【0064】
また、本発明においては、特定官能基を有する重合体を得る際に、前述の特定官能基を有するモノマーと構成単位(a1)となるモノマー、さらに、後述の構成単位(a3)となるモノマーを併用する。
本発明に用いる特定官能基を有する重合体を得る方法、及び、特定官能基を有する重合体と特定化合物とを反応させて、構成単位(a2−3)を得る方法としては、限定されないが、例えば特開2008−256974号公報の段落0038〜0040を参照することができる。
【0065】
成分Aを構成する全モノマー単位中、構成単位(a2)に由来するモノマー単位の含有量は、形成された膜のITOスパッタ適性等の各種耐性と透明性の観点から、20〜45モル%が好ましく、20〜40モル%がより好ましい。
【0066】
(構成単位(a3))
成分Aは、成分Aがアルカリ可溶性にならない範囲で(a3)カルボキシ基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位を含有する。カルボキシ基には、カルボン酸無水物残基も含む。
カルボキシ基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸が好ましい。また、カルボン酸無水物残基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が好ましい。フェノール性水酸基を有する構成単位を形成するラジカル重合性単量体としては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類、特開2008−40183号公報の段落0011〜0016に記載の化合物、特許第2888454号公報の段落0007〜0010に記載の4−ヒドロキシ安息香酸誘導体類、4−ヒドロキシ安息香酸とメタクリル酸グリシジルとの付加反応物、4−ヒドロキシ安息香酸とアクリル酸グリシジルとの付加反応物等が好ましい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシスチレン類がより好ましい。これらの構成単位は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
構成単位(a3)の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは、水素原子、又は、メチル基を表す。
【0068】
【化13】

【0069】
優れた感度、現像性が得られることから、前記成分Aを構成する全モノマー単位中、構成単位(a3)に由来するモノマー単位の含有率は、1〜20モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
【0070】
(その他の構成単位)
成分Aは、本発明の効果を妨げない範囲で、前記構成単位(a1)〜(a3)以外のその他の構成単位を含有してもよい。その他の構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2004−264623号公報の段落0021〜0024に記載の化合物を挙げることができる(ただし、前記(a1)〜(a3)の構成単位を形成する化合物を除く。)。
これらの中でも、電気特性向上の観点で(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような脂環構造含有の(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。透明性の観点で(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。感度の観点で(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アルキル末端ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルがより好ましい。その他の構成単位は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。成分Aを構成する全構成単位中、その他の構成単位の含有率は、0〜30モル%が好ましく、5〜25モル%がより好ましい。
【0071】
成分Aの重量平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがより好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量である。
【0072】
また、前記成分Aの共重合体の合成法についても、様々な方法が知られているが、一例を挙げると、少なくとも構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成する方法が挙げられる。
【0073】
以下、本発明で用いられる成分Aとして、好ましいものを例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸tert−ブチル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/メタクリル酸共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸メチル共重合体
メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル共重合体
メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
アクリル酸1−エトキシエチル/アクリル酸/アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/アクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/スチレン共重合体
メタクリル酸1−エトキシエチル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル/メタクリル酸/メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体
成分Aは、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0074】
本発明の感光性樹脂組成物中の成分Aの含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、20〜99重量%であることが好ましく、40〜97重量%であることがより好ましく、60〜95重量%であることがさらに好ましい。含有量がこの範囲であると、現像した際のパターン形成性が良好となる。なお、感光性樹脂組成物の固形分量とは、溶剤などの揮発性成分を除いた量を表す。
なお、本発明の感光性樹脂組成物中では、本発明の効果を妨げない範囲で成分A以外の樹脂を併用してもよい。ただし、成分A以外の樹脂の含有量は、現像性の観点から成分Aの含有量より少ない方が好ましい。
【0075】
(成分B)光酸発生剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分B)光酸発生剤を含有する。本発明で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造に制限されるものではない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本発明で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましい。
光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、絶縁性の観点から、オキシムスルホネート化合物を用いることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート残基を有する化合物としては、式(B1)のオキシムスルホネート残基を有する化合物が好ましく例示できる。
【0076】
【化14】

【0077】
式(B1)中、R5は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子を表す。式(B1)における波線部分は、他の構造との結合位置を表す。
5のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R5のアルキル基は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)で置換されてもよい。
5のアルコキシ基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。該アルコキシ基は、アルキル基と同じく置換されてもよい。
5のアリール基としては、炭素数6〜11のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R5のアリール基は、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子で置換されてもよい。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート残基を含有する化合物は、式(B2)で表されるオキシムスルホネート化合物であることがより好ましい。
【0078】
【化15】

(式(B2)中、R5は、式(B1)におけるR5と同義であり、Xは、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、mは、0〜3の整数を表し、mが2又は3であるとき、複数のXは同一でも異なっていてもよい。)
【0079】
Xにおけるアルキル基は、炭素数1〜4の、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が好ましい。アルコキシ基は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子は、塩素原子又はフッ素原子が好ましい。
mは、0又は1が好ましい。
式(B2)中、mが1であり、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルト位であり、R5が炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニルメチル基、又は、p−トルイル基である化合物が特に好ましい。
【0080】
式(B1)で表されるオキシムスルホネート残基を含有する化合物は、式(B3)で表されるオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
【0081】
【化16】

(式(B3)中、R5は式(B1)におけるR5と同義であり、X’は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又はニトロ基を表し、lは0〜5の整数を表す。)
【0082】
式(B3)におけるR5としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル
基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、p−トリル基、4−クロロフェニル基又はペンタフルオロフェニル基が好ましく、n−オクチル基が特に好ましい。
X’としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
lとしては、0〜2の整数が好ましく、0又は1が特に好ましい。
式(B3)で表される化合物の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−〔(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル等を挙げることができる。
【0083】
中でも、好ましいオキシムスルホネート化合物の具体例としては、(i)〜(vi)が挙げられ、1種単独で使用したり、又は、2種類以上を併用することができる。化合物(i)〜(vi)は、市販品として、入手することができる。また、他の種類の光酸発生剤と組み合わせて使用することもできる。
【0084】
【化17】

【0085】
前記式(B1)で表されるオキシムスルホネート残基を含有する化合物としては、式(OS−1)で表される化合物であることも好ましい。
【0086】
【化18】

【0087】
前記式(OS−1)中、R1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、アリール基、又は、ヘテロアリール基を表す。R2は、アルキル基、又は、アリール基を表す。
前記式(OS−1)中、Xは−O−、−S−、−NH−、−NR5−、−CH2−、−CR6H−、又は、−CR67−を表し、R5〜R7はアルキル基、又は、アリール基を表す。
前記式(OS−1)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基、又は、アリール基を表す。R21〜R24のうち2つは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
21〜R24としては、水素原子、ハロゲン原子、及び、アルキル基が好ましく、また、R21〜R24のうち少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様もまた、好ましく挙げられる。中でも、R21〜R24がいずれも水素原子である態様が感度の観点から好ましい。
既述の官能基は、いずれも、更に置換基を有していてもよい。
【0088】
前記式(OS−1)で表される化合物は、下記式(OS−2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0089】
【化19】

【0090】
前記式(OS−2)中、R1、R2、R21〜R24は、それぞれ式(OS−1)におけるのと同義であり、好ましい例もまた同様である。
これらの中でも、式(OS−1)及び式(OS−2)におけるR1がシアノ基、又は、アリール基である態様がより好ましく、式(OS−2)で表され、R1がシアノ基、フェニル基又はナフチル基である態様が最も好ましい。
【0091】
また、前記オキシムスルホネート化合物において、オキシムやベンゾチアゾール環の立体構造(E,Z等)についてはそれぞれ、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
【0092】
以下に、本発明に好適に用いうる式(OS−1)で表される化合物の具体例(例示化合物b−1〜b−34)を示すが、本発明はこれに限定されない。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Bnはベンジル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【0093】
【化20】

【0094】
【化21】

【0095】
【化22】

【0096】
【化23】

【0097】
上記化合物の中でも、感度と安定性との両立の観点から、b−9、b−16、b−31、b−33が好ましい。
【0098】
前記式(B1)で表されるオキシムスルホネート残基を含有する化合物としては、式(OS−3)、式(OS−4)又は式(OS−5)で表されるオキシムスルホネート化合物であることがより好ましい。
【0099】
【化24】

(式(OS−3)〜式(OS−5)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO又はSを表し、nは1又は2を表し、mは0〜6の整数を表す。)
【0100】
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1におけるアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
1におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0101】
1におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0102】
また、前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
1におけるアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0103】
1におけるアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
【0104】
また、前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1におけるヘテロアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数4〜30のヘテロアリール基が好ましい。
1におけるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、スルホン酸基、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基が挙げられる。
【0105】
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1におけるヘテロアリール基は、少なくとも1つの環が複素芳香環であればよく、例えば、複素芳香環とベンゼン環とが縮環していてもよい。
1におけるヘテロアリール基としては、置換基を有していてもよい、チオフェン環、ピロール環、チアゾール環、イミダゾール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、及び、ベンゾイミダゾール環よりなる群から選ばれた環から1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
【0106】
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R2は、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、化合物中に2以上存在するR2のうち、1つ又は2つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基又はハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R2におけるアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。
2におけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、前記R1におけるアルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基と同様の基が例示できる。
【0107】
2におけるアルキル基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、置換基を有してもよい総炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基、アリル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、メトキシメチル基、ベンジル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ヘキシル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0108】
2におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
2におけるアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
2におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらの中でも、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0109】
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、XはO又はSを表し、Oであることが好ましい。
式(OS−3)〜(OS−5)において、Xを環員として含む環は、5員環又は6員環である。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、nは1又は2を表し、XがOである場合、nは1であることが好ましく、また、XがSである場合、nは2であることが好ましい。
【0110】
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R6におけるアルキル基及びアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R6におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
6におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0111】
6におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、ベンジル基が好ましい。
【0112】
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R6におけるアルキルオキシ基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキルオキシ基であることが好ましい。
6におけるアルキルオキシ基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
【0113】
6におけるアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、又は、エトキシエチルオキシ基が好ましい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R6におけるアミノスルホニル基としては、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、メチルフェニルアミノスルホニル基、アミノスルホニル基が挙げられる。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R6におけるアルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロピルオキシスルホニル基、ブチルオキシスルホニル基が挙げられる。
【0114】
また、前記式(OS−3)〜(OS−5)中、mは0〜6の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
【0115】
また、前記式(4)で表されるオキシムスルホネート残基を含有する化合物は、下記式(OS−6)〜(OS−11)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが特に好ましい。
【0116】
【化25】

(式(OS−6)〜(OS−11)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R7は、水素原子又は臭素原子を表し、R8は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、R10は水素原子又はメチル基を表す。)
【0117】
式(OS−6)〜(OS−11)におけるR1は、前記式(OS−3)〜(OS−5)におけるR1と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(OS−6)におけるR7は、水素原子又は臭素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
式(OS−6)〜(OS−11)におけるR8は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基又はクロロフェニル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(OS−8)及び式(OS−9)におけるR9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基を表し、水素原子であることが好ましい。
式(OS−8)〜(OS−11)におけるR10は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
また、前記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
【0118】
前記式(OS−3)〜式(OS−5)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、下記例示化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0119】
【化26】

【0120】
【化27】

【0121】
【化28】

【0122】
【化29】

【0123】
【化30】

【0124】
【化31】

【0125】
【化32】

【0126】
本発明の感光性樹脂組成物において、光酸発生剤は、感度と透明性の観点から、成分A100重量部に対して、0.1〜10重量部使用することが好ましく、0.5〜10重量部使用することがより好ましい。
【0127】
(成分C)溶剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分C)溶剤を含有する。本発明の感光性樹脂組成物は、必須成分である成分A及び成分Bと、後述の任意成分とを、溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に使用される(成分C)溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。これらの溶剤の具体例としては、特開2009−098616号公報の段落0062を参照できる。本発明に用いることができる溶剤は、1種単独、又は、2種以上を併用してもよく、2種を併用することが好ましく、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類と他の溶剤とを併用することがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジエチレングリコールエチルメチルエーテルとの併用がさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における溶剤の含有量は、スリットコートに適した粘度に調整するという観点から、成分A100重量部あたり、50〜3,000重量部であることが好ましく、100〜2,000重量部であることがより好ましく、150〜1,500重量部であることがさらに好ましい。
【0128】
なお、感光性樹脂組成物の粘度は、1〜50mPa・sが好ましく、1〜30mPa・sがより好ましく、1〜20mPa・sがさらに好ましい。粘度は、例えば東機産業(株)製のRE−80L型回転粘度計を用いて、25±0.2℃で測定する。測定時の回転速度は、5mPa・s未満は100rpm、5mPa・s以上10mPa・s未満は50rpm、10mPa・s以上30mPa・s未満は20rpm、30mPa・s以上は10rpmで、それぞれ行う。
【0129】
(任意成分)
本発明の感光性樹脂組成物には、成分A〜成分Cの他に、必要に応じて、任意成分として、以下に述べる添加剤を加えることができる。
【0130】
(成分D)増感剤
本発明において、上記光酸発生剤の分解を促進させるために(成分D)増感剤を添加することが好ましい。増感剤は、活性光線又は放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350〜450nmの波長域のいずれかに吸収波長を有する化合物を挙げることができる。
増感剤の具体例としては、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、3,7−ジメトキシアントラセン、9,10−ジプロピルオキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、キサントン類(例えば、キサントン、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、ローダシアニン類、オキソノール類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アクリドン類(例えば、アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、スチリル類、ベーススチリル類、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ4−メチルクマリン)が挙げられ、特に多核芳香族類、アクリドン類、クマリン類、ベーススチリル類が好ましく、多核芳香族類、アクリドン類がより好ましく、アントラセン誘導体、10−ブチル−2−クロロアクリドンがさらに好ましい。
増感剤の添加量は、感度、透明性の両立の観点から、光酸発生剤100重量部に対して、20〜300重量部が好ましく、30〜200重量部が特に好ましい。
【0131】
(成分E)架橋剤
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じ、(成分E)架橋剤を添加する。架橋剤としては、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有架橋剤、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。架橋剤を添加することにより、硬化膜をより強固な膜とすることができる。
【0132】
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。具体例としては、特開2009−258723号公報の段落0042に記載の化合物の他、JER−157S65(多官能ノボラック型エポキシ樹脂)が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、フェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)が挙げられる。また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することができる。
【0133】
アルコキシメチル基含有架橋剤としては、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリル及びアルコキシメチル化尿素等が好ましい。これらは、それぞれメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化グリコールウリル、又は、メチロール化尿素のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、アウトガスの発生量の観点から、特にメトキシメチル基が好ましい。
【0134】
少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物を好適に用いることができる。単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレートなどが挙げられる。2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレートなどが挙げられる。3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0135】
少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物を加える場合には、熱ラジカル発生剤を添加することが好ましい。本発明においては、成分Eとしては、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物が好ましい。熱ラジカル発生剤としては、公知の熱ラジカル発生剤が使用でき、例えば、特開2009−218509の段落0037に記載されている。
優れた硬化膜の耐熱性、耐溶剤性及び硬度が得られるという観点から、成分Eの添加量は、成分A100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、3〜30重量部がより好ましく、5〜20重量部がさらに好ましい。
【0136】
(成分F)密着改良剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分F)密着改良剤を含有してもよい。密着改良剤は、基材となる無機物、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、アルミニウム等の金属と絶縁膜としての硬化膜との密着性を向上させる化合物である。具体的には、シランカップリング剤、チオール系化合物等が挙げられる。密着改良剤としてのシランカップリング剤は、界面の改質を目的とするものであり、特に限定することなく、公知のものを使用することができる。
シランカップリング剤としては、特開2009−98616号公報の段落0048に記載のシランカップリング剤が好ましく、中でもγ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランがさらに好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を併用できる。これらは基板との密着性の向上、及び、基板とのテーパー角の調整にも有効である。
本発明の感光性樹脂組成物における密着改良剤の含有量は、成分A100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
【0137】
(成分G)塩基性化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分G)塩基性化合物を含有してもよい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、特開2009−098616号公報の段落0051〜0056に記載の脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられ、中でも、複素環式アミンが好ましく、ピリジン環を有する複素環式アミン、ビシクロ環を有する複素環式アミンがより好ましく、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンがさらに好ましい。
塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用することが好ましく、2種を併用することがより好ましく、複素環式アミンを2種併用することがさらに好ましい。感度安定性の観点から、塩基性化合物の含有量は、成分A100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好ましく、0.005〜0.2重量部であることがより好ましい。
【0138】
(成分H)界面活性剤
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分H)界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。具体的には、特開2009−098616号公報の段落0058に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、中でもフッ素系界面活性剤が好ましい。これら界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0139】
また、界面活性剤として、下記式(1)で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
【0140】
【化33】

(式(1)中、R1及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R4は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す重量百分率であり、pは10重量%以上80重量%以下の数値を表し、qは20重量%以上90重量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、nは1以上10以下の整数を表す。)
【0141】
前記Lは、下記式(2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(2)におけるR5は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100重量%であることが好ましい。
【0142】
【化34】

【0143】
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
【0144】
スリット塗布適性の観点から、本発明の感光性樹脂組成物における界面活性剤の添加量は、成分A100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.01〜10重量部がより好ましく、0.01〜1重量部がさらに好ましい。
【0145】
(その他の成分)
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、酸増殖剤、現像促進剤、酸化防止剤等のその他の成分を添加することができる。これらの成分については、例えば特開2009−098616号公報、特開2009−244801号公報に記載のもの、その他公知のものを用いることができる。また、“高分子添加剤の新展開((株)日刊工業新聞社)”に記載の各種紫外線吸収剤や、金属不活性化剤等を本発明の感光性樹脂組成物に添加してもよい。
【0146】
(感光性樹脂組成物の調製方法)
成分A〜成分Cの必須成分、及び、必要に応じて任意成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性樹脂組成物を調製する。例えば、成分A又は成分Bを、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、これらを所定の割合で混合して感光性樹脂組成物を調製することもできる。以上のように調製した感光性樹脂組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
【0147】
II.硬化膜の製造方法
本発明の硬化膜の製造方法は、(1)前記感光性樹脂組成物を10℃以下の温度にする低温処理工程、(2)前記感光性樹脂組成物を基板上にスリットコートする塗布工程、(3)塗布された前記感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、(4)溶剤を除去した前記感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、(5)室温で45秒以上経過させる工程、(6)水性現像液により現像する現像工程、及び、(7)熱硬化するポストベーク工程をこの順番で含むことを特徴とする。以下に各工程を順に説明する。
【0148】
(1)前記感光性樹脂組成物を10℃以下の温度にする低温処理工程
本発明では、前記感光性樹脂組成物を塗布する前に10℃以下の温度にする低温処理工程を行う。処理の温度は10℃以下であれば特に制限はないが、ホール形成性、ITOスパッタ適性の観点から、−50〜0℃が好ましく、−30〜−10℃がより好ましい。
処理の時間に特に制限はないが、20分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、40分以上が最も好ましい。この範囲とすることでより性能を向上させることができる。なお、処理時間の上限は特にないが、組成物の経年劣化防止の観点から、365日以下が好ましく、180日以下がより好ましい。
【0149】
(2)前記感光性樹脂組成物を基板上にスリットコートする塗布工程
(2)の塗布工程では、本発明の感光性樹脂組成物を基板上にスリットコート(スリット塗布)して溶剤を含む湿潤膜を形成する。
前記基板としては、例えば液晶表示素子の製造においては、偏光板、さらに必要に応じてブラックマトリックス層、カラーフィルター層を設け、さらに透明導電回路層を設けたガラス板などが例示できる。スリット塗布法は大型基板に適するという観点で好ましい。ここで大型基板とは、1m×1m角以上5m×5m角以下の基板を指す。
【0150】
従来の小型基板においては、スピンコータが用いられてきた。基板が大型になるに従って、基板を回転させることが困難になり、スピンレスコータが用いられるようになった。特に第6世代基板(概ね1,500×1,800mm)よりも大きい基板では、スピンコータで基板を回転させることが不可能といわれている。また、スリットコータには、省液(スリット&スピンコータの約1/3)、タクトタイム短縮、フリンジ(基板端部の厚塗り領域)や裏面への回り込みがないためEBR(エッジ・バック・リンス)処理が必要なくなる、といった利点がある。従来のスピンコータの場合は、基板に対して水平方向の力が液に働く。一方、スリットコータの場合は、液を基板に乗せるだけで基板上の液に対しては何の外力も働かない。このような液(感光性組成物)に対する履歴の差のために、性能の差が生じるものと推定される。本発明においては、市販のスリットコータを用いることができる。
【0151】
(3)塗布された前記感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
(3)の溶剤除去工程では、塗布された上記の膜から、減圧(バキューム)及び/又は加熱により、溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させる。本発明においては、加熱により、溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させることが好ましい。
溶剤除去工程の加熱条件は、未露光部における成分A中の構成単位(a1)において酸分解性基が分解して、成分Aをアルカリ現像液に可溶性としない範囲であり、各成分の種類や配合比により異なるが、好ましくは80〜130℃で30〜120秒間程度である。
乾燥塗膜の厚みは0.1〜30μmが好ましく、1.0〜8.0μmがより好ましい。
【0152】
(4)溶剤を除去した前記感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程
(4)の露光工程では、得られた塗膜に波長300〜450nmの活性光線を照射する。この工程では、光酸発生剤が分解し、酸が発生する。発生した酸の触媒作用により、成分Aに含まれる構成単位(a1)中の酸分解性基が分解されて、酸基が生成する。
活性光線による露光には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、LED光源、ケミカルランプ、レーザ発生装置などを用いることができる。水銀灯を用いる場合にはg線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長を有する活性光線が好ましく使用できる。この場合マスクを介して露光する。水銀灯はレーザに比べると、大面積の露光に適するという点で好ましい。
レーザを用いる場合には固体(YAG)レーザでは343nm、355nmが用いられ、エキシマレーザでは351nm(XeF)が用いられ、さらに半導体レーザでは375nm、405nmが用いられる。この中でも安定性、コスト等の点から355nm、405nmがより好ましい。レーザは1回又は複数回に分けて塗膜に照射することができる。
【0153】
レーザの1パルスあたりのエネルギー密度は0.1〜10,000mJ/cm2が好ましい。塗膜を十分に硬化させるには、0.3mJ/cm2以上が好ましく、0.5mJ/cm2以上がより好ましい。アブレーション現象により塗膜を分解させないためには、1,000mJ/cm2以下が好ましく、100mJ/cm2以下がより好ましい。
また、パルス幅は0.1〜30,000nsecであることが好ましい。アブレーション現象により色塗膜を分解させないようにするには、0.5nsec以上がより好ましく、1nsec以上が最も好ましい。スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、1,000nsec以下がより好ましく、50nsec以下が最も好ましい。
さらに、レーザの周波数は1〜50,000Hzが好ましく、10〜1,000Hzがより好ましい。レーザの周波数が1Hz以上であると、露光処理時間が適当であり、50,000Hz以下であると、スキャン露光の際に合わせ精度が向上する。露光処理時間を短くするには、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、10,000Hz以下がより好ましく、1,000Hz以下が最も好ましい。
【0154】
レーザは水銀灯と比べると、焦点を絞ることが容易であり、露光工程でのパターン形成のマスクが不要、又は、小型マスクでよいためコストダウンできるという点で好ましい。本発明に使用可能な露光装置としては、特に制限はなく、市販品としては、Callisto((株)ブイ・テクノロジー製)、AEGIS((株)ブイ・テクノロジー製)、DF2200G(大日本スクリーン製造(株)製)等が挙げられる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
【0155】
酸触媒の生成した領域において、上記の分解反応を加速させるために、必要に応じて、露光後加熱処理:Post Exposure Bake(以下、「PEB」ともいう。)を行うことができる。PEBにより、酸分解性基の分解を促進させることができる。本発明においては、PEBを行わず、現像によりポジ画像を形成する態様が好ましい。なお、比較的低温でPEBを行うことにより、架橋反応を起こすことなく、酸分解性基の分解を促進することもできる。PEBを行う場合の温度は、50〜110℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。
【0156】
(5)室温で45秒以上経過させる工程
(5)の工程は、(4)露光工程と、(6)現像工程の間に、基板を概ね室温において45秒以上経過させる工程である。該工程中には、基板を動かさずに放置していても、搬送等の理由で基板を動かしても差し支えない。この経過させる時間は感度安定性の観点から45秒以上であり、60秒以上が好ましく、90秒以上がより好ましく、120秒以上が最も好ましい。上限は特にないが製造効率等の観点から10分以下が好ましく、5分以下がより好ましい。室温(温度)は、10〜45℃が好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃がさらに好ましい。この範囲とすることで感度を安定させることができる。大型基板においては、感度が不安定であると、残渣が生じるなど大きな問題となり得る。前記PEBは工程の前に行っても、後に行ってもよく、間に行ってもよい(例えば、露光後、30秒経過した後にPEBを行い、さらに40秒経過させる。)。本発明においては、工程の簡略化という観点から、(5)の工程の前後、又は、その間にPEBを設けない態様が好ましい。
【0157】
(6)水性現像液により現像する現像工程
(6)の現像工程では、酸基を有する重合体を、アルカリ性現像液を用いて現像することが好ましい。アルカリ性現像液に溶解しやすい、酸基を有する共重合体を含む露光部領域を除去することにより、ポジ画像が形成される。
現像工程では、塩基性現像液を用いることが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。また、上記塩基類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像液のpHは、好ましくは10.0〜14.0である。現像時間は好ましくは30〜180秒間であり、また、現像の手法は液盛り法、ディップ法等のいずれでもよい。現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行ってもよい。
【0158】
(7)熱硬化するポストベーク工程
(7)のポストベーク工程において、得られたポジ画像を加熱することにより、構造単位(a2)を架橋させ、耐熱性、硬度等に優れた硬化膜を形成できる。この加熱は、現像により得られた未露光領域に対応するパターンについて、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を用いて、150℃以上の高温に加熱することが好ましく、180〜250℃に加熱することがより好ましく、200〜250℃に加熱することが特に好ましい。
加熱時間は、加熱温度などにより適宜設定できるが、5〜90分の範囲内とすることが好ましい。例えばホットプレート上なら5〜60分間、オーブンならば30〜90分間、加熱処理をする。また、加熱処理を行う際は窒素雰囲気下で行うことにより透明性を向上させることもできる。
【0159】
なお、構成単位(a2)の架橋基がエポキシ基又はオキセタニル基である場合には、加熱処理に先立ち、パターンを形成した基板に活性光線、好ましくは紫外線により再露光した後、ポストベークすること(再露光/ポストベーク)により未露光部分に存在する成分Bから酸を発生させ、架橋工程を促進する触媒として機能させることが好ましい。
再露光工程における露光は、前記露光工程と同様の手段により行えばよいが、前記再露光工程では、基板の膜が形成された側に対し、全面露光を行うことが好ましい。再露光工程の好ましい露光量としては、100〜1,000mJ/cm2である。
【0160】
III.硬化膜、有機EL表示装置、液晶表示装置
本発明の硬化膜の製造方法により、絶縁性に優れ、高温でベークされた場合においても高い透明性を有する硬化膜が得られる。本発明の感光性樹脂組成物を用いてなる層間絶縁膜は、高い透明性を有し、硬化膜物性に優れるため、有機EL表示装置や液晶表示装置の用途に有用である。本発明の有機EL表示装置や液晶表示装置としては、前記本発明の硬化膜の製造方法を用いて形成される平坦化膜、保護層、層間絶縁膜としての硬化膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとる公知の各種有機EL表示装置や液晶表示装置を挙げることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物及び本発明の硬化膜は、前記用途に限定されず種々の用途に使用することができる。例えば、平坦化膜、保護層、層間絶縁膜以外にも、液晶表示装置における液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーや固体撮像素子においてカラーフィルター上に設けられるマイクロレンズ等に好適に用いることができる。
【0161】
図1は、有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT(薄膜トランジスター)1を形成し、このTFT1を覆う状態でSi34から成る絶縁膜3が形成されている。絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)が絶縁膜3上に形成されている。配線2は、TFT1間又は、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。さらに、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上に平坦化層4が形成されている。平坦化膜4上には、ボトムエミッション型の有機EL素子が形成されている。すなわち、平坦化膜4上に、ITOからなる第一電極5が、コンタクトホール7を介して配線2に接続するように形成されている。また、第一電極5は、有機EL素子の陽極に相当する。第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8が形成されており、この絶縁膜8を設けることによって、第一電極5とこの後の工程で形成する第二電極との間のショートを防止することができる。
さらに、図1には図示していないが、所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設け、次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止し、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続されてなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
【0162】
図2は、アクティブマトリックス方式の液晶表示装置10の一例を示す概念的断面図である。このカラーの液晶表示装置10は、背面にバックライトユニット12を有する液晶パネルであって、液晶パネルは、偏光フィルムが貼り付けられた2枚のガラス基板14、15の間に配置されたすべての画素に対応するTFT16の素子が配置されている。ガラス基板上に形成された各素子には、硬化膜17中に形成されたコンタクトホール18を通して、画素電極を形成するITO透明電極19が配線されている。ITO透明電極19の上には、液晶20の層とブラックマトリックスを配置したRGBカラーフィルター22が設けられている。
【実施例】
【0163】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
【0164】
1.共重合体の合成
<共重合体A−1の合成>
エチルビニルエーテル144.2部(2モル当量)にフェノチアジン0.5部を添加し、反応系中を10℃以下に冷却しながらメタクリル酸86.1部(1モル当量)を滴下後、室温(25℃)で4時間撹拌した。p−トルエンスルホン酸ピリジニウム5.0部を添加後、室温で2時間撹拌し、一夜室温放置した。反応液に炭酸水素ナトリウム5部及び硫酸ナトリウム5部を添加し、室温で1時間撹拌し、不溶物を濾過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の黄色油状物を減圧蒸留して沸点(bp.)43〜45℃/7mmHg留分のメタクリル酸1−エトキシエチル134.0部を無色油状物として得た。
得られたメタクリル酸1−エトキシエチル(66.41部(0.42モル当量))、メタクリル酸(6.89部(0.08モル当量))、グリシジルメタクリレート(GMA)(49.75部(0.35モル当量))、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(19.52部、(0.15モル等量))及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(132.5部)の混合溶液を窒素気流下、70℃に加熱した。この混合溶液を撹拌しながら、ラジカル重合開始剤V−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬工業(株)製、12.4部)及びPGMEA(100.0部)の混合溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下が終了してから、70℃で4時間反応させることにより共重合体A−1のPGMEA溶液(固形分濃度:40重量%)を得た。得られた共重合体A−1のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)は、8,000であった。
【0165】
【化35】

【0166】
<共重合体A−2〜A−16及びA’−1〜A’−3の合成>
モノマー種及びその使用量を表1に示すものに変更した以外は、共重合体A−1の合成と同様にして、共重合体A−2〜A−16及びA’−1〜A’−3をそれぞれ合成した。ラジカル重合開始剤V−65添加量は表1に記載の分子量となるように調整した。
【0167】
【表1】

【0168】
なお、表1に記載の共重合比はモル比であり、表1中の略号は以下の通りである。
MAEVE:メタクリル酸1−エトキシエチル
CHOEMA:メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル
THPMA:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート
MATHF:メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル
なお、MATHFは以下のようにして合成した。
メタクリル酸(86g、1mol)を15℃に冷却しておき、カンファースルホン酸(4.6g,0.02mol)添加した。その溶液に、2,3−ジヒドロフラン(71g、1mol、1.0当量)を滴下した。1時間撹拌した後に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、不溶物を濾過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の黄色油状物を減圧蒸留して沸点(bp.)54〜56℃/3.5mmHg留分のメタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(MATHF)125gを無色油状物として得た(収率80%)。
【0169】
【化36】

【0170】
GMA:グリシジルメタクリレート
OXE−30:メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(大阪有機化学工業(株)製)
ECHMMA:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
α−MHS:α−メチルヒドロキシスチレン
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
PME−400:メチル末端ポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME−400、日油(株)製)
DCPM:メタクリル酸ジシクロペンタニル
【0171】
2.感光性樹脂組成物の調製
(実施例1〜44、比較例1〜7、実施例101〜139、実施例201〜239、及び、実施例301〜308)
表2〜表5に示す成分を混合し、さらにC1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとC2:ジエチレングリコールエチルメチルエーテルとの1:1混合溶剤を添加して粘度3.0mPa・sとし、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いてろ過して、ポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0172】
【表2】

【0173】
【表3】

【0174】
【表4】

【0175】
【表5】

【0176】
なお、表2〜表5中の略号は以下の通りである。
【0177】
【化37】

【0178】
B5:α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド(特表2002−528451号公報の段落0108に記載の方法に従って合成した。)
B6:α−〔(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(PAI−101、みどり化学(株)製)
【0179】
D1:NBCA(10−ブチル−2−クロロアクリドン、黒金化成(株)製)
D2:DBA(9,10−ジブトキシアントラセン、川崎化成工業(株)製)
E1:JER−157S65(多官能ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200〜220g/eq)、ジャパンエポキシレジン(株)製)
F1:KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)
G1:4−ジメチルアミノピリジン
G2:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
H1:PolyFox PF−6320(フッ素系界面活性剤、OMNOVA社製)
W−3:下記化合物
【0180】
【化38】

【0181】
(光酸発生剤B−10の合成)
1−1.合成中間体B−10Aの合成
2−アミノベンゼンチオール:31.3g(東京化成工業(株)製)をトルエン:100mL(和光純薬工業(株)製)に室温(25℃)下溶解させた。次に、フェニルアセチルクロリド:40.6g(東京化成工業(株)製)を滴下し、室温下1時間、次いで100℃で2時間撹拌し反応させた。得られた反応液に水500mLを入れ析出した塩を溶解させ、トルエン油分を抽出、抽出液をロータリエバポレーターで濃縮させ、合成中間体B−10Aを得た。
【0182】
1−2.B−10の合成
前記のようにして得られた合成中間体B−10A 2.25gをテトラヒドロフラン:10mL(和光純薬工業(株)製)に混合させた後、氷浴につけ反応液を5℃以下に冷却した。次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド:4.37g(25重量%メタノール溶液、Alfa Acer社製)を滴下し、氷浴下0.5時間撹拌し反応させた。さらに、亜硝酸イソペンチル:7.03gを内温20℃以下に保ちながら滴下し、滴下終了後に反応液を室温まで昇温後、一時間撹拌した。
ついで、反応液を5℃以下に冷却し後、p−トルエンスルホニルクロリド(1.9g)(東京化成工業(株)製)を投入し、10℃以下を保ちながら1時間撹拌した。その後水80mLを投入し、0℃で1時間撹拌した。得られた析出物を濾過した後、イソプロピルアルコール(IPA)60mLを投入し、50℃に加熱して1時間撹拌し、熱時濾過、乾燥させることで、(B−5:前記構造)1.8gを得た。
得られたB−10の1H−NMRスペクトル(300MHz、重DMSO((D3C)2S=O))は、δ=8.2〜8.17(m,1H),8.03〜8.00(m,1H),7.95〜7.9(m,2H),7.6〜7.45(m,9H),2.45(s,3H)であった。
上記の1H−NMR測定結果より、得られたB−10は、1種単独の幾何異性体であることが推定される。
【0183】
(光酸発生剤B−11の合成)
2−ナフトール(10g)、クロロベンゼン(30mL)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(10.6g)、2−クロロプロピオニルクロリド(10.1g)を添加し、混合液を40℃に加熱して2時間反応させた。氷冷下、反応液に4NHCl水溶液(60mL)を滴下し、酢酸エチル(50mL)を添加して分液した。有機層に炭酸カリウム(19.2g)を加え、40℃で1時間反応させた後、2NHCl水溶液(60mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、結晶をジイソプロピルエーテル(10mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してケトン化合物(6.5g)を得た。
得られたケトン化合物(3.0g)、メタノール(30mL)の懸濁溶液に酢酸(7.3g)、50重量%ヒドロキシルアミン水溶液(8.0g)を添加し、加熱還流した。放冷後、水(50mL)を加え、析出した結晶をろ過、冷メタノール洗浄後、乾燥してオキシム化合物(2.4g)を得た。
得られたオキシム化合物(1.8g)をアセトン(20mL)に溶解させ、氷冷下トリエチルアミン(1.5g)、p−トルエンスルホニルクロリド(2.4g)を添加し、室温に昇温して1時間反応させた。反応液に水(50mL)を添加し、析出した結晶をろ過後、メタノール(20mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してB−11(2.3g)を得た。
なお、B−11の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.4(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),2.4(s,3H),1.7(d,3H)であった。
【0184】
(光酸発生剤B−11の合成)
2−ナフトール(20g)をN,N−ジメチルアセトアミド(150mL)に溶解させ、炭酸カリウム(28.7g)、2−ブロモオクタン酸エチル(52.2g)を添加して100℃で2時間反応させた。反応液に水(300mL)、酢酸エチル(200mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液(23g)、エタノール(50mL)、水(50mL)を添加し、2時間反応させた。反応液を1N HCl水溶液(500mL)にあけ、析出した結晶をろ過、水洗してカルボン酸粗体を得た後、ポリリン酸30gを添加して170℃で30分反応させた。反応液を水(300mL)にあけ、酢酸エチル(300mL)を添加して分液し、有機層を濃縮した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ケトン化合物(10g)を得た。
得られたケトン化合物(10.0g)、メタノール(100mL)の懸濁溶液に酢酸ナトリウム(30.6g)、塩酸ヒドロキシルアミン(25.9g)、硫酸マグネシウム(4.5g)を添加し、24時間加熱還流した。放冷後、水(150mL)、酢酸エチル(150mL)添加して分液し、有機層を水80mLで4回分液し、濃縮した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製してオキシム化合物(5.8g)を得た。
得られたオキシム(3.1g)に対し、B−11と同様にスルホネート化を行い、B−12(3.2g)を得た。
なお、B−12の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.5(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(dd,1H),2.4(s,3H),2.2(ddt,1H),1.9(ddt,1H),1.4〜1.2(m,8H),0.8(t,3H)であった。
【0185】
(光酸発生剤B−13の合成)
B−11におけるp−トルエンスルホニルクロリドの代わりにベンゼンスルホニルクロリドを用いた以外は、B−11と同様にしてB−13を合成した。
なお、B−13の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.1(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.7−7.5(m,4H),7.4(dd,1H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),1.7(d,3H)であった。
【0186】
【化39】

【0187】
B−14:4,7−ジ−n−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート
B−15:トリフルオロメチルスルホニルオキシビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エン−ジカルボキシイミド
【0188】
3.評価
(実施例1)
実施例1の感光性樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
<感度の評価>
調製した感光性樹脂組成物を表6に示す条件で一旦、低温処理し、室温(23℃)に戻した。2,160×2,460mmのガラス基板上に感光性樹脂組成物をスリット塗布した後、90℃で90秒間ホットプレート上においてプリベークして溶剤を除去して膜厚3μmの塗膜を形成した。次に、FX−85S(i線仕様、(株)ニコン製)を用いて、所定のマスクを介して露光した。露光後、表6に示す温度で、表6に示す時間だけ経過させた後に、0.4重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により25℃で35秒間シャワー現像した後、超純水で1分間リンスした。これらの操作により10μmのラインアンドスペースを1:1で解像する時の最適露光量(Eopt)を求めた。これを10回繰り返し、その算術平均を感度とした。感度は、50mJ/cm2より低露光量の場合に、高感度であるといえる。結果を表6に示した。
【0189】
<感度安定性の評価>
感度測定で求めた10回最適露光量のうち、最大値をEmax、最低値をEminとして、(Emax−Emin)÷(感度)×100の値が0以上5未満:A、5以上10未満:B、10以上:Cとした。この値は小さいほど、感度安定性があり、A又はBの評価であれば実用上問題ない。C評価では残渣等の問題が生じ得るため許容できない。結果を表6に示した。
【0190】
<耐熱透明性の評価>
調製した感光性樹脂組成物を表6に示す条件で低温処理し、室温(23℃)に戻した。
ガラス基板(コーニング社製)に感光性樹脂組成物をスリット塗布した後、90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークすることにより溶剤を除去して膜厚3μmの塗膜を形成した。FX−85S(i線仕様、(株)ニコン製)を用いて、最適露光量で全面露光し、表6に示す温度で、表6に示す時間だけ経過させた後に、感度評価と同様にして現像処理し、超純水で1分間リンスした。得られた塗膜にFX−85Sで積算照射量が300mJ/cm2(照度:20mW/cm2)となるように露光し、この基板をオーブンにて230℃で1時間加熱して硬化膜を得た。得られた硬化膜をさらにオーブンにて230℃で2時間さらに加熱した後、光線透過率を分光光度計「150−20型ダブルビーム」((株)日立製作所製)を用いて400〜800nmの範囲の波長で測定した。そのときの最低光線透過率の評価結果(耐熱透明性の評価結果)を表6に示す。評価基準は下記の通りである。
A:93%以上
B:88%以上93%未満
C:83%以上88%未満
D:83%未満
【0191】
<ITOスパッタ適性>
耐熱透明性の評価と同様にして、最終加熱処理後の硬化膜を得た。この硬化膜上に、ITO透明電極をスパッタ(ULVAC社製、SIH−3030、スパッタ温度200℃)により形成した。スパッタ後の硬化膜の表面を光学顕微鏡(500倍)で観察し、以下の基準により評価した。
A:硬化膜の表面に全くしわの発生なし
B:硬化膜の表面に僅かにしわが見える(許容範囲)
C:硬化膜の表面にしわの発生あり
ITO透明電極をスパッタにより形成した後に、硬化膜表面にしわが観測された場合、硬化膜の透過率低下を引き起こすため、好ましくない。結果を表6に示した。
【0192】
<コンタクトホールの形成性の評価>
基板をシリコンウエハーに変更したこと以外は、感度評価と同様にして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。次に、i線ステッパー(キヤノン(株)製FPA−3000i5+)を用いて、コンタクトホールに相当する直径10μmのホールパターンを有するマスクにて最適露光量露光した。
上記と同様に現像、リンスし、コンタクトホールパターンを形成した。ここで、形成されたコンタクトホールの下底の径を、電子顕微鏡により測定した。さらに、コンタクトホールが形成された現像後の塗膜に対し、超高圧水銀灯を用いて波長365nmにおいて500mJ/cm2の光を照射した後、オーブン中にて、220℃で60分間加熱した。ここで、コンタクトホールの下底の径を、上記と同様にして測定した。
本評価では、形成したコンタクトホール下底の径について、加熱前後に測定した2つの測定値の差が、0.5μm未満であったものを「A」、0.5μm以上1.0μm未満であったものを「B」、1.0μm以上であったものを「C」として評価した。加熱前後での径の差が小さいほど、コンタクトホール径の制御が容易になるため、好ましい。A又はBであれば実用できる。
また、加熱後のホール断面を観察し、順テーパー形状のものをA、垂直のものをB、逆テーパーのものをCとした。順テーパーであることが好ましく、Aであれば実用できる。結果を表6に示した。
【0193】
(実施例2〜21、実施例26〜28、実施例30〜44、実施例101〜121、実施例126〜129、実施例131〜139、実施例201〜221、実施例226〜229、実施例231〜239、及び、実施例301〜304)
表2〜表5のように感光性樹脂組成物の処方を、表6〜表9のように低温処理工程、露光後に基板を放置する条件(温度、時間)を変更したこと以外は実施例1と同様に、感光性樹脂組成物、及び、硬化膜の評価を行った。
【0194】
(実施例22〜25)
露光後に基板を放置する条件(温度、時間)を、露光後23℃で90秒経過後にホットプレートで80℃60秒のPEBを実施し、さらに23℃で35秒経過してから現像する以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物、及び、硬化膜を評価した。結果を表6に示した。
(実施例29)
パターン露光を以下のレーザ露光にしたこと以外は実施例8と同様に行った(基板サイズは適宜調整)。膜厚3μmの乾燥塗膜から150μmの間隔を介して、所定のフォトマスクをセットし、波長355nmのレーザを最適露光量照射した。尚、レーザ装置は、(株)ブイ・テクノロジー製の「AEGIS」を使用し(波長355nm、パルス幅6nsec)、露光量はOPHIR社製の「PE10B−V2」を用いて測定した。レーザでも水銀灯と同様にパターンを形成できることがわかった。
【0195】
(実施例122〜125)
露光後に基板を放置する条件(温度、時間)を、露光後23℃で90秒経過後にホットプレートで80℃60秒のPEBを実施し、さらに23℃で35秒経過してから現像する以外は、実施例101と同様にして感光性樹脂組成物、及び、硬化膜を評価した。結果を表7に示した。
(実施例130)
パターン露光を以下のレーザ露光にしたこと以外は実施例108と同様に行った(基板サイズは適宜調整)。膜厚3μmの乾燥塗膜から150μmの間隔を介して、所定のフォトマスクをセットし、波長355nmのレーザを最適露光量照射した。尚、レーザ装置は、(株)ブイ・テクノロジー製の「AEGIS」を使用し(波長355nm、パルス幅6nsec)、露光量はOPHIR社製の「PE10B−V2」を用いて測定した。レーザでも水銀灯と同様にパターンを形成できることがわかった。
【0196】
(実施例222〜225)
露光後に基板を放置する条件(温度、時間)を、露光後23℃で90秒経過後にホットプレートで80℃60秒のPEBを実施し、さらに23℃で35秒経過してから現像する以外は、実施例201と同様にして感光性樹脂組成物、及び、硬化膜を評価した。結果を表8に示した。
(実施例230)
パターン露光を以下のレーザ露光にしたこと以外は実施例208と同様に行った(基板サイズは適宜調整)。膜厚3μmの乾燥塗膜から150μmの間隔を介して、所定のフォトマスクをセットし、波長355nmのレーザを最適露光量照射した。尚、レーザ装置は、(株)ブイ・テクノロジー製の「AEGIS」を使用し(波長355nm、パルス幅6nsec)、露光量はOPHIR社製の「PE10B−V2」を用いて測定した。レーザでも水銀灯と同様にパターンを形成できることがわかった。
【0197】
(実施例305〜308)
組成物を表5のように変更し、露光後に基板を放置する条件(温度、時間)を、露光後23℃で90秒経過後にホットプレートで80℃60秒のPEBを実施し、さらに23℃で35秒経過してから現像する以外は、実施例101と同様にして感光性樹脂組成物、及び、硬化膜を評価した。結果を表9に示した。
【0198】
(比較例1〜7)
表2のように処方を、表6のように低温処理、露光後に基板を放置する条件(温度、時間)を変更したこと以外は実施例1と同様に比較例1、2、4〜6の感光性樹脂組成物の調製し、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物、及び、硬化膜を評価した。なお、比較例3は特開2009−98616号公報に記載の実施例7の組成物をC1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとC2:ジエチレングリコールエチルメチルエーテルの1:1混合溶剤で粘度3.0mPa・sに調整し、実施例1と同様に感光性樹脂組成物、及び、硬化膜を評価した。比較例7については、特開2009−75329号公報の実施例17の組成物を用いて、実施例1と同様に感光性樹脂組成物、及び、硬化膜を評価した。
【0199】
【表6】

【0200】
【表7】

【0201】
【表8】

【0202】
【表9】

【0203】
表6〜表9に示す結果から以下のことがわかる。
実施例全般において、成分A、成分B、及び、成分Cを含む感光性樹脂組成物に、所定の低温処理工程、室温で45秒以上経過させる工程を施すことで、スリット塗布によって、満足な性能の層間絶縁膜が得られることがわかる。詳細には、低温処理工程を調整することで、コンタクトホールの形成性、ITOスパッタ適性などをより向上させることができる(実施例1〜16)。また、室温で経過させる時間を長くすることで、若干ではあるが感度が向上することがわかる(実施例12、30〜36)。
成分A、成分B、及び、成分Cを含む範囲で、種々の組成で性能を達成できることがわかる(実施例18〜29)。全ての構成単位が(メタ)アクリレートからなり、(a2)成分としてオキセタニル基を用いた共重合体では、耐熱透明性に優れることがわかる。低温処理工程なくスリット塗布すると、感度安定性がなく、かつ、コンタクトホールの形成性、ITOスパッタ適性などの性能を同時に満たすことがない(比較例1、3)。また、室温で経過させる時間が短いと、感度が安定しないこと、コンタクトホール径の変化が大きいことがわかる(比較例2)。(a1)(a2)(a3)いずれかを有しないポリマーでは、感度、感度安定性、コンタクトホール形成性等の諸特性を同時に満たすことはできないことがわかる(比較例4〜7)。
実施例101〜139、201〜239、実施例301〜308のように多様なポリマー、光酸発生剤でも本発明の効果が奏されることが分かる。また、実施例201〜239、301〜304のように、ナフトフラン母核の光酸発生剤を用いると透明性が特に高いことが分かる。
【0204】
(実施例45)
実施例8の感度評価において、基板をHDMS(ヘキサメチルジシラザン)で表面処理したガラス基板に変更したこと以外は同様にして評価した。実施例8と同様にきれいにパターンを作成できた。
【0205】
(実施例140)
実施例108の感度評価において、基板をHDMS(ヘキサメチルジシラザン)で表面処理したガラス基板に変更したこと以外は同様にして評価した。実施例108と同様にきれいにパターンを作成できた。
【0206】
(実施例240)
実施例208の感度評価において、基板をHDMS(ヘキサメチルジシラザン)で表面処理したガラス基板に変更したこと以外は同様にして評価した。実施例208と同様にきれいにパターンを作成できた。
【0207】
(実施例46)
実施例8の感度評価において、露光機をFX−85S(ghi線仕様、(株)ニコン製)にi線カットフィルターを設置したもの(すなわち、gh線露光)に変更したこと以外は同様にして評価した。実施例8と同様にきれいにパターンを作成できた。
【0208】
<塗布性の評価>
(実施例47〜50)
実施例8の感光性樹脂組成物調製において、溶剤量を調整して粘度18.0mPa・sとしたこと以外は実施例8と同様にして実施例47の感光性樹脂組成物を調製した。実施例48〜50の感光性樹脂組成物についても実施例47と同様にして、粘度22.0mPa・s、29.0mPa・s、31.0mPa・sに調整した。
実施例8、実施例47〜50の感光性樹脂組成物について、以下のようにして塗布性を評価した。東京エレクトロン(株)製のCL1700を用いて、1,500mm×1,800mmのガラス基板に、乾燥後の塗膜厚が3.0μmになるようにスリットコートした。乾燥は90℃90秒間ホットプレートで加熱した。塗布面を目視にて観察しスジ状のムラの本数をカウントし、下記基準で評価した。その結果を表に示す。A、B、Cであれば許容できる。
塗布面にスジ状のムラが全くないもの:A
1〜3本のもの:B
4〜5本のもの:C
6本以上のもの:D
【0209】
【表10】

【0210】
(実施例141〜144)
実施例108の感光性樹脂組成物調製において、溶剤量を調整して粘度18.0mPa・sとしたこと以外は実施例108と同様にして実施例141の感光性樹脂組成物を調製した。実施例142〜144の感光性樹脂組成物についても実施例140と同様にして、粘度22.0mPa・s、29.0mPa・s、31.0mPa・sに調整した。
実施例108、実施例141〜144の感光性樹脂組成物について、上記と同様にして、塗布性を評価した。
【0211】
【表11】

【0212】
(実施例241〜244)
実施例208の感光性樹脂組成物調製において、溶剤量を調整して粘度18.0mPa・sとしたこと以外は実施例208と同様にして実施例241の感光性樹脂組成物を調製した。実施例242〜244の感光性樹脂組成物についても実施例241と同様にして、粘度22.0mPa・s、29.0mPa・s、31.0mPa・sに調整した。
実施例208、実施例241〜244の感光性樹脂組成物について、上記と同様にして、塗布性を評価した。
【0213】
【表12】

【0214】
(比較例8)
実施例8の感光性樹脂組成物を用いて、以下のようにしてスリットコートの省液性を評価した。東京エレクトロン(株)製のCL1700を用いて、1,500mm×1,800mmのガラス基板に、乾燥後の塗膜厚が3.0μmになるようにスリットコートした。乾燥は90℃で90秒間ホットプレートで加熱した。乾燥膜として基板上に残っている固形分から換算すると、スリットコートの際に使用した感光性樹脂組成物の80wt%以上が、基板上に残っていることがわかった。
実施例8の感光性樹脂組成物の製造において、溶剤量を調整して粘度35.0mPa・sとしたこと以外は実施例8と同様にしてスピンコート用の比較例8の組成物を得た。比較例8の組成物を150mm×150mmのガラス基板に乾燥後の塗膜厚が3.0μmになるようにスピンコートした。乾燥は90℃90秒間ホットプレートで加熱した。乾燥膜として基板上に残っている固形分から換算すると、スピンコートの際に使用した感光性樹脂組成物のうち、基板上に残っているのは15wt%以下であることがわかった。また、1,500mm×1,800mmのガラス基板にスピンコートすることを試みたが、基板を回転させることができなかった。このように、スリットコートは、省液性、大型対応に優れる塗布方法である。
【0215】
(実施例51)
薄膜トランジスター(TFT)を用いた有機EL表示装置を以下の方法で作製した(図1参照)。ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSi34から成る絶縁膜3を形成した。次に、この絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)を絶縁膜3上に形成した。この配線2は、TFT1間又は、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。
さらに、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上へ平坦化層4を形成した。絶縁膜3上への平坦化膜4の形成は、低温処理した実施例12の感光性樹脂組成物を基板上にスリットコートし、ホットプレート上でプリベーク(90℃×2分)した後、マスク上から高圧水銀灯を用いてi線(365nm)を20mJ/cm2(照度20mW/cm2)照射した後、125秒間、室温(23℃)で経過させ、アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、230℃で60分間の加熱処理を行った。該感光性樹脂組成物を塗布する際の塗布性は良好で、露光、現像、焼成の後に得られた硬化膜には、しわやクラックの発生は認められなかった。さらに、配線2の平均段差は500nm、作製した平坦化膜4の膜厚は2,000nmであった。
【0216】
次に、得られた平坦化膜4上に、ボトムエミッション型の有機EL素子を形成した。まず、平坦化膜4上に、ITOからなる第一電極5を、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成した。その後、レジストを塗布、プリベークし、所望のパターンのマスクを介して露光し、現像した。このレジストパターンをマスクとして、ITOエッチャント用いたウエットエッチングによりパターン加工を行った。その後、レジスト剥離液(モノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(DMSO)との1:1混合液)を用いて該レジストパターンを剥離した。こうして得られた第一電極5は有機EL素子の陽極に相当する。
次に、第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8を形成した。絶縁膜8には、実施例7の感光性樹脂組成物を用い、前記と同様の方法で形成した。この絶縁膜8を設けることによって、第一電極5とこの後の工程で形成する第二電極との間のショートを防止することができる。
さらに、真空蒸着装置内で所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設けた。次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成した。得られた上記基板を蒸着機から取り出し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。
以上のようにして各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続してなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られた。駆動回路を介して電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い有機EL表示装置であることがわかった。
【0217】
(実施例145)
実施例107の組成物を用いて絶縁膜8を形成した以外は実施例51と同様に有機EL表示装置を作製した。駆動回路を介して電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い有機EL表示装置であることがわかった。
【0218】
(実施例245)
実施例207の組成物を用いて絶縁膜8を形成した以外は実施例51と同様に有機EL表示装置を作製した。駆動回路を介して電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い有機EL表示装置であることがわかった。
【0219】
(実施例52)
特許第3321003号公報の図1及び図2に記載のアクティブマトリクス型液晶表示装置において、層間絶縁膜として硬化膜17を以下のようにして形成し、実施例52の液晶表示装置を得た。
すなわち、実施例12の感光性樹脂組成物を用い、上記実施例51における有機EL表示装置の平坦化膜4の形成方法と同様の方法で、層間絶縁膜として硬化膜17を形成した。得られた液晶表示装置に対して、駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることがわかった。
【0220】
(実施例146)
実施例138の組成物を用いて硬化膜17を形成した以外は実施例52と同様に液晶表示装置を作製した。駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることがわかった。
【0221】
(実施例246)
実施例238の組成物を用いて硬化膜17を形成した以外は実施例52と同様に液晶表示装置を作製した。駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性を示し、信頼性の高い液晶表示装置であることがわかった。
【符号の説明】
【0222】
1:TFT
2:配線
3:絶縁膜
4:平坦化膜
5:第一電極
6:ガラス基板
7:コンタクトホール
8:絶縁膜
10:液晶表示装置
12:バックライトユニット
14,15:ガラス基板
16:TFT
17:硬化膜
18:コンタクトホール
19:ITO透明電極
20:液晶
22:カラーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)感光性樹脂組成物を10℃以下の温度にする低温処理工程、
(2)前記感光性樹脂組成物を基板上にスリットコートする塗布工程、
(3)塗布された前記感光性樹脂組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、
(4)溶剤を除去した前記感光性樹脂組成物を活性光線により露光する露光工程、
(5)室温で45秒以上経過させる工程、
(6)水性現像液により現像する現像工程、及び、
(7)熱硬化するポストベーク工程、をこの順番で含み、
前記感光性樹脂組成物が、
(成分A)少なくとも(a1)酸基が酸分解性基で保護された残基を有する構成単位、(a2)架橋基を有する構成単位、(a3)カルボキシ基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位、を含有する共重合体、
(成分B)光酸発生剤、並びに、
(成分C)溶剤、を含有することを特徴とする
硬化膜の製造方法。
【請求項2】
前記構成単位(a1)が、カルボキシ基がアセタール又はケタールで保護された残基を有する構成単位である、請求項1に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項3】
前記構成単位(a1)が、式(A2)で表される、請求項1又は2に記載の硬化膜の製造方法。
【化1】

(式(A2)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR1及びR2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R3は、アルキル基又はアリール基を表し、R1又はR2とR3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R4は、水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。)
【請求項4】
前記構成単位(a2)が、エポキシ基、オキセタニル基、及び、エチレン性不飽和基よりなる群から選ばれた少なくとも1つの基を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項5】
前記構成単位(a2)が、脂環エポキシ基、及び/又は、オキセタニル基を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項6】
前記成分Bが、オキシムスルホネート残基を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項7】
前記成分Bが、式(OS−3)、式(OS−4)又は式(OS−5)で表される化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法。
【化2】

(式(OS−3)〜式(OS−5)中、R1はアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R6はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基又はアルコキシスルホニル基を表し、XはO又はSを表し、nは1又は2を表し、mは0〜6の整数を表す。)
【請求項8】
前記感光性樹脂組成物が、化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法に用いられる、感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化膜の製造方法により製造された、硬化膜。
【請求項11】
請求項10に記載の硬化膜を具備する、有機EL表示装置。
【請求項12】
請求項10に記載の硬化膜を具備する、液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−215590(P2011−215590A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272330(P2010−272330)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】