移動体システム
【課題】簡単な構成で移動体と目標物との距離を算出し得る自律走行移動体のシステムを提供する。
【解決手段】自律走行移動体1と、該自律走行移動体が向かう目標物13とを備えた移動体システムであって、移動体1は、超音波を送波する第1の送波手段2と、超音波を受波する第1の受波手段3とを有し、目標物は超音波を送波する第2の送波手段8を有し、第1の制御モードにおいては、第1の送波手段2が超音波を送波してから第1の受波手段3が反射波を受波するまでの時間に基づいて障害物90までの距離を算出し、第2の制御モードにおいては、第2の送波手段8が超音波を送波してから第1の受波手段3が該超音波を受波するまでの時間に基づいて目標物13までの距離を算出する。
【解決手段】自律走行移動体1と、該自律走行移動体が向かう目標物13とを備えた移動体システムであって、移動体1は、超音波を送波する第1の送波手段2と、超音波を受波する第1の受波手段3とを有し、目標物は超音波を送波する第2の送波手段8を有し、第1の制御モードにおいては、第1の送波手段2が超音波を送波してから第1の受波手段3が反射波を受波するまでの時間に基づいて障害物90までの距離を算出し、第2の制御モードにおいては、第2の送波手段8が超音波を送波してから第1の受波手段3が該超音波を受波するまでの時間に基づいて目標物13までの距離を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物との距離を計測する自律走行移動体のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自律移動ロボットの自動充電システムや、自律移動清掃ロボットの自動ゴミ回収システムなどでは、充電装置やゴミ回収装置と自律移動ロボットの位置合せが重要となる。また、作業環境に目標となる壁などが無い広いスペースにおいて正確な位置計測を行なうには、ビーコンやマーカーなどの目標物を環境に設置し、その目標物との相対位置を計測する機能が必要になる場合がある。
【0003】
従来、このような場合は、超音波と赤外線信号や無線信号とを組み合わせた位置計測システムが用いられてきた。かかる位置計測システムとしては、下記の特許文献がある。
【特許文献1】特開2001-051720 号(要約書)
【特許文献2】特開平8-54926 号(要約書、請求項2、図2)
【特許文献3】特開2003-15740号(要約書)
【特許文献4】特開2002-333920 号(要約書、請求項6)
【0004】
前記特許文献1では、車輌の2つの位置に設置される送受信手段と、駐車スペースの4つの固定点に設置された4つの返信手段とを備え、各送受信手段は、それぞれ異なる2つの返信手段と通信を行ってそれぞれの間の距離を検出し、検出された距離に基づいて車輌位置を算出する車輌位置検出装置が開示されている。
特許文献1では、車輌の2箇所の位置を検出するために、車輌側に送信手段が2個必要である、位置計測専用の受信装置が必要である、目標物(返信手段)が固定設置のため、移動範囲をカバーする多くの目標物が必要になる等の問題がある。
【0005】
前記特許文献2では、特定の識別同期信号を受信した場合のみ超音波を送波する複数の超音波送波装置と、移動ロボット側に識別同期信号送信装置と、1組の超音波受波装置とを備え、移動ロボット側で、識別同期信号送波から複数の超音波送波装置からの超音波を受信するまでの時間を計測し、位置と走行方向を計測する自律移動ロボットの誘導装置が開示されている。
特許文献2では、各超音波送波装置毎に異なる識別同期信号を送信しなければならない、位置計測専用の超音波受波装置が必要である等の問題がある。
【0006】
前記特許文献3では、作業用移動体と、移動機能を有する位置合わせ用基準板(ガイド)と、位置合わせ用基準板の移動のための誘導ラインとを備え、作業用移動体の超音波式距離計で、位置合わせ用基準板までの距離を測定し、その距離が一定になるように走行制御する作業用移動体の移動制御装置が開示されている。
特許文献3では、ジグザグ走行における横幅方向の位置のみを計測するためのものであり、縦方向の位置を計測することはできない、位置合わせ用基準板の移動のための誘導ラインの設置が大掛かりになる等の問題がある。
【0007】
前記特許文献4では、作業用移動体と、作業用移動体の目標走行方向と垂直な方向に移動する機能を有する位置合わせ基準板(ガイド)とを備えた作業用移動体の移動制御装置が開示されている。
特許文献4では、ジグザグ走行における横幅方向の位置のみを計測するためのものであり、縦方向の位置を計測することはできない、自律移動ロボットが位置合わせ基準板(ガイド)の真横に位置したときにしか位置計測を行なうことができない等の問題がある。
【発明の開示】
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、簡単な構成で移動体と目標物との距離を算出し得る自律走行移動体のシステムを提供することである。
【0009】
本発明の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、前記目標物は、超音波を送波する第2の送波手段を有し、前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御し、前記第1の制御モードにおいては、前記第1の送波手段が超音波を送波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、前記第2の制御モードにおいては、前記第2の送波手段が超音波が送波するように制御され、前記第2の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第2の送波手段から前記第1の受波手段までの距離を算出する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の別の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1の送波手段および第1および第2の受波手段を制御し、前記第1の制御モードにおいては、前記第1の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、前記第2の制御モードにおいては、前記第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、ことを特徴とする。
【0011】
これらの態様によれば、自律走行移動体に超音波の送受波手段を搭載し、障害物検知を行う第1制御モードと、目標物位置検知を行う第2制御モードの2種類の制御モードとを設けることにより、障害物検出用の超音波距離センサーと、目標物との位置計測用超音波センサーを兼用することが可能になる。すなわち、自律走行移動体に目標物との位置計測専用の超音波受信装置を搭載する必要がなく、あるいは、目標物に位置計測専用の超音波送波装置を設ける必要がなく、装置の簡単化を図ることができる。
【0012】
なお、本発明において、制御手段は必ずしも一体に設けられる必要はなく、移動体側の第1の制御装置と目標物側の第2の制御装置とで制御手段が構成されてもよい。この場合第1の制御装置は移動体側の送受波手段や移動体の移動および姿勢変更を制御するものであり、第2の制御装置は目標物側の送受波手段や目標物の移動および姿勢変更を制御するものであってもよい。
【0013】
本発明の更に別の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、前記第1および第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出すると共に、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、ことを特徴とする。
【0014】
このようにすれば、2つの受波手段が並行して受波動作を行う、即ち移動体から送波された超音波を目標物が受波し、該超音波の反射波を移動体が受波することで移動体側からの1度の送波だけで、移動体と障害物との間の距離および移動体と目標物との間の距離とを測定することができる。
【0015】
本発明の更に別の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体または目標物の一方に、超音波を送波する一対の送波手段が互いに離間して設けられ、他方に超音波を受波する一対の受波手段が互いに離間して設けられており、前記各送波手段および各受波手段と前記自律走行移動体の移動および姿勢とを制御する制御手段が設けられており、前記各送波手段が超音波を送波し、かつ、該超音波を前記各受波手段が受波するように制御され、前記各送波手段が超音波を送波してから前記各受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記各第1の送波手段から前記各第2の受波手段までの距離の少なくとも3つの距離を算出し、前記一対の第2の送波手段のうちの一方からの超音波の送波と、他方からの超音波の送波とが、所定の時間間隔を空けて行われるように、前記各送波手段が制御されることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、2つの送波手段からの超音波の送波を所定の間隔を空けて行うので、各送波手段と各受波手段との間の複数の距離を計測する場合に複数の距離の計測を所定の順序で行うように制御することにより、各目標物ごとに異なる識別同期信号を送信する必要がなくなり、システムの簡略化を図ることができる。
【0017】
本発明においては、前記自律走行移動体と目標物との間で超音波の送波のタイミングを認識するための信号を送受信する送信手段および受信手段が設けられていてもよい。
【0018】
このようにすれば、超音波送波のタイミングを、超音波が送波されてから受波されるまでの時間を算出する側で認識することができる。
【0019】
本発明の好適な態様においては、前記自律走行移動体は、指向性を有する信号を送信する第1の送信手段を更に有し、前記目標物は、前記信号を受信する第2の受信手段を更に有し、前記第1の送信手段および第2の受信手段は前記制御手段により制御され、前記自律走行移動体の姿勢を変更しながら第1の送信手段が前記信号を繰り返し送信する動作を行い、該動作において前記信号を第2の受信手段が受信することを条件として前記自律走行移動体の姿勢変更を停止するように制御されることで、前記自律走行移動体の前記目標物に対する姿勢を調整する。
【0020】
本発明の別の好適な態様においては、前記演算手段により算出された前記各送波手段と前記各受波手段との間の複数の距離を比較する比較手段が設けられており、前記算出された距離のうち、前記送波手段の一方からの前記各受波手段までの2つの距離、または、前記受波手段の一方からの前記各送波手段までの2つの距離を、前記比較手段が比較し、該比較手段の比較結果に応じて前記自律走行移動体の姿勢変更が行われるように制御される。
【0021】
本発明の更に別の好適な態様においては、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離が正常に算出されたか否かを判定する判定手段が設けられ、前記演算手段による前記各送波手段と前記各受波手段との間の距離の算出が正常に行われたかどうかを前記判定手段が判定し、該判定手段の判定結果に応じて前記自律走行移動体の移動および/または姿勢の変更が行われるように制御される。
【0022】
かかる好適な態様によれば、正確な位置計測の前段階として、大まかな目標物の方向検出および移動体の姿勢変更や移動を行なうステップを設けることができ、目標物と自律移動ロボットが離れている場合や、方向が大きくずれている場合でも、正確な位置合せができる。これらの好適な態様は組み合わせて用いられてもよい。
【0023】
特に前記第1の送信手段および第2の受信手段を設けることにより、正確な位置計測を行なう前に、目標物と移動体がどのような位置、方向の関係にあっても、ラフな方向補正を行なうことができる。
【0024】
本発明において、前記目標物は移動可能であり、前記目標物の移動は前記制御手段により制御され、所定の場合に、前記目標物が移動するように制御されてもよい。
【0025】
目標物(超音波送波装置または受波装置)を移動可能な構成とすることにより、迅速な位置合せが可能となり自動充電や自動ゴミ回収などの作業効率を向上させたり、作業時の目標物の設置台数を大幅に削減することができる。
【0026】
また、目標物へ向かう正確な直進走行を可能とし、さらに目標物を移動可能とすることにより、ジグザグ走行の走行レーンごとに目標物を設置する必要が無くなり、簡単な構成で、広い面積での正確なジグザグ走行を可能とする。前記目標物は別の自律走行移動体であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1実施例>
以下、本発明の第1実施例を図面に従い説明する。
図1A,Bに示すように、本実施例のシステムは、床面を自走する移動機能を有する自律走行移動体(以下、「移動体」という。)1と該移動体1が向かう充電ステーション13(目標物の一例)とを備えており、移動体1の充電を自動的に行うシステムである。
【0028】
移動体:
移動体1は、超音波を送波する4つの第1の送波手段2a,2b,2c,2dと、超音波を受波する4つの第1の受波手段3a,3b,3c,3dと、第1の送信手段、4と、4つの第1の受信手段5a,5b,5c,5dと、駆動モータ(図2)に接続された一対の走行車輪6a,6bと、超音波の送受波、信号の送受信および駆動モータの駆動などを制御する第1の制御装置7とを備える。
【0029】
前記第1の送波手段2a,2b,2c,2dは互いに水平方向に離間して設けられており、両サイドに設けられて互いに幅方向に離間したサイド送波手段2a,2bは概ね前方へ向かって超音波を送波し、前側に設けられたフロント送波手段2c,2dは概ね側方に向かって(2cは右側方に向かって,2dは左側方に向かって)超音波を送波する。
【0030】
前記第1の受波手段3a,3b,3c,3dは互いに水平方向に離間して設けられており、両サイドに設けられて互いに幅方向に離間したサイド受波手段3a,3bは概ね前方からの超音波を受波し、前側に設けられたフロント受波手段3c,3dは概ね側方からの(3cは右側方からの,3dは左側方からの)超音波を受波する。
【0031】
前記各第1の送波手段2a,2b,2c,2dおよび各第1の受波手段3a,3b,3c,3dは、図2Bのように1つの筐体の上下に配置されて構成されている。したがって、2aと3a、2bと3b、2cと3c、2dと3dとは水平方向に概ね同じ位置にある。送波・受波兼用タイプの超音波センサを用いてもよい。
【0032】
第1の送信手段4は、指向性を有する光信号を送信して各種データの送信を行う。第1の受信手段5a,5b,5c,5dは全方向からの光信号を受信して各種データの受信を行う。
また、移動体1には、第1の計時手段(タイマ)7t(図2A)が設けられており、該第1の計時手段7tは、計時機能を有する。
【0033】
図2Aに示すように、前記各手段2a〜2d,3a〜3d,4,5,7tは、第1の制御装置7に接続されている。第1の制御装置7は、CPU72およびROM、RAMの記憶部73からなるマイコン71を備え、超音波の送受波、信号の送受信、移動体1の移動および姿勢変更などを制御する。CPU72は、前記計時手段7tにより計測された超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段や、前記演算手段により算出された複数の距離を比較する比較手段や、距離が正常に算出されたか否かを判定する判定手段などの機能を有する。記憶部73には、移動体1内の送受波手段2a〜2d,3a〜3d等の相互の位置関係や所定のプログラムが記憶されている。また、記憶部73には、測定した時間や距離などを記憶可能である。
【0034】
前記第1の制御装置7には、走行車輪を駆動させる一対の駆動モータ61,62が接続されている。制御装置7は、該駆動モータ61,62を制御して、移動体1を前進または後退させたり、その姿勢を変更したりすることができる。
【0035】
直進走行時には、前記2つの駆動モータ61,62が同方向に回転することで、移動体1は前進または後退することができる。回転動作を行う際には、前記2つの駆動モータ61,62がそれぞれ逆方向に回転することで、移動体1は所定の回転中心のまわりに回転(姿勢変更)することができる。なお、前記2つの駆動モータ61,62の回転の比率を制御することで、走行アセンブリ1はカーブ走行を行うこともできる。
なお、移動体1の回転角度を測定するジャイロセンサ(図示せず)や移動体1の移動した移動距離を測定する移動距離測定手段(図示せず)が移動体に設けられており、前記第1の制御装置7に接続されている。
【0036】
ステーション:
図1A,Bに示すように、ステーション13は、略コ字状の本体部13aを有し、該本体部13aの内側の収容スペースに前記移動体1を収容し(図8C)、図示しないコネクタを介して外部の電源に接続され移動体1の充電を行う。
【0037】
ステーション13は、超音波を送波する一対の第2の送波手段8a,8bと、超音波を受波する一対の第2の受波手段9a,9bと、第2の送信手段10と、第2の受信手段11と、超音波の送受波、信号の送受信などを制御する第2の制御装置12とを備えている。
【0038】
各第2の送波手段8a,8bおよび各一対の受波手段9a,9bは、前記本体部13aの両サイドの先端部に設けられており、第2の送信手段10および第2の受信手段11と本体部13aの内側奥に設けられている。第2の送信手段10は、前記本体部13aの上端に設けられており、指向性のある光信号を送信する。
【0039】
前記各第2の送波手段8a,8b、各第2の受波手段9a,9b、第2の送信手段10、第2の受信手段11は前記移動体1の送受波手段や送受信手段と同様のものを使用することができる。
また、ステーション13には、第2の計時手段(タイマ)12t(図2A)が設けられており、該第2の計時手段12tは計時機能を有する。
【0040】
図2Aに示すように、前記各手段8a,8b,9a,9b、10,11,12tは第2の制御装置12に接続されている。第2の制御装置12はCPU82およびROM、RAMの記憶部83からなるマイコン81を備え、超音波の送受波および信号の送受信を制御する。記憶部83には、ステーション13内の送受波手段8a,8b,9a,9bの相互の位置関係や所定のプログラムなどが記憶されている。
【0041】
前記第1の制御装置7および第2の制御装置12とから、超音波の送受波、信号の送受信、移動体1の移動や姿勢変更などを制御する制御手段が構成されている。
【0042】
動作:
次に、本システムの動作を説明する。本システムは、移動体1と障害物90(図2A)との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、移動体1と目標物13との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記第1および第2の制御装置7,13により制御される。
【0043】
第1の制御モード(障害物検知モード);
第1の制御モードでは、図3のように、移動体1と障害物90との間の距離が計測される。このモードによる距離の測定は、一般的に障害物センサーとして用いられる周知の方法であり、このモードは、たとえば、移動体1が障害物90を検知しながら移動する際に行われる。
【0044】
このモードでは、第1の送波手段2a,2bが超音波を送波するように制御され、前記第1の送波手段2a,2bが超音波を送波してから、該超音波が障害物90に反射した反射波を前記第1の受波手段3a,3bが受波するまでの時間を前記第1の計時手段7tが計測し、該時間に基づいて(たとえば、時間に音速を乗じて所定の補正処理を行って)CPU(演算手段)72が第1の送波手段2a,2bから障害物90までの距離を算出する。各第1の送波手段2a,2bからの超音波の送波は所定の時間間隔を空けて行われてもよい。このモードにおいては、第2の送波手段8a,8bが超音波を送波しないように制御されてもよい。超音波を送波してから受波するまでの時間に基づいて距離を算出する方法としては、例えば、特開平8−54926や特開2000−56006に開示されている方法を用いることができる。
【0045】
第2の制御モード(目標検知モード);
第2の制御モードでは、移動体1とステーション13との間の複数の距離が計測される。このモードは、移動体1に対するステーション13の相対位置を算出する場合に行われる。
この第2の制御モードにおいては、第2の送波手段8a,8bが超音波を送波するように制御され、第2の送波手段8a,8bが超音波を送波してから前記第1の受波手段3a〜3dが該超音波を受波するまでの時間に基づいて、CPU(演算手段)72が第2の送波手段8a,8bから前記第1の受波手段3a〜3dまでの距離を算出する。各第2の送波手段8a,8bからの超音波の送波は所定の時間間隔を空けて行われてもよい。このモードにおいては、第1の送波手段2a,2bが超音波を送波しないように制御されてもよい。
【0046】
自動メンテナンス:
本システムでは、移動体1をステーション13に収容して充電を行う自動メンテナンスが行われる。以下、前記第1および第2の制御モードで運転して自動メンテナンスを行う工程を例に説明する。
【0047】
図4に示すように、自動メンテナンスは、呼びかけ信号を送受信して、ラフな方向合わせを行った後に、目標位置(ステーション13の位置)の計測および目標位置への移動が行われて、メンテナンス作業(充電)が行われる。
【0048】
ラフな方向合わせ;
例えば清掃などの所定の作業を終えた場合に、自動メンテナンスのフローが開始される。この際、所定の呼びかけ信号の送受信や超音波の送受波により、ステーション13に対する移動体1のラフな方向合わせが行われる。
【0049】
図5A〜Cは、図4のフローチャートの「ラフな方向合せ」の例を示す図である。この例では、図5Aのように移動体1の第1の送信手段4は、移動体が回転して姿勢(向き)を変えながら、繰り返し、所定の角度の指向性を有する呼びかけ信号を送信する。そして、図5Bのように移動体1がほぼステーション13の方向を向いた時にだけ、ステーション13の第2の受信手段11が呼びかけ信号を受信する。第2の受信手段11が呼びかけ信号を受信すると、図5Cのように第2の送信手段10が所定の返信信号を送信する。移動体1の第1の受信手段5a〜5dは全方向からの信号を受信するようになっているので、ステーション13からの返信信号を受信する。結果として、移動体1の第1の制御装置7は移動体1がほぼステーション13の方を向いている事を認識し、回転を停止する。このようにして、移動体1のステーション13に対する姿勢が調整される。
【0050】
図6、図7は、図4のフローチャートの「ラフな方向合せ」の別の例を示す図である。この例では、ステーション13が第2の送信手段10から所定の呼びかけ信号を送信し、移動体1の第1の受信手段5a〜5dは全方向からの信号を受信するように構成されているので、前記呼びかけ信号を受信し、その後に超音波の送受波により移動体1の姿勢の調整などが行われる。前記図5の例の動作が行われた後に本例の動作が行われてもよい。
【0051】
本例では、前記呼びかけ信号の送信の後、所定の時間間隔を空けて、所定の順序で各第2の送波手段8a,8bから超音波パルスを送波する。したがって、移動体1の第1の制御装置7は前記呼びかけ信号の受信時刻に基づいて所定の間隔を空けた各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波のタイミングを認識する。
【0052】
移動体1には互いに異なる方向を向いた第1の受波手段5a〜5dが搭載されており、所定の時間間隔、所定の順序で第1の受波手段5a〜5dが超音波パルスを受波する時刻を前記第1計時手段7tにより計測して、各第2の送波手段8a,8bから送波された超音波が各第1の受波手段5a〜5dに受信されるまでの各々の時間に基づいて、8a,8bのうちの1つと、3a,3b,3c,3dのうちの1つとの全ての組み合わせの距離を前記CPU(演算手段)72が算出し、それぞれの距離が正常に算出されたかどうかを前記CPU(判定手段)72が判定する。超音波を正常に受波しない場合は、距離が正常に算出されなかったと判定される。
【0053】
そして、正常に算出された距離値と正常に算出されなかった距離値との組み合わせの種類に応じて、移動体1の姿勢(方向)や位置を変更する。このようにして、移動体1のステーション13に対する位置や姿勢が調整される。本例の具体的なケースは、例えば、図6A〜D、図7A〜Dに示すとおりである。
【0054】
目標位置への移動処理;
次に、目標位置(ステーション13の位置)の計測および目標位置への移動処理について説明する。この処理では、たとえば、移動体1が図8Aに示す位置にいる場合には距離L1〜L4が算出されて、目標位置が計測される。この計測結果に従って、図8Bのように移動体1がステーション13に正対する(移動体1がステーション13の収容スペースの前方にあり、所定の位置関係および姿勢で向かい合う状態)ように移動してステーション13に収容される。なお、図8、図16、図17、図18では、第1の送波手段2a〜2dのうち2a,2b、第1の受波手段3a〜3dのうち、3a,3bのみを用いた例で説明し、2c,2d,3c,3dの図示を省略する。
【0055】
前記目標位置の移動処理は、図9、図11のフローチャートに示す流れで行われる。この流れにおける移動体1とステーション13との距離計測は、前記第2の制御モードで行われる。以下、図9、図11にしたがって、移動処理の流れを説明する。なお、図9の各ステップF1〜F12は第1の制御装置7の制御の流れを示し、図11の各ステップH1〜H10は第2の制御装置12の制御の流れを示す。
この流れは、移動体1が停止し、第2の制御モードに切り替わった状態(測定準備ができた状態)で開始される。この移動体1の停止は、移動体1が移動中、電池電圧の低下を検出している状態でステーション13からの呼びかけ信号を第1の受信手段5a〜5dが受信した場合等に行われるようにすると良い。
【0056】
移動体1が停止中に、ステーション13の第2の送信手段10から計測開始信号が送信され(H1)、該計測開始信号を第1の受信手段5a〜5dが受信する(F1)。計測開始信号は前記呼びかけ信号と同一でもよい。計測開始信号から各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波のタイミングの情報(計測開始信号から超音波送波までの時間)は予め移動体に記憶されていても良いし、計測開始信号に含まれていてもよく、これにより、移動体1側で各超音波送波のタイミングおよび受波のタイミングを認識することができる。なお、計測開始信号は光信号であり速度は十分に早いので距離にかかわらず信号の伝播時間はゼロと見なすことができる。
【0057】
そして、第2の制御装置12は、前記計測開始信号の送信終了を認識した後、第2の計時手段12tをスタートさせ(H2)、所定の時間間隔(本例では50msec)を空けて、各第2の送波手段8a,8bが、順次2回ずつ超音波を送波するように制御する。
【0058】
すなわち、第2の計時手段12tのスタート後、第2の送波手段8bから1回目の超音波パルスを送波し(H3)、第2の計時手段12tが50msec経過するまで待機し(H4)、第2の送波手段8bから2回目の超音波パルスを送波し(H5)、第2の計時手段12tが100msec経過するまで待機し(H6)、第2 の送波手段8aから1回目の超音波パルスを送波し(H7)、第2の計時手段12tが150msec経過するまで待機し(H8)、第2の送波手段8aから2回目の超音波パルスを送波し(H9)、第2の計時手段12tが200msec経過するまで待機して、再びステップH1に戻るよう制御される。
【0059】
一方、第1の制御装置7は、前記計測開始信号の受信終了を認識した後、第1の計時手段7tをスタートさせ(F2)、前記第2の送波手段8a,8bからの超音波送波タイミングに同期して、各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波から各第1の受波手段3a,3bの超音波受波までの時間を計測して、CPU(演算手段)72が各第2の送波手段8a,8bと各第1の受波手段3a,3bとの間の距離L1〜L4(図8A)を算出する。
【0060】
すなわち、第1の計時手段7tのスタート後、第1の受波手段3aが前記第2の送波手段8bからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL1を算出し(F3)、第1の計時手段7tが50msec経過するまで待機し(F4)、第1の受波手段3bが前記第2の送波手段8bからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL2を算出し(F5)、第1の計時手段7tが100msec経過するまで待機し(F6)、第1の受波手段3aが前記第2の送波手段8aからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL3を算出し(F7)、第1の計時手段7tが150msec経過するまで待機し(F8)、第1の受波手段3bが前記第2の送波手段8aからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL4を算出し(F9)、所定の移動処理を行い(F10)、後述のgoal flgが1であるか否かの判断を行い(F11)、Yであれば前進してステーション13内に移動し(F12)、Nであれば再びステップF1に戻る。
【0061】
なお、本実施例では前記各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波を2回ずつ行ったが、1回ずつにしてもよい。この場合、各送波について、各第1の受波手段3a,3bが受波を行うことで前記距離L1〜L4(図8A)が算出される。
【0062】
図10は、前記図9のフローチャートの所定の移動処理(F10)の詳細を示すフローチャートである。図10に示すように、前記移動処理は、まず算出された各距離L1,L2,L3,L4の値を基に、第2の送波手段8a,8bの位置を算出する位置算出処理が行われ(G1)、算出結果はエラーか否かがCPU(判定手段)72により判断され(G2)、エラーでない場合は、8a,8bの位置を基に8a,8bを結ぶ直線と、3a,3bを結ぶ直線の成す角θを算出する方向(姿勢)算出処理が行われ(G3)、8a,8bの位置を基に、移動体1の移動目標位置を算出する目標位置算出処理が行われた後(G4)、移動体1が移動目標位置に移動し(G5)、前記算出されたθに基づき、移動体1をステーション13に正対するように回転(姿勢変更)し(G6)、前記移動した距離が所定値以下か否かが判断され(G7)、所定値以下の場合はgoal flg =1が記憶部73に記憶され(G8)、所定値より大きい場合はgoal flg =0が記憶部73に記憶される(G11)。なお、前記ステップG2において、算出結果がエラーと判断された場合は、所定の位置&方向補正処理が行われ(G10)、goal flg =0が記憶部73に記憶される(G11)。
【0063】
図14、図15は、図10のフローチャートに含まれる「位置算出処理」ルーチン(G1)の詳細を示すフローチャートである。図14、図15のステップM1〜M25に従って処理することで、前記CPU(演算手段)72による前記各送受波手段の間の距離の算出が正常に行われたかどうかを前記CPU(判定手段、比較手段)72が判定し、該CPU72の判定結果や比較結果に応じて異なる処理が行われる(図10のG2)。なお、図14、図15中この中で示されているxy座標値は、図16に示すように、移動体1の走行車輪6a,6bを結ぶ線分の中点を原点とし、6a,6bを結ぶ直線をx軸とし、x軸に直交する直線をy軸とした場合の位置を示し、点A,B,C,Dは、それぞれ、3a,3b,8b,8aの位置を示し、D1は予め記憶された3a,3b間の距離を示し、D2は予め記憶された8a,8b間の距離を示す。
【0064】
すなわち、CPU(判定手段、比較手段)72は、例えば、下記のようにして、距離の算出が正常に行われたかどうかを判定する。
【0065】
(1) L1,L2,L3,L4がすべて測定できた場合は、距離の算出が正常に行われたと判定する。
この場合、
(1-1)三角形ABCの3辺の長さから点Cの位置を算出し、
(1-2)三角形ABDの3辺の長さから点Dの位置を算出し、
(1-3)点Aを中心とする半径L1の円と、(1-2) で算出した点Dの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Cの位置を算出し、
(1-4)点Bを中心とする半径L4の円と、(1-1) で算出した点Cの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Dの位置を算出し、
(1-5)前記(1-1) で算出した点Cの位置と、(1-3) で算出した点Cの位置の平均値を点Cの位置とし、
(1-6)前記(1-2) で算出した点Dの位置と、(1-4) で算出した点Dの位置の平均値を点Dの位置とすることで、
点C,Dの位置を決定する。
【0066】
(2) L1,L3,L4が測定できて、L2が測定できなかった場合は、距離の算出が正常に行われたと判定する。
この場合、
(2-1)三角形ABDの3辺の長さから点Dの位置を算出し、
(2-2)点Aを中心とする半径L1の円と、(2-1) で算出した点Dの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Cの位置を算出することで、
点C,Dの位置を決定する。
【0067】
(3) L1,L2,L4が測定できて、L3が測定できなかった場合は、距離の算出が正常に行われたと判定する。
この場合、
(3-1)三角形ABCの3辺の長さから点Cの位置を算出し、
(3-2)点Bを中心とする半径L4の円と、(3-1) で算出した点Cの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Dの位置を算出することで、
点C,Dの位置を決定する。
【0068】
(4) 一方、下記の場合は距離の算出が正常に行われなかった(エラー)と判定する。
(4-1)L1が測定できなかった場合
(4-2)L4が測定できなかった場合
(4-3)L2とL3がどちらも測定できなかった場合
(4-4)L1+L2が、D1より小さい場合
(4-5)L3+L4が、D1より小さい場合
(4-6)L1とL2との差の絶対値がD1より大きい場合
(4-7)L3とL4との差の絶対値がD1より大きい場合
【0069】
図17A〜Cは、図10の移動処理のフローチャートに含まれる「位置&方向補正処理」(G10)を説明する平面図である。距離L1〜L4が測定できたかどうかの判別は、図14に示す位置算出処理内で行われるが、送波してから所定時間内に受波しなかった場合や、送波してから受波するまでの時間が所定値以下であった場合を測定失敗とみなし、また、L1とL2の合計が、移動体1の超音波センサー間の距離D1より短かった場合や、L3とL4の合計が、ステーション13側の超音波センサー間の距離(D2)より短かった場合などの正常には有り得ない計測結果を測定失敗とみなして所定の移動や姿勢変更の処理を行う。その具体例は、図17A〜Cに示すとおりである。超音波受波手段は指向性を有しているので、超音波の入射角が大きい場合に測定エラーとなる性質を利用して、ステーション13と移動体1とのラフな相対位置関係を推測して移動するのである。
【0070】
<第2実施例>
次に、第2実施例について、説明する。なお、以下の実施例において、第1実施例と同様の構成については、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その詳しい説明および図示を省略する。
【0071】
本実施例においては、第2の制御装置12のCPU82が演算手段、判定手段、比較手段の機能を有する。
前記第1の制御モードにおいては、第1の受波手段3a,3bが超音波を受波するように制御され、第1の送波手段2a,2bが超音波を送波してから第1の受波手段3a,3bが該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記CPU(演算手段)72が前記第1の送波手段2a,2bから障害物までの距離を算出する。
【0072】
前記第2の制御モードにおいては、前記第2の受波手段9a,9bが超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段2a,2bが超音波を送波してから前記第2の受波手段9a,9bが該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記CPU(演算手段)82が第1の送波手段2a,2bから第2の受波手段9a,9bまでの距離を算出する。
【0073】
本実施例では、モードの切替を設けなくてもよく、図27のように、第1の受波手段3a,3bおよび第2の受波手段9a,9bが、第1の送波手段2a,2bから送波された同じ超音波を受波するように制御されてもよい。このようにすれば、1回の超音波の送波で2つの距離を計測することができる。
【0074】
また、前記第1実施例では、前記「ラフな方向合わせ」や「目標位置への移動処理」においてステーション13から送波した超音波を移動体1が受波するように構成したが、本実施例では、逆に、移動体1から送波した超音波をステーション13が受波するように構成するようにしており、超音波の送波から受波までの時間の算出や距離の計測をステーション13側のCPU82が行う。
【0075】
なお、本実施例では、ステーション13側で行った計測結果をステーション13から移動体1に送信するか、もしくは、ステーション13から移動体1に該計測結果に基づく移動命令を送信するようにしても良い。
【0076】
本実施例では、図9、図11のフローチャートに示す流れに代えて、移動体1から送波した超音波パルスをステーション13側で受ける場合の図12、図13のフローチャートに示す流れで移動処理が行われる。なお、図12の各ステップJ1〜J13は第1の制御装置7の制御の流れを示し、図13の各ステップK1〜K11は第2の制御装置12の制御の流れを示す。
【0077】
<第3実施例>
本実施例では、目標物13が移動可能な構成とされており、該目標物13の移動は制御手段により制御され、所定の場合に、該目標物が移動するように制御される。
以下、前記第1実施例の移動体1と同様の構成(図1A,B、図2A)を有する移動体を2台用いた場合(移動体101,102)を例にとって説明する。この場合、両移動体101,102は互いに相手をステーション(目標物)13として前記第1または第2実施例と同様の動作を行うことができる。
【0078】
2台の移動体の位置合わせ:
図18A〜Dは、2台の移動体101,102が、それぞれ相手側をステーションとみなして位置計測を行い、相手の移動体の回転中心O1,O2の位置を算出して、その方向に向くように回転することによって、2台の移動体が正対し、所定の相対位置に移動する流れを示している。なお、同図中、A,Bは、それぞれ、第1の移動体101側の送受波手段2a,3aと2b,3bとを示し、C,Dは、それぞれ、第2の移動体102側の送受波手段2a,3aと2b,3bとを示す。
【0079】
図18Aのように、第1の移動体101の制御装置7(図2A)は、第2の移動体102の送受波手段C,Dが超音波を送波してから、第1の移動体の送受波手段A,Bがその超音波を受波するまでの時間を計測することにより、第2の移動体102の複数の送受波手段C,Dと第1の移動体101の複数の送受波手段A,Bとの間の複数の距離値L1〜L4を計算する。そして、その複数の距離値L1〜L4と、予め記憶されている第2の移動体102の旋回中心O2と送受波手段C,Dとの位置関係の情報に基づいて、第1の移動体101から見た第2の移動体102の旋回中心O2の方向(角度θ1)を算出する(図18B)。角度θ1の算出は、例えば、前記第1実施例の図10で示した方法で算出される。
【0080】
同様に、第2の移動体102の制御装置7(図2A)は、第1の移動体101の送受波手段A,Bが超音波を送波してから、第2の移動体の送受波手段C,Dがその超音波を受波するまでの時間を計測することにより、第1の移動体101の複数の送受波手段A,Bと第2の移動体102の複数の送受波手段C,Dとの間の複数の距離値L1〜L4を計算する。そして、その複数の距離値L1〜L4と、予め記憶されている第1の移動体101の旋回中心O1と送受波手段A,Bとの位置関係の情報に基づいて、第2の移動体102から見た第1の移動体101の旋回中心O1の方向(角度θ2)を算出する(図18B)。
【0081】
そして、前記角度θ1,θ2に基づいて各移動体101,102を回転させる(姿勢変更する)。すなわち、図18Cのように、第1の移動体101が前記算出された角度θ1だけ反時計周りに回転し、第2の移動体102が前記算出された角度θ2だけ反時計回りに回転することで、各移動体101,102を互いに正対させる。この正対の後、図18Dのように、第1の移動体101は、第2の移動体102を目標物として、正対の姿勢を維持した状態で、第2の移動体102に向かって前進する。
【0082】
複数の移動体を用いたジグザグ走行の例:
図19は、第2および第3の移動体102,103を用いて、第1の移動体1がジグザグ走行することを示す。第3の移動体103は、第2の移動体と同様の構成である。この場合、第1の移動体1は目標物としての第2または第3の移動体102,103に向かって直進走行し、さらに、目標物としての移動体102、103が前記第1の移動体101の直進方向95に略直交する幅方向96に移動するので、広い面積でのジグザグ走行作業を正確に行なえる。
【0083】
第1の移動体101が第2および第3の移動体102,103に向かって直進する制御は、第1の移動体101が直進しながら、繰り返し、所定の姿勢調整を行うことで行われる。すなわち、第1の移動体101上の2つの異なる点A,Bと、第2の移動体上の1つの点との間の距離L1,L2を計測し、該距離値L1,L2が等しくなるように方向を修正しながら直進することにより、第2の移動体102に向かって直進する。たとえば、第1の移動体101の送受波手段A,Bと第2または第3の移動体102,103の送受波手段との距離L1,L2を計測し、L1>L2の場合、右へカーブ(時計回りに姿勢変更)し、L1<L2の場合、左へカーブ(反時計回りに姿勢変更)する。
【0084】
そして、第1の移動体101と第2または第3の移動体102、103との間の距離が所定の距離以下になるか、あるいは、第1の移動体101が所定の距離進んだことを検出して、該移動体102、103へ向かっての直進を終了して、横方向96へ移動する。
【0085】
第1の移動体101はジグザグ走行を行なうため、走行距離が長く、目標物がないと走行中にジャイロセンサー(方向センサー)の累積誤差によって走行方向にずれが生じるが、第1の移動体101の複数の超音波送受波手段A,Bと目標物(移動体102,103)の送受波手段との距離が等しくなるように移動体1の走行方向を制御することにより、目標物に向かってまっすぐに直進することが可能になる。
【0086】
一方、第2の移動体102は、第1の移動体1が往路走行中は停止しており、第1の移動体101が第2の移動体102へ向かっての直進を終了した後に、第1の移動体1が横移動中及び復路走行中に、所定距離だけ横方向96に移動して次の往路位置に移る。
【0087】
第3の移動体103は、第1の移動体1が復路走行中は停止しており、第1の移動体101が第3の移動体103へ向かっての直進を終了した後に、第1の移動体1が横移動中及び往路走行中に、所定距離だけ横方向96に移動して次の復路位置に移る。
【0088】
該移動体2,3の移動距離は移動体1に比べて小さく作業中のジャイロセンサーの累積誤差も小さいため、ジャイロセンサーによる直進制御だけで十分に正確な直進が可能である。また、図19に示すように、第1の移動体101の目標物である第2の移動体102、第3の移動体103の直進のためのガイド91,92を設けて、第1の移動体101と同様の方法でL5=L6とした状態で、第2および第3の移動体102,103がガイド91,92に向かって直進するようにしても良く、その場合は高価なジャイロセンサーを省くことができる。
【0089】
図20、図21は、目標物に向かって直進する場合の制御の別の例を示す。本例では、L1とL2を同時に測定するのではなく、所定の時間間隔を空けて、順次、測定するように構成している。すなわち、距離L1を測定した時点での走行距離D1と、距離L2を測定した時点での走行距離D2とは異なる。
【0090】
超音波センサーを障害物センサーとして使用する場合、送波・受波を、一つずつ順次行なうように構成することが一般的に行なわれるため、障害物検出と目標物検出を同じセンサーで行なう場合には、本実施例のように、受波手段を一つずつ順次、受波するように構成すると回路の構成が簡単になる。
【0091】
この例の場合、L1の測定からL2の測定の間に、移動体が(D2−D1)だけ進んでいるので、L1とL2の比較の際に、この進んだ距離を考慮に入れて行なうことにより、正確な比較を行なうことができる。
【0092】
この制御は、例えば、図21のフローチャートのステップS1〜S8に従って行われる。すなわち、第1の移動体101が直進中、障害物検知モードで左横、右横、左前、右前の障害物までの距離を測定し、障害物対応処理を行い(S1,S2)、目標検知モードで目標(第2の移動体102)の右横超音波センサーDと第1の移動体101の左前超音波センサーBとの距離L1を計測し(S3)、L1計測の際の走行距離D1を記憶し(S4)、所定時間の後、目標検知モードで目標(第2の移動体102)の右横超音波センサーDと第1の移動体101の右前超音波センサーAとの距離L2を計測し(S5)、L2計測の際の走行距離D2を記憶し(S6)、L1>L2+(D2−D1)の場合、右へカーブするよう制御され、L1<L2+(D2−D1)の場合、左へカーブするよう制御され(S7)、次いで、距離L2が所定値以下か否かを判断して(S8)、所定値以下ならば移動体101の前進を停止させ、所定値より大きいならば、再びステップS1に戻る。
【0093】
図21におけるL1計測のフローは、図22のフローチャートに従って行われ、L2計測のフローは図23のフローチャートにしたがって行われる。この場合の目標物(移動体102)側の制御フローは、図24のとおりである。
【0094】
図25、図26は、目標物に向かって直進する前に、移動体の方向を目標物に向かうように方向(姿勢)を修正する工程を説明する平面図とフローチャートである。
図25に示すように、第1の移動体101は、その場で旋回をしながら、L1とL2を計測し、L1とL2の値がほぼ等しくなった時にその場旋回を停止することにより、直進開始時の走行方向を目標物に向かう方向に修正することができる。その詳しい制御は、図26のとおりである。
【0095】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、目標物としては、充電ステーションに限らず、清掃ロボットのゴミ回収装置であってもよいし、単に移動体の方向を定めるガイドのようなものであってもよい。
また、前記実施例では、移動体、目標物の双方に、送波手段と受波手段を設けたが、一方に送波手段、他方に受波手段を設ける構成としてもよい。送信手段および受信手段についても同様である。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、自走して清掃やワックス塗布などの作業を行う自走式作業ロボットの他、全方向移動機能を有し人を乗せて所定の座席位置まで自律走行で移動するインテリジェント電動車椅子などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】AおよびBは、それぞれ、本発明の第1実施例にかかるシステムを示す平面図、同側面図である。
【図2】Aは同システムの構成を示す概略構成図、Bは超音波パルスを走波する送波手段と超音波パルスを受波する受波手段を示す斜視図である。
【図3】本自律移動ロボットが障害物を検出する原理を示す側面図である。
【図4】本実施例の自律移動ロボットが、充電などのメンテナンスを行なうステーションとの間で自動メンテナンス作業を行なう際の流れを示すフローチャートである。
【図5】A〜Cは、それぞれ、図4のフローチャートの「ラフな方向合せ」の例を示す平面図である。
【図6】A〜Eは、それぞれ、「ラフな方向合せ」の別の例を示す平面図である。
【図7】A〜Dは、それぞれ、「ラフな方向合せ」の別の例を示す平面図である。
【図8】A〜Cは、それぞれ、自律移動ロボットがステーションに対する所定の位置(目標位置)へ移動する移動処理を示す平面図である。
【図9】第1の制御装置における目標位置の計測および移動の流れを示すフローチャートである。
【図10】移動処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】第2の制御装置における目標位置の計測の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2実施例における第1の制御装置における目標位置の計測および移動の流れを示すフローチャートである。
【図13】同第2の制御装置における目標位置の計測の流れを示すフローチャートである。
【図14】図10のフローチャートに含まれる「位置算出処理」ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図15】図10のフローチャートに含まれる「位置算出処理」ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図16】位置算出処理を示す平面図である。
【図17】A〜Cは、それぞれ、図10のフローチャートに含まれる「位置&方向補正処理」を示す平面図である。
【図18】A〜Dは、それぞれ、第3実施例の2台の移動体が、所定の相対位置に移動する流れを示す平面図である。
【図19】同2台以上の移動体を用いて広い面積でのジグザグ走行作業を行うことを示す平面図である。
【図20】目標物に向かって直進する場合の別の例を示す平面図である。
【図21】目標物に向かって直進する場合の別の例を示すフローチャートである。
【図22】L1計測のフローを示すフローチャートである。
【図23】L2計測のフローを示すフローチャートである。
【図24】目標物側のフローを示すフローチャートである。
【図25】目標物に向かって直進する前に、移動体の方向を目標物に向かうように修正する工程を示す平面図である。
【図26】目標物に向かって直進する前に、移動体の方向を目標物に向かうように修正する工程を示すフローチャートである。
【図27】第2実施例における移動体と障害物および目標物との距離計測を示す平面図である。
【符号の説明】
【0098】
1:移動体
2a,2b,2c,2d :第1 の送波手段 2a,2b は前方向 2cは右横方向 2dは左横方向
3a,3b,3c,3d :第1 の受波手段 3a,3b は前方向 3cは右横方向 3dは左横方向
4 :第1 の送信手段
5a,5b,5c,5d :第1 の受信手段
7 :第1 の制御装置
8a,8b :第2 の送波手段
9a,9b :第2 の受波手段
10:第2 の送信手段
11:第2 の受信手段
12:第2 の制御装置
13:ステーション
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物との距離を計測する自律走行移動体のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自律移動ロボットの自動充電システムや、自律移動清掃ロボットの自動ゴミ回収システムなどでは、充電装置やゴミ回収装置と自律移動ロボットの位置合せが重要となる。また、作業環境に目標となる壁などが無い広いスペースにおいて正確な位置計測を行なうには、ビーコンやマーカーなどの目標物を環境に設置し、その目標物との相対位置を計測する機能が必要になる場合がある。
【0003】
従来、このような場合は、超音波と赤外線信号や無線信号とを組み合わせた位置計測システムが用いられてきた。かかる位置計測システムとしては、下記の特許文献がある。
【特許文献1】特開2001-051720 号(要約書)
【特許文献2】特開平8-54926 号(要約書、請求項2、図2)
【特許文献3】特開2003-15740号(要約書)
【特許文献4】特開2002-333920 号(要約書、請求項6)
【0004】
前記特許文献1では、車輌の2つの位置に設置される送受信手段と、駐車スペースの4つの固定点に設置された4つの返信手段とを備え、各送受信手段は、それぞれ異なる2つの返信手段と通信を行ってそれぞれの間の距離を検出し、検出された距離に基づいて車輌位置を算出する車輌位置検出装置が開示されている。
特許文献1では、車輌の2箇所の位置を検出するために、車輌側に送信手段が2個必要である、位置計測専用の受信装置が必要である、目標物(返信手段)が固定設置のため、移動範囲をカバーする多くの目標物が必要になる等の問題がある。
【0005】
前記特許文献2では、特定の識別同期信号を受信した場合のみ超音波を送波する複数の超音波送波装置と、移動ロボット側に識別同期信号送信装置と、1組の超音波受波装置とを備え、移動ロボット側で、識別同期信号送波から複数の超音波送波装置からの超音波を受信するまでの時間を計測し、位置と走行方向を計測する自律移動ロボットの誘導装置が開示されている。
特許文献2では、各超音波送波装置毎に異なる識別同期信号を送信しなければならない、位置計測専用の超音波受波装置が必要である等の問題がある。
【0006】
前記特許文献3では、作業用移動体と、移動機能を有する位置合わせ用基準板(ガイド)と、位置合わせ用基準板の移動のための誘導ラインとを備え、作業用移動体の超音波式距離計で、位置合わせ用基準板までの距離を測定し、その距離が一定になるように走行制御する作業用移動体の移動制御装置が開示されている。
特許文献3では、ジグザグ走行における横幅方向の位置のみを計測するためのものであり、縦方向の位置を計測することはできない、位置合わせ用基準板の移動のための誘導ラインの設置が大掛かりになる等の問題がある。
【0007】
前記特許文献4では、作業用移動体と、作業用移動体の目標走行方向と垂直な方向に移動する機能を有する位置合わせ基準板(ガイド)とを備えた作業用移動体の移動制御装置が開示されている。
特許文献4では、ジグザグ走行における横幅方向の位置のみを計測するためのものであり、縦方向の位置を計測することはできない、自律移動ロボットが位置合わせ基準板(ガイド)の真横に位置したときにしか位置計測を行なうことができない等の問題がある。
【発明の開示】
【0008】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、簡単な構成で移動体と目標物との距離を算出し得る自律走行移動体のシステムを提供することである。
【0009】
本発明の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、前記目標物は、超音波を送波する第2の送波手段を有し、前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御し、前記第1の制御モードにおいては、前記第1の送波手段が超音波を送波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、前記第2の制御モードにおいては、前記第2の送波手段が超音波が送波するように制御され、前記第2の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第2の送波手段から前記第1の受波手段までの距離を算出する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の別の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1の送波手段および第1および第2の受波手段を制御し、前記第1の制御モードにおいては、前記第1の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、前記第2の制御モードにおいては、前記第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、ことを特徴とする。
【0011】
これらの態様によれば、自律走行移動体に超音波の送受波手段を搭載し、障害物検知を行う第1制御モードと、目標物位置検知を行う第2制御モードの2種類の制御モードとを設けることにより、障害物検出用の超音波距離センサーと、目標物との位置計測用超音波センサーを兼用することが可能になる。すなわち、自律走行移動体に目標物との位置計測専用の超音波受信装置を搭載する必要がなく、あるいは、目標物に位置計測専用の超音波送波装置を設ける必要がなく、装置の簡単化を図ることができる。
【0012】
なお、本発明において、制御手段は必ずしも一体に設けられる必要はなく、移動体側の第1の制御装置と目標物側の第2の制御装置とで制御手段が構成されてもよい。この場合第1の制御装置は移動体側の送受波手段や移動体の移動および姿勢変更を制御するものであり、第2の制御装置は目標物側の送受波手段や目標物の移動および姿勢変更を制御するものであってもよい。
【0013】
本発明の更に別の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、前記第1および第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出すると共に、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、ことを特徴とする。
【0014】
このようにすれば、2つの受波手段が並行して受波動作を行う、即ち移動体から送波された超音波を目標物が受波し、該超音波の反射波を移動体が受波することで移動体側からの1度の送波だけで、移動体と障害物との間の距離および移動体と目標物との間の距離とを測定することができる。
【0015】
本発明の更に別の1つの態様は、自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、前記自律走行移動体または目標物の一方に、超音波を送波する一対の送波手段が互いに離間して設けられ、他方に超音波を受波する一対の受波手段が互いに離間して設けられており、前記各送波手段および各受波手段と前記自律走行移動体の移動および姿勢とを制御する制御手段が設けられており、前記各送波手段が超音波を送波し、かつ、該超音波を前記各受波手段が受波するように制御され、前記各送波手段が超音波を送波してから前記各受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記各第1の送波手段から前記各第2の受波手段までの距離の少なくとも3つの距離を算出し、前記一対の第2の送波手段のうちの一方からの超音波の送波と、他方からの超音波の送波とが、所定の時間間隔を空けて行われるように、前記各送波手段が制御されることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、2つの送波手段からの超音波の送波を所定の間隔を空けて行うので、各送波手段と各受波手段との間の複数の距離を計測する場合に複数の距離の計測を所定の順序で行うように制御することにより、各目標物ごとに異なる識別同期信号を送信する必要がなくなり、システムの簡略化を図ることができる。
【0017】
本発明においては、前記自律走行移動体と目標物との間で超音波の送波のタイミングを認識するための信号を送受信する送信手段および受信手段が設けられていてもよい。
【0018】
このようにすれば、超音波送波のタイミングを、超音波が送波されてから受波されるまでの時間を算出する側で認識することができる。
【0019】
本発明の好適な態様においては、前記自律走行移動体は、指向性を有する信号を送信する第1の送信手段を更に有し、前記目標物は、前記信号を受信する第2の受信手段を更に有し、前記第1の送信手段および第2の受信手段は前記制御手段により制御され、前記自律走行移動体の姿勢を変更しながら第1の送信手段が前記信号を繰り返し送信する動作を行い、該動作において前記信号を第2の受信手段が受信することを条件として前記自律走行移動体の姿勢変更を停止するように制御されることで、前記自律走行移動体の前記目標物に対する姿勢を調整する。
【0020】
本発明の別の好適な態様においては、前記演算手段により算出された前記各送波手段と前記各受波手段との間の複数の距離を比較する比較手段が設けられており、前記算出された距離のうち、前記送波手段の一方からの前記各受波手段までの2つの距離、または、前記受波手段の一方からの前記各送波手段までの2つの距離を、前記比較手段が比較し、該比較手段の比較結果に応じて前記自律走行移動体の姿勢変更が行われるように制御される。
【0021】
本発明の更に別の好適な態様においては、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離が正常に算出されたか否かを判定する判定手段が設けられ、前記演算手段による前記各送波手段と前記各受波手段との間の距離の算出が正常に行われたかどうかを前記判定手段が判定し、該判定手段の判定結果に応じて前記自律走行移動体の移動および/または姿勢の変更が行われるように制御される。
【0022】
かかる好適な態様によれば、正確な位置計測の前段階として、大まかな目標物の方向検出および移動体の姿勢変更や移動を行なうステップを設けることができ、目標物と自律移動ロボットが離れている場合や、方向が大きくずれている場合でも、正確な位置合せができる。これらの好適な態様は組み合わせて用いられてもよい。
【0023】
特に前記第1の送信手段および第2の受信手段を設けることにより、正確な位置計測を行なう前に、目標物と移動体がどのような位置、方向の関係にあっても、ラフな方向補正を行なうことができる。
【0024】
本発明において、前記目標物は移動可能であり、前記目標物の移動は前記制御手段により制御され、所定の場合に、前記目標物が移動するように制御されてもよい。
【0025】
目標物(超音波送波装置または受波装置)を移動可能な構成とすることにより、迅速な位置合せが可能となり自動充電や自動ゴミ回収などの作業効率を向上させたり、作業時の目標物の設置台数を大幅に削減することができる。
【0026】
また、目標物へ向かう正確な直進走行を可能とし、さらに目標物を移動可能とすることにより、ジグザグ走行の走行レーンごとに目標物を設置する必要が無くなり、簡単な構成で、広い面積での正確なジグザグ走行を可能とする。前記目標物は別の自律走行移動体であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第1実施例>
以下、本発明の第1実施例を図面に従い説明する。
図1A,Bに示すように、本実施例のシステムは、床面を自走する移動機能を有する自律走行移動体(以下、「移動体」という。)1と該移動体1が向かう充電ステーション13(目標物の一例)とを備えており、移動体1の充電を自動的に行うシステムである。
【0028】
移動体:
移動体1は、超音波を送波する4つの第1の送波手段2a,2b,2c,2dと、超音波を受波する4つの第1の受波手段3a,3b,3c,3dと、第1の送信手段、4と、4つの第1の受信手段5a,5b,5c,5dと、駆動モータ(図2)に接続された一対の走行車輪6a,6bと、超音波の送受波、信号の送受信および駆動モータの駆動などを制御する第1の制御装置7とを備える。
【0029】
前記第1の送波手段2a,2b,2c,2dは互いに水平方向に離間して設けられており、両サイドに設けられて互いに幅方向に離間したサイド送波手段2a,2bは概ね前方へ向かって超音波を送波し、前側に設けられたフロント送波手段2c,2dは概ね側方に向かって(2cは右側方に向かって,2dは左側方に向かって)超音波を送波する。
【0030】
前記第1の受波手段3a,3b,3c,3dは互いに水平方向に離間して設けられており、両サイドに設けられて互いに幅方向に離間したサイド受波手段3a,3bは概ね前方からの超音波を受波し、前側に設けられたフロント受波手段3c,3dは概ね側方からの(3cは右側方からの,3dは左側方からの)超音波を受波する。
【0031】
前記各第1の送波手段2a,2b,2c,2dおよび各第1の受波手段3a,3b,3c,3dは、図2Bのように1つの筐体の上下に配置されて構成されている。したがって、2aと3a、2bと3b、2cと3c、2dと3dとは水平方向に概ね同じ位置にある。送波・受波兼用タイプの超音波センサを用いてもよい。
【0032】
第1の送信手段4は、指向性を有する光信号を送信して各種データの送信を行う。第1の受信手段5a,5b,5c,5dは全方向からの光信号を受信して各種データの受信を行う。
また、移動体1には、第1の計時手段(タイマ)7t(図2A)が設けられており、該第1の計時手段7tは、計時機能を有する。
【0033】
図2Aに示すように、前記各手段2a〜2d,3a〜3d,4,5,7tは、第1の制御装置7に接続されている。第1の制御装置7は、CPU72およびROM、RAMの記憶部73からなるマイコン71を備え、超音波の送受波、信号の送受信、移動体1の移動および姿勢変更などを制御する。CPU72は、前記計時手段7tにより計測された超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段や、前記演算手段により算出された複数の距離を比較する比較手段や、距離が正常に算出されたか否かを判定する判定手段などの機能を有する。記憶部73には、移動体1内の送受波手段2a〜2d,3a〜3d等の相互の位置関係や所定のプログラムが記憶されている。また、記憶部73には、測定した時間や距離などを記憶可能である。
【0034】
前記第1の制御装置7には、走行車輪を駆動させる一対の駆動モータ61,62が接続されている。制御装置7は、該駆動モータ61,62を制御して、移動体1を前進または後退させたり、その姿勢を変更したりすることができる。
【0035】
直進走行時には、前記2つの駆動モータ61,62が同方向に回転することで、移動体1は前進または後退することができる。回転動作を行う際には、前記2つの駆動モータ61,62がそれぞれ逆方向に回転することで、移動体1は所定の回転中心のまわりに回転(姿勢変更)することができる。なお、前記2つの駆動モータ61,62の回転の比率を制御することで、走行アセンブリ1はカーブ走行を行うこともできる。
なお、移動体1の回転角度を測定するジャイロセンサ(図示せず)や移動体1の移動した移動距離を測定する移動距離測定手段(図示せず)が移動体に設けられており、前記第1の制御装置7に接続されている。
【0036】
ステーション:
図1A,Bに示すように、ステーション13は、略コ字状の本体部13aを有し、該本体部13aの内側の収容スペースに前記移動体1を収容し(図8C)、図示しないコネクタを介して外部の電源に接続され移動体1の充電を行う。
【0037】
ステーション13は、超音波を送波する一対の第2の送波手段8a,8bと、超音波を受波する一対の第2の受波手段9a,9bと、第2の送信手段10と、第2の受信手段11と、超音波の送受波、信号の送受信などを制御する第2の制御装置12とを備えている。
【0038】
各第2の送波手段8a,8bおよび各一対の受波手段9a,9bは、前記本体部13aの両サイドの先端部に設けられており、第2の送信手段10および第2の受信手段11と本体部13aの内側奥に設けられている。第2の送信手段10は、前記本体部13aの上端に設けられており、指向性のある光信号を送信する。
【0039】
前記各第2の送波手段8a,8b、各第2の受波手段9a,9b、第2の送信手段10、第2の受信手段11は前記移動体1の送受波手段や送受信手段と同様のものを使用することができる。
また、ステーション13には、第2の計時手段(タイマ)12t(図2A)が設けられており、該第2の計時手段12tは計時機能を有する。
【0040】
図2Aに示すように、前記各手段8a,8b,9a,9b、10,11,12tは第2の制御装置12に接続されている。第2の制御装置12はCPU82およびROM、RAMの記憶部83からなるマイコン81を備え、超音波の送受波および信号の送受信を制御する。記憶部83には、ステーション13内の送受波手段8a,8b,9a,9bの相互の位置関係や所定のプログラムなどが記憶されている。
【0041】
前記第1の制御装置7および第2の制御装置12とから、超音波の送受波、信号の送受信、移動体1の移動や姿勢変更などを制御する制御手段が構成されている。
【0042】
動作:
次に、本システムの動作を説明する。本システムは、移動体1と障害物90(図2A)との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、移動体1と目標物13との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記第1および第2の制御装置7,13により制御される。
【0043】
第1の制御モード(障害物検知モード);
第1の制御モードでは、図3のように、移動体1と障害物90との間の距離が計測される。このモードによる距離の測定は、一般的に障害物センサーとして用いられる周知の方法であり、このモードは、たとえば、移動体1が障害物90を検知しながら移動する際に行われる。
【0044】
このモードでは、第1の送波手段2a,2bが超音波を送波するように制御され、前記第1の送波手段2a,2bが超音波を送波してから、該超音波が障害物90に反射した反射波を前記第1の受波手段3a,3bが受波するまでの時間を前記第1の計時手段7tが計測し、該時間に基づいて(たとえば、時間に音速を乗じて所定の補正処理を行って)CPU(演算手段)72が第1の送波手段2a,2bから障害物90までの距離を算出する。各第1の送波手段2a,2bからの超音波の送波は所定の時間間隔を空けて行われてもよい。このモードにおいては、第2の送波手段8a,8bが超音波を送波しないように制御されてもよい。超音波を送波してから受波するまでの時間に基づいて距離を算出する方法としては、例えば、特開平8−54926や特開2000−56006に開示されている方法を用いることができる。
【0045】
第2の制御モード(目標検知モード);
第2の制御モードでは、移動体1とステーション13との間の複数の距離が計測される。このモードは、移動体1に対するステーション13の相対位置を算出する場合に行われる。
この第2の制御モードにおいては、第2の送波手段8a,8bが超音波を送波するように制御され、第2の送波手段8a,8bが超音波を送波してから前記第1の受波手段3a〜3dが該超音波を受波するまでの時間に基づいて、CPU(演算手段)72が第2の送波手段8a,8bから前記第1の受波手段3a〜3dまでの距離を算出する。各第2の送波手段8a,8bからの超音波の送波は所定の時間間隔を空けて行われてもよい。このモードにおいては、第1の送波手段2a,2bが超音波を送波しないように制御されてもよい。
【0046】
自動メンテナンス:
本システムでは、移動体1をステーション13に収容して充電を行う自動メンテナンスが行われる。以下、前記第1および第2の制御モードで運転して自動メンテナンスを行う工程を例に説明する。
【0047】
図4に示すように、自動メンテナンスは、呼びかけ信号を送受信して、ラフな方向合わせを行った後に、目標位置(ステーション13の位置)の計測および目標位置への移動が行われて、メンテナンス作業(充電)が行われる。
【0048】
ラフな方向合わせ;
例えば清掃などの所定の作業を終えた場合に、自動メンテナンスのフローが開始される。この際、所定の呼びかけ信号の送受信や超音波の送受波により、ステーション13に対する移動体1のラフな方向合わせが行われる。
【0049】
図5A〜Cは、図4のフローチャートの「ラフな方向合せ」の例を示す図である。この例では、図5Aのように移動体1の第1の送信手段4は、移動体が回転して姿勢(向き)を変えながら、繰り返し、所定の角度の指向性を有する呼びかけ信号を送信する。そして、図5Bのように移動体1がほぼステーション13の方向を向いた時にだけ、ステーション13の第2の受信手段11が呼びかけ信号を受信する。第2の受信手段11が呼びかけ信号を受信すると、図5Cのように第2の送信手段10が所定の返信信号を送信する。移動体1の第1の受信手段5a〜5dは全方向からの信号を受信するようになっているので、ステーション13からの返信信号を受信する。結果として、移動体1の第1の制御装置7は移動体1がほぼステーション13の方を向いている事を認識し、回転を停止する。このようにして、移動体1のステーション13に対する姿勢が調整される。
【0050】
図6、図7は、図4のフローチャートの「ラフな方向合せ」の別の例を示す図である。この例では、ステーション13が第2の送信手段10から所定の呼びかけ信号を送信し、移動体1の第1の受信手段5a〜5dは全方向からの信号を受信するように構成されているので、前記呼びかけ信号を受信し、その後に超音波の送受波により移動体1の姿勢の調整などが行われる。前記図5の例の動作が行われた後に本例の動作が行われてもよい。
【0051】
本例では、前記呼びかけ信号の送信の後、所定の時間間隔を空けて、所定の順序で各第2の送波手段8a,8bから超音波パルスを送波する。したがって、移動体1の第1の制御装置7は前記呼びかけ信号の受信時刻に基づいて所定の間隔を空けた各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波のタイミングを認識する。
【0052】
移動体1には互いに異なる方向を向いた第1の受波手段5a〜5dが搭載されており、所定の時間間隔、所定の順序で第1の受波手段5a〜5dが超音波パルスを受波する時刻を前記第1計時手段7tにより計測して、各第2の送波手段8a,8bから送波された超音波が各第1の受波手段5a〜5dに受信されるまでの各々の時間に基づいて、8a,8bのうちの1つと、3a,3b,3c,3dのうちの1つとの全ての組み合わせの距離を前記CPU(演算手段)72が算出し、それぞれの距離が正常に算出されたかどうかを前記CPU(判定手段)72が判定する。超音波を正常に受波しない場合は、距離が正常に算出されなかったと判定される。
【0053】
そして、正常に算出された距離値と正常に算出されなかった距離値との組み合わせの種類に応じて、移動体1の姿勢(方向)や位置を変更する。このようにして、移動体1のステーション13に対する位置や姿勢が調整される。本例の具体的なケースは、例えば、図6A〜D、図7A〜Dに示すとおりである。
【0054】
目標位置への移動処理;
次に、目標位置(ステーション13の位置)の計測および目標位置への移動処理について説明する。この処理では、たとえば、移動体1が図8Aに示す位置にいる場合には距離L1〜L4が算出されて、目標位置が計測される。この計測結果に従って、図8Bのように移動体1がステーション13に正対する(移動体1がステーション13の収容スペースの前方にあり、所定の位置関係および姿勢で向かい合う状態)ように移動してステーション13に収容される。なお、図8、図16、図17、図18では、第1の送波手段2a〜2dのうち2a,2b、第1の受波手段3a〜3dのうち、3a,3bのみを用いた例で説明し、2c,2d,3c,3dの図示を省略する。
【0055】
前記目標位置の移動処理は、図9、図11のフローチャートに示す流れで行われる。この流れにおける移動体1とステーション13との距離計測は、前記第2の制御モードで行われる。以下、図9、図11にしたがって、移動処理の流れを説明する。なお、図9の各ステップF1〜F12は第1の制御装置7の制御の流れを示し、図11の各ステップH1〜H10は第2の制御装置12の制御の流れを示す。
この流れは、移動体1が停止し、第2の制御モードに切り替わった状態(測定準備ができた状態)で開始される。この移動体1の停止は、移動体1が移動中、電池電圧の低下を検出している状態でステーション13からの呼びかけ信号を第1の受信手段5a〜5dが受信した場合等に行われるようにすると良い。
【0056】
移動体1が停止中に、ステーション13の第2の送信手段10から計測開始信号が送信され(H1)、該計測開始信号を第1の受信手段5a〜5dが受信する(F1)。計測開始信号は前記呼びかけ信号と同一でもよい。計測開始信号から各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波のタイミングの情報(計測開始信号から超音波送波までの時間)は予め移動体に記憶されていても良いし、計測開始信号に含まれていてもよく、これにより、移動体1側で各超音波送波のタイミングおよび受波のタイミングを認識することができる。なお、計測開始信号は光信号であり速度は十分に早いので距離にかかわらず信号の伝播時間はゼロと見なすことができる。
【0057】
そして、第2の制御装置12は、前記計測開始信号の送信終了を認識した後、第2の計時手段12tをスタートさせ(H2)、所定の時間間隔(本例では50msec)を空けて、各第2の送波手段8a,8bが、順次2回ずつ超音波を送波するように制御する。
【0058】
すなわち、第2の計時手段12tのスタート後、第2の送波手段8bから1回目の超音波パルスを送波し(H3)、第2の計時手段12tが50msec経過するまで待機し(H4)、第2の送波手段8bから2回目の超音波パルスを送波し(H5)、第2の計時手段12tが100msec経過するまで待機し(H6)、第2 の送波手段8aから1回目の超音波パルスを送波し(H7)、第2の計時手段12tが150msec経過するまで待機し(H8)、第2の送波手段8aから2回目の超音波パルスを送波し(H9)、第2の計時手段12tが200msec経過するまで待機して、再びステップH1に戻るよう制御される。
【0059】
一方、第1の制御装置7は、前記計測開始信号の受信終了を認識した後、第1の計時手段7tをスタートさせ(F2)、前記第2の送波手段8a,8bからの超音波送波タイミングに同期して、各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波から各第1の受波手段3a,3bの超音波受波までの時間を計測して、CPU(演算手段)72が各第2の送波手段8a,8bと各第1の受波手段3a,3bとの間の距離L1〜L4(図8A)を算出する。
【0060】
すなわち、第1の計時手段7tのスタート後、第1の受波手段3aが前記第2の送波手段8bからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL1を算出し(F3)、第1の計時手段7tが50msec経過するまで待機し(F4)、第1の受波手段3bが前記第2の送波手段8bからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL2を算出し(F5)、第1の計時手段7tが100msec経過するまで待機し(F6)、第1の受波手段3aが前記第2の送波手段8aからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL3を算出し(F7)、第1の計時手段7tが150msec経過するまで待機し(F8)、第1の受波手段3bが前記第2の送波手段8aからの超音波パルスを受波した時の第1の計時手段7tの値からL4を算出し(F9)、所定の移動処理を行い(F10)、後述のgoal flgが1であるか否かの判断を行い(F11)、Yであれば前進してステーション13内に移動し(F12)、Nであれば再びステップF1に戻る。
【0061】
なお、本実施例では前記各第2の送波手段8a,8bからの超音波送波を2回ずつ行ったが、1回ずつにしてもよい。この場合、各送波について、各第1の受波手段3a,3bが受波を行うことで前記距離L1〜L4(図8A)が算出される。
【0062】
図10は、前記図9のフローチャートの所定の移動処理(F10)の詳細を示すフローチャートである。図10に示すように、前記移動処理は、まず算出された各距離L1,L2,L3,L4の値を基に、第2の送波手段8a,8bの位置を算出する位置算出処理が行われ(G1)、算出結果はエラーか否かがCPU(判定手段)72により判断され(G2)、エラーでない場合は、8a,8bの位置を基に8a,8bを結ぶ直線と、3a,3bを結ぶ直線の成す角θを算出する方向(姿勢)算出処理が行われ(G3)、8a,8bの位置を基に、移動体1の移動目標位置を算出する目標位置算出処理が行われた後(G4)、移動体1が移動目標位置に移動し(G5)、前記算出されたθに基づき、移動体1をステーション13に正対するように回転(姿勢変更)し(G6)、前記移動した距離が所定値以下か否かが判断され(G7)、所定値以下の場合はgoal flg =1が記憶部73に記憶され(G8)、所定値より大きい場合はgoal flg =0が記憶部73に記憶される(G11)。なお、前記ステップG2において、算出結果がエラーと判断された場合は、所定の位置&方向補正処理が行われ(G10)、goal flg =0が記憶部73に記憶される(G11)。
【0063】
図14、図15は、図10のフローチャートに含まれる「位置算出処理」ルーチン(G1)の詳細を示すフローチャートである。図14、図15のステップM1〜M25に従って処理することで、前記CPU(演算手段)72による前記各送受波手段の間の距離の算出が正常に行われたかどうかを前記CPU(判定手段、比較手段)72が判定し、該CPU72の判定結果や比較結果に応じて異なる処理が行われる(図10のG2)。なお、図14、図15中この中で示されているxy座標値は、図16に示すように、移動体1の走行車輪6a,6bを結ぶ線分の中点を原点とし、6a,6bを結ぶ直線をx軸とし、x軸に直交する直線をy軸とした場合の位置を示し、点A,B,C,Dは、それぞれ、3a,3b,8b,8aの位置を示し、D1は予め記憶された3a,3b間の距離を示し、D2は予め記憶された8a,8b間の距離を示す。
【0064】
すなわち、CPU(判定手段、比較手段)72は、例えば、下記のようにして、距離の算出が正常に行われたかどうかを判定する。
【0065】
(1) L1,L2,L3,L4がすべて測定できた場合は、距離の算出が正常に行われたと判定する。
この場合、
(1-1)三角形ABCの3辺の長さから点Cの位置を算出し、
(1-2)三角形ABDの3辺の長さから点Dの位置を算出し、
(1-3)点Aを中心とする半径L1の円と、(1-2) で算出した点Dの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Cの位置を算出し、
(1-4)点Bを中心とする半径L4の円と、(1-1) で算出した点Cの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Dの位置を算出し、
(1-5)前記(1-1) で算出した点Cの位置と、(1-3) で算出した点Cの位置の平均値を点Cの位置とし、
(1-6)前記(1-2) で算出した点Dの位置と、(1-4) で算出した点Dの位置の平均値を点Dの位置とすることで、
点C,Dの位置を決定する。
【0066】
(2) L1,L3,L4が測定できて、L2が測定できなかった場合は、距離の算出が正常に行われたと判定する。
この場合、
(2-1)三角形ABDの3辺の長さから点Dの位置を算出し、
(2-2)点Aを中心とする半径L1の円と、(2-1) で算出した点Dの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Cの位置を算出することで、
点C,Dの位置を決定する。
【0067】
(3) L1,L2,L4が測定できて、L3が測定できなかった場合は、距離の算出が正常に行われたと判定する。
この場合、
(3-1)三角形ABCの3辺の長さから点Cの位置を算出し、
(3-2)点Bを中心とする半径L4の円と、(3-1) で算出した点Cの位置を中心とする半径D2の円との交点として点Dの位置を算出することで、
点C,Dの位置を決定する。
【0068】
(4) 一方、下記の場合は距離の算出が正常に行われなかった(エラー)と判定する。
(4-1)L1が測定できなかった場合
(4-2)L4が測定できなかった場合
(4-3)L2とL3がどちらも測定できなかった場合
(4-4)L1+L2が、D1より小さい場合
(4-5)L3+L4が、D1より小さい場合
(4-6)L1とL2との差の絶対値がD1より大きい場合
(4-7)L3とL4との差の絶対値がD1より大きい場合
【0069】
図17A〜Cは、図10の移動処理のフローチャートに含まれる「位置&方向補正処理」(G10)を説明する平面図である。距離L1〜L4が測定できたかどうかの判別は、図14に示す位置算出処理内で行われるが、送波してから所定時間内に受波しなかった場合や、送波してから受波するまでの時間が所定値以下であった場合を測定失敗とみなし、また、L1とL2の合計が、移動体1の超音波センサー間の距離D1より短かった場合や、L3とL4の合計が、ステーション13側の超音波センサー間の距離(D2)より短かった場合などの正常には有り得ない計測結果を測定失敗とみなして所定の移動や姿勢変更の処理を行う。その具体例は、図17A〜Cに示すとおりである。超音波受波手段は指向性を有しているので、超音波の入射角が大きい場合に測定エラーとなる性質を利用して、ステーション13と移動体1とのラフな相対位置関係を推測して移動するのである。
【0070】
<第2実施例>
次に、第2実施例について、説明する。なお、以下の実施例において、第1実施例と同様の構成については、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その詳しい説明および図示を省略する。
【0071】
本実施例においては、第2の制御装置12のCPU82が演算手段、判定手段、比較手段の機能を有する。
前記第1の制御モードにおいては、第1の受波手段3a,3bが超音波を受波するように制御され、第1の送波手段2a,2bが超音波を送波してから第1の受波手段3a,3bが該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記CPU(演算手段)72が前記第1の送波手段2a,2bから障害物までの距離を算出する。
【0072】
前記第2の制御モードにおいては、前記第2の受波手段9a,9bが超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段2a,2bが超音波を送波してから前記第2の受波手段9a,9bが該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記CPU(演算手段)82が第1の送波手段2a,2bから第2の受波手段9a,9bまでの距離を算出する。
【0073】
本実施例では、モードの切替を設けなくてもよく、図27のように、第1の受波手段3a,3bおよび第2の受波手段9a,9bが、第1の送波手段2a,2bから送波された同じ超音波を受波するように制御されてもよい。このようにすれば、1回の超音波の送波で2つの距離を計測することができる。
【0074】
また、前記第1実施例では、前記「ラフな方向合わせ」や「目標位置への移動処理」においてステーション13から送波した超音波を移動体1が受波するように構成したが、本実施例では、逆に、移動体1から送波した超音波をステーション13が受波するように構成するようにしており、超音波の送波から受波までの時間の算出や距離の計測をステーション13側のCPU82が行う。
【0075】
なお、本実施例では、ステーション13側で行った計測結果をステーション13から移動体1に送信するか、もしくは、ステーション13から移動体1に該計測結果に基づく移動命令を送信するようにしても良い。
【0076】
本実施例では、図9、図11のフローチャートに示す流れに代えて、移動体1から送波した超音波パルスをステーション13側で受ける場合の図12、図13のフローチャートに示す流れで移動処理が行われる。なお、図12の各ステップJ1〜J13は第1の制御装置7の制御の流れを示し、図13の各ステップK1〜K11は第2の制御装置12の制御の流れを示す。
【0077】
<第3実施例>
本実施例では、目標物13が移動可能な構成とされており、該目標物13の移動は制御手段により制御され、所定の場合に、該目標物が移動するように制御される。
以下、前記第1実施例の移動体1と同様の構成(図1A,B、図2A)を有する移動体を2台用いた場合(移動体101,102)を例にとって説明する。この場合、両移動体101,102は互いに相手をステーション(目標物)13として前記第1または第2実施例と同様の動作を行うことができる。
【0078】
2台の移動体の位置合わせ:
図18A〜Dは、2台の移動体101,102が、それぞれ相手側をステーションとみなして位置計測を行い、相手の移動体の回転中心O1,O2の位置を算出して、その方向に向くように回転することによって、2台の移動体が正対し、所定の相対位置に移動する流れを示している。なお、同図中、A,Bは、それぞれ、第1の移動体101側の送受波手段2a,3aと2b,3bとを示し、C,Dは、それぞれ、第2の移動体102側の送受波手段2a,3aと2b,3bとを示す。
【0079】
図18Aのように、第1の移動体101の制御装置7(図2A)は、第2の移動体102の送受波手段C,Dが超音波を送波してから、第1の移動体の送受波手段A,Bがその超音波を受波するまでの時間を計測することにより、第2の移動体102の複数の送受波手段C,Dと第1の移動体101の複数の送受波手段A,Bとの間の複数の距離値L1〜L4を計算する。そして、その複数の距離値L1〜L4と、予め記憶されている第2の移動体102の旋回中心O2と送受波手段C,Dとの位置関係の情報に基づいて、第1の移動体101から見た第2の移動体102の旋回中心O2の方向(角度θ1)を算出する(図18B)。角度θ1の算出は、例えば、前記第1実施例の図10で示した方法で算出される。
【0080】
同様に、第2の移動体102の制御装置7(図2A)は、第1の移動体101の送受波手段A,Bが超音波を送波してから、第2の移動体の送受波手段C,Dがその超音波を受波するまでの時間を計測することにより、第1の移動体101の複数の送受波手段A,Bと第2の移動体102の複数の送受波手段C,Dとの間の複数の距離値L1〜L4を計算する。そして、その複数の距離値L1〜L4と、予め記憶されている第1の移動体101の旋回中心O1と送受波手段A,Bとの位置関係の情報に基づいて、第2の移動体102から見た第1の移動体101の旋回中心O1の方向(角度θ2)を算出する(図18B)。
【0081】
そして、前記角度θ1,θ2に基づいて各移動体101,102を回転させる(姿勢変更する)。すなわち、図18Cのように、第1の移動体101が前記算出された角度θ1だけ反時計周りに回転し、第2の移動体102が前記算出された角度θ2だけ反時計回りに回転することで、各移動体101,102を互いに正対させる。この正対の後、図18Dのように、第1の移動体101は、第2の移動体102を目標物として、正対の姿勢を維持した状態で、第2の移動体102に向かって前進する。
【0082】
複数の移動体を用いたジグザグ走行の例:
図19は、第2および第3の移動体102,103を用いて、第1の移動体1がジグザグ走行することを示す。第3の移動体103は、第2の移動体と同様の構成である。この場合、第1の移動体1は目標物としての第2または第3の移動体102,103に向かって直進走行し、さらに、目標物としての移動体102、103が前記第1の移動体101の直進方向95に略直交する幅方向96に移動するので、広い面積でのジグザグ走行作業を正確に行なえる。
【0083】
第1の移動体101が第2および第3の移動体102,103に向かって直進する制御は、第1の移動体101が直進しながら、繰り返し、所定の姿勢調整を行うことで行われる。すなわち、第1の移動体101上の2つの異なる点A,Bと、第2の移動体上の1つの点との間の距離L1,L2を計測し、該距離値L1,L2が等しくなるように方向を修正しながら直進することにより、第2の移動体102に向かって直進する。たとえば、第1の移動体101の送受波手段A,Bと第2または第3の移動体102,103の送受波手段との距離L1,L2を計測し、L1>L2の場合、右へカーブ(時計回りに姿勢変更)し、L1<L2の場合、左へカーブ(反時計回りに姿勢変更)する。
【0084】
そして、第1の移動体101と第2または第3の移動体102、103との間の距離が所定の距離以下になるか、あるいは、第1の移動体101が所定の距離進んだことを検出して、該移動体102、103へ向かっての直進を終了して、横方向96へ移動する。
【0085】
第1の移動体101はジグザグ走行を行なうため、走行距離が長く、目標物がないと走行中にジャイロセンサー(方向センサー)の累積誤差によって走行方向にずれが生じるが、第1の移動体101の複数の超音波送受波手段A,Bと目標物(移動体102,103)の送受波手段との距離が等しくなるように移動体1の走行方向を制御することにより、目標物に向かってまっすぐに直進することが可能になる。
【0086】
一方、第2の移動体102は、第1の移動体1が往路走行中は停止しており、第1の移動体101が第2の移動体102へ向かっての直進を終了した後に、第1の移動体1が横移動中及び復路走行中に、所定距離だけ横方向96に移動して次の往路位置に移る。
【0087】
第3の移動体103は、第1の移動体1が復路走行中は停止しており、第1の移動体101が第3の移動体103へ向かっての直進を終了した後に、第1の移動体1が横移動中及び往路走行中に、所定距離だけ横方向96に移動して次の復路位置に移る。
【0088】
該移動体2,3の移動距離は移動体1に比べて小さく作業中のジャイロセンサーの累積誤差も小さいため、ジャイロセンサーによる直進制御だけで十分に正確な直進が可能である。また、図19に示すように、第1の移動体101の目標物である第2の移動体102、第3の移動体103の直進のためのガイド91,92を設けて、第1の移動体101と同様の方法でL5=L6とした状態で、第2および第3の移動体102,103がガイド91,92に向かって直進するようにしても良く、その場合は高価なジャイロセンサーを省くことができる。
【0089】
図20、図21は、目標物に向かって直進する場合の制御の別の例を示す。本例では、L1とL2を同時に測定するのではなく、所定の時間間隔を空けて、順次、測定するように構成している。すなわち、距離L1を測定した時点での走行距離D1と、距離L2を測定した時点での走行距離D2とは異なる。
【0090】
超音波センサーを障害物センサーとして使用する場合、送波・受波を、一つずつ順次行なうように構成することが一般的に行なわれるため、障害物検出と目標物検出を同じセンサーで行なう場合には、本実施例のように、受波手段を一つずつ順次、受波するように構成すると回路の構成が簡単になる。
【0091】
この例の場合、L1の測定からL2の測定の間に、移動体が(D2−D1)だけ進んでいるので、L1とL2の比較の際に、この進んだ距離を考慮に入れて行なうことにより、正確な比較を行なうことができる。
【0092】
この制御は、例えば、図21のフローチャートのステップS1〜S8に従って行われる。すなわち、第1の移動体101が直進中、障害物検知モードで左横、右横、左前、右前の障害物までの距離を測定し、障害物対応処理を行い(S1,S2)、目標検知モードで目標(第2の移動体102)の右横超音波センサーDと第1の移動体101の左前超音波センサーBとの距離L1を計測し(S3)、L1計測の際の走行距離D1を記憶し(S4)、所定時間の後、目標検知モードで目標(第2の移動体102)の右横超音波センサーDと第1の移動体101の右前超音波センサーAとの距離L2を計測し(S5)、L2計測の際の走行距離D2を記憶し(S6)、L1>L2+(D2−D1)の場合、右へカーブするよう制御され、L1<L2+(D2−D1)の場合、左へカーブするよう制御され(S7)、次いで、距離L2が所定値以下か否かを判断して(S8)、所定値以下ならば移動体101の前進を停止させ、所定値より大きいならば、再びステップS1に戻る。
【0093】
図21におけるL1計測のフローは、図22のフローチャートに従って行われ、L2計測のフローは図23のフローチャートにしたがって行われる。この場合の目標物(移動体102)側の制御フローは、図24のとおりである。
【0094】
図25、図26は、目標物に向かって直進する前に、移動体の方向を目標物に向かうように方向(姿勢)を修正する工程を説明する平面図とフローチャートである。
図25に示すように、第1の移動体101は、その場で旋回をしながら、L1とL2を計測し、L1とL2の値がほぼ等しくなった時にその場旋回を停止することにより、直進開始時の走行方向を目標物に向かう方向に修正することができる。その詳しい制御は、図26のとおりである。
【0095】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、目標物としては、充電ステーションに限らず、清掃ロボットのゴミ回収装置であってもよいし、単に移動体の方向を定めるガイドのようなものであってもよい。
また、前記実施例では、移動体、目標物の双方に、送波手段と受波手段を設けたが、一方に送波手段、他方に受波手段を設ける構成としてもよい。送信手段および受信手段についても同様である。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、自走して清掃やワックス塗布などの作業を行う自走式作業ロボットの他、全方向移動機能を有し人を乗せて所定の座席位置まで自律走行で移動するインテリジェント電動車椅子などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】AおよびBは、それぞれ、本発明の第1実施例にかかるシステムを示す平面図、同側面図である。
【図2】Aは同システムの構成を示す概略構成図、Bは超音波パルスを走波する送波手段と超音波パルスを受波する受波手段を示す斜視図である。
【図3】本自律移動ロボットが障害物を検出する原理を示す側面図である。
【図4】本実施例の自律移動ロボットが、充電などのメンテナンスを行なうステーションとの間で自動メンテナンス作業を行なう際の流れを示すフローチャートである。
【図5】A〜Cは、それぞれ、図4のフローチャートの「ラフな方向合せ」の例を示す平面図である。
【図6】A〜Eは、それぞれ、「ラフな方向合せ」の別の例を示す平面図である。
【図7】A〜Dは、それぞれ、「ラフな方向合せ」の別の例を示す平面図である。
【図8】A〜Cは、それぞれ、自律移動ロボットがステーションに対する所定の位置(目標位置)へ移動する移動処理を示す平面図である。
【図9】第1の制御装置における目標位置の計測および移動の流れを示すフローチャートである。
【図10】移動処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】第2の制御装置における目標位置の計測の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2実施例における第1の制御装置における目標位置の計測および移動の流れを示すフローチャートである。
【図13】同第2の制御装置における目標位置の計測の流れを示すフローチャートである。
【図14】図10のフローチャートに含まれる「位置算出処理」ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図15】図10のフローチャートに含まれる「位置算出処理」ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図16】位置算出処理を示す平面図である。
【図17】A〜Cは、それぞれ、図10のフローチャートに含まれる「位置&方向補正処理」を示す平面図である。
【図18】A〜Dは、それぞれ、第3実施例の2台の移動体が、所定の相対位置に移動する流れを示す平面図である。
【図19】同2台以上の移動体を用いて広い面積でのジグザグ走行作業を行うことを示す平面図である。
【図20】目標物に向かって直進する場合の別の例を示す平面図である。
【図21】目標物に向かって直進する場合の別の例を示すフローチャートである。
【図22】L1計測のフローを示すフローチャートである。
【図23】L2計測のフローを示すフローチャートである。
【図24】目標物側のフローを示すフローチャートである。
【図25】目標物に向かって直進する前に、移動体の方向を目標物に向かうように修正する工程を示す平面図である。
【図26】目標物に向かって直進する前に、移動体の方向を目標物に向かうように修正する工程を示すフローチャートである。
【図27】第2実施例における移動体と障害物および目標物との距離計測を示す平面図である。
【符号の説明】
【0098】
1:移動体
2a,2b,2c,2d :第1 の送波手段 2a,2b は前方向 2cは右横方向 2dは左横方向
3a,3b,3c,3d :第1 の受波手段 3a,3b は前方向 3cは右横方向 3dは左横方向
4 :第1 の送信手段
5a,5b,5c,5d :第1 の受信手段
7 :第1 の制御装置
8a,8b :第2 の送波手段
9a,9b :第2 の受波手段
10:第2 の送信手段
11:第2 の受信手段
12:第2 の制御装置
13:ステーション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、
前記目標物は、超音波を送波する第2の送波手段を有し、
前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、
前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御し、
前記第1の制御モードにおいては、前記第1の送波手段が超音波を送波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、
前記第2の制御モードにおいては、前記第2の送波手段が超音波を送波するように制御され、前記第2の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第2の送波手段から前記第1の受波手段までの距離を算出する、
ことを特徴とする移動体システム。
【請求項2】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、
前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、
前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、
前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1の送波手段および第1および第2の受波手段を制御し、
前記第1の制御モードにおいては、前記第1の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、
前記第2の制御モードにおいては、前記第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、
ことを特徴とする移動体システム。
【請求項3】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、
前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、
前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、
前記第1および第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出すると共に、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、
ことを特徴とする移動体システム。
【請求項4】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体または目標物の一方に、超音波を送波する一対の送波手段が互いに離間して設けられ、他方に超音波を受波する一対の受波手段が互いに離間して設けられており、
前記各送波手段および各受波手段と前記自律走行移動体の移動および姿勢とを制御する制御手段が設けられており、
前記各送波手段が超音波を送波し、かつ、該超音波を前記各受波手段が受波するように制御され、前記各送波手段が超音波を送波してから前記各受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記各第1の送波手段から前記各第2の受波手段までの距離の少なくとも3つの距離を算出し、
前記一対の第2の送波手段のうちの一方からの超音波の送波と、他方からの超音波の送波とが、所定の時間間隔を空けて行われるように、前記各送波手段が制御される移動体システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、前記自律走行移動体と目標物との間で超音波の送波のタイミングを認識するための信号を送受信する送信手段および受信手段が設けられている、移動体システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、前記自律走行移動体は、指向性を有する信号を送信する第1の送信手段を更に有し、
前記目標物は、前記信号を受信する第2の受信手段を更に有し、
前記第1の送信手段および第2の受信手段は前記制御手段により制御され、
前記自律走行移動体の姿勢を変更しながら第1の送信手段が前記信号を繰り返し送信する動作を行い、該動作において前記信号を第2の受信手段が受信することを条件として前記自律走行移動体の姿勢変更を停止するように制御されることで、前記自律走行移動体の前記目標物に対する姿勢を調整する、移動体システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項において、前記演算手段により算出された前記各送波手段と前記各受波手段との間の複数の距離を比較する比較手段が設けられており、
前記算出された距離のうち、前記送波手段の一方からの前記各受波手段までの2つの距離、または、前記受波手段の一方からの前記各送波手段までの2つの距離を、前記比較手段が比較し、該比較手段の比較結果に応じて前記自律走行移動体の姿勢変更が行われるように制御される移動体システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項において、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離が正常に算出されたか否かを判定する判定手段が設けられ、
前記演算手段による前記各送波手段と前記各受波手段との間の距離の算出が正常に行われたかどうかを前記判定手段が判定し、該判定手段の判定結果に応じて前記自律走行移動体の移動および/または姿勢の変更が行われるように制御される移動体システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項において、前記目標物は移動可能であり、
前記目標物の移動は前記制御手段により制御され、
所定の場合に、前記目標物が移動するように制御される移動体システム。
【請求項1】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、
前記目標物は、超音波を送波する第2の送波手段を有し、
前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、
前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1および第2の送波手段と第1の受波手段とを制御し、
前記第1の制御モードにおいては、前記第1の送波手段が超音波を送波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、
前記第2の制御モードにおいては、前記第2の送波手段が超音波を送波するように制御され、前記第2の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第2の送波手段から前記第1の受波手段までの距離を算出する、
ことを特徴とする移動体システム。
【請求項2】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、
前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、
前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、
前記自律走行移動体と障害物との間の距離を計測する第1の制御モードでの運転と、前記自律走行移動体と前記目標物との間の距離を計測する第2の制御モードでの運転とを切り替えて行うように、前記制御手段が前記第1の送波手段および第1および第2の受波手段を制御し、
前記第1の制御モードにおいては、前記第1の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出し、
前記第2の制御モードにおいては、前記第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、
ことを特徴とする移動体システム。
【請求項3】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体は、超音波を送波する第1の送波手段と、超音波を受波する第1の受波手段とを有し、
前記目標物は、超音波を受波する第2の受波手段を有し、
前記第1の送波手段と第1および第2の受波手段とを制御する制御手段が設けられており、
前記第1および第2の受波手段が超音波を受波するように制御され、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第1の受波手段が該超音波の反射波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から障害物までの距離を算出すると共に、前記第1の送波手段が超音波を送波してから前記第2の受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記第1の送波手段から前記第2の受波手段までの距離を算出する、
ことを特徴とする移動体システム。
【請求項4】
自走する自律走行移動体と、該自律走行移動体が向かう目標物と、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離を算出する演算手段とを備えた移動体システムであって、
前記自律走行移動体または目標物の一方に、超音波を送波する一対の送波手段が互いに離間して設けられ、他方に超音波を受波する一対の受波手段が互いに離間して設けられており、
前記各送波手段および各受波手段と前記自律走行移動体の移動および姿勢とを制御する制御手段が設けられており、
前記各送波手段が超音波を送波し、かつ、該超音波を前記各受波手段が受波するように制御され、前記各送波手段が超音波を送波してから前記各受波手段が該超音波を受波するまでの時間に基づいて、前記演算手段が前記各第1の送波手段から前記各第2の受波手段までの距離の少なくとも3つの距離を算出し、
前記一対の第2の送波手段のうちの一方からの超音波の送波と、他方からの超音波の送波とが、所定の時間間隔を空けて行われるように、前記各送波手段が制御される移動体システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、前記自律走行移動体と目標物との間で超音波の送波のタイミングを認識するための信号を送受信する送信手段および受信手段が設けられている、移動体システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、前記自律走行移動体は、指向性を有する信号を送信する第1の送信手段を更に有し、
前記目標物は、前記信号を受信する第2の受信手段を更に有し、
前記第1の送信手段および第2の受信手段は前記制御手段により制御され、
前記自律走行移動体の姿勢を変更しながら第1の送信手段が前記信号を繰り返し送信する動作を行い、該動作において前記信号を第2の受信手段が受信することを条件として前記自律走行移動体の姿勢変更を停止するように制御されることで、前記自律走行移動体の前記目標物に対する姿勢を調整する、移動体システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項において、前記演算手段により算出された前記各送波手段と前記各受波手段との間の複数の距離を比較する比較手段が設けられており、
前記算出された距離のうち、前記送波手段の一方からの前記各受波手段までの2つの距離、または、前記受波手段の一方からの前記各送波手段までの2つの距離を、前記比較手段が比較し、該比較手段の比較結果に応じて前記自律走行移動体の姿勢変更が行われるように制御される移動体システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項において、超音波が送波されてから受波されるまでの時間に基づいて距離が正常に算出されたか否かを判定する判定手段が設けられ、
前記演算手段による前記各送波手段と前記各受波手段との間の距離の算出が正常に行われたかどうかを前記判定手段が判定し、該判定手段の判定結果に応じて前記自律走行移動体の移動および/または姿勢の変更が行われるように制御される移動体システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項において、前記目標物は移動可能であり、
前記目標物の移動は前記制御手段により制御され、
所定の場合に、前記目標物が移動するように制御される移動体システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2007−213180(P2007−213180A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30552(P2006−30552)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】
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