説明

移動通信端末

【課題】 送信メールアドレスの設定を簡単にしかも正確に行えるようにし、これによりユーザの入力操作上の負担を軽減する。
【解決手段】 アドレス履歴記憶制御手段51により、メール送信及びメール受信が行われるごとにそのヘッダから送信先メールアドレス及び送信元メールアドレスを抽出し、これらをその送受信日時とともにメール送信履歴及びメール受信履歴としてアドレス履歴記憶部62に記憶している。そして、送信メールアドレス設定画面において、「アドレス履歴」キー87の1回の押下と「カーソル」キー82の任意回数の押下とにより、上記メール送信履歴及びメール受信履歴のうちの1つをLCD表示部9に表示させ、この状態で「決定」キー86を押すことで表示中のメールアドレスを送信メールアドレスとして設定するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、PHS(Personal Handyphone System)やPDC(Personal Digital Cellular)等の移動通信システムで使用される移動通信端末に係わり、特にメッセージ送受信機能を備えた移動通信端末に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、PHSやPDC等の移動通信システムは、通話サービスに加えてメールサービスを提供するようになっており、これに対応するために携帯電話機等の移動通信端末にはメッセージ送受信機能を備えたものが増えている。
【0003】この種の移動通信端末を使用してメッセージ送信を行う場合、従来では例えば、ダイヤルキー操作によりメッセージ本文を作成した後、送信相手先の宛先アドレスをダイヤルキー操作により手入力で設定し、しかるのち送信キーを押すことでメッセージを送信するようになっている。すなわち、ユーザはメッセージを送信するごとに、その都度送信相手先の宛先アドレスを手入力しなければならず、操作が面倒であるとともに、誤入力を起こし易かった。
【0004】そこで、送信が想定される相手先の宛先アドレスを電話帳に予め登録しておき、メッセージ送信時にこの電話帳を検索操作して送信相手先の宛先アドレスを選択的に読み出して設定することで、メッセージ送信を行えるようにした装置も開発されている。しかし、この種の装置では、送信が想定される相手先の宛先アドレスを予め電話帳に登録しておく必要があり、その作業をユーザが手入力で行わなければならない。このため、登録操作が著しく面倒であると共に、誤入力の心配が依然として解消されなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたようにメッセージ送受信機能を備えた従来の移動通信端末は、メッセージ送信に際し、その宛先アドレスの設定をユーザの手入力操作に頼るか、又は電話帳に所望の送信相手先を予め登録しておいてこの登録データを使用する必要がある。一般に、携帯電話機等の移動通信端末は小形に構成されており、パーソナル・コンピュータ等に比べ操作性に難がある。このため、宛先アドレスの手入力操作及び登録操作が必要不可欠な従来の装置では、入力操作が著しく煩わしく、また誤入力を起こす危険も大きかった。
【0006】この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、メッセージ送信時の宛先アドレスの設定を簡単にしかも正確に行えるようにし、これによりユーザの入力操作上の負担を軽減することができる移動通信端末を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するためにこの発明は、アドレス履歴記憶手段と、このアドレス履歴を利用した送信アドレス設定手段とを設け、アドレス履歴記憶手段により、送信するメッセージの宛先アドレス及び受信したメッセージの発信アドレスの少なくとも一方をアドレス履歴として記憶する。そして、上記送信アドレス設定手段により、メッセージ送信時に、前記アドレス履歴記憶手段が記憶するアドレスを選択的に読み出して、送信するメッセージの宛先アドレスとして設定するようにしたものである。
【0008】したがってこの発明によれば、メッセージの送受信が行われるごとにその宛先アドレス或いは発信アドレスがアドレス履歴として順次蓄積される。そして、メッセージ送信時には、このアドレス履歴を使用して宛先アドレスを設定することが可能となる。このためユーザは、初めて送信する相手については宛先アドレスの入力が必要となるものの、一度メッセージを送信又は受信した相手先については、以後アドレス履歴を使用して宛先アドレスの設定を行うことができる。このため、アドレス履歴が作成された後には、宛先アドレスの入力操作がほとんど不要となり、これにより簡単な操作で誤ることなくメッセージ送信を行うことが可能となる。
【0009】また、アドレス履歴を電話帳と併用する場合には、電話帳への依存が軽減されるので、すべての送信相手先を電話帳に登録する必要がなくなり、これにより電話帳への登録作業を簡単化してユーザの負担を軽減することができる。
【0010】具体的には、上記アドレス履歴記憶手段において、送信するメッセージの宛先アドレス又は受信したメッセージの発信アドレスを抽出し、抽出したアドレスがアドレス履歴としてすでに記憶されているか否かを判別する。そして、記憶されていない場合には、抽出した宛先アドレス又は発信アドレスを送受信日時と共に記憶し、すでに記憶されている場合には送受信日時のみを更新記憶するようにする。このようにすることで、同一のアドレスが重複して記憶されることがなくなり、これによりアドレス履歴を記憶するメモリのメモリ容量を節約することができる。
【0011】また、アドレス履歴記憶手段において、送信メールより抽出した送信先メールアドレスと受信メールより抽出した送信元メールアドレスとをそれぞれ独立して記憶するようにしたり、またメールアドレスをその送信又は受信日時順に並べ替えて記憶するとよい。このようにすると、アドレス履歴からのメールアドレスの選択を効率良く迅速に行うことが可能となる。
【0012】さらに、上記送信アドレス設定手段に、アドレス履歴を読み出して表示する第1の表示手段と、アドレス履歴中のアドレスを個別に選択するための第2の入力手段とを備え、メッセージ送信時に上記第1の入力手段と上記第2の入力手段との操作に応じて送信メッセージの宛先アドレスを設定する。このようにすると、アドレス履歴からの宛先アドレスの選択操作をより簡単かつ迅速に行えるようになる。
【0013】さらにこの発明は、メッセージの送信先として想定される宛先アドレスを予め初期アドレスとして記憶する初期アドレス記憶手段をさらに具備し、上記送信アドレス設定手段において、メッセージの送信時に、上記初期アドレス記憶手段が記憶する初期アドレスと、上記アドレス履歴記憶手段が記憶するアドレス履歴の中から、アドレスを選択的に読み出して宛先アドレスとして設定することも特徴とする。
【0014】このようにすることで、アドレス履歴がまだ十分に作成されていない状態においては、初期アドレスの中から所望のアドレスを選択して宛先アドレスを設定することが可能となる。このため、移動通信端末の使用開始直後におけるメッセージ送信に係わる操作性を改善できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。図1は、この発明に係わる移動通信システムの一実施形態を示す概略構成図であり、CS1〜CSnは基地局を示している。これらの基地局CS1〜CSnは、システムがカバーするサービスエリアに地理的に分散配設されており、それぞれセルと呼ばれる無線エリアを形成している。
【0016】移動通信端末PS1〜PSmは、上記各基地局CS1〜CSnが形成するセル内において、最寄りの基地局に対し無線通信チャネル(トラフィックチャネル)を介して接続される。この基地局CS1〜CSnと移動通信端末PS1〜PSmとの間の無線アクセス方式としては、例えばTDMA−TDD(Time DivisionMultiple Access−Time Division Duplex)方式が使用される。移動通信端末PS1〜PSmには、通話機能のみを有する携帯電話機Pmの他に、データ通信機能と無線アクセス機能を備えた携帯情報端末PS1,PS2と、携帯電話機PSiにパーソナル・コンピュータPCを接続したものとがある。
【0017】また、上記各基地局CS1〜CSnはそれぞれ有線回線を介して公衆網INWに接続される。公衆網INWは、統合サービスディジタル網(ISDN)と、このISDNに上記各基地局CS1〜CSnを収容するためのI′インタフェース網とを有する。公衆網INWには多くの加入者有線端末装置の他に、コンピュータ・ネットワークや企業内ネットワーク等が接続される。例えばインターネットの場合には、ISDNにインターネット・サービスプロバイダのアクセス・サーバASが接続され、このアクセス・サーバASを介してインターネットITNに接続される。インターネットITNには多数のWWW(World-Wide Web)サーバWS1,WS2,…が接続され、TCP/IPプロトコルを使用することで、加入者有線端末は勿論のこと上記移動端末装置PS1〜PSmからもアクセスが可能となっている。
【0018】またアクセスサーバASには、インターネット・サービスプロバイダが保有するコンテンツ・サーバTSが接続されている。このコンテンツ・サーバTSは、加入者有線端末および移動端末装置PS1〜PSmの要求に応じて、各種情報をダウンロードする機能を有する。
【0019】さらにこの実施形態の移動データ通信システムは、管理制御装置MSを備えている。この管理制御装置MSは各移動端末装置PS1〜PSmについて認証や課金処理等を行うシステム管理機能に加え、例えばメールサーバとしての機能を備えており、公衆網INWを介して各基地局CS1〜CSnに接続される。
【0020】ところで、上記移動通信端末PS1〜PSmは次のように構成される。図2はその構成を示す回路ブロック図である。移動通信端末PS1〜PSmは、アンテナ11を備えた無線部1と、モデム部2と、TDMA部3と、通話部4と、制御部5と、情報記憶部6と、データ通信部7と、キーパッドを備えた入力部8と、液晶表示器(LCD)を使用したLCD表示部9とを備えている。
【0021】すなわち、基地局CS1〜CSnから到来した無線搬送波信号は、アンテナ11で受信されたのち無線部1の高周波スイッチ(SW)12を介して受信部13に入力される。この受信部13では、上記受信された無線搬送波信号が周波数シンセサイザ14から発生された局部発振信号とミキシングされて受信中間周波信号にダウンコンバートされる。なお、上記周波数シンセサイザ14から発生される局部発振信号の周波数は、制御部5の指示により無線チャネル周波数に対応する値に設定される。
【0022】また、無線部1には受信電界強度検出部16が設けられている。この受信電界強度検出部16では、通信中の基地局又は周辺の基地局から到来した無線搬送波信号の受信電界強度(RSSI)が検出され、その検出値は例えば受信品質の判定及び表示を行うために制御部5に通知される。
【0023】上記受信部13から出力された受信中間周波信号は、モデム部2の復調部21に入力される。復調部21では上記受信中間周波信号のディジタル復調が行なわれ、これによりディジタル復調信号が再生される。
【0024】TDMA部3のTDMAデコード部31は、上記ディジタル復調信号を各受信タイムスロットごとに分離する。そして、分離したスロットのデータが音声データであればこの音声データをインタフェース部4に入力する。一方、分離したスロットのデータがパケットデータや制御データであれば、これらのデータをデータ通信部7に入力する。
【0025】通話部4は、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)トランスコーダ41と、PCMコーデック42と、スピーカ43と、マイクロホン44とを備えている。ADPCMトランスコーダ41は、上記TDMAデコード部31から出力された音声データを復号する。PCMコーデック42は、上記ADPCMトランスコーダ41から出力されたディジタル音声信号をアナログ信号に変換し、この音声信号をスピーカ43から拡声出力する。
【0026】データ通信部7は、上記TDMAデコード部31から供給されたデータを受信し、このデータを制御部5に供給する。制御部5は受信データが制御データであればこの制御データを解析して必要な制御を行う。これに対し受信データがサーバ等から到来したパケットデータであれば、このパケットデータをデパケットしたのち情報記憶部6に記憶すると共に、LCD表示部9に供給して表示させる。
【0027】一方、マイクロホン44に入力されたユーザの音声信号は、PCMコーデック42でPCM符号化されたのち、ADPCMトランスコーダ41でさらに圧縮符号化される。そして、この符号化音声データはTDMAエンコード部32に入力される。また制御部5から出力された制御データやパケットデータは、データ通信部7を経て上記TDMAエンコード部32に入力される。
【0028】TDMAエンコード部32は、上記ADPCMトランスコーダ41から出力されたディジタル音声データ、及びデータ通信部7から出力された制御データやパケットデータを、制御部5から指示された送信タイムスロットに挿入して多重化する。変調部22は、上記TDMAエンコード部32から出力された多重化ディジタル通信信号により送信中間周波信号をディジタル変調し、この変調した送信中間周波信号を送信部15に入力する。
【0029】送信部15は、上記変調された送信中間周波信号を周波数シンセサイザ14から発生された局部発振信号とミキシングして無線搬送波周波数にアップコンバートし、さらに所定の送信電力レベルに増幅する。この送信部15から出力された無線搬送波信号は、高周波スイッチ12を介してアンテナ11から基地局に向け送信される。
【0030】ところで、入力部8には図3に示すように、「ダイヤル」キー81、「カーソル」キー82、メール送信指示を入力するための「送信」キー83、メール作成要求を入力するための「メール」キー84、電話帳の呼出指示を入力するための「電話帳」キー85、及びメニューの確定やメールアドレスの確定指示を入力するための「決定」キー86に加え、「アドレス履歴」キー87が新たに設けてある。この「アドレス履歴」キー87は、アドレス履歴記憶部62からアドレス履歴を読み出してLCD表示部9に表示させる際に使用する。
【0031】一方情報記憶部6には、電話帳・メールデータ記憶部61と、アドレス履歴記憶部62と、初期アドレス記憶部(図示せず)とが設けてある。電話帳・メールデータ記憶部61には、電話帳データと、送信メールデータ及び受信メールデータがそれぞれ記憶される。図4はその記憶結果の一例を示すもので、電話帳データはそれぞれ名前とその読みと電話番号とメールアドレスとから構成される。また、送信メールデータはそれぞれ送信メールヘッダと本文とから構成され、また受信メールデータはそれぞれ受信メールヘッダと本文とから構成される。
【0032】アドレス履歴記憶部62には、送信メールデータ及び受信メールデータからそれぞれ抽出された送信メールアドレス及び受信メールアドレスが、その送受信日時と共にメール送信履歴及びメール受信履歴として送受別々に記憶される。図5はその記憶結果の一例を示すものである。
【0033】初期アドレス記憶部には、例えばプロバイダのホームページアドレス等、ユーザの利用が見込まれるサイトのアドレスが予め記憶してある。
【0034】さて、制御部5は例えばマイクロコンピュータを主制御部として備えたもので、この発明に係わる機能として、アドレス履歴記憶制御手段51と、アドレス履歴検索制御手段52とを備えている。
【0035】アドレス履歴記憶制御手段51は、メールの送信及び受信が行われるごとに、その送信先メールアドレス及び送信元メールアドレスを抽出する。そして、この抽出したメールアドレスがアドレス履歴記憶部62に記憶済みか否かを判定し、未記憶の場合には当該メールアドレスをその送受信日時と共にメール送信履歴及びメール受信履歴としてアドレス履歴記憶部62に新規記憶する。一方、記憶済みだった場合には、記憶されている当該メールアドレスの送受信日時のみを更新する。なお、上記メール送信履歴及びメール受信履歴は、混在させずに独立して記憶する。
【0036】アドレス履歴検索制御手段52は、「アドレス履歴」キー87と「カーソル」キー82の操作に応じて、上記アドレス履歴記憶部62からメール送信履歴及びメール受信履歴を選択的に読み出してLCD表示部9に表示させる。
【0037】次に、以上のように構成された移動通信端末の動作を説明する。先ず、アドレス履歴の作成処理動作について説明する。すなわち、メール送信が行われるか又はメール受信が行われると、制御部5はこのときの送信メールデータ及び受信メールデータを電話帳・メールデータ記憶部62にそれぞれ記憶する。
【0038】またそれと共に制御部5は、アドレス履歴記憶制御手段51により、上記送信メールデータ及び受信メールデータのメールヘッダからそれぞれ送信先メールアドレス及び送信元メールアドレスを抽出する。そして、この抽出した送信先メールアドレス及び送信元メールアドレスがアドレス履歴記憶部62に既に記憶されているか否かを判定する。この判定の結果、未記憶であれば送信日時及び受信日時と共に、メール送信履歴及びメール受信履歴としてアドレス履歴記憶部62に追加記憶する。これに対し、抽出したメールアドレスがアドレス履歴記憶部62に既に記憶されている場合には、該当するメールアドレスの送受信日時のみを更新する。そして、アドレス履歴記憶部62における各メールアドレスの記憶順序を、その送受信日時に従って新しい順に並べ替える。
【0039】以後同様に、メール送信が行われるか又はメール受信が行われるごとに、その送信先メールアドレス及び送信元メールアドレスが送受信日時と共に、メール送信履歴及びメール受信履歴としてアドレス履歴記憶部62に記憶される。
【0040】したがって、メール送信及びメール受信が行われるに従い、アドレス履歴記憶部62のメール送信履歴及びメール受信履歴は次第に増加してゆく。
【0041】次に、以上のように作成されたアドレス履歴を使用してメール送信を行う場合の動作を説明する。図6はその操作手順とLCD表示部9への表示情報を示すものである。すなわち、ユーザが所望の相手先へメールを送信するべく、「メール」キー84を押下したとする。そうすると主制御部5は手順6bでLCD表示部9にメールの作成を促すガイダンスを表示する。そして、ユーザが「決定」キー86を押すと、手順6cでLCD表示部9に本文の入力を促すガイダンスが表示され、この状態でユーザが「ダイヤル」キー81を操作して本文を入力すると、この本文が手順6dによりLCD表示部9に表示される。
【0042】本文の入力終了後にユーザが「決定」キー86を押すと、主制御部5は手順6eにおいてLCD表示部9に送信メールアドレスの入力を促すガイダンスを表示する。そして、この状態でユーザが「アドレス履歴」キー87を押下すると、主制御部5は手順6fにおいてアドレス履歴記憶部62から送信日時が最も新しいメール送信履歴1を読み出し、LCD表示部9に表示する。そして、この表示されたメールアドレスを確認したユーザが「決定」キー86を押すと、このメール送信履歴1のメールアドレスが手順6gにおいて送信メールアドレスとしてLCD表示部9に表示され、この状態で「送信」キー83を押すと作成したメールが送信される。
【0043】すなわち、前回送信した相手先へ再度別のメールを送信する場合には、「アドレス履歴」キー87の押下と「決定」キー86の押下というわずか2回のキー操作により送信メールアドレスを設定することができ、きわめて簡単かつ迅速にメールを送信することが可能となる。
【0044】なお、メール送信履歴1以外のメール送信履歴を検索する場合には、「カーソル」キー82を操作する。そうすると、アドレス履歴記憶部62から送信日時が新しい順にメール送信履歴が読み出されてLCD表示部9に表示される。そして、所望のメール送信日時が表示された状態で「決定」キー86を押すと、この表示中のメール送信履歴のメールアドレスが送信メールアドレスとしてLCD表示部9に表示され、この状態で「送信」キー83を押すと作成したメールが送信される。
【0045】この場合にも、「アドレス履歴」キー87の押下と、「カーソル」キー82の任意回数の操作と、「決定」キー86の押下という少数回のキー操作により送信メールアドレスを設定することができ、簡単かつ迅速にメールを送信することが可能である。
【0046】ちなみに、「ダイヤル」キー81の操作により送信メールアドレスを設定する場合には、図8に示すように手順8eから手順8hにおいてアドレスを1字ずつ入力するため、アドレスの桁数分のキー入力操作を行う必要がある。また、電話帳を用いて送信メールアドレスを設定する場合には、図8に示すように手順8jから手順8hにおいて、「電話帳」キー85の押下から始まって、「ダイヤル」キー81による頭文字の入力操作、「カーソル」キー82による複数回の検索操作、「決定」キー86の操作を順に行う必要であり、多くのキー操作が必要となる。
【0047】次に、アドレス履歴の確認動作について説明する。図7はその操作手順とLCD表示部9への表示情報を示すものである。
【0048】待機画面が表示されている状態でユーザが「アドレス履歴」キー87を押下すると、主制御部5は手順7bでアドレス履歴記憶部62から先ずメール送信履歴1を読み出し、その内容をLCD表示部9に表示する。このとき表示されるメール送信履歴1は、送信日時の最も新しいアドレス履歴である。そして、この状態でユーザが「カーソル」キー82の「進み」キーを操作すると、手順7cによりアドレス履歴記憶部62から送信日時が次に新しいメール送信履歴2が読み出されてLCD表示部9に表示される。以後同様に、「進み」キーが押されるごとに、主制御部5によりアドレス履歴記憶部62からメール送信履歴3,4,…が送信日時の新しい順に読み出されてLCD表示部9に表示される。なお、表示内容を送信日時の古いものから新しいものへ戻す場合には、「カーソル」キー82の「戻り」キーを押せばよい。
【0049】これに対し、送信日時の最も新しいメール送信履歴1が表示されている状態で、ユーザが「カーソル」キー82の「戻り」キーを押したとする。そうすると主制御部5は、手順7fでアドレス履歴記憶部62からメール受信履歴1を読み出し、その内容をLCD表示部9に表示させる。このとき表示されるメール受信履歴1は、受信日時の最も新しいアドレス履歴である。そして、この状態でユーザが「カーソル」キー82の「戻り」キーを操作すると、手順7gによりアドレス履歴記憶部62から受信日時が次に新しいメール受信履歴2が読み出されてLCD表示部9に表示される。以後同様に、「戻り」キーが押されるごとに、主制御部5によりアドレス履歴記憶部62からメール受信履歴3,4,…が受信日時の新しい順に読み出されてLCD表示部9に表示される。
【0050】また、受信日時の最も古いメール受信履歴9が表示されている状態で、さらに「カーソル」キー82の「戻り」キーを押すと、手順7iによりアドレス履歴記憶部62から送信日時の最も古いメール送信履歴9が読み出されてLCD表示部9に表示される。一方、この送信日時の最も古いメール送信履歴9がLCD表示部9に表示された状態で、「カーソル」キー82の「進み」キーを押した場合には、LCD表示部9の表示は受信日時の最も古いメール受信履歴9に戻る。
【0051】なお、上記メール受信履歴が表示されている状態で、その表示内容を受信日時の古いものから新しいものへ戻す場合には、「カーソル」キー82の「進み」キーを押せばよい。
【0052】すなわち、各メール送信履歴1,2,3,…及びメール受信履歴1,2,3,…は、「カーソル」キー82の操作により、あたかもチェーン状に繋がっているかのようにエンドレスに順次読み出されて表示される。
【0053】したがってユーザは、「アドレス履歴」キー87の1回の押下と、「カーソル」キー82の任意回数の押下により、アドレス履歴記憶部62に記憶されているメール送信履歴及びメール受信履歴をもれなく確認することができる。
【0054】一方、上記メール送信履歴1,2,3,…のいずれかがLCD表示部9に表示されている状態で、ユーザが「決定」キー86を押したとする。そうすると、表示中のメール送信履歴に対応する送信済みメールデータの本文が、電話帳・メールデータ記憶部61から読み出されてLCD表示部9に表示される。したがってユーザは、所望のメール送信履歴を表示させた状態で「決定」キー86を1回押下するだけで、対応する送信済みメールの本文を確認することができる。
【0055】また、上記メール送信履歴1,2,3,…のいずれかがLCD表示部9に表示されている状態で、ユーザが「送信」キー83を押したとする。そうすると、表示中のメール送信履歴に対応する送信済みメールデータが電話帳・メールデータ記憶部61から読み出されて、再送信される。したがってユーザは、所望のメール送信履歴を表示させた状態で「送信」キー83を1回押下するだけで、対応する送信済みメールを再送信することが可能となる。
【0056】以上述べたようにこの実施形態では、アドレス履歴記憶制御手段51により、メール送信及びメール受信が行われるごとにそのヘッダから送信先メールアドレス及び送信元メールアドレスを抽出し、これらをその送受信日時とともにメール送信履歴及びメール受信履歴としてアドレス履歴記憶部62に記憶している。そして、送信メールアドレス設定画面において、「アドレス履歴」キー87の1回の押下と「カーソル」キー82の任意回数の押下とにより、上記メール送信履歴及びメール受信履歴のうちの1つをLCD表示部9に表示させ、この状態で「決定」キー86を押すことで表示中のメールアドレスを送信メールアドレスとして設定するようにしている。
【0057】したがって、ユーザは、初めて送信する相手についてはメールアドレスの入力が必要となるものの、一度メールを送信又は受信した相手先については、以後アドレス履歴を使用して送信メールアドレスの設定を行うことができる。このため、アドレス履歴が作成された後には、送信メールアドレスの入力操作がほとんど不要となり、これにより簡単な操作で誤ることなくメール送信を行うことが可能となる。また、アドレス履歴と電話帳とを併用する場合には、電話帳への依存が軽減されるので、すべての送信相手先を電話帳に登録する必要がなくなり、これにより電話帳への登録作業を簡単化してユーザの負担を大幅に軽減することができる。
【0058】また、メール送信履歴及びメール受信履歴を検索するためにそれ専用の「アドレス履歴」キー87を設けているので、メール送信履歴及びメール受信履歴の検索操作を少ないキー操作で簡単に行うことができ、これにより操作性を高く保持することができる。
【0059】またこの実施形態では、抽出した送信先メールアドレス及び送信元メールアドレスをアドレス履歴記憶部62に記憶する際に、同一のアドレスが記憶済みか否かを判定し、記憶済みの場合には送受信日時のみを更新するようにしている。このため、メール送信履歴及びメール受信履歴が重複して記憶される不具合が防止され、これによりメモリの有効利用を図ることができる。
【0060】さらにこの実施形態では、メール送信履歴及びメール受信履歴を混在させずに独立して記憶させ、さらにその各々の記憶順序を送受信日時の順に並べ替えるようにしている。このため、所望のメール送信履歴及びメール受信履歴の検索を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0061】さらに、初期アドレス記憶部にプロバイダのホームページアドレス等のユーザの利用が見込まれるサイトのアドレスを予め記憶しておき、この初期アドレスを選択することでも送信メールアドレスを設定できるようにしている。このため、装置の使用開始直後のようにアドレス履歴がまだ十分に作成されていない状態でも、上記初期アドレスを使用することで簡単に送信を行うことができる。
【0062】なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では電話帳・メールデータ記憶部61とは別個にアドレス履歴記憶部62を設け、これにメール送信履歴及びメール受信履歴を記憶するようにした。しかしアドレス履歴記憶部62を特に設けずに、メール送信履歴及びメール受信履歴の検索操作に応じて電話帳・メールデータ記憶部61の送信メールデータ及び受信メールデータからメール送信履歴及びメール受信履歴を読み出して表示するようにしてもよい。
【0063】また、前記実施形態ではPHSを例にとって説明したが、PDC(Personal Digital Cellular)やGSM(Global System for Mobile Communication)等のその他のセルラ移動通信システムで使用される移動通信端末にもこの発明を適用することができる。
【0064】その他、移動通信端末の回路構成や、アドレス履歴記憶制御及びアドレス履歴検索制御の手順と制御内容、アドレス履歴の構成や表示内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明では、アドレス履歴記憶手段と、このアドレス履歴を利用した送信アドレス設定手段とを設け、アドレス履歴記憶手段により、送信するメッセージの宛先アドレス及び受信したメッセージの発信アドレスの少なくとも一方をアドレス履歴として記憶する。そして、上記送信アドレス設定手段により、メッセージ送信時に、前記アドレス履歴記憶手段が記憶するアドレスを選択的に読み出して、送信するメッセージの宛先アドレスとして設定するようにしている。
【0066】したがってこの発明によれば、メッセージ送信時の宛先アドレスの設定を簡単にしかも正確に行えるようになり、これによりユーザの入力操作上の負担を軽減できる移動通信端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる移動通信システムの一実施形態を示す概略構成図。
【図2】 図1に示したシステムの移動通信端末の回路構成を示すブロック図。
【図3】 図1に示したシステムの移動通信端末の外部構成を示す正面図。
【図4】 電話帳・メールデータ記憶部の構成の一例を示す図。
【図5】 アドレス履歴記憶部の構成の一例を示す図。
【図6】 アドレス履歴を使用したメール送信手順を示す図。
【図7】 アドレス履歴検索確認手順を示す図。
【図8】 アドレス手入力又は電話帳を使用したメール送信手順を示す図。
【符号の説明】
CS1〜CSn…基地局
PS1〜PSm…移動通信端末
INW…公衆網
MS…管理制御装置
ITN…インターネット
WS1,WS2,WS3…WWWサーバ
AS…インターネット・サービスプロバイダのアクセスサーバ
TS…コンテンツ・サーバ
1…無線部
2…モデム部
3…TDMA部
4…通話部
5…制御部
6…情報記憶部
7…データ通信部
8…入力部
9…表示部
11…アンテナ
12…高周波スイッチ(SW)
13…受信部
14…シンセサイザ
15…送信部
16…受信電界強度検出部(RSSI検出部)
21…復調部
22…変調部
31…TDMAデコード部
32…TDMAエンコード部
41…ADPCMトランスコーダ
42…PCMコーデック
43…スピーカ
44…マイクロホン
51…アドレス履歴記憶制御手段
52…アドレス履歴検索制御手段
61…電話帳・メールデータ記憶部
62…アドレス履歴記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 メッセージ送受信機能を備えた移動通信端末において、送信するメッセージの宛先アドレス及び受信したメッセージの発信アドレスの少なくとも一方をアドレス履歴として記憶するアドレス履歴記憶手段と、メッセージ送信時に、前記アドレス履歴記憶手段が記憶するアドレスを選択的に読み出して、送信するメッセージの宛先アドレスとして設定する送信アドレス設定手段とを具備したことを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】 前記アドレス履歴記憶手段は、送信するメッセージの宛先アドレス及び受信したメッセージの発信アドレスをそれぞれ独立して記憶することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】 前記アドレス履歴記憶手段は、送信するメッセージの宛先アドレスを抽出し、抽出したアドレスがアドレス履歴としてすでに記憶されているか否かを判別し、記憶されていない場合には宛先アドレスを送信日時と共に記憶し、すでに記憶されている場合には送信日時のみを更新記憶することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項4】 前記アドレス履歴記憶手段は、送信するメッセージの宛先アドレスを送信日時順に並べ替えて記憶することを特徴とする請求項3記載の移動通信端末。
【請求項5】 前記アドレス履歴記憶手段は、受信したメッセージの発信アドレスを抽出し、抽出したアドレスがアドレス履歴としてすでに記憶されているか否かを判別し、記憶されていない場合には発信アドレスを受信日時と共に記憶し、すでに記憶されている場合には受信日時のみを更新記憶することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項6】 前記アドレス履歴記憶手段は、受信したメッセージの発信アドレスを受信日時順に並べ替えて記憶することを特徴とする請求項5記載の移動通信端末。
【請求項7】 前記送信アドレス設定手段は、アドレス履歴を読み出して表示する第1の表示手段と、アドレス履歴中のアドレスを個別に選択するための第2の入力手段とを備え、メッセージ送信時に前記第1の入力手段と前記第2の入力手段との操作に応じて送信メッセージの宛先アドレスを設定することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項8】 メッセージの送信先として想定される宛先アドレスを予め初期アドレスとして記憶する初期アドレス記憶手段をさらに具備し、前記送信アドレス設定手段は、メッセージの送信時に、前記初期アドレス記憶手段が記憶する初期アドレスと、前記アドレス履歴記憶手段が記憶するアドレス履歴の中から、アドレスを選択的に読み出して宛先アドレスとして設定することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【公開番号】特開2001−112058(P2001−112058A)
【公開日】平成13年4月20日(2001.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−285880
【出願日】平成11年10月6日(1999.10.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】