移載ロボット
【課題】ワークを確実にストレージ体に保持させることができ、またストレージ体からワークをマテハン部で確実に把持して移載することことができる移載ロボットを提供すること。
【解決手段】ストレージ体2(3)から別のストレージ体3(2)へワーク100を移載するために用いられる移載ロボット1である。移載ロボット1は、ワーク100を把持するマテハン部5と、これをを移動させるためのアーム15とを備える。マテハン部5は、ワーク100を把持するクランプ部51、52と、ワーク100を把持した状態でマテハン部5に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセルと、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセルとを有する。移載ロボット1は、検出信号P及び/又は検出信号Qに基づいて、マテハン部5の作動を制御するように構成されている。
【解決手段】ストレージ体2(3)から別のストレージ体3(2)へワーク100を移載するために用いられる移載ロボット1である。移載ロボット1は、ワーク100を把持するマテハン部5と、これをを移動させるためのアーム15とを備える。マテハン部5は、ワーク100を把持するクランプ部51、52と、ワーク100を把持した状態でマテハン部5に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセルと、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセルとを有する。移載ロボット1は、検出信号P及び/又は検出信号Qに基づいて、マテハン部5の作動を制御するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをストレージ体から別のストレージ体へ移載するために用いられる移載ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移載ロボットは、例えば工場の生産ライン等において、ワークを移動させるために用いられていた。
例えば自動車の生産ラインにおいては、車室内にインストルメントパネル等の大型部品を搬入するために、塗装が完了した車本体からドアを一旦取り外す工程が行われていた(特許文献1参照)。このとき、車両本体は、主要組立ラインに移送されてインストルメントパネルなどの部品が装着され、取り外されたドアは、ハンガーとよばれるストレージ体に載せられドア搬送ラインに移送される。ドア搬送ラインにおいては、省スペース化のため、ハンガーに載せられたドアをトレーと呼ばれる別のストレージ体へ移し替える工程が行われる。この移し替える工程(移載工程)は、従来手作業で行われていたが、合理化・コストダウンのため上記移載ロボットの適用が検討されていた。
【0003】
一般に、上記移載ロボットは、ドア等のワークを保持して該ワークを移載するマテハン部と、該マテハンに連結するアーム部と、該アーム部を作動させるロボット部とからなる。そして、マテハン部でワークを把持し、ロボット部により制御されたアームを移動させることにより、ワークを移載させることができる。
【0004】
近年、生産ラインの自動化が求められており、ドアの移載においてもその自動化の要求が高まっている。
一般に、ストレージ体は、鉛直方向と水平方向にドアを保持するための下端アタッチ部と側端アタッチ部とをそれぞれ有しており、上記側端アタッチ部及び下端アタッチ部へのドアの移載時には、ドアを側端アタッチ部に嵌合させ、次いで、下端アタッチ部に嵌合させることによりストレージ体にドアを保持させる。自動化のためには、移載ロボットは、各アタッチ部の位置を正確に検出する必要がある。また、ストレージ体の下端アタッチ部及び側端アタッチ部は、製品入れ替え時又は使用による劣化が原因となり、その位置に固有のバラツキを有している。そのため、上記移載ロボットには、ストレージ体の下端アタッチ部及び側端アタッチ部の位置ずれを検出することが要求される。
【0005】
【特許文献1】特開昭53−8884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
側端アタッチ部への嵌合時等には、該側端アタッチ部に所定の荷重がかかる。そのため、上記移載ロボットが上記側端アタッチ部の位置を正確に検知していなければ、上記側端アタッチ部へドア等のワークが嵌合した後にさらに荷重がかかり、嵌合部においてワークやアタッチ部が変形及び破損するおそれがある。また、嵌合が十分に行われずに、ワークがストレージ体から転倒するおそれがある。
下端アタッチ部に載置する際においても、下端アタッチ部への載置が確実に行われたことを検出する必要があり、これが検出できないと、下端アタッチ部によるワークの保持が十分にできず、ワークがストレージ体から転倒するおそれがある。
【0007】
上記端アタッチ部及び側端アタッチ部の位置の検出は、例えばカメラを用いた画像認識により行うことができる。
即ち、カメラによりストレージ体のアタッチ部の位置を検出し、画像処理によりアタッチ部の位置をロボットにフィードバックしてストレージ体への移載を行う方法がある。これにより、ストレージ体への移載を確実に行うことができる。
【0008】
しかしながら、画像処理は、明るさ等の周辺環境の変化に影響を受け易いという問題がある。そのため、上記ワークをストレージ体へ確実に保持させることが困難であり、また、上記ストレージ体から上記ワークを上記マテハン部で確実に把持して移載することが困難になるおそれがあった。また、画像処理を用いた移載は、移載時間が長くなり、生産性が低くなる。さらに、画像処理手段を具備した移載ロボットは、コストが高く、ドア等のワークの形状が変更されるたびに投資額がかさむという問題があった。
【0009】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ワークを確実にストレージ体に保持させることができ、またストレージ体からワークをマテハン部で確実に把持して移載することことができる移載ロボットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、鉛直方向にワークを保持するための下端アタッチ部と、水平方向に上記ワークを保持するための側端アタッチ部とを有するストレージ体から、又は該ストレージ体へ上記ワークを移載するために用いられる移載ロボットであって、
該移載ロボットは、上記ワークを把持することができるマテハン部と、該マテハン部を移動させるためのアームとを備え、
上記マテハン部は、上記ワークを把持するクランプ部と、上記ワークを把持した状態で上記マテハン部に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセルと、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセルとを有し、
上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御するように構成されていることを特徴とする移載ロボットにある(請求項1)。
【0011】
上記移載ロボットは、上記第1ロードセルと上記第2ロードセルとを有する上記マテハン部と、該マテハン部を移動させるための上記アームを備えている。そして、上記ワークの移載時に上記第1ロードセルは、上記マテハン部に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信し、上記第2ロードセルは、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信し、上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御するように構成されている。
【0012】
上記移載ロボットを用いて、上記ストレージ体へ上記ワークを移載する際には、上記ワークを上記マテハン部で把持した状態で、例えば、まず上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に上記ワークを当接させ、次いで上記下端アタッチに上記ワークを保持させることができる。
以下、上述のストレージ体へワークを移載する場合における、上記移載ロボットの作動を説明する。
上記ワークを上記マテハン部により把持した状態で上記側端アタッチ部に当接させると、上記マテハン部に水平方向の荷重がかかり、上記第2ロードセルは、上記検出信号Qを送信する。上記移載ロボットは、上記検出信号Qに基づいて、例えば上記マテハン部にかかる水平方向の荷重、即ち上記ワークにかかる水平方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部の作動を制御することができる。その結果、上記マテハン部に把持された上記ワークが必要以上に大きな荷重で上記側端アタッチ部に当接してしまうことを防止し、上記ワークや上記側端アタッチ部が破損してしまうことを防止することができる。
また、上記移載ロボットは、上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の移動量及び移動方向を補正することもできる。そのため、確実に上記側端アタッチ部に上記ワークを保持させることができる。
【0013】
また、上記側端アタッチ部に上記ワークを保持させた後には、上記マテハン部を下降させて上記ワークを上記下端アタッチ部に保持させることができる。このとき、上記ワークから上記マテハン部にかかる鉛直方向の荷重が小さくなり、上記マテハン部から上記下端アタッチ部に移載した後には荷重は0になる。この鉛直方向の荷重は上記第1ロードセルによって検出され、該第1ロードセルは荷重を上記検出信号Pとして送信する。上記移載ロボットは、鉛直方向の荷重変化(上記検出信号P)に基づいて上記ワークが上記マテハン部から上記下端アタッチ部へ載置されたことを認識し、例えば上記マテハン部の移動(下降)を停止させたり、上記マテハン部を上記ストレージ体から引き離す等という上記マテハン部の作動を制御することができる。このようにして、上記ワークを上記ストレージ体に確実に保持させることができる。
【0014】
次に、上記移載ロボットを用いて、上記ストレージ体から上記ワークを移載する際には、例えば、まず上記マテハン部で上記ワークを鉛直方向に把持し、把持した状態のまま上記マテハン部を移動させることにより、上記ストレージ体から上記ワークを移載させることができる。
以下、上述のストレージ体からワークを移載する場合における、上記移載ロボットの作動を説明する。
上記のように、上記マテハン部で上記ワークを鉛直方向に把持する際には、上記マテハン部から上記ワークに鉛直方向の荷重がかかり、その反作用により上記マテハン部にも上記ワークから鉛直方向の荷重がかかる。これにより、上記第1ロードセルは、上記検出信号Pを送信することができる。上記移載ロボットは、上記検出信号Pに基づいて、例えば上記マテハン部にかかる鉛直方向の荷重、即ち上記ワークにかかる鉛直方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部の作動を制御する上記出力信号を送信することができる。その結果、上記マテハン部が必要以上に大きな荷重で上記ワークを把持して上記ワークを破損させてしまうことを防止することができる。
【0015】
上記ワークを把持させた後には、把持した状態を維持しつつ上記マテハン部を移動させて上記ワークを上記ストレージ体から引き離すように上記マテハン部の作動を制御することができる。このとき、ワークの自重により上記マテハン部には鉛直方向の荷重がかかり、上記ワークを上記ストレージ体から完全に引き離して上記マテハン部により保持したときには、上記ワーク自体の荷重が上記第1ロードセルによって検出される。この検出信号に基づいて、上記移載ロボットは、上記ワークを保持した上記マテハン部の移動を開始させることができる。
このようにして、上記ワークを上記マテハン部で確実に把持して移載することができる。
【0016】
また、上記移載ロボットは、上記第1ロードセル及び/又は上記第2ロードセルからの上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部の作動を制御することができるため、例え使用劣化等により、複数ある上記ストレージ体のうち一部の上記ストレージ体の上記側端アタッチ部及び/又は上記下端アタッチ部に位置ずれなどがあったとしても、その位置ずれを補正することができる。即ち、上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部の移動量及び移動方向を制御することができる。そのため、位置ずれを補正し、該位置ずれがあっても確実に上記ワークの移載を行うことができる。
【0017】
以上のように、本発明によれば、ワークを確実にストレージ体に保持させることができ、またストレージ体からワークをマテハン部で確実に把持して移載することことができる移載ロボットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記移載ロボットは、少なくとも上記マテハン部と、該マテハン部を移動させるためのアームとを備える。上記アームは、上記マテハン部に連結して構成することができる。
また、上記移載ロボットは、さらに上記アーム部の駆動を制御するロボット部を備えることができる。この場合には、ロボット部が内蔵するアクチュエータにより、上記アームの駆動を制御することができる。また、上記ロボット部及び/又は上記アームは、内蔵するアクチュエータにより上記マテハン部の上記クランプ部の開閉を制御することができる。
【0019】
上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御する出力信号を送信する制御手段を有していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記制御手段からの出力信号を上記マテハン部、上記アーム、上記ロボット部等に送信し、上記マテハン部の作動を制御することができる。これにより、マテハン部による上記ワークの把持を制御したり、上記ロボットによりアームの動きを制御して上記マテハン部を移動量及び移動方向を制御したりすることができる。
【0020】
上記制御手段は、例えば上記マテハン部、上記アーム部、又は上記ロボット部に具備させることができる。また、上記制御手段を、上記マテハン部、上記アーム部、及び上記ロボット部から分離して配置することもできる。
【0021】
上記制御手段は、例えば上記第1ロードセル及び/又は上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、該荷重が小さくなるように上記マテハン部の作動を制御する上記出力信号を送信したり、例えば上記第1ロードセル及び/又は上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、該荷重が大きくなるように上記マテハン部の作動を制御する上記出力信号を送信するように構成することができる。
【0022】
上記ワークを保持する上記マテハン部は、鉛直方向に伸びる本体部と、該本体部に沿って少なくとも一方が移動可能に設けられた一対の上記クランプ部とを有していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、一対の上記クランプ部のうち、少なくとも一方が鉛直方向に移動し、一対の上記クランプ部で上記ワークを鉛直方向に狭持して該ワークを保持することができる。また、上記のごとく一対の上記クランプ部のうち少なくとも一方が移動可能であればよいが双方が移動可能にもうけられていてもよい。また、上記マテハン部には、一対以上の上記クランプを形成することもできる。上記クランプ部の移動は、例えば上記本体部にシリンダを内蔵させ、該シリンダにより行わせることができる。
【0023】
上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部の少なくとも一方に配置されており、上記第2ロードセルは、上記本体部に配置されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記クランプ部に設けられた上記第1ロードセルにより上記鉛直方向の荷重を確実に検出することができる。また、上記第2ロードセルを上記本体部に配置することにより、上記第2ロードセルは、上記ワークを把持した状態で上記ワークに付与される水平方向の荷重を確実に検出することができる。
ロードセルは、一般に起歪体を有し、起歪体の歪み方向にかかる荷重を検出することができる。上記第1ロードセルは、起歪体の歪み方向を鉛直方向にして好ましくは上記クランプ部に配置し、上記第2ロードセルは、起歪体の歪み方向を水平方向にして好ましくは上記本体部に配置することにより、それぞれ鉛直方向及び水平方向の荷重を検出することができる。
【0024】
上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部のうち下端側に配置されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記ワークを上記クランプ部により狭持したときに、上記ワークの自重により上記第1ロードセルに荷重がかかる。そのため、上記マテハン部が上記ワークを把持していることを容易に検出することができる。
また、上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部の下端側と上端側との両方に配置させることもできる。
【0025】
上記移載ロボットは、例えば、ワークを保持するストレージ体から、別のストレージ体に上記ワークを移載する際に用いることができる。工場の生産ライン等においては、例えば上記ワークを保持して並ぶ複数のストレージ体から、別のストレージ体に上記ワークを移し替える場合等に上記移載ロボットを用いることができる。
上記制御手段は、上記ストレージ体に上記ワークを移載(搬入)する場合と、上記ストレージ体から上記ワークを移載(搬出)する場合とで異なる制御を行うことができる。
【0026】
以下に、まず、搬入する場合について説明する。
上記制御手段は、上記ワークを上記クランプ部で把持した状態で上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に当接させたときにおける上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動を停止させるように構成されていることが好ましい(請求項6)。即ち、上記制御手段は、例えば上記側端アタッチ部に当接させる方向への作動を停止する出力信号Rを送信することができる。
この場合には、上記ワークに水平方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワークが破損することを防止することができる。
即ち、上記マテハン部に把持した上記ワークを上記ストレージ体へ移載して該ストレージ体に保持させる際には、上記ワークを把持した状態で上記マテハン部を略水平方向に移動させて上記ワークを上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に当接させる。このとき、上記第2ロードセルは、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重、即ち、上記側端アタッチ部から上記ワークに付与される荷重を検出し、検出信号Qを上記制御手段に送信する。上記検出信号Qを受信した上記制御手段は、上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部に当接させる方向への作動を停止する出力信号Rを送信する。出力信号Rは、マテハン部の上記作動を制御する部分、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がアームに連結された上記マテハン部の作動を停止させることができる。上記出力信号Rが送信されなければ、上記ワークを上記側端アタッチ部に当接させた後にも、上記ワークを保持したマテハン部は当接方向に移動を続けるため、上記側端アタッチ部から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワークを変形・破損させてしまうおそれがある。
【0027】
また、上記側端アタッチ部は、水平方向の断面が略コの字又は逆コの字状に形成されいることが好ましい。この場合には、上記ワークの上記側端アタッチ部への当接時に、上記側端アタッチ部への凹部内に上記ワークの側端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記側端アタッチ部に上記ワークを保持させることができる。
【0028】
次に、上記制御手段は、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動の停止後、さらに上記ワークを把持した状態の上記マテハン部を移動させて上記下端アタッチ部に当接させるように構成されていることが好ましい(請求項7)。
即ち、上記側端アタッチ部に当接させる方向への移動を停止させた後、上記制御手段は、例えば上記ワークを把持した状態の上記マテハン部を移動させて上記下端アタッチ部に当接させる上記出力信号Sを送信し、上記ワークを保持した上記マテハン部を下降させることができる。この下降により上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させることができる。
この場合には、上記側端アタッチ部への当接に続けて、上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させることができ、上記ストレージ体の上記側端アタッチ部及び下端アタッチ部への一連の当接を上記制御手段の制御によって自動化させることができる。即ち、上記側端アタッチ部及び上記下端アタッチ部の一連の位置認識を上記制御手段により行うことができる。
【0029】
また、上記下端アタッチ部は、その鉛直方向の断面が略Uの字状に形成されいることが好ましい。この場合には、上記ワークの上記下端アタッチ部への当接時に、上記下端アタッチ部の凹部内に上記ワークの下端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記下端アタッチ部に上記ワークを保持させることができる。
【0030】
上記制御手段は、上記下端アタッチ部に当接させた後、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させるように構成されていることが好ましい(請求項8)。
即ち、上記制御手段は、例えば上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させる出力信号Tを送信することができる。
この場合には、上記ワークに鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワークが破損することを防止することができる。
即ち、上記出力信号Sの送信により、上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させると、上記ワークは上記下端アタッチ部によって支持されるため、上記マテハン部の下端側の上記クランプ部にかかる鉛直方向の荷重、即ち、上記ワークの自重により下端側の上記クランプ部にかかる荷重が低下する。そして、例えば下端側の上記クランプ部に配置された上記第1ロードセルは、上述の荷重の低下を検出し、検出信号Pを送信する。上記検出信号Pを受信した上記制御手段は、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記出力信号Tを送信し、上記下端アタッチ部に当接させる方向への作動を停止させる。出力信号Tは、マテハン部の上記下端アタッチ部への当接方向への作動を制御する部分、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がアームに連結された上記マテハン部の作動(下降方向への移動)を停止させることができる。上記出力信号Tが送信されなければ、上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させた後にも、上記ワークを保持したマテハン部は当接方向に移動を続けるため、上記下端アタッチ部から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワークや上記下端アタッチ部を変形・破損させてしまうおそれがある。
【0031】
上記制御手段は、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させた後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離すように構成されていることが好ましい(請求項9)。
即ち、上記制御手段は、上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させた後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離す出力信号Uを送信することができる。
この場合には、上記ストレージ体に移載された上記ワークから上記マテハン部を引き離し、上述の一連の上記ストレージへの移載を完了させることができる。
具体的には、上記出力信号Uにより、例えば上記マテハン部の一対の上記クランプ部のうち少なくとも一方をワーク側とは反対方向に上記本体部に沿って移動させてクランプ間の間隔を大きくすると共に、マテハン部をワークを配置したストレージ体から遠ざける方向に移動させる。出力信号Uは、上記クランプ部や上記マテハン部自体の作動を制御する部分、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がクランプ間の間隔やアームに連結された上記マテハン部の作動を制御することができる。
【0032】
次に、搬出する場合について説明する。
上記制御手段は、一対の上記クランプ部の内少なくとも一方を上記本体部に沿って移動させて上記ストレージ体に載置された上記ワークを一対の上記クランプ部間に狭持させたときにおける上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部の移動を停止させるように構成されていることが好ましい(請求項10)。
即ち、上記制御手段は、上記ワークを一対の上記クランプ部間に狭持させたときにおける上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部の移動を停止させる出力信号Vを送信することができる。
この場合には、上記ワークに鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワークが破損することを防止することができる。
即ち、一対の上記クランプ部の内少なくとも一方を鉛直方向に伸びる上記本体部に沿って移動させて上記ワークを狭持すると、上記マテハン部には鉛直方向に荷重がかかる。上記第1ロードセルは、この鉛直方向の荷重、即ち上記クランプ部から上記ワークにかかる荷重を検出し、検出信号Pを上記制御手段に送信する。上記制御手段は、上記検出信号Pに基づいて、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記出力信号Vを送信し、上記クランプ部の移動を停止させる。出力信号Vは、クランプ部の上記移動を制御する部分、例えば上記ロボット部や上記マテハン部等に送信され、上記クランプ部の移動を停止させることができる。上記出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部が上記ワークを狭持した後にも、上記クランプ部が移動し続けるため、上記クランプ部から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワークを変形・破損させてしまうおそれがある。また、出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部による上記ワークの把持を上記移載ロボットが認識できず、十分に把持していない状態でマテハン部を移動させて、移載中にワークを落下させてしまうおそれがある。
【0033】
上記制御手段は、上記クランプ部の移動の停止後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体から上記ワークを移載させるように構成されていることが好ましい(請求項11)。
即ち、上記制御手段は、上記クランプ部の移動の停止後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体から上記ワークを移載させる出力信号Wを送信することができる。
これにより、上記マテハン部に上記ワークを確実に把持した状態で上記ワークを上記ストレージ体から移載(搬出)することができ、上記ワークの落下や転倒を回避することができる。また、上記ストレージ体からの一連の搬出を自動化させることができる。
具体的には、上記出力信号Wにより、上記ワークを把持した上記マテハン部を、上記ワークを保持していたストレージ体から遠ざける方向に移動させ、搬出先に向けて移動させることができる。出力信号Wは、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がアームに連結された上記マテハン部を移動させることができる。
【0034】
次に、上記ワークは、自動車用ドアであることが好ましい(請求項13)。
一般に、自動車の組立工程においては、自動車用ドアを、その塗装後に車両本体から外す工程が行われている。外された自動車ドアは、ストレージ体から別のストレージ体に移載される。この移載時に上記移載ロボットを用いることにより、自動化を図ることができると共に、自動車ドアを破損させることなく、確実に移載を行うことができる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
次に、本発明の移載ロボットの実施例につき、図1〜図22を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の移載ロボット1は、鉛直方向にワーク100を保持するための下端アタッチ部21(31)と、水平方向にワーク100を保持するための側端アタッチ部22(32)とを有するストレージ体2(3)から、別のストレージ体3(2)へワーク100を移載するために用いられる。
図3〜図8に示すごとく移載ロボット1は、ワーク100を把持することができるマテハン部5と、該マテハン部5を移動させるためのアーム15とを備える。マテハン部5は、ワーク100を把持するクランプ部51、52と、ワーク100を把持した状態でマテハン部5に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセル53と、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセル54とを有する。
移載ロボット1は、検出信号P及び検出信号Qに基づいて、マテハン部5の作動を制御するように構成されている。
【0036】
以下、本例の移載ロボットの構成につき、詳細に説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の移載ロボット1は、ワーク100として、自動車用ドアを保持するストレージ体2(3)から別のストレージ体3(2)に移載する際に用いる。自動車の製造ラインにおいては、車室内にインストルメントパネル等の大型部品を搬入するために、塗装が完了した車本体からドアを一旦取り外す工程が行われる(図示略)。取り外されたドア(ワーク100)は、ハンガーとよばれるストレージ体2に載せられドア搬送ラインのレール29により搬送される。ワーク100を保持したストレージ体2は、その上部に設けられたレール29に沿って所定の移載場所まで搬送され、ワーク100は、下部にレール39が設けられてこのレール39に沿って移動する別のストレージ体3(トレー)へ移載される。その後、ワーク100は、ストレージ体3(トレー)から再度ストレージ体2(ハンガー)へ移載され、レール29により自動車本体の組付けラインまで搬送され、ワーク100(自動車ドア)が車本体に取り付けられる。本例の移載ロボット1は、ストレージ体2(ハンガー)からストレージ体3(トレー)及びストレージ体3(トレー)からストレージ体2(ハンガー)への移載に用いられる。本例においては、特に、ストレージ体2(ハンガー)からストレージ体3(トレー)への移載について説明する。
【0037】
ストレージ体2(ハンガー)は、図9に示すごとく、本体部23と、その下部に配設され、鉛直方向にワークを保持するための下端アタッチ部21と、本体部23の両側端に配設され、水平方向にワークを保持するための一対の側端アタッチ部22a、22bとを有する。ストレージ体2は、下端アタッチ部21と側端アタッチ部22とをそれぞれ2つずつ有している。
下端アタッチ部21は、断面が略Uの字状のアタッチ部が、本体部23の下部に所定の間隔を開けて2つ形成されている。下端アタッチ部21は、開口部を上に向けて配置されており、その凹部内にはワークの下端を部分的に挿入することができ、ワークを保持できる構成になっている。
【0038】
ストレージ体2の水平方向には、断面略コの字状及び逆コの字状の一対の側端アタッチ部22a、22bが、その凹部の開口部分を水平方向に対向させて設けられている。側端アタッチ部22a、22bは、ワークの両側端を水平方向に狭持して保持することができる。一対の側端アタッチ部22a、22bのうち一方の側端アタッチ部22aは、その位置が本体部23に固定されており、もう一方の側端アタッチ部22bは、水平方向に可動する。即ち、側端アタッチ部22bを水平方向に動かすことにより、対向する一対の側端アタッチ部22a、22b間の間隔を変えることができる構成になっている。可動側の側端アタッチ部22bには、ロック機構225が設けられており、このロック機構225を作動させることにより、可動側の側端アタッチ部22bの可動及び固定を切り替えることができる。
本体部23には、可動側の側端アタッチ部22bが水平方向に移動するためのレール部25が設けられており、側端アタッチ部22bは、レール部に沿って可動する。
また、本体部23の上部には、吊下部24が本体部23に一体的に形成されている。この吊下部24において、ストレージ体2は、レール(図示略)に連結され、運搬される。
【0039】
また、ストレージ体3(トレー)も、基本的な構成は、上述のストレージ体2(ハンガー)と同様であり、図10及び図11に示すごとく、下端アタッチ部31と側端アタッチ部32とを有している。
ストレージ体3は、それぞれの側面391、392に、ストレージ体2(ハンガー)とほぼ同様の構成の下端アタッチ部31と側端アタッチ部32とをそれぞれ2つずつ(合計4つずつ)有し、各側面391、392にワークを1つずつ(合計2つ)保持することができる。ストレージ体2(ハンガー)と同様に、一対の側端アタッチ部32a、32bのうち一方の側端アタッチ部32aは、ストレージ体3にその位置が固定されており、もう一方の側端アタッチ部32bは、水平方向に可動し、ロック機構325により可動及び固定を切り替えることができる。
【0040】
ストレージ体3(トレー)は、レール(図示略)上を移動する土台部33と、この土台部33から上方に伸びる2つの支持体34とを有し、支持体間には、水平方向に伸びるレール部35が設けられている。下端アタッチ部31は土台部33上に形成されており、対向する一対の側端アタッチ部32a、32bは、レール部35に形成されている。可動側の側端アタッチ部32bは、レール部35に沿って水平方向に可動する。即ち、側端アタッチ部32a、32bの間隔を変えることができる構成になっている。
また、土台部には、車輪37、38が設けられている。車輪37によりレール上を移動でき、また、車輪38により、ストレージ体3を少なくとも180℃回転させることができ、側面391、392を反転させることができる。
【0041】
移載ロボット1は、図3に示すごとく、マテハン部5と、これに連結してマテハン部5を移動させるアーム15と、アームの動きを制御するアクチュエータを内蔵するロボット部19とを備えている。マテハン部5とアーム15との間には、両者を連結するためのジョイント部150が設けられている。
【0042】
マテハン部5は、図4〜図8に示すごとく、鉛直方向に伸びる本体部50と、この本体部50に沿って一方が移動可能に設けられた一対のクランプ部51、52とを有している。本体部50には、シリンダ501が配設されており、このシリンダ501の作動により一対のクランプ部51、52のうちの一方、本例においては上端側のクランプ部51を本体部50に沿って鉛直方向にスライドさせることができる(図4及び図5参照)。
【0043】
図4、図5、図7、及び図8に示すごとく、下端側のクランプ部52は、本体部50の下端部から水平方向に伸びる基板部520と、この基板部520と本体部50との間を連結するジョイント部521とを有している。また、基板部520上には、鉛直方向の荷重を検出する第1ロードセル53が配設されており、この第1ロードセル53上に、ワークの下端を支持するアタッチ部522が形成されている。第1ロードセル53は、アタッチ部522に配置されたワークの荷重等の鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信することができる。
【0044】
また、図4に示すごとく、上端側のクランプ部51は、断面が上下反転したLの字状のアタッチ部510を有し、このアタッチ部は510、水平方向に伸びる基板511と鉛直方向に伸びる基板512とが連結部材513で連結されて構成されている。基板511の先端部514は、ワークを保持したときの落下防止のため凸状に加工されている。
クランプ部51は各種連結部材を介してシリンダ501に連結されており、シリンダ501のピストン機構により、本体部50に沿った鉛直方向に移動することができる。マテハン部5においては、この上端側のクランプ部51の移動により、クランプ部51、52間の間隔を変動させて、ワークを保持することができる。
【0045】
また、図5及び図6に示すごとく、本体部50には、水平方向の荷重を検出する第2ロードセル54が配設されている。
第2ロードセル54は、ジョイント部150に連結された基板540上に配置され、連結部材541を介してガイド部542に連結している。ガイド部542は、連結部材543を介して本体部50に連結されており、これらの連結部材541、543及びガイド部542等により、マテハン部5(本体部50)にかかる水平方向の荷重を第2ロードセル54に伝達させる構成になっている。また、ガイド部542の第2ロードセル54とは反対側の端部には、ガイド部の従動を制限する従動規制プレート544が配設されている。第2ロードセル54は、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信することができる。
【0046】
移載ロボット1は、上述の検出信号P及び検出信号Qに基づいて、マテハン部5の作動を制御する出力信号を送信する制御手段(図示略)を有している。
本例において、制御手段は、ロボット部19に内蔵されている(図3参照)。制御手段は、制御プログラムを内蔵したコンピュータ回路であり、上述のロボット部19、アーム15、及びマテハン部5とは異なる別部材として配置することもできる。
【0047】
以下、一方のストレージ体(ハンガー)からもう一方のストレージ体(トレー)へ移載する場合における制御手段によるマテハン部の作動の制御について説明する。
ストレージ体(ハンガー)からもう一方のストレージ体(トレー)へ移載においては、まず、移載ロボットによりストレージ体(ハンガー)からワークを搬出する。
即ち、まず、ロボット部19によりアーム15を動かして、マテハン部5を、ワーク100を保持するストレージ体2(ハンガー)まで移動させる(図1及び図2参照)。そして、図12に示すごとく、マテハン部5の一対のクランプ部51、52の間にワーク100を配置させるようにマテハン部5を移動させる。このとき、マテハン部5のクランプ部51、52間の間隔を、狭持しようとするワーク100の鉛直方向の幅よりも大きな幅にしておき、下端側のクランプ部52をワーク100に当接させる。本例においては、上端側のクランプ部51をワーク100である自動車用ドアの窓枠内の空間に挿入し、下端側のクランプ部52を自動車用ドアの下端に当接させた。このとき、下端側のクランプ部52に配設された第1ロードセル53に荷重がかかるため、移載ロボット1は、このワーク100のクランプ部52への当接を検出することができる。
【0048】
次いで、図12及び図13に示すごとく、シリンダ501のピストンにより上端側のクランプ部51を下端側のクランプ部52に近づく方向91に本体部50に沿って移動させて、ストレージ体2に載置されたワーク100を一対のクランプ部51、52間に狭持させた。このとき、下端側のクランプ部52に配置された第1ロードセル53(図4参照)には鉛直方向の荷重がかかる。そして、移載ロボット1のロボット部19に内蔵された制御手段は、第1ロードセル53によって検出される荷重(検出信号P)が所定の値以上になったときに、上端側のクランプ部51の移動を停止させる出力信号Vを送信する。
【0049】
出力信号Vを送信した時には、ワーク100はクランプ部51、52により把持されている(図13参照)。そのため、ストレージ体2の可動側の側端アタッチ部22bのロック機構225を解除し、一対の側端アタッチ部22a、22b間の間隔が大きくなる方向に、可動側の側端アタッチ部22bをスライドさせておくことができる(図9、図13参照)。これにより、ワーク100に対する側端アタッチ部22a、22bによる保持を解除することができる。これを解除しても、ワーク100は、マテハン部5により保持されているため、転倒することもない。
【0050】
また、制御手段は、上述の出力信号Vの送信後に、ストレージ体2からワーク100を移載する出力信号Wを送信するように構成されている。具体的には、図3、図14、及び及び図15に示すごとく、出力信号Wにより、移載ロボット1のロボット部19を制御してアーム15に連結されたマテハン部5を上方に移動させてワーク100をストレージ体2の下端アタッチ部21から引き離す。このとき、下端側のクランプ部52に配置された第1ロードセルには、自重によるワークの荷重を検出することができる。制御手段は、これを検出信号Pとして検出することができ、移載ロボットは、マテハン部5がワーク100の保持していることを確実に検知することができる。
そして、マテハン部5に保持したワーク100を、移送先であるもう一方のストレージ体3(トレー)に搬送することができる(図1、図2、図16参照)。
【0051】
次に、ストレージ体(トレー)にワークを搬入する場合の制御について説明する。
まず、上述のごとくロボット部19によりアーム15を動かして、ワーク100を保持した状態のマテハン部5をストレージ体3(トレー)まで移動させる(図16参照)。このとき、ストレージ体3の一対の側端アタッチ部32a、32b間の幅がワーク100の幅よりも大きくなるように、ロック機構325を解除し、可動側の側端アタッチ部32bを水平方向に移動させておく(図10、図11、及び図16参照)。
そして、ストレージ体3の固定側の側端アタッチ部32aに、マテハン部5に保持した状態のワーク100の側端101を当接させる(図17(a)〜(c)参照)。
【0052】
側端アタッチ部への当接は、例えば次のようにして行うことができる。
まず、ワーク100を保持した状態のマテハン部5を動かして、ストレージ体3の側端アタッチ部32a、32b間に、ワーク100を斜め方向から侵入させる(図17(a)参照)。そして、側端アタッチ部32a、32bとワーク100とが水平方向に並ぶようにワーク100を側端アタッチ部32a、32b間に配置させる(図17(b)参照)。そして、マテハン部5を水平方向92に動かして、ワーク100の側端101を固定側の側端アタッチ部32aに当接させる(図17(c)参照)。このとき、マテハン部5に配置されている第2ロードセル54には水平方向に荷重がかかる。そして、検出手段(図示略)は、第2ロードセル54によって検出される荷重(検出信号Q)が所定の値以上となったときに、固定側の側端アタッチ部32aに当接させる方向92へのマテハン部5の作動を停止する出力信号Rを送信する。
また、側端アタッチ部32aへの当接時には、上記検出信号Qに基づいて、マテハン部5の移動量及び移動方向を補正することもできる。その結果、確実に固定側の側端アタッチ部32aにワーク100の側端部101を当接させることができる(図17(a)〜(c)参照)。
【0053】
次に、上記制御手段は、上記出力信号Rの送信後、さらに上記ワーク100を把持した状態のマテハン部5を移動させてストレージ体3の下端アタッチ部に当接させる出力信号Sを送信する(図18〜図20参照)。即ち、上記出力信号Rにより、上記側端アタッチ部32aに当接させる方向92への移動を停止させた後(図17(c)参照)、上記制御手段は、上記出力信号Sを送信し、ワーク100を保持したマテハン部5を、下端アタッチ部31に当接させる方向93へ移動、即ち下降させる(図18〜図20参照)。この下降によりワーク100をストレージ体3の下端アタッチ部31に当接させることができる。
【0054】
上記出力信号Sの送信後には、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記制御手段は、上記マテハン部5の上記下端アタッチ部31へ載置させる方向93への移動を停止する出力信号Tを送信する(図19及び図20参照)。
即ち、上記出力信号Sの送信により、上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に当接させると、ワーク100は下端アタッチ部31によって支持されるため、マテハン部5の下端側のクランプ部52にかかる鉛直方向の荷重、即ち、上記ワーク100の自重により下端側のクランプ部52にかかる荷重が低下する。そして、下端側のクランプ部52に配置された第1ロードセル53は、上述の荷重の低下を検出し、検出信号Pを送信する。上記検出信号Pを受信した制御手段(図示略)は、上記出力信号Tを送信し、ストレージ体3の下端アタッチ部31に当接させる方向93への作動、即ちマテハン部5の下降を停止させる。出力信号Tは、マテハン部5の下端アタッチ部31への当接方向93への作動を制御する部分、例えばロボット部19に送信され、該ロボット部がアーム15に連結されたマテハン部5の作動(下降方向93への移動)を停止させることができる(図3参照)。
【0055】
上記出力信号Tの送信後には、ワーク100の下端アタッチ部31への載置は完了しているため、図21及び図22に示すごとく、ストレージ体3の可動側の側端アタッチ部32bをワーク100側(矢印94の方向)にスライドさせて、一対の側端アタッチ部32a、32bにてワーク100の両側端101、102を狭んで保持することができる。なお、可動側の側端アタッチ部32bのスライドは、後述の出力信号Uの送信後に行うこともできる。
【0056】
次いで、上記制御手段は、上記出力信号Tの送信後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離す出力信号Uを送信する。
具体的には、上記出力信号Uにより、例えばマテハン部5の一対のクランプ部51、52のうちの一方のクランプ部51をワーク100側とは反対方向95、即ち、ワークを狭持する方向とは反対方向に本体部50に沿って移動させてクランプ51、52間の間隔を大きくする(図22(a)及び図22(b)参照)。そして、ロボット部を作動させてアームに連結したマテハン部5をワーク100を配置したストレージ体3から遠ざける方向に移動させる(図(c)参照)。出力信号Uは、マテハン部5やその作動を制御する部分、例えば上記ロボット部19に送信され、該ロボット部19がマテハン部5のクランプ部51、52間の間隔やアーム15に連結されたマテハン部5の作動を制御することができる(図3参照)。
【0057】
以上のような制御手段の制御により、ストレージ体2(ハンガー)から別のストレージ体3(トレー)への移載を行うことができる(図1及び図2参照)。ストレージ体3(トレー)は、両側面に1つずつワークを載置できるように構成されており(図10及び図11参照)、ストレージ体3の下に設置されているレール39上で少なくとも180℃回転して側面391、392を反転できる構成となっている(図1及び図2参照)ため、一方の側面391側に、ワーク100を移載した後にストレージ体3の側面を反転させて、もう一方の側面392側にも同様にしてワーク100を移載させることができる。
また、本例においては、ストレージ体2(ハンガー)からストレージ体3(トレー)への移載について説明したが、ストレージ体3(トレー)からストレージ体2(ハンガー)への移載も同様の制御により行うことができる。
【0058】
次に、本例の作用効果について説明する。
図3〜図6に示すごとく、移載ロボット1は、第1ロードセル53と第2ロードセル54とを有するマテハン部5と、マテハン部5を移動させるためのアーム15を備えている。そして、ワークの移載時に第1ロードセル53は、マテハン部5に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信し、第2ロードセル54は、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信し、移載ロボット1は、上記検出信号P及び上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部5の作動を制御するように構成されている。
【0059】
上記移載ロボット1を用いて、上記ストレージ体3へ上記ワーク100を移載する際には、上述のごとく、上記ワーク100を上記マテハン部5で把持した状態で、例えば、まず上記ストレージ体3の上記側端アタッチ部32に上記ワーク100を当接させ、次いで上記下端アタッチ31に上記ワーク100を保持させることができる(図17〜図20参照)。
以下、上述のストレージ体3へワーク100を移載(搬入)する場合おける作用効果につき、説明する。
図17(a)〜(c)に示すごとく、上記ワーク100を上記マテハン部5により把持した状態で上記側端アタッチ部32aに当接させると、上記マテハン部5に水平方向の荷重がかかり、上記第2ロードセル54は、上記検出信号Qを送信する(図5及び図6参照)。上記移載ロボット1は、上記検出信号Qに基づいて、上述のごとく例えば上記マテハン部5にかかる水平方向の荷重、即ち上記ワーク100にかかる水平方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部5の作動を制御することができる。その結果、上記マテハン部5に把持された上記ワーク100が必要以上に大きな荷重で上記側端アタッチ部32aに当接してしまうことを防止し、上記ワーク100や上記側端アタッチ部32aが破損してしまうことを防止することができる。
また、上記移載ロボット1は、上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部5の移動量及び移動方向を補正することもできる。そのため、確実に上記側端アタッチ部32aに上記ワーク100を保持させることができる。
【0060】
また、上記側端アタッチ部32aに上記ワーク100を保持させた後には、図18〜図20に示すごとく、上記マテハン部5を下降させて上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に保持させることができる。このとき、ワーク100は下端アタッチ部31によって支持されるため、上記ワーク100から上記マテハン部5にかかる鉛直方向の荷重が小さくなり、ワーク100を上記マテハン部5から上記下端アタッチ部31に移載した後には荷重は0になる。この鉛直方向の荷重は上記第1ロードセル53によって検出され、該第1ロードセル53はこの荷重変化を上記検出信号Pとして送信する。
上記移載ロボット1は、上述の鉛直方向の荷重変化(上記検出信号P)に基づいて上記ワーク100が上記マテハン部5から上記下端アタッチ部31へ載置されたことを検知し、上述のごとく上記マテハン部5の移動(下降)を停止させたり(図19及び図20参照)、上記マテハン部5を上記ストレージ体から引き離したり(図22(a)〜(c)参照)するという上記マテハン部5の作動を制御することができる。このようにして、上記ワーク5を上記ストレージ体3に確実に保持させて移載させることができる。
【0061】
次に、上記移載ロボット1を用いて、上記ストレージ体2から上記ワーク100を移載する際には、上述のごとくまずマテハン部5のクランプ部51、52で上記ワーク100を鉛直方向に把持し(図12及び図13参照)、把持した状態のまま上記マテハン部5を移動させることにより、上記ストレージ体2から上記ワーク100を移載させることができる(図14及び図15参照)。
以下、上述のストレージ体2からワーク100を移載(搬出)する場合における作用効果につき、説明する。
図12及び図13に示すごとく、上記のように上記マテハン部5のクランプ部51、52で上記ワーク100を鉛直方向に把持する際には、上記マテハン部5から上記ワーク100に鉛直方向の荷重がかかり、その反作用により上記マテハン部5(クランプ部52)にも上記ワーク100から鉛直方向の荷重がかかる。これにより、クランプ部52に配置された第1ロードセル53が、荷重を検知し上記検出信号Pを送信することができる。上記移載ロボット1、具体的には移載ロボットに内蔵された制御手段(図示略)は、上記検出信号Pに基づいて、例えば上記マテハン部5にかかる鉛直方向の荷重、即ち上記ワーク100にかかる鉛直方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部5の作動を制御する上記出力信号を送信することができる(図3〜図8、図12、及び図13参照)。その結果、上記マテハン部5が必要以上に大きな荷重で上記ワーク100を把持してこれを破損させてしまうことを防止することができる。
【0062】
上記マテハン部5により上記ワーク100を把持した後には、図14及び図15に示すごとく、把持した状態を維持しつつ上記マテハン部5を移動させて上記ワーク100を上記ストレージ体2から引き離すように上記マテハン部5の作動を制御することができる。このとき、ワーク100の自重により上記マテハン部5(クランプ部52)には鉛直方向の荷重がかかり、上記ワーク100を上記ストレージ体2から完全に引き離して上記マテハン部5により保持したときには、上記ワーク100自体の荷重が上記第1ロードセル53によって検出される。この検出信号に基づいて、上記移載ロボット1は、具体的には制御手段は、上記ワーク100を保持した上記マテハン部5の移動を開始させることができる。
このようにして、上記ワーク100を上記マテハン部5で確実に把持して移載することができる。
【0063】
また、上記移載ロボット1は、上記第1ロードセル53及び/又は上記第2ロードセル54からの上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部5の作動を制御することができるため、例え使用劣化等により、複数ある上記ストレージ体2、3のうち一部の上記側端アタッチ部22、32及び/又は上記下端アタッチ部21、31に位置ずれなどがあったとしても、その位置ずれを補正することができる(図1及び図2参照)。即ち、上記移載ロボット1は、上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部5の移動量及び移動方向を制御することができる。そのため、位置ずれを補正し、該位置ずれがあっても確実に上記ワーク100の移載を行うことができる。
【0064】
また、本例において、上記移載ロボット1は、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部5の作動を制御する出力信号を送信する制御手段(図示略)を有している(図3参照)。そのため、制御手段からの出力信号を上記マテハン部5、上記アーム15、上記ロボット部19等に送信し、上記マテハン部5の作動を制御することができる。これにより、マテハン部5による上記ワーク100の把持を制御したり、上記ロボット部19によりアームの動きを制御して上記マテハン部5を移動量及び移動方向を制御したりすることができる。
【0065】
また、移載ロボット1において、図3〜図5に示すごとく、ワークを保持する上記マテハン部5は、鉛直方向に伸びる本体部50と、この本体部50に沿って少なくとも一方が移動可能に設けられた一対の上記クランプ部51、52とを有している。
そのため、一対の上記クランプ部51、52で上記ワークを鉛直方向に狭持してこれを保持することができる。
【0066】
図4〜図8に示すごとく、第1ロードセル53は、一対の上記クランプ部51、52の少なくとも一方に配置されており、上記第2ロードセル54は、上記本体部50に配置されている。
そのため、上記クランプ部51、52に設けられた上記第1ロードセル53により上記鉛直方向の荷重を確実に検出することができる。また、上記第2ロードセル54を上記本体部50に配置することにより、上記第2ロードセル54は、上記ワークを把持した状態で上記ワークに付与される水平方向の荷重を確実に検出することができる。ロードセル53、54は、起歪体を有し、起歪体の歪み方向にかかる荷重を検出することができる。上記第1ロードセル53は、起歪体の歪み方向を鉛直方向にして上記クランプ部52に配置し、上記第2ロードセル54は、起歪体の歪み方向を水平方向にして上記本体部50に配置することにより、それぞれ鉛直方向及び水平方向の荷重を検出することができる。
【0067】
また、上記第1ロードセル53は、一対の上記クランプ部51、52のうち下端側のクランプ部52に配置されている。そのため、上記ワークを上記クランプ部51、52により狭持したときに、上記ワークの自重により上記第1ロードセル53に荷重がかかる。それ故、上記マテハン部5が上記ワークを把持していることを容易に検出することができる。
【0068】
また、図16及び図17(a)〜(c)に示すごとく、上記制御手段は、上記ワーク100を上記クランプ部51、52で把持した状態で上記マテハン部5を移動させて上記ストレージ体3の上記側端アタッチ部32(32a)に当接させたときにおける上記第2ロードセル54によって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部22、32に当接させる方向92への上記マテハン部の移動を停止させるように構成されている(出力信号Rの送信)。
そのため、上記ワーク100に水平方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワーク100が破損することを防止することができる。上記出力信号Rが送信されなければ、上記ワーク100を上記側端アタッチ部32aに当接させた後にも、上記ワーク100を保持したマテハン部5は当接方向92に移動を続けるため、上記側端アタッチ部32aから上記ワーク100にかかる荷重が大きくなり、上記ワーク100及び/又は側端アタッチ部32aを変形・破損させてしまうおそれがある。
【0069】
また、図9〜図11に示すごとく、ストレージ体2、3の上記側端アタッチ部22、32は、水平方向の断面が略コの字又は逆コの字状に形成されいる。そのため、上記ワーク100の上記側端アタッチ部22、32への当接時に、上記側端アタッチ部22、32への凹部内に上記ワーク100の側端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記側端アタッチ部22、32に上記ワーク100を確実に保持させることができる。
【0070】
また、上記制御手段は、上記出力信号Rの送信後、図18〜図20に示すごとく、さらに上記ワーク100を把持した状態の上記マテハン部5を移動させて上記下端アタッチ部31に当接させるように構成されている(出力信号Sの送信)。
そのため、上記側端アタッチ部への当接に続けて、上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に当接させることができ、図16〜図20に示すごとく、上記側端アタッチ部32及び下端アタッチ部31への一連の当接を上記制御手段の制御によって自動化させることができる。即ち、上記側端アタッチ部32及び上記下端アタッチ部31の一連の位置認識を上記制御手段により行うことができる。
【0071】
また、図9〜図11に示すごとく、上記下端アタッチ部21、31は、その鉛直方向の断面が略Uの字状に形成されいる。
そのため、上記ワークの上記下端アタッチ部21、31への当接時に、上記下端アタッチ部21、31の凹部内に上記ワークの下端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記下端アタッチ部21、31に上記ワークを確実に保持させることができる。
【0072】
また、上記制御手段は、上記出力信号Sの送信後、図19、図20に示すごとく、上記第1ロードセル53によって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部5の上記下端アタッチ部31へ載置させる方向93への移動を停止させるように構成されている(出力信号Tの送信)。
そのため、上記ワーク100に鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワーク100が破損することを防止することができる。上記出力信号Tが送信されなければ、上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に当接させた後にも、上記ワーク100を保持したマテハン部5は当接方向93に移動を続けるため、上記下端アタッチ部31から上記ワーク100にかかる荷重が大きくなり、上記ワーク100や上記下端アタッチ部31を変形・破損させてしまうおそれがある。
【0073】
また、上記制御手段は、上記出力信号Tの送信後に、図22に示すごとく、上記ワーク100から上記マテハン部5を引き離すように構成されている(出力信号Uの送信)。
そのため、上記ストレージ体3に移載された上記ワーク100から上記マテハン部5を引き離し、上述の一連の上記ストレージ3への移載を完了させることができる。
【0074】
次に、図12〜図15に示すごとく、ストレージ体2からワーク100を移載(搬出)する場合おける作用効果につき、説明する。
上記制御手段は、上述のごとく、一対の上記クランプ部51、52の内少なくとも一方のクランプ部51を上記本体部50に沿って移動させて上記ストレージ体2に載置された上記ワーク100を一対の上記クランプ部51、52間に狭持させたときにおける上記第1ロードセル53によって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部51の移動(スライド)を停止させるように構成されている(出力信号Vの送信)。
そのため、上記ワーク100に鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワーク100が破損することを防止することができる。上記出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部51、52が上記ワーク100を狭持した後にも、上記クランプ部51が移動し続けるため、上記クランプ部51、52から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワーク100を変形・破損させてしまうおそれがある。また、出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部51、52による上記ワーク100の把持を上記移載ロボット1が認識できず、十分に把持していない状態でマテハン部5を移動させて、移載中にワーク100を落下させてしまうおそれがある。
【0075】
上記制御手段は、上記出力信号Vの送信後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体2から上記ワーク100を移載させるように構成されている(出力信号Wの送信)。
そのため、上記マテハン部5に上記ワーク100を確実に把持した状態で上記ワーク100を上記ストレージ体2から移載(搬出)することができ、上記ワーク100の落下や転倒を回避することができる。また、上記ストレージ体2からの一連の搬出を自動化させることができる。
【0076】
また、本例においては、上記ワーク100として、自動車用ドアを用いている。
一般に、自動車の組立工程においては、自動車用ドアを、その塗装後に車両本体から外す工程が行われている。外された自動車ドアは、ストレージ体2から別のストレージ体3に移載される(図1及び図2参照)。この移載時に上記移載ロボット1を用いることにより、自動化を図ることができると共に、自動車ドアを破損させることなく、確実に移載を行うことができる。
【0077】
以上のように、本例によれば、ワーク100を確実にストレージ体3に保持させることができ、またストレージ体2からワーク100をマテハン部5で確実に把持して移載することことができる移載ロボット1を提供することができる。
なお、本例の説明に用いた図面においては、説明の便宜のため、実線で示すべきところを破線で示してある。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例にかかる、移載ロボットを用いてワークをストレージ体から別のストレージ体に移載する様子を側面から示した説明図。
【図2】実施例にかかる、移載ロボットを用いてワークをストレージ体から別のストレージ体に移載する様子を上方から示した説明図。
【図3】実施例にかかる、移載ロボットの全体構成を斜め上方から示した説明図。
【図4】実施例にかかる、移載ロボットのマテハン部を側面から示した説明図。
【図5】実施例にかかる、移載ロボットのマテハン部を正面から示した説明図。
【図6】実施例にかかる、移載ロボットのマテハン部を上面から示した説明図。
【図7】実施例にかかる、マテハン部における下端側のクランプ部周辺を部分的に拡大し、正面から示した説明図。
【図8】実施例にかかる、マテハン部における下端側のクランプ部周辺を部分的に拡大し、側面から示した説明図。
【図9】実施例にかかる、ストレージ体(ハンガー)の全体構成を斜め上方から示した説明図。
【図10】実施例にかかる、ストレージ体(トレー)の全体構成を斜め上方から示した説明図。
【図11】実施例にかかる、ストレージ体(トレー)の全体構成を上方から示した説明図。
【図12】実施例にかかる、ストレージ体(ハンガー)に保持されたワークを、マテハン部のクランプ部で狭持させる様子を側面から示した説明図。
【図13】実施例にかかる、ストレージ体(ハンガー)に保持されたワークを、マテハン部のクランプ部で狭持させた状態を側面から示した説明図。
【図14】実施例にかかる、図13の状態を下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図15】実施例にかかうる、ワークを保持したマテハン部をストレージ体(ハンガー)から引き離すように移動させる様子を、下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図16】実施例にかかる、ワークを保持したマテハン部をストレージ体(トレー)に移載する様子を正面から示した説明図。
【図17】実施例にかかる、ワークを保持したマテハン部を移動させて、ワークをストレージ体の側端アタッチ部間に挿入する様子を上面から示した説明図(a)、ワークをストレージ体の側端アタッチ部間に水平に配置させた様子を上面から示した説明図(b)、ワークの側端をストレージ体の側端アタッチ部に当接させた様子を上面から示した説明図(c)。
【図18】実施例にかかる、マテハン部に把持させたワークをストレージ体(トレー)の下端アタッチ部に載置する様子を側面から示した説明図。
【図19】図18の状態を下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図20】実施例にかかる、マテハン部に把持させたワークをストレージ体(トレー)の下端アタッチ部に当接させた状態を、下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図21】実施例にかかる、側端アタッチ部をスライドさせて、下端アタッチ部に載置したワークを、側端アタッチ部にて狭持する様子を上面から示した説明図(a)、下端アタッチ部に載置したワークを一対の側端アタッチ部で狭持した状態を上面から示す説明図(b)。
【図22】実施例にかかる、ストレージ体(トレー)に配置したワークを狭持するマテハン部のクランプ部の間隔を広げる様子を側面から示す説明図(a)、クランプ部の間隔を広げた状態を側面から示す説明図(b)、ワークを保持したストレージ体からマテハン部を引き離す様子を側面から示す説明図(c)。
【符号の説明】
【0079】
1 移載ロボット
15 アーム
19 ロボット部
2 ストレージ体(ハンガー)
21 下端アタッチ部
22 側端アタッチ部
3 ストレージ体(トレー)
31 下端アタッチ部
32 側端アタッチ部
5 マテハン部
51 クランプ部(上端側)
52 クランプ部(下端側)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをストレージ体から別のストレージ体へ移載するために用いられる移載ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移載ロボットは、例えば工場の生産ライン等において、ワークを移動させるために用いられていた。
例えば自動車の生産ラインにおいては、車室内にインストルメントパネル等の大型部品を搬入するために、塗装が完了した車本体からドアを一旦取り外す工程が行われていた(特許文献1参照)。このとき、車両本体は、主要組立ラインに移送されてインストルメントパネルなどの部品が装着され、取り外されたドアは、ハンガーとよばれるストレージ体に載せられドア搬送ラインに移送される。ドア搬送ラインにおいては、省スペース化のため、ハンガーに載せられたドアをトレーと呼ばれる別のストレージ体へ移し替える工程が行われる。この移し替える工程(移載工程)は、従来手作業で行われていたが、合理化・コストダウンのため上記移載ロボットの適用が検討されていた。
【0003】
一般に、上記移載ロボットは、ドア等のワークを保持して該ワークを移載するマテハン部と、該マテハンに連結するアーム部と、該アーム部を作動させるロボット部とからなる。そして、マテハン部でワークを把持し、ロボット部により制御されたアームを移動させることにより、ワークを移載させることができる。
【0004】
近年、生産ラインの自動化が求められており、ドアの移載においてもその自動化の要求が高まっている。
一般に、ストレージ体は、鉛直方向と水平方向にドアを保持するための下端アタッチ部と側端アタッチ部とをそれぞれ有しており、上記側端アタッチ部及び下端アタッチ部へのドアの移載時には、ドアを側端アタッチ部に嵌合させ、次いで、下端アタッチ部に嵌合させることによりストレージ体にドアを保持させる。自動化のためには、移載ロボットは、各アタッチ部の位置を正確に検出する必要がある。また、ストレージ体の下端アタッチ部及び側端アタッチ部は、製品入れ替え時又は使用による劣化が原因となり、その位置に固有のバラツキを有している。そのため、上記移載ロボットには、ストレージ体の下端アタッチ部及び側端アタッチ部の位置ずれを検出することが要求される。
【0005】
【特許文献1】特開昭53−8884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
側端アタッチ部への嵌合時等には、該側端アタッチ部に所定の荷重がかかる。そのため、上記移載ロボットが上記側端アタッチ部の位置を正確に検知していなければ、上記側端アタッチ部へドア等のワークが嵌合した後にさらに荷重がかかり、嵌合部においてワークやアタッチ部が変形及び破損するおそれがある。また、嵌合が十分に行われずに、ワークがストレージ体から転倒するおそれがある。
下端アタッチ部に載置する際においても、下端アタッチ部への載置が確実に行われたことを検出する必要があり、これが検出できないと、下端アタッチ部によるワークの保持が十分にできず、ワークがストレージ体から転倒するおそれがある。
【0007】
上記端アタッチ部及び側端アタッチ部の位置の検出は、例えばカメラを用いた画像認識により行うことができる。
即ち、カメラによりストレージ体のアタッチ部の位置を検出し、画像処理によりアタッチ部の位置をロボットにフィードバックしてストレージ体への移載を行う方法がある。これにより、ストレージ体への移載を確実に行うことができる。
【0008】
しかしながら、画像処理は、明るさ等の周辺環境の変化に影響を受け易いという問題がある。そのため、上記ワークをストレージ体へ確実に保持させることが困難であり、また、上記ストレージ体から上記ワークを上記マテハン部で確実に把持して移載することが困難になるおそれがあった。また、画像処理を用いた移載は、移載時間が長くなり、生産性が低くなる。さらに、画像処理手段を具備した移載ロボットは、コストが高く、ドア等のワークの形状が変更されるたびに投資額がかさむという問題があった。
【0009】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ワークを確実にストレージ体に保持させることができ、またストレージ体からワークをマテハン部で確実に把持して移載することことができる移載ロボットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、鉛直方向にワークを保持するための下端アタッチ部と、水平方向に上記ワークを保持するための側端アタッチ部とを有するストレージ体から、又は該ストレージ体へ上記ワークを移載するために用いられる移載ロボットであって、
該移載ロボットは、上記ワークを把持することができるマテハン部と、該マテハン部を移動させるためのアームとを備え、
上記マテハン部は、上記ワークを把持するクランプ部と、上記ワークを把持した状態で上記マテハン部に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセルと、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセルとを有し、
上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御するように構成されていることを特徴とする移載ロボットにある(請求項1)。
【0011】
上記移載ロボットは、上記第1ロードセルと上記第2ロードセルとを有する上記マテハン部と、該マテハン部を移動させるための上記アームを備えている。そして、上記ワークの移載時に上記第1ロードセルは、上記マテハン部に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信し、上記第2ロードセルは、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信し、上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御するように構成されている。
【0012】
上記移載ロボットを用いて、上記ストレージ体へ上記ワークを移載する際には、上記ワークを上記マテハン部で把持した状態で、例えば、まず上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に上記ワークを当接させ、次いで上記下端アタッチに上記ワークを保持させることができる。
以下、上述のストレージ体へワークを移載する場合における、上記移載ロボットの作動を説明する。
上記ワークを上記マテハン部により把持した状態で上記側端アタッチ部に当接させると、上記マテハン部に水平方向の荷重がかかり、上記第2ロードセルは、上記検出信号Qを送信する。上記移載ロボットは、上記検出信号Qに基づいて、例えば上記マテハン部にかかる水平方向の荷重、即ち上記ワークにかかる水平方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部の作動を制御することができる。その結果、上記マテハン部に把持された上記ワークが必要以上に大きな荷重で上記側端アタッチ部に当接してしまうことを防止し、上記ワークや上記側端アタッチ部が破損してしまうことを防止することができる。
また、上記移載ロボットは、上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の移動量及び移動方向を補正することもできる。そのため、確実に上記側端アタッチ部に上記ワークを保持させることができる。
【0013】
また、上記側端アタッチ部に上記ワークを保持させた後には、上記マテハン部を下降させて上記ワークを上記下端アタッチ部に保持させることができる。このとき、上記ワークから上記マテハン部にかかる鉛直方向の荷重が小さくなり、上記マテハン部から上記下端アタッチ部に移載した後には荷重は0になる。この鉛直方向の荷重は上記第1ロードセルによって検出され、該第1ロードセルは荷重を上記検出信号Pとして送信する。上記移載ロボットは、鉛直方向の荷重変化(上記検出信号P)に基づいて上記ワークが上記マテハン部から上記下端アタッチ部へ載置されたことを認識し、例えば上記マテハン部の移動(下降)を停止させたり、上記マテハン部を上記ストレージ体から引き離す等という上記マテハン部の作動を制御することができる。このようにして、上記ワークを上記ストレージ体に確実に保持させることができる。
【0014】
次に、上記移載ロボットを用いて、上記ストレージ体から上記ワークを移載する際には、例えば、まず上記マテハン部で上記ワークを鉛直方向に把持し、把持した状態のまま上記マテハン部を移動させることにより、上記ストレージ体から上記ワークを移載させることができる。
以下、上述のストレージ体からワークを移載する場合における、上記移載ロボットの作動を説明する。
上記のように、上記マテハン部で上記ワークを鉛直方向に把持する際には、上記マテハン部から上記ワークに鉛直方向の荷重がかかり、その反作用により上記マテハン部にも上記ワークから鉛直方向の荷重がかかる。これにより、上記第1ロードセルは、上記検出信号Pを送信することができる。上記移載ロボットは、上記検出信号Pに基づいて、例えば上記マテハン部にかかる鉛直方向の荷重、即ち上記ワークにかかる鉛直方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部の作動を制御する上記出力信号を送信することができる。その結果、上記マテハン部が必要以上に大きな荷重で上記ワークを把持して上記ワークを破損させてしまうことを防止することができる。
【0015】
上記ワークを把持させた後には、把持した状態を維持しつつ上記マテハン部を移動させて上記ワークを上記ストレージ体から引き離すように上記マテハン部の作動を制御することができる。このとき、ワークの自重により上記マテハン部には鉛直方向の荷重がかかり、上記ワークを上記ストレージ体から完全に引き離して上記マテハン部により保持したときには、上記ワーク自体の荷重が上記第1ロードセルによって検出される。この検出信号に基づいて、上記移載ロボットは、上記ワークを保持した上記マテハン部の移動を開始させることができる。
このようにして、上記ワークを上記マテハン部で確実に把持して移載することができる。
【0016】
また、上記移載ロボットは、上記第1ロードセル及び/又は上記第2ロードセルからの上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部の作動を制御することができるため、例え使用劣化等により、複数ある上記ストレージ体のうち一部の上記ストレージ体の上記側端アタッチ部及び/又は上記下端アタッチ部に位置ずれなどがあったとしても、その位置ずれを補正することができる。即ち、上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部の移動量及び移動方向を制御することができる。そのため、位置ずれを補正し、該位置ずれがあっても確実に上記ワークの移載を行うことができる。
【0017】
以上のように、本発明によれば、ワークを確実にストレージ体に保持させることができ、またストレージ体からワークをマテハン部で確実に把持して移載することことができる移載ロボットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記移載ロボットは、少なくとも上記マテハン部と、該マテハン部を移動させるためのアームとを備える。上記アームは、上記マテハン部に連結して構成することができる。
また、上記移載ロボットは、さらに上記アーム部の駆動を制御するロボット部を備えることができる。この場合には、ロボット部が内蔵するアクチュエータにより、上記アームの駆動を制御することができる。また、上記ロボット部及び/又は上記アームは、内蔵するアクチュエータにより上記マテハン部の上記クランプ部の開閉を制御することができる。
【0019】
上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御する出力信号を送信する制御手段を有していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記制御手段からの出力信号を上記マテハン部、上記アーム、上記ロボット部等に送信し、上記マテハン部の作動を制御することができる。これにより、マテハン部による上記ワークの把持を制御したり、上記ロボットによりアームの動きを制御して上記マテハン部を移動量及び移動方向を制御したりすることができる。
【0020】
上記制御手段は、例えば上記マテハン部、上記アーム部、又は上記ロボット部に具備させることができる。また、上記制御手段を、上記マテハン部、上記アーム部、及び上記ロボット部から分離して配置することもできる。
【0021】
上記制御手段は、例えば上記第1ロードセル及び/又は上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、該荷重が小さくなるように上記マテハン部の作動を制御する上記出力信号を送信したり、例えば上記第1ロードセル及び/又は上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、該荷重が大きくなるように上記マテハン部の作動を制御する上記出力信号を送信するように構成することができる。
【0022】
上記ワークを保持する上記マテハン部は、鉛直方向に伸びる本体部と、該本体部に沿って少なくとも一方が移動可能に設けられた一対の上記クランプ部とを有していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、一対の上記クランプ部のうち、少なくとも一方が鉛直方向に移動し、一対の上記クランプ部で上記ワークを鉛直方向に狭持して該ワークを保持することができる。また、上記のごとく一対の上記クランプ部のうち少なくとも一方が移動可能であればよいが双方が移動可能にもうけられていてもよい。また、上記マテハン部には、一対以上の上記クランプを形成することもできる。上記クランプ部の移動は、例えば上記本体部にシリンダを内蔵させ、該シリンダにより行わせることができる。
【0023】
上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部の少なくとも一方に配置されており、上記第2ロードセルは、上記本体部に配置されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記クランプ部に設けられた上記第1ロードセルにより上記鉛直方向の荷重を確実に検出することができる。また、上記第2ロードセルを上記本体部に配置することにより、上記第2ロードセルは、上記ワークを把持した状態で上記ワークに付与される水平方向の荷重を確実に検出することができる。
ロードセルは、一般に起歪体を有し、起歪体の歪み方向にかかる荷重を検出することができる。上記第1ロードセルは、起歪体の歪み方向を鉛直方向にして好ましくは上記クランプ部に配置し、上記第2ロードセルは、起歪体の歪み方向を水平方向にして好ましくは上記本体部に配置することにより、それぞれ鉛直方向及び水平方向の荷重を検出することができる。
【0024】
上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部のうち下端側に配置されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記ワークを上記クランプ部により狭持したときに、上記ワークの自重により上記第1ロードセルに荷重がかかる。そのため、上記マテハン部が上記ワークを把持していることを容易に検出することができる。
また、上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部の下端側と上端側との両方に配置させることもできる。
【0025】
上記移載ロボットは、例えば、ワークを保持するストレージ体から、別のストレージ体に上記ワークを移載する際に用いることができる。工場の生産ライン等においては、例えば上記ワークを保持して並ぶ複数のストレージ体から、別のストレージ体に上記ワークを移し替える場合等に上記移載ロボットを用いることができる。
上記制御手段は、上記ストレージ体に上記ワークを移載(搬入)する場合と、上記ストレージ体から上記ワークを移載(搬出)する場合とで異なる制御を行うことができる。
【0026】
以下に、まず、搬入する場合について説明する。
上記制御手段は、上記ワークを上記クランプ部で把持した状態で上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に当接させたときにおける上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動を停止させるように構成されていることが好ましい(請求項6)。即ち、上記制御手段は、例えば上記側端アタッチ部に当接させる方向への作動を停止する出力信号Rを送信することができる。
この場合には、上記ワークに水平方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワークが破損することを防止することができる。
即ち、上記マテハン部に把持した上記ワークを上記ストレージ体へ移載して該ストレージ体に保持させる際には、上記ワークを把持した状態で上記マテハン部を略水平方向に移動させて上記ワークを上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に当接させる。このとき、上記第2ロードセルは、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重、即ち、上記側端アタッチ部から上記ワークに付与される荷重を検出し、検出信号Qを上記制御手段に送信する。上記検出信号Qを受信した上記制御手段は、上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部に当接させる方向への作動を停止する出力信号Rを送信する。出力信号Rは、マテハン部の上記作動を制御する部分、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がアームに連結された上記マテハン部の作動を停止させることができる。上記出力信号Rが送信されなければ、上記ワークを上記側端アタッチ部に当接させた後にも、上記ワークを保持したマテハン部は当接方向に移動を続けるため、上記側端アタッチ部から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワークを変形・破損させてしまうおそれがある。
【0027】
また、上記側端アタッチ部は、水平方向の断面が略コの字又は逆コの字状に形成されいることが好ましい。この場合には、上記ワークの上記側端アタッチ部への当接時に、上記側端アタッチ部への凹部内に上記ワークの側端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記側端アタッチ部に上記ワークを保持させることができる。
【0028】
次に、上記制御手段は、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動の停止後、さらに上記ワークを把持した状態の上記マテハン部を移動させて上記下端アタッチ部に当接させるように構成されていることが好ましい(請求項7)。
即ち、上記側端アタッチ部に当接させる方向への移動を停止させた後、上記制御手段は、例えば上記ワークを把持した状態の上記マテハン部を移動させて上記下端アタッチ部に当接させる上記出力信号Sを送信し、上記ワークを保持した上記マテハン部を下降させることができる。この下降により上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させることができる。
この場合には、上記側端アタッチ部への当接に続けて、上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させることができ、上記ストレージ体の上記側端アタッチ部及び下端アタッチ部への一連の当接を上記制御手段の制御によって自動化させることができる。即ち、上記側端アタッチ部及び上記下端アタッチ部の一連の位置認識を上記制御手段により行うことができる。
【0029】
また、上記下端アタッチ部は、その鉛直方向の断面が略Uの字状に形成されいることが好ましい。この場合には、上記ワークの上記下端アタッチ部への当接時に、上記下端アタッチ部の凹部内に上記ワークの下端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記下端アタッチ部に上記ワークを保持させることができる。
【0030】
上記制御手段は、上記下端アタッチ部に当接させた後、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させるように構成されていることが好ましい(請求項8)。
即ち、上記制御手段は、例えば上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させる出力信号Tを送信することができる。
この場合には、上記ワークに鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワークが破損することを防止することができる。
即ち、上記出力信号Sの送信により、上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させると、上記ワークは上記下端アタッチ部によって支持されるため、上記マテハン部の下端側の上記クランプ部にかかる鉛直方向の荷重、即ち、上記ワークの自重により下端側の上記クランプ部にかかる荷重が低下する。そして、例えば下端側の上記クランプ部に配置された上記第1ロードセルは、上述の荷重の低下を検出し、検出信号Pを送信する。上記検出信号Pを受信した上記制御手段は、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記出力信号Tを送信し、上記下端アタッチ部に当接させる方向への作動を停止させる。出力信号Tは、マテハン部の上記下端アタッチ部への当接方向への作動を制御する部分、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がアームに連結された上記マテハン部の作動(下降方向への移動)を停止させることができる。上記出力信号Tが送信されなければ、上記ワークを上記下端アタッチ部に当接させた後にも、上記ワークを保持したマテハン部は当接方向に移動を続けるため、上記下端アタッチ部から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワークや上記下端アタッチ部を変形・破損させてしまうおそれがある。
【0031】
上記制御手段は、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させた後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離すように構成されていることが好ましい(請求項9)。
即ち、上記制御手段は、上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させた後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離す出力信号Uを送信することができる。
この場合には、上記ストレージ体に移載された上記ワークから上記マテハン部を引き離し、上述の一連の上記ストレージへの移載を完了させることができる。
具体的には、上記出力信号Uにより、例えば上記マテハン部の一対の上記クランプ部のうち少なくとも一方をワーク側とは反対方向に上記本体部に沿って移動させてクランプ間の間隔を大きくすると共に、マテハン部をワークを配置したストレージ体から遠ざける方向に移動させる。出力信号Uは、上記クランプ部や上記マテハン部自体の作動を制御する部分、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がクランプ間の間隔やアームに連結された上記マテハン部の作動を制御することができる。
【0032】
次に、搬出する場合について説明する。
上記制御手段は、一対の上記クランプ部の内少なくとも一方を上記本体部に沿って移動させて上記ストレージ体に載置された上記ワークを一対の上記クランプ部間に狭持させたときにおける上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部の移動を停止させるように構成されていることが好ましい(請求項10)。
即ち、上記制御手段は、上記ワークを一対の上記クランプ部間に狭持させたときにおける上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部の移動を停止させる出力信号Vを送信することができる。
この場合には、上記ワークに鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワークが破損することを防止することができる。
即ち、一対の上記クランプ部の内少なくとも一方を鉛直方向に伸びる上記本体部に沿って移動させて上記ワークを狭持すると、上記マテハン部には鉛直方向に荷重がかかる。上記第1ロードセルは、この鉛直方向の荷重、即ち上記クランプ部から上記ワークにかかる荷重を検出し、検出信号Pを上記制御手段に送信する。上記制御手段は、上記検出信号Pに基づいて、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記出力信号Vを送信し、上記クランプ部の移動を停止させる。出力信号Vは、クランプ部の上記移動を制御する部分、例えば上記ロボット部や上記マテハン部等に送信され、上記クランプ部の移動を停止させることができる。上記出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部が上記ワークを狭持した後にも、上記クランプ部が移動し続けるため、上記クランプ部から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワークを変形・破損させてしまうおそれがある。また、出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部による上記ワークの把持を上記移載ロボットが認識できず、十分に把持していない状態でマテハン部を移動させて、移載中にワークを落下させてしまうおそれがある。
【0033】
上記制御手段は、上記クランプ部の移動の停止後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体から上記ワークを移載させるように構成されていることが好ましい(請求項11)。
即ち、上記制御手段は、上記クランプ部の移動の停止後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体から上記ワークを移載させる出力信号Wを送信することができる。
これにより、上記マテハン部に上記ワークを確実に把持した状態で上記ワークを上記ストレージ体から移載(搬出)することができ、上記ワークの落下や転倒を回避することができる。また、上記ストレージ体からの一連の搬出を自動化させることができる。
具体的には、上記出力信号Wにより、上記ワークを把持した上記マテハン部を、上記ワークを保持していたストレージ体から遠ざける方向に移動させ、搬出先に向けて移動させることができる。出力信号Wは、例えば上記ロボット部に送信され、該ロボット部がアームに連結された上記マテハン部を移動させることができる。
【0034】
次に、上記ワークは、自動車用ドアであることが好ましい(請求項13)。
一般に、自動車の組立工程においては、自動車用ドアを、その塗装後に車両本体から外す工程が行われている。外された自動車ドアは、ストレージ体から別のストレージ体に移載される。この移載時に上記移載ロボットを用いることにより、自動化を図ることができると共に、自動車ドアを破損させることなく、確実に移載を行うことができる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
次に、本発明の移載ロボットの実施例につき、図1〜図22を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の移載ロボット1は、鉛直方向にワーク100を保持するための下端アタッチ部21(31)と、水平方向にワーク100を保持するための側端アタッチ部22(32)とを有するストレージ体2(3)から、別のストレージ体3(2)へワーク100を移載するために用いられる。
図3〜図8に示すごとく移載ロボット1は、ワーク100を把持することができるマテハン部5と、該マテハン部5を移動させるためのアーム15とを備える。マテハン部5は、ワーク100を把持するクランプ部51、52と、ワーク100を把持した状態でマテハン部5に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセル53と、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセル54とを有する。
移載ロボット1は、検出信号P及び検出信号Qに基づいて、マテハン部5の作動を制御するように構成されている。
【0036】
以下、本例の移載ロボットの構成につき、詳細に説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の移載ロボット1は、ワーク100として、自動車用ドアを保持するストレージ体2(3)から別のストレージ体3(2)に移載する際に用いる。自動車の製造ラインにおいては、車室内にインストルメントパネル等の大型部品を搬入するために、塗装が完了した車本体からドアを一旦取り外す工程が行われる(図示略)。取り外されたドア(ワーク100)は、ハンガーとよばれるストレージ体2に載せられドア搬送ラインのレール29により搬送される。ワーク100を保持したストレージ体2は、その上部に設けられたレール29に沿って所定の移載場所まで搬送され、ワーク100は、下部にレール39が設けられてこのレール39に沿って移動する別のストレージ体3(トレー)へ移載される。その後、ワーク100は、ストレージ体3(トレー)から再度ストレージ体2(ハンガー)へ移載され、レール29により自動車本体の組付けラインまで搬送され、ワーク100(自動車ドア)が車本体に取り付けられる。本例の移載ロボット1は、ストレージ体2(ハンガー)からストレージ体3(トレー)及びストレージ体3(トレー)からストレージ体2(ハンガー)への移載に用いられる。本例においては、特に、ストレージ体2(ハンガー)からストレージ体3(トレー)への移載について説明する。
【0037】
ストレージ体2(ハンガー)は、図9に示すごとく、本体部23と、その下部に配設され、鉛直方向にワークを保持するための下端アタッチ部21と、本体部23の両側端に配設され、水平方向にワークを保持するための一対の側端アタッチ部22a、22bとを有する。ストレージ体2は、下端アタッチ部21と側端アタッチ部22とをそれぞれ2つずつ有している。
下端アタッチ部21は、断面が略Uの字状のアタッチ部が、本体部23の下部に所定の間隔を開けて2つ形成されている。下端アタッチ部21は、開口部を上に向けて配置されており、その凹部内にはワークの下端を部分的に挿入することができ、ワークを保持できる構成になっている。
【0038】
ストレージ体2の水平方向には、断面略コの字状及び逆コの字状の一対の側端アタッチ部22a、22bが、その凹部の開口部分を水平方向に対向させて設けられている。側端アタッチ部22a、22bは、ワークの両側端を水平方向に狭持して保持することができる。一対の側端アタッチ部22a、22bのうち一方の側端アタッチ部22aは、その位置が本体部23に固定されており、もう一方の側端アタッチ部22bは、水平方向に可動する。即ち、側端アタッチ部22bを水平方向に動かすことにより、対向する一対の側端アタッチ部22a、22b間の間隔を変えることができる構成になっている。可動側の側端アタッチ部22bには、ロック機構225が設けられており、このロック機構225を作動させることにより、可動側の側端アタッチ部22bの可動及び固定を切り替えることができる。
本体部23には、可動側の側端アタッチ部22bが水平方向に移動するためのレール部25が設けられており、側端アタッチ部22bは、レール部に沿って可動する。
また、本体部23の上部には、吊下部24が本体部23に一体的に形成されている。この吊下部24において、ストレージ体2は、レール(図示略)に連結され、運搬される。
【0039】
また、ストレージ体3(トレー)も、基本的な構成は、上述のストレージ体2(ハンガー)と同様であり、図10及び図11に示すごとく、下端アタッチ部31と側端アタッチ部32とを有している。
ストレージ体3は、それぞれの側面391、392に、ストレージ体2(ハンガー)とほぼ同様の構成の下端アタッチ部31と側端アタッチ部32とをそれぞれ2つずつ(合計4つずつ)有し、各側面391、392にワークを1つずつ(合計2つ)保持することができる。ストレージ体2(ハンガー)と同様に、一対の側端アタッチ部32a、32bのうち一方の側端アタッチ部32aは、ストレージ体3にその位置が固定されており、もう一方の側端アタッチ部32bは、水平方向に可動し、ロック機構325により可動及び固定を切り替えることができる。
【0040】
ストレージ体3(トレー)は、レール(図示略)上を移動する土台部33と、この土台部33から上方に伸びる2つの支持体34とを有し、支持体間には、水平方向に伸びるレール部35が設けられている。下端アタッチ部31は土台部33上に形成されており、対向する一対の側端アタッチ部32a、32bは、レール部35に形成されている。可動側の側端アタッチ部32bは、レール部35に沿って水平方向に可動する。即ち、側端アタッチ部32a、32bの間隔を変えることができる構成になっている。
また、土台部には、車輪37、38が設けられている。車輪37によりレール上を移動でき、また、車輪38により、ストレージ体3を少なくとも180℃回転させることができ、側面391、392を反転させることができる。
【0041】
移載ロボット1は、図3に示すごとく、マテハン部5と、これに連結してマテハン部5を移動させるアーム15と、アームの動きを制御するアクチュエータを内蔵するロボット部19とを備えている。マテハン部5とアーム15との間には、両者を連結するためのジョイント部150が設けられている。
【0042】
マテハン部5は、図4〜図8に示すごとく、鉛直方向に伸びる本体部50と、この本体部50に沿って一方が移動可能に設けられた一対のクランプ部51、52とを有している。本体部50には、シリンダ501が配設されており、このシリンダ501の作動により一対のクランプ部51、52のうちの一方、本例においては上端側のクランプ部51を本体部50に沿って鉛直方向にスライドさせることができる(図4及び図5参照)。
【0043】
図4、図5、図7、及び図8に示すごとく、下端側のクランプ部52は、本体部50の下端部から水平方向に伸びる基板部520と、この基板部520と本体部50との間を連結するジョイント部521とを有している。また、基板部520上には、鉛直方向の荷重を検出する第1ロードセル53が配設されており、この第1ロードセル53上に、ワークの下端を支持するアタッチ部522が形成されている。第1ロードセル53は、アタッチ部522に配置されたワークの荷重等の鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信することができる。
【0044】
また、図4に示すごとく、上端側のクランプ部51は、断面が上下反転したLの字状のアタッチ部510を有し、このアタッチ部は510、水平方向に伸びる基板511と鉛直方向に伸びる基板512とが連結部材513で連結されて構成されている。基板511の先端部514は、ワークを保持したときの落下防止のため凸状に加工されている。
クランプ部51は各種連結部材を介してシリンダ501に連結されており、シリンダ501のピストン機構により、本体部50に沿った鉛直方向に移動することができる。マテハン部5においては、この上端側のクランプ部51の移動により、クランプ部51、52間の間隔を変動させて、ワークを保持することができる。
【0045】
また、図5及び図6に示すごとく、本体部50には、水平方向の荷重を検出する第2ロードセル54が配設されている。
第2ロードセル54は、ジョイント部150に連結された基板540上に配置され、連結部材541を介してガイド部542に連結している。ガイド部542は、連結部材543を介して本体部50に連結されており、これらの連結部材541、543及びガイド部542等により、マテハン部5(本体部50)にかかる水平方向の荷重を第2ロードセル54に伝達させる構成になっている。また、ガイド部542の第2ロードセル54とは反対側の端部には、ガイド部の従動を制限する従動規制プレート544が配設されている。第2ロードセル54は、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信することができる。
【0046】
移載ロボット1は、上述の検出信号P及び検出信号Qに基づいて、マテハン部5の作動を制御する出力信号を送信する制御手段(図示略)を有している。
本例において、制御手段は、ロボット部19に内蔵されている(図3参照)。制御手段は、制御プログラムを内蔵したコンピュータ回路であり、上述のロボット部19、アーム15、及びマテハン部5とは異なる別部材として配置することもできる。
【0047】
以下、一方のストレージ体(ハンガー)からもう一方のストレージ体(トレー)へ移載する場合における制御手段によるマテハン部の作動の制御について説明する。
ストレージ体(ハンガー)からもう一方のストレージ体(トレー)へ移載においては、まず、移載ロボットによりストレージ体(ハンガー)からワークを搬出する。
即ち、まず、ロボット部19によりアーム15を動かして、マテハン部5を、ワーク100を保持するストレージ体2(ハンガー)まで移動させる(図1及び図2参照)。そして、図12に示すごとく、マテハン部5の一対のクランプ部51、52の間にワーク100を配置させるようにマテハン部5を移動させる。このとき、マテハン部5のクランプ部51、52間の間隔を、狭持しようとするワーク100の鉛直方向の幅よりも大きな幅にしておき、下端側のクランプ部52をワーク100に当接させる。本例においては、上端側のクランプ部51をワーク100である自動車用ドアの窓枠内の空間に挿入し、下端側のクランプ部52を自動車用ドアの下端に当接させた。このとき、下端側のクランプ部52に配設された第1ロードセル53に荷重がかかるため、移載ロボット1は、このワーク100のクランプ部52への当接を検出することができる。
【0048】
次いで、図12及び図13に示すごとく、シリンダ501のピストンにより上端側のクランプ部51を下端側のクランプ部52に近づく方向91に本体部50に沿って移動させて、ストレージ体2に載置されたワーク100を一対のクランプ部51、52間に狭持させた。このとき、下端側のクランプ部52に配置された第1ロードセル53(図4参照)には鉛直方向の荷重がかかる。そして、移載ロボット1のロボット部19に内蔵された制御手段は、第1ロードセル53によって検出される荷重(検出信号P)が所定の値以上になったときに、上端側のクランプ部51の移動を停止させる出力信号Vを送信する。
【0049】
出力信号Vを送信した時には、ワーク100はクランプ部51、52により把持されている(図13参照)。そのため、ストレージ体2の可動側の側端アタッチ部22bのロック機構225を解除し、一対の側端アタッチ部22a、22b間の間隔が大きくなる方向に、可動側の側端アタッチ部22bをスライドさせておくことができる(図9、図13参照)。これにより、ワーク100に対する側端アタッチ部22a、22bによる保持を解除することができる。これを解除しても、ワーク100は、マテハン部5により保持されているため、転倒することもない。
【0050】
また、制御手段は、上述の出力信号Vの送信後に、ストレージ体2からワーク100を移載する出力信号Wを送信するように構成されている。具体的には、図3、図14、及び及び図15に示すごとく、出力信号Wにより、移載ロボット1のロボット部19を制御してアーム15に連結されたマテハン部5を上方に移動させてワーク100をストレージ体2の下端アタッチ部21から引き離す。このとき、下端側のクランプ部52に配置された第1ロードセルには、自重によるワークの荷重を検出することができる。制御手段は、これを検出信号Pとして検出することができ、移載ロボットは、マテハン部5がワーク100の保持していることを確実に検知することができる。
そして、マテハン部5に保持したワーク100を、移送先であるもう一方のストレージ体3(トレー)に搬送することができる(図1、図2、図16参照)。
【0051】
次に、ストレージ体(トレー)にワークを搬入する場合の制御について説明する。
まず、上述のごとくロボット部19によりアーム15を動かして、ワーク100を保持した状態のマテハン部5をストレージ体3(トレー)まで移動させる(図16参照)。このとき、ストレージ体3の一対の側端アタッチ部32a、32b間の幅がワーク100の幅よりも大きくなるように、ロック機構325を解除し、可動側の側端アタッチ部32bを水平方向に移動させておく(図10、図11、及び図16参照)。
そして、ストレージ体3の固定側の側端アタッチ部32aに、マテハン部5に保持した状態のワーク100の側端101を当接させる(図17(a)〜(c)参照)。
【0052】
側端アタッチ部への当接は、例えば次のようにして行うことができる。
まず、ワーク100を保持した状態のマテハン部5を動かして、ストレージ体3の側端アタッチ部32a、32b間に、ワーク100を斜め方向から侵入させる(図17(a)参照)。そして、側端アタッチ部32a、32bとワーク100とが水平方向に並ぶようにワーク100を側端アタッチ部32a、32b間に配置させる(図17(b)参照)。そして、マテハン部5を水平方向92に動かして、ワーク100の側端101を固定側の側端アタッチ部32aに当接させる(図17(c)参照)。このとき、マテハン部5に配置されている第2ロードセル54には水平方向に荷重がかかる。そして、検出手段(図示略)は、第2ロードセル54によって検出される荷重(検出信号Q)が所定の値以上となったときに、固定側の側端アタッチ部32aに当接させる方向92へのマテハン部5の作動を停止する出力信号Rを送信する。
また、側端アタッチ部32aへの当接時には、上記検出信号Qに基づいて、マテハン部5の移動量及び移動方向を補正することもできる。その結果、確実に固定側の側端アタッチ部32aにワーク100の側端部101を当接させることができる(図17(a)〜(c)参照)。
【0053】
次に、上記制御手段は、上記出力信号Rの送信後、さらに上記ワーク100を把持した状態のマテハン部5を移動させてストレージ体3の下端アタッチ部に当接させる出力信号Sを送信する(図18〜図20参照)。即ち、上記出力信号Rにより、上記側端アタッチ部32aに当接させる方向92への移動を停止させた後(図17(c)参照)、上記制御手段は、上記出力信号Sを送信し、ワーク100を保持したマテハン部5を、下端アタッチ部31に当接させる方向93へ移動、即ち下降させる(図18〜図20参照)。この下降によりワーク100をストレージ体3の下端アタッチ部31に当接させることができる。
【0054】
上記出力信号Sの送信後には、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記制御手段は、上記マテハン部5の上記下端アタッチ部31へ載置させる方向93への移動を停止する出力信号Tを送信する(図19及び図20参照)。
即ち、上記出力信号Sの送信により、上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に当接させると、ワーク100は下端アタッチ部31によって支持されるため、マテハン部5の下端側のクランプ部52にかかる鉛直方向の荷重、即ち、上記ワーク100の自重により下端側のクランプ部52にかかる荷重が低下する。そして、下端側のクランプ部52に配置された第1ロードセル53は、上述の荷重の低下を検出し、検出信号Pを送信する。上記検出信号Pを受信した制御手段(図示略)は、上記出力信号Tを送信し、ストレージ体3の下端アタッチ部31に当接させる方向93への作動、即ちマテハン部5の下降を停止させる。出力信号Tは、マテハン部5の下端アタッチ部31への当接方向93への作動を制御する部分、例えばロボット部19に送信され、該ロボット部がアーム15に連結されたマテハン部5の作動(下降方向93への移動)を停止させることができる(図3参照)。
【0055】
上記出力信号Tの送信後には、ワーク100の下端アタッチ部31への載置は完了しているため、図21及び図22に示すごとく、ストレージ体3の可動側の側端アタッチ部32bをワーク100側(矢印94の方向)にスライドさせて、一対の側端アタッチ部32a、32bにてワーク100の両側端101、102を狭んで保持することができる。なお、可動側の側端アタッチ部32bのスライドは、後述の出力信号Uの送信後に行うこともできる。
【0056】
次いで、上記制御手段は、上記出力信号Tの送信後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離す出力信号Uを送信する。
具体的には、上記出力信号Uにより、例えばマテハン部5の一対のクランプ部51、52のうちの一方のクランプ部51をワーク100側とは反対方向95、即ち、ワークを狭持する方向とは反対方向に本体部50に沿って移動させてクランプ51、52間の間隔を大きくする(図22(a)及び図22(b)参照)。そして、ロボット部を作動させてアームに連結したマテハン部5をワーク100を配置したストレージ体3から遠ざける方向に移動させる(図(c)参照)。出力信号Uは、マテハン部5やその作動を制御する部分、例えば上記ロボット部19に送信され、該ロボット部19がマテハン部5のクランプ部51、52間の間隔やアーム15に連結されたマテハン部5の作動を制御することができる(図3参照)。
【0057】
以上のような制御手段の制御により、ストレージ体2(ハンガー)から別のストレージ体3(トレー)への移載を行うことができる(図1及び図2参照)。ストレージ体3(トレー)は、両側面に1つずつワークを載置できるように構成されており(図10及び図11参照)、ストレージ体3の下に設置されているレール39上で少なくとも180℃回転して側面391、392を反転できる構成となっている(図1及び図2参照)ため、一方の側面391側に、ワーク100を移載した後にストレージ体3の側面を反転させて、もう一方の側面392側にも同様にしてワーク100を移載させることができる。
また、本例においては、ストレージ体2(ハンガー)からストレージ体3(トレー)への移載について説明したが、ストレージ体3(トレー)からストレージ体2(ハンガー)への移載も同様の制御により行うことができる。
【0058】
次に、本例の作用効果について説明する。
図3〜図6に示すごとく、移載ロボット1は、第1ロードセル53と第2ロードセル54とを有するマテハン部5と、マテハン部5を移動させるためのアーム15を備えている。そして、ワークの移載時に第1ロードセル53は、マテハン部5に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信し、第2ロードセル54は、マテハン部5に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信し、移載ロボット1は、上記検出信号P及び上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部5の作動を制御するように構成されている。
【0059】
上記移載ロボット1を用いて、上記ストレージ体3へ上記ワーク100を移載する際には、上述のごとく、上記ワーク100を上記マテハン部5で把持した状態で、例えば、まず上記ストレージ体3の上記側端アタッチ部32に上記ワーク100を当接させ、次いで上記下端アタッチ31に上記ワーク100を保持させることができる(図17〜図20参照)。
以下、上述のストレージ体3へワーク100を移載(搬入)する場合おける作用効果につき、説明する。
図17(a)〜(c)に示すごとく、上記ワーク100を上記マテハン部5により把持した状態で上記側端アタッチ部32aに当接させると、上記マテハン部5に水平方向の荷重がかかり、上記第2ロードセル54は、上記検出信号Qを送信する(図5及び図6参照)。上記移載ロボット1は、上記検出信号Qに基づいて、上述のごとく例えば上記マテハン部5にかかる水平方向の荷重、即ち上記ワーク100にかかる水平方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部5の作動を制御することができる。その結果、上記マテハン部5に把持された上記ワーク100が必要以上に大きな荷重で上記側端アタッチ部32aに当接してしまうことを防止し、上記ワーク100や上記側端アタッチ部32aが破損してしまうことを防止することができる。
また、上記移載ロボット1は、上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部5の移動量及び移動方向を補正することもできる。そのため、確実に上記側端アタッチ部32aに上記ワーク100を保持させることができる。
【0060】
また、上記側端アタッチ部32aに上記ワーク100を保持させた後には、図18〜図20に示すごとく、上記マテハン部5を下降させて上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に保持させることができる。このとき、ワーク100は下端アタッチ部31によって支持されるため、上記ワーク100から上記マテハン部5にかかる鉛直方向の荷重が小さくなり、ワーク100を上記マテハン部5から上記下端アタッチ部31に移載した後には荷重は0になる。この鉛直方向の荷重は上記第1ロードセル53によって検出され、該第1ロードセル53はこの荷重変化を上記検出信号Pとして送信する。
上記移載ロボット1は、上述の鉛直方向の荷重変化(上記検出信号P)に基づいて上記ワーク100が上記マテハン部5から上記下端アタッチ部31へ載置されたことを検知し、上述のごとく上記マテハン部5の移動(下降)を停止させたり(図19及び図20参照)、上記マテハン部5を上記ストレージ体から引き離したり(図22(a)〜(c)参照)するという上記マテハン部5の作動を制御することができる。このようにして、上記ワーク5を上記ストレージ体3に確実に保持させて移載させることができる。
【0061】
次に、上記移載ロボット1を用いて、上記ストレージ体2から上記ワーク100を移載する際には、上述のごとくまずマテハン部5のクランプ部51、52で上記ワーク100を鉛直方向に把持し(図12及び図13参照)、把持した状態のまま上記マテハン部5を移動させることにより、上記ストレージ体2から上記ワーク100を移載させることができる(図14及び図15参照)。
以下、上述のストレージ体2からワーク100を移載(搬出)する場合における作用効果につき、説明する。
図12及び図13に示すごとく、上記のように上記マテハン部5のクランプ部51、52で上記ワーク100を鉛直方向に把持する際には、上記マテハン部5から上記ワーク100に鉛直方向の荷重がかかり、その反作用により上記マテハン部5(クランプ部52)にも上記ワーク100から鉛直方向の荷重がかかる。これにより、クランプ部52に配置された第1ロードセル53が、荷重を検知し上記検出信号Pを送信することができる。上記移載ロボット1、具体的には移載ロボットに内蔵された制御手段(図示略)は、上記検出信号Pに基づいて、例えば上記マテハン部5にかかる鉛直方向の荷重、即ち上記ワーク100にかかる鉛直方向の荷重が必要以上に大きくならないように上記マテハン部5の作動を制御する上記出力信号を送信することができる(図3〜図8、図12、及び図13参照)。その結果、上記マテハン部5が必要以上に大きな荷重で上記ワーク100を把持してこれを破損させてしまうことを防止することができる。
【0062】
上記マテハン部5により上記ワーク100を把持した後には、図14及び図15に示すごとく、把持した状態を維持しつつ上記マテハン部5を移動させて上記ワーク100を上記ストレージ体2から引き離すように上記マテハン部5の作動を制御することができる。このとき、ワーク100の自重により上記マテハン部5(クランプ部52)には鉛直方向の荷重がかかり、上記ワーク100を上記ストレージ体2から完全に引き離して上記マテハン部5により保持したときには、上記ワーク100自体の荷重が上記第1ロードセル53によって検出される。この検出信号に基づいて、上記移載ロボット1は、具体的には制御手段は、上記ワーク100を保持した上記マテハン部5の移動を開始させることができる。
このようにして、上記ワーク100を上記マテハン部5で確実に把持して移載することができる。
【0063】
また、上記移載ロボット1は、上記第1ロードセル53及び/又は上記第2ロードセル54からの上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部5の作動を制御することができるため、例え使用劣化等により、複数ある上記ストレージ体2、3のうち一部の上記側端アタッチ部22、32及び/又は上記下端アタッチ部21、31に位置ずれなどがあったとしても、その位置ずれを補正することができる(図1及び図2参照)。即ち、上記移載ロボット1は、上記検出信号P及び/又はQに基づいて、上記マテハン部5の移動量及び移動方向を制御することができる。そのため、位置ずれを補正し、該位置ずれがあっても確実に上記ワーク100の移載を行うことができる。
【0064】
また、本例において、上記移載ロボット1は、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部5の作動を制御する出力信号を送信する制御手段(図示略)を有している(図3参照)。そのため、制御手段からの出力信号を上記マテハン部5、上記アーム15、上記ロボット部19等に送信し、上記マテハン部5の作動を制御することができる。これにより、マテハン部5による上記ワーク100の把持を制御したり、上記ロボット部19によりアームの動きを制御して上記マテハン部5を移動量及び移動方向を制御したりすることができる。
【0065】
また、移載ロボット1において、図3〜図5に示すごとく、ワークを保持する上記マテハン部5は、鉛直方向に伸びる本体部50と、この本体部50に沿って少なくとも一方が移動可能に設けられた一対の上記クランプ部51、52とを有している。
そのため、一対の上記クランプ部51、52で上記ワークを鉛直方向に狭持してこれを保持することができる。
【0066】
図4〜図8に示すごとく、第1ロードセル53は、一対の上記クランプ部51、52の少なくとも一方に配置されており、上記第2ロードセル54は、上記本体部50に配置されている。
そのため、上記クランプ部51、52に設けられた上記第1ロードセル53により上記鉛直方向の荷重を確実に検出することができる。また、上記第2ロードセル54を上記本体部50に配置することにより、上記第2ロードセル54は、上記ワークを把持した状態で上記ワークに付与される水平方向の荷重を確実に検出することができる。ロードセル53、54は、起歪体を有し、起歪体の歪み方向にかかる荷重を検出することができる。上記第1ロードセル53は、起歪体の歪み方向を鉛直方向にして上記クランプ部52に配置し、上記第2ロードセル54は、起歪体の歪み方向を水平方向にして上記本体部50に配置することにより、それぞれ鉛直方向及び水平方向の荷重を検出することができる。
【0067】
また、上記第1ロードセル53は、一対の上記クランプ部51、52のうち下端側のクランプ部52に配置されている。そのため、上記ワークを上記クランプ部51、52により狭持したときに、上記ワークの自重により上記第1ロードセル53に荷重がかかる。それ故、上記マテハン部5が上記ワークを把持していることを容易に検出することができる。
【0068】
また、図16及び図17(a)〜(c)に示すごとく、上記制御手段は、上記ワーク100を上記クランプ部51、52で把持した状態で上記マテハン部5を移動させて上記ストレージ体3の上記側端アタッチ部32(32a)に当接させたときにおける上記第2ロードセル54によって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部22、32に当接させる方向92への上記マテハン部の移動を停止させるように構成されている(出力信号Rの送信)。
そのため、上記ワーク100に水平方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワーク100が破損することを防止することができる。上記出力信号Rが送信されなければ、上記ワーク100を上記側端アタッチ部32aに当接させた後にも、上記ワーク100を保持したマテハン部5は当接方向92に移動を続けるため、上記側端アタッチ部32aから上記ワーク100にかかる荷重が大きくなり、上記ワーク100及び/又は側端アタッチ部32aを変形・破損させてしまうおそれがある。
【0069】
また、図9〜図11に示すごとく、ストレージ体2、3の上記側端アタッチ部22、32は、水平方向の断面が略コの字又は逆コの字状に形成されいる。そのため、上記ワーク100の上記側端アタッチ部22、32への当接時に、上記側端アタッチ部22、32への凹部内に上記ワーク100の側端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記側端アタッチ部22、32に上記ワーク100を確実に保持させることができる。
【0070】
また、上記制御手段は、上記出力信号Rの送信後、図18〜図20に示すごとく、さらに上記ワーク100を把持した状態の上記マテハン部5を移動させて上記下端アタッチ部31に当接させるように構成されている(出力信号Sの送信)。
そのため、上記側端アタッチ部への当接に続けて、上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に当接させることができ、図16〜図20に示すごとく、上記側端アタッチ部32及び下端アタッチ部31への一連の当接を上記制御手段の制御によって自動化させることができる。即ち、上記側端アタッチ部32及び上記下端アタッチ部31の一連の位置認識を上記制御手段により行うことができる。
【0071】
また、図9〜図11に示すごとく、上記下端アタッチ部21、31は、その鉛直方向の断面が略Uの字状に形成されいる。
そのため、上記ワークの上記下端アタッチ部21、31への当接時に、上記下端アタッチ部21、31の凹部内に上記ワークの下端を部分的に挿入させることができる。これにより、上記下端アタッチ部21、31に上記ワークを確実に保持させることができる。
【0072】
また、上記制御手段は、上記出力信号Sの送信後、図19、図20に示すごとく、上記第1ロードセル53によって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部5の上記下端アタッチ部31へ載置させる方向93への移動を停止させるように構成されている(出力信号Tの送信)。
そのため、上記ワーク100に鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワーク100が破損することを防止することができる。上記出力信号Tが送信されなければ、上記ワーク100を上記下端アタッチ部31に当接させた後にも、上記ワーク100を保持したマテハン部5は当接方向93に移動を続けるため、上記下端アタッチ部31から上記ワーク100にかかる荷重が大きくなり、上記ワーク100や上記下端アタッチ部31を変形・破損させてしまうおそれがある。
【0073】
また、上記制御手段は、上記出力信号Tの送信後に、図22に示すごとく、上記ワーク100から上記マテハン部5を引き離すように構成されている(出力信号Uの送信)。
そのため、上記ストレージ体3に移載された上記ワーク100から上記マテハン部5を引き離し、上述の一連の上記ストレージ3への移載を完了させることができる。
【0074】
次に、図12〜図15に示すごとく、ストレージ体2からワーク100を移載(搬出)する場合おける作用効果につき、説明する。
上記制御手段は、上述のごとく、一対の上記クランプ部51、52の内少なくとも一方のクランプ部51を上記本体部50に沿って移動させて上記ストレージ体2に載置された上記ワーク100を一対の上記クランプ部51、52間に狭持させたときにおける上記第1ロードセル53によって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部51の移動(スライド)を停止させるように構成されている(出力信号Vの送信)。
そのため、上記ワーク100に鉛直方向にかかる荷重が必要以上に大きくなって上記ワーク100が破損することを防止することができる。上記出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部51、52が上記ワーク100を狭持した後にも、上記クランプ部51が移動し続けるため、上記クランプ部51、52から上記ワークにかかる荷重が大きくなり、上記ワーク100を変形・破損させてしまうおそれがある。また、出力信号Vが送信されなければ、上記クランプ部51、52による上記ワーク100の把持を上記移載ロボット1が認識できず、十分に把持していない状態でマテハン部5を移動させて、移載中にワーク100を落下させてしまうおそれがある。
【0075】
上記制御手段は、上記出力信号Vの送信後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体2から上記ワーク100を移載させるように構成されている(出力信号Wの送信)。
そのため、上記マテハン部5に上記ワーク100を確実に把持した状態で上記ワーク100を上記ストレージ体2から移載(搬出)することができ、上記ワーク100の落下や転倒を回避することができる。また、上記ストレージ体2からの一連の搬出を自動化させることができる。
【0076】
また、本例においては、上記ワーク100として、自動車用ドアを用いている。
一般に、自動車の組立工程においては、自動車用ドアを、その塗装後に車両本体から外す工程が行われている。外された自動車ドアは、ストレージ体2から別のストレージ体3に移載される(図1及び図2参照)。この移載時に上記移載ロボット1を用いることにより、自動化を図ることができると共に、自動車ドアを破損させることなく、確実に移載を行うことができる。
【0077】
以上のように、本例によれば、ワーク100を確実にストレージ体3に保持させることができ、またストレージ体2からワーク100をマテハン部5で確実に把持して移載することことができる移載ロボット1を提供することができる。
なお、本例の説明に用いた図面においては、説明の便宜のため、実線で示すべきところを破線で示してある。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例にかかる、移載ロボットを用いてワークをストレージ体から別のストレージ体に移載する様子を側面から示した説明図。
【図2】実施例にかかる、移載ロボットを用いてワークをストレージ体から別のストレージ体に移載する様子を上方から示した説明図。
【図3】実施例にかかる、移載ロボットの全体構成を斜め上方から示した説明図。
【図4】実施例にかかる、移載ロボットのマテハン部を側面から示した説明図。
【図5】実施例にかかる、移載ロボットのマテハン部を正面から示した説明図。
【図6】実施例にかかる、移載ロボットのマテハン部を上面から示した説明図。
【図7】実施例にかかる、マテハン部における下端側のクランプ部周辺を部分的に拡大し、正面から示した説明図。
【図8】実施例にかかる、マテハン部における下端側のクランプ部周辺を部分的に拡大し、側面から示した説明図。
【図9】実施例にかかる、ストレージ体(ハンガー)の全体構成を斜め上方から示した説明図。
【図10】実施例にかかる、ストレージ体(トレー)の全体構成を斜め上方から示した説明図。
【図11】実施例にかかる、ストレージ体(トレー)の全体構成を上方から示した説明図。
【図12】実施例にかかる、ストレージ体(ハンガー)に保持されたワークを、マテハン部のクランプ部で狭持させる様子を側面から示した説明図。
【図13】実施例にかかる、ストレージ体(ハンガー)に保持されたワークを、マテハン部のクランプ部で狭持させた状態を側面から示した説明図。
【図14】実施例にかかる、図13の状態を下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図15】実施例にかかうる、ワークを保持したマテハン部をストレージ体(ハンガー)から引き離すように移動させる様子を、下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図16】実施例にかかる、ワークを保持したマテハン部をストレージ体(トレー)に移載する様子を正面から示した説明図。
【図17】実施例にかかる、ワークを保持したマテハン部を移動させて、ワークをストレージ体の側端アタッチ部間に挿入する様子を上面から示した説明図(a)、ワークをストレージ体の側端アタッチ部間に水平に配置させた様子を上面から示した説明図(b)、ワークの側端をストレージ体の側端アタッチ部に当接させた様子を上面から示した説明図(c)。
【図18】実施例にかかる、マテハン部に把持させたワークをストレージ体(トレー)の下端アタッチ部に載置する様子を側面から示した説明図。
【図19】図18の状態を下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図20】実施例にかかる、マテハン部に把持させたワークをストレージ体(トレー)の下端アタッチ部に当接させた状態を、下端側のクランプ部周辺に着目して示した説明図。
【図21】実施例にかかる、側端アタッチ部をスライドさせて、下端アタッチ部に載置したワークを、側端アタッチ部にて狭持する様子を上面から示した説明図(a)、下端アタッチ部に載置したワークを一対の側端アタッチ部で狭持した状態を上面から示す説明図(b)。
【図22】実施例にかかる、ストレージ体(トレー)に配置したワークを狭持するマテハン部のクランプ部の間隔を広げる様子を側面から示す説明図(a)、クランプ部の間隔を広げた状態を側面から示す説明図(b)、ワークを保持したストレージ体からマテハン部を引き離す様子を側面から示す説明図(c)。
【符号の説明】
【0079】
1 移載ロボット
15 アーム
19 ロボット部
2 ストレージ体(ハンガー)
21 下端アタッチ部
22 側端アタッチ部
3 ストレージ体(トレー)
31 下端アタッチ部
32 側端アタッチ部
5 マテハン部
51 クランプ部(上端側)
52 クランプ部(下端側)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向にワークを保持するための下端アタッチ部と、水平方向に上記ワークを保持するための側端アタッチ部とを有するストレージ体から、又は該ストレージ体へ上記ワークを移載するために用いられる移載ロボットであって、
該移載ロボットは、上記ワークを把持することができるマテハン部と、該マテハン部を移動させるためのアームとを備え、
上記マテハン部は、上記ワークを把持するクランプ部と、上記ワークを把持した状態で上記マテハン部に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセルと、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセルとを有し、
上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御するように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項2】
請求項1において、上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御する出力信号を送信する制御手段を有していることを特徴とする移載ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記マテハン部は、鉛直方向に伸びる本体部と、該本体部に沿って少なくとも一方が移動可能に設けられた一対の上記クランプ部とを有していることを特徴とする移載ロボット。
【請求項4】
請求項3において、上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部の少なくとも一方に配置されており、上記第2ロードセルは、上記本体部に配置されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項5】
請求項3又は4において、上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部のうち下端側に配置されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項において、上記制御手段は、上記ワークを上記クランプ部で把持した状態で上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に当接させたときにおける上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動を停止させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項7】
請求項6において、上記制御手段は、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動の停止後、さらに上記ワークを把持した状態の上記マテハン部を移動させて上記下端アタッチ部に当接させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項8】
請求項7において、上記制御手段は、上記下端アタッチ部に当接させた後、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項9】
請求項8において、上記制御手段は、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させた後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離すように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項10】
請求項2〜5のいずれか一項において、上記制御手段は、一対の上記クランプ部の内少なくとも一方を上記本体部に沿って移動させて上記ストレージ体に載置された上記ワークを一対の上記クランプ部間に狭持させたときにおける上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部の移動を停止させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項11】
請求項10において、上記制御手段は、上記クランプ部の移動の停止後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体から上記ワークを移載させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、上記ワークは、自動車用ドアであることを特徴とする移載ロボット。
【請求項1】
鉛直方向にワークを保持するための下端アタッチ部と、水平方向に上記ワークを保持するための側端アタッチ部とを有するストレージ体から、又は該ストレージ体へ上記ワークを移載するために用いられる移載ロボットであって、
該移載ロボットは、上記ワークを把持することができるマテハン部と、該マテハン部を移動させるためのアームとを備え、
上記マテハン部は、上記ワークを把持するクランプ部と、上記ワークを把持した状態で上記マテハン部に付与される鉛直方向の荷重を検出して検出信号Pを送信する第1ロードセルと、上記マテハン部に付与される水平方向の荷重を検出して検出信号Qを送信する第2ロードセルとを有し、
上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御するように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項2】
請求項1において、上記移載ロボットは、上記検出信号P及び/又は上記検出信号Qに基づいて、上記マテハン部の作動を制御する出力信号を送信する制御手段を有していることを特徴とする移載ロボット。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記マテハン部は、鉛直方向に伸びる本体部と、該本体部に沿って少なくとも一方が移動可能に設けられた一対の上記クランプ部とを有していることを特徴とする移載ロボット。
【請求項4】
請求項3において、上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部の少なくとも一方に配置されており、上記第2ロードセルは、上記本体部に配置されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項5】
請求項3又は4において、上記第1ロードセルは、一対の上記クランプ部のうち下端側に配置されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項において、上記制御手段は、上記ワークを上記クランプ部で把持した状態で上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体の上記側端アタッチ部に当接させたときにおける上記第2ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上となったときに、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動を停止させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項7】
請求項6において、上記制御手段は、上記側端アタッチ部に当接させる方向への上記マテハン部の移動の停止後、さらに上記ワークを把持した状態の上記マテハン部を移動させて上記下端アタッチ部に当接させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項8】
請求項7において、上記制御手段は、上記下端アタッチ部に当接させた後、上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以下となったときに、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項9】
請求項8において、上記制御手段は、上記マテハン部の上記下端アタッチ部へ載置させる方向への移動を停止させた後に、上記ワークから上記マテハン部を引き離すように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項10】
請求項2〜5のいずれか一項において、上記制御手段は、一対の上記クランプ部の内少なくとも一方を上記本体部に沿って移動させて上記ストレージ体に載置された上記ワークを一対の上記クランプ部間に狭持させたときにおける上記第1ロードセルによって検出される荷重が所定の値以上になったときに、上記クランプ部の移動を停止させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項11】
請求項10において、上記制御手段は、上記クランプ部の移動の停止後に、上記マテハン部を移動させて上記ストレージ体から上記ワークを移載させるように構成されていることを特徴とする移載ロボット。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項において、上記ワークは、自動車用ドアであることを特徴とする移載ロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−76002(P2010−76002A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243451(P2008−243451)
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月23日(2008.9.23)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
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