積層コンデンサ
【課題】ESLを高めることが可能な積層コンデンサを提供すること。
【解決手段】第一貫通導体17は、複数の絶縁体層11の積層方向に沿って延びるように素体2内に配置され、一端が第一端子電極3の第二電極部分3bに接続され且つ他端が素体2内に位置している。第二貫通導体19は、上記積層方向に沿って延びるように素体2内に配置され、一端が第二端子電極5の第二電極部分5bに接続され且つ他端が素体内2に位置している。第一内部電極13は、第一接続導体7のみに接続されている。第二内部電極15は、第二接続導体9のみに接続されている。第三内部電極14は、第一接続導体7及び第一貫通導体17に接続されている。第四内部電極16は、第二接続導体9及び第二貫通導体17に接続されている。第三及び第四内部電極14,16は、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している。
【解決手段】第一貫通導体17は、複数の絶縁体層11の積層方向に沿って延びるように素体2内に配置され、一端が第一端子電極3の第二電極部分3bに接続され且つ他端が素体2内に位置している。第二貫通導体19は、上記積層方向に沿って延びるように素体2内に配置され、一端が第二端子電極5の第二電極部分5bに接続され且つ他端が素体内2に位置している。第一内部電極13は、第一接続導体7のみに接続されている。第二内部電極15は、第二接続導体9のみに接続されている。第三内部電極14は、第一接続導体7及び第一貫通導体17に接続されている。第四内部電極16は、第二接続導体9及び第二貫通導体17に接続されている。第三及び第四内部電極14,16は、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
積層コンデンサとして、複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、外表面として実装面と実装面に対向する主面とを有する素体と、実装面に配置された電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、素体内に配置され、第一端子電極に接続されている第一内部電極と、複数の絶縁体層の積層方向で第一内部電極と対向するように素体内に配置され、第二端子電極に接続されている第二内部電極と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−351712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)を高めることが可能な積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る積層コンデンサは、複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、外表面として実装面と実装面に対向する主面とを有する素体と、実装面に配置された電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、素体の外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第一端子電極の電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第一貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第二端子電極の電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第二貫通導体と、素体内に配置され、第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、複数の絶縁体層の積層方向で第一内部電極と対向するように素体内に配置され、第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、素体内に配置され、第一接続導体及び第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、素体内に配置され、第二接続導体及び第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、を備え、第三及び第四内部電極は、第一及び第二内部電極よりも主面側に位置していることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る積層コンデンサでは、第一端子電極における実装面に配置された電極部分は、第一貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも主面側に位置している第三内部電極に電気的に接続されている。第三内部電極は、第一接続導体を通して第一内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極の上記電極部分は、第一貫通導体、第三内部電極、及び第一接続導体を通して、第一内部電極に接続されることとなる。第二端子電極における実装面に配置された電極部分は、第二貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも主面側に位置している第四内部電極に電気的に接続されている。第四内部電極は、第二接続導体を通して第二内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極の上記電極部分は、第二貫通導体、第四内部電極、及び第二接続導体を通して、第二内部電極に接続されることとなる。
【0007】
したがって、第一端子電極と第一内部電極との間において、実装面に配置された電極部分から第一貫通導体を通って主面側に位置している第三内部電極に至り、第三内部電極から第一接続導体を通って第一内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。第二端子電極と第二内部電極との間においても、実装面に配置された電極部分から第二貫通導体を通って主面側に位置している第四内部電極に至り、第四内部電極から第二接続導体を通って第二内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。これらのことから、本発明によれば、積層コンデンサにおける電流経路が極めて長くなり、ESLを高めることができる。
【0008】
本発明に係る積層コンデンサは、複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、複数の絶縁体層の積層方向で互いに対向する第一及び第二主面を有する素体と、第一主面に配置された第一電極部分と第二主面に配置された第二電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、素体の外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第一端子電極の第二電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第一貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第二端子電極の第二電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第二貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第一端子電極の第一電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第三貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第二端子電極の第一電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第四貫通導体と、素体内に配置され、第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、複数の絶縁体層の積層方向で第一内部電極と対向するように素体内に配置され、第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、素体内に配置され、第一接続導体及び第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、素体内に配置され、第二接続導体及び第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、素体内に配置され、第一接続導体及び第三貫通導体に接続されている第五内部電極と、素体内に配置され、第二接続導体及び第四貫通導体に接続されている第六内部電極と、を備え、第三及び第四内部電極は、第一及び第二内部電極よりも第一主面側に位置し、第五及び第六内部電極は、第一及び第二内部電極よりも第二主面側に位置していることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る積層コンデンサでは、第一端子電極における第二主面に配置された第二電極部分は、第一貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第一主面側に位置している第三内部電極に電気的に接続されている。第三内部電極は、第一接続導体を通して第一内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極の第二電極部分は、第一貫通導体、第三内部電極、及び第一接続導体を通して、第一内部電極に接続されることとなる。第二端子電極における第二主面に配置された第二電極部分は、第二貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第一主面側に位置している第四内部電極に電気的に接続されている。第四内部電極は、第二接続導体を通して第二内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極の第二電極部分は、第二貫通導体、第四内部電極、及び第二接続導体を通して、第二内部電極に接続されることとなる。
【0010】
第一端子電極における第一主面に配置された第一電極部分は、第三貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第二主面側に位置している第五内部電極に電気的に接続されている。第五内部電極は、第一接続導体を通して第一内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極の第一電極部分は、第三貫通導体、第五内部電極、及び第一接続導体を通して、第一内部電極に接続されることとなる。第二端子電極における第一主面に配置された第一電極部分は、第四貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第二主面側に位置している第六内部電極に電気的に接続されている。第六内部電極は、第二接続導体を通して第二内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極の第一電極部分は、第四貫通導体、第六内部電極、及び第二接続導体を通して、第二内部電極に接続されることとなる。
【0011】
第二主面が実装面と規定され、第一及び第二端子電極の第二電極部分が他の電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に実装された場合、第一端子電極と第一内部電極との間において、第二主面に配置された第二電極部分から第一貫通導体を通って第一主面側に位置している第三内部電極に至り、第三内部電極から第一接続導体を通って第一内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。第二端子電極と第二内部電極との間においても、第二主面に配置された第二電極部分から第二貫通導体を通って第一主面側に位置している第四内部電極に至り、第四内部電極から第二接続導体を通って第二内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。
【0012】
第一主面が実装面と規定され、第一及び第二端子電極の第一電極部分が他の電子機器に実装された場合、第一端子電極と第一内部電極との間において、第一主面に配置された第一電極部分から第三貫通導体を通って第二主面側に位置している第五内部電極に至り、第五内部電極から第一接続導体を通って第一内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。第二端子電極と第二内部電極との間においても、第一主面に配置された第一電極部分から第四貫通導体を通って第二主面側に位置している第六内部電極に至り、第六内部電極から第二接続導体を通って第二内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。
【0013】
これらのことから、本発明によれば、第一主面と第二主面とのいずれの主面を実装面とした場合でも、積層コンデンサにおける電流経路が極めて長くなり、ESLを高めることができる。また、本発明では、第一主面と第二主面とのいずれの主面を実装面として規定することができるため、積層コンデンサを実装する際の方向性がなくなり、積層コンデンサを容易に実装することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ESLを高めることが可能な積層コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図2】素体の分解斜視図である。
【図3】図1におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図4】図1におけるIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図5】本実施形態に係る積層コンデンサにおける電流経路を説明するための図である。
【図6】本実施形態の本変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図7】素体の分解斜視図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図9】図6におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図10】図6におけるX−X線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図11】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサにおける電流経路を説明するための図である。
【図12】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサにおける電流経路を説明するための図である。
【図13】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図14】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
【図15】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図16】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
【図17】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサ1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。図2は、素体の分解斜視図である。図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。図4は、図1におけるIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【0018】
図1〜図4に示されるように、積層コンデンサ1は、略直方体形状の素体2と、素体2の外表面に配置された複数の外部導体と、を備えている。複数の外部導体は、第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9を含んでいる。
【0019】
素体2は、図2に示されるように、複数の絶縁体層11が積層されることにより形成されている。絶縁体層11は、誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体からなる。実際の積層コンデンサ1では、各絶縁体層11は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0020】
素体2は、第一主面2a、第二主面2b、第一側面2c、第二側面2d、第三側面2e、及び第四側面2fを有している。第一及び第二主面2a,2bは、互いに対向しており、略長方形状を呈している。第一及び第二側面2c,2dは、第一及び第二主面2a,2b間を連結するように第一及び第二主面2a,2bの短辺方向に伸びており、互いに対向している。第三及び第四側面2e,2fは、第一及び第二主面2a,2b間を連結するように第一及び第二主面2a,2bの長辺方向に伸びており、互いに対向している。
【0021】
第一端子電極3は、第一側面2c側に配置されている。第一端子電極3は、第一側面2cの全面を覆い且つその一部が第一主面2a、第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。これにより、第一端子電極3は、図3に示されるように、第一主面2aに配置された第一電極部分3a、及び、第二主面2bに配置された第二電極部分3bを有することとなる。
【0022】
第二端子電極5は、第二側面2d側に配置されている。第二端子電極5は、第二側面2dの全面を覆い且つその一部が第一主面2a、第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。これにより、第二端子電極5は、図3に示されるように、第一主面2aに配置された第一電極部分5a及び第二主面2bに配置された第二電極部分5bを有することとなる。
【0023】
第一接続導体7は、第三側面2eにおける第一及び第二主面2a,2bの長辺方向での中央部に配置されている。第二接続導体9は、第四側面2fにおける第一及び第二主面2a,2bの長辺方向での中央部に配置されている。第一接続導体7と第二接続導体9とは、第一及び第二主面2a,2bの短辺方向(素体2の短手方向)で互いに対向している。
【0024】
第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9は、導電性金属粉末及びガラスフリットなどを含む導電性ペーストを焼き付けることによって形成されている。第一及び第二端子電極3,5は、積層コンデンサ1の実装の際に、所定の極性に接続される電極である。必要に応じて、形成された第一及び第二端子電極3,5の上にめっき層が形成されることもある。第一及び第二接続導体7,9は、素体2における後述の内部電極のうち同じ極性となる内部電極同士を並列に接続する導体である。第一及び第二接続導体7,9は、他の電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に直接接続されない導体である。
【0025】
第一端子電極3は、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば+極性(第一極性)に接続される電極である。第二端子電極5は、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば−極性(第二極性)に接続される電極である。第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9は、所定の間隔をあけて離間した状態となっており、素体2の外表面上において互いに電気的に絶縁されている。素体2の第一主面2aには、積層コンデンサ1の実装方向を識別するためのマークMが配置されている。
【0026】
積層コンデンサ1の実装に用いる基板SUは、図5に示されるように、陽極ランドパターンLP1と、陰極ランドパターンLP2と、を有している。陽極ランドパターンLP1及び陰極ランドパターンLP2は、所定の回路配線に接続されている。積層コンデンサ1の実装構造において、第二主面2bが実装面とされている。
【0027】
第一端子電極3は、陽極ランドパターンLP1に接合され、第二端子電極5は、陰極ランドパターンLP2に接合される。第一接続導体7及び第二接続導体9は、陽極ランドパターンLP1及び陰極ランドパターンLP2のいずれにも接合されない。すなわち、積層コンデンサ1の実装構造では、第一端子電極3及び第二端子電極5のみが基板SUに対して接合される。
【0028】
積層コンデンサ1は、図2に示されるように、内部電極として、複数の第一内部電極13と複数の第二内部電極15と第三内部電極14と第四内部電極16とを備えている。内部電極(第一〜第四内部電極13〜16)は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。内部電極は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一及び第三内部電極13,14と第二及び第四内部電極15,16とは、互いに極性が異なる。
【0029】
第一内部電極13と第二内部電極15とは、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、第一内部電極13と第二内部電極15とは、素体2内において、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向に間隔を有して対向するように交互に配置されている。第一内部電極13と第二内部電極15とは、素体2内に配置されている。
【0030】
各第一内部電極13は、略矩形形状を呈した主電極部13aと、主電極部13aの一辺から延び第三側面2eに露出する引き出し部13bと、を有している。第一接続導体7は、各引き出し部13bの第三側面2eに露出した部分をすべて覆うように形成されており、図4に示されるように、引き出し部13bは、第一接続導体7に直接的に接続される。これにより、各第一内部電極13は、第一接続導体7のみに接続されると共に、第一接続導体7を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0031】
各第二内部電極15は、略矩形形状を呈すると共に主電極部13aと対向する主電極部15aと、主電極部15aの一辺から延び第四側面2fに露出する引き出し部15bと、を有している。絶縁体層11のうち、第一内部電極13の主電極部13aと第二内部電極15の主電極部15aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。第二接続導体9は、各引き出し部15bの第四側面2fに露出した部分をすべて覆うように形成されており、図4に示されるように、引き出し部15bは、第二接続導体9に直接的に接続される。これにより、各第二内部電極15は、第二接続導体9のみに接続されると共に、第二接続導体9を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0032】
第三内部電極14は、略矩形形状を呈した主電極部14aと、主電極部14aの一辺から延び第三側面2eに露出する引き出し部14bと、を有している。第一接続導体7は、各引き出し部14bの第三側面2eに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し部14bは、第一接続導体7に直接的に接続される。これにより、第三内部電極14は、第一接続導体7に接続されると共に、第一接続導体7を通して各第一内部電極13に電気的に接続されることとなる。第三内部電極14は、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第一主面2a側に位置している。
【0033】
第四内部電極16は、略矩形形状を呈すると共に主電極部14aと対向する主電極部16aと、主電極部16aの一辺から延び第四側面2fに露出する引き出し部16bと、を有している。絶縁体層11のうち、第三内部電極14の主電極部14aと第四内部電極16の主電極部16aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。第二接続導体9は、引き出し部16bの第四側面2fに露出した部分も覆うように形成されており、引き出し部16bは、第二接続導体9に直接的に接続される。これにより、第四内部電極16は、第二接続導体9に接続されると共に、第二接続導体9を通して各第二内部電極15に電気的に接続されることとなる。第四内部電極16も、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第一主面2a側に位置している。
【0034】
第三内部電極14は、第一貫通導体17を通して第一端子電極3に電気的に接続されている。第一貫通導体17は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0035】
第一貫通導体17の一端は、第二主面2bに露出しており、第二電極部分3bに直接的に接続されている。第一貫通導体17の他端は、第三内部電極14に直接的に接続されており、第一主面2aには露出していない。すなわち、第一貫通導体17の他端は、素体2内に位置し、第一端子電極3には接続されていない。各第一内部電極13には、第一貫通導体17に対応する位置に開口13cが形成されており、第一貫通導体17との電気的絶縁が実現されている。各第二内部電極15にも、第一貫通導体17に対応する位置に開口15cが形成されており、第一貫通導体17との電気的絶縁が実現されている。第四内部電極16にも、第一貫通導体17に対応する位置に開口16cが形成されており、第一貫通導体17との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第一内部電極13は、第一接続導体7、第三内部電極14、及び第一貫通導体17を通して、第一端子電極3(第二電極部分3b)に電気的に接続されることとなる。
【0036】
第一貫通導体17は、各内部電極13,15と同層となるように各開口13c,15cの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分17aと、複数の導体部分17a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分17bと、を有している。第一貫通導体17も、内部電極と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第一貫通導体17は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0037】
第四内部電極16は、第二貫通導体19を通して第二端子電極5に電気的に接続されている。第二貫通導体19は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0038】
第二貫通導体19の一端は、第二主面2bに露出しており、第二電極部分5bに直接的に接続されている。第二貫通導体19の他端は、第四内部電極16に直接的に接続されており、第一主面2aには露出していない。すなわち、第二貫通導体19の他端は、素体2内に位置し、第二端子電極5には接続されていない。各第二内部電極15には、第二貫通導体19に対応する位置に開口15dが形成されており、第二貫通導体19との電気的絶縁が実現されている。各第一内部電極13にも、第二貫通導体19に対応する位置に開口13dが形成されており、第二貫通導体19との電気的絶縁が実現されている。第三内部電極14にも、第二貫通導体19に対応する位置に開口14cが形成されており、第二貫通導体19との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第二内部電極15は、第二接続導体9、第四内部電極16、及び第二貫通導体19を通して、第二端子電極5(第二電極部分5b)に電気的に接続されることとなる。
【0039】
第二貫通導体19は、各内部電極13,15と同層となるように各開口13d,15dの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分19aと、複数の導体部分19a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分19bと、を有している。第二貫通導体19も、内部電極や第一貫通導体17と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第二貫通導体19は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0040】
以上のように、本実施形態では、第一端子電極3における第二主面2b(実装面)に配置された第二電極部分3bは、第一貫通導体17を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第三内部電極14に電気的に接続されている。第三内部電極14は、第一接続導体7を通して各第一内部電極13に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分3bは、第一貫通導体17、第三内部電極14、及び第一接続導体7を通して、各第一内部電極13に接続されることとなる。第二端子電極5における第二主面2b(実装面)に配置された第二電極部分5bは、第二貫通導体19を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第四内部電極16に電気的に接続されている。第四内部電極16は、第二接続導体9を通して各第二内部電極15に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分5bは、第二貫通導体19、第四内部電極16、及び第二接続導体9を通して、各第二内部電極15に接続されることとなる。
【0041】
積層コンデンサ1が基板SUに実装された場合、図5に示されるように、第一端子電極3と第一内部電極13との間において、第二主面2bに配置された第二電極部分3bから第一貫通導体17を通って第一主面2a側に位置している第三内部電極14に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第三内部電極14から第一接続導体7を通って第一内部電極13に至る電流経路とが直列に形成される。第二端子電極5と第二内部電極15との間においても、第二主面2bに配置された第二電極部分5bから第二貫通導体19を通って第一主面2a側に位置している第四内部電極16に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第四内部電極16から第二接続導体9を通って第二内部電極15に至る電流経路とが直列に形成される。本実施形態では、積層コンデンサ1は基板SUにはんだ実装されており、図5では、実装の際に形成されるはんだフィレットの図示を省略している。
【0042】
これらのことから、積層コンデンサ1では、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、電流経路が長くなり、ESLを高めることができる。
【0043】
本実施形態では、各第一内部電極13が第一接続導体7のみに直接的に接続されている。すなわち、各第一内部電極13が並列に接続された第一接続導体7が第一端子電極3に直列に接続されることとなる。各第二内部電極15が第二接続導体9のみに直接的に接続されている。すなわち、各第二内部電極15が並列に接続された第二接続導体9が第二端子電極5に直列に接続されることとなる。これらのことから、積層コンデンサ1は、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)が高い。
【0044】
次に、図6〜図10を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサ1の構成について説明する。図6は、本変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。図7は、素体の分解斜視図である。図8は、図6におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。図9は、図6におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。図10は、図6におけるX−X線に沿った断面構成を説明するための図である。
【0045】
本変形例に係る積層コンデンサ1は、図1に示された積層コンデンサ1と同じく、素体2、第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9を備えている。
【0046】
第一端子電極3は、第一主面2aに配置された第一電極部分3a、及び、第二主面2bに配置された第二電極部分3bを有している。本変形例では、第一端子電極3は、第一電極部分3aを含む部分と第二電極部分3bを含む部分とに分割されて互いに離間しており、素体2の外表面上において電気的に絶縁された状態にある。第一電極部分3aを含む部分は、第一側面2cにおける第一主面2a側の領域を覆い且つその一部が第一主面2a、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。第二電極部分3bを含む部分は、第一側面2cにおける第二主面2b側の領域を覆い且つその一部が第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。
【0047】
第二端子電極5は、第一主面2aに配置された第一電極部分5a、及び、第二主面2bに配置された第二電極部分5bを有している。本変形例では、第二端子電極5は、第一電極部分5aを含む部分と第二電極部分5bを含む部分とに分割されて互いに離間しており、これらの部分は素体2の外表面上において電気的に絶縁された状態にある。第一電極部分5aを含む部分は、第二側面2dにおける第一主面2a側の領域を覆い且つその一部が第一主面2a、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。第二電極部分5bを含む部分は、第二側面2dにおける第二主面2b側の領域を覆い且つその一部が第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。
【0048】
積層コンデンサ1は、図7に示されるように、内部電極として、複数の第一内部電極13と複数の第二内部電極15と第三内部電極14と第四内部電極16と第五内部電極21と第六内部電極23とを備えている。内部電極(第一〜第六内部電極13〜16,21,23)は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。内部電極は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一、第三、及び第五内部電極13,14,21と第二、第四、及び第六内部電極15,16,23とは、互いに極性が異なる。
【0049】
第五内部電極21は、略矩形形状を呈した主電極部21aと、主電極部21aの一辺から延び第三側面2eに露出する引き出し部21bと、を有している。第一接続導体7は、各引き出し部21bの第三側面2eに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し部21bは、第一接続導体7に直接的に接続される。これにより、第五内部電極21は、第一接続導体7に接続されると共に、第一接続導体7を通して各第一内部電極13及び第三内部電極14に電気的に接続されることとなる。第五内部電極21は、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第二主面2b側に位置している。
【0050】
第六内部電極23は、略矩形形状を呈すると共に主電極部21aと対向する主電極部23aと、主電極部23aの一辺から延び第四側面2fに露出する引き出し部23bと、を有している。絶縁体層11のうち、第五内部電極21の主電極部21aと第六内部電極23の主電極部23aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。第二接続導体9は、引き出し部23bの第四側面2fに露出した部分も覆うように形成されており、引き出し部23bは、第二接続導体9に直接的に接続される。これにより、第六内部電極23は、第二接続導体9に接続されると共に、第二接続導体9を通して各第二内部電極15及び第四内部電極16に電気的に接続されることとなる。第六内部電極23も、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第二主面2b側に位置している。
【0051】
第五内部電極21は、第三貫通導体25を通して第一端子電極3に電気的に接続されている。第三貫通導体25は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0052】
第三貫通導体25の一端は、第一主面2aに露出しており、第一電極部分3aに直接的に接続されている。第三貫通導体25の他端は、第五内部電極21に直接的に接続されており、第二主面2bには露出していない。すなわち、第三貫通導体25の他端は、素体2内に位置し、第一端子電極3には接続されていない。各第一内部電極13には、第三貫通導体25に対応する位置に開口13eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。各第二内部電極15にも、第三貫通導体25に対応する位置に開口15eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。第三及び第四内部電極14,16にも、第三貫通導体25に対応する位置に開口14e,16eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。第五内部電極21には、第一及び第二貫通導体17,19に対応する位置に開口21c,21dが形成されており、第一及び第二貫通導体17,19との電気的絶縁が実現されている。第六内部電極23には、第三貫通導体25に対応する位置に開口23eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第一内部電極13は、第一接続導体7、第三内部電極14、及び第一貫通導体17を通して、第一端子電極3(第二電極部分3b)に電気的に接続されると共に、第一接続導体7、第五内部電極21、及び第三貫通導体25を通して、第一端子電極3(第一電極部分3a)に電気的に接続されることとなる。
【0053】
第三貫通導体25は、各内部電極13〜16と同層となるように各開口13e〜16eの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分25aと、複数の導体部分25a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分25bと、を有している。第三貫通導体25も、内部電極と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第三貫通導体25は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0054】
第六内部電極23は、第四貫通導体27を通して第二端子電極5に電気的に接続されている。第四貫通導体27は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0055】
第四貫通導体27の一端は、第一主面2aに露出しており、第一電極部分5aに直接的に接続されている。第四貫通導体27の他端は、第六内部電極23に直接的に接続されており、第二主面2bには露出していない。すなわち、第四貫通導体27の他端は、素体2内に位置し、第二端子電極5には接続されていない。各第二内部電極15には、第四貫通導体27に対応する位置に開口15fが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。各第一内部電極13にも、第四貫通導体27に対応する位置に開口13fが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。第三及び第四内部電極14,16にも、第四貫通導体27に対応する位置に開口14f,16fが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。第六内部電極23には、第一及び第二貫通導体17,19に対応する位置に開口23c,23dが形成されており、第一及び第二貫通導体17,19との電気的絶縁が実現されている。第五内部電極21には、第四貫通導体27に対応する位置に開口21eが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第二内部電極15は、第二接続導体9、第四内部電極16、及び第二貫通導体19を通して、第二端子電極5(第二電極部分5b)に電気的に接続されると共に、第二接続導体9、第六内部電極23、及び第四貫通導体27を通して、第二端子電極5(第一電極部分5a)に電気的に接続されることとなる。
【0056】
第四貫通導体27は、各内部電極13〜16と同層となるように各開口13e〜16eの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分27aと、複数の導体部分27a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分27bと、を有している。第四貫通導体27も、内部電極と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第四貫通導体27は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0057】
以上のように、本変形例では、第二主面2bに配置された第二電極部分3bは、第一貫通導体17を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第三内部電極14に電気的に接続されている。第三内部電極14は、第一接続導体7を通して各第一内部電極13に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分3bは、第一貫通導体17、第三内部電極14、及び第一接続導体7を通して、各第一内部電極13に接続されることとなる。第二主面2bに配置された第二電極部分5bは、第二貫通導体19を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第四内部電極16に電気的に接続されている。第四内部電極16は、第二接続導体9を通して各第二内部電極15に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分5bは、第二貫通導体19、第四内部電極16、及び第二接続導体9を通して、各第二内部電極15に接続されることとなる。
【0058】
第一主面2aに配置された第一電極部分3aは、第三貫通導体25を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第二主面2b側に位置している第五内部電極21に電気的に接続されている。第五内部電極21は、第一接続導体7を通して第一内部電極13に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極3の第一電極部分3aは、第三貫通導体25、第五内部電極21、及び第一接続導体7を通して、第一内部電極13に接続されることとなる。第一主面2aに配置された第一電極部分5aは、第四貫通導体27を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第二主面2b側に位置している第六内部電極23に電気的に接続されている。第六内部電極23は、第二接続導体9を通して第二内部電極15に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極5の第一電極部分5aは、第四貫通導体27、第六内部電極23、及び第二接続導体9を通して、第二内部電極15に接続されることとなる。
【0059】
本変形例に係る積層コンデンサ1が第二主面2bを実装面として基板SUに実装された場合、図11に示されるように、第一端子電極3と第一内部電極13との間において、第二主面2bに配置された第二電極部分3bから第一貫通導体17を通って第一主面2a側に位置している第三内部電極14に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第三内部電極14から第一接続導体7を通って第一内部電極13に至る電流経路とが直列に形成される。第二端子電極5と第二内部電極15との間においても、第二主面2bに配置された第二電極部分5bから第二貫通導体19を通って第一主面2a側に位置している第四内部電極16に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第四内部電極16から第二接続導体9を通って第二内部電極15に至る電流経路とが直列に形成される。
【0060】
本変形例に係る積層コンデンサ1が第一主面2aを実装面として基板SUに実装された場合、図12に示されるように、第一端子電極3と第一内部電極13との間において、第一主面2aに配置された第一電極部分3aから第三貫通導体25を通って第二主面2b側に位置している第五内部電極21に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第五内部電極21から第一接続導体7を通って第一内部電極13に至る電流経路とが直列に形成される。第二端子電極5と第二内部電極15との間においても、第一主面2aに配置された第一電極部分5aから第四貫通導体27を通って第二主面2b側に位置している第六内部電極23に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第六内部電極23から第二接続導体9を通って第二内部電極15に至る電流経路とが直列に形成される。図11及び図12でも、実装の際に形成されるはんだフィレットの図示を省略している。
【0061】
これらのことから、第一主面2aと第二主面2bとのいずれの主面を実装面とした場合でも、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、電流経路が極めて長くなり、ESLを高めることができる。
【0062】
本変形例では、第一主面2aと第二主面2bとのいずれの主面を実装面として規定することができるため、積層コンデンサ1を実装する際の方向性がなくなり、積層コンデンサ1を容易に実装することができる。
【0063】
本変形例に係る積層コンデンサ1は、上述した実施形態と同じく、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、ESRが高い。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0065】
第三〜第六内部電極14,16,21,23それぞれの数は、上述した実施形態及び変形例にて示された「一つ」に限られることなく、複数であってもよい。ただし、第三〜第六内部電極14,16,21,23それぞれの数が「一つ」である場合、上述した電流経路を最も長く設定することが可能となり、ESLより一層高めることができる。また、ESRもより一層高めることができる。
【0066】
図6〜図10に示された変形例においては、第三内部電極14の数と第五内部電極21の数とが等しく、且つ、第四内部電極16の数と第六内部電極23の数とが等しいことが好ましい。この場合、第一主面2aと第二主面2bとのいずれの主面を実装面と規定しても、ESL及びESRが略等しくなる。
【0067】
図1〜図4に示された実施形態において、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、図13〜図14に示されるように、各第二電極部分3b,5bのみに対応する形状を呈していてもよい。すなわち、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、第二主面2bのみに配置されていてもよい。図6〜図10に示された変形例において、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、図15〜図17に示されるように、各電極部分3a,5a,3b,5bのみに対応する形状を呈していてもよい。すなわち、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、各主面2a,2bのみに配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…積層コンデンサ、2…素体、2a…第一主面、2b…第二主面、2c〜2f…第一〜第四側面、3…第一端子電極、3a…第一電極部分、3b…第二電極部分、5…第二端子電極、5a…第一電極部分、5b…第二電極部分、7…第一接続導体、9…第二接続導体、11…絶縁体層、13〜16…第一〜第四内部電極、17…第一貫通導体、19…第二貫通導体、21…第五内部電極、23…第六内部電極、25…第三貫通導体、27…第四貫通導体、LP1…陽極ランドパターン、LP2…陽極ランドパターン、SU…基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
積層コンデンサとして、複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、外表面として実装面と実装面に対向する主面とを有する素体と、実装面に配置された電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、素体内に配置され、第一端子電極に接続されている第一内部電極と、複数の絶縁体層の積層方向で第一内部電極と対向するように素体内に配置され、第二端子電極に接続されている第二内部電極と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−351712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)を高めることが可能な積層コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る積層コンデンサは、複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、外表面として実装面と実装面に対向する主面とを有する素体と、実装面に配置された電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、素体の外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第一端子電極の電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第一貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第二端子電極の電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第二貫通導体と、素体内に配置され、第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、複数の絶縁体層の積層方向で第一内部電極と対向するように素体内に配置され、第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、素体内に配置され、第一接続導体及び第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、素体内に配置され、第二接続導体及び第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、を備え、第三及び第四内部電極は、第一及び第二内部電極よりも主面側に位置していることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る積層コンデンサでは、第一端子電極における実装面に配置された電極部分は、第一貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも主面側に位置している第三内部電極に電気的に接続されている。第三内部電極は、第一接続導体を通して第一内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極の上記電極部分は、第一貫通導体、第三内部電極、及び第一接続導体を通して、第一内部電極に接続されることとなる。第二端子電極における実装面に配置された電極部分は、第二貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも主面側に位置している第四内部電極に電気的に接続されている。第四内部電極は、第二接続導体を通して第二内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極の上記電極部分は、第二貫通導体、第四内部電極、及び第二接続導体を通して、第二内部電極に接続されることとなる。
【0007】
したがって、第一端子電極と第一内部電極との間において、実装面に配置された電極部分から第一貫通導体を通って主面側に位置している第三内部電極に至り、第三内部電極から第一接続導体を通って第一内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。第二端子電極と第二内部電極との間においても、実装面に配置された電極部分から第二貫通導体を通って主面側に位置している第四内部電極に至り、第四内部電極から第二接続導体を通って第二内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。これらのことから、本発明によれば、積層コンデンサにおける電流経路が極めて長くなり、ESLを高めることができる。
【0008】
本発明に係る積層コンデンサは、複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、複数の絶縁体層の積層方向で互いに対向する第一及び第二主面を有する素体と、第一主面に配置された第一電極部分と第二主面に配置された第二電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、素体の外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第一端子電極の第二電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第一貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第二端子電極の第二電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第二貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第一端子電極の第一電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第三貫通導体と、複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように素体内に配置され、一端が第二端子電極の第一電極部分に接続され且つ他端が素体内に位置する第四貫通導体と、素体内に配置され、第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、複数の絶縁体層の積層方向で第一内部電極と対向するように素体内に配置され、第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、素体内に配置され、第一接続導体及び第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、素体内に配置され、第二接続導体及び第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、素体内に配置され、第一接続導体及び第三貫通導体に接続されている第五内部電極と、素体内に配置され、第二接続導体及び第四貫通導体に接続されている第六内部電極と、を備え、第三及び第四内部電極は、第一及び第二内部電極よりも第一主面側に位置し、第五及び第六内部電極は、第一及び第二内部電極よりも第二主面側に位置していることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る積層コンデンサでは、第一端子電極における第二主面に配置された第二電極部分は、第一貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第一主面側に位置している第三内部電極に電気的に接続されている。第三内部電極は、第一接続導体を通して第一内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極の第二電極部分は、第一貫通導体、第三内部電極、及び第一接続導体を通して、第一内部電極に接続されることとなる。第二端子電極における第二主面に配置された第二電極部分は、第二貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第一主面側に位置している第四内部電極に電気的に接続されている。第四内部電極は、第二接続導体を通して第二内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極の第二電極部分は、第二貫通導体、第四内部電極、及び第二接続導体を通して、第二内部電極に接続されることとなる。
【0010】
第一端子電極における第一主面に配置された第一電極部分は、第三貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第二主面側に位置している第五内部電極に電気的に接続されている。第五内部電極は、第一接続導体を通して第一内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極の第一電極部分は、第三貫通導体、第五内部電極、及び第一接続導体を通して、第一内部電極に接続されることとなる。第二端子電極における第一主面に配置された第一電極部分は、第四貫通導体を通して、第一及び第二内部電極よりも第二主面側に位置している第六内部電極に電気的に接続されている。第六内部電極は、第二接続導体を通して第二内部電極に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極の第一電極部分は、第四貫通導体、第六内部電極、及び第二接続導体を通して、第二内部電極に接続されることとなる。
【0011】
第二主面が実装面と規定され、第一及び第二端子電極の第二電極部分が他の電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に実装された場合、第一端子電極と第一内部電極との間において、第二主面に配置された第二電極部分から第一貫通導体を通って第一主面側に位置している第三内部電極に至り、第三内部電極から第一接続導体を通って第一内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。第二端子電極と第二内部電極との間においても、第二主面に配置された第二電極部分から第二貫通導体を通って第一主面側に位置している第四内部電極に至り、第四内部電極から第二接続導体を通って第二内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。
【0012】
第一主面が実装面と規定され、第一及び第二端子電極の第一電極部分が他の電子機器に実装された場合、第一端子電極と第一内部電極との間において、第一主面に配置された第一電極部分から第三貫通導体を通って第二主面側に位置している第五内部電極に至り、第五内部電極から第一接続導体を通って第一内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。第二端子電極と第二内部電極との間においても、第一主面に配置された第一電極部分から第四貫通導体を通って第二主面側に位置している第六内部電極に至り、第六内部電極から第二接続導体を通って第二内部電極に至るという比較的長い電流経路が形成される。
【0013】
これらのことから、本発明によれば、第一主面と第二主面とのいずれの主面を実装面とした場合でも、積層コンデンサにおける電流経路が極めて長くなり、ESLを高めることができる。また、本発明では、第一主面と第二主面とのいずれの主面を実装面として規定することができるため、積層コンデンサを実装する際の方向性がなくなり、積層コンデンサを容易に実装することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ESLを高めることが可能な積層コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図2】素体の分解斜視図である。
【図3】図1におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図4】図1におけるIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図5】本実施形態に係る積層コンデンサにおける電流経路を説明するための図である。
【図6】本実施形態の本変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図7】素体の分解斜視図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図9】図6におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図10】図6におけるX−X線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図11】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサにおける電流経路を説明するための図である。
【図12】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサにおける電流経路を説明するための図である。
【図13】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図14】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
【図15】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図16】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
【図17】本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサ1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。図2は、素体の分解斜視図である。図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面構成を説明するための図である。図4は、図1におけるIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【0018】
図1〜図4に示されるように、積層コンデンサ1は、略直方体形状の素体2と、素体2の外表面に配置された複数の外部導体と、を備えている。複数の外部導体は、第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9を含んでいる。
【0019】
素体2は、図2に示されるように、複数の絶縁体層11が積層されることにより形成されている。絶縁体層11は、誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体からなる。実際の積層コンデンサ1では、各絶縁体層11は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0020】
素体2は、第一主面2a、第二主面2b、第一側面2c、第二側面2d、第三側面2e、及び第四側面2fを有している。第一及び第二主面2a,2bは、互いに対向しており、略長方形状を呈している。第一及び第二側面2c,2dは、第一及び第二主面2a,2b間を連結するように第一及び第二主面2a,2bの短辺方向に伸びており、互いに対向している。第三及び第四側面2e,2fは、第一及び第二主面2a,2b間を連結するように第一及び第二主面2a,2bの長辺方向に伸びており、互いに対向している。
【0021】
第一端子電極3は、第一側面2c側に配置されている。第一端子電極3は、第一側面2cの全面を覆い且つその一部が第一主面2a、第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。これにより、第一端子電極3は、図3に示されるように、第一主面2aに配置された第一電極部分3a、及び、第二主面2bに配置された第二電極部分3bを有することとなる。
【0022】
第二端子電極5は、第二側面2d側に配置されている。第二端子電極5は、第二側面2dの全面を覆い且つその一部が第一主面2a、第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。これにより、第二端子電極5は、図3に示されるように、第一主面2aに配置された第一電極部分5a及び第二主面2bに配置された第二電極部分5bを有することとなる。
【0023】
第一接続導体7は、第三側面2eにおける第一及び第二主面2a,2bの長辺方向での中央部に配置されている。第二接続導体9は、第四側面2fにおける第一及び第二主面2a,2bの長辺方向での中央部に配置されている。第一接続導体7と第二接続導体9とは、第一及び第二主面2a,2bの短辺方向(素体2の短手方向)で互いに対向している。
【0024】
第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9は、導電性金属粉末及びガラスフリットなどを含む導電性ペーストを焼き付けることによって形成されている。第一及び第二端子電極3,5は、積層コンデンサ1の実装の際に、所定の極性に接続される電極である。必要に応じて、形成された第一及び第二端子電極3,5の上にめっき層が形成されることもある。第一及び第二接続導体7,9は、素体2における後述の内部電極のうち同じ極性となる内部電極同士を並列に接続する導体である。第一及び第二接続導体7,9は、他の電子機器(たとえば、回路基板又は電子部品など)に直接接続されない導体である。
【0025】
第一端子電極3は、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば+極性(第一極性)に接続される電極である。第二端子電極5は、積層コンデンサ1の基板実装の際に例えば−極性(第二極性)に接続される電極である。第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9は、所定の間隔をあけて離間した状態となっており、素体2の外表面上において互いに電気的に絶縁されている。素体2の第一主面2aには、積層コンデンサ1の実装方向を識別するためのマークMが配置されている。
【0026】
積層コンデンサ1の実装に用いる基板SUは、図5に示されるように、陽極ランドパターンLP1と、陰極ランドパターンLP2と、を有している。陽極ランドパターンLP1及び陰極ランドパターンLP2は、所定の回路配線に接続されている。積層コンデンサ1の実装構造において、第二主面2bが実装面とされている。
【0027】
第一端子電極3は、陽極ランドパターンLP1に接合され、第二端子電極5は、陰極ランドパターンLP2に接合される。第一接続導体7及び第二接続導体9は、陽極ランドパターンLP1及び陰極ランドパターンLP2のいずれにも接合されない。すなわち、積層コンデンサ1の実装構造では、第一端子電極3及び第二端子電極5のみが基板SUに対して接合される。
【0028】
積層コンデンサ1は、図2に示されるように、内部電極として、複数の第一内部電極13と複数の第二内部電極15と第三内部電極14と第四内部電極16とを備えている。内部電極(第一〜第四内部電極13〜16)は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。内部電極は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一及び第三内部電極13,14と第二及び第四内部電極15,16とは、互いに極性が異なる。
【0029】
第一内部電極13と第二内部電極15とは、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)において異なる位置(層)に配置されている。すなわち、第一内部電極13と第二内部電極15とは、素体2内において、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向に間隔を有して対向するように交互に配置されている。第一内部電極13と第二内部電極15とは、素体2内に配置されている。
【0030】
各第一内部電極13は、略矩形形状を呈した主電極部13aと、主電極部13aの一辺から延び第三側面2eに露出する引き出し部13bと、を有している。第一接続導体7は、各引き出し部13bの第三側面2eに露出した部分をすべて覆うように形成されており、図4に示されるように、引き出し部13bは、第一接続導体7に直接的に接続される。これにより、各第一内部電極13は、第一接続導体7のみに接続されると共に、第一接続導体7を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0031】
各第二内部電極15は、略矩形形状を呈すると共に主電極部13aと対向する主電極部15aと、主電極部15aの一辺から延び第四側面2fに露出する引き出し部15bと、を有している。絶縁体層11のうち、第一内部電極13の主電極部13aと第二内部電極15の主電極部15aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。第二接続導体9は、各引き出し部15bの第四側面2fに露出した部分をすべて覆うように形成されており、図4に示されるように、引き出し部15bは、第二接続導体9に直接的に接続される。これにより、各第二内部電極15は、第二接続導体9のみに接続されると共に、第二接続導体9を通して互いに電気的に接続されることとなる。
【0032】
第三内部電極14は、略矩形形状を呈した主電極部14aと、主電極部14aの一辺から延び第三側面2eに露出する引き出し部14bと、を有している。第一接続導体7は、各引き出し部14bの第三側面2eに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し部14bは、第一接続導体7に直接的に接続される。これにより、第三内部電極14は、第一接続導体7に接続されると共に、第一接続導体7を通して各第一内部電極13に電気的に接続されることとなる。第三内部電極14は、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第一主面2a側に位置している。
【0033】
第四内部電極16は、略矩形形状を呈すると共に主電極部14aと対向する主電極部16aと、主電極部16aの一辺から延び第四側面2fに露出する引き出し部16bと、を有している。絶縁体層11のうち、第三内部電極14の主電極部14aと第四内部電極16の主電極部16aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。第二接続導体9は、引き出し部16bの第四側面2fに露出した部分も覆うように形成されており、引き出し部16bは、第二接続導体9に直接的に接続される。これにより、第四内部電極16は、第二接続導体9に接続されると共に、第二接続導体9を通して各第二内部電極15に電気的に接続されることとなる。第四内部電極16も、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第一主面2a側に位置している。
【0034】
第三内部電極14は、第一貫通導体17を通して第一端子電極3に電気的に接続されている。第一貫通導体17は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0035】
第一貫通導体17の一端は、第二主面2bに露出しており、第二電極部分3bに直接的に接続されている。第一貫通導体17の他端は、第三内部電極14に直接的に接続されており、第一主面2aには露出していない。すなわち、第一貫通導体17の他端は、素体2内に位置し、第一端子電極3には接続されていない。各第一内部電極13には、第一貫通導体17に対応する位置に開口13cが形成されており、第一貫通導体17との電気的絶縁が実現されている。各第二内部電極15にも、第一貫通導体17に対応する位置に開口15cが形成されており、第一貫通導体17との電気的絶縁が実現されている。第四内部電極16にも、第一貫通導体17に対応する位置に開口16cが形成されており、第一貫通導体17との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第一内部電極13は、第一接続導体7、第三内部電極14、及び第一貫通導体17を通して、第一端子電極3(第二電極部分3b)に電気的に接続されることとなる。
【0036】
第一貫通導体17は、各内部電極13,15と同層となるように各開口13c,15cの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分17aと、複数の導体部分17a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分17bと、を有している。第一貫通導体17も、内部電極と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第一貫通導体17は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0037】
第四内部電極16は、第二貫通導体19を通して第二端子電極5に電気的に接続されている。第二貫通導体19は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0038】
第二貫通導体19の一端は、第二主面2bに露出しており、第二電極部分5bに直接的に接続されている。第二貫通導体19の他端は、第四内部電極16に直接的に接続されており、第一主面2aには露出していない。すなわち、第二貫通導体19の他端は、素体2内に位置し、第二端子電極5には接続されていない。各第二内部電極15には、第二貫通導体19に対応する位置に開口15dが形成されており、第二貫通導体19との電気的絶縁が実現されている。各第一内部電極13にも、第二貫通導体19に対応する位置に開口13dが形成されており、第二貫通導体19との電気的絶縁が実現されている。第三内部電極14にも、第二貫通導体19に対応する位置に開口14cが形成されており、第二貫通導体19との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第二内部電極15は、第二接続導体9、第四内部電極16、及び第二貫通導体19を通して、第二端子電極5(第二電極部分5b)に電気的に接続されることとなる。
【0039】
第二貫通導体19は、各内部電極13,15と同層となるように各開口13d,15dの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分19aと、複数の導体部分19a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分19bと、を有している。第二貫通導体19も、内部電極や第一貫通導体17と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第二貫通導体19は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0040】
以上のように、本実施形態では、第一端子電極3における第二主面2b(実装面)に配置された第二電極部分3bは、第一貫通導体17を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第三内部電極14に電気的に接続されている。第三内部電極14は、第一接続導体7を通して各第一内部電極13に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分3bは、第一貫通導体17、第三内部電極14、及び第一接続導体7を通して、各第一内部電極13に接続されることとなる。第二端子電極5における第二主面2b(実装面)に配置された第二電極部分5bは、第二貫通導体19を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第四内部電極16に電気的に接続されている。第四内部電極16は、第二接続導体9を通して各第二内部電極15に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分5bは、第二貫通導体19、第四内部電極16、及び第二接続導体9を通して、各第二内部電極15に接続されることとなる。
【0041】
積層コンデンサ1が基板SUに実装された場合、図5に示されるように、第一端子電極3と第一内部電極13との間において、第二主面2bに配置された第二電極部分3bから第一貫通導体17を通って第一主面2a側に位置している第三内部電極14に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第三内部電極14から第一接続導体7を通って第一内部電極13に至る電流経路とが直列に形成される。第二端子電極5と第二内部電極15との間においても、第二主面2bに配置された第二電極部分5bから第二貫通導体19を通って第一主面2a側に位置している第四内部電極16に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第四内部電極16から第二接続導体9を通って第二内部電極15に至る電流経路とが直列に形成される。本実施形態では、積層コンデンサ1は基板SUにはんだ実装されており、図5では、実装の際に形成されるはんだフィレットの図示を省略している。
【0042】
これらのことから、積層コンデンサ1では、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、電流経路が長くなり、ESLを高めることができる。
【0043】
本実施形態では、各第一内部電極13が第一接続導体7のみに直接的に接続されている。すなわち、各第一内部電極13が並列に接続された第一接続導体7が第一端子電極3に直列に接続されることとなる。各第二内部電極15が第二接続導体9のみに直接的に接続されている。すなわち、各第二内部電極15が並列に接続された第二接続導体9が第二端子電極5に直列に接続されることとなる。これらのことから、積層コンデンサ1は、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)が高い。
【0044】
次に、図6〜図10を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサ1の構成について説明する。図6は、本変形例に係る積層コンデンサを示す斜視図である。図7は、素体の分解斜視図である。図8は、図6におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。図9は、図6におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。図10は、図6におけるX−X線に沿った断面構成を説明するための図である。
【0045】
本変形例に係る積層コンデンサ1は、図1に示された積層コンデンサ1と同じく、素体2、第一端子電極3、第二端子電極5、第一接続導体7、及び第二接続導体9を備えている。
【0046】
第一端子電極3は、第一主面2aに配置された第一電極部分3a、及び、第二主面2bに配置された第二電極部分3bを有している。本変形例では、第一端子電極3は、第一電極部分3aを含む部分と第二電極部分3bを含む部分とに分割されて互いに離間しており、素体2の外表面上において電気的に絶縁された状態にある。第一電極部分3aを含む部分は、第一側面2cにおける第一主面2a側の領域を覆い且つその一部が第一主面2a、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。第二電極部分3bを含む部分は、第一側面2cにおける第二主面2b側の領域を覆い且つその一部が第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。
【0047】
第二端子電極5は、第一主面2aに配置された第一電極部分5a、及び、第二主面2bに配置された第二電極部分5bを有している。本変形例では、第二端子電極5は、第一電極部分5aを含む部分と第二電極部分5bを含む部分とに分割されて互いに離間しており、これらの部分は素体2の外表面上において電気的に絶縁された状態にある。第一電極部分5aを含む部分は、第二側面2dにおける第一主面2a側の領域を覆い且つその一部が第一主面2a、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。第二電極部分5bを含む部分は、第二側面2dにおける第二主面2b側の領域を覆い且つその一部が第二主面2b、第三側面2e、及び第四側面2f上に回り込むように形成されている。
【0048】
積層コンデンサ1は、図7に示されるように、内部電極として、複数の第一内部電極13と複数の第二内部電極15と第三内部電極14と第四内部電極16と第五内部電極21と第六内部電極23とを備えている。内部電極(第一〜第六内部電極13〜16,21,23)は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。内部電極は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一、第三、及び第五内部電極13,14,21と第二、第四、及び第六内部電極15,16,23とは、互いに極性が異なる。
【0049】
第五内部電極21は、略矩形形状を呈した主電極部21aと、主電極部21aの一辺から延び第三側面2eに露出する引き出し部21bと、を有している。第一接続導体7は、各引き出し部21bの第三側面2eに露出した部分もすべて覆うように形成されており、引き出し部21bは、第一接続導体7に直接的に接続される。これにより、第五内部電極21は、第一接続導体7に接続されると共に、第一接続導体7を通して各第一内部電極13及び第三内部電極14に電気的に接続されることとなる。第五内部電極21は、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第二主面2b側に位置している。
【0050】
第六内部電極23は、略矩形形状を呈すると共に主電極部21aと対向する主電極部23aと、主電極部23aの一辺から延び第四側面2fに露出する引き出し部23bと、を有している。絶縁体層11のうち、第五内部電極21の主電極部21aと第六内部電極23の主電極部23aとに重なる部分は、静電容量成分を実質的に生じさせる領域となる。第二接続導体9は、引き出し部23bの第四側面2fに露出した部分も覆うように形成されており、引き出し部23bは、第二接続導体9に直接的に接続される。これにより、第六内部電極23は、第二接続導体9に接続されると共に、第二接続導体9を通して各第二内部電極15及び第四内部電極16に電気的に接続されることとなる。第六内部電極23も、素体2内に配置されており、第一及び第二内部電極13,15よりも、第二主面2b側に位置している。
【0051】
第五内部電極21は、第三貫通導体25を通して第一端子電極3に電気的に接続されている。第三貫通導体25は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0052】
第三貫通導体25の一端は、第一主面2aに露出しており、第一電極部分3aに直接的に接続されている。第三貫通導体25の他端は、第五内部電極21に直接的に接続されており、第二主面2bには露出していない。すなわち、第三貫通導体25の他端は、素体2内に位置し、第一端子電極3には接続されていない。各第一内部電極13には、第三貫通導体25に対応する位置に開口13eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。各第二内部電極15にも、第三貫通導体25に対応する位置に開口15eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。第三及び第四内部電極14,16にも、第三貫通導体25に対応する位置に開口14e,16eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。第五内部電極21には、第一及び第二貫通導体17,19に対応する位置に開口21c,21dが形成されており、第一及び第二貫通導体17,19との電気的絶縁が実現されている。第六内部電極23には、第三貫通導体25に対応する位置に開口23eが形成されており、第三貫通導体25との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第一内部電極13は、第一接続導体7、第三内部電極14、及び第一貫通導体17を通して、第一端子電極3(第二電極部分3b)に電気的に接続されると共に、第一接続導体7、第五内部電極21、及び第三貫通導体25を通して、第一端子電極3(第一電極部分3a)に電気的に接続されることとなる。
【0053】
第三貫通導体25は、各内部電極13〜16と同層となるように各開口13e〜16eの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分25aと、複数の導体部分25a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分25bと、を有している。第三貫通導体25も、内部電極と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第三貫通導体25は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0054】
第六内部電極23は、第四貫通導体27を通して第二端子電極5に電気的に接続されている。第四貫通導体27は、第一主面2aと第二主面2bとの対向方向(複数の絶縁体層11の積層方向)に沿って延びるように素体2内に配置されている。
【0055】
第四貫通導体27の一端は、第一主面2aに露出しており、第一電極部分5aに直接的に接続されている。第四貫通導体27の他端は、第六内部電極23に直接的に接続されており、第二主面2bには露出していない。すなわち、第四貫通導体27の他端は、素体2内に位置し、第二端子電極5には接続されていない。各第二内部電極15には、第四貫通導体27に対応する位置に開口15fが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。各第一内部電極13にも、第四貫通導体27に対応する位置に開口13fが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。第三及び第四内部電極14,16にも、第四貫通導体27に対応する位置に開口14f,16fが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。第六内部電極23には、第一及び第二貫通導体17,19に対応する位置に開口23c,23dが形成されており、第一及び第二貫通導体17,19との電気的絶縁が実現されている。第五内部電極21には、第四貫通導体27に対応する位置に開口21eが形成されており、第四貫通導体27との電気的絶縁が実現されている。これらにより、第二内部電極15は、第二接続導体9、第四内部電極16、及び第二貫通導体19を通して、第二端子電極5(第二電極部分5b)に電気的に接続されると共に、第二接続導体9、第六内部電極23、及び第四貫通導体27を通して、第二端子電極5(第一電極部分5a)に電気的に接続されることとなる。
【0056】
第四貫通導体27は、各内部電極13〜16と同層となるように各開口13e〜16eの内側にそれぞれ配置された複数の導体部分27aと、複数の導体部分27a同士を接続し且つ絶縁体層11を貫通するように配置された複数の導体部分27bと、を有している。第四貫通導体27も、内部電極と同じく、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、NiやCuなど)からなる。第四貫通導体27は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0057】
以上のように、本変形例では、第二主面2bに配置された第二電極部分3bは、第一貫通導体17を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第三内部電極14に電気的に接続されている。第三内部電極14は、第一接続導体7を通して各第一内部電極13に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分3bは、第一貫通導体17、第三内部電極14、及び第一接続導体7を通して、各第一内部電極13に接続されることとなる。第二主面2bに配置された第二電極部分5bは、第二貫通導体19を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第一主面2a側に位置している第四内部電極16に電気的に接続されている。第四内部電極16は、第二接続導体9を通して各第二内部電極15に電気的に接続されている。すなわち、第二電極部分5bは、第二貫通導体19、第四内部電極16、及び第二接続導体9を通して、各第二内部電極15に接続されることとなる。
【0058】
第一主面2aに配置された第一電極部分3aは、第三貫通導体25を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第二主面2b側に位置している第五内部電極21に電気的に接続されている。第五内部電極21は、第一接続導体7を通して第一内部電極13に電気的に接続されている。すなわち、第一端子電極3の第一電極部分3aは、第三貫通導体25、第五内部電極21、及び第一接続導体7を通して、第一内部電極13に接続されることとなる。第一主面2aに配置された第一電極部分5aは、第四貫通導体27を通して、第一及び第二内部電極13,15よりも第二主面2b側に位置している第六内部電極23に電気的に接続されている。第六内部電極23は、第二接続導体9を通して第二内部電極15に電気的に接続されている。すなわち、第二端子電極5の第一電極部分5aは、第四貫通導体27、第六内部電極23、及び第二接続導体9を通して、第二内部電極15に接続されることとなる。
【0059】
本変形例に係る積層コンデンサ1が第二主面2bを実装面として基板SUに実装された場合、図11に示されるように、第一端子電極3と第一内部電極13との間において、第二主面2bに配置された第二電極部分3bから第一貫通導体17を通って第一主面2a側に位置している第三内部電極14に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第三内部電極14から第一接続導体7を通って第一内部電極13に至る電流経路とが直列に形成される。第二端子電極5と第二内部電極15との間においても、第二主面2bに配置された第二電極部分5bから第二貫通導体19を通って第一主面2a側に位置している第四内部電極16に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第四内部電極16から第二接続導体9を通って第二内部電極15に至る電流経路とが直列に形成される。
【0060】
本変形例に係る積層コンデンサ1が第一主面2aを実装面として基板SUに実装された場合、図12に示されるように、第一端子電極3と第一内部電極13との間において、第一主面2aに配置された第一電極部分3aから第三貫通導体25を通って第二主面2b側に位置している第五内部電極21に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第五内部電極21から第一接続導体7を通って第一内部電極13に至る電流経路とが直列に形成される。第二端子電極5と第二内部電極15との間においても、第一主面2aに配置された第一電極部分5aから第四貫通導体27を通って第二主面2b側に位置している第六内部電極23に至る電流経路(図中、矢印で示される経路)と、第六内部電極23から第二接続導体9を通って第二内部電極15に至る電流経路とが直列に形成される。図11及び図12でも、実装の際に形成されるはんだフィレットの図示を省略している。
【0061】
これらのことから、第一主面2aと第二主面2bとのいずれの主面を実装面とした場合でも、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、電流経路が極めて長くなり、ESLを高めることができる。
【0062】
本変形例では、第一主面2aと第二主面2bとのいずれの主面を実装面として規定することができるため、積層コンデンサ1を実装する際の方向性がなくなり、積層コンデンサ1を容易に実装することができる。
【0063】
本変形例に係る積層コンデンサ1は、上述した実施形態と同じく、全ての内部電極が対応する内部電極に並列に接続されている従来の積層コンデンサに比して、ESRが高い。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0065】
第三〜第六内部電極14,16,21,23それぞれの数は、上述した実施形態及び変形例にて示された「一つ」に限られることなく、複数であってもよい。ただし、第三〜第六内部電極14,16,21,23それぞれの数が「一つ」である場合、上述した電流経路を最も長く設定することが可能となり、ESLより一層高めることができる。また、ESRもより一層高めることができる。
【0066】
図6〜図10に示された変形例においては、第三内部電極14の数と第五内部電極21の数とが等しく、且つ、第四内部電極16の数と第六内部電極23の数とが等しいことが好ましい。この場合、第一主面2aと第二主面2bとのいずれの主面を実装面と規定しても、ESL及びESRが略等しくなる。
【0067】
図1〜図4に示された実施形態において、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、図13〜図14に示されるように、各第二電極部分3b,5bのみに対応する形状を呈していてもよい。すなわち、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、第二主面2bのみに配置されていてもよい。図6〜図10に示された変形例において、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、図15〜図17に示されるように、各電極部分3a,5a,3b,5bのみに対応する形状を呈していてもよい。すなわち、第一及び第二端子電極3,5それぞれは、各主面2a,2bのみに配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…積層コンデンサ、2…素体、2a…第一主面、2b…第二主面、2c〜2f…第一〜第四側面、3…第一端子電極、3a…第一電極部分、3b…第二電極部分、5…第二端子電極、5a…第一電極部分、5b…第二電極部分、7…第一接続導体、9…第二接続導体、11…絶縁体層、13〜16…第一〜第四内部電極、17…第一貫通導体、19…第二貫通導体、21…第五内部電極、23…第六内部電極、25…第三貫通導体、27…第四貫通導体、LP1…陽極ランドパターン、LP2…陽極ランドパターン、SU…基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、外表面として実装面と前記実装面に対向する主面とを有する素体と、
前記実装面に配置された電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、
前記素体の前記外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第一端子電極の前記電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第一貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第二端子電極の前記電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第二貫通導体と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、
前記複数の絶縁体層の積層方向で前記第一内部電極と対向するように前記素体内に配置され、前記第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体及び前記第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第二接続導体及び前記第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、を備え、
前記第三及び第四内部電極は、前記第一及び第二内部電極よりも前記主面側に位置していることを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、前記複数の絶縁体層の積層方向で互いに対向する第一及び第二主面を有する素体と、
前記第一主面に配置された第一電極部分と第二主面に配置された第二電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、
前記素体の前記外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第一端子電極の前記第二電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第一貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第二端子電極の前記第二電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第二貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第一端子電極の前記第一電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第三貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第二端子電極の前記第一電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第四貫通導体と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、
前記複数の絶縁体層の積層方向で前記第一内部電極と対向するように前記素体内に配置され、前記第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体及び前記第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第二接続導体及び前記第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体及び前記第三貫通導体に接続されている第五内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第二接続導体及び前記第四貫通導体に接続されている第六内部電極と、を備え、
前記第三及び第四内部電極は、前記第一及び第二内部電極よりも前記第一主面側に位置し、前記第五及び第六内部電極は、前記第一及び第二内部電極よりも前記第二主面側に位置していることを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、外表面として実装面と前記実装面に対向する主面とを有する素体と、
前記実装面に配置された電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、
前記素体の前記外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第一端子電極の前記電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第一貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第二端子電極の前記電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第二貫通導体と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、
前記複数の絶縁体層の積層方向で前記第一内部電極と対向するように前記素体内に配置され、前記第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体及び前記第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第二接続導体及び前記第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、を備え、
前記第三及び第四内部電極は、前記第一及び第二内部電極よりも前記主面側に位置していることを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
複数の絶縁体層が積層されることにより形成され、前記複数の絶縁体層の積層方向で互いに対向する第一及び第二主面を有する素体と、
前記第一主面に配置された第一電極部分と第二主面に配置された第二電極部分をそれぞれ有する第一及び第二端子電極と、
前記素体の前記外表面にそれぞれ配置された第一及び第二接続導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第一端子電極の前記第二電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第一貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第二端子電極の前記第二電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第二貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第一端子電極の前記第一電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第三貫通導体と、
前記複数の絶縁体層の積層方向に沿って延びるように前記素体内に配置され、一端が前記第二端子電極の前記第一電極部分に接続され且つ他端が前記素体内に位置する第四貫通導体と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体のみに接続されている第一内部電極と、
前記複数の絶縁体層の積層方向で前記第一内部電極と対向するように前記素体内に配置され、前記第二接続導体のみに接続されている第二内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体及び前記第一貫通導体に接続されている第三内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第二接続導体及び前記第二貫通導体に接続されている第四内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第一接続導体及び前記第三貫通導体に接続されている第五内部電極と、
前記素体内に配置され、前記第二接続導体及び前記第四貫通導体に接続されている第六内部電極と、を備え、
前記第三及び第四内部電極は、前記第一及び第二内部電極よりも前記第一主面側に位置し、前記第五及び第六内部電極は、前記第一及び第二内部電極よりも前記第二主面側に位置していることを特徴とする積層コンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−191006(P2012−191006A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53266(P2011−53266)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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