積層LSIチップのシステム検査のための方法および装置
【課題】半導体LSIチップを複数積層した積層LSIチップに対して、積層状態のまま各チップのテスト、例えばチップ内部不良やチップ間接続不良の有無などのシステム検査を行うことのできる方法および装置を提供する。
【解決手段】貫通電極11をシステムバスとする積層LSIチップ1の最上層チップ表面の貫通電極端子にプローブピン31を接続させて、積層LSIチップ1のシステム検査を行う。
【解決手段】貫通電極11をシステムバスとする積層LSIチップ1の最上層チップ表面の貫通電極端子にプローブピン31を接続させて、積層LSIチップ1のシステム検査を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通電極をチップ間システムバスとして使用した積層LSIチップのシステム検査に関し、さらに具体的には、それぞれ検査済みの半導体LSIチップを複数積層して作製された積層LSIチップに対して、積層後に積層状態で各LSIチップ及びシステム全体のテスト、例えばチップ内部不良やチップ間接続不良の有無、バスアクセスなどのシステム検査を行うテスターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに代表される情報機器の性能はこれまで、主に、1)クロック周波数の増加、2)システムバス幅の増大で向上してきた。しかしながら、クロック周波数は信号の伝搬速度(光速)の上限から伝達距離が制限され、回路の大きさが決まる。たとえば、10GHzでは1クロックあたりの時間は0.1n秒で、この時間に信号は光では3cm進むことが出来る。これより配線長は1cm以下となる。プリント基板などでは、電気信号の伝搬速度は光の1/2となるため、回路の寸法条件は更に厳しくなる。そのため、今日のPCでは数ギガヘルツのクロック周波数が限界となりつつある。集積回路システムの性能向上を図る方法にシステムバスの拡大による方法も進められてきた。これまで、リアルタイム処理が重要なゲームなどのシステムで、並列処理による性能向上が期待される応用分野に適用され、たとえば高性能ゲーム機では128ビット Emotion Engine(エモーションエンジン)が用いられている。また、PCにおいても、AMD64ビットプロセッサチップが高性能CPUとして開発されており、これを複数個並列に動作させることで、さらに実質的なバス拡張を行って、性能向上を果たしている。しかしながら、これまでの2次元的なLSIチップの配置では、システムバス幅を拡張すると、図1のようにチップ間を結ぶ配線部分が大きくなり、結果として、配線容量と信号遅延の増大を招き、性能向上に限界がきていた。これを解決する手段として、図2のようにLSIチップに貫通ビアつまり貫通電極を形成して、これを3次元的に積層する方法が期待される。
【0003】
3次元積層実装技術では、LSIチップ内に表面から裏面に貫通して、電気接続を行うための貫通ビアを形成し、各チップを金属バンプ接合により直接的に積層接続する。この3次元積層実装技術により、すでに1560個の貫通ビアが形成された8個の512Mb-DRAMチップを積層実装した4Gbメモリシステムの試作開発例が報告されており、その実用化に向けての量産開発が急速に進展している。このような3次元積層LSIチップ技術においては、LSIチップ間の配線が従来の2次元実装技術に比べて格段に短くなるため、信号遅延の大幅な低減が期待でき、また、チップ間を多くの配線で密に結合できるなどの特徴をもつ。特に、マイクロプロセッサ・チップとメモリ・チップとの速度のギャップ、所謂メモリ・ウォールは大きくなる一方であり、システム性能を向上する上で、大きな課題となっている。このメモリ・ウォールによる性能低下を抑えるためマイクロプロセッサ・チップに大容量のキャッシュ・メモリを搭載しているが、3次元積層LSIチップ技術において数多くの短いチップ間接続が可能になると、メモリ・ウォールの課題を解決できるため、マイクロプロセッサ・チップ上のキャッシュ・メモリを削減する効果がある。
【0004】
これまでに、すべての積層されたLSIチップを貫いて接続する貫通ビアをチップの中心に多数並列に形成して、従来の2次元LSIチップシステムで用いられていたチップ外バス配線に代えて、この貫通ビアを超並列システムバス配線として用いることで、チップ内バス配線と同等の配線長と通信速度を有し、出力バッファを不要とする低消費電力システム構成法が検討されてきている。この方法を適用した3次元積層LSIチップシステムでは、LSIチップの中心部に多数のアレイ状の超並列システムバスとなる低容量貫通ビアを配置する構成を提案している。システムバスをチップの中心に配置することで、各チップにおける回路設計が容易になるとともに、バスと動作回路との接続距離も短縮できる。また、チップ外周部の貫通ビアを電源などノイズ発生の可能性がある端子と別にすることも可能になる。
【0005】
ところで、このような3次元積層LSIチップ技術を適用した電子システムにおいては、複数のLSIチップが高密度に実装されているので、チップ間の内部信号が埋め込まれてしまい、信号の観測やシステムデバッグの実施が困難な状況となる。上述のチップ中心部にシステムバスを配置した積層LSIチップでは、最上部のLSIチップの表面にシステムバス端子が露出するため、このバス端子を介して信号を入出力させることで、積層体内部の各LSIチップおよび全体のシステム信号の観測やシステムデバッグが可能になる。
【0006】
しかしながら、たとえば、前述の4Gbメモリシステムで用いられているような貫通ビア(50μピッチ)を1000個以上(たとえば35個×35個=1225個)、チップ中央部に配置したときには、従来のカンチレバー型または垂直型のプローブカードでは全端子にコンタクトを取ることは不可能である。そのため、ミクロンレベルの微細配線と微細バンプ技術を用いた、平面型プローブカードを用いた検査技術が必要になる。3次元積層LSIチップの良品率は、積層する半導体LSIチップの良品率の積に比例するため、品質・信頼性が保証されたKGD(Known Good Die)を使用することが必須であり、積層した状態でのシステムとしての機能をプロービング・テストする技術の確立が重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、それぞれ検査済みの半導体LSIチップを複数積層して作製された積層LSIチップに対して、積層後に積層状態で各LSIチップのテスト、例えばチップ内部不良やチップ間接続不良の有無、及びメモリ読み書きやIO操作などシステムとしての動作チェックなどのシステム検査を行うことのできる方法および装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子にプローブピンを接続させて、積層LSIチップのシステム検査を行う方法を提供する。
【0009】
また本発明は、貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子に接続されるプローブピンを備えた、積層LSIチップのシステム検査を行う装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第一実施形態]
図3に上記のとおりの特徴を有する本発明の一実施形態の概略図を示す。ここでは、積層LSIチップ1は、貫通電極が中心部に配置されたシステムバス用の中心部パッドと周辺部に配置される電源や外部インターフェース用の周辺部パッドとに分かれた構成となっている。検査対象の積層体1は、周辺部パッドに対応するコンタクトを内部に有するソケット2に挿入して接続される。システムバス用の中心部パッドは、微細バンプを持つ平面プローブカード3に接続される。中心部プローブと周辺部パッドを分離する理由は、1)システムバスで用いられる信号は従来のチップ間インターフェース信号と異なり、内部回路配線の信号レベルと同等であり、信号レベルが小さい、そのため、2)ノイズ対策を考慮する必要が生じるためである。そのため、前述した低容量貫通ビアはシステムバスラインに接続される論理ゲートの負荷を軽減するのに重要となる。また、外部インターフェースのためのバッファ回路を不用とするため、積層システムの消費電力を低減することが出来る。特に本発明のように多数のバス幅を持つシステムの構成では大きな特徴となる。
【0011】
システムバスの信号レベルと積層体1と外部とのインターフェース信号レベルが異なることから、本発明のシステムテスト方法で対象とする積層体は、チップ中心部にシステムバスなどの内部信号レベルの信号線による貫通ビア11を配置し、チップ外周部に電源と外部インターフェースの貫通電極12を配置したものとする。これにより、積層体1の外周部で電源およびインターフェース信号の入出力を行い、中心部でシステムバスなどの内部信号入出力を行うことで、内部信号と外部信号の分離が可能となる。この場合、チップ周辺部の貫通ビアパッドの大きさを比較的大きなものとすることで、大きな電流の通過を必要とする電源への対応をすると同時に、大きなパッドピッチにより、精度をそれほど必要としないソケット方式による接続が可能になる。これとは逆に、チップ中心部に形成するシステムバス用貫通ビア11は回路面積の有効利用の観点からも高密度に配置され、信号レベルは外部信号に比べて微弱となるので、低ノイズ性が要求される。そのため、システムバス用のプローブカード3における配線長を短くすることが求められる。
【0012】
図4および図5にシステムバス用プローブカード3を用いたテスターの一例の平面図および断面図を示す。ソケット2に挿入された積層LSIチップ1の下部のチップ周辺部に設けられた貫通電極パッドは、ソケット2内部のコンタクトと接触して電気的導通が得られる。他方の側に接触するコンタクトプローブにおいては、石英などの透明基板上に微細バンプ31でなるプローブピンによるコンタクトを有する平面型プローブカード3を、中心に穴の開いたプリント基板ボード4にボールグリッドアレイ(BGA)などのチップ接続技術により固定する。このボード4上には、システムバスからの微弱な信号の入出力のための入出力信号用増幅回路IC5が搭載される。このIC5とバンプ31までの配線はその配線長と配線容量を極力低減することで、高速性能と信頼性の確保が出来る。また、プローブカード3を透明にすることで、チップ1とカード3のアライメントを正確かつ高速に行うことが出来る。
【0013】
具体的な寸法例は以下の通りである。
貫通ビアピッチ:50μm(システムバスビア11およびチップ周辺部ビア12)
パッド寸法:直径10μm〜直径20μm
アライメント精度:3μm〜5μm
システムバス:1600個/2mm□
LSIチップ寸法:〜20mm□程度
【0014】
図6〜図8に透明プローブカード3の一例の構成図を示す。透明石英基板上33にポリイミドなどの低誘電率かつ高耐圧な透明緩衝基材32を形成し、その上に微細バンプ31を形成する。コンタクトとなる微細バンプ31は、たとえば無電解めっき法による高さ〜30μmの柱状構造バンプ(図6参照)、またはガスデポジション法による高さ〜30μmの錐形状バンプ(図7参照)を用い、積層LSIチップ1の最上層チップ表面の中心部から露出している貫通ビア11の群に対応した数および位置のバンプ群として、積層体1側を向くカード面に設けられている。緩衝基材32は、バンプ31の高さの不均一性に基づくコンタクト不良を防ぐために、バンプ31で想定されるたとえば5%程度の高さばらつきを吸収して確実な接続を可能ならしめるものであり、たとえばポリイミドでなる厚さ〜10μmの緩衝層である(図8参照)。各図中の34は配線電極である。
【0015】
プローブカード3の配線を多層にする場合には、ノイズ低減のためのマイクロストリップライン、ストリップライン構造を採ることができ、また、更なる微細化が達成できる。
【0016】
被測定チップの表面のマーカを確認できる光透過部(図示なし)をプローブカード3上に設けることで、微細バンプ31と貫通ビア11とのアライメントを行う。
【0017】
図9はこのアライメントを行う装置6の一例を示したものである。透明プローブカード3の上方に位置合わせカメラ61を配置し、カメラ61からの信号、たとえば積層体1の最上層チップ表面に設けられたマーカの撮影像に基づいて、検査信号制御部62によりX−Y位置合わせ機構63、Z−コンタクト駆動機構64を制御して、プローブカード3の微細バンプ31と最上層チップの貫通ビア11とを位置合わせする。
【0018】
検査対象となる積層LSIチップ1については、たとえば図10および図11に示したように、中央領域に貫通ビア11の群を超並列システムバス用貫通ビアとして集約配置させたLSIチップ1複数を、フリップチップ積層等により積層させている。各チップ1間の貫通ビア11は、たとえば、その周囲が電着型ポリイミドの絶縁層によって絶縁されており、電気容量がLSIチップ内部の1mm以下の配線に起因する電気容量以下の値(たとえば0.1pF)をもつ低容量貫通電極であり、絶縁層積層体1内を上下に真っ直ぐ貫通したチップ間共通のシステムバスとなっている。
【0019】
実行するシステムテストについては、たとえば図12に示したように、積層LSIチップ1の貫通ビア11と接触したプローブカード3のコンタクトバンプ31から得られる信号を解析プログラム等を用いて解析し、メモリ、論理回路等の機能不具合に起因するチップ内部不良や、チップ間接続不良及び貫通ビアを通したシステム動作をテストする。したがって、積層LSIチップ1のシステムバスとして予め設けられている貫通ビア11はシステムテスト用バスとしても使われることになり、言い換えると積層LSIチップ1が予めシステムテスト用バスをも持ち合わせていることになる。これによれば、テスターの小型化、低コスト化を図ることができる。
【0020】
尚、積層される各チップ1には、通常のSCAN設計、バウンダリーSCAN、メモリBIST(Built-In Self-Test)、ロジックBIST等の基本的なDFT(Designe for Test)技術が適用される必要がある。通常、3次元積層チップシステムにおいては、チップ間の信号が内部信号として埋め込まれてしまい、信号の観測やシステムデバッグが困難となる欠点があるが、上記システムでは共有バスを貫通ビアで実現しているため、本発明によるテスターを用いて内部バス信号の観測を行うことができる。
【0021】
表1から表3(これらの表は一つの表として理解されたい)に積層LSIチップシステム検査装置で試験を行う超並列システムバスの構成の一例を示す。このような構成のバスを通じて表4のような項目のテストを行うことで、積層LSIチップの良否を判定する手法を半導体IPコアとする。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
[第二実施形態]
以下に、本発明によるプローブカードおよびテスターの更なる実施形態について説明する。
【0027】
図13および図14はプローブカードを用いたテスターの一例の平面図および断面図を示し、前述の図4および図5に示したものとの違いは、配線基板(プリント基板)4上に検査信号用のバッファIC7を装着させた点である。プローブカード3により得られた信号は検査信号用バッファIC7を通して検査用IC(図示なし)等の外部機器へ送られる。検査対象の積層LSIチップ1については図5と同じ構成である。
【0028】
図15はさらに別の一例を示し、プローブカード3上に検査信号用バッファIC7を装着させて、検査用IC8を配線基板4に搭載させている。この場合では、たとえば図16に例示したように、プローブカード3に検査信号用バッファIC7への信号接続のための貫通電極35が設けられており、その直上のバッファIC7への配線長が短く、高速伝送が可能である。図17に例示したようにバッファIC7の上に検査用(試験用)IC8を積層させることもできる。この場合各ICはそれぞれの貫通電極71、81で接続されることができる。なお、この実施形態においては、積層体1とプローブカード3とのアライメントは検査信号用バッファIC7が搭載されていない場所にて行うことができる。
【0029】
図18はまたさらに別の一例を示し、検査信号用バッファIC7そのものをプローブカードとして使用させている。具体的には、たとえば図19に例示したように、バッファIC7のIC回路72側に緩衝層73を形成し、緩衝層ビア74および微細バンプコンタクト75(31)を設けて、積層体1の貫通電極11と接触するバンプ75から得られる信号をビア74を介してIC回路72に送る。また、たとえば図20に例示したように、バンプを微細樹脂コアバンプコンタクト76とすることもできる。
【0030】
図21はさらなる別の一例を示し、検査信号用バッファIC7を検査対象の積層LSIチップ1に装着させている。この例は、積層体1毎にバッファICチップが必要となるが、特性は最も良くなると考えられる。バッファIC7と積層体1との接続は、たとえば図22に例示したようにI/Fバッファゲート77を介してプローブ側から供給することが可能である。これについてさらに後述する。
[第三実施形態]
以上のプローブカードおよびテスターに対し、検査対象となる積層LSIチップ1の実施形態としては以下のようなものがある。
【0031】
図23の実施形態では、積層体1と基板9と接続のための配線チップ(インターフェースチップ)10を積層体1の最下層に一体化させており、この配線チップ10の端部をソケット2のツメで押えて積層体1を基板9に固定させ、配線チップ10下面に配設されたボールグリッドからなるチップ側コンタクト101とソケット2の内側表面に配設されたソケット側コンタクト21との接触により信号接続されている。配線チップ10については、積層体1の外周部から延びる外部(他システム間)信号I/O及び電源用の貫通電極12がそのまま貫通しており、一方、中央のシステムバス用貫通ビア(超並列バス貫通電極)11は配線チップ10とは繋がっていないが、もちろん繋ぐことも可能である。
【0032】
この積層体1は、積層順や種類を変えても貫通電極11,12の位置を変えないため、共通化されているが、基板9への接続では、ボールグリッドアレイなどのコンタクト101を用いるためにピッチ変換を行う必要がある。配線チップ10は積層体1の貫通電極11,12の位置に依存しない配置として基板9に接続される。
【0033】
またさらに、配線チップ9を積層体1より大きな寸法にすることで、この配線チップ9を一体化させた積層体1だけでソケット2への固定が可能になり、積層体1への荷重なしで接続できる。また、実際の基板9への実装についてもソケット使用が可能である。
【0034】
以上の積層体1を用いた場合、その検査を行った結果、不良チップが見つかると、交換チップ13を追加積層できる。また、各積層体1のLSIチップに電源入切回路を装備させておくことで、不良チップや不要機能チップの電源のみをオフにすることもできる。各LSIチップの回路面は上向き、下向きでもどちらでも良いことは言うまでもない。
【0035】
図24は積層LSIチップ1のさらに別の一例を示す。この例は、前述の図21に示した実施形態に対応するものであり、検査信号用バッファIC7を積層体1の最上層に装着させている。バッファIC7は、超並列バス信号の入出力ゲートを搭載するチップで、積層体1の上部に一体積層する。配線ルールも1μm程度でよいため、従来公知のLSI技術(ローテクともいわれる)により低コスト作製可能である。
【0036】
この場合、バッファチップ7でインピーダンス変換(高インピーダンス→低インピーダンス(信号伝送50Ω以上)が可能で、よってプローブ内の長距離配線が可能となる。
【0037】
また、バッファチップ7に設けられる貫通電極78の配置は、積層体1の貫通電極11,12とは独立させることができるため、プローブピッチの制限緩和を実現できる。
[第四実施形態]
以上のとおりの各実施形態を持つプローブカード/テスターならびに積層LSIチップにおいて、積層体1とプローブカード3とのアライメントは、透明なプローブカード基板を用いることで図9にも例示したようにカード上方から容易に短時間で行うことができるが、プローブカード3上に検査信号用バッファIC7を搭載させた実施形態や検査信号用バッファIC7そのものをプローブカードとさせた実施形態では、それが困難になる場合が考えられる。
【0038】
そこで、たとえば図25に例示したように、検査信号用バッファIC7に貫通孔79を設け、レーザ光などのアライメント光を貫通孔79を通して積層体1へ照射するといった光アライメント機構を用いることで、上記実施形態の場合にもアライメントを実行することができる。この機構では、レーザ光を受けるフォトダイオード14を最上面に設け、検出及び位置合わせを行っている。アライメント光についてはたとえば面発光レーザ201を備えた面発光レーザチップ20から照射することができる。
[第五実施形態]
以上の各実施形態における本発明によるプローブカードおよびそれを用いたテスターによる積層LSIチップのシステムテストについては、たとえば次のようなチップエミュレーションによる試験も可能である。
【0039】
試験用IC(図17の8)に、積層LSIチップの少なくとも一つのLSI(L1)と同等の機能を持たせ、L1の共有バスとの接続を見かけ上、断とする機構を持たせ、L1をシステムバス用貫通電極11から切り離した状態にして、システムデバッグを行い、たとえばICE(In Circuit Emulator、Intel社の登録商標)と同様の働きをさせる。但し、ICEのようにCPUチップそのものでなくてもよい。実際の使用環境に極めて近い形でのデバッグが可能である。特定の条件でのブレークもできる。
【0040】
ICEでは、CPUチップのソケットから実装されているCPUを取り出して、代わりに、CPUエミュレータのソケットを差込み、特定のデバッグプログラム(例えば、メモリの読み書きやIOの操作など)を実行して、システムのハードウェアとソフトウェアのデバッグを行うことができる。ICEのデバッガとしての機能には、ソフトウェア開発に使うデバッガと同じように、任意のアドレスで実行を停止させるブレークポイント機能や、プログラムの特定の命令を実行する度に特定のメモリやレジスタの内容を出力するシングルステップ機能などがある。
【0041】
また、実行時間を実時間で確認できるリアルタイムトレース機能。アプリケーションプログラムをエミュレータのメモリ上に置いて動作確認ができる。
【0042】
貫通バスへの入出力がプローブカードにより行えるという本発明の利点を生かし、このICEと同様の機能をもたせ、ソフトのみ、又は、ハードのみでは不可能であった実時間デバッグを実現したのが、図26である。
【0043】
図26の例では、CPUを含むL1をバスから切り離し、代わりに、L1をエミュレートするチップを試験用LSIとして採用し、RAMに実時間データを記憶したり、この上に外部から検査用プログラムをロードことができる。これにより、ICEと同様の実時間デバッグを可能としている。なお、図26では、これらの検査用LSI群の独自のバスを別に設けて、RAMへのデータロードなどを行うことができるシステムとしている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】2次元LSIチップ実装の一例について説明する図。
【図2】3次元LSIチップ実装の一例について説明する図。
【図3】本発明によるプローブカードを用いた積層LSIチップのシステムテストの一例について説明する図。
【図4】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す平面図。
【図5】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図6】本発明によるプローブカードの一実施形態を示す断面図。
【図7】本発明によるプローブカードの一実施形態を示す断面図。
【図8】本発明によるプローブカードの一実施形態を示す断面図。
【図9】本発明の一実施形態を示す図。
【図10】3次元LSIチップの一例について説明する図。
【図11】3次元LSIチップの一例を示す断面図。
【図12】本発明の一実施形態を示す図。
【図13】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す平面図。
【図14】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図15】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図16】図15のプローブカードのより具体的な例を示す断面図。
【図17】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図18】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図19】図18のプローブカードのより具体的な例を示す断面図。
【図20】図18のプローブカードのより具体的な例を示す断面図。
【図21】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図22】図22の実施形態における積層LSIチップのより具体的な例を示す断面図。
【図23】本発明による積層LSIチップの一実施形態を示す断面図。
【図24】本発明による積層LSIチップの一実施形態を示す断面図。
【図25】本発明による光アライメント機構の一実施形態を示す断面図。
【図26】本発明によるシステムデバッグについて説明する図。
【符号の説明】
【0045】
1 積層LSIチップ(LSIチップ積層体)
11 貫通電極(貫通ビア)
12 貫通電極(貫通ビア)
13 交換チップ
14 フォトダイオード
2 ソケット(ソケット押さえ金具)
21 コンタクト
3 プローブカード
31 コンタクトプローブ(プローブピン)
32 プローブ基板
33 緩衝基材(緩衝層)
34 配線電極
4 基板ボード(プリント基板/配線基板)
5 入出力信号用増幅回路IC
6 アライメント装置
61 カメラ
62 検査信号制御部
63 X−Y位置合わせ機構
64 Z−コンタクト駆動機構
7 検査信号用バッファIC
71 貫通電極
72 IC回路
73 緩衝層
74 緩衝層ビア
75 バンプコンタクト(プローブピン)
76 樹脂コアバンプコンタクト(プローブピン)
77 I/Fバッファゲート
78 貫通電極
79 貫通孔
8 検査用IC
81 貫通電極
9 基板
10 配線チップ(インターフェースチップ)
101 コンタクト
102 貫通電極
20 面発光レーザチップ
201 面発光レーザ
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通電極をチップ間システムバスとして使用した積層LSIチップのシステム検査に関し、さらに具体的には、それぞれ検査済みの半導体LSIチップを複数積層して作製された積層LSIチップに対して、積層後に積層状態で各LSIチップ及びシステム全体のテスト、例えばチップ内部不良やチップ間接続不良の有無、バスアクセスなどのシステム検査を行うテスターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに代表される情報機器の性能はこれまで、主に、1)クロック周波数の増加、2)システムバス幅の増大で向上してきた。しかしながら、クロック周波数は信号の伝搬速度(光速)の上限から伝達距離が制限され、回路の大きさが決まる。たとえば、10GHzでは1クロックあたりの時間は0.1n秒で、この時間に信号は光では3cm進むことが出来る。これより配線長は1cm以下となる。プリント基板などでは、電気信号の伝搬速度は光の1/2となるため、回路の寸法条件は更に厳しくなる。そのため、今日のPCでは数ギガヘルツのクロック周波数が限界となりつつある。集積回路システムの性能向上を図る方法にシステムバスの拡大による方法も進められてきた。これまで、リアルタイム処理が重要なゲームなどのシステムで、並列処理による性能向上が期待される応用分野に適用され、たとえば高性能ゲーム機では128ビット Emotion Engine(エモーションエンジン)が用いられている。また、PCにおいても、AMD64ビットプロセッサチップが高性能CPUとして開発されており、これを複数個並列に動作させることで、さらに実質的なバス拡張を行って、性能向上を果たしている。しかしながら、これまでの2次元的なLSIチップの配置では、システムバス幅を拡張すると、図1のようにチップ間を結ぶ配線部分が大きくなり、結果として、配線容量と信号遅延の増大を招き、性能向上に限界がきていた。これを解決する手段として、図2のようにLSIチップに貫通ビアつまり貫通電極を形成して、これを3次元的に積層する方法が期待される。
【0003】
3次元積層実装技術では、LSIチップ内に表面から裏面に貫通して、電気接続を行うための貫通ビアを形成し、各チップを金属バンプ接合により直接的に積層接続する。この3次元積層実装技術により、すでに1560個の貫通ビアが形成された8個の512Mb-DRAMチップを積層実装した4Gbメモリシステムの試作開発例が報告されており、その実用化に向けての量産開発が急速に進展している。このような3次元積層LSIチップ技術においては、LSIチップ間の配線が従来の2次元実装技術に比べて格段に短くなるため、信号遅延の大幅な低減が期待でき、また、チップ間を多くの配線で密に結合できるなどの特徴をもつ。特に、マイクロプロセッサ・チップとメモリ・チップとの速度のギャップ、所謂メモリ・ウォールは大きくなる一方であり、システム性能を向上する上で、大きな課題となっている。このメモリ・ウォールによる性能低下を抑えるためマイクロプロセッサ・チップに大容量のキャッシュ・メモリを搭載しているが、3次元積層LSIチップ技術において数多くの短いチップ間接続が可能になると、メモリ・ウォールの課題を解決できるため、マイクロプロセッサ・チップ上のキャッシュ・メモリを削減する効果がある。
【0004】
これまでに、すべての積層されたLSIチップを貫いて接続する貫通ビアをチップの中心に多数並列に形成して、従来の2次元LSIチップシステムで用いられていたチップ外バス配線に代えて、この貫通ビアを超並列システムバス配線として用いることで、チップ内バス配線と同等の配線長と通信速度を有し、出力バッファを不要とする低消費電力システム構成法が検討されてきている。この方法を適用した3次元積層LSIチップシステムでは、LSIチップの中心部に多数のアレイ状の超並列システムバスとなる低容量貫通ビアを配置する構成を提案している。システムバスをチップの中心に配置することで、各チップにおける回路設計が容易になるとともに、バスと動作回路との接続距離も短縮できる。また、チップ外周部の貫通ビアを電源などノイズ発生の可能性がある端子と別にすることも可能になる。
【0005】
ところで、このような3次元積層LSIチップ技術を適用した電子システムにおいては、複数のLSIチップが高密度に実装されているので、チップ間の内部信号が埋め込まれてしまい、信号の観測やシステムデバッグの実施が困難な状況となる。上述のチップ中心部にシステムバスを配置した積層LSIチップでは、最上部のLSIチップの表面にシステムバス端子が露出するため、このバス端子を介して信号を入出力させることで、積層体内部の各LSIチップおよび全体のシステム信号の観測やシステムデバッグが可能になる。
【0006】
しかしながら、たとえば、前述の4Gbメモリシステムで用いられているような貫通ビア(50μピッチ)を1000個以上(たとえば35個×35個=1225個)、チップ中央部に配置したときには、従来のカンチレバー型または垂直型のプローブカードでは全端子にコンタクトを取ることは不可能である。そのため、ミクロンレベルの微細配線と微細バンプ技術を用いた、平面型プローブカードを用いた検査技術が必要になる。3次元積層LSIチップの良品率は、積層する半導体LSIチップの良品率の積に比例するため、品質・信頼性が保証されたKGD(Known Good Die)を使用することが必須であり、積層した状態でのシステムとしての機能をプロービング・テストする技術の確立が重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、それぞれ検査済みの半導体LSIチップを複数積層して作製された積層LSIチップに対して、積層後に積層状態で各LSIチップのテスト、例えばチップ内部不良やチップ間接続不良の有無、及びメモリ読み書きやIO操作などシステムとしての動作チェックなどのシステム検査を行うことのできる方法および装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するものとして、貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子にプローブピンを接続させて、積層LSIチップのシステム検査を行う方法を提供する。
【0009】
また本発明は、貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子に接続されるプローブピンを備えた、積層LSIチップのシステム検査を行う装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第一実施形態]
図3に上記のとおりの特徴を有する本発明の一実施形態の概略図を示す。ここでは、積層LSIチップ1は、貫通電極が中心部に配置されたシステムバス用の中心部パッドと周辺部に配置される電源や外部インターフェース用の周辺部パッドとに分かれた構成となっている。検査対象の積層体1は、周辺部パッドに対応するコンタクトを内部に有するソケット2に挿入して接続される。システムバス用の中心部パッドは、微細バンプを持つ平面プローブカード3に接続される。中心部プローブと周辺部パッドを分離する理由は、1)システムバスで用いられる信号は従来のチップ間インターフェース信号と異なり、内部回路配線の信号レベルと同等であり、信号レベルが小さい、そのため、2)ノイズ対策を考慮する必要が生じるためである。そのため、前述した低容量貫通ビアはシステムバスラインに接続される論理ゲートの負荷を軽減するのに重要となる。また、外部インターフェースのためのバッファ回路を不用とするため、積層システムの消費電力を低減することが出来る。特に本発明のように多数のバス幅を持つシステムの構成では大きな特徴となる。
【0011】
システムバスの信号レベルと積層体1と外部とのインターフェース信号レベルが異なることから、本発明のシステムテスト方法で対象とする積層体は、チップ中心部にシステムバスなどの内部信号レベルの信号線による貫通ビア11を配置し、チップ外周部に電源と外部インターフェースの貫通電極12を配置したものとする。これにより、積層体1の外周部で電源およびインターフェース信号の入出力を行い、中心部でシステムバスなどの内部信号入出力を行うことで、内部信号と外部信号の分離が可能となる。この場合、チップ周辺部の貫通ビアパッドの大きさを比較的大きなものとすることで、大きな電流の通過を必要とする電源への対応をすると同時に、大きなパッドピッチにより、精度をそれほど必要としないソケット方式による接続が可能になる。これとは逆に、チップ中心部に形成するシステムバス用貫通ビア11は回路面積の有効利用の観点からも高密度に配置され、信号レベルは外部信号に比べて微弱となるので、低ノイズ性が要求される。そのため、システムバス用のプローブカード3における配線長を短くすることが求められる。
【0012】
図4および図5にシステムバス用プローブカード3を用いたテスターの一例の平面図および断面図を示す。ソケット2に挿入された積層LSIチップ1の下部のチップ周辺部に設けられた貫通電極パッドは、ソケット2内部のコンタクトと接触して電気的導通が得られる。他方の側に接触するコンタクトプローブにおいては、石英などの透明基板上に微細バンプ31でなるプローブピンによるコンタクトを有する平面型プローブカード3を、中心に穴の開いたプリント基板ボード4にボールグリッドアレイ(BGA)などのチップ接続技術により固定する。このボード4上には、システムバスからの微弱な信号の入出力のための入出力信号用増幅回路IC5が搭載される。このIC5とバンプ31までの配線はその配線長と配線容量を極力低減することで、高速性能と信頼性の確保が出来る。また、プローブカード3を透明にすることで、チップ1とカード3のアライメントを正確かつ高速に行うことが出来る。
【0013】
具体的な寸法例は以下の通りである。
貫通ビアピッチ:50μm(システムバスビア11およびチップ周辺部ビア12)
パッド寸法:直径10μm〜直径20μm
アライメント精度:3μm〜5μm
システムバス:1600個/2mm□
LSIチップ寸法:〜20mm□程度
【0014】
図6〜図8に透明プローブカード3の一例の構成図を示す。透明石英基板上33にポリイミドなどの低誘電率かつ高耐圧な透明緩衝基材32を形成し、その上に微細バンプ31を形成する。コンタクトとなる微細バンプ31は、たとえば無電解めっき法による高さ〜30μmの柱状構造バンプ(図6参照)、またはガスデポジション法による高さ〜30μmの錐形状バンプ(図7参照)を用い、積層LSIチップ1の最上層チップ表面の中心部から露出している貫通ビア11の群に対応した数および位置のバンプ群として、積層体1側を向くカード面に設けられている。緩衝基材32は、バンプ31の高さの不均一性に基づくコンタクト不良を防ぐために、バンプ31で想定されるたとえば5%程度の高さばらつきを吸収して確実な接続を可能ならしめるものであり、たとえばポリイミドでなる厚さ〜10μmの緩衝層である(図8参照)。各図中の34は配線電極である。
【0015】
プローブカード3の配線を多層にする場合には、ノイズ低減のためのマイクロストリップライン、ストリップライン構造を採ることができ、また、更なる微細化が達成できる。
【0016】
被測定チップの表面のマーカを確認できる光透過部(図示なし)をプローブカード3上に設けることで、微細バンプ31と貫通ビア11とのアライメントを行う。
【0017】
図9はこのアライメントを行う装置6の一例を示したものである。透明プローブカード3の上方に位置合わせカメラ61を配置し、カメラ61からの信号、たとえば積層体1の最上層チップ表面に設けられたマーカの撮影像に基づいて、検査信号制御部62によりX−Y位置合わせ機構63、Z−コンタクト駆動機構64を制御して、プローブカード3の微細バンプ31と最上層チップの貫通ビア11とを位置合わせする。
【0018】
検査対象となる積層LSIチップ1については、たとえば図10および図11に示したように、中央領域に貫通ビア11の群を超並列システムバス用貫通ビアとして集約配置させたLSIチップ1複数を、フリップチップ積層等により積層させている。各チップ1間の貫通ビア11は、たとえば、その周囲が電着型ポリイミドの絶縁層によって絶縁されており、電気容量がLSIチップ内部の1mm以下の配線に起因する電気容量以下の値(たとえば0.1pF)をもつ低容量貫通電極であり、絶縁層積層体1内を上下に真っ直ぐ貫通したチップ間共通のシステムバスとなっている。
【0019】
実行するシステムテストについては、たとえば図12に示したように、積層LSIチップ1の貫通ビア11と接触したプローブカード3のコンタクトバンプ31から得られる信号を解析プログラム等を用いて解析し、メモリ、論理回路等の機能不具合に起因するチップ内部不良や、チップ間接続不良及び貫通ビアを通したシステム動作をテストする。したがって、積層LSIチップ1のシステムバスとして予め設けられている貫通ビア11はシステムテスト用バスとしても使われることになり、言い換えると積層LSIチップ1が予めシステムテスト用バスをも持ち合わせていることになる。これによれば、テスターの小型化、低コスト化を図ることができる。
【0020】
尚、積層される各チップ1には、通常のSCAN設計、バウンダリーSCAN、メモリBIST(Built-In Self-Test)、ロジックBIST等の基本的なDFT(Designe for Test)技術が適用される必要がある。通常、3次元積層チップシステムにおいては、チップ間の信号が内部信号として埋め込まれてしまい、信号の観測やシステムデバッグが困難となる欠点があるが、上記システムでは共有バスを貫通ビアで実現しているため、本発明によるテスターを用いて内部バス信号の観測を行うことができる。
【0021】
表1から表3(これらの表は一つの表として理解されたい)に積層LSIチップシステム検査装置で試験を行う超並列システムバスの構成の一例を示す。このような構成のバスを通じて表4のような項目のテストを行うことで、積層LSIチップの良否を判定する手法を半導体IPコアとする。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
[第二実施形態]
以下に、本発明によるプローブカードおよびテスターの更なる実施形態について説明する。
【0027】
図13および図14はプローブカードを用いたテスターの一例の平面図および断面図を示し、前述の図4および図5に示したものとの違いは、配線基板(プリント基板)4上に検査信号用のバッファIC7を装着させた点である。プローブカード3により得られた信号は検査信号用バッファIC7を通して検査用IC(図示なし)等の外部機器へ送られる。検査対象の積層LSIチップ1については図5と同じ構成である。
【0028】
図15はさらに別の一例を示し、プローブカード3上に検査信号用バッファIC7を装着させて、検査用IC8を配線基板4に搭載させている。この場合では、たとえば図16に例示したように、プローブカード3に検査信号用バッファIC7への信号接続のための貫通電極35が設けられており、その直上のバッファIC7への配線長が短く、高速伝送が可能である。図17に例示したようにバッファIC7の上に検査用(試験用)IC8を積層させることもできる。この場合各ICはそれぞれの貫通電極71、81で接続されることができる。なお、この実施形態においては、積層体1とプローブカード3とのアライメントは検査信号用バッファIC7が搭載されていない場所にて行うことができる。
【0029】
図18はまたさらに別の一例を示し、検査信号用バッファIC7そのものをプローブカードとして使用させている。具体的には、たとえば図19に例示したように、バッファIC7のIC回路72側に緩衝層73を形成し、緩衝層ビア74および微細バンプコンタクト75(31)を設けて、積層体1の貫通電極11と接触するバンプ75から得られる信号をビア74を介してIC回路72に送る。また、たとえば図20に例示したように、バンプを微細樹脂コアバンプコンタクト76とすることもできる。
【0030】
図21はさらなる別の一例を示し、検査信号用バッファIC7を検査対象の積層LSIチップ1に装着させている。この例は、積層体1毎にバッファICチップが必要となるが、特性は最も良くなると考えられる。バッファIC7と積層体1との接続は、たとえば図22に例示したようにI/Fバッファゲート77を介してプローブ側から供給することが可能である。これについてさらに後述する。
[第三実施形態]
以上のプローブカードおよびテスターに対し、検査対象となる積層LSIチップ1の実施形態としては以下のようなものがある。
【0031】
図23の実施形態では、積層体1と基板9と接続のための配線チップ(インターフェースチップ)10を積層体1の最下層に一体化させており、この配線チップ10の端部をソケット2のツメで押えて積層体1を基板9に固定させ、配線チップ10下面に配設されたボールグリッドからなるチップ側コンタクト101とソケット2の内側表面に配設されたソケット側コンタクト21との接触により信号接続されている。配線チップ10については、積層体1の外周部から延びる外部(他システム間)信号I/O及び電源用の貫通電極12がそのまま貫通しており、一方、中央のシステムバス用貫通ビア(超並列バス貫通電極)11は配線チップ10とは繋がっていないが、もちろん繋ぐことも可能である。
【0032】
この積層体1は、積層順や種類を変えても貫通電極11,12の位置を変えないため、共通化されているが、基板9への接続では、ボールグリッドアレイなどのコンタクト101を用いるためにピッチ変換を行う必要がある。配線チップ10は積層体1の貫通電極11,12の位置に依存しない配置として基板9に接続される。
【0033】
またさらに、配線チップ9を積層体1より大きな寸法にすることで、この配線チップ9を一体化させた積層体1だけでソケット2への固定が可能になり、積層体1への荷重なしで接続できる。また、実際の基板9への実装についてもソケット使用が可能である。
【0034】
以上の積層体1を用いた場合、その検査を行った結果、不良チップが見つかると、交換チップ13を追加積層できる。また、各積層体1のLSIチップに電源入切回路を装備させておくことで、不良チップや不要機能チップの電源のみをオフにすることもできる。各LSIチップの回路面は上向き、下向きでもどちらでも良いことは言うまでもない。
【0035】
図24は積層LSIチップ1のさらに別の一例を示す。この例は、前述の図21に示した実施形態に対応するものであり、検査信号用バッファIC7を積層体1の最上層に装着させている。バッファIC7は、超並列バス信号の入出力ゲートを搭載するチップで、積層体1の上部に一体積層する。配線ルールも1μm程度でよいため、従来公知のLSI技術(ローテクともいわれる)により低コスト作製可能である。
【0036】
この場合、バッファチップ7でインピーダンス変換(高インピーダンス→低インピーダンス(信号伝送50Ω以上)が可能で、よってプローブ内の長距離配線が可能となる。
【0037】
また、バッファチップ7に設けられる貫通電極78の配置は、積層体1の貫通電極11,12とは独立させることができるため、プローブピッチの制限緩和を実現できる。
[第四実施形態]
以上のとおりの各実施形態を持つプローブカード/テスターならびに積層LSIチップにおいて、積層体1とプローブカード3とのアライメントは、透明なプローブカード基板を用いることで図9にも例示したようにカード上方から容易に短時間で行うことができるが、プローブカード3上に検査信号用バッファIC7を搭載させた実施形態や検査信号用バッファIC7そのものをプローブカードとさせた実施形態では、それが困難になる場合が考えられる。
【0038】
そこで、たとえば図25に例示したように、検査信号用バッファIC7に貫通孔79を設け、レーザ光などのアライメント光を貫通孔79を通して積層体1へ照射するといった光アライメント機構を用いることで、上記実施形態の場合にもアライメントを実行することができる。この機構では、レーザ光を受けるフォトダイオード14を最上面に設け、検出及び位置合わせを行っている。アライメント光についてはたとえば面発光レーザ201を備えた面発光レーザチップ20から照射することができる。
[第五実施形態]
以上の各実施形態における本発明によるプローブカードおよびそれを用いたテスターによる積層LSIチップのシステムテストについては、たとえば次のようなチップエミュレーションによる試験も可能である。
【0039】
試験用IC(図17の8)に、積層LSIチップの少なくとも一つのLSI(L1)と同等の機能を持たせ、L1の共有バスとの接続を見かけ上、断とする機構を持たせ、L1をシステムバス用貫通電極11から切り離した状態にして、システムデバッグを行い、たとえばICE(In Circuit Emulator、Intel社の登録商標)と同様の働きをさせる。但し、ICEのようにCPUチップそのものでなくてもよい。実際の使用環境に極めて近い形でのデバッグが可能である。特定の条件でのブレークもできる。
【0040】
ICEでは、CPUチップのソケットから実装されているCPUを取り出して、代わりに、CPUエミュレータのソケットを差込み、特定のデバッグプログラム(例えば、メモリの読み書きやIOの操作など)を実行して、システムのハードウェアとソフトウェアのデバッグを行うことができる。ICEのデバッガとしての機能には、ソフトウェア開発に使うデバッガと同じように、任意のアドレスで実行を停止させるブレークポイント機能や、プログラムの特定の命令を実行する度に特定のメモリやレジスタの内容を出力するシングルステップ機能などがある。
【0041】
また、実行時間を実時間で確認できるリアルタイムトレース機能。アプリケーションプログラムをエミュレータのメモリ上に置いて動作確認ができる。
【0042】
貫通バスへの入出力がプローブカードにより行えるという本発明の利点を生かし、このICEと同様の機能をもたせ、ソフトのみ、又は、ハードのみでは不可能であった実時間デバッグを実現したのが、図26である。
【0043】
図26の例では、CPUを含むL1をバスから切り離し、代わりに、L1をエミュレートするチップを試験用LSIとして採用し、RAMに実時間データを記憶したり、この上に外部から検査用プログラムをロードことができる。これにより、ICEと同様の実時間デバッグを可能としている。なお、図26では、これらの検査用LSI群の独自のバスを別に設けて、RAMへのデータロードなどを行うことができるシステムとしている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】2次元LSIチップ実装の一例について説明する図。
【図2】3次元LSIチップ実装の一例について説明する図。
【図3】本発明によるプローブカードを用いた積層LSIチップのシステムテストの一例について説明する図。
【図4】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す平面図。
【図5】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図6】本発明によるプローブカードの一実施形態を示す断面図。
【図7】本発明によるプローブカードの一実施形態を示す断面図。
【図8】本発明によるプローブカードの一実施形態を示す断面図。
【図9】本発明の一実施形態を示す図。
【図10】3次元LSIチップの一例について説明する図。
【図11】3次元LSIチップの一例を示す断面図。
【図12】本発明の一実施形態を示す図。
【図13】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す平面図。
【図14】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図15】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図16】図15のプローブカードのより具体的な例を示す断面図。
【図17】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図18】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図19】図18のプローブカードのより具体的な例を示す断面図。
【図20】図18のプローブカードのより具体的な例を示す断面図。
【図21】本発明によるプローブカードおよびテスターの一実施形態を示す断面図。
【図22】図22の実施形態における積層LSIチップのより具体的な例を示す断面図。
【図23】本発明による積層LSIチップの一実施形態を示す断面図。
【図24】本発明による積層LSIチップの一実施形態を示す断面図。
【図25】本発明による光アライメント機構の一実施形態を示す断面図。
【図26】本発明によるシステムデバッグについて説明する図。
【符号の説明】
【0045】
1 積層LSIチップ(LSIチップ積層体)
11 貫通電極(貫通ビア)
12 貫通電極(貫通ビア)
13 交換チップ
14 フォトダイオード
2 ソケット(ソケット押さえ金具)
21 コンタクト
3 プローブカード
31 コンタクトプローブ(プローブピン)
32 プローブ基板
33 緩衝基材(緩衝層)
34 配線電極
4 基板ボード(プリント基板/配線基板)
5 入出力信号用増幅回路IC
6 アライメント装置
61 カメラ
62 検査信号制御部
63 X−Y位置合わせ機構
64 Z−コンタクト駆動機構
7 検査信号用バッファIC
71 貫通電極
72 IC回路
73 緩衝層
74 緩衝層ビア
75 バンプコンタクト(プローブピン)
76 樹脂コアバンプコンタクト(プローブピン)
77 I/Fバッファゲート
78 貫通電極
79 貫通孔
8 検査用IC
81 貫通電極
9 基板
10 配線チップ(インターフェースチップ)
101 コンタクト
102 貫通電極
20 面発光レーザチップ
201 面発光レーザ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子にプローブピンを接続させて、積層LSIチップのシステム検査を行う方法。
【請求項2】
貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子に接続されるプローブピンを備えた、積層LSIチップのシステム検査を行う装置。
【請求項3】
積層LSIチップの中心部に設けられている貫通電極群の各貫通電極に対してプローブピンが接続されるようになっている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
プローブカードにプローブピンが設けられている、請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
プローブカードがプローブ基板、緩衝基材、およびプローブピンを備えている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
プローブカードが透明である、請求項4または5記載の装置。
【請求項7】
プローブ基板および緩衝基板が透明である、請求項5記載の装置。
【請求項8】
プローブカードが接続される配線基板上に配線信号用バッファICが搭載されている、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
プローブカード上に配線信号用バッファICが搭載されている、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
配線信号用バッファICがプローブカード機構を持つ、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
配線信号用バッファICのプローブカード機構が、IC回路面側に設けられた緩衝層、緩衝層ビア、およびプローブピンを含む、請求項10記載の装置。
【請求項12】
配線信号用バッファICのプローブカード機構が、IC回路面側に設けられた樹脂コアプローブピンを含む、請求項10記載の装置。
【請求項13】
積層LSIチップ上に配線信号用バッファICが搭載されている、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
積層LSIチップのシステムバス貫通電極とプローブピンとの位置合わせを行うアライメント機構を含む、請求項2ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
アライメント機構が位置合わせカメラを有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
アライメント機構が位置合わせレーザを発光するレーザ光源を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項1】
貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子にプローブピンを接続させて、積層LSIチップのシステム検査を行う方法。
【請求項2】
貫通電極をシステムバスとする積層LSIチップの最上層チップ表面の貫通電極端子に接続されるプローブピンを備えた、積層LSIチップのシステム検査を行う装置。
【請求項3】
積層LSIチップの中心部に設けられている貫通電極群の各貫通電極に対してプローブピンが接続されるようになっている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
プローブカードにプローブピンが設けられている、請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
プローブカードがプローブ基板、緩衝基材、およびプローブピンを備えている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
プローブカードが透明である、請求項4または5記載の装置。
【請求項7】
プローブ基板および緩衝基板が透明である、請求項5記載の装置。
【請求項8】
プローブカードが接続される配線基板上に配線信号用バッファICが搭載されている、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
プローブカード上に配線信号用バッファICが搭載されている、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
配線信号用バッファICがプローブカード機構を持つ、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
配線信号用バッファICのプローブカード機構が、IC回路面側に設けられた緩衝層、緩衝層ビア、およびプローブピンを含む、請求項10記載の装置。
【請求項12】
配線信号用バッファICのプローブカード機構が、IC回路面側に設けられた樹脂コアプローブピンを含む、請求項10記載の装置。
【請求項13】
積層LSIチップ上に配線信号用バッファICが搭載されている、請求項4ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
積層LSIチップのシステムバス貫通電極とプローブピンとの位置合わせを行うアライメント機構を含む、請求項2ないし13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
アライメント機構が位置合わせカメラを有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
アライメント機構が位置合わせレーザを発光するレーザ光源を有する、請求項14に記載の装置。
【図4】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図22】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図21】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図22】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図21】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−156569(P2010−156569A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333816(P2008−333816)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度経済産業省「中小・ベンチャー企業の検査・計測機器等の調達に向けた実証研究事業/産業技術研究開発事業(中小企業支援型)/積層LSIチップ検査装置」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503032049)株式会社トプスシステムズ (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度経済産業省「中小・ベンチャー企業の検査・計測機器等の調達に向けた実証研究事業/産業技術研究開発事業(中小企業支援型)/積層LSIチップ検査装置」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(503032049)株式会社トプスシステムズ (14)
【Fターム(参考)】
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