説明

端子間の接続方法

【課題】フレキシブルプリント配線基板などに要求される耐熱性が著しく緩和される端子間の接続方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の端子11と、第2の端子21とを互いに対向させ、これら端子間に異方性導電膜30を介装し、上記第1の端子と第2の端子を互いに圧し付けるとともに、両端子間に超音波振動を付与する端子間の接続方法において、該異方性導電膜30は、導電性粒子32を分散含有した硬化温度が50〜150℃の熱硬化性樹脂よりなることを特徴とする端子間の接続方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子間の接続方法に関し、たとえば、能動面に複数の端子が形成されたICなどの半導体チップをいわゆるチップ・オン・ボード実装方式でプリント配線基板上に実装する場合などに好適に採用しうる端子間の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、チップ・オン・ボード方式で半導体チップ10を基板20上に実装した状態の拡大断面図である。半導体チップ10の能動面には、複数の端子パッド11がやや突出状に形成されている。一方、プリント配線基板20の表面には、上記半導体チップ10の各端子パッド11の配置と対応して、複数の端子21が露出形成されている。チップ・オン・ボード方式とは、上記半導体チップ10の能動面を異方性導電膜30を介して基板20に対向させてこれに加熱圧接させ、対向する端子11,21どうしを導電接続し、その余の領域を絶縁性をたもったまま相互接着する方式である。
【0003】
上記異方性導電膜30は、接着性の樹脂膜31中に導電性の粒子32を分散させた構造をもっている。導電性の粒子32としては、金属球のほか、たとえば樹脂製ボールの表面にニッケルメッキを施したもの、あるいはニッケルメッキの上にさらに金メッキを施したものなどが使用される。
【0004】
加熱状態において相互間に上記の異方性導電膜30を介在させた上で上記半導体チップ10と基板20間に所定の圧力を加えると、図4に表れているように、半導体チップ10の端子11と基板20上の端子21間で軟化させられた異方性導電膜30が圧し潰され、上記導電性の粒子32が両端子11,21間に接触させられ、これにより両端子11,21間の電気的接続が図られる。異方性導電膜30のうち、上記のようにして圧し潰されない領域は、依然として導電性の粒子32は分散状態にあるため、この領域での絶縁性は維持される。同時に、半導体チップ10の能動面と基板20間は、上記異方性導電膜30のもつ接着力によって相互に接着される。このように、上記した実装方式においては、異方性導電膜30を介在させた状態で半導体チップ10と基板20間を押圧するという簡単な操作をするだけで、必要な箇所のみの電気的導通をはかりながら、半導体チップ10を基板20に実装することができるのであり、いわゆるチップボンディングとワイヤボンディングとによって基板上に半導体チップを実装する場合に比較して、著しく簡便な実装方式である。
【0005】
特開平10−189657には、このような押圧のみにより端子間の導通を図るのではなく、超音波振動を付与して導電性粒子と端子とを接合する方法が記載されている。
【0006】
図1ないし図3は、この方法をプリント配線基板上に半導体チップをチップ・オン・ボード実装方式によって実装する場合に適用する場合を示している。なお、これらの図において、図4に示したものと同等の部材および部分には同一の符号を付してある。
【0007】
図1〜3において、ICチップなどの半導体チップ10の能動面には、アルミニウムパッド上に金メッキによるバンプ11aが形成された恰好で、複数の第1の端子11が形成されている。この半導体チップ10の能動面における上記第1の端子11以外の領域は、パシペーションによって絶縁されている。
【0008】
一方、上記半導体チップ10が搭載されるべきプリント配線基板20は、ガラスエポキシなどの基材の表面に銅被膜を形成するとともにこれに対して所定のパターンエッチングを施すなどして配線パターンが形成されており、この配線パターン21aに導通するようにして、ニッケルメッキおよび金メッキが施された恰好で、上記第1の端子11と対応する複数の第2の端子21が形成されている。このように露出させられる第2の端子21以外の基板20上の領域は、通常、グリーンレジストと呼ばれる絶縁性の樹脂被膜によって覆われる。第2の端子21は、ニッケルメッキおよび金メッキが施されているが故に、基板表面に対してやや突出状となる。
【0009】
上記プリント配線基板20には、図1および図2に示すようにして、異方性導電膜30を介して、能動面を下向きにした半導体チップ10が、第1の端子11と上記基板20上の第2の端子21とが対応するように位置決めされながら、所定の圧力で押圧される。このとき、プリント配線基板20が載置される支持台40は、その内部に組み込まれたヒータ(図示略)によって、たとえば180℃程度に加熱させられる。
【0010】
上記半導体チップ10の基板20への押圧は、図2に示すように、超音波ホーン50を用いて行われる。すなわち、上記半導体チップ10は、基板20に対して、単に熱圧着されるだけではなく、超音波振動を与えられる。
【0011】
上記異方性導電膜30は、たとえば、エポキシ系の樹脂膜31中に導電性粒子32を分散させたものである。導電性粒子32としては、金属粒子が用いられるほか、樹脂粒子の表面に金メッキが施されたものなどが使用される。導電膜の自然状態での厚みは、たとえば30〜50μm、導電性粒子の球径はたとえば5μmである。
【0012】
異方性導電膜30は、その選択されさた領域が厚み方向に加熱圧迫させられると、樹脂成分が軟化して圧し潰される。上記の例においては、半導体チップ10側の第1の端子11および基板20側の第2の端子21がともに突出状となっているので、異方性導電膜30のうち、上記対向状の第1の端子11と第2の端子21との間に挟まれる領域が選択的に圧し潰され、その結果、樹脂中に分散させられている導電性粒子32が半導体チップ10側の第1の端子11と、基板20側の第2の端子21に接触させられる。
【0013】
この状態で、基板20と半導体チップ10との間に超音波振動を与えているため、上記導電性粒子32と第1の端子11間、および上記導体粒子32と第2の端子21間に振動摩擦による確実な導電接触状態が得られる。異方性導電膜30のうち、上記第1の端子11と第2の端子21とに挟まれない領域は、押し潰されないか、または、圧し潰される程度が低いため、内部の導電性粒子32は依然として異方性導電膜30の厚み方向に分散された状態となり、したがって、半導体チップ10と基板20の両表面における上記両端子11,21以外の領域間の絶縁性が維持される。
【0014】
上記の例では、第1の端子11、第2の端子21および異方性導電膜30中の導電性粒子32の表面がともに金であるため、上記のような超音波エネルギの付与により、これらの金表面が原子レベルで再結晶し、相互間に高度な電気的導通性が得られる。
【0015】
たとえば、上記第1の端子11または第2の端子21の表面を錫、アルミ、または銅とすると、導電性粒子32の金表面との間に共晶合金部分が形成され、この場合もまた、相互の高度な電気的導通性が得られる。
【特許文献1】特開平10−189657
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特開平10−189657では、異方性導電膜の熱接着性樹脂としてエポキシ樹脂が示されている。このエポキシ樹脂の硬化には、上記のように180℃程度の温度におくことが必要であるが、そのためには、フレキシブルプリント配線基板もそれに耐える耐熱性を有した材料よりなることが必要となる。
【0017】
本発明は、フレキシブルプリント配線基板などに要求される耐熱性が著しく緩和される端子間の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の端子間の接続方法は、第1の端子と、第2の端子とを互いに対向させ、これら端子間に異方性導電膜を介在させ、該第1の端子と第2の端子を互いに圧し付けるとともに、両端子間に超音波振動を付与する端子間の接続方法において、該異方性導電膜は、導電性粒子を分散含有した、硬化温度が50〜150℃の熱硬化性合成樹脂よりなることを
特徴とするものである。
【0019】
請求項2の端子間の接続方法は、請求項1において、第1及び第2の端子の少なくとも一方と前記導電性粒子とが共晶結合を形成することを特徴とするものである。
【0020】
請求項3の端子間の接続方法は、請求項2において、共晶結合はAu−Au結合であることを特徴とするものである。
【0021】
請求項4の端子間の接続方法は、請求項2において、共晶結合はAu−Sn結合であることを特徴とするものである。
【0022】
請求項5の端子間の接続方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記第1の端子はフレキシブルプリント配線基板上に形成されていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6の端子間の接続方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記第2の端子はICチップに形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項7の端子間の接続方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記熱硬化性合成樹脂の軟化点が40〜130℃であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の端子間の接続方法では、異方性導電膜を構成する熱硬化性合成樹脂の硬化温度が50〜150℃であり、端子同士の接続に際し熱をかけるときの温度が従来よりも低い。そのため、フレキシブルプリント配線基板などに要求される耐熱性が緩和される。
【0026】
また、接合の機械的強度が高く、導電信頼性が高いと共に、アンダーフィル塗布工程を省略することもできる。
【0027】
熱硬化性合成樹脂の軟化点を40〜130℃例えば約100℃とすることにより、端子同士の間にボイド(気泡)を発生させることなく両者を結合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0029】
本発明では、端子同士の結合に用いられる異方性導電膜中の導電性粒子として、好ましくは共晶結合を形成する金属(合金を包含する。)よりなるものを用いる。
【0030】
端子と導電性粒子とで形成される共晶の好ましい例としては、Au−Au共晶結合、Au−Sn共晶結合、Au−Al共晶結合、Al−Al共晶結合などが挙げられる。
【0031】
導電性粒子としては、従ってAu、Sn、Alなどが好適であり、その粒径は0.1〜100μm、特に0.1〜50μm程度が好適である。
【0032】
導電性粒子の配合量は、樹脂組成物中において0.1〜15容量%、特に0.1〜10容量%程度が好適である。
【0033】
本発明で用いる異方性導電膜(フィルム)を構成するベース樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂が好適である。このうち、ポリエステル樹脂を構成するポリエステル不飽和化合物としては、多塩基酸と多価アルコールとを反応させることによって得られる不飽和ポリエステルや、飽和共重合ポリエステルに(メタ)アクリロキシ基を導入した化合物などのラジカル反応硬化性のポリエステル不飽和化合物が好適である。なお、上記ポリエステル不飽和化合物は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤に可溶である。
【0034】
本発明においては、異方性導電フィルムの接着性の向上のためにリン酸メタクリレート及びメラミン系樹脂を配合するのが好ましい。このリン酸メタクリレートとしては、例えば2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの1種又は2種以上が挙げられる。このようなリン酸メタクリレートは、前記ベース樹脂100重量部に対して0.1〜60重量部、特に0.5〜40重量部配合するのが好ましい。このリン酸メタクリレートの配合量が0.1重量部未満では、十分な接着性の改善効果が得られず、60重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0035】
メラミン系樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂等のブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。このようなメラミン系樹脂は、前記ベース樹脂100重量部に対して0.1〜200重量部、特に0.5〜100重量部配合するのが好ましい。このメラミン系樹脂の配合量が0.1重量部未満では、十分な接着性の改善効果が得られず、200重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0036】
このように、フィルムを構成する樹脂組成物にリン酸メタクリレートとメラミン系樹脂とを配合することにより、ドライバICチップやフレキシブルプリント配線基板(FPC)との接着性が向上する。即ち、異方性導電フィルムが、チップの母体であるシリコン、ピンのAu、FPCの構成材であるPI(ポリイミド)やPET、透明導電膜であるIZO、ITOと強固に接着するようになる。
【0037】
本発明においては、異方性導電フィルムの物性(機械的強度、接着性、光学的特性、耐熱性、耐湿性、耐候性、架橋速度等)の改良や調節のため、フィルムを構成する樹脂組成物にアクリロキシ基、メタクリロキシ基又はエポキシ基を有する反応性化合物(モノマー)を配合してもよい。この反応性化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基のほかに、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、ダイアセトンアクリルアミドが代表的である。多官能架橋助剤としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル等が挙げられる。また、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリマーをアロイ化することによって同様の効果を得ることができる。
【0038】
これらの反応性化合物は1種又は2種以上の混合物として、前記ベース樹脂100重量部に対し、通常0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜70重量部添加して用いられる。この配合量が80重量部を超えると樹脂フィルムの調製時の作業性や成膜性を低下させることがある。
【0039】
本発明においては、接着剤樹脂組成物を熱硬化性とするために、硬化剤として有機過酸化物を配合するが、この有機過酸化物としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、成膜温度、調製条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。
【0040】
使用可能な有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4’−ビス
(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0041】
このような有機過酸化物はベース樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部配合される。
【0042】
本発明では、ベース樹脂及び有機過酸化物の種類と配合量を選定することにより、50〜150℃の温度で熱硬化が進行するようにする。なお、硬化時間は、通常、10〜120秒好ましくは20〜60秒である。
【0043】
本発明では、フィルムを構成する樹脂組成物には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加してもよい。
【0044】
また、この樹脂組成物には、加工性や貼り合わせ性等の向上の目的で炭化水素樹脂を添加してもよい。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでもよい。天然樹脂系では、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネン等のテルペン系樹脂の他、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コバル、シェラックを用いてもよい。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0045】
以上の添加剤のほか、この樹脂組成物には、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、加工助剤等を本発明の目的に支障をきたさない範囲で用いてもよい。
【0046】
本発明で用いる異方性導電フィルムは、40〜130℃特に100℃程度で軟化して良好な流動性が得られるように前記ベース樹脂を適宜選択使用することが望ましい。
【0047】
このような流動性を有していると、ドライバICチップとフレキシブルプリント配線基板との間に気泡が発生することが防止される。
【0048】
本発明では、接着時には、接着方向に1〜4MPa特に2〜3MPa程度の圧力を加えるのが好ましい。この接続時に超音波振動を加えるが、そのためには、前記図1〜3のように超音波ホーンを用いればよい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
実施例1,2、比較例1
表1に示すポリエステル不飽和化合物100重量部に対して、表1に示す成分を表1に示す量で混合、これをバーコーターによりセパレーターであるポリテレフタル酸エチレン上に塗布し、幅5mm、厚さ30μmのフィルムを成膜した。
【0051】
このフィルムを、ポリイミド樹脂基板にAu端子を形成した基板と、PET樹脂基板にSiO膜を介して金箔をパターニングした基板との接着用として、セパレーターを剥離してモニターで位置決めをし、3MPaにて加圧すると共に、超音波ホーンを用いて超音波振動を加えながら30秒間、130℃に加熱した。得られたサンプルについて、引張試験機による90°剥離試験(50mm/min)により接着力を測定すると共に、デジタルマルチメーターにより厚み方向の導通抵抗を測定した。さらに、導電粒子とFPC配線との界面の共晶の有無を走査型電子顕微鏡によって断面観察した。また、60℃×90%RH×600Hrの温熱耐久負荷をかけた後の特性評価も行った。これらの結果を表1に示した。
【0052】
【表1】

【0053】
表1より本発明によると本発明例は著しく接着性及び導電性に優れることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来例を示す断面図である。
【図2】従来例を示す断面図である。
【図3】従来例を示す断面図である。
【図4】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
11 第1の端子
12 第2の端子
30 異方性導電膜
32 導電性粒子
50 超音波ホーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と、第2の端子とを互いに対向させ、これら端子間に異方性導電膜を介在させ、該第1の端子と第2の端子を互いに圧し付けるとともに、両端子間に超音波振動を付与する端子間の接続方法において、
該異方性導電膜は、導電性粒子を分散含有した、硬化温度が50〜150℃の熱硬化性合成樹脂よりなることを特徴とする端子間の接続方法。
【請求項2】
請求項1において、第1及び第2の端子の少なくとも一方と前記導電性粒子とが共晶結合を形成することを特徴とする端子間の接続方法。
【請求項3】
請求項2において、共晶結合はAu−Au結合であることを特徴とする端子間の接続方法。
【請求項4】
請求項2において、共晶結合はAu−Sn結合であることを特徴とする端子間の接続方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記第1の端子はフレキシブルプリント配線基板上に形成されていることを特徴とする端子間の接続方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記第2の端子はICチップに形成されていることを特徴とする端子間の接続方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記熱硬化性合成樹脂は軟化点が40〜130℃であることを特徴とする端子間の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−118613(P2010−118613A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292359(P2008−292359)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】