説明

端末接続装置、通信端末装置、及びプログラム

【課題】電源オフによって通信の受信を回避したとしても、特定の通信に対してはそれを受信できるようにする。
【解決手段】クレードル2は、通信端末装置1が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて通信を受信した際に、特定の通信であれば、通信端末装置1の電源をオンさせて当該通信を通信端末装置1側に引き渡す処理を行う。一方、通信端末装置1は、その端末宛の通信をクレードル2が受信した場合に、このクレードル2から所定の信号を受け付けると共に、この所定の信号を電源オフの状態で受け付けた場合には、電源をオンしてクレードル2側で受信した通信を引き継いで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信端末装置、この通信端末装置が接続可能な端末接続装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自宅に固定電話を設置せずに、携帯電話機のみを所有するという傾向が増えてきているが、この携帯電話機にあっては、就寝時などで呼び出し音によって煩わされないように、あるいは二次電池への充電を早めるために電源をオフすると、緊急の連絡や重要な連絡をも受信することができなくなってしまう。そこで、従来では、電源をオフすることなく、迷惑電話などを防止する解決策の一つとして、特に煩わしい迷惑電話(例えば、ワンギリ)を受信しないように、設定時間の間は、報音部やバイブレータを非動作状態とする技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−56651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、電話やメールの着信通知を即座に行わないようにしているため、ワンギリなどの迷惑電話を回避することができたとしても、全ての迷惑電話、緊急を要さない電話までも回避できるわけではない。また、発信元では相手が電話に直ぐにでない場合には、電話を直ぐに切ってしまうこともある。
【0005】
本発明の課題は、電源オフによって通信の受信を回避したとしても、特定の通信に対してはそれを受信できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、通信端末装置が接続可能な端末接続装置であって、前記通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて通信を行う通信手段と、この通信手段によって通信を受信した際に、特定の通信であるか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって特定の通信であると判別された場合に、前記通信端末装置の電源をオンさせて前記通信を通信端末装置に引き渡す処理を行う制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、特定の送信元を記憶する記憶手段を更に備え、前記判別手段は、前記通信手段によって通信を受信した場合に、その通信の送信元が前記記憶手段に記憶されているか否かに基づいて特定の通信であるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項2に従属する発明として、前記通信端末装置が接続された場合に、前記通信端末装置側に記憶されている特定の送信元を示す情報を取得して前記記憶手段の内容を更新する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、前記通信手段によって通信を受信した場合に、その通信に緊急信号が含まれているか否かにより特定の通信であるか否かを判別する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、前記制御手段は、前記通信端末装置が電源オフの状態で接続されている場合に、前記通信手段による通信が有効となるように制御する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、前記通信識別情報を記憶している前記通信端末装置が接続された場合に、通信端末装置側から通信識別情報を取得する取得手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記制御手段は、前記通信端末装置が接続された際に、通信端末装置の電源をオフさせると共に、前記通信手段による通信が有効となるように制御する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1又は2に従属する発明として、前記通信端末装置を充電する充電手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0014】
また、上述した課題を解決するために請求項9記載の発明は、通信手段を有する端末接続装置に接続される通信端末装置であって、当該通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて前記端末接続装置側の通信手段が特定の送信元からの通信を受信した場合に、当該端末接続装置から所定の信号を受け付ける受付手段と、この受付手段によって受け付けた所定の信号を電源オフの状態で受け付けたのか否かを判別する判別手段と、この判別手段によって電源オフの状態で所定の信号を受け付けたと判別された場合に、当該通信端末装置の電源をオンして前記端末接続装置側で受信した通信を引き継いで行う制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0015】
請求項9に従属する発明として、前記制御手段が当該通信端末装置の電源をオンした場合に、所定の通知を行う通知手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0016】
請求項10に従属する発明として、前記通知手段による通知は、表示部での表示、報音部による鳴音、バイブレータ駆動による振動、発光素子の駆動のうち、少なくともそのいずれかである、ことを特徴とする請求項11記載の発明であってもよい。
【0017】
また、上述した課題を解決するために請求項12記載の発明は、コンピュータに対して、通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて通信を行う機能と、前記通信を受信した際に、特定の通信であるか否かを判別する機能と、前記特定の通信であると判別された場合に、前記通信端末装置の電源をオンさせて前記通信を通信端末装置に引き渡す処理を行う機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【0018】
また、上述した課題を解決するために請求項13記載の発明は、コンピュータに対して、通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて端末接続装置側の通信手段が特定の送信元からの通信を受信した場合に、当該端末接続装置から所定の信号を受け付ける機能と、前記所定の信号を電源オフの状態で受け付けたのか否かを判別する機能と、前記所定の信号を電源オフの状態で受け付けたと判別された場合に、電源をオンして前記端末接続装置側で受信した通信を引き継いで行う機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、電源オフによって通信の受信を回避したとしても、特定の通信に対してはそれを受信することができ、特に緊急を要する場合、実情に適した制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】通信端末装置(携帯電話機)1への充電時に、この通信端末装置1を外部装置(端末接続装置)である充電機能付きクレードル(充電台)2に接続させる場合を示した図。
【図2】通信端末装置1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】クレードル2の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図4】通信端末装置1側の特定送信元テーブルT4及びクレードル2側の特定送信元テーブルC4を説明するための図。
【図5】(1)は、着信フラグメモリT2/着信フラグメモリC2を示した図、(2)は、クレードル2側の受信権利フラグメモリC3を示した図。
【図6】電源投入(オン)に応じて実行開始される通信端末装置1側の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図7】図6の動作に続くフローチャート。
【図8】図7の動作に続くフローチャート。
【図9】電源投入(オン)に応じて実行開始されるクレードル2側の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図10】図9の動作に続くフローチャート。
【図11】(1)は、緊急信号の着信通知の場合での表示例を示した図、(2)は、特定送信元からの着信通知の場合での表示例を示した図。
【図12】この実施形態の変形応用例を示し、通信端末装置1が接続可能な端末接続装置として通信機能付きの電源アダプタ3に適用した場合を説明するための図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1〜図11を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、通信端末装置(携帯電話機)1への充電時に、この通信端末装置1を外部装置(端末接続装置)である充電機能付きクレードル(充電台)2に接続させる場合を示した図である。
通信端末装置1は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)などを備えた携帯電話機で、この通信端末装置1に内蔵されている二次電池(図示せず)を充電する際には、この通信端末装置1を充電機能付きクレードル2に接続(載置)させる。
【0022】
この通信端末装置1をクレードル2に載置させることによって通信端末装置1側に設けられているクレードル電源用の接続端子TC1とクレードル信号用の接続端子TC2とは、クレードル2側に設けられている端末電源用の接続端子CC1、端末信号用の接続端子CC2に電気的に接続される(接触、非接触は問わない)。クレードル2は、通信端末装置1への充電を行う充電機能のほか、通信機能を備えている。このクレードル2側の通信機能によって通信端末装置1とクレードル2との間での通信が可能となり、また、無線通信網を介して図示しない他の通信端末装置などからの通話(電話)やメールを受信することができるようになっている。
【0023】
図2は、通信端末装置1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
制御部10は、二次電池を備えた電源部11からの電力供給によって動作し、記憶部12内の各種のプログラムに応じてこの通信端末装置1の全体動作を制御するもので、この制御部10には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。電源部11は、クレードル2などから電力が供給されることによって充電されるもので、制御部10からの制御信号に応じてオン/オフされる。
【0024】
記憶部12は、ROM、RAMなどの内部メモリで、図示しないプログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図6〜図8に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。また、記憶部12のデータ領域には、通信識別情報として加入者電話番号やメールアドレスを記憶する通信識別情報メモリT1のほか、後述する着信フラグメモリT2、アドレス帳T3、特定送信元テーブルT4などが設けられている。なお、記憶部12としては、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成、あるいは図示しない所定の外部サーバ上にあってもよい。
【0025】
操作部13は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、制御部10は、操作部13からの操作信号に応じた処理として、例えば、発信処理、電子メール作成処理など、各種の処理を行う。通信部14は、図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、電話部15を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを電話部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナANTから発信出力させる。
【0026】
表示部16は、例えば、高精細液晶を使用し、アイコン、文字データ、待受画像などを表示する。照明部17は、発光素子の駆動によって照明光を発射するもので、表示部16のバックライトとして利用される。報知部18は、バイブレータ部18A、報音部18B、LED部18Cを備え、バイブレータ部18Aは、振動モータを駆動してバイブレーションを発生し、報音部18Bは、着信音(鳴音)を発生出力し、LED部18CはLEDを発光する。クレードル接続部19は、クレードル電源用の接続端子TC1を備えたクレードル電源接続部19Aと、クレードル信号用の接続端子TC2を備えたクレードル信号接続部19Bとを有する構成で、制御部10は、このクレードル接続部19からの出力、あるいは通信端末装置が載置されると押下される図示しないスイッチの状態に応じてクレードル2に載置(接続)されているか否かを検出するようにしている。
【0027】
図3は、クレードル2の基本的な構成要素を示したブロック図である。
制御部20は、電源部21からの電力供給によって動作し、記憶部22内の各種のプログラムに応じてこのクレードル2の全体動作を制御するもので、この制御部20には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。電源部21は、図示しないAC電源に接続されて各部に電力供給を行うほか、通信端末装置1への充電を行う。記憶部22は、ROM、RAMなどの内部メモリで、図示しないプログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図9及び図10に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納され、また、そのデータ領域には、通信端末装置1が使用する通信識別情報を受信取得して記憶する通信識別情報メモリC1のほか、後述する着信フラグメモリC2、受信権利フラグメモリC3、特定送信元テーブルC4などが設けられている。
【0028】
通信部23は、通信端末装置1側の通信部14と同様に図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備えた構成で、通信時に最寄りの基地局との間でデータ(音声データを含む)の送受信を行うもので、制御部20は、電源がオフされている通信端末装置1が載置されている状態において、予め通信端末装置1側から取得したおいた後述の通信識別情報宛の電話やメールの着信を検出すると、通信端末装置1の電源をオンさせると共に、その着信を通信端末装置1側に引き渡すようにしている。端末接続部24は、端末電源用の接続端子CC1を備えた端末電源接続部24Aと、端末信号用の接続端子CC2を備えた端末信号接続部24Bとを有する構成で、制御部20は、この端末接続部24からの出力、あるいは通信端末装置が載置されると押下される図示しないスイッチの状態に応じて通信端末装置1がクレードル2に載置されているか否かを検出するようにしている。なお、電源部21からの電力は、端末電源用の接続端子CC1を介して通信端末装置1側に供給される。
【0029】
図4は、通信端末装置1側の特定送信元テーブルT4及びクレードル2側の特定送信元テーブルC4を説明するための図である。
通信端末装置1側の特定送信元テーブルT4は、通信端末装置1側の電源をオフすることによって電話やメールの受信を回避していても、家族、親友、地方自治体などの特定相手(特定送信元)からの電話やメールであれば、それを受信可能するためにその特定送信元に関する情報を記憶するもので、その内容は予めユーザ操作によって任意に設定されたものである。なお、緊急信号の入った通信を送る可能性のある地方公共団体、気象機関、警察機関などの送信元情報(メールアドレスや電話番号)が予め分かっていれば、その情報を特定送信元として登録しておいてもよい。
【0030】
この場合、例えば、特定送信元に関する情報をキー操作によって入力設定する場合のほか、通信端末装置1側のアドレス帳T3に通信相手毎に登録されているアドレス帳データのうち、ユーザ操作によって任意に選択したアドレス帳データを特定の送信元として特定送信元テーブルT4に設定するようにしている。また、パソコンをはじめとする外部通信機器により、アドレス帳データを特定の送信元として特定送信元テーブルT4に設定するようにしてもよい。この特定送信元を示すアドレス帳データは、「名前」、「メールアドレス」、「電話番号」の項目を有している。クレードル2は、通信端末装置1が載置された場合に、通信端末装置1側の特定送信元テーブルT4の内容を取得して自己の特定送信元テーブルC4の内容を更新することによって、通信端末装置1側の特定送信元テーブルT4とクレードル2側の特定送信元テーブルC4との整合を図るようにしている。また、逆に特定送信元テーブルC4から特定送信元テーブルT4の内容を更新してもよい。
【0031】
図5は、通信端末装置1側の着信フラグメモリT2/クレードル2側の着信フラグメモリC2、受信権利フラグメモリC3を説明するための図で、図5(1)は、着信フラグメモリT2/着信フラグメモリC2を示した図、図5(2)は、クレードル2側の受信権利フラグメモリC3を示した図である。
先ず、図5(1)を用いて着信フラグメモリT2/着信フラグメモリC2を説明する。通信端末装置1側の着信フラグメモリT2は、電源オフの通信端末装置1がクレードル2に載置されている状態において、通信識別情報(加入者電話番号、メールアドレス)宛の電話やメールの着信をクレードル2側で検出した場合に、クレードル2側で検出した着信を通信端末装置1側で受け付けるか否かを示したり、受け付けるときにはどのような着信を受け付けるのかを示したりするフラグを記憶するもので、予めユーザが任意に設定できるようになっている。
【0032】
この着信フラグは、その値が“0”のときには、クレードル2からの着信を受け付けないことを示し、“1”のときには、クレードル2からの着信のうち、緊急性のある着信のみを受け付けることを示し、“2”のときには、クレードル2からの着信を全て受け付けることを示している。通信端末装置1側において電源オフ操作が行われた場合に、通信端末装置1がクレードル2に載置されていれば、通信端末装置1側の着信フラグメモリT2の内容は、クレードル2側に送信されてクレードル2側の着信フラグメモリC2に設定される。これによって通信端末装置1側の着信フラグメモリT2とクレードル2側の着信フラグメモリC2とは同一内容となる。また、この着信フラグの状態は、通信端末1で液晶などの表示部、及び又は通信端末1に具備される図示しないLEDのON/OFF、及び又はLEDの輝度や色によって判別できるようにしてもよい。
【0033】
図5(2)は、上述の通りクレードル2側の受信権利フラグメモリC3を示した図である。
受信権利フラグメモリC3は、通信端末装置1の通信識別情報(加入者電話番号、メールアドレス)宛の電話やメールを受信する権利がクレードル2側にあるか否かを示すフラグを記憶するもので、受信権利フラグは、その値が“0”のときには、クレードル2に受信権利がないことを示し、“1”のときには、クレードル2に受信権利があることを示している。この受信権利は、通信端末装置1側から付与されたもので、通信端末装置1は、その電源がオンされた際に、通信端末装置1がクレードル2に載置されていれば、クレードル2に受信権利を付与しないようにするために受信権利を破棄すべきことを示す信号をクレードル2に送信するようにしている。また、通信端末装置1は、電源がオフされた際に、通信端末装置1がクレードル2に載置されていれば、クレードル2に受信権利を付与するために受信権利を引き渡すことを示す信号をクレードル2に送信するようにしている。
【0034】
電源がオフの状態の通信端末装置1が載置されている場合、クレードル2は、受信権利が付与されているので、通信部23による通信が有効となり、通信端末装置1側から取得した通信識別情報宛の電話やメールの着信を検出すると共に、通信端末装置1の電源をオンさせてその着信を通信端末装置1側に引き渡すようにしている。また、本実施形態では一例としてクレードル2は、通信端末装置1が接続された際に、通信端末装置1に対してその電源オフを指示する電源オフ信号を出力するようにしている。
【0035】
次に、この実施形態における通信端末装置1及びクレードル2の動作概念を図6〜図10に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0036】
図6〜図8は、電源投入(オン)に応じて実行開始される通信端末装置1側の全体動作の概要を示したフローチャートである。図9及び図10は、電源投入(オン)に応じて実行開始されるクレードル2側の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、通信端末装置1側において制御部10は、電源オン操作が行われると、所定のメモリをクリアするなどの初期処理を行ったのち(図6のステップA1)、クレードル接続部19からの出力、あるいは通信端末装置が載置されると押下される図示しないスイッチの状態に応じてクレードル2に載置されているかを調べ(ステップA2)、クレードル2に載置されていなければ(ステップA2でNO)、待ち受け状態に移る(ステップA5)。
【0037】
また、通信端末装置1がクレードル2に載置されていれば(ステップA2でYES)、着信フラグメモリT2をアクセスし、着信フラグは“1”又は“2”であるかを調べる(ステップA3)。ここで、着信フラグが“1”又は“2”でなければ(ステップA3でNO)、クレードル2からの着信を受け付けない場合であるから、待ち受け状態に移るが(ステップA5)、着信フラグが“1”又は“2”であれば(ステップA3でYES)、クレードル2に対して受信権利フラグメモリC3に“0”を一旦セットするために受信権利破棄信号を送信したのち(ステップA4)、待ち受け状態に移る(ステップA5)。
【0038】
この待ち受け状態において、通信部14から電話やメールの着信を検出すると(ステップA6でYES)、その着信に天地異変災害などを知らせる緊急信号が含まれているかを調べ(ステップA7)、緊急信号が含まれていれば(ステップA7でYES)、緊急信号の着信通知を行う(ステップA8)。この場合、例えば、表示部16、照明部17、報知部18のバイブレータ部18A、報音部18B、LED部18Cの全てを駆動して緊急事態を報知する。なお、表示部16でのメッセージ表示、照明部17による照明、バイブレータ部18Aによる振動、報音部18Bによる鳴音、LED部18Cによる発光のうち、少なくともその2以上の報知を行うようにしてもよい。図11(1)は、緊急信号の着信通知の場合での表示例を示し、表示部16には緊急メッセージが表示される。
【0039】
着信に緊急信号が含まれていなければ(ステップA7でNO)、通常の着信通知(緊急報知とは異なる簡易な着信通知)を行う(ステップA9)。そして、回線接続させるオフフック操作に応答して(ステップA10でYES)、通話可能状態とする通話処理を開始する(ステップA11)。また、その後のオンフック操作に応答して(ステップA12でYES)、回線切断処理を実行したのち(ステップA13)、上述のステップA6に戻る。
【0040】
待ち受け状態において、電源オフ操作が行われると(ステップA14でYES)、クレードル2に載置されているかを調べ(ステップA15)、クレードル2に載置されていなければ(ステップA15でNO)、ステップA21に移り、電源部11に対してオフ信号を与えて電源をオフさせるが、クレードル2に載置されていれば(ステップA15でYES)、着信フラグメモリT2をアクセスし、着信フラグは“1”又は“2”であるかを調べる(ステップA16)。ここで、着信フラグが“1”又は“2”でなければ(ステップA16でNO)、クレードル2からの着信を受け付けない場合であるから、そのままステップA21に移り、電源をオフさせる。
【0041】
電源オフ操作時に着信フラグが“1”又は“2”であれば(ステップA16でYES)、クレードル2に受信権利を付与するために、クレードル2に対して受信権利引渡信号を送信する(ステップA17)。そして、通信識別情報メモリT1から通信識別情報(加入者電話番号、メールアドレス)と着信フラグメモリT2の内容を読み出してクレードル2に対して送信すると共に(ステップA18)、特定送信元テーブルT4の内容を読み出してクレードル2に対して送信する(ステップA19)。その後、クレードル2からの電源オフ信号を受信するまで待ったのち(ステップA20)、クレードル2からの電源オフ信号に応答して電源をオフさせる(ステップA21)。
【0042】
待ち受け状態において、クレードル2に載置されていることが検出されると(図7のステップA22でYES)、電源部11はオフ状態かを調べ(ステップA23)、電源がオンされていれば(ステップA23でNO)、着信フラグメモリT2をアクセスし、着信フラグは“1”又は“2”であるかを調べる(ステップA24)。ここで、着信フラグが“1”又は“2”でなければ(ステップA24でNO)、クレードル2からの着信を受け付けない場合であるから、図6のステップA6に移るが、着信フラグが“1”又は“2”であれば(ステップA24でYES)、図6のステップA17に移り、クレードル2に対して受信権利引渡信号を送信するほか、通信識別情報メモリT1、着信フラグメモリT2、特定送信元テーブルT4の内容をクレードル2に送信する(ステップA18、A19)。
【0043】
なお、クレードル2に載置されている状態において(ステップA22でYES)、電源がオフされていれば(ステップA23でYES)、一旦、電源部11をオンしたのち(ステップA25)、着信フラグをチェックし(ステップA26)、着信フラグが“1”又は“2”でなければ(ステップA26でNO)、クレードル2からの着信を受け付けない場合であるから、電源部11にオフ信号を与えて電源をオフさせるが(ステップA27)、着信フラグが“1”又は“2”であれば(ステップA26でYES)、図6のステップA17に移り、クレードル2に対して受信権利引渡信号を送信するほか、通信識別情報メモリT1、着信フラグメモリT2、特定送信元テーブルT4の内容をクレードル2に送信する(ステップA18、A19)。
【0044】
ここで、ステップA25に相当する電源部11のオンは、必ずしも通信端末装置1の全体機能をオン状態とする必要はなく、着信フラグや特定送信元テーブルのデータの授受ができる機能部のみをオン状態としてもよく、これにより通信端末装置1の省電力化にも貢献ができる。また、この場合、通信端末装置1とクレードル2との間でデータの送受信が行われている間は、通信端末装置1及びクレードル2において、通信中である旨をユーザに認知させる手段(LED表示など)を作動させてもよい。
【0045】
また、通信端末装置1がクレードル2から取り外された場合には(図7のステップA28でYES)、電源部11はオフ状態かを調べ(ステップA29)、電源がオンされていれば(ステップA29でNO)、図6のステップA3に戻る。また、電源がオフされていれば(ステップA29でYES)、一旦、電源部11をオンしたのち(ステップA30)、着信フラグをチェックし(ステップA31)、着信フラグが“1”又は“2”でなければ(ステップA31でNO)、クレードル2からの着信を受け付けない場合であるから、電源部11にオフ信号を与えて電源をオフさせるが(ステップA32)、着信フラグが“1”又は“2”であれば(ステップA31でYES)、図6のステップA6に移る。なお、ここでもステップA30に相当する電源部11のオンは、必ずしも通信端末装置1全体機能をオン状態とする必要はなく、着信フラグや特定送信元テーブルのデータの授受ができる機能部のみをオン状態としてもよく、通信端末装置1の省電力化にも貢献ができる。
【0046】
他方、クレードル2側においては、電源オンに応じて図9及び図10のフローチャートに沿ったプログラムが開始される。先ず、制御部20は、端末接続部24からの出力に、あるいは通信端末装置が載置されると押下される図示しないスイッチの状態応じて通信端末装置1が載置されているかを調べ(図9のステップB1)、通信端末装置1が載置されていなければ(ステップB1でNO)、通信端末装置1の載置操作が行われたか、つまり、載置し始めを検出したかを調べ(ステップB4)、通信端末装置1が載置されるまでステップB1に戻る。いま、通信端末装置1の載置操作を検出したときには(ステップB4でYES)、通信端末装置1から受信権利引渡信号を受信したかを調べる(ステップB5)。
【0047】
この受信権利引渡信号は、上述したように通信端末装置1側において電源オフ操作が行われた場合に(図6のステップA14でYES)、クレードル2に載置されていれば(ステップA15でYES)、着信フラグが“1”又は“2”を条件として(ステップA16でYES)、通信端末装置1側から出力される信号である(ステップA17)。この受信権利引渡信号をクレードル2側で受信すると(図9のステップB5でYES)、通信端末装置1から送信されてきた通信識別情報、着信フラグを受信取得して、対応する通信識別情報メモリC1、着信フラグメモリC2に上書き記憶する(ステップB6)。
【0048】
そして、通信端末装置1から送信されてきた特定送信元テーブルT4の内容を受信取得して、対応する特定送信元テーブルC4に上書き記憶する(ステップB7)。これによって通信識別情報メモリC1、着信フラグメモリC2、特定送信元テーブルC4の内容が更新されて、通信端末装置1側の通信識別情報メモリT1、着信フラグメモリT2、特定送信元テーブルT4の内容と同一となり、通信端末装置1側とクレードル2側でそれらの内容が整合するようになる。
【0049】
そして、受信権利引渡信号に受信に応じて受信権利フラグメモリC3に“1”をセットし(ステップB8)、通信端末装置1に対して電源オフ信号を送信したのち(ステップB9)、上述のステップB1に戻る。ここで、通信端末装置1の載置が検出されるので(ステップB1でYES)、受信権利フラグメモリC3の値は“1”であるかを調べるが(ステップB2)、いま、受信権利フラグは“1”にセットされているので、ステップB3に移り、待ち受け状態となる。
【0050】
この待ち受け状態において、電話やメールの着信有無、つまり、通信識別情報メモリC1内の通信識別情報を宛先とする通信の有無を調べたり(図10のステップB10)、通信端末装置1の接続が取り外されたかを調べたり(ステップB11)、通信端末装置1側で電源オン操作が行われたかを調べたり(ステップB12)、通信端末装置1側で電源オフ操作が行われたかを調べたりする(ステップB15)。いま、通信端末装置1の接続が取り外された場合には(ステップB11でYES)、受信権利フラグメモリC3に“0”をセットして受信権利を破棄したのち(ステップB14)、図9のステップB1に戻る。
【0051】
また、通信端末装置1側で電源オン操作が行われた場合には(ステップB12でYES)、通信端末装置1側から送信されてくる受信権利破棄信号を受信したかを調べる(ステップB13)。ここで、受信権利破棄信号を受信しなければ(ステップB13でNO)、図9のステップB1に戻るが、受信権利破棄信号を受信した場合には(ステップB13でYES)、受信権利フラグメモリC3に“0”をセットしてクレードル2での受信権利を破棄する(ステップB14)。
【0052】
また、通信端末装置1側で電源オフ操作が行われた場合には(ステップB15でYES)、図9のステップB5に移り、受信権引渡信号の受信に応じて通信端末装置1内の、通信識別情報、着信フラグ、特定送信元を取得し、対応する通信識別情報メモリC1、着信フラグメモリC2、特定送信元テーブルC4に上書き記憶すると共に、受信権利フラグメモリC3に“1”をセットしたのち、通信端末装置1に対して電源オフ信号を送信する(ステップB6〜B9)。
【0053】
一方、クレードル2の待ち受け状態において、電話やメールの着信を検出した場合には(図10のステップB10でYES)、着信フラグメモリC2をアクセスし、着信フラグは“1”であるか(ステップB16)、“2”であるかを調べる(ステップB20)。いま、着信フラグが“0”であれば(ステップB20でNO)、クレードル2からの着信を受け付けない場合であるから、図9のステップB1に戻るが、着信フラグが“1”であれば(ステップB16でYES)、その着信に緊急信号が含まれているかを調べる(ステップB17)。いま、緊急信号が含まれていなければ(ステップB17でNO)、着信フラグが“1”の場合に該当しないので、図9のステップB1に戻るが、緊急信号を含まれていれば(ステップB17でYES)、緊急信号電源オン信号を通信端末装置1に対して送信する(ステップB18)。
【0054】
また、着信フラグが“2”の場合には(ステップB20でYES)、その着信に緊急信号が含まれているかを調べ(ステップB21)、緊急信号を含まれていれば(ステップB21でYES)、緊急信号電源オン信号を通信端末装置1に送信するが(ステップB22)、緊急信号が含まれていなければ(ステップB21でNO)、その着信から送信元を特定する情報(電話番号、メールアドレス)を抽出し、この送信元情報に基づいて特定送信元テーブルC4を検索し、同一の送信元が特定送信元テーブルC4に記憶されているか否かに基づいて特定送信元からの着信であるか否かを調べる(ステップB23)。
【0055】
ここで、特定送信元からの着信であれば(ステップB23でYES)、特定送信元電源オン信号を通信端末装置1に送信するが(ステップB24)、特定送信元からの着信でなければ(ステップB23でNO)、着信電源オン信号を通信端末装置1に送信する(ステップB25)。そして、通信端末装置1とクレードル2とを通信可能な状態にして今回の着信を通信端末装置1側に引き渡す処理を行ったのち(ステップB19)、図9のステップB1に戻る。
【0056】
他方、通信端末装置1側においてクレードル2から緊急信号電源オン信号を受信した場合には(図8のステップA33でYES)、電源部11をオンしたのち(ステップA34)、クレードル2からの着信を引き継いで、通話可能状態としたり、受信メールを出力したりする(ステップA35)。そして、上述したような緊急信号の着信通知を行う(ステップA36)。この場合、表示部16でのメッセージ表示、照明部17による照明、バイブレータ部18Aによる振動、報音部18Bによる鳴音のうち、少なくともその2以上の報知を行うようにしてもよい。また、緊急信号の着信通知時には、図11(1)に示すように、表示部16に緊急メッセージが表示される。このような着信通知を行ったのちは、図6のステップA10に戻り、オフフック操作を調べる。
【0057】
また、クレードル2から特定送信元電源オン信号を受信した場合には(ステップA37でYES)、電源部11をオンしたのち(ステップA38)、クレードル2からの着信を引き継いで、通話可能状態としたり、受信メールを出力したりする(ステップA39)。そして、特定送信元からの着信通知を行う(ステップA40)。この場合、予め設定されている着信通知の仕方で着信通知が行われる。図11(2)は、特定送信元からの着信通知の場合での表示例を示し、特定送信元であることを示すメッセージとして“○○さんからの緊急連絡です”が表示される。その後、図6のステップA10に戻る。
【0058】
また、クレードル2から着信電源オン信号を受信した場合には(ステップA41でYES)、電源部11をオンしたのち(ステップA42)、クレードル2からの着信を引き継いで、通話可能状態としたり、受信メールを出力したりする(ステップA43)。そして、通常の着信通知を行ったのち(ステップA44)、図6のステップA10に戻る。なお、通信端末装置1側においてその他の操作が行われた場合には(ステップA45でYES)、操作に応じた処理として、例えば、電話発信処理、メール作成処理のほか、アドレス帳T3や特定送信元テーブルT4に任意のデータを設定する設定処理などを行う(ステップA46)。
【0059】
以上のように、この実施形態におけるクレードル2は、通信端末装置1が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて通信を受信した際に、この通信が特定の通信であれば、通信端末装置1の電源をオンさせて当該通信を通信端末装置1側に引き渡す処理を行うようにしたので、通信端末装置1側でその電源をオフすることによって通信の受信を回避したとしても、特定の通信に対してはそれを受信することができ、実情に適した制御が可能となる。この場合、ユーザにあっては通信端末装置1をクレードル2に接続(載置)させるという簡単な操作を行うだけでよい。これによって例えば、就寝中などにおいて迷惑、あるいは緊急を要さない通信の受信を回避しつつ、緊急の通信だけを受け付けることが可能となる。
【0060】
クレードル2は、通信を受信した場合に、その通信の送信元が特定送信元テーブルC4に記憶されているか否かに基づいて特定の通信であるか否かを判別するようにしたので、就寝中などでも通信を受けたい家族や親しい友人などの場合には、それらの人を特定送信元テーブルT4に送信元として記憶しておくだけで、その通信を受けることができる。
また、上述図5(1)において記述したように、着信フラグを“2”に設定することにより、通信端末装置1の電源オフ状態でも、緊急、非緊急、特定送信元テーブルの内容に関わらず、通信端末装置1宛の全ての着信を受けることもできる。
【0061】
クレードル2は、通信端末装置1が接続された場合に、通信端末装置1側の特定送信元テーブルT4の内容を取得して自己の特定送信元テーブルC4の内容を更新するようにしたので、常に最新の情報に基づき特定の送信元からの通信であるか否かを判別することができる。
【0062】
クレードル2は、受信した通信に緊急信号が含まれているか否かにより特定の通信であるか否かを判別するようにしたことで、就寝中などでも通信を受けたい緊急の通信を受けることができる。
【0063】
クレードル2は、通信端末装置1が電源オフの状態で接続されている場合に、通信部23による通信が有効となるように制御するようにしたので、通信端末装置1とクレードル2とが同時に通信可能状態となることを防ぐことができるほか、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0064】
クレードル2は、通信端末装置1が接続された際に、通信端末装置1からその通信識別情報を取得するようにしたので、1台のクレードル2を複数台の通信端末装置1で兼用して使用するような場合でも、通信端末装置1毎にその通信識別情報を用いた通信が可能となり、1台のクレードル2で複数台の通信端末装置1を使い分けることができる。
【0065】
クレードル2は、通信端末装置1が接続された際に、通信端末装置1の電源をオフさせることも可能であると共に、通信部23による通信が有効となるように制御するようにしたので、ユーザにあっては通信端末装置1の電源のオン/オフ状態を意識せずに、クレードル2に接続するだけで、就寝中などで迷惑、あるいは緊急を要さない通信の受信を回避しつつ、緊急の通信だけを受けることができる。
【0066】
クレードル2は、通信端末装置1を充電する充電機能を有しているので、通信端末装置1の電源オフ中にその通信を受けることだけではなく、通信端末装置1への充電が可能になるほか、通信端末装置1の電源をオフした状態で充電するために充電の高速化が可能となる。
【0067】
通信端末装置1は、その通信端末装置宛の通信をクレードル2が受信した場合に、このクレードル2から所定の信号を受け付けると共に、この所定の信号を電源オフの状態で受け付けた場合には、電源をオンしてクレードル2側で受信した通信を引き継いで行うようにしたので、通信端末装置1側でその電源をオフすることによって通信の受信を回避したとしても、特定の通信に対してはそれを受信することができ、実情に適した制御が可能となる。この場合、ユーザにあっては通信端末装置をクレードル2に接続(載置)させるという簡単な操作を行うだけでよく、例えば、就寝中などにおいて迷惑、あるいは緊急を要さない通信の受信を回避しつつ、緊急の通信だけを受け付けることが可能となる。
【0068】
通信端末装置1は、電源がオンされた際に、所定の通知を行うようにしたので、ユーザは特定の送信元からの通信を受けたことを即座に知ることができる。そのため、緊急災害時の自治体からの緊急通報に対しても避難行動を速やかに行なうことできる。
【0069】
表示部16でのメッセージ表示、照明部17による照明、バイブレータ部18Aによる振動、報音部18Bによる鳴音、LED部18Cによる発光によって、特定の送信元から通信を受けたことを適切な方法でユーザに通知することができる。
【0070】
なお、上述した実施形態においては、通信端末装置1をクレードル2に接続(載置)した際に通信端末装置1の電源をオフしているが、電源オフは利便性を鑑みユーザの操作やオートパワーオフにより行なわれてもよい。
また、上述した実施形態においては、着信フラグメモリT2/C2に“0”〜“2”の3種類の状態を設けた場合を示したが、更に、着信フラグ“3”として、例えば、「通信端末装置が電源オフでクレードル載置時にクレードルからの緊急の着信及び特定の送信元による着信を受ける」、着信フラグ“4”として、「通信端末装置が電源オフでクレードル載置時にクレードルからの特定の送信元による着信を受ける」といった状態を追加するようにしてもよい。
また、着信フラグメモリT2/C2は通信端末装置1、あるいはクレードル2にタイマーを内蔵し、時間的に変更できてもよい。
【0071】
また、上述した実施形態においては、通信端末装置が接続可能な端末接続装置として、通信機能付きのクレードル2を例示したが、クレードル2に限らず、図12に示すような電源アダプタ3であってもよい。この場合、通信端末装置1側に接続端子TCは、アダプタ電源用の接続端子及びアダプタ信号用の接続端子を構成し、電源アダプタ3側の接続端子ACは、端末電源用の接続端子及び端末信号用の接続端子を構成し、それらを電気的に接続させるようにすればよい。そして、電源アダプタ3は、電源制御機能のほかに電話やメールを受信する通信機能を有している。
【0072】
このように構成された通信機能付きの電源アダプタ3は、AC電源に接続されている状態において、通信端末装置1に接続されると、通信端末装置1が使用する通信識別情報を用いて通信を受信可能となる。この際、特定の通信であれば、電源アダプタ3は、通信端末装置1の電源をオンさせて当該通信を通信端末装置1側に引き渡す処理を行うようにしている。これによって通信機能付きの電源アダプタ3に通信端末装置1を接続するだけでよく、通信端末装置1側で電源オフによって通信の受信を回避したとしても、特定の通信を受信することができる。更に、通信端末装置1はAC電源に接続されているため、電池残量によらず確実に特定の通信を受信することができる。
また、本発明において、前述の特定送信元テーブルT4やフラグの立て方を拡張することにより、緊急時もしくは特定発信元の受信をメールのみ、電話のみ、勿論メールと電話の両方、と設定できるようにしてもよい。
【0073】
また、本発明の適用は、通信端末装置として携帯電話機に限らず、その他、通信機能付きのパーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、ゲーム機器、あるいはそれらの複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 通信端末装置
2 クレードル
3 電源アダプタ
10、20 制御部
11、21 電源部
12、22 記憶部
13 操作部
14、23 通信部
15 電話部
16 表示部
17 照明部
18 報知部
18A バイブレータ部
18B 報音部
19 クレードル接続部
24 端末接続部
T1、C1 通信識別情報メモリ
T2、C2 着信フラグメモリ
C3 受信権利フラグメモリ
T4、C4 特定送信元テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末装置が接続可能な端末接続装置であって、
前記通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて通信を行う通信手段と、
この通信手段によって通信を受信した際に、特定の通信であるか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって特定の通信であると判別された場合に、前記通信端末装置の電源をオンさせて前記通信を当該通信端末装置に引き渡す処理を行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする端末接続装置。
【請求項2】
特定の送信元を記憶する記憶手段を更に備え、
前記判別手段は、前記通信手段によって通信を受信した場合に、その通信の送信元が前記記憶手段に記憶されているか否かに基づいて特定の通信であるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末接続装置。
【請求項3】
前記通信端末装置が接続された場合に、前記通信端末装置側に記憶されている特定の送信元を示す情報を取得して前記記憶手段の内容を更新する、
ようにしたことを特徴とする請求項2記載の端末接続装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記通信手段によって通信を受信した場合に、その通信に緊急信号が含まれているか否かにより特定の通信であるか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末接続装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記通信端末装置が電源オフの状態で接続されている場合に、前記通信手段による通信が有効となるように制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末接続装置。
【請求項6】
前記通信識別情報を記憶している前記通信端末装置が接続された場合に、通信端末装置側から通信識別情報を取得する取得手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末接続装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記通信端末装置が接続された際に、通信端末装置の電源をオフさせると共に、前記通信手段による通信が有効となるように制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末接続装置。
【請求項8】
前記通信端末装置を充電する充電手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末接続装置。
【請求項9】
通信手段を有する端末接続装置に接続される通信端末装置であって、
当該通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて前記端末接続装置側の通信手段が特定の送信元からの通信を受信した場合に、当該端末接続装置から所定の信号を受け付ける受付手段と、
この受付手段によって受け付けた所定の信号を電源オフの状態で受け付けたのか否かを判別する判別手段と、
この判別手段によって電源オフの状態で所定の信号を受け付けたと判別された場合に、当該通信端末装置の電源をオンして前記端末接続装置側で受信した通信を引き継いで行う制御手段と、
を具備したことを特徴とする通信端末装置。
【請求項10】
前記制御手段が当該通信端末装置の電源をオンした場合に、所定の通知を行う通知手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項9記載の通信端末装置。
【請求項11】
前記通知手段による通知は、表示部での表示、報音部による鳴音、バイブレータ駆動による振動、発光素子の駆動のうち、少なくともそのいずれかである、
ことを特徴とする請求項10記載の通信端末装置。
【請求項12】
コンピュータに対して、
通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて通信を行う機能と、
前記通信を受信した際に、特定の通信であるか否かを判別する機能と、
前記特定の通信であると判別された場合に、前記通信端末装置の電源をオンさせて前記通信を通信端末装置に引き渡す処理を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータに対して、
通信端末装置が使用する通信識別情報と同一の通信識別情報を用いて端末接続装置側の通信手段が特定の送信元からの通信を受信した場合に、当該端末接続装置から所定の信号を受け付ける機能と、
前記所定の信号を電源オフの状態で受け付けたのか否かを判別する機能と、
前記所定の信号を電源オフの状態で受け付けたと判別された場合に、電源をオンして前記端末接続装置側で受信した通信を引き継いで行う機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−166207(P2010−166207A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5529(P2009−5529)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】