説明

粉体収容容器、粉体搬送装置及び画像形成装置

【課題】煩雑な駆動制御をせずにトナーの流通量を調整できるようにする。
【解決手段】搬送管72には、周方向に沿って開閉部材86を移動させることで空気孔84の開放面積が調整される。空気孔84の開放面積が調整されることにより、搬送管72内の内圧が調整される。搬送管72の内圧が調整されることにより、単位時間当たりのトナー搬送量が調整される。このように、空気孔84を用いて調整するので、トナーの流通量を調整するために駆動制御を必須とする構成に比べ、煩雑な駆動制御をせずにトナーの流通量を調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収容容器、粉体搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示される画像形成装置が公知である。特許文献1に開示される画像形成装置は、トナーを収納したトナーカートリッジから現像器へトナーを供給するためのトナー供給装置を備え、前記トナー供給装置の駆動時間によりトナー消費量を計算する計算手段を持つトナー補給制御装置において、前記トナー供給装置の駆動時間により求められた計算消費量と、実際に前記トナーカートリッジから消費されたトナー消費量を比較し、次回からの消費量計算の係数を変更するフィードバック制御を持つ。
【0003】
特許文献2に開示される画像形成装置は、現像器44の近傍に湿度センサを設置し、使用するトナーの成分、粒径等に応じて予め決定された湿度に関するトナーの流動性の変動を補正するための湿度と補正係数の関係から、検出された湿度情報に対応する補正係数を決定し、画素画像信号から算出されたビデオカウント数をトナー補給時間に変換する際に、CPU67が有するビデオカウント数とトナー補給時間との対応関係を示す換算テーブルのビデオカウント数に、この補正係数を乗算してトナー補給時間を決定し、1つのトナー像が形成された後でトナーを補給する。
【0004】
特許文献3に開示される画像形成装置は、ビデオカウンタ23等を含むビデオカウント方式のATR及び光電変換素子28等からなるトナー濃度検知センサー等を含むパッチ検知方式のATRを設置し、トナー搬送スクリュー61によるホッパー6からの現像容器4内へのトナー7の補給量を予め検出し、その検出したトナー補給量と画像形成情報信号とによりスクリュー61を作動してトナー補給し、且つ検知センサーにより検出した容器4内現像剤5のトナー濃度により、上記スクリュー61の作動を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−33197号公報
【特許文献2】特開平5−27527号公報(図1)
【特許文献3】特開平6−11965号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、煩雑な駆動制御をせずに粉体の流通量を調整できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る粉体搬送装置は、粉体が収容される第1粉体収容室から、粉体が収容される第2粉体室に向けて粉体を搬送するための搬送路と、前記搬送路に配置され、粉体を搬送する搬送部材と、前記搬送路に形成され、前記搬送路の外部の空気を流入させるための空気孔と、前記空気孔の開口面積を調整する調整機構と、を備える。
【0008】
本発明の請求項2に係る粉体搬送装置は、請求項1の構成において、前記第1粉体収容室から前記粉体が取り込まれる取込口が、前記搬送路に形成され、前記空気孔が、前記取込口よりも搬送方向上流側に配置されている。
【0009】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、粉体としてのトナーを搬送する請求項2又は請求項3に記載の粉体搬送装置と、前記粉体搬送装置によって搬送されたトナーを含む現像剤を収容する前記第2粉体室としての現像室を有する現像装置と、表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される像保持体と、前記粉体搬送装置におけるトナー搬送量の調整量によって決定される前記空気孔の開口面積の調整量を外部へ通知する通知手段と、を備える。
【0010】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項3の構成において、前記搬送部材を駆動する駆動部と、前記空気孔での調整よりも前記トナー搬送量を微調整する場合に、前記駆動部を制御する制御部と、を備える。
【0011】
本発明の請求項5に係る粉体収容容器は、粉体を収容する容器本体と、前記容器本体に形成され、前記容器本体に収容された粉体を排出するための排出口と、前記容器本体に形成され、前記容器本体の外部の空気を流入させるための空気孔と、前記空気孔の開口面積を調整する調整機構と、を備える。
【0012】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、粉体としてのトナーを収容する請求項1に記載の粉体収容容器と、前記粉体収容容器が着脱される装置本体と、前記装置本体に設けられ、トナーを含む現像剤を収容する現像室を有する現像装置と、前記装置本体に設けられ、前記粉体収容容器から前記現像室へトナーを搬送するトナー搬送装置と、表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される像保持体と、前記粉体搬送装置におけるトナー搬送量の調整量によって決定される前記空気孔の開口面積の調整量を外部へ通知する通知手段と、を備える。
【0013】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項6の構成において、前記トナー搬送装置に設けられ、前記現像室に向けてトナーを搬送する搬送部材と、前記トナー搬送装置に設けられ、前記搬送部材を駆動する駆動部と、前記空気孔での調整よりも前記トナー搬送量を微調整する場合に、前記駆動部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1の構成によれば、粉体の流通量を調整するために駆動制御を必須とする構成に比べ、煩雑な駆動制御をせずに粉体の流通量を調整できる。
【0015】
本発明の請求項2の構成によれば、空気孔が取込口よりも搬送方向下流側に配置されている場合に比べ、空気孔からの粉体の流出を抑制できる。
【0016】
本発明の請求項3の構成によれば、粉体の流通量を調整するために駆動制御を必須とする構成に比べ、煩雑な駆動制御をせずに粉体の流通量を調整できる。
【0017】
本発明の請求項4の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、精度よく粉体の流通量を調整できる。
【0018】
本発明の請求項5の構成によれば、粉体の流通量を調整するために駆動制御を必須とする構成に比べ、煩雑な駆動制御をせずに粉体の流通量を調整できる。
【0019】
本発明の請求項6の構成によれば、粉体の流通量を調整するために駆動制御を必須とする構成に比べ、煩雑な駆動制御をせずに粉体の流通量を調整できる。
【0020】
本発明の請求項7の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、精度よく粉体の流通量を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るトナー搬送装置の構成を示す概略図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る搬送管の端部を上方から見た概略図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る開閉部材を示す概略図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るトナーカートリッジの構成を示す概略斜視図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るシール部材の構成を示す概略図である。
【図7】図7は、変形例に係るシール部材の構成を示す概略図である。
【図8】図8は、変形例に係るシール部材の構成を示す概略図である。
【図9】図9は、変形例に係るトナーカートリッジの構成を示す概略斜視図である。
【図10】図10は、本実施形態の構成と比較例に構成におけるDispense Rateの推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置の全体構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【0023】
画像形成装置10は、各構成装置、各構成部材が収容される装置本体11を備えている。装置本体11には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部14と、記録媒体収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送手段16と、画像形成部14によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置18と、定着装置18によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部20と、が設けられている。
【0024】
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kと、画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写体の一例としての中間転写ベルト24と、画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写する一次転写部材の一例としての一次転写ロール26と、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写部材の一例としての二次転写ロール28と、を備えている。
【0025】
画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kは、表面に静電潜像が形成される像保持体として、一方向(図1において反時計回り方向)へ回転する感光体ドラム30をそれぞれ有している。
【0026】
各感光体ドラム30の周囲には、感光体ドラム30の回転方向上流側から順に、感光体ドラム30の表面を帯電させる帯電装置32と、帯電した感光体ドラム30の表面を露光して感光体ドラム30の表面に静電潜像を形成する露光装置34と、感光体ドラム30の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置36と、トナー画像が中間転写ベルト24に転写された後の感光体ドラム30の表面を除電する除電装置38と、トナー画像が中間転写ベルト24に転写された後の感光体ドラム30の表面に残留しているトナーを除去する除去装置40と、が設けられている。
【0027】
中間転写ベルト24の上方には、粉体が収容される第1粉体収容室の一例として、トナーを収容するトナー収容室58が設けられている。このトナー収容室58は、画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kごとに設けられている。各トナー収容室58から画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kの現像装置36へトナーが供給されるようになっている。
【0028】
現像装置36は、粉体が収容される第2粉体室の一例として、トナー及び磁性キャリアを含む現像剤を収容する現像室36Aを有している。現像室36Aには、現像剤を攪拌しながら搬送する搬送部材36Bと、搬送部材36Bに搬送された現像剤を保持する現像剤保持体の一例としての現像ロール36Cが設けられている。この現像ロール36Cに保持したトナーが感光体ドラム30の表面に付着されて、静電潜像が現像される。
【0029】
トナー収容室58と現像室36Aとの間には、粉体を搬送する粉体搬送装置として、トナー収容室58から現像室36Aに向けてトナーを搬送するトナー搬送装置60が設けられている。トナー搬送装置60の構成については、後述する。
【0030】
なお、本実施形態に係るトナー搬送装置60は、トナー以外の粉体を搬送する場合に適用してもよい。例えば、周囲環境の変化や製造条件等に伴い流動性が変化する、トナー以外の粉体においても、トナー搬送装置60は適用が可能である。
【0031】
中間転写ベルト24は、二次転写ロール28に対向する対向ロール42、駆動ロール44及び支持ロール46によって支持され、感光体ドラム30と接触しながら一方向(図1において時計回り方向)へ循環移動するようになっている。
【0032】
中間転写ベルト24上には、中間転写ベルト24上に残留しているトナーを除去するトナー除去部48が設けられている。
【0033】
一次転写ロール26は、中間転写ベルト24を挟んで、感光体ドラム30に対向している。一次転写ロール26と感光体ドラム30との間には、感光体ドラム30上のトナー画像が中間転写ベルト24に一次転写される一次転写位置が形成される。この一次転写位置において、一次転写ロール26が感光体ドラム30の表面のトナー画像を圧接力と静電力により中間転写ベルト24に転写するようになっている。
【0034】
二次転写ロール28は、中間転写ベルト24を挟んで対向ロール42と対向している。二次転写ロール28と対向ロール42との間には、中間転写ベルト24上のトナー画像が記録媒体Pに二次転写される二次転写位置が形成される。
【0035】
搬送手段16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール50と、送出ロール50によって送り出された記録媒体Pを二次転写位置へ挟持搬送する搬送ロール対52と、を備えている。
【0036】
定着装置18は、二次転写位置より搬送方向下流側に配置されており、二次転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0037】
定着装置18よりも搬送方向下流側には、記録媒体Pを挟持搬送する搬送ロール対54、記録媒体Pを記録媒体排出部20へ排出する排出ロール対56が、この順で配置されている。
【0038】
また、画像形成装置10は、情報を外部へ通知する通知手段の一例として、情報を外部へ表示する表示部90を備えている。この表示部90は、例えば、後述する空気孔84の開口面積の調整量などを表示するようになっている。なお、通知手段としては、音・音声により外部に通知するスピーカーなどであってもよい。
【0039】
また、画像形成装置10は、各装置及び各部材の駆動を制御する制御部92を備えている。この制御部92は、例えば、後述する搬送部材64の駆動部69を制御するようになっている。
【0040】
次に、本実施形態に係る画像形成装置における、画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0041】
本実施形態に係る画像形成装置10において、記録媒体Pへ画像を形成する場合は、まず記録媒体収容部12から送り出された記録媒体Pが、搬送ロール対52によって二次転写位置へ送り込まれる。
【0042】
一方、中間転写ベルト24には、画像形成ユニット22Y、22M、22C、22Kで形成された各色のトナー画像が重ねられて、多色トナー画像が形成される。二次転写位置へ送り込まれた記録媒体Pは、中間転写ベルト24上に形成されたトナー画像が転写される。
【0043】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置18へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置18により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール対56により記録媒体排出部20へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0044】
(本実施形態に係るトナー搬送装置の構成)
次に、本実施形態に係るトナー搬送装置の構成を説明する。図2は、本実施形態に係るトナー搬送装置の構成を示す概略図である。
【0045】
本実施形態に係るトナー搬送装置60は、トナー収容室58から現像室36Aに向けてトナーを搬送するための搬送路62と、搬送路62に配置されトナーを搬送する搬送部材64とを備えている。
【0046】
トナー収容室58は、トナーが収容されるトナー収容容器の一例としてのトナーカートリッジ82の内部に形成されている。
【0047】
トナーカートリッジ82は、トナーを収容する容器本体82Aと、容器本体82Aに形成され、容器本体82Aに収容されたトナーを排出するための排出口82Bとを備えて構成されている。
【0048】
トナーカートリッジ82内には、容器本体82Aに収容されたトナーを排出口82Bに搬送するための搬送部材83が設けられている。搬送部材83は、例えば、トナーカートリッジ82の軸方向に沿った軸線周りに螺旋状に巻かれたコイルで構成されている。なお、搬送部材83としては、コイルに限られず、例えば、搬送部材64と同様に搬送スクリューであってもよく、他の搬送部材であってもよい。
【0049】
排出口82Bがトナーカートリッジ82の軸方向一端部側に形成され、搬送部材83は回転して、トナーカートリッジ82の軸方向他端部側から排出口82Bへトナーを搬送する。また、トナーカートリッジ82は、画像形成装置10の装置本体11に対して着脱されるようになっている。
【0050】
搬送路62は、横方向に伸びる搬送管72の内部に形成されている。搬送管72の内部に、搬送部材64が配置されている。
【0051】
搬送部材64は、搬送スクリューで構成されており、回転可能な回転軸64Aと、その回転軸64Aにその軸周りに螺旋状に設けられ回転軸64Aの回転によりトナーを搬送可能な羽根部材64Bとを備えている。
【0052】
回転軸64Aの軸方向一端部(図2における右端部)には、ギア部66が設けられている。このギア部66は、駆動部69の駆動軸70に設けられたギア部68と噛み合っている。これにより、駆動部69の駆動力によって駆動軸70が回転し、この回転力がギア部68及びギア部66を介して、回転軸64Aに伝達される。駆動軸70の回転力が伝達された回転軸64Aが回転して羽根部材64Bでトナーが搬送される。
【0053】
回転軸64Aの軸方向他端部(図2における左端部)には、搬送部材78の一端部が連結されている。搬送部材78は、螺旋状に巻かれたコイルで構成されている。
【0054】
搬送管72の中間部には、トナー収容室58からトナーが取り込まれる取込口80が形成されている。トナー収容室58の排出口82Bから落下するトナーが、取込口80から搬送管72内の搬送路62に取り込まれる。取込口80から取り込まれたトナーは、取込口80が形成された搬送管72の中間部から搬送管72の一端部側(図2における左端部側)へ搬送される。
【0055】
ここで、本実施形態では、図2及び図3に示すように、搬送管72の外部の空気を流入させるための空気孔84が搬送管72に形成されている。この空気孔84は、取込口80よりも搬送方向上流側に形成されている。すなわち、空気孔84は、取込口80が形成された搬送管72の中間部よりも、トナーが搬送される搬送管72の一端部側とは反対側の搬送管72の他端部側(図2における右端部側)に配置されている。また、空気孔84は、搬送管72の上部に形成されている。
【0056】
なお、空気孔84には、搬送管72の外部から内部への空気の流入を許容すると共に、搬送管72の内部から外部へのトナーの流出を阻止するフィルタを設けても良い。
【0057】
また、空気孔84は、搬送管72の側部及び下部等に形成しても良く、搬送管72の周方向のいずれの箇所に形成しても良い。また、空気孔84は、取込口80が形成された搬送管72の中間部及びトナーが搬送される側である搬送管72の一端部側(図2における左端部側)に形成しても良く、搬送管72の搬送方向(軸方向)のいずれの箇所に形成しても良い。搬送管72からトナーの流出可能性が高い箇所に、空気孔84を形成する場合には、上記のフィルタを設けることが望ましい。
【0058】
また、搬送管72には、図3及び図4に示すように、空気孔84の開口面積を調整する調整機構の一例としての開閉部材86が設けられている。この開閉部材86は、環状とされた帯体で形成されている。また、開閉部材86は、空気孔84を覆うように、搬送管72の外周に周方向に沿って取り付けられている。
【0059】
開閉部材86は、搬送管72の周方向に移動可能に取り付けられている。開閉部材86には、搬送管72の軸方向及び周方向において空気孔84よりも大きい開口86Aが形成されている。これにより、開閉部材86を段階的に周方向に移動させて、開口86Aを通じて空気孔84が段階的に開放される。搬送管72には、周方向に沿ってメモリ(調整量)88が記載されており、このメモリ88にあわせて開閉部材86を移動させることで空気孔84の開放面積が調整される。
【0060】
空気孔84の開放面積が調整されることにより、搬送管72内の内圧が調整される。搬送管72の内圧が調整されることにより、単位時間当たりのトナー搬送量が調整される。すなわち、搬送管72の内圧が、搬送管72からトナーが排出される排出端側の圧力に対して低くなれば、トナーの搬送が抑制され、搬送管72の内圧が、搬送管72からトナーが排出される排出端側の圧力に対して高くなれば、トナーの搬送が促進される。
【0061】
トナー搬送装置60におけるトナー搬送量の調整量によって決定される空気孔84の開口面積の調整量は、画像形成装置10の表示部90によって外部へ通知されるようになっている。
【0062】
トナー搬送量の調整量によって決定される空気孔84の開口面積の調整量は、例えば、予め測定しておき、画像形成装置10に格納する構成としても良い。具体的には、例えば、開閉部材86のメモリ88を1段階あげるごとに、トナー搬送量が、ある特定値(例えば50[mg/sec])ずつ上昇するようにメモリ88を設定するように構成してもよい。また、例えば、開閉部材86のメモリ88を1段階あげるごとに、トナー搬送量が初期設定値のある特定の割合(例えば、50%)ずつ上昇するようにメモリ88を設定するように構成してもよい。
【0063】
空気孔84での調整よりもトナー搬送量を微調整する場合に、画像形成装置10の制御部92によって搬送部材64の駆動部69が制御される。制御部92は、例えば、搬送部材64の駆動時間、回転数を制御することにより、トナー搬送量を調整する。具体的には、メモリ88の1段階で調整できる調整量よりも小さい単位で調整する場合に、例えば、メモリ88の1段階によって、例えば、50[mg/sec]単位で調整できる場合には、駆動部69での調整は、例えば、1[mg/sec]単位で調整される。
【0064】
トナー搬送量の必要な調整量は、例えば、計算上求められるトナー搬送装置60のトナー搬送量と、実際にトナー搬送装置60が搬送したトナー搬送量との差から求める構成としてもよい。
【0065】
計算上求められるトナー搬送装置60のトナー搬送量は、例えば、予め測定された搬送部材64の1回転あたりの搬送量に搬送部材64の回転数を乗じて求められる。
【0066】
実際にトナー搬送装置60が搬送したトナー搬送量は、例えば、トナーカートリッジ82の残量をセンサ等により検出することで側定される。
【0067】
トナー搬送量の必要な調整量は、トナーカートリッジ82毎に特定し、それ以降に交換されたトナーカートリッジ82において、トナー搬送量が調整される構成としてもよい。
【0068】
なお、空気孔84の開口面積を調整する調整機構としては、開閉部材86に限られず、例えば、後述するシール部材を用いてもよく、種々の構成とすることが可能である。
【0069】
(トナーカートリッジの構成)
次に、トナーカートリッジの構成について説明する。
【0070】
搬送管72に形成された空気孔84に加えて、又は替えて、トナーカートリッジ82の外部の空気を流入させるための空気孔94をトナーカートリッジ82に形成する構成を採用してもよい。
【0071】
空気孔94は、図5に示すように、トナーカートリッジ82の軸方向一端部側であって、搬送管72の上部に複数形成されている。
【0072】
なお、空気孔94には、トナーカートリッジ82の外部から内部への空気の流入を許容すると共に、トナーカートリッジ82の内部から外部へのトナーの流出を阻止するフィルタを設けても良い。
【0073】
また、空気孔94は、トナーカートリッジ82の側部及び下部等に形成しても良く、トナーカートリッジ82の周方向のいずれの箇所に形成しても良い。また、空気孔94は、トナーカートリッジ82の軸方向のいずれの箇所に形成しても良い。トナーカートリッジ82からトナーの流出可能性が高い箇所に、空気孔94を形成する場合には、上記のフィルタを設けることが望ましい。
【0074】
また、トナーカートリッジ82には、図5及び図6に示すように、空気孔94の開口面積を調整する調整機構の一例としてのシール部材96が複数設けられている。
【0075】
シール部材96は、複数の空気孔94をそれぞれ塞いでおり、開口する空気孔94の数によって空気孔94の開口面積が調整されるようになっている。
【0076】
シール部材96には、未接着であるはがし部96Aが形成されており、このはがし部96Aを掴んでシール部材96をはがすことが可能とされている。
【0077】
シール部材96の構成としては、図7に示すように、単一(1枚)で複数の空気孔94を塞ぐ構成であってもよい。この構成では、シール部材96には、各空気孔94の間にミシン目が形成されており、ミシン目でシール部材96が破断される。
【0078】
空気孔94も、図8に示すように、単一で構成されていてもよい。この構成では、空気孔94は長穴とされており、シール部材96を部分的にはがすことにより、空気孔94が部分的に開放される。
【0079】
なお、トナーカートリッジ82としては、図5に示すように、円筒形状のものに限られず、図9に示すように、例えば、平面と曲面とで囲まれた箱型形状したものでもよく、種々の形状とすることが可能である。
【0080】
また、空気孔94の開口面積を調整する調整機構としては、シール部材96に限られず、例えば、上記の開閉部材86を用いてもよく、種々の構成とすることが可能である。
【0081】
(本実施形態に係る画像形成装置の作用)
次に、本実施形態に係る画像形成装置の作用を説明する。
【0082】
トナーカートリッジ82に収容されたトナーは、排出口82Bから搬送路62に落下し、回転する搬送部材64によって、現像装置36に向かって搬送される。
【0083】
ここで、例えば、トナーが熱ストレス等を受けてその流動性が低下したものである場合には、トナー搬送装置60における時間当たりの搬送量が低下する。
【0084】
これに対して、搬送管72に形成された空気孔84の開放面積を広くして、トナー搬送装置60におけるトナー搬送量を調整する。この場合には、トナー搬送量が上昇することになる。
【0085】
なお、空気孔84に加えて、または、空気孔84に替えて、トナーカートリッジ82に形成された空気孔94の開放面積を広くして、トナーの流通量を調整してもよい。
【0086】
トナー搬送量の微調整が必要な場合には、搬送部材64の回転数又は駆動時間を調整する。
【0087】
このように、空気孔84を用いて調整するので、トナーを流通させるための搬送部材64の搬送能力に依存せず、トナー搬送量が調整される。空気孔84による調整と、搬送部材64の駆動制御による調整とで、トナー搬送量が調整されるので、搬送部材64の駆動制御のみによる調整に比べ、調整範囲が拡大される。
【0088】
なお、搬送部材64の駆動制御によるトナー搬送量の調整をせず、空気孔84のみで、トナー搬送量を調整する構成であってもよい。
【0089】
(評価)
次に、本実施形態の構成と及び比較例の構成に対して行った評価について説明する。
この評価では、上記のように空気孔84を形成した本実施形態の構成と、空気孔84を設けない比較例の構成とで行った。本実施形態の構成と、比較例の構成は、空気孔84の有無以外は、同じ構成とされている。
【0090】
評価は、高温環境化での保管により熱ストレスを受けた流動性悪いトナーと、熱ストレスを受けていない流動性の良いトナーとを使用して、トナーカートリッジ1本分の単位時間あたりのトナー搬送量(Dispense Rate)を算出することで行った。
【0091】
この結果、図10に示すように、空気孔84を設けた構成の方が、単位時間あたりのトナー搬送量が良好であることがわかる。
【0092】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0093】
10 画像形成装置
11 装置本体
30 感光体ドラム(像保持体)
36 現像装置
60 トナー搬送装置(粉体搬送装置)
62 搬送路
64 搬送部材
69 駆動部
80 取込口
82 トナーカートリッジ(粉体収容容器)
82B 排出口
82A 容器本体
84 空気孔
86 開閉部材(調整機構)
90 表示部(通知手段)
92 制御部
94 空気孔
96 シール部材(調整機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が収容される第1粉体収容室から、粉体が収容される第2粉体室に向けて粉体を搬送するための搬送路と、
前記搬送路に配置され、粉体を搬送する搬送部材と、
前記搬送路に形成され、前記搬送路の外部の空気を流入させるための空気孔と、
前記空気孔の開口面積を調整する調整機構と、
を備える粉体搬送装置。
【請求項2】
前記第1粉体収容室から前記粉体が取り込まれる取込口が、前記搬送路に形成され、
前記空気孔が、前記取込口よりも搬送方向上流側に配置されている請求項1に記載の粉体搬送装置。
【請求項3】
粉体としてのトナーを搬送する請求項2又は請求項3に記載の粉体搬送装置と、
前記粉体搬送装置によって搬送されたトナーを含む現像剤を収容する前記第2粉体室としての現像室を有する現像装置と、
表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される像保持体と、
前記粉体搬送装置におけるトナー搬送量の調整量によって決定される前記空気孔の開口面積の調整量を外部へ通知する通知手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送部材を駆動する駆動部と、
前記空気孔での調整よりも前記トナー搬送量を微調整する場合に、前記駆動部を制御する制御部と、
を備える請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
粉体を収容する容器本体と、
前記容器本体に形成され、前記容器本体に収容された粉体を排出するための排出口と、
前記容器本体に形成され、前記容器本体の外部の空気を流入させるための空気孔と、
前記空気孔の開口面積を調整する調整機構と、
を備える粉体収容容器。
【請求項6】
粉体としてのトナーを収容する請求項1に記載の粉体収容容器と、
前記粉体収容容器が着脱される装置本体と、
前記装置本体に設けられ、トナーを含む現像剤を収容する現像室を有する現像装置と、
前記装置本体に設けられ、前記粉体収容容器から前記現像室へトナーを搬送するトナー搬送装置と、
表面に形成された静電潜像が前記現像装置の前記現像剤によって現像される像保持体と、
前記粉体搬送装置におけるトナー搬送量の調整量によって決定される前記空気孔の開口面積の調整量を外部へ通知する通知手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
前記トナー搬送装置に設けられ、前記現像室に向けてトナーを搬送する搬送部材と、
前記トナー搬送装置に設けられ、前記搬送部材を駆動する駆動部と、
前記空気孔での調整よりも前記トナー搬送量を微調整する場合に、前記駆動部を制御する制御部と、
を備える請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−156909(P2010−156909A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142(P2009−142)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】