説明

紙葉類集積装置

【課題】多くの集積庫を有する紙葉類集積装置において、紙葉類が当該装置内部でスキューすることによる集積障害を軽減することが可能なスキュー検知を備えた紙葉類集積装置を提供する。
【解決手段】多くの集積庫を有する紙葉類集積装置において、当該紙葉類集積装置を構成する複数のモジュールが、搬送路に沿って上流から下流に向かって設置されるとき、例えば、搬送上流に設置されたモジュールM1のスキュー検知センサPA004でスキューを検知し、直近搬送下流に設置したモジュールM2のシフトセンサPA003でのスキュー値を推定し、この推定されたスキュー値が許容値を超えている場合には、スタッカに集積するためのゲートGA003を駆動せずスキューによるゲートとの衝突障害を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙葉類集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物等を区分する郵便物読取区分機では、郵便物の住所あるいは郵便番号の画像をスキャナで読取り、この読取った画像を認識部で認識した住所又は郵便番号からなる配達区分情報に基づき郵便物を集積部に区分集積している。この集積部は上記配達区分情報に基づいて複数のスタッカ(ポケット)が設けられており、当該集積部の製造性又は作業性を考慮してモジュール毎に分割又は追加できるように構成される。例えば、1つのモジュールにはスタッカを16個(4段4列)配置し、このモジュールを必要に応じて複数個連結できるように構成する。従って、この集積部はモジュール数に応じて数十メートルに達する場合もある。
【0003】
上述したように、郵便物は、上記認識部で配達区分情報が認識されてからポケットに集積されるまでの間、長い搬送路を搬送される場合がある。この長い搬送路を構成する搬送ベルト及び搬送ローラに挟持搬送される間に、当該郵便物は、搬送ローラに衝突を繰り返し、当該郵便物がスキューすることがある。
【0004】
従来、上述した集積部入口に当該郵便物のスキューを検知するスキュー検知センサを配置し、このスキュー検知センサで検知したスキュー値が所定の範囲内であれば正常とし、この正常判定された郵便物を当該所定のスタッカに集積している。測定したスキュー値に基づいて郵便物の搬送方向を区分ゲートで区分する場合は、当該区分ゲートの前にスキュー検知センサを配置し、その検知結果に基ずいて搬送方向を区分している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−61425号(第17頁、図19)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、上述した集積部入口に配置したスキュー検知センサで郵便物のスキューを検知した後は、再度スキュー検知を行っていない。その理由は、当該集積部入口でスキューを検知した後は、当該郵便物を指定したスタッカに集積するだけであり、スタッカの数は相当数あり、各スタッカは共通でかつシンプルな構成とすることが望まれる。従って、各スタッカ入口でスキューを再度検知して集積するのはコストアップになること、また、各スタッカ直前で高速に搬送される郵便物のスキューを検知し、そのスキュー値によってスタッカ入口に設けられたゲートを制御するには、郵便物を検知してからゲートが集積方向に移動するまでの時間を考慮する必要がありスタッカを小型化しずらいという課題がある。また、スタッカは、上述したように、その数が多いため、可能な範囲で小型化し、上述したモジュールも小型化することには経済的効果もあり望ましいことであるため、各スタッカ入口にはスキュー検知センサを配置していなかった。その結果、集積部入口ではスキュー値が正常だった郵便物がその後スキューしたことにより、上述したスタッカ入口に配置されたゲートに接触し、集積障害が発生するという課題があった。
【0007】
本実施例は、上述した課題を解決するためになされたもので、多くの集積庫を有する紙葉類集積装置において、当該紙葉類集積装置を構成する複数のモジュールが、搬送路に沿って上流から下流に向かって設置されるとき、搬送上流に設置されたモジュール内でスキューを検知し、搬送下流に設置したモジュール内のスタッカ入口に配置したゲートでのスキュー値を推定し、当該推定したスキュー値により当該ゲートの開閉を駆動制御することにより、紙葉類集積装置内部でのスキューによる集積障害を軽減することが可能な紙葉類集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の紙葉類集積装置は、搬送される紙葉類を当該紙葉類の区分情報に基づいて区分集積する紙葉類集積装置であって、前記紙葉類を集積するスタッカと、このスタッカ毎に当該スタッカの搬送方向上流に配置し、当該スタッカに集積する紙葉類の到達を検知するシフトセンサと、当該スタッカ毎に配置され、当該シフトセンサによって検知された紙葉類の搬送を分岐するためのゲートと、前記シフトセンサ、ゲート及びスタッカを一組として1個の集積庫を構成し、この集積庫を搬送路に沿って所定数配置する毎にモジュールを構成するとき、当該モジュール内の少なくとも1個の集積庫を構成するシフトセンサを搬送方向と直交する方向に2個配置して構成したスキュー検知センサと、前記モジュールを複数配置して当該紙葉類集積装置を構成するとき、紙葉類の区分情報に基づいて設定された集積庫を構成するシフトセンサ又はスキュー検知センサでのスキュー値を、当該集積庫を含むモジュールの1個搬送方向上流に設置されたモジュール内の前記スキュー検知センサで検知したスキュー値を基に推定し、当該推定されたスキュー値に基づいて当該集積庫のゲートを駆動する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2記載の紙葉類集積装置は、搬送される紙葉類を当該紙葉類の区分情報に基づいて区分集積する紙葉類集積装置であって、前記紙葉類を集積するスタッカと、このスタッカ毎に当該スタッカの搬送方向上流に配置し、当該スタッカに集積する紙葉類の到達を検知するシフトセンサと、当該スタッカ毎に配置され、当該シフトセンサによって検知された紙葉類の搬送を分岐するためのゲートと、前記シフトセンサ、ゲート及びスタッカを一組として1個の集積庫を構成し、この集積庫を搬送路に沿って所定数配置する毎にモジュールを構成するとき、当該モジュール内の少なくとも1個の集積庫を構成するシフトセンサの変わりに、搬送方向と直交する方向に2個のシフトセンサを配置して構成したスキュー検知センサと、前記モジュールを複数配置して当該紙葉類集積装置を構成するとき、紙葉類の区分情報に基づいて設定された集積庫を構成するシフトセンサ又はスキュー検知センサでのスキュー値を、当該集積庫を含むモジュールの2個搬送方向上流に設置されたモジュール内のスキュー検知センサで検知した第1のスキュー値及び1個搬送方向上流に設置されたモジュール内のスキュー検知センサで検知した第2のスキュー値から、所定の演算方式に基づいて推定し、当該推定されたスキュー値に基づいて当該集積庫のゲートを駆動する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係るスキュー検知装置を有する紙葉類集積装置
【図2】図1に示す紙葉類処理装置を構成するモジュール2の詳細
【図3】図1に示す紙葉類集積装置を構成するスタッカ入口でのスキュー状態を説明する図
【図4】図3に示すスタッカ入口でのスキュー状態の斜視図
【図5】実施例1に係るスキューの予測を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例1は、紙葉類集積装置が複数モジュール(例えば、3モジュール)で構成されるとき、搬送路の上流に配置されたモジュール内に配置したスキュー検知センサによってスキュー値を検知し、当該モジュールの直近下流に配置されたモジュールの内スタッカの入口に配置されたシフトセンサでのスキュー値を予測し、当該予測値に応じて、スタッカ入口に配置されたゲートの開閉を制御する。従って、実施例に示すように複数のモジュールが連接される場合には、一つ前のモジュールに配置された搬送路終端に設けられたスキュー検知センサによって検知されたスキュー値により、次のモジュールのスキュー値を予測することになる。
【0012】
また、本発明の実施例2は、ターゲットとする集積庫を含むモジュールの2個搬送方向上流に設置されたモジュール内のスキュー検知センサで検知したスキュー値と、1個搬送方向上流で検知したスキュー値から、所定の演算方式に基づいて当該スタッカのゲート前のシフトセンサでのスキュー値を予測し、当該ゲートを駆動する。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係るスキュー検知装置を有する紙葉類集積装置100である。この紙葉類集積装置100は、例えば、郵便物読取区分機などの集積装置として使用される。郵便物読取区分機では、郵便物の住所あるいは郵便番号の画像をスキャナで読み取り、この読取った画像を認識部で認識した住所又は郵便番号からなる配達区分情報に基づき郵便物を集積部に区分集積している。この集積部に本実施例1に係る紙葉類集積装置を用いることができる。郵便物の場合は、配達区分情報が多岐にわたることから当該紙葉類集積装置を構成するスタッカの数が数十から数百に達する場合がある。
【0015】
従って、本実施例に係る紙葉類集積装置100の上流には、当該装置に郵便物等紙葉類を取出す取出部、取出された紙葉類を高速に搬送(例えば、4m/s)する搬送部、搬送されている紙葉類を認識する認識部、認識した結果を当該紙葉類の属性として当該紙葉類集積装置に送信する搬送制御部などが、当該紙葉集積装置の上流に配置されているが、当該部分は本発明と直接的な関係がないため、その説明を省略する。
【0016】
実施例1に係る紙葉類集積装置100は、第1のモジュールM1〜第3のモジュールM3で構成された場合を示す。上述したように、スタッカの数が多い場合にはこのモジュールの数も多くなるが、同様に構成されるため、ここでは3個のモジュールM1〜M3で構成した場合について説明する。
【0017】
第2のモジュールM2は、16個のスタッカが4段(A段、B段、C段、D段)×4列に配置される。各段ごとに、当該紙葉類を搬送するA段搬送ライン10〜D段搬送ライン40が搬送ベルト及び搬送ローラで構成され、例えば、紙葉類P1は、図示したA段搬送ライン10上を上流(左側)から下流(右側)に向かって搬送される。このようにして搬送された紙葉類P1は、当該紙葉類ごとに付与された認識結果からなる属性に基づいて集積庫が設定されると、当該集積庫入口に設けられたゲートによって、分岐され、当該設定された集積庫のスタッカに集積される。なお、集積庫とは、紙葉類を集積するスタッカと、このスタッカの搬送方向上流に配置されたシフトセンサと、このシフトセンサによって検知された紙葉類の搬送を分岐するゲートを1組として1個の集積庫を構成する。
【0018】
例えば、紙葉類P1をスタッカがモジュールM2のスタッカ番号STK013(図2参照)に集積する場合には、A段搬送ライン10上に配置されたゲートGA001、GA002、GA004はオフ状態(閉じている状態)だが、ゲートGA003はオン状態(開いた状態)になりA段搬送ライン10上を左側から右側に搬送されてきた紙葉類P1は当該スタッカSTK013に集積される。なお、各集積庫のシフトセンサ及びゲートの配置位置と、該当集積庫のスタッカの配置位置が搬送方向下流に1列ずれて配置されているが、これは当該実施例に係る紙葉類の搬送方向の長さ、搬送速度によって搬送長さが設定されたのに伴い配置位置が設定されたもので、本発明の実施形態を限定したものではない。
【0019】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置を構成するモジュールM2の詳細である。
【0020】
モジュールM2のA段には、A段搬送ライン10に沿って上流から下流に向かってシフトセンサPA001・PA002・PA003、及びスキュー検知センサPA004が配置される。シフト検知センサPA001〜PA003はA段搬送ライン10を構成する搬送ベルトの上下の何れかに少なくとも1個配置され、当該A段搬送ライン10を通過する紙葉類を検知する。実施例では搬送ベルトの下側に1個配置される。
【0021】
一方、スキュー検知センサPA004は、A段搬送ライン10を構成する搬送ベルトの上下に2個配置され、当該A段搬送ライン10によって搬送される紙葉類先端の上下が当該スキュー検知センサPA004に到達する時間のずれを検知することができる。
【0022】
図示しない搬送制御部は、上記PA004に到達する時間のずれからスキュー量(値)を算出する。
【0023】
モジュールM2のB段、C段及びD段についても上記A段と同様である。B段についてはB段搬送ライン20上を紙葉類P2が搬送される。C段については、C段搬送ライン30上を紙葉類P3が搬送される。また、D段については、D段搬送ライン40上を紙葉類P4が搬送される。
【0024】
このモジュールM2のB段、C段、D段のスキュー量を検知するスキュー検知センサはそれぞれPB004、PC004及びPD004が該当する。
【0025】
上述したモジュールM2の各段で算出されたスキュー値はモジュールM2の搬送方向下流に配置されているモジュールM3で使用される。
【0026】
図3は、図1に示す紙葉類集積装置100を構成するスタッカ入口でのスキュー状態を説明する図である。図3(A)は、モジュールM1の終端のスタッカ入口に紙葉類Pが搬送されてきた状態を示す。スタッカ入口には、紙葉類Pの表裏から当該紙葉類Pを挟持搬送する搬送ベルト10a、ゲートGA004a・GA004b及びスキュー検知センサPA004a・PA004bが配置されている。
【0027】
スキュー検知センサPA004a及びPA004bはそれぞれ投光器及び受光器受で構成され、搬送ベルトの上下でかつ紙葉類Pの搬送方向に対して直交する位置に配置され、立位状態で搬送される紙葉類Pを検知する。
【0028】
従って、スキュー量は、スキュー検知センサPA004a及びPA004bで当該紙葉類Pを検知したときの検知タイミングのずれを所定のクロックでカウントすることにより算出される。この種のスキュー検知方法は一般的に知られている技術によって実施することが可能であり、その詳細の記述を省略する。
【0029】
図3(A)は、紙葉類Pがスキューなし(スキュー値が許容値以内)で搬送されている状態を示す。
【0030】
図3(B)は、紙葉類集積装置100に紙葉類Pが搬送されてきたときにはスキューしていなかったが、その後、紙葉類集積内モジュールを通過する間にスキューしてしまった場合を示す。この場合、例えば、従来のように、紙葉類集積装置100の入口で当該搬送されてきた紙葉類のスキューを検知した際にはスキューしていないため、本実施例のスキュー推定を行わない場合には、図示した紙葉類Paの状態で搬送されてきたものとみなしてゲートGA004a及びGA004bを集積するために図示矢印A方向に駆動(オン)しようとすると、ゲートGA004a及びGA004bが駆動される前に、スキュー状態にある紙葉類P1が当該ゲートGA004aの接触点Tで衝突してしまう場合がある。図3(b)は正にこの衝突した場合を示す。
【0031】
図4は、図3に示すスタッカ入口でのスキュー状態の斜視図である。図4(A)は図3(A)に対応し、図4(B)は、図3(B)に対応する。図5は、実施例1に係るスキューの予測を説明する図である。
【0032】
モジュールM1のスキュー検知センサPA004で紙葉類P1のスキューを検知する。この検知によって、スキュー値aが検知される。このスキュー値aに基づいて、モジュールM2内のシフトセンサPA001に当該紙葉類P1がに到達してからゲートGA001を駆動するまでの時間を設定する。具体的には、紙葉類P1がモジュールM2のシフトセンサPA001によって検知されると、そのときには、当該紙葉類の上端は当該スキュー値aに相当する距離Daだけ搬送方向前方に前進しているものと予想されることから、紙葉類P1がシフトセンサPA001に到達後、当該スキュー値aに相当する時間早目にゲートGA001を駆動する。
【0033】
同様に、モジュールM2内のシフトセンサPA002に当該紙葉類P1が到達してからゲートGA002を駆動するまでの時間を当該スキュー値aに相当する時間早目に設定する。
【0034】
同様に、モジュールM2内のシフトセンサPA003に当該紙葉類P1が到達してからゲートGA003を駆動するまでの時間を当該スキュー値aに相当する時間早目に設定する。
【0035】
同様に、モジュールM2内のシフトセンサPA004に当該紙葉類P1が到達してからゲートGA004を駆動するまでの時間を当該スキュー値aに相当する時間早目に設定する。
【0036】
上述した例は、紙葉類P1の上端が前進した状態のスキューをしている場合について説明したが、紙葉類P1の下端が前進した状態のスキューをしている場合にはスキュー値aに相当する時間遅らしてからゲートを駆動することも可能である。
【0037】
このようにすることにより、当該モジュール(例えばモジュールM2)の一つ前のモジュール(例えばモジュールM1)の終端に配置したスキュー検知センサPA004により当該モジュールM2のゲートGA001からGA004の駆動タイミングを設定することにより、当初、スキューしていなかった紙葉類がその後スキューした場合に当該集積装置内部でゲートに衝突する障害を防止することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、図5に示すモジュールM3のスタッカ009に集積する場合につて説明する。紙葉類P1のモジュールM1のスキュー検知センサPA004によってスキュー値aが検知され、当該紙葉類P1がモジュールM2のスキュー検知センサPA004によってスキュー値b(b>a)が検知された場合を例に説明する。
【0039】
この例は、紙葉類集積装置100のモジュール内で搬送される間に徐々にスキュー値が大きくなる場合を示す。従来、この種のスキューした紙葉類に対する対応が十分ではなかった。すなわち、紙葉類集積装置100に供給する前の状態では、紙葉類のスキュー値がスタッカに集積可能な許容値内にあるため、スキュー検知異常にはならないが、その後にスキュー値が許容値を超えてしまい、集積状態が悪い又は、ゲートに衝突するなどの障害を誘発する可能性がある。
【0040】
本実施例では、以下のように処理する。モジュール1のスキュー検知センサPA004でスキュー値aが検知され、次のモジュールM2のスキュー検知センサでスキュー値bが検知された。この場合、モジュールM1のスキュー値aとモジュールM2のスキュー値bからスキュー値の変化分を直線近似により推定し、この近似した直線上にモジュールM3内の各シフトセンサのスキュー値を推定する。以下に一例を記載する。
【0041】
SK=|a−b|・・・・・・・・・・・・・・・(1)
a<bの場合
c=b+(SK/4)×n・・・・・・・・・・・(2)
a>bの場合
c=a―(SK/4)×n・・・・・・・・・・・(3)
a:2モジュール前のスキュー検知センサで検知したスキュー値
b:1モジュール前のスキュー検知センサで検知したスキュー値
c:当該モジュール(ここでは、モジュールM3)のターゲットとするシフトセンサ(ここでは、シフトセンサPA002)でのスキュー値の推定値
n:モジュール内でのシフトセンサの配置順番
n=1:シフトセンサPA001をターゲットとする場合
n=2:シフトセンサPA002をターゲットとする場合
n=3:シフトセンサPA003をターゲットとする場合
n=4:シフトセンサPA004をターゲットとする場合
一例を示すと
スキュー値a=1°:モジュールM1で検知したスキュー値
スキュー値b=3°:モジュールM2で検知したスキュー値
とするとき、モジュールM3のシフトセンサPA002でのスキュー値の推定値は、上記(2)式より、下記のように算出される。
c=3+(2/4)×2=4°
上記算出されたスキュー値4°に基づいて算出される推定スキュー値cに相当する距離Dcだけ、紙葉類の上端が搬送方向に前進しているものと予想される。
【0042】
この場合は、スキュー検知の許容値が3°の場合、当該許容値3°を超えており、このまま、当該スタッカに集積した場合には障害の発生が予想されるため、当該スタッカへの集積を行わず、モジュールの終端に配置される排除券スタッカまで搬送されて集積される。
【0043】
この場合は、モジュールM3のシフトセンサPA002に対応するスタッカに集積しないために、当該シフトセンサに対応するゲートGA002を駆動しないため、ゲートと衝突することもなく、また、対応するスタッカに集積することもないため、当該集積時の障害の発生も減少させることができる。
【0044】
なお、上記例では、モジュールM3のシフトセンサPA002での推定スキュー値cが許容値を超える場合について説明したが、当該推定スキュー値cが許容値内に入る場合には、紙葉類がモジュールM3のシフトセンサPA002に到達後、ゲートGA002を駆動し、当該スタッカへ集積する。シフトセンサに紙葉類が到達後、ゲートに到達する時間を利用して、ゲートを駆動すれば無駄時間の発生がなく、かつ、小型の紙葉類集積装置にすることができる。
【0045】
また、供給された紙葉類のモジュールM1でのスキュー値は4°であるが、モジュールM2でのスキュー値が3°であり、モジュールM3のシフトセンサPA002でのスキュー値の推定値が2.5°となる場合には、当該紙葉類は、当該シフトセンサPA002に対応するスタッカに集積されるのは当然である。
【0046】
以上説明したように、紙葉類を集積するスタッカが設定された場合には、当該スタッカが配置されているモジュールの2個前のモジュールにおける当該紙葉類のスキュー値及び1個前のモジュールにおける当該紙葉類のスキュー値から当該スタッカ入口に設置されたシフトセンサでのスキュー値を推定し、当該推定値に基づいて当該スタッカ前に配置したゲートを制御することによりゲート開閉に伴う衝突やスキュー紙葉類を集積することによるトラブルを減少させることができる。また、スタッカ入口に配置されたシフトセンサとゲート間の距離を、ゲート駆動のための最小の距離にすることができるため、モジュールの小型化が可能になる。
【符号の説明】
【0047】
P、P1、Pa:紙葉類
PA001〜PA003 シフトセンサ
PB001〜PB003 シフトセンサ
PC001〜PC003 シフトセンサ
PD001〜PD004 シフトセンサ
GA001〜GA004 ゲート
GB001〜GB004 ゲート
GC001〜GC004 ゲート
GD001〜GD004 ゲート
PA004、PB004、PC004、PD004 スキュー検知センサ
100:紙葉類集積装置
10 A段搬送ライン
20 B段搬送ライン
30 C段搬送ライン
40 D段搬送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される紙葉類を当該紙葉類の区分情報に基づいて区分集積する紙葉類集積装置であって、
前記紙葉類を集積するスタッカと、
このスタッカ毎に当該スタッカの搬送方向上流に配置し、当該スタッカに集積する紙葉類の到達を検知するシフトセンサと、
当該スタッカ毎に配置され、当該シフトセンサによって検知された紙葉類の搬送を分岐するためのゲートと、
前記シフトセンサ、ゲート及びスタッカを一組として1個の集積庫を構成し、この集積庫を搬送路に沿って所定数配置する毎にモジュールを構成するとき、当該モジュール内の少なくとも1個の集積庫を構成するシフトセンサを搬送方向と直交する方向に2個配置して構成したスキュー検知センサと、
前記モジュールを複数配置して当該紙葉類集積装置を構成するとき、紙葉類の区分情報に基づいて設定された集積庫を構成するシフトセンサ又はスキュー検知センサでのスキュー値を、当該集積庫を含むモジュールの1個搬送方向上流に設置されたモジュール内の前記スキュー検知センサで検知したスキュー値を基に推定し、当該推定されたスキュー値に基づいて当該集積庫のゲートを駆動する制御手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類集積装置。
【請求項2】
搬送される紙葉類を当該紙葉類の区分情報に基づいて区分集積する紙葉類集積装置であって、
前記紙葉類を集積するスタッカと、
このスタッカ毎に当該スタッカの搬送方向上流に配置し、当該スタッカに集積する紙葉類の到達を検知するシフトセンサと、
当該スタッカ毎に配置され、当該シフトセンサによって検知された紙葉類の搬送を分岐するためのゲートと、
前記シフトセンサ、ゲート及びスタッカを一組として1個の集積庫を構成し、この集積庫を搬送路に沿って所定数配置する毎にモジュールを構成するとき、当該モジュール内の少なくとも1個の集積庫を構成するシフトセンサの変わりに、搬送方向と直交する方向に2個のシフトセンサを配置して構成したスキュー検知センサと、
前記モジュールを複数配置して当該紙葉類集積装置を構成するとき、紙葉類の区分情報に基づいて設定された集積庫を構成するシフトセンサ又はスキュー検知センサでのスキュー値を、当該集積庫を含むモジュールの2個搬送方向上流に設置されたモジュール内のスキュー検知センサで検知した第1のスキュー値及び1個搬送方向上流に設置されたモジュール内のスキュー検知センサで検知した第2のスキュー値から、所定の演算方式に基づいて推定し、当該推定されたスキュー値に基づいて当該集積庫のゲートを駆動する制御手段と、
を備えたことを特徴とする紙葉類集積装置。
【請求項3】
前記所定の演算式は、
前記第1のスキュー値及び第2のスキュー値の差分を基に、紙葉類の区分情報に基づいて設定された集積庫を構成するシフトセンサ又はスキュー検知センサの配置されている位置まで、直線近似してスキュー値を算出することを特徴とする請求項2記載の紙葉類集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−192340(P2012−192340A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58320(P2011−58320)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】