細長い繊維材料を光学走査するための装置および方法
糸(9)を光学走査するための装置(1)は、第1スペクトル領域で糸(9)を光学走査するための第1光学走査手段(21、3)と、第1スペクトル領域とは異なる第2スペクトル領域で糸(9)を光学走査するための第2光学走査手段(22、3)とを含む。第1光学走査手段(21、3)および第2光学走査手段(22、3)は、第1スペクトル領域で反射し、ただし第2スペクトル領域では反射しない背景(4)の前に配置される。したがって、本発明は、明色背景(4)を用いた測定と暗色背景(4)を用いた測定の利点を一本化する。したがって、糸の明色の異物も暗色の異物も確実に認識することができ、異なる異物は相互に区別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文による、糸、ロービング、カードスライバのような細長い繊維材料を光学走査するための装置および方法に関する。本発明は、細長い繊維材料における異物を認識するのに特に適している。
【背景技術】
【0002】
糸、例えば綿糸または毛糸において異物は極めて望ましくない。異物は、糸の機械的性質を変化させ、織物での加工糸の破損を引き起こすことがある。着色すると、異物は、残りの糸とは異なる色を呈し、これが仕上げ布では目立ち、そのことが品質の低下につながる。異物によるこのような汚れの一例として、原綿を包装するのに使用されるポリプロピレンフィルムの残物がある。このような汚れを光学的に認識するための装置が知られており、好ましくは、欠陥、例えば厚い箇所または薄い箇所および汚れも糸から除去する糸クリアラーと組み合わせて適用される。
【0003】
知られている種類の装置が欧州特許出願公開第0761585号明細書に開示されている。走査すべき糸が、測定ギャップを通り長手方向に移動され、光源により照射される。第1受光器が、糸を透過する光を検出し、第2受光器が、糸により反射する光を検出する。透過信号および反射信号を適切に処理することにより、欠陥を認識するばかりでなく、それらを例えば厚い箇所、薄い箇所、または汚れの範疇に分けることもできる。欧州特許出願公開第0553446号明細書も同じ問題を解決しており、2つの光源および受光器を有して、適切な一時的活性化により透過および反射の測定も可能である。
【0004】
欧州特許出願公開第0761585号明細書で開示されている装置のさらなる展開が、国際公開第2004/044579号明細書に示されている。後者の刊行物によれば多色の光源が使用される。受信される異なる色の光信号を適切に処理することにより、糸に存在する異なる異物を相互に区別することができる。したがって、場合によっては、不安な異物を除去することができ、対照的に、不安でない異物は糸に残すことができる。
【0005】
スイス特許出願公開第674379号明細書またはドイツ特許出願公開第19859274号明細書からは、異なる波長の繊維材料を同時に光学走査することも知られている。
【0006】
図1に光検出器の出力信号を表す。この検出器は、先行技術による装置内、例えばドイツ特許出願公開第19859274号明細書による装置内に設置されている。出力信号は、装置を通り長手方向に移動される明色の糸の長さの関数として表される。この糸は、色の異なる4つの欠陥またはマークS、W、R、G、具体的には、広帯域で強吸収の欠陥(黒色、S)、広帯域で強反射の欠陥(白色、W)、赤色の欠陥(R)、および緑色の欠陥(G)を有する。照射は広帯域の白色光源により実施され、背景は広帯域方式で反射する、すなわち白色か明色であると仮定する。
【0007】
このような測定に関して、光は直接および/または散乱により背景に達し、この背景により少なくとも部分的に検出器の方向に反射および/または散乱するので背景は重要である。図1が示すように、黒色の欠陥は、白色背景に対して良好に検出される。ところが、白色、赤色、緑色の欠陥は、検出器信号の初期レベルからの弱い偏差を引き起こすのみであり、従って常に容易に検出されるわけではない。欧州特許出願公開第0197763号明細書は、糸の光学走査の結果に対する背景の影響に関係している。この後者の文献によれば、糸とその背景とが拡散式に照射され、反射光が検出される。これによって、背景は、糸と同様の反射率(例えば同様の色)を有するように選択されるので、反射光の強度は糸の厚さではなく異物のみに影響される。
【0008】
反射する背景ではなく、吸収する(黒色または暗色の)背景を適用する場合、図1に類似した状況が存在する。このような装置も先行技術から知られており、図2は、暗色の糸用に装置中に設置された検出器の代表的な出力信号を示す。この場合、白色の欠陥Wのみが大きな信号変化を生じる一方、黒色S、赤色R、または緑色Gの欠陥は検出するのが困難である。
【0009】
図1および図2に描く信号の比較により、一方では白色背景を用いた測定を、他方では黒色背景を用いた測定を実行する要望が生じることになる。したがって、少なくとも黒色および白色の欠陥は、信頼できるやり方で検出し相互に区別することができる。このことは、先行技術による2つの検出器を直列に配置し、第1検出器に白色背景を、第2検出器に黒色背景を装備することによって行うことができよう。ところが、このように直列に配置することは、単一の配置に比較して2倍の空間を要し、製造費用に関して2倍高くなるという欠点を有する。これは許容できない。まさに完全に相反する背景、すなわち白色および黒色の背景が相互に対して「融合」できないことから、当業者はその他の任意の解決法を承知していないであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、繊維材料における異物を一層高い感度で確実に認識および区別できる、細長い繊維材料を光学走査するための装置および方法を明示することである。また、可能なら、異なる異物を相互に区別できなければならない。これらおよびその他の課題は、独立請求項に明示されるような装置および方法により達成される。有利な実施形態は従属請求項に明示されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一見解決不可能な、白色背景および黒色背景の所望する融合との矛盾を克服する。本発明による解決法の基本概念は、色の異なる光を用いて繊維材料の2つの光学走査を実行して、使用する光の色と背景の色とを相互に適合させ、背景が一方の光の色を反射し、他方の光の色を吸収するようにすることにある。したがって、一方の光学走査は「明色の」背景に対して実施され、他方の光学走査は「暗色の」背景に対して実施される。従って、本発明は、明色(または白色)背景および暗色(または黒色)背景を用いた測定の利点を一本化する。
【0012】
本発明により、特に、明色の異物ならびに暗色の異物を確実に認識することができる。さらに、本発明は、繊維材料の色および異物に関する有益な情報を提供することもできる。したがって、本発明により、繊維材料に存在する異なる異物の区別が可能になる。場合によって、不安な異物を除去し、支障のない異物は繊維材料に残すことができる。したがって、機器の出力は増大する。
【0013】
従って、細長い繊維材料を光学走査するための本発明による装置は、第1スペクトル領域で繊維材料を光学走査するための第1光学走査手段、および第1スペクトル領域とは異なる第2スペクトル領域で繊維材料を光学走査するための第2光学走査手段を有する。第1および第2光学走査手段は、背景スペクトル領域で反射する背景の前に配置されており、この背景スペクトル領域の第1スペクトル領域との交わりは空でない集合であり、この背景スペクトル領域の第2スペクトル領域との交わりは基本的に空集合である。
【0014】
細長い繊維材料を光学走査するための本発明による方法において、繊維材料は、第1スペクトル領域、および第1スペクトル領域とは異なる第2スペクトル領域において光学走査される。光学走査のために、背景スペクトル領域で反射する背景を使用する。この背景スペクトル領域の第1スペクトル領域との交わりは空でない集合であり、この背景スペクトル領域の第2スペクトル領域との交わりは基本的に空集合である。
【0015】
本文献を通じて「背景」のことを言う場合、この表現に関しては、光学走査に使用する繊維材料および/または光学部品(反射によってであろうと散乱によってであろうと、その繊維材料および/または光学部品から、使用される受光器に光が到達する)の環境を意図している。例えば特許文献1または特許文献3から知られているような代表的な装置において、背景は、例えば繊維材料がそこを通り移動される測定ギャップであり、走査光がそこを案内される光ダクトであり、あるいは少なくともその部分である。
【0016】
本文献における「光」「光学の」等のような用語は、これにより可視光だけでなく、紫外線(UV)および赤外線(IR)スペクトル領域における電磁放射線をも理解すべきであるという点で、広い意味において理解されるべきである。
【0017】
本発明の2、3の有利な実施形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図3の一実施例によって本発明の基本概念を略示する。そこでは、一方では、繊維材料を光学走査するのに使用する走査光のスペクトル分布を波長の関数としてプロットする。相互に異なる少なくとも2つのスペクトル領域61、62における走査光、例えば緑色光および赤色光を使用する。他方では、本発明による装置の背景の波長依存反射率も図3にプロットする。既にさらに上述したように、繊維材料と相互作用する光は別として、背景により反射および/または散乱する光も常に検出されることから、背景は測定に影響する。そこで本発明によれば、背景は背景スペクトル領域64で反射し、この背景スペクトル領域の第1スペクトル領域61との交わりは空ではなく、この背景スペクトル領域の第2スペクトル領域62との交わりは基本的に空である。本明細書で検討する例において、背景は緑色であり、背景スペクトル領域63は第1スペクトル領域61を完全に含む。スペクトル領域61、62、64の発明的選択は、緑色光を用いた光学走査が明色背景に対して実施される一方で、赤色光を用いた光学走査が暗色背景に対して実施されるという結果を有する。この理由で、緑色光を用いた走査は、暗色の(または緑色でない)異物を認識するのに特に適しており、赤色光を用いた走査は、明色の(または赤色の)異物を認識するのに特に適している。したがって、本発明は、白色(または明色)背景および黒色(または暗色)背景を用いた測定の利点を一本化する。
【0019】
図4は、スペクトル領域61、62、64に関する光学走査の出力信号を略示している。図4(a)では、緑色背景に対して緑色光を用いた光学走査の出力信号SGを表し、図4(b)では、緑色背景に対して赤色光を用いた光学走査の出力信号SRを表す。いずれの場合も、本発明による装置を通り長手方向に移動される繊維材料の長さlの関数として出力信号SG、SRをプロットしており、該繊維材料は、色の異なる4つの欠陥、具体的には黒色の欠陥S、白色の欠陥W、赤色の欠陥R、および緑色の欠陥Gを有する。黒色の欠陥Sは緑色の走査光を用いると大きく信号が変化し、白色の欠陥Wは赤色の走査光を用いると大きく信号が変化する。両方の出力信号SG、SRを有する赤色の欠陥Rは、大きな信号変化をもたらす一方、この2つの信号SG、SRを有する緑色の欠陥Gはむしろ小さな信号変化を生じる。いずれの場合も、照射と背景との目標となる適合のおかげで、少なくとも黒色の欠陥Sおよび白色の欠陥Wを同じ装置により確実に認識し、相互に区別できるということがこのグラフから明らかである。
【0020】
検出器信号から、繊維材料の色および/または欠陥S、W、R、Gに関する情報も得ることができる。これは特に、2つ(61、62)以上のスペクトル領域を光学走査に使用する場合である。図5および図6は、図3および図4に類似の表現で、原色である緑色(G)、赤色(R)、青色(B)に基本的にそれぞれ対応する3つのスペクトル領域61〜63が走査に使用される対応する例を示す。この例において、第3の青色スペクトル領域63および第1の緑色スペクトル領域61で反射する背景が想定される。図6から明らかなように、傷のある場所の色R、G、Bの各々に関するこの実施形態は、出力信号SB、SG、SRのうちの1つが少なくとも1つで著しく変化する。これは、2つの走査光の色61、62で緑色Gのみが弱く信号変化し、したがって、ある程度「わかりにくい色」を表した図3および図4の実施形態とは対照的である。
【0021】
既にさらに上述したように、本発明は決して可視光に限定されず、IRまたはUVにおける電磁放射線にも適用することができる。個々の走査スペクトル領域61〜63に対応する受光器の信号SB、SG、SRを評価するための適切なアルゴリズムが知られている。
【0022】
図7〜図10は、本発明による装置1の様々な実施形態の重要な要素を略示している。
【0023】
図7の実施形態では、2つの異なる光源21、22(緑色光51を発するための第1光源21、および赤色光52を発するための第2光源22)、ならびに、緑色光51も赤色光52も受けることのできる単一の受光器3がある。光源21、22は例えば発光ダイオード(LED)とすることができる。1つの(極めて概略的に描いただけの)背景4は、第1光源21の光51のように緑色である。走査すべき細長い繊維材料9は、図面の平面に対して少なくともほぼ垂直であり、装置1を通りその長手方向軸に沿って移動される。緑色光51を用いた光学走査も、赤色光52を用いた光学走査も、ここでは反射光の下で実施される。すなわち、主として繊維材料9から反射および/または散乱する光が検出される。緑色光51を用いた測定と、赤色光52を用いた測定とを相互に区別できるようにするために、測定を連続的なやり方で実行することが有利である。この目的で、光源21、22は、周期的に交代するやり方でオンオフを切り替えることができる。これによって、実際には、赤色光52を用いても緑色光51を用いても、繊維材料9の同じ場所(長手方向で)が走査されるように時間周期を短く選択しなければならない。すなわち、繊維材料9は、時間周期内で多くても1ミリメートルの何分の1かだけ前進させるべきである。当然ながら、一方のスペクトル領域61から他方のスペクトル領域62への切り替えは、別の手段により実施することもできる。光源21、22自体のオンオフを切り替える代わりに、それらの下流に、相互に同期される変調器(例えばいわゆる測定分断器)(図示せず)を配置することもできる。別の(図示しない)実施形態では、受光器の上流に色フィルタを配置すると、その透過範囲は緑色から赤色へと、またその逆に、一時的に変化する。
【0024】
図7の実施形態と対照的に、図8の実施形態は、広帯域方式で発光する単一の光源2、例えば白色発光ダイオードを有する。色の異なる光を検出するのに適した2つの受光器31、32が存在する。これは、簡単なやり方で、例えば第1受光器31の前に緑色の第1色フィルタ33を配置し、第2受光器32の前に赤色の第2色フィルタ34を配置することにより遂行される。緑色成分51ならびに赤色成分52を含む、光源2により発する光は、繊維材料に衝突し、これにより少なくとも部分的に受光器31、32へと反射および/または散乱する。背景4はここでも緑色である。両受光器31、32がそれぞれ光51、52を連続的に受け、それらの出力信号を連続的に生成できる、すなわち走査光の調節は不要であるという点で、この実施形態は図7の実施形態に勝る利点を有する。一方で、この実施形態の不利点は、2つの受光器31、32が繊維材料9の外面に沿った異なる場所に向けられているということである。用途に応じて、図7または図8の実施形態が好まれるであろう。本発明による装置1は、設計に関して、想定される用途にその都度最適化されるべきである。
【0025】
当然ながら、本明細書で概略的に説明した実施形態にさらなる要素を付加することが可能である。したがって、繊維材料の厚さを走査するための厚さ走査手段を提供して、厚い箇所、薄い箇所、および汚れを相互に区別できるようにすることを有利とすることができる。図9は、図7の実施形態のさらなる展開を示しており、そこでは、この目的で、付加的なさらなる光源29を提供する。さらなる光源29は繊維材料9の反対側に配置されており、その光59は繊維材料9により部分的に吸収されて、特許文献2の教示と同じように、部分的に受光器3に衝突する。図10の実施形態では、図8の実施形態のさらなる展開として、付加的なさらなる受光器39を提供する。さらなる受光器39は繊維材料9の反対側に配置されており、光源2により発する光が繊維材料9により部分的に吸収されて、特許文献1の教示と同じように、部分的にさらなる受光器39に衝突する。これによって、さらなる光源29またはさらなる受光器39のスペクトル特性は、受光器3および39によりそれぞれ光を検出できる限りにおいてさほど重大でなくなる。従って、この目的で、単純な単色発光ダイオード29または単純な広帯域シリコン受光器39を使用することができる。
【0026】
図7および図8の実施形態では反射光の下で測定を実施するのに対して、図11および図12では、反射光測定と透過光測定とを組み合わせたものを使用する2つの実施形態を提示する。
【0027】
図11の実施形態は図7の実施形態と類似している。ここでも、色の異なる2つの、好ましくは同期変調される光源21、22、および単一の受光器3が存在する。一方で、緑色光51を用いた走査が透過光の下で実施されるように、緑色光源21が繊維材料9を照射する。対照的に、赤色光52を用いた走査は、図7でのように、反射光の下で実行される。背景4は緑色である。
【0028】
最後に、図12は、図8の実施形態と同様に、単一の広帯域光源2および選択的に検出する2つの受光器31、32を使用する実施形態を示す。緑色光51を検出する第1受光器31は透過光を測定し、赤色光52を検出する第2受光器32は反射光を測定する。受光器31、32が繊維材料9の両側に配置されていることから、緑色背景4を相応に配置しなければならない。
【0029】
本発明は、当然ながら、上で検討した例示の実施形態に限定されない。本発明の知識により、当業者は、これも本発明の主題に属するさらなる変形を推定することができる。具体的には、光学走査用および背景4用に別の波長範囲を選択することができる。光学走査用に、3つ以上のスペクトル領域を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】色の異なる欠陥の、先行技術による2つの装置の検出器の出力信号である。
【図2】色の異なる欠陥の、先行技術による2つの装置の検出器の出力信号である。
【図3】光波長の関数としての、放射された走査光のスペクトル分布、および本発明による装置の背景の反射率である。
【図4】色の異なる欠陥の、本発明による装置の2つまたは3つの検出器の出力信号である。
【図5】光波長の関数としての、放射された走査光のスペクトル分布、および本発明による装置の背景の反射率である。
【図6】色の異なる欠陥の、本発明による装置の2つまたは3つの検出器の出力信号である。
【図7】本発明による装置の実施形態である。
【図8】本発明による装置の実施形態である。
【図9】本発明による装置の実施形態である。
【図10】本発明による装置の実施形態である。
【図11】本発明による装置の実施形態である。
【図12】本発明による装置の実施形態である。
【符号の説明】
【0031】
1 装置
2 光源
21 第1光源
22 第2光源
29 さらなる光源
3 受光器
31 第1受光器
32 第2受光器
33 第1色フィルタ
34 第2色フィルタ
39 さらなる受光器
4 背景
51 第1スペクトル領域の光
52 第2スペクトル領域の光
59 厚さを走査するための光
61 第1スペクトル領域
62 第2スペクトル領域
63 第3スペクトル領域
64 背景スペクトル領域
9 繊維材料
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前文による、糸、ロービング、カードスライバのような細長い繊維材料を光学走査するための装置および方法に関する。本発明は、細長い繊維材料における異物を認識するのに特に適している。
【背景技術】
【0002】
糸、例えば綿糸または毛糸において異物は極めて望ましくない。異物は、糸の機械的性質を変化させ、織物での加工糸の破損を引き起こすことがある。着色すると、異物は、残りの糸とは異なる色を呈し、これが仕上げ布では目立ち、そのことが品質の低下につながる。異物によるこのような汚れの一例として、原綿を包装するのに使用されるポリプロピレンフィルムの残物がある。このような汚れを光学的に認識するための装置が知られており、好ましくは、欠陥、例えば厚い箇所または薄い箇所および汚れも糸から除去する糸クリアラーと組み合わせて適用される。
【0003】
知られている種類の装置が欧州特許出願公開第0761585号明細書に開示されている。走査すべき糸が、測定ギャップを通り長手方向に移動され、光源により照射される。第1受光器が、糸を透過する光を検出し、第2受光器が、糸により反射する光を検出する。透過信号および反射信号を適切に処理することにより、欠陥を認識するばかりでなく、それらを例えば厚い箇所、薄い箇所、または汚れの範疇に分けることもできる。欧州特許出願公開第0553446号明細書も同じ問題を解決しており、2つの光源および受光器を有して、適切な一時的活性化により透過および反射の測定も可能である。
【0004】
欧州特許出願公開第0761585号明細書で開示されている装置のさらなる展開が、国際公開第2004/044579号明細書に示されている。後者の刊行物によれば多色の光源が使用される。受信される異なる色の光信号を適切に処理することにより、糸に存在する異なる異物を相互に区別することができる。したがって、場合によっては、不安な異物を除去することができ、対照的に、不安でない異物は糸に残すことができる。
【0005】
スイス特許出願公開第674379号明細書またはドイツ特許出願公開第19859274号明細書からは、異なる波長の繊維材料を同時に光学走査することも知られている。
【0006】
図1に光検出器の出力信号を表す。この検出器は、先行技術による装置内、例えばドイツ特許出願公開第19859274号明細書による装置内に設置されている。出力信号は、装置を通り長手方向に移動される明色の糸の長さの関数として表される。この糸は、色の異なる4つの欠陥またはマークS、W、R、G、具体的には、広帯域で強吸収の欠陥(黒色、S)、広帯域で強反射の欠陥(白色、W)、赤色の欠陥(R)、および緑色の欠陥(G)を有する。照射は広帯域の白色光源により実施され、背景は広帯域方式で反射する、すなわち白色か明色であると仮定する。
【0007】
このような測定に関して、光は直接および/または散乱により背景に達し、この背景により少なくとも部分的に検出器の方向に反射および/または散乱するので背景は重要である。図1が示すように、黒色の欠陥は、白色背景に対して良好に検出される。ところが、白色、赤色、緑色の欠陥は、検出器信号の初期レベルからの弱い偏差を引き起こすのみであり、従って常に容易に検出されるわけではない。欧州特許出願公開第0197763号明細書は、糸の光学走査の結果に対する背景の影響に関係している。この後者の文献によれば、糸とその背景とが拡散式に照射され、反射光が検出される。これによって、背景は、糸と同様の反射率(例えば同様の色)を有するように選択されるので、反射光の強度は糸の厚さではなく異物のみに影響される。
【0008】
反射する背景ではなく、吸収する(黒色または暗色の)背景を適用する場合、図1に類似した状況が存在する。このような装置も先行技術から知られており、図2は、暗色の糸用に装置中に設置された検出器の代表的な出力信号を示す。この場合、白色の欠陥Wのみが大きな信号変化を生じる一方、黒色S、赤色R、または緑色Gの欠陥は検出するのが困難である。
【0009】
図1および図2に描く信号の比較により、一方では白色背景を用いた測定を、他方では黒色背景を用いた測定を実行する要望が生じることになる。したがって、少なくとも黒色および白色の欠陥は、信頼できるやり方で検出し相互に区別することができる。このことは、先行技術による2つの検出器を直列に配置し、第1検出器に白色背景を、第2検出器に黒色背景を装備することによって行うことができよう。ところが、このように直列に配置することは、単一の配置に比較して2倍の空間を要し、製造費用に関して2倍高くなるという欠点を有する。これは許容できない。まさに完全に相反する背景、すなわち白色および黒色の背景が相互に対して「融合」できないことから、当業者はその他の任意の解決法を承知していないであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、繊維材料における異物を一層高い感度で確実に認識および区別できる、細長い繊維材料を光学走査するための装置および方法を明示することである。また、可能なら、異なる異物を相互に区別できなければならない。これらおよびその他の課題は、独立請求項に明示されるような装置および方法により達成される。有利な実施形態は従属請求項に明示されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一見解決不可能な、白色背景および黒色背景の所望する融合との矛盾を克服する。本発明による解決法の基本概念は、色の異なる光を用いて繊維材料の2つの光学走査を実行して、使用する光の色と背景の色とを相互に適合させ、背景が一方の光の色を反射し、他方の光の色を吸収するようにすることにある。したがって、一方の光学走査は「明色の」背景に対して実施され、他方の光学走査は「暗色の」背景に対して実施される。従って、本発明は、明色(または白色)背景および暗色(または黒色)背景を用いた測定の利点を一本化する。
【0012】
本発明により、特に、明色の異物ならびに暗色の異物を確実に認識することができる。さらに、本発明は、繊維材料の色および異物に関する有益な情報を提供することもできる。したがって、本発明により、繊維材料に存在する異なる異物の区別が可能になる。場合によって、不安な異物を除去し、支障のない異物は繊維材料に残すことができる。したがって、機器の出力は増大する。
【0013】
従って、細長い繊維材料を光学走査するための本発明による装置は、第1スペクトル領域で繊維材料を光学走査するための第1光学走査手段、および第1スペクトル領域とは異なる第2スペクトル領域で繊維材料を光学走査するための第2光学走査手段を有する。第1および第2光学走査手段は、背景スペクトル領域で反射する背景の前に配置されており、この背景スペクトル領域の第1スペクトル領域との交わりは空でない集合であり、この背景スペクトル領域の第2スペクトル領域との交わりは基本的に空集合である。
【0014】
細長い繊維材料を光学走査するための本発明による方法において、繊維材料は、第1スペクトル領域、および第1スペクトル領域とは異なる第2スペクトル領域において光学走査される。光学走査のために、背景スペクトル領域で反射する背景を使用する。この背景スペクトル領域の第1スペクトル領域との交わりは空でない集合であり、この背景スペクトル領域の第2スペクトル領域との交わりは基本的に空集合である。
【0015】
本文献を通じて「背景」のことを言う場合、この表現に関しては、光学走査に使用する繊維材料および/または光学部品(反射によってであろうと散乱によってであろうと、その繊維材料および/または光学部品から、使用される受光器に光が到達する)の環境を意図している。例えば特許文献1または特許文献3から知られているような代表的な装置において、背景は、例えば繊維材料がそこを通り移動される測定ギャップであり、走査光がそこを案内される光ダクトであり、あるいは少なくともその部分である。
【0016】
本文献における「光」「光学の」等のような用語は、これにより可視光だけでなく、紫外線(UV)および赤外線(IR)スペクトル領域における電磁放射線をも理解すべきであるという点で、広い意味において理解されるべきである。
【0017】
本発明の2、3の有利な実施形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図3の一実施例によって本発明の基本概念を略示する。そこでは、一方では、繊維材料を光学走査するのに使用する走査光のスペクトル分布を波長の関数としてプロットする。相互に異なる少なくとも2つのスペクトル領域61、62における走査光、例えば緑色光および赤色光を使用する。他方では、本発明による装置の背景の波長依存反射率も図3にプロットする。既にさらに上述したように、繊維材料と相互作用する光は別として、背景により反射および/または散乱する光も常に検出されることから、背景は測定に影響する。そこで本発明によれば、背景は背景スペクトル領域64で反射し、この背景スペクトル領域の第1スペクトル領域61との交わりは空ではなく、この背景スペクトル領域の第2スペクトル領域62との交わりは基本的に空である。本明細書で検討する例において、背景は緑色であり、背景スペクトル領域63は第1スペクトル領域61を完全に含む。スペクトル領域61、62、64の発明的選択は、緑色光を用いた光学走査が明色背景に対して実施される一方で、赤色光を用いた光学走査が暗色背景に対して実施されるという結果を有する。この理由で、緑色光を用いた走査は、暗色の(または緑色でない)異物を認識するのに特に適しており、赤色光を用いた走査は、明色の(または赤色の)異物を認識するのに特に適している。したがって、本発明は、白色(または明色)背景および黒色(または暗色)背景を用いた測定の利点を一本化する。
【0019】
図4は、スペクトル領域61、62、64に関する光学走査の出力信号を略示している。図4(a)では、緑色背景に対して緑色光を用いた光学走査の出力信号SGを表し、図4(b)では、緑色背景に対して赤色光を用いた光学走査の出力信号SRを表す。いずれの場合も、本発明による装置を通り長手方向に移動される繊維材料の長さlの関数として出力信号SG、SRをプロットしており、該繊維材料は、色の異なる4つの欠陥、具体的には黒色の欠陥S、白色の欠陥W、赤色の欠陥R、および緑色の欠陥Gを有する。黒色の欠陥Sは緑色の走査光を用いると大きく信号が変化し、白色の欠陥Wは赤色の走査光を用いると大きく信号が変化する。両方の出力信号SG、SRを有する赤色の欠陥Rは、大きな信号変化をもたらす一方、この2つの信号SG、SRを有する緑色の欠陥Gはむしろ小さな信号変化を生じる。いずれの場合も、照射と背景との目標となる適合のおかげで、少なくとも黒色の欠陥Sおよび白色の欠陥Wを同じ装置により確実に認識し、相互に区別できるということがこのグラフから明らかである。
【0020】
検出器信号から、繊維材料の色および/または欠陥S、W、R、Gに関する情報も得ることができる。これは特に、2つ(61、62)以上のスペクトル領域を光学走査に使用する場合である。図5および図6は、図3および図4に類似の表現で、原色である緑色(G)、赤色(R)、青色(B)に基本的にそれぞれ対応する3つのスペクトル領域61〜63が走査に使用される対応する例を示す。この例において、第3の青色スペクトル領域63および第1の緑色スペクトル領域61で反射する背景が想定される。図6から明らかなように、傷のある場所の色R、G、Bの各々に関するこの実施形態は、出力信号SB、SG、SRのうちの1つが少なくとも1つで著しく変化する。これは、2つの走査光の色61、62で緑色Gのみが弱く信号変化し、したがって、ある程度「わかりにくい色」を表した図3および図4の実施形態とは対照的である。
【0021】
既にさらに上述したように、本発明は決して可視光に限定されず、IRまたはUVにおける電磁放射線にも適用することができる。個々の走査スペクトル領域61〜63に対応する受光器の信号SB、SG、SRを評価するための適切なアルゴリズムが知られている。
【0022】
図7〜図10は、本発明による装置1の様々な実施形態の重要な要素を略示している。
【0023】
図7の実施形態では、2つの異なる光源21、22(緑色光51を発するための第1光源21、および赤色光52を発するための第2光源22)、ならびに、緑色光51も赤色光52も受けることのできる単一の受光器3がある。光源21、22は例えば発光ダイオード(LED)とすることができる。1つの(極めて概略的に描いただけの)背景4は、第1光源21の光51のように緑色である。走査すべき細長い繊維材料9は、図面の平面に対して少なくともほぼ垂直であり、装置1を通りその長手方向軸に沿って移動される。緑色光51を用いた光学走査も、赤色光52を用いた光学走査も、ここでは反射光の下で実施される。すなわち、主として繊維材料9から反射および/または散乱する光が検出される。緑色光51を用いた測定と、赤色光52を用いた測定とを相互に区別できるようにするために、測定を連続的なやり方で実行することが有利である。この目的で、光源21、22は、周期的に交代するやり方でオンオフを切り替えることができる。これによって、実際には、赤色光52を用いても緑色光51を用いても、繊維材料9の同じ場所(長手方向で)が走査されるように時間周期を短く選択しなければならない。すなわち、繊維材料9は、時間周期内で多くても1ミリメートルの何分の1かだけ前進させるべきである。当然ながら、一方のスペクトル領域61から他方のスペクトル領域62への切り替えは、別の手段により実施することもできる。光源21、22自体のオンオフを切り替える代わりに、それらの下流に、相互に同期される変調器(例えばいわゆる測定分断器)(図示せず)を配置することもできる。別の(図示しない)実施形態では、受光器の上流に色フィルタを配置すると、その透過範囲は緑色から赤色へと、またその逆に、一時的に変化する。
【0024】
図7の実施形態と対照的に、図8の実施形態は、広帯域方式で発光する単一の光源2、例えば白色発光ダイオードを有する。色の異なる光を検出するのに適した2つの受光器31、32が存在する。これは、簡単なやり方で、例えば第1受光器31の前に緑色の第1色フィルタ33を配置し、第2受光器32の前に赤色の第2色フィルタ34を配置することにより遂行される。緑色成分51ならびに赤色成分52を含む、光源2により発する光は、繊維材料に衝突し、これにより少なくとも部分的に受光器31、32へと反射および/または散乱する。背景4はここでも緑色である。両受光器31、32がそれぞれ光51、52を連続的に受け、それらの出力信号を連続的に生成できる、すなわち走査光の調節は不要であるという点で、この実施形態は図7の実施形態に勝る利点を有する。一方で、この実施形態の不利点は、2つの受光器31、32が繊維材料9の外面に沿った異なる場所に向けられているということである。用途に応じて、図7または図8の実施形態が好まれるであろう。本発明による装置1は、設計に関して、想定される用途にその都度最適化されるべきである。
【0025】
当然ながら、本明細書で概略的に説明した実施形態にさらなる要素を付加することが可能である。したがって、繊維材料の厚さを走査するための厚さ走査手段を提供して、厚い箇所、薄い箇所、および汚れを相互に区別できるようにすることを有利とすることができる。図9は、図7の実施形態のさらなる展開を示しており、そこでは、この目的で、付加的なさらなる光源29を提供する。さらなる光源29は繊維材料9の反対側に配置されており、その光59は繊維材料9により部分的に吸収されて、特許文献2の教示と同じように、部分的に受光器3に衝突する。図10の実施形態では、図8の実施形態のさらなる展開として、付加的なさらなる受光器39を提供する。さらなる受光器39は繊維材料9の反対側に配置されており、光源2により発する光が繊維材料9により部分的に吸収されて、特許文献1の教示と同じように、部分的にさらなる受光器39に衝突する。これによって、さらなる光源29またはさらなる受光器39のスペクトル特性は、受光器3および39によりそれぞれ光を検出できる限りにおいてさほど重大でなくなる。従って、この目的で、単純な単色発光ダイオード29または単純な広帯域シリコン受光器39を使用することができる。
【0026】
図7および図8の実施形態では反射光の下で測定を実施するのに対して、図11および図12では、反射光測定と透過光測定とを組み合わせたものを使用する2つの実施形態を提示する。
【0027】
図11の実施形態は図7の実施形態と類似している。ここでも、色の異なる2つの、好ましくは同期変調される光源21、22、および単一の受光器3が存在する。一方で、緑色光51を用いた走査が透過光の下で実施されるように、緑色光源21が繊維材料9を照射する。対照的に、赤色光52を用いた走査は、図7でのように、反射光の下で実行される。背景4は緑色である。
【0028】
最後に、図12は、図8の実施形態と同様に、単一の広帯域光源2および選択的に検出する2つの受光器31、32を使用する実施形態を示す。緑色光51を検出する第1受光器31は透過光を測定し、赤色光52を検出する第2受光器32は反射光を測定する。受光器31、32が繊維材料9の両側に配置されていることから、緑色背景4を相応に配置しなければならない。
【0029】
本発明は、当然ながら、上で検討した例示の実施形態に限定されない。本発明の知識により、当業者は、これも本発明の主題に属するさらなる変形を推定することができる。具体的には、光学走査用および背景4用に別の波長範囲を選択することができる。光学走査用に、3つ以上のスペクトル領域を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】色の異なる欠陥の、先行技術による2つの装置の検出器の出力信号である。
【図2】色の異なる欠陥の、先行技術による2つの装置の検出器の出力信号である。
【図3】光波長の関数としての、放射された走査光のスペクトル分布、および本発明による装置の背景の反射率である。
【図4】色の異なる欠陥の、本発明による装置の2つまたは3つの検出器の出力信号である。
【図5】光波長の関数としての、放射された走査光のスペクトル分布、および本発明による装置の背景の反射率である。
【図6】色の異なる欠陥の、本発明による装置の2つまたは3つの検出器の出力信号である。
【図7】本発明による装置の実施形態である。
【図8】本発明による装置の実施形態である。
【図9】本発明による装置の実施形態である。
【図10】本発明による装置の実施形態である。
【図11】本発明による装置の実施形態である。
【図12】本発明による装置の実施形態である。
【符号の説明】
【0031】
1 装置
2 光源
21 第1光源
22 第2光源
29 さらなる光源
3 受光器
31 第1受光器
32 第2受光器
33 第1色フィルタ
34 第2色フィルタ
39 さらなる受光器
4 背景
51 第1スペクトル領域の光
52 第2スペクトル領域の光
59 厚さを走査するための光
61 第1スペクトル領域
62 第2スペクトル領域
63 第3スペクトル領域
64 背景スペクトル領域
9 繊維材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い繊維材料(9)を光学走査するための装置(1)であって、
第1スペクトル領域(61)で前記繊維材料(9)を光学走査するための第1光学走査手段(21、3)と、
前記第1スペクトル領域(61)とは異なる第2スペクトル領域(62)で前記繊維材料(9)を光学走査するための第2光学走査手段(22、3)と
を有する装置において、
前記第1および前記第2光学走査手段(21、22、3)が、背景スペクトル領域(64)で反射する背景(4)の前に配置されており、該背景スペクトル領域の前記第1スペクトル領域(61)との交わりは空でなく、該背景スペクトル領域の前記第2スペクトル領域(62)との交わりは基本的に空であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1および前記第2光学走査手段(21、22、3)が、光源(21、22)、好ましくは発光ダイオード、および受光器(3)を含む、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)が、前記第1スペクトル領域(61)で放射する第1光源(21)と、前記第2スペクトル領域(62)で放射する第2光源(22)と、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)において高感度である受光器(3)とを有し、前記第1光源(21)および前記第2光源(22)、ならびに前記受光器(3)が、前記第1光源(21)および前記第2光源(22)から発する光(51、52)を同一の受光器(3)により少なくとも部分的に検出できるように配置されている、請求項2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置(1)が、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)で放射する光源(61)と、前記第1スペクトル領域(61)において高感度である第1受光器(31)と、前記第2スペクトル領域(62)において高感度である第2受光器(32)とを有し、前記光源(2)と、前記第1受光器(31)および前記第2受光器(32)とは、前記光源(2)により発する光(51、52)が前記第1受光器(31)および前記第2受光器(32)により少なくとも部分的に検出可能であるように配置されている、請求項2記載の装置(1)。
【請求項5】
前記第1光学走査手段(2、21、3、31)および第2光学走査手段(2、22、3、32)が、いずれも反射光の下で、いずれも透過光の下で、それぞれ反射光の下および透過光の下で、あるいは、それぞれ透過光の下および反射光の下で、前記繊維材料(9)を走査するのに適している、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記第1スペクトル領域(61)が基本的に緑色光を含み、前記第2スペクトル領域(62)が基本的に赤色光を含む、あるいはその逆である、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記装置(1)が、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)とは異なる第3スペクトル領域(63)で前記繊維材料(9)を光学走査するための第3光学走査手段を付加的に有し、前記第1スペクトル領域(61)、第2スペクトル領域(62)、および第3スペクトル領域(63)が、好ましくは原色である赤色、緑色、青色にそれぞれ対応する、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項8】
前記繊維材料(9)の厚さを検出するための光学的厚さ走査手段(29、3、2、39)が設けられている、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記繊維材料(9)の長手方向軸に対して少なくともほぼ垂直な面に、前記光学走査手段(2、21、22、3、31、32)の光軸が配置されている、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
細長い繊維材料(9)を光学走査するための方法であって、前記繊維材料(9)が、第1スペクトル領域(61)で、および前記第1スペクトル領域(61)とは異なる第2スペクトル領域(62)で光学走査される方法において、
前記光学走査用に、背景スペクトル領域(64)で反射する背景(4)が選択されており、該背景スペクトル領域の前記第1スペクトル領域(61)との交わりは空でなく、該背景スペクトル領域の前記第2スペクトル領域(62)との交わりは基本的に空であることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1スペクトル領域(61)からの光(51)、および前記第2スペクトル領域(62)からの光(52)を用いて前記繊維材料(9)が照射され、前記繊維材料(9)との相互作用後の前記光(51、52)が同一の受光器(3)により少なくとも部分的に検出される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第1スペクトル領域(61)からの前記光(51)、および前記第2スペクトル領域(62)からの前記光(52)が、連続的なやり方で、好ましくは周期的に交代するやり方で、前記受光器(3)に衝突する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記繊維材料(9)が、前記第1スペクトル領域(61)からの光(51)、および前記第2スペクトル領域(62)からの光(52)を用いて同時に照射され、前記繊維材料(9)との相互作用後の前記第1スペクトル領域(61)からの前記光(51)が、第1受光器(31)により少なくとも部分的に検出され、前記繊維材料(9)との相互作用後の前記第2スペクトル領域(62)からの前記光(52)が、第2受光器(32)により少なくとも部分的に検出される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)で走査するステップが、いずれも反射光の下で、いずれも透過光の下で、それぞれ反射光の下および透過光の下で、あるいは、それぞれ透過光の下および反射光の下で実施される、請求項10〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第1スペクトル領域(61)が基本的に緑色光を含み、前記第2スペクトル領域(62)が基本的に赤色光を含むように、あるいはその逆であるように、前記スペクトル領域(61、62)が選択される、請求項10〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記繊維材料(9)が、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)とは異なる第3スペクトル領域(63)で付加的に光学走査され、前記第1スペクトル領域(61)、第2スペクトル領域(62)、および第3スペクトル領域(63)が、好ましくは原色の赤色、緑色、青色にそれぞれ対応する、請求項10〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記繊維材料(9)の厚さが付加的に光学走査される、請求項10〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項1】
細長い繊維材料(9)を光学走査するための装置(1)であって、
第1スペクトル領域(61)で前記繊維材料(9)を光学走査するための第1光学走査手段(21、3)と、
前記第1スペクトル領域(61)とは異なる第2スペクトル領域(62)で前記繊維材料(9)を光学走査するための第2光学走査手段(22、3)と
を有する装置において、
前記第1および前記第2光学走査手段(21、22、3)が、背景スペクトル領域(64)で反射する背景(4)の前に配置されており、該背景スペクトル領域の前記第1スペクトル領域(61)との交わりは空でなく、該背景スペクトル領域の前記第2スペクトル領域(62)との交わりは基本的に空であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1および前記第2光学走査手段(21、22、3)が、光源(21、22)、好ましくは発光ダイオード、および受光器(3)を含む、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)が、前記第1スペクトル領域(61)で放射する第1光源(21)と、前記第2スペクトル領域(62)で放射する第2光源(22)と、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)において高感度である受光器(3)とを有し、前記第1光源(21)および前記第2光源(22)、ならびに前記受光器(3)が、前記第1光源(21)および前記第2光源(22)から発する光(51、52)を同一の受光器(3)により少なくとも部分的に検出できるように配置されている、請求項2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置(1)が、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)で放射する光源(61)と、前記第1スペクトル領域(61)において高感度である第1受光器(31)と、前記第2スペクトル領域(62)において高感度である第2受光器(32)とを有し、前記光源(2)と、前記第1受光器(31)および前記第2受光器(32)とは、前記光源(2)により発する光(51、52)が前記第1受光器(31)および前記第2受光器(32)により少なくとも部分的に検出可能であるように配置されている、請求項2記載の装置(1)。
【請求項5】
前記第1光学走査手段(2、21、3、31)および第2光学走査手段(2、22、3、32)が、いずれも反射光の下で、いずれも透過光の下で、それぞれ反射光の下および透過光の下で、あるいは、それぞれ透過光の下および反射光の下で、前記繊維材料(9)を走査するのに適している、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項6】
前記第1スペクトル領域(61)が基本的に緑色光を含み、前記第2スペクトル領域(62)が基本的に赤色光を含む、あるいはその逆である、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項7】
前記装置(1)が、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)とは異なる第3スペクトル領域(63)で前記繊維材料(9)を光学走査するための第3光学走査手段を付加的に有し、前記第1スペクトル領域(61)、第2スペクトル領域(62)、および第3スペクトル領域(63)が、好ましくは原色である赤色、緑色、青色にそれぞれ対応する、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項8】
前記繊維材料(9)の厚さを検出するための光学的厚さ走査手段(29、3、2、39)が設けられている、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記繊維材料(9)の長手方向軸に対して少なくともほぼ垂直な面に、前記光学走査手段(2、21、22、3、31、32)の光軸が配置されている、先行請求項のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
細長い繊維材料(9)を光学走査するための方法であって、前記繊維材料(9)が、第1スペクトル領域(61)で、および前記第1スペクトル領域(61)とは異なる第2スペクトル領域(62)で光学走査される方法において、
前記光学走査用に、背景スペクトル領域(64)で反射する背景(4)が選択されており、該背景スペクトル領域の前記第1スペクトル領域(61)との交わりは空でなく、該背景スペクトル領域の前記第2スペクトル領域(62)との交わりは基本的に空であることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1スペクトル領域(61)からの光(51)、および前記第2スペクトル領域(62)からの光(52)を用いて前記繊維材料(9)が照射され、前記繊維材料(9)との相互作用後の前記光(51、52)が同一の受光器(3)により少なくとも部分的に検出される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第1スペクトル領域(61)からの前記光(51)、および前記第2スペクトル領域(62)からの前記光(52)が、連続的なやり方で、好ましくは周期的に交代するやり方で、前記受光器(3)に衝突する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記繊維材料(9)が、前記第1スペクトル領域(61)からの光(51)、および前記第2スペクトル領域(62)からの光(52)を用いて同時に照射され、前記繊維材料(9)との相互作用後の前記第1スペクトル領域(61)からの前記光(51)が、第1受光器(31)により少なくとも部分的に検出され、前記繊維材料(9)との相互作用後の前記第2スペクトル領域(62)からの前記光(52)が、第2受光器(32)により少なくとも部分的に検出される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)で走査するステップが、いずれも反射光の下で、いずれも透過光の下で、それぞれ反射光の下および透過光の下で、あるいは、それぞれ透過光の下および反射光の下で実施される、請求項10〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第1スペクトル領域(61)が基本的に緑色光を含み、前記第2スペクトル領域(62)が基本的に赤色光を含むように、あるいはその逆であるように、前記スペクトル領域(61、62)が選択される、請求項10〜14のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記繊維材料(9)が、前記第1スペクトル領域(61)および前記第2スペクトル領域(62)とは異なる第3スペクトル領域(63)で付加的に光学走査され、前記第1スペクトル領域(61)、第2スペクトル領域(62)、および第3スペクトル領域(63)が、好ましくは原色の赤色、緑色、青色にそれぞれ対応する、請求項10〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記繊維材料(9)の厚さが付加的に光学走査される、請求項10〜16のいずれか1項記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−537591(P2008−537591A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500024(P2008−500024)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000039
【国際公開番号】WO2006/089438
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(503169552)ウステル・テヒノロジーズ・アクチエンゲゼルシヤフト (37)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000039
【国際公開番号】WO2006/089438
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(503169552)ウステル・テヒノロジーズ・アクチエンゲゼルシヤフト (37)
【Fターム(参考)】
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