説明

組成物及びその製造方法

【課題】 無機粒子が微細であって且つ水に分散しやすい無機粉体複合体とその製造方法を提供する。
【解決手段】 無機物微粒子と一般式(1)で表されるカルボン酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体重合物とを構成要素とする無機粉体複合体を提供する。該無機粉体複合体は、カルボン酸誘導体と、金属塩を有機溶剤含有水性溶媒で反応させることにより析出する。このものを水の分散、溶解すると、微粒子の酸化金属の分散体が得られる。
【化1】


一般式(1)
(但し、式中Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有していても良い、アルキル基乃至はアルケニル基を表し、Xは水素乃至はアルカリ金属乃至は炭素数23以下のポリオキシエチレンを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗料や化粧品等の分野に有用な、微細な無機物粒子の水への分散性が改善された無機粉体複合体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料等無機物粒子の殆どは、水系で製造され、本来親水的である。しかしながら、水系反応で造る無機物粒子は、出来た瞬間から粒子成長が始まり、超微粒子として取り出すことが出来ないばかりか、水中では、極性の関係で、粒子同士の凝集が起こり易く再分散性も困難な分散物となる。又その後のハンドリングを容易にするために一度乾燥して粉末状にすると、粒子表面が活性化して、粒子同士が非常に強い凝集力で結びつき、更には極性の強い水への再分散性は一段と難しいものとなる。一方、顔料等無機物粒子を水系で用いる用途は無限に等しくあり、曰く水系塗料、絵具、化粧品、食料品、水系インク等である。近年、これらの用途に用いられる無機物粒子は、使用機器や使用法の高度化および精密化に伴い、一層微細で分散性の良いものが求められるようになった。これらの用途の一例を挙げるならば、例えば、化粧品のサンスクリーン剤のUVカット材として良く用いられる酸化チタンや酸化亜鉛は本来白色粉末で水に分散させると白濁溶液と成り、顔や体に塗布すると白っぽくなってしまうので、超微粒子化して、透明性を上げる方法が盛んに研究されている。また、インクジェット式プリンター用の顔料は微細なほど印刷像を鮮明するので、これまで無機顔料は大き過ぎて用いられなかったが、最近耐候性を上げるために無機顔料が注目されており、微粒子化が盛んに検討されるようになった。しかしながら、上述の例では、無機物粒子を微粒子化して水へ分散させる為には非常に強力な粉砕力が必要であり、また分散化およびその後の再凝集を抑えるために多量の表面活性剤が必要である。(例えば、特許文献1を参照)これであると粒子の細かさにはおのずと限界が生じ、活性剤の種類と量によっては用途に制限が加えられているのが現状であり、更に水への分散が容易な無機物微粒子が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−207060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこの様な状況下なされたものであり、無機粒子が微細であって且つ水に分散しやすい無機粉体複合体とその製造方法を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、かかる状況に鑑みて、無機粒子が微細であって且つ水に分散しやすい無機粉体複合体を求めて鋭意研究努力した結果、無機物微粒子と一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体及び/又は一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体重合物とからなる無機粉体複合体がこのような特徴を備えていることを見いだし発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)無機物微粒子と一般式(1)で表されるカルボン酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体重合物とを構成要素とする無機粉体複合体。
【0006】
【化1】

一般式(1)
(但し、式中Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有していても良い、アルキル基乃至はアルケニル基を表し、Xは水素乃至はアルカリ金属乃至は炭素数23以下のポリオキシエチレンを表す。)
【0007】
(2)一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体が炭素数10以下のモノ、ジ又はトリカルボン酸のアルカリ塩もしくはポリオキシエチレン付加物であって、1種又は2種以上である(1)の無機粉体複合体。
(3)一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体重合物がポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸のアルカリ塩もしくはポリオキシエチレン付加物であって、1種又は2種以上である(1)〜(2)の無機粉体複合体。
(4)無機物微粒子が亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、バリウム、マンガン、セリウム、コバルト、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、銅、クロミニウム、ジルコニウム、金、銀等の単体もしくは酸化物又は/及び水酸化物の単独又は混合物である(1)〜(3)の無機粉体複合体。
(5)無機物微粒子の粒子径が0.1μm以下であって、粒子同士が互いに独立して存在することを特徴とする(1)〜(4)の無機粉体複合体。
(6)無機物微粒子の割合が60重量%以上である(1)〜(5)の無機粉体複合体。
(7)(1)〜(6)の無機粉体複合体を含有してなる皮膚外用剤
(8)(1)〜(6)の無機粉体複合体を含有してなる水系ネールエナメル
(9)(1)〜(6)の無機粉体複合体を含有してなる、水系インク。
(10)(1)〜(6)の無機粉体複合体を含有してなる、水系塗料。
(11)水と水混和性有機溶媒との混合液中に一般式(1)に表わされ且つ式中Xが水素である低級カルボン酸及び/又は該低級カルボン酸重合物及び/又は一般式(1)に表され且つ式中Xが水素以外のカルボン酸誘導体重合物と金属塩とを溶解させ、これを中和または還元し、必要によっては重合して得られる(1)〜(10)の無機粉体複合体の製造方法
(12)水混和性有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノールの単独又は混合物である(11)の無機粉体複合体の製造方法。
(13)一般式(1)に表され且つ式中Xが水素である低級カルボン酸が炭素数10以下のモノ、ジ又は/及びトリカルボン酸の1種又は2種以上であって、一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体が炭素数10以下の低級カルボン酸のポリオキシエチレン付加物の1種又は2種以上である(11)〜(12)の無機粉体複合体の製造方法。
(14)一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体重合物がポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸のアルカリ塩もしくはポリオキシエチレン付加物あって、単独または複合物である(11)〜(13)の無機粉体複合体の製造方法。
(15)金属塩が亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、バリウム、マンガン、セリウム、コバルト、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、銅、クロミニウム、ジルコニウム、金、銀の無機酸塩である(11)〜(14)の無機粉体複合体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無機粒子が微細であって且つ水に分散しやすい無機粉体複合体とその製造方法を提供する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の無機粉体複合体は、無機物微粒子と一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体及び/又は一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体重合物とからなることを特徴とする。ここで、無機物微粒子と一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体及び/又は一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体重合物とからなる本発明の無機粉体複合体は、前記2成分の複合化により、脱離分子を有することも許容する。該脱離分子としては、水、アルコール、アルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物などが例示できる。ここで粒子径とは無機物微粒子の最大径を指し、大きさが0.1μm以下である。この粒径の範囲は使途によって異なるが、着色を目的とする場合概ね0.1〜0.01μm程度であり、透明性を重要視して機能を紫外線吸収や殺菌剤などに求める場合概ね0.01〜0.001μmである。さらに無機物微粒子は本発明の無機粉体複合体中で互いに独立した状態で存在する。この様な微粒子の粒径および組成中での存在状態は無機物の種類や後段で詳述する製造方法によって調節される。次に、本発明の無機物微粒子と一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体及び/又はその一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体の重合物との組成割合は無機物微粒子の60%以上が望ましい。この割合は無機物微粒子の種類や粒子径によって、水への分散性が異なってくるので一概に言えないが、好ましくは60%〜99%であり、より好ましくは85%〜99%である。ここに用いられる無機物の種類は特に規定しないが、あえて記述するならば亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、バリウム、マンガン、セリウム、コバルト、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、銅、クロミニウム、ジルコニウム、金、銀であり、これらは単体もしくは酸化物又は/及び水酸化物の形で用いられ、1種又は2種以上の複合物である。
【0010】
ここで用いられる一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体にはモノカルボン酸、ジカルボン酸及びトリカルボン酸のカリウム、ナトリウム、リチウムおよびアミン類等のアルカリ塩またはポリオキシエチレン付加物があり、これらの内、脂肪酸炭素数10以下が水との混和性に優れ、特に望ましい。例を挙げるならばアルカリ塩には酢酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸トリエチルアミン、カプロン酸ナトリウム、シュウ酸リチウム、マロン酸カリウム、コハク酸ナトリウム、くえん酸カリウム、酒石酸ナトリウム等があり、ポリオキシエチレン付加物にはポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等がある。又一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体の重合物にはアルカリ塩として、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸トリエタノールアミン、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸トリエチルアミン等があり、ポリオキシエチレン付加物としてはオキシエチレン鎖23モル以下のポリオキシエチレンアクリルポリマーやポリオキシエチレンメタクリルポリマーがある。これらの重合物の重合度は1000以下が好ましい。
【0011】
(2)本発明の無機粉体複合体の製造方法
本発明の無機粉体複合体の製造方法は水と水可溶性有機溶媒との混合液中に低級脂肪酸またはその誘導体または低級脂肪酸重合物またはその誘導体と金属塩とを溶解させ、これを中和または還元し、必要によっては重合することを特徴とする。一般的に、水系で金属塩を加水分解して水酸化物や酸化物を造る工程で、少量又は多量の有機溶媒を混和させると、金属塩の加水分解物は酸化物になることが知られている。本発明の製造方法において用いられる水可溶性有機溶媒は金属塩の加水分解物を直接酸化物へ導くために用いられ、水と混和する有機溶媒ならばほとんどのものが使用可能である。この様な有機溶媒には、メタノール、エタノール、イソプロパノールの様なアルコール類、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオールの様なジオール類、アセトンの様なケトン類、テトラヒドロフランの様なフラン類、分子量200以下のエチレングリコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノールのようなエチレングリコールモノエーテル類が上げられる。この様な水可溶性有機溶媒の混合割合は、低級脂肪酸またはその誘導体または低級脂肪酸重合物またはその誘導体または金属塩の種類によって異なり、また用いる水可溶性有機溶媒や反応副生成物の種類によっても異なるので一概には規定できないが、概ね水:水可溶性有機溶媒が重量比で1:9〜9:1の範囲である。反応終了後は水など洗浄し過剰の塩を除去することが好ましい。
本発明の製造方法に用いられる低級脂肪酸またはその誘導体または低級脂肪酸重合物またはその誘導体は一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体には上述で詳記したように、低級脂肪酸としてはモノカルボン酸、ジカルボン酸及びトリカルボン酸またはポリオキシエチレン付加物があり、これらの内炭素数10以下が水及び水可溶性有機溶媒との混和性に優れ、特に望ましい。例を挙げるならば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、カプロン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、くえん酸、酒石酸等があり、これらの誘導体にはポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等のオキシエチレン鎖23モル以下のポリオキシエチレン付加物がある。又低級脂肪酸重合物にはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等があり、その誘導体としてはポリオキシエチレン付加物のオキシエチレン鎖23モル以下のポリオキシエチレンアクリルポリマーやポリオキシエチレンメタクリルポリマーがある。
【0012】
以下に、実施例を示して本発明について更に詳細に説明を加える。本発明がこれら実施例にのみ限定を受けない事は言うまでもない。
【実施例1】
【0013】
メタノール(134g)と水(41g)との混合溶媒中に硝酸亜鉛6水塩(18g)およびアクリル酸(1g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に3N苛性ソーダ(56g)を、徐々に注入し、全量注入後直ちに加温し、50℃に達したらアゾビスイソブチロニトリル(0.02g)を添加し、そのまま昇温を続け、リフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、水を用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、乾燥物(5.2g)を得た。このものは95%がウルツ鉱型酸化亜鉛であった。このものの顕微鏡写真を図1にしめす。微粒子の球状の酸化亜鉛がアクリル酸と複合体を形成していることが判る。
【実施例2】
【0014】
エタノール(116g)と水(91g)との混合溶媒中に塩化亜鉛(9g)およびポリアクリル酸(重合度5000)(2g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(31g)を、徐々に注入し、全量注入終了20分後に加温を開始してリフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、水を用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、乾燥物(5.9g)を得た。このものは85%がウルツ鉱型酸化亜鉛であった。
【実施例3】
【0015】
エトキシエタノール(116g)と水(140g)との混合溶媒中に塩化鉄(10g)およびメチルメタアクリル酸(2.3g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(37g)を、徐々に注入し、全量注入後直ちに加温し、50℃に達したらアゾビスイソブチロニトリル(0.04g)を添加し、そのまま昇温を続け、リフラックス温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、水を用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、乾燥物(5.6g)を得た。このものは75%がFe型酸化鉄であった。
【実施例4】
【0016】
エタノール(165g)に四塩化チタン(12g)およびポリオキシエチレン(9)アクリレート(2.5g)を溶解させ、A液とした。室温、攪拌下A液に6N苛性ソーダ(51g)を、徐々に注入し、全量注入後直ちに加温し、50℃に達したら過硫酸ソーダ(0.04g)を添加し、その温度で16時間持続させた。その後温度を60℃に保って濾過し、別に用意した60℃の水を用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させて、乾燥物(5.1g)を得た。このものは80%がルチル型酸化チタンであった。
【実施例5】
【0017】
イソプロパノール(100g)と水(300g)の混合溶媒に塩化金(1g)を溶解させ、A液とした。別に水(100g)にクエン酸3ナトリウム(0.65g)を溶解させ、B液とした。A液をリフラックス温度まで昇温させ、攪拌下Bを滴下し、同温度で1時間持続させ、冷却した。冷後、水を用いて、デカンテーション、濾過を3回繰り返し、得られた沈殿物を90℃で4時間乾燥させ、乾燥物(0.6g)を得た。このものは70%がコロイダル金であった。
【実施例6】
【0018】
実施例1の乾燥物(0.58g)を水(300ml)とともに、500mlビーカーに入れて、ポロペラ型攪拌機(羽根長4cm)、回転数200rpmで1時間攪拌して、分散させ、分散液Aとする。分散液Aを100g採取し、これに水を加えて全体を1000gとし、水性ペイント1Aを得た。分散液Aの残りを、ディスパー型攪拌機(羽根長3cm)による、回転数6000rpmで6分間の攪拌で再分散した後、100g採取し、これに水を加えて全体を1000gとし、水性ペイント1Bを得た。
【実施例7】
【0019】
実施例2の乾燥物(0.176g)を実施例6と同様に処理し、水性ペイント2Aと2Bとを得た。
【実施例8】
【0020】
実施例3の乾燥物(0.2g)を実施例6と同様に処理し、水性ペイント3Aと3Bとを得た。
【実施例9】
【0021】
実施例4の乾燥物(0.188g)を実施例6と同様に処理し、水性ペイント4Aと4Bとを得た。
【実施例10】
【0022】
実施例5の乾燥物(0.1g)を実施例6と同様に処理し、水性ペイント5Aと5Bとを得た。
【実施例11】
【0023】
以下に示す手順で、比較例1〜4を作成し、レーザー回折・散乱粒度分布計(湿式)を用いて、前記水性ペイント1A〜5Bとともに、平均粒子径(μ)を計測した。結果を表1に示す。表より、本発明の製造方法による本発明の組成物を用いた水性ペイント1A〜5A及び1B〜5Bは、分散時の攪拌の強さに関係なく、極めて弱い攪拌力でも容易に1次粒子まで分散していることが分かる。このことは粉体状態においても無機物粒子同士が互いに独立して存在することを示す。これに対して、比較例1〜4の市販の無機物粒子は強烈な攪拌力を与えてもカタログ値まで到達できていない。即ち粉体状態において強烈な凝集体を作り、それが容易に邂逅できないことを示す。
【0024】
<比較例1>
市販の微粒子酸化亜鉛粉末(平均粒子径=0.03μ カタログ値)を0.15g採取し、0.01%ポリアクリル酸ナトリウム(重合度3000)、水(300ml)とともに500mlビーカーに入れて、ポロペラ型攪拌機(羽根長4cm)、回転数200rpmで1時間攪拌し、分散させ、分散液Fとする。分散液Fを100g採取し、これに水を加えて全体を1000gとし、比較例1Aとした。分散液Fの残りを条件2で再分散した後、100g採取し、これに水を加えて全体を1000gとし、比較例1Bを得た。
【0025】
<比較例2>
市販の微粒子酸化チタン粉末(平均粒子径=0.023μ カタログ値)を0.15g採取し、比較例1と同様に処理し、比較例2Aと比較例2Bとを得た。
【0026】
<比較例3>
市販の微粒子べんがら粉末(平均粒子径=0.06μ カタログ値)を0.15g採取し、比較例1と同様に処理し、比較例3Aと比較例3Bとを得た。
【0027】
<比較例4>
市販品の金コロイド分散液(平均粒子径=0.01μ カタログ値)を10*10mmセルを用いて、積分球付き分光器で測定するとき、波長700nmの透過率が80%になるように、水で希釈し、比較例4Bを得た。
【0028】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ペイントや化粧料などへ応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1の複合体の顕微鏡写真を示す図である。(図面代用写真)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物微粒子と一般式(1)で表されるカルボン酸誘導体及び/又はカルボン酸誘導体重合物とを構成要素とする無機粉体複合体。
【化1】

一般式(1)
(但し、式中Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有していても良い、アルキル基乃至はアルケニル基を表し、Xは水素乃至はアルカリ金属乃至は炭素数23以下のポリオキシエチレンを表す。)
【請求項2】
一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体が炭素数10以下のモノ、ジ又はトリカルボン酸のアルカリ塩もしくはポリオキシエチレン付加物であって、1種又は2種以上である請求項1に記載の無機粉体複合体。
【請求項3】
一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体重合物がポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸のアルカリ塩もしくはポリオキシエチレン付加物であって、1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の無機粉体複合体。
【請求項4】
無機物微粒子が亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、バリウム、マンガン、セリウム、コバルト、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、銅、クロミニウム、ジルコニウム、金、銀等の単体もしくは酸化物又は/及び水酸化物の単独又は混合物である請求項1〜3何れか1項に記載の無機粉体複合体。
【請求項5】
無機物微粒子の粒子径が0.1μm以下であって、粒子同士が互いに独立して存在することを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の無機粉体複合体。
【請求項6】
無機物微粒子の割合が60重量%以上である請求項1〜5何れか1項に記載の無機粉体複合体。
【請求項7】
請求項1〜6何れか1項に記載の無機粉体複合体を含有してなる皮膚外用剤。
【請求項8】
請求項1〜6何れか1項に記載の無機粉体複合体を含有してなる水系ネールエナメル。
【請求項9】
請求項1〜6何れか1項に記載の無機粉体複合体を含有してなる、水系インク。
【請求項10】
請求項1〜6何れか1項に記載の無機粉体複合体を含有してなる、水系塗料。
【請求項11】
水と水混和性有機溶媒との混合液中に一般式(1)に表わされ且つ式中Xが水素である低級カルボン酸及び/又は該低級カルボン酸重合物及び/又は一般式(1)に表され且つ式中Xが水素以外のカルボン酸誘導体重合物と金属塩とを溶解させ、これを中和または還元し、必要によっては重合して得られる請求項1〜10何れか1項に記載の無機粉体複合体の製造方法
【請求項12】
水混和性有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノールの単独又は混合物である請求項11記載の無機粉体複合体の製造方法。
【請求項13】
一般式(1)に表され且つ式中Xが水素である低級カルボン酸が炭素数10以下のモノ、ジ又は/及びトリカルボン酸の1種又は2種以上であって、一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体が炭素数10以下の低級カルボン酸のポリオキシエチレン付加物の1種又は2種以上である請求項11又は12に記載の無機粉体複合体の製造方法。
【請求項14】
一般式(1)に表されるカルボン酸誘導体重合物がポリアクリル酸またはポリメタアクリル酸のアルカリ塩もしくはポリオキシエチレン付加物あって、単独または複合物である請求項11〜13何れか1項に記載の無機粉体複合体の製造方法。
【請求項15】
金属塩が亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタニウム、バリウム、マンガン、セリウム、コバルト、カルシウム、カドミウム、ストロンチウム、銅、クロミニウム、ジルコニウム、金、銀の無機酸塩である請求項11〜14何れか1項に記載の無機粉体複合体の製造方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−321967(P2006−321967A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329814(P2005−329814)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】