説明

経路設定方法及びナビゲーション装置

【課題】ユーザビリティを向上することができる経路設定方法及びナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車両が走行する経路をユーザがディスプレイ5の地図画面で決定する経路設定方法において、ユーザの指又は専用のペンが地図画面5aに表示された道路に接触した際に、指又はペンの接触位置を取得して、該接触位置に対応する地図座標を検出し、検出した前記地図座標から前記自車両の進行方向において次の分岐点までを自車両の経路として設定し、設定された前記経路に基づき案内を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路設定方法及びナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、現在位置から目的地までの経路を探索するナビゲーション装置として、道路をユーザが指や専用のペンでなぞることにより、経路を指定する装置がある(例えば特許文献1参照)。道路を指やペンで指定する操作は、あたかも紙面に印刷された地図を指でなぞるように操作できるため、ユーザが操作しやすい利点がある。
【0003】
しかし、現在位置から目的地までの距離が長い場合、ユーザがなぞる長さが長くなり、かえって操作が煩わしくなることがある。これに対し、特許文献1に記載のナビゲーション装置では、出発地と目的地とが単一の画面に表示される最大縮尺で地図画面を表示し、概略的な経路を入力操作することで、操作を比較的容易にしている。ユーザが経路を修正したい場合には、経路付近の地点をタッチパネル操作により指定し、ナビゲーション装置は、指定された地点を含む経路を探索する。
【特許文献1】特開2001−74481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した装置では、概略的な経路を入力操作する場合でも、現在位置から目的地までをなぞらなければならないため、操作に手間がかかることがある。また、なぞり操作を行う場合、目的地が設定されていない場合には、現在位置を含む地図画面から目的地を含む地図画面が表示されるまで、画面をスクロールさせながら自車両が走行する全ての道路をなぞらなければならないため、装置のユーザビリティが低下する。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザビリティを向上することができる経路設定方法及びナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、自車両が走行する経路を、ユーザが表示装置に表示された地図画面で決定する経路設定方法において、ユーザの指又はトレース手段が前記地図画面に表示された道路に接触した際に、指又は前記トレース手段の接触位置を取得して、該接触位置に対応する地図座標を検出し、該地図座標から、前記自車両の進行方向において次の分岐点までを、前記自車両の経路として確定することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、自車両が走行する経路を、ユーザが表示装置に表示された画面で決定するナビゲーション装置において、前記表示装置に地図画面を表示する地図画面出力手段と、ユーザの指又はトレース手段が前記地図画面に表示された道路に接触した際に、指又は前記トレース手段の接触位置を取得して、該接触位置に対応する地図座標を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段が検出した前記地図座標から、前記自車両の進行方向において次の分岐点までを、前記自車両の経路として確定する経路確定手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記位置検出手段により検出した前記地図座標から前記自車両の進行方向において次の前記分岐点が画面表示範囲に含まれるまで、前記地図画面をスクロールする画面スクロール手段をさら
に備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のナビゲーション装置において、ユーザの指又は前記トレース手段の前記接触位置から先の前記分岐点から、進行方向において先の経路を探索し、該経路を前記地図画面に表示する誘導手段をさらに備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、目的地を設定する目的地設定手段と、前記自車両の現在位置と前記目的地とを接続する経路を探索し、該経路を前記地図画面に表示する経路案内手段とをさらに備え、前記位置検出手段は、ユーザの指又は前記トレース手段が前記地図画面に表示された前記経路に接触した際に、指又は前記トレース手段の接触位置を取得して、該接触位置に対応する地図座標を検出し、前記経路確定手段は、検出した前記地図座標から前記経路上の次の分岐点までを前記自車両の経路として確定し、前記経路案内手段は、ユーザの指又は前記トレース手段の前記接触位置から先の分岐点までが前記自車両の経路として確定された際に、前記分岐点から前記目的地までの経路を新たに探索し、該経路を前記地図画面に表示することを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、経路を設定する際に、ユーザの指又はトレース手段の接触位置を検出し、接触位置に対応する地図座標を取得するようにした。また、地図座標から進行方向において次の分岐点までを自動的に自車両の経路とするようにした。このため、ユーザは、地図に表示された所望の道路を全てなぞって経路を決定する必要がなくなるので、ユーザビリティを向上できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、ユーザの指又はトレース手段の接触位置を検出し、接触位置に対応する地図座標を取得するようにした。また、地図座標から進行方向において次の分岐点までを自動的に自車両の経路とするようにした。このため、ユーザは、地図に表示された所望の道路を全てなぞって経路を決定する必要がなくなるので、ユーザビリティを向上できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、分岐点まで画面がスクロールされるので、詳細な地図を見ながら、容易に経路を確定できる。
請求項4に記載の発明によれば、分岐点から先の経路が画面に表示される。このため、ユーザはナビゲーション装置が探索した経路を選択すればよいので、経路の確定が容易になる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、目的地までの経路が自動的に表示されるので、ユーザは表示された経路を指又はトレース手段で触るのみで経路を選択できる。このため、ユーザの使い勝手をより向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
図1に示すように、ナビゲーションシステム1を構成するナビゲーション装置としてのナビゲーションユニット2は、自車位置演算部10と、GPS受信部11と、経路確定手段、誘導手段、経路案内手段、目的地設定手段としての経路探索部12とを備えている。また、地理データ記憶部13と、車両側I/F14と、地図画面出力手段、誘導手段、画面スクロール手段、経路案内手段としての画像プロセッサ18、位置検出手段としての操作判断部20を備えている。
【0016】
自車位置演算部10は、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS受信部
11が受信した、緯度・経度等の座標を示す位置検出信号を入力して、電波航法により自車両の絶対位置を算出する。また、自車位置演算部10は、ナビゲーションユニット2が備える車両側I/F14を介して、自車に設けられた車速センサ30及びジャイロセンサ31から車速パルス、角速度をそれぞれ入力する。そして、自車位置演算部10は、車速パルス及び角速度を用いる自律航法により、基準位置からの相対位置を算出し、電波航法で算出した絶対位置と組み合わせて自車位置を特定する。
【0017】
また、ナビゲーションユニット2は、地理データ記憶部13を備えている。地理データ記憶部13は、内蔵ハードディスク、又は光ディスク等の外部記憶媒体である。この地理データ記憶部13には、目的地までの経路を探索するための各経路ネットワークデータ(以下、経路データ15という)と、表示装置としてのタッチパネルディスプレイ(以下、単にディスプレイ5という)に地図画面5aを出力するための各地図描画データ16とが格納されている。
【0018】
経路データ15は、全国を区画したメッシュ内の道路に関するデータである。この経路データは、図2に示すように、広域エリアの経路データ15iから、狭域の詳細な経路データ15kまで、複数に階層化されている。上位レベルの経路データ15iは、主要国道、高速道路等の主要な道路のデータである。それよりも下位レベルの経路データ15j,15kは、県道、一般道路等のネットワークを示している。尚、図2には、便宜上3層の経路データ15を示したが、階層の数は特に限定されない。
【0019】
図3(a)に示すように、経路データ15は、各メッシュの識別子であるメッシュID15aと、メッシュ内の各リンクの識別子を示すリンクID15bとを有している。リンクは、交差点、インターチェンジ、道路の端点等を示す各ノードを接続するデータ要素である。
【0020】
また、リンクID15bには、ノード座標15c、道路種別15d、リンクコスト15e、対応上位レベル15f等が関連付けられている。ノード座標15cは、リンクID15bが示すリンクの始点となるノードの座標と、そのリンクの終点となるノードの座標とを有している。道路種別15dは、高速道路、国道、県道、一般道等、そのリンクが示す道路の種別や、一方通行等の交通規制情報を示す。リンクコスト15eは、リンク長等に基づく、リンク自身のコストである。対応上位レベル15fは、そのリンクに対応する、上位レベルのリンク又はメッシュを示すデータである。
【0021】
経路探索部12(図1参照)は、例えば現在位置の座標と目的地の座標とを取得すると、リンクコスト15eを用いて、複数の条件下で目的地までの経路を探索する。即ち、最短距離、一般道優先、有料道優先等の条件に応じて設定された係数を、リンクコスト15eに乗算する等して新たなコストを算出し、現在位置から目的地まで間にある各コストを加算する。さらに、コストの総和が最も小さくなる経路を各条件下での経路とする。
【0022】
また、地図描画データ16は、全国の地図を分割したメッシュ毎に格納され、広域の地図から狭域の地図まで各階層毎に分かれている。図3(b)に示すように、地図描画データ16は、メッシュID16a、背景データ16b、道路データ16c等を有している。背景データ16bは、道路、市街地、河川等を描画する描画データである。道路データ16cは、地図上に表示される、形状補間データ、道路幅等、道路の形状を示すデータである。
【0023】
画像プロセッサ18(図1参照)は、自車位置周辺の地図を描画するための地図描画データ16を地理データ記憶部13から読出し、出力用のデータを生成して、VRAM(図
示略)に一時記憶する。さらに、出力用データに基づく映像信号をディスプレイ5に出力し、図1に示すような地図画面5aを表示する。また、画像プロセッサ18は、この地図画面5aのうち、自車両の現在位置に相当する位置に、自車指標5Mを重畳する。さらに、経路探索部12が経路を探索した場合には、その探索結果を表示する。
【0024】
さらに、経路探索部12は、ディスプレイ5を制御するタッチパネル制御部35(図1参照)から、接触位置を入力する。ディスプレイ5は、上記したようにタッチパネル装置であるため、経路案内を開始する前に、ユーザの指又はトレース手段としての専用のペンが画面の所定位置に接触すると、経路の手入力指定モード又はボタン入力指定モード等のモード選択や、目的地指定ができるようになっている。経路の手入力指定とは、ユーザが指又はペンにより地図画面5aに表示された道路の一部をなぞって経路を設定する経路指定方法である。
【0025】
タッチパネル制御部35は、ディスプレイ5に制御信号を出力する出力部と、ディスプレイ5から出力される検出信号を受信する受信部とを有している(いずれも図示略)。タッチパネル制御部35は、検出信号の波形等に基づき、画面座標で表される指の接触位置又はペンの接触位置を検出し、経路探索部12に接触位置を出力する。
【0026】
また、ナビゲーションユニット2の操作判断部20は、タッチパネル制御部35から接触位置を入力し、ユーザの操作を判断する。即ち、「経路手入力」の操作部(図示略)が地図画面5aに表示されている際に、操作部の表示位置と接触位置とが合致した場合には、経路の手入力指定モードであると判断する。また、ディスプレイ5に隣設された所定の操作スイッチ6(図1参照)が操作された場合には、経路の手入力指定が選択されたと判断する。
【0027】
また、操作判断部20は、画面の接触位置に基づき、目的地となる地名や施設名等を判断し、地図描画データ16に含まれる検索データを用いて目的地の座標を取得する。操作判断部20は、目的地の座標を図示しない記憶部に一時記憶するとともに、目的地の座標を経路探索部12に出力する。
【0028】
次に、本実施形態の処理手順について、図4に従って説明する。図4に示すように、まず操作判断部20は、タッチパネル制御部35に基づき、経路の手入力指定が選択されたか否かを判断する(ステップS1)。上記したように、ディスプレイ5での所定のタッチパネル操作又は操作スイッチ6の押釦操作が行われた際に、手入力指定が選択されたと判断する。
【0029】
手入力操作が選択されたと判断すると(ステップS1においてYES)、操作判断部20は、目的地が設定されているか否かを判断する(ステップS2)。上記記憶部に目的地の座標等が記憶され、目的地が設定されていると判断した場合には(ステップS2においてYES)、ステップS3に進む。目的地が設定されていないと判断した場合には(ステップS2においてNO)、ステップS4に進む。
【0030】
まず、目的地が設定されている場合について説明する。経路探索部12は、自車位置演算部10から自車両の現在位置の座標を取得し、図5に示すように現在位置P1から目的地P2までの経路Rを探索及び表示する(ステップS3)。経路探索部12は、主要道路の階層の経路データ15を用い、図5に示すように、最短距離、一般道優先、有料道優先等の異なる条件に基づき各経路R1〜Rn(nは自然数)をそれぞれ探索する。探索された各経路Rは、図中実線で示す上位の階層のリンクLnから構成される。尚、複数条件下で探索しても経路が同じになった場合には、経路Rは一つでもよい。
【0031】
さらに、画像プロセッサ18は、経路探索部12から各経路Rを構成するリンクID15bやノード座標15cを取得して、それらのリンクID15b及びノード座標15cに対応する地図描画データ16を読み出す。さらに、図6(a)に示すように、読み出した地図描画データ16に基づき、探索した経路Rを表示した地図画面5aに出力する。尚、このとき、画面表示範囲に経路Rが収まらない場合には、スクロールしながら経路を表示してもよい。図6(a)では、経路探索部12により3つの経路R1〜R3が異なる条件でそれぞれ探索された場合の地図画面5aを示している。この地図画面5aでは、各経路R1〜R3は例えばそれぞれ異なる色又は線種で描画されている。また、地図画面5aには、各経路R1〜R3に対応付けられた確定ボタンB1〜B3が表示されている。各確定ボタンB1〜B3は、各経路R1〜R3をそれぞれ確定するための操作ボタンである。
【0032】
地図画面5aに表示された経路R1〜R3を修正しない場合には、各確定ボタンB1〜B3をそれぞれ操作することにより、経路Rを確定する。地図画面5aに表示された経路Rを修正したい場合には、ユーザは表示された経路Rのうち一つの経路Rを基にして、タッチパネル操作により修正を加える。操作判断部20は、タッチパネル制御部35により、ユーザの指又はペンの接触位置CPを検出したか否かを判断する(ステップS4)。
【0033】
図6(b)に示すように、ユーザが、各経路Rのうち一つの経路R(図6(b)では経路R2)を指F又はペンで触り、操作判断部20がタッチパネル制御部35に基づき経路R上の接触位置CPを検出すると(ステップS4においてYES)、操作判断部20は画面座標で表される接触位置CPを経路探索部12に出力する。また、画像プロセッサ18は、図6(b)に示すように、選択されなかった経路R(図6(b)では、経路R1,R3)とその経路Rに対応する確定ボタンBを消去する。また、接触位置CPを検出しない場合には(ステップS4においてNO)、ステップS9に進む。
【0034】
経路R上の接触位置CPを検出した場合、経路探索部12は、操作判断部20から経路R上の接触位置CPを取得し、図5に示すように、その接触位置CPを地図座標(x、y)上の座標に置き換える。また、経路探索部12は、経路データ15に基づき、接触位置CPが位置するリンクである、対応リンクLCを検出する。
【0035】
さらに、経路探索部12は、接触位置CPの先の分岐点を検出する(ステップS5)。具体的には、対応リンクLCの両端のノードNのうち、自車両の現在位置P1から接触位置CPに向かう方向(図5中D矢印方向)で接触位置CPより先のノードN(以下、連続ノードNCという)を次の分岐点として検出する。
【0036】
そして、経路探索部12は、現在位置P1から次の分岐点(連続ノードNC)までを、自車両の経路として設定する(ステップS6)。即ち、図6(b)に示すように、経路R2の一部を指又はペンで触っただけで、その接触位置CPから次の分岐点までを自動的に経路とするため、少なくとも接触位置CPから進行方向において次の交差点やインターチェンジ分岐点等のまではユーザのなぞる操作を省略することができる。従って、経路を設定しやすくするとともに、経路設定にかかる時間を短縮化することができる。
【0037】
また、経路探索部12は、分岐点を示す連続ノードNCから、目的地P2までの経路Rを探索する(ステップS7)。このとき、経路探索部12は、詳細な道路を示す階層の経路データ15j,15kも用いて、連続ノードNCから目的地P2までの経路RAを異なる条件下で複数探索する。これにより、図5中破線で示すように、連続ノードNCから分岐し、一般道路や道幅の狭い市街地の道路等のリンクLmを含む経路が探索される。このため、地図画面5aに比較的縮尺が大きい画面が表示されている場合でも、縮尺が大きい画面では通常表示されないような一般道等の細かい道路を自動的に探索するので、ユーザがわざわざ詳細画面に切り替えて経路を設定する手間が省かれる。
【0038】
経路を探索すると、画像プロセッサ18は、経路探索部12から経路Rを示すリンクID15bやノード座標15cを取得して、図6(b)に示すように、最初に探索し且つユーザが選択した経路Rの他、新たに探索した経路R4、R5をディスプレイ5の地図画面5aに表示する(ステップS8)。これにより、ユーザは、分岐点の先に、迂回したい道路がある場合には、その道路を迂回する経路Rを選択することができる。さらに、分岐点の先であって一般道沿いに立ち寄りたい施設がある場合には、その施設を通る経路Rを選択できる。
【0039】
また、画像プロセッサ18は、選択された経路R2の確定ボタンB2の他、新たに探索した各経路R4,R5を確定するための各確定ボタンB4,B5をそれぞれ表示する。このとき、各確定ボタンB4,B5に、「距離優先」等の探索条件を表示するようにしてもよい。図6(b)に示す地図画面5aに表示された経路R2,R4,R5のうち一つの経路Rを自車両が走行する経路として確定する場合には、その経路Rに応じた確定ボタンBを選択する。図6(b)の地図画面5aに表示された経路R2,R4,R5に対してさらに経路の修正を行う場合には、ユーザは、新たに表示された経路Rのうち一つを指F又はペンでなぞる。
【0040】
ステップS8で経路Rを表示した後、又は地図画面5aで指又はペンの接触位置CPを検出しなかった場合には(ステップS4においてNO)、操作判断部20は、ユーザのタッチパネル操作に基づき、経路の選択が終了したか否かを判断する(ステップS9)。例えば、図6(b)に示す地図画面5aで経路R5に対応する確定ボタンB5が操作された場合、操作判断部20は、経路の選択が終了したと判断する。また、図6(c)に示すように、画像プロセッサ18により選択された経路R5のみを地図画面5aに表示し、その他の経路R2,R4と各確定ボタンBを消去する。尚、図6(b)の地図画面5aでいずれかの確定ボタンBが操作されて経路Rが確定された際に、図6(c)の地図画面5aの表示を省略してもよい。
【0041】
また、図6(a)に示す初期の地図画面5aでいずれかの確定ボタンBが操作された場合には、経路の選択が終了したと判断する。或いは、指又はペンの接触位置CPが目的地P2と一致した場合に、経路の選択が終了したと判断しても良い。
【0042】
経路の選択が終了したと判断した場合には(ステップS9においてYES)、選択された経路Rに従って通常の経路案内を行う(ステップS10)。確定ボタンBが操作されない場合、又は接触位置CPが目的地P2の手前にある場合、経路の選択が終了していないと判断し(ステップS9においてNO)、ステップS4に戻り、接触位置CPの先の分岐点(連続ノードNC)までを経路とし、その先の経路Rを探索及び表示する処理(ステップS4〜ステップS8)を経路選択が終了するまで繰り返す。
【0043】
ステップS11では、経路探索部12及びタッチパネル制御部35は、案内終了であるか否かを判断する。このとき、経路探索部12は、自車両が目的地に到着したか否かを判断する。目的地に到着した場合には、案内終了であると判断して(ステップS11においてYES)、案内を終了する。
【0044】
また、タッチパネル制御部35は、タッチパネル操作や操作スイッチ6の入力操作により、経路案内の中止が命令されたか否かを判断する。経路案内の中止が命令された場合には、案内終了であると判断して(ステップS11においてYES)、案内を終了する。
【0045】
次に、目的地が指定されていない場合についてステップS4から説明する。まず、操作判断部20は、タッチパネル制御部35に基づき、ユーザの指F又はペンの接触位置CP
を検出したか否かを判断する(ステップS12)。図8(a)に示すように、ユーザが指Fで地図上の道路に接触し、操作判断部20が接触位置CPを検出したと判断すると(ステップS4においてYES)。経路探索部12は、操作判断部20から接触位置CPを取得して、地図座標上の位置に置き換える。尚、図8(a)〜図8(c)は、広域範囲を表示した地図画面5aではなく、主要道路以外の道路も表示された詳細な地図画面5aを図示している。また、地図画面5aには、経路の選択を終了するための終了ボタン41が表示されている。この終了ボタン41を操作すると、経路を確定する。また、ナビゲーションユニット2が備えるVICS(登録商標;Vehicle Information and Communication System)通信部(図示略)により、ビーコン、FM多重放送により発信された渋滞情報を受信し、現在発生している渋滞区間を地図画面5aに表示するようにしてもよい。
【0046】
また、経路探索部12は、地図座標に置き換えられた接触位置CPの先にある分岐点を検出する(ステップS5)。具体的には、図7に示すように、接触位置CPが位置付けられた対応リンクLCを検出し、その対応リンクLCの両端のうち、現在位置P1から接触位置CPに向かう方向(図7中y矢印方向)で接触位置CPより先のノードNを、分岐点としての連続ノードNCとする。
【0047】
連続ノードNCを決定すると、経路探索部12は、現在位置P1から連続ノードNCまでを、自車両の経路RBとして設定する(ステップS6)。このとき、図8(b)及び図8(c)に示すように、画像プロセッサ18は、現在位置P1から連続ノードNC(図7参照)まで画面をスクロールさせる。画像プロセッサ18は、現在位置P1から連続ノードNCに向かう方向であって、対応リンクLCを含む地図描画データ16を読み出し、連続ノードNCが示す交差点やインターチェンジが表示されるまで、地図描画データ16を連続して出力する。これにより、図8(a)に示すように、現在位置周辺の地図画面5aから、図8(b)に示す現在位置P1及び連続ノードNCの間の区域を表示した地図画面5aが順次表示され、さらに図8(c)に示す連続ノードNC周辺の地図画面5aで停止する。このため、経路RBとして設定する道路が一本道であるのにも関わらず、指F又はペンで地図上の道路をなぞる必要がない。また、目的地を設定せずに、詳細画面を見ながら経路を設定する場合にも、接触位置CPから次の分岐点までを自動的に経路RBとして設定するので、少なくとも接触位置CPから分岐点まではユーザがなぞる操作を省略することができる。
【0048】
また、経路探索部12は、経路データ15に基づいて、分岐点を示す連続ノードNCに接続する経路RAを探索する(ステップS7)。このとき経路データ15に格納された交通規制情報等に基づき、自車両が通過できない経路は選択しない。これにより、図8に示すように、連続ノードNCから分岐した経路R6〜R8が探索される。図8では、経路探索部12は、例えば接触位置CPから進行方向において次の分岐点までの経路R6〜R8を探索しているが、所定距離範囲の経路を探索するようにしてもよく、画面表示範囲に含まれる範囲の経路を探索するようにしてもよい。
【0049】
分岐点から先の経路R6〜R8を探索すると、画像プロセッサ18は、経路探索部12から経路R6〜R8を示すリンクID15bやノード座標15cを取得して、図8(c)に示すように、新たに探索した経路R6〜R8をディスプレイ5の地図画面5aに表示する(ステップS8)。
【0050】
ユーザは、渋滞発生区間、運転しにくい区間等の回避したい道路や、途中で立ち寄りたい施設等を地図画面5aで確認しながら、自車両の経路を選択する。そして、図8(d)に示すように、経路R6〜R8のうち一つを指F又はペンで触り、所望の経路RBを自車両の経路とする。このとき、細かい一般道や施設まで表示された詳細な画面で経路を選択することができるので、ユーザの要望に沿った経路を設定することができる。
【0051】
操作判断部20は、ユーザのタッチパネル操作に基づき、経路RAの選択が終了したか否かを判断する(ステップS9)。例えば、ユーザが終了ボタン41を操作した場合には、操作判断部20は経路RAの選択が終了したと判断し(ステップS9においてYES)、決定した経路RBに従って通常の経路案内を行う(ステップS10)。経路RAの選択が終了していない場合には(ステップS9においてNO)、ステップS5に戻り、接触位置CPの先の分岐点(連続ノードNC)までを経路とし、その先の経路RAを探索及び表示する処理(ステップS5〜ステップS8)を、経路選択が終了するまで繰り返す。
【0052】
また、経路探索部12及びタッチパネル制御部35は、案内終了であるか否かを判断する(ステップS11)。上記したように、案内終了であると判断した場合には(ステップS11においてYES)、案内を終了する。案内終了でないと判断した場合には(ステップ11においてNO)、経路案内を繰り返す(ステップS10)。
【0053】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ナビゲーションユニット2は、ユーザの指F又は専用のペンが地図画面5aに表示された道路に接触した際に、指F又は専用のペンの接触位置CPを取得して、該接触位置CPに対応する地図座標を検出するようにした。また、検出した地図座標から自車両の進行方向において次の分岐点までを自動的に経路として設定し、設定された経路に基づき案内を行うようにした。このため、ユーザは、地図に表示された所望の道路を全てなぞって経路を決定する必要がなくなるので、経路設定操作が容易となり、装置のユーザビリティを向上できる。
【0054】
(2)上記実施形態では、現在位置P1及び目的地P2が一つの画面内に含まれない場合や、目的地が設定されていない場合に、接触位置CPが位置付けられる道路上の点から次の分岐点が表示されるまで、地図画面5aをスクロールするようにした。このため、ユーザが詳細な地図画面5aを見ている場合でも、道路を全てなぞることなく、容易に経路を確定できる。
【0055】
(3)上記実施形態では、目的地P2が設定されている場合に、接触位置CPの次の分岐点と目的地P2とを接続する経路Rを探索し地図画面5aに表示するようにした。また、目的地P2が設定されていない場合にも、分岐点からの経路RAを探索及び表示するようにした。このため、ユーザは、なぞり操作により全ての経路を設定するのではなく、ナビゲーションユニット2が探索した経路のうち一つを選択すればよいので、経路設定が容易になる。
【0056】
(4)上記実施形態では、目的地P2が設定されている場合に、現在位置P1と目的地P2とを接続する経路Rを探索するようにした。さらに、経路Rにユーザの指F又はペンが接触した際に、接触位置CPから分岐点までを自車両の経路として確定するようにした。このため、目的地P2が明確である場合に、ユーザが回避したい道路や通過したい道路を考慮して、要望に沿った経路を探索することができる。
【0057】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、目的地が設定されていない場合に、接触位置CPの次の分岐点(連続ノードNC)から経路RAを表示するようにしたが、分岐点からの経路RAの表示を省略してもよい。この場合、ユーザは、分岐点の先の経路を指F又はペンで指定し、ナビゲーションユニット2は新たに検出した接触位置CPから、さらに先の分岐点までの経路を自車両の経路として設定する。
【0058】
・ディスプレイ5は、ユーザの指F又は専用のペンの接触を検出するようにしたが、ペ
ン以外のトレース手段でもよい。
・図8(a)〜(d)に示す地図画面5aは、2分割画面にするようにしてもよい。このとき、一方の画面に図8(a)〜(d)の詳細な地図画面を表示し、他方の画面に、確定した経路全体等を示す画面を表示するようにしてもよい。このようにすると、一方の画面で経路を確定する操作をしながら、他方の画面において既に確定した経路全体を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態のナビゲーションシステムのブロック図。
【図2】経路データのデータ構成の説明図。
【図3】(a)は経路データ、(b)は地図描画データの説明図。
【図4】本実施形態の処理手順を示すフロー図。
【図5】目的地が設定されている場合の経路設定の概念図。
【図6】目的地が設定されている場合の地図画面であって、(a)は初期状態、(b)及び(c)は指で指定された状態の画面図。
【図7】目的地が設定されていない場合の経路設定の概念図。
【図8】目的地が設定されていない場合の地図画面であって、(a)は指で指定した状態、(b)及び(c)は画面スクロール状態、(d)は指で経路を選択した状態の画面図。
【符号の説明】
【0060】
1…ナビゲーションシステム、2…ナビゲーション装置としてのナビゲーションユニット、5…表示装置としてのディスプレイ、5a…地図画面、12…経路確定手段、誘導手段、経路案内手段、目的地設定手段としての経路探索部、18…地図画面出力手段、誘導手段、画面スクロール手段、経路案内手段としての画像プロセッサ18…位置検出手段としての操作判断部、CP…接触位置、F…指、R,R1〜R8,Rn…経路、RA,RB…経路、P1…現在位置、P2…目的地。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する経路を、ユーザが表示装置に表示された地図画面で決定する経路設定方法において、
ユーザの指又はトレース手段が前記地図画面に表示された道路に接触した際に、指又は前記トレース手段の接触位置を取得して、該接触位置に対応する地図座標を検出し、該地図座標から、前記自車両の進行方向において次の分岐点までを、前記自車両の経路として確定する経路設定方法。
【請求項2】
自車両が走行する経路を、ユーザが表示装置に表示された画面で決定するナビゲーション装置において、
前記表示装置に地図画面を表示する地図画面出力手段と、
ユーザの指又はトレース手段が前記地図画面に表示された道路に接触した際に、指又は前記トレース手段の接触位置を取得して、該接触位置に対応する地図座標を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段が検出した前記地図座標から、前記自車両の進行方向において次の分岐点までを、前記自車両の経路として確定する経路確定手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記位置検出手段により検出した前記地図座標から前記自車両の進行方向において次の前記分岐点が画面表示範囲に含まれるまで、前記地図画面をスクロールする画面スクロール手段をさらに備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のナビゲーション装置において、
ユーザの指又は前記トレース手段の前記接触位置から先の前記分岐点から、進行方向において先の経路を探索し、該経路を前記地図画面に表示する誘導手段をさらに備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記自車両の現在位置と前記目的地とを接続する経路を探索し、該経路を前記地図画面に表示する経路案内手段とをさらに備え、
前記位置検出手段は、ユーザの指又は前記トレース手段が前記地図画面に表示された前記経路に接触した際に、指又は前記トレース手段の接触位置を取得して、該接触位置に対応する地図座標を検出し、
前記経路確定手段は、検出した前記地図座標から前記経路上の次の分岐点までを前記自車両の経路として確定し、
前記経路案内手段は、ユーザの指又は前記トレース手段の前記接触位置から先の分岐点までが前記自車両の経路として確定された際に、前記分岐点から前記目的地までの経路を新たに探索し、該経路を前記地図画面に表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−241344(P2008−241344A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79528(P2007−79528)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】