説明

綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法ならびに綾巻きパッケージ交換装置

【課題】綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法であって、綾巻きパッケージ交換装置は、自動で、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部に対して機能し、作業部に対して機能するために様々な操作装置、特に旋回可能で移動可能に支承された、ヤーンリザーブを形成するためのヤーン処理エレメントを備えているものを改良して、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部の設置位置のずれを問題なく迅速かつ精確に求めるものを提供する。
【解決手段】綾巻きパッケージ交換装置23を、少なくとも綾巻きパッケージを製造する繊維機械1の最初の運転前に、繊維機械1の作業部2に順次位置決めし、測定装置によって、作業部2の設置位置を測定し、求めた値を、作業部2においてヤーン処理エレメント20をあとで精確に位置決めするために準備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法であって、綾巻きパッケージ交換装置は、自動で、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部に対して機能し、作業部に対して機能するために様々な操作装置、特に旋回可能で移動可能に支承された、ヤーンリザーブを形成するためのヤーン処理エレメントを備えているものに関する。
【0002】
また本発明は、綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法を実施するための綾巻きパッケージ交換装置に関する。
【背景技術】
【0003】
綾巻きパッケージ交換装置は、自動で、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部に対して機能する際に用いられる。綾巻きパッケージ交換装置は、様々な構成で公知であり、権利保護範囲を有する多くの出願、たとえばドイツ連邦共和国特許第19533833号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007036696号明細書またはドイツ連邦共和国特許出願公開第102007048719号明細書において詳しく述べられている。
【0004】
このような綾巻きパッケージ交換装置は、作業部の上側で機械長さのレールに沿って移動可能に支承されていて、たとえば綾巻きパケージ/空ボビン交換に際して用いられる様々な処理装置を備えている。綾巻きパッケージ交換装置は、要求されると、つまり、繊維機械の1つの作業部において、綾巻きパッケージが所定の直径に達すると、該当する作業部に呼び寄せられ、この作業部で綾巻きパッケージ/空ボビン交換が行われる。綾巻きパッケージ交換装置は、該当する作業部に位置決めされ、この作業部のボビン保持枠に存在する完成した綾巻きパッケージを新しい空ボビンと交換する。綾巻きパッケージ交換装置は、新しい空ボビンを、たとえば作業部独自のボビン貯蔵部から取出す。次いで、いわゆる新しい空ボビンのいわゆる下糸を固定して、作業部が新たに始動する。
【0005】
そのような交換工程の間に必要な様々な操作装置は、綾巻きパッケージ交換装置の中央の駆動モータに接続されたカムディスクのセットを介して駆動されるか、または、操作装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第102007036696号明細書に記載されているように、個々の駆動装置を備えており、このことは操作装置の操作性に有利に働く。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007048719号明細書において、別の綾巻きパッケージ交換装置が公知であり、この綾巻きパッケージ交換装置は、前述の操作装置の他に、特別な機械式のロック装置を備えている。そのような機械式のロック装置によって、綾巻きパッケージ交換装置が交換工程中に常時規定通りに操作を必要とする作業部に位置決めされている、ということが保証される。ロック装置は、可動に配置された2つの係止エレメントを備えており、係止エレメントは、綾巻きパッケージ交換装置が停止状態に制動される間に、作業部付近に配置された機械長さのガイドレールの係止開口の1つに順次スライドされるように、配置されている。そのようなロック装置によって、綾巻きパッケージ交換装置は、比較的ソフトに位置決めされ、ロックされるだけでなく、常に精確にガイドレールに沿って位置決めされ、ロックされる。前述のロック装置によって、綾巻きパッケージ交換装置が常に精確に作業部の手前に位置決めされる、ということが保証されるが、そのことは、該当する作業部が常に正確な設置位置を有していることを意味するものではない。要するに、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部が多数存在することに基づいて、作業部の少なくとも幾つかは、所定の設置位置に関して、少なくとも僅かに位置がずれるのは、ほぼ不可避である。
【0007】
作業部のそのような位置ずれを補正するために、綾巻きパッケージ交換装置がヤーン処理エレメントでヤーンの残余(予備)の部分であるヤーンリザーブを形成する必要がある場合に、既に提案されているが、綾巻きパッケージ交換装置のヤーン処理エレメントを、作業部のそのような位置ずれをヤーン処理エレメントによって補正できるように、変更する。ヤーン処理エレメントによって、巻き返されるヤーンは、綾巻きパッケージ/空ボビン交換時に操作され、ヤーン処理エレメントによって、ヤーンは、ヤーンリザーブを形成する際にガイドされる。ヤーン処理エレメントは、旋回可能に支承されているだけでなく、旋回軸に関して軸方向に移動可能である。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許第19533833号明細書に記載された綾巻きパッケージ交換装置は、たとえば横向きに移動可能に支承されたヤーン処理エレメントならびに距離制限装置を備えており、距離制限装置によって、ヤーン処理エレメントは、巻取り部(作業部)ハウジングのその都度の位置に応じて位置決めすることができる。ドイツ連邦共和国特許第19533833号明細書に記載された装置は、構造的に割合煩雑であるだけでなく、不都合であり、綾巻きパッケージ交換装置は、通常の巻返し運転の間に各作業部でヤーンリザーブを形成するまえに、常に新たに測定を行う必要があり、これは極めて面倒で、時間の嵩むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第19533833号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007036696号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102007048719号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の構成をした綾巻きパッケージ交換装置から出発して、本発明の課題は、綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法もしくは綾巻きパッケージ交換装置を改良して、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部の設置位置のずれを問題なく迅速かつ精確に求めるものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明の構成によれば、綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法であって、綾巻きパッケージ交換装置は、自動で、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部に対して機能し、作業部に対して機能するために様々な操作装置、特に旋回可能で移動可能に支承された、ヤーンリザーブを形成するためのヤーン処理エレメントを備えているものにおいて、綾巻きパッケージ交換装置を、少なくとも綾巻きパッケージを製造する繊維機械の最初の運転前に、繊維機械の作業部に順次位置決めし、測定装置によって、作業部の設置位置を測定し、求めた値を、作業部においてヤーン処理エレメントをあとで精確に位置決めするために準備する。
【0012】
好適には、測定装置として、ヤーン処理エレメントを用いる。
【0013】
好適には、ヤーン処理エレメントを、先ず各作業部の作業部ハウジングに接触させ、次いで、センサ装置によって到達が検出される所定のゼロ位置に戻し、ヤーン処理エレメントを戻す際に進行した実際距離区間を検出し、各作業部に割り当て、あとで使用するために記憶させる。
【0014】
好適には、ヤーン処理エレメントを戻す際に進行した実際距離区間を検出し、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置内で、所定の目標距離区間と比較し、その結果を、各作業部に割り当て、あとで使用するために記憶させる。
【0015】
この課題を解決するために、本発明の構成によれば、綾巻きパッケージ交換装置において、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に接続された測定装置が設けられており、該測定装置の測定データが、横方向に移動可能に支承されたヤーン処理エレメントを位置決めする際に用いられるようになっている。
【0016】
好適には、綾巻きパッケージ交換装置は、ヤーン処理エレメントとして構成された測定装置と、ヤーン処理エレメントを横方向に移動させるための、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に接続された駆動装置と、ヤーン処理エレメントの移動経路のゼロ位置の範囲に配置された、制御装置に接続されたセンサ装置とを備えている。
【0017】
好適には、ヤーン処理エレメントの駆動装置は、ステップモータとして形成されており、該ステップモータのモータステップが、制御装置によって検出可能である。
【0018】
好適には、ヤーン処理エレメントのゼロ位置を検出するためのセンサ装置として、ホールセンサが用いられる。
【0019】
好適には、綾巻きパッケージ交換装置は、機械式のロック装置を備えており、該ロック装置によって、綾巻きパッケージ交換装置は、繊維機械の作業部の位置に正確にロック可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の構成による格別な利点によれば、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の最初の運転前に、綾巻きパッケージ交換装置の一度の補正走行で、繊維機械の全作業部の設置位置を問題なく迅速かつ精確に求めて、その結果を、あとで用いるために、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に記憶させることができる。作業部の設置位置の補正は、補正走行の開始後に、綾巻きパッケージ交換装置によって自動で行われ、つまり、作業員による別の作用は不要である。本発明による方法に従って作動する綾巻きパッケージ交換装置では、個別の補正走行は、たとえば特定の運転時間が経過したあとで綾巻きパッケージ交換装置を完全に交換したあとで、または、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置の主要部分を交換したあとでしか、必要とされない。繊維機械の単数または複数の作業部を交換する際にも、綾巻きパッケージ交換装置による、該当する作業部の個別の新たな補正が望ましい。
【0021】
綾巻きパッケージ交換装置において本発明による方法を実施するために必要な追加的な手間は、主に綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に接続された測定装置に限定され、測定装置は、作業部の正確な設置位置を求めることができる。実際に、本発明による方法に従って作動する綾巻きパッケージ交換装置は、一般的な従来の方法に従って作動する綾巻きパッケージ交換装置よりも極めて機能的であるだけでなく、そのような綾巻きパッケージ交換装置は、比較的安価に実現することができる。
【0022】
好適な構成では、請求項2に記載されるように、測定装置として、ヤーン処理エレメントを用いる。そのような場合、本発明による方法を実施するために必要な追加的な手間は、実質的に、綾巻きパッケージ交換装置の、ヤーン処理エレメントを管理する制御装置のソフトウェアによる処理に減じられる。
【0023】
請求項3に記載されるように、本発明による好適な方法によれば、特に、ヤーン処理エレメントを、先ず各作業部の作業部ハウジングに接触させ、次いで、センサ装置によって到達が検出される所定のゼロ位置に戻す。ヤーン処理エレメントをゼロ位置に戻す際に、進行した実際距離区間を検出し、各作業部に割り当て、あとで使用するために記憶させる。前述のようにして、作業部が規定通りの設置位置を有しているか、もしくは、各作業部の設置位置のずれがどの程度であるか、比較的簡単に検査することができる。あとの巻取り運転中に、作業部の手前に係止される綾巻きパッケージ交換装置は、作業部の各設置位置に関して正確に伝達されているので、迅速かつ精確に反応することができ、ヤーン処理エレメントを、規定通りのヤーンリザーブが巻取られるように操作することができる。
【0024】
請求項4によれば、ヤーン処理エレメントをゼロ位置に戻す際に進行した実際距離区間を検出し、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置内で、所定の目標距離区間と比較する。もちろんその結果は、各作業部に割り当て、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に記憶させ、必要な場合、ヤーンリザーブを形成する際にヤーン処理エレメントを精確に位置決めするために用いられる。
【0025】
請求項5に記載されるように、本発明による方法に従って作動する綾巻きパッケージ交換装置は、好適には、作業部の設置位置を求めるための測定装置を備えている。つまり、綾巻きパッケージ交換装置は、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に接続された装置を備えており、この装置は、測定部材により、作業部の正確な設置位置を検出し、制御装置に伝達し、制御装置は、求められた測定データを、あとで横方向に移動可能に支承されたヤーン処理エレメントを位置決めする際に用いる。
【0026】
請求項6によれば、綾巻きパッケージ交換装置は、横方向に支承されたヤーン処理エレメントとして構成された測定装置と、ヤーン処理エレメントを横方向に移動させるための、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に接続された駆動装置と、ヤーン処理エレメントのゼロ位置の範囲に配置された、同様に制御装置に接続されたセンサ装置とを備えている。該当する作業部の作業部ハウジングに接触してから所定のゼロ位置に移動する際に、制御装置内で、ヤーン処理エレメントが進行した、測定された実際距離区間が記憶され、もしくは、制御装置内で、測定された実際距離と所定の目標距離との間の結果の比較および記憶が行われる。
【0027】
請求項7に記載されるように、好適な構成では、ヤーン処理エレメントの駆動装置は、ステップモータとして形成されており、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置によって、ヤーン処理エレメントを該当する作業部の作業部ハウジングにおける位置からゼロ位置に送るために、ステップモータが行うモータステップの数が検出される。ステップモータのステップの数は、制御装置内で処理され、制御装置内で、その都度所定の目標距離区間と測定された実際の距離区間との間の比較が行われる。確認された多くの場合それぞれ異なるずれは、各作業部に割り当て、綾巻きパッケージ交換装置の制御装置に記憶され、綾巻きパッケージ交換装置によって、ヤーン処理エレメントの適切な位置決めによるあとの綾巻きパッケージ/空ボビン交換工程に際して、特にヤーンリザーブを形成する際に考慮される。綾巻きパッケージ交換装置の操作装置の、記憶された値に基づいて可能な微調整によって、完成した全ての綾巻きパッケージは、同程度の高い品質基準を満たすように、保証される。
【0028】
請求項8に記載されるように、ヤーン処理エレメントのゼロ位置付近に配置されたセンサ装置は、好適にはホールセンサとして形成されている。そのようなホールセンサは、流通している比較的感度の低い、繊維機械産業では既に過去に認められた大量生産品である。
【0029】
請求項9によれば、綾巻きパッケージ交換装置は、さらに機械式のロック装置を備えており、ロック装置によって、綾巻きパッケージ交換装置は、常に、位置正確に繊維機械の作業部にロックすることができる。たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第102007048719号明細書において公知のそのような機械式のロック装置は、該当する操作の必要な作業部における綾巻きパッケージ交換装置の位置決めが比較的ソフトに行われるだけでなく、綾巻きパッケージ交換装置は、常に、極めて精確に作業部に位置決めされている、という利点を有しており、このことは、作業部の実際の設置位置を求める際ならびにあとでヤーンリザーブを形成する際に極めて効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】多数の作業部と走行レールに沿って配置される綾巻きパッケージ交換装置とを備えた、綾巻きパッケージを製造する繊維機械を示す正面図であり、綾巻きパッケージ交換装置は、繊維機械の作業部の設置位置を求める装置を備えている。
【図2】作業部の手前に位置決めされた綾巻きパッケージ交換装置を備えた作業部を示す側面図であり、綾巻きパッケージ交換装置は、ヤーン処理エレメントを備えている。
【図3】綾巻きパッケージ交換装置が作業部ハウジングのストッパに接触するまえの状態で、綾巻きパッケージ交換装置の1つのヤーン処理エレメントを示す前方斜視図である。
【図4】1つの処理エレメント、特にその駆動装置を拡大して示す後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明の実施の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。
【0032】
図1には、綾巻きパッケージを製造する繊維機械、本実施の形態では自動綾巻き機1を正面図で略示している。このような自動綾巻き機1は、通常、端部フレーム35,36の間に、同種の多数の作業部2を備えており、作業部2において、生産プロセスで前置された、図示していないリング精紡機で生産された紡績コップ9が、容積の大きな綾巻きパッケージ11に巻返される。完成した綾巻きパッケージ11は、次いで、自動の綾巻きパッケージ交換装置23によって、繊維機械独自の綾巻きパッケージ搬送装置21に引渡され、次いで、機械端部側に配置された、図示していないパッケージ積込みステーションなどに搬送される。
【0033】
図2から看取されるように、このような自動綾巻き機1は、通常、ボビン搬送系3の構成をした物流装置を備えている。ボビン搬送系3では、搬送皿8上で紡績コップ9もしくは紡績コップ用の空ボビン34が循環する。ボビン搬送系3のうち、図2には、機械長さの紡績コップ供給区間4、これとは反対の作業部側に延在する、可逆に駆動される貯蔵区間5、作業位置2に向かって延びる横方向搬送区間6ならびに空ボビン戻しガイド区間7が看取される。割合少ない糸量を有する紡績コップ9は、横方向搬送区間6の付近に位置する繰出し位置10に位置決めされて、次いで大量の綾巻きパッケージ11に巻返される。さらにそのような自動綾巻き機1は、中央制御ユニット37を備えており、中央制御ユニット37は、たとえば機械バス40を介して、作業部2の作業部計算機39や作業部2に作用する綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38と接続されている。綾巻きパッケージ交換装置23は、走行装置24,25により、作業部2の上方に配置された、機械長さの走行軌道26,27に沿って移動可能に支承されている。たとえば走行装置25の駆動ローラは、好適には独立した駆動装置に接続されていて、綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38を介して所定に操作することができる。前述のように、綾巻きパッケージ交換装置23は、自動で、完成した綾巻きパッケージ11を綾巻きパッケージ搬送装置21に送るために用いられるだけでなく、次いで綾巻きパッケージ用の空ボビン28を該当する作業部2のボビン保持枠18に新たに交換するためにも用いられる。綾巻きパッケージ交換装置23は、相応の綾巻きパッケージ用の空ボビン28を、それぞれ作業部2の上方に配置された、好適には作業部独自の空ボビンマガジン22から取り出す。
【0034】
図2には、自動綾巻き機1の作業部2ならびに綾巻きパッケージ交換装置23を側面図で示しており、綾巻きパッケージ23の様々な操作装置は、本発明の理解を容易にするために詳細には図示していない。図2には、機械式のロック装置19ならびにヤーン処理エレメント20を示しており、ヤーン処理エレメント20については、図3および図4に基づいて詳説する。そのような機械式のロック装置19は公知であり、たとえばドイツ連邦共和国特許出願第102007048719号明細書に詳しく記載されている。
【0035】
自動綾巻き機1の作業部2は、公知であり、したがって示唆するに留めるが、様々なヤーン処理装置を備えており、ヤーン処理装置は、このような作業部2の規定通りの運転を実現する。作業部2は、たとえば作業部独自の吸込みノズル12、グリッパ管42、ヤーン撚継ぎ装置13、テンション装置14、ヤーン切断装置15ならびにパラフィン処理装置16をそれぞれ備えている。さらにこのような作業部2は、多くの場合、電動モータ式の独立した駆動装置によって駆動される巻取りドラム17を備えており、巻取りドラム17は、摩擦接続を介して、巻取り工程中にボビン保持枠18に回動可能に保持される綾巻きパッケージ11を駆動する。
【0036】
さらに図2には、紡績コップ9から繰出され、綾巻きパッケージ11に巻取られるヤーンを示し、これには符号30を付している。
【0037】
前述のように、綾巻きパッケージ交換装置23は、図2では理解を容易にするために詳細には図示していない多数の操作装置の他に、図2に示しているヤーン処理エレメント20を備えており、ヤーン処理エレメント20は、図3および図4に基づいて詳説する。
【0038】
図3には、全体を符号20で付しているヤーン処理装置を斜視図で示しており、ヤーン処理装置は、綾巻きパッケージ交換装置23のいわゆる初期運転の範囲内で、自動綾巻き機1の作業部2の作業部ハウジング32の設置位置を検査することができる。ヤーン処理装置20は、独立した駆動装置、好適にはステップモータによって、横方向に移動可能であり、このために、ヤーン処理装置20は、綾巻きパッケージ交換装置23が作用位置2の手前に位置決めされている場合に、旋回モータ41(旋回モータ41も同様に好適にはステップモータとして形成されている)によって、矢印Sの方向に旋回され、次いで、ステップモータ31によって、横方向に、ヤーン処理装置20が相応の作業部ハウジング32のストッパ43に当接するまで、移動する。
【0039】
ヤーン処理装置20の背面からみた斜視図である図4から看取されるように、ステップモータ41は、モータピニオン47とたとえば歯付ベルト44とを介して、プーリ45に接続されており、プーリ45自体は、旋回軸46に相対回動不能に(つまり一緒に回動するように)取付けられている。旋回軸46には、ヤーン処理装置20のキャリッジ51が相対回動不能に取付けられている。要するに、制御ライン48を介して綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38と接続されているステップモータ41を適切に操作することによって、キャリッジ51ひいてはキャリッジ51に取付けられた、ヤーン処理装置20の支持アーム53は、それぞれ規定のように所定の位置に旋回することができる。
【0040】
ヤーン処理装置20を横方向に移動させるためのステップモータ31は、制御ライン49を介して同様に綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38に接続されており、ステップモータ31は、歯付ベルト50を介してキャリッジ51と接続されており、キャリッジ51は、横方向に移動可能に旋回軸46ならびにガイドロッド52に支承されている。前述のように、キャリッジ51は、支持ロッド53に取付けられており、支持ロッド53に、ヤーン処理装置20の操作エレメント(たとえば空気力式に作動可能なヤーン切断装置54および空気力式に作動可能なヤーン固定装置55)が配置されている。ヤーン処理エレメント20に配置されたそのような操作エレメントの綾巻き/空ボビン交換中の作業方式は、少なくとも原理的に公知であり、たとえばドイツ連邦共和国特許第19533833号明細書に記載されている。
【符号の説明】
【0041】
1 自動綾巻き機、 2 作業部、 3 ボビン搬送系、 4 紡績コップ供給区間、 5 貯蔵区間、 6 横方向搬送区間、 7 空ボビン戻しガイド区間、 8 搬送皿、 9 紡績コップ、 10 繰出し位置、 11 綾巻きパッケージ、 12 吸込みノズル、 13 ヤーン撚継ぎ装置、 14 テンション装置、 15 ヤーン切断装置、 16 パラフィン処理装置、 17 巻取りドラム、 18 パッケージ保持枠、 19 ロック装置、 20 ヤーン処理エレメント、 21 綾巻きパッケージ搬送装置、 22 空ボビンマガジン、 23 綾巻きパッケージ交換装置、 24,25 走行装置、 26,27 走行軌道、 28 空ボビン、 31 駆動装置、 32 作業部ハウジング、 34 空ボビン、 35,36 端部フレーム、 37 中央制御ユニット、 38 制御装置、 39 作業部計算機、 40 機械バス、 41 旋回モータ、 42 グリッパ管、 43 ストッパ、 44 歯付ベルト、 45 プーリ、 46 旋回軸、 47 モータピニオン、 48 制御ライン、 49 制御ライン、 50 歯付ベルト、 51 キャリッジ、 52 ガイドロッド、 53 支持アーム、支持ロッド 54 ヤーン切断装置、 55 ヤーン固定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法であって、
綾巻きパッケージ交換装置は、自動で、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部に対して機能し、作業部に対して機能するために様々な操作装置、特に旋回可能で移動可能に支承された、ヤーンリザーブを形成するためのヤーン処理エレメントを備えているものにおいて、
綾巻きパッケージ交換装置(23)を、少なくとも綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)の最初の運転前に、繊維機械(1)の作業部(2)に順次位置決めし、
測定装置によって、作業部(2)の設置位置を測定し、
求めた値を、作業部(2)においてヤーン処理エレメント(20)をあとで精確に位置決めするために準備することを特徴とする、綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法。
【請求項2】
測定装置として、ヤーン処理エレメント(20)を用いる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ヤーン処理エレメント(20)を、先ず各作業部(2)の作業部ハウジング(32)に接触させ、次いで、センサ装置によって到達が検出される所定のゼロ位置に戻し、
ヤーン処理エレメント(20)を戻す際に進行した実際距離区間を検出し、各作業部(2)に割り当て、あとで使用するために記憶させる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
ヤーン処理エレメント(20)を戻す際に進行した実際距離区間を検出し、綾巻きパッケージ交換装置(23)の制御装置(38)内で、所定の目標距離区間と比較し、その結果を、各作業部(2)に割り当て、あとで使用するために記憶させる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の綾巻きパッケージ交換装置を運転する方法を実施するための綾巻きパッケージ交換装置において、
綾巻きパッケージ交換装置(23)の制御装置(38)に接続された測定装置が設けられており、該測定装置の測定データが、横方向に移動可能に支承されたヤーン処理エレメント(20)を位置決めする際に用いられるようになっていることを特徴とする、綾巻きパッケージ交換装置。
【請求項6】
綾巻きパッケージ交換装置(23)は、ヤーン処理エレメント(20)として構成された測定装置と、ヤーン処理エレメント(20)を横方向に移動させるための、綾巻きパッケージ交換装置(23)の制御装置(38)に接続された駆動装置(31)と、ヤーン処理エレメント(20)の移動経路のゼロ位置の範囲に配置された、制御装置(38)に接続されたセンサ装置とを備えている、請求項5記載の綾巻きパッケージ交換装置。
【請求項7】
ヤーン処理エレメント(20)の駆動装置(31)は、ステップモータとして形成されており、該ステップモータのモータステップが、制御装置(38)によって検出可能である、請求項6記載の綾巻きパッケージ交換装置。
【請求項8】
ヤーン処理エレメント(20)のゼロ位置を検出するためのセンサ装置として、ホールセンサが用いられる、請求項6記載の綾巻きパッケージ交換装置。
【請求項9】
綾巻きパッケージ交換装置(23)は、機械式のロック装置(19)を備えており、該ロック装置(19)によって、綾巻きパッケージ交換装置(23)は、繊維機械(1)の作業部(2)の位置に正確にロック可能である、請求項6記載の綾巻きパッケージ交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−1373(P2012−1373A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131561(P2011−131561)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】