説明

線維症を抑制するための方法

結合組織成長因子活性を回復するための、グルココルチコイド誘導性キナーゼの調節。線
維増殖性障害の検出および処置に有用な方法および化合物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、血清・グルココルチコイド誘導性キナーゼSGK1を発現する細胞を、前記
グルココルチコイド誘導性キナーゼを調節する物質と接触させることを含む、結合組織増
殖因子(CTGF)活性を変更する方法に関する。さらに、本発明は線維性疾患の診断お
よび処置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
線維症は、正常な傷の治癒プロセスのバランスが崩れ、結果として、正常な組織機能を
妨げ広範囲の線維性障害において臓器不全をもたらすことがある、瘢痕組織の持続的な形
成をもたらす病的状態である。
【0003】
線維症では、線維芽細胞により発現されるCTGFが重要な役割を果たし、したがって
CTGFは抗線維化療法の興味を引く標的であることが知られている。ますます多くの臨
床上の証拠が、線維性障害におけるCTGFの役割を支持している。多くの発表された研
究では、肺、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、および眼を含む主要な臓器および組織の線維増殖
性障害を有する患者から得られたサンプルに、CTGFが異常に高い量で存在することが
示されている(Ihn、2002年)。CTGFの産生の変更は、本明細書においてこれ
以降「線維増殖性障害」と呼ぶ、放射線治療、腫瘍、血管新生、肉芽腫性疾患、臓器およ
び移植片の拒絶反応、紅斑性狼瘡、アテローム性動脈硬化、低酸素症、酸化ストレス、心
筋の梗塞および虚血、心臓の肥大および線維症、糸球体腎炎および糸球体硬化症、腎線維
症、真性糖尿病、線維性膵炎、肝硬変、脂肪性肝炎および胆管線維症、線維化および炎症
性の腸疾患、消化性潰瘍、腹腔内癒着、腹膜透析における腹膜線維症、肺線維症、線維性
肺胞炎、肺サルコイドーシスおよび/または喘息、卵巣機能不全、子宮筋腫、関節炎、筋
肉の痛み/筋肉痛および筋膜炎、硬皮症、ケロイド、歯肉肥大;角膜、眼液、および網膜
を含む様々な臓器における瘢痕または結合組織の形成;緑内障、脳梗塞を含む脳の病変、
アルツハイマー病、傷の治癒、抜歯後の治癒、骨の治癒および成長、骨折の修復などの多
くの疾患で観察されている。
【0004】
CTGFは、傷の瘢痕プロセスにおけるCTGFの誘導および後に続く事象の誘導をも
たらす一連の事象を引き起こす上での中心的な役割を有するため、抗線維化療法の標的と
して提唱されている。しかし、このような取組みは、未だ研究および開発の初期段階にあ
り、結果は不確かである。本出願は、CTGF活性の妨害をもたらす別のアプローチを提
供し、はるかにより早い段階でCTGFの調節を妨害し、したがってCTGF発現を防止
する。その結果、本発明は、広範な副作用なしに重大な臨床上の利益をもたらす利点のあ
る治療法を提供することが期待される。
【0005】
SGK1は、初めは、グルココルチコイド誘導性遺伝子としてクローニングされ、鉱質
コルチコイドにより強力に上方制御されることが引き続き示された。SGK1は、インス
リン様増殖因子IGF1、インスリンにより、ならびにホスホイノシトール−3−キナー
ゼ(PI3キナーゼ)およびホスホイノシトール依存性キナーゼPDK1を伴うシグナル
カスケードを介した酸化ストレスにより調節されることが示されている(Kobayas
hi&Cohen、1999年、Parkら、1999年、Kobayashiら、19
99年)。PDK1によるSGK1の活性化は、セリン422のリン酸化を伴う。セリン
422のアスパラギン酸への変異(S422DSGK1)はキナーゼの継続的な活性化をもた
らすことが、さらに示されている(Kobayashiら、1999年)。
【0006】
グルココルチコイド誘導性キナーゼSGK1活性を測定するために、様々なアッセイ系
が使用可能である。シンチレーション近接アッセイ(Sorgら、J.of.Biomo
lecular Screening、2002年、7巻、11〜19頁)およびフラッ
シュプレートアッセイでは、基質としてのタンパク質またはペプチドのγATPによる放
射性リン酸化を測定する。阻害性の化合物の存在下で、放射性シグナルがないこと、また
はその減少が検出可能である。さらに、均一な時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR
−FRET)技術および蛍光偏光(FP)技術が、アッセイ方法として有用である(Si
llsら、J.of Biomolecular Screening、2002年、1
91〜214頁)。他の非放射性のELISAベースのアッセイ方法は、特異的なリン−
抗体(AB)を使用する。リン−ABは、リン酸化した基質にのみ結合する。この結合は
、ペルオキシダーゼが結合した抗ヒツジ二次抗体を用いて化学発光により検出することが
できる(Rossら、2002年、Biochem.J.、直接発表、原稿BJ2002
0786)。
【0007】
以前の結果では、SGK1は腎上皮のNa+チャンネルの強力な刺激物質であることが
示された(De la Rosaら、1999年、Boehmerら、2000年、Ch
enら、1999年、Naray−Fejes−Tothら、1999年、Langら、
2000年、Shigaevら、2000年、Wagnerら、2001年)。
【0008】
SGK1に関する別の発見は、(CC/CT)のヌクレオチドの組合せを有するエキソ
ン8における一塩基多型(SNP)、およびイントロン6(CC)におけるさらなる多型
が、血圧の上昇に関連するということであり(Busjahnら、2002年)、これよ
りSGK1は血圧調節および高血圧に重要であり得ると結論が下された。
【0009】
SGK1の活性の上昇が、腎臓のナトリウムの再吸収の増加により高血圧をもたらす腎
上皮のNa+チャンネルの活性と相関するので(Lifton、1996年;Staes
senら、2003年;Warnock、2001年)、SGK1の対立遺伝子の変異の
組合せに依存して、血圧を上昇させる腎臓のNa+再吸収の増加が生じることがあること
は決定的であった(Busjahnら、2002年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の概要
線維芽細胞における結合組織成長因子(CTGF)の発現は、広範囲の疾患に関連する
線維症を引き起こす中心である。本発明は、意外にも、CTGFの発現の増加が、血清・
グルココルチコイド誘導性キナーゼSGK1の存在および上方制御に強力に相関すること
を説明するものである。
【0011】
より詳しくは、SGK1には2つの新規の重要な機能(i)鉱質コルチコイドの塩欲求
に対するシグナリング、および(ii)鉱質コルチコイドが誘導するCTGFおよび心線
維症の形成の媒介、があることを、本発明は開示している。
【0012】
データにより、一般に線維性疾患でSGK1キナーゼが決定的な役割を果たす心線維症
の例が説明される。SGK1の過剰転写が、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、クローン病、肺
線維症、肝硬変、および線維性膵炎に観察されている。心線維症における過剰のSGK1
転写の機能上の重要性は探究されており、当技術分野の経験者であれば、示された所見を
この研究を通じて未だに探究されていない他の線維性疾患に容易に拡張することができる
が、SGK1は前記の疾患の病態生理学に積極的に関係することを強力に提唱することが
できる。
【0013】
SGK1ノックアウトマウス由来の線維芽細胞におけるCTGFの生成は、線維症を引
き起こすことでよく知られている物質であるデオキシコルチコステロンが誘導することが
できない。一方、このホルモンは、SGK1の機能を完全に有する正常マウス由来の線維
芽細胞でCTGFの著しい発現を誘導する。したがって、SGK1は、CTGFが主導す
る線維症の強力な調節物質である。
【0014】
線維芽細胞で発現されるCTGFは、線維症を引き起こす最も重要なメディエータであ
るので、SGK1を阻害するとCTGFの発現が妨害され、線維症が抑制される。SGK
1には疾患を助長するプロセスでこの中心的役割を有し、したがって天然の生来の機能の
他に、線維症をもたらす疾患に関連するいくつかの予期しない新規の機能がある。
【0015】
本発明は、線維性疾患の疾病素因、進行、退行、または発症を決定するための方法も提
供し、これはCTGFの状態と組み合わせて、組織サンプルおよび組織標本におけるSG
K1の発現の上方制御または下方制御を測定することにより行われる。疾患の個体から採
取したサンプルは、そのようなサンプルにおける選択されたSGK1の一塩基発現多型変
異の分析、および疾患に対する疾病素因との相関の分析がさらに可能となりうる。
【0016】
別の一態様は、SGK1に関連する疾患を調節する新しい薬物候補を同定するスクリー
ニング方法に関する。本発明による特に有用なモジュレーターは、SGK1の機能を妨害
し、したがってCTGF発現および活性の上方制御を防止する化合物である。SGK1の
阻害物質は、「線維増殖性障害」の群:放射線により引き起こされる線維症、腫瘍、血管
新生、肉芽腫性疾患、臓器および移植片の拒絶反応、紅斑性狼瘡、アテローム性動脈硬化
、低酸素症、酸化ストレス、心筋の梗塞および虚血、心臓の肥大および線維症、糸球体腎
炎および糸球体硬化症、腎線維症、真性糖尿病、線維性膵炎、肝硬変、脂肪性肝炎および
胆管線維症、線維化および炎症性の腸疾患、消化性潰瘍、腹腔内癒着、腹膜透析における
腹膜線維症、肺線維症、線維性肺胞炎、肺サルコイドーシスおよび/または喘息、卵巣機
能不全、子宮筋腫、関節炎、筋肉の痛み/筋肉痛および筋膜炎、硬皮症、ケロイド、歯肉
肥大、瘢痕形成;角膜、眼液、および網膜における瘢痕または結合組織の形成の抑制;緑
内障、脳梗塞を含む脳の病変、アルツハイマー病、傷の治癒、抜歯後の治癒、骨の治癒お
よび成長、骨折後の骨の治癒から選択される疾患の症状を患う対象を処置するのに特に有
用である。
【0017】
本発明により行われる薬物スクリーニングのアプローチは、SGK1を標的とする治療
用化合物の発見をもたらした。1つはアシルヒドラゾン誘導体のクラスに属し、他方はピ
リドピリミジン誘導体に属する、2つの異なるクラスの化合物が同定されている。選択さ
れたSGK1阻害性化合物は、薬学的に有効な担体、賦形剤または希釈剤を含む薬剤組成
物において、線維症をもたらす様々な疾患の処置に有用である。望ましい治療プロファイ
ルを有する新しい薬物を同定するのに用いられるスクリーニング方法は、本出願に開示さ
れる化合物に制限されるものではないことが、本発明にとって重要である。さらに、SG
K1調節性の化合物をスクリーニングするための1ステップのアプローチまたは2ステッ
プのアプローチが、適用に役立ち得ることは、専門家には明らかである。このようなスク
リーニングの第1のステップは、SGK1キナーゼ活性を妨害する化合物の同定を含む。
様々なアッセイ形式が利用可能であり、好ましいアッセイは、γATPとともに基質とし
てのタンパク質またはペプチドのSGK1が触媒する放射性のリン酸化の測定を使用して
いる。SGK1阻害性の化合物の存在下で放射性シグナルが検出されないか、または減少
したシグナルが検出できる。第2の読出し装置では、SGK1阻害性の化合物は、CTG
F発現を妨害するその可能性がモニターされるが、他の読出し活性の測定も同様に有用で
あり得る。CTGFを測定することの他に、または測定する代わりに、プロコラーゲン、
インテグリンα5、またはプロテオグリカンを測定することも考慮することができる。
発明の詳細な説明
SGK1が心線維症のシグナリングに関与することがあるか否かを探究するために、D
OCAを連続的に放出する(2.4mg/日)ペレットを、sgk1+/+マウスおよび
sgk1−/−マウスの両者に埋め込み、飲料水中1%NaClとともに与えた。
【0018】
処置前では、sgk1−/−マウスおよびsgk1+/+マウスの血圧は同様であり、
血漿Na+、Cl-、Ca2+、およびリン酸塩濃度、糸球体ろ過速度、尿流量、および腎臓
の電解質排出も同様であった。
【0019】
sgk1−/−マウスおよびsgk1+/+マウスの両者に18日間のDOCA/高塩
分処置を行ったところ、血圧、ならびにNaClおよび水分の尿排出量に統計上有意な増
加がもたらされた。この結果は、Ca2+、およびリン酸塩の尿排出における有意な増加と
対応し、細胞外体積12、13の増大の典型的な結果であった、。DOCAは、sgk1
+/+に顕著な低カリウム血症を引き起こしたが、sgk1−/−マウスには引き起こさ
ず、鉱質コルチコイドが調節する腎臓のK+排泄におけるSGK1の役割を含意する。
【0020】
sgk1−/−マウスにおける血圧の上昇は、腎臓のNa+再吸収の顕著な上方制御と
一致し、ここに示すように、DOCAが媒介する鉱質コルチコイド受容体の活性化による
腎臓の塩の再吸収のこのSGK1非依存性の上方制御は、明らかに、最終的な腎臓のNa
Cl貯留を引き起こし、したがって血圧を上昇させるのに十分である。
【0021】
しかし、DOCA/高塩分が引き起こす血漿Na+濃度、尿流量、絶対および分画のN
aCl排泄の上昇は、sgk1+/+マウスに比べてsgk1−/−マウスで著しく鈍く
なった。sgk1−/−マウスでは腎臓のNa+再吸収の刺激が不完全であることを考慮
すると、反対に、すなわちこれらのマウスにおける尿中NaClの排出量の減少ではなく
増加が期待された。
【0022】
したがって、新しい発見は、SGK1が鉱質コルチコイドが誘導する塩欲求に寄与し得
るということであった。この可能性を検証するために、マウスを、ボトル1が常時水道水
を含む2本の飲料ボトルに手が届くメタボリックケージに入れた。sgk1+/+マウス
では、ボトル2を水道水から1%NaClに切替えても、ボトル1からの水分摂取を有意
に変更せず、DOCAペレットを埋め込んだ後のみボトル2からの塩分摂取の顕著な上昇
を引き起こし、DOCAが誘導する塩欲求と一致した(図1)。しかし、この反応は、s
gk−/−マウスでは有意に減少した。ボトル2からの液体摂取量の有意差は、ボトル2
に水道水を提供した後でもsgk1+/+マウスとsgk1−/−マウスとの間に存続し
、sgk1+/+マウスはsgk1−/−マウスよりも塩を強く探索し続けたことを示し
ていた。これらのデータは、SGK1は、腎臓のNa+再吸収の刺激による排出量の阻害
にだけではなく、鉱質コルチコイドが誘導する塩欲求による取込みの刺激にも関与する、
鉱質コルチコイドが調節するNa+ホメオスタシスで二重の役割を演じることの第1の証
拠を提供する(6、7)。SGK1は、グルココルチコイドによる塩欲求の調節に同様に
関係することがあり(2)、塩の取込みのSGK1依存性の増加はストレス状態の間中、
細胞外液体体積および血圧を上昇させる一因となることがある(15)。さらに、塩欲求
が増加し、引き続き塩の取込みが増加し細胞外の液体が増大すると、SGK1遺伝子内に
通常の多型を有する個体の血圧値が高くなる一因となることがあり、非選択の白人の5%
程度に影響を及ぼす(16)。
【0023】
血圧は等しく上昇したが、DOCA/高塩分の腎臓の増殖およびタンパク尿に対する効
果は、sgk1−/−マウスで著しく鈍くなった。さらに、心臓の形態は、sgk1−/
−マウスとsgk1+/+マウスとでは劇的に異なった。DOCA/高塩分処置を18日
間行うと、sgk1+/+マウスでは心臓に明らかな線維症がもたらされたが、sgk1
−/−マウスでは心臓にいかなる認め得る効果もないままであった(図2a)。線維症の
重症度の定量分析は、線維症の面積を測定し、次いで全体の面積のパーセント値で表すこ
とにより評価され、DOCA/高塩分処置のsgk1+/+マウスとsgk1−/−マウ
スとの間に線維症の度合いの間に統計学的な有意差が表れた(図2b)。DOCA/高塩
分処置の前では、sgk1+/+マウスとsgk1−/−マウスとには顕著な線維症は観
察されなかった(図2b)。
【0024】
DOCA/高塩分処置のsgk1+/+マウスに観察された心線維症の増強は、マイク
ロアレイ分析で決定したいくつかの遺伝子の転写調節の変更と対応した。sgk1+/+
マウスでは、48時間のDOCA/高塩分処置により、プロコラーゲン、インテグリンα
5、プロテオグリカン4、および結合組織成長因子CTGFなど、線維症の病因に関わる
いくつかの遺伝子が誘導され(図2c)、SGK1転写の増加と対応した(リアルタイム
PCRにより分析して、DOCA/高塩分処置のsgk1+/+マウスにおけるSGK1
/GAPDHコピー数は非処置のsgk1+/+マウスに比べて2.10±0.14倍に
増加)。これとは対照的に、sgk1−/−マウスではこれらの遺伝子のどれも、DOC
A/高塩分により誘導されなかった。
【0025】
DOCA/高塩分処置のsgk1+/+マウスは、sgk1−/−マウスに比べてより
大量の塩の取込みを示し(図1)、鉱質コルチコイドの非存在下で心線維症を刺激するた
めに長時間の塩の摂取の増加が以前に報告されているので(17)、我々は、sgk1+
/+マウスとsgk1−/−マウスとの間の心線維症の度合いの違いはsgk1+/+マ
ウスの塩の取込みがより多いことに対する二次的なものであるか否かを決定するために、
sgk1+/+マウスにDOCA+1%食塩水を、sgk1−/−マウスにDOCA+2
%食塩水を提供するさらなる一連の実験を行った。これらの条件下でも、sgk1−/−
マウス(n=5)の液体の取込みは、2.2±0.4倍高く、Na+取込みはしたがって
sgk1+/+マウス(n=5)よりもsgk1−/−マウスで4倍を超えて高く、(こ
の場合は心線維症のマーカーとして用いた)心臓のCTGF発現は、ウェスタンブロッテ
ィングで分析してsgk1+/+マウスからの心組織でのみ有意に増加し(非処置:0.
9±0.2対DOCA/1%塩:4.7±1.0、CTGF/β−チューブリンのデンシ
トメトリー分析の任意の単位(P<0.01))、sgk1−/−マウスでは増加しなか
った(非処置:1.5±1.0対DOCA/2%塩:1.7±0.7、CTGF/β−チ
ューブリンのデンシトメトリー分析の任意の単位)。
【0026】
上記に記載した低カリウム血症は心毒性であることがあり、したがって修復性の線維症
をもたらすことがある(18)。したがって、DOCA/高塩分処置のsgk1+/+マ
ウスにおける過度の低カリウム血症は、心線維症が観察される一因となる可能性があった
。しかし、鉱質コルチコイド/KClでの高塩分処置を行ったラットの補足では、心臓の
線維症の度合いおよびコラーゲン含量には作用がなかったことが以前に報告されている(
19)。
【0027】
CCN(ctgf/cyr61/nov)遺伝子ファミリー(20)の1メンバーであ
るCTGFは、マトリックスタンパク質形成の重要なメディエータであることが知られて
おり(21,22)、コラーゲンおよびインテグリンα5転写の上方制御はCTGF発現
に派生的である可能性がある(23、24)。したがって、我々は、CTGFタンパク質
レベルの調節におけるDOCAの役割をさらに探究した。ウェスタンブロット分析による
と、DOCA/高塩分で(18日間)処置すると、sgk1+/+マウスからの心臓組織
におけるCTGF発現が明らかに上方制御されたが、sgk1−/−マウスでは変更され
なかった(図3a、b)。同様に、sgk1+/+マウスおよびsgk1−/−マウスか
ら分離したマウス肺線維症の初代培養物を刺激すると、DOCA(10μM、24時間)
で刺激後sgk1+/+細胞においてのみCTGFレベルの上昇が示された(図3c、d
)。培養した線維芽細胞におけるCTGF発現のin vitro刺激にSGK1が必要
であることから示唆されるのは、鉱質コルチコイドが誘導するCTGFの形成における違
いは、sgk1−/−マウスとsgk1+/+マウスの間の血圧、電解質代謝、または血
漿濃度の違いを要求しないことであり、一方で鉱質コルチコイドが過剰である間中、これ
らの、および、さらなる機能上のパラメータは当然、心機能および線維症の変更の一因に
なる。CTGF発現のSGK1依存性の上方制御により、このキナーゼがマトリックス堆
積を増強するシグナリングで決定的な役割を果たすことに対する説明が提供される。しか
し、この観察は、SGK1に関わり、心線維症をもたらすさらなるシグナリング経路を除
外しない。
【0028】
図面の簡単な説明
図1:SGK1はDOCAによるNaCl取込みの刺激に必要とされる。
【0029】
DOCA処置前および処置中の、SGK1ノックアウトマウス(sgk1−/−、白抜
き記号)またはその野生型同腹仔(sgk1+/+、塗りつぶし記号)による、ボトル1
(水道水、左パネル)、またはボトル2(水道水または食塩水、右パネル)からの毎日の
水の摂取容積。
図2:SGK1は、DOCAが誘導する心線維症の発症および遺伝子発現の変更に必要と
される。
【0030】
a:18日間DOCA/高塩分食餌処置後の野生型マウス(sgk1+/+、左)、お
よびSGK1ノックアウトマウス(sgk1−/−、右)からの心臓組織のH&Eおよび
Massoriのトリクローム染色(×150倍率)。b:DOCA/高塩分処置のsg
k1+/+、およびsgk1−/−に観察される線維症の度合いを説明するグラフ(線維
性の面積は全体の面積のパーセント値として表される)(平均±SEM、n=6、*有意
差(P<0.05))。c:SGK1ノックアウトマウス(sgk1−/−、白抜きコラ
ム)、および野生型同腹仔(sgk1+/+、塗りつぶしコラム)をDOCA/高塩分食
餌処置2日後、非処置のマウスと比べた、結合組織成長因子(CTGF)、プロコラーゲ
ンI、IV、およびVIII型、プロテオグリカン4、およびインテグリンα5転写物の
レベルにおけるフォールド変化の算術平均±SEM(2動物における4比較)を示すマイ
クロアレイ分析。
図3:DOCAは、sgk1+/+マウスからの心臓および初代培養マウス肺線維芽細胞
におけるCTGF発現を増強するが、sgk1−/−マウスでは増強しない。
【0031】
a:対照、およびDOCA/高塩分処置(18日間)SGK1ノックアウトマウス(s
gk1−/−)および野生型同腹仔(sgk1+/+)からの心臓におけるCTGFおよ
びβ−チューブリンレベルの代表的なウェスタンブロット。b:β−チューブリンの比で
表された、CTGFウェスタンブロットのデンシトメトリー分析(平均±SEM、n=3
〜5、*sgk1+/+偽とsgk1+/+DOCAの間で有意差、#sgk1+/+D
OCAとsgk1−/−DOCAの間で有意差(P<0.05))。c:DOCA処置マ
ウスの肺線維症における、CTGFおよびβ−チューブリン発現の代表的なウェスタンブ
ロット。d:SGK1ノックアウト動物(sgk1−/−、白抜きコラム)および野生型
同腹仔(sgk1+/+、塗りつぶしコラム)由来の線維芽細胞におけるCTGFタンパ
ク質存在量(β−チューブリン発現の関数として)の算術平均±SEM(下パネル、n=
6、*有意差、P<0.05)。
【0032】
さらなる方法と材料
【0033】
実施例1
動物実験
SGK1を欠くマウス(sgk1−/−)を、先に記載したように生成した9。野生型
(sgk1+/+)マウスおよびSGK1ノックアウト(sgk1−/−)マウスに、麻
酔中(腹腔内のメデトミジン0.5mg/kg+ミダゾラム5mg/kg+フェンタニル
0.05mg/kg、これらは皮下のアチパメゾール2.5mg/kg+フルマゼニル0
.5mg/kg+ナロキソン1.2mg/kgにより覆された)に首領域(28)に21
日放出の50mgDOCAペレット(フロリダ州、Sarasota、Innovati
ve Research of America)を埋め込んだ。DOCAペレットを埋
め込む1日前に、ベースの24時間尿を採集するために、sgk1−/−マウスおよびs
gk1+/+マウスの体重を測定し、個別にメタボリックケージ(ドイツ、Tecnip
last Hohenpeissenberg)に入れた。マウスは、標準マウス食餌(
ドイツ、Heidenau、Altromin)および水道水、および/または1%もし
くは2%NaClに自由に手が届いた。メタボリックケージの内壁はシリコーン処理して
あり、尿は水を飽和させた油の下で採集した。DOCA/1%NaCl処置29の前、な
らびに1、2、4、6、10および14日目に、テールカフ法により収縮期動脈血圧を測
定した。DOCA/高塩分処置の18日目に、24時間尿および体重を再び測定し、動物
を麻酔し(腹腔内ケタミンおよびキシラジン)、眼窩後部叢に穿刺して血液200μlを
ヘパリン添加キャピラリー中に採取した。Na+およびK+の血漿中および尿中濃度を炎光
光度計(ELEX6361、ドイツ、Eppendorf)により、Cl-濃度を電気滴
定(Chloridometer6610、ドイツ、Eppendorf)により測定し
、Ca2+、リン酸塩、およびクレアチニンを市販の診断キット(ドイツ、Munich、
Sigma)で評価した。
【0034】
実施例2
顕微鏡
非処理またはDOCA/高塩分処理(18日間)のsgk1+/+マウスおよびsgk
1−/−マウスからの心臓を、麻酔下で速やかに取り出し、重量を測定し、4%パラホル
ムアルデヒド/0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)中一夜固定し、パラ
フィンに包埋した。脱ろうした5μmの厚い心筋切片を、H&EおよびMassonのト
リクロームで染色した(30)。染色したパラフィン切片を、Zeiss Axiopl
an顕微鏡(ドイツ、Jena、Zeiss)で分析した。Axiocamビデオカメラ
(ドイツ、Jena、Zeiss)を用い、製造元のソフトウェア(Axiovisio
n、ドイツ、Jena、Zeiss)を用いて、デジタル化画像上で面積を測定した。全
組織面積を4×対物レンズで測定し、線維性の面積を20×対物レンズを用いて同定し定
量した。次いで線維症の度合いを全組織面積のパーセント値として計算した。
【0035】
実施例3
マイクロアレイ分析
Qiagen RNeasy Fibrous Tissue Midi Kitを用
い、製造元の指示(ドイツ、Hilden、Qiagen)にしたがい、非処置またはD
OCA/高塩分(48時間)処置sgk1+/+マウスおよびsgk1−/−マウスから
得た心臓から、全RNAを分離した。DOCA/高塩分または偽処置のsgk1−/−マ
ウスおよびsgk1+/+マウスの心臓からの全RNAを用い、市販のキット(メリーラ
ンド州、Rockville、Invitrogen Life Technologi
es)およびオリゴd(T)24 T7プライマーを用いてセカンドストランド合成を生
成した。テンプレートとしてT7プロモーターと結合した二重鎖cDNAおよびT7RN
A転写物ラベリングキット(ニューヨーク州、Farmingdale、ENZO Di
agnostics)を用いて、in vitro転写により、ビオチンラベルしたCT
PおよびUTPを用いてcRNAを生成した。cRNAをフラグメント化し、マウスゲノ
ムMOE430Aオリゴヌクレオチドアレイチップ(カリフォルニア州、Santa C
lara、Affymetrix)にハイブリダイズした。次いで、アレイチップを、フ
ィコエリスリンと結合したストレプトアビジン(メリーランド州、Rockville、
Invitrogen Life Technologies、Molecular P
robes)を用いて染色し、レーザー共焦点スキャナー(カリフォルニア州、Sant
a Clara、Affymetrix、Agilent)を用いて蛍光強度を測定した
。スキャンした画像の強度を、Microarray Suite Version5(
カリフォルニア州、Santa Clara、Affymetrix)を用いて分析した
。各アレイの平均強度が等しくなるように、全体的なスケーリングを全てのアレイに適用
した。全体的なスケーリングでは、各プローブ細胞の生のシグナル値に、スケーリングフ
ァクターを掛けた。その発現が0.5というシグナルのログ比で大幅に変わる遺伝子を、
Data Mining Tool(カリフォルニア州、Santa Clara、Af
fymetrix)を用いて同定した。
【0036】
実施例4
SGK1を調節する化合物
4.1.一般式Iの化合物、薬学的に有用なそれらの誘導体、塩、溶液および立体異性体
、ならびにそれらの混合物。
【0037】
【化1】

【0038】
[式中、
1、R5は、H、OH、OA、OAc、またはメチルのいずれかであり、
2、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10は、H、OH、OA、OAc、OCF3、Ha
l、NO2、CF3、A、CN、OSO2CH3、SO2CH3、NH2、またはCOOHのい
ずれかであり、
11は、HまたはCH3であり、
Aは、炭素原子が1、2、3、または4個のアルキルであり、
Xは、CH2、CH2CH2、OCH2、または−CH(OH)−であり、
Halは、F、Cl、Br、またはIである]
以下の化合物の群から選択される式Iによる化合物:
(3−ヒドロキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデ
ン)−ヒドラジド、
(3−ヒドロキシ−フェニル)−酸性酸−[1−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェ
ニル)−エチリデン]−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
フェニル酸性酸−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド、
(4−ヒドロキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデ
ン)−ヒドラジド、
(3,4−ジクロロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリ
デン)−ヒドラジド、
m−トリル−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド、
o−トリル−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド、
(2−クロロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン)
−ヒドラジド、
(3−クロロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン)
−ヒドラジド、
(4−フルオロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
(2−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−
ベンジリデン)−ヒドラジド、
(3−フルオロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒドラジド

(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−ベンジリ
デン)−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−[1−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−フェニ
ル)−エチリデン]−ヒドラジド、
(3−メチルスルホニルオキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ
−ベンジリデン)−ヒドラジド、
(3,5−ジヒドロキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベン
ジリデン)−ヒドラジド、
(3−フルオロ−フェニル)−酸性酸−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(4−アセトキシ−2−メトキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
(3−トリフルオロメチル−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベ
ンジリデン)−ヒドラジド、
3−(3−メトキシ−フェニル)−プロピオン酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベ
ンジリデン)−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(2,4−ジヒドロキシ−ベンジリデン)−ヒド
ラジド、
(3−メトキシ−フェノキシ)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデ
ン)−ヒドラジド、
(3−ニトロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン)
−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンジリデン)
−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(2−ヒドロキシ−5−ニトロ−ベンジリデン)
−ヒドラジド、
2−ヒドロキシ−2−フェニル−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデ
ン)−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−(2−エトキシ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
(3−ブロモ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジリデン)
−ヒドラジド、
(3−メトキシ−フェニル)−酸性酸−[1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチリデ
ン]−ヒドラジド、
(3,5−ジフルオロ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジ
リデン)−ヒドラジド、
(3−ヒドロキシ−フェニル)−酸性酸−(4−ヒドロキシ−2−メチル−ベンジリデン
)−ヒドラジド、
(3−ヒドロキシ−フェニル)−酸性酸−(2−エトキシ−4−ヒドロキシ−ベンジリデ
ン)−ヒドラジド、
(3−ヒドロキシ−フェニル)−酸性酸−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−6−メチル
−ベンジリデン)−ヒドラジド、
(2−フルオロ−フェニル)−酸性酸−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−ベンジリデン
)−ヒドラジド
4.2.一般式IIの化合物、薬学的に有用なそれらの誘導体、塩、溶液、および立体異
性体、ならびにそれらの混合物
【0039】
【化2】

【0040】
[式中、
1、R2、R3、R4、R5は、H、A、OH、OA、アルケニル、アルキニル、NO2、N
2、NHA、NA2、Hal、CN、COOH、COOA、−OHet、−O−アルキレ
ン−Het、−O−アルキレン−NR89、またはCONR89
1、R2、R3、R4、R5から選択された2つの基、
あるいは−O−CH2−CH2−、−O−CH2−O−、または−O−CH2−CH2−O−
であり、
6、R7は、H、A、Hal、OH、OA、またはCNのいずれかであり、
8、R9は、HまたはAのいずれかであり、
Hetは、1個または数個のHal、A、OA、COOA、CN、またはカルボニル酸素
(=O)により置換されている1から4個のN−、O−、および/またはS−原子を有す
る飽和のまたは不飽和の複素環であり、
Aは、炭素原子1から10個のアルキルであり、この場合1〜7個のH原子はFおよび/
または塩素で置換されていてよく、
X、X’は、NHであるか、欠如しており、
Halは、F、Cl、Br、またはIである]
式IIによる化合物は、以下の化合物の群から選択される:
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(4−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2,6−ジフルオロフェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(4−メチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2,4−ジブロモ−6−フルオロ−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2−フルオロ−6−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2,3,4−トリフルオロ−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(4−ブロモ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−(2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[2−(1−tert.−ブチルオキシカルボニル−ピペリジン
−4−イル)−フェニル]−尿素、
N−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−2,4−ジクロロ−ベンズアミド、
N−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−4−クロロ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
N−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−(ピペリジン−4
−イルオキシ)−フェニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[(2−フルオロ−5−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フ
ェニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[5−フルオロ−2−(ピペリジン−4−イルオキシ)−フェニ
ル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[4−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−(ピペリジン−4
−イルオキシ)−フェニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[2−(ピペリジン−4−イルオキシ)−フェニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[2−フルオロ−5−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェ
ニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[2−フルオロ−5−[2−(ピペリジン−1−イル)−エトキ
シ]−フェニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[4−フルオロ−2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェ
ニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[4−フルオロ−2−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェ
ニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[3−クロロ−4−[2−(モルホリン−4−イル)−エトキシ
]−フェニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[4−フルオロ−2−[2−(モルホリン−4−イル)−エトキ
シ]−フェニル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[3−クロロ−4−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニ
ル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[3−クロロ−4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニ
ル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[4−クロロ−2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニ
ル]−尿素、
1−[4−(4−アミノ−5−オキソ−5H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−8−イ
ル)−フェニル]−3−[2−クロロ−5−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニ
ル]−尿素、
【0041】
実施例5
SGK1ヌクレオチド多型
任意の高血圧患者のイントロン6を規定するヌクレオチド配列は、....aatta
cattCgcaacccag....であり、健常集団を代表するヌクレオチド配列は
、....aattacattTgcaacccag....である。配列は、受入番号
GI2463200位置2071により入手可能である。任意の高血圧患者のエキソン8
配列は、ホモ接合体の....tactgaCttcggact....、もしくは..
..tactgaTttcggact....、またはヘテロ接合体の....tact
gaCttcggact....および....tactgaTttcggact...
.である。配列は、受入番号NM_005627.2、位置777により入手可能である
。TTヌクレオチドの組合せを有するホモ接合体の個体は、同時にイントロン6にCC一
塩基多型が表されている場合でも保護される。
【0042】
実施例6
細胞培養物
sgk1+/+マウスおよびsgk1−/−マウス(8〜14週齢)から肺線維芽細胞
を回収するために、肺全体を取り出し、10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリン
、100mg/mlストレプトマイシン、および2mM L−グルタミン(ドイツ、Ka
rlsruhe、Gibco−Invitrogen)を追加したDMEM2mMを含む
90mm細胞培養ディッシュに移した。組織を細切し、標準の細胞培養条件下(37℃、
5%CO2)で培養した。最初の接種後2〜4日で、細胞の増殖が観察された。線維芽細
胞は、フィブロネクチンをポジティブ染色することにより同定し、2〜6継代の間で実験
に使用した。DOCA処置によるSGK1mRNAの増加、およびsgk1−/−マウス
の肺線維芽細胞におけるSGK1の欠如を、リアルタイムPCRにより確認した(データ
は示さず)。
【0043】
実施例7
ウェスタンブロット分析
非処置およびDOCA/高塩分処置(18日間)のsgk1+/+マウスおよびsgk
1−/−マウスからの心臓全体を取り出し、直ちに液体窒素中で冷凍し、次いで、50m
M Tris−HCl、pH7.4、100mM NaCl、1mM EDTA、1mM
EGTA、50mMフッ化ナトリウム、5mMピロリン酸ナトリウム、1mMオルトバ
ナジン酸ナトリウム、1%TritonX−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、
1%ドデシル硫酸ナトリウム、およびプロテアーゼカクテル阻害剤(スイス、Basel
、Roche)、を含む溶解バッファー中ガラスホモジナイザーを用いて組織をホモジナ
イズし、ホモジネートを10000rpm、4℃で15分間遠心分離し、上清を取り出し
、ウェスタンブロッティングに使用した。60mm培養ディッシュ中のsgk1+/+マ
ウスおよびsgk1−/−マウスの肺線維芽細胞から18時間血清を除き、その後DOC
A(10μM)を加え、24時間後に細胞を溶解した。細胞溶解物全体(50μg)およ
び心臓ホモジネート(70μg)を、SDS−page(10%Tris−グリシン)に
より分離し、ニトロセルロース膜に移し、ブロッキングバッファー(0.1%Tween
含有PBS中5%脱脂ミルク)で1時間ブロックし、ヤギポリクローナルCTGF一次抗
体(ブロッキングバッファー中1:400に希釈、Santa Cruz、ドイツ、He
idelberg)とともに4℃で一夜インキュベートした。HRP−結合した抗ヤギ二
次抗体(Santa Cruz、ドイツ、Heiderberg)とともにインキュベー
トした後、製造元の指示(Amersham、ドイツ、Freiburg)にしたがい、
ECLで可視化を行った。ローディングコントロールとして一次β−チューブリン(Sa
nta Cruz、ドイツ、Heidelberg)抗体でも膜を検出した。Scion
Image(Scion、米国、Maryland)を用いてCTGFのデンシトメト
リー分析を行い、β−チューブリンを用いて標準化した。


【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】DOCA処置前および処置中の、SGK1ノックアウトマウスまたはその野生型同腹仔による、ボトルからの毎日の水の摂取容積を示すグラフである。
【図2】DOCA/高塩分食餌処置による繊維症への影響を示す図である。(a)DOCA/高塩分食餌処置後の野生型マウスおよびSGK1ノックアウトマウスからの心臓組織のH&EおよびMassoriのトリクローム染色(×150倍率)。(b)DOCA/高塩分処置のsgk1+/+、およびsgk1−/−に観察される線維症の度合いを説明するグラフ。(c)SGK1ノックアウトマウスおよび野生型同腹仔をDOCA/高塩分食餌処置2日後、非処置のマウスと比べた、結合組織成長因子(CTGF)、プロコラーゲンI、IV、およびVIII型、プロテオグリカン4、およびインテグリンα5転写物のレベルにおけるフォールド変化の算術平均±SEM(2動物における4比較)を示すマイクロアレイ分析。
【図3】DOCAはsgk1+/+マウスからの心臓および初代培養マウス肺線維芽細胞におけるCTGF発現を増強するが、sgk1−/−マウスでは増強しないことを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SGK1、SGK2、SGK3を発現する細胞を、グルココルチコイド誘導性キナーゼ
を調節する物質と接触させることを含む、結合組織成長因子(CTGF)活性および発現
を変更するための方法。
【請求項2】
CTGFの上方制御または下方制御により引き起こされる線維増殖性障害の処置のため
の薬物を調製するための、請求項1に記載の方法の使用。
【請求項3】
疾患が、線維増殖性障害:放射線により引き起こされる疾患、腫瘍、血管新生、肉芽腫
性疾患、臓器および移植片の拒絶反応、紅斑性狼瘡、アテローム性動脈硬化、低酸素症、
酸化ストレス、心筋の梗塞および虚血、心臓の肥大および線維症、糸球体腎炎および糸球
体硬化症、腎線維症、真性糖尿病、線維性膵炎、肝硬変、脂肪性肝炎および胆管線維症、
線維化および炎症性の腸疾患、消化性潰瘍、腹腔内癒着、腹膜透析における腹膜線維症、
肺線維症、線維性肺胞炎、肺サルコイドーシスおよび/または喘息、卵巣機能不全、子宮
筋腫、関節炎、筋肉の痛み/筋肉痛および筋膜炎、硬皮症、ケロイド、歯肉肥大;角膜、
眼液、および網膜を含む様々な臓器における瘢痕または結合組織の形成;緑内障、脳梗塞
を含む脳の病変、アルツハイマー病、傷の治癒、抜歯後の治癒、骨の治癒および成長、骨
折の修復の群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
組織サンプルおよび組織標本におけるSGK1、SGK2またはSGK3の発現の上方
制御を測定することによる、線維増殖性障害の進行、退行または発症を判断するための方
法。
【請求項5】
SGK1が選択された一塩基多型変異を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
放射線により引き起こされる疾患、腫瘍、血管新生、肉芽腫性疾患、臓器および移植片
の拒絶反応、紅斑性狼瘡、アテローム性動脈硬化、低酸素症、酸化ストレス、心筋の梗塞
および虚血、心臓の肥大および線維症、糸球体腎炎および糸球体硬化症、腎線維症、真性
糖尿病、線維性膵炎、肝硬変、脂肪性肝炎および胆管線維症、線維化および炎症性の腸疾
患、消化性潰瘍、腹腔内癒着、腹膜透析における腹膜線維症、肺線維症、線維性肺胞炎、
肺サルコイドーシスおよび/または喘息、卵巣機能不全、子宮筋腫、関節炎、筋肉の痛み
/筋肉痛および筋膜炎、硬皮症、ケロイド、歯肉肥大;角膜、眼液、および網膜を含む様
々な臓器における瘢痕または結合組織の形成;緑内障、脳梗塞を含む脳の病変、アルツハ
イマー病、傷の治癒、抜歯後の治癒、骨の治癒および成長、骨折の修復の群から選択され
る疾患を診断するための、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
結合組織成長因子の調節不全により引き起こされる障害の処置のための薬物を製造する
ための、一般式IまたはIIを有する列挙された化合物から選択されるSGK1阻害剤の
使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−527875(P2007−527875A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502212(P2007−502212)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001246
【国際公開番号】WO2005/094796
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】