説明

締結クリップ及びこれに組み合わされたファスナ

【課題】構成部品を支持部品のスタッドに取り付けるための締結クリップ、及び関連するファスナを提供すること。
【解決手段】構成部品を支持部品のスタッドに取り付けるための締結クリップ(10)は、スタッドを受け入れるための開口部(14)を備えた基部(11)を有する。開口部(14)は、軸線を有するとともに、軸線に対して垂直に互いに隣接する締結領域(28)と解除領域(29)とを有する。スタッドを所定位置に保持するための弾性的保持手段(30)が締結領域(28)内に配置され、該手段は、スタッドを締結領域(28)内に軸線方向に導入することができるように、且つ、締結領域内に位置するスタッドが、スタッドと締結クリップ(10)とを開口部(14)の軸線に対して垂直に相対移動させることによって解除領域(29)内に位置移動することができるように設計されており、解除領域(29)においてスタッドを開口部(14)から取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を支持部品、例えば自動車の車体部品のスタッドに取り付けるための締結クリップ及びこれに組み合わされたファスナに関する。
【背景技術】
【0002】
締結クリップ及びファスナは、主として自動車産業において、自動車用部品又はトリム部品を車体又はドアなどのような車体部品に取り付けるために用いられる。取り付けは、できる限り容易に道具の助けを借りることなく達成することができるようにすべきであるが、メンテナンス及び修理を行うために取付け部を取り外すことができるようにすべきでもある。一方では取り付けは高い保持力を保証すべきであるが、その一方で非破壊的な分離力を可能にすべきである。さらに、ファスナの領域内で部品の寸法の偏差を補償することが必要とされることが多い。
【0003】
特定のタイプの種々のファスナが、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3により公知である。先行技術のファスナは共通して、ピン状の要素が接続部として設けられており、それを支持部品の開口部内に挿入することによって支持部品にロックされた状態で接続される。この状況においては、支持部品は締結点に開口部を有していなければならないので、その結果、車載部品又はトリム部品の設置の間、それらの開口部を密封することができるように、傘状ワッシャのような追加の手段、そして可能であれば追加の封止用リングを設ける必要がある。
【0004】
さらに、遮音パネルを自動車の車体に締結するための装置が特許文献4により公知であり、この場合は車体がスタッドを有しており、そこにプラスチック製の一体型締結要素を配置することができる。この設計においては、プラスチック製の締結要素が遮音パネル内の開口部の中に配置され、ファスナの環状フランジは、車の車体とは反対の方向に面した側で周囲の遮音パネルに係合する。この設計における取付け部の取り外しは、保持力に打ち勝つことによってのみ達成することができるので、その結果、締結要素に対する損傷が生じることがある。
【0005】
さらに、トリムストリップを自動車の車体に締結するためのプラスチッククリップが特許文献5により公知であり、そのクリップは、車体パネルに溶接されたT字形のスタッドと共に掛止され、U字形に曲げられたトリムストリップの内側の対向する溝に係合する横方向のロッキングフィンガを有する。このクリップの場合もまた、保持力に抗して取り外しが行われなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0,020,308 A1号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1,895,171 A2号
【特許文献3】米国特許第6,196,607 B1号
【特許文献4】国際公開第02/042390 A1号
【特許文献5】欧州特許第0,489,505B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、接合された部品同士を互いに再び非破壊的に分離することができるように高い保持力を可能とする一方で低い分離力も可能とする、車載部品又はトリム部品をスタッドに締結するための締結クリップを作製することである。本発明の更なる目的は、互いに接合される部品内に取付け用開口部を必要としないファスナを作製することである。さらに、ファスナは、容易に設置されるものとすべきであり、経済的に製造される簡素な部品から作られるべきである。また、製造関連の寸法偏差を補償することができるようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上述の目的は、請求項1において特定される特徴を備えた締結クリップ、及び請求項10において特定される特徴を備えたファスナによって達成される。締結クリップの有利な実施形態は請求項2から請求項9において特定され、ファスナの有利な実施形態は請求項11から請求項15において特定される。
【0009】
本発明による締結クリップは、支持部品のスタッドを受け入れるための開口部を備えた基部を有し、該開口部は、軸線を有するとともに該軸線に対して垂直に互いに隣接する締結領域と解除領域とを有し、スタッドを所定位置に保持するための弾性的保持手段が締結領域内に配置され、該手段は、スタッドを締結領域内に軸線方向に挿入することができるように、且つ、締結領域内に位置決めされたスタッドを、スタッドと締結クリップとを開口部の軸線に対して垂直に相対移動させることによって解除領域内に位置移動させることができるように設計されており、解除領域においてスタッドを開口部から取り外すことができる。本発明による締結クリップは、開口部の軸線方向の動きによって非常に容易にスタッドに取り付けることが可能であり、また、締結クリップを取り外すために保持力に打ち勝つ必要がないので、高い軸方向保持力を達成することができるようにスタッドを所定位置に保持するための弾性的保持手段を設計することができるという利点を有する。
【0010】
さらに、弾性的保持手段は、スタッドを保持領域から出して解除領域内へと移動させるために大きな力を要しないように設計することができる。その結果として、締結クリップは、容易に、大きな力をかけることなく取り外すことができるので、取り外しプロセスに起因する損傷の危険性もまた非常に小さいものとなる。締結クリップは取り外しプロセスにおいて無傷のままであり、その後、構成部品を締結するために再使用することができる。
【0011】
本発明の別の提案によれば、締結クリップの開口部内に戻り止めを設けることができ、一旦スタッドが解除領域内に移動すると、該戻り止めが、スタッドが保持領域へと戻る動きに対抗する。この設計は、取り外されるべき部品が締結クリップによって2つ又はそれ以上の箇所において取り付けられている場合に有用である。構成部品が第2の箇所で取り外されるときに既に取り外された箇所が締結状態に戻る危険を冒すことなく、1つの締結箇所において他の箇所の後で取り外しを行うことができる。
【0012】
締結領域の弾性的保持手段は少なくとも1つの弾性ロッキングフィンガを有することが好ましく、これは、開口部の縁部から内方に軸線方向に延びており、その自由端がロッキング歯を形成する。弾性的保持手段が、対向する2つの、特に対称的に配置されたロッキングフィンガを有することが特に有利である。
【0013】
さらに、ロッキングフィンガのロッキング歯は、直線状であり、且つ、開口部の軸線を含む締結領域と解除領域との共通中央面に対して平行に延びていることが有利である。このようにして、スタッドを、ロッキングフィンガを変形させることなく保持領域から解除領域に移動させることができる。さらに、直線状のロッキング歯を延長することによって、隣接する複数のスタッド保持位置が形成されるので、部品の締結の際にスタッドとクリップとの間の位置の偏差を補償することができるようになっている。
【0014】
本発明によれば、戻り止めは弾性ロッキングフィンガを有するものとすることができ、該弾性ロッキングフィンガは、弾性的保持手段から距離を置いて開口部の軸線に対して垂直に延びるとともにロッキング突出部を備え、該ロッキング突出部は、スタッドの位置移動経路内へと突出し、且つ保持領域に面した傾斜面と解除領域に面したロッキング面とを有する。戻り止めのロッキングフィンガは、さらに、スタッドの端部に接触することによってスタッドが開口部内に入り込む深さを制限するように配置されるものとすることができる。さらに、戻り止めのロッキングフィンガは、保持領域の境界を定める、解除領域の反対側の開口部の壁に位置することが有利である。
【0015】
本発明の他の提案によれば、締結クリップの基部は、基部を受け部に取り付けるためのものであることが意図された外方に突出したフランジを有するものとすることができる。さらに、必要に応じて、基部の側面に、フランジに隣接して外周溝を形成することができる。
【0016】
本発明は、さらに、本発明の締結クリップを用いて構成部品をスタッドに取り付けるための有利なファスナも提供し、該構成部品は側方開口部とパイロットスロットとを備えたポケットとして設計された受け部を有し、その中に側方開口部を通して締結クリップを挿入することができる。受け部は、構成部品と一体となった部分とすることもでき、又は構成部品に例えば接着剤によって取り付けられる分離した構造要素とすることもできる。受け部は、片側に開放パイロットスロットが設けられたプレートを有し、該プレートの片側に、そこから直立して突出するように配置された、距離を置いてパイロットスロットを囲むU字形の壁を有することが好ましい。この設計における直立壁は、構成部品の板状部分にプレートから距離を置いて取り付けることができる。
【0017】
軸方向の保持力を受け部に伝達するために、締結クリップは、外方に突出したフランジによって受け部のポケット内に係合し、締結クリップのフランジに隣接する区域がパイロットスロットを貫通して延びるようになっている。パイロットスロットは、好ましくは、外側に向かって大きくなったパイロット区域と、保持突出部によって形成された、締結クリップを設置する際に該締結クリップによって拡げられることが可能な狭いスポットとを有する。締結クリップの設置はパイロットスロットによって容易になる。狭いスポットは、締結クリップが受け部内に挿入された後で構成部品が組み立て場所に輸送されるときに受け部から抜け落ちることができないように、締結クリップが所定位置に保持されることを保証する。
【0018】
締結クリップに外周溝が設けられている場合には、プレートは、パイロットスロットに隣接する縁部領域で該溝に係合するようになっており、それにより、締結クリップ位置が軸線方向で構成部品に対して相対的に決定される。したがって、構成部品の表面を受け部のプレートと対向して支持する機能を排除することが可能となる。
本発明を、以下、図面に示される例示的な実施形態を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による締結クリップの後部の斜視図である。
【図2】図1の締結クリップの前部の斜視図である。
【図3】図1の締結クリップの側面図である。
【図4】図1の締結クリップを受けるための受け部の斜視図である。
【図5】図1の締結クリップが挿入された図4の受け部の斜視図である。
【図6】2つの構成部品が互いに接合された本発明のファスナの断面図である。
【図7】締結位置における図6のファスナの長手方向の断面図である。
【図8】取り外し位置における図6のファスナの長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至図3に示される締結クリップ10は、異なるサイズの2つのブロック形状区域12と13とに分割される基部11を有する。基部11は、その中央に、軸線Aに沿って両区域12、13を貫通して延びる、両端が開放された矩形の開口部14を有しており、これは一端を閉鎖することもできることに言及しておく。小さい方の区域12は、開口部14を囲む面と共に基部11の前部15を形成し、大きい方の区域13は、反対側の面と共に基部11の後部16を形成する。開口部14を囲む2つの区域12、13の側壁は、二重壁として設計され、内壁17が開口部14の境界を定める。区域12は、内壁17から距離を置いて外壁18を有し、区域13は外壁19を有する。外壁18、19は、横材20又は21によって内壁17の該当する近接区画に接続される。区域12、13はそれらの隣接する端部において平坦な中央壁22、23によって境界を定められ、中央壁22、23は、外壁18、19を内壁17に接続し、さらに、内壁17のところのリブによって互いに接続される。中央壁22と23との間の分離によって、溝24が形成される。
【0021】
大きい方の区域13は、全ての側で小さい方の区域12を越えて突出し、それによってフランジ25が形成され、その上で締結クリップ10を軸線Aの方向に支えることができる。区域12の外側にフランジ25に平行にリブ26が位置決めされ、これは、締結クリップ10の設置位置を定め、間違った設置を防止するのに役立つ。
【0022】
開口部14は、保持領域28と解除領域29とを含む。保持領域28内に、一端が内壁17の前方端部に弾性的に元に戻るような方式で取り付けられた2つのロッキングフィンガ30が、互いに対向して位置決めされる。ロッキングフィンガ30は、開口部14の内方に突出し、互いの間隔が外側から内側に向かって減少するように軸線Aに対して傾斜している。ロッキングフィンガ30の内側の端部はロッキング歯31を形成し、これらは開口部14の長手方向に互いに平行して延びている。ロッキングフィンガ30及びロッキング歯31は、開口部14のほぼ中央で終端しており、隣接する解除領域29にはロッキング歯が存在しないようになっている。
【0023】
開口部14の後方端の近くの保持領域29内に、内壁17の横方向に延びる区域に取り付けられた弾性フィンガ32が配置され、解除領域29へと延びている。フィンガ32の前部15に面した側に鋸歯状のロッキング突出部33が取り付けられており、このロッキング突出部は、保持領域28に面した傾斜面34と解除領域29に面したロッキング面35とを有する。ロッキング面35は、保持領域28に対して解除領域29の境界を定め、ロッキングフィンガ30及びロッキング歯31が終端する平面と同じ平面内にある。
【0024】
図4は、上記の締結クリップ10を用いて取り付けられることが意図された構成部品40を示す。締結クリップ10を構成部品40に接合するために、該構成部品は、締結クリップ10を挿入することができる受け部41を有する。受け部41は、パイロット開口部に向かってくさび形状に拡がるパイロット領域44と、保持突出部45によって形成された狭いスポットと、その狭いスポットよりも広い幅を有する端部領域46とを形成するパイロットスロット43を備えた、平坦なプレート42から成る。U字形の壁47がプレート42の外縁部に沿って延びる。壁47はプレート42に対して垂直であり、均一な高さを有するので、プレート42は構成部品40から一定の距離に位置決めされるようになっている。壁47は、パイロットスロット43の2つの側部に位置決めされた、互いに平行に配列された2つの側部区域48を有する。さらに、側部区域48のうちの一方に平行して、構成部品40とは反対側に面するプレート42の上にガイドリブ49が配置される。
【0025】
締結クリップ10を構成部品40に接続するために、該クリップは、図5に示されるように、受け部41によって形成されるポケットの中に側方開口部を通して押し込まれる。受け部41内での締結クリップ10の正しい位置は、この場合、第一には受け部41のガイドリブ49と壁47の高さとによって保証され、第二には締結クリップ10のリブ26と区域12の厚さとによって保証される。したがって、リブ26とガイドリブ49とが衝突することで、締結クリップ10が180°回転した位置で設置されることが防止される。さらに、区域12の厚さが壁47の高さと比べて大きいことで、区域12が構成部品40とプレート42との間のポケット内に挿入されることが防止される。締結クリップ10が図5の位置から90°回転した位置で設置されることは、フランジ25の幅がパイロットスロット43の端部領域36の幅よりも小さいので、受け部41内で締結クリップ10を適切に支持することができないようになっているという事実によって防止される。その上、締結クリップ10は、保持突出部45によって形成される狭いスポットで支持されないので、受け部41から再び抜け落ちることになる。このようにして、締結クリップ10の間違った設置が効果的に防止される。
【0026】
締結クリップ10を構成部品40に取り付けるために、締結クリップ10は長手方向側を前方に向けて図5に示されるように受け部41の中に押し込まれる。このプロセスにおいて、受け部41のポケットがフランジ25を受け入れ、パイロットスロット43の境界を定めるプレート42の縁部が溝24内に係合する。締結クリップ10の長手方向で測定した外側の差し渡しは、溝24の領域において、保持突出部45によって形成される狭いスポットよりもいくぶん大きくなっているので、締結クリップ10は、ある程度の量の力をかけてパイロットスロット43の端部領域46の中に強制的に押し込む必要がある。図5に示された最終位置において、締結クリップ10の溝24の領域における中心部の断面は全体が端部領域46内に位置しているので、設置の際に互いにある程度離れるように押し拡げられた保持突出部45は、その時点で元の位置にスプリングバックし、保持クリップ10を受け部41内の所定位置に保持するようになっている。
【0027】
一旦、締結クリップ10が構成部品40と接合されると、図6及び図7に示されるように、この2つの部片を支持部品51のスタッド50に取り付けることができる。スタッド50はここではいわゆるTスタッドとして設計されており、そのシャンクの端部は取付けのために支持部品51に溶接されている。支持部品51から突出したスタッド50の自由端には、より大きい直径のヘッド52が設けられており、締結クリップ10のロッキングフィンガ30のロッキング歯31を該ヘッドの下側に押し当てて支えることができる。Tスタッドの代わりに、ねじ切りされたスタッドのような他のスタッドを締結クリップ10に接続することもまた可能である。
【0028】
設置の間、スタッドのヘッド52が保持領域28に進入できるような状態で、構成部品40が締結クリップ10と共にスタッド50の前方に配置される。構成部品40を支持部品51に押し付けることによって、ロッキングフィンガ30がヘッド52によって押し拡げられ、その後、ヘッド52がロッキング歯31をすべり越した後で初期位置にスプリングバックする。
【0029】
図6及び図7に示される第1の位置において、ロッキング歯31は、スタッド50のヘッド52及びシャンクに押し当たってそれを支え、これにより、締結クリップ10と共に構成部品40を支持部品51上にしっかりと保持する。この締結位置において、ヘッド52はロッキング突出部33と内壁17との間に位置決めされ、ヘッド52の直径はロッキング突出部33と内壁17との間の距離よりも小さい。このようにして設けられた締結クリップ10とヘッド52との間の長手方向のクリアランスが、設置位置における支持部品51と構成部品40との間の寸法の偏差の補償を可能にする。締結クリップ10の横方向の寸法偏差は、受け部41に対する締結クリップ10の相対的な摺動可能性によって補償することができる。
【0030】
構成部品40の取付け部を取り外すために、これは、図8に示されるようにスタッド50が解除領域29に達するように、受け部41を有する領域をスタッド50に対して相対的に締結クリップ10の長手方向に押すことができるように、弾性的に変形可能である。このプロセスの間に、スタッド50のヘッド52はロッキング歯31に沿って摺動するので、ロッキング歯31は損傷を受けない。さらに、ロッキング突出部33の傾斜面34との接触の結果として、フィンガ32が構成部品40の方に向かって屈曲するので、ヘッド52はロッキング突出部33をすべり越すことができる。スタッド50とそのヘッド52が解除領域29内に位置決めされると直ちに、フィンガ32は元の位置にスプリングバックし、その時点で、ロッキング突出部34のロッキング面35がヘッド52の円筒形の側面に対向することになる。その結果として、スタッド50が保持領域28に押し戻されることはできなくなる。スタッド50を、妨げられることなく解除領域29から引き抜くことが可能であり、それゆえ、構成部品40を支持部品51から容易に取り外すことができる。スタッド50が引き抜かれている最中でも、ヘッド52がロッキングフィンガ30の端面に接触していることによって妨げられているので、スタッド50が保持領域28に戻ることはできない。
【0031】
上記の取り外しプロセスが示すように、取り外しの際にロッキングフィンガ30の保持力に打ち勝つ必要はなく、ロッキング歯31の損傷の危険はない。したがって、締結クリップ10を以前に達成された保持力と同じレベルで再度使用することができる。本発明による締結クリップの使用は、説明されたファスナに限定されるものではない。この締結クリップは、スタッドを保持領域から出して解除領域に入れる位置移動のための移動性が与えられる全ての締結配置において用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
10:締結クリップ
11:基部
14:開口部
24:外周溝
25:フランジ
26:リブ
28:締結領域
29:解除領域
30:弾性的保持手段
31:ロッキング歯
32:弾性フィンガ
33:ロッキング突出部
34:傾斜面
35:ロッキング面
40:構成部品
41:受け部
42:プレート
43:パイロットスロット
45:保持突出部
49:ガイドリブ
50:スタッド
51:支持部品
52:ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品を支持部品のスタッドに取り付けるための締結クリップであって、前記スタッドを受け入れるための開口部を有する基部を備え、前記開口部が、軸線を有するとともに前記軸線に対して垂直に互いに隣接する締結領域と解除領域とを有し、前記スタッドを所定位置に保持するための弾性的保持手段が、前記締結領域内に配置され、前記手段が、前記スタッドを前記締結領域内に前記軸線方向に挿入することができるように、且つ、前記締結領域内に位置決めされた前記スタッドを、前記スタッドと前記締結クリップとを前記開口部の前記軸線に対して垂直に相対移動させることによって前記解除領域内に位置移動させることができるように設計されており、前記解除領域において、前記スタッドを前記開口部から取り外すことができることを特徴とする、締結クリップ。
【請求項2】
前記開口部内に戻り止めが配置され、前記戻り止めが、前記スタッドが前記解除領域内に移動された後で該スタッドが該解除領域から前記保持領域に戻る動きに対抗することを特徴とする、請求項1に記載の締結クリップ。
【請求項3】
前記戻り止めが弾性フィンガを有し、前記弾性フィンガが、前記弾性的保持手段から距離を置いて前記開口部の前記軸線に対して垂直に延びるとともにロッキング突出部を備え、前記ロッキング突出部が、前記スタッドの位置移動経路内へと突出し、且つ前記保持領域に面した傾斜面と前記解除領域に面したロッキング面とを有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の締結クリップ。
【請求項4】
前記戻り止めの前記フィンガが、前記スタッドの端部に接触することによって該スタッドが前記開口部内に入り込む深さを制限することを特徴とする、請求項3に記載の締結クリップ。
【請求項5】
前記締結領域の前記弾性的保持手段が少なくとも1つの弾性ロッキングフィンガを有し、前記弾性ロッキングフィンガが、前記開口部の縁部から内方に前記軸線方向に延び、その自由端がロッキング歯を形成することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の締結クリップ。
【請求項6】
前記弾性的保持手段が、対向する2つの対称的に配置されたロッキングフィンガを有することを特徴とする、請求項3に記載の締結クリップ。
【請求項7】
前記ロッキングフィンガの前記ロッキング歯が直線状であり、且つ、前記開口部の前記軸線を含む前記締結領域と前記解除領域との共通中央面に対して平行に延びていることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の締結クリップ。
【請求項8】
前記基部が、該基部を受け部に取り付けるためのものであることが意図された外方に突出するフランジを有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の締結クリップ。
【請求項9】
前記基部が、そのほぼ中央に配置された外周溝を備えた側面を有することを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の締結クリップ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の締結クリップを用いて構成部品を支持部品のスタッドに取り付けるためのファスナであって、前記構成部品は側方開口部とパイロットスロットとを備えたポケットとして設計された受け部を有し、その中に前記側方開口部を通して前記締結クリップを挿入することができることを特徴とする、ファスナ。
【請求項11】
前記締結クリップが前記パイロットスロットを貫通して延びること、及び、前記締結クリップが前記外方に突出するフランジによって前記受け部の前記ポケットに係合することを特徴とする、請求項10に記載のファスナ。
【請求項12】
前記受け部が、片側に開放パイロットスロットが設けられたプレートを有し、前記プレートの片側に、そこから直立して突出して配置された、距離を置いて前記パイロットスロットを囲むU字形の壁を有することを特徴とする、請求項10又は請求項11に記載のファスナ。
【請求項13】
前記直立したU字形の壁が、前記構成部品の板状部分に前記プレートから距離を置いて取り付けられることを特徴とする、請求項12に記載のファスナ。
【請求項14】
前記パイロットスロットは、外側に向かって大きくなったパイロット区域と、保持突出部によって形成された狭いスポットとを有し、前記狭いスポットは、前記締結クリップを設置する際に該締結クリップによって拡げられることが可能であることを特徴とする、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載のファスナ。
【請求項15】
前記プレートの前記パイロットスロットに隣接する縁部が、前記締結クリップの外周溝に係合することを特徴とする、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載のファスナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−223429(P2010−223429A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58839(P2010−58839)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(504075577)ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (117)
【出願人】(591006586)アウディ アクチェンゲゼルシャフト (34)
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
【住所又は居所原語表記】D−85045 Ingolstadt,Germany
【Fターム(参考)】