説明

緩作動開閉弁

【課題】開弁信号(空気圧力)を与えてから開弁動作に至る応答性に優れた、簡易な構成の緩作動開閉弁を提供する。
【解決手段】弁座23に接離して流路を開閉する弁体24を作動させる作動部材34、作動部材34を閉弁方向に付勢するばね手段35、ばね手段35に抗して作動部材34に開弁方向の力を及ぼす開弁圧力室39、開弁圧力室39とは独立させて設けたマニホールド54、開弁圧力室39内の圧力が予め定めたリザーブ圧に達する迄はマニホールド54から開弁圧力室39への空気流を許し、開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧に達すると閉じる調圧弁60、開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧に達した後、マニホールド54から開弁圧力室39へ微量ずつ空気を供給する流量調整弁70、及びマニホールド54の圧力が開弁圧力室39の圧力より下がったとき開弁圧力室39内の空気をマニホールド54に排気する排気弁80を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開弁動作自体はゆっくりでありながら、開弁信号(空気圧力)を与えてから開弁動作に至る応答性に優れた緩作動開閉弁(常閉弁)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧ボンベに用いられる空気圧作動開閉弁は、自動開閉化は十分達成されているが、その開弁速度をゆっくりするという要求には十分応えていない。例えば反応室である種の気体を混合する際には、混合すべき気体をできるだけゆっくりと反応室に供給することが要求されることがある。本出願人を含む出願人及び本発明者を含む発明者らは、このような要求に応えることができる緩作動開閉弁を提案し特許を得ている(特許文献1、3)。また本出願人を含む出願人のみならず、同じ課題に対し、別の解決策が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2784446号公報
【特許文献2】特開平11-30399号公報
【特許文献3】特許第3359953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1と3は、流路を開閉するピストン体(作動部材)が閉弁位置にあるときには、開弁圧力室をパイロット圧力源に連通させ、ピストン体が移動を開始すると、同連通を断つ弁機構を設けるという着眼に基づくもので、構成が複雑であるのみならず、ピストン体の位置と弁機構との連動関係の調整が煩雑であるという問題点があった。また、特許文献2も、同様に、弁機構が複雑であった。
【0005】
本発明は、以上の問題意識に基づき、開弁信号(空気圧力)を与えてから開弁動作に至る応答性に優れた、簡易な構成の緩作動開閉弁を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作動部材を開弁方向に移動させる開弁圧力室とは別に、マニホールドを形成し、この開弁圧力室とマニホールドの間に、調圧弁、流量制御弁及び排気弁の3つの弁を設けるという極めて簡単な構成により目的を達成できることを見出して完成されたものである。
【0007】
すなわち本発明の緩作動開閉弁は、弁座に接離して流路を開閉する弁体を作動させる作動部材;作動部材を閉弁方向に付勢するばね手段;ばね手段に抗して作動部材に開弁方向の力を及ぼす開弁圧力室;開弁圧力室とは独立させて設けたマニホールド;開弁圧力室内の圧力が予め定めたリザーブ圧に達する迄はマニホールドから開弁圧力室への空気流を許し、開弁圧力室内の圧力がリザーブ圧に達すると閉じる調圧弁;開弁圧力室内の圧力がリザーブ圧に達した後、上記マニホールドから開弁圧力室へ微量ずつ空気を供給する流量調整弁;及びマニホールドの圧力が開弁圧力室の圧力より下がったとき該開弁圧力室内の空気をマニホールドに排気する排気弁;を備えたことを特徴としている。
【0008】
この排気弁には、急速開弁時に、マニホールドを開弁圧力室に連通させる急速作動ボタンを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作動部材を開弁方向に移動させる開弁圧力室とは別に、マニホールドを形成し、この開弁圧力室とマニホールドの間に、調圧弁、流量制御弁及び排気弁の3つの弁を設けるという極めて簡単な構成により、開弁信号(空気圧力)を与えてから開弁動作に至る応答性に優れ、開弁動作をゆっくり行わせる緩作動開閉弁が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による緩作動開閉弁の一実施形態を示す、図2のI−I線に沿う断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う拡大断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図1、図3の緩作動開閉弁のボンネットの運動伝達面、プッシュロッドの運動伝達面、伝達ステムの縮径部及び径方向移動体(鋼球)部分の詳細を示す拡大断面図である。
【図7】本発明による緩作動開閉弁の動作特性例を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本実施形態の緩作動開閉弁10は、高圧タンク(ボンベ)に着脱されるボンベヘッド20とボンネット(ハウジング、シリンダ)30を備えている。
【0012】
ボンベヘッド20には、高圧タンクへのねじ込み接続突起21と、取出ねじ突起22が設けられており、このねじ込み接続突起21と取出ねじ突起22内には、互いに直交する位置関係で連通する流路21aとの流路22aが形成されている。ボンベヘッド20には、この流路21aと22aの連通部分に、流路21aと同心に環状弁座23が形成されており、この環状弁座23に接離して流路を開閉する開閉弁体24が流路21aと同一軸線上に摺動自在に支持されている。開閉弁体24には、環状弁座23より軟質でシール性の高い環状のバルブシート25が埋込固定されている。バルブシート25は、例えばPCTFEから構成される。
【0013】
ボンベヘッド20には、流路21a及び開閉弁体24と同一の軸線上に、金属ダイヤフラム27を挟んでリテーナ28が螺合固定されており、このリテーナ28に、金属ダイヤフラム27を挟んで開閉弁体24に対して接離移動する中間弁体29が抜け止められた状態で摺動自在に嵌められている。開閉弁体24は、開弁付勢ばね(圧縮ばね)24Sにより、該開閉弁体24(及び中間弁体29)が開弁する方向に移動付勢されている。中間弁体29の図1の上端(金属ダイヤフラム27とは反対側の端部)は外力入力端29Aを構成している。
【0014】
ボンネット(ハウジング)30は、ロックリング31によって結合されるアッパボンネット(アッパハウジング)32とロアボンネット(ロアハウジング)33からなっており、ロアボンネット33は、リテーナ28に螺合固定されている。ロアボンネット33(ボンネット30)は、リテーナ28(ボンベヘッド20)に対して着脱可能である。
【0015】
ボンネット30(ロアボンネット33)には、Oリング34Aを介してピストン体(作動部材)34が摺動自在にかつ気密に嵌められており、このピストン体34は、該ピストン体34とアッパボンネット32との間に挿入した閉弁付勢ばね(圧縮ばね)35によって中間弁体29方向に移動付勢されている。閉弁付勢ばね35の力は開弁付勢ばね24Sの力より強い。図1の32Cは、移動時等の振動による開弁を防ぐロックねじである。
【0016】
ピストン体34には、その軸部に、伝達ステム36が固定されており、この伝達ステム36は、Oリング37を介してロアボンネット33の中心筒状部33Cに摺動自在にかつ気密に支持されている。ピストン体34とロアボンネット33の間には、開弁圧力室39が画成されている。ピストン体34とロアボンネット33の中心筒状部33Cとの間には隙間が存在する(図1で上下に分割されて描かれている開弁圧力室39は互いに連通している)。
【0017】
ボンネット30(ロアボンネット33)には、図1、図3の下端部(中間弁体29側の端部)に、プッシュロッド(押圧部材)42が摺動自在に嵌められている。このプッシュロッド42の下端部は、中間弁体29の外力入力端29Aに当接する出力端42Aを構成する。
【0018】
伝達ステム36の下端部(プッシュロッド42側の端部)には、プッシュロッド42側に向けて縮径する縮径部36Aが形成されており、プッシュロッド42とロアボンネット33には、この縮径部36Aの周囲に位置させて、互いに離隔する運動伝達面42Bと運動伝達面33Aが形成されている。ロアボンネット33側の運動伝達面33Aは固定であり、プッシュロッド42側の運動伝達面42Bは可動である。
【0019】
伝達ステム36の縮径部36Aは、この実施形態では球面の一部(または非球面)からなっている。可動の運動伝達面42Bは、プッシュロッド42(伝達ステム36)の軸線に直交する面であり、固定の運動伝達面33Aは、運動伝達面42Bとの間隔を外周に行くに従って狭くする、同軸線を中心とする円錐面の一部からなっている。運動伝達面42Bは、図5、図6に示すように、プッシュロッド42に等角度間隔で3本形成した放射方向溝42Cの底面として形成されており、各放射方向溝42Cに、鋼球(径方向移動体、スチールボール)43が転動自在に嵌まっている。放射方向溝42Cは、V字断面溝、円弧断面溝等の任意形状を用いることができる。鋼球43は、伝達ステム36の縮径部36A、一対の運動伝達面33A、42Bの全てに同時に接触する。また、運動伝達面33Aは、ロアボンネット33とは別部材から構成した耐摩耗性に優れた硬質リング体(バックプレート)33Bに形成されていて、この硬質リング体33Bがロアボンネット33に固定されている。伝達ステム36、プッシュロッド42及び硬質リング体33Bは、例えば、焼入可能なSUJ2、SUS440C等から構成されている。プッシュロッド42の軸部には、伝達ステム36の縮径部36Aが進退する逃げ凹部42Dが形成されている。
【0020】
以上の伝達ステム36とプッシュロッド42回りの構成は、閉弁付勢ばね35による閉弁力を倍力してプッシュロッド42(中間弁体29から開閉弁体24)に伝達する倍力機構であり、この倍力機構自体は公知である。この倍力機構は、図6に示すように、縮径部36A、運動伝達面33A及び運動伝達面42Bの作用により、伝達ステム36の移動量Dに対し、プッシュロッド42を移動量Dより小さい移動量dだけ移動させることができるため(D>d)、中間弁体29を介して開閉弁体24のバルブシート25を強い力で環状弁座23に押し付け、閉弁することができる。倍力比D/dは、運動伝達面33Aと運動伝達面42Bの角度、及び縮径部36Aの角度によって自由に設定することができる。図示実施形態では、ピストン体34の伝達ステム36、鋼球43、硬質リング体33Bを介してプッシュロッド42には閉弁付勢ばね35の力のおよそ10倍の力が発生しており、移動量はおよそ1/10となっている。
【0021】
ボンネット30のロアボンネット33の下端部には、図1、図3に示すように、ロックリング50を介してアンダーカバー51が回転自在に支持されている。アンダーカバー51は、大小のOリング52、53をロアボンネット33の下端面に圧縮保持し、Oリング52と53の間に環状のマニホールド(圧力室)54を形成する。アンダーカバー51には、図3に示すように、マニホールド54内に、切替弁55を介してパイロット圧力源56からのパイロット圧力を導く圧力導入ポート57(図3のみに図示)が形成されている。アンダーカバー51は、ロアボンネット33に回動自在に支持されているため、圧力導入ポート57の位置を自由に選定(設定)することができる。
【0022】
ロアボンネット33には、このマニホールド54と開弁圧力室39との連通状態を制御する調圧弁60、ニードル弁(流量制御弁)70及び排気弁80の3つの弁が設けられている。図2は、この3つの弁の平面的な位置関係の一例を示している。
【0023】
調圧弁60は、図3に示すように、開弁圧力室39とマニホールド54とを連通させる連通路61に、マニホールド54側から順に、リテーナ62、Oリング(弁座)63、鋼球(弁体)64及びこの鋼球64をOリング63に押し付ける圧縮コイルばね65を配置したもので、開弁圧力室39内の圧力が予め定めたリザーブ圧に達する迄はマニホールド54から開弁圧力室39への空気流を許し、開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧に達すると閉じる調圧弁(リリーフ弁)である。この調圧弁60の開弁圧力は、ばね力の設定によって極めて精密に設定することができる。
【0024】
ニードル弁70は、図4に示すように、開弁圧力室39とマニホールド54とを連通させる連通路71に、ねじ72によってニードル弁体73を螺合させたもので、開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧力に均衡して調圧弁60が閉じた後、マニホールド54内の圧縮空気を微量ずつ開弁圧力室39内に供給する役割を持つ。マニホールド54内の空気は、ねじ72のねじ山間の隙間及びニードル弁体73の先端のニードル部73Nと連通路71との間の微小隙間を流れるため、ニードル弁体73の螺合位置(螺合量)を調節することで、単位時間当たりの流量を超微量に制御することができる。
【0025】
排気弁80は、図3に示すように、開弁圧力室39とマニホールド54とを連通させる連通路81に、マニホールド54側から順に、リテーナ82、圧縮ばね83、及び圧縮ばね83によって流路を閉じる方向に付勢された排気弁体84を設けたものである。この排気弁80は、マニホールド54の圧力が開弁圧力室39の圧力より下がると開いて該開弁圧力室39内の空気をマニホールド54に排気する。
【0026】
この排気弁80には、マニホールド54内の空気を急速に開弁圧力室39に供給するための急速作動ボタン85が付設されている。この急速作動ボタン85は、排気弁体84をロアボンネット33の外部からの押圧操作によって傾動可能としたものである。急速作動ボタン85が押されない状態では、作動圧力及び圧縮ばね83の力により、排気弁体84のOリング86が連通路81を閉じているが、急速作動ボタン85を押して排気弁体84を傾動させると、Oリング86と連通路81との間に隙間が生じ、マニホールド54内の圧縮空気が急速に開弁圧力室39内に供給される。なお、ロアボンネット33の下面には、該ボンネット33の軸線を中心とするL型環状突起33Dが形成されている。このL型環状突起33Dは、連通路61、71及び81部分では除去されており、連通路61と81にそれぞれ調圧弁60と排気弁80を嵌めた後、このL型環状突起33Dに抜け止めリング33Lを嵌めて脱落を防止している(図3参照)。
【0027】
上記構成の本緩作動開閉弁10は次のように動作する。切替弁55の供給ポート55aを流路に接続すると、パイロット圧力源56からの高圧圧縮空気が圧力導入ポート57から瞬時にマニホールド54に供給される。開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧より低い状態では、調圧弁60の鋼球64は、マニホールド54内の圧力によって圧縮コイルばね65を撓ませながらOリング63から離れ、マニホールド54内の圧縮空気を開弁圧力室39内に導く。そして、開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧力に達すると、圧縮コイルばね65の力により鋼球64がOリング63に着座して、マニホールド54から開弁圧力室39への圧縮空気の供給が停止される。
【0028】
このリザーブ圧力は、この実施形態では、開弁圧力室39内の圧力により、閉弁付勢ばね35の力に抗してピストン体34が開弁方向に移動を開始する直前の圧力に設定されている。調圧弁60の閉弁圧力をこのような均衡圧力に設定することは、鋼球64のばね力の設定等によって、厳密に行うことが可能である。重要なことは、調圧弁60が存在することにより、切替弁55の供給ポート55aを流路に接続してから極めて短い時間t(図7、デッドタイム)に、開弁圧力室39内の圧力をこの均衡圧力にすることができる点である。具体例をあげると、このデッドタイムtは、5秒未満に設定することができる。勿論、リザーブ圧力と開弁(ピストン上昇)開始圧力の差が近い程、デッドタイムを短くすることができ、理論的には零にできるが、実際には、閉弁付勢ばね35の反力、各部品の寸法精度、バルブシート25の経年変化等を考慮して、ピストン上昇開始圧力よりもリザーブ圧を少し低めに設定し、若干のデッドタイムを設定することが実際的である。
【0029】
調圧弁60が閉じた後も、マニホールド54内には、切替弁55の供給ポート55aを介してパイロット圧力源56からの圧縮空気が供給されている。従って、今度は、ニードル弁70から開弁圧力室39内に極めて微量ずつ圧縮空気が供給され、その圧縮空気の供給スピード(単位時間当たりの供給量)に従って、ピストン体34が開弁方向に移動する。すなわち、ピストン体34が動き始めてからの開弁速度をゆっくりしたものとすることができる(図7)。開弁開始後の開弁スピード(図7のグラフの傾き)は、ニードル弁70の開度によって調節することができる。
【0030】
詳細な開弁動作は次の通りである。開弁圧力室39内の圧縮空気圧による力が閉弁付勢ばね35の力に打ち勝つと、ピストン体34と伝達ステム36が上昇し、閉弁力が消失するため、ボンベ内の高圧気体の圧力及び開弁付勢ばね24Sの力で開閉弁体24が開弁方向に移動し、開閉弁体24(バルブシート25)が環状弁座23から離れる結果、開弁し、ボンベ内の圧縮気体を流路21aから流路22a(取出ねじ突起22に螺合された高圧気体使用機器)に取り出すことができる。具体的には、図示実施例の倍力機構を用いたとき、開閉弁体24(バルブシート25)が環状弁座23から0.1mm離れる迄の時間を10秒程度、0.6mm離れる迄の時間を20秒から30秒程度に設定することができる。
【0031】
また、急速に開弁したいときには、排気弁80の急速作動ボタン85を押す。急速作動ボタン85を押すと、排気弁体84が傾いてそのOリング86が連通路81を開き、マニホールド54内の圧縮空気が急激に開弁圧力室39内に供給される。従って、閉弁付勢ばね35の力に抗してピストン体34を開弁方向に急速に移動させて、急速に開弁することができる。
【0032】
一方、切替弁55の停止ポート55bを流路に接続して作動圧を排気すると、マニホールド54の圧力が開弁圧力室39の圧力より下がる(大気圧になる)ため、開弁圧力室39内の空気が排気弁80(排気弁体84)を介してマニホールド54に排出され、その結果閉弁付勢ばね35の力により、ピストン体34は閉弁位置に速やかに復帰して流路を閉じる。
【0033】
以上の実施形態における調圧弁60、ニードル弁(流量制御弁)70及び排気弁80の具体構成は、一例を示すに過ぎない。調圧弁60については、開弁圧力室39内の圧力が予め定めたリザーブ圧に達する迄はマニホールド54から開弁圧力室39への空気流を許し、開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧に達すると閉じる弁であればその具体的構成は問わない。同様に、ニードル弁(流量制御弁)70は、開弁圧力室39内の圧力がリザーブ圧に達した後、マニホールド54から開弁圧力室39へ微量ずつ空気を供給できる弁であればよく、排気弁80は、開弁圧力室39からマニホールド54へ排気できる弁であればよい。
【0034】
また、開弁圧力室39の圧力によって開弁する弁機構も、図示実施形態は一例を示すに過ぎない。さらに、以上の実施形態では、開弁圧力室39に供給される空気圧力で開弁動作する作動部材としてピストン体34を示したが、ダイヤフラム組立体によって作動部材を構成することもできる。本発明は、開弁圧力室39にパイロット圧力を供給するためのマニホールド54を開弁圧力室39とは独立させて(別に)形成すること、及び、このマニホールド54と開弁圧力室39との間を、調圧弁60、流量調整弁70及び排気弁80の3つの弁で連通させることを満足することで成立する。以上の実施形態では、排気弁80に急速作動ボタン85を付設して、マニホールド54から開弁圧力室39への急速給気を可能としたが、排気弁80に急速作動ボタン85を付設することは必須でない。すなわち、急速作動弁は、排気弁80とは別に設けることも可能であるが、排気弁80を利用すれば、構成が簡単になる。
【符号の説明】
【0035】
10 開閉弁
20 ボンベヘッド
21 ねじ込み接続突起
22 取出ねじ突起
21a 22a 流路
23 環状弁座
24 開閉弁体
24S 開弁付勢ばね
25 バルブシート
27 金属ダイヤフラム
28 リテーナ
29 中間弁体
29A 外力入力端
30 ボンネット(ハウジング)
32 アッパボンネット
33 ロアボンネット
33A 運動伝達面
33B 硬質リング体
33C 中心筒状部
33D L型環状突起
33L 抜止リング
34 ピストン体(作動部材)
34A Oリング
35 閉弁付勢ばね
36 伝達ステム
36A 縮径部
37 Oリング
39 開弁圧力室
41 抜止リング
42 プッシュロッド
42A 出力端
42B 運動伝達面
42C 放射方向溝
43 鋼球(径方向移動体)
50 ロックリング
51 アンダーカバー
52 53 Oリング
54 マニホールド
55 切替弁
55a 供給ポート
55b 停止ポート
56 パイロット圧力源
57 圧力導入ポート
60 調圧弁
61 連通路
62 リテーナ
63 Oリング(弁座)
64 鋼球(弁体)
65 圧縮コイルばね
70 ニードル弁(流量制御弁)
71 連通路
72 ねじ
73 ニードル弁体
73N ニードル部
80 排気弁
81 連通路
82 リテーナ
83 圧縮ばね
84 排気弁体
85 急速作動ボタン
86 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座に接離して流路を開閉する弁体を作動させる作動部材;
上記作動部材を閉弁方向に付勢するばね手段;
上記ばね手段に抗して作動部材に開弁方向の力を及ぼす開弁圧力室;
上記開弁圧力室とは独立させて設けたマニホールド;
上記開弁圧力室内の圧力が予め定めたリザーブ圧に達する迄はマニホールドから開弁圧力室への空気流を許し、開弁圧力室内の圧力がリザーブ圧に達すると閉じる調圧弁;
上記開弁圧力室内の圧力がリザーブ圧に達した後、上記マニホールドから開弁圧力室へ微量ずつ空気を供給する流量調整弁;及び
マニホールドの圧力が開弁圧力室の圧力より下がったとき該開弁圧力室内の空気をマニホールドに排気する排気弁;
を備えたことを特徴とする緩作動開閉弁。
【請求項2】
請求項1記載の緩作動開閉弁において、上記排気弁は、マニホールドを開弁圧力室に連通させる急速作動ボタンを備えている緩作動開閉弁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−69380(P2011−69380A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218366(P2009−218366)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】