説明

脂質化合物

一般式(I):
【化165】


[式中,
およびRは同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる置換基の群より選択され;
Xは,カルボン酸またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドを表し;および
Yは,2またはそれ以上の二重結合をEおよび/またはZコンフィギュレーションで有するC16−C22アルケンである]
のオメガ−3脂質化合物。また,そのような化合物を含む医薬組成物および脂質組成物。特に心臓血管および代謝性疾患の治療用の医薬品として用いるためのそのような化合物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は,一般式(I):
【化1】

のオメガ−3脂質化合物に関する。本発明はまた,そのような化合物を含む
医薬組成物および脂質組成物,および医薬品,特に心臓血管および代謝性疾患の治療用の医薬品として使用するためのそのような化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
食用ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)は,多様な生理学的プロセスに影響を及ぼし,普通の健康および慢性疾患,例えば,血漿脂質レベル,心臓血管および免疫機能,インスリンの作用および神経発生および視覚機能の制御に影響を与える。PUFA(通常はエステルの形,例えば,グリセリドまたはリン脂質の形)を摂取すると,これらは体内の事実上すべての細胞に分布し,膜組成および機能,エイコサノイド合成,細胞シグナリング,および遺伝子発現の制御に影響を及ぼす。
【0003】
細胞特異的脂質代謝に加え,異なる脂肪酸/脂質の異なる組織への分布ならびに,脂肪酸により制御される転写因子の発現における変動は,細胞がPUFA組成の変化にどのようにして応答するかを決定するのに重要な役割を果たしているようである(Benatti,P.et al,J.Am.Coll.Nutr.2004,23,281)。
【0004】
PUFAまたはその代謝産物は,いくつかの核レセプターと相互作用することにより遺伝子転写を調節することが示されている。これらは,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR),肝臓核レセプター(HNF−4),肝臓Xレセプター(LXR),および9−シスレチノイン酸レセプター(レチノイン酸Xレセプター,RXR)である。PUFAによる処理はまた,核内の多くの転写因子,例えば,SREBP,NFkB,c/EBPβ,およびHIF−1αの量を制御することができる。これらの影響は,脂肪酸の転写因子への直接の結合によるものではなく,転写因子の核含有量に影響を与えるメカニズムが関与している。
【0005】
PUFAによる遺伝子転写の制御は,細胞および組織代謝に多大な影響を及ぼし,栄養物と遺伝子との相互作用が肥満,糖尿病,心臓血管疾患,免疫炎症性疾患および癌等の疾病の開始および予防または軽減に関与しているという,信頼できる説明を提供する(Wahle,J.,et al,Proceedings of the Nutrition Society,2003,349)。
【0006】
ω−3ポリ不飽和脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を豊富に含む魚油は,部分的には血中トリグリセリド濃度を低下させることにより,心臓血管疾患のリスクを低下させることが示されている。この望ましい効果は,主としてSPEBP−1の減少による脂質生成の阻害と肝臓におけるPPAR−αの活性化による脂肪酸の酸化の促進との組み合わせの効果から生ずる。
【0007】
魚油中のオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸は,白血球蓄積および白血球媒介性組織傷害により特徴づけられるいくつかの慢性炎症性疾患,例えばアテローム性動脈硬化症,IgAネフロパシー,炎症性腸疾患,慢性関節リウマチ,乾癬等の予後を改善することが報告されている(Mishra,A.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,2004,1621)。
【0008】
インビボでの安定性が限定されていること,および生物学的特異性を有していないため,PUFAは治療薬として広く使用されるには至っていない。これらの代謝作用を変化または増加させるために,いくつかの研究グループによりオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸の化学的修飾が行われている。
【0009】
例えば,EPAエチルエステル(EE)のα位にメチルまたはエチルを導入することにより,EPAの脂質低下効果が増強された(Vaagenes,et al,Biochemical Pharm.,1999,58,1133)。
【0010】
L.Larsenにより公表された最近の研究では(Larsen,L.et al,Lipids,2005,40,49),著者らは,EPAおよびDHAのα−メチル誘導体がEPA/DHAと比較して核レセプターPPARαの活性化を増加させ,このことによりL−FABPの発現を増加させることを示している。著者らは,これらのα−メチルPUFAの異化作用の遅れがこれらの増加した効果に寄与することを示唆している。
【0011】
核レセプター(NR)は,例えば,発生,代謝,および生殖等の多様な生物学的プロセスを制御するリガンド活性化転写因子の大きな高度に保存されたファミリーを構成する。これらのレセプターのリガンドは,一般的な疾患,例えば,アテローム性動脈硬化症,糖尿病,肥満,および炎症性疾患の治療に用いることができるであろうと認識されている。そのように,NRは,重要な薬剤標的となってきており,新規なNRリガンドの同定は非常に興味が持たれている主題である。
【0012】
多くの核レセプターの活性は,ホルモン,脂肪酸,胆汁酸,オキシステロール等の代謝産物および生体異物および生体内物等の小さい,親油性のリガンドの結合により制御されている。核レセプターは,モノマー,ホモダイマー,またはRXRヘテロダイマーとしてDNAに結合することができる。
【0013】
転写因子NF−κBは,relファミリーの誘導可能な真核生物転写因子である。これは炎症性サイトカイン,接着分子,熱ショック蛋白質,シクロオキシゲナーゼ,リポオキシゲナーゼ,および酸化還元酵素の発現に関与する初期応答遺伝子の活性化を制御するストレスカスケードの主要な成分である。
【0014】
Zhao,G.ら(Biochemical and Biophysical Research Comm.,2005,909)は,ヒト単球THP−1細胞におけるPUFAの抗炎症性効果は,部分的には,PPAR−γ活性化によるNF−κBの活性化の阻害により媒介されることを示唆する。他の研究者は,PUFAの抗炎症性効果は,NF−κB活性化のPPAR−α依存性阻害により媒介されることを示唆している。
【0015】
これらを総合すると,PUFAの分野,特にオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸の分野において,膨大な研究が進行中である。しかし,これらの薬学的可能性はまだ完全には評価されておらず,したがって,その医学的有用性を高めるために,そのような化合物のさらなる評価および開発がなお求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの目的は,治療活性を有するオメガ−3脂質化合物を提供することである。
【0017】
この目的は,式(I):
【化2】

[式中,
およびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる置換基の群より選択され;
Xは,カルボン酸またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドであり,
Yは,2またはそれ以上の二重結合を有し,Eおよび/またはZコンフィギュレーションを有するC16−C22アルケンであり;
ただし,RおよびRは同時に水素原子またはフッ素原子ではなく;かつ
式(I)の化合物は,
カルボン酸,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の2−置換(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸;
(全Z)−2−メチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2,2−ジメチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−ベンジル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;または
(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−カルボキシ−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸
エチル(全Z)−2−エトキシカルボニル−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエノエート
ではない]
で表されるオメガ−3脂質化合物,またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグにより達成される。
【0018】
特に,本発明は,
Yは,2−6個の二重結合を有するC16−C20アルケンである;
Yは,2−6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C20アルケンである;
Yは,3−5個の二重結合を有するC16−C20アルケンである;
Yは,3−5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C20アルケンである;
Yは,5個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC20アルケンである;
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンである;
Yは,3個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケンである;または
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンである,
式(I)のオメガ−3脂質化合物に関する。
【0019】
本発明はまた,式(I)の化合物の塩に関する。そのような塩は,
【化3】

[式中,XはCOOであり,
は,Li,Na,K,NH
【化4】

メグルミン,
【化5】

トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン,
【化6】

ジエチルアミン,および
【化7】

アルギニンからなる群より選択される];
または
【化8】

[式中,XはCOOであり,
2+は,Mg2+,Ca2+
【化9】

エチレンジアミン,および
【化10】

ピペラジンからなる群より選択される]
により表すことができる。
【0020】
別の代表的な塩は,
【化11】

[式中,XはCOOであり,
n+は,
【化12】

キトサンである]
である。
【0021】
さらに,本発明は,Xがリン脂質の形のカルボン酸である式(I)の化合物に関する。そのような化合物は,下記の式,
【化13】

[式中,Zは,
【化14】

[式中,Zは,
【化15】

[式中,Zは,
【化16】

で表すことができる。
【0022】
Xがトリグリセリド,1−モノグリセリドおよび2−モノグリセリドの形のカルボン酸である式(I)の化合物もまた本発明に含まれる。これらは,以下,それぞれ式(V),(VI)および(VII)で表す。
【化17】

【0023】
より詳細には,本発明は,
(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン酸
(全Z)−6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸
(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸
(全Z)−11,14,17−エイコサトリエン酸
(全Z)−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸
(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−4,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸
(5E,8Z,11Z,14Z,17Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸
(全Z)−8,11,14,17−エイコサテトラエン酸
(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸
からなる群より選択される,カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形のオメガ−3脂質化合物,またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグに関し,ここで,前記化合物は,オメガ−3脂質化合物の官能基から数えて炭素2において,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されており,ただし,オメガ−3脂質化合物は,
2つの水素原子では置換されておらず,
(全Z)−2−カルボキシ−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸
エチル
(全Z)−2−エトキシカルボニル−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエノエート
(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエン酸,またはそのエチルエステル
ではない。
【0024】
上述の化合物の塩の例としては,
【化18】

(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエン酸メグルミン塩,
【化19】

(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン酸マグネシウム塩,
【化20】

(全Z)−2−エチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩,
【化21】

(全Z)−2−エチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸アンモニウム塩
が挙げられる。
【0025】
さらに,本発明は,(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA)から誘導されるオメガ−3脂質化合物に関する。そのような化合物は,下記の式により表され:
【化22】

Xにより表されるカルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形であり,
ここで,
およびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,C−Cアルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択することができ,ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない。典型的には,RおよびRは,水素原子,C−Cアルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アミノ基,アルキルアミノ基,アルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基から選択される。より典型的には,RおよびRは,水素原子,C−Cアルキル基,好ましくはプロピル,C−Cアルコキシ基,好ましくはメトキシ,エトキシまたはプロポキシ,C−Cアルキルチオ基,好ましくはメチルチオ,エチルチオ,またはプロピルチオ,アミノ基,C−Cアルキルアミノ基,好ましくはエチルアミノまたはジエチルアミノ基,C−Cアルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基から選択される,
化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグである。
【0026】
化合物は,オメガ−3脂質化合物の官能基から数えて炭素2で,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択されるRおよびRで表される2つの置換基で置換されており,ただし,前記化合物は,2,2,−ジメチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸ではない。典型的には,RおよびRは,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アミノ基,アルキルアミノ基,アルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基から選択される。より典型的には,RおよびRは,C−Cアルキル基,好ましくはメチル,エチル,またはプロピル,C−Cアルコキシ基,好ましくはメトキシ,エトキシまたはプロポキシ,C−Cアルキルチオ基,好ましくはメチルチオ,エチルチオ,またはプロピルチオ,アミノ基,C−Cアルキルアミノ基,好ましくはエチルアミノまたはジエチルアミノ,C−Cアルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基から選択される。
【0027】
式(I)および(VIII)の化合物において,Xは,典型的にはカルボキシレートまたはカルボン酸を表す。しかし,Xはまた,リン脂質またはトリ−,ジ−,またはモノグリセリドの形のカルボン酸の誘導体であってもよい。
【0028】
さらに,本発明は,(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA)から誘導される,Xにより表されるリン脂質,トリ−,ジ−,またはモノグリセリド,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の,式(VIII):
【化23】

[式中,RおよびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択することができ,ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない]
で表されるオメガ−3脂質化合物,またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグに関する。式(VIII)の化合物は,下記のいずれかではない:
(全Z)−2−メチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2,2−ジメチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル。
【0029】
典型的には,RおよびRは,同じまたは異なり,水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アミノ基,アルキルアミノ基,アルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基から選択される。より典型的には,RおよびRは,水素原子,C−Cアルキル基,好ましくはメチル,エチル,またはプロピル,C−Cアルコキシ基,好ましくはメトキシ,エトキシまたはプロポキシ,C−Cアルキルチオ基,好ましくはメチルチオ,エチルチオ,またはプロピルチオアミノ基,C−Cアルキルアミノ基,好ましくはエチルアミノまたはジエチルアミノ,C−Cアルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基から選択される。
【0030】
上述の式(VIII)の化合物において,Xは,カルボキシレートまたはカルボン酸を表すことができる。しかし,Xはまた,上述の式(II),(III)および(IV)にしたがうリン脂質の形のカルボン酸を表すこともできる。そのような化合物の例としては,
【化24】

1,2−ジ((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン,
【化25】

2−(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン
が挙げられる。
【0031】
さらに,Xは,上述の式(V)にしたがうトリグリセリドの形のカルボン酸を表すこともできる。そのような化合物の例としては,
【化26】

1,2,3−トリス((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール
が挙げられる。
【0032】
Xはまた,式(VII)の2−モノグリセリドの形のカルボン酸を表してもよい。そのような化合物の例としては,
【化27】

2−((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール
が挙げられる。
【0033】
本発明にしたがう化合物においては,前記アルキル基は,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec.−ブチル,およびn−ヘキシルからなる群より選択することができ;前記ハロゲン原子はフッ素であることができ;前記アルコキシ基は,メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,sec.−ブトキシ,フェノキシ,ベンジルオキシ,OCHCF,およびOCHCHOCHからなる群より選択することができ;前記アルケニル基は,アリル,2−ブテニル,および3−ヘキセニルからなる群より選択することができ;前記アルキニル基は,プロパルギル,2−ブチニル,および3−ヘキシニルからなる群より選択することができ;前記アリール基は,ベンジル基および置換ベンジル基から選択することができ;前記アルキルチオ基は,メチルチオ,エチルチオ,イソプロピルチオ,およびフェニルチオからなる群より選択することができ;前記アルコキシカルボニル基は,メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,およびブトキシカルボニルからなる群より選択することができ;前記アルキルスルフィニル基は,メタンスルフィニル,エタンスルフィニル,およびイソプロパンスルフィニルからなる群より選択することができ;前記アルキルスルホニル基は,メタンスルホニル,エタンスルホニル,およびイソプロパンスルホニルからなる群より選択することができ;および前記アルキルアミノ基は,メチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミノ,およびジエチルアミノからなる群より選択することができる。
【0034】
カルボン酸の誘導体は,リン脂質,またはトリ−,ジ−,またはモノグリセリドであることができ,すなわち,本発明にしたがう化合物は,リン脂質,トリ−,ジ−モノグリセリド,または遊離酸の形で存在することができる。
【0035】
本発明にしたがえば,前記カルボキシレート基は,エチルカルボキシレート,メチルカルボキシレート,n−プロピルカルボキシレート,イソプロピルカルボキシレート,n−ブチルカルボキシレート,sec.−ブチルカルボキシレート,およびn−ヘキシルカルボキシレートからなる群より選択することができ,前記カルボキサミド基は,1級カルボキサミド,N−メチルカルボキサミド,N,N−ジメチルカルボキサミド,N−エチルカルボキサミド,およびN,N−ジエチルカルボキサミドからなる群より選択することができる。
【0036】
本発明にしたがう化合物の例は,Xがカルボン酸エチルであり,Yは9,12,および15位に位置する3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであるものであり,ここで,
およびRの一方はメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルアミノであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はジエチルアミノであり,他方は水素原子であり;または
およびRの一方はアミノであり,他方は水素原子である。
【0037】
本発明にしたがう化合物の別の例は,Xがカルボン酸エチルであり,Yが7,10,13,16および19位に5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであるものであり,ここで,
およびRの一方はメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子であり;
およびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子であり;または
およびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子である。
【0038】
本発明の式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物においては,RおよびRは同じであっても異なっていてもよい。異なる場合には,式(I)の化合物は,立体異性体の形で存在することができる。本発明は,式(I)の化合物のすべての光学的異性体およびその混合物,例えばラセミ体を包含することが理解されるであろう。したがって,本発明は,RがRと異なる場合,ラセミ体であるか,または(S)または(R)エナンチオマーのいずれかとしてエナンチオマー的に純粋な式(I)の化合物を含む。
【0039】
本発明はまた,医薬品または診断目的で使用するための,例えば,ポジトロン放出断層撮影法(PET)で用いるための,式(I)にしたがうオメガ−3化合物に関する。
【0040】
さらに,本発明は,式(I).にしたがうオメガ−3脂質化合物を含む医薬組成物に関する。医薬組成物は,薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤,またはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよく,経口投与用に例えばカプセルまたはサシェの形態で適宜製剤する。式(I)にしたがう化合物の好適な1日投与量は1mgから10gの前記化合物;50mgから1gの前記化合物,または50mgから200mgの前記化合物である。
【0041】
本発明はまた,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物を含む脂質組成物に関する。好適には,脂質組成物の少なくとも60重量%,または少なくとも80重量%が前記化合物から構成される。脂質組成物はさらに,(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA),(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸(DHA),(全Z)−6,9,12,15,18−ヘンエイコサペンタエン酸(HPA),および/または(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(DPA),またはこれらの誘導体から選択される脂肪酸,すなわち,そのアルファ置換形として表される脂肪酸,および/または薬学的に許容しうる抗酸化剤,例えばトコフェロールを含んでいてもよい。
【0042】
さらに,本発明は,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物の,下記の医薬品の製造における使用に関する:
ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)アイソフォームの少なくとも1つの活性化または調節,ここで,前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)αおよび/またはγである;
末梢インスリン耐性および/または糖尿病性疾患の治療および/または予防;
血漿インスリン,血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドの低下;
2型糖尿病の治療および/または予防;
トリグリセリドレベル,および/または非HDLコレステロール,LDLコレステロールおよびVLDLコレステロールレベルの上昇の予防および/または治療;
脂質異常症状態,例えば,高トリグリセリド血症(HTG)の予防および/または治療;
ヒトにおける血清HDLレベルの増加;
肥満または体重過多の治療および/または予防;
体重の減少および/または体重増加の防止;
脂肪肝疾患,例えば,非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療および/または予防;
インスリン耐性,高脂血症および/または肥満または体重過多の治療;
炎症性疾患または状態の治療および/または予防用の医薬品の製造。
【0043】
本発明はまた,上述の病気の治療および/または予防用の式(I)にしたがう化合物,および上述の病気を治療および/または予防する方法に関し,該方法は,治療を必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の式(I)にしたがう化合物を投与することを含む。
【0044】
さらに,本発明は,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物を製造する方法を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明を導いた研究においては,驚くべきことに,一般式(I)で表されるオメガ−3脂質化合物が,PPARファミリーの核レセプターに対して非常に高い親和性を有することが見いだされた。
【0046】
PPARαは最も広域反応性のPPARであることが知られており,飽和脂肪酸とも不飽和脂肪酸とも相互作用する。PPARδは飽和および不飽和脂肪酸と相互作用するが,PPARαより効率が低い。PPARγは最も限定的な脂肪酸結合プロファイルを示し,PUFAと最も効率よく相互作用し,モノ不飽和脂肪酸とは弱くしか作用しない(Xu et al,Molecular Cell,1999,397−403)。
【0047】
これらの核レセプターに対するPUFAの影響は,脂肪酸の構造およびレセプターに対する親和性の結果だけではない。細胞内の非エステル化脂肪酸(NEFA)レベルの組成に寄与する因子も重要である。このNEFAプールは,細胞内に入る外因性脂肪酸の濃度,内部で合成される脂肪酸の量,脂質への取り込みによるこれらの除去,ならびにこれらの酸化経路に影響される(Pawar,A.&Jump,DB,Journal of Biologicalchem.,2003,278,35931)。
【0048】
本発明にしたがえば,種々のポリ不飽和脂肪酸のα−位に少なくとも1つの置換基を導入することにより,脂肪酸誘導体は,中性脂質に取り込まれるかまたはこれらの脂肪酸が酸化されるのではなく,NEFAプールに蓄積される。本発明にしたがうオメガ−3脂質化合物は細胞内NEFAプールに蓄積され,未置換の脂肪酸より高い程度で局所的な核レセプター活性を誘発する。
【0049】
本発明にしたがってPUFAを種々に置換することにより,誘導体の核レセプター,特にPPARに対する親和性を変えることができる。異なる補因子リクルートメントに加えて,異なるレセプターに対する親和性の変化は,これらの式(I)のα−置換脂質誘導体の生物学的活性の変化につながる。
【0050】
異なるPUFAは異なる組織に異なるように蓄積されるため,これらの修飾PUFAは,核レセプターに対する組織特異的リガンドとなる可能性を有する。核レセプターの多くは異なる組織に異なるように分布するため,標的レセプターに結合してこれを活性化するためには,インビボで特定の細胞を標的とすることができるリガンドを作成することが重要である。
【0051】
本発明の誘導体は,核レセプターに対する優れたリガンドであることに加えて,α−位における置換のため,天然のPUFAと比べて,α−およびβ−酸化経路によって容易に分解されない。
【0052】
用語および術語
脂肪酸は,一方の末端(α)にカルボキシル(COOH)基を,他方の末端(ω)に(通常は)メチル基を有する直鎖炭化水素である。生理学においては,脂肪酸は,ω末端から最初の二重結合の位置により命名される。ω−3(オメガ−3)との用語は,最初の二重結合が炭素鎖の末端CH(ω)から3番目の炭素−炭素結合として存在することを意味する。化学では,炭素原子の番号付けはα末端から開始する。
【化28】

【0053】
本明細書において用いる場合,“メチレン中断二重結合”との表現は,オメガ−3脂質化合物の炭素鎖中の2つの別々の二重結合の間にメチレン基が存在する場合に関する。
【0054】
本明細書を通じて,“2−置換”,2位で置換される,および“オメガ−3脂質化合物の官能基から数えて炭素2で置換される”との表現は,炭素鎖の上述の番号付けにしたがって2で示される炭素原子における置換を表す。あるいは,そのような置換は,“アルファ置換”と称してもよい。
【0055】
本明細書を通じて,“オメガ−3脂質化合物”(ω−3ないしn−3と対応)との用語は,上で定義したとおり,炭素鎖のω末端から3番目の炭素−炭素結合に最初の二重結合を有する脂質化合物に関する。
【0056】
本発明の基本的概念は,式(I):
【化29】

[式中,
およびRは,同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる置換基の群より選択することができ;
Xは,カルボン酸またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドを表し;そして
Yは,Eおよび/またはZコンフィギュレーションを有する2またはそれ以上の二重結合を有するC16−C22アルケンである]
のオメガ−3脂質化合物である。
【0057】
得られる化合物は,アルファ置換オメガ−3脂質化合物,すなわち,カルボニル末端から数えて2位の炭素原子で置換されているオメガ−e脂質化合物である。より詳細には,得られる化合物は,アルファ置換ポリ不飽和オメガ−3脂肪酸であり,これは,カルボン酸,またはその誘導体として,カルボキシレートとして,無水カルボン酸として,またはカルボキサミドとして存在することができる。本発明者らは,驚くべきことに,式(I)に示されるアルファ位で置換されている化合物として,以下のオメガ−3脂肪酸が特に適していることを見いだした:
(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン酸
(全Z)−6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸
(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸
(全Z)−11,14,17−エイコサトリエン酸
(全Z)−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸
(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−4,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸
(5E,8Z,11Z,14Z,17Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸
(全Z)−8,11,14,17−エイコサテトラエン酸
(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸。
【0058】
上述の可能な置換基のうち,低級アルキル基,特にメチル基およびエチル基が,所望の薬学的活性を達成するのに非常に有用であることが実証された。別の非常に有用な置換基は,低級アルキルチオ基および低級アルキルアミノ基,例えば,1−3個の炭素原子を有するものである。RまたはRのいずれか一方がこれらの好適な置換基の1つで置換され,他方が水素であるものが,最も有効な結果を与えると考えられる。
【0059】
(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA)は,本発明にしたがって示唆されるように,そのアルファ位で置換するのに有用であることが実証された別のオメガ−3脂肪酸である。EPAについては,好適な置換基は,低級アルキルチオ基および低級アルキルアミノ基,例えば,1−3個の炭素原子を有するものである。上述から類推して,RまたはRのいずれか一方がこれらの置換基の1つで置換され,他方が水素であるものが,最も有効な結果を与えると考えられる。RおよびRの両方がエチルであるものは,EPAの好適な置換の別の例である。
【0060】
本発明にしたがう好ましいオメガ−3脂質化合物は,以下のカテゴリーA−Fに分けられる:
カテゴリーA−カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン酸(アルファ−リノレン酸,ALA),2位で置換:
【化30】

Y=9,12および15位に3個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケン
【0061】
カテゴリーB−カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(クルパノドン酸,DPA),2位で置換:
【化31】

Y=7,10,13,16および19位に5個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC20アルケン
【0062】
カテゴリーC−カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の(全Z)−11,14,17−エイコサトリエン酸,2位で置換:
【化32】

Y=11,14,および17位に3個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケン
【0063】
カテゴリーD−カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサペンタエン酸,2位で置換:
【化33】

Y=4,8,11,14,および17位に5個の二重結合を有するC18アルケンであって,8,11,14および17位の二重結合はZ−コンフィギュレーションであり,4位の二重結合はEコンフィギュレーションである。
【0064】
カテゴリーE−カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA),2位で置換:
【化34】

Y=5,8,11,14,および17位に5個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケン
カテゴリーF−カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサヘキサエン酸(トランス−DHA),2位で置換:
【化35】

Y=4,7,10,13,16,および19位に6個の二重結合を有するC20アルケンであって,7,10,13,16,および19の二重結合はZ−コンフィギュレーションであり,4位の二重結合はEコンフィギュレーションである。
【0065】
本発明にしたがう好ましいオメガ−3脂質化合物の特定の例は次のとおりである。
カテゴリーA−例(1)−(12):
例(1)−(12)のすべてについて:
X=カルボン酸エチル
Y=9,12および15位に3個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケン
【化36】

エチル(全Z)−2−メチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(1)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化37】

エチル(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(2)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化38】

エチル(全Z)−2−プロピル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(3)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化39】

エチル(全Z)−2−メトキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(4)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化40】

エチル(全Z)−2−エトキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(5)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化41】

エチル(全Z)−2−プロポキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(6)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化42】

エチル(全Z)−2−チオメチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(7)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化43】

エチル(全Z)−2−チオエチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(8)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化44】

エチル(全Z)−2−チオプロピル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(9)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【化45】

エチル(全Z)−2−エチルアミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(10)
=エチルアミノ,R=水素原子,または
=エチルアミノ,R=水素原子
【化46】

エチル(全Z)−2−ジエチルアミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(11)
=ジエチルアミノ,R=水素原子,または
=ジエチルアミノ,R=水素原子
【化47】

エチル(全Z)−2−アミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(12)
=アミノ,R=水素原子,または
=アミノ,R=水素原子
【0066】
カテゴリーB−例(13)−(21):
例(13)−(21)のすべてについて:
X=カルボン酸エチル
Y=7,10,13,16および19位に5個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC20アルケン
【化48】

エチル(全Z)−2−メチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(13)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化49】

エチル(全Z)−2−エチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(14)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化50】

エチル(全Z)−2−プロピル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(15)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化51】

エチル(全Z)−2−メトキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(16)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化52】

エチル(全Z)−2−エトキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(17)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化53】

エチル(全Z)−2−プロポキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(18)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化54】

エチル(全Z)−2−チオメチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(19)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化55】

エチル(全Z)−2−チオエチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(20)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化56】

エチル(全Z)−2−チオプロピル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(21)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0067】
カテゴリーC−例(23)−(24)および(27)−(35):
例(23)−(24)および(27)−(35)のすべてについて:
Y=11,14,および17位に3個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケン
【化57】

エチル(全Z)−2−エチル,2−エトキシカルボニル−11,14,17−エイコサトリエノエート(23)
=エトキシカルボニル,R=エチル,または
=エトキシカルボニル,R=エチル
X=カルボン酸エチル
【化58】

(全Z)−2−エチル,2−カルボキシ−11,14,17−エイコサトリエン酸(24)
=カルボキシ,R=エチル,または
=カルボキシ,R=エチル
X=酢酸
【0068】
例(27)−(35)のすべてについて:
X=カルボン酸エチル
【化59】

エチル(全Z)−2−メチル−11,14,17−エイコサトリエノエート(27)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化60】

エチル(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエノエート(28)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化61】

エチル(全Z)−2−プロピル−11,14,17−エイコサトリエノエート(29)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化62】

エチル(全Z)−2−メトキシ−11,14,17−エイコサトリエノエート(30)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化63】

エチル(全Z)−2−エトキシ−11,14,17−エイコサトリエノエート(31)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化64】

エチル(全Z)−2−プロポキシ−11,14,17−エイコサトリエノエート(32)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化65】

エチル(全Z)−2−チオメチル−11,14,17−エイコサトリエノエート(33)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化66】

エチル(全Z)−2−チオエチル−11,14,17−エイコサトリエノエート(34)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化67】

エチル(全Z)−2−チオプロピル−11,14,17−エイコサトリエノエート(35)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0069】
カテゴリーD−例(36)−(44):
例(36)−(44)のすべてについて:
Y=4,8,11,14,および17位に5個の二重結合を有するC18アルケンであって,8,11,14および17位の二重結合はZ−コンフィギュレーションであり,4位の二重結合はEコンフィギュレーションである。
X=カルボン酸エチル
【化68】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メチル−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(36)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化69】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エチル−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(37)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化70】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−プロピル−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(38)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化71】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−メトキシ−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(39)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化72】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−エトキシ−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(40)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化73】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−プロポキシ−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(41)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化74】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−チオメチル−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(42)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化75】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−チオエチル−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(43)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化76】

エチル(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−2−チオプロピル−4,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(44)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0070】
カテゴリーE−例(45)−(50):
例(45)−(50)のすべてについて:
X=カルボン酸エチル
Y=5,8,11,14,および17位に5個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC18アルケン
【化77】

エチル(全Z)−2−メトキシ−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(45)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化78】

エチル(全Z)−2−エトキシ−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(46)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化79】

エチル(全Z)−2−プロポキシ−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(47)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化80】

エチル(全Z)−2−チオメチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(48)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化81】

エチル(全Z)−2−チオエチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(49)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化82】

エチル(全Z)−2−チオプロピル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(50)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0071】
カテゴリーF−例(51)−(59):
例(51)−(59)のすべてについて:
X=カルボン酸エチル
Y=4,7,10,13,16,および19位に6個の二重結合を有するC20アルケンであり,ここで,7,10,13,16,および19位の二重結合はZ−コンフィギュレーションであり,4位の二重結合はEコンフィギュレーションである。
【0072】
【化83】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−メチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(51)
=メチル,R=水素原子,または
=メチル,R=水素原子
【化84】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−エチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(52)
=エチル,R=水素原子,または
=エチル,R=水素原子
【化85】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−プロピル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(53)
=プロピル,R=水素原子,または
=プロピル,R=水素原子
【化86】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−メトキシ−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(54)
=メトキシ,R=水素原子,または
=メトキシ,R=水素原子
【化87】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−エトキシ−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(55)
=エトキシ,R=水素原子,または
=エトキシ,R=水素原子
【化88】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−プロポキシ−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(56)
=プロポキシ,R=水素原子,または
=プロポキシ,R=水素原子
【化89】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−チオメチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(57)
=メチルチオ,R=水素原子,または
=メチルチオ,R=水素原子
【化90】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−チオエチル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(58)
=エチルチオ,R=水素原子,または
=エチルチオ,R=水素原子
【化91】

エチル4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−2−チオプロピル−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(59)
=プロピルチオ,R=水素原子,または
=プロピルチオ,R=水素原子
【0073】
本発明にしたがう化合物の他の例
さらに別の好ましい化合物には,以下の化合物/中間体が含まれる:
【化92】

エチル(全Z)−2−ヒドロキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(65)
【化93】

エチル(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(61)
【0074】
カテゴリーAからFにしたがう化合物は,上述のように,塩として,トリ−,ジ−,およびモノグリセリドとして,およびリン脂質として存在することができる。
【0075】
本発明は,式(I)のオメガ−3脂質化合物のすべての可能な薬学的に許容しうる複合体,溶媒和物またはプロドラッグを包含することが理解されるべきである。
【0076】
“プロドラッグ”は,それ自体薬学的活性を有していても有していなくてもよいが,投与されて(例えば経口的にまたは非経口的に),その後身体内で生物活性化(例えば代謝)されて,薬学的に活性な本発明の薬剤を形成することができる物質である。
【0077】
"薬学的に活性な量"とは,所望の薬学的および/または治療効果につながる量,すなわち,その意図される目的を達成するのに有効なオメガ−3脂質化合物の量に関連する。個々の患者の要求は様々であろうが,有効量のオメガ−3脂質化合物の最適な範囲の決定は当業者の能力の範囲内である。一般に,本発明の化合物および/または組成物を用いる病気の治療のための投与計画は,様々な因子,例えば,患者のタイプ,年齢,体重,性別,食事,および医学的状態にしたがって選択される。
【0078】
“医薬品”とは,医療目的で用いるのに適した任意の形で,例えば,医療用製品,医薬製剤または製品,栄養補助食品,食材または食品サプリメントの形での,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物を意味する。
【0079】
“治療”には,ヒトまたは非ヒト哺乳動物に利点を与えることができるあらゆる治療上の用途が含まれる。ヒトおよび動物の治療の両方とも本発明の範囲内である。治療は現存する状態について行ってもよく,予防的であってもよい。
【0080】
式(I)のオメガ−3脂質化合物はそれ自体で使用してもよいが,一般に,式(I)の化合物(活性成分)が薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤(これらの組み合わせを含む)と配合された医薬組成物の形で投与される。
【0081】
治療用途に許容しうる担体または希釈剤は医薬品の技術分野ではよく知られており,意図する投与経路および医薬の実施基準に基づいて選択することができる。例としては,結合剤,潤滑剤,懸濁剤,コーティング剤,可溶化剤,保存剤,湿潤剤,乳濁剤,甘味料,着色料,香味料,着臭剤,バッファー,懸濁剤,安定化剤,および/または塩が挙げられる。
【0082】
本発明にしたがう医薬組成物は,好ましくはヒトまたは動物への経口投与用に製剤する。医薬組成物はまた,活性成分が有効に吸収され利用される任意の別の経路,例えば,静脈内,皮下,筋肉内,鼻腔内,直腸内,膣内または局所への投与用に製剤してもよい。
【0083】
本発明の特定の態様においては,医薬組成物はカプセルの形であり,これは粉体またはバルクでサシェを生成するマイクロカプセルであってもよい。カプセルには風味をつけてもよい。この態様には,カプセルと封入された本発明にしたがう組成物との両方に風味がつけられているカプセルも含まれる。カプセルに風味をつけることにより,これはユーザーにとってより魅力的となる。上述の治療用途のためには,投与される用量は,もちろん,用いられる化合物,投与のモード,望まれる治療,および摘要疾患によって異なる。
【0084】
医薬組成物は,例えば5mgから10g;50mgから1g;または50mgから200gのオメガ−3脂質化合物の1日投与量を与えるよう製剤することができる。1日投与量とは,24時間の間の投与量を意味する。
【0085】
投与される用量は,もちろん,用いられる化合物,投与のモード,所望の治療,および摘要疾患により異なる。典型的には,個々の被検者に最も適した実際の投与量は医師により決定される。任意の特定の患者についての特定の投与量のレベルおよび投与頻度は様々であり,種々の因子,例えば,用いられる特定の化合物の活性,その化合物の代謝安定性および作用時間の長さ,年齢,体重,一般的健康状態,性別,食事,投与のモードおよび時間,排泄速度,薬剤の組み合わせ,特定の状態の重篤度,および進行中の個々の治療法により異なるであろう。本発明のオメガ−3脂質化合物および/または医薬組成物は,1日に1から10回,例えば,1日に1回または2回の投与計画で投与することができる。ヒト患者への経口および非経口投与について,薬剤の1日投与量のレベルは,1回の投与でも分割投与でもよい。
【0086】
本発明の別の観点は,式(I)のオメガ−3脂質化合物を含む脂質組成物に関する。脂質組成物は,60から100重量%の範囲の式(I)のオメガ−3脂質化合物を含むことができ,ここで,すべての重量%は脂質組成物の総重量に基づく。例えば,少なくとも60%,少なくとも70%,少なくとも80%,または少なくとも95重量%の脂質組成物は式(I)のオメガ−3脂質化合物から構成される。
【0087】
脂質組成物はさらに,下記の脂肪酸:
(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA),(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸(DHA),(全Z)−6,9,12,15,18−ヘンエイコサペンタエン酸(HPA),(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(DPA,n−3),(全Z)−8,11,14,17−エイコサテトラエン酸(ETA,n−3),(全Z)−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸(DPA,n−6)および/または(全Z)−5,8,11,14−エイコサテトラエン酸(ARA),またはそのアルファ置換形で存在するそれらの誘導体の少なくとも1つを含むことができる。本発明の特定の態様においては,脂質組成物は,医薬組成物,栄養組成物または食品組成物である。
【0088】
脂質組成物はさらに,有効量の薬学的に許容しうる抗酸化剤,例えばトコフェロールまたはトコフェロール類の混合物を,脂質組成物の総重量の1gあたり4mgまで,例えば1gあたり0.05から0.4mgのトコフェロールを含むことができる。
【0089】
本発明にしたがうオメガ−3化合物および組成物は,広範な範囲の疾病および状態の治療に有用であり,これは下記により詳細に説明する。
【0090】
糖尿病には2つの主要な型がある。1つはインスリン依存性糖尿病(IDDM)として知られる1型糖尿病であり,もう1つは非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)としても知られる2型糖尿病である。2型糖尿病は,肥満/体重過多および運動不足と関連しており,しばしばゆっくり開始し,通常は成人で開始し,末梢インスリン耐性と称されるインスリン感受性の低下により引き起こされる。これは代償的なインスリン産生増加につながる。本格的な2型糖尿病を発症する前のこの段階は,代謝性症候群と称され,高インスリン血症,インスリン耐性,肥満,グルコース不寛容,高血圧症,異常な血中脂質,過剰凝固障害,脂質異常症および炎症を特徴とする。すなわち,本発明は,"メタボリックシンドローム"と称される多数の代謝性症候群,および上述したこれらの状態の治療および/または予防用の医薬品の製造における式(I)のオメガ−3脂質化合物を提供する。その後インスリン産生が停止すると,2型糖尿病が発症する。1つの態様においては,式(I)にしたがう化合物は,2型糖尿病の治療に用いることができる。
【0091】
式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物はまた,続発性糖尿病,例えば膵臓,膵臓外/内分泌または薬剤誘発性糖尿病,または脂肪萎縮性糖尿病,筋無緊張糖尿病等の例外的な形の糖尿病,またはインスリンレセプターの混乱に起因する疾病から選択される他のタイプの糖尿病の治療にも用いることができる。
【0092】
好適には,上で定義した式(I)のオメガ−3脂質化合物は,核レセプター,好ましくはPPAR(ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター)αおよび/またはγを活性化することができる。
【0093】
式(I)のオメガ−3脂質化合物はまた,肥満の治療および/または予防にも用いることができる。肥満は通常,インスリン耐性の増加と関連しており,肥満者は,心臓血管疾患の発症の主要なリスク因子である2型糖尿病を発症するリスクが高い。肥満は,西洋社会の集団で罹患者の比率が増加している慢性疾患であり,社会的不名誉をともなうのみならず,寿命を短くし,多くの問題,例えば,糖尿病,インスリン耐性および高血圧症をともなう。すなわち,本発明は,好ましくは肥満のヒトにおいて,顕著な有害な副作用なしにその理想体重に向けて総体重または脂肪組織の量を減少させる薬剤に対する長い間の要求を満たすものである。
【0094】
さらに,非アルコール性脂肪肝疾患は,代謝性症候群にともなう一般的な病気である。より詳細には,脂肪肝は主として高インスリン血症およびインスリン耐性を伴う。本発明の1つの態様においては,式(I)のオメガ−3脂質化合物は,インスリン−感作物質として作用して,肝臓脂肪症を低下させることができる。
【0095】
さらに,脂肪肝疾患は,2つの主要な形で生ずる,すなわち,アルコール性および非アルコール性。いずれの用語も,肝臓における脂肪の蓄積を特徴とし,肝臓傷害,炎症,および線維症の量は様々である。脂肪肝疾患の範囲は,単なる脂肪症(良性であり進行性ではないと考えられる)から脂肪性肝炎(肝臓細胞傷害および炎症をともなう脂肪肝),進行性肝臓線維症,そして肝硬変にわたる。これらの状態はすべて,本発明にしたがう式(I)のオメガ−3脂質化合物を用いる予防および/または治療に含まれる。
【0096】
さらに,上で定義される式(I)のオメガ−3脂質化合物,は,心臓血管疾患について知られる複数のリスク因子,例えば,高血圧症,高トリグリセリド血症および高い凝固因子VIIリン脂質複合体活性の治療および予防に有用である。式(I)のオメガ−3脂質化合物は,脂質低下または減少薬として,ヒトにおける血中脂質の上昇の治療に用いることができる。
【0097】
本発明はまた,哺乳動物の血中トリグリセリドの低下,および/またはヒト患者の血清中のHDLコレステロールレベルの増加用の医薬品の製造のための,式(I)のオメガ−3脂質化合物の使用を提供する。
【0098】
さらに別の観点においては,本発明は,アテローム性動脈硬化症またはIgAネフロパシー,心臓血管疾患,心不全,心房細動および/または心筋梗塞後の複数のリスク因子の予防,卒中,いくつかの動脈のアテローム性動脈硬化症に関連する脳または一過性虚血性発作,TBCまたはHIVの治療,およびHIV患者におけるHTGの少なくとも1つの治療および/または予防用の医薬品または薬剤を製造するための式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物の使用に関する。
【0099】
1つの態様においては,本発明はまた,乾癬,多発性硬化症および/または関節リウマチの治療および/または予防用の医薬品または薬剤を製造するための,式(I)にしたがうオメガ−3脂質化合物の使用を提供する。
【0100】
式(I)のオメガ−3脂質化合物,または式(I)のオメガ−3脂質化合物を含む組成物は,ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)α,γおよび/またはδの少なくとも1つの活性化剤または調節剤である。先に知られているように,PPARαレセプターはPPARγと比較して許容範囲が広く,すなわち,PPARαはPPARγと比較してより広範な種類の脂肪酸をリガンドとして許容する。しかし,代謝性症候群または2型糖尿病を有する患者は通常肥満または体重過多であり,病的な血中脂質,主として高いトリグリセリドおよび低い高密度コレステロール(HDL−chol)を有しているため,PPARαレセプターの活性化は重要である。したがって,本発明のより特定の態様においては,式(I)の化合物は選択的なヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)α活性化剤または調節剤である。さらに,代謝性症候群または2型糖尿病を治療するための理想的な薬剤は,これらのレセプターの両方に対してリガンドとして作用することができる。すなわち,本発明は,ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)二重活性化剤または調節剤,α/γおよび/またはα/δ,好ましくはPPARα/γ活性化剤または調節剤としての式(I)の化合物の使用を提供する。本発明はまた,式(I)の化合物がPPARパンアゴニスト(すなわち,アルファ,ベータおよびガンマアゴニスト)である場合も含む。
【0101】
本発明にしたがう化合物の製造方法
(またはR)が水素である式(I)のオメガ−3脂質化合物は,下記のプロセスにしたがって製造することができる(スキーム1)。一般式(I)で表され,Rは水素であり,Rは,C−Cアルキル基,ベンジル,ハロゲン,ベンジル,アルケニル,アルキニルを表すオメガ−3脂質化合物は,長鎖ポリ不飽和エステルを,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル等の溶媒中で,−60から−78℃の温度で,リチウムジイソプロピルアミン,カリウム/ナトリウムヘキサメチルジシリアジドまたはDMF中のKH/NaH等の非求核性強塩基と反応させて,エステルエノラートを得ることにより製造することができる(プロセス1)。
【0102】
方法I
【化94】

スキーム1:R=アルキル基(メチル,エチル,プロピル)
【0103】
このエステルエノラートを,求電子性試薬,例えば,エチルヨウ素,塩化ベンジル等のハロゲン化アルキル;塩化アセチル,塩化ベンゾイル等のハロゲン化アシル,無水酢酸等の無水カルボン酸と,またはN−フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI),N−ブロモスクシンイミドまたはヨウ素等の求電子性ハロゲン化試薬と反応させて,置換誘導体を得る(プロセス2)。2−ハロ置換誘導体をチオール等の求核試薬と反応させて,2−アルキルチオ−誘導体を得ることができる。
【0104】
エステルはさらにエタノールまたはメタノール等の溶媒中で15℃から還流温度までの温度で水中の水酸化リチウム/ナトリウム/カリウム等の塩基を加えることにより加水分解して,カルボン酸誘導体とすることができる。
【0105】
長鎖ポリ不飽和エステルのクライゼン縮合は,エステルを強塩基で処理する間に起こる(この縮合生成物は,興味深い生物学的活性を有しているかもしれない。すなわち,本発明の1つの態様においては,上述の縮合(中間体)生成物,ならびに本発明にしたがう疾病の治療および/または予防におけるこの生成物の使用が開示される)。
【0106】
さらに,別の態様においては,一般式(I)表される化合物は下記のプロセスにしたがって合成する(スキーム2)。
【0107】
方法II:
【化95】

スキーム2:R=アルキル基(メチル,エチル,プロピル)
【0108】
は水素であり,Rはヒドロキシ,アルコキシ基,アシルオキシを表す一般式(I)の化合物は,長鎖ポリ不飽和エステルを,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル等の溶媒中で,−60から−78℃の温度で,リチウムジイソプロピルアミンまたはカリウム/ナトリウムヘキサメチルジシラジド等の非求核性強塩基と反応させて,エステルエノラートを得ることにより製造する(プロセス4)。このエステルエノラートを,ジメチルジオキシラン,2−(フェニルスルホニル)−3−フェニルオキサジリジン,トリメチルホスファイトまたは分子酸素等の酸素源と,種々の添加物とともに,またはNi(II)錯体等の種々の触媒とともに反応させて,アルファ−ヒドロキシエステルを得る(プロセス5)。2級アルコールをTHFまたはDMF等の溶媒中で水素化ナトリウム等の塩基と反応させてアルコキシドを生成し,これを種々の求電子性試薬,例えば,ヨウ化メチル,ヨウ化エチル,臭化ベンジル等のヨウ化アルキルまたは塩化アセチル,臭化ベンゾイル等のハロゲン化アシルと反応させる(プロセス6)。エステルを,エタノールまたはメタノール等の溶媒中で15℃から還流までの温度で,水中の水酸化リチウム/ナトリウム/カリウム等の塩基を加えることにより加水分解して,カルボン酸誘導体とする(プロセス7)。
【0109】
アルファ−ヒドロキシエステルは,本発明にしたがって他の官能基をα位に導入するのに有用な中間体である。ヒドロキシル官能基をハロゲン化物またはトシレートに変換して活性化した後に,アンモニア,アミン,チオール等の種々の求核基と反応させることができる。ミツノブ反応もヒドロキシル基を他の官能基に変換するのに有用である(Mitsunobu,O,Synthesis,1981,1)。
【0110】
は水素でありRはアルキル,フェニル,ヒドロキシメチル,カルボキシル,アルコキシカルボニル,ヒドロキシメチル,ヒドロキシ,アルコキシ基,アシルオキシを表す一般式(I)の化合物は,長鎖ポリ不飽和トシレート,メシレートまたはハロゲン化物をジアルキルマロネートまたは置換ジアルキルマロネートと反応させることにより製造することができる。方法III,スキーム3。ジエステルの加水分解および脱炭酸により,アルファ置換生成物を得る。
【0111】
方法III
【化96】

スキーム3
【0112】
方法IIIにおいて用いる長鎖ポリ不飽和トシレートは,対応する長鎖ポリ不飽和アルコールから製造することができる。これらのアルコールは,アルファ−リノレン酸,コンジュゲートしたリノレイン酸,エイコサペンタエン酸等の天然に生ずる不飽和脂肪酸のカルボン酸エステルから,水素化リチウムアルミニウムまたは水素化ジイソブチリルアルミニウム等の還元剤を用いて−10から0℃で還元することにより,直接製造することができる。方法IIIに記載される一連の反応によりエチル−(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエートから誘導したアルコールを用いて,2−置換DPA誘導体を製造することができる。アルコールは,Holmeideら(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2000,2271)に記載されるようにして,ポリ不飽和脂肪酸EPAおよびDHAの分解によって製造してもよい。この場合,精製したEPAまたはDHAから出発してもよいが,混合物中にEPAおよびDHAを含む魚油から出発することも可能である。その理由は,DHAはヨードラクトン化反応においてEPAより速く反応して,ヨードδ−ラクトンを形成するからである(Corey et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1983,3581,Wright et al,J.Org.Chem.,1987,4399),Kuklev et al,Phytochemistry,1992,2401)。(全Z)−3,6,9,12,15−オクタデカペンタエノールは,DHAからこの文献の方法により製造することができる。方法IIIにおいてこのアルコールを試薬として用いることにより,2−置換EPA誘導体が得られる。
【0113】
方法IIIと方法Iの組み合わせにより二置換誘導体を得ることができる。
【0114】
方法IV
Xがカルボン酸であり,リン脂質の形である式(I)の化合物は,下記のプロセスにより製造することができる。
【化97】

【0115】
脂肪酸イミダゾリド等の活性化脂肪酸を用いるsn−グリセロ−3−ホスホコリン(GPC)のアシル化はホスファチジルコリン合成の標準的方法である。これは通常,DMSOアニオンの存在下で,DMSOを溶媒として用いて行う(Hermetter;Chemistry and Physics of Lipids,1981,28,111)。カドミウム(II)付加物としてのSn−グリセロ−3−ホスホコリンを,DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン]の存在下でイミダゾリド活性化脂肪酸と反応させて,それぞれの脂肪酸のホスファチジルコリンを得る(国際出願PCT/GB2003/002582)。酵素的ホスファチジル転移により,ホスファチジルコリンをホスファチジルエタノールアミンに変換することができる(Wang et al,J.Am.Chem.Soc.,1993,115,10487)。
【0116】
ポリ不飽和を含有するリン脂質は,種々の方法,例えば,主として上述したリン脂質の化学合成により,または酵素的エステル化およびリン脂質のエステル転移またはリン脂質の酵素的ホスファチジル転移により,製造することができる(Hosokawa,J.Am.Oil Chem.Soc.1995,1287,Lilja−Hallberg,Biocatalysis,1994,195)。このような酵素の適用については,本発明の好ましい態様は,RまたはRが水素である式Iにしたがう化合物である。
【0117】
Xがカルボン酸であり,トリグリセリドの形である式(I)の化合物は,以下のプロセスにしたがって製造することができる。過剰量の新規脂肪酸を,ジメチルアミノピリジン(DMAP)および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を用いて,グリセロールとカップリングさせることができる。
【0118】
Xがカルボン酸であり,ジグリセリドの形である式(I)の化合物は,脂肪酸(2当量)を1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下でグリセロール(1当量)と反応させることにより製造することができる。
【0119】
Xがカルボン酸でありモノグリセリドの形である式(I)の化合物は,下記のプロセスにしたがって製造することができる。クロロホルム中でDCCおよびDMAPを用いて1,2−O−イソプロピリデン−sn−グリセロールを脂肪酸でアシル化して,モノジエノイルグリセロールを得る。イソプロピリデン基の脱保護は,保護グリセロールを酸性(HCl,酢酸等)で処理することにより行うことができる(O’Brian,J.Org.Chem.,1996,5914)。
【化98】

【0120】
2位に脂肪酸を有するモノグリセリドを製造するためには,いくつかの一般的な合成方法がある。1つの方法は,1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で,グリシドールを用いる脂肪酸のエステル化を利用して,グリシジル誘導体を生成する。グリシジル誘導体をトリフルオロ無水酢酸(TFAA)で処理した後,エステル転移して,モノグリセリドを得る(Parkkari et al,Bioorg.Med.Chem.Lett.2006,2437)。
【化99】

【0121】
脂肪酸誘導体のモノ−,ジ−およびトリ−グリセリドを製造するさらに別の一般的方法は国際出願PCT/FR02/02831に記載されている。
【0122】
脂肪酸からモノ−,ジ−,トリ−グリセリドへの変換に酵素プロセス(リパーゼ反応)を用いることも可能である。真菌Mucormiehei由来の1,3−位置特異的リパーゼを用いて,ポリ不飽和脂肪酸およびグリセロールからトリグリセリドまたはジグリセリドを製造することができる。別のリパーゼである,Candida antartica由来の位置非特異的酵母リパーゼは,ポリ不飽和脂肪酸からトリグリセリドを生成するのに非常に有効である(Haraldsson,Pharmazie,2000,3).この酵素の適用については,本発明の好ましい態様は,式IにしたがいRおよびRが水素である化合物である。
【実施例】
【0123】
合成プロトコル
以下に,実施例により本発明をより詳細に説明するが,これは本発明を限定するものと解釈してはならない。下記の実施例においては,構造はNMRおよび質量分析(MS)により確認した。NMRスペクトルはCDCl中で記録した。J値はHzで示される。
【0124】
エチル(全Z)−2−エチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(14)
【化100】

ブチルリチウム(0.96ml,1.54mmol,ヘキサン中1.6M)を,N下で0℃で,乾燥THF(5ml)中のジイソプロピルアミン(0.23ml,1.60mmol)の撹拌溶液に滴加した。得られた溶液を0℃で20分間撹拌し,−78℃に冷却し,さらに10分間撹拌した後,乾燥THF(5mL)中のエチル(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(0.50g,1.40mmol)を10分間かけて滴加した。緑色溶液を−78℃で10分間撹拌した後,ヨウ化エチル(0.16ml,2.09mmol)を加えた。得られた溶液を1時間かけて室温まで到達させ,水(10mL)とヘプタン(10mL)とに分配した。水性層をヘプタン(20mL)で抽出し,合わせた有機層を1MHClで洗浄し,乾燥した(NaSO)。減圧下で濃縮し,フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc98:2)により精製して,0.37g(68%)の表題化合物14を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.83−0.99(m,6H),1.20−1.60(m,11H),2.05(m,4H),2.19(m,1H),2.81(m,8H),4.11(q,2H),5.35(m,10H);
13C−NMR(50MHz,CDCl):δ11.72,14.18,14.28,20.47,25.43,25.45,25.54,26.99,29.45,30.22,31.91,37.70,47.19,59.82,85.73,126.94,127.72,127.79,127.85,128.05,128.09,128.36,128.44,129.97,176.17;MS(エレクトロスプレー):409.3[M+Na]
【0125】
エチル(全Z)−2−ヒドロキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(65)
【化101】

THF10mL中のKHMDS(533.9mg,2.68mmol)の溶液を,N雰囲気下で−78℃に冷却した後,THF,2.5mL中の(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(478.8mg,1.33mmol)の溶液を滴加した。混合物を−78℃で30分間撹拌した後,THF,1.5mL中のトランス−2−フェニルスルホニル)−3−フェニルオキサジリジン(デービス試薬)(525.3mg,2.01mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を−78℃で1時間50分間撹拌した後,飽和NHCl20mLでクエンチし,混合物を室温まで暖めた後,ジエチルエーテル,50mLx2で抽出し,有機相をブライン20mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン/EtOAc(100:1)−(95:5)で溶出して,293mg(59%)の生成物65を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.95(t,J=7.5Hz,3H),1.28(t,J=7.1Hz,3H),1.38−1.46(m,4H),1.49−1.81(m,2H),2.02−2.13(m,4H),2.76−2.85(m,9H),4.12(dd,J=2.5,6.9Hz,1H),4.22(q,J=7.1Hz,2H),5.32−5.41(m,10H);
13CNMR(50MHz,CDCl)δ14.1,14.2,20.4,24.4,25.5,25.6,27.0,29.3,34.3,61.5,70.3,127.0,127.8,127.87,127.92,128.08,128.15,128.4,128.5,129.9,132.0,175.3(2つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレー);397[M+Na]
【0126】
エチル(全Z)−2−エトキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(17)
【化102】

DMF,3mL中の35%KH(92.4mg,0.806mmolKH)の懸濁液をN−雰囲気下で0℃に冷却し,DMF,2mL中のエチル(全Z)−2−ヒドロキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(65)(101mg,0.27mmol)の溶液を滴加した。混合物を0℃で30分間撹拌した後,EtI(0.22mL,2.73mmol)を加えた。次に混合物をゆっくり室温まで到達させ,4時間撹拌した。反応を飽和NHCl20mLでクエンチし,ジエチルエーテル,50mLx2で抽出した。有機相をブライン,20mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させ,シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン:EtOAc(100:1)−(95:5)で溶出して,19.4mg(18%)の生成物17を無色液体として得た。
HNMR(300MHz,CDCl)δ0.95(t,J=7.5Hz,3H),1.20(t,J=7.0Hz,3H),1.26(t,J=7.1Hz,3H),1.31−1.47(m,5H),1.66−1.72(m,2H),2.03−2.11(m,5H),2.77−2.84(m,6H),3.33−3.47(m,1H),3.55−3.65(m,1H),3.78(t,J=6.4Hz,1H),4.14−4.22(m,2H),5.27−5.39(m,10H);
13CNMR(75MHz,CDCl)δ14.3,15.2,20.6,25.0,25.5,25.6(2つのシグナル),27.0,29.3,32.9,60.6,65.9,79.0,127.0,127.9(2つのシグナル),128.0,128.1,128.2,128.4,128.5,130.0,132.0,173.2(2つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレー);425[M+Na]
【0127】
(全Z)−2−エトキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(69)
【化103】

EtOH(5ml)中のエチル(全Z)−2−エトキシ−7,10,13,16,19−ドコサペンタエノエート(17)(66.1mg,0.164mmol)の溶液に,水(5ml)中のLiOH・HO(57.7mg,1.38mmol)の溶液を加えた。反応混合物をN雰囲気下で80℃で19.5時間撹拌した。冷却した後,1MHClを加えた(pH約1まで)。得られた混合物をジエチルエーテル(50ml)で抽出し,乾燥し(MgSO),真空下で蒸発させて,55mg(90%)の表題化合物を淡黄色油状物として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.95(t,J=7.5Hz,3H),1.24(t,J=7.0Hz,3H),1.38−1.41(m,4H),1.75−1.85(m,2H),2.03−2.13(m,4H),2.80−2.83(m,8H),3.46−3.71(m,2H),3.88(t,J=5.8Hz,1H),5.23−5.44(m,10H);MS(エレクトロスプレー);373[M−H]
【0128】
エチル(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(2)
【化104】

乾燥THF,5mL中のジイソプロピルアミン(265μL,1.88mmol)の溶液に,N−雰囲気下で0℃で,ヘキサン中1.6MBuLi(1.15mL,1.84mmol)を滴加した。得られた混合物を−78℃で20分間撹拌した後,THF,5mL中のエチル(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエノエート(502mg,1.64mmol)の溶液を滴加した。得られた反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後,EtI(0.20mL,2.48mmol)を滴加した。氷浴を除き,反応混合物を3時間45分間撹拌した後,水,25mLでクエンチし,ジエチルエーテル,50mLx2で抽出した。有機相を1MHCl(水性),20mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン/EtOAc(100:1)で溶出して,216mg(39%)のエチル(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(2)を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.84(t,J=7.4Hz,3H),0.93(t,J=7.5Hz,3H),1.21(t,J=7.1Hz,3H),1.25(m,8H),1.33−1.65(m,4H),2.02(q,J=7.0Hz,4H),2.13−2.27(m,1H),2.76(t,J=5.6Hz,4H),4.10(q,J=7.1Hz,2H),5.20−5.41(m,6H);
13CNMR(50MHz,CDCl)δ11.7,14.2,14.3,20.5,25.4,25.5,27.1,27.3,29.0,29.4,29.5,32.0,47.2,59.8,127.0,127.6,128.1,130.1,131.8,176.2(2つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレー);357[M+Na]
【0129】
(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン酸(70)
【化105】

EtOH(10ml)中のエチル(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(2)(111mg,0.312mmol)の溶液に,水(10ml)中のLiOH・HO(108mg,2.57mmol)の溶液を加えた。反応混合物をN雰囲気下で80℃で15時間撹拌した。冷却した後,1MHClを加えた(pH約2まで)。得られた混合物をジエチルエーテル(50ml)で抽出し,乾燥し(MgSO),真空下で蒸発させて,81mg(79%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.83−0.99(m,6H),1.20−1.29(m,8H),1.41−1.78(m,4H),1.99−2.13(m,4H),2.21−2.30(m,1H),2.76−2.82(m,4H),5.23−5.44(m,6H);MS(エレクトロスプレー);305[M−H]
【0130】
エチル(全Z)−2−ヨード−9,12,15−オクタデカトリエノエート(60)
【化106】

乾燥THF5mL中のジイソプロピルアミン(322μL,2.28mmol)の溶液に,N雰囲気下で0℃で,ヘキサン中1.6MBuLi(1.25mL,2.0mmol)を滴加した。得られた混合物を−78℃で20分間撹拌した後,THF,5mL中のエチル(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエノエート(501mg,1.63mmol)の溶液を滴加した。得られた黄色反応混合物を−78℃で35分間撹拌した後,THF,5mL中のI(704mg,2.77mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を−78℃で25分間撹拌した後,1MHCl,20mLでクエンチし,ヘプタン,50mLで抽出した。有機相を10%Na(水性),25mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン/EtOAc(100:1)で溶出して,152mg(22%)のエチル(全Z)−2−ヨード−9,12,15−オクタデカトリエノエート(60)を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.95(t,J=7.5Hz,3H),1.25(t,J=7.1Hz,3H),1.30(m,8H),1.89−2.09(m,6H),2.78(t,J=5.5Hz,4H),4.13−4.28(m,3H),5.25−5.(m,6H);
13CNMR(50MHz,CDCl)δ13.7,14.2,20.5,21.4,25.5,25.6,27.1,28.5,28.9,26.3,29.4,36.0,61.6,127.0,127.8,128.2,128.3,130.1,131.9,171.4;MS(エレクトロスプレー);455[M+Na]
【0131】
エチル(全Z)−2−チオメチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(7)
【化107】

エチル(全Z)−2−ヨード−9,12,15−オクタデカトリエノエート(60)(146mg,0.338mmol)をTHF5mLに溶解し,N−雰囲気下で0℃に冷却した後,MeSNaを加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後,ヘプタン50mLで希釈し,水2x20mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに負荷し,ヘプタン/EtOAc(100:1)−(95:5)で溶出して,110mg(92%)のエチル(全Z)−2−チオメチル−9,12,15−オクタデカトリエノエート(7)を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.94(t,J=7.5Hz,3H),1.23(t,J=7.1Hz,3H),1.29(m,8H),(m,1H),(m,1H),2.09(s,3H),1.97−2.13(m,8H),2.77(t,J=5.6Hz,4H),3.12(dd,J=6.8,8.3Hz,1H),4.17(q,J=7.1Hz,2H),5.26−5.37(m,6H);
13CNMR(50MHz,CDCl)δ13.7,14.2,20.5,25.5,25.6,27.1,27.2,28.97,29.04,29.4,30.6,47.3,60.9,127.1,127.7,128.17,128.23,130.1,131.9,172.4(1つのシグナルが隠れている);MS(エレクトロスプレー);375[M+Na]
【0132】
エチル(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(61)
【化108】

THF,100mL中のKHMDS(5.24g,26.2mmol)の溶液をN雰囲気下で−78℃に冷却した後,THF,25mL中のエチル(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエノエート(4.01g,13.1mmol)の溶液を滴加した。混合物を−78℃で30分間撹拌した後,THF,15mL中のトランス−2−フェニルスルホニル)−3−フェニルオキサジリジン(Davis’reagent)(5.13g,19.6mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を−78℃で1・5時間撹拌した後,飽和NHCl30mLでクエンチした。室温まで暖めた後,混合物をジエチルエーテル,100mLx2で抽出し,有機相をブライン,30mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン/EtOAc(100:1)−(95:5)で溶出して,2.67g(63%)のエチル(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(61)を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.92(t,J=7.5Hz,3H),1.24(t,J=7.1Hz,3H),1.28(m,8H),1.53−1.75(m,2H),1.96−2.10(m,4H),2.76(t,J=5.6Hz,5H),4.11(dd,J=4.0,6.7Hz,1H),4.19(q,J=7.1Hz,2H),5.22−5.41(m,6H)
13CNMR(50MHz,CDCl)δ14.09,14.14,20.4,24.6,25.4,25.5,27.1,29.0,29.1,29.4,34.3,61.4,70.3,127.0,127.7,128.11,128.14,130.1,131.8,175.3;MS(エレクトロスプレー);345[M+Na]
【0133】
エチル(全Z)−2−エトキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(5)
【化109】

DMF,2mL中の35%KH(84.3mg,0.735mmolKH)の懸濁液をN雰囲気下で0℃に冷却し,DMF,2mL中のエチル(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(61)(119.7mg,0.37mmol)の溶液を滴加した。混合物を0℃で30分間撹拌した後,EtI(0.15mL,1.87mmol)を加えた。次に,混合物をゆっくり室温まで到達させ,一晩撹拌した。反応を飽和NHCl20mLでクエンチし,ジエチルエーテル,50mLx2で抽出した。有機相をブライン,20mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させ,シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン:EtOAc(100:1)−(95:5)で溶出して,31.5mg(24%)の生成物5を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.95(t,J=7.5Hz,3H),1.20(t,J=7.0Hz,3H),1.22−1.30(m,11H),1.63−1.71(m,2H),1.98−2.12(m,4H),2.78(t,J=5.5Hz,4H),3.33−3.45(m,1H),3.52−3.64(m,1H),3.78(t,J=6.4Hz,1H),4.12−4.24(m,2H),5.27−5.40(m,6H)
13CNMR(50MHz,CDCl)δ14.2,15.1,20.5,25.2,25.5,25.6,27.2,29.0,29.1,29.2,29.5,33.0,60.6,65.9,79.0,127.1,127.7,128.2(2シグナルs),130.2,131.9,173.3;MS(エレクトロスプレー);373[M+Na]
【0134】
エチル(全Z)−2−フタルイミド−9,12,15−オクタデカトリエノエート(62)
【化110】

THF中のエチル(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(61)(176.8mg,0.548mmol),フタルイミド(97.6mg,0.663mmol)およびトリフェニルホスフィン(178.3mg,0.680mmol)の溶液を,N−雰囲気下で0℃に冷却した後,ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)(128μL,0.660mmol)を加えた。氷浴をはずし,混合物を22時間撹拌した。反応混合物を真空下で蒸発させ,シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン:EtOAc(95:5)−(4:1)で溶出して,153.8mg(62%)のエチル(全Z)−2−フタルイミド−9,12,15−オクタデカトリエノエート(62)を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.92(t,J=7.5Hz,3H),1.18(t,J=7.1Hz,3H),1.29(m,8H),1.97−2.10(m,4H),2.17−2.24(m,2H),2.72−2.79(m,4H),4.17(q,J=7.1Hz,2H),4.79(dd,J=9.6,6.0Hz,1H),5.24−5.35(m,6H),7.68−7.74(m,2H),7.79−7.85(m,2H);
13CNMR(50MHz,CDCl)δ14.0,14.2,20.4,25.4,25.5,26.2,27.0,28.5,28.8,28.9,29.4,52.3,61.6,123.4,127.0,127.6,128.11,128.16,130.1,131.7,131.8,134.0,167.6,169.3;MS(エレクトロスプレー);474[M+Na]
【0135】
エチル(全Z)−2−アミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(12)
【化111】

EtOH4mL中のエチル(全Z)−2−フタルイミド−9,12,15−オクタデカトリエノエート(62)(104.6mg,0.232mmol)の溶液にヒドラジン水和物(17μL,0.35mmol)を加え,混合物をN−雰囲気下で15時間還流した。反応混合物を冷却し,真空下で蒸発させ,シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,CHCl:2MNH/MeOH(97.5:2.5)で溶出して,58.4mg(78%)のエチル(全Z)−2−アミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(12)を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.92(t,J=7.5Hz,3H),1.21(t,J=7.1Hz,3H),1.27(m,8H),1.37−1.69(m,4H),1.95−2.09(m,4H),2.74(t,J=5.6Hz,4H),3.36(bs,1H),4.11(q,J=7.1Hz,2H),5.22−5−37(m,6H);
13CNMR(50MHz,CDCl)δ14.1(2C),20.4,25.4,25.45,25.49,27.1,29.0,29.2,29.4,34.8,54.3,60.6,127.0,127.6,128.11,128.15,130.1,131.8,176.1;MS(エレクトロスプレー);322[M+H],344[M+Na]
【0136】
エチル(全Z)−2−ジエチルアミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(10)およびエチル(全Z)−2−エチルアミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(11)
【化112】

DMF,4mL中のエチル(全Z)−2−アミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(12)(551.7mg,1.72mmol),LiOH・HO(144.6mg,3.45mmol)およびモルシーブ4Å(507mg)の混合物に,臭化エチル(2.6mL,34.8mmol)を加え,得られた混合物を周囲温度で46時間撹拌した。混合物をジエチルエーテル,100mLで希釈し,濾過した。有機相を1MNaOH,20mLおよびブライン,20mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させ,シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに供し,ヘプタン:EtOAc(95:5)−CHCl:MeOH中2MNH(98:2)で溶出して,357mg(55%)のジエチルアミノエステル10を無色液体として,161mg(27%)のエチルアミノエステル11を黄色液体として得た。
【0137】
エチル(全Z)−2−ジエチルアミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(10)
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.93(t,J=7.5Hz,3H),0.99(t,J=7.1Hz,6H),1.22(t,J=7.1Hz,3H),1.27(m,8H),1.51−1.70(m,2H),1.96−2.11(m,4H),2.43(sextet,J=6.8Hz,2H),2.66(q,J=7.3Hz,2H),2.71−2.79(m,4H),3.28(t,J=7.4Hz,1H),4.10(q,J=7.1Hz,2H),5.22−5.38(m,6H);
13CNMR(50MHz,CDCl)δ13.9,14.2,14.4,20.5,25.4,25.5,26.3,27.1,29.1,29.3,29.5,29.9,44.4,59.7,63.0,127.0,127.6,128.2(2C),130.2,131.8,173.5;MS(エレクトロスプレー);378[M+H],400[M+Na]
【0138】
エチル(全Z)−2−エチルアミノ−9,12,15−オクタデカトリエノエート(11)
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.91(t,J=7.5Hz,3H),1.02(t,J=7.1Hz,3H),1.24(m,11H),1.55(m,3H),1.94−2.08(m,4H),2.35−2.65(m,2H),2.73(t,J=5.6Hz,4H),3.14(t,J=6.6Hz,1H),4.11(q,J=7.1Hz,2H),5.17−5.38(m,6H)
13CNMR(50MHz,CDCl)δ14.1,14.2,15.2,20.4,25.4,25.5,25.6,27.0,28.9,29.2,29.4,33.5,42.3,60.3,61.3,127.0,127.6,128.09,128.11,130.1,131.8,175.5;MS(エレクトロスプレー);350[M+H],372[M+Na]
【0139】
(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノール(63)
【化113】

THF,30mL中のエチル(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノエート(10.72g,30.0mmol)の溶液を,N−雰囲気下で0℃で,THH,140mL中のLiAlHの懸濁液に滴加した。得られた混合物を0℃で50分間撹拌した後,水,50mLでクエンチし,1MHCl,100mLを加え,室温で1時間撹拌した。層を分離し,水相をジエチルエーテル(100mLx2)で抽出した。有機相を1MHCl,50mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させて,8.56g(91%)の(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノール(63)を無色液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ1.00(t,J=7.5Hz,3H),1.63−1.73(m,2H),1.83(bs,1H),2.04-2.24(m,4H),2.88(bs,10H),3.67(t,J=6.4Hz,2H),5.41(bs,12H)
【0140】
(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン−トシレート(64)
【化114】

乾燥CHCl,30mL中の(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノール(63)(8.50g,27.0mmol)および塩化トシル(5.41g,28.4mmol)の溶液を0℃に冷却した後,EtN(4.15mL,29.8mmol)を加えた。反応混合物を冷蔵庫に入れた。17時間後,さらに塩化トシル(774mg,4.06mmol)およびEtN(565μL,4.06mmol)を加え,混合物を冷蔵庫に21.5時間置いた。反応混合物を氷水に注加し,CHCl,50mLx2で抽出し,真空下で蒸発させた。残渣をヘプタン,100mLに溶解し,水,30mL,1MHCl,30mLx2,およびブライン,30mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させた。残渣にピリジン,1.6mL,および水,1.25mLを加え,室温で1時間撹拌した。混合物をヘプタン,100mLで希釈し,水,25mL,1MHCl,25mLx2,ブライン,25mLで洗浄し,乾燥し(NaSO),濾過し,真空下で蒸発させて,10.27g(81%)のトシレート64を無色油状物として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.94(t,J=7.5Hz,3H),1.61−1.75(m,2H),1.97−2.12(m,4H),2.41(s,3H),2.70−2.89(m,10H),4.00(t,J=6.4Hz,2H),5.27−5.38(m,12H).7.31(d,2H),7.76(d,2H);MS(エレクトロスプレー);491[M+Na]
【0141】
(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエノール(66)
【化115】

不活性雰囲気で0℃に保持した乾燥THF(10mL)中のLAH(0.130g,3.43mmol)の撹拌懸濁液に,乾燥THF(15mL)中のエチル(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエノエート(1.0g,3.26mmol)の溶液を滴加した。得られた溶液を0℃で1時間撹拌し,10%NHCl(15mL)を加え,セライトの短いパッドを通して濾過した。セライトを水(10mL)およびヘプタン(20ml)で洗浄し,層を分離した。水性層をヘプタン(20mL)で抽出し,合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し,乾燥した(MgSO)。これにより,0.78g(91%)の(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエノール(66)を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.95(t,3H),1.20−1.35(m,10H),1.48−1.58(m,2H),1.98−2.09(m,4H),2.76−2.82(m,4H),5.23−5.44(m,6H);MS(エレクトロスプレー):287.3[M+Na]
【0142】
(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン−トシレート(67)
【化116】

不活性雰囲気下で0℃に保持した乾燥CHCl(15mL)中の(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエノール(66)(0.78g,2.95mmol)の撹拌溶液に,塩化トルエン−4−スルホニル(1.12g,5.90mmol)およびEtN(0.82mL,5.90mmol)を加えた。得られた溶液を0℃で5時間,次に周囲温度で66時間撹拌した。混合物を氷水(40mL)に注加し,層を分離した。水性層をCHCl(20mL)で抽出し,合わせた有機層を濃縮した。粗生成物に2mLピリジンおよび1.6mL水を加え,混合物を周囲温度で30分間撹拌した。ヘプタン(70mL)を加え,有機層を水(30mL),1MHCl(30mL)およびブライン(30mL)で洗浄した。乾燥し(MgSO),減圧下で濃縮して,0.68g(55%)のトシレート67を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.91(t,3H),1.15−1.35(m,10H),1.53−1.60(m,2H),1.98−2.12(m,4H),2.43(s,3H),2.70−2.80(m,4H),5.22−5.40(m,6H),7.31(d,2H),7.76(d,2H);MS(エレクトロスプレー):441.2[M+Na]
【0143】
エチル(全Z)−2−エチル,2−エトキシカルボニル−11,14,17−エイコサトリエノエート(23)
【化117】

不活性雰囲気下で0℃に保持した乾燥THF(15mL)および乾燥DMF(3mL)中のNaH(60%,0.098g,2.44mmol)の撹拌懸濁液に,ジエチルエチルマロネート(0.61mL,3.25mmol)を滴加した。得られた混合物を0℃で10分間撹拌し,周囲温度とし,さらに20分間撹拌した。乾燥THF(3mL)中のトシレート67(0.68g,1.62mmol)を加え,次にNaI(0.098g,0.65mmol)を加えた。次に,得られた溶液を70℃で4時間撹拌し,冷却し,10%NHCl(30mL)とヘプタン(30mL)との間に分配した。水性層をヘプタン(20mL)で抽出し,合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し,乾燥した(NaSO)。これにより,0.70g(定量的収率)の表題化合物23を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.91(t,3H),1.18−1.30(m,19H),1.80−2.10(m,10H),2.75−2.81(m,4H),4.16(m,4H),5.28−5.38(m,6H);MS(エレクトロスプレー):457.3[M+Na]
【0144】
(全Z)−2−エチル,2−カルボキシ−11,14,17−エイコサトリエン酸(24)
【化118】

エチル(全Z)−2−エチル,2−エトキシカルボニル−11,14,17−エイコサトリエノエート(23)(0.70g,1.61mmol)を96%エタノール(20mL)に溶解し,5MKOH(2.6mL,13mmol)を加えた。得られた混合物を19時間加熱還流し,冷却し,減圧下で濃縮した。得られた粗生成物に1MHCl(20mL)を加え,ジエチルエーテル(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し,乾燥した(MgSO)。減圧下で濃縮して,0.60g(定量的収率)の表題化合物24を淡褐色油状物として得た。MS(エレクトロスプレー):377.2[M−H]
【0145】
(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエン酸(68)
【化119】

純粋な(全Z)−2−エチル,2−カルボキシ−11,14,17−エイコサトリエン酸(24)(0.60g,1.59mmol)を不活性雰囲気下で160℃で2時間加熱し,冷却し,フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1,次に4:1)により精製した。これにより,0.33g(62%)の表題(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエン酸(68)を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.84−0.99(m,8H),1.15−1.35(m,10H),1.35−1.70(m,4H),2.00−2.15(m,4H),2.20−2.30(m,1H),2.75−2.85(m,4H),5.25−5.45(m,6H);MS(エレクトロスプレー):333.2[M−H]
【0146】
エチル(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエノエート(28)
【化120】

(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエン酸(0.15g,0.45mmol)を純粋EtOH(5mL)に溶解し,1滴の濃HSOを加え,不活性雰囲気下で18時間還流した。混合物を冷却し,濃縮し,フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc95:5)により精製した。これにより,0.13g(80%)の表題化合物28を無色油状物として得た。
H−NMR(200MHz,CDCl):δ0.85(t,3H),0.94(t,3H),1.18−1.34(m,13H),1.45−1.59(m,4H),1.97−2.08(m,4H),2.25(m,1H),2.74−2.85(m,4H),4.09(q,4H),5.24−5.42(m,6H);
13C−NMR(50MHz,CDCl):δ11.76,14.21,14.30,20.49,25.46,25.56,27.18,27.37,29.22,29.41,29.42,29.50,29.59,32.06,47.29,59.83,127.06,127.59,128.18,128.21,130.27,131,85,176.33;MS(エレクトロスプレー):385.3[M+Na]
【0147】
2−((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール(71)
工程1:グリシジル(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート
【化121】

乾燥CHCl(10ml)中の(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(1.00g,3.03mmol),グリシドール(167μl,2.52mmol),N−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(585mg,3.05mmol)およびDMAP(372mg,3.05mmol)の溶液を,N−雰囲気下で室温で18時間撹拌した。混合物を真空下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し,ヘプタン−ヘプタン:EtOAc(95:5)で溶出して,647mg(55%)の表題生成物をわずかに黄色の液体として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.85−0.99(m,6H),1.42−1.80(m,5H),2.03−2.09(m,4H),2.28−2.42(m,1H),2.60−2.64(m,1H),2.79−2.82(m,8H),3.14−3.21(m,1H),3.88−3.97(m,1H),4.36−4.46(m,1H),5.23−5.51(m,10H);MS(エレクトロスプレー);409[M+Na]
【0148】
工程2:1,3−ジ(トリフルオロアセテート)−2−((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール
【化122】

乾燥した無アルコールCHCl(6.5ml)中のグリシジル(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノエート(641mg,1.66mmol)の溶液を,N雰囲気下で−20℃に冷却した。乾燥CHCl(6.5ml)中の無水トリフルオロ酢酸(TFAA)(0.93ml,6.69mmol)の溶液を少しずつ加えた。冷浴をはずし,混合物を70分間撹拌した。溶媒および未反応TFAAを真空下で蒸発させ(t<40°C),残渣をトルエン(15ml)に溶解し,シリカゲルパッド(16.5g)を通し,トルエン(350ml)で溶出した。607mg(61%)の粗表題生成物を黄色油状物として得た。
HNMR(200MHz,CDCl)δ0.83−0.99(m,6H),1.54−1.67(m,4H),1.99−2.13(m,4H),2.27−2.38(m,1H),2.63−2.82(m,8H),4.44(dd,J=11.8Hz,5.7Hz,2H),4.62(dd,J=11.9Hz,4.1Hz,2H),5.20−5.45(m,11H)
【0149】
工程3:2−((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール
【化123】

ペンタン/CHCl(2:1,10ml)中の,3−ジ(トリフルオロアセテート)−2−((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール(607mg,1.02mmol)の溶液をN−雰囲気下で−20℃に冷却した。ペンタン/CHCl(2:1,9ml)中のピリジン(0.83ml,10.3mmol)およびMeOH(0.62ml,15.3mmol)の溶液を滴加した。冷却浴をはずし,混合物を4時間撹拌した。得られた混合物を真空下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより,ヘプタン−ヘプタン:EtOAc1:1で溶出して,352mg(86%)の表題生成物をわずかに黄色の油状物として得た。
HNMR(200MHz,CDCl):δ0.86−0.99(m,6H),1.43−1.81(m,4H);1.94(bs,2H),2.02−2.13(m,4H),2.29−2.43(m,1H),2.79−2.83(m,8H),3.81(d,J=4.8Hz,4H),4.89−4.98(m,1H),5.22−5.43(m,10H);MS(エレクトロスプレー);427[M+Na]
【0150】
1,2,3−トリス((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール(72)
【化124】

(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(501mg,1.52mmol),DMAP(185mg,1.52mmol),N−エチル−N′−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジイミド塩酸塩(295mg,1.54mmol)および乾燥CHCl(5ml)を,DMF(2ml)中のグリセロール(31.6mg,0.343mmol)の溶液に加えた。得られた混合物をN−雰囲気下で室温で17.5時間撹拌した。ジエチルエーテル(50ml)を加え,得られた混合物を1MHCl(20ml)およびブライン(20ml)で洗浄し,乾燥し(NaSO),真空下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを繰り返し,ヘプタン−ヘプタン:EtOAc(100:1)−(95:5)で溶出して,206mg(58%)の表題生成物を無色油状物として得た。
HNMR(200MHz,CDCl):δ0.83−0.99(m,18H),1.43−1.77(m,12H),1.98−2.13(m,12H),2.23−2.37(m,3H),2.77−2.85(m,24H),4.04−4.18(m,2H),4.28−4.42(m,2H),5.23−5.49(m,31H);MS(エレクトロスプレー);1051[M+Na]
【0151】
上述の実施例と同様にして,表1−3に挙げられる化合物を得ることができる。
【表1】

とRとが逆である可能性も含まれる。
*Xは,カルボン酸またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドを表す。
【0152】
【表2】

とRとが逆である可能性も含まれる。
*Xは,カルボン酸またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドを表す。
**Xは,無水カルボン酸,カルボキサミド,モノ−,ジ−,またはトリ−グリセリド,またはリン脂質を表す。
【0153】
【表3】

とRとが逆である可能性も含まれる。
*Xは,カルボン酸またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドを表す。
【0154】
本発明は,示される態様および実施例に限定されるべきではない。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化125】

[式中,
およびRは同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる置換基の群より選択され;
Xは,カルボン酸またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸,またはカルボキサミドを表し;および
Yは,Eおよび/またはZコンフィギュレーションを有する2またはそれ以上の二重結合を有するC16−C22アルケンであり;
ただし,RおよびRは同時に水素原子またはフッ素原子ではなく;および
式(I)の化合物は,
カルボン酸,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形の2−置換(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸,
(全Z)−2−メチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2,2−ジメチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−ベンジル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;または
(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−カルボキシ−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸;
エチル(全Z)−2−エトキシカルボニル−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエノエートではない]
のオメガ−3脂質化合物,またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項2】
Yは,2−6個の二重結合を有するC16−C20アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Yは,2−6個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C20アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Yは,3−5個の二重結合で有するC16−C20アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Yは,3−5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16−C20アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Yは,5個の二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Yは,3個の二重結合をZ−コンフィギュレーションで有するC16アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンである,請求項1記載の化合物。
【請求項10】
塩:
【化126】

[式中,XはCOOであり,
は,Li,Na,K,NH
【化127】

メグルミン,
【化128】

トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン,
【化129】

ジエチルアミン,および
【化130】

アルギニンからなる群より選択される]
の形である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
塩:
【化131】

[式中,X=COO
2+は,Mg2+,Ca2+
【化132】

エチレンジアミン,および
【化133】

ピペラジンからなる群より選択される]
の形である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
塩:
【化134】

[式中,XはCOOであり,
n+
【化135】

キトサンである]
の形である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
Xは,式(II):
【化136】

[式中,
Zは
【化137】

である]
で表されるリン脂質の形のカルボン酸である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
Xは,式(III):
【化138】

[式中,
Zは
【化139】

である]
で表されるリン脂質の形のカルボン酸である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
Xは,式(IV):
【化140】

[式中,Zは,
【化141】

である]
で表されるリン脂質の形のカルボン酸である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
Xは,式(V):
【化142】

で表されるトリグリセリドの形のカルボン酸である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
Xは,式(VI):
【化143】

で表される1−モノグリセリドの形のカルボン酸である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
Xは,式(VII):
【化144】

で表される2−モノグリセリドの形のカルボン酸である,請求項1−9のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
下記:
(全Z)−9,12,15−オクタデカトリエン酸
(全Z)−6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸
(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸
(全Z)−11,14,17−エイコサトリエン酸
(全Z)−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸
(4E,8Z,11Z,14Z,17Z)−4,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸
(5E,8Z,11Z,14Z,17Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸
(全Z)−8,11,14,17−エイコサテトラエン酸
(4E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸
から誘導される基から選択され,カルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形のオメガ−3脂質化合物であって,
ここで,前記化合物は,オメガ−3脂質化合物の官能基から数えて炭素2で,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換されており;
ただし,オメガ−3脂質化合物は,2つの水素原子で置換されておらず,
(全Z)−2−カルボキシ−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン酸
エチル(全Z)−2−エトキシカルボニル−6,9,12,15,18,21−テトラコサヘキサエノエート
(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエン酸または
エチル(全Z)−2−ヒドロキシ−9,12,15−オクタデカトリエノエートではない,
ことを特徴とする,オメガ−3脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項20】
前記化合物は,(全Z)−2−エチル−11,14,17−エイコサトリエン酸メグルミン塩
【化145】

である,請求項1−12または19のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物は,(全Z)−2−エチル−9,12,15−オクタデカトリエン酸マグネシウム塩
【化146】

である,請求項1−12または19のいずれかに記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物は,(全Z)−2−エチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩
【化147】

である,請求項1−12または19のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物は,(全Z)−2−エチル−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸アンモニウム塩
【化148】

である,請求項1−12または19のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA)から誘導され,式(VIII):
【化149】

で表される,Xで表されるカルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形のオメガ−3脂質化合物であって,
ここで,RおよびRは同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,C−Cアルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択され,
ただし,RおよびRは同時に水素原子ではない,
オメガ−3脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項25】
およびRは,水素原子,C−Cアルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アミノ基,アルキルアミノ基,アルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基からなる群より選択される,請求項24記載の化合物。
【請求項26】
およびRは,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,C−Cアルキルチオ基,アミノ基,C−Cアルキルアミノ基,C−Cアルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基からなる群より選択される,請求項25記載の化合物。
【請求項27】
前記C−Cアルキル基はプロピルであり;
前記C−Cアルコキシ基は,メトキシ,エトキシまたはプロポキシであり;
前記C−Cアルキルチオ基は,メチルチオ,エチルチオ,またはプロピルチオであり;
前記C−Cアルキルアミノ基は,エチルアミノまたはジエチルアミノであり;および
Xは,カルボキシレートまたはカルボン酸を表す,
請求項26記載の化合物。
【請求項28】
(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA)から誘導され,式(VIII):
【化150】

で表され,Xにより表されるカルボン酸,またはその誘導体,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形である,オメガ−3脂質化合物であって,
ここで,前記化合物は,オメガ−3脂質化合物の官能基から数えて炭素2で,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択される,RおよびRで表される2つの置換基で置換されており,
ただし,前記化合物は2,2,−ジメチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸ではない,
オメガ−3脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項29】
およびRは,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アミノ基,アルキルアミノ基,アルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基からなる群より選択される,請求項28記載の化合物。
【請求項30】
およびRは,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,C−Cアルキルチオ基,アミノ基,C−Cアルキルアミノ基,C−Cアルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基からなる群より選択される,請求項29記載の化合物。
【請求項31】
前記C−Cアルキル基は,メチル,エチル,またはプロピルであり;
前記C−Cアルコキシ基は,メトキシ,エトキシまたはプロポキシであり;
前記C−Cアルキルチオ基は,メチルチオ,エチルチオ,またはプロピルチオであり;
前記C−Cアルキルアミノ基は,エチルアミノまたはジエチルアミノであり;および
Xは,カルボキシレートまたはカルボン酸を表す,
請求項30記載の化合物。
【請求項32】
カルボン酸の前記誘導体は,リン脂質,またはトリ−,ジ−,またはモノグリセリドである,請求項1−9,19,24−26または28−30のいずれかに記載のオメガ−3脂質化合物。
【請求項33】
(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA)から誘導され,式(VIII):
【化151】

[式中,RおよびRは同じまたは異なり,水素原子,ヒドロキシ基,アルキル基,ハロゲン原子,アルコキシ基,アシルオキシ基,アシル基,アルケニル基,アルキニル基,アリール基,アルキルチオ基,アルコキシカルボニル基,カルボキシ基,アルキルスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アミノ基,およびアルキルアミノ基からなる群より選択され,
ただし,RおよびRは同時に水素原子ではなく,かつ,前記化合物は,:
(全Z)−2−メチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル;
(全Z)−2,2−ジメチル−5,8,11,14,17エイコサペンタエン酸,またはそのエチルエステル
ではない]
で表され,Xにより表されるリン脂質,トリ−,ジ−,またはモノグリセリド,カルボキシレート,無水カルボン酸またはカルボキサミドの形である,オメガ−3脂質化合物またはその薬学的に許容しうる複合体,塩,溶媒和物またはプロドラッグ。
【請求項34】
およびRは,水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アミノ基,アルキルアミノ基,アルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基からなる群より選択される,請求項33記載の化合物。
【請求項35】
およびRは,水素原子,C−Cアルキル基,C−Cアルコキシ基,C−Cアルキルチオ基,アミノ基,C−Cアルキルアミノ基,C−Cアルコキシカルボニル基,およびカルボキシ基からなる群より選択される,請求項34記載の化合物。
【請求項36】
前記C−Cアルキル基は,メチル,エチル,またはプロピルであり;
前記C−Cアルコキシ基は,メトキシ,エトキシまたはプロポキシであり;
前記C−Cアルキルチオ基は,メチルチオ,エチルチオ,またはプロピルチオであり;
前記C−Cアルキルアミノ基は,エチルアミノまたはジエチルアミノであり;および
Xは,カルボキシレートまたはカルボン酸を表す,請求項35記載の化合物。
【請求項37】
式(II):
【化152】

[式中,Yは,5個の二重結合を有するC18アルケンであり,およびXはリン脂質の形のカルボン酸であり,
Zは,
【化153】

である]
で表される,請求項33−36のいずれかに記載の化合物。
【請求項38】
前記化合物は,1,2−ジ((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン
【化154】

である,請求項37記載の化合物。
【請求項39】
式(III):
【化155】

[式中,Yは,5個の二重結合を有するC18アルケンであり,Xはリン脂質の形のカルボン酸であり,Zは,
【化156】

である]
で表される,請求項33−36のいずれかに記載の化合物。
【請求項40】
前記化合物は,2−(全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン
【化157】

である,請求項39記載の化合物。
【請求項41】
式(IV):
【化158】

[式中,Yは,5個の二重結合を有するC18アルケンであり,Xはリン脂質の形のカルボン酸であり,Zは,
【化159】

である]
で表される,請求項33−36のいずれかに記載の化合物。
【請求項42】
式(V)
【化160】

[式中,Yは,5個の二重結合を有するC18アルケンであり,Xはトリグリセリドの形のカルボン酸である]
で表される,請求項33−36のいずれかに記載の化合物。
【請求項43】
前記化合物は,1,2,3−トリス((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール
【化161】

である,請求項42記載の化合物。
【請求項44】
式(VI):
【化162】

[式中,Yは,5個の二重結合を有するC18アルケンであり,Xは1−モノグリセリドの形のカルボン酸である]
で表される,請求項33−36のいずれかに記載の化合物。
【請求項45】
式(VII):
【化163】

[式中,Yは,5個の二重結合を有するC18アルケンであり,Xは2−モノグリセリドの形のカルボン酸である]
で表される,請求項33−36のいずれかに記載の化合物。
【請求項46】
前記化合物は,2−((全Z)−2−エチル−5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル)−sn−グリセロール
【化164】

である,請求項45記載の化合物。
【請求項47】
前記アルキル基は,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,およびn−ヘキシルからなる群より選択される,請求項1−19または28−30,33−35のいずれかに記載の化合物。
【請求項48】
前記アルキル基は,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,n−およびヘキシルからなる群より選択される,請求項24−26のいずれかに記載の化合物。
【請求項49】
前記ハロゲン原子はフッ素である,請求項1−19,24−37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項50】
前記アルコキシ基は,メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,sec−ブトキシ,フェノキシ,ベンジルオキシ,OCHCF,およびOCHCHOCHからなる群より選択される,請求項1−19,24−26,28−30,32−35,37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項51】
前記アルケニル基は,アリル,2−ブテニル,および3−ヘキセニルからなる群より選択される,請求項1−19,24−37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項52】
前記アルキニル基は,プロパルギル,2−ブチニル,および3−ヘキシニルからなる群より選択される,請求項1−19,24−37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項53】
前記アリール基は,ベンジル基,および置換ベンジル基から選択される,請求項1−19,24,28,32−33,37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項54】
前記アルキルチオ基は,メチルチオ,エチルチオ,イソプロピルチオ,およびフェニルチオからなる群より選択される,請求項1−19,24−26,28−30,32−35,37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項55】
前記アルコキシカルボニル基は,メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,およびブトキシカルボニルからなる群より選択される,請求項1−19,24−26,28−30,32−35,37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項56】
前記アルキルスルフィニル基は,メタンスルフィニル,エタンスルフィニル,およびイソプロパンスルフィニルからなる群より選択される,請求項1−19,24−37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項57】
前記アルキルスルホニル基は,メタンスルホニル,エタンスルホニル,およびイソプロパンスルホニルからなる群より選択される,請求項1−19,24−37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項58】
前記アルキルアミノ基は,メチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミノ,およびジエチルアミノからなる群より選択される,請求項1−19,24−26,28−30,32−35,37,39,41−42,44−45のいずれかに記載の化合物。
【請求項59】
前記カルボキシレート基は,エチルカルボキシレート,メチルカルボキシレート,n−プロピルカルボキシレート,イソプロピルカルボキシレート,n−ブチルカルボキシレート,sec−ブチルカルボキシレート,およびn−ヘキシルカルボキシレートからなる群より選択される,請求項1−9,19,24−26,28−30,32−35のいずれかに記載の化合物。
【請求項60】
前記カルボキサミド基は,1級カルボキサミド,N−メチルカルボキサミド,N,N−ジメチルカルボキサミド,N−エチルカルボキサミド,およびN,N−ジエチルカルボキサミドからなる群より選択される,請求項1−9,19,24−26,28−30,32−35のいずれかに記載の化合物。
【請求項61】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はメチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項62】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はエチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項63】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項64】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項65】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項66】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項67】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項68】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項69】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項70】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はエチルアミノであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項71】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はジエチルアミノであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項72】
Yは,3個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC16アルケンであり,RおよびRの一方はアミノであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項73】
二重結合は,前記オメガ−3脂質化合物の9,12,および15位に存在する,請求項61−72のいずれかに記載の化合物。
【請求項74】
Xはカルボン酸エチルである,請求項61−73のいずれかに記載の化合物。
【請求項75】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はメチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項76】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はエチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項77】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はプロピルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項78】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はメトキシであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項79】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はエトキシであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項80】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はプロポキシであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項81】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はチオメチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項82】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はチオエチルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項83】
Yは,5個のメチレン中断二重結合をZコンフィギュレーションで有するC20アルケンであり,RおよびRの一方はチオプロピルであり,他方は水素原子である,請求項1記載の化合物。
【請求項84】
二重結合は,前記オメガ−3脂質化合物の7,10,13,16および19位に存在する,請求項76−83のいずれかに記載の化合物。
【請求項85】
Xはカルボン酸エチルである,請求項1−9,24−36のいずれかに記載の化合物。
【請求項86】
およびRは異なる,請求項1−18,20−46記載の化合物。
【請求項87】
ラセミ体である,請求項86記載の化合物。
【請求項88】
R立体異性体の形である,請求項86記載の化合物。
【請求項89】
S立体異性体の形である,請求項86記載の化合物。
【請求項90】
請求項1−89のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項91】
さらに薬学的に許容しうる担体,賦形剤または希釈剤,またはこれらの任意の組み合わせを含む,請求項90記載の医薬組成物。
【請求項92】
経口投与用に製剤されている,請求項90または91記載の医薬組成物。
【請求項93】
カプセル,サシェまたは固体投与形態の形態である,請求項92記載の医薬組成物。
【請求項94】
1mgから10gの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項90−93のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項95】
50mgから1gの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項94記載の医薬組成物。
【請求項96】
50mgから200mgの前記化合物の1日投与量を与えるよう製剤されている,請求項95記載の医薬組成物。
【請求項97】
医薬品として用いるための,請求項90−96のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項98】
請求項1−89のいずれかに記載のオメガ−3脂質化合物を含む脂質組成物。
【請求項99】
脂質組成物の少なくとも60重量%が前記化合物から構成される,請求項98記載の脂質組成物。
【請求項100】
脂質組成物の少なくとも80重量%が前記化合物から構成される,請求項99記載の脂質組成物。
【請求項101】
さらに,(全Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸(EPA),(全Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸(DHA),(全Z)−6,9,12,15,18−ヘンエイコサペンタエン酸(HPA),および/または(全Z)−7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸(DPA)から選択される脂肪酸を含む,請求項98−100のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項102】
前記脂肪酸はアルファ置換された形で存在する,請求項101記載の脂質組成物。
【請求項103】
さらに薬学的に許容しうる抗酸化剤を含む,請求項98−102のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項104】
前記抗酸化剤はトコフェロールである,請求項103記載の脂質組成物。
【請求項105】
医薬品として使用するための,請求項98−104のいずれかに記載の脂質組成物。
【請求項106】
ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)アイソフォームの少なくとも1つの活性化または調節に関連する医薬品を製造するための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項107】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)はPPARαである,請求項106記載の使用。
【請求項108】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)αおよび/またはγである,請求項106記載の使用。
【請求項109】
末梢インスリン耐性および/または糖尿病性状態の治療および/または予防用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項110】
血漿インスリン,血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドの低下用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項111】
2型糖尿病の治療および/または予防用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項112】
トリグリセリドレベル,および/または非HDLコレステロール,LDLコレステロールおよびVLDLコレステロールレベルの上昇の予防および/または治療用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項113】
脂質異常症状態の予防および/または治療用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項114】
前記脂質異常症状態は高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項113記載の使用。
【請求項115】
ヒトにおける血清HDLレベルの増加用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項116】
肥満または体重過多の治療および/または予防用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項117】
体重を減少させ,および/または体重増加を予防するための医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項118】
脂肪肝疾患の治療および/または予防用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項119】
前記脂肪肝疾患は,非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項118記載の使用。
【請求項120】
インスリン耐性,高脂血症および/または肥満または体重過多の治療用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項121】
炎症性疾患または状態の治療および/または予防用の医薬品の製造のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項122】
ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)アイソフォームの少なくとも1つの機能の上昇に関連した状態を治療および/または予防するための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項123】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)はPPARαである,請求項122記載の化合物。
【請求項124】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)αおよび/またはγである,請求項122記載の化合物。
【請求項125】
末梢インスリン耐性および/または糖尿病性状態の治療および/または予防のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項126】
血漿インスリン,血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドを低下させるための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項127】
2型糖尿病の治療および/または予防のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項128】
トリグリセリドレベル,非HDLコレステロール,LDLコレステロールおよびVLDLコレステロールレベルの上昇の予防および/または治療のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項129】
脂質異常症状態の予防および/または治療のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項130】
前記脂質異常症状態は高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項129記載の化合物。
【請求項131】
ヒトにおいて血清HDLレベルを上昇させるための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項132】
肥満または体重過多の治療および/または予防のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項133】
体重の減少および/または体重増加の予防のための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項134】
脂肪肝疾患を治療および/または予防するための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項135】
前記脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項134記載の化合物。
【請求項136】
インスリン耐性,高脂血症および/または肥満または体重過多を治療するための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項137】
炎症性疾患または状態を治療および/または予防するための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項138】
ヒトペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)アイソフォームの少なくとも1つの機能の上昇に関連する状態を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項139】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプターαである,請求項138記載の方法。
【請求項140】
前記ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプター(PPAR)は,ペルオキシゾーム増殖剤活性化レセプターαおよび/またはγである,請求項138記載の方法。
【請求項141】
末梢インスリン耐性および/または糖尿病性状態を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項142】
血漿インスリン,血中グルコースおよび/または血清トリグリセリドを低下させる方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項143】
2型糖尿病を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項144】
トリグリセリドレベル,および/または非HDLコレステロール,LDLコレステロールおよびVLDLコレステロールレベルの上昇を予防および/または治療する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項145】
脂質異常症状態を予防および/または治療する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項146】
前記脂質異常症状態は高トリグリセリド血症(HTG)である,請求項145記載の方法。
【請求項147】
ヒトにおいて血清HDLレベルを増加させる方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項148】
肥満または体重過多を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項149】
体重を減少させるか,および/または体重増加を防止する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項150】
脂肪肝疾患を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に,薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項151】
前記脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である,請求項150記載の方法。
【請求項152】
インスリン耐性,高脂血症および/または肥満または体重過多を治療する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項153】
炎症性疾患または状態を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項154】
認識障害を治療および/または予防する方法であって,それを必要とする哺乳動物に薬学的に活性な量の請求項1−89のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項155】
医薬品として使用するための,請求項1−89のいずれかに記載の化合物。
【請求項156】
請求項1−89のいずれかに記載の化合物を製造する方法。



【公表番号】特表2010−508259(P2010−508259A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533980(P2009−533980)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003305
【国際公開番号】WO2008/053331
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(504453362)プロノヴァ・バイオファーマ・ノルゲ・アーエス (10)
【氏名又は名称原語表記】Pronova BioPharma Norge AS
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 420, 1327 Lysaker, Norway
【Fターム(参考)】