説明

自励式給電装置、自励式発光装置、及び自励式除菌装置

【課題】漏洩交流磁場環境下で使用可能な、給電用の配線が不要で設置の自由度の高い、自励式給電装置、自励式発光装置、及び自励式除菌装置を提供する。
【解決手段】この発明に係る自励式給電装置は、所定周波数の交流磁場環境下で動作するように、検出コイル7と、検出コイル7に並列に接続されて共振回路9を形成する共振コンデンサ8と、共振回路9に接続される整流回路10とを備える。検出コイル7は交流磁場に鎖交するように配置され、検出コイル7に誘起される交流電圧は共振回路9により共振し増幅される。整流回路10は増幅された交流電圧を外部からの給電なく昇圧し、直流電圧に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流磁場環境下で使用可能な自励式給電装置、自励式給電装置と光源とを組み合わせた自励式発光装置、及び除菌用の自励式発光装置である自励式除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱装置の一種である電磁調理器等の電気機器では、その機器の動作状態をユーザに分かりやすく通知するための表示用に発光ダイオード(LED=Light−Emitting Diode)等の光源を使用した発光装置が設けられる。また、最近では、除菌作用のある紫外線を出す紫外線LED等の光源を用いた除菌装置が家電機器に設けられる例もある。
【0003】
発光装置や除菌装置はユーザに対する利便性や、電気機器の機能を考慮して、最適な位置に設置することが望ましいが、電気機器から発光装置や除菌装置への給電用の配線が必要となることから、電気機器の機構上、設置位置が限定されてしまうという問題がある。また、設置位置を優先した場合、給電用の配線が必要になること、及び配線のために電気機器の機構が複雑となることから、コストアップに繋がるという問題がある。
【0004】
これらの問題を解決するために、電気機器本体等、外部からの給電用の配線を必要とせずに他の機器に給電することのできる自励式給電装置を採用し、この自励式給電装置からLED等の光源に給電し発光させる自励式発光装置が提案されている。
【0005】
特許文献1には自励式給電機能を備えた発光装置である動作表示回路が例示され、電源より給電された加熱コイルにより被加熱物を誘導加熱する誘導加熱装置の動作表示回路において、加熱コイルにより発生した磁束を検出する検出コイルと、抵抗、ツェナーダイオード、及びLEDを直列接続した表示部を少なくとも1組備えた表示回路とを並列接続した動作表示回路が開示されている。
【0006】
特許文献1の動作表示回路は、加熱コイルにより形成される交流磁場環境下で機能するもので、検出コイルに鎖交する交流磁束により、検出コイル両端に発生する交流電圧を光源に給電する。検出コイル両端に発生する交流電圧は、抵抗、及びツェナーダイオードを介してLEDに印加されLEDが発光する。この発明に依れば、動作表示回路への誘導加熱装置からの給電用配線は不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−298181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の発明では、検出コイルで発生する電圧は動作表示用の光源を点灯させるための必要な電圧に達しないことがある。
【0009】
電磁調理器等の誘導加熱装置において、加熱コイルで発生する磁束の大部分は、誘導加熱装置に設置された加熱対象物(電磁調理器の場合は鍋釜等)で熱に変換され、熱に変換されない磁束(漏洩磁束)の密度は極めて小さい。そのため、光源の点灯に必要な電圧を供給するためには、漏洩磁束密度が比較的大きい、加熱コイルに極めて近い位置に検出コイルを設置して交流電圧を誘起させるか、又は、検出コイルを加熱対象物と加熱コイルとの間に設置して、漏洩磁束ではない磁束を検出して交流電圧を誘起させる必要がある。なお、漏洩磁束とは本来の目的に供されない磁束を言う。
【0010】
その結果、特許文献1の発明では、検出コイルを含む動作表示回路の設置位置についての制約が大きくなり、LEDの設置位置が限定されるという従来の問題を解決することはできなかった。
【0011】
このように、漏洩交流磁場環境下で設置の自由度の高い自励式給電装置、及び自励式給電装置と光源とを組み合わせた自励式発光装置を実現することは従来技術では困難であった。このことは発光装置を除菌用として使用する除菌装置についても同様である。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、漏洩交流磁場環境下で使用可能な、給電用の配線が不要で設置の自由度の高い、自励式給電装置、自励式給電装置と光源とを組み合わせた自励式発光装置、及び除菌用の自励式発光装置である自励式除菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る自励式給電装置は、所定周波数の漏洩交流磁場環境下で動作するものとし、漏洩交流磁場に鎖交する検出コイルと、検出コイルに並列に接続され共振回路を構成する共振コンデンサと、共振回路に接続された整流回路とを備える。漏洩交流磁場により検出コイルに誘起される交流電圧は、共振回路で共振して増幅される。整流回路は、共振回路により共振し、増幅された交流電圧を、外部からの給電なく昇圧し、直流電圧に変換する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、漏洩交流磁場環境下で使用可能な、給電用の配線が不要で設置の自由度の高い、自励式給電装置、自励式給電装置と光源とを組み合わせた自励式発光装置、及び自励式発光装置を除菌に使用する自励式除菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る自励式給電装置を使用した自励式発光装置の例を示す回路ブロック図である。
【図2】実施形態1に係る自励式発光装置のコントローラの例を示す回路ブロック図である。
【図3】実施形態1に係る自励式発光装置のコントローラの他の例を含む発光装置を示す回路ブロック図である。
【図4】実施形態1に係る電圧判別回路を備えた自励式発光装置の例を示す回路ブロック図である。
【図5】実施形態1に係る自励式発光装置の電圧判別回路の例を示す回路ブロック図である。
【図6】実施形態1に係る自励式発光装置の電圧判別回路の他の例を示す回路ブロック図である。
【図7】実施形態1に係るハイサイドスイッチ回路を備えた自励式発光装置の例を示す回路ブロック図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る自励式除菌装置の構成例を示す図である。
【図9】(a)実施形態2に係る貯水タンクを含む電磁炊飯器の斜視図、(b)電磁炊飯器の貯水タンクに設置した自励式除菌装置の例を示す斜視図、(c)(b)に示す自励式除菌装置を設置した貯水タンクの正面図、及び側面図に相当する図である。
【図10】実施形態2に係る電磁炊飯器用の自励式除菌装置の他の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態1.
図1に本発明の実施形態1に係る自励式給電装置を使用した自励式発光装置の例を回路ブロック図で示す。自励式給電装置5、及び自励式発光装置4は、交流磁場環境下で使用されることを前提としている。この交流磁場は、例えば誘導加熱装置1が備える加熱コイル2により形成される交流磁場で、且つ加熱に使用されなかった漏洩交流磁場である。漏洩磁束3は、この漏洩交流磁場の磁束を示す。誘導加熱装置1の具体例としては例えば電磁調理器(電磁炊飯器を含む)がある。
【0017】
自励式発光装置4は、自励式給電装置5と、自励式給電装置5から受電して発光する光源を備えた発光装置6とで構成される。自励式発光装置4は、例えば、電磁調理器や電磁炊飯器等の動作表示装置として使用される。
【0018】
自励式給電装置5は、検出コイル7と、この検出コイル7に並列に接続されて、共振回路9を構成する共振コンデンサ8と、共振回路9に接続された整流回路10とで構成されている。
【0019】
検出コイル7は漏洩磁束3に鎖交するように配置され、この漏洩磁束3により、検出コイル7の両端間には交流電圧信号が発生する。
【0020】
共振コンデンサ8は、検出コイル7のインダクタンスに対して、漏洩磁束3の周波数で共振条件を満たす容量値を有し、検出コイル7と合わせて共振回路9を構成する。従って、検出コイル7の両端間で発生する交流電圧信号の振幅値は共振により増幅される。
【0021】
整流回路10は、コンデンサ100、102、及び2個のダイオード(図1に示す例ではショットキーバリヤダイオード)101で構成される倍電圧整流回路をn段重ねた(図1の例では4段)多倍電圧整流回路103と、多倍電圧整流回路103により増幅され半波整流された電圧信号を、多倍電圧整流回路103のコンデンサ102と合わせて時定数を規定して直流化する抵抗104とで構成され、検出コイル7で発生する交流電圧信号を増幅すると共に直流電圧信号に変換する。図1の例では共振により増幅された検出コイル7の両端間の交流電圧信号は多倍電圧整流回路103により更に8倍に増幅されて直流化される。
【0022】
多倍電圧整流回路103の動作について説明する。多倍電圧整流回路103を構成する倍電圧整流回路は、入力電圧を2倍にして半波整流する回路である。入力電圧が2倍になる理由は次の通りである。コンデンサ100には共振回路9から交流電圧信号が入力される。今、コンデンサ100の交流電圧信号の入力端電位が接地電位よりも低いときには設置されていない方のダイオード101によってコンデンサ100がダイオード側を正に入力端側を負に入力交流電圧のピーク値近くまで充電される。次に、コンデンサ100の交流電圧信号の入力端電位が接地電位よりも高くなると、入力電位とコンデンサ100の充電値が直列になり設置されていない方のダイオード101によってコンデンサ102を充電する。その結果コンデンサ102の電位は入力交流電圧のピーク電圧の2倍近くになる。多倍電圧整流回路はこれをn段積み重ねることにより入力電圧のピーク値を2*n倍にした半波整流を行う。
【0023】
自励式給電装置5は、以上のように構成されているので、交流磁場環境下で、漏洩磁束3が小さくても、外部からの給電なしで、その出力端に所定の大きさの直流電圧信号を発生させることができる。
【0024】
発光装置6は、光源12と、光源12への通電を制御することによりその発光を制御するコントローラ11と、コントローラ11に対する過電圧印加防止のための保護回路、図1の例ではツェナーダイオード13と、で構成される。コントローラ11及び光源12は、自励式給電装置5から給電される。
【0025】
コントローラ11は、例えば低電圧ロジック回路、マイクロコントローラ、又はマイクロコンピュータ等で構成され、光源12への電圧印加を制御することにより、光源12の発光を制御する。図1は互いに並列接続された3個のLEDを光源12としてコントローラ11で制御する例を示す。光源12の数は用途により定められ、1個であっても複数個であってもよい。
【0026】
光源12は、例えばLED等の発光素子で構成され、直流電圧信号の供給を受け発光する。本願の自励式給電装置5は、漏洩磁束3により誘起される電圧信号を供給するため、供給できる電力は大きいものではない。そのため自励式給電装置5の給電対象となる光源12の負荷は消費電力の小さいものであることが望ましい。LEDは消費電力が小さいので光源12として好適である。LEDの使用により漏洩磁束3が小さい場合であっても光源11の点灯が可能になる。
【0027】
ツェナーダイオード13は、後続の回路に過電圧が印加されることを防止するための保護回路として用いられる。すなわち、何らかの原因で自励式給電装置5から供給される電圧が著しく大きくなったとしても、コントローラ11の給電点から入力される電圧はツェナーダイオード13のツェナー電圧にクランプされるため、コントローラ11は過電圧の入力に対して保護される。
【0028】
自励式給電装置5を含む自励式発光装置4の動作について説明する。図1において、誘導加熱装置1(例えば電磁炊飯器等の電磁調理器)が動作すると加熱コイル2により加熱対象物(例えば鍋釜)を加熱するための所定周波数の交流磁束が発生する。加熱コイル2から発生する磁束の大部分は誘導加熱装置1の加熱対象物で熱に変換されるが、一部は漏洩して漏洩磁束3が発生する。この漏洩磁束3も所定周波数を有する。
【0029】
この漏洩磁束3と鎖交する検出コイル7には、ファラデーの法則により、漏洩磁束3に比例した交流電圧信号が誘起される。検出コイル7と、検出コイル7に並列に接続された共振コンデンサ8とで構成される共振回路9の共振周波数は漏洩磁束3の周波数に等しく設定される。
【0030】
共振周波数は共振回路9を構成する検出コイル7のインダクタンス及び共振コンデンサ8の容量により決まるので、検出コイル7のインダクタンス及び共振コンデンサ8の容量を調整することにより共振周波数を漏洩磁束3の周波数に一致させる。検出コイル7に誘起された交流電圧信号は共振により増幅されて整流回路10に入力される。
【0031】
自励式発光装置4を電磁調理器の動作表示装置として使用する場合、漏洩磁束3の周波数は一般に数10kHz程度で、検出コイル7は、例えば数100μH〜数mHのインダクタンスである。この場合、共振コンデンサ8の容量は共振周波数がこの数10kHz程度の値と等しくなるように選定される。
【0032】
共振により増幅された交流電圧信号は整流回路10により増幅され、直流信号に変換される。整流回路10の多倍電圧整流回路103は交流電圧信号を半波整流するとともにピーク電圧を、理想的には、多倍電圧整流回路103を構成するダイオード(図1の例ではショットキーバリヤダイオード)の個数分増幅する。実際には回路素子の特性上、ダイオードの個数分の増幅から予想される電圧よりはやや小さい電圧の信号となる。整流回路10により増幅され、直流化された電圧信号は、コントローラ11を介して光源12に給電され、コントローラ11は光源12への印加電圧を制御することにより光源12の発光を制御する。
【0033】
多倍電圧整流回路103を導入することにより整流回路10の出力電圧を増大させることが可能となる。これに共振回路9を組み合わせることにより、出力電圧の増大効果は更に大きくなる。
【0034】
整流回路10の多倍電圧整流回路103を構成するダイオード101として、図1ではショットキーバリヤダイオードを使用しているが普通のダイオードであっても良い。ショットキーバリヤダイオードを採用した理由は、ショットキーバリヤダイオードの順方向電圧降下は通常のダイオードに比べて小さいため、ショットキーバリヤダイオードを使用することにより多倍電圧整流回路103による電圧増幅の効率を向上することができるためである。このような構成の多倍電圧整流回路103を用いることにより漏洩磁束3が小さく、検出コイル7に誘起される電圧信号の振幅が小さい場合であっても、この電圧信号を効率よく増幅することができる。また、ショットキーバリヤダイオードを使用することにより、所定の電圧を得るために必要な検出コイル7のインダクタンス、又は多倍電圧整流回路103の倍電圧整流回路段数、をより小さくすることができる。
【0035】
発光装置6のコントローラ11、及び光源12は、自励式給電装置5からの給電により動作する。図2に光源12として互いに並列接続した3個のLEDを使用したときのコントローラ11の一例を示す。
【0036】
図2においてコントローラ11は、それぞれ直列に接続された抵抗110aとツェナーダイオード111a、抵抗110bとツェナーダイオード111b、及び抵抗110cとツェナーダイオード111c、を並列に接続して構成される。自励式給電装置5の出力は抵抗110a、抵抗110b、及び抵抗110cの、ツェナーダイオード111a、111b、111cとのそれぞれの接続端とは反対側の端部に入力される。なお、ツェナーダイオード13はコントローラ11を過電圧入力に対して保護している。
【0037】
コントローラ11には、ツェナーダイオード111a、ツェナーダイオード111b、及びツェナーダイオード111cの、抵抗110a、抵抗110b、及び抵抗110cとのそれぞれの接続端とは反対側の端部に、それぞれ光源としてLED12a、12b、12cが接続されている。接続されているLEDは同一型式のものとする。
【0038】
ツェナーダイオード111a、ツェナーダイオード111b、及びツェナーダイオード111cの各ツェナー電圧Vta、Vtb、及びVtcは、例えばVta<Vtb<Vtcであるとする。各ツェナー電圧をこのように設定することにより、コントローラ11に入力される自励式給電装置5の出力VoがVta以下の場合はいずれのLEDも点灯しない。Vta<Vo≦Vtbの場合は、LED12aのみが、Vtb<Vo≦Vtcの場合は、LED12aとLED12bが、Vtc<Voの場合は、LED12a、LED12b、及びLED12cが点灯する。自励式給電装置5の出力Voは漏洩磁束3の磁束密度、すなわち加熱コイルの磁束密度に比例する。従って、この自励式発光装置4は、光源12a〜12cの点灯状態により誘導加熱装置1の動作状況を表示する動作表示装置として使用することができ、外部からの給電は不要である。
【0039】
なお、この例では、ツェナーダイオード13のツェナー電圧VtxはVtcを超える所定の値に設定される。これにより、コントローラ11及び光源12にVtxを超える過電圧がかかることによる不具合を防止することができる。
【0040】
図3は本実施形態に係る自励式発光装置4のコントローラ11の他の例を示す。この例ではコントローラ11は、トランジスタ113と、トランジスタ113のベースに接続され、ベース電流を制御することによりトランジスタ113のエミッタ電流を制御するベースコントローラ112とで構成される。自励式給電装置5からコントローラ11への給電は、ベースコントローラ112への給電とトランジスタ113のコレクタ電極への給電の2点で行われる。自励式給電装置5の出力端は互いに直列に接続された抵抗14、及びツェナーダイオード13を介してグラウンドに接続される。また、抵抗14とツェナーダイオード13との間の点から取り出した電圧信号をベースコントローラ112に給電し、自励式給電装置5の出力端からの電圧信号をトランジスタ113のコレクタ電極に接続する。
【0041】
次に動作について説明する。検出コイル7で漏洩磁束3を検知することにより、自励式給電装置5の出力端で直流電圧信号が発生する。この電圧が所定値以上であれば、ベースコントローラ112によりトランジスタ113のベースに所定の直流電圧信号が印加され、トランジスタ113がオン状態となり、コレクタ/エミッタ間が導通し、光源12は自励式給電装置5からの給電を受けて点灯する。
【0042】
このように、検出コイル7と共振コンデンサ8とで構成される共振回路9、及び多倍電圧整流回路103を含む整流回路10で構成される自励式給電装置5は、漏洩磁束3の磁束密度が小さい環境下であっても、外部からの給電を必要としないで他に対して必要な電圧信号を供給することができる。
【0043】
多倍電圧整流回路103は入力される交流電圧を外部から給電されることなく昇圧し整流できるものであればどのような構成の整流器であっても良い。
【0044】
また、このように構成される自励式給電装置5と発光装置6とを組み合わせた自励式発光装置4では、交流の漏洩磁束3の環境下で漏洩磁束密度が小さい場合であっても、自励式発光装置4に対して外部から給電しなくても、すなわち給電線なしで、光源12を発光させることができる。
【0045】
従って、本実施形態1に係る自励式給電装置5、及び自励式発光装置4では、誘導加熱装置1の加熱コイル2と加熱対象物(鍋釜等)の間、又は加熱コイル2の極めて近傍に検出コイル7を設置する必要性がなくなり、従来に比べて、自励式給電装置5及び自励式発光装置4の設置位置の自由度が増大する。
【0046】
給電線が不要であること、及び設置位置の自由度が大きいことから、誘導加熱装置1の機構に依存することなく、自励式給電装置5、又は自励式発光装置4を目的に応じて最適な位置に設置することが可能となる。
【0047】
従って、自励式発光装置4を例えば電磁調理器等の誘導加熱装置1の動作表示装置として使用する場合、動作表示装置を誘導加熱装置1に対して従来よりも自由な位置に設置することができ、誘導加熱装置1の機構に依存することなく、動作表示装置を見やすい位置に設置することが可能となる。そのため、ユーザは誘導加熱装置1の動作を容易に視認できるようになり、誘導加熱装置1使用時の利便性が向上する。
【0048】
更に、給電線が不要であること、及び設置位置の自由度が大きいことから、自励式給電装置5、又は自励式発光装置4を装備する際に、誘導加熱装置1の機構や配線に対する影響が小さくなり、装備に係る設計や製造工程が従来に比べて簡便化される。従って、製造コストの低減が可能となる。
【0049】
以上のように自励式給電装置5、及び自励式発光装置4は、設置位置の自由度が大きいので、その移動、又は取り外しができるように構成されてもよい。ユーザはその使用状況や、好みに応じて自励式給電装置5、又は自励式発光装置4を設置し、取り外すことができるので、自励式給電装置5、又は自励式発光装置4に対するユーザの利便性が向上する。例えば自励式発光装置4を電磁調理器の動作表示装置として使用したときは動作表示装置をユーザにとって見やすい位置に配置することができる。
【0050】
図2、又は図3に示すコントローラ11、及び光源12(12a〜12c)の構成は一例であり、本発明は、このような構成に限定されない。コントローラ11は光源12の点灯を制御することができる構成であればどのようなものであってもよく、光源12の個数は1個以上であれば良い。なお、コントローラ11は、光源12の点灯制御を点滅制御にしても良い。
【0051】
更に、自励式発光装置4は、コントローラ11への給電電圧レベルを判別する電圧判別回路15を備えてもよい。このときコントローラ11は、その動作電圧範囲に幅を持たせる。図4に電圧判別回路15を備えた自励式発光装置4の例を示す。図4では、電圧判別回路15の動作用の給電と、判別対象となる電圧信号の入力とを併せて、模式的に1本の線で示している。
【0052】
電圧判別回路15は、判別された電圧レベルをコントローラ11に出力する。コントローラ11は判別された電圧レベルに応じて、複数の光源12の点灯個数を増減する等の光源12に対する点灯制御を行う。
【0053】
電圧判別回路15は、例えばA/D変換器(ADC(Analog−Digital Converter))やコンパレーター等の変換回路と、例えばツェナーダイオードやシャントレギュレータ等の定電圧回路とで構成可能である。このように構成することで、ユーザは例えば誘導加熱装置1の加熱の強弱を漏洩磁束3の強度を介して容易に視認することができる。図2に示すコントローラ11は電圧判別回路15を含むと考えても良い。
【0054】
図5に、ADC150を使用した電圧判別回路15の具体例を示す。図5に示す電圧判別回路15は、ADC150と、自励式給電装置5の出力端とグランド間を接続する互いに直列に接続された抵抗151a、151bとで構成される。判別対象電圧信号は抵抗151aと151bとの間から取り出されてADC150に入力される。ADC150の動作用の電圧信号は、例えば、自励式給電装置5の出力端とグランド間を接続する、互いに直列に接続された抵抗16とツェナーダイオード17の間から取り出されてADC150に給電される。
【0055】
このときのコントローラ11は、例えばマイクロコンピュータで構成され、ADC150で得られた電圧レベルと、抵抗151a、151bとで自励式給電装置5の出力電圧レベルを算定する。なお、コントローラ11でのここまでの処理を含めて電圧判定回路15としても良い。コントローラ11は、算定した電圧レベルに基づき光源12の発光制御を実行する。
【0056】
図5ではADC150は、コントローラ11とは別の構成要素としたが、コントローラ11に内蔵されていてもよい。コントローラ11をマイクロコンピュータで構成した場合は、ADC150としてマイクロコンピュータに内蔵されているADCを使用することができる。
【0057】
また、図5ではADC150、及びコントローラ11へ個別に給電する構成としたが、共通の給電としても良い。特にADC150としてコントローラ11の内蔵ADCを利用する場合は共通給電にすると便利である。
【0058】
図6に、電圧判別回路15の他の具体例を示す。図6に示す電圧判別回路15は、コンパレータ152a〜152cにより構成されている。コンパレータ数は判別する電圧レベルの数に応じて定められる。図6の例では、光源12を3個のLEDで構成していることに対応させて、判別する電圧レベル数を3としたので、電圧判別回路15は3台のコンパレータ152a〜152cで構成されている。コンパレータ152a〜152cはそれぞれに対応した基準電圧を入力するとともに、自励式給電装置5の出力電圧に対応する電圧信号を入力する。コンパレータ152a〜152cは入力した自励式給電装置5の出力電圧を、それぞれの基準電圧と比較し、その大小関係に対応して0又は1をコントローラ11に出力する。コントローラ11はコンパレータ152a〜152cから得られた0又は1の出力から自励式給電装置5の出力電圧レベルを把握し、光源12、すなわち3台のLEDの点灯を制御する。
【0059】
図6において、コンパレータ152a〜152cへの給電は図5の場合と同様である。すなわち、自励式給電装置5の出力端を、互いに直列接続された抵抗16、及びツェナーダイオード17を介してグランドに接続し、抵抗16とツェナーダイオード17との間から電圧信号を取り出してコンパレータ152a〜152cへ給電する。
【0060】
コンパレータ152a〜152cへの基準電圧信号の入力は次の通りである。自励式給電装置5の出力端を、互いに直列接続された抵抗153、及びツェナーダイオード154を介してグランドに接続する。このときツェナーダイオード154がグランド側に接続される。更に、抵抗153とツェナーダイオード154との間の点とグランド間を互いに直列に接続された抵抗155a、155b、及び155cにより接続する。
【0061】
コンパレータ152aの基準電圧信号の入力端には、抵抗153とツェナーダイオード154との間から電圧信号を取り出し入力する。コンパレータ152bの基準電圧信号の入力端には抵抗155aと155bとの間から電圧信号を取り出し入力する。コンパレータ152cの基準電圧信号の入力端には抵抗155bと155cとの間から電圧信号を取り出し入力する。従って、コンパレータ152a〜152cに入力される基準電圧の大きさは、コンパレータ152a>コンパレータ152b>コンパレータ152cとなる。
【0062】
コンパレータ152a〜152cへの判別対象電圧信号の入力は次の通りである。自励式給電装置5の出力端を、互いに直列接続された抵抗151a、151bを介してグランドに接続する。コンパレータ152a〜152cの判別対象電圧信号の入力端には抵抗151aと抵抗151bとの間から電圧信号を取り出し入力する。この電圧は自励式給電装置5の出力電圧とは異なるため、基準電圧を、抵抗151a、151bを考慮して定めることにより、自励式給電装置5の出力電圧レベルを判定することが可能になる。
【0063】
コンパレータ152a〜152cは、例えば、判別対象電圧信号の電圧がそれぞれの基準電圧を超えたときに1を出力し、超えないときは0を出力する。従って、判別対象電圧信号の電圧レベルが小さいときはコンパレータ152a〜152cの出力は全て0になり、判別対象電圧信号の電圧レベルが大きくなるに従って、コンパレータ152a〜152cの出力は(0、0、1)、(0、1、1)、(1、1、1)と推移していく。
【0064】
コントローラ11はこの出力を例えばGPIO(General Purpose Input/Output)ポート を介して入力し、コンパレータ152a〜152cの出力レベルに従って、例えばその出力が(0、0、0)の場合は3個のLED光源12の全てを点灯せず、(0、0、1)のときは1個、(0、1、1)のときは2個、(1、1、1)のときは3個全て点灯するという制御を行う。
【0065】
なお、コントローラ11は、電圧判別回路15により判別された電圧レベルに応じて光源12の点滅の周期を変えるという点灯制御を行ってもよい。このときは光源12の個数は必ずしも複数個である必要はなく、1個であっても良い。点滅周期の変更は、例えばコントローラ11をマイクロコンピュータで構成し、内蔵のタイマを使用して、電圧レベルに応じてタイマの設定値を変えればよい。電圧レベルに応じて複数の光源12の点灯個数、及び点灯した光源の点滅周期を変えるという点灯制御を行っても良い。
【0066】
このように、電圧判別回路15の導入により自励式発光装置4は、自励式給電装置5の出力電圧レベルに応じて光源12の点灯制御を行うことができるため、電磁調理器などの誘導加熱装置1の加熱コイル2の動作状態を表示する、設置位置の自由度の高い、給電線不要の動作表示装置として使用することができる。
【0067】
また、自励式発光装置4は、自励式給電装置5とコントローラ11との間にハイサイドスイッチ回路を設けてもよい。ハイサイドスイッチ回路は、整流回路10の出力電圧が所定の電圧レベル以下のときは開状態で、所定の電圧レベル以上になったときに閉状態になる。従って、自励式給電装置5の出力電圧が所定の電圧以上になるまではコントローラ11(及びコントローラ11を介して光源12)に電圧が印加されない。
【0068】
図7にハイサイドスイッチ回路を備えた自励式発光装置の例を示す。図7に示すハイサイドスイッチ回路18では、PチャネルMOS FET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)180が使用され、PチャネルMOS FET180のソースは自励式給電装置5の出力端に、ドレインはコントローラ11の入力端に、ゲートは抵抗182を介して自励式発光装置4のグランドに接続される。また、ソースとゲート間には抵抗181が接続される。
【0069】
このように構成されたハイサイドスイッチ回路18では自励式給電装置5の出力電圧に応じてソース/ゲート間の電圧が変わり、自励式給電装置5の出力電圧が所定値を超えるまではソース/ドレン間は開状態で、コントローラ11は自励式給電装置5から給電されず動作しない。所定値を超えるとソース/ドレン間は閉状態になり、コントローラ11は自励式給電装置5から給電され動作する。
【0070】
すなわち、ハイサイドスイッチ回路18の設置により、コントローラ11は、自励式給電装置5の出力が所定の電圧以上になったとき、すなわち自励式給電装置5の整流回路10の出力が所定の電圧以上に充電された後に給電される。コントローラ11は、給電電圧が動作電圧より小さいと動作が不安定になるため、ハイサイドスイッチ回路18は、コントローラ11の動作を安定化するという効果を有する。
【0071】
また、負荷電力(この例では光源装置6の消費電力)が自励式給電装置5から給電される電力よりも大きい場合には、ハイサイドスイッチ回路18を設置することにより、整流回路10のコンデンサ102(n段分ある)を所定時間かけて充電することで、整流回路10は光源装置6の動作電圧を超える電圧を短時間だけ出力することができるようになる。そのため、ハイサイドスイッチ回路18の設置により、光源装置6を間欠的に動作させることが可能になる。
【0072】
図7ではPチャネルMOS FET180を使ってハイサイドスイッチ回路18を構成する例を示したが、NチャネルMOS FETであっても良いし、MOS FETではなく通常のFETで構成してもよい。
【0073】
自励式給電装置5の検出コイル7を着脱可能にしてもよい。自励式給電装置5の検出コイル7を各種インダクタンスのコイルから選択できるようにすれば、共振回路9の共振周波数を変えることができる。
【0074】
また、自励式給電装置5の共振コンデンサ8を可変コンデンサにしてもよい。可変コンデンサの容量値を変えることによっても共振回路9の共振周波数を変えることができる。
【0075】
検出コイル7の着脱による付け替え、及び可変コンデンサの容量値の調整の少なくとも一方の措置により、適用対象が変わって、漏洩磁束3の周波数が変わった場合であっても、検出コイル7と共振コンデンサ8と構成される共振回路9の共振周波数を容易に漏洩磁束3の周波数に合わせることができる。従って、自励式給電装置5、自励式発光装置4の適用範囲の拡張を図ることができる。
【0076】
実施形態2.
本発明の実施形態2に係る自励式除菌装置4aは、実施形態1に記載の自励式発光装置4の光源12を紫外線を発生する紫外線光源(例えば紫外線LED)12vに置き換えたものである。
【0077】
紫外線は400nm以下の波長の光で、DNA(Deoxyribonucleic acid)吸収スペクトルのピーク領域(265nm、185nm)の近傍の波長を含む紫外線は、特に殺菌効果が高いので除菌用として用いられる。
【0078】
図8に自励式除菌装置の構成例を示す。図8に示す自励式除菌装置4aは、図3に示す自励式光源装置4の光源12を紫外線LED12vに置き換えたものである。図8は、自励式除菌装置4aと共に、紫外線LED12vで発生した紫外線120の照射をうける除菌対象物20と、除菌対象物20を収納する対象物収納部19とを示す。
【0079】
紫外線LED12vの例としてはInAlGaN4元混晶や、InGaN/GaN/AlGaN等があげられる。
【0080】
対象物収納部19は、除菌対象物20に紫外線120を照射する際の、一般環境への紫外線120の漏洩防止、除菌対象物20が液体等の流動体である場合の貯留、あるいは除菌対象物20の保持等の目的で使用される。
【0081】
図8に示す自励式除菌装置4aの動作について説明する。紫外線LED12vの発光までの動作は実施形態1で説明した通りである。除菌対象物20は、対象物収納部19に収納され、紫外線LED12vで発生した紫外線120が対象物収納部19の内壁面、及び除菌対象物20の対象物収納部19に収納された部分に照射され、当該照射面が除菌される。
【0082】
自励式除菌装置4aは、自励式給電装置5と、紫外線LED12vを含む発光装置6に加えて対象物収納部19を含んでも良い。
【0083】
自励式除菌装置4aは誘導加熱装置1の一種である電磁調理器と組み合わせることができる。電磁調理器は食品を扱うのでいろいろな部位の除菌ができれば便利である。電磁調理器である電磁炊飯器に自励式除菌装置4aを適用した例を図9と図10に示す。
【0084】
図9は、自励式除菌装置を電磁炊飯器の貯水タンクに設置した例を示す。図9(a)は、貯水タンクを含む電磁炊飯器の斜視図を示す。電磁炊飯器30は貯水タンク40を備え、炊飯する時に発生する蒸気を貯留水として貯水タンク40に回収する。貯水タンク40は取り外し可能な構造を有している。電磁炊飯器30に内蔵されている加熱コイル2の大まかな配置関係を示すために加熱コイル2が実線で模式的に示されている。貯水タンク40は破線で示されている。図9(b)は電磁炊飯器の貯水タンクに設置した自励式除菌装置の例を示す斜視図である。理解の便宜を図るために透視図を用いている。自励式除菌装置4aは、紫外線LED12vを除き、貯水タンク40外に配置され、紫外線LED12vは貯水タンク40内に設置されている。図9(c)は、図9(b)に示す自励式除菌装置を設置した貯水タンクの正面図、及び側面図に相当する図である。図9(c)の左側の図が正面図相当の図で、自励式除菌装置4aを適用した貯水タンク40を図9(b)の矢印Aの方向から見た図、右側の図が側面図相当の図で、自励式除菌装置4aが設置された貯水タンク40を図9(b)の矢印Bの方向から見た図で、いずれも透視図で示す。電磁炊飯器30、及び内蔵される加熱コイル2は破線で示されている。
【0085】
この例では、電磁炊飯器30が誘導加熱装置1に、貯水タンク40が対象物収納部19に、そして除菌対象物20が炊飯時に回収された蒸気により貯水タンク40内に貯留される貯留水41に該当する。紫外線LED12vの貯留タンク40内での配置位置は、紫外線120を、貯留水41に対して照射可能な位置であればどこでもよい。図9は貯水タンク40の底面に配置した例を示す。加熱コイル2が電磁炊飯器30の底面近傍に配置されているため、漏洩磁束3に鎖交するように検出コイル7を配置するためには自励式除菌装置及び紫外線LED12vを底面に設置するという配置は便宜である。
【0086】
図9に示す自励式除菌装置4aの動作について説明する。電磁炊飯器30が動作すると、加熱コイル2から鍋釜を加熱するための磁束が発生する。加熱コイル2からの漏洩磁束3により、図9(b)に示すように、実施形態1の図3の場合と同様に(ただし光源12を紫外線LED12vに置き換えたとして)、紫外線LED12vが発光し、紫外線120が放出される。回収された蒸気により貯水タンク40に貯留された貯留水41、及び貯水タンク内壁面は紫外線120により照射され、除菌される。貯留水41及び貯水タンク40内が除菌されることで、貯水タンク14内のカビや悪臭が防止される。
【0087】
図10は、電磁炊飯器のしゃもじ受けに設置された自励式除菌装置の例を示す。図10に示す例では、電磁炊飯器30は、その近傍に、別途しゃもじ受け50を備える。しゃもじ受け50は開口部51を有し、この開口部51からしゃもじ52を挿入することができる。自励式除菌装置4aは紫外線LED12vを除き、しゃもじ受け50の外部又は内部に設置され、紫外線LED12vは、しゃもじ受け50の内部に設置される。
【0088】
図10に示す自励式除菌装置4aの動作は、図9に示す自励式除菌装置4aの動作と同じである。異なる点は除菌対象物20が貯留水41ではなく、しゃもじ52であるという点と、除菌対象物20が異なることにより対象物収納部19が貯水タンク40ではなくしゃもじ受け50となる点である。
【0089】
しゃもじ52は紫外線120を通さないのでその両面を除菌するためにはそれぞれの面に紫外線120を照射しなければならない。そのため、図10では、紫外線LED12vを2個設置し、しゃもじ52のそれぞれの面に紫外線120が照射されるように配置する。2個の紫外線LED12vは底面ではなく、しゃもじ52のそれぞれの面に対向するしゃもじ受け50の側面に設置しても良い。また、紫外線LED12vを1個とし、しゃもじ受け50の内壁面を紫外線反射材で覆い、この内壁面で反射された紫外線120でしゃもじ受け50内に挿入されたしゃもじ52の両面を除菌しても良い。
【0090】
図8では、しゃもじ52の手で持つ部分を除菌対象とする例を示したが、しゃもじ52の上下を逆にしてご飯を装う部分をしゃもじ受け50内に収納して除菌しても良い。また、しゃもじ受け50の開口部51を側面に設け、側面方向からしゃもじ52をしゃもじ受け50内に挿入し除菌するという構成にしても良い。しゃもじ52全体を挿入して除菌しても良い。
【0091】
しゃもじ52は電磁炊飯器30の使用時には必ず使用される物であり、手で握る部分又はご飯を装う部分の除菌は衛生面で効果が大きい。
【0092】
自励式除菌装置4aは、図8に示す例に限られない。実施形態1で説明した自励式給電装置5からの給電を受けて紫外線120を発生する紫外線光源12vを備える光源装置6であればどのようなものであっても良い。
【0093】
実施形態2に係る自励式除菌装置4aの紫外線光源12aは、実施形態1で説明した自励式給電装置5により給電されて紫外線120を発生するので、電磁調理器等の誘導加熱装置1本体から自励式除菌装置4aへの給電用の配線が不要となるばかりでなく、紫外線120の発生のために、誘導加熱装置1の加熱コイル2と鍋釜の間、又は加熱コイル2に近接する位置等、極めて限定された位置に検出コイル7を設置する必要がなく、加熱コイル2周辺の微弱な漏洩磁束3によっても自励式除菌装置4aの動作電圧を供給することができる。
【0094】
従って、誘導加熱装置1の機構に依存すること無く、自励式除菌装置4aを誘導加熱装置1に対して自由な位置に設置することができる。また、誘導加熱装置1の機構に依存せず、自励式除菌装置4aを誘導加熱装置1に対して最適な位置に設置可能となることで、誘導加熱装置1の機能が向上する。さらに、誘導加熱装置1に自励式除菌装置4aを適用する際、誘導加熱装置1の機構や、その内部配線への影響が少ないことから、適用に伴うコストの低減化が可能になる。
【0095】
また、自励式除菌装置4aは、外部からの給電線が不要であり、且つ設置位置の自由度が大きいことから、使用状態に応じて移動、取り外しが可能な除菌装置することができる。これによりユーザに対する自励式除菌装置4aの利便性が向上する。自励式除菌装置4aを図9、又は図10に示す形で設置する場合は、貯水タンク40、しゃもじ受け50の移動が必要であるため、これらに設置される自励式除菌装置4aが移動可能である点は重要である。
【0096】
なお、図4、図5、及び図6に示す電圧判別回路15、図7に示すハイサイドスイッチ回路18は実施形態1の場合と同様に自励式除菌装置4aに設置可能である。それぞれの設置により、自励式除菌装置4aは、実施形態1の該当箇所で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0097】
自励式除菌装置4aは光源12として紫外線光源12vを使用する必要がある。光源をLEDにする場合、紫外線LED12vは通常のLEDよりも消費電力が大きいため、自励式除菌装置4aにハイサイドスイッチ回路18を用いたときの効果はより顕著となる。
【0098】
なお、図8に示す自励式除菌装置4aの場合、ハイサイドスイッチ回路18はコントローラ11への2箇所の給電点のどちらか一方に設置すればよい。
【0099】
以上の説明では漏洩磁束3を生じる磁場源として誘導加熱装置1を例示したが、誘導加熱装置1以外に電子レンジなどのマイクロ波加熱装置からの漏洩磁場であっても良い。
【0100】
また、自励式給電装置5からの給電先としてこれまで発光装置6を例示したが、発光装置6以外に、漏洩磁場を生じる機器の動作状態をブザーなどの音で通知する鳴動装置、漏洩磁場を生じる機器の動作状態を通信で他の機器に送信する通信装置、漏洩磁場を生じる機器の動作状態を表示する表示装置等と組み合わせて、それぞれ自励式鳴動装置、自励式通信装置、自励式表示装置等として使用することができる。更に、自励式給電装置5を、漏洩磁場を生じる機器、若しくは他の機器の内蔵バッテリー等を充電する充電装置として使用することもできる。
【符号の説明】
【0101】
1 誘導加熱装置(電磁調理器)
2 加熱コイル
3 漏洩磁束
4 自励式発光装置
4a 自励式除菌装置
5 自励式給電装置
6 発光装置
7 検出コイル
8 共振コンデンサ
9 共振回路
10 整流回路
11 コントローラ
12、12a〜12c 光源(LED)
12v 紫外線光源(紫外線LED)
13 ツェナーダイオード
14 抵抗
15 電圧判別回路
16 抵抗
17 ツェナーダイオード
18 ハイサイドスイッチ回路
19 対象物収納部
20 除菌対象物
30 電磁炊飯器
40 貯水タンク
41 貯留水
50 しゃもじ受け
51 開口部
52 しゃもじ
100a〜100d 入力コンデンサ
101a〜101d ショットキーバリヤダイオード
102a〜102d 出力コンデンサ
103 多倍電圧整流回路
104 抵抗
110a〜110c 抵抗
111a〜111c ツェナーダイオード
112 ベースコントローラ
113 トランジスタ
120 紫外線
150 ADC
151a、151b 抵抗
152a〜152c コンパレータ
153 抵抗
154 ツェナーダイオード
155a〜155c 抵抗
180 PチャンネルMOS FET
181 抵抗
182 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の漏洩交流磁場環境下で動作する自励式給電装置であって、
前記漏洩交流磁場に鎖交する検出コイルと、
前記漏洩交流磁場により前記検出コイルに誘起される交流電圧を、前記所定周波数で共振させるための、前記検出コイルに並列に接続されて共振回路を構成する、共振コンデンサと、
前記共振回路により共振し、増幅された前記交流電圧を、外部からの給電なく昇圧し、直流電圧に変換する整流回路と、
を備えることを特徴とする自励式給電装置。
【請求項2】
前記整流回路は、前記交流電圧を昇圧する部位として多倍電圧整流回路を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の自励式給電装置。
【請求項3】
前記多倍電圧整流回路を構成するダイオードはショットキーバリヤダイオードである、 ことを特徴とする請求項2に記載の自励式給電装置。
【請求項4】
前記共振コンデンサは、可変コンデンサである、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自励式給電装置。
【請求項5】
前記検出コイルは、交換可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自励式給電装置。
【請求項6】
所定周波数の漏洩交流磁場環境下で動作する自励式給電装置と、
該自励式給電装置から受電して発光する光源と、を備え、
前記自励式給電装置は、
前記漏洩交流磁場に鎖交する検出コイルと、
前記漏洩交流磁場により前記検出コイルに誘起される交流電圧を、前記所定周波数で共振させるための、前記検出コイルに並列に接続されて共振回路を構成する、共振コンデンサと、
前記共振回路により共振し、増幅された前記交流電圧を、外部からの給電なく昇圧し、直流電圧に変換する整流回路と、
を備えることを特徴とする自励式発光装置。
【請求項7】
前記光源は、LEDである、
ことを特徴とする請求項6に記載の自励式発光装置。
【請求項8】
前記自励式給電装置からの受電により動作し、前記光源の点灯を制御するコントローラを更に備える、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の自励式発光装置。
【請求項9】
前記自励式給電装置からの受電により動作し、受電した電圧のレベルを判別する電圧判別回路を備え、
前記コントローラは、前記電圧判別回路で判別された電圧レベルに応じて前記光源の点灯状態を変化させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項8に記載の自励式発光装置。
【請求項10】
前記自励式給電装置と前記コントローラとの間に前記自励式給電装置からの受電により動作するハイサイドスイッチ回路を更に備え、
該ハイサイドスイッチ回路が、前記整流回路の出力端に接続された出力コンデンサが所定値以上に充電されてから導通状態になることにより、前記コントローラが前記自励式給電装置から受電する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の自励式発光装置。
【請求項11】
前記漏洩交流磁場は、誘導加熱装置からの漏洩磁場であり、
前記自励式発光装置は、前記誘導加熱装置の動作を表示するための動作表示装置である、
ことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の自励式発光装置。
【請求項12】
所定周波数の漏洩交流磁場環境下で動作する自励式給電装置と、
該自励式給電装置から受電して紫外線を発光する光源と、を備え、
前記自励式給電装置は、
前記漏洩交流磁場に鎖交する検出コイルと、
前記漏洩交流磁場により前記検出コイルに誘起される交流電圧を、前記所定周波数で共振させるための、前記検出コイルに並列に接続されて共振回路を構成する、共振コンデンサと、
前記共振回路により共振し、増幅された前記交流電圧を、外部からの給電なく昇圧し、直流電圧に変換する整流回路と、
を備えることを特徴とする自励式除菌装置。
【請求項13】
除菌対象物を収納可能な対象物収納部を備え、
前記光源は、前記対象物収納部内に収納された前記除菌対象物に、前記光源からの紫外線を照射しうる位置に設置される、
ことを特徴とする請求項12に記載の自励式除菌装置。
【請求項14】
前記漏洩交流磁場は電磁炊飯器からの漏洩磁場であり、
前記除菌対象物は、前記電磁炊飯器での炊飯時に発生する蒸気を回収することにより生成される水であり、
前記対象物収納部は、前記生成される水を貯留水として貯留可能にした貯水タンクであり、
前記光源は、前記対象物収納部内の、前記貯留水に対して紫外線を照射しうる位置に配置される、
ことを特徴とする請求項13に記載の自励式除菌装置。
【請求項15】
前記漏洩交流磁場は電磁炊飯器からの漏洩磁場であり、
前記除菌対象物は、前記電磁炊飯器で使用するしゃもじであり、
前記対象物収納部は、前記しゃもじを収納可能にしたしゃもじ受けであり、
前記光源は、前記しゃもじ受け内の、前記しゃもじ受けに収納されたしゃもじに対して紫外線を照射しうる位置に配置される、
ことを特徴とする請求項13に記載の自励式除菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−60770(P2012−60770A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201395(P2010−201395)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】