説明

自動ドア装置

【課題】ドアが開動作する以前の時点でセンサ手段の異常を判定し報知することで、通行時における障害を低減する自動ドア装置を得る。
【解決手段】ドアの開閉動を制御する制御部36は、発光部9a及び受光部9bを有して前記発光部9aから発せられる発光信号が遮断されることで人体等の戸挟みを検知するセンサ手段について、ドアが閉扉状態のとき発光信号の有無に応じて前記受光部9bの出力を監視し、発光信号がないにも係らず受光部9bの受光信号が検出されたとき又は発光信号があるにも係らず受光部9bの受光信号が検出されないときは、異常と判断し報知回路46を通して外部に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人を検出して開扉させる起動センサに加え、補助センサを装備した自動ドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドア装置には、人が接近したことを検知してドアを開くため建物の無目に起動センサが設置され、更に起動センサの死角になるドア開閉部に人が居ることを検知する補助センサが方立に設けられている。補助センサは、ドアが開状態のとき人の存在を検知するとドアを閉じないようにする。あるいは、閉扉行程中に人の存在を検知するとドアを再開させる。
この補助センサには、例えば光電センサが使用され、方立の両側に対向して配置した発光部と受光部とを備えて、補助センサは、開扉状態で発光部からの発光信号を受光部で受けている。補助センサは、ドア開閉部に人若しくはドアの開閉動作に支障を与える障害物等があると、発光部からの発光信号が遮断されて受光部で受光できなくなるため、人や障害物等を検出することができる。
しかし、光電センサは、受発光部表面の汚れや受発光素子の経年劣化によって、受光部が、人がいないにもかかわらず人を検知したときと同様に発光信号を受光せず、ドアを閉じることができず開扉状態のままにする虞がある。
【0003】
また、駅のプラットホーム上で鉄道車両のドアに対応して設置され、車両のドア開閉と同期して開閉動作するプラットホーム用ドア(以下、単に「ホームドア」と呼ぶことがある。)においても、補助センサが方立に相当するドア支持架台に装備されている。このようなホームドアを備えたプラットホーム用ドア装置では、車両がホームに停止し車両ドアおよびホームドアが開いた状態で、個々のホームドアに対応して設置した補助センサが動作すると、ドア開閉部に人が居ると判断して、車両ドアおよびホームドアを閉じないようにする。また、補助センサが、例えば複数回の再閉動作を経ても依然として人が居ると判断し続けた場合は、プラットホーム用ドア装置は、補助センサの異常と判断して警報音を発したり、プラットホーム制御盤に異常を知らせる信号を送信する。
この補助センサの異常が、車両がホーム停止中に検出されると、車両を発車させることができず、車両運行に支障をきたす虞がある。
【0004】
この問題を解決するために、例えば特許文献1に開示されたプラットホームドアシステムでは、ホームドアの閉扉行程中での戸挟み検知において、戸先スイッチまたは補助センサが作動して閉扉行程中のドアを再開することにより、タイマーがカウントを開始して所定時間が経過後、再び閉扉行程となって戸先スイッチまたは補助センサが作動する処理を3回繰り返したときは、戸先スイッチまたは補助センサに何らかの異常が生じた可能性があると判断している。
【特許文献1】特許第3624221号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるプラットホームドアシステムでは、ホームドアが開扉動作する以前に補助センサ等の異常を検出してはいない。つまり、車両がホームに進入する前の待機状態においてプラットホーム用ドア装置に装備されてホームドアの異常を検出する補助センサの状態を診断してはいない。
そして、車両がホームに停止しているとき補助センサの診断が行われて異常が検出されることになるため、車両の出発を遅延させて車両運行上重大な支障を招くことになる。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、ドアの開動作する以前の待機時に補助センサの異常を検出することができる自動ドア装置を提供し、もって、異常時には例えばドアを開いた状態のままにして通行を可能にしたり、手動操作に切り替えて車両運行上の支障を最小限に留めるが図れることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) ドアを開閉動させるモータの駆動を制御する制御部と、受光部及び発光部を有し該発光部から発せられる発光信号が遮断されることで人体等の戸挟みを検知するセンサ手段とを具備した自動ドア装置であって、
前記制御部が閉扉状態の待機時に前記発光信号の有無に応じて受光部の出力を監視し、発光信号がないにも係らず受光部の受光信号が検出されたとき又は発光信号があるにも係らず受光部の受光信号が検出されないとき、前記センサ手段の異常と判断し報知手段に出力することを特徴とする自動ドア装置。
【0008】
(2) 前記制御部は、前記発光信号の発光時間内における前記受光部の受光出力に応じて前記発光時間を変更し前記受光部で受信可能となる限界の発光時間と基準値とを比較し前記発光時間が前記基準値より大きい場合は前記センサ手段の異常処理を行うことを特徴とする(1)に記載の自動ドア装置。
【0009】
(3) 前記基準値は、前記発光信号の発光時間内における前記受光部の受光出力に応じて前記発光時間を変更し前記受光部で受信可能となる限界の発光時間に所定時間を加算した値であることを特徴とする(2)に記載の自動ドア装置。
【0010】
(4) 前記センサ手段は、閉扉状態の待機期間中、前記発光部より繰り返し発光信号を発することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の自動ドア装置。
【0011】
(5) 一つのドアに前記センサ手段を複数組配置し、異常と判断されたセンサ手段の出力を無効として、正常と判断されたセンサ手段の出力に基づいてドアの開閉制御を行うことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の自動ドア装置。
【0012】
(6) 前記自動ドア装置は駅のプラットホーム上に設置するプラットホーム用ドア装置とされ、車両がプラットホームに停止していない待機時に前記センサ手段を診断することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の自動ドア装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自動ドア装置は、センサ手段の異常判定のための診断を、閉扉中の待機時に行っているので、センサ手段を修理するまでの間ドアを開扉状態にする等の対応により、通行の障害とならず、また通行人の安全を確保することができる。また、報知手段を設けて異常を警報するので、異常の発生を直ちに確認して対策をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る自動ドア装置の構成を図1、図2を参照して説明する。
図1は建物エントランスに設置された自動ドア装置の概略図である。
自動ドア装置100は、ドア1を開閉駆動する駆動機構をドア1上部の無目3内に収納している。無目3の外面には起動センサ5が設置され、起動センサ5は人がドア1に近づいたときドア1を開く起動信号を駆動機構に出力する。ドア1に近い柱である方立7には、起動センサ5の不感知域をカバーするセンサ手段としての補助センサ9が設置されている。
起動センサ5は、ドア1の軌道周辺域に向かって赤外線を発する赤外線センサ、または超音波を発する超音波センサとすることができる。また補助センサ9は発光部とこの発光部に対向して配置される受光部とを有する光電センサとすることができる。
【0015】
無目3の内部には、図2に示す自動ドア装置100の駆動機構が設置されている。駆動機構は、ドア構造体を取り付けるエンジンケース10と、ドア1を開閉駆動するモータユニット12と、モータユニット12を動作制御する制御ユニット14と、モータユニット12の動力を伝達してドア1を開閉動させるベルト16と、モータユニット12とともにベルト16の張力を調整する従動プーリ18と、ドア1を吊り下げてモータユニット12の動力によりドア1を移動するハンガーブロック20と、制御ユニット14へ電源供給すると共に、各センサからの信号を制御ユニット14に伝達する端子台ブロック22と、ドア1の開閉位置を規制するストッパブロック24とを備える。
ストッパブロック24は、図2に示すように2枚のドア1の全閉位置と全開位置との2箇所に設置されている。
さらに、駆動機構は、一方のドア1(図示の右側ドア)のハンガーブロック20をベルト16に止めるベルト止めブロック26と、他方のドア1(図示の左側ドア)のハンガーブロック20をベルト16に止める両引用ベルト止めブロック28と、ベルト16が弛まないようにエンジンケース10の中央付近に設置する中間ベルト受けブロック30とを備える。
方立7に設置された補助センサ9の受発光部9a、9bは方立7内を通してそれぞれ制御ユニット14と接続されている。互いに対向する方立7の一方の面には発光部9aが、他方の面には受光部9bが設置されている。
【0016】
次に、ドア1の開閉動について、図3も参照して説明する。
自動ドア装置100は、人が近づくと、先ず起動センサ5が人の存在を検知して制御ユニット14に起動信号を出力する。制御ユニット14は起動信号を受けてモータユニット12に電流を流し、モータ12aを回転させてベルト16を動かしドア1を開く。制御ユニット14はドア1を全開した後,所定時間が経過するとモータ12aを逆回転させるように電流を流してドア1を閉じ、再び起動信号が入力されるまで待機状態になる。
また、制御ユニット14は閉扉行程中、起動センサ5または補助センサ9が人体を検出すると、該当センサから出力される信号を受けて、ドア1を再開するように電流を流してドア1を開く。
【0017】
制御ユニット14は、下記の各回路から構成されている。
モータ12aは、DCモータまたはDCブラシレスモータを使用することができ、永久磁石を備えた回転子の位置を検出するホール素子(エンコーダ)32が一体的に取り付けられている。
ホール素子32は、I/Oインターフェース34を介して制御部36内のマイクロコンピュータ(CPU)36aに接続され、出力パルスをCPU36aに入力している。よって、エンコーダ32はモータ形式に応じて、2相または3相のパルス信号をCPU36aに出力する。CPU36aには、メモリ36bが接続されている。メモリ36bは、ドア1を開閉動作させる各種パラメータが格納された不揮発性メモリである。制御部36にはモータ駆動回路38が接続され、制御部36はCPU36aからの制御信号によりモータ駆動回路38を介してモータ12aの回転を制御する。また、制御ユニット14には、商用電源50を各部に分配供給する電源部44が接続されている。制御部36には、起動センサ5と、補助センサ9の発光部9aを駆動する発光信号駆動回路40及び、補助センサ9の受光部9aを駆動する信号受光回路42がそれぞれ接続されている。
なお、符号46は、CPU36aに接続されて、後述する補助センサ9の異常を出力する報知回路、48は異常を音で警報するスピーカ等の外部装置を示す。
【0018】
CPU36aから発光指令信号が発光信号駆動回路40に出力されると、発光部9aの発光素子が発光する。発光部9aに対向して配置された受光部9bは、発光部9aの発光した光を受光素子で受けて受光信号を信号受光回路42に出力する。受光信号は、信号受光回路42で増幅、波形整形されてCPU36aに送られる。
【0019】
CPU36aは、補助センサ9が太陽光等の外光に対して誤動作しないように、発光指令信号をパルス信号で与えて発光させて、一定時間の間に受光信号を検出する。補助センサ9が人体を検出しなければ、発光信号を受光部9bで受けて、CPU36aで受光信号が確認される。閉扉行程中、人が方立7の間に入ると、発光部9aの発光した光信号は遮断されて、受光部9bで検出できないので、制御ユニット14はモータ電流を制御して、ドア1を再開する。誤動作を防止するため、制御ユニット14は、受光部9bからの受光信号が連続して受信していないときは、開扉させる。
【0020】
次に、補助センサ9の異常を検出する判定処理について図4のフローチャートに基づいて説明する。この異常検出の判定処理は、ドア1が閉じているときに行う。
先ず、制御部36は、受光部9bの受光信号を読み込む(ST11)。次に、受光信号があるか否かを判断する(ST12)。発光指令信号を出力していないにもかかわらず受光信号を検出していれば、受光部9bの異常等と判断できるので、CPU36aは報知回路46に信号を出力し、外部装置48に異常状態を警報させる(ST16)。報知回路46は、異常を知らされる信号をオン、オフする切替回路であったり、外部装置48と通信できるインターフェース回路であっても良い。外部装置48は、スピーカの他に、例えばディスプレイ等の表示装置とすることもできる。ST12において、受信信号が検出されていなければ、発光指令信号により発光信号を出力させ(ST13)、受光信号を読み込む(ST14)。ここで、再び受光信号の有無を判断する(ST15)。受光信号が受信されれば、補助センサ9は正常と判断されて、本判定処理は終了する。受光信号が受信されなければ、制御部36は、補助センサ9が異常と判断して、スピーカより警報を発する(ST16)。なお、上記判定処理は、ドア1が閉じているときに行うとしたが、判定処理中に、起動センサ5が人を検出して、起動信号が制御ユニット14に入力されたときには、割り込み処理を行い、判定処理を中断して、制御部36がドア1の開動作を行うようになっている。
【0021】
上記自動ドア装置100は、補助センサ9の異常判定検出を閉扉中の待機時に行うことにしたので、この閉扉中に修理等のメンテナンスを実施することで、メンテナンスが人の通行を妨げる障害とはならない。
【0022】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る自動ドア装置の異常判定処理について説明する。なお、構造は第1の実施形態と同一なので、図面は省略すると共に、同一符号を用いて説明する。
自動ドアの開口幅は設置される場所によりさまざまなので、制御ユニット14は、補助センサ9の発光部9aに出力するパルス信号のオン時間(パルス幅)を調整して、受光部9bの感度を適切なレベルに設定する。自動ドアを施工したとき、パルス信号のオン時間を徐々に小さくしていき、受光可能な限界を見つける。そのときのパルス信号のオン時間より少し大きいオン時間を基準値に設定して調整する。今、補助センサ9の感度調整を行ったオン時間がX秒であるとする。図5は、上記感度調整を行う、本発明の第2の実施形態の補助センサの異常判定処理のフローチャートである。
【0023】
先ず、制御部36は、受光部9bの受光信号を読み込む(ST21)。次に、受光信号があるか否かを判断する(ST22)。受光信号が検出されれば、第1の実施形態と同様に、CPU36aは報知回路46に信号を出力し、外部装置48にて異常状態を警報する(ST29)。ST22において、受信信号が検出されなければ、制御ユニット14は、CPU36aでパルス信号のオン時間を設定する(ST23)。このときのオン時間は設定可能な上限値である。設定されたオン時間のパルス信号で発光信号を出力して(ST24)、受光信号を読み込む(ST25)。ここで、再び受光信号の有無を判断し(ST26)、受光信号が受信されれば、パルス信号のオン時間を下げて(ST27)、再度、発光信号の出力と受光信号の読み込みを繰り返し、受光信号が受信できなくなるまで検出を行う。そして、受光信号が受信できなくなるときのオン時間が受信可能な時間である。制御部36は、この受信可能な時間を基準値Yと比較する(ST28)。受信可能な時間が基準値Y以下の場合、補助センサ9は正常と判断され、本判定処理は終了する。受信可能な時間が基準値Yより大きい場合、制御部36は、異常報知処理を行う(ST29)。ここで、基準値Yは施工時に補助センサ9の感度調整を行ったオン時間Xに予め設定された時間を加算した値である。
【0024】
本実施形態は、先の第1の実施形態と同様、起動センサ5からの起動信号が制御ユニット14に入力されると、上記した異常判定処理の途中でも割り込み処理を行い、ドア1の開動作を行う。本実施形態では、パルス信号のオン時間を設定可能な上限値から徐々に下げていき受信可能な時間を検出するとしたが、オン時間をゼロから徐々に増加させて時間を検出しても構わない。
【0025】
また、上記フローチャートのST28において、受信可能な時間がY秒以下の時、この受信可能な時間を報知回路46を通して外部装置48に出力すれば、外部装置48で受信可能な時間の経時変化を確認することができる。そこで、受信可能な時間が長くなったとき、例えば補助センサ9の受発光部9a、9bの汚れを清掃することで、補助センサ9の感度を再調整することができる。
【0026】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る自動ドア装置の異常判定処理について説明する。なお、構造は第1の実施形態と略同一なので、図面は省略すると共に、同一符号を用いて説明する。
本実施形態では、先の第1の実施形態で用いた図3の制御ユニット14内の発光信号駆動回路40及び信号受光回路42と、補助センサ9の受発光部9a、9bとを2組装備して、それぞれをCPU36aに接続した場合である。この2組の補助センサ9、9は同じ検知範囲を持ち冗長性を持ったものである。一方の補助センサをA、他方の補助センサをBとしたとき、異常判定処理は図6のフローチャートに基づいて行う。
【0027】
先ず、両補助センサA、Bの異常判定処理を行う(ST31、ST32)。これらの異常判定処理は、先の図4、5に示した何れかの処理工程に沿って行うものである。両補助センサA、Bの異常判定処理で異常があるか否かを判断し(ST33)、補助センサに異常があれば、異常と判断された補助センサの受信信号の読み込みを停止する(ST34)。さらに、両補助センサA、Bが共に異常か否かを判断し(ST35)、両補助センサA、Bが共に異常でなければ、正常な補助センサの受信信号を読み込み、ドア1を開動作させる。両補助センサA、Bが共に異常と判定されたときは、該当する検出範囲内の人体検出等ができないので、ドア1の開動作を停止する処理をし(ST36)、閉扉行程中での再開動作を行わないだけでなく、たとえ起動センサ5からの起動信号が制御ユニット14に入力されても、開扉することはない。
なお、上記の異常判定処理中、ST34で異常と判断した補助センサの受信信号の読み込みを停止するとしたが、代わりに、CPU36aが内部処理にて異常と判断した補助センサの受信信号を常にハイレベルに設定していてもよい。
【0028】
上記の実施形態では、補助センサが2組の場合について説明したが、それ以上の場合も各センサについての異常判断処理を行い、異常と判断したセンサの受信信号の読み込みを停止すればよい。全ての補助センサが異常と判断されたときにはST36の処理のように、ドアの開動作を停止する。
また、上記の実施形態は、ST36の処理を除いて、先の第1、第2の実施形態と同様、起動センサ5からの起動信号が制御ユニット14に入力されると、上記した異常判定処理の途中でも割り込み処理を行い、ドア1の開動作を行う。
【0029】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る自動ドア装置について説明する。
この自動ドア装置は、鉄道のプラットホーム用ドア装置に適用され、図7にその概略図を示す。
プラットホーム用ドア装置60は、プラットホーム上に設置された固定門62と、鉄道車両Tが停止したときの乗降口に位置する可動門64とを有する。
図8はプラットホーム用ドア装置システムのブロック図である。
プラットホーム用ドア装置60は、全ての可動門64の動作を制御するホーム制御盤66と、各可動門64に対応して設置され各可動門64の動作を個別に制御する個別制御盤(DCU)68とが信号線で接続されている。ホーム制御盤66は、鉄道車両の運行システム70と接続されており、車両Tがホームに停止して車両ドアを開く開信号や車両ドアを閉じる閉信号を受信し、各DCU68にドア開閉の制御信号を送信する。DCU68は、図3に示した制御ユニット14に加え、モータユニット12、補助センサ9(いずれも図2参照)を含んでいる。ホーム制御盤66は、各DCU68にドア開閉の制御信号を送信するだけでなく、可動門64の閉扉、開扉の状態や可動門64が閉じたとき人を挟み込んで保護機能が動作したことなどDCU68の状態を問い合わせ、全ての可動門64が閉じていることを運行システム70に出力する。
【0030】
DCU68内の制御ユニット14とモータユニット12は、固定門62内に設置されている。補助センサ9は、可動門64を収容する固定門62の側面の車両に近接する位置に対向して配置されている。
本実施形態では、車両Tがホームに停止していないとき、図4、図5に示す補助センサ9の異常判断処理を行う。DCU68は補助センサ9が異常と判断すると、ホーム制御盤66に補助センサ9の異常を報知する。DCU68の異常判断処理は、ホーム制御盤66が、車両Tがホームに停止していないことを検知して、DCU68に対し異常判断の指令を発することで行われる。
【0031】
本実施形態において、車両Tがホームに停止していないときに補助センサの異常判断処理を行い、仮に異常判断される補助センサが発見されても、対象となる可動門を手動操作等に切り替えることで、車両Tの運行を取り止めるなどの重大トラブルを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る自動ドア装置の第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の自動ドア装置の構成を示す図である。
【図3】図1の自動ドア装置の制御ユニットのブロック図である。
【図4】図1の自動ドア装置の異常判断処理のフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態による異常判断処理のフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態による異常判断処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第4の実施形態のプラットホーム用ドア装置の概略図である。
【図8】図7のシステムを説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ドア
3 無目
5 起動センサ
7 方立
9 補助センサ(センサ手段)
9a 発光部
9b 受光部
12 モータユニット
14 制御ユニット
36 制御部
46 報知回路
48 外部装置
60 プラットホーム用ドア装置
62 固定門
64 可動門
100 自動ドア装置
T 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを開閉動させるモータの駆動を制御する制御部と、受光部及び発光部を有し該発光部から発せられる発光信号が遮断されることで人体等の戸挟みを検知するセンサ手段とを具備した自動ドア装置であって、
前記制御部が閉扉状態の待機時に前記発光信号の有無に応じて受光部の出力を監視し、発光信号がないにも係らず受光部の受光信号が検出されたとき又は発光信号があるにも係らず受光部の受光信号が検出されないとき、前記センサ手段の異常と判断し報知手段に出力することを特徴とする自動ドア装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記発光信号の発光時間内における前記受光部の受光出力に応じて前記発光時間を変更し前記受光部で受信可能となる限界の発光時間と基準値とを比較し前記発光時間が前記基準値より大きい場合は前記センサ手段の異常処理を行うことを特徴とする(1)に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記基準値は、前記発光信号の発光時間内における前記受光部の受光出力に応じて前記発光時間を変更し前記受光部で受信可能となる限界の発光時間に所定時間を加算した値であることを特徴とする(2)に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
前記センサ手段は、閉扉状態の待機期間中、前記発光部より繰り返し発光信号を発することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の自動ドア装置。
【請求項5】
一つのドアに前記センサ手段を複数組配置し、異常と判断されたセンサ手段の出力を無効として、正常と判断されたセンサ手段の出力に基づいてドアの開閉制御を行うことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記自動ドア装置は駅のプラットホーム上に設置するプラットホーム用ドア装置とされ、車両がプラットホームに停止していない待機時に前記センサ手段を診断することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の自動ドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−155826(P2009−155826A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332648(P2007−332648)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】