説明

自動二輪車のブレーキ制御装置

【課題】前後輪連動ブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムにおいて、ABS作動により、スポーツ走行機能が低下しないようにする。
【解決手段】ブレーキ連動判別部36は、後輪側のブレーキ操作(ペダルの操作)による入力液圧が連動ブレーキ開始圧力値以上になったときに前輪ブレーキを開始させる。連動ブレーキ開始圧力値は、スイッチ40によりABS作動時とABS非作動時とで切り替え可能にする。ABS作動時は連動ブレーキ開始圧力値として下部圧力値を選択し、ABS非作動時は連動ブレーキ開始圧力値として上部圧力値を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のブレーキ制御装置に関するものであり、特に、ペダル操作によって前後輪ブレーキが連動して作動する自動二輪車のブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車のブレーキシステムにおいて、ブレーキペダルを操作するだけで後輪ブレーキのみならず前輪ブレーキをも連動して作動させることができる前後連動ブレーキシステムが知られている。例えば、特許文献1には、ブレーキレバーおよびブレーキペダルのいずれの操作によっても前輪と後輪とを制動可能であり、かつ、ブレーキレバーの操作時には後輪側よりも前輪側のブレーキ力配分を大とするが、ブレーキペダルの軽操作時には前輪側よりも後輪側のブレーキ力配分を大とする自動二輪車用ブレーキ装置が開示されている。
【0003】
また、近年は、特許文献2に記載のように、前後連動ブレーキシステムにおいて、前輪ブレーキおよび後輪ブレーキに供給されるブレーキ油圧を減圧して前後輪のロックを防止するアンチ・ロック・ブレーキ・システム(ABS)制御も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−5580号公報
【特許文献2】特開2000−272572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いわゆるスーパースポーツバイクカテゴリーに属する自動二輪車の運転においては、主にブレーキペダルで後輪に作用する制動力を調整して車体の姿勢を制御することがある。したがって、姿勢の制御を行うためのブレーキペダルのストローク範囲では、前輪ブレーキをあまり効かせない方がよい場合がある。そのために、ペダル入力液圧(油圧)が所定の高液圧に達してから前輪ブレーキのキャリパ圧が効き始めるように設定しているので、姿勢の制御を行うためのブレーキペダルのストローク範囲では実質的に後輪ブレーキが単独で作動し、通常の後輪ブレーキと同等のコントロール性としている。
【0006】
ところが、ABS制御を有する前後輪連動ブレーキシステムを採用している場合、後輪がロックしてABS制御が機能するとそれ以上はブレーキペダルを強く操作しても後輪に大きな制動力を与えることができない場合が考えられる。そこで、ブレーキペダル操作のみでさらなる制動力を発生させたい場合、ロックしていない前輪に制動力を与えることになるが、そのためには、車体の姿勢制御が可能なように高液圧に設定されている閾値を超えるような大きな力でブレーキペダルを踏み込まなければならない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、ABS制御が機能している場合に、通常時より強くブレーキペダルを踏み込まなくても前輪に制動力を作用させることができる自動二輪車のブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明は、後輪のブレーキ操作によって前後輪に連動して制動力を与えることができるブレーキ・バイ・ワイヤ方式の前後輪連動ブレーキシステムおよびABSを備えた自動二輪車のブレーキ制御装置において、後輪ブレーキ操作装置の入力液圧が、後輪ブレーキ開始圧力値(第1圧力値)以上になったときに後輪のブレーキキャリパへ接続される液圧を後輪ブレーキ操作装置の操作力に応じて昇圧させ、後輪ブレーキ操作装置の入力液圧が、後輪ブレーキ開始圧力値より高い連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)以上になったときに前輪ブレーキキャリパへ接続される液圧を昇圧開始させると共に、前記連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)として上部圧力値および上部圧力値より低い下部圧力値を予め設定する手段と、ABS作動中は下部圧力値を選択し、ABS非作動中は上部圧力値を選択する閾値切り替え手段とを備えている点に第1の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記後輪ブレーキ操作装置の入力液圧が、前記連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)以上になった後は、前記前輪ブレーキキャリパへ接続された液圧を後輪ブレーキ操作装置の操作力に応じて昇圧させるように構成されている点に第2の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記後輪ブレーキ操作装置が、ブレーキペダルである点に第3の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記ブレーキキャリパ圧の昇圧が、前記後輪ブレーキ操作装置の操作力に応じた予定の関数として算出するか、または予定のマップを使用して制御される点に第4の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、ABS作動時は、ABS作動油圧に応じて前輪ブレーキキャリパ液圧の立ち上がり勾配が変更される点に第5の特徴がある。
【0013】
さらに、本発明は、前記前輪ブレーキキャリパ圧の立ち上がりの変更は、所定の時間だけ行われ、それ以降は、前記後輪ブレーキ操作装置の操作力に応じた予定の関数として算出するか、または予定のマップを使用して制御される点に第6の特徴がある。
【発明の効果】
【0014】
第1〜6の特徴を有する本発明によれば、前後輪連動ブレーキシステムのブレーキ制御装置において、後輪ABSが作動していない状態では、後輪ブレーキ操作力が大きい領域まで前後輪連動ブレーキが開始されない。したがって、前輪ブレーキの作用が後輪ブレーキの作用に比べて極端に小さい車体の姿勢制御重視の制動が可能である。かつ、後輪ABSが作動している状態では、後輪ブレーキ操作力が小さい領域で前後輪連動ブレーキが開始されるので、減速性重視の制動が可能である。このように、前後輪連動ブレーキ装置において、ABS作動時と非作動時いずれの場合においてもブレーキ性能がより一層向上する。
【0015】
また、リヤタイヤのグリップ力向上を図ったり、リヤタイヤのロックが発生しにくくしたりするための前後荷重配分等、車体仕様最適化ための部品の変更や、セッティング工数の削減が可能になる。また、コストアップも抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置の要部機能を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置の液圧系統図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置の要部処理を示すフローチャートである。
【図4】連動ブレーキ用第3圧力値の設定処理を示すフローチャートである。
【図5】ABS非作動時のブレーキペダル液圧と前後輪キャリパ液圧との関係を示す図である。
【図6】ABS作動時のブレーキペダル液圧と前後輪キャリパ液圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車のブレーキ制御装置の液圧系統図である。ブレーキ制御装置1は相互に独立した後輪側のブレーキ回路1aおよび前輪側のブレーキ回路1bと、ブレーキ回路1aおよび1bを制御する制御手段としてのECU50とからなる。
【0018】
図2では、ブレーキ制御装置1の構成要素には、数字と小文字アルファベットで示した記号とからなる符号を付しており、同一数字は前後輪ブレーキ回路の同等部分を示し、記号aは後輪側、記号bは前輪側の要素を示す。ブレーキペダル3aおよびブレーキレバー3bからなるブレーキ操作部3を除き、ブレーキ回路1a、1bは同様に構成されるので、ブレーキ回路1a、1bに関する構成の説明は、後輪側のブレーキ回路1aについての説明で代表する。
【0019】
乗員による後輪側のブレーキ操作は、図示しない足乗せステップに取り付けられるブレーキ操作部(ブレーキペダル)3aを踏むことで実行され、前輪側のブレーキ操作は図示しないハンドルバーに取り付けられるブレーキ操作部(ブレーキレバー)3bを握ることで実行される。
【0020】
ブレーキ回路1aは、作動液(ブレーキフルード)で伝達される圧力によってブレーキキャリパ4aを作動させる液圧(油圧)回路を有している。このブレーキ回路1aは、ブレーキ・バイ・ワイヤブ(BBW)方式に構成される。ブレーキ・バイ・ワイヤ方式は、ブレーキペダル3aを操作することでマスタシリンダ2aに生じる液圧をブレーキキャリパ4aに直接供給するのではなく、マスタシリンダ2aに生じる液圧を圧力センサ(後述のP1aまたはP2a)で検知して、この検知出力値に基づいて液圧モジュレータ9aを駆動することでブレーキキャリパ4aを作動させる。
【0021】
ブレーキ制御装置1は、ブレーキペダル3aを操作することで後輪のブレーキ回路1aだけでなく前輪のブレーキ回路1bも自動的に作動する前後輪連動式装置を採用する。また、乗員の操作にかかわらず、制動力の作用を瞬間的かつ断続的に解除して車輪のロックを防止するABS機能も有する。さらに、このブレーキ制御装置1には、液圧モジュレータ9a等に不具合が生じた場合に、マスタシリンダ2aが生じる液圧を直接ブレーキキャリパ4aに供給するように経路を切り換えて、ブレーキ・バイ・ワイヤ方式でない通常のブレーキ操作を可能とするフェールセーフ機能を設けることができる。
【0022】
ブレーキキャリパ4aは、液圧モジュレータ9aから液圧が供給されると、摩擦体としてのブレーキパッド(不図示)をブレーキディスク5aに押しつけて両者間に摩擦力を発生させ、この摩擦力により、ブレーキディスク5aと一体に回転する車輪に制動力が与えられて車体が減速される。ブレーキキャリパ4aには、車輪の回転速度から自動二輪車の車速を検知する車速センサ16aが設けられる。
【0023】
マスタシリンダ2aとブレーキキャリパ4aとは、常開型(NO型)の第3電磁弁17a
が配設された主配管30aによって接続される。以下の説明では、第3電磁弁17aを境として、マスタシリンダ2a側をブレーキ回路の入力側と呼び、ブレーキキャリパ4a側をブレーキ回路の出力側と呼ぶ。
【0024】
第3電磁弁17aを介してマスタシリンダ2aとブレーキキャリパ4aとは主配管30aで接続される。主配管30aはブレーキ回路の入力側で第1分岐管20aに接続される。第1分岐管20aには、常閉型(NC型)の第1電磁弁18aを介して液損シミュレータ6aが接続される。液損シミュレータ6aは、第3電磁弁17aがオン状態とされて主配管30aが閉じられた際に、ブレーキペダル3aの操作量に応じた擬似的な液圧反力をマスタシリンダ2aに作用させる。第1電磁弁18aは、乗員によるブレーキ操作時に第1分岐管20aを開いて、マスタシリンダ2aと液損シミュレータ6aとを連通させる。
【0025】
液損シミュレータ6aは、シリンダ8aに摺動自在に収容された油圧ピストンの後方側に弾性部材としての樹脂スプリング7aを配設したものであり、マスタシリンダ2aによる液圧が第1分岐管20aを通じて供給されると、樹脂スプリング7aの弾発力によってマスタシリンダ2aに液圧反力を発生させる装置である。これにより、ブレーキペダル3aに操作反力を生じさせて、ブレーキ操作力に応じた操作感を乗員に与えることが可能となる。なお、液損シミュレータ6aに配設する弾性部材は、金属ばね等であってもよく、さらに、弾発力の異なる複数の弾性部材を組み合わせる等により、ブレーキペダル3aのストローク量と操作反力との関係を任意に調整することができる。
【0026】
第1分岐管20aには、第1電磁弁18aを迂回するバイパス通路21aが設けられており、このバイパス通路21aには、液損シミュレータ6a側からマスタシリンダ2aの方向への作動液の流れを許容する逆止弁22aが設けられる。
【0027】
主配管30aのうち、ブレーキ回路の出力側には、第2分岐管40aが接続される。第2分岐管40aには、常閉型(NC型)の第2電磁弁19aを介して液圧モジュレータ9aが接続される。液圧モジュレータ9aは、アクチュエータとしてのモータ14aの駆動力でシリンダ10aの内部の油圧ピストン12aを押圧することによって、ブレーキキャリパ4aに供給する液圧を発生させる。
【0028】
液圧モジュレータ9aのモータ14aが、ECU50からの駆動指令で回転駆動されると、駆動ギヤ15aおよびこれに歯合される被動ギヤ13aが回転駆動される。被動ギヤ13aとピストン12aとの間には、回転運動を直線運動に変換する送りねじ機構が備えられる。モータ14aを所定のデューティ比で決定される電流値で所定方向に回転させることで、第2分岐路40aに任意の液圧を発生させる。
【0029】
シリンダ10a内には、ピストン12aを初期位置に戻す方向の弾発力を与えるリターンスプリング11aが配設されている。ピストン12aは、モータ14aを逆回転させることで初期位置に戻すことができるほか、モータ14aを駆動しなくともリターンスプリング11aの弾発力で初期位置に戻るように構成してもよい。
【0030】
第2分岐管40aには、第2電磁弁19aを迂回するバイパス通路41aが設けられており、このバイパス通路41aには、液圧モジュレータ9a側からブレーキキャリパ4aの方向への作動液の流れを許容する逆止弁42aが設けられる。
【0031】
ブレーキ回路の入力側には、第1圧力センサP1aおよび第2圧力センサP2aが設けられる。一方、ブレーキ回路の出力側には、第3圧力センサP3aが設けられる。入力側の第1圧力センサP1aおよび第2圧力センサP2aは、ブレーキペダル3aの操作量を検知し、また、出力側の第3圧力センサP3aはモータ14aをフィードバック制御するために必要なブレーキキャリパ4aの液圧を検知する。
【0032】
第1圧力センサP1aは、マスタシリンダ2aと第3電磁弁17aとの間の主配管30aに設けられ、第2圧力センサP2aは、液損シミュレータ6aと第1電磁弁18aとの間の第1分岐管20aに設けられる。第3圧力センサP3aは、液圧モジュレータ9aと第2電磁弁19aとの間の第2分岐管40aに設けられる。第2圧力センサP2aには、第1圧力センサP1aおよび第3圧力センサP3aより分解能が高く検知精度の高いものが使用される。
【0033】
第1〜第3圧力センサP1a〜P3aの出力信号は、それぞれ、ECU50に入力される。ECU50は、第1圧力センサP1a、第2圧力センサP2a、第3圧力センサP3aおよび車速センサ16aの出力信号に基づいて、第1電磁弁18a、第2電磁弁19a、第3電磁弁17aを開閉制御すると共に、モータ14aを回転駆動することで自動二輪車の前後ブレーキを適切に駆動制御することができる。
【0034】
本実施形態では、ブレーキ操作力を検知する入力側に2つの圧力センサP1a、P2aを設けることで、いずれか一方に不具合が生じた場合にも、液圧モジュレータ9aによるブレーキ制御を継続することができる。また、入力側に2つの圧力センサP1a、P2aを設けることにより、第3電磁弁17aが閉じられて入力側と出力側とが遮断されている間であっても、両センサの出力値を比較して両センサの故障診断を実行することが可能である。
【0035】
停車時および走行時におけるブレーキ回路の動作例を説明する。ここでは、まず前後輪が個別に制御される部分を後輪ブレーキに関する例によって説明し、前後輪連動ブレーキ動作はその後に説明する。
【0036】
車両が停止している場合には、第3電磁弁17aが開状態、第1電磁弁18aが閉状態、第2電磁弁19aが閉状態である。車両が走行を始めると、車速センサ16aによって検出される前後輪の回転速度がECU50に入力される。そして、前後輪の回転速度のうち高い方の回転速度に基づいて車速が算出され、この車速が走行判定値(例えば、5km/時間)以上になったことが検知されると、第3電磁弁17aに通電して閉状態に切り替えると共に、第1電磁弁18aを開状態に切り替えてスタンバイ状態となる。これにより、マスタシリンダ2aと液損シミュレータ6aとの間が連通することとなる。スタンバイ状態では、第2電磁弁19aは閉状態(非通電状態)にあり、このスタンバイ状態は、乗員によるブレーキ操作が行われるまで保持される。
【0037】
車両停車時または車速が走行判定値未満(以下「停車時」という)には、第1〜第3電磁弁17a、18a、および19aは非通電状態にある。したがって、停車時は、ブレーキペダル3aの操作量に従ってマスタシリンダ2aに生じる液圧が主配管30を経由してブレーキキャリパ4aにかかり制動力を生じさせる。換言すれば、停車時は、ブレーキ・バイ・ワイヤ方式ではなく、直接的に制動力が加えられる。
【0038】
スタンバイ状態において、乗員がブレーキペダル3aを踏んでマスタシリンダ2aに所定値以上の液圧が生じた場合、ECU50は、第1圧力センサP1aまたは第2圧力センサP2aの出力信号に基づいてブレーキ操作が開始されたことを検出し、第2電磁弁19aに通電して液圧モジュレータ9aとブレーキキャリパ4aとを連通させる。これと共に、モータ14aを駆動してブレーキキャリパ4aに所定の液圧を供給する。
【0039】
液圧モジュレータ9aによってブレーキキャリパ4aに液圧を供給している間は、第3電磁弁17aが閉じられており、液圧モジュレータ9aの作動による液圧変動はブレーキペダル3aに伝達されないので、ブレーキペダル3aには、液損シミュレータ6aで擬似的に再現されたブレーキ操作感が発生する。ブレーキ操作時には、液圧モジュレータ9aの液圧変動がブレーキペダル3aに伝達されないので、ABSの作動時に伴う操作反力も生じない。
【0040】
このように、本実施形態に係る車両のブレーキ装置によれば、車両が所定車速に達すると、第3電磁弁17aを閉じると共に第1電磁弁18aを開いたスタンバイ状態となるので、車両走行中は、ブレーキ回路の入力側を出力側から切り離しておくことできる。これにより、ブレーキ操作時の操作ストロークを安定させることが可能となる。
【0041】
スタンバイ状態に切り換わって第1電磁弁18aが開状態にならない限り、マスタシリンダ2aで発生される液圧が第2圧力センサP2aに伝達されないので、車両の停車中にブレーキペダル3aに大きな操作力が与えられて、マスタシリンダ2aに過度の液圧が生じた場合でも、この液圧が第2圧力センサP2aに伝達されない。したがって、スタンバイ状態において、ブレーキ操作力の検知精度を高めるために使用される分解能を高めた第2圧力センサP2aを過度の液圧から保護することができる。
【0042】
次に、前後輪連動ブレーキの動作を説明する。前後輪連動ブレーキ装置は、一般に、前後輪の一方側をブレーキ操作することにより前後のブレーキ回路が連動して動作するコンバインド・ブレーキ・システム(CBS)と呼ばれる。本実施形態の前後輪連動ブレーキは、特に、後輪用のブレーキペダル3aを操作した場合に、後輪だけでなく、自動的に前輪にも制動力が作用するペダルCBSである。つまり、スタンバイ状態でブレーキペダル3aが踏まれると、その踏み込み量に応じて第1または第2圧力センサP1a、P2aで検出される液圧(ペダル入力圧)が上昇し、後輪ブレーキ開始圧力値(第1圧力値)以上になると、後輪に制動力が加わり始め、このペダル入力圧がさらに第1圧力値以上に設定された連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)以上になると、前輪にも制動力を加え始める。前後輪に対する制動力つまりブレーキキャリパ4a、4bに係る液圧は、ペダル入力圧の上昇特性に従って増大させる。
【0043】
そして、本実施形態では、さらに、前記第3圧力値を、ABSの作動時とABSの非作動時とで互いに異ならせた値とする。つまり第3圧力値として上部圧力値と下部圧力値を持ち、ABS作動時は、ABS非作動時より低い下部圧力値を使用するようにした。
【0044】
上記動作に対応するブレーキ制御装置1の機能を説明する。図1は、ECU50の要部機能を示すブロック図である。図1において、ECU50の走行検出部31には、後輪および前輪の車速センサ16aおよび16bによる検出信号が入力され、走行検出部31は、車速センサ16a、16bの検出信号(車速Va、Vb)のうち、大きい方の信号が所定の走行判定値V1(例えば5km/時)を示す値以上か否かによって、車両が走行しているか停止しているかを検出する。走行検出部31は車両が走行していることを検出したならばスタンバイ信号を出力してスタンバイ状態とし、車両が停止または車速V1未満であることを検出したならばスタンバイ信号の出力を停止して非BBW状態とする。
【0045】
スタンバイ設定部32は、走行検出部31からスタンバイ信号が入力されたならば、後輪の第1電磁弁18aおよび前輪の第1電磁弁18b、並びに後輪の第3電磁弁17aおよび前輪の第3電磁弁17bを駆動してスタンバイ状態を設定する。スタンバイ信号が入力されない場合は、スタンバイ状態を解除し、後輪の第1電磁弁18aおよび前輪の第1電磁弁18b、並びに後輪の第3電磁弁17aおよび前輪の第3電磁弁17bを非駆動にして初期状態つまり非BBW状態に戻る。
【0046】
スタンバイ信号は、後輪のブレーキ操作検出部33aおよび前輪のブレーキ操作検出部33bにブレーキ操作の検出開始トリガとして入力される。後輪側のブレーキ操作検出部33aは、スタンバイ信号が入力されたならば、第1圧力センサP1aまたは第2圧力センサP2aによる検出信号(後輪ブレーキ操作値)を取り込む。前輪側のブレーキ操作検出部33bは、スタンバイ信号が入力されたならば、第1圧力センサP1bまたは第2圧力センサP2bによる検出信号(前輪ブレーキ操作値)を取り込む。
【0047】
ブレーキ操作検出部33aはこの検出信号が後輪ブレーキ開始圧力値(第1圧力値)以上か否かによって、後輪ブレーキ操作が開始されたか否かを検出する。一方、ブレーキ操作検出部33bはこの検出信号が前輪ブレーキ開始圧力値(第2圧力値)以上か否かによって、前輪ブレーキ操作が開始されたか否かを検出する。
【0048】
前輪のブレーキ操作が開始されたことを検出すると、ブレーキレバー3bの操作力を示すブレーキ回路1bの第1圧力センサP1bまたは第2圧力センサP2bの検出信号とともにブレーキ指令が前輪制動部34bに入力される。なお、前輪制動部34bの入力側には、後述するように後輪側のブレーキ操作検出部33aからの検出信号が選択的に入力されて、そのいずれかによって作動可能なように、オア機能35が付加される。
【0049】
前輪制動部34bは、ブレーキ回路1bの第2電磁弁19bを駆動して前輪側の液圧モジュレータ9bを前輪のブレーキキャリパ4bに連通させ前輪に制動力を作用させる。つまり、圧力センサP1bまたはP2bによる検出信号で表されるブレーキ操作力に応じた液圧(圧力センサP3bで検出される)が前輪のブレーキキャリパ4bに加えられる。前輪のブレーキキャリパ4bに与えられる液圧は前輪側のモータ14bの駆動デューティで制御される。
【0050】
同様に、後輪のブレーキ操作が開始されたことを検出すると、ブレーキペダル3aの操作力を示すブレーキ回路1aの第1圧力センサP1aまたは第2圧力センサP2aの検出信号とともにブレーキ指令が後輪制動部34aに入力される。後輪制動部34aは、ブレーキ回路1aの第2電磁弁19aを駆動して後輪側の液圧モジュレータ9aを後輪のブレーキャリパ4aに連通させ後輪に制動力を作用させる。つまり、圧力センサP1aまたはP2aによる検出信号で表されるブレーキ操作力に応じた液圧(第3圧力センサP3aで検出される)が後輪のブレーキキャリパ4aに加えられる。後輪のブレーキキャリパ4aに与えられる液圧は後輪側のモータ14aの駆動デューティで制御される。
【0051】
ブレーキペダル3aが操作されたときに、ブレーキ連動判別部36は、後輪側の第1圧力センサP1aおよび第2圧力センサP2aの検出信号(ブレーキ操作力)のうち、大きい方が、前後輪が連動して制動動作を開始する連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)以上か否かを判別する。そして、ブレーキ操作力が第3圧力値以上であれば、連動信号を連動スイッチ37に供給する。連動スイッチ37は、常時開であり、連動信号に応答して「閉」つまりオンとなる。その結果、後輪のブレーキ操作検出部33aから前輪駆動部34bにブレーキ回路1bの第1圧力センサP1または第2圧力センサP2の検出信号とともにオア機能35を介してブレーキ指令が入力される。したがって、ブレーキレバー3bが操作されていなくても、ブレーキペダル3aによるブレーキ操作力が第3圧力値以上の液圧を生じさせるようになれば、前輪にも制動力が加えられる。なお、連動ブレーキ動作時において、ブレーキレバー3bが操作されていた場合には、例えば、ブレーキレバー3bによるブレーキ操作力が第2圧力値以上の液圧を生じさせるときにはブレーキレバー3bの操作を優先し、ブレーキレバー3bによるブレーキ操作力が第2圧力値未満の液圧しか生じさせないときは、ブレーキペダル3aによるブレーキ操作力に従って前輪に制動力を加えるようにするのがよい。
【0052】
本実施形態では、前後連動ブレーキ動作を開始する第3圧力値は、予め複数段階設定しておくことができる。例えば、上部圧力値と下部圧力値とを上部圧力値設定部38および下部圧力値設定部39にそれぞれ設定しておく。そして、閾値選択スイッチ40の切り替えに応じていずれかの圧力値を第3圧力値として選択し、ブレーキ連動判別部36に入力する。ブレーキ連動判別部36は、選択された第3圧力値を基準に第1圧力センサP1aまたは第2圧力センサP1bの検出信号との大小を比較し、連動ブレーキ動作を開始するか否かを判別する。
【0053】
閾値選択スイッチ40は、ABSの作動中と、ABSの非作動時とに応じて切り替えられる。ABS作動検出部41は、ABS42の作動、非作動を検出し、ABS42が非作動時は、上部圧力値設定部38側に閾値選択スイッチ40を切り替えて上部圧力値を選択し、ABS42が作動中は、下部圧力値設定部39側に閾値選択スイッチ40を切り替えて、上部圧力値より低い値に設定されている下部圧力値を選択する。
【0054】
なお、ABS42は周知の構成でよい。例えば、前後輪の車速センサ16a、16bで検出される車速値の差に基づいて後輪のロック状態を検出し、ロック状態を検出したときに、後輪のブレーキキャリパ4aに加わる液圧を減圧および昇圧する。液圧の減・昇圧は、例えば、後輪側の第2電磁弁19aを所定周期で開閉することによって行われる。
【0055】
図3は、ブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。図3において、ステップS1では、車速センサ16a、16bで検出した車速VaまたはVbのうち大きい方(以下、「車速V」という)が走行判定値V1以上か否かが判定される。車速Vが走行判定値V1以上であれば、ステップS2に進んで、スタンバイ状態をセットする。ステップS3では、ブレーキペダル3aがブレーキ操作力(第1圧力値)以上の液圧を生じさせる力で操作されたか否かを判断する。ブレーキペダル3aが第1圧力値以上の液圧を第1分岐管20a上に生じさせた場合、ステップS3は肯定となり、ステップS4に進む。ステップS4では、後輪にブレーキをかける。つまり、モータ14aを駆動して第2分岐管40a上に液圧を生じさせ、ブレーキキャリパ4aを作動させる。ブレーキは、スタンバイ状態が解消されたとき、またはブレーキペダル3aの操作力が第1圧力値未満に低下した時に解除される。
【0056】
ステップS5では、ブレーキレバー3bが前輪ブレーキ開始圧力値(第2圧力値)以上の液圧を第1分岐管20b上に生じさせるブレーキ操作力で操作されたか否かを判断する。ブレーキレバー3bが第2圧力値以上の液圧を第1分岐管20b上に生じさせた場合、ステップS5は肯定となり、ステップS10に進む。ステップS10では、前輪にブレーキをかける。つまり、モータ14bを駆動して第2分岐管40b上に液圧を生じさせ、ブレーキキャリパ4bを作動させる。前輪ブレーキはスタンバイ状態が解消されたとき、またはブレーキレバー3bの操作力が第2圧力値未満に低下した時に解除される。
【0057】
ブレーキレバー3bが前輪ブレーキ開始圧力値(第2圧力値)以上の液圧を第1分岐管20b上に生じさせるブレーキ操作力で操作されていない場合は、ステップS6に進んで、ブレーキペダル3aの操作力によって第1分岐管20a上に第3圧力値以上の液圧がかかっているか否かを判断する。第1分岐管20a上に第3圧力値以上の液圧がかかっている場合は、ステップS6からステップS7に進み、前輪にもブレーキをかける。
【0058】
後輪ブレーキが操作されていないと判断されてステップS3が否定となった場合、つまり、ブレーキペダル3aによって生じる液圧が第1圧力値未満の場合は、ステップS8に進んで、後輪ブレーキを解除する。後輪ブレーキの解除ではモータ14aを逆回転させて第2分岐管40a上の液圧を低減させる。
【0059】
ステップS9では、ブレーキレバー3bが前輪ブレーキ開始圧力値(第2圧力値)以上の液圧を生じさせブレーキ操作力で操作されているか否かで前輪ブレーキの有無を判断する。ブレーキレバー3bが第2圧力値以上の液圧を第1分岐管20b上に生じさせた場合、ステップS9は肯定となり、ステップS10に進んで前輪にブレーキをかける。ステップS9が否定の場合は、ステップS11に進んで前輪ブレーキを解除する。前輪ブレーキの解除ではモータ14bを逆回転させて第2分岐管40b上の液圧を低減させる。
【0060】
ステップS1が否定の場合、つまり停止時は、ステップS12に進んで、非ブレーキ・バイ・ワイヤ状態に切り替える。
【0061】
図4は、前記第3圧力値の設定フローチャートである。ステップS20では、ABS作動中か否かを判断する。ステップS20が肯定ならば、ステップS21に進んで第3圧力値として下部圧力値をブレーキ連動判別部36に設定する。ステップS21が否定、つまりABS作動中でない場合は、ステップS22に進んで上部圧力値をブレーキ連動判別部36に設定する。
【0062】
図5は、ABSが非作動中の前後輪のキャリパ液圧を示す図、図6は、ABS作動中を含む前後輪のキャリパ液圧を示す図である。これらの図は、前輪のブレーキ操作はなく、後輪のブレーキ操作のみで前後輪連動してブレーキを作動させた図である。いずれの図においても、横軸は時間軸であり、縦軸は液圧を示す。
【0063】
図5、図6において、上段は、ブレーキペダル3aによる入力液圧(第1圧力センサP1aおよび第2圧力センサP2aのうち大きい方の検出液圧)の時間経過に応じた変化を示す。中段は、後輪のブレーキキャリパ4aにかかる液圧(第3圧力センサP3aの検出液圧)を示す。また、下段は、前輪のブレーキキャリパ4bにかかる液圧(第3圧力センサP3bの検出液圧)を示す。なお、比較のため、図6の下段には、ABS非作動時の前輪ブレーキ液圧の変化を併せて示す。
【0064】
ABS非作動中は、図5に示すように、ブレーキペダル3aの操作力(ペダル入力液圧)の増大に追随して、後輪のブレーキキャリパ4aにかかる液圧は増大している。そして、ブレーキペダル3aによる操作力が第3圧力値(上部圧力値)にまで至ると、前輪のブレーキキャリパ4bにかかる液圧が生じ始める。
【0065】
このように、ABS非作動中は、前輪ブレーキの作用が後輪ブレーキの作用に比べて極端に小さくし、ブレーキペダル3aを単独で作用させてスポーツ走行(つまり後輪制動による車体の姿勢制御を行う)領域を大きくしている。
【0066】
一方、ABS作動中を含む動作時は、図6に示すように、ブレーキペダル3aの操作力の増大しているが、後輪のロックが生じてABSが作動開始すると、後輪のブレーキキャリパ4aにかかる液圧は減圧されている。そして、ABS作動中は、第3圧力値が、下部設定値に切り替わるので、ブレーキペダル3aによる操作力が下部設定値に至ると、前輪のブレーキキャリパ4bにかかる液圧が生じ始める。このとき、液圧の立ち上がり当初(時間T0の間)は急勾配で液圧を上昇させ、時間T0の経過後は、昇圧の程度を小さくする。このように、ABS作動時は、スポーツ走行に適した制御から前輪ブレーキの作用が大きくして減速性能を重視した制御に切り替える。
【0067】
なお、前輪のブレーキキャリパ4bにかかる液圧の上昇の程度は、ペダル入力液圧つまり後輪ブレーキ操作装置3aの操作力の関数として予め設定した関数式で計算するか、予め操作力の関数で設定したマップに従って決定される。
【0068】
また、液圧の立ち上がり当初(時間T0の間)の勾配の程度は、ABS作動時の後輪ブレーキキャリパ4aにかかる液圧(「ABS作動液圧」と呼ぶ)の大きさによって、変更することができる。すなわち、ABS作動液圧が所定値より大きい場合は、該液圧が所定値より小さい場合と比較して、時間T0における昇圧の勾配を大きくして急速に昇圧するようにする。そして、時間T0が経過後は、上述のように、後輪ブレーキ操作装置3aの操作力の関数(またはマップ)に従って昇圧させる。このように、ABS作動液圧に応じて前輪ブレーキキャリパ4bに係る液圧の上昇勾配を変更することで、スムーズな制動のための最適なブレーキ液圧を設定することができる。図6の下段には、前輪ブレーキキャリパ4bの液圧の立ち上がりの勾配が大きいものと小さいものとを例示している。
【0069】
以上、本発明を一実施形態に従って説明したが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されない。当業者は、特許請求の範囲から逸脱することなく、本実施形態を変形することができる。例えば、ABS作動時の液圧の減・昇圧は周知のABSに従って行うことができる。また、後輪側のブレーキ操作装置は、ペダルに限らず前輪ブレーキ操作装置と同様、ステアリングハンドルの左グリップに設けられるブレーキレバーであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1a、1b…ブレーキ回路、 3a…ブレーキペダル、 3b…ブレーキレバー、 4a、4b…ブレーキキャリパ、 16a、16b…車速センサ、 17a、17b…第3電磁弁、 18a、18b…第1電磁弁、 19a、19b…第2電磁弁、 36…連動ブレーキ判別部、 37…連動スイッチ、 38…上部圧力値設定部、 39…下部圧力値設定部、 40…閾値選択スイッチ、 P1a、P1b…第1圧力センサ、 P2a、P2b…第2圧力センサ、 P3a、P3b…第3圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後輪のブレーキ操作によって前後輪に連動して制動力を与えることができるブレーキ・バイ・ワイヤ方式の前後輪連動ブレーキシステムおよびアンチ・ロック・ブレーキ・システム(ABS)を備えた自動二輪車のブレーキ制御装置において、
後輪ブレーキ操作装置(3a)の入力液圧が、後輪ブレーキ開始圧力値(第1圧力値)以上になったときに後輪のブレーキキャリパ(4a)へ接続される液圧を後輪ブレーキ操作装置(3a)の操作力に応じて昇圧させ、
後輪ブレーキ操作装置(3a)の入力液圧が、前記後輪ブレーキ開始圧力値より高い連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)以上になったときに前輪ブレーキキャリパ(4b)へ接続される液圧を昇圧開始させると共に、
前記連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)として上部圧力値および上部圧力値より低い下部圧力値を予め設定する手段(38、39)と、
ABS作動中は下部圧力値を選択し、ABS非作動中は上部圧力値を選択する閾値切り替え手段(40)とを備えたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記後輪ブレーキ操作装置の入力液圧が、前記連動ブレーキ開始圧力値(第3圧力値)以上になった後は、前記前輪ブレーキキャリパ(4b)へ接続された液圧を後輪ブレーキ操作装置(3a)の操作力に応じて昇圧させるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記後輪ブレーキ操作装置(3a)が、ブレーキペダルであることを特徴とする請求項1または2記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記ブレーキキャリパ圧の昇圧が、前記後輪ブレーキ操作装置(3a)の操作力に応じた予定の関数として算出するか、または予定のマップを使用して制御されることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
【請求項5】
ABS作動時は、ABS作動油圧に応じて前輪ブレーキキャリパ液圧の立ち上がり勾配が変更されることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記前輪ブレーキキャリパ圧の立ち上がりの変更は、所定の時間(T0)だけ行われ、それ以降は、前記後輪ブレーキ操作装置(3a)の操作力に応じた予定の関数として算出するか、または予定のマップを使用して制御されることを特徴とする請求項5記載の自動二輪車のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−42187(P2011−42187A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190039(P2009−190039)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】