説明

自動二輪車

【課題】サーモスタットおよび水温センサが一体化されてなるサーモスタット装置を備える自動二輪車において、水温センサの検出精度の低下を抑えつつ、エンジンおよびサーモスタット装置の全体のコンパクトな配置を可能にする。
【解決手段】サーモスタット装置80は、エンジン11のシリンダヘッド24の側方に取り付けられている。サーモスタット装置80は、ハウジング82内に配置されたサーモスタットと、ハウジング82内においてサーモスタットよりも上方に配置された水温センサ84と、空気抜き孔87とを有している。水温センサ84の少なくとも一部および空気抜き孔87は、エンジン11の冷却水の流出口42よりも上方に位置している。サーモスタットの少なくとも一部は、エンジン11の冷却水の流出口42よりも下方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷式のエンジンを備えた自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水冷式のエンジンを備えた自動二輪車において、エンジンを冷却する冷却水の循環経路中にサーモスタットを設けることが行われている。サーモスタットは、冷却水の温度変化に応じて冷却水の流量を調節する。その結果、冷却水の温度が自動的に調節される。
【0003】
また、自動二輪車において、冷却水の温度を検出する温度センサ(以下、水温センサという)を備え、水温センサにより検出された冷却水の温度に基づいて、エンジンの制御を行うものが知られている。
【0004】
サーモスタットによる冷却水温度の自動調節機能を利用しつつ、水温センサを用いたエンジン制御を行うために、自動二輪車にサーモスタットおよび水温センサの両方を設けることが考案されている。ところが、サーモスタットと水温センサとを別々に配置することとすると、部品点数が増え、また、それらの取り付け作業に手間がかかり、コストアップの要因となる。
【0005】
一方、サーモスタットと水温センサとが一体化されてなるサーモスタット装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなサーモスタット装置を適用することにより、部品点数の削減およびコストダウン等を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−222264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サーモスタットと水温センサとが別体の場合には、サーモスタットおよび水温センサのそれぞれを、それぞれに適した位置および取付姿勢にて比較的自由に配置することができる。ところで、水温センサの検出値はエンジン制御に用いられるものである。そのため、できるだけエンジン内の実際の水温に近い温度を検出できるよう、水温センサはエンジンの冷却水出口の近傍に配置することが好ましい。ところが、サーモスタットと水温センサとを一体化した場合、それらをエンジンの冷却水出口の近傍に配置しようとすると、以下のような課題が生じる。
【0008】
一体化されたサーモスタットおよび水温センサ(以下、サーモスタット装置という)は、サーモスタットの単体よりも、水温センサが付加されている分だけ体積が大きくなる。車両部品の設置スペースの制約が大きい自動二輪車では、エンジンおよび車両部品の全体のコンパクト化が強く求められている。サーモスタット装置を、水温センサと別体の従来のサーモスタットと同様な態様で配置したのでは、エンジンのコンパクト化が損なわれるおそれがある。
【0009】
一方、本願発明者は鋭意研究の結果、サーモスタット装置における水温センサおよびサーモスタットの配置、エンジンに対するサーモスタット装置の位置、またはサーモスタット装置の取付姿勢等によっては、水温センサの検出精度を十分に確保できないことを見出した。単にコンパクト化だけを念頭においてサーモスタット装置の構成、位置、および取付姿勢を設定したのでは、冷却水の温度を正確に検出できないことが分かった。
【0010】
水温センサの検出値に誤差が生じると、エンジンの制御が不安定になるおそれがある。特に、インジェクタの燃料噴射量は、水温センサの変化による影響を受けやすい。水温センサの検出値に基づいてインジェクタを制御する自動二輪車では、検出値に誤差が生じると、燃料噴射量を的確に制御できなくなるおそれがある。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、サーモスタットおよび水温センサが一体化されてなるサーモスタット装置を備える自動二輪車において、水温センサの検出精度の低下を抑えつつ、エンジンおよびサーモスタット装置の全体のコンパクトな配置を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る自動二輪車は、車体フレームと、前記車体フレームに支持され、冷却水を流入させる流入口と冷却水を流出させる流出口とが形成されたエンジンと、前記エンジンに燃料を供給するインジェクタと、冷却水を流入させる流入口と冷却水を流出させる流出口とが形成されたラジエタと、前記エンジンの前記流出口と前記ラジエタの前記流入口とをつなぐ第1冷却水通路と、前記エンジンの前記流入口と前記ラジエタの前記流出口とをつなぐ第2冷却水通路と、内部に冷却水が流通する流通路が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に配置されたサーモスタットと、前記ハウジング内において前記サーモスタットよりも上方に配置された水温センサとを有し、前記第1冷却水通路内に配置されたサーモスタット装置と、前記水温センサが検出する温度に基づいて前記インジェクタを制御する制御装置と、を備える。前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、前記流通路の内部と外部とを連通させる空気抜き孔が形成されている。前記サーモスタット装置は、前記水温センサの少なくとも一部および前記空気抜き孔が前記エンジンの前記流出口よりも上方に位置し、前記サーモスタットの少なくとも一部が前記エンジンの前記流出口よりも下方に位置するように配置されている。
【0013】
前記自動二輪車によれば、サーモスタットおよび水温センサが一体化されてなるサーモスタット装置を備えているが、水温センサはハウジング内においてサーモスタットよりも上方に配置されており、水温センサがサーモスタットの側方に出っ張ることが抑制される。そのため、サーモスタット装置はコンパクトに配置しやすくなる。一方、水温センサがハウジング内の上方に配置されていることから、そのままではハウジング内に空気が溜まった場合、その空気が原因となって水温センサの検出精度が低下するおそれがある。しかし、前記自動二輪車では、サーモスタット装置のハウジングに空気抜き孔が形成されているので、ハウジング内には空気が溜まりにくい。さらに、水温センサの少なくとも一部および空気抜き孔がエンジンの流出口よりも上方に位置し、サーモスタットの少なくとも一部がエンジンの流出口よりも下方に位置する。そのため、サーモスタット装置の取付位置または取付姿勢等を、エンジンおよびサーモスタット装置のコンパクト化に適した取付位置または取付姿勢等に設定した場合であっても、水温センサの検出精度の低下は抑制される。したがって、水温センサの検出精度の低下を抑えつつ、エンジンおよびサーモスタット装置の全体のコンパクトな配置が可能となる。
【0014】
本発明に係る自動二輪車の好ましい一態様によれば、前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、冷却水を導入する導入口と、冷却水を導出する導出口とが形成されている。前記サーモスタット装置は、前記ハウジングの前記導入口と前記エンジンの前記流出口とがつながるように前記エンジンに取り付けられている。
【0015】
このことにより、水温センサによって、エンジン内の冷却水の実際の温度に極めて近い温度を検出することができる。そのため、水温センサの検出精度を向上させることができる。
【0016】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記ハウジングは、上部に前記水温センサが配置され且つ下部に前記サーモスタットが配置された筒状部を有する。前記空気抜き孔は、前記水温センサに対し前記筒状部の径方向の外方に形成されている。前記サーモスタット装置は、前記空気抜き孔が形成された部分が上方に位置するように前記筒状部が鉛直線に対して傾斜するように配置されている。
【0017】
このことにより、サーモスタット装置は鉛直線から傾斜するように配置されるので、サーモスタット装置を鉛直線に沿って配置する場合に比べて、サーモスタット装置の高さを短く抑えることができる。また、空気抜き孔が形成された部分が上方に位置するので、空気抜き孔から空気が円滑に排出される。そのため、水温センサの検出精度の向上を図ることができる。
【0018】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記エンジンは、平面視において前方に延びるシリンダ軸線を有するシリンダを備えている。前記筒状部は、平面視において前記シリンダ軸線と平行に配置されている。
【0019】
このことにより、サーモスタット装置の左方および右方への出っ張りが抑えられる。サーモスタット装置をシリンダヘッドの側方に配置しているにも拘わらず、エンジンおよびサーモスタット装置の全体の左右方向の長さを短く抑えることができる。
【0020】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記ラジエタは、前記流入口および前記流出口が形成されたラジエタ本体と、前記ラジエタ本体から上方に突出した筒状に形成され、冷却水が注入される注水部と、を有する。前記注水部は、前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔よりも上方に配置されている。前記自動二輪車は、前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔と前記ラジエタの前記注水部とをつなぐ空気抜き通路を備えている。
【0021】
このことにより、サーモスタット装置内の空気は、空気抜き通路を通じてラジエタの注水部に自然に排出される。サーモスタット装置内の空気を排出するための特別な作業は不要であり、サーモスタット装置内の空気を容易に排出することができる。また、空気抜き孔から空気と共に冷却水の一部が流出したとしても、その冷却水は注水部からラジエタに供給される。エンジンおよびラジエタを循環する冷却水の量が減少してしまうことを防止できる。
【0022】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記エンジンは、クランク軸を収容するクランクケースと、前記クランクケースに接続され、内部にシリンダが形成され且つ平面視において前方に延びるシリンダボディと、前記シリンダボディの先端部に接続され、前記流出口が形成されたシリンダヘッドと、を有する。前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、冷却水を導入する導入口と、冷却水を導出する導出口とが形成されている。前記サーモスタット装置は、前記ハウジングの前記導入口と前記エンジンの前記流出口とがつながるように、前記シリンダヘッドの側方に取り付けられている。前記ラジエタは、前記クランク軸の延長線上に位置するように前記クランクケースの側方に配置されている。前記サーモスタット装置および前記ラジエタの両方が、平面視において、シリンダ軸線の左方および右方のいずれか一方に配置されている。
【0023】
このことにより、第1冷却水通路の長さを短く抑えることができる。エンジンおよびサーモスタット装置の全体をコンパクトに配置することができる。
【0024】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記シリンダヘッドに取り付けられたウォータポンプを備えている。前記第2冷却水通路は、前記ラジエタと前記ウォータポンプとをつなぐ通路を有している。平面視において、前記サーモスタット装置は、前記シリンダヘッドと前記シリンダボディと前記クランクケースと前記第2冷却水通路の前記通路とに囲まれた領域内に配置されている。
【0025】
このことにより、サーモスタット装置をよりコンパクトに配置することができる。
【0026】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、平面視において、前記サーモスタット装置、前記ウォータポンプは、前記シリンダヘッドの左方および右方の一方、他方にそれぞれ配置されている。前記第2冷却水通路の前記通路の少なくとも一部は、前記シリンダヘッドの下方に配置されている。
【0027】
このことにより、エンジンのコンパクト化を図ることができる。
【0028】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔と前記ラジエタとをつなぐ空気抜き通路と、前記シリンダヘッドに取り付けられたウォータポンプと、を備えている。前記第2冷却水通路は、前記ラジエタと前記ウォータポンプとをつなぐ通路を有している。前記空気抜き通路は、平面視において前記シリンダヘッドと前記シリンダボディと前記クランクケースと前記第2冷却水通路の前記通路とに囲まれた領域と、前記クランクケースの上方の領域とにわたって配置されている。
【0029】
このことにより、空気抜き通路をコンパクトに配置することができる。
【0030】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、平面視において、前記サーモスタット装置、前記ウォータポンプは、前記シリンダヘッドの左方および右方の一方、他方にそれぞれ配置されている。前記第2冷却水通路の前記通路の少なくとも一部は、前記シリンダヘッドの下方に配置されている。
【0031】
このことにより、エンジンのコンパクト化を図ることができる。
【0032】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔と前記ラジエタとをつなぐ空気抜き通路を備えている。前記空気抜き通路の一部と前記第1冷却水通路の一部とは、上下に重なっている。
【0033】
このことにより、空気抜き通路および第1冷却水通路の全体の左右の幅を小さく抑えることができる。空気抜き通路および第1冷却水通路をコンパクトに配置することができる。
【0034】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記エンジンは、クランク軸を収容するクランクケースと、前記クランクケースに接続され、内部にシリンダが形成され且つ平面視において前方に延びるシリンダボディと、前記シリンダボディの先端部に接続され、前記流出口が形成されたシリンダヘッドと、を有している。前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、冷却水を導入する導入口と、冷却水を導出する導出口とが形成されている。前記サーモスタット装置は、前記ハウジングの前記導入口と前記エンジンの前記流出口とがつながるように、前記シリンダヘッドの側方に取り付けられている。前記シリンダヘッドの側部には、点火装置が挿入されている。前記サーモスタット装置は、側面視において前記点火装置と重ならない位置に配置されている。
【0035】
このことにより、メンテナンスのために点火装置をシリンダヘッドから取り外すときに、サーモスタット装置が邪魔になりにくい。サーモスタット装置を設けることによって点火装置のメンテナンス作業が困難になることを回避することができる。
【0036】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記エンジンは、ピボット軸を介して前記車体フレームに揺動自在に支持されている。
【0037】
エンジンの揺動に伴い、第1冷却水通路およびサーモスタット装置等も揺動する。そのため、車体フレームに揺動自在に支持されたエンジンを備える自動二輪車では、エンジンおよびサーモスタット装置に対するコンパクト化の要請が特に強い。したがって、エンジンおよびサーモスタット装置のコンパクト化という上述の効果が顕著に発揮されることになる。
【0038】
本発明に係る自動二輪車の他の好ましい一態様によれば、前記エンジンは、側面視において前方斜め上向きに延びるシリンダ軸線を有するシリンダを備えている。前記ピボット軸は、側面視において前記シリンダ軸線よりも下方に配置されている。前記サーモスタット装置は、側面視において前記シリンダ軸線よりも上方に配置されている。
【0039】
このことにより、エンジンのシリンダ軸線よりも上方の部分は、より大きく揺動する。このようにサーモスタット装置がシリンダ軸線よりも上方に配置されている場合、エンジンおよびサーモスタット装置のコンパクト化という上述の効果が更に顕著に発揮されることになる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、サーモスタットおよび水温センサが一体化されてなるサーモスタット装置を備える自動二輪車において、水温センサの検出精度の低下を抑えつつ、エンジンおよびサーモスタット装置の全体のコンパクトな配置が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】エンジンの主要部分の側面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】エンジンの主要部分の斜視図である。
【図5】サーモスタットが閉じているときのサーモスタット装置を右方から見た断面図である。
【図6】サーモスタットが閉じているときのサーモスタット装置を前方から見た断面図である。
【図7】サーモスタットが開いているときのサーモスタット装置を右方から見た断面図である。
【図8】冷却水の循環経路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の一形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、スクータ型の自動二輪車である。ただし、本発明に係る自動二輪車はスクータ型の自動二輪車に限定されず、モペット型、モータサイクル型、オフロード型等の他の形式の自動二輪車であってもよい。
【0043】
以下の説明では、前、後、左、右は、特に断らない限り、自動二輪車1の乗員から見た前、後、左、右をそれぞれ意味するものとする。
【0044】
自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2に支持されたパワーユニット10と、乗員が着座するシート6と、シート6よりも前方に位置する低床な足載せ台7とを備えている。シート6の下方には、収納ボックス18が配置されている。シート6の下方且つ収納ボックス18の後方には、燃料タンク19が配置されている。シート6はいわゆる跳ね上げ式のシートであり、その一端部を支点として回転可能に構成されている。シート6を跳ね上げることにより、収納ボックス18への収納物の出し入れおよび燃料タンク19への給油が可能となる。
【0045】
車体フレーム2の前端には、ヘッドパイプ3が設けられている。ヘッドパイプ3には、フロントフォーク4が取り付けられている。フロントフォーク4の下端部には、前輪5が支持されている。車体フレーム2は、側面視において、ヘッドパイプ3から後方斜め下向きに延びる第1フレーム部2aと、第1フレーム部2aの後端から後方に延びる第2フレーム部2bと、第2フレーム部2bの後端から後方斜め上向きに延びる第3フレーム部2cと、第3フレーム部2cの後端から後方斜め上向きに延びる第4フレーム部2dとを有している。第4フレーム部2dは第3フレーム部2cよりも傾斜角度が緩やかになっている。第1フレーム部2a、第2フレーム部2b、第3フレーム部2c、および第4フレーム部2dは、左右に一対設けられている。左右の第3フレーム部2cには、クロスメンバ2eおよびクロスメンバ2fが架け渡されている(図4参照)。クロスメンバ2eは、左右の第3フレーム部2cの中央部同士を連結している。クロスメンバ2fはクロスメンバ2eよりも上方に配置されている。クロスメンバ2fは、左右の第3フレーム部2cの上端部同士を連結している。図示は省略するが、左右の第1フレーム部2a、左右の第2フレーム部2b、左右の第4フレーム部2dにも、クロスメンバが架け渡されている。
【0046】
パワーユニット10は、いわゆるユニットスイング式のパワーユニットであり、ピボット軸13を介して車体フレーム2に上下揺動自在に支持されている。ピボット軸13はパワーユニット10の下方に配置されている。ピボット軸13がパワーユニット10の上方に配置された構成に比べて、パワーユニット10の上方に空きスペースを確保することができる。本実施形態では、その空きスペースに収納ボックス18の一部が配置されている。このように、上記空きスペースを利用して、収納ボックス18の容積を大きくすることができる。なお、パワーユニット10がピボット軸13回りに揺動する際に、パワーユニット10の上部の方が下部よりも揺動量が大きくなるようになっている。
【0047】
パワーユニット10は、後述する水冷式のエンジン11(図3参照)とVベルト式無段変速機(図示せず)とを有している。パワーユニット10の後端部は、自動二輪車1の左方において後輪8の駆動軸8aに取り付けられている。エンジン11の駆動力はVベルト式無段変速機を介して後輪8に伝達される。
【0048】
図1に示すように、自動二輪車1の右方において、後輪8の駆動軸8aにはリアアーム9の後端部が支持されている。リアアーム9の前端部は、パワーユニット10に取り付けられている。リアアーム9と車体フレーム2の第3フレーム部2cとには、クッションユニット20が架け渡されている。クッションユニット20の前端部は、第3フレーム部2cの上端部に回転自在に結合されている。ただし、車体フレーム2におけるクッションユニット20の結合箇所は、特に限定される訳ではない。
【0049】
図2はパワーユニット10の前半部の右側面図であり、図3は図2のIII−III線断面図である。エンジン11は、パワーユニット10の前半部を構成している。図3に示すように、エンジン11は、クランク軸21を収容するクランクケース22と、クランクケース22に接続されたシリンダボディ23と、シリンダボディ23に接続されたシリンダヘッド24とを備えている。シリンダボディ23は、平面視において、クランクケース22から前方に延びている。図2に示すように、シリンダボディ23は、側面視において、前方斜め上向きに若干傾いている。シリンダヘッド24は、シリンダボディ23の前端部に接続されている。
【0050】
図3に示すように、シリンダボディ23の内部にはシリンダ23aが形成されている。シリンダ23aはシリンダボディ23と一体化されていてもよく、別体であってもよい。シリンダ23a内には、ピストン25が摺動自在に収容されている。ピストン25は、コンロッド26を介してクランク軸21に連結されている。
【0051】
シリンダヘッド24の下面には凹部24aが形成されている。この凹部24aとシリンダ23aとピストン25とにより、燃焼室27が区画されている。シリンダヘッド24には、燃焼室27に臨むように点火プラグ28が挿入されている。
【0052】
シリンダヘッド24にはウォータジャケット31が形成され、シリンダボディ23にはウォータジャケット32が形成されている。図示は省略するが、シリンダボディ23とシリンダヘッド24との間に、孔が形成されたガスケットが介在している。ウォータジャケット31とウォータジャケット32とは、ガスケットの孔を通じてつながっている。ウォータジャケット31は凹部24aの周囲に形成され、ウォータジャケット32はシリンダ23aの周囲に形成されている。すなわち、ウォータジャケット31および32は、燃焼室27の周囲に形成されている。ウォータジャケット31および32により、エンジン11の冷却水通路40(図8参照)が形成されている。
【0053】
シリンダヘッド24には、カム軸29が配置されている。カム軸29はクランク軸21と平行に配置されている。カム軸29はチェーン30を介してクランク軸21に連結されている。カム軸29はクランク軸21によって駆動され、クランク軸21と共に回転する。
【0054】
図示は省略するが、シリンダヘッド24には、燃焼室27に臨む吸気ポートおよび排気ポートと、吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁とが設けられている。吸気弁および排気弁は、カム軸29によって駆動される。
【0055】
シリンダヘッド24の左側部には、ウォータポンプ35が取り付けられている。ウォータポンプ35は、回転軸35aと、回転軸35aに固定されたインペラ(羽根車)35bとを有している。回転軸35aはカム軸29に固定されている。カム軸29が回転すると回転軸35aが回転し、インペラ35bも回転する。ウォータポンプ35は、カム軸29によって駆動される。なお、カム軸29はクランク軸21によって駆動されるため、ウォータポンプ35はクランク軸21によって駆動される。
【0056】
シリンダヘッド24の左側部には、冷却水を流入させる流入口41が形成されている。ウォータポンプ35は、流入口41に向かって冷却水を吐出するように構成されている。なお、本実施形態では、ウォータポンプ35はシリンダヘッド24の外部に配置されているが、ウォータポンプ35は水の循環経路内に配置されていればよく、その位置は特に限定されない。
【0057】
シリンダヘッド24の右側部には、冷却水を流出させる流出口42が形成されている。流出口42は右向きに開口している。流出口42には、サーモスタット83(図5参照)と水温センサ84とが一体化されてなるサーモスタット装置80が接続されている。サーモスタット装置80は、冷却水を導入する導入口85と、冷却水を導出する導出口86とを有している。サーモスタット装置80は、導入口85がシリンダヘッド24の流出口42と向かい合わせになるように配置されている。なお、サーモスタット装置80の詳細な構成については後述する。
【0058】
図2に示すように、側面視において、サーモスタット装置80は、少なくとも一部が第3フレーム部2cと重なるように配置されている。サーモスタット装置80は、左右の第3フレーム部2cの間に配置されている。詳しくは、サーモスタット装置80は、右方の第3フレーム部2cと、シリンダボディ23およびシリンダヘッド24との間に配置されている。
【0059】
図3に示すように、平面視において、サーモスタット装置80は、その一部がクロスメンバ2fと重なるように配置されている。また、平面視において、サーモスタット装置80は、その一部がクロスメンバ2eとクロスメンバ2fとの間に位置するように配置されている。
【0060】
図2に示すように、シリンダヘッド24の上部には、吸気管14が接続されている。シリンダヘッド24の下部には、排気管15が接続されている。シリンダヘッド24の上部には、燃料を噴射するインジェクタ16が設けられている。インジェクタ16は、図示しない吸気ポート内に燃料を噴射するように構成されている。なお、インジェクタ16の位置は特に限定されない。インジェクタ16は吸気管14に接続されていてもよい。インジェクタ16は、燃焼室27内に燃料を噴射するように構成されていてもよい。
【0061】
図1に示すように、エンジン11の上方には、収納ボックス18およびクッションユニット20が配置されている。また、図4に示すように、エンジン11のシリンダボディ23およびシリンダヘッド24は、左右の第3フレーム部2cの間に配置されている。そのため、エンジン11の上方は、空きスペースが少なくなっている。言い換えると、エンジン11の上方は、スペースの余裕が少なくなっている。
【0062】
自動二輪車1には、エンジン11の制御を行う制御装置として、ECU(Electric Control Unit)17(図1参照)が設けられている。なお、ECU17の位置は何ら限定されない。ECU17は、図示しない信号線を介してサーモスタット装置80の水温センサ84に接続されている。ECU17は、水温センサ84から検出信号を受けるように構成されている。ECU17は、水温センサ84により検出された冷却水の温度に基づいて各種の制御を実行する。ECU17は、水温センサ84によって検出された冷却水の温度に基づいて、インジェクタ16を制御する。例えば、ECU17は、水温センサ84の検出温度が低いほどインジェクタ16の燃料噴射量を多くし、水温センサ84の検出温度が高いほどインジェクタ16の燃料噴射量を少なくするような制御を行う。
【0063】
図3に示すように、クランクケース22の右方には、ラジエタ50が配置されている。ラジエタ50は、左右の幅が前後長さおよび上下長さよりも短い略直方体形状に形成されている。図2に示すように、ラジエタ50は、冷却水の放熱を行うコア51と、コア51の上部に接続された上タンク52と、コア51の下部に接続された下タンク53とを有している。ラジエタ50は、いわゆるダウンフロータイプのラジエタであり、冷却水はコア51内を上から下に向かって流れる。上タンク52には、冷却水を流入させる流入口54(図3参照)が形成されている。下タンク53には、冷却水を流出させる流出口55が形成されている。図3に示すように、本実施形態では、流入口54はほぼ左向きに開口し、流出口55はほぼ前向きに開口している。ただし、流入口54および流出口55の向きは何ら限定される訳ではない。
【0064】
図2に示すように、上タンク52には、上方に延びる円筒状の注水部56が形成されている。注水部56の上にはラジエタキャップ57が嵌め込まれている。ラジエタキャップ57には、ホース58の一端が接続されている。図示は省略するが、ホース58の他端はリザーバタンクに接続されている。
【0065】
図3に示すように、クランク軸21の右端部には、ファン60が取り付けられている。ファン60はクランク軸21によって駆動され、クランク軸21と共に回転する。ファン60はラジエタ50の左方に配置されている。ファン60が回転すると、ファン60に向かって右方から左方に空気が流れる。この空気はラジエタ50のコア51の外側を左向きに流れる。コア51の内側を流れる冷却水は、この空気によって冷却される。
【0066】
サーモスタット装置80の導出口86とラジエタ50の流入口54とは、ホース71によって接続されている。言い換えると、ホース71の一端はサーモスタット装置80の導出口86に接続され、他端はラジエタ50の流入口54に接続されている。図3に示すように、平面視において、ホース71は概ね後方斜め右向きに延びている。図2に示すように、側面視において、ホース71は、サーモスタット装置80から後方斜め上向きに延び、いったん上向きに延びた後、後方に延びている。ホース71は、サーモスタット装置80からラジエタ50に冷却水を搬送する通路を形成している。本実施形態では、サーモスタット装置80とホース71とにより、エンジン11の流出口42とラジエタ50の流入口54とをつなぐ第1冷却水通路が形成されている。
【0067】
図3に示すように、ラジエタ50の流出口55とウォータポンプ35の吸入口36とは、ホース72によって接続されている。言い換えると、ホース72の一端はラジエタ50の流出口55に接続され、他端はウォータポンプ35の吸入口36に接続されている。図3に示すように平面視において、ホース72は、ラジエタ50から前方斜め左向きに延び、シリンダヘッド24の下方を通った後、後方に向かって湾曲している。図2に示すように側面視において、ホース72は、ラジエタ50から前方に延び、いったん前方斜め上向きに延びた後、後方斜め上向きに延びている。ホース72は、ラジエタ50からウォータポンプ35に冷却水を搬送する通路を形成している。本実施形態では、ホース72とウォータポンプ35とにより、ラジエタ50の流出口55とエンジン11の流入口41とをつなぐ第2冷却水通路が形成されている。
【0068】
なお、図1に示すように、エンジン11の前方および側方は、車体カバー48によって覆われている。収納ボックス18および燃料タンク19の側方も、車体カバー48によって覆われている。
【0069】
次に、サーモスタット装置80の構成について説明する。図5は、サーモスタット装置80を右方から見た断面図である。図6は、サーモスタット装置80を前方から見た断面図である。図5に示すように、サーモスタット装置80は、内部に冷却水が流通する流通路81が形成されたハウジング82と、ハウジング82内に配置されたサーモスタット83と、ハウジング82内においてサーモスタット83よりも上方に配置された水温センサ84とを備えている。
【0070】
ハウジング82は、縦長の円筒状の筒状部82aと、筒状部82aの中途部から側方に延びる導入部82b(図6参照)と、筒状部82aの下部から側方に延びる導出部82c(図5参照)とを有している。導入部82bは左方に延び、導出部82cは後方に延びている(図3参照)。導入部82bの先端に導入口85が形成され、導出部82cの先端に導出口86が形成されている。筒状部82aの上部には、筒状部82aと同心状の円孔82dが形成されている。筒状部82aの上部には、側方に突出したエア抜き部82eが形成されている。筒状部82aの側部には、孔88が形成された取付部89が一体的に形成されている。図2に示すように、孔88にはボルト90が締め付けられる。このボルト90によって、サーモスタット装置80はシリンダヘッド24に固定される。
【0071】
サーモスタット83は、温度変化によって膨張または収縮する素子、例えばワックス等を内蔵するサーモエレメント91を有している。サーモエレメント91の下端には、円筒状のガイド92が設けられ、ガイド92の内部には円柱状のピストン93が挿通されている。サーモエレメント91の素子の膨張および収縮に伴って、ピストン93は伸長および収縮する。ピストン93の下端部は、ハウジング82の筒状部82aの底部に支持されている。サーモエレメント91の上端部には、スプリング94の下端部が取り付けられている。スプリング94の上端部は、ハウジング82の筒状部82aの上部に取り付けられている。本実施形態では、スプリング94はコイルスプリングによって形成されているが、スプリング94の種類は特に限定される訳ではない。サーモエレメント91は、スプリング94から下向きの付勢力を受けている。
【0072】
ハウジング82の筒状部82aには、径方向の内方に向かって突出するリング部95が形成されている。リング部95の中心部には、孔96が形成されている。サーモエレメント91の下面の外周部は、リング部95の上に載置されている。
【0073】
流通路81内の冷却水の温度が低い場合、ピストン93が伸びようとする力はスプリング94の付勢力よりも小さく、サーモエレメント91はリング部95に押し付けられた状態となる。この場合、サーモエレメント91によって孔96が塞がれ、流通路81における冷却水の流通は停止される。一方、流通路81内の冷却水の温度が高い場合、サーモエレメント91の素子の膨張に伴って、ピストン93がスプリング94の付勢力に打ち勝って伸長する。その結果、図7に示すように、サーモエレメント91がリング部95から上方に離れ、孔96が開かれる。これにより、流通路81において冷却水が流通する。以下では、孔96が開いた状態、閉じた状態のことを、それぞれサーモスタット83が開いた状態、閉じた状態と称する。このように、サーモスタット83により、冷却水の温度の変化に応じて、冷却水の流通が自動的に調節される。
【0074】
図5に示すように、孔96の側方には、常時開いているバイパス孔97が形成されている。バイパス孔97の内径は、孔96の内径に比べて非常に小さい。そのため、サーモスタット83が開いているときには、冷却水は専ら孔96を通じて導出口86側に流れる。なお、バイパス孔97は必ずしも必要ではなく、適宜省略することが可能である。
【0075】
水温センサ84は、ハウジング82の筒状部82aの円孔82dに上方から挿入されている。なお、水温センサ84は、結果として円孔82dに挿入されていればよく、その組立方法は何ら限定されない。例えば、予め筒状部82aに円孔82dが形成され、水温センサ84を事後的に円孔82dに挿入してもよい。あるいは、水温センサ84を鋳型に配置してから鋳型に樹脂を流し込み、水温センサ84が一体的に取り付けられた樹脂製の筒状部82aを形成してもよい。この場合、予め筒状部82aに円孔82dが形成される訳ではなく、水温センサ84が設けられた部分が事後的に円孔82dとなる。
【0076】
水温センサ84は、筒状部82aの軸方向(図5の下方)に延びている。水温センサ84の先端部84aは、導入口85の側方に位置している。本実施形態では、水温センサ84はサーモエレメント91と同軸状に配置されている。水温センサ84は、サーモエレメント91の上方に配置されている。また、水温センサ84は、スプリング94の内側に配置されている。このような構成により、筒状部82aには、導入口85よりも上方に位置する部分が存在する。冷却水は、導入口85から孔96を経て導出口86に向かうので、筒状部82aにおける導入口85よりも上方の部分では、冷却水の流れが淀んでしまう可能性がある。しかし、水温センサ84の先端部84aは導入口85の側方に位置しているので、先端部84aは冷却水の主流の中に配置されることになる。そのため、水温センサ84の検出精度が向上する。
【0077】
ところで、冷却水の循環経路内に冷却水を注入する際などに、空気が混入する場合がある。筒状部82aの上部には、冷却水に混入した空気が溜まるおそれがある。そこで、冷却水中の空気を排出するために、ハウジング82のエア抜き部82eの内部には、エア抜き孔87が形成されている。エア抜き孔87の一端には、流通路81に臨む下向きの開口からなる入口87aが形成されている。入口87aは、流通路81における最も高い位置に配置されている。ただし、空気を排出できる限り、入口87aの位置は適宜に変更することができる。エア抜き孔87の他端には、横向きの開口からなる出口87bが形成されている。エア抜き孔87の内径は、筒状部82aの内径よりも小さい。入口87aおよび出口87bの内径は、導入口85の内径よりも小さく、孔96の内径よりも小さく、導出口86の内径よりも小さい。
【0078】
図2に示すように、本実施形態では、サーモスタット装置80は、鉛直方向から前方に傾いた姿勢に配置される。そのため、入口87aは、サーモスタット装置80を鉛直方向に沿って配置する場合に比べて、より高い位置に配置されることになる。また、エア抜き孔87は、入口87aから出口87bに向かって後方斜め上向きに延びる。比重の小さな空気がエア抜き孔87を通じて円滑に排出されるようになっている。
【0079】
図2に示すように、側面視において、サーモスタット装置80の一部、より詳しくは水温センサ84の一部は、シリンダヘッド24の上方に位置している。ここでは、側面視において、サーモスタット装置80の一部は、シリンダヘッド24の最も高い部分よりも上方に位置している。また、サーモスタット装置80の一部は、シリンダヘッド24の右方に配置されている。言い換えると、側面視において、サーモスタット装置80の一部は、シリンダヘッド24と重なっている。
【0080】
図3に示すように、エア抜き孔87とラジエタ50の注水部56とは、ホース73によって接続されている。言い換えると、ホース73の一端はサーモスタット装置80のエア抜き孔87に接続され、ホース73の他端はラジエタ50の注水部56に接続されている。ホース73は平面視において、概ね後方斜め右向きに延びている。詳しくは、ホース73は平面視において、サーモスタット装置80のエア抜き孔87から後方に延びた後、後方斜め右向きに延び、右方に湾曲してからラジエタ50の注水部56に接続されている。図2に示すように側面視において、ホース73は概ね後ろ向きに延びている。厳密には、ホース73は側面視において、サーモスタット装置80のエア抜き孔87から後方斜め上向きに延びた後、後方に延びている。ホース73はホース71よりも上方に配置されている。ホース73の一部は、ホース71の一部の上方に配置されている。ホース73の一部とホース71の一部とは、上下に重なっている。ホース73の中途部とホース71の中途部とは、バンド74(図3参照)によって固定されている。
【0081】
図8は、冷却水の循環経路の構成図である。図8に示すように、ウォータポンプ35から吐出された冷却水は、エンジン11内の冷却水通路40に導入される。詳しくは、ウォータポンプ35から吐出された冷却水は、流入口41からシリンダヘッド24のウォータジャケット31に流入し、その後、シリンダボディ23のウォータジャケット32に流れ込む。ウォータジャケット32を流れた冷却水は、再びシリンダヘッド24のウォータジャケット31に流入する。冷却水はウォータジャケット31および32を流れることにより、エンジン11を冷却する。エンジン11を冷却した後の冷却水は、流出口42を通じて冷却水通路40から流出し、導入口85からサーモスタット装置80に流入する。
【0082】
サーモスタット83が開いている場合、サーモスタット装置80内の冷却水は導出口86から導出され、ホース71を通じてラジエタ50の上タンク52に流入する。なお、サーモスタット装置80とラジエタ50の上タンク52とは、ホース71を通じて連通していると共に、ホース73および注水部56を通じても連通している。しかし、エア抜き孔87の内径は導出口86の内径よりも小さく、また、ホース73の内径はホース71の内径よりも小さい。そのため、エア抜き孔87およびホース73の流路抵抗は、導出口86およびホース71の流路抵抗よりも大きい。したがって、サーモスタット83が開いている場合には、サーモスタット装置80からラジエタ50に対しては、専らホース71を通じて冷却水が供給される。
【0083】
上タンク52に供給された冷却水は、上タンク52からコア51内に流入し、コア51内を下向きに流れる。この際、コア51内の冷却水は、コア51の外側を流れる空気と熱交換を行い、冷却される。すなわち、冷却水の放熱が行われる。コア51を流れた冷却水は、下タンク53に流入する。冷却水は、下タンク53からホース72を通じてウォータポンプ35に吸入される。吸入された冷却水は、再びウォータポンプ35から吐出される。その後、上述の動作が繰り返される。
【0084】
サーモスタット装置80に空気が混入すると、その空気はエア抜き孔87およびホース73を通じて、ラジエタ50の注水部56に排出される。そのため、サーモスタット装置80内に空気が溜まり、水温センサ84の検出に悪影響を及ぼすことは回避される。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る自動二輪車1は、サーモスタット83と水温センサ84とが一体化されたサーモスタット装置80を備えている。サーモスタット83と水温センサ84とが一体化されているので、部品点数の削減および取付作業の簡略化を実現することができる。それにより、コストダウンを図ることができる。
【0086】
図3に示すように、サーモスタット装置80は、エンジン11のシリンダヘッド24の近傍に配置されている。水温センサ84によって、エンジン11内の冷却水の実際の温度に近い温度を検出することができる。そのため、正確な水温に基づいて、より的確なエンジン制御を行うことができる。
【0087】
サーモスタット83と水温センサ84とが一体化されていることにより、サーモスタット83もシリンダヘッド24の近傍に配置されることになる。ところが、図5に示すように、水温センサ84とサーモスタット83とは同軸状に配置され、それにより、サーモスタット装置80は縦長の形状に形成されている。図3に示すように、サーモスタット装置80は、前方および右方への出っ張りが少ない。そのため、サーモスタット装置80は、シリンダヘッド24の近傍という限られたスペースの中に、コンパクトに配置することが可能となる。
【0088】
特に本実施形態では、シリンダボディ23およびシリンダヘッド24は左右の第3フレーム部2cの間に配置され、シリンダボディ23およびシリンダヘッド24の上方には、収納ボックス18およびクッションユニット20が配置されている。シリンダボディ23およびシリンダヘッド24の周囲には、空きスペースが少ない。したがって、サーモスタット装置80をコンパクトに配置できるという効果は、特に顕著に発揮されることになる。
【0089】
上述の通り、サーモスタット装置80のハウジング82内において、水温センサ84はサーモスタット83の上方に配置されている。このことにより、サーモスタット装置80のコンパクトな配置が実現されている訳であるが、冷却水の循環経路に空気が混入している場合、その空気がハウジング82内の上部に溜まるおそれがある。水温センサ84はハウジング82内の上方に配置されているため、空気が溜まってしまうと水温センサ84が空気の悪影響を受け、冷却水の温度を正確に検出できなくなるおそれがある。
【0090】
本実施形態のように、水温センサ84の検出値に基づいてインジェクタ16の燃料噴射量を制御する自動二輪車1では、水温センサ84の僅かな検出誤差が燃料噴射量の大きな誤差を招く要因となる。インジェクタ16の燃料噴射量は、水温センサ84の検出値により大きな影響を受ける。インジェクタ16から適正な量の燃料を噴射するためには、水温センサ84の検出精度を高めることが重要である。
【0091】
本実施形態に係るサーモスタット装置80によれば、ハウジング82の上部に空気抜き孔87が形成されている。水温センサ84の少なくとも一部および空気抜き孔87は、エンジン11の流出口42よりも上方に位置し、サーモスタット83の少なくとも一部はエンジン11の流出口42よりも下方に位置している。ハウジング82の内部に空気が混入したとしても、その空気は空気抜き孔87を通じてハウジング82の外部に排出される。したがって、混入した空気によって水温センサ84の検出精度が低下することを抑制することができる。よって、インジェクタ16の制御を的確に行うことができ、適正な量の燃料をエンジン11に供給することができる。
【0092】
このように本実施形態によれば、水温センサ84の検出精度の低下を抑えつつ、一体化されたサーモスタット83および水温センサ84の全体をコンパクトに配置することが可能となる。
【0093】
本実施形態では、サーモスタット装置80は、シリンダヘッド24に直接取り付けられている。すなわち、サーモスタット装置80は、ハウジング82の導入口85とエンジン11の流出口42とがつながるようにシリンダヘッド24に取り付けられている。そのため、水温センサ84によって、エンジン11内の冷却水の実際の温度に極めて近い温度を検出することができる。水温センサ84の検出精度を更に向上させることができる。
【0094】
なお、本実施形態では、ハウジング82の導入口85とエンジン11の流出口42とは、向かい合うように配置されている。図2に示すように、側面視にて、ハウジング82の導入口85とエンジン11の流出口42とは、互いに重なるように配置されている。そのため、冷却水は、エンジン11の流出口42からハウジング82の導入口85に速やかに流れる。水温センサ84の検出精度をより一層向上させることができる。
【0095】
ハウジング82は、上部に水温センサ84が配置され且つ下部にサーモスタット83が配置された筒状部82aを有している。空気抜き孔87は、水温センサ84に対し、筒状部82aの径方向の外方に形成されている。サーモスタット装置80は、空気抜き孔87が形成された部分が上方に位置するように筒状部82aが鉛直線に対して傾斜するように配置されている。このように、サーモスタット装置80は鉛直線から傾くように配置されているので、サーモスタット装置80を鉛直線に沿って配置する場合に比べて、サーモスタット装置80の高さを短く抑えることができる。高さの制限があるスペースにも、サーモスタット装置80を容易に配置することができる。また、サーモスタット装置80がこのように傾斜していることにより、空気抜き孔87から空気を円滑に排出しやすくなる。そのため、水温センサ84の検出精度の向上を図ることができる。
【0096】
図3に示すように、エンジン11は、平面視において前方に延びるシリンダ軸線CLを有するシリンダ23aを備えている。サーモスタット装置80のハウジング82の筒状部82aは、平面視においてシリンダ軸線CLと平行に配置されている。サーモスタット装置80は、左方および右方に出っ張っていない。そのため、サーモスタット装置80をシリンダヘッド24の側方に配置しているにも拘わらず、エンジン11およびサーモスタット装置80の全体の左右方向の長さをコンパクトに抑えることができる。
【0097】
図2に示すように、ラジエタ50の注水部56は、サーモスタット装置80の空気抜き孔87よりも上方に配置され、空気抜き孔87と注水部56とはホース73によって接続されている。冷却水中に混入した空気は浮力によって高い位置に移動するため、サーモスタット装置80内の空気は、ホース73を通じて注水部56に自然に排出される。サーモスタット装置80内の空気を容易に排出することができる。また、空気抜きのための特別な作業は不要である。
【0098】
空気抜き孔87から空気と共に冷却水の一部が排出される場合があるが、冷却水の一部はホース73および注水部56を通じてラジエタ50に送られる。そのため、冷却水の一部が空気抜き孔87から排出されたとしても、その冷却水は循環経路内に留まることになる。冷却水の一部が空気抜き孔87から排出されたとしても、そのことによって循環経路内の冷却水の量が低減するおそれはない。
【0099】
図3に示すように、サーモスタット装置80は、シリンダヘッド24の右方に配置されている。ラジエタ50は、クランク軸21の延長線上に位置するようにクランクケース22の右方に配置されている。サーモスタット装置80およびラジエタ50の両方が、平面視において、クランク軸線CLの右方に配置されている。そのため、サーモスタット装置80の導出口86とラジエタ50の流入口54とをつなぐホース71の長さを短く抑えることができる。サーモスタット装置80をコンパクトに配置することができる。また、サーモスタット装置80の空気抜き孔87とラジエタ50の注水部56とをつなぐホース73の長さを短く抑えることができる。なお、本実施形態では、サーモスタット装置80およびラジエタ50の両方を、平面視においてクランク軸線CLの右方に配置したが、それらを平面視においてクランク軸線CLの左方に配置するようにしてもよい。
【0100】
図3に示すように、平面視において、サーモスタット装置80は、シリンダヘッド24とシリンダボディ23とクランクケース22とホース72とに囲まれる領域内に配置されている。このように、サーモスタット装置80はコンパクトに配置されている。
【0101】
また、図3に示すように、サーモスタット装置80、ウォータポンプ35は、それぞれシリンダヘッド24の右方、左方に配置されている。ホース72は、ラジエタ50からシリンダヘッド24の下方を通って、ウォータポンプ35に接続されている。このような配置により、エンジン11をコンパクトに配置することができる。
【0102】
なお、本実施形態では、サーモスタット装置80がシリンダヘッド24の右方に配置され、ウォータポンプ35がシリンダヘッド24の左方に配置されていたが、それらは逆であってもよい。すなわち、サーモスタット装置80がシリンダヘッド24の左方に配置され、ウォータポンプ35がシリンダヘッド24の右方に配置されていてもよい。また、サーモスタット装置80およびウォータポンプ35の両方をシリンダヘッド24の左方または右方に配置することも可能である。
【0103】
ホース73は、平面視においてシリンダヘッド24とシリンダボディ23とクランクケース22とホース72とに囲まれた領域と、クランクケース22の上方の領域とにわたって配置されている。このように、サーモスタット装置80から空気を排出するためのホース73を、コンパクトに配置することができる。
【0104】
ホース73の一部とホース71の一部とは、上下に重なっている。ホース73およびホース71の全体の左右の幅を小さく抑えることができ、ホース73およびホース71をコンパクトに配置することができる。
【0105】
図2に示すように、シリンダヘッド24の側方には点火プラグ28が挿入されている。側面視において、サーモスタット装置80は点火プラグ28の後方に配置されている。サーモスタット装置80は、側面視において点火プラグ28と重ならないように配置されている。そのため、メンテナンスのために点火プラグ28をシリンダヘッド24から取り外すときに、サーモスタット装置80は邪魔になりにくい。サーモスタット装置80を設けることによって点火プラグ28のメンテナンス作業が困難になることを回避することができる。
【0106】
エンジン11は、ピボット軸13を中心として、車体フレーム2に対して揺動可能である。車体フレーム2に対して揺動するエンジン11では、特に、その揺動に伴ってシリンダボディ23およびシリンダヘッド24が大きく揺動するので、シリンダボディ23、シリンダヘッド24、およびそれらの近傍部分のコンパクト化が求められる。そのため、本実施形態のように揺動可能なエンジン11を備えた自動二輪車1においては、上述のコンパクト化の効果が特に顕著に発揮される。
【0107】
特に本実施形態では、エンジン11は、その下方においてピボット軸13に揺動自在に支持されている。図2に示すように側面視において、ピボット軸13はシリンダ軸線CLよりも下方に配置され、サーモスタット装置80はシリンダ軸線CLよりも上方に配置されている。このような構成によると、エンジン11の上部は、下部よりも大きく揺動することになる。シリンダヘッド24の上部に取り付けられたサーモスタット装置80は、より大きく揺動することになる。そのため、本実施形態によれば、上述のコンパクト化の効果が特に顕著に発揮される。
【0108】
以上、本発明の一実施形態を説明してきたが、本発明は他に種々の形態で実施することができる。
【0109】
ホース71および72は、冷却水を搬送できる通路であれば足り、その材料は特に限定されない。また、可撓性を有するホース71および72の代わりに、可撓性を有しないパイプ等を用いてもよい。ホース73についても同様である。
【0110】
上記実施形態では、エンジン11は単気筒エンジンであったが、本発明に係るエンジンは多気筒エンジンであってもよい。
【0111】
上記実施形態では、ラジエタ50はクランクケース22の側方に配置されていたが、ラジエタ50は他の箇所に配置されていてもよい。
【0112】
本明細書において、「冷却水」とは、エンジン11を冷却可能な液体の総称である。冷却水は、必ずしも水でなくてもよく、水溶液であってもよい。また、その他の冷媒であってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 自動二輪車
2 車体フレーム
11 エンジン
16 インジェクタ
17 ECU(制御装置)
22 クランクケース
23 シリンダボディ
24 シリンダヘッド
41 流入口
42 流出口
50 ラジエタ
71 ホース(第1冷却水通路)
72 ホース(第2冷却水通路)
73 ホース(空気抜き通路)
80 サーモスタット装置
81 流通路
82 ハウジング
83 サーモスタット
84 水温センサ
87 空気抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに支持され、冷却水を流入させる流入口と冷却水を流出させる流出口とが形成されたエンジンと、
前記エンジンに燃料を供給するインジェクタと、
冷却水を流入させる流入口と冷却水を流出させる流出口とが形成されたラジエタと、
前記エンジンの前記流出口と前記ラジエタの前記流入口とをつなぐ第1冷却水通路と、
前記エンジンの前記流入口と前記ラジエタの前記流出口とをつなぐ第2冷却水通路と、
内部に冷却水が流通する流通路が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に配置されたサーモスタットと、前記ハウジング内において前記サーモスタットよりも上方に配置された水温センサとを有し、前記第1冷却水通路内に配置されたサーモスタット装置と、
前記水温センサが検出する温度に基づいて前記インジェクタを制御する制御装置と、を備え、
前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、前記流通路の内部と外部とを連通させる空気抜き孔が形成され、
前記サーモスタット装置は、前記水温センサの少なくとも一部および前記空気抜き孔が前記エンジンの前記流出口よりも上方に位置し、前記サーモスタットの少なくとも一部が前記エンジンの前記流出口よりも下方に位置するように配置されている、自動二輪車。
【請求項2】
前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、冷却水を導入する導入口と、冷却水を導出する導出口とが形成され、
前記サーモスタット装置は、前記ハウジングの前記導入口と前記エンジンの前記流出口とがつながるように前記エンジンに取り付けられている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記ハウジングは、上部に前記水温センサが配置され且つ下部に前記サーモスタットが配置された筒状部を有し、
前記空気抜き孔は、前記水温センサに対し前記筒状部の径方向の外方に形成され、
前記サーモスタット装置は、前記空気抜き孔が形成された部分が上方に位置するように前記筒状部が鉛直線に対して傾斜するように配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記エンジンは、平面視において前方に延びるシリンダ軸線を有するシリンダを備え、
前記筒状部は、平面視において前記シリンダ軸線と平行に配置されている、請求項3に記載の自動二輪車。
【請求項5】
前記ラジエタは、前記流入口および前記流出口が形成されたラジエタ本体と、前記ラジエタ本体から上方に突出した筒状に形成され、冷却水が注入される注水部と、を有し、
前記注水部は、前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔よりも上方に配置され、
前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔と前記ラジエタの前記注水部とをつなぐ空気抜き通路を備えている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記エンジンは、クランク軸を収容するクランクケースと、前記クランクケースに接続され、内部にシリンダが形成され且つ平面視において前方に延びるシリンダボディと、前記シリンダボディの先端部に接続され、前記流出口が形成されたシリンダヘッドと、を有し、
前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、冷却水を導入する導入口と、冷却水を導出する導出口とが形成され、
前記サーモスタット装置は、前記ハウジングの前記導入口と前記エンジンの前記流出口とがつながるように、前記シリンダヘッドの側方に取り付けられ、
前記ラジエタは、前記クランク軸の延長線上に位置するように前記クランクケースの側方に配置され、
前記サーモスタット装置および前記ラジエタの両方が、平面視において、シリンダ軸線の左方および右方のいずれか一方に配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項7】
前記シリンダヘッドに取り付けられたウォータポンプを備え、
前記第2冷却水通路は、前記ラジエタと前記ウォータポンプとをつなぐ通路を有し、
平面視において、前記サーモスタット装置は、前記シリンダヘッドと前記シリンダボディと前記クランクケースと前記第2冷却水通路の前記通路とに囲まれた領域内に配置されている、請求項6に記載の自動二輪車。
【請求項8】
平面視において、前記サーモスタット装置、前記ウォータポンプは、前記シリンダヘッドの左方および右方の一方、他方にそれぞれ配置され、
前記第2冷却水通路の前記通路の少なくとも一部は、前記シリンダヘッドの下方に配置されている、請求項7に記載の自動二輪車。
【請求項9】
前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔と前記ラジエタとをつなぐ空気抜き通路と、
前記シリンダヘッドに取り付けられたウォータポンプと、を備え、
前記第2冷却水通路は、前記ラジエタと前記ウォータポンプとをつなぐ通路を有し、
前記空気抜き通路は、平面視において前記シリンダヘッドと前記シリンダボディと前記クランクケースと前記第2冷却水通路の前記通路とに囲まれた領域と、前記クランクケースの上方の領域とにわたって配置されている、請求項6に記載の自動二輪車。
【請求項10】
平面視において、前記サーモスタット装置、前記ウォータポンプは、前記シリンダヘッドの左方および右方の一方、他方にそれぞれ配置され、
前記第2冷却水通路の前記通路の少なくとも一部は、前記シリンダヘッドの下方に配置されている、請求項9に記載の自動二輪車。
【請求項11】
前記サーモスタット装置の前記空気抜き孔と前記ラジエタとをつなぐ空気抜き通路を備え、
前記空気抜き通路の一部と前記第1冷却水通路の一部とは、上下に重なっている、請求項6に記載の自動二輪車。
【請求項12】
前記エンジンは、クランク軸を収容するクランクケースと、前記クランクケースに接続され、内部にシリンダが形成され且つ平面視において前方に延びるシリンダボディと、前記シリンダボディの先端部に接続され、前記流出口が形成されたシリンダヘッドと、を有し、
前記サーモスタット装置の前記ハウジングには、冷却水を導入する導入口と、冷却水を導出する導出口とが形成され、
前記サーモスタット装置は、前記ハウジングの前記導入口と前記エンジンの前記流出口とがつながるように、前記シリンダヘッドの側方に取り付けられ、
前記シリンダヘッドの側部には、点火装置が挿入され、
前記サーモスタット装置は、側面視において前記点火装置と重ならない位置に配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項13】
前記エンジンは、ピボット軸を介して前記車体フレームに揺動自在に支持されている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項14】
前記エンジンは、側面視において前方斜め上向きに延びるシリンダ軸線を有するシリンダを備え、
前記ピボット軸は、側面視において前記シリンダ軸線よりも下方に配置され、
前記サーモスタット装置は、側面視において前記シリンダ軸線よりも上方に配置されている、請求項13に記載の自動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−68161(P2013−68161A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207305(P2011−207305)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】