説明

自動分析装置

【課題】試薬の廃棄量が少ない自動分析装置を提供すること。
【解決手段】試薬ボトルへの試薬の封入量から吸引量を減算して単純残量を算出し(S103)、試薬ボトル内の試薬の液面高さと、この液面高さと試薬の残量との関係を示す残量式とを用いて計算残量を算出し(S104)、単純残量と計算残量とを比較する(S105)。単純残量と計算残量が同程度である場合(S105:No)、単純残量に基づいて試薬分注の可否を決定する(S106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿などの検体と試薬を反応させることによって、前記検体の分析を行う自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動分析装置は、分析途中の試薬切れを防ぐため、試薬ボトル内の試薬の残量を管理し、検体又は試薬の分注を制御している。ここで、自動分析装置は、試薬の残量が所定量未満となった場合、分析を中断し試薬の補充を行う必要がある。
【0003】
この試薬の残量は、試薬ボトル内の液面高さと試薬ボトル内の試薬の残量との関係を示す残量式と、実際に測定した試薬の液面高さとを用いて算出される(特許文献1、特許文献2参照)。なお、残量式は、試薬ボトルの形状に基づいてつくられる。
【0004】
【特許文献1】特公平1−47744号公報
【特許文献2】実公平7−4576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、試薬ボトルの形状は、製造時の諸条件によって異なる。試薬ボトルの種類の違い、すなわち製造時の大きな条件(製造工場や製造者等)の違いから、試薬ボトルの形状が異なるのはもちろんのこと、一見同じ形状の試薬ボトルであっても、製造時の微妙な誤差により実際には個々の試薬ボトル間で形状の差異が生じている。形状が異なる試薬ボトル間、たとえば、水平方向の断面積の小さい試薬ボトルと大きな試薬ボトルとでは、試薬を同じ液面高さまで使用した場合、試薬ボトル内にそれぞれ残っている試薬の量は異なり、水平方向の断面積が小さい試薬ボトルでは試薬残量は少なく、大きい試薬ボトルでは試薬残量は多い。
【0006】
従来の自動分析装置は、試薬の液面高さと残量式とから求めた試薬残量が所定量、例えば1回の吸引量未満となった場合、試薬の分注を停止し、試薬ボトルの交換を要求する。したがって、自動分析装置は、残量式を用いて算出した試薬残量が所定量以上であれば、たとえ試薬ボトル内の実残量が、所定量未満であっても試薬の吸引を続行し、予期せぬ試薬切れを起こす恐れがある。この恐れを防ぐため、自動分析装置で使用される残量式は、一見同じ形状であり同じ残量式が用いられるべき試薬ボトル、すなわち同じ種類の試薬ボトルであっても、形状に差異があることを考慮して、最も小さな試薬ボトルを想定し、この試薬ボトルにあわせてつくられる。つまり、残量式を用いて算出される試薬残量は、同じ残量式が用いられる試薬ボトルのなかで最小の試薬ボトル内の試薬残量を示している。そのため、この試薬ボトルよりも大きな試薬ボトルでは、実残量は、液面高さと残量式とから算出する試薬残量より多い。
【0007】
また、自動分析装置は、試薬の液面高さと残量式とから求めた試薬残量が所定量未満となる場合、まだ所定量以上の試薬が残存していたとしても、試薬の吸引を停止し、試薬ボトルの交換を要求する。残量式から算出した試薬残量と実残量との差分量を、無駄に廃棄することとなり、結果的に多くの試薬を廃棄していた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、試薬の廃棄量が少ない自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる自動分析装置は、所定の試薬ボトル内の試薬を分注し、前記試薬と検体とを反応させ、反応液の特性を測定し前記検体を分析する自動分析装置において、前記試薬の封入量から、吸引量を減算した残量である単純残量を算出する単純残量算出手段と、前記試薬ボトル内の試薬の液面を検知する液面検知手段と、前記液面検知手段によって検知した液面高さと、前記液面高さと前記試薬ボトル内の前記試薬の残量との関係を示す残量式とから求めた残量である計算残量を算出する計算残量算出手段と、前記単純残量と前記計算残量との差分量と基準量とを比較し、前記差分量が前記基準量を超えるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって、前記差分量が前記基準量を超えないと判断した場合、前記単純残量を用いて前記試薬の分注を制御し、前記判断手段によって、前記差分量が前記基準量を超えると判断した場合、前記計算残量を用いて前記試薬の分注を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記残量式を複数記憶する記憶手段を設け、前記計算残量算出手段は、前記判断手段によって前記差分量が前記基準量を超えると判断した後、複数の前記残量式のうち、吸引前後の前記計算残量の差分量と前記吸引量との差分が最小となる前記残量式を特定し、特定した前記残量式を用いて前記計算残量を算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記残量式を複数記憶する記憶手段を設け、前記計算残量算出手段は、複数の前記残量式のうち、吸引前後の前記計算残量の差分量と前記吸引量との差分が最小となる前記残量式を特定し、特定した前記残量式から計算残量を算出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記基準量は、前記液面高さの減少に応じて減少することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記単純残量を用いて前記試薬の分注を制御中に、単純残量が所定量以下となった場合、前記単純残量を用いて前記試薬の分注を制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記封入量の情報を読み取る読取手段を有し、前記制御手段は、前記読取手段が前記封入量の情報を読み取らない場合、前記計算残量を用いて前記試薬の分注を制御し、前記読取手段が前記封入量の情報を読み取る場合、前記封入量を前記試薬分注前の前記単純残量として設定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる自動分析装置は、所定の試薬ボトルから吸引した試薬と検体とを反応させ、反応液の特性を測定し前記検体を分析する自動分析装置において、前記試薬ボトル内の液面を検知する液面検知手段と、前記液面検知手段で検知した液面高さと、前記液面高さと前記試薬の残量との関係を示す残量式を複数記憶する記憶手段と、複数の前記残量式のうち、前記液面高さと前記残量式とから求めた残量である計算残量の吸引前後の差分量と、前記吸引量との差分が最小となる前記残量式を特定し、特定した前記残量式と前記液面高さとを用いて前記計算残量を算出する計算残量算出手段と、前記計算残量を用いて、前記試薬の分注動作の制御をおこなう制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる自動分析装置は、封入量から吸引量を減算した残量である単純残量と、試薬ボトル内の試薬の液面高さと残量式とから求めた残量である計算残量とを比較し、単純残量と計算残量との差分が基準量を超えない場合、単純残量を用いて試薬の分注を制御するので、同じ種類であっても製造時の誤差により生じる試薬ボトルの形状の差異に影響を受けず、封入量分の試薬を確実に検体の分析に使用することができるため、試薬の廃棄量を少なくすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の自動分析装置の概略構成図である。自動分析装置1は、図1に示すように、検体と試薬を所定の反応容器に分注し、その容器内の液体に対して光学的な測定を行う測定機構101と、その測定機構101を含む自動分析装置1の制御をおこなうとともに、測定機構101で得られた測定結果の分析をおこなう制御機構102を有し、この2つの機構が連携し複数の検体の生化学的な分析を自動的かつ連続的に行う装置である。なお、ここでいう、「液体」とは微量の固体成分を含有する液体も含まれる。
【0019】
測定機構101は、主として一般検体を収容する検体容器111が搭載された複数のラック112を収納して順次移送する検体移送部11と、一般検体以外の各種検体(キャリブレーション用検体、精度管理検体、緊急検体、STAT検体、再検査用検体等)を収容する検体容器121を保持する検体容器保持部12と、試薬ボトル131を保持する試薬ボトル保持部13と、検体と試薬とを反応させる反応容器141を保持する反応容器保持部14とを備える。
【0020】
また測定機構101は、検体移送部11上の検体容器111に収容された検体を反応容器141に分注する、または、検体容器保持部12上の検体容器121に収容された検体を反応容器141に分注する検体分注部15と、試薬ボトル保持部13上の試薬ボトル131に収容された試薬を反応容器141に分注する試薬分注部16と、反応容器141の内部に収容された液体を攪拌する攪拌部17と、光源から照射されて反応容器141内を通過した光を受光して所定の波長成分の強度等を測定する測光部18と、洗浄液を用いて反応容器保持部14上の反応容器141の洗浄を行う反応容器洗浄部19とを備える。
【0021】
検体容器111、121には、内部に収容する検体を識別する識別情報を所定の情報コード(バーコード、2次元コード等)にコード化して記録した情報コード記録媒体がそれぞれ貼付されている(図示せず)。試薬ボトル131にも、内部に収容する試薬の封入量や、試薬の種類、有効期限等の情報を所定の情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体132が貼付されている(図2参照)。このため、測定機構101には、検体容器111に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR1、検体容器121に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR2、試薬容器131に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR3が、検体移送部11、検体容器保持部12、試薬ボトル保持部13にそれぞれ設けられている。
【0022】
検体容器保持部12、試薬ボトル保持部13、反応容器保持部14は、検体容器121、試薬ボトル131、反応容器141をそれぞれ収容するホイールと、このホイールの底面中心に取り付けられ、その中心を通る鉛直線を回転軸としてホイールを回転させる駆動手段(図示せず)を有する。
【0023】
検体分注部15は、液面検知回路151を有し、試薬分注部16は、液面検知回路161を有する。また検体分注部15と試薬分注部16は、共に構成が同一であり、例えば、試薬分注部16は、図2に示すように、試薬の吸引や吐出を行う細管状の分注ノズル162と、分注ノズル162を保持するアーム163と、支柱164とを有しており、支持部材165を介してアーム駆動手段166により、支柱164が昇降されるとともに、アーム163が水平面内を矢印の方向に回転される。分注ノズル162は、制御機構102の制御のもと、鉛直方向の昇降および水平方向の回転をおこない、試薬ボトル131から試薬を吸引した後、所定の反応容器141へ試薬を吐出する。さらに、試薬分注部16は、洗浄液によって分注ノズル162を洗浄する洗浄部を有する(図示せず)。
【0024】
図2に示すように、液面検知手段として、液面検知回路161は、分注ノズル162に接続する。液面検知回路161は、分注ノズル162の下端が、試薬ボトル131内の試薬液面に接する瞬間を電気的に検出し、検出信号を制御機構102に出力する。なお、液面検知回路161は、試薬吸引毎に、この検出信号を制御機構102に出力する。なお、液面検知回路161は、分注ノズル162が検体液面から離れる瞬間も電気的に検出し、検出信号を制御機構102に出力できる。
【0025】
測光部18は、白色光を出射する光源と、反応容器141を透過してきた白色光を分光する分光光学系と、分光光学系で分光した光を成分ごとに受光して電気信号に変換する受光素子とを有する。
【0026】
さらに、図1を参照して、制御機構102について説明する。制御機構102は、自動分析装置1の各部と電気的に接続され、これら各部の動作を制御するとともに、測光部18の受光素子から出力された測定情報の分析を行う。制御機構102は、制御部21と、記憶部22と、分析部23と、試薬残量算出部24と、入力部25と、出力部26とを有する。
【0027】
制御部21は、制御機能を有するCPU等により構成され、自動分析装置1の各部の処理または動作を制御する。制御部21は、自動分析装置1の各部に入出力される情報に対して所定の入出力制御をおこない、かつ、この情報に対して所定の入出力処理をおこなう。制御部21は記憶部22が記憶するプログラムをメモリから読み出すことにより自動分析装置1の制御を実行する。
【0028】
記憶部22は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとで構成される。各種プログラム、キャリブレーションデータ、検体の分析結果、および残量式を含む諸情報を記憶する。記憶部22は、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録された情報を読み取る補助記憶装置を具備してもよく、そのような記録媒体に前述したプログラムを記録しておくことも可能である。
【0029】
分析部23は、記憶部22が記憶するキャリブレーションデータに含まれる検量線を用いることにより、測光部18で測定した吸光度を濃度に変換する。このようにして変換した分析データは出力部26から出力される一方、記憶部22に書き込まれ、記憶される。
【0030】
入力部25は、制御部21へ検査項目や試薬、検体の分注指示等を含む検査情報を入力する部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。出力部26は、分析内容や警告等を表示するもので、ディスプレイ装置や、紙に情報を出力して表示するプリンタ等が使用される。
【0031】
試薬残量算出部24は、試薬ボトル131内の試薬の残量を算出する。試薬残量算出部24は、計算残量算出部241と、単純残量算出部242と、判断部243とを有する。
【0032】
単純残量算出部242は、試薬ボトル131への試薬の封入量から、あらかじめ設定された試薬の吸引量を試薬分注毎に減算し、単純残量を算出する。この封入量は、制御部21が情報コード読取部CR3を介して試薬ボトル131に貼付された情報コード記録媒体132に記録されている情報コードから取得したものである。
【0033】
計算残量算出部241は、分注ノズル162に試薬を吸引後に液面検知回路161が出力した検出信号に基づいて、制御部21から入力した試薬液面高さと、記憶部22が記憶する残量式とから、計算残量を算出する。
【0034】
判断部243は、単純残量と計算残量との差分量が基準量を超えるか否かを判断する。なお、基準量とは、単純残量と計算残量とが同程度であるかを判断する基準であり、例えば、残量式の精度や、液面検知の精度を考慮して設定される。
【0035】
ところで、単純残量は、制御部21が読取手段CR3を介して情報コード記録媒体132に記録されている情報コードから取得した封入量から、あらかじめ設定された試薬の吸引量を減算して算出されるため、試薬ボトル131内の試薬の実封入量とはまったく無関係に算出される。したがって、自動分析装置1に試薬ボトル131を搭載したときの実封入量と、制御部21が取得した封入量とがまったく異なる場合、単純残量と実残量とはまったく異なる値となる。例えば、ある自動分析装置で途中まで使用された試薬ボトルが自動分析装置1に搭載された場合、実封入量は、制御部21が取得した封入量よりも少ない。この場合、実残量は単純残量よりも少ないので、制御部21が単純残量を用いて試薬の分注を制御すると、自動分析装置1は予期せぬ試薬切れを起こしてしまう。
【0036】
一方、計算残量は、残量式と試薬分注毎に検出する液面高さとから算出されるため、試薬ボトル131内の実残量と無関係ではなく、実残量を反映した量である。
【0037】
そこで、本発明では、判断部243が、単純残量と計算残量との差分量が基準量を超えないと判断した後、すなわち、単純残量と計算残量とが同程度と判断した後、制御部21が単純残量を用いて試薬の分注を制御するので、単純残量と実残量がまったく異なることはなく、予期せぬ試薬切れを起こすことはない。
【0038】
つぎに、図3を参照して、制御機構102が試薬の残量に応じて試薬の分注を制御する手順を説明する。
【0039】
まず、制御部21は、読取手段CR3を介して情報コード記録媒体132に記録された情報コードから取得した封入量を、試薬吸引を行う前の単純残量と設定する(ステップS101)。
【0040】
次に、制御部21は、試薬分注部16に試薬を分注させるとともに、分注ノズル162に試薬を吸引後に液面検知回路161から入力する検出信号に基づき、液面高さを演算する(ステップS102)。
【0041】
次いで、単純残量算出部242は、制御部21が設定した単純残量から、あらかじめ設定された1回の試薬の吸引量を減算し、単純残量を算出する。このとき、制御部21は、単純残量を、試薬の分注毎に更新していく(ステップS103)。
【0042】
計算残量算出部241は、制御部21から入力する液面高さと、記憶部22が記憶するあらかじめ設定された試薬ボトル131に対応した残量式とから、計算残量を算出する(ステップS104)。
【0043】
その後、判断部243は、単純残量と計算残量との差分量が、基準量を超えるか否かの判断処理を行う(ステップS105)。判断部243がこの差分量が基準量を超えないと判断した場合(ステップS105:No)、制御部21は、単純残量が所定量Q1以上か未満かを判断する(ステップS106)。なお、所定量Q1は制御部21が試薬の分注を停止させるか否かの判断基準であり、試薬の1回の吸引量や、分注ノズル162が物理的に吸引できない試薬の残量(いわゆる、デッドボリューム)を考慮して設定される。
【0044】
制御部21は、単純残量が所定量Q1以上である場合(ステップS106:Yes)、ステップS102へ戻り、再度上述のステップを繰り返す。また、単純残量が所定量Q1未満である場合(ステップS106:No)、試薬の分注を停止する(ステップS107)。
【0045】
一方、判断部243が単純残量と計算残量との差分量が基準量を超えると判断した場合(ステップS105:Yes)、制御部21は、計算残量が所定量Q1以上か未満かを判断する(ステップS108)。
【0046】
制御部21は、計算残量が所定量Q1以上である場合(ステップS108:Yes)、再度、試薬分注部16に試薬を分注させるとともに、分注ノズル162に試薬を吸引後に液面検知回路161から入力する検出信号に基づき液面高さを演算する(ステップS109)。次いで、計算残量算出部241は、計算残量を算出する(ステップS110)。その後、ステップS108へ戻り、再度上述のステップを繰り返す。
【0047】
他方、ステップS108で計算残量が所定量Q1未満である場合(ステップS108:No)、制御部21は試薬の分注を停止する(ステップS107)。
【0048】
この実施の形態1では、単純残量を用いて試薬の分注を制御する限り、残量式を用いず算出された試薬の残量を用いて試薬の分注を制御するので、同じ残量式が用いられる同じ種類の試薬ボトルではあるが、製造時の誤差により生じる個々の試薬ボトルの形状の差異に影響を受けず、封入量分の試薬を確実に検体の分析に使用することができ試薬の廃棄量を少なくできる。
【0049】
なお、上述の実施の形態1では、あらかじめ設定された1つの残量式を用いて計算残量を算出していた。しかしながら、実施の形態1の変形例1として、計算残量を用いて試薬の分注を制御する場合、記憶部22が記憶する複数の残量式から1つの残量式を特定し、この残量式と液面高さとから算出した計算残量を用いて、試薬の分注を制御してもよい。
【0050】
すなわち、図4に示すように、判断部243が単純残量と計算残量との差分量が基準量を超えると判断した後(ステップS205:Yes)、計算残量算出部241は、記憶部22が記憶する複数の残量式のなかから1つの残量式を特定し、この残量式を用いて計算残量を算出し(ステップS208、図5)、制御部21はこの計算残量を用いて試薬の分注を制御する(ステップS209)。
【0051】
次に、図5を参照して、複数の残量式のなかから1つの残量式を特定し、計算残量を算出する手順を説明する。
【0052】
まず、計算残量算出部241は、試薬の分注回数が10回以上であるか否かを判断する(ステップS301)。
【0053】
試薬の分注回数が10回以上である場合(ステップS301:Yes)、計算残量算出部241は、記憶部22が記憶するすべての残量式と、試薬分注毎に制御部21から入力する試薬の液面高さとを用いて、試薬分注前後の計算残量の差分を求め、直近10回の試薬分注前後の計算残量の差分の累積値と、10回分の試薬の吸引量との差分量を求める(ステップS302)。
【0054】
次に、計算残量算出手段241は、直近10回の試薬分注前後の計算残量の差分の累積値と、10回分の試薬の吸引量との差分量が最小となる残量式を特定する(ステップS303)。ここで、10回の試薬分注前後の計算残量の差分の累積値を用いたのは、液面検知の誤差等による計算残量の増減を考慮し、複数回の試薬分注前後の計算残量の差分を用いることにより、安定した値を用いて残量式を特定するためである。また直近10回としたのは、試薬液面の低下に伴い、残量式の精度が上がり計算残量と実残量との誤差が小さくなるため、残量式の精度が同程度の範囲内で求められる計算残量を用いて、残量式を特定するためである。なお、分注回数の基準は10回に限られない。
【0055】
次いで、計算残量算出部241は、制御部21が試薬の分注を制御するために用いる計算残量を、上述のステップで特定した残量式を用いて算出する(ステップS304)。
【0056】
一方、試薬の分注回数が10回未満であった場合(ステップS301:No)、計算残量算出部241は、あらかじめ設定された残量式を用いて計算残量を算出する。(ステップS305)。
【0057】
この場合、計算残量算出部241は、試薬吸引前後の計算残量の差分、つまり計算上の吸引量と、あらかじめ設定された吸引量との差分が最小となる残量式を自動的に特定し、この特定した残量式を用いて計算残量を算出する。
【0058】
試薬ボトルは製造時の諸条件により形状が異なるが、個々の試薬ボトルの形状に対応した残量式をつくることは作業が煩雑に過ぎる。しかしながら、製造時の大きな条件の違い(製造工場、製造者等)、すなわち試薬ボトルの種類に対応して複数の残量式がつくられている。さらに、1種類の試薬ボトルに対して複数の残量式がつくられている場合もある。したがって、残量式を用いて計算残量を算出する場合、使用中の試薬ボトル131の形状に近い試薬ボトルを想定してつくった残量式を用いれば、計算残量と実残量との誤差は小さくなる。
【0059】
計算上の吸引量とあらかじめ設定された吸引量との差分が最小である場合とは、計算残量の減少量と実残量の減少量との誤差が最小である場合である。したがって、このとき、計算残量と実残量との誤差が最小であるといえ、使用した残量式は使用中の試薬ボトル131に適した残量式であるといえる。
【0060】
自動分析装置1に搭載されている試薬ボトル131が複数の種類である場合、記憶部22に各々の試薬ボトル131の種類に対応した残量式が記憶されていれば、使用中の試薬ボトル131に適した残量式に自動的に変更される。さらに、各々の種類ごとに複数の残量式が記憶されていれば、そのなかから適した残量式を特定し、その残量式に自動的に変更される。
【0061】
このように、計算残量に基づいて試薬の分注を制御する場合、あらかじめ設定された残量式が使用中の試薬ボトル131に適していなくても、記憶部22に記憶された複数の残量式の中から、自動的に試薬ボトル131に適した残量式に変更されるので、試薬ボトル131と残量式との不適合は解消される。したがって、単純残量を用いて試薬の分注を制御できない場合であっても、少なくとも試薬ボトル131と残量式との不適合による実残量と計算残量との誤差を生じないため、計算残量と実残量との誤差を少なくでき、試薬の廃棄量を少なくできる。
【0062】
また、上述の実施の形態1では、あらかじめ設定された1つの残量式を用いて計算残量を算出していたが、実施の形態1の変形例2として、常に、計算残量算出部241は記憶部22が記憶する複数の残量式のなかから1つの残量式を特定し、この残量式を用いて計算残量を算出するとしてもよい。
【0063】
すなわち、図6に示すように、計算残量算出部241は、記憶部22が記憶する複数の残量式のなかから1つの残量式を特定し、この残量式を用いて計算残量を算出し(ステップS404)、判断部243は、この計算残量と単純残量との差分量と基準量とを比較し、判断処理をおこなう(ステップS405)。
【0064】
なお、ステップS404でおこなう、記憶部22が記憶する複数の残量式のなかから1つの残量式を特定し、この残量式を用いて計算残量を算出する手順は、図5に示す手順と同様である。
【0065】
次いで、判断部243が、単純残量と計算残量との差分量が基準量を超えると判断した後は(ステップS405:Yes)、制御部21は計算残量を用いて試薬の分注を制御する(ステップS408)。計算残量が所定量Q1以上である場合(ステップS408:Yes)、制御部21は、試薬分注部16に試薬を分注させるとともに、分注ノズル162に試薬を吸引後に液面検知回路161から入力する検知信号に基づき、試薬の液面高さを演算する(ステップS409)。そして、計算残量算出部241は、使用中の試薬ボトル131に適した残量式を特定し、特定した残量式を用いて計算残量を算出する(ステップS410)。そして、再度ステップS408に戻り、上述の手順を繰り返す。
【0066】
この場合、判断部243は、試薬ボトル131に適した残量式を用いて算出された計算残量を使用して判断処理を行うことができる。
【0067】
このように、試薬の分注を単純残量、または計算残量のいずれでおこなうかの判断時に、実残量との誤差が、より小さな計算残量と単純残量とを比較できるので、試薬の分注制御のため、単純残量と計算残量のいずれを用いるべきかを、より正確に判断できる。
【0068】
また、実施の形態1では、判断部243が単純残量と計算残量との差分量と比較する基準量は一定であったが、実施の形態1の変形例3として、この基準量を液面高さの減少に応じて減少させてもよい。
【0069】
すなわち、図7に示すように、判断部243は基準量を設定した後(ステップS505)、単純残量と計算残量との差分量と基準量との比較をし、判断処理をおこなう(ステップS506)。
【0070】
残量式の精度は、試薬の液面が低下するにつれ向上する。したがって、試薬ボトルに適した残量式を用いれば、試薬の液面が試薬ボトルの底面に近づくほど、実残量と計算残量の誤差は小さくなる。これは、試薬ボトルの成形工程において、試薬ボトル底面付近のほうが、試薬ボトル中間付近よりも、試薬ボトルの形状に誤差が生じにくいからである。
【0071】
そこで、試薬の液面高さが高く、残量式の精度が低いときには、計算残量と実残量との誤差が大きいので、基準量も大きくし、単純残量と計算残量とが同程度であるか大まかに確認する。そして、液面高さが低くなり、残量式の精度が高いときには、計算残量と実残量との誤差が小さいので、基準量も小さくし、単純残量と計算残量との比較を厳密におこなう。
【0072】
このように、試薬の分注を単純残量、または計算残量のいずれでおこなうかの判断時に、残量式の精度に応じて、判断基準を変動させることができるので、試薬の分注制御のため、単純残量と計算残量のいずれを用いるべきかを、より適切に判断できる。
【0073】
また、実施の形態1では、単純残量を用いて試薬の分注を制御している場合も、分注が停止するまで、試薬分注毎に計算残量を算出し、単純残量と計算残量との差分量と基準量との比較、判断処理をおこなっていた。しかしながら、実施の形態1の変形例4として、単純残量が所定量以下となった後は、計算残量を算出せず、判断処理をおこなわず、単純残量を用いて試薬の分注を制御するとしてもよい。
【0074】
すなわち、図8に示すように、判断部243が単純残量と計算残量との差分量が基準量を超えるかを判断し(ステップS605)、その差分量が基準量を超えないと判断する場合(ステップS605:No)、制御部21は、単純残量が所定量Q2以上か未満かを判断する(ステップS606)。なお、所定量Q2とは、制御部21が試薬の分注を停止するか否かの判断に用いる所定量Q1と比較し大きく、かつ、単純残量Q2が所定量未満となるまで単純残量を用いて試薬の分注を制御できたことに鑑み、単純残量と計算残量とを比較せずとも、単純残量と実残量とが同程度であると推認できる量である。例えば、所定量Q1に、数回から数十回分の試薬の吸引量を加えた量が設定される。
【0075】
単純残量が所定量Q2未満であった場合(ステップS606:No)、制御部21は、試薬分注部16に試薬の分注をさせるとともに、分注ノズル162に試薬を吸引後に液面検知回路161から入力する検知信号に基づき、液面高さを演算する(ステップS607)。
【0076】
次に、単純残量算出部242は、前回の試薬分注時に算出した単純残量から吸引量を減算し、単純残量を算出する(ステップS608)。
【0077】
次いで、制御部21は、単純残量が所定量Q1以上か未満かを判断する(ステップS609)。単純残量が所定量Q1未満であった場合(ステップS609:No)、制御部21は試薬の分注を停止する(ステップS610)。また、単純残量が所定量Q1以上であった場合(ステップS609:Yes)、ステップS607に戻り、再度上述のステップを繰り返す。
【0078】
一方、単純残量が所定量Q2以上であった場合(ステップS606:Yes)、ステップS602に戻り、試薬分注および液面検知(ステップS602)、単純残量算出(ステップS603)、計算残量算出(ステップS604)、判断部243による単純残量と計算残量との比較、判断処理(ステップS605)を繰り返す。
【0079】
このように、単純残量を用いて試薬の分注を制御中に、単純残量が所定量Q2未満となった場合、計算残量算出部241よる計算残量の算出、および判断部243による判断処理をおこなわないため、制御機構102における演算処理の負担を軽減できる。
【0080】
また、実施の形態1では、制御部21が情報コード読取部CR3を介して情報コード記録媒体132が記憶する封入量の情報を取得し、この封入量を単純残量と設定したが、実施の形態1の変形例5として、制御部21が封入量の情報を取得しない場合には、制御部21は計算残量算出部241が算出する計算残量を用いて、試薬の分注を制御するとしてもよい。
【0081】
すなわち、図9に示す自動分析装置1は、試薬ボトル131に貼付された情報コード記録媒体133に記録された情報コードを読み取る情報コード読取部CR4を有する。図10に示す、この情報コード記録媒体133は、封入量の情報コードを記録していない場合もある。よって、情報コード読取部CR4は、封入量の情報コードの読み取りがない場合もある。
【0082】
つぎに、図11を参照して、制御機構102が試薬の残量に応じて試薬の分注を制御する手順を説明する。
【0083】
図11に示すように、まず制御部21は封入量の情報を取得したか否かを判断する(ステップS701)。情報コード記録媒体133に封入量の情報コードが記録されておらず、制御部21が情報コード読取部CR4を介して、情報コード記録媒体133から封入量の情報を取得しない場合(ステップS701:No)、制御部21は、試薬分注部16に試薬を分注させるとともに、分注ノズル162に試薬を吸引後に液面検知回路161から入力する検知信号に基づき、液面高さを演算する(ステップS710)。次に、計算残量算出部241は、計算残量を算出する(ステップS711)。次いで、制御部21は、計算残量が所定量以上か否かを判断する(ステップS709)。計算残量が所定量Q1以上である場合(ステップS709:Yes)、ステップS710に戻り、再度上述のステップを繰り返す。
【0084】
このように、封入量の情報が得られない場合であっても、試薬残量を用いて試薬の分注を制御できる。
【0085】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、単純残量または計算残量のいずれかを用いて、試薬の分注を制御したが、この実施の形態2では、試薬ボトルに適した残量式を用いて計算残量を算出し、この計算残量のみを用いて、試薬の分注を制御する。
【0086】
すなわち、図12に示すように、図1に示した試薬残量算出部24に替え、計算残量算出部27のみを設ける。その他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0087】
次に、図13を参照して、制御機構102が計算残量に応じて、試薬の分注を制御する手順を説明する。
【0088】
まず、制御部21は、試薬分注部16に試薬を分注させるとともに、分注ノズル162に試薬を吸引後に液面検知回路161から入力する検知信号に基づき、液面高さを演算する(ステップS801)。
【0089】
次に、計算残量算出部27は、試薬ボトル131に適した残量式を特定し、特定した残量式を用いて計算残量を算出する(ステップS802)。なお、記憶部22が記憶する複数の残量式のなかから1つの残量式を特定し、この残量式を用いて計算残量を算出する手順は、図5に示す手順と同様である。
【0090】
次いで、制御部21は、計算残量が所定量Q1以上か未満かを判断する(ステップSS803)。計算残量が所定量以上の場合(ステップS803:Yes)、ステップS801に戻り、再度上述のステップを繰り返す。また、計算残量が所定量未満の場合(ステップS803:No)、制御部21は試薬の分注を停止する(ステップS804)。
【0091】
このように、計算残量と実残量との誤差の小さい残量式が自動的に特定され、この残量式から算出した計算残量を用いて試薬の分注を制御できるため、試薬ボトル131と残量式との不適合による計算残量と実残量との誤差を生じず、計算残量と実残量との誤差を少なくでき、試薬の廃棄量を少なくできる。
【0092】
なお、上述の実施の形態1、2では、液面検知手段は、液面検知回路161と分注ノズル162とを備え、試薬ボトル131に保持された試薬の液面に接する瞬間、または試薬液面から離れる瞬間を電気的に検出し、試薬液面を検知していた。しかし、本発明の液面検知手段は、試薬ボトル131に保持された試薬の液面が検知できればこれに限定されるものではなく、例えば、光センサよって液面を検知したり、音波を液面に照射し、反射してくる音波から液面を検知したりしてもよい。
【0093】
また、上述の実施の形態1、2では、情報コード記録媒体132、133等と、情報コード読取部CR1〜CR4とを用いて、検体または試薬の情報を読み取るようにしていたが、本発明では検体又は試薬の情報が制御機構102に入力されれば、これに限定されるものではない。例えば、検体の識別情報または試薬の情報が無線により情報を読み出しまたは書き込みのできるICチップに記録され、このICチップが内蔵された無線ICタグ(RFIDタグ)が、検体容器111、121、試薬ボトル131に貼付されており、情報コード読取部CR1〜CR4に替えて無線ICタグのリーダーが情報を読み取るようにしてもよい。または、検体又は試薬の情報を入力部25から入力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施の形態1にかかる自動分析装置のブロック図である。
【図2】図1に示す自動分析装置の試薬分注部の概略図である。
【図3】図1に示す制御機構が試薬の分注を停止させるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す制御機構が、計算残量に基づいて試薬の分注を制御する際、特定の残量式を用いて計算残量を算出する場合(変形例1)、試薬の分注を停止させるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す計算残量算出部が、複数の残量式から1つの残量式を特定し、特定した残量式を用いて計算残量を算出するまでの処理手順を示したフローチャートである。
【図6】図1に示す制御機構が、特定の残量式を用いて計算残量を算出する場合(変形例2)、試薬の分注を停止させるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す制御機構が、液面高さに応じて基準量を設定する場合(変形例3)、試薬の分注を停止させるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図1に示す制御機構が、単純残量による試薬分注制御中、単純残量が所定量未満となった後、計算残量を算出しない場合(変形例4)、試薬の分注を停止させるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1の変形例5にかかる自動分析装置のブロック図である。
【図10】実施の形態1の変形例5にかかる試薬ボトルと情報コード記録媒体の概略図である。
【図11】図9に示す制御機構が試薬の分注を停止させるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2にかかる自動分析装置のブロック図である。
【図13】図12に示す制御機構が試薬の分注を停止させるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 自動分析装置
11 検体移送部
12 検体容器保持部
13 試薬ボトル保持部
14 反応容器保持部
15 検体分注部
16 試薬分注部
17 攪拌部
18 測光部
19 反応容器洗浄部
21 制御部
22 記憶部
23 分析部
24 試薬残量算出部
25 入力部
26 出力部
27 計算残量算出部
101 測定機構
102 制御機構
111 検体容器
112 ラック
121 検体容器
131 試薬ボトル
132、133 情報コード記録媒体
141 反応容器
151、161 液面検知回路
162 分注ノズル
163 アーム
164 支柱
165 支持部材
241 計算残量算出部
242 単純残量算出部
243 判断部
CR1、CR2、CR3、CR4 情報コード読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の試薬ボトル内の試薬を分注し、前記試薬と検体とを反応させ、反応液の特性を測定し前記検体を分析する自動分析装置において、
前記試薬の封入量から、吸引量を減算した残量である単純残量を算出する単純残量算出手段と、
前記試薬ボトル内の試薬の液面を検知する液面検知手段と、
前記液面検知手段によって検知した液面高さと、前記液面高さと前記試薬ボトル内の前記試薬の残量との関係を示す残量式とから求めた残量である計算残量を算出する計算残量算出手段と、
前記単純残量と前記計算残量との差分量と基準量とを比較し、前記差分量が前記基準量を超えるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって、前記差分量が前記基準量を超えないと判断した場合、前記単純残量を用いて前記試薬の分注を制御し、前記判断手段によって、前記差分量が前記基準量を超えると判断した場合、前記計算残量を用いて前記試薬の分注を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記残量式を複数記憶する記憶手段を設け、
前記計算残量算出手段は、前記判断手段によって前記差分量が前記基準量を超えると判断した後、複数の前記残量式のうち、吸引前後の前記計算残量の差分量と前記吸引量との差分が最小となる前記残量式を特定し、特定した前記残量式を用いて前記計算残量を算出することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記残量式を複数記憶する記憶手段を設け、
前記計算残量算出手段は、複数の前記残量式のうち、吸引前後の前記計算残量の差分量と前記吸引量との差分が最小となる前記残量式を特定し、特定した前記残量式から計算残量を算出することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記基準量は、前記液面高さの減少に応じて減少することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記単純残量を用いて前記試薬の分注を制御中に、単純残量が所定量以下となった場合、前記単純残量を用いて前記試薬の分注を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記封入量の情報を読み取る読取手段を有し、
前記制御手段は、前記読取手段が前記封入量の情報を読み取らない場合、前記計算残量を用いて前記試薬の分注を制御し、前記読取手段が前記封入量の情報を読み取る場合、前記封入量を前記試薬分注前の前記単純残量として設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
所定の試薬ボトルから吸引した試薬と検体とを反応させ、反応液の特性を測定し前記検体を分析する自動分析装置において、
前記試薬ボトル内の液面を検知する液面検知手段と、
前記液面検知手段で検知した液面高さと、前記液面高さと前記試薬の残量との関係を示す残量式を複数記憶する記憶手段と、
複数の前記残量式のうち、前記液面高さと前記残量式とから求めた残量である計算残量の吸引前後の差分量と、前記吸引量との差分が最小となる前記残量式を特定し、特定した前記残量式と前記液面高さとを用いて前記計算残量を算出する計算残量算出手段と、
前記計算残量を用いて、前記試薬の分注動作の制御をおこなう制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−190959(P2008−190959A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24584(P2007−24584)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】