説明

自動監視システム

【課題】ユーザに煩わしさを与えることなく、緊急度の高い異常状態に対する処置を確実に行なうことができる自動監視システムを提供する。
【解決手段】自動監視システム100は、住宅2内に配置され、住宅2内で生じ得るさまざまな異常状態の発生を検出し、インターネット網50を介して、携帯端末80や固定電話機82などへ当該異常状態の発生を通知可能に構成される。そして、主制御装置6は、発生したと判断された異常状態の緊急度レベルに基づいて、音声および文字メッセージの一方を選択した上で、当該選択した方法によって当該異常状態の通知内容を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は宅内を監視する自動監視システムに関し、特に緊急度レベルに基づいて、音声またはメッセージを適切に選択して通知可能な自動監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅内のテレビやエアコンなどの家電機器をネットワークを介して互いに接続し、各家電機器の制御や管理などを実現するホームネットワーク技術が提案されている。このようなホームネットワーク技術を用いると、住宅内にあるさまざまな機器を用いたさまざまなシステムを実現することができる。
【0003】
このようなシステムの一例として、住宅内の状況を遠隔で監視可能な自動監視システムなどが提案されている。たとえば、特開2004−326221号公報(特許文献1)には、異常状態に応じて適切な動作状態に移行できる家電機器ネットワークシステムなどが開示されている。この家電機器ネットワークシステムでは、発生した緊急事態の種別を示すコードを記録した緊急電文を作成したブロードキャスト送信する緊急電文送信手段を有する家電機器と、受信した緊急電文に記録した緊急事態の種別コードに対応する対策を行なう緊急事態対策手段を有する家電機器とを備える。
【0004】
また、特開2001−297384号公報(特許文献2)には、セキュリティ会社に依存することなく、感知した異常事態に応じて、利用者が予め登録した通報先の中から感知した異常事態に対応する通報先を選択して緊急メッセージをそれらの通報先に通報するホームセキュリティシステムなどが開示されている。このホームセキュリティシステムは、感知手段から出力される信号を受信した場合に、受信した信号に対応する感知手段により感知された異常事態に応じて、登録手段に予め登録されている通報先の一つまたは二つ以上を選択し、該選択した通報先が応答しない場合には、別の通報先を選択し、応答があった通報先に異常事態に対応する緊急メッセージを送信するように構成される。
【特許文献1】特開2004−326221号公報
【特許文献2】特開2001−297384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特開2001−297384号公報(特許文献2)に開示されるホームセキュリティシステムでは、予め設定された複数の通報先に対して、いずれかの通報先が応答するまで順次、緊急メッセージの送信が試みられる。しかしながら、感知される異常状態には、緊急度の高いものから低いものまでが存在する。そのため、すべての異常状態に応答して、一律に通報先に緊急メッセージを送信した場合には、緊急度の低い異常状態の送信が頻繁して発生することで、ユーザが緊急度の高い異常状態の発生を見逃すおそれもあった。
【0006】
また、緊急度の低い異常状態については、ユーザがその発生を事後的に確認するだけで済む場合も多いのに対して、緊急度の高い異常状態については、ユーザがその発生に対して何らかの処置を即座に行なうべき場合も多い。そのため、緊急度に関わらず、一律に同一の方法によって緊急メッセージが送信されてしまうと、ユーザに煩わしさを与えるとともに、緊急度の高い異常状態に対する処置が遅れるおそれがあった。
【0007】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザに煩わしさを与えることなく、緊急度の高い異常状態に対する処置を確実に行なうことができる自動監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従う自動監視システムは、宅内に形成された宅内ネットワークと、宅内ネットワークに接続されるとともに、広域ネットワークを介して宅外の相手先との間でデータ伝送を可能に構成された制御部と、宅内における監視対象の変化を検知し、宅内ネットワークを介して検知情報を制御部へ伝送可能に構成されたセンサ部と、宅内で発生し得る異常状態に対して所定の処置を実行するための処置部とを備える。そして、制御部は、センサ部から伝送される検知情報の少なくとも1つを含む条件式によって規定される異常状態に対応付けて、予め、緊急度レベル、通知内容および処置内容を格納する第1記憶手段と、緊急度レベルに対応付けて、予め、電話番号およびメールアドレスのうち少なくとも1つを含む通知先を格納する第2記憶手段と、通知内容を音声化した音声データを生成するための音声データ生成手段と、インターネットプロトコルに従って、宅外の相手先との間で通話を行なうための通話手段と、通知内容を示す文字データを含む文字メッセージを生成するためのメッセージ生成手段と、インターネットプロトコルに従って、宅外の相手先に対して文字メッセージを送信するためのメール送信手段と、センサ部から伝送される検知情報に応答して、第1記憶手段に格納された条件式のうち成立する条件式に対応する異常状態の緊急度レベル、通知内容および処置内容を抽出する第1抽出手段と、少なくとも第1抽出手段によって抽出された通知内容を発生時刻とともに格納する第3記憶手段と、第1抽出手段によって抽出された処置内容に応じた処置を実行するために、対応の処置部に指示を与える処置実行手段と、第1抽出手段によって抽出された緊急度レベルに基づいて、第2記憶手段から対応の通知先を抽出する第2抽出手段と、第2抽出手段によって抽出される通知先が電話番号およびメールアドレスのいずれで特定されているかを判断する判断手段と、判断手段において通知先が電話番号で特定されているときに、第1抽出手段によって抽出された通知内容を音声データ生成手段へ与えるとともに、通話手段を用いて当該通知内容を音声によって通知先に通知する第1通知手段と、判断手段において通知先がメールアドレスで特定されているときに、第1抽出手段によって抽出された通知内容をメッセージ生成手段へ与えるとともに、メール送信手段を用いて当該通知内容を文字メッセージによって通知先に通知する第2通知手段とを含む。
【0009】
この発明の別の局面に従う自動監視システムは、宅内に形成された宅内ネットワークと、宅内ネットワークに接続されるとともに、広域ネットワークを介して宅外の相手先との間でデータ伝送を可能に構成された制御部と、宅内における監視対象の変化を検知し、宅内ネットワークを介して検知情報を制御部へ伝送可能に構成されたセンサ部とを備える。そして、制御部は、所定のプロトコルに従って、宅外の相手先との間で通話を行なうための通話手段と、所定のプロトコルに従って、宅外の相手先に対して視認可能な情報を送信するための情報送信手段と、検知情報に基づいて、宅内で発生した異常状態を判断する判断手段と、判断手段において発生したと判断された異常状態の緊急度レベルに基づいて、第1または第2識別情報で特定された通知先を決定する決定手段と、決定手段において決定された通知先が第1識別情報で特定されているときに、通話手段を用いて、判断手段において発生したと判断された異常状態の通知内容を音声によって当該通知先に通知する第1通知手段と、決定手段において決定された通知先が第2識別情報で特定されているときに、情報送信手段を用いて、判断手段において発生したと判断された異常状態の通知内容を視認可能な情報によって当該通知先に通知する第2通知手段とを含む。
【0010】
この局面に従う自動監視システムによれば、発生したと判断された異常状態の緊急度レベルに基づいて、音声および視認可能な情報の一方が選択された上で、当該選択された方法によって当該異常状態の通知内容が通知される。これにより、同じ方法(たとえば、音声)で一律に通知を行なう構成に比較して、よりメリハリをつけた異常状態の通知が可能となる。よって、ユーザに煩わしさを与えることなく、ユーザが緊急度の高い異常状態に対する処置を確実に実行できる。
【0011】
好ましくは、視認可能な情報は、通知内容の文字データを含む文字メッセージである。
好ましくは、判断手段は、センサ部から伝送される検知情報の少なくとも1つを含む条件式に従って、宅内で発生した異常状態を判断する。
【0012】
好ましくは、決定手段は、異常状態に対応付けて緊急度レベルおよび通知内容が予め規定された第1データベースを参照して発生した異常状態の緊急度レベルを抽出するとともに、当該抽出した緊急度レベルに基づいて、緊急度レベルに対応付けて通知先が予め規定された第2データベースを参照することで、通知先を決定する。
【0013】
好ましくは、この局面に従う自動監視システムは、宅内で発生し得る異常状態に対して所定の処置を実行するための処置部をさらに備え、制御部は、判断手段において発生したと判断された異常状態に対応付けられた処置を、処置部に実行させるための処置実行手段をさらに含む。
【0014】
好ましくは、制御部は、判断手段において発生したと判断された異常状態に係る情報をその発生時刻とともに格納する履歴格納手段をさらに含む。
【0015】
好ましくは、所定のプロトコルは、インターネットプロトコルを含む。
好ましくは、決定手段は、緊急度レベルが高くなるにつれて、第2通知手段に比較して第1通知手段を優先的に用いて通知が行なわれるように、通知先に決定する。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ユーザに煩わしさを与えることなく、緊急度の高い異常状態に対する処置を確実に行なうことができる自動監視システムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態に従う自動監視システム100の概略構成図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態に従う自動監視システム100は、住宅2内に配置され、住宅2内で生じ得るさまざまな異常状態の発生を検出し、インターネット網50を介して、携帯端末80や固定電話機82、もしくは図示しないIP電話機などへ当該異常状態の発生を通知可能に構成される。より具体的には、自動監視システム100は、ホームネットワーク4と、主制御装置6と、ゲートウェイ(GW)8と、温度センサ20と、監視カメラ22と、ジャイロセンサ24と、スプリンクラー26と、開閉バルブ28と、水供給管27と、ハードディスクレコーダ(HDR)32と、テレビ30と、エアコン34と、ガスメータ36と、煙センサ38とを備える。
【0019】
ホームネットワーク4は、住宅2内に形成され、自動監視システム100を構成する機器間のデータ伝送を媒介する。
【0020】
主制御装置6は、自動監視システム100における全体動作を制御するための装置であり、ホームネットワーク4を介して各機器からの検知情報を取得するとともに、住宅2内で異常状態が発生したと判断すると、インターネット網50を介して住宅2の外部に存在する通知先に当該異常状態に対応する通知内容を通知する。なお、主制御装置6における処理の詳細な内容は後述する。
【0021】
ゲートウェイ8は、ホームネットワーク4とインターネット網50との間に接続され、両ネットワーク間のプロトコルを相互に変換する。より具体的には、ゲートウェイ8は、主として主制御装置6から送出されるデータパケットをそのヘッダ情報などに基づいて、インターネット網50上の所定の宛先に送出するとともに、インターネット網50を介して受信したデータパケットを主制御装置6へ送出する。
【0022】
温度センサ20は、住宅2内のしかるべき場所、たとえば天井部分に配置され、住宅2内の温度を検出し、当該検出した温度を含む検出情報を、ホームネットワーク4を介して主制御装置6へ伝送する。すなわち、温度センサ20は、住宅2内の温度を監視対象とするセンサ部である。
【0023】
監視カメラ22は、たとえば、住宅2の玄関部分や窓部分などに配置され、住宅2に出入りする人物などを撮影する。さらに、監視カメラ22は、画像処理技術を用いて人物の動きなどを検知する機能を有してもよく、人物の動きなどを検知すると、当該検知情報をホームネットワーク4を介して主制御装置6へ伝送する。すなわち、監視カメラ22は、住宅2内の人物の動きなどを監視対象とするセンサ部である。
【0024】
ジャイロセンサ24は、主として、地震などによって生じる住宅2の揺れを検知し、当該検知情報をホームネットワーク4を介して主制御装置6へ伝送する。すなわち、ジャイロセンサ24は、住宅2の揺れを監視対象とするセンサ部である。
【0025】
煙センサ38は、たとえば、住宅2の天井部分に配置され、煙が所定の状態まで発生しているか否かを検出し、当該煙発生状態を含む検出情報を、ホームネットワーク4を介して主制御装置6へ伝送する。すなわち、温度センサ20は、住宅2内の煙発生状態を監視対象とするセンサ部である。
【0026】
スプリンクラー26は、住宅2の天井部分などに配置され、住宅2内で火災が発生した際に、消火のために水供給管27を介して供給される水を散布する装置である。水供給管27には、スプリンクラー26までの供給経路の途中に開閉バルブ28が設けられており、開閉バルブ28の開動作により、水の散布が開始される。開閉バルブ28は、ホームネットワーク4と接続され、主制御装置6からの指示に応じて開動作または閉動作を実行可能に構成される。すなわち、開閉バルブ28は、消火を行なうための処置部である。
【0027】
エアコン34は、住宅2内を所定の設定温度に調整する空調装置であり、主制御装置6からホームネットワーク4を介して伝送される指示に応答して、作動ならびに停止、および設定温度の変更などが可能に構成される。すなわち、エアコン34は、住宅2内の温度調節を行なうための処置部である。
【0028】
ガスメータ36は、ガス会社から供給されるガス、もしくは住宅2に近接して配置されたガスボンベに充填されたガスを住宅2内に導入する際にガス流量を積算する装置である。本実施例では、ガスメータ36は、さらにホームネットワーク4と接続され、主制御装置6からの指示に応じて、住宅2へのガス供給を遮断する機能を有する。すなわち、ガスメータ36は、住宅2へのガス供給の遮断を行なうための処置部である。
【0029】
ハードディスクレコーダ32は、ハードディスクを内蔵し、当該ハードディスクに映像情報などを格納し、もしくは当該格納した映像情報の再生が可能な録画再生装置である。そして、ハードディスクレコーダ32は、ホームネットワーク4に接続され、主制御装置6からの指示に応答して、予め格納していた映像情報をテレビ30へ出力したり、監視カメラ22によって撮影された映像をホームネットワーク4を介して取得して録画したりする。また、ハードディスクレコーダ32は、主制御装置6からの指示に応答して、テレビ30の電源をオンまたはオフにすることが可能に構成される。
【0030】
テレビ30は、ハードディスクレコーダ32と接続され、上述したように、電源のオンまたはオフを制御されるとともに、ハードディスクレコーダ32が再生する映像情報に基づく映像をその画面に表示する。
【0031】
次に、自動監視システム100とインターネット網50を介して接続される通知先の構成について説明する。
【0032】
インターネット網50内では、いわゆるOSI(Open Systems Interconnection)モデルにおけるネットワーク層として、共通のインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)に従ってデータパケットが伝送される。このようなデータパケットは、OSIモデルにおいてより上位のアプリケーション層が適宜選択されることで、さまざまなアプリケーションに利用される。このようなアプリケーションの一例として、電子メールの送受信やVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を用いたIP電話などがある。
【0033】
そこで、本実施例では、異常状態の発生を視認可能な情報または音声を用いて通知先に通知する。より具体的には、視認可能な情報とは、一例として、通知内容の文字データを含む文字メッセージであり、当該文字メッセージは電子メールにより伝送される。また、IP電話を用いて、通知内容を発声する音声が伝送される。
【0034】
そして、インターネット網50には、インターネット網50を介してIP電話機同士の通信制御を実行するSIP(Session Initiation Protocol)サーバ52が接続される。SIPサーバ52は、発信元のIP電話機に入力された電話番号に対応付けられたIPアドレスなどに基づいて、発信先のIP電話機との間でセッションを確立する。
【0035】
さらに、インターネット網50には、IP電話機と従来の電話機との間の通話を可能にする電話局60および70が接続される。
【0036】
電話局60は、インターネット網50に接続されたIP電話機と、携帯電話もしくは携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)との間の通話もしくはデータ送受信を実現する。なお、携帯電話もしくは携帯情報端末を含む概念として「携帯端末80」と称す。そして、電話局60は、交換機64およびゲートウェイ62を含む。交換機64は、通信対象の携帯端末80をそのエリア内に含む中継アンテナ66に対応する交換機68と選択的に接続され、データ(音声または文字データ)の授受を行なう。ゲートウェイ62は、インターネット網50を介して伝送されるデータパケットと、交換機64によって取扱われる信号とを相互に変換する。より詳細には、ゲートウェイ62は、インターネット網50を介して受信するデータパケットのうち、電子メールに係るデータパケットはその文字データを交換機64へ出力するとともに、IP電話に係るデータパケットは音声信号に変換して交換機64へ出力する。このように、ゲートウェイ62は、インターネット網50を流れるデータパケットの種類に応じた変換処理を行なう。
【0037】
また、電話局70は、インターネット網50に接続されたIP電話機と、固定電話機82(もしくはファクシミリ)との間の通話を実現する。そして、電話局70は、交換機74およびゲートウェイ72を含む。交換機74は、通信対象の固定電話機82に対応する交換機78と選択的に接続され、音声の送受信を行なう。ゲートウェイ72は、インターネット網50を介して伝送されるIP電話に係るデータパケットと、交換機74によって取扱われる音声信号とを相互に変換する。
【0038】
以上のような構成によって、自動監視システム100は、インターネット網50を介して、住宅2の外部に存在するIP電話機、携帯端末80および固定電話機82との間で通話もしくはメール送信が可能である。
【0039】
(主制御装置の構成)
図2は、この発明の実施の形態に従う主制御装置6の概略構成図である。
【0040】
図2を参照して、主制御装置6は、一例としてパーソナルコンピュータによって実現される。より具体的には、主制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)602と、通信インターフェイス(通信IF)604と、モニタ606と、キーボード608と、マウス610と、ハードディスク(HDD)612と、RAM(Random Access Memory)614と、CD−ROM駆動装置616とからなる。
【0041】
CPU602は、ハードディスク612などに格納されたプログラムを読出し、当該プログラムに従って処理を実行する演算部である。通信インターフェイス604は、ホームネットワーク4(図1)と電気的に接続され、ホームネットワーク4内のデータ送受信を実行する。モニタ606は、CPU602における演算処理の結果などを表示するための表示部であり、一例として液晶ディスプレイなどからなる。キーボード608およびマウス610は、ユーザが主制御装置6に対して指示や設定などを与えるためのインターフェイスである。ハードディスク612は、CD−ROM駆動装置616によって記憶媒体であるCD−ROM618から読取られたプログラムなどを格納するとともに、CPU602からのアクセス要求に応答して、格納するデータの読出しまたは新たなデータの格納などを行なう。RAM614は、CPU614が演算処理を実行する際のワークメモリなどとして機能し、演算処理で使用されるデータを一時的に格納し、または格納したデータを読出す。CD−ROM駆動装置616は、CD−ROM618に格納されたデータを光学的に読出し、ハードディスク612などへ転送する。
【0042】
(主制御装置のCPUにおける制御構造)
図3は、この発明の実施の形態に従う主制御装置6のCPU602における制御構造である。なお、図3に示すCPU602における制御構造は、CPU602がプログラムを実行することで実現されるが、各ブロックに相当する電子回路によって実現してもよい。
【0043】
図3を参照して、主制御装置6のCPU602における制御構造は、イベント検出部6021と、監視制御部6022と、処置実行部6023と、音声データ生成部6024と、IP電話部6025と、メッセージ生成部6026と、メール送信部6027と、ログ格納部6028と、時計部6029とを含む。また、ハードディスク612には、異常状態データベース612aと、通知先データベース612bと、ログデータベース612cが格納される。
【0044】
イベント検出部6021は、通信インターフェイス604を介して、ホームネットワーク4(図1)に接続された、温度センサ20、監視カメラ22、ジャイロセンサ24、および煙センサ38の各々から検知情報を受信するか否かを監視し、何らかの検知情報が受信されると、監視制御部6022に対して処理開始のイベントを発生する。
【0045】
監視制御部6022は、イベント検出部6021が発生したイベントに応答して、ハードディスク612に格納される異常状態データベース612aを参照して、異常状態の発生の有無を判断する。
【0046】
図4は、異常状態データベース612aのデータ構造を模式的に示す図である。
図4を参照して、異常状態データベース612aは、条件式フィールド6121と、緊急度フィールド6122と、通知内容フィールド6123と、処置内容フィールド6124とからなる。
【0047】
そして、条件式フィールド6121には、各センサから伝送される検知情報の少なくとも1つを含む条件式によって異常状態が規定される。これらの条件式は、ユーザが任意に設定可能に構成される。
【0048】
図4では、温度センサ20が2段階で高温を検出する場合の例を示す。すなわち、温度センサ20によって検出される温度が第1温度(たとえば、40℃)を超えた場合に検出情報として「H」が送出され、第2温度(たとえば、60℃)を超えた場合に検出情報として「HH」が送出される。また、煙センサ38は、煙発生を検出すると「H」を送出する。そして、図4に示す条件式フィールド6121の第1欄には、温度センサ20から「HH」の検出情報を受信し、かつ煙センサ38から「H」を受信した場合に成立する条件式が規定される。この条件式は、住宅2で火災が発生していると判断するためのものである。さらに、条件式フィールド6121に規定される条件式の各々に対応付けて、緊急度レベル、通知内容、および処置内容がそれぞれ緊急度フィールド6122、通知内容フィールド6123、および処置内容フィールド6124に規定される。すなわち、図4の第1欄には、住宅2での火災発生という異常状態に対応付けて、緊急度レベルとして「F」、通知内容として「火災発生」、処置内容として「スプリンクラー『ON』」が規定される。
【0049】
なお、上記のように温度センサ20および煙センサ38からの検出情報を用いた条件式を採用することで、火災発生といった深刻な異常状態についての誤判断を回避することができる。ここで、図4に示す条件式フィールド6121の第2欄には、温度センサ20から「HH」の検出情報を受信し、かつ煙センサ38から「H」を受信していない(すなわち「L」を維持している)場合に成立する条件式が規定される。この条件式は、住宅2の温度が上昇していると判断するためのものであり、火災発生とは判断しない。すなわち、温度センサ20から「HH」の検出情報を受信した場合であっても、煙センサ38からの検出情報に応じて、「火災」または「温度上昇」に判断が分かれることになる。したがって、きめ細かい条件式を規定することで、より的確に異常状態の発生を判断できる。
【0050】
再度、図3を参照して、監視制御部6022は、伝送される検知情報に応答して、異常状態データベース612aに規定された条件式(図4の条件式フィールド6121)のうち成立する条件式に対応する異常状態の緊急度レベル(図4の緊急度フィールド6122)、通知内容(図4の通知内容フィールド6123)および処置内容(図4の処置内容フィールド6124)を抽出する。そして、監視制御部6022は、抽出した緊急度レベルに基づいて、通知先データベース612bから対応の通知先を抽出する。
【0051】
図5は、通知先データベース612bのデータ構造を模式的に示す図である。
図5を参照して、通知先データベース612bは、緊急度フィールド6126と、通知先フィールド6127とからなる。
【0052】
緊急度フィールド6126は、図4に示す緊急度フィールド6122の値と関連付けられた、いわゆるリレーショナルデータベースを構成する。すなわち、緊急度フィールド6126に規定される「A」〜「F」は、図4に示す緊急度フィールド6122に入力可能な値のリストとなっている。そして、通知先フィールド6127には、緊急度フィールド6126に対応付けて、通知先を特定するための識別情報である、電話番号およびメールアドレスのうち少なくとも1つが規定される。
【0053】
なお、本実施例では、一例として、緊急度レベルを以下のような6段階に規定する。
緊急度レベル「A」では、後述するように、発生した異常状態の履歴(ログ)の格納のみが行なわれ、通知先への通知は行なわれない。
【0054】
緊急度レベル「B」では、発生した異常状態の内容が電子メールによって1回だけ通知先に通知される。
【0055】
緊急度レベル「C」では、発生した異常状態の内容が電子メールによってリアルタイムで通知先に通知される。
【0056】
緊急度レベル「D」では、発生した異常状態の内容が電話によって通知先に通知される。もし、通知先からの応答がない場合には、電子メールによって1回だけ当該通知先に通知される。
【0057】
緊急度レベル「E」では、発生した異常状態の内容が電話によって通知先に通知される。もし、通知先からの応答がない場合には、電話によって別の通知先に通知される。予め複数の通知先が規定されることで、通知先からの応答がない場合には、通知先を順次変更して通知を試みる。
【0058】
緊急度レベル「F」では、火災や侵入者などの特定の異常状態が発生した場合において、消防署や警察署などの社会的に定められた通知先にその内容が通知される。
【0059】
このような緊急度のレベル分けに応じて、緊急度レベル「A」に対応する通知先フィールド6127の第1欄への通知先の入力は無効となる。また、緊急度レベル「B」および「C」に対応する通知先フィールド6127の第2欄および第3欄には、一例として「mobile@home」なるメールアドレスが規定される。また、緊急度レベル「D」に対応する通知先フィールド6127には、第1通知先として「○○−○○○○−○○○○」なる電話番号が規定され、応答がなかった場合の第2通知先として「mobile@home」なるメールアドレスが規定される。また、緊急度レベル「D」に対応する通知先フィールド6127の第5欄には、第1通知先として「○○−○○○○−○○○○」なる電話番号が規定され、応答がなかった場合の第2通知先として「△△−△△△△−△△△△」なる電話番号が規定され、さらに応答がなかった場合の第3通知先として「●●−●●●●−●●●●」なる電話番号が規定される。また、緊急度レベル「F」に対応する通知先フィールド6127の第6欄には、社会的に定められた「110」もしくは「119」が規定される。
【0060】
以上のように、監視制御部6022は、抽出した緊急度レベルに基づいて、通知先データベース612bから対応の通知先を抽出する。
【0061】
再度、図3を参照して、監視制御部6022は、通知先データベース612bから抽出した通知先が電話番号およびメールアドレスのいずれで特定されているかを判断する。そして、監視制御部6022は、抽出した通知先が電話番号で特定されている場合には、異常状態データベース612aから抽出した通知内容を音声データ生成部6024へ与える。同時に、監視制御部6022は、通知先データベース612bから抽出した通知先の電話番号をIP電話部6025へ与える。
【0062】
音声データ生成部6024は、監視制御部6022から与えられる通知内容を音声化した音声データを生成し、当該生成した音声データをIP電話部6025へ出力する。なお、音声データの生成には、公知の音声合成技術を用いることができる。
【0063】
IP電話部6025は、インターネットプロトコル(IP)に従って、住宅2の外部に存在する相手先との間で通話を行なう。具体的には、IP電話部6025は、音声データ生成部6024から与えられる音声データをインターネットプロトコルに従うVoIP技術を用いてデータパケット化するとともに、監視制御部6022から与えられる電話番号に対応する通知先の宛先アドレス(IPアドレスなど)に向けて当該データパケットを送出する。また、IP電話部6025は、通知先の応答によって生じる音声信号(もしくはトーン信号)を受けて、所定の応答信号を監視制御部6022へ出力する。
【0064】
一方、抽出した通知先がメールアドレスで特定されている場合には、監視制御部6022は、異常状態データベース612aから抽出した通知内容および通知先データベース612bから抽出した通知先のメールアドレスをメッセージ生成部6026へ与える。同時に、監視制御部6022は、メール送信部6027へメール送信指示を与える。
【0065】
メッセージ生成部6026は、監視制御部6022から与えられる通知内容を示す文字データを含む文字メッセージを生成し、当該生成した文字メッセージをメール送信部6027へ出力する。当該文字メッセージには、監視制御部6022から与えられるメールアドレスがヘッダとして組込まれ、電子メールとして送信可能な形式に成形される。
【0066】
メール送信部6027は、インターネットプロトコル(IP)に従って、住宅2の外部に存在する相手先に対して文字メッセージを送信する。
【0067】
なお、上述したIP電話部6025による通話、およびメール送信部6027による電子メールの送信に伴うデータパケットは、いずれもゲートウェイ8(図1)を介してインターネット網50に送出され、インターネット網50内で順次転送されて、宛先まで届けられる。
【0068】
上述の異常状態の通知機能に加えて、監視制御部6022は、異常状態データベース612aから異常状態の通知内容を抽出すると、当該通知内容をログ格納部6028へ与える。監視制御部6022から通知内容を与えられると、ログ格納部6028は、時計部6029から現在時刻を取得し、当該時刻(発生時刻)とともに、当該通知内容をハードディスク612内のログデータベース612cに格納する。なお、監視制御部6022は、異常状態の緊急度レベルがいずれであっても、その通知内容をログ格納部6028へ与える。なお、異常状態の通知内容に限らず、同時に、その緊急度レベルおよび通知先などもログデータベース612cに格納するようにしてもよい。
【0069】
(ログ収集機能)
さらに、監視制御部6022は、上述したIP電話もしくは電子メールによる通知先への通知を行なった履歴や、IP電話を用いた通知において、通知先から応答があった履歴などをログ格納部6028へ与える。ログ格納部6028は、監視制御部6022から与えられる情報をログデータベース612cに順次格納する。
【0070】
図6は、ログデータベース612cに格納される履歴データの一例を示す図である。
図6を参照して、ログデータベース612cは、時刻フィールド6128と、ログ内容フィールド6129とからなる。
【0071】
時刻フィールド6128には、ログ格納部6028が監視制御部6022から履歴データを受信した時刻が格納され、ログ内容フィールド6129には、当該履歴データが格納される。
【0072】
図6に示す例では、まず、時刻「14:00」に温度センサ20から検出情報として「H」が送出されたとすると、監視制御部6022は、図4に示す異常状態データベース612aから、温度センサ20の「H」に対応する異常状態の通知内容「温度上昇」を抽出し、ログ格納部6028に与える。すると、ログ格納部6028は、その通知内容をその発生時刻である時刻「14:00」とともに、ログデータベース612cに格納する。なお、図6では、緊急度についても併せてログ格納部6028に格納する構成について例示する。
【0073】
その後、時刻「14:15」に温度センサ20から検出情報として「HH」が送出されたとすると、監視制御部6022は、図4に示す異常状態データベース612aから、温度センサ20の「HH」に対応する異常状態の通知内容「温度異常」を抽出し、ログ格納部6028に与える。なお、煙センサ38は「L」のままとする。すると、ログ格納部6028は、その通知内容をその発生時刻である時刻「14:15」とともに、ログデータベース612cに格納する。
【0074】
同時に、監視制御部6022は、通知先(図5に示す「○○−○○○○−○○○○」)に通知内容を通知する。このとき、監視制御部602は、この通知動作の実行を示す内容についてもログ格納部6028に与える。すると、ログ格納部6028は、その内容を通知動作の実行時刻である時刻「14:16」とともに、ログデータベース612cに格納する。
【0075】
さらに、通知先に着信して通知内容が確認された上、通知先からの応答があった場合には、監視制御部6022は、この応答を示す内容についてもログ格納部6028に与える。すると、ログ格納部6028は、その内容をその応答時刻である時刻「14:17」とともに、ログデータベース612cに格納する。なお、通知内容の応答は、通知先のユーザが電話機の操作(たとえば、「#」ボタンの押圧など)によって実現される。
【0076】
以上のように、ログ格納部6028には、異常状態の発生、通報動作、および通報応答などが発生順に格納される。
【0077】
(処置実行機能)
さらに、監視制御部6022は、上述した通知先への通知とともに、予め処置内容が規定されている異常状態に対しては、当該処置を実行する。
【0078】
再度、図1および図4を参照して、一例として、温度センサ20から「HH」が送出され、かつ煙センサ38から「H」が送出されると、住宅2の「火災発生」と判断される。すると、「火災発生」に対応する処置内容である「スプリンクラー『ON』」に従って、監視制御部6022は、開閉バルブ28に開動作を指示する。この指示に応答して、スプリンクラー26は、開状態となり、スプリンクラー26から水の散布が開始される。このようにして、住宅2の火災発生に対する処置(消火)が実行される。さらに、図4には、住宅2における「温度異常」に対して、エアコン34の作動開始(第2欄)、「地震発生」に対して、ガスメータ36によるガス供給の遮断(第3欄)などが規定されている。
【0079】
他の処置内容の例として、監視制御部6022は、住宅2への不法侵入者を検知すると、監視カメラ22で住宅2内の映像を撮影し、当該撮影映像をハードディスクレコーダ32に格納させる。また、不法侵入者に対して、ハードディスクレコーダ32に予め格納されていた威嚇映像または威嚇音声などをテレビ30上に表示などしてもよい。さらに、降雨を検知して、洗濯物が濡れないように、物干し竿などを住宅2の屋根下などに移動させるように構成してもよい。
【0080】
(処理フロー)
図7は、この発明の実施の形態に従う主制御装置6の処理手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は、CPU602によって実行される。
【0081】
図7を参照して、CPU602は、センサなどからの検知情報を受信したか否かを判断する(ステップS100)。検知情報を受信していない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU6は、再度、検知情報を受信したか否かを判断する(ステップS100)。
【0082】
一方、検知情報を受信した場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU6は、ハードディスク612に格納されている異常状態データベース612aを参照して、受信した検知情報に基づいて、異常状態を規定する条件式のうち成立するものが存在するか否かを判断する(ステップS102)。成立する条件式が存在する場合(ステップS102においてYESの場合)には、CPU602は、当該成立する条件式に対応する緊急度レベル、通知内容および処置内容を抽出する(ステップS104)。なお、成立する条件式が複数存在する場合には、成立する条件式の数に相当する回数だけ、ステップS104の処理を繰返し実行する。
【0083】
一方、成立する条件式が存在しない場合(ステップS102においてNOの場合)には、CPU602は、本フローチャートの最初の処理に戻る。
【0084】
そして、CPU602は、抽出した通知内容を発生時刻とともに、ハードディスク612のログデータベース612cに格納する(ステップS106)。また、CPU602は、抽出した処置内容に有効な内容が規定されているか否かを判断する(ステップS108)。有効な内容が規定されている場合(ステップS108においてYESの場合)には、CPU602は、当該処置内容に応じた処置の実行を対象装置へ指示する(ステップS110)。なお、有効な内容が規定されていない場合(ステップS108においてNOの場合)には、CPU602は、処置の実行指示を省略する。
【0085】
続いて、CPU602は、抽出した緊急度レベルに基づいて、ハードディスク612に格納されている通知先データベース612bから、通知先を抽出する(ステップS112)。そして、CPU602は、抽出した通知先が電話番号およびメールアドレスのいずれで特定されているかを判断する(ステップS114)。
【0086】
通知先が電話番号で特定されている場合(ステップS114において「電話番号」の場合)には、CPU602は、抽出した通知内容を音声化した音声データを生成する(ステップS116)。そして、CPU602は、通知先の電話番号に向けて通話発信して、通知内容に応じた音声を伝送する(ステップS118)。
【0087】
そして、CPU602は、通知先からの応答があるか否かを判断する(ステップS120)。上述したように、通知先からの応答とは、通知先のユーザによる返答、具体的には「#」ボタンの押圧といった電話機の操作によって実現される。
【0088】
通知先からの応答がない場合(ステップS120においてNOの場合)には、CPU602は、通知先データベース612bから次の通知先を抽出し(ステップS122)、ステップS114以下の処理を再度実行する。
【0089】
通知先からの応答がある場合(ステップS120においてYESの場合)には、CPU602は、一連の処理を完了し、本フローチャートの最初の処理に戻る。
【0090】
一方、通知先がメールアドレスで特定されている場合(ステップS114において「メールアドレス」の場合)には、CPU602は、抽出した通知内容を示す文字データおよびメールアドレスを含む文字メッセージを生成する(ステップS124)。そして、CPU602は、通知先のメールアドレスに向けて生成した文字メッセージを伝送し(ステップS126)、本フローチャートの最初の処理に戻る。
【0091】
(自動監視システム自体の状態監視)
上述した自動監視システム100は、住宅2内の異常状態の発生を監視するものであるが、自動監視システム100自体の健全性を監視することがより好ましい。すなわち、特に主制御装置6のシステムダウンなどにより、自動監視システム100の機能が停止してしまう可能性がある。そこで、主制御装置6とインターネット網50を介して接続された他の装置との間で定期的な通信を行なうことで、主制御装置6のシステムダウンを監視することができる。本実施例では、一例として、図1に示すSIPサーバ52が主制御装置6の状態監視を行なう。
【0092】
図8は、自動監視システム100自体の状態監視に係るシーケンス図である。
図8を参照して、主制御装置6とSIPサーバ52との間で「ヘルシー要求」および「ヘルシー応答」の送受信が定周期で繰返される。すなわち、SIPサーバ52が「ヘルシー要求」を主制御装置6へ送信する(SQ10)と、主制御装置6が健全であれば、「ヘルシー応答」がSIPサーバ52へ返信される(SQ12)。なお、SIPサーバ52からの「ヘルシー要求」の送信は、所定の周期(たとえば、5分間隔)で実行される。
【0093】
一方、主制御装置6にシステムダウンなどが発生すると、SIPサーバ52からの「ヘルシー要求」の送信(SQ14)に対して、「ヘルシー応答」が返信されないので、SIPサーバ52は、主制御装置6が異常状態であると判断できる。そして、SIPサーバ52は、予め定められた通知先に主制御装置6における異常状態の発生を通知する(SQ16)。
【0094】
なお、SIPサーバ52は、IP電話機用の交換機であるので、音声による通知が可能であるとともに、付加的に電子メール送信機能を容易に付加できるので、電子メールによる通知も可能である。
【0095】
この発明の実施の形態では、ホームネットワーク4が「宅内ネットワーク」に相当し、主制御装置6が「制御部」に相当し、温度センサ20、監視カメラ22、ジャイロセンサ24、および煙センサ38が「センサ部」に相当し、スプリンクラー26、エアコン34およびガスメータ36が「処置部」に相当し、異常状態データベース612aが「第1記憶手段」に相当し、通知先データベース612bが「第2記憶手段」に相当し、ログデータベース612cが「第3記憶手段」に相当し、音声データ生成部6024が「音声データ生成手段」に相当し、IP電話部6025が「通話手段」に相当し、メッセージ生成部6026が「メッセージ生成手段」に相当し、メール送信部6027が「メール送信手段」に相当し、監視制御部6022が「第1抽出手段」、「第2抽出手段」、「判断手段」、「第1通知手段」、「第2通知手段」に相当し、処置実行部6023が「処置実行手段」に相当する。
【0096】
この発明の実施の形態によれば、発生したと判断された異常状態の緊急度レベルに基づいて、音声および文字メッセージの一方が選択された上で、当該選択された方法によって当該異常状態の通知内容が通知される。これにより、同じ方法(たとえば、音声)で一律に通知を行なう構成に比較して、よりメリハリをつけた異常状態の通知が可能となる。よって、ユーザに煩わしさを与えることなく、ユーザが緊急度の高い異常状態に対する処置を確実に実行できる。
【0097】
また、この発明の実施の形態によれば、緊急度レベルを6段階に区分するとともに、同一の緊急度レベルにおいても、通知先からの応答の有無に応じて、音声による通知から文字データによる通知に切換え可能に構成される。これにより、通知先のユーザが応答することができない状況であっても、当該ユーザに確実に知らせることができる。
【0098】
なお、上述したこの発明の実施の形態では、視認可能な情報の一例として、文字メッセージを用いる構成について例示したがこれに限られることはない。すなわち、ユーザが視認できる情報であればいずれの形式のデータを用いてもよく、たとえば動画、静止画およびアニメーションなどでもよい。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】この発明の実施の形態に従う自動監視システムの概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態に従う主制御装置の概略構成図である。
【図3】この発明の実施の形態に従う主制御装置のCPUにおける制御構造である。
【図4】異常状態データベースのデータ構造を模式的に示す図である。
【図5】通知先データベースのデータ構造を模式的に示す図である。
【図6】ログデータベースに格納される履歴データの一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態に従う主制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】自動監視システム自体の状態監視に係るシーケンス図である。
【符号の説明】
【0101】
2 住宅、4 ホームネットワーク、6 主制御装置、8,62,72 ゲートウェイ、20 温度センサ、22 監視カメラ、24 ジャイロセンサ、26 スプリンクラー、27 水供給管、28 開閉バルブ、30 テレビ、32 ハードディスクレコーダ(HDR)、34 エアコン、36 ガスメータ、38 煙センサ、50 インターネット網、52 SIPサーバ、60,70 電話局、64,68,74,78 交換機、66 中継アンテナ、80 携帯端末、82 固定電話機、100 自動監視システム、602 監視制御部、604 通信インターフェイス(通信IF)、606 モニタ、608 キーボード、610 マウス、612 ハードディスク(HDD)、612a 異常状態データベース、612b 通知先データベース、612c ログデータベース、614 RAM、616 CD−ROM駆動装置、6021 イベント検出部、6022 監視制御部、6023 処置実行部、6024 音声データ生成部、6025 IP電話部、6026 メッセージ生成部、6027 メール送信部、6028 ログ格納部、6029 時計部、6121 条件式フィールド、6122 緊急度フィールド、6123 通知内容フィールド、6124 処置内容フィールド、6126 緊急度フィールド、6127 通知先フィールド、6128 時刻フィールド、6129 ログ内容フィールド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅内に形成された宅内ネットワークと、
前記宅内ネットワークに接続されるとともに、広域ネットワークを介して宅外の相手先との間でデータ伝送を可能に構成された制御部と、
前記宅内における監視対象の変化を検知し、前記宅内ネットワークを介して検知情報を前記制御部へ伝送可能に構成されたセンサ部と、
前記宅内で発生し得る異常状態に対して所定の処置を実行するための処置部とを備え、
前記制御部は、
前記センサ部から伝送される前記検知情報の少なくとも1つを含む条件式によって規定される異常状態に対応付けて、予め、緊急度レベル、通知内容および処置内容を格納する第1記憶手段と、
前記緊急度レベルに対応付けて、予め、電話番号およびメールアドレスのうち少なくとも1つを含む通知先を格納する第2記憶手段と、
通知内容を音声化した音声データを生成するための音声データ生成手段と、
インターネットプロトコルに従って、前記宅外の相手先との間で通話を行なうための通話手段と、
通知内容を示す文字データを含む文字メッセージを生成するためのメッセージ生成手段と、
前記インターネットプロトコルに従って、前記宅外の相手先に対して前記文字メッセージを送信するためのメール送信手段と、
前記センサ部から伝送される前記検知情報に応答して、前記第1記憶手段に格納された前記条件式のうち成立する条件式に対応する異常状態の緊急度レベル、通知内容および処置内容を抽出する第1抽出手段と、
少なくとも前記第1抽出手段によって抽出された通知内容を発生時刻とともに格納する第3記憶手段と、
前記第1抽出手段によって抽出された処置内容に応じた処置を実行するために、対応の前記処置部に指示を与える処置実行手段と、
前記第1抽出手段によって抽出された緊急度レベルに基づいて、前記第2記憶手段から対応の通知先を抽出する第2抽出手段と、
前記第2抽出手段によって抽出される通知先が電話番号およびメールアドレスのいずれで特定されているかを判断する判断手段と、
前記判断手段において前記通知先が電話番号で特定されているときに、前記第1抽出手段によって抽出された通知内容を前記音声データ生成手段へ与えるとともに、前記通話手段を用いて当該通知内容を音声によって前記通知先に通知する第1通知手段と、
前記判断手段において前記通知先がメールアドレスで特定されているときに、前記第1抽出手段によって抽出された通知内容を前記メッセージ生成手段へ与えるとともに、前記メール送信手段を用いて当該通知内容を文字メッセージによって前記通知先に通知する第2通知手段とを含む、自動監視システム。
【請求項2】
宅内に形成された宅内ネットワークと、
前記宅内ネットワークに接続されるとともに、広域ネットワークを介して宅外の相手先との間でデータ伝送を可能に構成された制御部と、
前記宅内における監視対象の変化を検知し、前記宅内ネットワークを介して検知情報を前記制御部へ伝送可能に構成されたセンサ部とを備え、
前記制御部は、
所定のプロトコルに従って、前記宅外の相手先との間で通話を行なうための通話手段と、
前記所定のプロトコルに従って、前記宅外の相手先に対して視認可能な情報を送信するための情報送信手段と、
前記検知情報に基づいて、前記宅内で発生した異常状態を判断する判断手段と、
前記判断手段において発生したと判断された異常状態の緊急度レベルに基づいて、第1または第2識別情報で特定された通知先を決定する決定手段と、
前記決定手段において決定された通知先が前記第1識別情報で特定されているときに、前記通話手段を用いて、前記判断手段において発生したと判断された異常状態の通知内容を音声によって当該通知先に通知する第1通知手段と、
前記決定手段において決定された通知先が前記第2識別情報で特定されているときに、前記情報送信手段を用いて、前記判断手段において発生したと判断された異常状態の通知内容を前記視認可能な情報によって当該通知先に通知する第2通知手段とを含む、自動監視システム。
【請求項3】
前記視認可能な情報は、前記通知内容の文字データを含む文字メッセージである、請求項2に記載の自動監視システム。
【請求項4】
前記判断手段は、前記センサ部から伝送される前記検知情報の少なくとも1つを含む条件式に従って、前記宅内で発生した異常状態を判断する、請求項2または3に記載の自動監視システム。
【請求項5】
前記決定手段は、異常状態に対応付けて緊急度レベルおよび通知内容が予め規定された第1データベースを参照して発生した異常状態の緊急度レベルを抽出するとともに、当該抽出した緊急度レベルに基づいて、前記緊急度レベルに対応付けて通知先が予め規定された第2データベースを参照することで、通知先を決定する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の自動監視システム。
【請求項6】
前記自動監視システムは、前記宅内で発生し得る異常状態に対して所定の処置を実行するための処置部をさらに備え、
前記制御部は、前記判断手段において発生したと判断された異常状態に対応付けられた処置を、前記処置部に実行させるための処置実行手段をさらに含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の自動監視システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記判断手段において発生したと判断された異常状態に係る情報をその発生時刻とともに格納する履歴格納手段をさらに含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の自動監視システム。
【請求項8】
前記所定のプロトコルは、インターネットプロトコルを含む、請求項2〜7のいずれか1項に記載の自動監視システム。
【請求項9】
前記決定手段は、前記緊急度レベルが高くなるにつれて、前記第2通知手段に比較して前記第1通知手段を優先的に用いて通知が行なわれるように、前記通知先に決定する、請求項2〜8のいずれか1項に記載の自動監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−140141(P2008−140141A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325675(P2006−325675)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】