説明

自動車および自動車に搭載された昇圧回路の異常判定方法

【課題】特別なセンサを設けることなく昇圧回路の異常を判定する
【解決手段】システムメインリレー56がオンでシステムメインリレー66,67が共にオフのスレーブ遮断状態で電圧センサ68aにより検出される第2低電圧系の電圧VL2が閾値Vref以上のときには、スレーブ側昇圧回路65の上アームを構成するトランジスタT41がオン固着する異常が生じていると判定する。これにより、特別なセンサを設けることなく、スレーブ側昇圧回路65の異常を判定することができる。なお、異常を判定したときには、次回以降のシステム起動を禁止すると共にシステム停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車および自動車に搭載された昇圧回路の異常判定方法に関し、詳しくは、走行用の動力を入出力可能な電動機と、電動機を駆動するための駆動回路と、充放電可能な第1バッテリと、第1バッテリからの電力を昇圧して駆動回路に供給する第1昇圧回路と、第1バッテリと第1昇圧回路との接続および接続の解除を行なう第1接続解除手段と、充放電可能な第2バッテリと、第2バッテリからの電力を昇圧して駆動回路に供給する第2昇圧回路と、第2バッテリと第2昇圧回路との接続および接続の解除を行なう第2接続解除手段と、を備える自動車およびこうした自動車に搭載した第2昇圧回路の異常を判定する異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車としては、バッテリからの電力を昇圧して走行用の動力を出力するモータの駆動回路に供給する昇圧回路を備えるものにおいて、バッテリの電圧を検出する第1電圧センサ,昇圧回路のバッテリ側の電圧を検出する第2電圧センサ,昇圧回路の駆動回路側の電圧を検出する第3電圧センサのうち一つまたは二つのセンサに異常が生じたときには、昇圧回路の上アームを構成するトランジスタをオン状態に固定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、上述の制御により、3つの電圧センサのうちの一つまたは二つのセンサに異常が生じたときでも、正常な電圧センサを用いて走行を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−330089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド自動車や電気自動車では、システム停止時に外部電源からの電力を用いてバッテリを充電することができるものも提案されており、こうした自動車では、複数のバッテリを備え、複数のバッテリから同時に走行用のモータに電力供給を行なうことも考えられる。この場合、各バッテリからの電力供給を管理するために各バッテリとモータの駆動回路とに個別に昇圧回路を設けるのが好ましいが、昇圧回路の異常も適切に行なうことが望まれる。
【0005】
本発明の自動車および自動車に搭載された昇圧回路の異常判定方法は、特別なセンサを設けることなく昇圧回路の異常を判定することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車および自動車に搭載された昇圧回路の異常判定方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の自動車は、
走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機を駆動するための駆動回路と、充放電可能な第1バッテリと、該第1バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第1昇圧回路と、前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第1接続解除手段と、充放電可能な第2バッテリと、前記第2バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第2昇圧回路と、前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第2接続解除手段と、を備える自動車であって、
前記第2昇圧回路の前記第2バッテリ側の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記第1接続解除手段により前記第1バッテリと前記第1昇圧回路とが接続され且つ前記第2接続解除手段により前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続が解除された状態で前記電圧検出手段により検出された電圧が所定電圧以上のときには前記第2昇圧回路に異常が生じていると判定する異常判定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の自動車では、第1接続解除手段により第1バッテリと第1昇圧回路とが接続され且つ第2接続解除手段により第2バッテリと第2昇圧回路との接続が解除された状態で第2昇圧回路の第2バッテリ側の電圧が所定電圧以上のときに、第2昇圧回路に異常が生じていると判定する。これは、第2バッテリと第2昇圧回路との接続が解除されているときには第2昇圧回路の第2バッテリ側の電圧は低いことに基づく。これにより、特別なセンサを設けることなく、第2昇圧回路の異常を判定することができる。
【0009】
こうした本発明の自動車において、前記第2昇圧回路は、前記駆動回路の正極側接続端子に正極側端子が接続された第1のスイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の正極側端子と負極側端子とに逆方向に接続された第1のダイオードと、前記第1のスイッチング素子の負極側端子に正極側端子が接続されると共に前記駆動回路の負極側接続端子および前記第2接続解除手段を介して第2バッテリの負極が接続される第2のスイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の正極側端子と負極側端子とに逆方向に接続された第2のダイオードと、前記第1のスイッチング素子の負極側端子および前記第2のスイッチング素子の正極側端子に一方の端子が接続されると共に前記第2接続解除手段を介して前記第2バッテリの正極が他方の端子に接続されるリアクトルと、を備える回路であり、前記異常判定手段は、前記第2昇圧回路の異常として前記第1のスイッチング素子のオン固着による異常を判定する手段である、ものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の自動車において、前記異常判定手段により前記第2昇圧回路に異常が生じていると判定されたときには、前記第1接続解除手段により前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続を解除すると共にシステム停止する異常時制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、第2昇圧回路の第2バッテリ側に接続された平滑コンデンサを破損するのを抑止することができる。この場合、前記異常時制御手段は次回のシステム起動を禁止する手段であるものとすることもできるし、前記異常時制御手段は、次回のシステム起動時には、退避走行として、前記第1接続解除手段による前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続の許可および前記第1昇圧回路による昇圧の禁止を条件とする走行を許可する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、退避走行を行なうことができる。
【0011】
さらに、本発明の自動車において、前記第2バッテリは複数のバッテリであり、前記第2接続解除手段は前記複数のバッテリの各々と前記第2昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう複数の接続解除手段である、ものとすることもできる。
【0012】
また、本発明の自動車において、内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、を備え、前記電動機は前記駆動軸に動力を入出力するよう取り付けられてなる、ものとすることもできる。
【0013】
本発明の自動車に搭載された昇圧回路の異常判定方法は、
走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機を駆動するための駆動回路と、充放電可能な第1バッテリと、該第1バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第1昇圧回路と、前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第1接続解除手段と、充放電可能な第2バッテリと、前記第2バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第2昇圧回路と、前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第2接続解除手段と、を備える自動車における前記第2昇圧回路の異常を判定する異常判定方法であって、
前記第2昇圧回路の前記第2バッテリ側の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記第1接続解除手段により前記第1バッテリと前記第1昇圧回路とが接続され且つ前記第2接続解除手段により前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続が解除された状態で前記第2昇圧回路の前記第2バッテリ側の電圧が所定電圧以上のときには前記第2昇圧回路に異常が生じていると判定する、
ことを要旨とする。
【0014】
この本発明の自動車に搭載された昇圧回路の異常判定方法では、第1接続解除手段により第1バッテリと第1昇圧回路とが接続され且つ第2接続解除手段により第2バッテリと第2昇圧回路との接続が解除された状態で第2昇圧回路の第2バッテリ側の電圧が所定電圧以上のときに、第2昇圧回路に異常が生じていると判定する。これは、第2バッテリと第2昇圧回路との接続が解除されているときには第2昇圧回路の第2バッテリ側の電圧は低いことに基づく。これにより、特別なセンサを設けることなく、第2昇圧回路の異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】マスタ側昇圧回路55やスレーブ側昇圧回路65の構成の概略を示す構成図である。
【図3】実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるスレーブ側昇圧回路異常判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図5】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【図6】変形例の電気自動車320の構成の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料とするエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸32にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸32に接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)と、リチウムイオン二次電池として構成されたマスタバッテリ50,スレーブバッテリ60,62と、マスタバッテリ50がシステムメインリレー56を介して接続された電力ライン(以下、第1低電圧系電力ラインという)59とインバータ41,42が接続された電力ライン(以下、高電圧系電力ラインという)54とに接続されマスタバッテリ50からの電力を昇圧してインバータ41,42側に供給可能なマスタ側昇圧回路55と、スレーブバッテリ60,62がそれぞれシステムメインリレー66,67を介して接続された電力ライン(以下、第2低電圧系電力ラインという)69と高電圧系電力ライン54とに接続されスレーブバッテリ60,62のうち第2低電圧系電力ライン69に接続されているスレーブバッテリ(以下、接続側スレーブバッテリという)からの電力をインバータ41,42側に供給可能なスレーブ側昇圧回路65と、マスタバッテリ50とスレーブバッテリ60,62とを管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、第1低電圧系電力ライン59にDC/DCコンバータ96を介して接続された低圧バッテリ98と、第2低電圧系電力ライン69に接続された充電器90と、充電器90に接続されると共に車外の電源である交流の外部電源(例えば、家庭用電源(AC100V)など)100に接続された外部電源側コネクタ102を接続可能に形成された車両側コネクタ92と、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信して車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70と、を備える。ここで、充電器90は、第2低電圧系電力ライン69と車両側コネクタ92との接続や接続の解除を行なう充電用リレーや、外部電源100からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ,AC/DCコンバータにより変換した直流電力の電圧を変換して第2低電圧系に供給するDC/DCコンバータなどを備える。以下、説明の都合上、マスタ側昇圧回路55およびスレーブ側昇圧回路65よりインバータ41,42側を高電圧系といい、マスタ側昇圧回路55よりマスタバッテリ50側を第1低電圧系といい、スレーブ側昇圧回路65よりスレーブバッテリ60,62側を第2低電圧系という。
【0018】
マスタ側昇圧回路55、図2に示すように、2つのトランジスタT31,T32とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルL1とにより構成されている。2つのトランジスタT31,T32は、それぞれインバータ41,42が接続された電力ライン54における正極母線と負極母線とに接続されており、二つのトランジスタT31,T32の接続点にリアクトルL1が接続されている。また、リアクトルL1と負極母線とにはそれぞれシステムメインリレー56を介してマスタバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT31,T32をオンオフ制御することによりマスタバッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線と負極母線とに作用している直流電圧を降圧してマスタバッテリ50を充電したりすることができる。スレーブ側昇圧回路65もマスタ側昇圧回路55と同様に、2つのトランジスタT41,T42とトランジスタT41,T42に逆方向に並列接続された2つのダイオードD41,D42とリアクトルL2とにより構成されている。2つのトランジスタT41,T42は、それぞれインバータ41,42が接続された電力ライン54における正極母線と負極母線とに接続されており、二つのトランジスタT41,T42の接続点にリアクトルL2が接続されている。また、リアクトルL2と負極母線とにはそれぞれシステムメインリレー66,67を介してスレーブバッテリ60,62の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT41,T42をオンオフ制御することによりスレーブバッテリ60,62の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線と負極母線とに作用している直流電圧を降圧してスレーブバッテリ60,62を充電したりすることができる。
【0019】
バッテリECU52には、マスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62を管理するのに必要な信号、例えば、マスタバッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb1,マスタバッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib1,マスタバッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tb1,スレーブバッテリ60,62の各々の端子間に設置された電圧センサ61a,63aからの端子間電圧Vb2,Vb3,スレーブバッテリ60,62の各々の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ61b,63bからの充放電電流Ib2,Ib3,スレーブバッテリ60,62にそれぞれ取り付けられた温度センサ61c,63cからの電池温度Tb2,Tb3などが入力されており、必要に応じてマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、マスタバッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ib1の積算値に基づいて蓄電量SOC1を演算したり、演算した蓄電量SOC1と電池温度Tb1とに基づいてマスタバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win1,Wout1を演算したりすると共に、スレーブバッテリ60,62を管理するために、電流センサ61b,63bにより検出された充放電電流Ib2,Ib3の積算値に基づいて蓄電量SOC2,SOC3を演算したり、演算した蓄電量SOC2,SOC3と電池温度Tb2,Tb3とに基づいてスレーブバッテリ60,62の入出力制限Win2,Wout2,Win3,Wout3を演算したりしている。なお、マスタバッテリ50の入出力制限Win1,Wout1は、電池温度Tb1に基づいて入出力制限Win1,Wout1の基本値を設定し、マスタバッテリ50の蓄電量SOC1に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win1,Wout1の基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。スレーブバッテリ60,62の入出力制限Win2,Wout2,Win3,Wout3は、マスタバッテリ50の入出力制限Win1,Wout1と同様に設定することができる。
【0020】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、コンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからの電圧(高電圧系の電圧)VHや、コンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからの電圧(第1低電圧系の電圧)VL1,コンデンサ68の端子間に取り付けられた電圧センサ68aからの電圧(第2低電圧系の電圧)VL2,スレーブ側昇圧回路65の高電圧系電力ライン54側の端子に取り付けられた電流Icon2,イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、マスタ側昇圧回路55のスイッチング素子へのスイッチング制御信号や、スレーブ側昇圧回路65のスイッチング素子へのスイッチング制御信号,システムメインリレー56,66,67への駆動信号,充電器90への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0021】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定された充電ポイントで車両をシステム停止した後に外部電源側コネクタ102と車両側コネクタ92とが接続されると、充電器90内の充電用リレーをオンとし、システムメインリレー56,66,67のオンオフと充電器90内のAC/DCコンバータやDC/DCコンバータの制御とにより、外部電源100からの電力を用いてマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62を満充電や満充電より低い所定の充電状態(例えば、蓄電量SOC1,SOC2,SOC3が80%や85%の状態)にする。したがって、マスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62が充分に充電されている状態でシステム起動(イグニッションオン)されて走行する際には、マスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62からの電力を用いて、モータMG2から入出力される動力だけを用いて走行するモータ運転モードである程度の距離(時間)を走行することが可能となる。しかも、実施例のハイブリッド自動車20では、マスタバッテリ50に加えてスレーブバッテリ60,62を備えるから、マスタバッテリ50だけを備えるものに比してモータ運転モードでの走行距離(走行時間)を長くすることができる。
【0022】
また、実施例のハイブリッド自動車20では、外部電源100からの電力を用いてマスタバッテリ50やスレーブバッテリ60,62が充分に充電されている状態でシステム起動(イグニッションオン)されたときには、システムメインリレー56をオンとしてマスタバッテリ50とマスタ側昇圧回路55とを接続すると共にシステムメインリレー66をオンとしてスレーブバッテリ60とスレーブ側昇圧回路65とを接続する(以下、この状態を第1接続状態という)。そして、マスタバッテリ50の蓄電量SOC1に比してスレーブバッテリ60の蓄電量SOC2が迅速に低下するようマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御しながら、モータMG2から入出力される動力だけを用いて走行するモータ運転モードとエンジン22からの動力の出力を伴って走行するハイブリッド運転モードとのうちモータ運転モードを優先して走行し、スレーブバッテリ60の蓄電量SOC2が所定値Sref2(例えば、25%や30%,35%など)以下になると、システムメインリレー66をオフとしてスレーブバッテリ60とスレーブ側昇圧回路65とを切り離してからシステムメインリレー67をオンとしてスレーブバッテリ62とスレーブ側昇圧回路65とを接続し(以下、この状態を第2接続状態という)、マスタバッテリ50の蓄電量SOC1が所定値Sref1(例えば、30%や35%,40%など)以下になると共にスレーブバッテリ62の蓄電量SOC3が所定値Sref3(例えば、25%や30%,35%など)以下になるようマスタ側昇圧回路55とスレーブ側昇圧回路65とを制御しながらモータ運転モードを優先して走行する。そして、マスタバッテリ50の蓄電量SOC1が所定値Sref1以下になると共にスレーブバッテリ62の蓄電量SOC3が所定値Sref3以下になると、システムメインリレー67をオフとしてスレーブバッテリ62とスレーブ側昇圧回路65とを切り離すと共にその後はマスタバッテリ50,スレーブバッテリ60,62のうちマスタバッテリ50だけを用いて車両に要求される要求パワーに基づいてエンジン22を間欠運転しながら走行する。以下、第1接続状態から第2接続状態に切り替える際にシステムメインリレー66,67が共にオフとなる状態や、マスタバッテリ50の蓄電量SOC1が所定値Sref1以下になると共にスレーブバッテリ62の蓄電量SOC3が所定値Sref3以下になってシステムメインリレー67をオフとした状態をスレーブ遮断状態という。
【0023】
さらに、実施例のハイブリッド自動車20では、モータ運転モードで走行する際には、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジン22を運転停止する運転停止信号をエンジンECU24に送信し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに応じて設定される要求トルクTr*を後述する制御用入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG2のトルク指令Tm2*として設定し、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。運転停止信号を受信したエンジンECU24は、エンジン22を運転停止し、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御する。一方、ハイブリッド運転モードで走行する際には、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、要求トルクTr*に駆動軸32の回転数(モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じた回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPr*を計算すると共に計算した走行用パワーPr*からマスタバッテリ50,スレーブバッテリ60,62が要求する充放電要求パワーPb*(放電側を正、充電側を負とする)を減じてエンジン22に要求される要求パワーPe*を計算し、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力可能なエンジン22の回転数とトルクとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)と要求パワーPe*とに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、制御用入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*になるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときにプラネタリギヤ30を介して駆動軸32に作用するトルクを要求トルクTr*から減じたものをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてはエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントでエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを実行し、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子をスイッチング制御する。ハイブリッド運転モードで走行する際における充放電要求パワーPb*は、実施例では、マスタバッテリ50の蓄電量SOC1とスレーブバッテリ60,62のうちスレーブ側昇圧回路65に接続されているスレーブバッテリ(以下、接続側スレーブバッテリという)の蓄電量とに基づいて設定するものとした。また、モータ運転モードやハイブリッド運転モードで走行する際における制御用入出力制限Win,Woutは、第1接続状態のときにはマスタバッテリ50の入力制限Win1とスレーブバッテリ60の入力制限Win2との和を制御用入力制限Winとして設定すると共にマスタバッテリ50の出力制限Wout1とスレーブバッテリ60の出力制限Wout2との和を制御用出力制限Woutとして設定し、第2接続状態のときにはマスタバッテリ50の入力制限Win1とスレーブバッテリ62の入力制限Win3との和を制御用入力制限Winとして設定すると共にマスタバッテリ50の出力制限Wout1とスレーブバッテリ62の出力制限Wout3との和を制御用出力制限Woutとして設定し、スレーブ遮断状態のときにはマスタバッテリ50の入出力制限Win1,Wout1を制御用入出力制限Win,Woutとして設定するものとした。
【0024】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、スレーブ側昇圧回路65の異常を判定する際の動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるスレーブ側昇圧開度異常判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、スレーブ側昇圧回路65の異常が判定されるまで所定時間毎(例えば、数十msec毎や数百msec毎)に繰り返し実行される。
【0025】
本ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、スレーブバッテリ60,62の接続状態や電圧センサ68aからの第2低電圧系の電圧VL2などのスレーブ側昇圧回路65の異常を判定するのに必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、スレーブバッテリ60,62の接続状態については上述した第1接続状態,第2接続状態,スレーブ遮断状態のいずれかの接続状態である。
【0026】
次に、入力した接続状態がスレーブ遮断状態であるか否か、即ち、システムメインリレー56がオンでシステムメインリレー66,67が共にオフの状態であるか否かを判定し(ステップS110)、スレーブ遮断状態ではないときには、本ルーチンによる異常判定には適さないと判断して本ルーチンを終了する。入力した接続状態がスレーブ遮断状態であるときには、第2低電圧系の電圧VL2が閾値Vref以上であるか否かを判定し(ステップS120)、第2低電圧系の電圧VL2が閾値Vref未満のときには、スレーブ側昇圧回路65に異常は生じていないと判定し、本ルーチンを終了する。ここで、閾値Vrefは、電圧センサ68aの公差にマージンを加えた値以上の値として設定されるものであり、電圧センサ68aの性能などにより定めることができる。
【0027】
一方、第2低電圧系の電圧VL2が閾値Vref以上のときには、スレーブ側昇圧回路65の上アームを構成するトランジスタT41がオン固着する異常が生じていると判断し(ステップS130)、次回のシステム起動を禁止すると共に(ステップS140)、システム停止して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。ここで、次回のシステム起動を禁止するのは、スレーブ側昇圧回路65のトランジスタT41がオン固着している状態でシステム起動してマスタ側昇圧回路55によりマスタバッテリ50からの電力を昇圧して高電圧系に供給すると、その電圧が第2低電圧系に接続されたコンデンサ68にも作用し、コンデンサ68を破損してしまう場合が生じるからである。また、システム停止は、インバータ41,42のシャットダウンやコンデンサ57,58の放電処理,システムメインリレー56のオフなどにより行なわれる。
【0028】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、システムメインリレー56がオンでシステムメインリレー66,67が共にオフのスレーブ遮断状態で第2低電圧系の電圧VL2が閾値Vref以上のときには、スレーブ側昇圧回路65の上アームを構成するトランジスタT41がオン固着する異常が生じていると判断するから、特別なセンサを設けることなく、スレーブ側昇圧回路65の異常を判定することができる。しかも、スレーブ側昇圧回路65のトランジスタT41がオン固着する異常が生じていると判定したときには、次回のシステム起動を禁止したりシステム停止することにより、高電圧系の電圧がコンデンサ68に作用することによってコンデンサ68が破損してしまうのを抑制することができる。
【0029】
実施例のハイブリッド自動車20では、スレーブ側昇圧回路65のトランジスタT41がオン固着する異常が生じていると判定したときには、次回のシステム起動を禁止したりシステム停止するものとしたが、マスタ側昇圧回路55による昇圧を行なわない範囲内でモータMG1やモータMG2を駆動して走行する退避走行については許可するものとしてもよい。この場合、走行を許可してもマスタ側昇圧回路55による昇圧が行なわれないから、高電圧系の電圧が第2低電圧系のコンデンサ68に作用しても、第1低電圧系の電圧が作用するに過ぎないから、コンデンサ68を破損することはない。
【0030】
実施例のハイブリッド自動車20では、マスタバッテリ50とマスタ側昇圧回路55とスレーブバッテリ60,62とスレーブ側昇圧回路65とを備えるものとしたが、スレーブバッテリは2つに限られず、1つまたは3以上備えるものとしてもよい。
【0031】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸32に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動軸32に出力するものとしたが、図4の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、エンジン22からの動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸32に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動軸32が接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(車輪39c,39dが接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
【0032】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からの動力をプラネタリギヤ30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸32に出力すると共にモータMG2からの動力を駆動軸32に出力するものとしたが、図5の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、駆動輪39a,39bに接続された駆動軸に変速機230を介してモータMGを取り付け、モータMGの回転軸にクラッチ228を介してエンジン22を接続する構成とし、エンジン22からの動力をモータMGの回転軸と変速機230とを介して駆動軸に出力すると共にモータMGからの動力を変速機230を介して駆動軸に出力するものとしてもよい。
【0033】
実施例では、駆動軸32にプラネタリギヤ30を介して接続されたエンジン22およびモータMG1と、駆動軸32に接続されたモータMG2と、を備えるハイブリッド自動車20に適用するものとしたが、図6の変形例の電気自動車320に例示するように、走行用の動力を出力するモータMGを備える単純な電気自動車に適用するものとしてもよい。
【0034】
また、こうした自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車の制御方法の形態としてもよい。
【0035】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「電動機」に相当し、インバータ42が「駆動回路」に相当し、マスタバッテリ50が「第1バッテリ」に相当し、マスタ側昇圧回路55が「第1昇圧回路」に相当し、システムメインリレー56が「第1接続解除手段」に相当し、スレーブバッテリ60,62が「第2バッテリ」に相当し、スレーブ側昇圧回路65が「第2昇圧回路」に相当し、システムメインリレー66,67が「第2接続解除手段」に相当し、第2低電圧系の電圧を検出する電圧センサ68aが「電圧検出手段」に相当し、システムメインリレー56がオンでシステムメインリレー66,67が共にオフのスレーブ遮断状態で第2低電圧系の電圧VL2が閾値Vref以上のときにスレーブ側昇圧回路65の上アームを構成するトランジスタT41がオン固着する異常が生じていると判定する図3のスレーブ側昇圧回路異常判定処理ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「異常判定手段」に相当する。
【0036】
ここで、「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、走行用の動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「駆動回路」としては、インバータ42に限定されるものではなく、電動機を駆動するためのものであれば如何なるものとしても構わない。「第1バッテリ」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたマスタバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など充放電可能なものであれば如何なるものとしても構わない。また、「第1バッテリ」としては、単一のマスタバッテリ50に限定されるものではなく、複数のバッテリにより構成するものとしても構わない。「第1昇圧回路」としては、マスタ側昇圧回路55に限定されるものではなく、第1バッテリからの電力を昇圧して駆動回路に供給するものであれば如何なるものとしても構わない。「第1接続解除手段」としては、システムメインリレー56に限定されるものではなく、第1バッテリと第1昇圧回路との接続および接続の解除を行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「第2バッテリ」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたスレーブバッテリ60,62に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など充放電可能なものであれば如何なるものとしても構わない。また、「第2バッテリ」としては、二つのスレーブバッテリ60,62に限定されるものではなく、単一のバッテリにより構成したり三つ以上のバッテリにより構成したりしても構わない。「第2昇圧回路」としては、スレーブ側昇圧回路65に限定されるものではなく、第2バッテリからの電力を昇圧して駆動回路に供給するものであれば如何なるものとしても構わない。「第2接続解除手段」としては、システムメインリレー66,67に限定されるものではなく、第2バッテリと第2昇圧回路との接続および接続の解除を行なうものであれば如何なるものとしても構わない。「電圧検出手段」としては、電圧センサ68aに限定されるものではなく、第2昇圧回路の第2バッテリ側の電圧を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「異常判定手段」としては、システムメインリレー56がオンでシステムメインリレー66,67が共にオフのスレーブ遮断状態で第2低電圧系の電圧VL2が閾値Vref以上のときにスレーブ側昇圧回路65の上アームを構成するトランジスタT41がオン固着する異常が生じていると判定するものに限定されるものではなく、第1接続解除手段により第1バッテリと第1昇圧回路とが接続され且つ第2接続解除手段により第2バッテリと第2昇圧回路との接続が解除された状態で電圧検出手段により検出された電圧が所定電圧以上のときには第2昇圧回路に異常が生じていると判定するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0037】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0038】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、自動車の製造産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
20,120,220,320 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、32 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、50 マスタバッテリ、51a,61a,63a 電圧センサ、51b,61b,63b 電流センサ、51c,61c,63c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 高電圧系電力ライン、55 マスタ側昇圧回路、56,66,67 システムメインリレー、57,58,68 コンデンサ、57a,58a,68a 電圧センサ、59 第1低電圧系電力ライン、60,62 スレーブバッテリ、65 スレーブ側昇圧回路、69 第2低電圧系電力ライン、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 充電器、92 車両側コネクタ、96 DC/DCコンバータ、98 低圧バッテリ、100 外部電源、102 外部電源側コネクタ、228 クラッチ、230 変速機、MG1,MG2,MG モータ、D31,D32,D41,D42 ダイオード、T31,T32,T41,T42 トランジスタ、L1,L2 リアクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機を駆動するための駆動回路と、充放電可能な第1バッテリと、該第1バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第1昇圧回路と、前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第1接続解除手段と、充放電可能な第2バッテリと、前記第2バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第2昇圧回路と、前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第2接続解除手段と、を備える自動車であって、
前記第2昇圧回路の前記第2バッテリ側の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記第1接続解除手段により前記第1バッテリと前記第1昇圧回路とが接続され且つ前記第2接続解除手段により前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続が解除された状態で前記電圧検出手段により検出された電圧が所定電圧以上のときには前記第2昇圧回路に異常が生じていると判定する異常判定手段と、
を備える自動車。
【請求項2】
請求項1記載の自動車であって、
前記第2昇圧回路は、前記駆動回路の正極側接続端子に正極側端子が接続された第1のスイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の正極側端子と負極側端子とに逆方向に接続された第1のダイオードと、前記第1のスイッチング素子の負極側端子に正極側端子が接続されると共に前記駆動回路の負極側接続端子および前記第2接続解除手段を介して第2バッテリの負極が接続される第2のスイッチング素子と、前記第2スイッチング素子の正極側端子と負極側端子とに逆方向に接続された第2のダイオードと、前記第1のスイッチング素子の負極側端子および前記第2のスイッチング素子の正極側端子に一方の端子が接続されると共に前記第2接続解除手段を介して前記第2バッテリの正極が他方の端子に接続されるリアクトルと、を備える回路であり、
前記異常判定手段は、前記第2昇圧回路の異常として前記第1のスイッチング素子のオン固着による異常を判定する手段である、
自動車。
【請求項3】
請求項1または2記載の自動車であって、
前記異常判定手段により前記第2昇圧回路に異常が生じていると判定されたときには、前記第1接続解除手段により前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続を解除すると共にシステム停止する異常時制御手段、
を備える自動車。
【請求項4】
請求項3記載の自動車であって、
前記異常時制御手段は、次回のシステム起動を禁止する手段である、
自動車。
【請求項5】
請求項3記載の自動車であって、
前記異常時制御手段は、次回のシステム起動時には、退避走行として、前記第1接続解除手段による前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続の許可および前記第1昇圧回路による昇圧の禁止を条件とする走行を許可する手段である、
自動車。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
前記第2バッテリは、複数のバッテリであり、
前記第2接続解除手段は、前記複数のバッテリの各々と前記第2昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう複数の接続解除手段である、
自動車。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
内燃機関と、
動力を入出力可能な発電機と、
車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、
を備え、
前記電動機は、前記駆動軸に動力を入出力するよう取り付けられてなる、
自動車。
【請求項8】
走行用の動力を入出力可能な電動機と、前記電動機を駆動するための駆動回路と、充放電可能な第1バッテリと、該第1バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第1昇圧回路と、前記第1バッテリと前記第1昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第1接続解除手段と、充放電可能な第2バッテリと、前記第2バッテリからの電力を昇圧して前記駆動回路に供給する第2昇圧回路と、前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続および該接続の解除を行なう第2接続解除手段と、を備える自動車における前記第2昇圧回路の異常を判定する異常判定方法であって、
前記第2昇圧回路の前記第2バッテリ側の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記第1接続解除手段により前記第1バッテリと前記第1昇圧回路とが接続され且つ前記第2接続解除手段により前記第2バッテリと前記第2昇圧回路との接続が解除された状態で前記第2昇圧回路の前記第2バッテリ側の電圧が所定電圧以上のときには前記第2昇圧回路に異常が生じていると判定する、
異常判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−259265(P2010−259265A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108149(P2009−108149)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】