説明

自動車の前部車体構造

【課題】 車体の前部からの負荷に対して、交換可能な部品で負荷を吸収し、溶接部品等に損傷が及ぶのを防ぎ、修理費の低減を図ることができる自動車の前部車体構造を提供すること。
【解決手段】 車両の前部にラジエータ1を配設した自動車の前部車体構造であって、前記車両の前部上下に車両の左右方向に延びるアッパクロスメンバ2とロアクロスメンバ4を設け、アッパクロスメンバ2に対してロアクロスメンバ4を車両の後方に配設し、前記ロアクロスメンバ4に、車両の前方に向けてブラケット25を配設し、前記アッパクロスメンバ2と前記ブラケット25とによってラジエータ1を支持させたことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前部車体構造に関するもので、詳しくは、ラジエータの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車の前部車体構造には、例えば、特許文献1に示されているように、ラジエータの上部をアッパクロスメンバに支持させ、下部をロアクロスメンバから後方に延設した下部ラジエータブラケットに支持させる(図2および図5参照)態様、ラジエータの上部をアッパクロスメンバから後方に延設させたブラケットに支持させ、下部をロアクロスメンバから後方へ延設させたブラケットに支持させる(図10および図11)態様がある。
【特許文献1】特開2000−25466号公報(図2、図5、図10および図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の前部車体構造におけるラジエータの支持態様では、ロアクロスメンバが、アッパクロスメンバに対して、車両の前方にオフセットされて設置されたり、上下同位置に設置されている。
この前部車体構造では、車体の前部から負荷がかかった場合に、ロアクロスメンバが損傷を受け易く、さらには、ロアクロスメンバを両端で支持しているエプロンサイドメンバにまで損傷が拡大し、修理費が増大する虞がある。
【0004】
本発明は、上記課題を解決し、車体の前部からの負荷に対して、交換可能な部品で負荷を吸収し、溶接部品等に損傷が及ぶのを防ぎ、修理費の低減を図ることができる自動車の前部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、車両の前部にラジエータを配設した自動車の前部車体構造であって、前記車両の前部上下に車両の左右方向に延びるアッパクロスメンバとロアクロスメンバを設け、アッパクロスメンバに対してロアクロスメンバを車両の後方に配設し、前記ロアクロスメンバに、車両の前方に向けてブラケットを配設し、前記アッパクロスメンバと前記ブラケットとによってラジエータを支持させたことにある。
また、本発明の自動車の前部車体構造は、前記ブラケットに、前方からの荷重作用時に変形の起点となる変形起点部を設けたことにある。また、前記ブラケットに、前記ラジエータの下端を取付けるラジエータ取付部と、前記ロアクロスメンバに取付けるロアクロスメンバ固定部を設け、前記ラジエータ取付部とロアクロスメンバ固定部の間に前記変形起点部を設けたことにある。
更に本発明の自動車の前部車体構造は、車体前部の左右前後方向にフロントサイドメンバを設け、これら左右フロントサイドメンバの先端から下方に延びるエクステンションをそれぞれ設け、前記ロアクロスメンバを、その車幅方向中央部を両側端部よりも前方にオフセットさせて形成するとともに、前記中央部に前記ブラケットを配設し、前記ロアクロスメンバの両側端部を前記エクステンション部材の下面に取付けて、前記クロスメンバを前記エクステンションに装架させたことにある。
またさらに、本発明の自動車の前部車体構造は、前記ロアクロスメンバの前記エクステンションへの取付け部を前方に拡大させ、該拡大部と前記エクステンションの前面とを補強部材を介して互いに結合させたことにある。
また、本発明の自動車の前部車体構造は、前記エクステンションの前面と下面および前記補強部材とをリーンフォースを介してそれぞれ結合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、ロアクロスメンバが比較的車体の後方に位置させることができるので、車体前部から負荷を受けた場合に、損傷を受ける虞がなくなり、さらに、ラジエータがブラケットを介してロアクロスメンバに支持されるので、ロアクロスメンバに負荷が及んでも、ブラケットが変形して負荷を吸収するので、ロアクロスメンバ,エプロンサイドメンバ等の高価な溶接部品の交換,修理等を可及的に低減することができる。
【0007】
請求項2または3の発明によれば、ラジエータに負荷が及んだ場合に、ブラケットの変形起点部、例えば、幅方向のビードでブラケットが変形して、その負荷を吸収するので、ロアクロスメンバは勿論のこと、ロアクロスメンバを支持しているエプロンサイドメンバ等の損傷もより確実に低減することができる。
【0008】
請求項4の発明によれば、ロアクロスメンバのブラケットを取付ける部位が、ロアクロスメンバの支持位置よりも前方に位置するので、ブラケットの長さを短くすることが可能となり、ラジエータの保持強度を高くできる。しかも、ロアクロスメンバの支持位置を車両のより後方に位置させることができるので、エプロンサイドメンバ等の損傷をさらに確実に低減することができる。
【0009】
ブラケットに支持され、ロアクロスメンバの前方に位置されるラジエータは、ロアクロスメンバの取付け部に大きなねじりモーメントを掛けることになる。
請求項5の発明によれば、補強部材によって、ロアクロスメンバのねじりモーメントを受け止めるので、ロアクロスメンバを大型化することなく、取付け部の大きなねじりモーメントに対する取付け強度を向上させることができる。
【0010】
請求項6の発明によれば、1つのリーンフォースで、エクステンションの前面とロアクロスメンバ取付け部(エクステンションの下面)の補強および補強部材との結合部を強化することができ、部品点数の削減,組付け工数の削減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明に係る自動車の前部車体構造を、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る自動車の前部車体構造が適用される自動車の前部を示した斜視図、図2ないし図5はラジエータ,コンデンサ,インタークーラ等の支持構造を示した図、図6はラジエータおよびインタークーラの取付け用下部ブラケットを示した図、図7ないし図9は図4における各箇所の断面図、図10は図6における断面図、図11ないし図15はロアクロスメンバの取付け構造を示した図、図16はロアクロスメンバの端部を示した図、図17ないし図20は図14における各箇所の断面図、図21および図22は図15における各箇所の断面図である。
【0012】
本発明に係る自動車の前部車体構造は、図1ないし図10に示すように、車両の前部に配置されるラジエータ等の支持に適用される。
なお、以下の説明において、前,後,側部,上,下,内,外は、車両の前,後,側部,上,下,内,外に対応している。また、説明の都合上、車両の左右一方側にて説明するが、他方も同様の構造となっている。
【0013】
この実施形態では、ラジエータ1の上部を支持するアッパクロスメンバ(フードロックメンバ)2が、図1ないし図5に示すように、両側のフロントフェンダ3内面側の上部構成部品、すなわち、ランプサポートメンバ2a、フェンダーエプロンパネル(図示せず)を通してダッシュサイドパネル(図示せず)等に装架されており、図7および図8に示すように、ラジエータ1の下部を支持するロアクロスメンバ4がアッパクロスメンバ2に対して平面視で車体の後方に配置されている。
【0014】
ロアクロスメンバ4は、図3および図5に示すように、両側端部を構成するロアクロスメンバエクステンション5と、その間に差し渡して構成するロアクロスメンバ主部6とによって形成されている。
【0015】
次に、ロアクロスメンバ4の構造を図16ないし図22により説明する。
ロアクロスメンバエクステンション5は、ロアクロスメンバアッパエクステンション7とロアクロスメンバロアエクステンション8とを、図17および図18で示すように、それらの前部フランジ部7a,8aおよび後部フランジ部7b,8bを互いに接合することによって閉断面形状に形成されている。
【0016】
一方、ロアクロスメンバ主部6は、ロアクロスメンバアッパ9とロアクロスメンバロア10とを、それらの前部フランジ部9a,10aおよび後部フランジ部9b,10bを互いに接合することによって閉断面形状に形成されている(図8参照)。
そして、ロアクロスメンバ主部6の外端部をロアクロスメンバエクステンション5の内端部に形成される開口から挿嵌させ、その重合部を互いに接合することによって一体化されている(図10参照)。
【0017】
また、ロアクロスメンバエクステンション5は、外端部にロアクロスメンバ4の取付け部5aを有し、該取付け部5aを構成するロアクロスメンバロアエクステンション8には、図12および図13に示すように、後述するタイダウンフック11が接合されている。そして、図18に示すように、取付け部5aを構成するロアクロスメンバアッパエクステンション7およびロアクロスメンバロアエクステンション8には、それらの間に2つのスペーサ12が前後方向に介在され、該スペーサ12を貫通するボルト挿通孔5b,5cが形成されている。また、タイダウンフック11にも、2つのボルト挿通孔5b,5cに対応する位置に、ボルト挿通孔11a,11bが形成されている。
【0018】
このロアクロスメンバエクステンション5の内端部は、図16に示すように、取付け部5aのボルト孔5b,5cのピッチ中間よりも距離Lだけ前方に配置されている。したがって、このロアクロスメンバ主部6は、取付け部5aのボルト孔5b,5cのピッチ中間よりも前方に位置することになる。
【0019】
一方、車体の前部両側には、図11ないし図15に示すように、エプロンサイドメンバ(フロントサイドメンバ)13,13が配設され、このエプロンサイドメンバ13の前端には、下方に向けて延びるエプロンサイドフロントエクステンション14が連結されている。
【0020】
エプロンサイドフロントエクステンション14は、その側壁が、エプロンサイドアウターエクステンションプレート15とエプロンサイドインナエクステンションプレート16とによって構成されている(図20参照)。エプロンサイドアウターエクステンションプレート15とエプロンサイドインナエクステンションプレート16は、その中間部に縦方向のビード15a,16aをそれぞれ有している。そして、エプロンサイドアウターエクステンションプレート15とエプロンサイドインナエクステンションプレート16のビード15a,16aを互いに接合するとともに、それらの後端縁15b,16bを互いに接合させることによってエプロンサイドフロントエクステンション14を構成する。
【0021】
また、エプロンサイドアウターエクステンションプレート15とエプロンサイドインナエクステンションプレート16の前方開口端には、バンパーメンバプレートリーンフォース17を介してバンパーメンバプレート18が一体に接合されている。
バンパーメンバプレートリーンフォース17およびバンパーメンバプレート18は、図18および図19に示すように、下端が後方にそれぞれ曲折された後部曲折部17a,18aを有している。そして、バンパーメンバプレートリーンフォース17の後部曲折部17aを挟み込むようにして、バンパーメンバプレート18の後部曲折部18aがエプロンサイドフロントエクステンション14の下端に接合されている。バンパーメンバプレートリーンフォース17およびバンパーメンバプレート18の後部曲折部17a,18aには、ボルト挿通孔17b,17c、18b,18cがそれぞれ形成され、バンパーメンバプレートリーンフォース17における後部曲折部17aのボルト挿通孔17b,17cに対応する位置の上縁にはナット19がそれぞれ溶接されている(図18参照)。
【0022】
また、バンパーメンバプレートリーンフォース17の内端は、図11および図13、図20に示すように、前方に向けて曲折された前部曲折部17dを有している。
一方、この自動車の前部車体構造では、エプロンサイドフロントプレート20を備えている。ロアクロスメンバ4の張り出し部にはバンパーメンバプレート(エクステンション)18の前面にかけてエプロンサイドフロントプレート20(請求項の補強部材)が設けられて補強されている。このエプロンサイドフロントプレート20は、外方へ張出す鉛直壁20aと、前方へ張出す鉛直壁20bと、それらの鉛直壁の下端に差し渡された水平壁20cとによって構成されている。そして、エプロンサイドフロントプレート20の水平壁20cには、ボルト挿通孔20dが形成され、ボルト挿通孔20dの上縁には、ナット21が溶接されている(図17参照)。外方へ張出す鉛直壁20aは、図17に示すように、フロントバンパーメンバプレート18を挟んでバンパーメンバプレートリーンフォース17と接合され、前方へ張出す鉛直壁20bは、バンパーメンバプレートリーンフォース17の前部曲折部17dと重ねられて接合され、このエプロンサイドフロントプレート20は、エプロンサイドフロントエクステンション14の前側の内端に強固に固定されている。
【0023】
そして、ロアクロスメンバ4は、以下のようにしてエプロンサイドメンバ13のエプロンサイドフロントエクステンション14に取付けられる。
【0024】
図18に示すように、ロアクロスメンバ4におけるロアクロスメンバエクステンション5の取付け部5aを、フロントバンパーメンバプレート18の後部屈曲部18aを介してバンパーメンバプレートリーンフォース17の後部曲折部17aに重ね合わせ、タイダウンフック11のボルト挿通孔11a,11b、ロアクロスメンバエクステンション5のボルト挿通孔5b,5c、フロントバンパーメンバプレート18のボルト挿通孔18b,18cおよびバンパーメンバプレートリーンフォース17のボルト挿通孔17b,17cにボルト22をそれぞれ挿通し、それらのボルトの先端をナット19に螺合させて、ロアクロスメンバ4をエプロンサイドフロントエクステンション14の下面に締結する。さらに、ロアクロスメンバ4の前部フランジ部7a,8aをエプロンサイドフロントプレート20の水平壁20cに重ね合わせ、ロアクロスメンバエクステンション5のボルト挿通孔5d、エプロンサイドフロントプレート20のボルト挿通孔20dにボルト23を挿通し、該ボルトの先端をナット21に螺合させて、エプロンサイドフロントプレート20を介してロアクロスメンバ4をエプロンサイドフロントエクステンション14に締結する。
【0025】
また、エプロンサイドフロントエクステンション14の上部には、フロントバンパーメンバプレート18を介してバンパーメンバ24の両端部が締結されている(図2ないし図4参照)。
【0026】
ロアクロスメンバ4の両側部(ロアクロスメンバエクステンション5の内端部)上面には、ラジエータ用下部ブラケット25およびインタークーラ用下部ブラケット26が、ボルト27,28によってそれぞれ締結されている(図5および図6参照)。ラジエータ用下部ブラケット25の取付位置は、図10に示すように、ロアクロスメンバ主部6の外端部とロアクロスメンバエクステンション5の重合部であり、別途補強部材を必要とせず、強固な取付部を形成している。
ラジエータ用ブラケット25およびインタークーラ用下部ブラケット26は、図6に示すように、幅方向中央部が上方に向けて湾曲形成されており、側縁および先端縁にフランジ25c,26cが形成されている。これらのラジエータ用下部ブラケット25およびインタークーラ用下部ブラケット26には、その前端部に取付け孔25a,26aがそれぞれ形成され、それらの取付け孔25a,26aからボルト27,28との間に、幅方向に延びる変形起点部となるビード25b,26bが形成されている。詳細には、ビード25b,26bは、取付け孔25a,26aとボルト27,28とのほぼ中間位置に形成され、ブラケット25,26の変形を容易にしている。さらに変形を容易にする為に、ビード25b,26bは、フランジ25c,26cにも形成されている。インタークーラ用下部ブラケット26の片側の固定は、ラジエータ用下部ブラケット25に重ねられラジエータ用下部ブラケット25固定用のボルト27によって共締め固定されている。
【0027】
ラジエータ1およびインタークーラ31の取付構造を図7ないし図9により説明する。
まず、ラジエータ1は、図7に示すように、下端がブッシュ29を介してラジエータ用下部ブラケット25に装着され、上端がブッシュ30を介してアッパクロスメンバ2に装着されて車体に支持される。ラジエータ1の下端は、ロアクロスメンバ4の上面よりも車両の上下方向で上方に位置し、ラジエータ1に負荷が及び後方移動するときに、ロアクロスメンバ4がラジエータ1の後方移動の妨げにならない様に設定されている。
また、インタークーラ31は、下端がブッシュ32を介してインタークーラ用下部ブラケット26に装着され、上端がバンパーメンバ24に配設されたインタークーラ用上部ブラケット33にボルト34によって締結される(図9参照)。
【0028】
さらに、コンデンサ35は、ラジエータ1の前方に添設され、下端がラジエータ1の下縁枠から前方に突出されたステー1aに装着され、上端がラジエータ1の上縁枠から前方に突出されたステー1bにボルト36によって締結されている(図8参照)。
【0029】
上記実施の形態によると、車両の前部上下に車両の左右方向に延びるアッパクロスメンバ2とロアクロスメンバ4を設け、前記アッパクロスメンバ2に対してロアクロスメンバ4を車両の後方側に配設し、前記ロアクロスメンバ4に、車両の前方に向けてラジエータ用下部ブラケット25を配設し、前記アッパクロスメンバ2と前記ラジエータ用下部ブラケット25とによってラジエータ1を支持したので、前方からの衝撃荷重によるロアクロスメンバ4の変形を防止することができる。ラジエータ用下部ブラケット25は交換容易なので、修理費用が安価で済む。
【0030】
また、ラジエータ用下部ブラケット25には、ラジエータ1の下端を取付けるラジエータ取付部と、ロアクロスメンバ4に取付けるロアクロスメンバ固定部を設け、前記ラジエータ取付部とロアクロスメンバ固定部の間に前記変形起点部としてのビード25bを設けたので、ラジエータ用下部ブラケット25の変形が容易となり、ラジエータ用下部ブラケット25を通してロアクロスメンバ4に衝撃荷重が加わることを防ぐことができる。同様に、インタークーラ用下部ブラケット26にも、変形起点部となるビード26bを設けているので、インタークーラ用下部ブラケット26を通してインタークーラおよびラジエータ1に過大な衝撃荷重が加わることを防ぐことができる。ラジエータ1等の部品に対して、車体への溶接部品であるエプロンサイドメンバ(フロントサイドメンバ)13,13や、エプロンサイドフロントエクステンション14等のエクステンション部材を比較的、車両の後方に配置できるので、衝撃荷重による影響を最小限にすることができる。
【0031】
ロアクロスメンバ4の張り出し部にはバンパーメンバプレート(エクステンション)18の前面にエプロンサイドフロントプレート20が設けられて、ロアクロスメンバ4とエプロンサイドフロントエクステンション14の取付部分を前方に広げることとなり、その取付が補強されているので、ロアクロスメンバ4に掛かるモーメントに耐えることができて、エクステンション部材の大型化の必要がなく、エプロンサイドフロントプレート20の上方に空間を形成でき、ラジエータ1、ラジエータ1の前面に取付けられるエアコンのコンデンサ、インタークーラ等の配管および配管作業が可能となる。バンパーメンバプレート(エクステンション)18とエプロンサイドフロントプレート20を結合するバンパーメンバプレートリーンフォース17を設けたので、1つのリーンフォースで、エプロンサイドフロントエクステンション14の前面と下面(クロスメンバ取付部)の補強および補強部材であるエプロンサイドフロントプレート20との結合強度を向上させることができる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、アッパクロスメンバに対してロアクロスメンバを車両の後方側に配設する程度は、車体の大きさ、アッパクロスメンバおよびロアクロスメンバの材料強度を勘案して必要に応じてアッパクロスメンバからの距離を設定することができる。等、その他本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の自動車の前部車体構造を適用した自動車の前部を示した斜視図である。
【図2】車体の前部を上部前方から視た斜視図で、アッパクロスメンバ,ラジエータ,コンデンサおよびインタークーラ等の配置関係を示している。
【図3】車体の前部を下部前方から視た斜視図で、ロアクロスメンバ,ラジエータ,コンデンサおよびインタークーラ等の配置関係を示している。
【図4】車体前部の正面図である。
【図5】車体前部の底面図である。
【図6】ラジエータ用下側ブラケットおよびインタークーラ用下側ブラケットをロアクロスメンバに取付けた状態を示した斜視図である。
【図7】図4におけるA−A線断面図である。
【図8】図4におけるB−B線断面図である。
【図9】図4におけるC−C線断面図である。
【図10】図6におけるD−D線断面図である。
【図11】フロントロアクロスメンバの端部をエプロンサイドメンバのエプロンサイドフロントエクステンションに取付け状態を示した斜視図である。
【図12】フロントロアクロスメンバの端部をエプロンサイドメンバのエプロンサイドフロントエクステンションに取付け状態を示した斜視図である。
【図13】フロントロアクロスメンバの端部をエプロンサイドメンバのエプロンサイドフロントエクステンションに取付け状態を示した斜視図である。
【図14】フロントロアクロスメンバの端部をエプロンサイドメンバのエプロンサイドフロントエクステンションに取付け状態を示した正面図である。
【図15】フロントロアクロスメンバの端部をエプロンサイドメンバのエプロンサイドフロントエクステンションに取付け状態を示した側面図である。
【図16】フロントロアクロスメンバの端部を下から視た底面図である。
【図17】図14におけるE−E線断面図である。
【図18】図14におけるF−F線断面図である。
【図19】図14におけるG−G線断面図である。
【図20】図14におけるH−H線断面図である。
【図21】図15におけるI−I線断面図である。
【図22】図15におけるJ−J線断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ラジエータ
1a,1b ステー
2 アッパクロスメンバ(フードロックメンバ)
3 フロントフェンダ
4 ロアクロスメンバ
5 ロアクロスメンバエクステンション
5a 取付け部
5b,5c,5d ボルト挿通孔
6 ロアクロスメンバ主部
7 ロアクロスメンバアッパエクステンション
7a 前部フランジ部
7b 後部フランジ部
8 ロアクロスメンバロアエクステンション
8a 前部フランジ部
8b 後部フランジ部
9 ロアクロスメンバアッパ
9a 前フランジ部
9b 後フランジ部
10 ロアクロスメンバロア
10a 前フランジ部
10b 後フランジ部
11 タイダウンフック
11a,11b ボルト挿通孔
12 スペーサ
13 エプロンサイドメンバ(フロントサイドメンバ)
14 エプロンサイドフロントエクステンション
15 エプロンサイドアウターエクステンションプレート
15a ビード
15b 後端縁
16 エプロンサイドインナエクステンションプレート
16a ビード
16b 後端縁
17 バンパーメンバプレートリーンフォース(補強部材)
17a 後部曲折部
17b,17c ボルト挿通孔
18 フロントバンパーメンバプレート
18a 後部屈曲部
18b,18c ボルト挿通孔
19 ナット
20 エプロンサイドフロントプレート(補強部材)
20a,20b 鉛直壁
20c 水平壁
21 ナット
22,23 ボルト
24 バンパーメンバ
25 ラジエータ用下部ブラケット
25a 取付け孔
25b ビード(変形起点部)
25c フランジ
26 インタークーラ用下部ブラケット
26a 取付け孔
26b ビード(変形起点部)
26c フランジ
27,28 ボルト
29,30 ブッシュ
31 インタークーラ
32 ブッシュ
33 インタークーラ用上部ブラケット
34 ボルト
35 コンデンサ
36 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部にラジエータを配設した自動車の前部車体構造であって、前記車両の前部上下に車両の左右方向に延びるアッパクロスメンバとロアクロスメンバを設け、前記アッパクロスメンバに対してロアクロスメンバを車両の後方側に配設し、前記ロアクロスメンバに、車両の前方に向けてブラケットを配設し、前記アッパクロスメンバと前記ブラケットとによってラジエータを支持したことを特徴とする自動車の前部車体構造。
【請求項2】
前記ブラケットに、前方からの荷重作用時に変形の起点となる変形起点部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部車体構造。
【請求項3】
前記ブラケットに、前記ラジエータの下端を取付けるラジエータ取付部と、前記ロアクロスメンバに取付けるロアクロスメンバ固定部を設け、前記ラジエータ取付部とロアクロスメンバ固定部の間に前記変形起点部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の自動車の前部車体構造。
【請求項4】
車体前部の左右前後方向にフロントサイドメンバを設け、これら左右のフロントサイドメンバの先端部から下方に延びるエクステンションをそれぞれ設け、前記ロアクロスメンバを、その車幅方向中央部を両側端部よりも前方にオフセットさせて形成するとともに、前記中央部に前記ブラケットを配設し、前記ロアクロスメンバの両側端部を前記エクステンション部材の下面に取付けて、前記クロスメンバを前記エクステンションに装架させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車の前部車体構造。
【請求項5】
前記ロアクロスメンバの前記エクステンションへの取付け部を前方に拡大させ、該拡大部と前記エクステンションの前面とを補強部材を介して互いに結合させたことを特徴とする請求項4に記載の自動車の前部車体構造。
【請求項6】
前記エクステンションの前面と下面および前記補強部材とをリーンフォースを介してそれぞれ結合したことを特徴とする請求項5に記載の自動車の前部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−131187(P2007−131187A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326895(P2005−326895)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】