自動車用窓開閉装置および制御装置
【課題】運転席以外の席の窓開閉用スイッチを誤って操作しても、窓が大幅に開かないようにして安全を確保する一方で、換気などの目的で窓を僅かに開けたいときには、一定量まで窓を開けることができるようにする。
【解決手段】運転席以外の他席の窓を開閉するための運転席用他窓操作スイッチ2と、他席の窓の開閉を制限するための運転席用他窓開閉制限スイッチ3と、他席の窓を開閉するための他席用操作スイッチ4と、他席の窓の開き量を検出する窓位置検出センサ5と、窓の開閉を制御する制御部15とを備える。制御部15は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、窓位置検出センサ5によって他席の窓が所定量開いたことが検出されるまでは窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたことが検出されたときに窓の開動作を停止させる。
【解決手段】運転席以外の他席の窓を開閉するための運転席用他窓操作スイッチ2と、他席の窓の開閉を制限するための運転席用他窓開閉制限スイッチ3と、他席の窓を開閉するための他席用操作スイッチ4と、他席の窓の開き量を検出する窓位置検出センサ5と、窓の開閉を制御する制御部15とを備える。制御部15は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、窓位置検出センサ5によって他席の窓が所定量開いたことが検出されるまでは窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたことが検出されたときに窓の開動作を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されて窓の開閉を行う自動車用窓開閉装置、およびそれに用いられる制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席の脇には、窓を開閉するための操作スイッチが設けられている。この操作スイッチには、運転席の窓の開閉を行うスイッチのほかに、助手席や後部座席の窓の開閉を行うスイッチも含まれている。また、助手席や後部座席の脇にも、それぞれの席の窓の開閉を行うための操作スイッチが設けられている。
【0003】
ところで、助手席や後部座席にいる幼児等が、各席の脇に備わっている操作スイッチを誤って押すことがある。この場合、スイッチが押され続けると、図38(a)のように自動車Cの窓Wが大きく開いて、開いた窓から幼児等が外へ転落する危険性がある。そこで、誤操作によって窓が開くことを防止するために、運転席の脇にある操作スイッチに、助手席や後部座席の窓の開閉を禁止する窓開閉禁止スイッチが併設されている。この窓開閉禁止スイッチが操作されると、助手席や後部座席の脇にある操作スイッチを操作しても、助手席や後部座席の窓を開閉させることができない。これにより、不用意に窓が開くことを防止して、安全を確保するようにしている。このような窓開閉禁止スイッチに関しては、例えば後掲の特許文献1に記載されている。
【0004】
一方、自動車の窓を長時間締め切っていて車内の空気が淀んだり、喫煙などで車内の空気が汚れたりした場合に、図38(b)のように窓Wを少しだけ開けて換気を行い、車内の空気の入れ替えを行いたいことがある。このような場合に、所定の操作によって窓を僅かに開けることができるようにした窓開閉制御装置が、後掲の特許文献2〜5に記載されている。
【0005】
【特許文献1】実開平6−14389号公報
【特許文献2】実開平5−76824号公報
【特許文献3】特許第3480148号公報
【特許文献4】特許第2746547号公報
【特許文献5】特開平8−310231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の自動車用窓開閉装置にあっては、窓開閉禁止スイッチが操作された場合に、助手席や後部座席の窓を開けることが全面的に禁止されるので、幼児等が開いた窓から転落する危険性は回避できる反面、助手席や後部座席の窓を僅かに開けて換気を行うことができないという問題点がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、運転席以外の席の窓開閉用スイッチを誤って操作しても、窓が大幅に開かないようにして安全を確保する一方で、換気などの目的で窓を僅かに開けたいときには、一定量まで窓を開けることができる自動車用窓開閉装置および制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動車用窓開閉装置は、運転席以外の他席の窓を開閉するために運転席に設けられる運転席用他窓操作スイッチと、他席の窓を開閉するために他席に設けられる他席用操作スイッチと、他席の窓の開閉を制限するために運転席に設けられる運転席用他窓開閉制限スイッチと、他席の窓の開き量を検出するセンサと、他席の窓の開閉を制御する制御装置とを備える。そして、制御装置は、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、上記センサによって他席の窓が所定量開いたことが検出されるまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたことが検出されたときに当該窓の開動作を停止させる。
【0009】
また、本発明に係る制御装置は、運転席以外の他席の窓を開閉するための運転席用他窓操作スイッチからの出力信号、または他席の窓を開閉するための他席用操作スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制御し、他席の窓の開閉を制限するための運転席用他窓開閉制限スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制限する制御装置であって、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、他席の窓が所定量開くまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたときに当該窓の開動作を停止させる制御部を備えている。
【0010】
本発明の自動車用窓開閉装置および制御装置では、他窓開閉制限スイッチが投入されている場合でも、窓を僅かに開けて換気などを行うことができるとともに、窓は限られた量しか開かないので、幼児等が転落するおそれはなく、安全が確保される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態においては、制御装置の制御部は、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、運転席用他窓操作スイッチにより他席の窓の開閉操作が行われた場合に、他窓開閉制限スイッチの動作に基づく制御を禁止する。これによると、他窓開閉制限スイッチが入っていても、運転席用他窓操作スイッチによって他窓の開閉制限を解除することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態においては、制御装置の制御部は、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の閉動作が行われた場合に、他席の窓の開き量が一定範囲にある場合のみ当該窓の閉動作を許容し、他席の窓の開き量が一定範囲にない場合は当該窓の閉動作を禁止する。これによると、他席の窓の閉動作に対して一定の制限が加えられるため、窓が閉じるときに腕や首などが窓ガラスで挟まれる危険を回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、他窓開閉制限スイッチを操作することで運転席以外の席の窓が大幅に開くのを防止できるとともに、上記スイッチが操作されても窓を一定量だけ開くことができるので、安全性を確保しながら窓を僅かに開けて換気などを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係る自動車用窓開閉装置Aの一例を示す電気ブロック図、図2は自動車Cの車内における各スイッチの配置と制御系統を説明するための模式図である。図1において、1は運転席用操作スイッチであって、図2に示したように運転席の脇に設けられている。このスイッチ1を操作することで、運転席の窓101aを開閉することができる。2は運転席用他窓操作スイッチであって、同じく運転席の脇に設けられている。このスイッチ2を操作することで、運転席以外の他席の窓、すなわち助手席の窓101bと、後部左座席の窓101cと、後部右座席の窓101dとを開閉することができる。3は運転席用他窓開閉制限スイッチ(以下単に「他窓開閉制限スイッチ」という)であって、同じく運転席の脇に設けられている。このスイッチ3を操作することで、助手席の窓101b、後部左座席の窓101cおよび後部右座席の窓101dの開閉を制限することができる。なお、スイッチ1〜3は、共通のスイッチボックスに組み込まれていてもよいし、独立したスイッチとして構成されていてもよい。
【0015】
4は他席用操作スイッチであって、図2に示したように、助手席の脇に設けられた助手席用操作スイッチ(以下「助手席スイッチ」という)4aと、後部左座席の脇に設けられた後部左座席用操作スイッチ(以下「後部左座席スイッチ」という)4bと、後部右座席の脇に設けられた後部右座席用操作スイッチ(以下「後部右座席スイッチ」という)4cとからなる。助手席スイッチ4aを操作することで、助手席の窓101bを開閉することができる。後部左座席スイッチ4bを操作することで、後部左座席の窓101cを開閉することができる。後部右座席スイッチ4cを操作することで、後部右座席の窓101dを開閉することができる。
【0016】
以上の各スイッチのうち、運転席用操作スイッチ1、運転席用他窓操作スイッチ2および他席用操作スイッチ4は、図3(a)に示したように、「開」側と「閉」側と中立の3つの位置に切り替えが可能な接点構成を備えている。また、他窓開閉制限スイッチ3は、図3(b)に示したような通常の接点構成を備えている。
【0017】
5は窓の開き量を窓ガラスの昇降位置に基づいて検出するセンサ(以下「窓位置検出センサ」という)であって、後述する窓モータ10、12〜14のそれぞれに付設されたロータリエンコーダと、このロータリエンコーダから出力されるパルス信号を計数して処理する信号処理回路とから構成されている。なお、窓位置検出センサ5としては、ロータリエンコーダおよび信号処理回路に代えて、各窓の複数の位置に配備されたマイクロスイッチやフォトセンサなどを用いることもできる。
【0018】
10は運転席の窓101aを開閉するための運転席用窓モータ、11は運転席以外の他席の窓を開閉するための他席用窓モータである。運転席用窓モータ10は、運転席用操作スイッチ1の操作により駆動される。他席用窓モータ11は、助手席の窓101bを開閉する助手席用窓モータ12と、後部左座席の窓101cを開閉する後部左座席用窓モータ13と、後部右座席の窓101dを開閉する後部右座席用窓モータ14とからなる。助手席用窓モータ12は、助手席スイッチ4aの操作により駆動される。後部左座席用窓モータ13は、後部左座席スイッチ4bの操作により駆動される。後部右座席用窓モータ14は、後部右座席スイッチ4cの操作により駆動される。
【0019】
15は自動車用窓開閉装置Aの全体動作を制御する制御部であって、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力インターフェイス、モータ制御回路などから構成されている。16はメモリであって、RAMやROMなどから構成されている。これらの制御部15およびメモリ16によって、本発明の制御装置が構成される。
【0020】
図4は、各窓101a〜101dごとに設けられる窓開閉機構の一例を示した図である。100は自動車の窓、101は窓100を開閉する窓ガラス、102は窓開閉機構である。各窓の開閉機構は同じなので、図4では窓の符号を100で代表している。窓ガラス101は、窓開閉機構102の作動により昇降動作を行い、窓ガラス101の上昇により窓100が閉じ、窓ガラス101の下降により窓100が開く。
【0021】
窓開閉機構102において、103は窓ガラス101の下端に取り付けられた支持部材である。104は一端が支持部材103に係合され、他端がブラケット106に回転可能に支持された第1アーム、105は一端が支持部材103に係合され、他端がガイド部材107に係合された第2アームである。108は窓モータであって、図1に示した運転席用窓モータ10または他席用窓モータ11からなる。109は窓モータ108により回転駆動されるピニオン、110はピニオン109と噛合して回転する扇形のギヤである。ギヤ110は、第1アーム104に固定されている。111は前述した窓位置検出センサ5を構成するロータリエンコーダであって、窓モータ108の回転軸に連結されている。このロータリエンコーダ111は、窓モータ108の回転量に比例した数のパルス信号を出力する。このパルス信号を図示しない信号処理回路で計数することによって窓100の開き量が算出され、信号処理回路は、開き量が一定値に達すると検出信号を出力する。
【0022】
窓モータ108は正逆方向に回転可能であり、正逆方向への回転によりピニオン109およびギヤ110を回転させて、第1アーム104を正逆方向へ回動させる。これに追随して、第2アーム105の他端がガイド部材107の溝に沿って横方向にスライドし、支持部材103が上下方向に移動して窓ガラス101を昇降させ、窓100を開閉する。以上のような窓開閉機構102は公知であって、例えば前掲の特許文献5に開示されている。
【0023】
図5は、窓100の開閉制御を行うための制御回路を示している。この制御回路は、ハードウェアとしての論理回路を含んでいるが、論理回路の部分は制御部15(図1)においてソフトウェアで実現可能なことは言うまでもない。以降の論理回路についても同様である。2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、5は窓位置検出センサ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。21および22はANDゲート、23および24はORゲートである。ANDゲート22の一方の入力は、反転入力となっている。窓位置検出センサ5は、前述したようにロータリエンコーダ111(図4)および信号処理回路(図示省略)から構成されるが、図5では説明の便宜上、窓位置検出センサ5をスイッチとして図示してある。この窓位置検出センサ5は、窓の開き量が所定量以上になると、オン状態となって検出信号を出力する。
【0024】
次に、図5の制御回路による窓の開閉制御について説明する。最初に、他窓開閉制限スイッチ3が操作されていない場合の動作について述べる。
【0025】
図6は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4を「開」側に操作した場合(窓を開ける場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がL(Low)、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がH(High)、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がLとなる。窓位置検出センサ5はまだ動作していないので、その出力はLとなる。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図6に示したようになる。
【0026】
図6においては、ANDゲート21の入力がともにLとなって、ANDゲート21の出力はLとなる。このL信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はH、ORゲート24の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が下降し、窓100が開いてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yになったことが窓位置検出センサ5で検出され、図7に示すように、窓位置検出センサ5からH信号が出力される。このため、ANDゲート21の一方の入力がHになるが、他方の入力はLのままであるので、ANDゲート21の出力はLで変化せず、他席用操作スイッチ4が「開」側に押されている間は、他席用窓モータ11の駆動が継続され、窓100は開き続ける。他席用操作スイッチ4の押圧を解除すると、スイッチ4は中立位置に戻り、ANDゲート22の出力がL、ORゲート24の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。
【0027】
図8は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4を「閉」側に操作した場合(窓を閉じる場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がL、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がL、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がHとなる。また、窓が所定量Y以上開いておれば、窓位置検出センサ5の出力はHとなっている。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図8に示したようになる。
【0028】
図8において、ANDゲート21の入力がLとHとなるため、ANDゲート21の出力はLとなる。このL信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からL信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はL、ORゲート24の出力はLとなる。一方、ORゲート23に他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる結果、ORゲート23の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が上昇し、窓100が閉じてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yより小さくなるため、図9に示すように、窓位置検出センサ5からL信号が出力される。このため、ANDゲート21の入力はともにLになるが、ANDゲート21の出力はLで変化せず、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されている間は、他席用窓モータ11の駆動が継続され、窓100は閉まり続ける。他席用操作スイッチ4の押圧を解除すると、スイッチ4は中立位置に戻り、ORゲート23の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。
【0029】
したがって、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態では、他席用操作スイッチ4が「開」側に押されている間は、窓位置検出センサ5の検出動作に関係なく窓が開いてゆき、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されている間は、窓位置検出センサ5の検出動作に関係なく窓が閉じてゆく。この結果、他席用操作スイッチ4の操作によって、図10のような窓100が完全に閉じた状態と、図11のような窓100が完全に開いた状態との間で、窓100を自由に開閉することができる。
【0030】
次に、他窓開閉制限スイッチ3が操作された場合の動作について述べる。
【0031】
図12は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4を「開」側に操作した場合(窓を開ける場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がH、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がH、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がLとなる。また、窓位置検出センサ5は最初は動作しないので、その出力はLとなる。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図12に示したようになる。
【0032】
図12において、ANDゲート21の入力がLとHとなるため、ANDゲート21の出力はLとなる。このL信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はH、ORゲート24の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が下降し、窓100が開いてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yになったことが窓位置検出センサ5で検出され、図13に示すように、窓位置検出センサ5からH信号が出力される。このため、ANDゲート21の入力はともにHとなって、ANDゲート21の出力はLからHに変化する。この結果、ANDゲート22の出力がHからLに変化し、ORゲート24の出力もHからLに変化する。したがって、ORゲート24からH信号が出力されなくなるので、他席用窓モータ11は停止する。このため、他席用操作スイッチ4が「開」側に押され続けても、図16に示したように、窓100は所定量Y(=X)だけ開いた状態を維持し、それ以上は開かない。Yの値は、例えば5〜10cm程度に設定される。
【0033】
図14は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4を「閉」側に操作した場合(窓を閉じる場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がH、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がL、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がHとなる。また、窓が所定量Y以上開いておれば、窓位置検出センサ5の出力はHとなっている。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図14に示したようになる。
【0034】
図14においては、ANDゲート21の入力がともにHとなって、ANDゲート21の出力はHとなる。このH信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からL信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はL、ORゲート24の出力はLとなる。一方、ORゲート23に他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる結果、ORゲート23の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が上昇し、窓100が閉じてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yより小さくなるため、図15に示すように、窓位置検出センサ5からL信号が出力される。このため、ANDゲート21の一方の入力がLとなり、ANDゲート21の出力はLとなるが、ANDゲート22の出力はLで変化しないため、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されている間は、他席用窓モータ11の駆動が継続され、窓100は閉まり続ける。他席用操作スイッチ4の押圧を解除すると、スイッチ4は中立位置に戻り、ORゲート23の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。
【0035】
したがって、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態では、他席用操作スイッチ4が「開」側に押されると、図16のように、窓の開き量Xが所定量Yになるまで窓100が開いてゆき、窓100の開き量Xが所定量Yに達したことが窓位置検出センサ5で検出されると、それ以上他席用操作スイッチ4を押し続けても、窓100の開動作は停止する。また、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されると、窓位置検出センサ5の検出動作に関係なく窓100が閉じてゆく。したがって、図17に示したように、Yより小さい範囲では窓100を自由に開けたり閉じたりすることができるが、それ以外の範囲では図18に示したように、窓100を閉じることのみが許容される。Yに関係なく全範囲にわたって窓100の開閉を可能とするには、他窓開閉制限スイッチ3をオフにして開閉制限動作を解除すればよい。あるいは、後述のように、運転席用他窓操作スイッチ2を操作することによっても、窓100を自由に開閉することができる。
【0036】
以上のように、上述した実施形態においては、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、他席の窓が所定量Yだけ開いたことが検出されるまでは窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量Yだけ開いたことが検出されたときに窓の開動作を停止させるようにしている。このため、他窓開閉制限スイッチ3が投入されていても、他席用操作スイッチ4の開操作によって、窓100を僅かに開けて換気を行うことができる。また、窓100は限られた量Yしか開かないので、開いた窓から幼児等が転落するおそれはなく、安全を確保することができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、他席用操作スイッチ4により他席の窓を開閉する場合について述べたが、運転席用他窓操作スイッチ2により他席の窓を開閉する場合は、図5において、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」操作により、ORゲート24の出力が常にHとなって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。また、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」操作により、ORゲート23の出力が常にHとなって、他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。したがって、運転席用他窓操作スイッチ2の操作により、他窓開閉制限スイッチ3のオン・オフ状態にかかわらず窓を制限なく自由に開閉することができる。なお、運転席用他窓操作スイッチ2が操作された場合にも、他席用操作スイッチ4が操作された場合と同様に、他窓開閉制限スイッチ3の投入によって窓の開動作に制限が加わるように論理回路を構成してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で他席用操作スイッチ4が「閉」側に押され続けると、窓位置検出センサ5の動作に関係なく窓100が最後まで完全に閉じるようになっているが、窓100の開き量Xが所定量Yになった時点で、窓位置検出センサ5の検出信号に基づき、窓100の閉動作(窓ガラス101の上昇)を停止させるように論理回路を構成してもよい。これにより、窓の隙間に指が挟まれるなどの事故を未然に防止することができる。
【0039】
図19は、本発明の他の実施形態であって、他席の窓を開閉する場合に、運転席用他窓操作スイッチ2の操作を他席用操作スイッチ4の操作より優先させ、また、窓が完全に開いたとき、および窓が完全に閉じたときに窓モータを停止させるように制御を行う制御回路を示している。
【0040】
2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。窓位置検出センサは、窓が所定量Yだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5aと、窓が完全に開いたときに動作する窓位置検出センサ5bと、窓が完全に閉じたときに動作する窓位置検出センサ5cとからなる。31〜36はANDゲート、37および38はORゲートである。ANDゲート32〜36の一方の入力は、反転入力となっている。
【0041】
次に、図19の制御回路による窓の開閉制御について説明する。図20は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4が「閉」側に操作され、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作された場合を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力がH、「閉」側の出力がLとなり、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力がL、「閉」側の出力がHとなる。また、他窓開閉制限スイッチ3の出力はLとなる。窓位置検出センサ5a〜5cの出力は、すべてLであるとする。したがって、各ゲート31〜38の入出力におけるH、Lの状態は図20に示したようになる。
【0042】
図20においては、他席用操作スイッチ4が「閉」側に操作されても、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作されたことで、ANDゲート32の出力がH、ANDゲート33の出力がLとなり、これによってANDゲート35の出力がL、ANDゲート36の出力がHとなる。このため、ANDゲート36からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。すなわち、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」操作が他席用操作スイッチ4の「閉」操作より優先される。このため、スイッチ2の「開」操作とスイッチ4の「閉」操作とが同時に行われた場合でも動作に支障は生じない。そして、図21に示したように、窓が開く過程で窓位置検出センサ5aの出力がHとなり(このときANDゲート31の出力はLのままで変化しない)、窓が完全に開くと、窓位置検出センサ5bの出力がHとなって、ANDゲート36の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。これにより、窓が完全に開いたときにモータ11を確実に停止することができる。
【0043】
一方、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)では、図22に示したように、他窓開閉制限スイッチ3の出力がHとなり、また、窓が所定量Yだけ開いた時点で窓位置検出センサ5aの出力もHとなるため、ANDゲート31の出力がHとなる。この結果、ANDゲート34の出力がLとなるので、ANDゲート36の出力はLとなって、他席用窓モータ11が停止する。このとき、窓は図16で示したように、所定量Yだけ開いた状態を維持する。このようにして、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」操作が他席用操作スイッチ4の「閉」操作より優先されて窓が開く場合でも、他窓開閉制限スイッチ3が投入されているときは、窓の開き量が制限される。
【0044】
図23は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4が「開」側に操作され、運転席用他窓操作スイッチ2が「閉」側に操作された場合を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力がL、「閉」側の出力がHとなり、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力がH、「閉」側の出力がLとなる。また、他窓開閉制限スイッチ3の出力はLとなる。窓位置検出センサ5a〜5cの出力は、すべてLであるとする。したがって、各ゲート31〜38の入出力におけるH、Lの状態は図23に示したようになる。
【0045】
図23においては、他席用操作スイッチ4が「開」側に操作されても、運転席用他窓操作スイッチ2が「閉」側に操作されたことで、ANDゲート32の出力がL、ANDゲート33の出力がHとなり、これによってANDゲート35の出力がH、ANDゲート36の出力がLとなる。このため、ANDゲート35からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。すなわち、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」操作が他席用操作スイッチ4の「開」操作より優先される。このため、スイッチ2の「閉」操作とスイッチ4の「開」操作とが同時に行われた場合でも動作に支障は生じない。そして、窓が完全に閉じると、図24に示したように、窓位置検出センサ5cの出力がHとなり、ANDゲート35の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。これにより、窓が完全に閉じたときにモータ11を確実に停止することができる。
【0046】
一方、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)では、図25に示したように、他窓開閉制限スイッチ3の出力がHとなり、また、窓が所定量Y以上開いた状態になると窓位置検出センサ5aの出力もHとなるため、ANDゲート31の出力がHとなるが、ANDゲート34の一方の入力はLのままなので、ANDゲート34、36の出力は図23の場合と同様にLとなる。また、ANDゲート32、33、35の出力は、他窓開閉制限スイッチ3の状態に影響されないので、図23の場合と同様にそれぞれL、H、Hとなる。したがって、ANDゲート35からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。このとき、窓は窓位置検出センサ5aの出力に関係なく閉じてゆき、窓が完全に閉じると、前述のように窓位置検出センサ5cの出力がHとなり、ANDゲート35の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。このようにして、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」操作が他席用操作スイッチ4の「開」操作より優先されて窓が閉じる場合は、他窓開閉制限スイッチ3が投入されていても、窓は最後まで閉じる。
【0047】
図26は、本発明の他の実施形態であって、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、運転席用他窓操作スイッチ2により他席の窓の開閉操作が行われた場合に、他窓開閉制限スイッチ3の動作に基づく制御を禁止するように制御を行う制御回路を示している。
【0048】
2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。窓位置検出センサは、窓が所定量Yだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5aと、窓が完全に開いたときに動作する窓位置検出センサ5bと、窓が完全に閉じたときに動作する窓位置検出センサ5cとからなる。41〜46はANDゲート、47および48はORゲートである。ANDゲート41、42、44〜46の一方の入力は、反転入力となっている。
【0049】
次に、図26の制御回路による窓の開閉制御について説明する。図27は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作された場合を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」側の出力はLで、他窓開閉制限スイッチ3の出力もLであり、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力と「閉」側の出力もLである。したがって、ANDゲート41、42の出力はともにLであり、ANDゲート43の出力もLである。このため、ANDゲート44の出力もLとなる。また、ORゲート47の出力はLであり、窓位置検出センサ5cの出力はLであるため、ANDゲート45の出力はLとなる。一方、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力はHであるから、ORゲート48の出力がHとなる。また、窓が完全に開くまでは窓位置検出センサ5bの出力はLである。このため、ANDゲート46の出力はHとなる。したがって、ANDゲート46からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。窓が所定量Yだけ開くと、窓位置検出センサ5aの出力がHになるが、他窓開閉制限スイッチ3の出力はLのままであるから、ANDゲート43の出力はLを維持し、窓は最後まで開く。そして、窓が完全に開くと、窓位置検出センサ5bの出力がHとなり、ANDゲート46の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。
【0050】
図28は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作された場合を示している。この場合、ANDゲート41、42、45とORゲート47の状態は図27と変わりがない。また、他窓開閉制限スイッチ3の出力がHとなるので、ANDゲート43の一方の入力がHとなるが、窓位置検出センサ5aが動作するまではANDゲート43の出力がLのままであるから、ANDゲート44の出力はLで変化しない。したがって、ORゲート48の状態も図27と変わりがなく、ORゲート48の出力はHとなる。また、窓が完全に開くまでは窓位置検出センサ5bの出力はLである。このため、ANDゲート46の出力はHとなる。したがって、ANDゲート46からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。窓が所定量Yだけ開くと、窓位置検出センサ5aの出力がHになり、ANDゲート43の出力がHとなるが、ORゲート47、48の出力は変化しない。このため、窓は最後まで開く。そして、窓が完全に開くと、窓位置検出センサ5bの出力がHとなり、ANDゲート46の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。
【0051】
このようにして、他窓開閉制限スイッチ3が投入されていても、運転席用他窓操作スイッチ2を操作することにより、他窓開閉制限スイッチ3による制御動作が行われないようにすることができる。なお、図26の回路では、窓を閉じる場合については他窓開閉制限スイッチ3による制限が働かないようになっているが、この制限が働くように論理回路を構成した場合は、運転席用他窓操作スイッチ2を「閉」側に操作することにより、窓の閉動作の制限を禁止するようにしてもよい。
【0052】
図29は、本発明の他の実施形態であって、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で、他席用操作スイッチ4が「開」操作された場合に窓の開動作が可能な範囲を制限するとともに、他席用操作スイッチ4が「閉」操作された場合にも窓の閉動作が可能な範囲を制限するように制御を行う制御回路を示している。
【0053】
2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。窓位置検出センサは、窓が所定量Yだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5aと、窓が完全に開いたときに動作する窓位置検出センサ5bと、窓が完全に閉じたときに動作する窓位置検出センサ5cと、窓がY+αだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5dとからなる。51〜59はANDゲート、60および61はORゲートである。ANDゲート52〜55、57〜59の一方の入力は、反転入力となっている。
【0054】
次に、図29の制御回路による窓の開閉制御について説明する。図30は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4が「開」側に操作された場合(窓を開く場合)を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力と「閉」側の出力はともにLで、他窓開閉制限スイッチ3の出力はH、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力はH、「閉」側の出力はLとなる。また、窓位置検出センサ5a〜5dの出力はいずれもLとする。この結果、各ゲート51〜61の入出力におけるH、Lの状態は図30に示したようになり、ANDゲート59からのH信号により他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。そして、窓が所定量Yだけ開くと、図31に示したように、窓位置検出センサ5aが動作してANDゲート56の出力がH、ANDゲート57の出力がLとなるので、他席用窓モータ11は停止する。したがって、これ以降は他席用操作スイッチ4を「開」側に押し続けても、窓は開かない。
【0055】
図32は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4が「閉」側に操作された場合(窓を閉じる場合)を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力と「閉」側の出力はともにLで、他窓開閉制限スイッチ3の出力はH、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力はL、「閉」側の出力はHとなる。このとき、図35に示したように、窓100の開き量XがY+α以上であるとすると、窓位置検出センサ5aおよび5dの出力はHであり、窓位置検出センサ5bおよび5cの出力はLである。この結果、各ゲート51〜61の入出力におけるH、Lの状態は図32に示したようになり、ANDゲート58の出力がLとなるため、他席用窓モータ11は窓を閉じる方向に駆動されない。したがって、図35の状態から窓を閉じることはできない。
【0056】
一方、図36のように、窓100の開き量XがY以上でY+αより小さい場合は、図33に示したように、窓位置検出センサ5dがオフになってANDゲート51の出力がL、ANDゲート53の出力がHになる。これによって、ORゲート61の出力がH、ANDゲート55の出力がH、ANDゲート58の出力がHとなるので、ANDゲート58からのH信号により、他席用窓モータ11は窓を閉じる方向に駆動される。したがって、図36の状態から窓を閉じることができる。
【0057】
また、図37のように、窓100の開き量XがYより小さい場合は、図34に示したように、窓位置検出センサ5aもオフになってANDゲート56の出力がLになる。しかし、ANDゲート57の出力は図33と同様にLであり、その他のゲートの入出力状態も、図33と同じとなる。このため、ANDゲート58からのH信号により、他席用窓モータ11は窓を閉じる方向に駆動される。したがって、図37の場合も窓を閉じることができる。
【0058】
以上から分かるように、図29の制御回路によると、図35のように窓100の開き量XがX≧Y+αの場合は、窓100を開けることも閉じることも禁止され、図36のように窓100の開き量XがY≦X<Y+αの場合は、窓100を開けることはできず閉じることのみが可能であり、図37のように窓100の開き量XがX<Yの場合は窓100を開けることも閉じることも可能となる。
【0059】
なお、図29の制御回路において、運転席用他窓操作スイッチ2によって他席の窓を閉じる場合は、スイッチ2を「閉」側に操作すると、常に、ORゲート61の出力がH、ANDゲート55、58の出力がHとなるので、図35の場合であっても窓を閉じることができるが、これを上記と同様に禁止するように論理回路を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る自動車用窓開閉装置の一例を示す電気ブロック図である。
【図2】車内における各スイッチの配置と制御系統を説明するための模式図である。
【図3】スイッチの接点構成を示した図である。
【図4】窓開閉機構の一例を示した図である。
【図5】窓の開閉制御を行うための制御回路を示した図である。
【図6】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図7】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図8】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図9】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図10】窓が完全に閉じた状態を示す図である。
【図11】窓が完全に開いた状態を示す図である。
【図12】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図13】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図14】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図15】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図16】窓の開閉動作を説明する図である。
【図17】窓の開閉動作を説明する図である。
【図18】窓の開閉動作を説明する図である。
【図19】他の実施形態による制御回路を示した図である。
【図20】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図21】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図22】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図23】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図24】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図25】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図26】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図27】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図28】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図29】他の実施形態による制御回路を示した図である。
【図30】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図31】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図32】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図33】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図34】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図35】窓の開閉動作を説明する図である。
【図36】窓の開閉動作を説明する図である。
【図37】窓の開閉動作を説明する図である。
【図38】自動車の窓の開閉を説明する図である。
【符号の説明】
【0061】
2 運転席用他窓操作スイッチ
3 運転席用他窓開閉制限スイッチ
4 他席用操作スイッチ
5 窓位置検出センサ
10 運転席用窓モータ
11 他席用窓モータ
15 制御部
16 メモリ
100 窓
101 窓ガラス
102 窓開閉機構
A 自動車用窓開閉装置
C 自動車
X 開き量
Y 所定量
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されて窓の開閉を行う自動車用窓開閉装置、およびそれに用いられる制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転席の脇には、窓を開閉するための操作スイッチが設けられている。この操作スイッチには、運転席の窓の開閉を行うスイッチのほかに、助手席や後部座席の窓の開閉を行うスイッチも含まれている。また、助手席や後部座席の脇にも、それぞれの席の窓の開閉を行うための操作スイッチが設けられている。
【0003】
ところで、助手席や後部座席にいる幼児等が、各席の脇に備わっている操作スイッチを誤って押すことがある。この場合、スイッチが押され続けると、図38(a)のように自動車Cの窓Wが大きく開いて、開いた窓から幼児等が外へ転落する危険性がある。そこで、誤操作によって窓が開くことを防止するために、運転席の脇にある操作スイッチに、助手席や後部座席の窓の開閉を禁止する窓開閉禁止スイッチが併設されている。この窓開閉禁止スイッチが操作されると、助手席や後部座席の脇にある操作スイッチを操作しても、助手席や後部座席の窓を開閉させることができない。これにより、不用意に窓が開くことを防止して、安全を確保するようにしている。このような窓開閉禁止スイッチに関しては、例えば後掲の特許文献1に記載されている。
【0004】
一方、自動車の窓を長時間締め切っていて車内の空気が淀んだり、喫煙などで車内の空気が汚れたりした場合に、図38(b)のように窓Wを少しだけ開けて換気を行い、車内の空気の入れ替えを行いたいことがある。このような場合に、所定の操作によって窓を僅かに開けることができるようにした窓開閉制御装置が、後掲の特許文献2〜5に記載されている。
【0005】
【特許文献1】実開平6−14389号公報
【特許文献2】実開平5−76824号公報
【特許文献3】特許第3480148号公報
【特許文献4】特許第2746547号公報
【特許文献5】特開平8−310231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の自動車用窓開閉装置にあっては、窓開閉禁止スイッチが操作された場合に、助手席や後部座席の窓を開けることが全面的に禁止されるので、幼児等が開いた窓から転落する危険性は回避できる反面、助手席や後部座席の窓を僅かに開けて換気を行うことができないという問題点がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、運転席以外の席の窓開閉用スイッチを誤って操作しても、窓が大幅に開かないようにして安全を確保する一方で、換気などの目的で窓を僅かに開けたいときには、一定量まで窓を開けることができる自動車用窓開閉装置および制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動車用窓開閉装置は、運転席以外の他席の窓を開閉するために運転席に設けられる運転席用他窓操作スイッチと、他席の窓を開閉するために他席に設けられる他席用操作スイッチと、他席の窓の開閉を制限するために運転席に設けられる運転席用他窓開閉制限スイッチと、他席の窓の開き量を検出するセンサと、他席の窓の開閉を制御する制御装置とを備える。そして、制御装置は、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、上記センサによって他席の窓が所定量開いたことが検出されるまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたことが検出されたときに当該窓の開動作を停止させる。
【0009】
また、本発明に係る制御装置は、運転席以外の他席の窓を開閉するための運転席用他窓操作スイッチからの出力信号、または他席の窓を開閉するための他席用操作スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制御し、他席の窓の開閉を制限するための運転席用他窓開閉制限スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制限する制御装置であって、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、他席の窓が所定量開くまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたときに当該窓の開動作を停止させる制御部を備えている。
【0010】
本発明の自動車用窓開閉装置および制御装置では、他窓開閉制限スイッチが投入されている場合でも、窓を僅かに開けて換気などを行うことができるとともに、窓は限られた量しか開かないので、幼児等が転落するおそれはなく、安全が確保される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態においては、制御装置の制御部は、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、運転席用他窓操作スイッチにより他席の窓の開閉操作が行われた場合に、他窓開閉制限スイッチの動作に基づく制御を禁止する。これによると、他窓開閉制限スイッチが入っていても、運転席用他窓操作スイッチによって他窓の開閉制限を解除することができる。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態においては、制御装置の制御部は、他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の閉動作が行われた場合に、他席の窓の開き量が一定範囲にある場合のみ当該窓の閉動作を許容し、他席の窓の開き量が一定範囲にない場合は当該窓の閉動作を禁止する。これによると、他席の窓の閉動作に対して一定の制限が加えられるため、窓が閉じるときに腕や首などが窓ガラスで挟まれる危険を回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、他窓開閉制限スイッチを操作することで運転席以外の席の窓が大幅に開くのを防止できるとともに、上記スイッチが操作されても窓を一定量だけ開くことができるので、安全性を確保しながら窓を僅かに開けて換気などを行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係る自動車用窓開閉装置Aの一例を示す電気ブロック図、図2は自動車Cの車内における各スイッチの配置と制御系統を説明するための模式図である。図1において、1は運転席用操作スイッチであって、図2に示したように運転席の脇に設けられている。このスイッチ1を操作することで、運転席の窓101aを開閉することができる。2は運転席用他窓操作スイッチであって、同じく運転席の脇に設けられている。このスイッチ2を操作することで、運転席以外の他席の窓、すなわち助手席の窓101bと、後部左座席の窓101cと、後部右座席の窓101dとを開閉することができる。3は運転席用他窓開閉制限スイッチ(以下単に「他窓開閉制限スイッチ」という)であって、同じく運転席の脇に設けられている。このスイッチ3を操作することで、助手席の窓101b、後部左座席の窓101cおよび後部右座席の窓101dの開閉を制限することができる。なお、スイッチ1〜3は、共通のスイッチボックスに組み込まれていてもよいし、独立したスイッチとして構成されていてもよい。
【0015】
4は他席用操作スイッチであって、図2に示したように、助手席の脇に設けられた助手席用操作スイッチ(以下「助手席スイッチ」という)4aと、後部左座席の脇に設けられた後部左座席用操作スイッチ(以下「後部左座席スイッチ」という)4bと、後部右座席の脇に設けられた後部右座席用操作スイッチ(以下「後部右座席スイッチ」という)4cとからなる。助手席スイッチ4aを操作することで、助手席の窓101bを開閉することができる。後部左座席スイッチ4bを操作することで、後部左座席の窓101cを開閉することができる。後部右座席スイッチ4cを操作することで、後部右座席の窓101dを開閉することができる。
【0016】
以上の各スイッチのうち、運転席用操作スイッチ1、運転席用他窓操作スイッチ2および他席用操作スイッチ4は、図3(a)に示したように、「開」側と「閉」側と中立の3つの位置に切り替えが可能な接点構成を備えている。また、他窓開閉制限スイッチ3は、図3(b)に示したような通常の接点構成を備えている。
【0017】
5は窓の開き量を窓ガラスの昇降位置に基づいて検出するセンサ(以下「窓位置検出センサ」という)であって、後述する窓モータ10、12〜14のそれぞれに付設されたロータリエンコーダと、このロータリエンコーダから出力されるパルス信号を計数して処理する信号処理回路とから構成されている。なお、窓位置検出センサ5としては、ロータリエンコーダおよび信号処理回路に代えて、各窓の複数の位置に配備されたマイクロスイッチやフォトセンサなどを用いることもできる。
【0018】
10は運転席の窓101aを開閉するための運転席用窓モータ、11は運転席以外の他席の窓を開閉するための他席用窓モータである。運転席用窓モータ10は、運転席用操作スイッチ1の操作により駆動される。他席用窓モータ11は、助手席の窓101bを開閉する助手席用窓モータ12と、後部左座席の窓101cを開閉する後部左座席用窓モータ13と、後部右座席の窓101dを開閉する後部右座席用窓モータ14とからなる。助手席用窓モータ12は、助手席スイッチ4aの操作により駆動される。後部左座席用窓モータ13は、後部左座席スイッチ4bの操作により駆動される。後部右座席用窓モータ14は、後部右座席スイッチ4cの操作により駆動される。
【0019】
15は自動車用窓開閉装置Aの全体動作を制御する制御部であって、マイクロプロセッサ(CPU)、入出力インターフェイス、モータ制御回路などから構成されている。16はメモリであって、RAMやROMなどから構成されている。これらの制御部15およびメモリ16によって、本発明の制御装置が構成される。
【0020】
図4は、各窓101a〜101dごとに設けられる窓開閉機構の一例を示した図である。100は自動車の窓、101は窓100を開閉する窓ガラス、102は窓開閉機構である。各窓の開閉機構は同じなので、図4では窓の符号を100で代表している。窓ガラス101は、窓開閉機構102の作動により昇降動作を行い、窓ガラス101の上昇により窓100が閉じ、窓ガラス101の下降により窓100が開く。
【0021】
窓開閉機構102において、103は窓ガラス101の下端に取り付けられた支持部材である。104は一端が支持部材103に係合され、他端がブラケット106に回転可能に支持された第1アーム、105は一端が支持部材103に係合され、他端がガイド部材107に係合された第2アームである。108は窓モータであって、図1に示した運転席用窓モータ10または他席用窓モータ11からなる。109は窓モータ108により回転駆動されるピニオン、110はピニオン109と噛合して回転する扇形のギヤである。ギヤ110は、第1アーム104に固定されている。111は前述した窓位置検出センサ5を構成するロータリエンコーダであって、窓モータ108の回転軸に連結されている。このロータリエンコーダ111は、窓モータ108の回転量に比例した数のパルス信号を出力する。このパルス信号を図示しない信号処理回路で計数することによって窓100の開き量が算出され、信号処理回路は、開き量が一定値に達すると検出信号を出力する。
【0022】
窓モータ108は正逆方向に回転可能であり、正逆方向への回転によりピニオン109およびギヤ110を回転させて、第1アーム104を正逆方向へ回動させる。これに追随して、第2アーム105の他端がガイド部材107の溝に沿って横方向にスライドし、支持部材103が上下方向に移動して窓ガラス101を昇降させ、窓100を開閉する。以上のような窓開閉機構102は公知であって、例えば前掲の特許文献5に開示されている。
【0023】
図5は、窓100の開閉制御を行うための制御回路を示している。この制御回路は、ハードウェアとしての論理回路を含んでいるが、論理回路の部分は制御部15(図1)においてソフトウェアで実現可能なことは言うまでもない。以降の論理回路についても同様である。2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、5は窓位置検出センサ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。21および22はANDゲート、23および24はORゲートである。ANDゲート22の一方の入力は、反転入力となっている。窓位置検出センサ5は、前述したようにロータリエンコーダ111(図4)および信号処理回路(図示省略)から構成されるが、図5では説明の便宜上、窓位置検出センサ5をスイッチとして図示してある。この窓位置検出センサ5は、窓の開き量が所定量以上になると、オン状態となって検出信号を出力する。
【0024】
次に、図5の制御回路による窓の開閉制御について説明する。最初に、他窓開閉制限スイッチ3が操作されていない場合の動作について述べる。
【0025】
図6は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4を「開」側に操作した場合(窓を開ける場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がL(Low)、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がH(High)、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がLとなる。窓位置検出センサ5はまだ動作していないので、その出力はLとなる。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図6に示したようになる。
【0026】
図6においては、ANDゲート21の入力がともにLとなって、ANDゲート21の出力はLとなる。このL信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はH、ORゲート24の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が下降し、窓100が開いてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yになったことが窓位置検出センサ5で検出され、図7に示すように、窓位置検出センサ5からH信号が出力される。このため、ANDゲート21の一方の入力がHになるが、他方の入力はLのままであるので、ANDゲート21の出力はLで変化せず、他席用操作スイッチ4が「開」側に押されている間は、他席用窓モータ11の駆動が継続され、窓100は開き続ける。他席用操作スイッチ4の押圧を解除すると、スイッチ4は中立位置に戻り、ANDゲート22の出力がL、ORゲート24の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。
【0027】
図8は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4を「閉」側に操作した場合(窓を閉じる場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がL、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がL、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がHとなる。また、窓が所定量Y以上開いておれば、窓位置検出センサ5の出力はHとなっている。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図8に示したようになる。
【0028】
図8において、ANDゲート21の入力がLとHとなるため、ANDゲート21の出力はLとなる。このL信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からL信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はL、ORゲート24の出力はLとなる。一方、ORゲート23に他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる結果、ORゲート23の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が上昇し、窓100が閉じてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yより小さくなるため、図9に示すように、窓位置検出センサ5からL信号が出力される。このため、ANDゲート21の入力はともにLになるが、ANDゲート21の出力はLで変化せず、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されている間は、他席用窓モータ11の駆動が継続され、窓100は閉まり続ける。他席用操作スイッチ4の押圧を解除すると、スイッチ4は中立位置に戻り、ORゲート23の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。
【0029】
したがって、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態では、他席用操作スイッチ4が「開」側に押されている間は、窓位置検出センサ5の検出動作に関係なく窓が開いてゆき、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されている間は、窓位置検出センサ5の検出動作に関係なく窓が閉じてゆく。この結果、他席用操作スイッチ4の操作によって、図10のような窓100が完全に閉じた状態と、図11のような窓100が完全に開いた状態との間で、窓100を自由に開閉することができる。
【0030】
次に、他窓開閉制限スイッチ3が操作された場合の動作について述べる。
【0031】
図12は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4を「開」側に操作した場合(窓を開ける場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がH、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がH、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がLとなる。また、窓位置検出センサ5は最初は動作しないので、その出力はLとなる。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図12に示したようになる。
【0032】
図12において、ANDゲート21の入力がLとHとなるため、ANDゲート21の出力はLとなる。このL信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はH、ORゲート24の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が下降し、窓100が開いてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yになったことが窓位置検出センサ5で検出され、図13に示すように、窓位置検出センサ5からH信号が出力される。このため、ANDゲート21の入力はともにHとなって、ANDゲート21の出力はLからHに変化する。この結果、ANDゲート22の出力がHからLに変化し、ORゲート24の出力もHからLに変化する。したがって、ORゲート24からH信号が出力されなくなるので、他席用窓モータ11は停止する。このため、他席用操作スイッチ4が「開」側に押され続けても、図16に示したように、窓100は所定量Y(=X)だけ開いた状態を維持し、それ以上は開かない。Yの値は、例えば5〜10cm程度に設定される。
【0033】
図14は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4を「閉」側に操作した場合(窓を閉じる場合)を示している。この場合は、他窓開閉制限スイッチ3の出力がH、他席用操作スイッチ4の「開」側出力がL、他席用操作スイッチ4の「閉」側出力がHとなる。また、窓が所定量Y以上開いておれば、窓位置検出センサ5の出力はHとなっている。また、運転席用他窓操作スイッチ2は操作されていないため、その「開」側出力と「閉」側出力は、ともにLである。したがって、各ゲート21〜24の入出力におけるH、Lの状態は図14に示したようになる。
【0034】
図14においては、ANDゲート21の入力がともにHとなって、ANDゲート21の出力はHとなる。このH信号はANDゲート22の反転入力端子へ与えられ、ANDゲート22の他方の入力端子には、他席用操作スイッチ4からL信号が与えられる。この結果、ANDゲート22の出力はL、ORゲート24の出力はLとなる。一方、ORゲート23に他席用操作スイッチ4からH信号が与えられる結果、ORゲート23の出力はHとなり、このH信号によって他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。モータ11が駆動されると、図4に示した窓開閉機構102が作動して窓ガラス101が上昇し、窓100が閉じてゆく。そして、一定時間が経過すると、窓の開き量Xが所定量Yより小さくなるため、図15に示すように、窓位置検出センサ5からL信号が出力される。このため、ANDゲート21の一方の入力がLとなり、ANDゲート21の出力はLとなるが、ANDゲート22の出力はLで変化しないため、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されている間は、他席用窓モータ11の駆動が継続され、窓100は閉まり続ける。他席用操作スイッチ4の押圧を解除すると、スイッチ4は中立位置に戻り、ORゲート23の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。
【0035】
したがって、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態では、他席用操作スイッチ4が「開」側に押されると、図16のように、窓の開き量Xが所定量Yになるまで窓100が開いてゆき、窓100の開き量Xが所定量Yに達したことが窓位置検出センサ5で検出されると、それ以上他席用操作スイッチ4を押し続けても、窓100の開動作は停止する。また、他席用操作スイッチ4が「閉」側に押されると、窓位置検出センサ5の検出動作に関係なく窓100が閉じてゆく。したがって、図17に示したように、Yより小さい範囲では窓100を自由に開けたり閉じたりすることができるが、それ以外の範囲では図18に示したように、窓100を閉じることのみが許容される。Yに関係なく全範囲にわたって窓100の開閉を可能とするには、他窓開閉制限スイッチ3をオフにして開閉制限動作を解除すればよい。あるいは、後述のように、運転席用他窓操作スイッチ2を操作することによっても、窓100を自由に開閉することができる。
【0036】
以上のように、上述した実施形態においては、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、他席の窓が所定量Yだけ開いたことが検出されるまでは窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量Yだけ開いたことが検出されたときに窓の開動作を停止させるようにしている。このため、他窓開閉制限スイッチ3が投入されていても、他席用操作スイッチ4の開操作によって、窓100を僅かに開けて換気を行うことができる。また、窓100は限られた量Yしか開かないので、開いた窓から幼児等が転落するおそれはなく、安全を確保することができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、他席用操作スイッチ4により他席の窓を開閉する場合について述べたが、運転席用他窓操作スイッチ2により他席の窓を開閉する場合は、図5において、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」操作により、ORゲート24の出力が常にHとなって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。また、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」操作により、ORゲート23の出力が常にHとなって、他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。したがって、運転席用他窓操作スイッチ2の操作により、他窓開閉制限スイッチ3のオン・オフ状態にかかわらず窓を制限なく自由に開閉することができる。なお、運転席用他窓操作スイッチ2が操作された場合にも、他席用操作スイッチ4が操作された場合と同様に、他窓開閉制限スイッチ3の投入によって窓の開動作に制限が加わるように論理回路を構成してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で他席用操作スイッチ4が「閉」側に押され続けると、窓位置検出センサ5の動作に関係なく窓100が最後まで完全に閉じるようになっているが、窓100の開き量Xが所定量Yになった時点で、窓位置検出センサ5の検出信号に基づき、窓100の閉動作(窓ガラス101の上昇)を停止させるように論理回路を構成してもよい。これにより、窓の隙間に指が挟まれるなどの事故を未然に防止することができる。
【0039】
図19は、本発明の他の実施形態であって、他席の窓を開閉する場合に、運転席用他窓操作スイッチ2の操作を他席用操作スイッチ4の操作より優先させ、また、窓が完全に開いたとき、および窓が完全に閉じたときに窓モータを停止させるように制御を行う制御回路を示している。
【0040】
2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。窓位置検出センサは、窓が所定量Yだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5aと、窓が完全に開いたときに動作する窓位置検出センサ5bと、窓が完全に閉じたときに動作する窓位置検出センサ5cとからなる。31〜36はANDゲート、37および38はORゲートである。ANDゲート32〜36の一方の入力は、反転入力となっている。
【0041】
次に、図19の制御回路による窓の開閉制御について説明する。図20は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4が「閉」側に操作され、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作された場合を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力がH、「閉」側の出力がLとなり、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力がL、「閉」側の出力がHとなる。また、他窓開閉制限スイッチ3の出力はLとなる。窓位置検出センサ5a〜5cの出力は、すべてLであるとする。したがって、各ゲート31〜38の入出力におけるH、Lの状態は図20に示したようになる。
【0042】
図20においては、他席用操作スイッチ4が「閉」側に操作されても、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作されたことで、ANDゲート32の出力がH、ANDゲート33の出力がLとなり、これによってANDゲート35の出力がL、ANDゲート36の出力がHとなる。このため、ANDゲート36からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。すなわち、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」操作が他席用操作スイッチ4の「閉」操作より優先される。このため、スイッチ2の「開」操作とスイッチ4の「閉」操作とが同時に行われた場合でも動作に支障は生じない。そして、図21に示したように、窓が開く過程で窓位置検出センサ5aの出力がHとなり(このときANDゲート31の出力はLのままで変化しない)、窓が完全に開くと、窓位置検出センサ5bの出力がHとなって、ANDゲート36の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。これにより、窓が完全に開いたときにモータ11を確実に停止することができる。
【0043】
一方、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)では、図22に示したように、他窓開閉制限スイッチ3の出力がHとなり、また、窓が所定量Yだけ開いた時点で窓位置検出センサ5aの出力もHとなるため、ANDゲート31の出力がHとなる。この結果、ANDゲート34の出力がLとなるので、ANDゲート36の出力はLとなって、他席用窓モータ11が停止する。このとき、窓は図16で示したように、所定量Yだけ開いた状態を維持する。このようにして、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」操作が他席用操作スイッチ4の「閉」操作より優先されて窓が開く場合でも、他窓開閉制限スイッチ3が投入されているときは、窓の開き量が制限される。
【0044】
図23は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、他席用操作スイッチ4が「開」側に操作され、運転席用他窓操作スイッチ2が「閉」側に操作された場合を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力がL、「閉」側の出力がHとなり、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力がH、「閉」側の出力がLとなる。また、他窓開閉制限スイッチ3の出力はLとなる。窓位置検出センサ5a〜5cの出力は、すべてLであるとする。したがって、各ゲート31〜38の入出力におけるH、Lの状態は図23に示したようになる。
【0045】
図23においては、他席用操作スイッチ4が「開」側に操作されても、運転席用他窓操作スイッチ2が「閉」側に操作されたことで、ANDゲート32の出力がL、ANDゲート33の出力がHとなり、これによってANDゲート35の出力がH、ANDゲート36の出力がLとなる。このため、ANDゲート35からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。すなわち、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」操作が他席用操作スイッチ4の「開」操作より優先される。このため、スイッチ2の「閉」操作とスイッチ4の「開」操作とが同時に行われた場合でも動作に支障は生じない。そして、窓が完全に閉じると、図24に示したように、窓位置検出センサ5cの出力がHとなり、ANDゲート35の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。これにより、窓が完全に閉じたときにモータ11を確実に停止することができる。
【0046】
一方、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)では、図25に示したように、他窓開閉制限スイッチ3の出力がHとなり、また、窓が所定量Y以上開いた状態になると窓位置検出センサ5aの出力もHとなるため、ANDゲート31の出力がHとなるが、ANDゲート34の一方の入力はLのままなので、ANDゲート34、36の出力は図23の場合と同様にLとなる。また、ANDゲート32、33、35の出力は、他窓開閉制限スイッチ3の状態に影響されないので、図23の場合と同様にそれぞれL、H、Hとなる。したがって、ANDゲート35からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を閉じる方向に駆動される。このとき、窓は窓位置検出センサ5aの出力に関係なく閉じてゆき、窓が完全に閉じると、前述のように窓位置検出センサ5cの出力がHとなり、ANDゲート35の出力がLとなって、他席用窓モータ11は停止する。このようにして、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」操作が他席用操作スイッチ4の「開」操作より優先されて窓が閉じる場合は、他窓開閉制限スイッチ3が投入されていても、窓は最後まで閉じる。
【0047】
図26は、本発明の他の実施形態であって、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、運転席用他窓操作スイッチ2により他席の窓の開閉操作が行われた場合に、他窓開閉制限スイッチ3の動作に基づく制御を禁止するように制御を行う制御回路を示している。
【0048】
2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。窓位置検出センサは、窓が所定量Yだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5aと、窓が完全に開いたときに動作する窓位置検出センサ5bと、窓が完全に閉じたときに動作する窓位置検出センサ5cとからなる。41〜46はANDゲート、47および48はORゲートである。ANDゲート41、42、44〜46の一方の入力は、反転入力となっている。
【0049】
次に、図26の制御回路による窓の開閉制御について説明する。図27は、他窓開閉制限スイッチ3が動作していない状態(オフ状態)で、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作された場合を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「閉」側の出力はLで、他窓開閉制限スイッチ3の出力もLであり、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力と「閉」側の出力もLである。したがって、ANDゲート41、42の出力はともにLであり、ANDゲート43の出力もLである。このため、ANDゲート44の出力もLとなる。また、ORゲート47の出力はLであり、窓位置検出センサ5cの出力はLであるため、ANDゲート45の出力はLとなる。一方、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力はHであるから、ORゲート48の出力がHとなる。また、窓が完全に開くまでは窓位置検出センサ5bの出力はLである。このため、ANDゲート46の出力はHとなる。したがって、ANDゲート46からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。窓が所定量Yだけ開くと、窓位置検出センサ5aの出力がHになるが、他窓開閉制限スイッチ3の出力はLのままであるから、ANDゲート43の出力はLを維持し、窓は最後まで開く。そして、窓が完全に開くと、窓位置検出センサ5bの出力がHとなり、ANDゲート46の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。
【0050】
図28は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、運転席用他窓操作スイッチ2が「開」側に操作された場合を示している。この場合、ANDゲート41、42、45とORゲート47の状態は図27と変わりがない。また、他窓開閉制限スイッチ3の出力がHとなるので、ANDゲート43の一方の入力がHとなるが、窓位置検出センサ5aが動作するまではANDゲート43の出力がLのままであるから、ANDゲート44の出力はLで変化しない。したがって、ORゲート48の状態も図27と変わりがなく、ORゲート48の出力はHとなる。また、窓が完全に開くまでは窓位置検出センサ5bの出力はLである。このため、ANDゲート46の出力はHとなる。したがって、ANDゲート46からのH信号によって、他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。窓が所定量Yだけ開くと、窓位置検出センサ5aの出力がHになり、ANDゲート43の出力がHとなるが、ORゲート47、48の出力は変化しない。このため、窓は最後まで開く。そして、窓が完全に開くと、窓位置検出センサ5bの出力がHとなり、ANDゲート46の出力がLへ変化するので、他席用窓モータ11は停止する。
【0051】
このようにして、他窓開閉制限スイッチ3が投入されていても、運転席用他窓操作スイッチ2を操作することにより、他窓開閉制限スイッチ3による制御動作が行われないようにすることができる。なお、図26の回路では、窓を閉じる場合については他窓開閉制限スイッチ3による制限が働かないようになっているが、この制限が働くように論理回路を構成した場合は、運転席用他窓操作スイッチ2を「閉」側に操作することにより、窓の閉動作の制限を禁止するようにしてもよい。
【0052】
図29は、本発明の他の実施形態であって、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態で、他席用操作スイッチ4が「開」操作された場合に窓の開動作が可能な範囲を制限するとともに、他席用操作スイッチ4が「閉」操作された場合にも窓の閉動作が可能な範囲を制限するように制御を行う制御回路を示している。
【0053】
2は運転席用他窓操作スイッチ、3は他窓開閉制限スイッチ、4は他席用操作スイッチ、11は他席用窓モータであって、これらは図1に示したものと同じものである。窓位置検出センサは、窓が所定量Yだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5aと、窓が完全に開いたときに動作する窓位置検出センサ5bと、窓が完全に閉じたときに動作する窓位置検出センサ5cと、窓がY+αだけ開いたときに動作する窓位置検出センサ5dとからなる。51〜59はANDゲート、60および61はORゲートである。ANDゲート52〜55、57〜59の一方の入力は、反転入力となっている。
【0054】
次に、図29の制御回路による窓の開閉制御について説明する。図30は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4が「開」側に操作された場合(窓を開く場合)を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力と「閉」側の出力はともにLで、他窓開閉制限スイッチ3の出力はH、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力はH、「閉」側の出力はLとなる。また、窓位置検出センサ5a〜5dの出力はいずれもLとする。この結果、各ゲート51〜61の入出力におけるH、Lの状態は図30に示したようになり、ANDゲート59からのH信号により他席用窓モータ11が窓を開ける方向に駆動される。そして、窓が所定量Yだけ開くと、図31に示したように、窓位置検出センサ5aが動作してANDゲート56の出力がH、ANDゲート57の出力がLとなるので、他席用窓モータ11は停止する。したがって、これ以降は他席用操作スイッチ4を「開」側に押し続けても、窓は開かない。
【0055】
図32は、他窓開閉制限スイッチ3が動作した状態(オン状態)で、他席用操作スイッチ4が「閉」側に操作された場合(窓を閉じる場合)を示している。この場合は、運転席用他窓操作スイッチ2の「開」側の出力と「閉」側の出力はともにLで、他窓開閉制限スイッチ3の出力はH、他席用操作スイッチ4の「開」側の出力はL、「閉」側の出力はHとなる。このとき、図35に示したように、窓100の開き量XがY+α以上であるとすると、窓位置検出センサ5aおよび5dの出力はHであり、窓位置検出センサ5bおよび5cの出力はLである。この結果、各ゲート51〜61の入出力におけるH、Lの状態は図32に示したようになり、ANDゲート58の出力がLとなるため、他席用窓モータ11は窓を閉じる方向に駆動されない。したがって、図35の状態から窓を閉じることはできない。
【0056】
一方、図36のように、窓100の開き量XがY以上でY+αより小さい場合は、図33に示したように、窓位置検出センサ5dがオフになってANDゲート51の出力がL、ANDゲート53の出力がHになる。これによって、ORゲート61の出力がH、ANDゲート55の出力がH、ANDゲート58の出力がHとなるので、ANDゲート58からのH信号により、他席用窓モータ11は窓を閉じる方向に駆動される。したがって、図36の状態から窓を閉じることができる。
【0057】
また、図37のように、窓100の開き量XがYより小さい場合は、図34に示したように、窓位置検出センサ5aもオフになってANDゲート56の出力がLになる。しかし、ANDゲート57の出力は図33と同様にLであり、その他のゲートの入出力状態も、図33と同じとなる。このため、ANDゲート58からのH信号により、他席用窓モータ11は窓を閉じる方向に駆動される。したがって、図37の場合も窓を閉じることができる。
【0058】
以上から分かるように、図29の制御回路によると、図35のように窓100の開き量XがX≧Y+αの場合は、窓100を開けることも閉じることも禁止され、図36のように窓100の開き量XがY≦X<Y+αの場合は、窓100を開けることはできず閉じることのみが可能であり、図37のように窓100の開き量XがX<Yの場合は窓100を開けることも閉じることも可能となる。
【0059】
なお、図29の制御回路において、運転席用他窓操作スイッチ2によって他席の窓を閉じる場合は、スイッチ2を「閉」側に操作すると、常に、ORゲート61の出力がH、ANDゲート55、58の出力がHとなるので、図35の場合であっても窓を閉じることができるが、これを上記と同様に禁止するように論理回路を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る自動車用窓開閉装置の一例を示す電気ブロック図である。
【図2】車内における各スイッチの配置と制御系統を説明するための模式図である。
【図3】スイッチの接点構成を示した図である。
【図4】窓開閉機構の一例を示した図である。
【図5】窓の開閉制御を行うための制御回路を示した図である。
【図6】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図7】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図8】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図9】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図10】窓が完全に閉じた状態を示す図である。
【図11】窓が完全に開いた状態を示す図である。
【図12】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図13】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図14】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図15】図5の制御回路の動作を説明する図である。
【図16】窓の開閉動作を説明する図である。
【図17】窓の開閉動作を説明する図である。
【図18】窓の開閉動作を説明する図である。
【図19】他の実施形態による制御回路を示した図である。
【図20】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図21】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図22】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図23】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図24】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図25】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図26】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図27】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図28】図19の制御回路の動作を説明する図である。
【図29】他の実施形態による制御回路を示した図である。
【図30】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図31】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図32】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図33】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図34】図29の制御回路の動作を説明する図である。
【図35】窓の開閉動作を説明する図である。
【図36】窓の開閉動作を説明する図である。
【図37】窓の開閉動作を説明する図である。
【図38】自動車の窓の開閉を説明する図である。
【符号の説明】
【0061】
2 運転席用他窓操作スイッチ
3 運転席用他窓開閉制限スイッチ
4 他席用操作スイッチ
5 窓位置検出センサ
10 運転席用窓モータ
11 他席用窓モータ
15 制御部
16 メモリ
100 窓
101 窓ガラス
102 窓開閉機構
A 自動車用窓開閉装置
C 自動車
X 開き量
Y 所定量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席以外の他席の窓を開閉するために運転席に設けられる運転席用他窓操作スイッチと、
前記他席の窓を開閉するために他席に設けられる他席用操作スイッチと、
前記他席の窓の開閉を制限するために運転席に設けられる運転席用他窓開閉制限スイッチと、
前記他席の窓の開き量を検出するセンサと、
前記他席の窓の開閉を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、前記センサによって他席の窓が所定量開いたことが検出されるまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたことが検出されたときに当該窓の開動作を停止させることを特徴とする自動車用窓開閉装置。
【請求項2】
運転席以外の他席の窓を開閉するための運転席用他窓操作スイッチからの出力信号、または前記他席の窓を開閉するための他席用操作スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制御し、他席の窓の開閉を制限するための運転席用他窓開閉制限スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制限する制御装置であって、
前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、他席の窓が所定量開くまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたときに当該窓の開動作を停止させる制御部を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、運転席用他窓操作スイッチにより他席の窓の開閉操作が行われた場合に、他窓開閉制限スイッチの動作に基づく制御を禁止することを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の閉動作が行われた場合に、他席の窓の開き量が一定範囲にある場合のみ当該窓の閉動作を許容し、他席の窓の開き量が一定範囲にない場合は当該窓の閉動作を禁止することを特徴とする制御装置。
【請求項1】
運転席以外の他席の窓を開閉するために運転席に設けられる運転席用他窓操作スイッチと、
前記他席の窓を開閉するために他席に設けられる他席用操作スイッチと、
前記他席の窓の開閉を制限するために運転席に設けられる運転席用他窓開閉制限スイッチと、
前記他席の窓の開き量を検出するセンサと、
前記他席の窓の開閉を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、前記センサによって他席の窓が所定量開いたことが検出されるまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたことが検出されたときに当該窓の開動作を停止させることを特徴とする自動車用窓開閉装置。
【請求項2】
運転席以外の他席の窓を開閉するための運転席用他窓操作スイッチからの出力信号、または前記他席の窓を開閉するための他席用操作スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制御し、他席の窓の開閉を制限するための運転席用他窓開閉制限スイッチからの出力信号に基づいて、他席の窓の開閉を制限する制御装置であって、
前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の開動作が行われた場合に、他席の窓が所定量開くまでは当該窓の開動作を許容し、他席の窓が所定量開いたときに当該窓の開動作を停止させる制御部を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、運転席用他窓操作スイッチにより他席の窓の開閉操作が行われた場合に、他窓開閉制限スイッチの動作に基づく制御を禁止することを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記他窓開閉制限スイッチが動作した状態で、他席の窓の閉動作が行われた場合に、他席の窓の開き量が一定範囲にある場合のみ当該窓の閉動作を許容し、他席の窓の開き量が一定範囲にない場合は当該窓の閉動作を禁止することを特徴とする制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2006−90067(P2006−90067A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279131(P2004−279131)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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