説明

自己分散可能なシリコーンコポリマーおよびその製造法、および該化合物の使用

本発明の対象は、a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、乳化剤または保護コロイドの排除下で水中で自己分散可能である高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーであり、このシリコーンオルガノコポリマーは、c)1つまたはそれ以上の水溶性コモノマーが有機溶剤または溶剤混合物中で共重合されていることによって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中で自己分散可能な高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーならびに有機モノマー、シリコーンマクロマーおよび水溶性コモノマーからのラジカル的に開始される溶液重合による該シリコーンオルガノコポリマーの製造に関する。
【0002】
分散可能なシリコーンオルガノコポリマーの組成物は、水性媒体中での乳化重合によって得ることができ、この場合には、その際に生じる分散液を安定化するために、例えば欧州特許出願公開第1308468号明細書または欧州特許出願公開第771826号明細書の記載と同様に、付加的に乳化剤または保護コロイドが必要とされる。
【0003】
界面活性剤を添加しながら水中で乳化重合によりシリコーンオルガノコポリマーを製造することは、欧州特許出願公開第614924号明細書中にも記載されている。前記の欧州特許出願公開明細書中に記載された方法は、低分子量のラジカル重合可能なシリコーンモノマーに対してのみ使用可能であり、それというのも、高分子量のシリコーンモノマーを使用する場合には、重合速度の減少、さらに重合中のポリマーの凝集またはコポリマーエマルジョンの安定性の減少が生じるからである。
【0004】
欧州特許出願公開第352339号明細書には、溶液重合により溶剤中のシリコーン含量の装入下およびモノマーと油溶性開始剤とからなる混合物の連続的な計量供給下でシリコーンオルガノコポリマーを製造する方法が記載されている。勿論、こうして得られたコポリマーは、水中で分散不可能である。このコポリマーを分散させるために、分散助剤、例えば乳化剤または保護コロイドが必要とされる。
【0005】
即ち、欧州特許出願公開第810243号明細書および特開平05−009248号公報では、シリコーンマクロマーは、有機モノマーと水性乳濁液中で重合され、この場合には、専ら油溶性の開始剤で作業される。油溶性開始剤を用いて開始する方法の場合に不利であるのは、これから生じる分散液の安定性が不安定であり、これらの分散液が極めて著しく相分離する傾向があることである。
【0006】
米国特許第5618879号明細書には、シリコーンマクロマーとエチレン系不飽和モノマーとの混合物を陰イオン性乳化剤および水溶性開始剤の存在下で水中で乳化重合させることが記載されている。特開平05−140255号公報においては、シリコーンマクロマーがオルガノモノマー中に溶解され、この溶液はアニオン性乳化剤を用いて水中に乳化され、かつ水溶性開始剤を用いて重合が開始される。また、この場合には、界面活性剤の使用が必要であり、シリコーンマクロマーの20%を上廻る著量が共重合されないことは、不利である。
【0007】
分散可能なシリコーンオルガノコポリマーの製造の際にシリコーンマクロマーと有機モノマーとの共重合によって、乳化剤または保護コロイドの存在が必要であることは、分散可能なシリコーンオルガノコポリマーの公知の組成物に共通していることである。しかし、こうして得られたシリコーンオルガノコポリマー組成物は、相分離の傾向を有する。重合中の相分離は、混濁したポリマーフィルムを生じる。乳化剤または保護コロイドがシリコーンオルガノコポリマー組成物中に移行することによって、周知のように、シリコーンオルガノコポリマー組成物の性質は、耐水性、粘着性または安定性の点で不利な影響を及ぼされる。
【0008】
もう1つの問題は、高いシリコーン含量を有する高い透明度の分散可能なシリコーンオルガノコポリマー組成物を提供することにある。殊に、20質量%を上廻るシリコーン含量を有するシリコーンオルガノコポリマーを製造する場合には、ラジカル重合の際にオレフィン含有モノマーおよびシリコーンの劣悪な相容性に基づく、相分離またはゲル化による問題をまねき、このことは、シリコーンオルガノコポリマーの混濁を生じる。
【0009】
この背景から、20質量%以上のシリコーン含量の場合であっても乳化剤または保護コロイドなしに水中で分散可能である、自己分散可能な高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーを提供するという課題が課された。
【0010】
本発明の対象は、a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、乳化剤または保護コロイドの排除下で水中で自己分散可能である高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーであり、このシリコーンオルガノコポリマーは、c)1つまたはそれ以上の水溶性コモノマーが有機溶剤または溶剤混合物中で共重合されていることによって特徴付けられる。
【0011】
こうして得られたシリコーンオルガノコポリマーは、乳化剤または保護コロイドなしに水中で分散可能である。
【0012】
好ましい溶剤または溶剤混合物中の好ましい溶剤成分は、1〜6個のC原子を有する脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノールまたはプロパノールであり、特に好ましいのは、イソプロパノールである。特に好ましいのは、イソプロパノールと1〜6個のC原子を有するアルコールの群から選択された1つまたはそれ以上の溶剤とからなる溶剤の混合物である。最も好ましい溶剤混合物は、イソプロパノールおよびエタノール、またはイソプロパノールおよびプロパノールである。
【0013】
水と1〜6個のC原子を有する1つまたはそれ以上のアルコールとの混合物も好ましい。また、特に好ましいのは、それぞれ溶剤混合物の全質量に対して、有利に2〜35質量%、殊に有利に10〜25質量%の含水量を有する、イソプロパノールと水との混合物である。
【0014】
成分a)〜c)の全質量に対して20質量%以上のシリコーン含量を有するシリコーンオルガノコポリマーを製造する場合には、好ましくは、シリコーンマクロマーb)に対して非溶解性でありかつモノマーa)およびc)に対して溶解性である溶剤または溶剤混合物が使用される。その点で、シリコーンマクロマーb)は、5質量%未満で、およびモノマーa)およびc)は、5質量%を上廻ってDIN50014による標準条件(23/50)下で溶解性である。
【0015】
20質量%のシリコーン含量を有するシリコーンオルガノコポリマーを製造する際の好ましい溶剤は、イソプロパノールである。このために好ましいのは、イソプロパノールと1〜6個のC原子を有するアルコールおよび水を含む群から選択された1つまたはそれ以上の溶剤とからなる溶剤の混合物である。特に好ましい溶剤混合物は、イソプロパノールとエタノールまたはイソプロパノールとプロパノール、またはイソプロパノールと水である。
【0016】
重合の場合、エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1つまたはそれ以上のモノマーが使用される。
【0017】
一般に、それぞれ成分a)〜c)の全質量に対してエチレン系不飽和オルガノモノマーa)5〜95質量%、有利に20〜95質量%、特に有利に35〜75質量%が使用される。
【0018】
好ましいビニルエステルは、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステルである。特に好ましいビニルエステルは、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、1−メチルビニルアセテート、ビニルピバレートおよび、5〜13個のC原子を有するα位で分枝したモノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa5(登録商標)、VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)またはVeoVa11(登録商標)(Shell社の商品名)である。最も好ましいのは、ビニルアセテートである。
【0019】
アクリル酸またはメタクリル酸のエステルの群からの好ましいオルガノモノマーa)は、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールのエステルである。特に好ましいメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびt−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレートである。最も好ましいのは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびノルボルニルアクリレートである。
【0020】
好ましいジエンは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。共重合可能なオレフィンの例は、エテンおよびプロペンである。ビニル芳香族化合物として、スチレン及びビニルトルエンが共重合されることができる。ビニルハロゲン化物の群からは、通常、塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはフッ化ビニル、特に塩化ビニルが使用される。
【0021】
有利に共重合されたオルガノモノマーa)は、ビニルアセテートおよびビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α位で分枝したカルボン酸のビニルエステル、例えばベルサチック酸ビニルエステル(VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標))を含む群から選択された他のビニルエステル;ビニルアセテートおよびエチレン、この場合には、場合によってはビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、フマル酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、α位で分枝したカルボン酸のビニルエステル、例えばベルサチック酸ビニルエステル(VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標))を含む群から選択された他のビニルエステルが共重合されており;エチレンおよび塩化ビニルおよびビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルラウレート、ビニルピバレート、ビニル−2−エチルヘキサン酸エステル、α位で分枝したカルボン酸のビニルエステル、例えばベルサチック酸ビニルエステル(VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標))を含む群から選択された1つまたはそれ以上のビニルエステル;1つまたはそれ以上のビニルエステルおよび1つまたはそれ以上のアクリル酸エステルおよび場合によってはエチレンであり、この場合ビニルエステルは、ビニルアセテート、ビニルラウレート、ベルサチック酸ビニルエステル(VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標))を含む群から選択され、およびこの場合アクリル酸エステルは、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1つ以上のアクリル酸エステルおよび場合によっては1.3−ブタジエンを含む群から選択され、この場合アクリル酸エステルは、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを含む群から選択され;スチレンおよび1,3−ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびt−ブリルアクリレートを含む群から選択された1つまたはそれ以上のモノマーである。
【0022】
好ましいシリコーンマクロマーb)は、少なくとも10個のシロキサン繰返し単位および少なくとも1個のラジカル重合可能な官能基を有する線状シリコーン、分枝鎖状シリコーン、環状シリコーンおよび立体架橋されたシリコーン(ポリシロキサン)である。特に、鎖長は、10〜1000個のシロキサン繰返し単位である。特に、鎖長は、10〜1000個のシロキサン繰返し単位である。エチレン系不飽和基、例えばアルケニル基は、重合可能な官能基として好ましい。コポリマー中のシリコーン含量は、それぞれ成分a)〜c)の全質量に対して特に5〜70質量%、特に有利に15〜60質量%、殊に有利に25〜60質量%である。
【0023】
好ましいシリコーンマクロマーb)は、一般式R1a3-aSiO(SiRO)nSiR3-a1aを有するシリコーンであり、この場合、Rは同じかまたは異なり、それぞれ1〜18個のC原子を有する、一価の置換されていてよい、アルキル基またはアルコキシ基を表わし、R1は重合可能な基を表わし、aは0または1であり、およびnは10〜1000である。
【0024】
一般式R1a3-aSiO(SiR2O)nSiR3-a1a中で、基Rの例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、およびオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基である。好ましくは、基Rは、炭素原子1〜6個を有する一価の炭化水素基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、アミル基及びヘキシル基であり、その場合にメチル基が特に好ましい。
【0025】
好ましいアルコキシ基Rは、炭素原子1〜6個を有するそのようなアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びn−ブトキシ基であり、これらは場合によりさらにオキシアルキレン基、例えばオキシエチレン基又はオキシメチレン基で置換されていてよい。メトキシ基およびエトキシ基は、特に好ましい。記載されたアルキル基およびアルコキシ基Rは、場合によっては、例えばハロゲン、メルカプト基、エポキシ官能基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソシアナト基、アリールオキシ基、アルコキシシリル基およびヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0026】
適した重合可能な基R1は、2〜8個のC原子を有するアルケニル基である。このような重合可能な基の例は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ならびにアクリルオキシアルキル基およびメタクリルオキシアルキル基であり、この場合にアルキル基は、1〜4個のC原子を有する。好ましいのは、ビニル基、3−メタクリルオキシプロピル基、アクリルオキシメチル基および3−アクリルオキシプロピル基である。
【0027】
好ましいのは、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンである。不飽和基で単に一置換されたシリコーンの場合、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(アクリルオキシメチル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンが好ましい。一官能性ポリジメチルシロキサンの場合に、他方の鎖末端にアルキル基またはアルコキシ基、例えばメチル基またはブチル基が存在する。
【0028】
線状または分枝鎖状のジビニル−ポリジメチルシロキサンと、線状または分枝鎖状のモノビニル−ポリジメチルシロキサンおよび/または官能化されていないポリジメチルシロキサン(後者は重合可能な基を有しない)との混合物も好ましい。ビニル基は鎖末端に存在する。このような混合物の例は、Wacker Chemie AG社の溶剤不含のDehesive(登録商標)の6つのシリーズ(分枝鎖状)またはDehesive(登録商標)の9つのシリーズ(非分枝鎖状)のシリコーンである。二成分系または三成分系の混合物の場合に、それぞれシリコーンマクロマーの全質量に対して、非官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は、15質量%まで、好ましくは5質量%までであり;一官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は、50質量%までであり;および二官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%である。
【0029】
多くの場合にシリコーンマクロマーb)として好ましいのは、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサンである。
【0030】
好ましい水溶性コモノマーc)は、エチレン系不飽和モノカルボン酸およびエチレン系不飽和ジカルボン酸またはこれらの塩、特にクロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸およびマレイン酸;エチレン系不飽和カルボン酸アミドおよびエチレン系不飽和カルボン酸ニトリル、特にアクリルアミドおよびアクリルニトリル;フマル酸およびマレイン酸のモノエステルおよびジエステル、例えばジエチルエステルおよびジイソプロピルエステルならびに無水マレイン酸;エチレン系不飽和スルホン酸またはその塩、特にビニルスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−プロペン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸;エチレン系不飽和陽イオンモノマー、特にジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、3−トリメチルアンモニウムプロピル−(メタ)アクリルアミドクロリド(MAPTAC)、2−トリメチルアンモニウムメチル(メタ)アクリレートクロリド;エチレン系不飽和ホスホン酸またはその塩、特にビニルホスホン酸;エチレン系不飽和ヒドロキシエステル、特に2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセリン−1−アリルエーテル;エチレン系不飽和アミノ官能性モノマー、特に2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、アリル−N−(2−アミノエチル)−カルバメート塩酸塩、アリル−N−(6−アミノヘキシル)−カルバメート塩酸塩、アリル−N−(3−アミノプロピル)−塩酸塩、アリルアミン、ビニルピリジンである。
【0031】
特に好ましい水溶性コモノマーc)は、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−プロペン−1−スルホン酸または2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸である。
【0032】
一般に、それぞれ成分a)〜c)の全質量に対して水溶性コモノマーc)1〜30質量%、有利に2〜10質量%、特に有利に2〜5質量%が使用される。
【0033】
水中でのシリコーンオルガノコポリマーの分散可能性は、コモノマー単位c)の極性の官能基の相互作用によって生じ、シリコーンオルガノコポリマーの全質量に対するコモノマー単位c)の割合に依存する。中性の水中でイオン形で十分には存在しない、酸性または塩基性のコモノマー単位c)を含有するシリコーンオルガノコポリマーの分散可能性は、酸、塩基または緩衝液の添加によって上昇させることができる。カルボキシル含有コモノマー単位c)を有するシリコーンオルガノコポリマーの場合、7.5以上のpH値が好ましい。
【0034】
好ましいのは、ビニルアセテート、ビニルラウレート、VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)およびVeoVa11(登録商標)を含む群から選択された1つまたはそれ以上のオルガノモノマー単位a)、およびα,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンおよびα,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンを含む群から選択された1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマー単位b)と、クロトン酸、ビニルスルホン酸およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)を含む群から選択された1つまたはそれ以上のモノマーC)と、場合によっては付加的な補助モノマー単位および場合によってはエチレンを含有するシリコーンオルガノコポリマーであり、この場合個々のモノマーの全ての割合は、100質量%になる。
【0035】
適当な補助モノマーは、重合可能なシランまたは加水分解された形のメルカプトシランである。好ましいのは、γ−アクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シランまたはγ−メタクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、α−メタクリルオキシメチルトリ(アルコキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジ(アルコキシ)シラン、ビニルアルキル−ジ(アルコキシ)シランおよびビニルトリ(アルコキシ)シランであり、この場合、アルコキシ基として、例えばメトキシ基、エトキシ基、メトキシエチレン基、エトキシエチレン基、メトキシプロピレングリコールエーテル基またはエトキシプロピレングリコールエーテル基を使用することができる。このための例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス−(1−メトキシ)−イソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、トリスアセトキシビニルシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物シランである。3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランも好ましい。
【0036】
補助モノマーは、一般に有機モノマーa)の全質量に対して10質量%までの割合が使用される。
【0037】
本発明の対象は、a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、乳化剤または保護コロイドの排除下で水中で自己分散可能である高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの製造法であり、この方法は、c)1つまたはそれ以上の水溶性コモノマーを有機溶剤または溶剤混合物中で共重合することによって特徴付けられる。
【0038】
重合は、通常、20℃〜130℃、殊に60℃〜90℃の温度範囲内で実施される。
【0039】
重合は、反応混合物の全てまたは個々の成分の装入下に、または反応混合物の成分または個々の成分の部分的な装入下および後計量供給下に、または装入なしに計量供給法により実施されることができる。好ましくは、全てのシリコーンマクロマーb)、コモノマーc)の一部および溶剤を装入し、モノマーの残分を一緒にかまたは別個に供給するように行なわれる。更に、開始剤を部分的に、特に3〜50質量%装入し、残分を供給することは、好ましい。特に好ましくは、全ての溶剤、シリコーンマクロマーb)およびオルガノモノマーa)の一部およびコモノマーc)を装入し、残留モノマーを供給する。
【0040】
バッチ法として、全てのモノマー、溶剤および開始剤の一部が装入され、開始剤の残分が供給されるかまたは断続的に添加される。
【0041】
例えば、イソプロパノールおよび水からなる溶剤混合物を使用する場合には、有利に開始剤の一部を有する全てのコモノマーが装入され、水溶性のコモノマーおよび開始剤の残分が供給される。
【0042】
シリコーンオルガノコポリマーの分子量およびシリコーンオルガノコポリマー中での水溶性コモノマー単位c)の分布は、公知方法で処理パラメーター、例えば個々の成分の計量供給、計量供給速度または開始剤量によって影響を及ぼされうる。
【0043】
本発明による方法によって、25〜90%の固体含量、有利に30〜75%の固体含量、特に有利に30〜70%の固体含量を有するシリコーンオルガノコポリマーの高度に固体を含有するポリマー溶液を得ることもできる。
【0044】
重合の終結後、残留モノマーの除去のために、公知方法により後重合されてよい。揮発性の残留モノマーおよび他の揮発性成分は、蒸留またはストリップ法により、特に減圧下で除去されてもよい。
【0045】
開始剤として、油溶性開始剤、例えばt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH)、t−ブチルペルオキシピバレート(PPV)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(TBPND)、過酸化ジベンゾイル、t−アミルペルオキシピバレート(TAPPI)、ジ−(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート(EHPC)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびジ−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートが使用される。適した油溶性開始剤は、アゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)でもある。
【0046】
ガス状モノマー、例えばエチレンおよび塩化ビニルとの共重合の場合には、加圧下で、一般に1〜100バール(絶対)で作業される。
【0047】
場合によっては、分子量の制御のために、常用の調節剤、例えばアルコール、例えばイソプロパノール、アルデヒド、例えばアセトアルデヒド、塩素含有化合物、メルカプタン、例えばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸(エステル)が使用されることができる。
【0048】
溶剤および場合によっては反応混合物の他の成分の分離によるシリコーンオルガノコポリマーの単離は、有利に蒸留により、特に有利に真空中および/または高められた温度で行なわれる。シリコーンオルガノコポリマーは、固体の形で得られる。選択可能な方法の場合には、溶剤は、水蒸気蒸留(ストリッピング)によって除去されることができ、それによって、シリコーンオルガノコポリマーは、直接に水性分散液として得ることができる。
【0049】
本発明のもう1つの対象は、a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、乳化剤または保護コロイドの排除下で水中で自己分散可能である高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの水性分散液であり、この水性分散液は、c)1つまたはそれ以上の水溶性コモノマーが有機溶剤または溶剤混合物中で共重合され、コポリマーが溶剤から除去され、残留する固体が水中に分散されることによって特徴付けられる。
【0050】
シリコーンオルガノコポリマーの水性分散液は、シリコーンオルガノコポリマーを固体の形で水中に導入することにより製造される。安定した分散液が生じるまで、強力に攪拌され、十分に混合される。このために、好ましくは、特に有利に20〜95℃の水温、殊に有利に50〜80℃の水温を有する温水が使用される。この混合物は、分散中、10〜95℃の温度で維持される。攪拌機としては、有利に馬蹄形攪拌機が使用される。
【0051】
シリコーンオルガノコポリマーの水性分散液には、pH値の調節のために、酸、塩基または緩衝液が添加されることができる。
【0052】
水性分散液は、10〜40%、有利に20〜35%のシリコーンオルガノコポリマーの含量を有する。
【0053】
水中に再分散可能なシリコーンオルガノコポリマーは、接着剤、コーティング剤における適用のため、また保護コーティングとして例えば金属、シート、木材または剥離コーティングのために、又は紙処理のため、例えば薄葉紙(Tissue)分野において、結合剤として繊維または別の粒状材料の凝固のために適している。このシリコーンオルガノコポリマーは、織物の処理、織物の被覆、織物の仕上げ加工のための織物範囲にかまたは織物の表面処理(Textil-Finishing)として、ならびに織物の手入れの範囲に使用されてもよい。このシリコーンオルガノコポリマーは、変性剤としておよび疎水化剤としても適している。このシリコーンオルガノコポリマー、はさらに研磨の分野で有利には使用されることができる。さらにまた、前記分散液は離型剤として使用されることができる。この分散液は、建築分野における塗料、接着剤およびコーティング剤のための結合剤として、例えばタイル接着剤および完全断熱接着剤において、および殊に、屋内領域ならびに屋外領域のための、低放出のプラスチック分散塗料およびプラスチック分散プラスターにおける適用にも適している。しかし、この分散液は、添加剤として、例えば塗料の場合または化粧品、例えばヘアスプレー、クリームまたはシャンプーの場合に、使用されてもよい。
【0054】
次の例は、本発明をさらに説明するために役立つが、本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0055】
原料:
約100、133および177個のSiOMe2繰返し単位を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、官能化されたα,ω−ジビニル(VIPO200、300および500)製造業者:Wacker Chemie AG社
【0056】
実施例1:カルボキシル基を有するシリコーンオルガノコポリマー(クロトン酸2質量%)
馬蹄形攪拌機、還流冷却器および計量供給装置を備えた2 lのガラス製の攪拌ポット中に、イソプロパノール407.0g、PDMS混合物274.0g、ビニルアセテート529.0g、ビニルラウレート91.0g、クロトン酸18gおよびPPV1.6g(t−ブチルペルピバレート、脂肪族化合物中の75%の溶液)を装入した。引続き、この装入物を200rpmの攪拌機回転数で75℃に加熱した。75℃の内部温度の達成後、開始剤の計量供給(イソプロパノール70gおよびPPV4.1g)を開始した(計量供給時間2時間)。開始剤の計量供給の終結後、なお75℃で2時間、後重合した。65質量%の固体含量および30質量%のポリマー中のシリコーン含量を有する澄明なポリマー溶液が得られた。真空下および高められた温度でイソプロパノールを留去した。
【0057】
再分散:単離されたコポリマー20gを温水80g(温度50〜80℃)およびアンモニアと一緒にビーカー中に装入し、馬蹄形攪拌機で攪拌した。均質化中にpH値を制御した。この場合、pH値は、8を超えていなければならない。約3時間後、安定した分散液が得られた。
【0058】
比較例1:クロトン酸0.8質量%。
【0059】
実施例1と同様に行なったが、しかし、全モノマー含量に対して2質量%のクロトン酸濃度を0.8質量%に減少した。このコポリマーでは、分散液は得られなかった。
【0060】
実施例2:第4級窒素基を有するシリコーンオルガノコポリマー(DADMAC4質量%)
馬蹄形攪拌機、還流冷却器および計量供給装置を備えた2 lのガラス製の攪拌ポット中に、イソプロパノール407.0g、PDMS混合物228.0g、ビニルアセテート152.0gおよびPPV1.6g(t−ブチルペルピバレート、脂肪族化合物中の75%の溶液)を装入した。引続き、この装入物を200rpmの攪拌機回転数で75℃に加熱した。75℃の内部温度の達成後、次の溶液を計量供給した:
計量供給量1:ビニルアセテート385g+ビニルラウレート110g
計量供給量2:DADMAC57g(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド)(水中で64%)
計量供給量3:PPV13g+イソプロパノール50g
計量供給量1および計量供給量2のための計量供給時間は、2時間であり、計量供給量3の場合には、3時間であった。計量供給量3の終結後、なお75℃で1時間、後重合した。65質量%の固体含量および25質量%のポリマー中のシリコーン含量を有する澄明なポリマー溶液が得られた。真空下および高められた温度でイソプロパノールおよび水を留去した。
【0061】
再分散:単離されたコポリマー20gを温水80g(温度50〜80℃)と一緒にビーカー中に装入し、馬蹄形攪拌機で攪拌した。約3時間後、安定した分散液が得られた。
【0062】
実施例3:第4級窒素基を有するシリコーンオルガノコポリマー(DADMAC4質量%)
馬蹄形攪拌機、還流冷却器および計量供給装置を備えた2 lのガラス製の攪拌ポット中に、イソプロパノール377.0g、水30g、PDMS混合物228.0g、ビニルアセテート537.0g、ビニルラウレート110gおよびPPV1.6g(t−ブチルペルピバレート、脂肪族化合物中の75%の溶液)を装入した。引続き、この装入物を200rpmの攪拌機回転数で75℃に加熱した。75℃の内部温度の達成後、次の溶液を計量供給した:
計量供給量1:DADMAC57g(ジメチルジアリルアンモニウムクロリド)(水中で64%)
計量供給量2:PPV13g+イソプロパノール50g
計量供給量1のための計量供給時間は、2時間であり、計量供給量2の場合には、3時間であった。計量供給量2の終結後、なお75℃で1時間、後重合した。65質量%の固体含量および24質量%のポリマー中のシリコーン含量を有する澄明なポリマー溶液が得られた。真空下および高められた温度でイソプロパノールおよび水を留去した。
【0063】
再分散:単離されたコポリマー20gを温水80g(温度50〜80℃)と一緒にビーカー中に装入し、馬蹄形攪拌機で攪拌した。約3時間後、安定した分散液が得られた。
【0064】
比較例2:DADMAC0.8質量%
実施例2と同様に行なったが、しかし、(全モノマー含量に対して)4質量%のDADMAC濃度を0.8質量%に減少した。このコポリマーでは、分散液は得られなかった。
【0065】
例4:スルホン基を有するシリコーンオルガノコポリマー(2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸4質量%)
馬蹄形攪拌機、還流冷却器および計量供給装置を備えた2 lのガラス製の攪拌ポット中に、イソプロパノール373.0g、PDMS混合物229.0g、ビニルアセテート153.0gおよびPPV1.6g(t−ブチルペルピバレート、脂肪族化合物中の75%の溶液)を装入した。引続き、この装入物を200rpmの攪拌機回転数で75℃に加熱した。75℃の内部温度の達成後、次の溶液を計量供給した:
計量供給量1:ビニルアセテート386g+ビニルラウレート110g
計量供給量2:2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸91g(水中で40%)
計量供給量3:PPV13g+イソプロパノール50g
計量供給量1および計量供給量2のための計量供給時間は、2時間であり、計量供給量3の場合には、3時間であった。計量供給量3の終結後、なお75℃で1時間、後重合した。65質量%の固体含量および25質量%のポリマー中のシリコーン含量を有する澄明なポリマー溶液が得られた。真空下および高められた温度でイソプロパノールおよび水を留去した。
【0066】
再分散:単離されたコポリマー20gを温水80g(温度50〜80℃)と一緒にビーカー中に装入し、馬蹄形攪拌機で攪拌した。室温で約3時間後、安定した分散液が得られた。
【0067】
比較例3:2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸0.8質量%を有するシリコーンオルガノコポリマー
実施例1と同様に行なったが、しかし、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸の濃度は、4質量%から0.8質量%に減少した(全モノマー含量に対して)。このコポリマーでは、分散液は得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、乳化剤または保護コロイドの排除下で水中で自己分散可能である高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーにおいて、c)1つまたはそれ以上の水溶性コモノマーが有機溶剤または溶剤混合物中で共重合されていることを特徴とする、高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項2】
溶剤としてまたは溶剤混合物中の成分として1〜6個のC原子を有するアルコール、有利にイソプロパノールが使用されている、請求項1記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項3】
溶剤または溶剤混合物に水が添加されている、請求項2記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項4】
重合は、溶剤または溶剤混合物中で共重合されており、この場合シリコーンマクロマーb)は、標準条件下で5質量%未満の溶解性を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項5】
成分a〜c)の全質量に対するシリコーンマクロマーb)の含量は、20質量%以上である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項6】
エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、または1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールとメタクリル酸またはアクリル酸とのエステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンまたはビニルハロゲン化物が使用されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項7】
エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、ビニルアセテート、またはビニルアセテートおよびエチレン、またはビニルアセテートおよび5〜11個のC原子を有するα位で分枝したモノカルボン酸のビニルエステル、またはビニルアセテートおよびVeoVa9(登録商標)および場合によってはエチレン、またはビニルアセテートおよびVeoVa10(登録商標)および場合によってはエチレン、またはビニルアセテートおよびビニルラウレートおよび場合によってはエチレン、またはエチレンおよび5〜11個のC原子を有するα位で分枝したモノカルボン酸のビニルエステルが使用されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項8】
エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびt−ブチルメタクリレート、特に有利にメチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびノルボルニルアクリレートを含む群からの1つまたはそれ以上が使用されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項9】
好ましいシリコーンマクロマーb)として、少なくとも10個のシロキサン繰返し単位および少なくとも1個のラジカル重合可能な官能基を有する線状シリコーン、分枝鎖状シリコーン、環状シリコーンおよび立体架橋されたシリコーンが使用されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項10】
シリコーンマクロマーb)として、一般式R3−aSiO(SiRO)SiR3−aのシリコーンが使用されており、この場合、Rは同じか又は異なり、それぞれ1〜18個のC原子を有する一価の置換されていてよいアルキル基またはアルコキシ基を表わし、R1は重合可能な基を表わし、aは、0または1であり、nは、10〜10000である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項11】
シリコーンマクロマーb)として、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(アクリルオキシメチル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサンを含む群からの1つまたはそれ以上が使用されている、請求項1から10でのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項12】
水溶性コモノマーc)として、エチレン系不飽和モノカルボン酸およびエチレン系不飽和ジカルボン酸またはこれらの塩、不飽和カルボン酸アミドおよびエチレン系不飽和カルボン酸ニトリル、またはフマル酸のモノエステルまたはジエステル、またはマレイン酸のモノエステルおよびジエステル、エチレン系不飽和スルホン酸またはその塩、またはエチレン系不飽和テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、またはエチレン系不飽和ホスホン酸またはその塩、またはエチレン系不飽和ヒドロキシエステル、またはエチレン系不飽和アミノ化合物が使用されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項13】
水溶性コモノマーc)として、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−プロペン−1−スルホン酸または2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸を含む群からの1つまたはそれ以上が使用されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項14】
a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、乳化剤または保護コロイドの排除下で水中で自己分散可能である高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの製造法において、c)1つまたはそれ以上の水溶性コモノマーを有機溶剤または溶剤混合物中で共重合することを特徴とする、高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項15】
全てのモノマー、溶剤および開始剤の一部を装入し、開始剤の残分を供給するかまたは断続的に添加する、請求項14記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項16】
全てのシリコーンマクロマーb)およびモノマーc)の一部を望ましい量比で溶剤中に装入し、モノマーの残分を一緒にかまたは別々に供給する、請求項14記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項17】
a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、乳化剤または保護コロイドの排除下で水中で自己分散可能である高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの水性分散液において、c)1つまたはそれ以上の水溶性コモノマーが有機溶剤または溶剤混合物中で共重合されており、コポリマーが溶剤から除去され、残留する固体が水中に分散されていることを特徴とする、高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの水性分散液。
【請求項18】
接着性被覆を形成させるための分離剤および被覆剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項19】
木材、紙、フィルムまたは金属を被覆するための被覆剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項20】
耐候性の被覆またはシール材を製造するための建築物の保護における請求項1から13までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項21】
変性剤、および疎水化剤および艶出し剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項22】
塗料ならびに化粧品、殊にヘアスプレーおよびへアセット剤のための添加剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の高い透明度のシリコーンオルガノコポリマーの使用。

【公表番号】特表2010−500436(P2010−500436A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523278(P2009−523278)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058187
【国際公開番号】WO2008/017671
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】