説明

薬液処理方法

【課題】耐薬品性に優れており、薬液処理に対するマスキング効果を発揮することができ、しかも剥離後の被着体への粘着剤の残渣のないマスキング用剥離性粘着テープを提供すること。
【解決手段】本発明の薬液処理方法は、送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式でフィルム型積層体に薬液処理を行う薬液処理方法であって、薬液処理面を有するフィルム型積層体の前記薬液処理面と反対側の面にサポート用テープを貼着した状態で前記薬液処理面に薬液処理を行う工程と、前記薬液処理後に前記サポート用テープを剥離する工程と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム型積層体に薬液処理を行う薬液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属箔や透明導電膜のような導電性薄膜を樹脂フィルム上に貼着してなるフィルム型積層体を用いてディスプレイや回路基板を製造する場合においては、回路形成や、絶縁層形成のためにレジスト材料をフィルム型積層体上に塗布し、レジスト材料を露光した後に、そのレジスト付きフィルム型積層体をロール・ツー・ロールで薬液処理し、水洗・乾燥する(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−266016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、フィルム型積層体の厚さが薄くなるにつれて、処理中(薬液処理、水洗・乾燥)に、フィルム型積層体にしわ、波うちが発生することが多く、安定な製品作りが困難になってきた。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、薄いフィルム型積層体においても、処理中にフィルム型積層体にしわ、波うちを発生させない薬液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の薬液処理方法は、送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式でフィルム型積層体に薬液処理を行う薬液処理方法であって、薬液処理面を有するフィルム型積層体の前記薬液処理面と反対側の面にサポート用テープを貼着した状態で前記薬液処理面に薬液処理を行う工程と、前記薬液処理後に前記サポート用テープを剥離する工程と、を具備することを特徴とする。
【0006】
この方法によれば、薬液処理面を有するフィルム型積層体の薬液処理面と反対側の面にサポート用テープを貼着した状態で薬液処理面に薬液処理を行い、薬液処理後にサポート用テープを剥離する。このため、薬液処理中においては、フィルム型積層体はサポート用テープで支持されているので、フィルム積層体の厚さが薄くても薬液処理中にしわや波うちが発生しない。その結果、薄いフィルム型積層体においても、処理中にフィルム型積層体にしわ、波うちを発生させないで薬液処理を行うことができる。
【0007】
本発明の薬液処理方法においては、前記送り出しロールは、前記フィルム型積層体の薬液処理面と反対側の面に予め前記サポート用テープを貼着してなる積層体を送り出すことが好ましい。
【0008】
本発明の薬液処理方法においては、前記サポート用テープの粘着層に用いる粘着剤が、(A)常温で固体のゴム材料と、(B)末端に架橋基点を持つ液状物質と、(C)前記液状物質を架橋するための硬化剤と、を含有し、前記ゴム材料のバルク体中に、架橋後の液状物質が0.2μm〜20μmの径で分散していることが好ましい。
【0009】
本発明の複合体は、送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式でフィルム型積層体に薬液処理を行う複合体であって、薬液処理面を有するフィルム型積層体と、前記薬液処理面と反対側の面に貼着したサポート用テープと、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の薬液処理方法においては、さらに以下の態様が望ましい。
すなわち、本発明の薬液処理方法においては、別の送り出しロールからサポート用テープを送り出し、薬液処理前に前記サポート用テープを前記フィルム型積層体の薬液処理面と反対側の面に貼着することが好ましい。
【0011】
本発明の薬液処理方法においては、前記粘着剤は、周波数1Hzで測定した動的粘弾性スペクトルについて、25℃における貯蔵弾性率G’が4.5×10Pa〜6.9×10Paであり、損失正接tanδが0.39〜0.43であって、90℃における貯蔵弾性率G’が7×10Pa〜9×10Paであり、損失正接tanδが0.70〜0.82であることが好ましい。
【0012】
本発明の薬液処理方法においては、前記ゴム材料が、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSMゴム)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム、及びこれらの混合物からなる群より選ばれたものであり、前記液状物質が、ポリイソプレン骨格、ポリブタジエン骨格、及びポリブテン骨格からなる群より選ばれた少なくとも一つを有する物質であることが好ましい。
【0013】
本発明の薬液処理方法においては、前記ゴム材料が、分子中に極性の強い原子2重量%〜40重量%含有した平均分子量10,000〜50,000の化合物であり、前記液状物質が、末端にOHを持ち、分子量が1,000〜5,000の化合物であり、前記硬化剤がイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
【0014】
本発明の薬液処理方法においては、前記ゴム材料が前記粘着剤の70重量%〜99重量%であり、前記液状物質が前記粘着剤の1重量%〜30重量%であり、前記硬化剤が前記粘着剤の30重量%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の薬液処理方法においては、前記粘着剤のシリコンウエハに対する粘着力が0.2N/25mm〜0.5N/25mmであることが好ましい。
【0016】
本発明の薬液処理方法においては、前記フィルム型積層体は、樹脂フィルム上に少なくとも導電性薄膜を有するものであることが好ましい。
【0017】
本発明の薬液処理方法においては、剥離したサポート用テープを繰り返し用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の薬液処理は、送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式でフィルム型積層体に薬液処理を行う方法であって、薬液処理面を有するフィルム型積層体の前記薬液処理面と反対側の面にサポート用テープを貼着した状態で前記薬液処理面に薬液処理を行い、前記薬液処理後に前記サポート用テープを剥離する。このため、薄いフィルム型積層体においても、処理中にフィルム型積層体にしわ、波うちを発生させないで薬液処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、フィルム型積層体の薬液処理面と反対側の面に予めサポート用テープを貼着してなる積層体に対して、送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式で薬液処理を行う場合について説明する。
【0020】
図1は、実施の形態1に係る薬液処理方法を行うロール・ツー・ロール方式の装置の概略構成を示す図である。図1において、フィルム型積層体2は、送り出しロール1に巻回されており、送り出しロール1から送り出されて、薬液処理が施された後に、巻き取りロール3で巻き取られる。ここで、フィルム型積層体2は、薬液処理面と反対側の面に予めサポート用テープ(ここでは耐アルカリテープ23)を貼着してなるものであり、ポリイミドフィルム(PI)221上に銅箔222が張りつけられてなるフレキシブルプリント配線板(FPC)21上にレジスト層(現像後レジスト22)が形成されている。また、薬液処理は、レジスト剥離処理(アルカリ処理)である。
【0021】
送り出しロール1から送り出されたフィルム型積層体2は、搬送ロールにより薬液容器4に収容された薬液(アルカリ剥離液)41内に浸漬され、薬液容器4内で薬液処理が施される。そして、薬液処理後のフィルム型積層体2は、薬液41から出た後に、耐アルカリテープ23が剥離される。すなわち、薬液41から出たフィルム型積層体2は、サポート用テープ巻き取りロール5により耐アルカリテープ23が巻き取られ、巻き取りロール2で現像後レジスト22が除去されたFPC21が巻き取られる。このように、耐アルカリテープ23を巻き取りロール2とは異なる巻き取りロール5で巻き取るために、必然的にフィルム型積層体2から耐アルカリテープ23が剥離されることになる。
【0022】
このように、本実施の形態に係る薬液処理方法においては、薬液処理面を有するフィルム型積層体2の薬液処理面と反対側の面にサポート用テープ(耐アルカリテープ23)を貼着した状態で薬液処理面に薬液処理を行い、薬液処理後に耐アルカリテープ23を剥離する。このため、薬液処理中においては、フィルム型積層体2は耐アルカリテープ23(サポート用テープ)で支持されているので、フィルム積層体2の厚さが薄くても薬液処理中にしわや波うちが発生しない。その結果、薄いフィルム型積層体においても、処理中にフィルム型積層体にしわ、波うちを発生させないで薬液処理を行うことができる。
【0023】
フィルム型積層体2としては、上記の例に限定されない。すなわち、フィルム型積層体2は、ロール・ツー・ロール方式の薬液処理に適した形態のものであれば良く、例えば、樹脂フィルム(例えば、ポリエステルフィルム(PET)やポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、ポリイミドフィルム)上に少なくとも金属箔(銅箔やアルミニウム箔など)や透明導電膜(ITO,ZnO,PEDOT/PSS)、導電性粒子を分散させた樹脂膜、などの導電性薄膜を有するものなどを挙げられる。ベースフィルムとしては、ポリエステルフィルム(PT)やポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルムなどを挙げることができ、薬液処理に使用する薬剤に耐え得るフィルムを適宜選択する。また、フィルム型積層体2は、薬液処理により積層形態が異なる。
【0024】
ここで、薬液処理としては、上記レジスト除去の他に、エッチング液に浸漬するウェットエッチングや、レジスト現像液に浸漬するレジスト現像などが挙げられる。また、これらの薬液処理を組み合わせた工程においても本発明を適用することができる。
【0025】
なお、サポート用テープの被着体であるフィルム型積層体の貼着面は、平坦であっても良く、マット処理をした面でも良い。フィルム型積層体の貼着面が平坦な面である場合は、サポート用テープの粘着層がフィルム型積層体から剥離した後も平坦な表面を維持するので、フィルム型積層体から剥離した後に巻き取って、繰り返し上記のプロセスに用いることができる。
【0026】
サポート用テープの粘着層を構成する粘着剤は、(A)常温で固体のゴム材料と、(B)末端に架橋基点を持つ液状物質と、(C)前記液状物質を架橋するための硬化剤と、を含有し、前記ゴム材料のバルク体中に、架橋後の液状物質が0.2μm〜20μmの径で分散していることが好ましい。
【0027】
ここで、粘着層を構成する粘着剤の材料について説明する。
(A)ゴム材料
ゴム材料としては、常温で固体のゴム材料を用いる。また、ゴム材料としては、分子中に極性の強い原子が結合したゴム材料であることが好ましい。ここで、極性の強い原子としては、窒素(N)、酸素(O)、塩素(Cl)、硫黄(S)などが挙げられる。また、極性の強い原子は、ゴム材料中に2重量%〜40重量%で含まれていることが好ましい。
【0028】
また、ゴム材料の平均分子量は、可撓性、被着体への密着性や、凝集力による被着体への残渣を考慮すると、10,000〜50,000であることが好ましい。
【0029】
具体的には、ゴム材料としては、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSMゴム)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエンゴム、又はこれらの混合物であることが好ましい。
【0030】
ゴム材料の配合量は、本ゴム材料の極性に起因する強い凝集性によって発現される耐薬品性を活用した、粘着剤全体の耐薬品性の確保や、本ゴム材料の凝集力による弾性率の確保などを考慮すると、粘着剤の70重量%〜99重量%であることが好ましい。
【0031】
(B)液状物質
液状物質としては、末端に架橋基点を持つ物質を用いる。架橋基点としては、OH基などを挙げることができる。この末端のOH基は2つ程度であることが好ましい。液状物質において、末端以外の部分は、一般に炭素(C)と水素(H)でできており、分子は極性がないか、あっても非常に小さいことが好ましい。この特長により、相対的に極性の強いゴム材料に対して混ざりにくくなり、ゴム材料中に架橋後の液状物質を分散体として存在させることができる。
【0032】
液状物質は、架橋後の粘性がゴム材料の粘性よりも低いことが好ましい。このような関係にすることにより、架橋後の液状物質がゴム材料のバルク中で分散体として残存し易くなる。分散体としての液状物質(架橋後の液状物質)の大きさは、テープ剥離後の被着体への残渣(被着体への汚染)や、粘着剤の流動性を考慮すると、0.2μm〜20μm径であることが好ましく、特に0.5μm〜5μm径であることが好ましい。
【0033】
このように、ゴム材料のバルク体中に、架橋後の液状物質が0.2μm〜20μmの径で分散していることにより、アルカリの浸入経路となりうる架橋後の液状物質が分断される。つまり、本来耐薬品性の優れているバルク体が分断されずに連続体の状態で、粘着剤全体の粘弾性を制御できるため、耐薬品性が向上する。また、粘着層の表層は凝集性の高いバルク体であるために、剥離後の被着体への粘着剤を残存させない。なお、ゴム材料のバルク体中に、架橋後の液状物質が0.2μm〜20μmの径で分散していることは、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
【0034】
液状物質の平均分子量は、テープ剥離後の被着体への残渣(被着体への汚染)や、テープの可撓性の低下による被着体に対する密着性の低下を考慮すると、1,000〜5,000であることが好ましい。
【0035】
具体的には、液状物質は、ポリイソプレン骨格、ポリブタジエン骨格、及び/又はポリブテン骨格を有する物質であることが好ましい。
【0036】
液状物質の配合量は、本液状物質が分散体として維持できる量であり、分散体間でアルカリの浸入経路とならない十分な距離を確保できること、被着体汚染の原因となりやすい架橋後の液状物質が粘着剤の表面に存在する確率を低減させること、粘弾性の調整などを考慮すると、粘着剤の1重量%〜30重量%、好ましくは2.5重量%〜25重量%であることが好ましい。なお、液状物質は硬化剤により架橋されるが、架橋されたものであってもゴム材料に対して可塑剤として働くので、液状物質の量により粘着剤全体の流動性を調節することができる。
【0037】
(C)硬化剤
硬化剤は、液状物質を硬化させるものである。具体的には、硬化剤としては、イソシアネート系架橋剤であることが好ましい。また、硬化剤の配合量は、テープ剥離後の被着体への残渣(被着体への汚染)を考慮すると、粘着剤の30重量%以下であることが好ましい。特に、液状物質との理論上の当量に対して0.5倍〜2倍の割合が好ましい。
【0038】
また、粘着剤は、周波数1Hzで測定した動的粘弾性スペクトルについて、被着体への投錨効果や応力緩和を考慮すると、25℃における貯蔵弾性率G’が4.5×10Pa〜6.9×10Paであり、損失正接tanδが0.39〜0.43であって、90℃における貯蔵弾性率G’が7×10Pa〜9×10Paであり、損失正接tanδが0.70〜0.82であることが好ましい。
【0039】
また、粘着剤には、必要に応じて、本発明の効果を発揮させる量的、質的範囲内で粘着付与剤、粘着調製剤、界面活性剤など、あるいはその他の改質剤及び慣用成分を配合することができる。
【0040】
溶媒に溶けた粘着剤を基材フィルムに塗布し乾燥して粘着層を形成する場合の乾燥条件としては、温度70℃〜130℃で、1分〜10分であることが好ましい。また、このようにして得られた粘着層の厚さは、特に制限されるものではないが、通常2μm〜50μmであることが好ましい。
【0041】
本発明に係るマスキング用剥離性粘着テープにおける基材フィルムとしては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレートなどを用いることができる。
【0042】
サポート用テープは、上記(A)〜(C)を含有する粘着剤で構成された粘着層において、ゴム材料のバルク体中に、架橋後の液状物質が0.2μm〜20μmの径で分散している。このため、薬液処理に対するマスキング効果を発揮することができる。
【0043】
被着対象が主に平坦で、つやのある物質であることから、粘着剤の投錨効果による粘着効果が得にくいため、表面凹凸的には鏡面シリコン表面に近いと考えられる。本発明者が鏡面シリコンウエハで粘着力を測定し、鏡面でも接着性と再剥離性の適正な値を調査したところ、上記粘着剤の鏡面シリコンウエハに対する粘着力は、0.2N/25mm〜0.5N/25mm、特に0.2N/25mm〜0.3N/25mmであることが好ましい。
【0044】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、別の送り出しロールからサポート用テープを送り出し、薬液処理前にサポート用テープをフィルム型積層体の薬液処理面と反対側の面に貼着してなる積層体に対して、送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式で薬液処理を行う場合について説明する。
【0045】
図2は、実施の形態2に係る薬液処理方法を行うロール・ツー・ロール方式の装置の概略構成を示す図である。図2において、フィルム型積層体2は、送り出しロール1に巻回されており、送り出しロール1から送り出されて、薬液処理が施された後に、巻き取りロール3で巻き取られる。ここで、フィルム型積層体2は、ポリイミドフィルム(PI)221上に銅箔222が張りつけられてなるフレキシブルプリント配線板(FPC)21上にレジスト層(現像後レジスト22)が形成されている。また、薬液処理は、レジスト剥離処理(アルカリ処理)である。
【0046】
送り出しロール1から送り出されたフィルム型積層体2には、サポート用テープ送り出しロール6から送り出された耐アルカリテープ23が貼着される。すなわち、フィルム型積層体2は、薬液処理が施される前に、薬液処理が施される面と反対側の面に耐アルカリテープ23の粘着層が当接するように耐アルカリテープ23が貼着される。その後、耐アルカリテープ23が貼着されたフィルム型積層体2は、搬送ロールにより薬液容器4に収容された薬液(アルカリ剥離液)41内に浸漬され、薬液容器4内で薬液処理が施される。そして、薬液処理後のフィルム型積層体2は、薬液41から出た後に、耐アルカリテープ23が剥離される。すなわち、薬液41から出たフィルム型積層体2は、サポート用テープ巻き取りロール5により耐アルカリテープ23が巻き取られ、巻き取りロール2で現像後レジスト22が除去されたFPC21が巻き取られる。このように、耐アルカリテープ23を巻き取りロール2とは異なる巻き取りロール5で巻き取るために、必然的にフィルム型積層体2から耐アルカリテープ23が剥離されることになる。
【0047】
このように、本実施の形態に係る薬液処理方法においても、薬液処理面を有するフィルム型積層体2の薬液処理面と反対側の面にサポート用テープ(耐アルカリテープ23)を貼着した状態で薬液処理面に薬液処理を行い、薬液処理後に耐アルカリテープ23を剥離する。このため、薬液処理中においては、フィルム型積層体2は耐アルカリテープ23(サポート用テープ)で支持されているので、フィルム積層体2の厚さが薄くても薬液処理中にしわや波うちが発生しない。その結果、薄いフィルム型積層体においても、処理中にフィルム型積層体にしわ、波うちを発生させないで薬液処理を行うことができる。
【0048】
実施の形態2において、フィルム型積層体の各部材やサポート用テープの各部材の説明については、実施の形体と同じであるので説明を省略する。
【0049】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、装置構成、粘着層の厚さ、粘着層を構成する材料、その配合量については、本発明の効果を逸脱しない範囲で適宜設定することができる。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施の形態1に係る薬液処理方法を行うロール・ツー・ロール方式の装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施の形態2に係る薬液処理方法を行うロール・ツー・ロール方式の装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 送り出しロール
2 フィルム型積層体
3 巻き取りロール
4 薬液容器
5 サポート用テープ巻き取りロール
6 サポート用テープ送り出しロール
21 フレキシブルプリント配線板(FPC)
22 現像後レジスト
23 耐アルカリテープ
41 アルカリ剥離液
221 ポリイミドフィルム(PI)
222 銅箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式でフィルム型積層体に薬液処理を行う薬液処理方法であって、薬液処理面を有するフィルム型積層体の前記薬液処理面と反対側の面にサポート用テープを貼着した状態で前記薬液処理面に薬液処理を行う工程と、前記薬液処理後に前記サポート用テープを剥離する工程と、を具備することを特徴とする薬液処理方法。
【請求項2】
前記送り出しロールは、前記フィルム型積層体の薬液処理面と反対側の面に予め前記サポート用テープを貼着してなる積層体を送り出すことを特徴とする請求項1記載の薬液処理方法。
【請求項3】
前記サポート用テープの粘着層に用いる粘着剤が、(A)常温で固体のゴム材料と、(B)末端に架橋基点を持つ液状物質と、(C)前記液状物質を架橋するための硬化剤と、を含有し、前記ゴム材料のバルク体中に、架橋後の液状物質が0.2μm〜20μmの径で分散していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の薬液処理方法。
【請求項4】
送り出しロール及び巻き取りロールを用いたロール・ツー・ロール方式でフィルム型積層体に薬液処理を行う複合体であって、薬液処理面を有するフィルム型積層体と、前記薬液処理面と反対側の面に貼着したサポート用テープと、を具備することを特徴とする複合体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−153660(P2010−153660A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331475(P2008−331475)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】