説明

血流量の減少又は中枢神経系の外傷を治療するためのベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及びコリン作動性作用物質の組成物

本発明は、被検者における中枢神経系損傷を治療するための方法及び組成物を提供する。より具体的には、本発明は、コリン作動性作用物質をベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤と組み合わせて被検者に投与することを含む、中枢神経系虚血状態又は中枢神経系外傷性傷害の治療のための併用療法剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血流量の減少又は中枢神経系の外傷を治療するための組成物及び方法を提供する。より具体的には、本発明は、コリン作動性作用物質をベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤と組み合わせて被検者に投与することを含む、虚血介在性中枢神経系損傷又は外傷により誘発される損傷(虚血性卒中(ischemic stroke)を包含する)を治療又は予防するための併用療法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
虚血介在性中枢神経系損傷(虚血性卒中を包含する)の継続的な増加は、より良好な治療戦略が引き続き必要であるという切実な証拠を与える。卒中(stroke)は、例えば、一貫して、米国及び西洋諸国における年間の死亡原因の第2位又は第3位であり、そして成人の身体障害の有数の生成因子である。さらに、卒中患者の約10%は重度障害者になり、しばしば付き添い看護を必要とする。
【0003】
1990年代中に、虚血介在性中枢神経系傷害の基礎をなす病理学が解明された。一般的に言えば、脳灰白質への正常な潅流量は60〜70mL/100gの脳組織/分である。中枢神経系細胞の死は、血流量が一定レベル(約8〜10mL/100gの脳組織/分)未満に低下した場合にだけ典型的に生じる一方で、僅かに高いレベルでは、脳組織は生き残るが機能することができない。例えば、大部分の卒中は、結果として細胞死の中心域(梗塞)になり、そこでは細胞が通常回復できないほど急激に血流量が減少する。この限界は、脳血流量が正常の20%又はそれ以下の場合に生じるように思われる。神経保護剤なしでは、80〜100%虚血に直面する神経細胞は、数分以内に不可逆的に損傷されるだろう。虚血中心の周囲は、血流量が正常の20〜50%である「虚血周縁部」又は「移行帯」と呼ばれる別の組織域である。この領域の細胞は絶滅寸前であるが、まだ不可逆的には損傷されていない。従って、急性卒中では、脳組織が受け取る血液量に応じて、侵された中核の脳組織は死んでしまうことがある一方で、より周辺の組織は初期発作後に何年間も生き残る。
【0004】
細胞レベルでは、治療しないままならば、中心的梗塞の内部では急速に、そして虚血周縁部では長期にわたり、脳及び脊髄細胞の傷害及び死は段階的に進行する。血液が十分に供給されないと、脳及び脊髄細胞は、それらのエネルギー産生能、特にアデノシン三リン酸(ATP)産生能を失う。このエネルギー障害が生じると、脳及び脊髄細胞は損傷されることとなり、そして臨界閾値に達すれば死ぬであろう。虚血中心内の即時細胞死は典型的に壊死性である一方で、辺縁部の細胞死は壊死性又はアポトーシス性の何れかの場合がある。エネルギー障害後の脳及び脊髄細胞の損傷及び死を引き起こす莫大な数の作用機序があると信じられる。これらの機序のそれぞれは、介入するための可能なルートを意味する。脳細胞がエネルギー障害に応答する手段の一つは、細胞内カルシウム濃度の上昇による。これが悪化して濃度が危険レベルに追いたてられることは、興奮毒性の過程であり、この過程で脳細胞は過剰量のグルタミン酸塩、すなわち神経伝達物質を放出する。これは他の脳細胞上の受容体における化学的及び電気的活性を刺激し、この刺激は生命細胞構造の劣化及び破壊に導く。虚血カスケードの結果として形成されたカルシウム活性化プロテアーゼ(細胞タンパク質を消化する酵素)、リパーゼ(細胞膜を消化する酵素)及びフリーラジカルが作用する結果として、脳細胞は究極的に死ぬ。
【0005】
介入は、虚血辺縁部の復旧及びその大きさの減少に向けられてきた。血流の回復は辺縁部内の組織の救助に向けた第一段階である。従って、閉塞した血管をタイムリーに再疎通して辺縁部及び虚血中心の両方で潅流を回復することは、採用される一つの治療選択肢である。部分的な再疎通もまた、辺縁部の大きさを著しく縮小させる。さらに、静脈内組織プラスミノーゲン活性化因子及び他の血栓溶解剤は、それらを症状発症後数時間以内に投与すれば、臨床的利益を有することが示されている。しかしながら、この狭い時間枠を越えると、有益な効果の可能性は減少し、そして血栓溶解剤に関連する出血性合併症が過剰になり、それらの治療価値が酷く損なわれる。低体温は、逸話的な臨床及び研究所事例報告の両者において、虚血発作の大きさを縮小させる。加えて、多種多様な作用物質は、動物モデルにおいて梗塞量を減少させることが示されている。これらの作用物質は、動物大脳皮質卒中モデルで研究され、かつ有益であることが見出された、血栓溶解、カルシウムチャンネル遮断及び細胞膜受容体拮抗作用を伴う薬理学的介入物質を包含する。しかしながら、虚血介在性中枢神経系傷害後の改善された治療方式が引き続き必要である。
【0006】
精神薬理学は、虚血介在性中枢神経系傷害後の伝統的治療法に対する補助治療選択肢としてしばしば採用される。ノルエピネフリン、ドーパミン、アセチルコリン及びセロトニンは、脳損傷又は脳卒中からの回復において重要な役割を果たす。幾つかの動物モデルにおいて、これらの神経伝達物質の遮断は回復を妨げるのに対し、回復はノルエピネフリン、ドーパミン、アセチルコリン及びセロトニン活性を促進する薬剤により促進される(Flanagan SR., (2000) CNS Spectrums 5(3): 59-69)。幾つかの研究は、虚血介在性中枢神経系傷害後のコリン作動性作用物質による治療もまた有益であることを示している。コリン作動性作用物質の一例は、コリンエステラーゼ阻害剤である。コリンエステラーゼ阻害剤は、アセチルコリンのレベルの増加を来たす酵素アセチルコリンエステラーゼによるアセチルコリンの分解を防止する。結果として、コリンエステラーゼ阻害剤は、アセチルコリンレベルを上昇させて梗塞領域からのアセチルコリン産生の損失を相殺することにより、中枢神経系虚血性傷害の有害効果を逆転又は減少させ、それによってコリン作動性機能を持続させると信じられる。一つの研究において、例えば、卒中後の被検者にコリンエステラーゼ阻害剤を投与した結果として、虚血区域の脳血流量を上昇させることが示された (Scremin, O. et al, (1996) Life Sciences 58(22): 2013-2017)。もう一つの研究において、卒中後の被検者に投与したコリン作動性作用物質、すなわちシチコリンは、結果として梗塞量を減少させると共に行動パラメーターを改善したことが見出された(Adibhatla, R. et al, (2002) J. Neurochem. 80: 12-23)。動物モデルにおける同様の研究は、コリンエステラーゼ阻害剤を卒中後に投与すると、海馬の遅延型神経細胞死を防止することを示した (Tanaka. K. et al., (1995) Neurological Research 20(6): 663-667)。さらに、コリン作動性作用物質は、それらが副交感神経を遮断し、従って交感神経系の支配(例えば心拍数及び血圧の低下)を可能にするので、卒中の予防に有用な場合もある。
【0007】
シクロオキシゲナーゼ-2の発現は、虚血性傷害後に中枢神経系において誘発されることが知られている。一つの研究において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を用いた治療は、虚血性脳傷害を受けたマウスの梗塞量を減少させたことが示された (Nagayama et al., (1999) J. Cereb. Blood Flow Metab. 19(11): 1213-19)。同様の研究は、シクロオキシゲナーゼ-2欠損マウスが、シクロオキシゲナーゼ-2を発現するマウスと比較した場合に、中大脳動脈の閉塞によって生じた脳傷害が著しく減少することを示した(Iadecola et al., (2001) PNAS 98:1294-1299)。別の研究は、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤による治療が、ウサギにおける可逆性脊髄虚血により誘発された行動欠陥の改善をもたらすことを示した (Lapchak et al., (2001) Stroke 32(5): 1220-1230)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の幾つかの態様の中でも、被検者における中枢神経系への減少した血流量又は外傷を治療するための方法及び組成物が提供される。該組成物は、ベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグ及びコリン作動性作用物質又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを含み、そして該方法は、ベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを、コリン作動性作用物質又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグと組み合わせて、被検者に投与することを含む。
【0009】
一つの実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、下記式:
【化1】

(式中:
Aは、部分不飽和又は不飽和のヘテロシクリル環及び部分不飽和又は不飽和の炭素環式環からなる群から選択され;
1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、R1は置換可能な位置でアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1個又はそれ以上の基で場合により置換されており;
2は、メチル及びアミノからなる群から選択され;そして
3は、H、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N-アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル及び N-アルキル-N-アリールアミノスルホニルからなる群から選択される)で表される化合物である。
【0010】
また別の実施態様において、コリン作動性作用物質は、コリンエステラーゼ阻害剤である。もう一つの実施態様において、コリンエステラーゼ阻害剤は、ドネペジル、タクリン、リバスチグミン、ガランタミン、メトリフォネート、臭化ピリドスチグミン、メチル硫酸ネオスチグミン、塩化エドロフォニウム、塩化アンベノニウム、ジスチグミン、エプタスチグミン及びイピダクリン又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグからなる群から選択される。また別の実施態様において、コリン作動性作用物質は、シチコリン又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。
本発明の他の態様を以下により詳細に説明する。
【0011】
略語及び定義
「アシル」という用語は、有機酸からヒドロキシルを除去した後の残部によって与えられる基を意味する。このようなアシル基の例は、アルカノイル及びアロイル基を包含する。このような低級アルカノイル基の例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサのイル、トリフルオロアセチルを包含する。
【0012】
「アルケニル」という用語は、2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜約12個の炭素原子の、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状の基を包含する。より好ましいアルキル基は、2〜約6個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニル及び4-メチルブテニルを包含する。
【0013】
「アルケニル」及び「低級アルケニル」という用語は、「シス」及び「トランス」配置、又はその代わりに「E」及び「Z」配置を有する基をも包含する。「シクロアルキル」という用語は、3〜12個の炭素原子を有する飽和の炭素環式基を包含する。より好ましいシクロアルキル基は、3〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルキル」基である。このような基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを包含する。
【0014】
「アルコキシ」及び「アルキルオキシ」という用語は、それぞれが1〜約10個の炭素原子のアルキル部分を有する直鎖状又は分枝鎖状の酸素含有基を包含する。より好ましいアルコキシ基は、1〜約6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。このような基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及び tert-ブトキシを包含する。
「アルコキシアルキル」という用語は、アルキル基に結合した1個又はそれ以上のアルコキシ基、すなわちモノアルコキシアルキル及びジアルコキシアルキル基を形成するためのアルコキシ基を有するアルキルを包含する。これらの「アルコキシ」基は、1個又はそれ以上のハロ原子、例えばフルオロ、クロロ又はブロモでさらに置換されてハロアルコキシ基を与えてもよい。より好ましいハロアルコキシ基は、1〜約6個の炭素原子及び1個又はそれ以上のハロ基を有する「低級ハロアルコキシ」基である。このような基の例は、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ及びフルオロプロポキシを包含する。
【0015】
「アルコキシカルボニル」という用語は、酸素原子を介してカルボニル基に結合した上記定義のアルコキシを含有する基を意味する。より好ましいものは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル部分を有する「低級アルコキシカルボニル」基である。このような低級アルコキシカルボニル(エステル)基の例は、置換又は非置換のメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルを包含する。
【0016】
単独で用いられるか又は「ハロアルキル」、「アルキルスルホニル」、「アルコキシアルキル」及び「ヒドロキシアルキル」のように他の用語内で用いられるかの何れの場合にも、「アルキル」という用語は、1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する直鎖状、環状又は分枝鎖状の基を包含する。より好ましいアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。最も好ましいものは、1〜約6個の炭素原子を有する低級アルキル基である。このような基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどを包含する。
【0017】
「アルキルアミノ」という用語は、1個又は2個のアルキル基で置換されたアミノ基を意味する。好ましいものは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル部分を有する「低級N-アルキルアミノ」基である。好適な低級アルキルアミノは、モノ又はジアルキルアミノ、例えば N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどであってよい。
【0018】
「アルキルアミノアルキル」という用語は、アミノアルキル基に結合した1個又はそれ以上のアルキル基を有する基を包含する。
【0019】
「アルキルアミノカルボニル」基という用語は、アミノ窒素原子上で1個又は2個のアルキル基で置換されたアミノアルキル基を有する基を意味する。好ましいものは、「N-アルキルアミノカルボニル」、「N,N-ジアルキルアミノカルボニル」基である。より好ましいものは、上記定義の低級アルキル部分を有する「低級 N-アルキルアミノカルボニル」、「低級 N,N-ジアルキルアミノカルボニル」基である。
【0020】
「アルキルカルボニル」、「アリールカルボニル」及び「アラルキルカルボニル」という用語は、カルボニル基に結合した上記定義のアルキル、アリール及びアラルキルキ基を有する基を包含する。このような基の例は、置換又は非置換のメチルカルボニル、エチルカルボニル、フェニルカルボニル及びベンジルカルボニルを包含する。
【0021】
「アルキルチオ」という用語は、2価の硫黄原子に結合した1〜約10個の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を含有する基を包含する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を有する「低級アルキルチオ」基である。このような低級アルキルチオ基の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ及びヘキシルチオである。
【0022】
「アルキルチオアルキル」という用語は、2価の硫黄原子を介して1〜約10個の炭素原子のアルキル基に結合したアルキルチオ基を含有する基を包含する。より好ましいアルキルチオアルキル基は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を有する「低級アルキルチオアルキル」基である。このような低級アルキルチオアルキル基の例は、メチルチオメチルを包含する。
【0023】
「アルキルスルフィニル」という用語は、2価の基 -S(=O)- に結合した1〜10個の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を含有する基を包含する。より好ましいアルキルスルフィニル基は、1〜6個の炭素原子のアルキル基を有する「低級アルキルスルフィニル」基である。このような低級アルキルスルフィニル基の例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニル及びヘキシルスルフィニルである。
【0024】
「アルキニル」という用語は、2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の基を意味する。より好ましいアルキル基は、2〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。最も好ましいものは、1〜約6個の炭素原子を有する低級アルキニル基である。このような基の例は、プロパルギル、ブチニルなどを包含する。
【0025】
「アミノアルキル」という用語は、1個又はそれ以上のアミノ基で置換されたアルキル基を包含する。より好ましいものは、「低級アミノアルキル」基である。このような基の例は、アミノメチル、アミノエチルなどを包含する。
【0026】
「アミノカルボニル」という用語は、式 -C(=O)NH2のアミド基を意味する。
「アラルコキシ」という用語は、酸素原子により他の基に結合したアラルキルを包含する。
【0027】
「アラルコキシアルキル」という用語は、酸素原子によりアルキル基に結合したアラルキルを包含する。
【0028】
「アラルキル」という用語は、アリールで置換されたアルキル基、例えばベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル及びジフェニルエチルを包含する。このアラルキルのアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換されていてもよい。ベンジル及びフェニルメチルは互換性である。
【0029】
「アラルキルアミノ」という用語は、アミノ窒素原子により他の基に結合したアラルキル基を包含する。「N-アリールアミノアルキル」及び「N-アリール-N-アルキル-アミノアルキル」という用語は、それぞれ1個のアリーリル基又は1個のアリール基と1個のアルキル基で置換されているアミノ基を有するアルキル基を意味し、後者のアルキル基は該アミノ基に結合している。このような基の例は、N-フェニルアミノメチル及び N-フェニル-N-メチルアミノメチルを包含する。
【0030】
「アラルキルチオ」という用語は、硫黄原子に結合したアラルキル基を包含する。
「アラルキルチオアルキル」という用語は、硫黄原子にによりアルキル基に結合したアラルキル基を包含する。
【0031】
「アロイル」という用語は、上記定義のカルボニルを有するアリール基を包含する。アロイルの例は、ベンゾイル、ナフトイルなどを包含し、該アロイル中のアリールはさらに置換されていてもよい。
【0032】
「アリール」という用語は、単独で又は組み合わせて、1個、2個又は3個の環を含有する炭素環式芳香族環系を意味し、このような環はペンダント様式で一緒に結合していてもよく、又は縮合していてもよい。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン及びビフェニルのような芳香族基を包含する。アリール部分は置換可能な位置で、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシ、アラルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、ニトロ、アルキルアミノ、アシル、シアノ、カルボキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル及びアラルコキシカルボニルから独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0033】
「アリールアミノ」という用語は、1個又は2個のアリール基で置換されているアミノ基、例えば N-フェニルアミノを意味する。「アリールアミノ」基は、その基のアリール環部分上でさらに置換されていてもよい。
【0034】
「アリールオキシアルキル」という用語は、2価の酸素原子によりアルキル基に結合したアリール基を有する基を包含する。
【0035】
「アリールチオアルキル」という用語は、2価の硫黄原子によりアルキル基に結合したアリール基を有する基を包含する。
【0036】
「カルボニル」という用語は、単独で用いられようと又は「アルコキシカルボニル」のように他の用語とともに用いられようと、-(C=O)- を意味する。
【0037】
「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は、単独で用いられようと又は「カルボキシアルキル」のように他の用語とともに用いられようと、-CO2Hを意味する。
【0038】
「カルボキシアルキル」という用語は、カルボキシ基で置換されたアルキル基を包含する。より好ましいものは、上記定義の低級アルキル基を含む「低級カルボキシアルキル」であり、そしてアルキル基上でハロにより置換されていてもよい。このような低級カルボキシアルキル基の例は、カルボキシメチル、カルボキシエチル及びカルボキシプロピルを包含する。
【0039】
「コリン作動性作用物質」という用語は、副交感神経系の作用を模倣(minic)する化合物を意味する。より具体的には、コリン作動系に対するその作用に関して用いられる化合物を意味する。ここで包含されるものは、作動剤及び拮抗剤、アセチルコリンのライフサイクルに影響を与える薬剤、並びにコリン作動性ニューロンの生存に影響を与える薬剤である。
【0040】
「コリン作動剤」という用語は、コリン作動性受容体に結合して活性化する化合物を意味する。
【0041】
「コリン拮抗剤」という用語は、コリン作動性受容体に結合するが活性化せず、これによってアセチルコリン又はコリン作動剤の作用を遮断する化合物を意味する。
【0042】
「シクロアルケニル」という用語は、3〜12個の炭素原子を有する部分不飽和の炭素環式基を包含する。より好ましいシクロアルケニル基は、4〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」基である。このような基の例は、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル及びシクロヘキシルである。
【0043】
「シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤」という用語は、シクロオキシゲナーゼ-1を著しく阻害することなくシクロオキシゲナーゼ-2を阻害できる化合物を意味する。好ましくは、約 0.2 マイクロモル未満のシクロオキシゲナーゼ-2のIC50を有し、そしてまたシクロオキシゲナーゼ-1に対するシクロオキシゲナーゼ-2の選択率が少なくとも50、より好ましくは少なくとも 100 である化合物を包含する。より一層好ましくは、これらの化合物は、約1マイクロモルを超える、より好ましくは10マイクロモルを超えるシクロオキシゲナーゼ-1のIC50を有する。本発明方法に用いられるアラキドン酸の代謝におけるシクロオキシゲナーゼ経路の阻害剤は、種々の機序によって酵素活性を阻害することができる。一例として、また限定することなく、本明細書に記載する方法に用いられる阻害剤は、酵素のための基質として作用することにより酵素活性を直接遮断することができる。
【0044】
「ハロ」という用語は、ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
「ハロアルキル」という用語は、アルキル炭素原子の任意の1個又はそれ以上が上記定義のハロで置換されている基を包含する。具体的に包含されるものは、モノハロアルキル、ジハロアルキル及びポリハロアルキル基である。モノハロアルキル基は、一例として、その基中にヨウ素、臭素、塩素又はフッ素原子の何れかを有することができる。ジハロ及びポリハロアルキル基は、2個又はそれ以上の同一のハロ原子又は異なるハロ基の組み合わせを有することができる。「低級ハロアルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する基を包含する。ハロアルキル基の例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルを包含する。
【0045】
「ヘテロアリール」という用語は、不飽和ヘテロシクリル基を包含する。「ヘテロアリール」基とも呼ばれる不飽和ヘテロシクリル基の例は、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員のヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリルなど)、テトラゾリル(例えば、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリルなど)、その他;1〜5個の窒素原子を含有する不飽和の縮合ヘテロシクリル基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニルなど)、その他;酸素原子を含有する不飽和の3〜6員のヘテロ単環式基、例えば、ピラニル、フリル、その他;硫黄原子を含有する不飽和の3〜6員のヘテロ単環式基、例えば、チエニル、その他;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員のヘテロ単環式基、例えば、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリルなど)、その他;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリルなど)、その他;1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の3〜6員のヘテロ単環式基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリルなど)、その他;1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和の縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなど)、その他を包含する。この用語は、ヘテロシクリル基がアリール基と縮合している基をも包含する。このような縮合二環式基は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、その他を包含する。上記の「ヘテロシクリル基」は、1〜3個の置換基、例えばアルキル、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシ、オキソ、アミノ及びアルキルアミノを有することができる。
【0046】
「ヘテロシクリル」という用語は、飽和、部分不飽和及び不飽和のヘテロ原子含有環状基を包含し、ヘテロ原子は窒素、硫黄及び酸素から選択することができる。飽和ヘテロシクリル基の例は、1〜4個の窒素原子を含有する飽和の3〜6員の飽和ヘテロ単環式基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニルなど);1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する3〜6員の飽和ヘテロ単環式基(例えば、モルホリニルなど);1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する3〜6員の飽和ヘテロ単環式基(例えば、チアゾリジニルなど)を包含する。部分不飽和ヘテロシクリル基の例は、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン及びジヒドロチアゾールを包含する。
【0047】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、飽和及び部分不飽和のヘテロシクリルで置換されたアルキル基、例えばピロリジニルメチル、並びにヘテロアリール置換されたアルキル基、例えばピリジルメチル、キノリルメチル、チエニルメチル、フリルエチル及びキノリルエチルを包含する。上記のヘテロアラル中のヘテロアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換されていてもよい。
【0048】
「ヒドリド」という用語は、単一の水素原子(H)を意味する。このヒドリド基は、例えば酸素原子に結合してヒドロキシル基を形成してもよく、又は2個のヒドリド基は、炭素原子に結合してメチレン(-CH2-)基を形成してもよい。
【0049】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、1〜約10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を包含し、その任意の炭素原子は1個又はそれ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。より好ましいヒドロキシアルキル基は、1〜6個の炭素原子及び1個又はそれ以上のヒドロキシル基を有する「低級ヒドロキシアルキル」基である。このような基の例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル及びヒドロキシヘキシルを包含する。
【0050】
「製薬上許容される」という用語は、本明細書で形容詞的に用いられて、修飾された名詞が医薬生成物における使用に適合することを意味し;すなわち、「製薬上許容される」材料は、比較的に安定であり、そして/又は無毒性であるが、それだけで必ずしも個別の治療上の利益を与える必要はない。製薬上許容されるカチオンは、金属イオン及び有機イオンを包含する。より好ましい金属イオンは、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び他の生理的に許容される金属イオンを包含するが、これらに限定されるものではない。例示的なイオンは、普通の原子価のアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛を包含する。好ましい有機イオンは、プロトン化3級アミン及び4級アンモニウムカチオンを包含し、その一部は、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインを包含する。例示的な製薬上許容される酸は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0051】
「プロドラッグ」という用語は、被検者の体内で代謝的又は単純な化学的過程により治療用化合物に変換できる化合物を指す。例えば、COX-2阻害剤のプロドラッグのクラスは、米国特許第 5,932,598 号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0052】
治療目的の「被検者」という用語は、中枢神経系への血流量の減少に起因する有害な影響を受けやすいか、又は中枢神経系への外傷性傷害を受けた任意のヒト又は動物の被検者を包含する。被検者は家畜の種、実験動物の種、動物園の動物又はコンパニオン動物であってよい。一つの実施態様において、被検者は哺乳類である。別の実施態様において、哺乳類はヒトである。
【0053】
「スルホニル」という用語は、単独で用いられようと又はアルキルスルホニルのように他の用語と連結して用いられようと、それぞれ2価の基 -SO2- を意味する。「アルキルスルホニル」は、スルホニルに結合したアルキル基を包含し、アルキルは上記定義のとおりである。より好ましいアルキルスルホニル基は、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルキルスルホニル」基である。このような低級アルキルスルホニル基の例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル及びプロピルスルホニルを包含する。「アルキルスルホニル」基は、1個又はそれ以上のはロ原子、例えばフルオロ、クロロ又はブロモでさらに置換されてハロアルキルスルホニル基を与えてもよい.「スルファミル」、「アミノスルホニル」及び「スルホンアミジル」という用語は、NH22S- を意味する。
【0054】
「治療有効」という語句は、治療しない場合又は各剤の単独で治療した場合に対して、障害の重さ及び発症頻度の改善目標を達成する各剤の量(すなわち、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤の量及びコリン作動性作用物質の量)を修飾することを意図している。
【0055】
「血栓事象」又は「血栓塞栓事象」という用語は、動脈血栓症を包含するが、これらに限定されるものではなく、ステント及び移植片血栓症、心臓血栓症、冠状動脈血栓症、心臓弁血栓症、肺血栓症及び静脈血栓症を包含する。心臓血栓症は、心臓における血栓症である。肺血栓症は、肺における血栓症である。動脈血栓症は、動脈における血栓症である。冠状動脈血栓症は、冠状動脈における閉塞性血栓症の発症であり、突然死又は心筋梗塞をしばしば引き起こす。静脈血栓症は、静脈における血栓症である。心臓弁血栓症は、心臓弁上の血栓症である。ステント血栓症は、血管ステントに起因及び/又はその付近に位置する血栓症である。移植片血栓症は、移植された移植片、特に血管移植片に起因及び/又はその付近に位置する血栓症である。本明細書で用いられる血栓事象は、体内のどこでも生じる局所血栓事象及び末梢血栓事象の両者(例えば、血栓塞栓事象、例えば塞栓性卒中など)を包含することを意味する。
【0056】
「血管閉塞事象」という用語は、血管、ステント又は血管移植片の部分的閉塞(狭窄を包含する)又は完全閉塞を包含する。血管閉塞事象は、血栓事象又は血栓塞栓事象、並びにそれらが引き起こす血管閉塞障害又は症状を包含することを意図している。従って、血管閉塞事象は、血栓又は血栓塞栓事象に起因する部分的又は完全な血管閉塞を生じさせる全ての血管閉塞を包含することを意図している。
【0057】
好ましい実施態様の説明
本発明は、治療有効量のベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系COX-2選択的阻害剤を治療有効量のコリン作動性作用物質と組み合わせて、被検者に投与することを含む併用療法を提供する。併用療法は、細胞への血流量の減少に起因する中枢神経系細胞への損傷又は細胞への外傷性傷害に起因する損傷を治療又は予防するために用いられる。加えて、併用療法はまた、卒中又は他の血管閉塞事象の予防のために有用であり得る。併用療法の一部として投与すると、ベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系COX-2選択的阻害剤はコリン作動性作用物質と一緒になって、コリン作動性作用物質又はベンゼンスルホンアミド若しくはメチルスルホニルベンゼン系COX-2選択的阻害剤の何れかの単独投与と比較して、向上した治療選択肢を与える。
【0058】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤
多数の好適なシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグを本発明の組成物に採用することができる。一つの実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグは、式IIの一般構造:
【化2】

(式中:
Aは、部分不飽和又は不飽和のヘテロシクリル環及び部分不飽和又は不飽和の炭素環式環からなる群から選択され;
1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、R1は置換可能な位置でアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1個又はそれ以上の基で場合により置換されており;
2は、メチル及びアミノからなる群から選択され;そして
3は、H、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N-アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル及び N-アルキル-N-アリールアミノスルホニルからなる群から選択される)で表される三環式シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤のクラス;又はその製薬上許容される塩から選択することができる。
【0059】
さらに別の実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、式IIの化合物であるが、この化合物はロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ又はエトリコキシブ以外のものである。
【0060】
さらに別の実施態様は、Aが、チエニル、オキサゾリル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、シクロペンチル、フェニル及びピリジルから選択される環置換基であり;Aが、アシル、ハロ、ヒドロキシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級カルボキシアルキル、低級シアノアルキル及び低級ヒドロキシアルキルから選択される置換基で場合により置換されている、式IIに相当するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を提供する。
【0061】
別の実施態様は、Aが、チエニル、オキサゾリル、ピロリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、シクロペンチル、フェニル及びピリジルから選択される環置換基であり;Aが、アシル、ハロ、ヒドロキシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級カルボキシアルキル、低級シアノアルキル及び低級ヒドロキシアルキルから選択される置換基で場合により置換されている、式IIに相当するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を提供する。
【0062】
別の実施態様は、Aが、チエニル、オキサゾリル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、シクロペンチル及びフェニルから選択される環置換基であり;Aが、アシル、ハロ、ヒドロキシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級カルボキシアルキル、低級シアノアルキル及び低級ヒドロキシアルキルから選択される置換基で場合により置換されている、式IIに相当するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を提供する。
【0063】
別の実施態様は、Aが、チエニル、オキサゾリル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、シクロペンチル、フェニル及びピリジルから選択される環置換基であり;Aが、アシル、ハロ、ヒドロキシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級カルボキシアルキル、低級シアノアルキル及び低級ヒドロキシアルキルから選択される置換基で場合により置換されている、式IIに相当するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を提供する。
【0064】
別の実施態様は、Aが、チエニル、オキサゾリル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、シクロペンチル、フェニル及びピリジルから選択される環置換基であり;Aが、アシル、ハロ、ヒドロキシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級カルボキシアルキル、低級シアノアルキル及び低級ヒドロキシアルキルから選択される置換基で場合により置換されている、式IIに相当するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を提供する。
【0065】
さらに別の実施態様は、Aが、チエニル、オキサゾリル、フリル、ピロリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、シクロペンチル、フェニル及びピリジルから選択される環置換基であり;Aが、アシル、ハロ、ヒドロキシル、低級アルキル、低級ハロアルキル、オキソ、シアノ、ニトロ、カルボキシル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級カルボキシアルキル、低級シアノアルキル及び低級ヒドロキシアルキルから選択される置換基で場合により置換されており;ただし、Aがピラゾリルである場合には、R3はトリフルオロメチル以外であるものとし;Aがフラノンである場合には、R3はヒドリド以外であるものとし;Aがピリジルである場合には、R3はクロリド以外であるものとし;そしてAがイソキサゾリルである場合には、R3はメチル以外であるものとする、式IIに相当するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を提供する。
【0066】
さらに別の実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は式IIの化合物であるが、ただし、Aがピラゾリルである場合には、R3はトリフルオロメチル以外であるものとし;Aがフラノンである場合には、R3はヒドリド以外であるものとし;Aがピリジルである場合には、R3はクロリド以外であるものとし;そしてAがイソキサゾリルである場合には、R3はメチル以外であるものとする。
【0067】
別の実施態様において、式IIで表されるシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグは、セレコキシブ (B-18; 米国特許第 5,466,823 号; CAS No. 169590-42-5)、バルデコキシブ (B-19; 米国特許第 5,633,272 号; CAS No. 1816995-72-7)、デラコキシブ (B-20;米国特許第5,521,207号;CAS No. 169590-41-4)、ロフェコキシブ (B-21; CAS No. 162011-90-7)、エトリコキシブ (K-663; B-22; PCT 公開 WO 98/03484)、JTE -522 (B-23) 又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグからなる、表1に示す化合物群から選択される。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
さらに別の実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、セレコキシブ、ロフェコキシブ及びエトリコキシブからなる群から選択される。
【0071】
さらに別の実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、パレコキシブ (B-24; 米国特許第 5,932,598 号; CAS No. 198470-84-7) であり、これは三環式シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤バルデコキシブ、B-19 の治療上有効なプロドラッグであり、シクロオキシゲナーゼ阻害剤源として有利に採用することができる(米国特許第5,932,598 号、参照により本明細書に組み込まれる)。
【化3】

【0072】
パレコキシブの一つの形態はナトリウムパレコキシブである。
【0073】
本発明の別の好ましい実施態様において、国際公開番号 WO 00/24719 号(これは参照により本明細書に組み込まれる)に以前に記載された式 B-25 を有する化合物は、有利に採用できる別の三環式シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤である。
【化4】

【0074】
本発明の方法に関して有用である別のシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、下記に B-26 として示す構造を有する N-(2-シクロヘキシルオキシニトロフェニル)-メタンスルホンアミド (NS-398) である。
【化5】

【0075】
もう一つの実施態様において、本発明の方法に関してシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグのために有用である化合物(その構造を以下の表2に記載する)は、下記のものを包含するが、これらに限定されるものではない:
5-(4-フルオロフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)ピラゾール (B-77);
4-(4-フルオロフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-1-フェニル-3-(トリフルオロメチル)ピラゾール (B-78);
4-(5-(4-クロロフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-79);
4-(3,5-ビス(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-80);
4-(5-(4-クロロフェニル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-81);
4-(3,5-ビス(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-82);
4-(5-(4-クロロフェニル)-3-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-83);
4-(5-(4-クロロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-84);
4-(5-(4-クロロフェニル)-3-(5-クロロ-2-チエニル)-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-85);
4-(4-クロロ-3,5-ジフェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド (B-86);
4-[5-(4-クロロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-87);
4-[5-フェニル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-88);
4-[5-(4-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-89);
4-[5-(4-メトキシフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-90);
4-[5-(4-クロロフェニル)-3-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-91);
4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-92);
4-[4-クロロ-5-(4-クロロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-93);
4-[3-(ジフルオロメチル)-5-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-94);
4-[3-(ジフルオロメチル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド
(B-95);
4-[3-(ジフルオロメチル)-5-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-96);
4-[3-シアノ-5-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド
(B-97);
4-[3-(ジフルオロメチル)-5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-98);
4-[5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-99);
4-[4-クロロ-5-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-100);
4-[5-(4-クロロフェニル)-3-(ヒドロキシメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-101);
4-[5-(4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-
イル]ベンゼンスルホンアミド (B-102);
5-(4-フルオロフェニル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプタ-5-エン (B-103);
4-[6-(4-フルオロフェニル)スピロ[2.4]ヘプタ-5-エン-5-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-104);
6-(4-フルオロフェニル)-7-[4-(メチルスルホニル)フェニル]スピロ[3.4]オクタ-6-エン (B-105);
5-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプタ-5-エン (B-106);
【0076】
4-[6-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)スピロ[2.4]ヘプタ-5-エン-5-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-107);
5-(3,5-ジクロロ-4-メトキシフェニル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプタ-5-エン (B-108);
5-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプタ-5-エン (B-109);
4-[6-(3,4-ジクロロフェニル)スピロ[2.4]ヘプタ-5-エン-5-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-110);
2-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-4-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メチルスルホニルフェニル)チアゾール (B-111);
2-(2-クロロフェニル)-4-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メチルスルホニルフェニル)チアゾール (B-112);
5-(4-フルオロフェニル)-4-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-メチルチアゾール (B-113);
4-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-トリフルオロメチルチアゾール (B-114);
4-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-(2-チエニル)チアゾール
(B-115);
4-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-ベンジルアミノチアゾール (B-116);
4-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-(1-プロピルアミノ)チアゾール (B-117);
2-((3,5-ジクロロフェノキシ)メチル)-4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]チアゾール (B-118);
5-(4-フルオロフェニル)-4-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-トリフルオロメチルチアゾール (B-119);
1-メチルスルホニル-4-[1,1-ジメチル-4-(4-フルオロフェニル)シクロペンタ-2,4-ジエン-3-イル]ベンゼン (B-120);
4-[4-(4-フルオロフェニル)-1,1-ジメチルシクロペンタ-2,4-ジエン-3-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-121);
5-(4-フルオロフェニル)-6-[4-(メチルスルホニル)フェニル]スピロ[2.4]ヘプタ-4,6-ジエン (B-122);
4-[6-(4-フルオロフェニル)スピロ[2.4]ヘプタ-4,6-ジエン-5-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-123);
6-(4-フルオロフェニル)-2-メトキシ-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-ピリジン-3-カルボニトリル (B-124);
2-ブロモ-6-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-ピリジン-3-カルボニトリル (B-125);
6-(4-フルオロフェニル)- 5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-フェニル-ピリジン-3-カルボニトリル (B-126);
4-[2-(4-メチルピリジン-2-イル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]
ベンゼンスルホンアミド (B-127);
4-[2-(5-メチルピリジン-3-イル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-128);
4-[2-(2-メチルピリジン-3-イル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-129);
3-[1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジン (B-130);
4-[2-(6-メチルピリジン-3-イル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]
ベンゼンスルホンアミド (B-134);
2-(3,4-ジフルオロフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール (B-135);
4-[2-(4-メチルフェニル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-136);
2-(4-クロロフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-メチル-1H-イミダゾール
(B-137);
2-(4-クロロフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-フェニル-1H-イミダゾール (B-138);
2-(4-クロロフェニル)-4-(4-フルオロフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-1H-イミダゾール (B-139);
【0077】
1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]- 2-フェニル-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール (B-141);
2-(4-メチルフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール (B-142);
4-[2-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-143);
2-(3-フルオロ-5-メチルフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール (B-144);
4-[2-(3-フルオロ-5-メチルフェニル)- 4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-145);
2-(3-メチルフェニル)-1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール (B-146);
4-[2-(3-メチルフェニル)- 4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-147);
1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-(3-クロロフェニル)-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール(B-148);
4-[2-(3-クロロフェニル)-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-149);
4-[2-フェニル-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-150);
4-[2-(4-メトキシ-3-クロロフェニル)-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-151);
1-アリル-4-(4-フルオロフェニル)-3-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール (B-152);
4-[1-エチル-4-(4-フルオロフェニル)- 5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-3-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-153);
N-フェニル-[4-(4-フルオロフェニル)-3-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]アセトアミド (B-154);
[4-(4-フルオロフェニル)-3-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]酢酸エチル (B-155);
4-(4-フルオロフェニル)-3-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ピラゾール (B-156);
4-(4-フルオロフェニル)-3-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-1-(2-フェニルエチル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール (B-157);
1-エチル-4-(4-フルオロフェニル)-3-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール (B-158);
5-(4-フルオロフェニル)-4-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール (B-159);
4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-(2-チオフェニル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール (B-160);
5-(4-フルオロフェニル)-2-メトキシ-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン (B-161);
2-エトキシ-5-(4-フルオロフェニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン (B-162);
5-(4-フルオロフェニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-(2-プロピルオキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン (B-163);
2-ブロモ-5-(4-フルオロフェニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン (B-164);
4-[2-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)- 4,5-ジフルオロフェニル]ベンゼンスルホンアミド (B-165);
1-(4-フルオロフェニル)-2-[4-(メチルスルホニル)フェニル]ベンゼン (B-166);
5-ジフルオロメチル-4-(4-メチルスルホニルフェニル)-3-フェニルイソキサゾール (B-167);
4-[3-エチル-5-フェニルイソキサゾール-4-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-168);
4-[5-ジフルオロメチル-3-フェニルイソキサゾール-4-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-169);
4-[5-ヒドロキシメチル-3-フェニルイソキサゾール-4-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-170);
4-[5-メチル-3-フェニル-イソキサゾール-4-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-171);
1-[2-(4-フルオロフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-172);
【0078】
1-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-173);
1-[2-(4-クロロフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-174);
1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン
(B-175);
1-[2-(4-トリフルオロメチルフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-176);
1-[2-(4-メチルチオフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン
(B-177);
1-[2-(4-フルオロフェニル)-4,4-ジメチルシクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-178);
4-[2-(4-フルオロフェニル)-4,4-ジメチルシクロペンテン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-179);
1-[2-(3-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-180);
4-[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロペンテン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-181);
4-[2-(4-フルオロフェニル)シクロペンテン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-182);
4-[2-(4-クロロフェニル)シクロペンテン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-183);
1-[2-(4-メトキシフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-184);
1-[2-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-185);
4-[2-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)シクロペンテン-1-イル]ベンゼンスルホンアミ
ド (B-186);
1-[2-(3-クロロ-4-メトキシフェニル)シクロペンテン-1-イル]-4-(メチルスルホニル)ベンゼン (B-187);
4-[2-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)シクロペンテン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド
(B-188);
4-[2-(2-メチルピリジン-5-イル)シクロペンテン-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-189);
2-[4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]オキサゾール-2-イル]-2-ベンジル-酢酸エチル (B-190);
2-[4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]オキサゾール-2-イル]酢酸 (B-191);
2-(tert-ブチル)-4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]オキサゾール (B-192);
4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-フェニルオキサゾール
(B-193);
4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]オキサゾール (B-194);
4-[5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-トリフルオロメチル-4-オキサゾリル]ベンゼンスルホンアミド (B-195);
4-[5-(4-クロロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-200);
4-[5-(4-メチルフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-201);
4-[5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-3-(ジフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-202);
3-[1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジン (B-203);
2-メチル-5-[1-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-4-トリフルオロメチル-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジン (B-204);
4-[2-(5-メチルピリジン-3-イル)-4-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-205);
4-[5-メチル-3-フェニルイソキサゾール-4-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-206);
4-[5-ヒドロキシメチル-3-フェニルイソキサゾール-4-イル]ベンゼンスルホンアミド (B-207);
[2-トリフルオロメチル-5-(3,4-ジフルオロフェニル)-4-オキサゾリル]ベンゼンスルホンアミド (B-208);
4-[2-メチル-4-フェニル-5-オキサゾリル]ベンゼンスルホンアミド (B-209);
4-[5-(2-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-トリフルオロメチル-4-オキサゾリル]ベンゼンスルホンアミド (B-210);
3-(3,4-ジフルオロ-フェノキシ)-4-(4-メタンスルホニル-フェニル)-5-メチル-5-(2,2,2-トリフルオロ-エチル)-5H-フラン-2-オン又は L-784512 又は L-784512 (B-216);
4-[5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-3-ジフルオロメチル-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミド。
【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
【表11】

【0088】
【表12】

【0089】
【表13】

【0090】
【表14】

【0091】
【表15】

【0092】
【表16】

【0093】
【表17】

【0094】
【表18】

【0095】
【表19】

【0096】
【表20】

【0097】
【表21】

【0098】
【表22】

【0099】
【表23】

【0100】
【表24】

【0101】
【表25】

【0102】
【表26】

【0103】
【表27】

【0104】
【表28】

【0105】
【表29】

【0106】
【表30】

【0107】
【表31】

【0108】
【表32】

【0109】
【表33】

【0110】
【表34】

【0111】
【表35】

【0112】
【表36】

【0113】
【表37】

【0114】
【表38】

【0115】
【表39】

【0116】
【表40】

【0117】
【表41】

【0118】
【表42】

【0119】
【表43】

【0120】
【表44】

【0121】
【表45】

【0122】
【表46】

【0123】
本発明に採用されるシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、互変、幾何又は立体異性体形態で存在することができる。一般的に言えば、互変、幾何又は立体異性体の形態にある好適なシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、100μM又はそれ以下の濃度で存在する場合に、シクロオキシゲナーゼ-2活性を約25%だけ、より典型的には約50%だけ、より一層典型的には約75%だけ又はそれ以上阻害する化合物である。本発明は、このような全ての化合物を想定しており、シス-及びトランス-幾何異性体、E-及びZ-幾何異性体、R-及びS-エナンチオマー、ジアステレオマー、d-異性体、l-異性体、それらのラセミ混合物及びそれらの他のラセミ混合物を包含する。このような互変、幾何又は立体異性体形態の製薬上許容される塩もまた、本発明の範囲内に包含される。本明細書で用いられる「シス」及び「トランス」という用語は、二重結合により結合した2個の炭素原子がそれぞれ二重結合の同じ側(「シス」)又は二重結合の反対側(「トランス」)に水素原子を有する幾何異性体の形態を意味する。記載した化合物の幾つかはアルケニル基を含有し、そしてシス及びトランス又は「E」及び「Z」幾何形態の両者を包含することを意味する。さらに、記載した化合物の幾つかは1個又はそれ以上の立体中心を含有し、そして存在する各立体中心に関してR、S、並びにR及びS形態の混合物を包含することを意味する。
【0124】
本発明に利用されるシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、その遊離塩基又は製薬上許容される酸付加塩の形態にあることができる。「製薬上許容される塩」という用語は、遊離酸又は遊離塩基のアルカリ土類金属塩を形成するため及び付加塩を形成するために普通に用いられる塩である。塩の性質は、それが製薬上許容されるならば、変化することができる。本発明に用いられる化合物の好適な製薬上許容される酸付加塩は、無機酸又は有機酸から製造することができる。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、ヘテロ環式、炭素環式及びスルホン酸クラスの有機酸から選択することができ、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸である。本発明に用いられる化合物の好適な製薬上許容される塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から作られる金属塩、又はN,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインから作られる有機塩を包含する。これらの塩の全ては、相当する化合物から慣用手段で、例えば、適切な酸又は塩基を本明細書に記載した任意の式の化合物と反応させることにより製造することができる。
【0125】
本発明の実施に有用なシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、医薬組成物に製剤化することができ、そして治療上有効な用量を送達する任意の手段で投与することができる。このような組成物は、所望により慣用の無毒性の製薬上許容される担体、補助剤及びビヒクルを含有する用量単位製剤として、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、直腸内に、皮内に、経皮的に又は局所的に投与することができる。局所投与はまた、経皮パッチ又はイオン浸透療法装置のような経皮投与の使用を伴うこともできる。本明細書で用いられる非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内又は胸骨内の注射又は注入技術を包含する。薬剤の製剤は、例えば、Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania (1975) 及び Liberman, H.A. and Lachman, L., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y. (1980) で論じられている。
【0126】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性又は油性懸濁液は、公知技術により好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、無毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶剤中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であってよい。採用できる許容性ビヒクル及び溶剤は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌不揮発性油は、溶剤又は懸濁媒質として普通に採用される。この目的で、合成モノ-又はジグリセリドを包含する任意銘柄の不揮発性油を採用することができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸は、注射剤の製造に有用である。ジメチルアセトアミド、イオン及び非イオン界面活性剤を包含する界面活性剤、並びにポリエチレングリコールを用いることができる。上記で論じたような溶剤及び湿潤剤の混合物もまた有用である。
【0127】
本明細書で論じた化合物の直腸内投与のための坐剤は、活性物質を、常温で固体であるが直腸温度で液体であり、従って直腸内で溶融して薬剤を放出する好適な非刺激性賦形剤、例えばカカオ脂、合成モノ-、ジ-若しくはトリグリセリド又はポリエチレングリコールと混合することにより製造することができる。
【0128】
経口投与のための固体投与形態は、カプセル、錠剤、ピル、粉末及び顆粒を包含することができる。このような固体投与形態において、化合物は適応投与経路に適切な1種又はそれ以上の補助剤と普通に組み合わせられる。経口投与する場合には、化合物を乳糖、ショ糖、澱粉粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸、硫酸のナトリウム及びカルシウム塩、ゼラチン、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及び/又はポリビニルアルコールと混合し、次いで投与に便利なように打錠又はカプセル封入することができる。このようなカプセル又は錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の活性化合物の分散物として提供できるように、制御放出製剤を含有することができる。カプセル、錠剤及びピルの場合、投与形態はまた、緩衝剤、例えばクエン酸ナトリウム、又は炭酸若しくは重炭酸マグネシウム若しくはカルシウムを含むこともできる。錠剤及びピルはさらに、腸溶性コーティングを用いて製造することができる。
【0129】
治療目的で、非経口投与のための製剤は、水性又は非水性の滅菌注射溶液又は懸濁液の形態にあってよい。このような溶液及び懸濁液は、経口投与のための製剤における使用について上記した1種又はそれ以上の担体又は希釈剤を有する粉末又は顆粒から製造することができる。化合物を、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム及び/又は種々の緩衝液に溶解することができる。他の補助剤及び投与方式は製薬技術で広くよく知られている。
【0130】
経口投与のための液体投与形態は、当技術分野で普通に用いられる不活性希釈剤、例えば水を含有する製薬上許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを包含することができる。このような組成物はまた、補助剤、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、並びに甘味料、香味料及び香料を含むこともできる。
【0131】
担体材料と組み合わせてシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤の単一用量を生成できる活性成分の量は、患者及び特定の投与方式に応じて変化するだろう。一般的に、医薬組成物は、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を約 0.1〜2000 mg の範囲、より典型的には約 0.5〜500 mg の範囲、より典型的には約1〜200 mg の量で含有することができる。1日量は、約 0.01〜100 mg/kg 体重、より典型的には約 0.1〜50 mg/kg 体重、より典型的には約1〜20 mg/kg 体重が適切でありうる。1日量は、1日当たり1〜約4回の投薬として投与することができる。
【0132】
一つの実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤がロフェコキシブを含む場合には、使用量は約 0.15〜約 1.0 mg/日・kg、より一層典型的には約 0.18〜約 0.4 mg/日・kg の範囲内にあることが典型的である。
【0133】
さらに別の実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤がエトリコキシブを含む場合には、使用量は約 0.5〜約 5 mg/日・kg、より一層典型的には約 0.8〜約 4
mg/日・kg の範囲内にあることが典型的である。
【0134】
さらに、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤がセレコキシブを含む場合には、使用量は約 1〜約 20 mg/日・kg、より一層典型的には約 1.4〜約 8.6 mg/日・kg、なお一層典型的には約2〜約3mg/日・kg の範囲内にあることが典型的である。
【0135】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤がバルデコキシブを含む場合には、使用量は約 0.1〜約5mg/日・kg、より一層典型的には約 0.8〜約4mg/日・kg の範囲内にあることが典型的である。
【0136】
もう一つの実施形態において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤がパレコキシブを含む場合には、使用量は約 0.1〜約5mg/日・kg、より一層典型的には約1〜約3mg/日・kg の範囲内にあることが典型的である。
【0137】
当業者は、投与量が Goodman & Goldman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ninth Edition (1996), Appendix II, pp.1707-1711 及び Goodman & Goldman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition (2001), Appendix II, pp. 475-493 からの指針を用いても決定できることを理解するだろう。
【0138】
コリン作動性作用物質
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤に加えて、本発明の組成物は治療有効量のコリン作動性作用物質又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグをも含む。多数の異なるコリン作動性作用物質を本発明に採用することができる。一般的に言って、選択された作用物質は、中枢神経系への血流量の減少又は中枢神経系への外傷性傷害の何れかの後のコリン作動性神経伝達を向上するか又は実質的に維持するだろう。
【0139】
従って、本発明の一つの態様は、多数の異なる生化学的経路により代謝されてコリン及びより典型的にはコリンエステルに変換できるコリン作動性作用物質を包含する。この実施態様の一つの代替手段において、コリン作動性作用物質はホスファチジルコリン前駆体である。好適なホスファチジルコリン前駆体の一つは、下記式:
【化6】

を有するシチコリン又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。
【0140】
本発明のもう一つの態様は、1種又はそれ以上のコリン受容体のコリン作動性受容体作用剤であるコリン作動性作用物質を包含する。この実施態様の一つの代替手段において、コリン作動性作用物質は、ムスカリン性アセチルコリン受容体の作用剤である。コリン作動性作用物質は、1種又はそれ以上のムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプ、例えばM1、M2、M3、M4又はM5ムスカリン性受容体遺伝子の発現に起因するサブタイプであってよい。一つの実施態様において、ムスカリン性受容体作用剤は、コリンのエステルである。コリンのエステルは、下記式:
【化7】

を有するアセチルコリン又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグであってよい。
【0141】
この実施態様の別の代替手段において、コリンエステルは、下記式:
【化8】

を有するブチリルコリン又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。
【0142】
この実施態様のさらに別の代替手段において、コリン作動性作用物質は、下記式:
【化9】

を有するピロカルピン又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。
【0143】
この実施態様のさらに別の代替手段において、コリン作動性作用物質は、下記式:
【化10】

を有するカルバコール又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。
【0144】
この実施態様のさらに別の代替手段において、コリン作動性作用物質は、下記式:
【化11】

を有するベタネコール又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。
【0145】
別の実施態様において、ムスカリン性受容体作用剤は、アルカロイドのエステルである。好適なアルカロイドの一例は、下記式:
【化12】

を有するムスカリン又はその製薬上許容される塩若しくはプロドラッグである。
【0146】
本発明のもう一つの態様は、ニコチン性アセチルコリン受容体の作用剤であるコリン作動性作用物質を提供する。コリン作動性作用物質は、ニコチン性アセチルコリン受容体、例えばα7又はα4β2受容体の1種又はそれ以上のイソ型であってよい。好適なニコチン性アセチルコリン受容体作用剤を表3に示す。
【0147】
【表47】

【0148】
【表48】

【0149】
本発明のさらにもう一つの態様は、被検者に投与したときにアセチルコリンの分解を実質的に阻害又は予防するコリン作動性作用物質を包含する。この実施態様の一つの代替手段において、コリン作動性作用物質は、コリンエステラーゼ阻害剤である。適当なコリンエステラーゼ阻害剤の例は、リバスチグミン、塩化アンベノニウム、ジスチグミン、エプタスチグミン及び、イピダクリンを包含する。他の好適なコリンエステラーゼを表4に示す。
【0150】
【表49】

【0151】
【表50】

【0152】
一般的に言って、投与すべき特定の作用物質の薬物動態は、最も好ましい投与方法及び投薬管理を決定づけるだろう。コリン作動性作用物質は、担体を含むか含まない医薬組成物として投与することができる。「製薬上許容される担体」又は「担体」という用語は、比較的に不活性かつ無毒性である任意の一般的に許容される賦形剤又は薬剤送達組成物を指す。例示的な担体は、水、塩溶液(例えばリンゲル液)、アルコール、ゼラチン、タルク、粘稠パラフィン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、炭酸カルシウム、炭水化物(例えば乳糖、ショ糖、デキストロース、マンノース、アルブミン、澱粉、セルロース、シリカゲル、ポリエチレングリコール (PEG)、乾燥スキムミルク、米粉)、ステアリン酸マグネシウムなどを包含する。好適な製剤及び追加の担体は、Remington's Pharmaceutical Sciences, (17th Ed., Mack Pub., Easton, Pa.) に記載されている。このような調製物は、所望により滅菌し、そして活性化合物と有害に反応しない助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色剤、保存剤及び/又は芳香族物質などと混合することができる。典型的な保存剤は、ソルビン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサールなどを包含することができる。組成物はまた、所望により他の活性物質、例えば酵素阻害剤と混合して代謝退化を減少させることもできる。
【0153】
さらに、コリン作動性作用物質は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、持続放出製剤又は粉末であってよい。投与方法は、組成物を製剤化する方法を決定づけることがある。例えば、組成物は、伝統的な結合剤及び担体、例えばトリグリセリドを用いて坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、標準的な担体、例えば製薬グレードのマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース又は炭酸マグネシウムを含むことができる。
【0154】
別の実施態様において、コリン作動性作用物質は、静脈内に、非経口的に、筋肉内に、皮下に、経口的に、鼻内に、局所的に、吸入により、移植により、注射により、又は坐剤により投与することができる。直腸又は粘膜適用(口腔及び鼻粘膜による適用を包含する)のためには、錠剤、液体、点滴剤、坐剤又はカプセルが特に適している。甘味ビヒクルを採用したシロップ、エリキシルなどを用いることができる。リポソーム、微小球及びマイクロカプセルを入手でき、かつ用いることができる。肺投与は、例えば、吸入器のような当技術分野で公知の種々の装置の何れを用いても行うことができる。例えば、S.P. Newman (1984) in Aerosols and the Lung, Clarke and Davis (eds.), Butterworths, London, England, pp. 197-224; PCT 公開番号 WO 92/16192; PCT 公開番号 WO 91/08760参照。非経口適用のためには、注射用滅菌溶液、好ましくは油性又は水性溶液、並びに懸濁液、エマルジョン、又は坐剤を包含するインプラントが特に適している。特に、非経口投与のための担体は、デキストロースの水溶液、生理食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、落花生油、ゴマ油、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック重合体などを包含する。
【0155】
化合物又は薬剤の実際の有効量は、利用される特定の組成物、投与方式、並びに被検者の年齢、体重及び状態により変化することができ、また変化するだろう。特定の個々の被検者に対する投与量は、当業者により従来の考慮事項を用いて決定することができる。しかし一般的には、コリン作動性作用物質の量は、1日当たり約 0.5〜約 1000 ミリグラム、より典型的には約 2.5〜約 750 ミリグラム、最も典型的には約 5.0〜約 500 ミリグラムであろう。1日量は、1日当たり1〜約4回の投薬として投与することができる。
【0156】
一例として、コリン作動性作用物質が制御放出投与形態で投与されるドネペジルである場合の一つの実施態様において、毎日の投与量は、典型的には1日当たり1〜約4回の投薬として投与される1日当たり約5〜約10 ミリグラムである。
【0157】
さらなる一例として、コリン作動性作用物質が制御放出投与形態で投与されるタクリンである場合の別の実施態様において、毎日の投与量は、典型的には1日当たり1〜約4回の投薬として投与される1日当たり 40〜約 160 ミリグラムである。
【0158】
よりさらなる一例として、コリン作動性作用物質が制御放出投与形態で投与される臭化ピリドスチグミンである場合の別の実施態様において、毎日の投与量は、典型的には1日当たり1〜約4回の投薬として投与される1日当たり約60〜約360 ミリグラムである。
【0159】
一般的に言って、コリン作動性作用物質及びシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、虚血性損傷の程度を減少させるために、中枢神経系への血流量の減少後できるだけ早く被検者に投与される。典型的には、コリン作動性作用物質及びシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、中枢神経系への血流量の減少後10日以内に、より典型的には24時間以内に投与される。さらに別の実施態様において、コリン作動性作用物質及びシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、中枢神経系への血流量の減少後の約1〜12時間に投与される。別の実施態様において、コリン作動性作用物質及びシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、中枢神経系への血流量の減少後の約6時間未満に投与される。さらに別の実施態様において、コリン作動性作用物質及びシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、中枢神経系への血流量の減少後の約4時間未満に投与される。さらにまた別の実施態様において、コリン作動性作用物質及びシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、中枢神経系への血流量の減少後の約2時間未満に投与される。
【0160】
さらに、コリン作動性作用物質の投与に関してシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤を投与するタイミングは、被検者ごとに変化することができる。一つの実施態様において、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及びコリン作動性作用物質は、実質的に同時に投与することができ、これは両方の作用剤を被検者にほぼ同時に投与できることを意味する。例えば、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、コリン作動性作用物質の開始と同日に始めてコリン作動性作用物質の終了後の期間まで延長する連続期間中に投与される。別法として、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及びコリン作動性作用物質は、順次に投与することができ、これはそれらを別個の治療中に別個の時点で投与することを意味する。一つの実施態様において、例えば、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、コリン作動性作用物質の投与前に始めてコリン作動性作用物質の投与後に終了する連続期間中に投与される。当然ながら、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、コリン作動性作用物質より多いか又は少ない頻度の何れでも投与することが可能である。さらに、当業者には、本発明の実施において種々の投与時点及び方法の組み合わせが可能であり、かつ多分望ましいことが明らかであろう。
【0161】
併用療法
一般的に言って、本発明の実施に採用される組成物は、上記で詳述した任意のシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤の1種又はそれ以上を、上記で詳述した任意のコリン作動性作用物質の1種又はそれ以上と組み合わせて含むことができると想定される。非限定的な一例として、本発明の方法及び組成物に有用である多数の好適な組み合わせを、表5aに詳述する。組み合わせは、表5aに列挙する任意のシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はコリン作動性作用物質の異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを含むことができる。
【0162】
【表51】

【0163】
さらなる一例として、本発明の方法及び組成物に有用である多数の適当な組み合わせを、表5bに詳述する。組み合わせは、表5bに列挙する任意のシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はコリン作動性作用物質の異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを含むことができる。
【0164】
【表52】

【0165】
【表53】

【0166】
【表54】

【0167】
【表55】

【0168】
【表56】

【0169】
【表57】

【0170】
【表58】

【0171】
よりさらなる一例として、本発明の方法及び組成物に有用である多数の適当な組み合わせを、表5cに詳述する。組み合わせは、表5cに列挙する任意のシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はコリン作動性作用物質の異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを含むことができる。
【0172】
【表59】

【0173】
【表60】

【0174】
【表61】

【0175】
【表62】

【0176】
【表63】

【0177】
【表64】

【0178】
【表65】

【0179】
【表66】

【0180】
【表67】

【0181】
血管閉塞の診断
本発明の一つの態様は、血管閉塞事象の治療又は予防を必要とする被検者の診断を包含する。血管閉塞の診断に適する多数の方法を本発明の実施に用いることができる。このような一つの方法において、超音波が採用される。この方法は、超音波(短波)を用いて腕及び脚の主要動脈及び静脈中の血流量を調べる。一つの実施態様において、試験を、「聴く」ための音声測定を用い、そして血流量を測定する Doppler(登録商標)超音波検査法、及び視覚映像を与える複式超音波検査法と組み合わせることができる。一つの代替実施態様において、試験には、多周波超音波法又は多周波経頭蓋 Doppler(登録商標)(MTCD)超音波法を採用することができる。
【0182】
採用できる別の方法は、造影できる化合物を被検者に注射することを包含する。この実施態様の一つの代替手段において、少量の放射性材料を被検者に注射し、次いで、遮断を検出するための血流の監視に基づく標準的技術、例えば磁気共鳴直接血栓造影法 (MRDTI)
を利用して、血管閉塞を造影することができる。一つの代替実施態様において、ThromboView (登録商標)(Agenix Limited から市販されている)は、放射性標識に結合した凝血塊結合性単クローン性抗体を用いる。本明細書で特定した方法に加えて、血管閉塞の診断に適する当技術分野で公知の多数の方法を利用することができる。
【0183】
治療すべき適応症
典型的には、治療有効量のベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン系シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及び治療有効量のリン作動性作用物質を含む組成物は、多数の中枢神経系障害の治療に採用することができる。
【0184】
幾つかの態様において、本発明は、細胞への血流量の減少に応答する損傷を予防するために中枢神経系細胞を治療する方法を提供する。典型的には、予防できる損傷の重症度は、大部分は細胞への血流量の減少度及びこの減少の期間に依存するだろう。一例として、ヒトの脳灰白質への正常潅流量は60〜70mL/100gの脳組織/分である。中枢神経系細胞の死は、血流量が約8〜10mL/100gの脳組織/分未満に低下した場合に典型的に生じる一方で、僅かに高いレベル(すなわち20〜35mL/100gの脳組織/分)では、脳組織は生き残るが機能することができない。一つの実施態様において、アポトーシス性又は壊死性細胞死を予防することができる。さらにもう一つの実施態様において、虚血介在性損傷、例えば細胞毒性浮腫又は中枢神経系組織酸素欠乏を予防することができる。それぞれの実施態様において、中枢神経系細胞は、脊髄細胞又は脳細胞であってよい。
【0185】
別の態様は、中枢神経系虚血状態を治療するために被検者に組成物を投与することを包含する。多数の中枢神経系虚血状態を本発明の組成物で治療することができる。一つの実施態様において、虚血状態は、全ての型の虚血性中枢神経系損傷、例えばアポトーシス性又は壊死性細胞死、細胞毒性浮腫又は中枢神経系組織酸素欠乏を結果的に招く卒中である。卒中は、脳の何れの領域にも影響を与えることがあり、又は卒中の発生を招くことが普通に知られている何れの病因にも起因することがある。この実施態様の一つの代替態様において、卒中は脳幹卒中である。一般的に言って、脳幹卒中は、不随意生命維持機能、例えば呼吸、血圧及び心拍を制御する脳幹を襲う。この実施態様の一つの代替態様において、卒中は小脳卒中である。典型的には、小脳卒中は、バランス及び協調を制御する脳の小脳領域に影響を与える。さらに別の実施態様において、卒中は塞栓性卒中である。大まかに言って、塞栓性卒中は、脳の何れの領域にも影響を与えることがあり、そして典型的には血管塞栓による動脈の遮断に起因することがある。さらに別の代替態様において、卒中は出血性卒中であってよい。塞栓性卒中と同様に、出血性卒中は、脳の何れの領域にも影響を与えることがあり、そして典型的には脳内又は脳周囲の出血(ブリーディング)を特徴とする血管破裂に起因することがある。もう一つの実施態様において、卒中は血栓性卒中である。典型的には、血栓性卒中は沈着物の蓄積による血管の遮断に起因する。
【0186】
別の実施態様において、虚血状態は、被検者の身体の一部において中枢神経系の外部で生じるが、それでもなお中枢神経系への血流量の減少を引き起こす障害に起因することがある。これらの障害は、末梢血管障害、静脈血栓症、肺塞栓、心筋梗塞、一過性虚血性発作、不安定狭心症又は鎌状赤血球貧血を包含することができるが、これらに限定されるものではない。さらに、中枢神経系虚血状態は、被検者が外科手術を受けた結果として生じることがある。一例として、心臓手術、肺手術、脊髄手術、脳手術、血管手術、腹部手術又は臓器移植手術を受けていることがある。臓器移植手術は、心臓、肺、膵臓又は肝臓移植手術を包含することができる。さらに、中枢神経系虚血状態は、被検者の身体の一部において中枢神経系の外部への外傷又は傷害の結果として生じることがある。一例として、外傷又は傷害は、被検者の身体中の総血液量を著しく減少させる程度の出血を引き起こすことがある。この総量減少のために、中枢神経系への血流量が同時に減少する。さらなる一例として、外傷又は傷害は、中枢神経系への血流を制限する血管閉塞を結果として招くことがある。
【0187】
当然ながら、組成物は、全ての中枢神経系虚血状態を治療するために、その状態の原因とは無関係に採用できると想定される。一つの実施態様において、虚血状態は血管閉塞に起因する。血管閉塞は全ての型の閉塞であってよいが、典型的には脳血栓又は脳塞栓である。もう一つの実施態様において、虚血状態は出血に起因することがある。出血は全ての型の出血であってよいが、一般的に脳出血又はくも膜下出血である。さらに別の実施態様において、虚血状態は血管の狭窄に起因することがある。一般的に言って、血管は血管痙攣中に起きるような血管収縮の結果として、又は動脈硬化によって狭くなることがある。さらに別の実施態様において、虚血状態は脳又は脊髄への傷害に起因することがある。
【0188】
さらに別の態様において、組成物は、中枢神経系虚血状態後の虚血中心部の大きさを減少させるために投与される。さらに、組成物はまた、中枢神経系虚血状態後の虚血辺縁部又は移行帯の大きさを減少させるために有利に投与することもできる。
【0189】
もう一つの態様において、本発明は、血管閉塞事象の危険がある被検者の治療を提供する。これらの被検者は、以前に血管閉塞事象があってもなくてもよい。本発明は、血管閉塞事象の前、血管閉塞事象の時点、及び血管閉塞事象の後の被検者の治療を包含する。従って、本明細書で用いられるように、被検者の「治療」は、予防及び治療上の処置の両方を包含することを意図しており、そして血管閉塞事象の症状又は発症を制限するか又は完全に除去するかの何れにも用いることができる。
【0190】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤及びコリン作動性作用物質に加えて、本発明の組成物はまた、中枢神経系への血流量の減少の効果を軽減する任意の作用物質を含むこともできる。一つの実施態様において、作用物質は、ヘパリンのようなトロンビン阻害剤及び、ワルファリンのような第Xa因子を包含する抗凝血剤である。追加の実施態様において、作用物質は、GP IIb/IIIa のような抗血小板阻害剤である。さらに、作用物質は、HMG-CoA シンターゼ阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンテターゼ阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤としても知られている)、アシル補酵素A;コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ナイアシン;フィブレート、例えばフェノフィブレート及びジェムフィブレート;コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸抑制剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘導物質;ビタミンB6(ピリドキシンとしても知られている)及びその製薬上許容される塩、例えばHCl塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られている);β-アドレナリン受容体遮断剤;葉酸又はその製薬上許容される塩若しくはエステル、例えばナトリウム塩及びメチルグルカミン塩;並びに抗酸化ビタミン、例えばビタミンC及びE及びベータカロチンを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0191】
もう一つの態様において、組成物は、外傷性脳又は脊髄傷害後の中枢神経系細胞損傷を逆転又は減少させるために採用することができる。外傷性脳又は脊髄傷害は、例えば、物体による頭又は背中への強打;ミサイル、弾丸及び爆弾金属片による貫通傷害;墜落;骨断片による貫通を結果として伴う頭蓋骨折;並びに突然の加速又は減速傷害を包含する多種多様な原因に起因することがある。
【0192】
組成物はまた、脳又は脊髄傷害後の神経細胞機能の回復を増加するためにも有利に採用することができる。一般的に言って、疾患又は外傷によりニューロンが失われると、それらは元に戻らない。それどころか、残ったニューロンは、生じた損失が何であろうと、それらの機能又ニューロンに対する機能的相関関係を変更することにより適応しなければならない。障害の後、神経組織は栄養修復因子、例えば神経成長因子及び神経細胞接着分子を産生し始め、これらはさらなる劣化を遅らせ、そしてシナプスの維持及び新たなシナプス結合の発生を促進する。しかしながら、失われた細胞は元に戻らないので、現存する細胞は欠落した細胞の機能の幾分を引き継ぐ必要があり、すなわち、それらは何か新しいことを行うために「学ぶ」必要がある。一部は、脳外傷性損傷からの機能回復は、損傷した以外の脳構造において生じる柔軟な変化を伴う。実際に、多くの場合、脳損傷からの回復は、損傷した部分の機能が健康な脳の領域により引き継がれることを意味する。従って、本発明の組成物は、無傷の脳部分による新たな機能の学習を促進して他の領域による機能の損失を代償するために投与することができる。
【実施例】
【0193】
被検者における血管閉塞事象又は関連障害を治療又は予防するためのCOX-2選択的阻害剤及びコリン作動性作用物質の併用療法剤は、以下に詳述する下記の試験に記載するように評価することができる。
【0194】
コリン作動性作用物質及びCOX-2阻害剤を含む特定の併用療法剤は、コントロール治療剤、例えばプラセボ治療剤、COX-2阻害剤だけの投与、又はコリン作動性作用物質だけの投与と比較して評価することができる。一例として、併用療法剤は、本発明で詳述した任意のコリン作動性作用物質及びCOX-2阻害剤を含有することができ、併用療法剤として試験できる表5a、5b又は5cに記載した組み合わせを包含する。特定の治療用組み合わせにおけるコリン作動性作用物質及びCOX-2阻害剤の投与量は、研究を行う当業者により容易に決定することができる。研究治療の期間は特定の研究に応じて変化し、そしてまた当業者により容易に決定することができる。一例として、併用療法剤は4週間投与することができる。コリン作動性作用物質及びCOX-2阻害剤は、本明細書に記載した任意の経路により投与することができるが、ヒト被検者には経口投与することが好ましい。
【0195】
実施例1:インビトロでのCOX-1及びCOX-2活性の評価
本発明で使用するのに適したCOX-2阻害剤は、以下の活性アッセイ法に従ってインビトロでの試験をすると、COX-1以上にCOX-2に対する選択的阻害作用を示す。
組み換えCOXバキュロウイルスの調製
組み換えCOX-1及びCOX-2を Gierse et al により記載されたように調製する [J. Biochem., 305, 479-84 (1995)]。ヒト若しくはネズミCOX-1又はヒト若しくはネズミCOX-2の何れかを含む 2.0 kb 断片を、D.R. O'Reilly et al (Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual (1992)) の方法と同様にして、バキュロウイルストランスファーベクター pVL 1393 (Invitrogen) の BamH 1 部位にクローン化してCOX-1及びCOX-2のためのバキュロウイルストランスファーベクターを作製する。4μg のバキュロウイルストランスファーベクターを、リン酸カルシウム法により線状化したバキュロウイルスプラスミド DNA とともに SF9 昆虫細胞 (2 x 108) にトランスフェクトすることによって、組み換えバキュロウイルスを単離する。M.D. Summers and G.E. Smith, A Agric. Exp. Station Bull. 1555 (1987) 参照。組み換えウイルスを3回のプラーク精製により精製し、ウイルスの高力価 (107-108 pfu/mL) ストックを調製する。大規模製造のためには、SF9 昆虫細胞を 10 リットルの培養槽 (0.5 x 106/mL) 中で感染の多重度が 0.1 になるように、組み換えバキュロウイルスストックに感染させる。72 時間後、細胞を遠心分離し、細胞ペレットを、1% の 3-[(3-クロロアミドプロピル)-ジメチルアミノ]-1-プロパンスルホネート (CHAPS) を含有するトリス/ショ糖 (50 mM: 25%, pH 8.0) 中でホモジナイズする。このホモジネートを 10,000 x G で 30 分間遠心分離し、得られた上澄み液を -80℃で貯蔵した後にCOX活性をアッセイする。
【0196】
COX-1及びCOX-2活性のアッセイ
COX活性を、生成した PEG2/μg タンパク質/時間として、ELISA を用いてアッセイし、放出されたプロスタグランジンを検出する。適切なCOX酵素を含有する CHAPS 可溶化昆虫細胞膜を、エピネフリン、フェノール及びヘムを含有するリン酸カリウム緩衝液(50 mM, pH 8.0) 中でアラキドン酸 (10μM) を加えてインキュベートする。化合物を酵素とともに 10〜20 分間予備インキュベートした後、アラキドン酸を加える。37℃で 10 分後に 40μl の反応混合物を 160μlの ELISA 緩衝液及び 25μl のインドメタシンに移すことにより、アラキドン酸と酵素との反応を停止する。生成した PEG2 を標準 ELISA 法 (Cayman Chemical) により測定する。
【0197】
COX-1及びCOX-2の迅速アッセイ
COX活性を、生成した PEG2/μg タンパク質/時間として、ELISA を用いてアッセイし、放出されたプロスタグランジンを検出する。適切なCOX酵素を含有する CHAPS 可溶化昆虫細胞膜を、リン酸カリウム緩衝液 (5 mM リン酸カリウム、pH 7.5、2μM フェノール、1μM ヘム、300μM エピネフリン) 中で 20μl の 100μM アラキドン酸 (10μM) を加えてインキュベートする。化合物を酵素とともに 10〜20 分間予備インキュベートした後、アラキドン酸を加える。37℃で2分後に 40μl の反応混合物を 160μlのELISA 緩衝液及び 25μl のインドメタシンに移すことにより、アラキドン酸と酵素との反応を停止する。非選択的COX-2/COX-1であるインドメタシンは、陽性コントロールとして利用することができる。生成した PEG2 を、典型的には、多数の商業的供給源から入手できる PEG2 特異抗体を利用して標準 ELISA 法により測定する。
【0198】
試験すべき各化合物は、それぞれを2ml のバイオアッセイ試験用ジメチルスルホキシド (DMSO) に溶解し、各特定化合物のCOX-1及びCOX-2阻害効果を決定することができる。効力は、典型的には、PEG2 生成の 50%阻害を生じるg化合物/ml 溶剤として表されるIC50値によって表される。COX-2の選択的阻害は、COX-1/COX-2のIC50比により決定することができる。
【0199】
一例として、COX-2を 10 ug/ml の濃度で阻害する個々の化合物を決定するために、一次スクリーンを行うことができる。次いで化合物を確認アッセイに付し、三つの異なる濃度(例えば、10 ug/ml、3.3 ug/ml 及び 1.1 ug/ml)でCOX-2阻害度を決定することができる。このスクリーンの後、化合物をそれらのCOX-1阻害能について 10 ug/ml の濃度で試験することができる。このアッセイを用いて、コントロールと比較したCOX阻害のパーセンテージを決定することができ、より高いパーセンテージはより大きいCOX阻害度を示す。加えて、COX-1及びCOX-2のIC50値もまた、試験化合物について決定することができる。次いで各化合物の選択性をCOX-2/COX-1のIC50比により決定することができる。
【0200】
実施例2:血小板凝集及び血小板活性化マーカーの測定方法
ヒト被検者又は実験動物モデル、例えばマウスにおいて、下記の研究を行うことができる。ヒトに関する臨床研究を開始する前に、研究は適切なヒト被検者委員会で承認されるべきであり、そして被検者には参加する前に研究について報告され、かつ書面の同意を与えるべきである。
血小板活性化は、当技術分野で利用可能な多数の試験により決定することができる。幾つかのこのような試験を以下に説明する。治療剤の有効性を決定するために、血小板活性化の状態を、研究の幾つかの時点で、例えば併用治療剤の投与前及び治療中毎週1回評価する。血小板凝集の監視に使用できる血液サンプリング及び分析のための例示的な手順を以下に挙げる。
【0201】
血小板凝集研究
血液サンプルを、肘正中静脈から 19 ゲージ針により2本のプラスチック製管に集める。自由流動性血液の各サンプルを、静脈内カテーテルから遠位の新たな静脈穿刺部位から、針及び Vacutainer フードを用いて7cc バキュテイナー管(一方は CTAD (ジピリダモール) を含み、他方は 3.8%クエン酸三ナトリウムを含む)に集める。血液を他の研究のために同時に集める場合には、血小板サンプルを最初ではなく2度目又は3度目に得ることが好ましい。血小板サンプルだけを集める場合には、初期の2〜3cc を捨て、次いでバキュテイナー管を満たす。管が 15秒以内に満たされるならば、静脈穿刺で十分である
。全ての収集は専門技術者が行う。
【0202】
各被検者の血液サンプルを2本のバキュテイナー管に集めた後、直ちに、しかし穏やかに3〜5回反転させて抗凝血剤の完全な混合を確保する。管は振らない。過剰の抗凝血剤は血小板機能を変えることがあるので、バキュテイナー管をいっぱいに満たす。乱流を最小限にするために、できるだけ注意する。ちょっとした手段、例えば針をバキュテイナーに傾けて入れ、血液を底までずっと打ち付けるのではなく管の側面を流下させることは、著しい改善をもたらすことができる。これらの管を室温で保持し、そしてサンプル調製に責任のある検査技師に直接受け渡す。バキュテイナー管はどの時点でも冷却しない。
【0203】
クエン酸三ナトリウム (3.8%) 及び全血を直ちに1:9の比率で混合し、次いで 1200gで 2.5 分間遠心し、血小板に富んだ血漿 (PRP) を得て、これを血小板凝集研究に1時間以内に使用するために室温で保持する。各 PRP サンプル中の血小板数を、Coulter Counter ZM (Coulter Co., Hialeah, Fla.) で測定する。血小板数を凝集のために均質な血小板の少ない血漿で 3.50 x 108/ml に調節する。PRP 及び全血の凝集試験を同時に行う。全血を 0.5 ml の PBS で1:1に希釈し、次いで穏やかに渦巻かせて混合する。攪拌棒を入れたキュベットをインキュベーションウェルに入れ、37℃に5分間加温する。次いでサンプルをアッセイウェルに移す。電極をサンプルキュベットに入れる。血小板凝集を5μM ADP、1μg/ml コラーゲン及び 0.75 mM アラキドン酸で刺激する。全ての物質は、例えば、Chronolog Corporation (Hawertown, Pa.) から入手する。Chrono-Log Whole Blood Lumi-Aggregometer (モデル 560-Ca)を用いて血小板凝集研究を行う。血小板凝集能は、血漿サンプルでは記録時間終了時に血小板の少ない血漿を対照として用いたベースラインからの光透過率変化のパーセンテージとして、又は全血サンプルでは電気インピーダンスの変化として表される。凝集曲線を4分間記録し、国際的に確立された基準により Aggrolink(登録商標)ソフトウェアを用いて分析する。
【0204】
洗浄血小板フローサイトメトリー
静脈血 (8 ml) を、2ml の酸-クエン酸塩-デキストロース (ACD)(1000 ml 水中の7.3 g クエン酸、22.0 g クエン酸ナトリウム x 2H2O 及び 24.5 グルコース)を含むプラスチック製管に集め、混合する。この血液-ACD 混合物を 1000 r.p.m. で 10 分間、室温で遠心分離する。次いで血小板に富んだ血漿 (PRP) の上方 2/3 を集め、ACD を加えて pH=6.5 に調節する。次いで PRP を 3000 r.p.m. で 10 分間遠心分離する。上澄み液を除去し、血小板ペレットを4cc の洗浄液 (10 mM Tris/HCl、0.15 M NaCl、20 mM EDTA、pH=7.4) に穏やかに再懸濁する。血小板を洗浄緩衝液及び TBS (10 mM Tris、0.15 M NaCl、pH=7.4) で洗浄する。次いで全ての細胞を適切な数の管に分ける。一例として、9種の異なる表面マーカーを本明細書に記載したように評価する場合には、洗浄した血小板を含む9本の管を5μl のフルオレセインイソチオシアネート (FITC)-複合抗体とともに暗所で+4℃で 30 分間インキュベートし、そして1本を染色しないでおき、負のコントロールとして役立てるように、細胞を 10 本の管に分けるべきである。表面抗原発現を、単クローン性ネズミ抗ヒト抗体、例えば CD9 (p24); CD41a (IIb/IIIa、aIIbb3); CD42b (Ib); CD61 (IIIa) (DAKO Corporation, Carpinteria Calif.); CD49b (VLA-2 a2b1); CD62p (P-セレクチン); CD31 (PECAM-1); CD41b (IIb); 及び CD51/CD61 (ビトロネクチン受容体、avb3) (PharmMingen, San Diego Calf.) で測定する。細胞表面上でのこれらの抗原の発現が血小板活性化に関連しているからである。インキュベーションの後、細胞を TBS で洗浄し、0.25 ml の1%パラホルムアルデヒドに再懸濁する。サンプルを+4℃で貯蔵し、Becton Dickinson FACScan フローサイトメーターにより 15 mw のレーザー出力、488 nm での励起及び 530±30 nm での発光検出を用いて分析する。データを収集してリストモードで貯蔵し、次いで CELLQuest(登録商標)ソフトウェアを用いて分析することができる。FACS 手順は、例えば Gurbel, P.A. et al., J Amer Coll Cardiol 31: 1466-1473 (1998); Serebruany, V.L. et al., Am Heart J 136: 398-405 (1998); Gurbel P.A. et al., Coron Artery Dis 9: 451-456 (1998) 及び Serebruany, V.L. et al., Arterioscl Thromb Vasc Biol 19: 153-158 (1999) に詳述されている。
【0205】
次いで、血小板に対する併用療法剤の効果を決定するために、併用療法剤を受けた被検者から単離された血小板の抗体染色を、コントロール治療剤を受けた被検者から単離された血小板の染色と比較することができる。
【0206】
全血フローサイトメトリー
4cc の血液を、2cc の酸-クエン酸塩-デキストロース(ACD、前の例参照)を含む管に集め、よく混合する。緩衝液 TBS (10 mM Tris、0.15 M NaCl、pH=7.4) 及び下記のフルオレセインイソチオシアネート (FITC)複合単クローン性抗体 (PharmMingen, San Diego Calf., USA 及び DAKO Calif., USA) を遠心分離機から除去し、室温 (RT) に温まらせた後、それらを用いた。使用できる抗体の非限定的例は、CD41 (IIb/IIIa); CD31 (PECAM-1); CD62p (P-セレクチン); 及び CD51/CD61 (ビトロネクチン受容体) を包含する。各被検者に対し、6本の褐色管 (1.25 ml) 及び1本のエッペンドルフ管 (1.5 ml)を得て適切に目印をつける。450μl の TBS 緩衝液をラベル表示したエッペンドルフ管にピペットで加える。患者の全血管を穏やかに2回反転させて混合し、50μl の全血を適切にラベル表示したエッペンドルフ管にピペットで加える。エッペンドルフ管に栓をし、この希釈全血を、エッペンドルフ管を穏やかに2回反転させることにより混合し、次いで 50μl の希釈全血を各褐色管にピペットで加える。5μl の適切な抗体を相当する褐色管の底にピペットで加える。管をアルミニウムホイルで覆い、4℃で 30 分間インキュベートする。インキュベーションの後、400μl の2%緩衝パラホルムアルデヒドを加える。褐色管を蓋できつく閉め、フローサイトメトリー分析まで冷蔵庫内に4℃で貯蔵する。サンプルを Becton Dickinson FACScan フローサイトメーターにより分析する。これらのデータをリストモードファイルで収集し、次いで分析する。次いで、(B.)に記載したように、併用療法剤を受けた被検者から単離された血小板の抗体染色を、コントロール治療剤を受けた被検者から単離された血小板の染色と比較することができる。
【0207】
ELISA
酵素結合免疫吸着アッセイ (ELISA) は、標準的技術により、かつ本明細書に記載したように用いられる。エイコサノイド代謝物を用いて血小板凝集を決定することができる。エイコサノイドは生理的条件下で短い半減期を有するという事実によって、代謝物を分析する。トロンボキサン A2 の安定な分解生成物であるトロンボキサン B2 (TXB2)、及びプロスタサイクリンの安定な分解生成物である6ケト(keto)-PGF1 アルファを試験することができる。トロンボキサン B2 は TXA2 の安定な加水分解生成物であり、種々の作用物質、例えばトロンビン及びコラーゲンにより誘導される血小板凝集の後に生成する。6ケト-プロスタグランジン F1 アルファは不安定な PGI2(プロスタサイクリン)の安定な加水分解生成物である。プロスタグランジンは血小板凝集を阻害し、血管拡張を誘導する。従って、プロスタグランジン生成の定量は、6ケト-PGF1 レベルの決定により行うことができる。代謝物は、-4℃で保持される血小板の少ない血漿 (PPP) 中で測定することができる。また、血漿サンプルをエタノールで抽出することもでき、次いで -80℃で貯蔵した後、例えば、標準的技術により TiterZyme(登録商標)酵素イムノアッセイ (PreSeptive Diagnostics, Inc., Cambridge, Mass., USA) を用いて、最終プロスタグランジンを決定する。TXB2 及び6ケト-PGF1 を測定するための ELISA キットもまた市販されている。併用療法剤を受けた被検者及びコントロール治療剤を受けた被検者の TXB2 及び6ケト-PGF1 の量を比較することができる。
【0208】
DADA BEHRINGER 血小板機能分析装置、PFA-100(登録商標)により測定される閉鎖時間
PFA-100(登録商標)は、血小板機能障害を検出するためのインビトロシステムとして用いることができる。それは、抗凝血剤添加全血の血小板機能の定量手段を与える。システムは、マイクロプロセッサー制御機器及び生物学的活性膜を含有する使い捨て試験カートリッジを含む。機器は、血液サンプルを一定の真空下でサンプル受器から毛管及び微小開口カットを経て膜内に吸引する。膜はコラーゲン及びエピネフリン又はアデノシン5'-二リン酸で被覆されている。これらの生物学的刺激物質、及び標準化した流れ条件下で生じる高い剪断速度が存在する結果、血小板の結合、活性化及び凝集をもたらし、開口部に安定な血小板血栓が徐々に築かれる。開口の完全閉塞を得るために要する時間は、「閉鎖時間」として報告され、これは通常1〜3分間の範囲にある。
【0209】
PFA-100(登録商標)試験カートリッジの膜は生物学的成分の支持マトリックスとして役立ち、開口の配置を可能にする。膜は、平均孔径 0.45μm の標準ニトロセルロース濾過膜である。膜の血液取り入れ側を、2μg の繊維性I型ウマ腱コラーゲン及び 10μg のビコハク酸エピネフリン又は 50μg のアデノシン5'-二リン酸 (ADP) で被覆した。これらの物質は血液サンプルが開口を通過するときに制御された刺激を血小板に与える。コラーゲン表面もまた、血小板の沈着及び結合のための明確なマトリックスとしても役立つ。
【0210】
PFA-100(登録商標)試験の原理は、Kratzer 及び Born により記載されたものとよく似ている (Kratzer, et al., Haemostasis 15: 357-362 (1985))。試験は3.2%クエン酸ナトリウム抗凝血剤の3.8%中に集めた全血サンプルを利用する。毛管を通して血液サンプルをカップに吸入し、そこで血液サンプルは被覆された膜と接触し、次いで開口を通過する。被膜に存在するコラーゲン及びエピネフリン又は ADP による刺激、及び剪断応力に応答して、血小板はコラーゲン表面上で接着して凝集するが、これは開口を取り巻く領域から始まる。測定の経過中に安定な血小板血栓が生成し、これは最終的に開口を閉塞させる。開口の完全閉塞を得るために要する時間は、「閉鎖時間」と定義され、サンプルの血小板機能の指標である。従って、併用療法剤の効力を評価するために、併用療法剤を受けた被検者とコントロール治療剤を受けた被検者との間で「閉鎖時間」を比較することができる。
【0211】
実施例3:動物研究
下記の実施例において、併用療法剤はコリン作動性作用物質、例えばコリンエステラーゼ阻害剤、及びCox-2選択的阻害剤を含有する。このような併用療法剤の効力は、コントロール治療剤、例えばプラセボ治療剤、Cox-2阻害剤だけの投与、又はコリン作動性作用物質だけの投与と比較して評価することができる。一例として、併用療法剤は、ドネペジルとセレコキシブ、タクリンとバルデコキシブ、リバスチグミンとロフェコキシブ、又はシチコリンとセレコキシブを含有することができる。これらは幾つかの例に過ぎないこと、及び本発明の任意のコリン作動性作用物質及びCox-2選択的阻害剤を併用療法剤として試験できることに注目すべきである。特定の治療用組み合わせにおけるコリン作動性作用物質及びCox-2阻害剤の投与量は、研究を行う当業者により容易に決定することができる。実験治療の期間は特定の研究に応じて変化し、そしてまた当業者により決定することができる。一例として、併用療法剤は 12 週間投与することができる。コリン作動性作用物質及びCox-2阻害剤は、本明細書に記載した任意の経路により投与することができるが、ヒト被検者には経口投与することが好ましい。
【0212】
実験動物研究は、一般的に、Tanaka et al., Neurochemical Research, Vol. 20, No. 6, pp. 663-667 に記載されたように行うことができる。簡単に述べると、研究は 60〜80 グラムの体重を有する約 30 頭のアレチネズミを用いて行うことができる。動物をケタミン (100 mg/kg 体重、i.p.) で麻酔し、頚動脈血流を妨げないように両方の総頚動脈の周りに絹糸を巻く。翌日、軽くエーテル麻酔した後に両側総頚動脈を露出し、次いで外科用クリップで閉塞する (例えば Ogawa et al., Adv. Exp. Med. Biol., 287: 343-347 及び Ogawa et al., Brain Res., 591: 171-175 参照)。閉塞の5分後にクリップをゆるめることにより頚動脈血流を回復させる。加温パッド及び白熱ランプを用いて体温を約 37℃に維持する。コントロール動物に同様に手術をするが、頚動脈を閉塞しない。虚血グループでは、再潅流の直後、6時間後及び 12 時間後に併用療法剤を投与する一方で、模擬手術をした動物にはプラセボ(これは、例えば併用療法剤の投与に用いたビヒクルであってよい)を与える。アレチネズミを再潅流の 14 日後に断頭により犠牲にする。脳を迅速に除去し、破砕したドライアイス上に置いて組織を凍結する。
【0213】
次いで、脳組織を、併用療法剤の効果についてプラセボと比較して組織学的に調べることができる。例えば、各脳を 15℃で厚さ 14μm の切片に切断する。大脳皮質及び海馬体を含む冠状切片を解凍し、ゼラチン塗布スライドガラス上に載せ、完全に乾燥し、10%ホルムアルデヒドで2時間固定する。切片をヘマトキシリン-エオシン及びグリア繊維性酸性タンパク質 (GFAP)(これは例えば Nichirei, Tokyo, Japan から商業的に入手できる)で染色する。免疫複合体をアビジン-ビオチン相互作用により検出し、四塩化 3,3'-ジアミノベンジジンで可視化する。コントロールとして用いる切片を、抗 GFAP 抗体を添加せずに同様に染色する。海馬の典型的な CA1 部分体中の生きている錐体細胞及び GFAP 陽性星状細胞の密度を、細胞計数により計算し、各切片中の CA1 細胞層の長さを 250 倍顕微鏡写真から測定する。各アレチネズミについて CA1 部分体中の錐体細胞及び GFAP 陽性星状細胞の平均密度を、左右両方の脳半球のこれらの切片のそれぞれの1単位面積中の細胞計数から得る。
【0214】
プラセボと比較した併用療法剤の効果は、定性的及び定量的の両方で決定することができる。例えば。CA1 錘体ニューロンの出現及び CA1 部分体中の錐体細胞密度を用いて治療剤の効力を評価することができる。加えて、免疫組織学的分析は、模擬手術をした動物が GFAP 陽性星状細胞をほとんど有しないはずなので、治療したアレチネズミの CA1 領域中に肥大 GFAP 陽性星状細胞が存在するか又は存在しないかの評価により、組み合わせの効力を明らかにすることができる。
【0215】
実施例4:ヒト被検者の試験
この試験は、急性虚血性卒中症候性患者における本明細書に記載した併用療法の無作為化二重盲検プラセボ対照試験として計画することができる。患者は、各研究において決定できる一組の有資格基準に基づいて試験のために選択される。例えば、基準は、年齢(例えば、18〜85 歳)、少なくとも 60 分間続く巣状神経学的欠損、急性虚血性卒中の臨床診断に適合する CT(又は MRI)、及び NIH 卒中スケール >8を包含することができる。除外基準は、例えば、重症合併全身性疾患、参加を妨げることのある現症、及び 24 時間以内に必要とされる手術を包含することができる。研究のためのプロトコルは、試験が行われる施設の施設内倫理委員会で承認されるべきであり、そして全患者又は彼らの法定代理人はインフォームドコンセントに署名すべきである。
【0216】
この研究の主要目的は、急性虚血性卒中患者に6週間の治療期間及び6週間の追跡期間にわたって経口投与した併用療法剤による回復に対する効果を決定することである。回復を評価するために、下記のパラメーターを測定することができる。従来の T2-加重 MRI を用いて、試験における全患者について卒中病巣量を評価することができる。さらに、拡散-加重造影法 (DWI) を行って、ベースラインの病巣量の変化を 12 週目の量と比較することができる。
【0217】
この研究にとって適格であるためには、患者は診察の上で、24 時間以内に中脳動脈領域に起因する急性虚血性卒中と一致する症状を示す必要がある。さらに、患者は NIHSS で少なくとも8点を有する必要があり、これらの点の少なくとも2点は運動区域由来である。
【0218】
ベースライン CT 又は従来の MRI を行って虚血性卒中と一致することを確認する。
加入及び除外基準により資格を取得し、かつインフォームドコンセントを受けた全ての患者を、マンツーマン方式で、プラセボ又は併用療法剤のいずれかによる6週間の治療に割り当てる。併用療法剤及びプラセボの両者は、1日1回又は2回の何れかで経口投与することができる。他の投与経路及び他の投与スケジュールを使用できることに注目すべきである。患者が飲み込めない場合には、薬剤送達のために経鼻胃チューブを挿入する。患者はベースライン時、1週目、退院時、3週目、6週目及び 12 週目に研究技術者と会い、これらの時点で副作用プロフィール及び薬剤効力が測定される。
【0219】
併用療法剤の効力は幾つかの方法で測定することができる。主な結果測定法は、例えば、患者の NIHSS 総得点で 12 週目にベースラインから >7だけ改善したプラセボ及び併用療法剤グループ中の患者の割合を比較することであってよい。追加の測定法は、例えば、Clinician's Global Impression (CGI) 基準 (Guy W., Early clinical drug evaluation unit (ECDEU) assessment manual for psychopharmacology, 1976, 217-222 参照) で、12 週目に1〜2点だけ改善した患者のパーセント、CGI 重症度基準 (Guy W., Early clinical drug evaluation unit (ECDEU) assessment manual for psychopharmacology, 1976, 217-222) で2点の改善を有する患者のパーセント、及び死亡率の評価を包含することができる。上記のように、DWI を用いてベースライン及び 12 週目の病巣量の変化を評価することができる。
【0220】
上記の手順の全ては、用いられる薬剤の組み合わせ、研究の期間、選択される被検者などのようなファクターに応じて、特定の研究のために変更できることに注目すべきである。このような変更は、当業者により不当な実験を行うことなく計画することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 卒中の治療を必要とする被検者を診断し;そして
(b) コリン作動性作用物質又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグ及びシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを含む組み合わせを被検者に投与する(ここで、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は三環式化合物であり、三環式化合物はベンゼンスルホンアミド又はメチルスルホニルベンゼン部分を含有する)
ことを含む、卒中の治療方法。
【請求項2】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が、約50以上のCOX-1のIC50対COX-2のIC50の選択率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が、約100以上のCOX-1のIC50対COX-2のIC50の選択率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が、下記式:
【化1】

(式中:
Aは、部分不飽和又は不飽和のヘテロシクリル及び部分不飽和又は不飽和の炭素環式環からなる群から選択され;
1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、R1は置換可能な位置でアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1個又はそれ以上の基で場合により置換されており;
2は、メチル及びアミノからなる群から選択され;そして
3は、H、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N-アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル及び N-アルキル-N-アリールアミノスルホニルからなる群から選択される)で表される化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が、セレコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ及び2-(3,4-ジフルオロフェニル)-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-3(2H)-ピリダジノンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コリン作動性作用物質が、シチコリン、アセチルコリン、ブトリルコリン、ピロカルピン、カルバコール、塩化ベタネコール、ムスカリン、N-(ヒドロキシメチル)-ニコチンアミド、グアニジン、ラケジン、エピバチジン、(S)-(-)ニコチン、シチジン、ABT-594、DBO 83、SIB 1508Y、GTS 21、RJR 2403、A-85380、ロベリン、ABT-418、リバスチグミン、塩化アンベノニウム、ジスチグミン、エプタスチグミン、イピダクリン、塩酸ドネペジル、タクリン、ガランタミン、メトリフォネート、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン及びエドロフォニウムからなる群から選択されるか、又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(a) 下記式:
【化2】

(式中:
Aは、部分不飽和又は不飽和のヘテロシクリル及び部分不飽和又は不飽和の炭素環式環からなる群から選択され;
1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールからなる群から選択され、ここで、R1は置換可能な位置でアルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオから選択される1個又はそれ以上の基で場合により置換されており;
2は、メチル及びアミノからなる群から選択され;そして
3は、H、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N-アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル及び N-アルキル-N-アリールアミノスルホニルからなる群から選択される)
を有するシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグ;
ただし、シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤は、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ又はパレコキシブ以外のものである;及び
(b) シチコリン、アセチルコリン、ブトリルコリン、ピロカルピン、カルバコール、塩化ベタネコール、ムスカリン、N-(ヒドロキシメチル)-ニコチンアミド、グアニジン、ラケジン、エピバチジン、(S)-(-)ニコチン、シチジン、ABT-594、DBO 83、SIB 1508Y、GTS 21、RJR 2403、A-85380、ロベリン、ABT-418、リバスチグミン、塩化アンベノニウム、ジスチグミン、エプタスチグミン、イピダクリン、塩酸ドネペジル、タクリン、ガランタミン、メトリフォネート、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン及びエドロフォニウムからなる群から選択されるコリン作動性作用物質又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグ
を含む組成物。
【請求項8】
シチコリン、アセチルコリン、ブトリルコリン、ピロカルピン、カルバコール、塩化ベタネコール、ムスカリン、N-(ヒドロキシメチル)-ニコチンアミド、グアニジン、ラケジン、エピバチジン、(S)-(-)ニコチン、シチジン、ABT-594、DBO 83、SIB 1508Y、GTS 21、RJR 2403、A-85380、ロベリン、ABT-418、リバスチグミン、塩化アンベノニウム、ジスチグミン、エプタスチグミン、イピダクリン、塩酸ドネペジル、タクリン、ガランタミン、メトリフォネート、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン及びエドロフォニウムからなる群から選択されるコリン作動性作用物質又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグ、及び下記:
【化3】

【化4】

からなる群から選択されるシクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤又はその異性体、製薬上許容される塩、エステル若しくはプロドラッグを含む組成物。
【請求項9】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が 2-(6-メチルピリド-3-イル)-3-(4-メチルスルフィニルフェニル)-5-クロロピリジンであり、そしてコリン作動性作用物質が塩酸ドネペジルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が 2-(6-メチルピリド-3-イル)-3-(4-メチルスルフィニルフェニル)-5-クロロピリジンであり、そしてコリン作動性作用物質がタクリンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が 4-(5-メチル-3-フェニル-4-イソキサゾリル)ベンゼンスルホンアミドであり、そしてコリン作動性作用物質が塩酸ドネペジルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤が 4-(5-メチル-3-フェニル-4-イソキサゾリル)ベンゼンスルホンアミドであり、そしてコリン作動性作用物質がタクリンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
卒中が出血性卒中である、請求項1〜6の何れかに記載の方法。
【請求項14】
卒中が虚血性卒中である、請求項1〜6の何れかに記載の方法。

【公表番号】特表2006−528695(P2006−528695A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533027(P2006−533027)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/014984
【国際公開番号】WO2004/103284
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(502427323)ファルマシア・コーポレーション (67)
【Fターム(参考)】