説明

行程案内システム及びナビゲーションシステム

【課題】ユーザに興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できる行程案内システムおよびナビゲーションシステムを提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置10から情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求を送信すると、情報提供サーバ50において、車両の現在地付近にゆかりのある歴史上の人物の年表に基づき、その人物に関係するイベントを発生順にまとめたストーリーに沿って、各観光場所を経由する観光ルート情報が生成される。そして、ナビゲーション装置は、この観光ルート情報を情報提供サーバ50より受信することによって、その観光ルート情報に基づき、乗員に対してその観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、その観光ルート情報により示される順番に、各観光場所への経路誘導を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行程案内システム及びナビゲーションシステムに関し、特に、ユーザに興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できる行程案内システム及びナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが観光地などを訪れた際に、観光名所などの巡回行程をユーザに提案したり、ユーザに提供された行程に従って、ユーザの現在地から観光名所までの経路案内を行ったりする携帯装置(行程案内システム)が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−51818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の携帯装置(行程案内システム)によって提案される巡回行程は、各観光名所の位置関係に応じて、単にユーザが行きやすい順番に組まれているので、それぞれの観光名所の間で何ら関連性がない場合が多く、結果として、ユーザに物足りなさを感じさせてしまう恐れがあるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ユーザに興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できる行程案内システムおよびナビゲーションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の行程案内システムは、場所情報を格納する場所情報格納手段と、所定の事柄毎に、その事柄に関する出来事を示す出来事情報を格納する出来事情報格納手段と、前記所定の事柄から一の事柄を設定する事柄設定手段と、その事柄設定手段により設定される一の事柄に対応する前記出来事情報を前記出来事情報格納手段に格納されている前記出来事情報の中から抽出する出来事情報抽出手段と、その出来事情報抽出手段により抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報に基づいて、その一の事柄に対する筋書きを生成する筋書き生成手段と、前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出されると共に、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列する配列手段と、その配列手段により配列された前記場所情報の順番に従って前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所を巡回する行程を案内する行程案内手段とを備える。
【0007】
尚、この請求項1記載の行程案内システムは、1つの装置によって構成されるものであってもよいし、2以上の装置によって構成されるものであってもよい。例えば、車両に設けられるナビゲーション装置のみによって構成されてもよいし、その他の車載装置のみによって構成されてもよい。また、その他の移動可能な移動端末装置のみによって構成されてもよい。また、ナビゲーション装置などの移動端末装置とその移動端末装置がアクセス可能なサーバ装置とによって構成されてもよい。更に、場所情報格納手段および出来事情報格納手段の少なくとも一方を独立した別の外部記憶装置に設け、携帯端末装置と外部記憶装置、若しくは、携帯端末装置とサーバ装置と外部記憶装置によって行程案内システムを構成してもよい。
【0008】
また、請求項1記載の「事柄」は、例えば、人物や時代、事件などを含む概念であってもよい。また、請求項1記載の「筋書き」は、例えば、一の事柄に関する出来事を発生順に並べたものであってもよい。また、一の事柄に関する出来事を関連性の強いものをまとめて並べたものであってもよいし、一の事柄に関する出来事のうち一の出来事を中心にまとめたものであってもよい。
【0009】
請求項2記載の行程案内システムは、請求項1記載の行程案内システムにおいて、一の領域を設定する領域設定手段と、その領域設定手段により設定される前記一の領域に存在する場所の場所情報を前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出する場所情報抽出手段と、その場所情報抽出手段により抽出された前記場所情報により示される前記一の領域に存在する場所に関連の深い事柄を抽出する事柄抽出手段とを備え、前記事柄設定手段は、その事柄抽出手段により抽出された前記一の領域に存在する場所に関連の深い事柄を前記一の事柄として設定するものであり、前記配列手段は、前記場所情報抽出手段により抽出された前記一の領域に存在する場所の場所情報であって、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列するものである。
【0010】
尚、請求項2記載の領域設定手段は、例えば、ユーザのいる現在位置を含む領域を設定するものであってもよいし、ユーザが指定した領域を設定するものであってもよい。
【0011】
請求項3記載の行程案内システムは、請求項1記載の行程案内システムにおいて、一の領域を設定する領域設定手段と、その領域設定手段により設定される前記一の領域に存在する場所の場所情報を前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出する場所情報抽出手段と、所定の領域毎に、その領域に関連の深い事柄を示す事柄情報を格納する事柄情報格納手段とを備え、前記事柄設定手段は、前記領域設定手段により設定される一の領域に関連の深い事柄を示す事柄情報を前記事柄情報格納手段に格納されている前記事柄情報の中から抽出する事柄情報抽出手段を有し、その事柄情報抽出手段により抽出された事柄情報によって示される前記一の領域に関連の深い事柄を前記一の事柄として設定するものであり、前記配列手段は、前記場所情報抽出手段により抽出された前記一の領域に存在する場所の場所情報であって、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列するものである。
【0012】
尚、請求項3記載の領域設定手段は、例えば、ユーザのいる現在位置を含む領域を設定するものであってもよいし、ユーザが指定した領域を設定するものであってもよい。
【0013】
請求項4記載の行程案内システムは、請求項1から3のいずれかに記載の行程案内システムにおいて、前記筋書き生成手段は、前記出来事情報抽出手段によって抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報から関連性の強い出来事を抽出して、その関連性の強い出来事を中心に前記筋書きを生成するものである。
【0014】
請求項5記載の行程案内システムは、請求項1から4のいずれかに記載の行程案内システムにおいて、前記出来事情報格納手段に格納されている出来事情報のうち所定の出来事情報は、その所定の出来事情報により示される出来事が更に複数の出来事に分割された分割情報を有しており、前記筋書き生成手段は、前記出来事情報抽出手段によって前記出来事情報格納手段より抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報のうち、前記分割情報を有している出来事情報により示される出来事を中心に前記筋書きを生成するものである。
【0015】
請求項6記載のナビゲーションシステムは、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、前記現在位置検出手段により検出される前記車両の現在位置から前記目的地設定手段により設定される前記目的地までの経路を設定して出力する経路出力手段と、場所情報を格納する場所情報格納手段と、所定の事柄毎に、その事柄に関する出来事を示す出来事情報を格納する出来事情報格納手段と、前記所定の事柄から一の事柄を設定する事柄設定手段と、その事柄設定手段により設定される一の事柄に対応する前記出来事情報を前記出来事情報格納手段に格納されている前記出来事情報の中から抽出する出来事情報抽出手段と、その出来事情報抽出手段により抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報に基づいて、その一の事柄に対する筋書きを生成する筋書き生成手段と、前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出されると共に、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列する配列手段と、その配列手段により配列された前記場所情報の順番に従って前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所を巡回ように、順次、その場所を前記目的地として前記目的地設定手段により設定されるよう制御する目的地設定制御手段とを備える。
【0016】
尚、この請求項6記載のナビゲーションシステムは、1つの装置によって構成されるものであってもよいし、2以上の装置によって構成されるものであってもよい。例えば、車両に設けられるナビゲーション装置のみによって構成されてもよいし、ナビゲーション装置とそのナビゲーション装置がアクセス可能なサーバ装置とによって構成されてもよい。更に、場所情報格納手段および出来事情報格納手段の少なくとも一方を独立した別の外部記憶装置に設け、ナビゲーション装置と外部記憶装置、若しくは、ナビゲーション装置とサーバ装置と外部記憶装置によってナビゲーションシステムを構成してもよい。
【0017】
また、請求項6記載の「事柄」は、例えば、人物や時代、事件などを含む概念であってもよい。また、請求項6記載の「筋書き」は、例えば、一の事柄に関する出来事を発生順に並べたものであってもよい。また、一の事柄に関する出来事を関連性の強いものをまとめて並べたものであってもよいし、一の事柄に関する出来事のうち一の出来事を中心にまとめたものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の行程案内システムによれば、事柄設定手段によって一の事柄が設定されると、その一の事柄に対応する出来事情報が出来事情報格納手段により出来事情報格納手段に格納されている出来事情報の中から抽出され、その抽出された出来事情報に基づいて、一の事柄に対応する筋書きが筋書き生成手段により生成される。そして、場所情報格納手段から抽出される場所情報であって、筋書き生成手段により生成される筋書きに関する場所の場所情報が、その筋書きに沿って配列手段により配列される。そして、その配列された場所情報の順番に従って、筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所を巡回する行程が行程案内手段によって案内される。これにより、行程案内システムのユーザには、一の事柄に対応する筋書きに沿った順番でその筋書きに関連する場所を巡回する行程が案内されるので、ユーザは、その案内に従うことによって、その筋書きを感じながら興味を持って場所を巡回することができる。よって、ユーザに興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できるという効果がある。
【0019】
請求項2記載の行程案内システムによれば、請求項1記載の行程案内システムの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、領域設定手段により設定される一の領域に存在する場所の場所情報が、場所情報格納手段に格納されている場所情報から場所情報抽出手段によって抽出され、その抽出された場所情報により示される一の領域に存在する場所に関連の深い事項が、事項抽出手段により抽出される。そして、その事項抽出手段により抽出された一の領域に存在する場所に関連の深い事柄が、一の事柄として事柄設定手段により設定される。これにより、一の領域に存在する場所に関連の深い事柄に対応する出来事情報が出来事情報格納手段に格納されている出来事情報の中から出来事情報抽出手段により抽出され、その抽出された出来事情報に基づいて、一の領域に存在する場所に関連の深い事柄に対応する筋書きが、筋書き生成手段により生成される。一方、配列手段は、場所情報抽出手段により抽出された一の領域に存在する場所の場所情報であって、筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列するように構成されている。これにより、一の領域に存在する場所に関連の深い事項に対応する筋書きに沿って、その筋書きに関連した一の領域に存在する場所の場所情報が、配列手段により配列される。よって、行程案内システムのユーザには、一の領域に存在する場所に関連の深い事項に対応する筋書きに沿った順番で、その筋書きに関連した一の領域に存在する場所を巡回する行程が行程案内手段により案内されるので、ユーザは、その案内に従うことによって、一の領域において関連の深い事項を筋書きに沿って感じながら興味を持って、その一の領域に存在する場所を巡回することができる。従って、ユーザにより強い興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できるという効果がある。
【0020】
請求項3記載の行程案内システムによれば、請求項1記載の行程案内システムの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、領域設定手段により一の領域が設定されると、その一の領域に関連の深い事柄を示す事柄情報が、事柄情報抽出手段によって事柄情報格納手段に格納されている事柄情報の中から抽出される。そして、その抽出された事柄情報によって示される一の領域に関連の深い事柄が、一の事柄として事柄設定手段により設定される。これにより、一の領域に関連の深い事柄に対応する出来事情報が、出来事情報格納手段に格納されている出来事情報の中から出来事情報抽出手段により抽出され、その抽出された出来事情報に基づいて、一の領域に関連の深い事柄に対応する筋書きが、筋書き生成手段により生成される。一方、配列手段は、場所情報抽出手段により抽出された一の領域に存在する場所の場所情報であって、筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列するように構成されている。これにより、一の領域に関連の深い事柄に対応する筋書きに沿って、その筋書きに関連した一の領域に存在する場所の場所情報が、配列手段により配列される。よって、行程案内システムのユーザには、一の領域に関連の深い事柄に対応する筋書きに沿った順番で、その筋書きに関連した一の領域に存在する場所を巡回する行程が行程案内手段により案内されるので、ユーザは、その案内に従うことによって、一の領域に関連の深い事柄を筋書きに沿って感じながら興味を持って、その一の領域に存在する場所を巡回することができる。よって、ユーザにより強い興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できるという効果がある。
【0021】
請求項4記載の行程案内システムによれば、請求項1から3のいずれかに記載の行程案内システムの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、筋書き生成手段は、来事情報抽出手段によって抽出される一の事柄に対応する出来事情報から関連性の強い出来事を抽出して、その関連性の強い出来事を中心に筋書きを生成するように構成されている。これにより、関連性の強い出来事を中心に生成された筋書きに沿って、その筋書きに関連した場所情報が配列手段により配列されるので、行程案内システムのユーザには、その関連性の強い出来事を中心に生成された筋書きに沿った順番で、その筋書きに関連した場所を巡回する行程が行程案内手段により案内される。よって、ユーザは、その案内に従うことによって、関連性の強い出来事を筋書きに沿って感じながら興味を持って場所を巡回することができるので、ユーザにより強い興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できるという効果がある。
【0022】
請求項5記載の行程案内システムによれば、請求項1から4のいずれかに記載の行程案内システムの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、筋書き生成手段は、出来事情報抽出手段によって出来事情報格納手段より抽出される一の事柄に対応する出来事情報のうち、その出来事情報により示される出来事が更に複数の出来事に分割された分割情報を有している出来事情報によって示される出来事を中心に筋書きを生成するように構成されている。これにより、複数の出来事に分割されている一の出来事を中心に生成された筋書きに沿って、その筋書きに関連した場所情報が配列手段により配列されるので、行程案内システムのユーザには、その一の出来事を中心に生成された筋書きに沿った順番で、その筋書きに関連した場所を巡回する行程が行程案内手段により案内される。よって、ユーザは、その案内に従うことによって、筋書きに沿って一の出来事をより深く感じながら興味を持って場所を巡回することができるので、ユーザにより強い興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できるという効果がある。
【0023】
請求項6記載のナビゲーションシステムによれば、現在位置検出手段により検出される車両の現在位置から目的地設定手段により設定される目的地までの経路が経路出力手段により設定され出力される。また、事柄設定手段によって一の事柄が設定されると、その一の事柄に対応する出来事情報が出来事情報格納手段により出来事情報格納手段に格納されている出来事情報の中から抽出され、その抽出された出来事情報に基づいて、一の事柄に対応する筋書きが筋書き生成手段により生成される。そして、場所情報格納手段から抽出される場所情報であって、筋書き生成手段により生成される筋書きに関する場所の場所情報が、その筋書きに沿って配列手段により配列される。そして、その配列された場所情報の順番に従って筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所を巡回するように、順次、その場所を目的地として目的地設定手段により設定されるよう、目的地設定制御手段により制御される。これにより、ナビゲーションシステムのユーザには、一の事柄に対応する筋書きに沿った順番でその筋書きに関連する場所を巡回するように行程を案内しながら経路が出力されるので、ユーザは、その経路に従うことによって、その筋書きを感じながら興味を持って場所を巡回することができる。よって、ユーザに興味を持たせながら場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できるという効果がある。また、ユーザが目的地を設定しなくても、配列手段に配列された場所情報の順番に従って各々の場所が目的地として設定されるので、目的地の設定に伴うユーザの負担を軽減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態であるナビゲーションシステムの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、年表データベースに登録される年表の内容の一例を模式的に示す模式図であり、(b)は、年表データベースに登録されるサブイベント情報の内容の一例を模式的に示す模式図である。
【図3】ナビゲーション装置内のCPUで実行される観光ルート案内処理を示すフローチャートである。
【図4】情報提供サーバ内のCPUで実行される観光ルート提案処理を示すフローチャートである。
【図5】ナビゲーション装置内のLCD上に表示されるストーリーリストの表示例を模式的に示す模式図である。
【図6】情報提供サーバ内のCPUで実行される観光ルート送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実形態であるナビゲーションシステム1の電気的構成を示すブロック図である。
【0026】
まず、このナビゲーションシステム1の概略構成について説明する。ナビゲーションシステム1は、車両の現在位置から目的地までの経路を設定し、その設定した経路を出力して目的地までの経路誘導を行うものである。また、ナビゲーションシステム1は、車両が観光地を走行する場合に、ユーザに興味を持たせながらその観光地の各観光場所を巡回させることが可能な巡回行程を案内できる行程案内システムとして機能すると共に、その巡回行程に従って各観光場所への経路誘導を行うように構成されている。
【0027】
このナビゲーションシステム1は、図1に示すように、ナビゲーション装置10および情報提供サーバ50を主に有している。ナビゲーション装置10は、車両内に設けられるもので、目的地の設定、車両の現在位置検出、現在位置から目的地までの経路探索、経路探索により探索された経路を道路地図と合わせてナビゲーション装置10の液晶ディスプレイ(以下、「LCD(Liquid Crystal Display)」と称する。)18に表示して、搭乗者に経路を案内する経路案内といった、ナビゲーションシステムの主要な処理を実行する。
【0028】
また、ナビゲーション装置10は、携帯電話事業者が提供する無線通信ネットワーク70に基地局60を介して接続可能に構成され、無線通信ネットワーク70に接続された情報提供サーバ50へアクセスできるように構成されている。そして、ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10に設けられた観光ルート表示キー20aが操作されたことに起因して、ナビゲーション装置10の搭載された車両の現在地が観光地である場合は、情報提供サーバ50に対して、観光地の各観光場所を巡回する行程である観光ルートの提案を要求する観光ルート提案要求を車両の位置情報と共に送信するように構成されている(図3のS14参照)。
【0029】
一方、情報提供サーバ50は、車両外部に存在する情報センタに固定的に設置されるもので、ナビゲーション装置10からの観光ルート提案要求に応じて、観光地にある各観光場所の巡回行程を示した観光ルートを生成し、ナビゲーション装置10へ提供する。
【0030】
ここで、情報提供サーバ50は、観光ルートを生成する場合、まず、車両の位置情報により示される位置から所定範囲に含まれる観光場所を抽出し、その抽出した各観光場所に最も共通する歴史上の人物を抽出する(図4のS41〜S43参照)。そして、情報提供サーバ50は、複数の人物に対し、人物毎にその人物に関連したイベント(出来事)を年代順に記述した年表が登録された年表データベース54cを有しており、その年表データベース54cから車両の位置から所定範囲に含まれる各観光場所に最も共通する歴史上の人物の年表を取得して、その人物に関連するイベントを所定の決まりに従ってまとめたストーリーを作成する(図4のS44〜S50参照)。
【0031】
次いで、情報提供サーバ50は、そのストーリーの内容から経由すべき観光場所を特定し、そのストーリーの内容に合わせて各観光場所の経由順番を設定した観光ルートを生成し(図4のS51参照)、その観光ルート情報を含むストーリー情報を生成する(図4のS52参照)。
【0032】
そして、生成したストーリー情報をナビゲーション装置10へ送信することによって(図6参照)、ナビゲーション装置10は、このストーリー情報に含まれる観光ルートを車両の乗員に提案し、また、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行う(図3のS27参照)。これにより、ユーザは、歴史上の人物に関するイベントをまとめたストーリーを感じながら、興味を持って各観光場所を巡回できる。よって、ナビゲーションシステム1は、ユーザに興味を持たせながら観光地における各観光場所の巡回をさせることが可能な巡回行程を案内できる。
【0033】
次いで、ナビゲーションシステム1の詳細構成について説明する。まず、ナビゲーション装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ハードディスクドライブ(以下、「HDD(Hard Disk Drive)」と称する。)14、現在位置検出装置15、通信制御装置16、LCD18、タッチパネル19、操作キー20を主に有している。
【0034】
CPU11、ROM12、RAM13は、バスライン21を介して互いに接続されている。また、HDD14、現在位置検出装置15、通信制御装置16、LCD18、タッチパネル19、操作キー20は、いずれも入出力ポート22に接続され、その入力ポート22はバスライン21に接続されている。これにより、CPU11、ROM12、RAM13と入出力ポート22に接続される各部との間で、各種信号やデータの送受信が行われる。
【0035】
CPU11は、ROM12やRAM13に記憶されるデータやプログラムに従って、ナビゲーション装置10が有している各機能の制御や、入出力ポート22と接続された各部の制御を実行する演算装置である。このCPU11には、計時回路11aが内蔵されている。計時回路11aは、現在の日時を刻む時計機能や、設定された時間の経過を計時するタイマ機能を有する既知の回路であり、CPU11は、計時回路11aの時計機能やタイマ機能を使用して、各種制御を行う。
【0036】
ROM12は、CPU11で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能な不揮発性のメモリである。図3のフローチャートに示す観光ルート案内処理を実行する制御プログラム12aは、このROM12に格納されている。
【0037】
詳細については、図3を参照して後述するが、図3のフローチャートに示す観光ルート案内処理は、情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求を送信し、その要求に応じて情報提供サーバ50より送信されるストーリー情報に従って、そのストーリー情報に含まれる観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、またその観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行うものである。
【0038】
また、観光ルート案内処理は、ストーリー情報を情報提供サーバ50より受信する前に、予め、情報提供サーバ50において生成されたストーリーの概要をリスト化したストーリーリストを受信し、そのストーリーリストの中から所望のストーリーを車両の乗員に選択させた上で、その乗員により選択されたストーリーに対応するストーリー情報を情報提供サーバ50より受信する処理が含まれる。これにより、情報提供サーバ50により作成された複数のストーリーの中から、乗員の希望するストーリーを選択できるので、乗員に対し、観光ルートの選択の幅を広げることができる。
【0039】
RAM13は、書換可能な揮発性のメモリであり、ナビゲーション装置10の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリであり、ストーリー情報格納領域13aが設けられている。
【0040】
ストーリー情報格納領域13aは、情報提供サーバ50に対して送信した観光ルート提案要求に応じてその情報提供サーバ50により生成されたストーリー情報のうち、乗員によって選択された一のストーリー情報を格納するための領域である。
【0041】
CPU11は、図3に示す観光ルート提案処理において、乗員により選択されたストーリーに対応するストーリー情報の送信要求を情報提供サーバ50に送信することで、情報提供サーバ50よりそのストーリー情報を受信し、それをストーリー情報格納領域13aに格納する(図3のS21〜S26参照)。そして、CPU11は、そのストーリー情報格納領域13aに格納されたストーリー情報に基づいて、ストーリー情報に含まれる観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行う(図3のS27参照)。
【0042】
また、詳細については後述するように、情報提供サーバ50より送信されるストーリー情報には、そのストーリーに含まれるイベントの内容やそのイベントに関連する情報、および、ストーリーの作成の基となった人物に関する情報が、関連情報として含まれており、CPU11は、ストーリー情報格納領域13aに格納したストーリー情報に含まれる関連情報を、適宜LCD18上に表示する(図3のS28及びS29参照)。
【0043】
HDD14は、書換可能な磁気ディスクであり、例えば、道路地図データベース14aが格納される。道路地図データベース14aは、車両の現在地周辺や目的地周辺等の各種地図や道路をLCD18に表示するための地図情報や、目的地までの経路探索に使用される道路情報が格納されたデータベースである。
【0044】
CPU11は、ストーリー情報格納領域13aに格納されたストーリー情報に含まれる観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案し、また、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行う場合に、この道路地図データベース14aに格納されている地図情報や、道路情報を参照する。また、関連情報を、その関連情報と関連する場所を地図で示しながらLCD18上に表示させる場合にも、道路地図データベース14aに格納されている地図情報を参照する。
【0045】
HDD14は、その他、車両の走行履歴(時間毎の車両の位置情報を示す履歴)が格納されるようになっている。CPU11は、車両が走行している間、所定時間毎に車両の位置情報(緯度および経度情報)を現在位置検出装置15から取得し、その取得した車両の位置情報を計時回路11aによって示される時間と対応付けた上で、車両の走行履歴としてHDD14に格納する。
【0046】
現在位置検出装置15は、ナビゲーション装置10が搭載される車両の現在地の位置情報(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)受信装置15a、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ15b、ジャイロセンサ15c、車速センサ15dの1又は複数が使用される。
【0047】
CPU11は、現在位置検出装置15により検出される車両の現在地の位置情報に基づいて、目的地までの経路誘導を行う。また、CPU11は、情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求を送信する場合にも現在位置検出装置15により検出された車両の現在地の位置情報を取得し(図3のS11参照)、その位置情報を観光ルート提案要求と合わせて情報提供サーバ50に送信する(図3のS14参照)。これにより、情報提供サーバ50では、車両の現在地から所定距離(例えば、50km)範囲内にある観光場所の中から、最も共通する歴史上の人物を特定し、その人物の年表から各種ストーリーを作成することができる。
【0048】
通信制御装置16は、携帯通信用アンテナ17を有しており、携帯電話事業者が提供する無線通信ネットワーク70の末端に設けられている基地局60との間で、その基地局60に設けられた基地局用アンテナ60aを介して無線通信を行いながら、各種データの送受信を行う回路である。ナビゲーション装置10は、この通信制御装置16によって、無線通信ネットワーク70に接続されている情報提供サーバ50にアクセスし、その情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求やストーリー情報の送信要求を送信すると共に、情報提供サーバ50から、ストーリーリストやストーリー情報を受信する。
【0049】
LCD18は、タッチパネル19や操作キー20の操作に応じてメニューや動作状態などを表示すると共に、車両周辺や経路探索された走行経路周辺の地図、探索経路、周辺施設案内画面などの表示を行う表示装置である。CPU11は、ストーリー情報格納領域13aに格納されたストーリー情報に含まれる観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路をLCD18に表示することによって経路誘導を行う(図3のS27参照)。また、ストーリー情報に含まれる関連情報を、適宜LCD18上に表示する。
【0050】
また、CPU11は、情報提供サーバ50よりストーリー情報が提供されるのに先だって送信されるストーリーリストの内容をLCD18上に表示する。そして、LCD18に表示されたストーリーリストの中から、乗員により所望のストーリーがタッチパネル19を介して選択できるように構成されている。CPU11は、ここで選択されたストーリーに対応するストーリー情報の送信要求を情報提供サーバ50へ送信することにより、情報提供サーバ50からそのストーリー情報を受信する。そして、受信したストーリー情報をストーリー情報格納領域13aに格納する。
【0051】
タッチパネル19は、LCD18の表示パネル面に設けられた入力装置であり、指示物(ユーザの指やタッチペンなど)が接触または近接された場合に、その指示物により示された位置情報を出力するものである。CPU11は、タッチパネル19より出力された位置情報をもとに、LCD18に表示したボタンやアイコンの押下操作の有無を判断する。
【0052】
例えば、CPU11は、情報提供サーバ50により受信したストーリーリストをLCD18に表示させている場合に、そのストーリーリストに含まれるストーリーの概要の表示されている領域が指示物により指示(接触または近接)されたことを検出すると、そのストーリーが乗員によりタッチパネル19を介して選択されたと判断し、そのストーリーに対応するストーリー情報の送信要求を情報提供サーバ50に対して送信する。
【0053】
操作キー20は、ユーザによるナビゲーション装置10の各種機能の切り替えや、各種動作の指示をタッチパネル19と共に受け付ける入力装置である。操作キー20には、観光ルート表示キー20aが設けられており、乗員によって観光ルート表示キー20aが操作されると、CPU11は、図3に示す観光ルート提案処理の実行を開始する。これにより、情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求が送信され、その要求やストーリー情報の送信要求に応じて情報提供サーバ50により生成されたストーリー情報を受信する。そして、CPU11は、受信したストーリー情報に含まれる観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行う。
【0054】
次に、情報提供サーバ50の詳細構成について説明する。情報提供サーバ50は、CPU51、ROM52、RAM53、HDD54、通信制御装置55を主に有している。CPU51、ROM52、RAM53は、バスライン56を介して互いに接続されている。また、HDD54および通信制御装置55は入出力ポート57に接続され、この入力ポート57はバスライン56に接続されている。これにより、CPU51、ROM52、RAM53と入出力ポート57に接続される各部との間で、各種信号やデータの送受信が行われる。
【0055】
CPU51は、ROM52、RAM53やHDD54に記憶されるデータやプログラムに従って、情報提供サーバ50が有している各機能の制御や、入出力ポート57と接続された各部の制御を実行する演算装置である。このCPU51には、計時回路51aが内蔵されている。計時回路51aは、現在の日時を刻む時計機能を有する既知の回路であり、CPU51は、計時回路51aにより出力される現在の日時を使用して、各種制御を実行する。
【0056】
ROM52は、CPU51が入出力ポート54と接続された各部の入出力を制御するプログラム並びにそのプログラムを実行する際に参照する各種設定および固定値などを記憶する書換不能な不揮発性のメモリである。また、RAM53は、情報提供サーバ50の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するための書換可能な揮発性のメモリであり、ストーリー情報格納領域53aを有している。
【0057】
ストーリー情報格納領域53aは、CPU51によって生成されたストーリー情報を格納するための領域である。情報提供サーバ50は、ナビゲーション装置10より観光ルート提案要求を受信すると、図4を参照して後述する観光ルート提案処理をCPU51によって実行し、そのナビゲーション装置10を搭載した車両の現在位置から所定範囲(例えば、50km以内)に含まれる各観光場所に最も共通する歴史上の人物の年表に基づいて、1以上のストーリーを生成する。そして、CPU51は、ストーリー毎に、それぞれのストーリーに合わせて経由する観光場所の経由順番を設定した観光ルート情報と、そのストーリーに関する関連情報とをまとめたストーリー情報を生成し、そのストーリー情報をストーリー情報格納領域53aに格納する(図4のS52参照)。
【0058】
また、情報提供サーバ50は、ナビゲーション装置10よりストーリー情報の送信要求を受信すると、図6を参照して後述する観光ルート送信処理を実行し、ストーリー情報格納領域53aに格納されているストーリー情報の中から、ストーリー情報の送信要求によって示されるストーリー情報をナビゲーション装置10へ送信する。これにより、ナビゲーション装置10では、情報提供サーバ50より送信されたストーリー情報に基づいて、そのストーリー情報に含まれる観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行う。
【0059】
HDD54は、OSやアプリケーションプログラムといったCPU51により実行される各種プログラムや各種設定を記憶する、書換可能な磁気ディスクである。図4のフローチャートに示す観光ルート提案処理や図6のフローチャートに示す観光ルート送信処理を実行する制御プログラム54aは、このHDD54に格納されている。
【0060】
HDD54には、また、観光場所データベース54bおよび年表データベース54cが格納される。観光場所データベース54bは、複数の観光場所に関する情報が登録されたデータベースである。各観光場所には、それぞれ、その観光場所の名称および位置情報(緯度および経度情報)が登録されている他、その観光場所に関連のある歴史上の人物が登録されている。
【0061】
CPU51は、ナビゲーション装置10より観光ルート提案要求を受信することにより、図4に示す観光ルート提案処理を実行して、その観光ルート提案要求と合わせて受信した車両の現在地の位置情報に基づき、車両の現在地から所定範囲(例えば、50km以内)に含まれる観光場所を、観光場所データベース54bに登録されている各観光場所の位置情報から判断して抽出する(図4のS42参照)。
【0062】
また、CPU51は、観光場所データベース54bより抽出した、車両の現在地から所定範囲に含まれる各観光場所のそれぞれについて、関連のある歴史上の人物を観光場所データベース54bの登録内容から確認し、各観光場所に最も共通する歴史上の人物を抽出する(図4のS43参照)。これにより、CPU51は、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物を抽出することができ、この抽出した歴史上の人物の年表を、次に説明する年表データベース54cから取得して、その年表に記述されたイベントの内容に基づき、1以上のストーリーを作成する。
【0063】
年表データベース54bは、複数の人物に対し、人物毎にその人物に関連したイベント(出来事)を年代順に記述した年表を登録したデータベースである。また、年表データベース54bには、それぞれの年表に記述されたイベントのうち、一部のイベントに対して、そのイベントを更に細かく分割して詳細に記述したサブイベント情報も合わせて登録されている。
【0064】
ここで、図2を参照して、年表データベース54cの詳細について説明する。図2(a)は、年表データベース54cに登録される年表(上杉謙信)の内容の一例を模式的に示した模式図であり、図2(b)は、年表データベース54cに登録されるサブイベント情報(信長包囲網)の内容の一例を模式的に示した模式図である。
【0065】
年表およびサブイベント情報は、図2(a)および(b)に示すように、いずれも「イベント」項目と「場所」項目とによって構成されている。「イベント」項目は、この年表が示す歴史上の人物に関連して発生した各種イベントの内容を、そのイベントが発生した年代順に記述した項目であり、イベントが発生した年(西暦)を示す「年」サブ項目と、そのイベントの内容を記述した「内容」サブ項目によって構成される。
【0066】
「場所」項目は、「イベント」項目に記述されたイベントに関係のある観光場所を記述する項目であり、「イベント」項目に記述されたイベントのうち、そのイベントに関係のある観光場所が存在するものがある場合、その観光場所の名称(または、位置情報)がそのイベントに対応付ける形で「場所」項目に記述される。
【0067】
サブイベント情報は、図2(b)に示すように、年表の一イベント(この例では、「信長包囲網」)を更に細かく分割して、そのイベントの内容を記述している。これにより、CPU51は、イベントの内容が大まかに記述された年表だけを参照して、その年表に記述されたイベントの内容に基づくストーリーを生成する一方、年表データベース54c内にサブイベント情報が用意されたイベントがある場合は、そのサブイベント情報に詳細に記述されたイベントを中心としたストーリーも作成できるようになっている。
【0068】
即ち、CPU51は、図4に示す観光ルート提案処理を実行することにより抽出された、車両の現在地から所定範囲に含まれる観光場所に最も共通する歴史上の人物、即ち、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物の年表を、年表データベース54cより取得すると、その取得した年表に基づいて、まず、その年表全体に記載されたイベントをそのイベントの発生順に網羅したストーリーを生成する(図3のS45参照)。これにより、歴史上の人物に関係する観光場所をその人物の生涯に関連づけながら巡回する観光ルートを設定したストーリー情報を生成することができる。
【0069】
また、CPU51は、取得した年表の中に、関連性の強いイベントがあれば、その関連性の強いイベントを発生順に集めて、ストーリーを生成する(図3のS46およびS47参照)。例えば、図2の例では、上杉謙信に関わるイベントのうち、第一次川中島の戦い〜第五次川中島の戦いが、特に関連性の強いイベントとして認められるので、この第一次川中島の戦い〜第五次川中島の戦いをまとめたストーリーが生成される。このように、特に関連性の強いイベントを集めてストーリーを生成することにより、歴史上の人物に関係する観光場所のうち、その関連性の強いイベントに関係する観光地を中心に巡回する観光ルートを設定したストーリー情報を生成することができる。
【0070】
更に、CPU51は、取得した年表の中に、年表データベース54c内にサブイベント情報が用意されたイベントが存在する場合は、そのサブイベント情報を参照して、そのサブイベント情報に記述されたイベントを中心に各イベントを発生順に集めたストーリーを作成する(図3のS48及びS49参照)。例えば、図2の例では、「信長包囲網」に対してサブイベント情報が年表データベース54c内に用意されているので、その「信長包囲網」に対するサブイベント情報に記述されたイベントをまとめたストーリーが生成される。
【0071】
このように、一つのイベントをより詳細化したイベントに基づいてストーリーを生成することにより、歴史上の人物に関係する観光場所のうち、1つのイベントに関係する関係する観光地を中心に巡回する観光ルートを設定したストーリー情報を生成することができる。
【0072】
尚、CPU51は、年表に基づいてその他のストーリーが作成できる場合は、その他のストーリーも作成する。
【0073】
そして、CPU51は、ストーリーを作成した後、各ストーリーに対応するストーリー情報をストーリー毎に作成する。このストーリー情報の生成は、まず、ストーリー毎に、それぞれのストーリーに合わせて経由する観光場所の経由順序を設定することから行われる。
【0074】
具体的には、生成すべきストーリー情報に対応するストーリーにまとめられた各イベントに対応する観光場所を年表データベース54cの「場所」項目から全て特定し、その観光場所のうち車両の現在地から所定範囲に含まれている観光場所を経由すべき場所として決定する。そして、その経由すべきと決定された各観光場所をストーリーにまとめられたイベントの順番(即ち、イベントの発生順)に従って並べ、その順番に従って各観光場所を経由するように、各観光場所の経由順序を観光ルートとして設定する(図3のS51参照)。
【0075】
そして、CPU51は、設定された観光ルートの観光ルート情報に、そのストーリーに含まれるイベントの内容やそのイベントに関連する情報またはストーリーの作成の基となった人物に関する情報である関連情報を追加して、ストーリー情報を生成する。これらの関連情報は、年表データベース54cから生成される。
【0076】
即ち、ストーリーに含まれるイベントの内容である関連情報は、そのストーリーの基となった年表やサブイベント情報の「イベント」項目の「内容」サブ項目に記述されている内容がそのまま用いられる。また、イベントに関連する情報は、そのイベントに対して設けられたサブイベント情報の「イベント」項目の「内容」サブ項目に記述されている内容が用いられる。
【0077】
一方、ストーリーの作成の基となった人物に関する情報は、その人物の年表に記述されたイベントのうち、ストーリーに含まれていないイベントの「内容」サブ項目に記述されている内容が用いられると共に、その人物の年表に記述されたイベントの中に、他の人物の名前が記述されていれば、その他の人物の年表に記述されている「イベント」項目の「内容」サブ項目の内容が用いられる。
【0078】
このとき、CPU51は、ストーリー情報に追加する各関連情報が観光ルートとして経由される観光場所に関連する関連情報であるか否かを判断し、その結果、観光ルートとして経由される観光場所に関連する関連情報であれば、その関連情報を関連する観光場所に対応付けてストーリー情報に追加する。一方、それ以外の関連情報である場合は、その関連情報の基となったイベントに対応付けられている場所を年表データベース54cの「場所」項目から読み出し、その場所の位置情報(緯度および経度情報)をその関連情報に対応付けてストーリー情報に追加する。
【0079】
CPU51は、このようにして生成された各ストーリー情報をストーリー情報格納領域53aに格納する。そして、ナビゲーション装置10よりストーリー情報の送信要求を受信することで、CPU51が観光ルート送信処理(図6参照)を実行し、送信要求において指定されたストーリー情報をストーリー情報格納領域53aから読み出して、ナビゲーション装置10へ送信する。これにより、ナビゲーション装置10では、そのストーリー情報に基づいて、観光ルートの提案および各観光場所への経路誘導を行うと共に、関連情報を適宜LCD18上に表示させることができる。
【0080】
尚、ストーリー情報に対する関連情報の追加において、観光ルートとして経由される観光場所に関連するイベントの内容は全て関連情報として追加される一方、それ以外のイベントの関連情報は適宜取捨選択して追加されるようにしてもよい。これにより、ナビゲーション装置10において、観光ルートとして経由される観光場所に関連しない関連情報が、多数LCD18上に表示され、乗員に対して必要以上に情報が提供されることを抑制することができる。
【0081】
図1に戻って、説明を続ける。通信制御装置55は、携帯電話事業者が提供する無線通信ネットワーク70との間で、各種データの送受信を行う回路である。情報提供サーバ50は、この通信制御装置55によって、無線通信ネットワーク70に接続したナビゲーション装置10からアクセスを受け、ナビゲーション装置10から観光ルート提案要求やストーリー情報の送信要求を受信すると共に、それらの要求に応じて、ストーリーリストやストーリー情報をナビゲーション装置10に対して送信する。
【0082】
次いで、図3〜図6を参照して、ナビゲーション装置10内のCPU11および情報提供サーバ50内のCPU51により実行される各処理について説明する。まず、図3は、ナビゲーション装置10内のCPU11により実行される観光ルート案内処理を示すフローチャートである。この観光ルート案内処理は、情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求を送信し、その要求に対応して情報提供サーバ50により生成されるストーリー情報に従って、そのストーリー情報に含まれる観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行う処理で、観光ルート表示キー20aが操作された場合に、CPU11によって実行される。
【0083】
この観光ルート案内処理では、まず、車両の現在地の位置情報を現在位置検出装置15より取得し(S11)、次いで、その車両の現在地がいつもの活動エリアであるか否かを判別する(S12)。ナビゲーション装置10では、上述したように、車両の走行履歴(時間毎の車両の位置情報)を記録してHDD14に格納するようになっており、S12の処理では、その車両の走行履歴とS11により取得した車両の現在地の位置情報とを比較することによって、その判別が行われる。
【0084】
そして、S12の処理の結果、いつもの活動エリアであると判別される場合は(S12:Yes)、乗員に対して観光ルートの提案や経路誘導を行う必要がないため、そのまま観光ルート案内処理を終了する。尚、この場合、LCD18上に、いつもの活動エリアであることを通知するメッセージを表示した上で、この観光ルート案内処理を終了するようにしてもよい。
【0085】
一方、S12の処理の結果、いつもの活動エリアではないと判別される場合は(S12:No)、次いで、車両の現在地が観光地か否かを判別する(S13)。HDD14の道路地図データベース14aには、その地図情報において、各場所毎に観光地であるか否かを示す情報が付加されており、S13の処理では、S11の処理により取得した車両の現在地の位置情報により示される場所が観光地であるか否かを、道路地図データベース14aの地図情報より確認することによって、その判別が行われる。
【0086】
そして、S13の処理の結果、観光地でないと判別される場合は(S13:No)、乗員に対して観光ルートの提案や経路誘導をする必要がないため、そのまま観光ルート案内処理を終了する。尚、この場合、LCD18上に、観光地ではないことを通知するメッセージを表示した上で、この観光ルート案内処理を終了するようにしてもよい。
【0087】
一方、S13の処理の結果、観光地であると判別される場合は(S13:Yes)、次いで、観光ルート提案要求を、S11の処理により取得した車両の現在地の位置情報と合わせて、情報提供サーバ50へ送信するよう、通信制御回路16を制御し(S14)、S15の処理へ移行する。これにより、観光ルート提案要求が、車両の現在地の位置情報と共に、基地局60および無線通信ネットワーク70を介して、情報提供サーバ50へ送信される。
【0088】
そして、情報提供サーバ50では、この観光ルート提案要求を受信することによって、図4に示す観光ルート提案処理がCPU51により実行され、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物に基づいて生成されたストーリー毎に、それぞれ、そのストーリーに合わせた観光場所を経由する観光ルート情報およびそのストーリーに関する関連情報をまとめたストーリー情報が生成されると共に、そのストーリーの概要を示すストーリーリストが生成され、ナビゲーション装置10へ送信される。
【0089】
ここで、図4を参照して、情報提供サーバ50内のCPU51により実行される観光ルート提案処理について説明する。図4は、その観光ルート提案処理を示すフローチャートである。
【0090】
この観光ルート提案処理では、まず、観光ルート提案要求と合わせてナビゲーション装置10より送信される車両の現在地の位置情報を受信し(S41)、その受信した位置情報により示される車両の現在地から所定範囲(例えば、50km以内)に含まれる観光場所を、観光場所データベース54bに登録されている各観光場所の位置情報から判断して抽出する(S42)。
【0091】
次に、S42の処理により抽出された各観光場所のそれぞれについて、関連のある歴史上の人物を観光場所データベース54bの登録内容から確認し、各観光場所に最も共通する歴史上の人物を抽出する(S43)。これにより、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物が特定される。
【0092】
そして、S43の処理により抽出した歴史上の人物の年表を、年表データベース54cから取得し(S44)、続くS45〜S50の処理によって、その取得した年表からストーリーを生成する。即ち、S45〜S50の処理によって、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物に対するストーリーが生成されることとなる。
【0093】
まず、S45の処理では、取得した年表から、その年表全体に記載されたイベントをそのイベントの発生順に網羅したストーリーを生成する(S45)。これにより、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物の生涯をまとめたストーリーが生成される。
【0094】
次いで、S44の処理により取得した年表の中に、関連性の強いイベントがあるか否かを判別し(S46)、年表中に関連性の強いイベントがあれば(S46:Yes)、その関連性の強いイベントを発生順に集めて、ストーリーを生成する(S47)。これにより、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物において、特に関連性の強いイベントを中心にまとめたストーリーが生成される。この場合、その人物において特徴的なイベントがまとめられる可能性が高く、その人物の核心に迫ったストーリーを生成することができる。
【0095】
更に、S47の処理の後、もしくは、S46の処理によって年表中に関連性の強いイベントがないと判別される場合(S46:No)は、S44の処理により取得した年表の中に、年表データベース54c内にサブイベント情報が用意されたイベントが存在するか否かを判別し(S48)、サブイベント情報が用意されたイベントが存在する場合は(S48:Yes)、年表データベース54cからそのサブイベント情報を参照して、そのサブイベント情報に記述されたイベントを中心に各イベントを発生順に集めたストーリーを作成する(S49)。これにより、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物のイベントのうち、1のイベントにこだわったストーリーが生成される。
【0096】
また、S49の処理の後、もしくは、S48の処理によってサブイベント情報が用意されたイベントは存在しないと判別される場合(S48:No)は、年表に基づいてその他のストーリーが作成できるか否かを判別して、作成可能な場合はその他のストーリーを作成する(S50)。
【0097】
このように、種々のストーリーを作成することによって、ナビゲーション装置10の搭載された車両の乗員に対して、様々な観光ルートの提案を行うことができるのである。
【0098】
S45〜S50の処理によってストーリーが生成された後、次いで、S50及びS51の処理により、生成されたストーリー毎にそれぞれのストーリーに対応するストーリー情報を生成する。
【0099】
まず、生成されたストーリー毎に、それぞれのストーリーの内容に合わせて経由する観光場所の経由順序を示す観光ルートを設定する(S51)。即ち、ストーリーに含まれる各イベントに対応する観光場所を年表データベース54cの「場所」項目から特定し、そのうち車両の現在地から所定範囲に含まれている観光場所を経由すべき場所として決定する。そして、その観光場所をストーリーにまとめられたイベントの発生順に従って並べ、その順番に従って各観光場所を経由するように、各観光場所の経由順序を観光ルートとして設定する。このとき、その観光ルートにおける概算所要時間も合わせて算出する。
【0100】
そして、ストーリー毎に、S51の処理により設定された観光ルートの観光ルート情報に対し、そのストーリーに含まれるイベントの内容やそのイベントに関連する情報またはストーリーの作成の基となった人物に関する情報である関連情報を追加して、ストーリー情報を生成すると共に、そのストーリー情報をストーリー情報格納領域53aへ格納する(S52)。
【0101】
このとき、上述したように、ストーリー情報に追加する各関連情報が観光ルートとして経由される観光場所に関連する関連情報であれば、その関連情報を関連する観光場所に対応付けてストーリー情報に追加する。一方、それ以外の関連情報である場合は、その関連情報の基となったイベントに対応付けられている場所の位置情報(緯度および経度情報)を年表データベース54cから特定し、その位置情報をその関連情報に対応付けてストーリー情報に追加する。
【0102】
尚、S52の処理によりストーリー情報格納領域53aに格納されたストーリー情報は、上述したように、ナビゲーション装置10よりストーリー情報の取得要求を受信した場合に、図6を参照して後述する観光ルート送信処理により、その取得要求により示されるストーリー情報が読み出され、ナビゲーション装置10に対して送信される。
【0103】
次いで、S45〜S50の処理により生成された各ストーリーの概要を、S51の処理において算出された概算所要時間と合わせてリスト化したストーリーリストを生成する(S53)。そして、生成したストーリーリストをナビゲーション装置10へ送信して(S54)、この観光ルート提案処理を終了する。ナビゲーション装置10は、このストーリーリストを受信することによって、そのリストの内容をLCD18上に表示し、車両の乗員から所望のストーリーの指示を受け付ける処理を実行することができる。
【0104】
ここで、観光ルート提案処理は、S45〜S50の処理により生成された各ストーリーに基づいて、それぞれのストーリーに応じた観光ルートがS51の処理によって設定される。
【0105】
例えば、S47の処理によって、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物の年表から関連性の強いイベントを中心にまとめたストーリーが生成された場合は、そのストーリーに対応する観光ルートとして、その関連性の強いイベントを中心にまとめられたストーリーに沿って各観光場所を経由する順番が設定される。ナビゲーション装置10は、車両の乗員に対し、その設定された順番で各観光場所への観光ルートを提案し、また、経路誘導を行うことによって、乗員がその観光ルートに従えば、乗員に対して、関連性の強いイベントをストーリーに沿って感じさせながら興味を持って各観光場所を巡回させることができる。
【0106】
特に、S47の処理によって生成されたストーリーは、その歴史上の人物において特徴的なイベントがまとめられる可能性が高く、その人物の核心に迫ったストーリーである可能性が高い。よって、その人物の核心に迫ったストーリーに基づいて生成される観光ルートに従って、乗員が各観光場所を巡回すれば、乗員に対して、歴史上の人物の核心に迫ったストーリーを感じさせながら興味を持って各観光場所を巡回させることができる。
【0107】
また、S49の処理によって、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物の年表からサブイベント情報が用意されたイベントを中心に集めてストーリーが生成された場合は、そのストーリーに対応する観光ルートとして、そのサブイベント情報の用意されたイベントを中心にまとめられたストーリーに沿って、各観光場所を経由する順番が設定される。ナビゲーション装置10は、車両の乗員に対し、その設定された順番で各観光場所への観光ルートを提案し、また、経路誘導を行うことによって、乗員がその観光ルートに従えば、乗員に対して、1つのイベントをストーリーに沿って深く感じさせながら興味を持って各観光場所を巡回させることができる。
【0108】
特に、S49の処理によって生成されたストーリーは、その歴史上の人物にうち、1のイベントにこだわって生成されたストーリーであるので、乗員がそのストーリーの観光ルート情報に示される観光ルートに従えば、乗員に対して、1つのイベントに対するこだわりを深く感じさせながら興味を持って各観光場所を巡回させることができる。
【0109】
図3に戻って、ナビゲーション装置10内のCPU11により実行される観光ルート案内処理の説明をS15の処理から続ける。S15の処理では、計時回路11aのタイマ機能の動作を開始させる(S15)。この処理は、S14の処理によって観光ルート提案要求を情報提供サーバ50に対して送信した後、その観光ルート提案要求に対する情報提供サーバ50からの応答が所定時間内にあるか否かを、S16およびS17の処理により判断するためのものである。
【0110】
そして、情報提供サーバ50からの応答があったか否かを通信制御装置16の状態に基づいて判断し(S16)、情報提供サーバ50からの応答がなければ、S15の処理による計時回路11aのタイマ機能の動作開始後、所定時間経過したか否かを計時回路11aの状態から判別する(S17)。
【0111】
その結果、所定時間経過していなければ(S17:No)、S16の処理に回帰し、再び、情報提供サーバ50からの応答があったか否かを判断する。一方、S17の処理の結果、所定時間経過していれば(S17:Yes)、通信上もしくは情報提供サーバ50における障害によって、情報提供サーバ50から目的地候補の提供を受けることができない状態にあると判断し、S25の処理へ移行する。そして、S25の処理では、LCD18上に「タイムアウトエラー」を表示し(S25)、この観光ルート案内処理を終了する。このタイムアウトエラーの表示により、乗員に対して、情報提供サーバ50との間のデータの送受信に問題があることを認識させることができる。
【0112】
これに対し、S16の処理の結果、情報提供サーバ50からの応答があったと判断される場合は(S16:Yes)、観光ルート提案要求に応じて情報提供サーバ50より送信されたストーリーリストを受信し(S18)、受信したストーリーリストをLCD18上に表示して(S19)、S20の処理へ移行する。
【0113】
ここで、図5を参照して、ナビゲーション装置10内のLCD18上に表示されるストーリーリストの表示内容について説明する。図5は、そのストーリーリストの表示例を模式的に示した模式図である。
【0114】
CPU11は、図5に示すように、ストーリーリストに含められた各ストーリーの概要(図5の例では、「上杉謙信の生涯」、「川中島の戦い」、「信長包囲網」)を抽出し、LCD18の画面向かって左側に、抽出した各概要の内容を上から下へ順に並べて表示する。また、ストーリーリストには、上述したように、各ストーリーに対して設定された観光ルート(図4のS51参照)における概算所要時間が含まれており、CPU11は、各ストーリーに対する観光ルートの概算所要時間を抽出した上で、対応するストーリーの概要が表示された右側に、その概算所要時間を表示する。
【0115】
ここで、LCD18上に表示された各ストーリーの概要は、ストーリー毎に矩形状の枠で囲まれ、その矩形状の枠で囲まれた範囲がボタン化されている(以下、このボタンを「ストーリーボタン」と称する)。乗員は、LCD18上に表示されたストーリーの概要および概算所要時間から選択したいストーリーを決め、タッチパネル19を介して、その選択したいストーリーの概要が表示されているストーリーボタンを指示物によって指示することで、所望のストーリーを選択し、そのストーリーに対応するストーリー情報を情報提供サーバ50から受信することができる。
【0116】
図3に戻って、観光ルート案内処理の説明を、S20の処理より続ける。S20の処理では、LCD18上に表示されたストーリーリストから、乗員によりタッチパネル19を介してストーリーボタンが指示されたことにより、1のストーリーが選択されたか否かを判別する(S20)。そして、1のストーリーが非選択(S20:No)の間は、S20の処理が繰り返し実行され、その選択が行われるまで、処理がウェイトされる。
【0117】
尚、S20の処理が繰り返し実行されている間に、乗員の指示に基づいて、観光ルーツ案内処理を終了させてもよい。例えば、S19の処理によってストーリーリストをLCD18上に表示させる場合に、合わせて、「終了」ボタンをLCD18に表示させておき、S20:Noの分岐において、乗員のよる「終了ボタン」の指示操作が検出された場合は、ストーリーリストの表示を中断した上で、この観光ルート案内処理を終了するようにしてもよい。
【0118】
一方、S20の処理の結果、乗員により1のストーリーが選択されたと判別されると(S20:Yes)、その選択されたストーリーに対応するストーリー情報の送信要求を情報提供サーバ50へ送信するよう、通信制御回路16を制御し(S21)、S22の処理へ移行する。これにより、ストーリー情報の送信要求が、基地局60および無線通信ネットワーク70を介して、情報提供サーバ50へ送信される。
【0119】
情報提供サーバ50は、このナビゲーション装置10からのストーリー情報の送信要求を受信することにより、CPU51によって観光ルート送信処理(図6参照)を実行し、ストーリー情報格納領域53aに格納されているストーリー情報の中から、ストーリー情報の送信要求によって示されるストーリー情報をナビゲーション装置10へ送信する。
【0120】
ここで、図6を参照して、情報提供サーバ50内のCPU51により実行される観光ルート送信処理について説明する。図6は、その観光ルート送信処理を示すフローチャートである。
【0121】
この観光ルート送信処理では、まず、ナビゲーション装置10より受信したストーリー情報の送信要求により指示された、送信すべきストーリー情報を特定し(S61)、その特定したストーリー情報をストーリー情報格納領域から読み出す(S62)。そして、読み出したストーリー情報をナビゲーション装置10へ送信して(S63)、この観光ルート送信処理を終了する。
【0122】
これにより、ナビゲーション装置10には、乗員によって選択されたストーリーに対応するストーリー情報が送信される。ナビゲーション装置10は、このストーリー情報を基に、観光ルートの提案および各観光場所の経路誘導を実行することになる。
【0123】
図3に戻り、ナビゲーション装置10内のCPU11により実行される観光ルート案内処理の説明を、S22の処理から続ける。S22の処理では、計時回路11aのタイマ機能の動作を開始させる(S22)。この処理は、S21の処理によってストーリー情報の送信要求を情報提供サーバ50に対して送信した後、そのストーリー情報の送信要求に対する情報提供サーバ50からの応答が所定時間内にあるか否かを、S23およびS24の処理により判断するためのものである。
【0124】
そして、情報提供サーバ50からの応答があったか否かを通信制御装置16の状態に基づいて判断し(S23)、情報提供サーバ50からの応答がなければ、S22の処理による計時回路11aのタイマ機能の動作開始後、所定時間経過したか否かを計時回路11aの状態から判別する(S24)。
【0125】
その結果、所定時間経過していなければ(S24:No)、S23の処理に回帰し、再び、情報提供サーバ50からの応答があったか否かを判断する。一方、S24の処理の結果、所定時間経過していれば(S24:Yes)、通信上もしくは情報提供サーバ50における障害によって、情報提供サーバ50から目的地候補の提供を受けることができない状態にあると判断し、LCD18上に「タイムアウトエラー」を表示して(S25)、この観光ルート案内処理を終了する。このタイムアウトエラーの表示により、乗員に対して、情報提供サーバ50との間のデータの送受信に問題があることを認識させることができる。
【0126】
これに対し、S24の処理の結果、情報提供サーバ50からの応答があったと判断される場合は(S24:Yes)、ストーリー情報の取得要求に応じて情報提供サーバ50より送信されたストーリー情報を受信する(S26)。ここで受信されたストーリー情報は、ストーリー情報格納領域13aに格納される。
【0127】
そして、ストーリー情報格納領域13aに格納されたストーリー情報に含まれる観光ルート情報に従って、ルート案内処理を実行する(S27)。このルート案内処理は、観光ルート情報に示される最後の観光場所に到着するまでの間、他の処理(S28及びS29の処理)と共に繰り返し実行されるもので、この処理では、観光ルート情報に示される各観光場所を、その観光ルート情報で示される順番で巡回する場合の経路を、道路地図データベース14aの地図情報および道路情報に基づいて探索し、その探索した経路を地図と共にLCD18に表示することで、乗員に対し、観光ルートの提案を行う。
【0128】
また、このルート案内処理では、観光ルート情報に示される各観光場所をその観光ルートによって定められた順番に目的地として設定しながら、車両の現在地からその目的地(観光場所)までの経路案内を行う。
【0129】
即ち、このルート案内処理では、最初の目的地として、観光ルート情報に一番目に設定された観光場所を設定して、その一番目の観光場所までの経路案内を実行する。そして、一番目の観光場所に車両が到着すると、次の目的地として、観光ルート情報に二番目に設定された観光場所を設定して、その二番目の観光場所までの経路案内を実行する。その後、この目的地の設定と、その設定された目的地(観光場所)までの経路案内とを、観光ルート情報に示された最後の観光場所に車両が到着するまで繰り返し実行する。
【0130】
これにより、各観光場所までの経路誘導が、観光ルート情報に従った順番で行われる。そして、この観光ルート情報に示された各観光場所を巡回する順番は、上述したように、ストーリーに沿って設定されたものである。よって、乗員が、その経路誘導に従って、もしくは、LCD18により乗員に提案された観光ルートに従って、各観光場所を巡回することにより、乗員は、そのストーリーの内容を感じながら、興味を持って、それぞれの観光場所を巡回することができる。よって、乗員に興味を持たせながら観光場所の巡回をさせることができる。
【0131】
S27の処理の後、ストーリー情報に基づいて、LCD18上に表示すべき関連情報があるか否かを判断する(S28)。具体的には、S27の処理において、観光ルート情報に示される次の観光場所が経路案内の目的地として設定された場合、その目的地として設定された観光場所に対応付けられた関連情報があれば、LCD18上に表示すべき関連情報があると判断する。また、ストーリー情報に含まれる関連情報に対応付けられた、その関連情報と関係する場所の位置情報に基づき、車両の現在地が一の関連情報に関連する場所から所定距離範囲内にあると判断される場合に、LCD18上に表示すべき関連情報があると判断する。
【0132】
そして、S28の処理の結果、LCD18上に表示すべき関連情報があると判断される場合は(S28:Yes)、その関連情報に関係する場所の位置(関連情報が、次に向かうべき観光場所に対応付けられたものであれば、その観光場所の位置)を地図で示しながらLCD18上に表示して(S29)、S30の処理へ移行する。
【0133】
これにより、例えば、次に向かうべき観光場所の関連情報がLCD18上に表示されるので、乗員は、その観光場所に向かいながらその観光場所の関連情報を見ることによって、その観光場所に対する興味を強くすることができる。また、観光ルートに入っていない場所に関係する関連情報も、その場所に車両が近づいた場合に、その場所を地図で示しながらLCD18上に表示されるので、乗員は、今回の観光ルートにおける付加的な情報として、それらの関連情報を知ることができ、乗員に対して更なる興味を持たせながら、観光ルートを巡回させることができる。また、関連情報の関係する場所を地図で示しながら、その関連情報が表示されるので、乗員は、その関連情報に強く興味を持った場合に、その関連情報に関連のある場所へ、容易に向かうことができる。
【0134】
一方、S28の処理の結果、表示すべき関連情報がなければ(S28:No)、S29の処理をスキップして非実行とし、S30の処理へ移行する。S30の処理では、車両の現在地の位置情報を現在位置検出装置15より取得した上で、観光ルート情報に示される最後の観光場所に到着したか否かを判別する(S30)。そして、最後の観光場所に到着していなければ(S30:No)、S27の処理へ回帰し、引き続き、S27〜S29の処理を実行する。一方、最後の観光場所に到着したと判別される場合は(S30:Yes)、観光ルート情報により示された各観光場所の経路誘導を終了した上で、観光ルート案内処理を終了する。
【0135】
以上、本実施形態におけるナビゲーションシステム1によれば、ナビゲーション装置10内のCPU11により観光ルート案内処理が実行されることによって、情報提供サーバ50よりストーリー情報が生成される。そして、ナビゲーション装置は、このストーリー情報を情報提供サーバ50より受信することによって、そのストーリー情報に含まれる各観光場所の巡回行程を示した観光ルート情報に基づき、乗員に対してその観光ルートをLCD18上に表示して車両の乗員に提案すると共に、その観光ルートに示される順番に各観光場所への経路誘導を行う。
【0136】
ここで、観光ルート情報に示される観光ルートは、情報提供サーバ50において、歴史上の人物の年表に基づきその人物に関係するイベントを発生順にまとめたストーリーに沿って各観光場所を経由するように、その観光場所の経由順番(観光ルート)が設定される。よって、乗員は、観光ルート情報によって提案され、また、経路誘導される順番に従って各観光場所を巡回することにより、その歴史上の人物に関連するイベントを発生順にまとめたストーリーを感じながら、興味を持って各観光場所を巡回することができる。従って、ナビゲーションシステム1によれば、乗員に興味を持たせながら観光場所を巡回させることが可能な観光ルートを提案できる。
【0137】
また、情報提供サーバ50により、車両の現在地の位置情報を基に、その車両の現在地から所定範囲に含まれる観光場所が抽出され、それらの観光場所に最も共通する歴史上の人物、即ち、その車両の現在地付近に最もゆかりのある人物が抽出される。そして、その最もゆかりのある人物の年表に基づいて、その人物に関連するイベントを発生順にまとめたストーリーが生成され、そのストーリーに沿って観光ルートが設定される。これにより、乗員は、その観光ルートに従って各観光場所を巡回することにより、車両の現在地付近に最もゆかりのある人物に対して生成されたストーリーを感じながら、より興味を持って各観光場所を巡回することができる。よって、乗員により興味を持たせながら観光場所を巡回させることが可能な観光ルートを提案できる。
【0138】
また、乗員が目的地を設定しなくても、ナビゲーション装置10において、観光ルート情報に示される各観光場所を観光ルートによって定められた順番に目的地として設定しながら、車両の現在地からその目的地(観光場所)までの経路案内を行うので、目的地の設定に伴うユーザの負担を軽減することができる。
【0139】
ここで、上記実施形態に記載の「歴史上の人物」は、特許請求の範囲に記載の「事柄」に対応し、上記実施形態に記載の「イベント」は、特許請求の範囲に記載の「出来事」に対応し、上記実施形態に記載の「ストーリー」は、特許請求の範囲に記載の「筋書き」に対応する。
【0140】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0141】
上記実施形態では、観光場所データベース54bが情報提供サーバ50内に設けられたHDD54に格納される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、情報提供サーバ50がアクセス可能な外部記憶装置を設け、その外部記憶装置に観光場所データベース54bと同等のデータベースを格納してもよい。同様に、上記実施形態では、年表データベース54cが情報提供サーバ50内に設けられたHDD54に格納される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、情報提供サーバ50がアクセス可能な外部記憶装置を設け、その外部記憶装置に年表データベース54cと同等のデータベースを格納してもよい。
【0142】
上記実施形態では、ナビゲーションシステム1が主として車両に設けられたナビゲーション装置10と車両外に設けられた情報提供サーバ50によって構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両内に設けられた車載装置のみによって構成されてもよい。この場合、ナビゲーション装置10のみで構成されてもよいし、ナビゲーション装置10と、その他の車載装置とによって構成されてもよい。
【0143】
ナビゲーション装置10のみによってナビゲーションシステム1が構成される場合、観光場所データベース54bに相当するデータベースと、図2に示す年表データベース54cに相当するデータベースとをHDD14に設けた上で、観光ルート表示キー20aが乗員によって操作された場合にCPU11によって実行される観光ルート提案処理の中で、図3に示すS11〜S13の処理を実行した後、S13:Yesの分岐に続いて、図4に示すS42〜S53に相当する処理を実行し、その後、図3に示すS19,S20の処理を実行し、S20:Yesの分岐に続いて図6に示すS62に相当する処理を実行して、図3に示すS27〜S30の処理を実行するようにしてもよい。
【0144】
また、ナビゲーション装置10とその他の車載装置によってナビゲーションシステム1が構成される場合は、その他の車載装置の構成を図1に示す情報提供サーバ50と同等の構成として、その他の車載装置において図4に示す観光ルート提案処理や図6に示す観光ルート送信処理を実行させてもよい。
【0145】
また、ナビゲーションシステム1が車両内に設けられる場合において、観光場所データベース54bに相当するデータベース及び図2に示す年表データベース54cの少なくともいずれかは、ナビゲーション装置10または車載装置の外部に設けられた外部記憶装置に格納されてもよい。
【0146】
また、ナビゲーション装置10に代えて、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)などの移動可能な移動端末装置を用いてナビゲーションシステム1を構成してもよい。この場合、移動端末装置と情報提供サーバ50とによってナビゲーションシステム1を構成してもよいし、移動端末装置のみによってナビゲーションシステム1を構成してもよい。また、観光場所データベース54bに相当するデータベース及び図2に示す年表データベース54cに相当するデータベースの少なくともいずれかが格納された外部記憶装置を更に備えて、ナビゲーションシステム1を構成してもよい。少なくとも移動端末装置と情報提供サーバ50とによってナビゲーションシステム1を構成する場合は、移動端末装置の構成を図1に示すナビゲーション装置10と同等の構成とし、移動端末装置において図3に示す観光ルート案内処理を実行させてもよい。この場合、車両の現在地の位置情報ではなく、移動端末装置の位置情報と合わせて観光ルート提案要求を移動端末装置から情報提供サーバ50へ送信するようにしてもよい。
【0147】
上記実施形態では、情報提供サーバ50において、車両の現在地から所定の範囲に含まれる観光場所を抽出して、各観光場所に最も共通する歴史上の人物を抽出することにより、車両の現在地付近にゆかりのある人物を特定する場合について説明したが、その車両の現在地付近にゆかりのある人物を特定する方法として、その他の方法が用いられてもよい。たとえば、情報提供サーバ50もしくは外部記憶装置に、各地域毎に、その地域にゆかりのある人物を登録した人物データベースを用意しておき、車両の現在地の位置情報に基づいて、その人物データベースから、その車両の現在地のある地域にゆかりのある人物を特定するようにしてもよい。これによっても、車両の現在地のある地域にゆかりのある人物に関連するイベントがまとめられたストーリーを生成し、そのストーリーに沿った観光ルートを設定することができるので、車両の乗員は、その観光ルートに従って各観光場所を巡回することにより、車両の現在地のある地域にゆかりのある人物をストーリーに沿って感じながら、興味を持って各観光場所を巡回することができる。よって、乗員により強い興味を持たせながら観光場所を巡回させることが可能な観光ルートを案内することができる。
【0148】
また、ナビゲーション装置10に格納されている道路地図データベース14aの地図情報に、各地域に対応付けてその地域にゆかりのある人物を登録しておき、ナビゲーション装置10の中で、車両の現在地のある地域にゆかりのある人物を特定してもよい。この場合、ナビゲーション装置10から情報提供サーバ50へ観光ルート提案要求を送信する際に、車両の現在地の位置情報に代えて、車両の現在地のある地域にゆかりのある人物の人物情報を合わせて送信するようにしてもよい。そして、情報提供サーバ50は、その人物情報に基づいて、車両の現在地のある地域にゆかりのある人物の年表を年表データベース54cから取得するようにしてもよい。なお、上述した人物データベースや、地域にゆかりのある人物の登録された道路地図データベース14aが、請求項3に記載の「場所情報抽出手段」に対応する。
【0149】
上記実施形態では、車両が観光地にある場合に、その車両の現在地の位置情報と合わせてナビゲーション装置10から情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求を送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両の現在地に関わらず乗員が指定した場所の位置情報と合わせてナビゲーション装置10から情報提供サーバ50に対して観光ルート提案要求を送信し、情報提供サーバ50がその乗員が指定した場所の位置情報に基づいてストーリー情報を生成することで、そのストーリー情報に従って、ナビゲーション装置10が乗員の指定した場所における観光ルートの提案を行うようにしてもよい。これにより、乗員が観光地に出発する前に、その観光地における観光ルーツを事前に検討することができ、乗員の興味をより強く持たせることができる。
【0150】
上記実施形態では、情報提供サーバ50において、車両の現在地付近にゆかりのある歴史上の人物を特定し、その人物に関連するイベントからストーリーを生成して、観光ルートを設定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両の現在地付近に関連の深い時代や、その付近に発生した事件などに関連するイベントからストーリーを生成して、観光ルートを設定してもよい。これにより、歴史上の人物に関わらず、いろいろな事柄に対応した観光ルートが設定されるので、より乗員の好みに応じた観光ルートの設定を行うことができる。
【0151】
上記実施形態では、車両の現在地付近に最もゆかりのある歴史上の人物を一人だけ抽出してストーリーを生成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両の現在地付近にゆかりのある歴史上の人物を複数抽出したり、その他、車両の現在地付近にゆかりのある時代や事件なども含めて複数抽出して、これらに関係するストーリーをそれぞれ生成したうえで、複数の観光ルートを設定するようにしてもよい。これにより、より乗員の好みに応じた観光ルートの設定を行うことができる。
【0152】
上記実施形態では、歴史上の人物に関連するイベントを発生順に並べてストーリーを生成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、その並べる順番はストーリーの内容に合わせて適宜設定されるのものであってもよい。例えば、その人物における最も有名なイベントを最後にしたうえで、そのイベントに対して関連の弱いものから強いものへと順番にイベントを並べてもよい。
【0153】
上記実施形態では、本発明をナビゲーションシステム1に適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、目的地までの経路誘導機能を有しておらず、車両に搭乗している乗員に対して観光ルート(観光場所の巡回行程)の案内を行う機能を有する行程案内システムに、本発明は適用可能である。この場合、行程案内システムは、ナビゲーション装置以外の車載装置または移動端末装置と情報提供サーバとによって構成されるものであってもよいし、ナビゲーション装置以外の車載装置または移動端末のみによって構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0154】
1 ナビゲーションシステム(目的地提示システム)
15 現在位置検出装置(現在位置検出手段)
54b 観光場所データベース(場所情報格納手段)
54c 年表データベース(出来事情報格納手段)
S11 (領域設定手段)
S27 (行程案内手段,目的地設定手段,経路出力手段,目的地設定制御手段)
S42 (場所情報抽出手段)
S43 (事柄抽出手段、事柄設定手段)
S44 (出来事情報抽出手段)
S45〜S50 (筋書き生成手段)
S51 (配列手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
場所情報を格納する場所情報格納手段と、
所定の事柄毎に、その事柄に関する出来事を示す出来事情報を格納する出来事情報格納手段と、
前記所定の事柄から一の事柄を設定する事柄設定手段と、
その事柄設定手段により設定される一の事柄に対応する前記出来事情報を前記出来事情報格納手段に格納されている前記出来事情報の中から抽出する出来事情報抽出手段と、
その出来事情報抽出手段により抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報に基づいて、その一の事柄に対する筋書きを生成する筋書き生成手段と、
前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出されると共に、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列する配列手段と、
その配列手段により配列された前記場所情報の順番に従って前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所を巡回する行程を案内する行程案内手段とを備えることを特徴とする行程案内システム。
【請求項2】
一の領域を設定する領域設定手段と、
その領域設定手段により設定される前記一の領域に存在する場所の場所情報を前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出する場所情報抽出手段と、
その場所情報抽出手段により抽出された前記場所情報により示される前記一の領域に存在する場所に関連の深い事柄を抽出する事柄抽出手段とを備え、
前記事柄設定手段は、その事柄抽出手段により抽出された前記一の領域に存在する場所に関連の深い事柄を前記一の事柄として設定するものであり、
前記配列手段は、前記場所情報抽出手段により抽出された前記一の領域に存在する場所の場所情報であって、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列するものであることを特徴とする請求項1記載の行程案内システム。
【請求項3】
一の領域を設定する領域設定手段と、
その領域設定手段により設定される前記一の領域に存在する場所の場所情報を前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出する場所情報抽出手段と、
所定の領域毎に、その領域に関連の深い事柄を示す事柄情報を格納する事柄情報格納手段とを備え、
前記事柄設定手段は、前記領域設定手段により設定される一の領域に関連の深い事柄を示す事柄情報を前記事柄情報格納手段に格納されている前記事柄情報の中から抽出する事柄情報抽出手段を有し、その事柄情報抽出手段により抽出された事柄情報によって示される前記一の領域に関連の深い事柄を前記一の事柄として設定するものであり、
前記配列手段は、前記場所情報抽出手段により抽出された前記一の領域に存在する場所の場所情報であって、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列するものであることを特徴とする請求項1記載の行程案内システム。
【請求項4】
前記筋書き生成手段は、前記出来事情報抽出手段によって抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報から関連性の強い出来事を抽出して、その関連性の強い出来事を中心に前記筋書きを生成するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の行程案内システム。
【請求項5】
前記出来事情報格納手段に格納されている出来事情報のうち所定の出来事情報は、その所定の出来事情報により示される出来事が更に複数の出来事に分割された分割情報を有しており、
前記筋書き生成手段は、前記出来事情報抽出手段によって前記出来事情報格納手段より抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報のうち、前記分割情報を有している出来事情報により示される出来事を中心に前記筋書きを生成するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の行程案内システム。
【請求項6】
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在位置検出手段により検出される前記車両の現在位置から前記目的地設定手段により設定される前記目的地までの経路を設定して出力する経路出力手段と、
場所情報を格納する場所情報格納手段と、
所定の事柄毎に、その事柄に関する出来事を示す出来事情報を格納する出来事情報格納手段と、
前記所定の事柄から一の事柄を設定する事柄設定手段と、
その事柄設定手段により設定される一の事柄に対応する前記出来事情報を前記出来事情報格納手段に格納されている前記出来事情報の中から抽出する出来事情報抽出手段と、
その出来事情報抽出手段により抽出される前記一の事柄に対応する前記出来事情報に基づいて、その一の事柄に対する筋書きを生成する筋書き生成手段と、
前記場所情報格納手段に格納されている前記場所情報から抽出されると共に、前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所の場所情報を、その筋書きに沿って配列する配列手段と、
その配列手段により配列された前記場所情報の順番に従って前記筋書き生成手段により生成される筋書きに関連する場所を巡回ように、順次、その場所を前記目的地として前記目的地設定手段により設定されるよう制御する目的地設定制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−236938(P2010−236938A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83318(P2009−83318)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】