説明

表示パネルドライバ及びそれを用いた表示装置

【課題】駆動電圧の極性切替(極性反転)が可能な表示パネルドライバの消費電力を低減する表示パネルドライバを提供する。
【解決手段】本発明による表示パネルドライバは、表示パネルの画素に接続された第1データ線及び第2データ線を駆動する出力段として、第1電源範囲で駆動する第1出力段24A及び第4出力段24Bを利用する第1モードと、第1電源範囲よりも広い第2電源範囲で駆動する第2出力段73A及び第3出力段73Bを利用する第2モードとを切替える第1スイッチ回路50と、第2モードの間に、正極性駆動電圧と負極性駆動電圧の出力先となるデータ線6を切替える第2スイッチ回路30とを備える。又、第1出力段24Aは、ウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続された第1プルダウン出力トランジスタMN18を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルドライバに関し、特に、表示パネルドライバの出力アンプ回路の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネルを用いる表示装置の近年の課題の1つは、表示パネルを駆動する表示パネルドライバの消費電力の増大である。消費電力の増大の1つの要因は、表示パネルの大きさの増大である。特にテレビの分野では、液晶表示パネルでさえも100インチを越えるものまで出てきている状況であり、今後、この傾向は変わることはないと考えられる。表示パネルの大きさが増大すると、データ線の容量が増大し、これは、データ線を駆動する出力アンプ回路の消費電力の増大を招く。加えて、近年の表示装置では、ドライバの使用個数を減らすために1つの表示パネルドライバの出力数が益々増大する方向にあるため、1つの表示パネルドライバの消費電力が益々増加している。このため、動作時の表示パネルドライバの温度が高くなるという問題が発生するようになってきている。
【0003】
表示パネルドライバの消費電力の増大への1つの対策は、電源電圧VDDに加え、電源電圧VDDと接地電圧VSS(=0V)の中間の電圧(典型的には、電源電圧VDDの半分の中間電源電圧VDD/2)を表示パネルドライバに供給し、中間電源電圧を用いてドライバICの出力アンプを動作させることである。例えば、VDD/2〜VDDの電圧範囲の出力電圧を出力するアンプを中間電源電圧VDD/2と電源電圧VDDにより動作させ、0〜VDD/2の電圧範囲で動作可能なアンプを中間電源電圧VDD/2と接地電圧VSSにより動作させる。これにより、アンプで消費される電力を低減させることができる。このような技術は、例えば、特開2002−175052号公報に開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
図1は、従来技術による演算増幅器回路の構成を示す図である。図1を参照して、従来技術による演算増幅器回路は、電源電圧(VDD)及び接地電圧(VSS)が供給された差動型入力段回路140、240、駆動段回路130、230、スイッチ回路300、400、500、600、PMOSトランジスタMP180、MP280、NMOSトランジスタMN180、MN280を具備する。
【0005】
駆動段回路130は、PMOSトランジスタMP180及びNMOSトランジスタMN180のドレインを介して出力端子110に接続される。同様に、駆動段回路230は、PMOSトランジスタMP280及びNMOSトランジスタMN280のドレインを介して出力端子210に接続される。PMOSトランジスタMP180のソースには正電源電圧VDDが供給され、NMOSトランジスタMN180のソースには、電源電圧VDDの1/2(VDD/2)が供給される。又、PMOSトランジスタMP280のソースには電源電圧VDDの1/2(VDD/2)が供給され、NMOSトランジスタMN280のソースには接地電圧VSSが供給される。
【0006】
スイッチ回路300は、出力端子110、210と奇数端子310及び偶数端子320との間に接続を制御する。スイッチ回路400は、端子410、420と差動型入力段回路140、240における入力端子120、220との接続を制御する。ここで、端子410には正DAC(デジタルアナログコンバータ)から正極性電圧INPが入力され、端子420には、負DACから負極性電圧INNが入力される。スイッチ回路500は、差動型入力段回路140、240と駆動段回路130、230との間の接続を制御する。スイッチ回路600は、出力端子110、210と、差動型入力段回路140、240における入力端子121、221との接続を制御する。
【0007】
従来技術による演算増幅器回路は、スイッチ回路300〜600によって、奇数端子310及び偶数端子320を駆動するアンプ回路の構成をパタン1又はパタン2に変更することができる。詳細には、パタン1の構成の場合、正DACからの正極性電圧INPは、差動型入力段回路140と駆動段回路130とで形成されるアンプ回路に入力され、出力端子110からの出力は、奇数出力Voddとして奇数端子310に出力される。この際、負DACからの負極性電圧INNは、差動型入力段回路240と駆動段回路230とで形成されるアンプ回路に入力され、出力端子210からの出力は、偶数出力Vevenとして偶数端子320に出力される。一方、パタン2の構成の場合、正DACからの正極性電圧INPは、差動型入力段回路240と駆動段回路130とで形成されるアンプ回路に入力され、出力端子110からの出力は、偶数出力Vevenとして偶数端子320に出力される。この際、負DACからの負極性電圧INNは、差動型入力段回路140と駆動段回路230とで形成されるアンプ回路に入力され、出力端子210からの出力は、奇数出力Voddとして奇数端子310に出力される。
【0008】
以上のように、従来技術による演算増幅器回路は動作し、奇数端子310、偶数端子320に接続された容量性負荷を駆動する。この際、差動型入力段回路140、240と駆動段回路130、230は、アンプの特性を決める差動段は性能の良い電源電圧VDD〜接地電圧VSSの電圧範囲で動作し、出力トランジスタであるPMOSトランジスタMP180、MP280、NMOSトランジスタMN180、MN280は、それぞれ電源電圧VDD〜VDD/2、VDD/2〜接地電圧VSSの電圧範囲で動作する。これにより、このように正負各々、出力段の電源電圧を必要最低限の電圧に制限することにより消費電力を削減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−175052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、近年の表示パネルドライバは、一層に消費電力を低減するために、低電圧動作が可能なことが求められている。現在、液晶表示装置のドライバICは15Vで動作することが一般的であるが、ドライバICの発熱を抑制するためには、より低い電源電圧で動作することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による表示パネルドライバは、第1出力段(24A)、第2出力段(73A)、第3出力段(73B)、第4出力段(24B)、第1スイッチ回路(50)、第2スイッチ回路(30)を具備する。第1出力段(24A)は、電源電圧(VDD)と、電源電圧(VDD)より低く接地電圧(VSS)よりも高い第1中間電源電圧(VML)との供給を受けて、入力電圧に応じた正極性駆動電圧を出力する。第2出力段(73A)は、電源電圧(VDD)と接地電圧(VSS)との供給を受けて、入力電圧に応じた正極性駆動電圧を出力する。第3出力段(73B)は、電源電圧(VDD)と接地電圧(VSS)との供給を受けて、入力電圧に応じた負極性駆動電圧を出力する。第4出力段(24B)は、第2中間電源電圧(VMH)と接地電圧(VSS)との供給を受けて、入力電圧に応じた負極性駆動電圧を出力する。第1スイッチ(50)は、表示パネル(2)の画素(8)に接続された第1データ線(6)及び第2データ線(6)を駆動する出力段として、第1出力段(24A)及び第4出力段(24B)を利用する第1モードと、第2出力段(73A)及び第3出力段(73B)を利用する第2モードとを切替える。第2スイッチ回路(30)は、正極性駆動電圧の出力端子と負極性駆動電圧の出力端子の一方を第1データ線(6)に接続し、他方を第2データ線(6)に接続する。ここで、第1出力段(24A)は、第1出力段(24A)の出力端子(11)をプルダウンする第1プルダウン出力トランジスタ(MN18)を備える。第1プルダウン出力トランジスタ(MN18)は、ウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたNMOSトランジスタである。以上のような構成のもと、第2スイッチ回路(30)は、第2モードの間に、正極性駆動電圧と負極性駆動電圧の出力先となるデータ線(6)を切替える。
【0012】
又、本発明による表示装置は、上述の表示パネルドライバ(3)と、表示パネルドライバ(3)によって駆動されるデータ線(6)を有する表示パネル(2)とを具備する。
【0013】
以上のような構成の表示パネルドライバでは、第1出力段(24A)の第1プルダウン出力トランジスタ(MN18)としてウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されていることによって低電圧動作を実現することができる。その一方、本発明では、電源電圧(VDD)から接地電圧(VSS)の範囲で動作する第2出力段(73A)及び第3出力段(73B)をデータ線(6)の駆動に使用している間に、データ線(6)への駆動電圧の極性を切替えている。これにより、第1プルダウン出力トランジスタ(MN18)における寄生バイポーラトランジスタのターンオンの問題を回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のことから、本発明によれば、駆動電圧の極性切替(極性反転)が可能な表示パネルドライバの消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、従来技術によるデータ線ドライバの構成を示す回路図である。
【図2】図2は、本発明による液晶表示装置の一実施形態における構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明によるデータ線ドライバの一実施形態における構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示す出力アンプ回路の構成の一部を示す回路図である。
【図5】図5は、本発明の出力アンプ回路の各スイッチ回路の構成を示す回路図である。
【図6A】図6Aは、図3に示す出力アンプ回路の差動段、正専用出力段及び負専用出力段の構成を示す回路図である。
【図6B】図6Bは、図3に示す出力アンプ回路の差動段、正専用出力段及び負専用出力段の構成を示す回路図である。
【図7】図7は、電源電圧と中間電源電圧とが供給される正専用出力段で使用されるプルダウン出力トランジスタの構造を示す断面図である。
【図8】図8は、中間電源電圧と接地電圧とが供給される負専用出力段で使用されるプルアップ出力トランジスタの構造を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明によって解決される問題点を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明によって解決される問題点を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明による出力アンプ回路の動作(モード切替)の一例を示すタイミングチャートである。
【図12】図12は、本発明による出力アンプ回路における動作(極性切替)の一例を示すタイミングチャートである。
【図13】図13は、本発明による出力アンプ回路の動作の他の一例を示すタイミングチャートである。
【図14】図14は、本発明による出力アンプ回路の動作の更に他の一例を示すタイミングチャートである。
【図15A】図15Aは、本発明の他の実施形態における、差動段、正専用出力段、負専用出力段及び正負共用出力段の構成を示す回路図である。
【図15B】図15Bは、本発明の他の実施形態における、差動段、正専用出力段、負専用出力段及び正負共用出力段の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明が液晶表示パネルのデータ線を駆動するデータ線ドライバの出力アンプ回路(データ線を駆動するアンプを含む回路)に適用された実施形態を説明する。しかしながら、本発明が、他の種類の表示パネルを駆動する表示パネルドライバにも適用可能であることは、当業者には自明的であろう。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態の表示パネルドライバを備えた液晶表示装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、液晶表示装置1が、液晶表示パネル2とデータ線ドライバ3とゲート線ドライバ4とLCDコントローラ5とを備えている。液晶表示パネル2は、データ線6とゲート線7とが設けられており、更に、データ線6とゲート線7とが交差する位置に画素8が配置されている。なお、図1には、2本のデータ線6と、2本のゲート線7と、4つの画素8しか図示されていないが、実際には更に多くのデータ線6、ゲート線7、画素8が液晶表示パネル2に配置されることは、当業者には容易に理解されよう。データ線ドライバ3は、液晶表示パネル2のデータ線6を駆動し、ゲート線ドライバ4は、ゲート線7を駆動する。LCDコントローラ5は、データ線ドライバ3とゲート線ドライバ4とを制御する。又、本実施形態では、1データライン毎に極性が変わるドット反転又はカラム反転での駆動を例示しているが、データライン方向に2ライン毎に極性が変わる2ドット反転等の他の駆動方法にも適用可能であることは、当業者には自明であろう。
【0018】
図3は、データ線ドライバ3の構成を概略的に示すブロック図である。データドライバ3は、ラッチ回路11A、11Bと、レベルシフト回路12A、12Bと、正側D−Aコンバータ(DAC)13Aと、負側D−Aコンバータ13Bと、出力アンプ回路14と、階調電圧生成回路15と出力端子31、32とを備えている。出力端子31には、奇数番目のデータ線6が接続され、出力端子32には、偶数番目のデータ線6が接続される。
【0019】
ラッチ回路11A、11Bは、LCDコントローラ5から送られてくる画素データD(1)〜D(n)をラッチして保存する。ここで、画素データD(2i−1)(iは自然数)とは、ゲート線7に沿って隣接する2つの画素8のうち、「正」の駆動電圧で駆動される画素の階調を指定するデータであり、画素データD(2i)とは、当該2つの画素8のうち、「負」の駆動電圧で駆動される画素の階調を指定するデータである。この説明において、本明細書では、共通電圧VCOMよりも高い駆動電圧を「正」の駆動電圧と呼び、共通電圧VCOMよりも低い駆動電圧を「負」の駆動電圧と呼ぶ。ここで、共通電圧VCOMとは、液晶表示パネル2の対向電極の電圧であり、電源電圧VDDの半分の電圧である中間電源電圧VDD/2と同一、又は中間電源電圧VDD/2に近い電圧に設定される。ラッチ回路11A、11Bの動作は、ストローブ信号STBによって制御され、ストローブ信号STBがアサートされると、ラッチ回路11A、11Bが画素データD(1)〜D(n)をラッチする。ラッチ回路11A、11Bによってラッチされた画素データD(1)〜D(n)は、それぞれ、レベルシフト回路12A、12Bを介して正側DAC13A、負側DAC13Bに転送される。
【0020】
正側DAC13Aは、ラッチ回路11Aから受け取った画素データD(2i−1)に対してデジタル−アナログ変換を行い、画素データD(2i−1)に対応する階調電圧を出力する。詳細には、正側DAC13Aは、階調電圧生成回路15から受け取った階調電圧VGS1〜VGSmのうち画素データD(2i−1)に対応する階調電圧を選択し、選択した階調電圧を出力する。ここで、階調電圧VGS1〜VGSmは、
VCOM≦VGS1<VGS2<・・・<VGSm≦VDD、
が成り立つように決定されている。上述のように、VCOMは、共通電圧であり、VDDは、電源電圧である。
【0021】
同様に、負側DAC13Bは、ラッチ回路11Bから受け取った画素データD(2i)に対してデジタル−アナログ変換を行い、画素データD(2i)に対応する階調電圧を出力する。詳細には、負側DAC13Bは、階調電圧生成回路15から受け取った階調電圧VGS1〜VGSmのうち画素データD(2i)に対応する階調電圧を選択し、選択した階調電圧を出力する。ここで、階調電圧VGS1〜VGSmは、
VSS≦VGSm<VGSm−1<・・・<VGS1≦VCOM、
が成り立つように決定されている。ここで、VSSは、接地電圧VSS(=0V)である。
【0022】
出力アンプ回路14は、正側DAC13A、負側DAC13Bから受け取った階調電圧に対応する駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧を出力端子31、32に出力する。ここで、図2では、奇数番目のデータ線6に出力される駆動電圧がV2i−1と記載され、偶数番目のデータ線6に出力される駆動電圧がV2iと記載されている。一対の出力端子31、32に接続されるデータ線6の一方には正の駆動電圧(共通電圧VCOM以上の駆動電圧:以下、正極性駆動電圧と称す)が供給され、他方には負の駆動電圧(共通電圧VCOM以下の駆動電圧:以下、負極性駆動電圧と称す)が供給される。出力端子31、32に接続されるデータ線6が、それぞれ、正、負の駆動電圧で駆動される場合、正側DAC13Aから受け取った階調電圧(以下、正極性電圧INPと称す)に対応する正の駆動電圧が出力端子31に出力され、負側DAC13Bから受け取った階調電圧(以下、負極性電圧INNと称す)に対応する負の駆動電圧が出力端子32に出力される。一方、出力端子31、32に接続されるデータ線6が、それぞれ、負、正の駆動電圧で駆動される場合、正極性電圧INPに対応する正の駆動電圧が出力端子32に出力され、負極性電圧INNに対応する負の駆動電圧が出力端子31に出力される。
【0023】
図4は、図3に示す出力アンプ回路14の構成の一部を示す回路図である。本発明による出力アンプ回路14は、出力端子31、32を駆動する出力段として、2つの正専用出力段24A、73A及び2つの負専用出力段24B、73Bを備える。正専用出力段24A、73A及び負専用出力段24B、73Bの入力端子61〜68は、中間スイッチ回路50を介して図4では図示しない差動段の出力端子51〜54に接続される。中間スイッチ回路50は、中間スイッチ回路501と中間スイッチ回路502を備える。中間スイッチ回路501は、正極性電圧に応じた差動段出力が出力される出力端子51、52と、正専用出力段24A、73Aの入力端子61〜64との接続を制御する。中間スイッチ回路502は、負極性電圧に応じた差動段出力が出力される出力端子53、54と、負専用出力段24B、73Bの入力端子65〜68との接続を制御する。
【0024】
正専用出力段24Aは、電源電圧VDDと中間電源電圧VML(VDD/2)の供給を受けて、入力端子61、62に入力された電圧に応じた正極性駆動電圧を出力端子11に出力する。正専用出力段73Aは、電源電圧VDDと接地電圧VSSの供給を受けて、入力端子63、64に入力された電圧に応じた正極性駆動電圧を出力端子71に出力する。負専用出力段24Bは、中間電源電圧VMH(VDD/2)と接地電圧VSSの供給を受けて、入力端子67、68に入力された電圧に応じた負極性駆動電圧を出力端子21に出力する。負専用出力段73Bは、電源電圧VDDと接地電圧VSSの供給を受けて、入力端子65、66に入力された電圧に応じた負極性駆動電圧を出力端子81に出力する。
【0025】
正専用出力段24A、73Aの出力端子11、71と、負専用出力段24B、73Bの出力端子21、81は、出力側スイッチ回路30を介して出力端子31、32に接続される。出力側スイッチ回路30は、出力端子31、32の一方を、中間スイッチ回路501によって選択された出力段の出力端子に接続し、他方を、中間スイッチ回路502によって選択された出力段の出力端子に接続する。これにより、出力端子31、32(隣あう2つのデータ線6)に出力される駆動電圧の極性(電圧範囲)を切替えることが可能となる。
【0026】
本発明では、中間スイッチ回路50を制御することで、出力端子31、32(データ線6)を駆動する出力段が選択される。使用する出力段の組み合わせとして、正専用出力段24A及び負専用出力段24Bの出力段対(以下、ハーフVDD出力段対と称す)が選択される第1モードと、正専用出力段73A及び負専用出力段73Bの出力段対(以下、フルVDD出力段対と称す)が選択される第2モードが好適に選択される。
【0027】
第1モードの場合、正極性駆動電圧(VDD/2〜VDDの電圧範囲)を出力する正専用出力段は、中間電源電圧VML(VDD/2)と電源電圧VDDにより動作し、負極性駆動電圧(0〜VDD/2の電圧範囲)を出力する負専用出力段は、中間電源電圧VDD/2と接地電圧VSSにより動作することとなる。この場合、出力アンプ回路14で消費される電力を低減させることができる。
【0028】
一方、第2モードの場合、正極性駆動電圧を出力する正専用出力段は、接地電圧VSSと電源電圧VDDにより動作し、負極性駆動電圧を出力する負専用出力段は、電源電圧VDDと接地電圧VSSにより動作することとなる。この場合、詳細は後述するが、出力端子31、32(データ線)の極性の切替え時に、出力段内の寄生バイポーラトランジスタが動作することを防止することができる。
【0029】
このため、本発明では、出力端子31、32(データ線6)に出力される駆動電圧の極性(電圧範囲)を所定の周期で切替える場合、第2モードで動作している間に出力端子31、32に出力される駆動電圧の極性の切替(以下、単に「極性の切替」と称す)が行われ、その他の極性切替が行われない期間は、第1モードに設定される。これにより、消費電力を低減しつつ、寄生バイポーラトランジスタが動作による誤動作を防止しながら極性の切替えを行うことが可能となる。
【0030】
尚、第1モードと第2モードは任意に設定できる。例えば、消費電力の低減が必要ない場合や出力端子31、32の極性切替周期が短い場合、出力アンプ回路14を第2モードのみに設定することで安定的な出力を得ることができる。あるいは、出力端子31、32の極性の切り替えが不要な場合、消費電力の低減を図るため、出力アンプ回路14を第2モードのみに設定することが好ましい。
【0031】
以下、図5から図8を参照して、本発明による出力アンプ回路14の一実施の形態における構成の詳細を説明する。
【0032】
図5は、本発明の出力アンプ回路の各スイッチ回路の構成を示す回路図である。出力アンプ回路14は、入力側スイッチ回路40、差動段22A、22B、中間スイッチ回路50、正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73B、フィードバック系スイッチ回路60、出力側スイッチ回路30、及び制御回路27を備えている。出力アンプ回路14の入力端子41は、正側DAC13Aの出力に接続され、正側DAC13Aから出力される正の階調電圧(正極性電圧)を受け取る。一方、出力アンプ回路14の入力端子42は、負側DAC13Bの出力に接続され、負側DAC13Bから出力される負の階調電圧(負極性電圧)を受け取る。
【0033】
入力側スイッチ回路40は、入力端子41、42と、差動段22A、22Bの入力端子43、44との間の接続関係を切り替える機能を有している。図5の回路構成では、入力側スイッチ回路40は、4つのスイッチ:スイッチSW401〜SW404を備えている。
【0034】
スイッチSW401、SW402は、正極電圧INPの入力先となる差動段を選択するスイッチとして機能し、スイッチSW403、SW404は、負極電圧INNの入力先となる差動段を選択するスイッチとして機能する。
【0035】
中間スイッチ回路50は、差動段22A、22Bの出力端子51〜54と、正専用出力段24A、73Aの入力端子61〜64及び負専用出力段24B、73Bの入力端子67〜66との間の接続関係を切り換える機能を有している。図5の回路構成では、中間スイッチ回路50は、16個のスイッチ:スイッチSW501〜SW516を備えている。
【0036】
スイッチSW501〜SW504は、差動段22Aの出力端子51、52と接続する正専用出力段を選択するスイッチとして機能し、スイッチSW509〜SW512は、差動段22Bの出力端子53、54と接続する正専用出力段を選択するスイッチとして機能する。すなわち、スイッチSW501〜SW504、SW509〜SW509は、駆動電圧を出力する正専用出力段を選択する中間スイッチ回路501として機能する。
【0037】
同様に、スイッチSW505〜SW508は、差動段22Aの出力端子51、52と接続する負専用出力段を選択するスイッチとして機能し、スイッチSW513〜SW516は、差動段22Bの出力端子53、54と接続する負専用出力段を選択するスイッチとして機能する。すなわち、スイッチSW505〜SW508、SW513〜SW516は、駆動電圧を出力する負専用出力段を選択する中間スイッチ回路502として機能する。
【0038】
フィードバック系スイッチ回路60は、正専用出力段24A、73Aの出力端子11、71及び負専用出力段24B、73Bの出力端子21、81と、差動段22A、22Bの入力端子45、46との間の接続関係を切り替える機能を有している。図5の回路構成では、フィードバック系スイッチ回路60は、8つのスイッチ:スイッチSW601〜SW608を備えている。フィードバック系スイッチ回路60は、正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73Bの出力電圧を差動段22A、22Bのいずれにフィードバックするかを切り換える役割を有している。
【0039】
スイッチSW601、SW603、SW607、SW605のそれぞれは、出力端子11、71、81、21と、差動段22Aの入力端子45との接続を制御し、正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73Bの出力電圧の1つを選択して差動段22Aにループバックする。
【0040】
同様に、スイッチSW602、SW604、SW608、SW606のそれぞれは、出力端子11、71、81、21と、差動段22Bの入力端子46との接続を制御し、正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73Bの出力電圧の1つを選択して差動段22Bにループバックする。
【0041】
更に、出力側スイッチ回路30は、正専用出力段24A、73Aの出力端子11、71及び負専用出力段24B、73Bの出力端子21、81と、出力アンプ回路14の出力端子31、32との接続関係を切り換える機能を有している。図5の回路構成では、出力側スイッチ回路30は、6つのスイッチSW301〜SW306を備えている。
【0042】
スイッチSW301、SW303、SW307、SW305のそれぞれは、出力端子11、71、81、21と、出力端子31との接続を制御し、正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73Bの出力電圧の1つを選択して出力端子31に接続する。
同様に、スイッチSW302、SW304、SW308、SW306のそれぞれは、出力端子11、71、81、21と、出力端子32との接続を制御し、正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73Bの出力電圧の1つを選択して出力端子32に接続する。
【0043】
制御回路27は、入力側スイッチ回路40、中間スイッチ回路50、フィードバック系スイッチ回路60、及び出力側スイッチ回路30の各スイッチのオンオフを、極性信号POL、正専用出力段選択信号POS1_EN、POS2_EN、負専用出力段選択信号NEG1_EN、NEG2_ENに応答して制御する。
【0044】
ここで、極性信号POLとは、各出力端子31、32から出力される駆動電圧の極性を指定する信号である。一実施形態では、極性信号POLがHighレベルである場合、出力端子31、32から、それぞれ、正、負の駆動電圧が出力されるように各スイッチが制御され、一方、極性信号POLがLowレベルである場合、出力端子31、32から、それぞれ、負、正の駆動電圧が出力されるように各スイッチが制御される。
【0045】
又、正専用出力段選択信号POS1_ENとは、正専用出力段73Aの動作を許可する信号であり、正専用出力段選択信号POS2_ENとは、正専用出力段24Aの動作を許可する信号である。負専用出力段選択信号NEG1_ENとは、負専用出力段73Bを選択する信号であり、負専用出力段選択信号NEG2_ENとは、負専用出力段24Bを選択する信号である。制御回路27は、中間スイッチ回路50、フィードバック系スイッチ回路60、及び出力側スイッチ回路30の各スイッチを正専用出力段選択信号POS1_EN、POS2_EN、負専用出力段選択信号NEG1_EN、NEG2_ENに応答して制御する。
【0046】
図6A及び図6Bは、出力アンプ回路14の差動段22A、22Bと、正専用出力段24A、73Aと、負専用出力段24B、73Bの構成を詳細に示す図である。差動段22Aは、Rail−to−Rail構成、即ち、接地電圧VSS以上電源電圧VDD以下の範囲の入力電圧に対応可能な構成を有している。
【0047】
NMOSトランジスタMN11、MN12は、それぞれのゲートがスイッチ回路60、入力端子43に接続され、N受け差動対を形成する。定電流源I11は、接地電圧VSSが供給され、N受け差動対トランジスタ(NMOSトランジスタMN11、MN12)にバイアス電流を供給する。PMOSトランジスタMP11、MP12は、それぞれのゲートがスイッチ回路60、入力端子43に接続され、P受け差動対を形成する。定電流源I12は、電源電圧VDDが供給され、P受け差動対トランジスタ(PMOSトランジスタMP11、MP12)にバイアス電流を供給する。NMOSトランジスタMN11及びPMOSトランジスタのゲートは、スイッチ回路60によって、出力端子11、71、81、21のいずれかに接続される。
【0048】
PMOSトランジスタMP15、MP16のソースは電源端子25(電源電圧VDD)に共通接続され、ドレインはN受け差動対トランジスタ(NMOSトランジスタMN11、MN12)のそれぞれのドレインに接続される。又、PMOSトランジスタMP15のドレインは、スイッチSW11及びPMOSトランジスタMP13を介して浮遊電流源I13に接続される。更に、PMOSトランジスタMP15、MP16のゲートは、浮遊電流源I13及びPMOSトランジスタMP13のドレインに共通接続される。これにより、PMOSトランジスタMP15、MP16は、ホールデッドカスコード接続の能動負荷として機能する。尚、PMOSトランジスタMP13のゲートにはバイアス電圧BP2が供給される。
【0049】
NMOSトランジスタMN15、MN16のソースは電源端子26(電源電圧VSS)に共通接続され、ドレインはP受け差動対トランジスタ(PMOSトランジスタMP11、MP12)のそれぞれのドレインに接続される。又、NMOSトランジスタMN15のドレインは、スイッチSW12及びNMOSトランジスタMN13を介して浮遊電流源I13に接続される。更に、NMOSトランジスタMN15、MN16のゲートは、浮遊電流源I13及びNMOSトランジスタMN13のドレインに共通接続される。これにより、NMOSトランジスタMN15、MN16は、ホールデッドカスコード接続の能動負荷として機能する。尚、NMOSトランジスタMN13のゲートにはバイアス電圧BN2が供給される。
【0050】
スイッチSW11は、NMOSトランジスタMN11、PMOSトランジスタMP15の動作条件と、NMOSトランジスタMN12、PMOSトランジスタMP16の動作条件とを対称にするためにスイッチS301、S305のダミースイッチとして挿入されたスイッチであり、常にオンにされる。例えば、スイッチSW11がないと、PMOSトランジスタMP15、MP16のドレイン電圧に差が生じ、出力アンプ回路14のオフセット電圧の発生の原因になり得る。スイッチSW11は、このような問題を解消するために用いられている。スイッチSW12も同様に、スイッチS302、S306のダミースイッチとして挿入されたスイッチであり、常にオンにされる。スイッチSW11、12は省略可能であるが、スイッチSW11、12によって出力アンプ回路14の差動バランスをとることができるため、挿入されることが好ましい。
【0051】
NMOSトランジスタMN12及びPMOSトランジスタMP16のドレインは、出力端子51に接続され、スイッチSW501、SW503、SW505、SW507のそれぞれを介して、出力段の入力端子61、63、67、65に接続される。PMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN16のドレインは、出力端子52に接続され、スイッチSW502、SW504、SW506、SW508のそれぞれを介して、出力段の入力端子62、64、68、66に接続される。以上のような構成により、差動段22Aは、入力端子43に入力された入力電圧Vin1及び入力端子43にフィードバックされた出力電圧に応じた出力電圧を出力する。
【0052】
同様に、差動段22Bも、Rail−to−Rail構成、即ち、接地電圧VSS以上電源電圧VDD以下の範囲の入力電圧に対応可能な構成を有している。ただし、差動段22Aにおける、NMOSトランジスタMN11〜MN13、MN15、MN16、PMOSトランジスタMP11〜MP13、MP15、MP16、定電流源I11、I12、浮遊電流源I13、スイッチSW11、SW12、SW501〜SW508、バイアス電圧BP12、BN12、出力端子51、52、入力端子43、45、及び入力電圧Vin1は、それぞれ、NMOSトランジスタMN21〜MN23、MN25、MN26、PMOSトランジスタMP21〜MP23、MP25、MP26、定電流源I21、I22、浮遊電流源I23、スイッチSW21、SW22、SW509〜SW518、バイアス電圧BP22、BN22、出力端子53、54、入力端子44、46、及び入力電圧Vin2に読み替える。
【0053】
正専用出力段24Aは、入力端子61、62の電圧に応答して、所望の正極性駆動電圧(即ち、VGS1以上VGSm以下の駆動電圧)を出力可能であるように構成される。この正専用出力段24Aには中間電源電圧VML(VDD/2)と電源電圧VDDが供給され、正専用出力段24Aは中間電源電圧VML(VDD/2)と電源電圧VDDの間の電圧範囲で動作する。
【0054】
図6Aの構成では、正専用出力段24Aは、NMOSトランジスタMN14、MN17、MN18と、PMOSトランジスタMP14、MP17、MP18と、キャパシタC11、C12とで構成される。
【0055】
PMOSトランジスタMP17とNMOSトランジスタMN17のドレイン及びソースは相互に接続され、それぞれゲートにバイアス電圧BP11、BN11が供給されることで浮遊電流源として機能する。PMOSトランジスタMP14のゲートはバイアス定電圧源(バイアス電圧BP12)に接続され、ドレインは浮遊電流源(PMOSトランジスタMP17とNMOSトランジスタMN17)の一端に接続される。NMOSトランジスタMN14のゲートはバイアス定電圧源(バイアス電圧BN12)に接続され、ドレインは浮遊電流源(PMOSトランジスタMP17とNMOSトランジスタMN17)の他端に接続される。又、PMOSトランジスタMP14のソースはキャパシタC11を介して出力端子11に接続され、NMOSトランジスタMN14のソースはキャパシタC12を介して出力端子11に接続される。
【0056】
ここで、正専用出力段24AのPMOSトランジスタMP14と、差動段22AのPMOSトランジスタMP13には同一のバイアス電圧BP12が供給され、正専用出力段24AのPMOSトランジスタMN14と、差動段22AのNMOSトランジスタMN13には同一のバイアス電圧BN12が供給されることに留意されたい。
【0057】
PMOSトランジスタMP18のドレインとNMOSトランジスタMN18のドレインは出力端子11を介して接続される。PMOSトランジスタMP18のゲートは浮遊電流源の一端(及びPMOSトランジスタMP14のドレイン)に接続され、ソースは電源端子25(電源電圧VDD)に接続される。NMOSトランジスタMN18のゲートは浮遊電流源の他端(及びNMOSトランジスタMN14のドレイン)に接続され、ソースは電源電圧VML(VDD/2)が供給される電源端子に接続される。
【0058】
正専用出力段24Aにおいて、PMOSトランジスタMP18は、出力端子11をプルアップするための出力トランジスタとして機能し、NMOSトランジスタMN18は、出力端子11をプルダウンするための出力トランジスタとして機能する。又、出力端子11の電圧は、NMOSトランジスタMN17、PMOSトランジスタMP17で構成される浮遊電流源の両端の電圧に応じて決定される。また、キャパシタC11、C12は、出力端子11から出力される駆動電圧の位相を補償するための位相補償容量として機能する。
【0059】
正専用出力段73Aは、入力端子63、64の電圧に応答して、所望の正極性駆動電圧(即ち、VGS1以上VGSm以下の駆動電圧)を出力可能であるように構成される。この正専用出力段73Aには接地電圧VSSと電源電圧VDDが供給され、正専用出力段73Aは接地電圧VSSと電源電圧VDDの間の電圧範囲で動作する。
【0060】
図6Aの構成では、正専用出力段73Aは、NMOSトランジスタMN74、MN77、MN78と、PMOSトランジスタMP74、MP77、MP78と、キャパシタC71、C72とで構成される。
【0061】
PMOSトランジスタMP77とNMOSトランジスタMN77のドレイン及びソースは相互に接続され、それぞれゲートにバイアス電圧BP11、BP12が供給されることで2端子の浮遊電流源として機能する。PMOSトランジスタMP74のゲートはバイアス定電圧源(バイアス電圧BP12)に接続され、ドレインは浮遊電流源(PMOSトランジスタMP77とNMOSトランジスタMN77)の一端に接続される。NMOSトランジスタMN74のゲートはバイアス定電圧源(バイアス電圧BN12)に接続され、ドレインは浮遊電流源(PMOSトランジスタMP77とNMOSトランジスタMN77)の他端に接続される。又、PMOSトランジスタMP74のソースはキャパシタC11を介して出力端子71に接続され、NMOSトランジスタMN74のソースはキャパシタC12を介して出力端子71に接続される。
【0062】
ここで、正専用出力段73AのPMOSトランジスタMP74と、差動段22AのPMOSトランジスタMP13には同一のバイアス電圧BP12が供給され、正専用出力段73AのPMOSトランジスタMN74と、差動段22AのNMOSトランジスタMN13には同一のバイアス電圧BN12が供給されることに留意されたい。
【0063】
PMOSトランジスタMP78のドレインとNMOSトランジスタMN78のドレインは出力端子71を介して接続される。PMOSトランジスタMP78のゲートは浮遊電流源の一端(及びPMOSトランジスタMP74のドレイン)に接続され、ソースは電源端子25(電源電圧VDD)に接続される。NMOSトランジスタMN78のゲートは浮遊電流源の他端(及びNMOSトランジスタMN74のドレイン)に接続され、ソースは電源端子26(接地電圧VSS)に接続される。
【0064】
正専用出力段73Aにおいて、PMOSトランジスタMP78は、出力端子71をプルアップするための出力トランジスタとして機能し、NMOSトランジスタMN78は、出力端子71をプルダウンするための出力トランジスタとして機能する。又、出力端子71の電圧は、NMOSトランジスタMN77、PMOSトランジスタMP77で構成される浮遊電流源の両端の電圧に応じて決定される。また、キャパシタC71、C72は、出力端子71から出力される駆動電圧の位相を補償するための位相補償容量として機能する。
【0065】
一方、負専用出力段24Bは、入力端子65、66の電圧に応答して、所望の負極性駆動電圧(即ち、VGSm以上VGS1以下の駆動電圧)を出力可能であるように構成される。この負専用出力段24Bには接地電圧VSSと中間電源電圧VMH(VDD/2)とが供給され、負専用出力段24Bは接地電圧VSSと中間電源電圧VMH(VDD/2)の間の電圧範囲で動作する。
【0066】
負専用出力段24Bは、正専用出力段24Aと同様な構成である。ただし、負専用出力段24Bにおける、NMOSトランジスタMN14、MN17、MN18、PMOSトランジスタMP14、MP17、MP18、キャパシタC11、C12、電源端子25(電源電圧VDD)、電源電圧VML、バイアス電圧BP11、BP12、BN11、BN12は、それぞれ、NMOSトランジスタMN24、MN27、MN28、PMOSトランジスタMP24、MP27、MP28、キャパシタC21、C22、電源電圧VMH、電源端子26(接地電圧VSS)、バイアス電圧BP21、BP22、BN21、BN22に読み替える。
【0067】
又、負専用出力段73Bも同様に、入力端子67、68の電圧に応答して、所望の負極性駆動電圧(即ち、VGSm以上VGS1以下の駆動電圧)を出力可能であるように構成される。この負専用出力段73Bには接地電圧VSSと電源電圧VDDとが供給され、負専用出力段73Bは接地電圧VSSと電源電圧VDDの間の電圧範囲で動作する。
【0068】
負専用出力段73Bは、正専用出力段73Aと同様な構成である。ただし、正専用出力段73AにおけるNMOSトランジスタMN74、MN77、MN78、PMOSトランジスタMP74、MP77、MP78、キャパシタC71、C72、電源電圧VML、バイアス電圧BP11、BP12、BN11、BN12は、それぞれ、NMOSトランジスタMN84、MN87、MN88、PMOSトランジスタMP84、MP87、MP88、キャパシタC81、C82、電源端子26(接地電圧VSS)、バイアス電圧BP21、BP22、BN21、BN22に読み替える。
【0069】
又、本発明では、上述の構造に加えて下記の4つのアプローチによって第1モードにおける低電圧動作が実現されている。
(1)正専用出力段24Aの出力端子11をプルダウンする出力トランジスタであるNMOSトランジスタMN18として、ウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたNMOSトランジスタを使用する。
(2)正専用出力段24Aの浮遊電流源のNMOSトランジスタMN17として、NMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたNMOSトランジスタを使用する。
(3)負専用出力段24Bの出力端子21をプルアップする出力トランジスタであるPMOSトランジスタMP28として、ウェルが他のPMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたPMOSトランジスタを使用する。
(4)負専用出力段24Bの浮遊電流源のPMOSトランジスタMP27として、ウェルが他のPMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたPMOSトランジスタを使用する。
【0070】
図6A及び図6Bを参照して、ウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続された2つのNMOSトランジスタMN17、MN18と、ウェルが他のPMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続された2つのPMOSトランジスタMP24、MP28が、破線の円によって強調して図示されていることにも留意されたい。
【0071】
図7は、正専用出力段24Aで使用されるプルダウン出力トランジスタ(NMOSトランジスタMN18)の構造を示す断面図である。NMOSトランジスタMN18は、Pウェル103(HV_PWell)上に形成されたP拡散領域105及びN拡散領域106、107と、ゲート108を備える。P拡散領域105はウェルコンタクトとして機能し、中間電源電圧VML(VDD/2)をPウェル103(バックゲート)に供給する。N拡散領域106は、中間電源電圧VMLが供給される電源端子に接続され、ソース領域を形成する。N拡散領域106は、出力端子11に接続され、ドレイン領域を形成する。Pウェル103は、基板101(P_sub)上のNウェル層102(Deep_Nwell)において他のNMOSトランジスタから分離されて形成される。又、Nウェル層102上には、電源電圧VDDが供給されるN拡散領域104が形成される。説明は省略するが、NMOSトランジスタMN17の構造もNMOSトランジスタMN18と同様である。尚、図7から図10及び本明細書における右上添字「+」は、高濃度ドープを意味している。
【0072】
図8は、負専用出力段24Bで使用されるプルアップ出力トランジスタ(PMOSトランジスタMP28)の構造を示す断面図である。PMOSトランジスタMP18は、Nウェル202(HV_NWell)上に形成されたN拡散領域203及びP拡散領域204、205と、ゲート206を備える。P拡散領域105はウェルコンタクトとして機能し、中間電源電圧VMH(VDD/2)をNウェル202(バックゲート)に供給する。P拡散領域204は、中間電源電圧VMHが供給される電源端子に接続され、ソース領域を形成する。P拡散領域205は、出力端子21に接続され、ドレイン領域を形成する。Nウェル202は、基板201(P_sub)上において他のPMOSトランジスタから分離されて形成される。説明は省略するが、PMOSトランジスタMP27の構造もPMOSトランジスタMP28と同様である。
【0073】
NMOSトランジスタMN17、MN18としてウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたNMOSトランジスタを使用することにより、NMOSトランジスタMN17、MN18のゲート−ソース間電圧の低減が可能になり、正専用出力段24Aを低電圧動作させることが可能になる。加えて、PMOSトランジスタMP27、28として、ウェルが他のPMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたPMOSトランジスタを使用することにより、PMOSトランジスタMN27、MN28のゲート−ソース間電圧(の絶対値)の低減が可能になり、負専用出力段24Bを低電圧動作させることが可能になる。
【0074】
尚、電源電圧VDDと接地電圧VSSとの範囲で動作する正専用出力段73Aのプルダウン出力トランジスタであるNMOSトランジスタMN78のバックゲートに接地電圧VSSが供給されることが好ましい。同様に、電源電圧VDDと接地電圧VSSとの範囲で動作する負専用出力段73Bのプルアップ出力トランジスタであるPMOSトランジスタMP88のバックゲートに、電源電圧VDDが供給されることが好ましい。
【0075】
ここで、図9及び図10を参照して、本発明によって解決される問題点について説明する。本発明による出力アンプ回路14は、消費電力を低減するために、電源電圧VDDと中間電源電圧(VDD/2)の電圧範囲で駆動する出力段(正専用出力段24A及び負専用出力段24B)を利用する第1モードに設定されるが、この間、極性の切り替えが行われると、下記に示す理由により誤動作を起こす場合がある。
【0076】
第1モードで動作中に極性の切り替えが行われると、正専用出力段24Aの出力端子11の接続先が、直前まで負極性駆動電圧が供給されていた他の出力端子に接続されることとなる。この場合、図9に示すように、出力端子11に中間電源電圧VML(VDD/2)より低い電圧V2iが接続先の出力端子(データ線6)から印加される。
【0077】
例えば、出力端子32が負極性駆動電圧V2i(<VDD/2)で駆動された後に出力端子32を正極性駆動電圧に切り替える場合、出力端子32を正専用出力段24Aの出力端子11に接続した瞬間に正専用出力段24Aの出力端子11に、中間電源電圧VML(VDD/2)よりも低い電圧V2iが印加される。この場合、図9に示されているように、NMOSトランジスタMN18のソース及びバックゲートに中間電源電圧VML(VDD/2)が供給されている状態で、NMOSトランジスタMN18のドレインに中間電源電圧VML(VDD/2)よりも低い電圧(駆動電圧V2i)が印加されることになる。
【0078】
ここで、NMOSトランジスタMN18は、ウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されている。このため、図9に示されているように、NMOSトランジスタMN18のドレインに中間電源電圧VML(VDD/2)よりも低い電圧が印加されると、N拡散領域104、Pウェル103、及びN拡散領域107(ドレイン領域)で形成される寄生NPNトランジスタのベース−エミッタ間に順方向バイアスが印加され、寄生NPNトランジスタがオンすることがある。寄生NPNトランジスタがオンすることは、ラッチアップ等、出力アンプ回路14の動作に不具合をきたす恐れがあるため、好ましくない。
【0079】
同様に、第1モードで動作中に極性の切り替えが行われると、負専用出力段24Bの出力端子21の接続先が、直前まで正極性駆動電圧が供給されていた他の出力端子に接続されることとなる。この場合、図10に示すように、出力端子21に中間電源電圧VMH(VDD/2)より高い電圧V2i−1が接続先の出力端子(データ線6)から印加される。
【0080】
例えば、出力端子31が正極性駆動電圧V2i−1(>VDD/2)で駆動された後に出力端子31を負極性駆動電圧に切り替える場合、出力端子31を負専用出力段24Bの出力端子21に接続した瞬間に負専用出力段24Bの出力端子21に、中間電源電圧VMH(VDD/2)よりも高い電圧V2i−1が印加される。この場合、図10に示されているように、PMOSトランジスタMP28のソース及びバックゲートに中間電源電圧VMH(VDD/2)が供給されている状態で、PMOSトランジスタMP28のドレインに中間電源電圧VMH(VDD/2)よりも高い電圧(駆動電圧V2i−1)が印加されることになる。
【0081】
ここで、PMOSトランジスタMP28は、ウェルが他のPMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されている。このため、図10に示されているように、PMOSトランジスタMP28のドレインに中間電源電圧VMH(VDD/2)よりも高い電圧が印加されると、P拡散領域205(ドレイン領域)、Nウェル202、及び基板201(P_sub)で形成される寄生PNPトランジスタのベース−エミッタ間に順方向バイアスが印加され、寄生PMPトランジスタがオンすることがある。寄生PMPトランジスタがオンすることは、ラッチアップ等、出力アンプ回路14の動作に不具合をきたす恐れがあるため、好ましくない。
【0082】
本発明による出力アンプ回路14では、駆動電圧範囲の異なる出力段を用意し、極性の切り替えタイミングを適切にすることで上記2つの問題を解決している。本発明では、電源電圧VDDと接地電圧VSSの供給を受けて動作する正専用出力段73Aを用意し、極性を切替えるときに出力端子31、32を駆動する出力段として、これを使用することで寄生NPNトランジスタのターンオンの発生を防止する。これにより上述した正専用出力段24Aの問題は解決される。又、電源電圧VDDと接地電圧VSSの供給を受けて動作する負専用出力段73Bを用意し、極性を切替えるときに出力端子31、32を駆動する出力段として、これを使用することで寄生PNPトランジスタのターンオンの発生を防止する。これにより上述した負専用出力段24Bの問題は解決される。
【0083】
一方、出力端子31、32が、一旦、正又は負の駆動電圧に駆動された後では、正専用出力段24A及び負専用出力段24Bを出力端子31、32(及びそれに接続されているデータ線6)の駆動用の出力段として利用することで、消費電力の低減効果を奏することができる。
【0084】
続いて、図5、図6A及び図6Bに示す本発明による出力アンプ回路14の動作を説明する。
出力アンプ回路14は、出力端子31、32の一方に正極性駆動電圧を出力し、他方に負極性駆動電圧を出力する。出力端子31、32のそれぞれに出力される駆動電圧の極性は、極性信号POLに応答して所定の水平期間毎(例えば、1水平期間毎)に切り換えられる。駆動電圧の極性が1水平期間毎に切り換える場合、ドット反転駆動が行われることになる。
【0085】
正の駆動電圧を出力端子31に出力し、負の駆動電圧を出力端子32に出力する場合(即ち、奇数番目のデータ線6に正の駆動電圧を出力し、偶数番目のデータ線6に負の駆動電圧を出力する場合)、正専用出力段24A又は正専用出力段73Aの一方の出力端子が出力端子31に接続され、負専用出力段24B又は負専用出力段73Bの一方の出力端子が出力端子32に接続される。第1モードの場合、正専用出力段24Aの出力端子11が出力端子31に接続され、負専用出力段24Bの出力端子21が出力端子32に接続される。あるいは、第2モードの場合、正専用出力段73Aの出力端子71が出力端子31に接続され、負専用出力段73Bの出力端子81が出力端子32に接続される。
【0086】
この場合、出力アンプ回路14は、入力端子41に正側DAC13Aから供給された正の階調電圧(正極性電圧INP)と同一の極性の駆動電圧(正極性駆動電圧)を出力端子31に出力し、入力端子42に負側DAC13Bから供給された負の階調電圧(負極性電圧INN)と同一の極性の駆動電圧(負極性駆動電圧)を出力端子32に出力するボルテッジフォロアとして動作する。
【0087】
一方、負の駆動電圧を出力端子31に出力し、正の駆動電圧を出力端子32に出力する場合(即ち、奇数番目のデータ線6に負の駆動電圧を出力し、偶数番目のデータ線6に正の駆動電圧を出力する場合)、正専用出力段24A又は正専用出力段73Aの一方の出力端子が出力端子32に接続され、負専用出力段24B又は負専用出力段73Bの一方の出力端子が出力端子31に接続される。第1モードの場合、正専用出力段24Aの出力端子11が出力端子32に接続され、負専用出力段24Bの出力端子21が出力端子31に接続される。あるいは、第2モードの場合、正専用出力段73Aの出力端子71が出力端子32に接続され、負専用出力段73Bの出力端子81が出力端子31に接続される。
【0088】
この場合、出力アンプ回路14は、入力端子41に正側DAC13Aから供給された正の階調電圧(正極性電圧INP)と同一の極性の駆動電圧(正極性駆動電圧)を出力端子32に出力し、入力端子42に負側DAC13Bから供給された負の階調電圧(負極性電圧INN)と同一の極性の駆動電圧(負極性駆動電圧)を出力端子31に出力するボルテッジフォロアとして動作する。
【0089】
このとき、出力アンプ回路14の振幅差偏差を低減するために、入力端子41、42、差動段22A、22B、正専用出力段24A、73A及び負専用出力段24B、73Bの接続関係が適宜の周期で切り換えられることが好ましい。ここで、「振幅差偏差」とは、画素データの階調値が同一である場合の正の駆動電圧と負の駆動電圧の絶対値の大きさの差をいう。ただし、駆動電圧の絶対値は、共通電圧VCOMを基準として定義される、即ち、駆動電圧の絶対値とは、駆動電圧と共通電圧VCOMとの差の絶対値を意味していることに留意されたい。一実施形態では、第1モードの期間中に、下記の2つの接続状態(A)、(B)が適宜の周期で繰り返され、第2モードの期間中に、下記の2つの接続状態(C)、(D)が適宜の周期で繰り返される。これにより、出力アンプ回路14の振幅差偏差が低減される:
【0090】
接続状態(A):
接続状態(A)では、入力端子41が差動段22Aの入力端子43(反転入力)に接続され、差動段22Aの出力端子51、52が正専用出力段24Aの入力端子61、62に接続され、正専用出力段24Aの出力端子11が差動段22Aの入力端子45(非反転入力)に接続される。更に、入力端子42が差動段22Bの入力端子44(非反転入力)に接続され、差動段22Bの出力端子53、54が負専用出力段24Bの入力端子65、66に接続され、負専用出力段24Bの出力端子21が差動段22Bの入力端子46(反転入力)に接続される。
【0091】
接続状態(B):
一方、接続状態(B)では、入力端子41が差動段22Bの入力端子44(非反転入力)に接続され、差動段22Bの出力端子53、54が正専用出力段24Aの入力端子61、62に接続され、正専用出力段24Aの出力端子11が差動段22Bの入力端子46(反転入力)に接続される。更に、入力端子42が差動段22Aの入力端子43(反転入力)に接続され、差動段22Aの出力端子51、52が負専用出力段24Bの入力端子65、66に接続され、負専用出力段24Bの出力端子21が差動段22Aの入力端子45(非反転入力)に接続される。
【0092】
接続状態(C):
接続状態(C)では、入力端子41が差動段22Aの入力端子43(反転入力)に接続され、差動段22Aの出力端子51、52が正専用出力段73Aの入力端子63、64に接続され、正専用出力段73Aの出力端子71が差動段22Aの入力端子45(非反転入力)に接続される。更に、入力端子42が差動段22Bの入力端子44(非反転入力)に接続され、差動段22Bの出力端子53、54が負専用出力段73Bの入力端子67、68に接続され、負専用出力段73Bの出力端子81が差動段22Bの入力端子46(反転入力)に接続される。
【0093】
接続状態(D):
一方、接続状態(D)では、入力端子41が差動段22Bの入力端子44(非反転入力)に接続され、差動段22Bの出力端子53、54が正専用出力段73Aの入力端子63、64に接続され、正専用出力段73Aの出力端子71が差動段22Bの入力端子46(反転入力)に接続される。更に、入力端子42が差動段22Aの入力端子43(反転入力)に接続され、差動段22Aの出力端子51、52が負専用出力段73Bの入力端子67、68に接続され、負専用出力段73Bの出力端子81が差動段22Aの入力端子45(非反転入力)に接続される。
【0094】
ここで、接続状態(A)、(B)のいずれにおいても、入力端子41に供給された正の階調電圧に対応した正の駆動電圧が正専用出力段24Aの出力端子11に出力され、入力端子42に供給された負の階調電圧に対応した負の駆動電圧が負専用出力段24Bの出力端子21に出力される。同様に、接続状態(C)、(D)のいずれにおいても、入力端子41に供給された正の階調電圧に対応した正の駆動電圧が正専用出力段73Aの出力端子71に出力され、入力端子42に供給された負の階調電圧に対応した負の駆動電圧が負専用出力段73Bの出力端子81に出力される。一実施形態では、第1モードの期間中において接続状態(A)、(B)が所定の水平期間毎に切り換えられ、第2モードの期間中において接続状態(C)、(D)が所定の水平期間毎に切り換えられる。
【0095】
このような動作によれば、出力アンプ回路14の振幅差偏差を低減することができる。例えば、差動段22Aのオフセット電圧を+α、差動段22Bのオフセット電圧を+β、そして、正の駆動電圧の期待値をVp、負の駆動電圧の期待値をVnとして考える。差動段22Aが常に正専用出力段24Aに接続され、差動段22Bが常に負専用出力段24Bに接続される場合には、振幅差偏差ΔVAMPは、下記式(1)で算出される:
ΔVAMP=(Vp+α)−(Vn+β)
=(Vp−Vn)−(α+β). ・・・(1)
【0096】
一方、上述のように入力端子41、42、差動段22A、22B、正専用出力段24A及び負専用出力段24Bの接続関係が切り換えられる場合、出力端子31についての振幅差偏差ΔVAMP_Aは、下記式(2A)で算出される:
ΔVAMP_A=(Vp+α)−(Vn+α)
=(Vp−Vn). ・・・(2A)
ここで、出力端子31からの駆動電圧の生成には差動段22Aのみが使用され、差動段22Bは使用されないことに留意されたい。
【0097】
同様に、出力端子32についての振幅差偏差ΔVAMP_Bは、下記式(2B)で算出される:
ΔVAMP_B=(Vp+β)−(Vn+β)
=(Vp−Vn). ・・・(2B)
ここで、出力端子31からの駆動電圧の生成には差動段22Bのみが使用され、差動段22Aは使用されないことに留意されたい。
【0098】
入力端子41、42、差動段22A、22B、正専用出力段24A、73A及び負専用出力段24B、73Bの接続関係を切り換えることにより、出力アンプ回路14の振幅差偏差を低減することができることは、式(1)と式(2A)、(2B)の比較から理解されよう。
【0099】
次に、図11及び図12を参照して、第1モード及び第2モードの切り替えタイミング及び出力端子31、32に出力される駆動電圧の極性の切り替えタイミングについて説明する。図11は、本発明による出力アンプ回路の動作(モード切替)の一例を示すタイミングチャートである。
【0100】
本発明では、低消費電力化を実現するため、ハーフVDD出力段対(正専用出力段24A、負専用出力段24B)を利用する一方、極性の切り替え時に寄生バイポーラトランジスタがターンオンするハーフVDD出力段対の問題を解消するため、極性の切り替えタイミングの直前又は同時的に、出力端子31、32を駆動する出力段をフルVDD出力段対(正専用出力段73A、負専用出力段73B)に切替える。
【0101】
図11の動作例では、駆動電圧の極性が2水平期間毎に切り替えられる、いわゆる2H反転駆動が行われている。2H反転駆動では、極性信号POLが2水平期間毎に反転される。本一例では、奇数番目の水平期間(第2k−1水平期間(kは自然数):H1、H3、・・・)においては直前の水平期間と極性が反対の駆動電圧で各データ線6が駆動され、偶数番目の水平期間(第2k水平期間:H2、H4、・・・)においては直前の水平期間と極性が反対の駆動電圧で各データ線6が駆動される。すなわち、第2k水平期間から第2k−1水平期間に移行する時刻T2k−1(T1、T3、T5・・・)において、極性切替信号POLは反転し、出力端子31、32に出力される極性が切り替わる。又、第2k−1水平期間から第2k水平期間に移行する時刻T2k(T2、T4、・・・)において、極性切替信号POLの信号レベルは反転せず、出力端子31、32に出力される極性は変更せずに維持される。
【0102】
第2k−1水平期間(H1、H3、・・・)の開始と共にストローブ信号STBがアサートされて、第2k−1水平期間に駆動される画素8の画素データD(1)〜D(n)がラッチ回路11A、11Bに取り込まれる(時刻T2k−1:T1、T3、・・)。このとき、ストローブ信号STBのアサートと共に、正専用出力段選択信号POS1_EN及び負専用出力段選択信号NEG1_ENがアサートされ、正専用出力段選択信号POS2_EN及び負専用出力段選択信号NEG2_ENがネゲートされる。これにより、駆動電圧を発生する出力段として正専用出力段73Aと負専用出力段73Bとが選択される(第2モード)。続いて、正専用出力段73Aから正の駆動電圧が出力され、負専用出力段73Bから負の駆動電圧が出力される。
【0103】
一方、第2k水平期間(H2、H4、・・・)の開始と共にストローブ信号STBがアサートされて、第2k−1水平期間に駆動される画素8の画素データD(1)〜D(n)がラッチ回路11A、11Bに取り込まれる(時刻T2k:T2、T4、・・)。このときストローブ信号STBのアサートと共に、正専用出力段選択信号POS2_EN及び負専用出力段選択信号NEG2_ENがアサートされ、正専用出力段選択信号POS1_EN及び負専用出力段選択信号NEG1_ENがネゲートされる。これにより、駆動電圧を発生する出力段として正専用出力段24Aと負専用出力段24Bとが選択される(第1モード)。続いて、正専用出力段24Aから正の駆動電圧が出力され、負専用出力段24Bから負の駆動電圧が出力される。第1モードの場合、中間電源電圧VML、VMH(VDD/2)を用いて動作する正専用出力段24A及び負専用出力段24Bを使用することは、消費電力の低減に有効である。
【0104】
図12は、図11に示すモード切替動作中における極性切替動作の一例を示すタイミングチャートである。一実施の形態における出力側スイッチ回路30は、極性切替信号POL及びストローブ信号STBに応じて制御される。図12に示す一例では、出力側スイッチ回路30は、ストローブ信号STBに応じた1水平期間毎に各スイッチのオンオフが切替えられる。各スイッチの切替動作は、極性切替信号POLの立上がりエッジ、立下りエッジ、ハイレベルの維持、ローレベルの維持のいずれかの状態に応じて決まる。
【0105】
時刻T1において極性切替信号POLがハイレベルに遷移してからの1水平期間(H1):
スイッチSW303、SW308がONとなり、その他のスイッチSW301、SW302、SW304〜SW307はOFFとなる。これにより、正専用出力段73Aの出力端子71と出力端子31、負専用出力段73Bの出力端子81と出力端子32が接続され、正専用出力段73Aからの正極性駆動電圧が出力端子31に出力され、負専用出力段73Bからの負極性駆動電圧が出力端子32に出力される。時刻T1では、出力端子31、32に出力される駆動電圧の極性が切り替わる。
【0106】
前水平期間からハイレベルを維持する1水平期間(H2):
スイッチSW301、SW306がONとなり、その他のスイッチSW302〜SW305、SW307、SW308はOFFとなる。これにより、正専用出力段24Aの出力端子11と出力端子31、負専用出力段24Bの出力端子21と出力端子32が接続され、正専用出力段24Aからの正極性駆動電圧が出力端子31に出力され、負専用出力段24Bからの負極性駆動電圧が出力端子32に出力される。
【0107】
時刻T3において極性切替信号POLがローレベルに遷移してからの1水平期間(H3):
スイッチSW304、SW307がONとなり、その他のスイッチSW301〜SW303、SW305、SW306、SW308はOFFとなる。これにより、正専用出力段73Aの出力端子71と出力端子32、負専用出力段73Bの出力端子81と出力端子31が接続され、正専用出力段73Aからの正極性駆動電圧が出力端子32に出力され、負専用出力段73Bからの負極性駆動電圧が出力端子31に出力される。時刻T3では、出力端子31、32に出力される駆動電圧の極性が切り替わる。
【0108】
前水平期間からローレベルを維持する1水平期間(H4):
スイッチSW302、SW305がONとなり、その他のスイッチSW301、SW303、SW304、SW306〜SW308はOFFとなる。これにより、正専用出力段24Aの出力端子11と出力端子32、負専用出力段24Bの出力端子21と出力端子31が接続され、正専用出力段24Aからの正極性駆動電圧が出力端子32に出力され、負専用出力段24Bからの負極性駆動電圧が出力端子31に出力される。
【0109】
時刻T2k−1において極性が切り替わるため、接続先のデータ線6側から正専用出力段73Aに負の駆動電圧が印加され、接続先のデータ線6側から負専用出力段73Bに正の駆動電圧が印加される。しかし、第2モードの場合、正専用出力段73AのNMOSトランジスタMN78のバックゲートには接地電圧VSSが印加され、負専用出力段73BのPMOSトランジスタMP88のバックゲートには、電源電圧VDDが印加されている。このため、NMOSトランジスタMN78の寄生NPNバイポーラトランジスタ、及びPMOSトランジスタMP88の寄生PNPバイポーラトランジスタはオンにならない。従って、本発明による出力アンプ回路14では、極性の切り替えが行われても、ハーフVDD出力段対で問題となった寄生バイポーラトランジスタがオンになるという問題は発生しない。
【0110】
以上のように、本発明によれば、ハーフVDD出力段対を用いることで消費電力の低減を実現しつつ、極性の切り替えにおける寄生バイポーラトランジスタのターンオンの問題を解消することができる。
【0111】
本発明では、第2モードに設定されている間(フルVDD出力段対が使用されている間)に、極性切替が行われるように制御されれば、極性切替やモード切替のタイミングは任意に設定可能である。例えば、図13に示すように、出力端子31、32を駆動する出力段が、水平期間の途中で切り換えられる動作も可能である。図13は、このような動作をする場合のタイミングチャートである。
【0112】
図13に示す動作は、図11に示す動作を同様であるが、以下の点で異なる。すなわち、正専用出力段選択信号POS1_EN及び負専用出力段選択信号NEG1_ENのネゲートのタイミングと、正専用出力段選択信号POS2_EN及び負専用出力段選択信号NEG2_ENのアサートのタイミングが任意の時刻に設定される。これにより、フルVDD出力段対を用いる第2モードの時間を短縮し、ハーフVDD出力段対を用いる第1モードの時間を延長でき、低消費電力の効果を高めることができる。
【0113】
例えば、第2モードの期間として、水平期間の開始後から所定時間が経過した固定期間が設定されてもよい。あるいは、出力端子31、32(又はデータ線6)の電圧値に応じて第1モードに切替えられても良い。この場合、寄生バイポーラトランジスタの動作を防止する観点から、正専用出力段24Aの接続先となる出力端子(データ線6)の電圧が、中間電源電圧VDD/2よりの低い電圧となり、負専用出力段24Bの接続先となる出力端子(データ線6)の電圧が、中間電源電圧VDD/2よりの高い電圧となったときに、使用する出力段を切替える必要がある。このため、各出力端子31、32の電圧を検知する構成を用意し、正の駆動電圧に駆動されるべきデータ線6に接続された出力端子31又は32の電圧が中間電源電圧VDD/2よりも高くなったことが検知され、且つ負の駆動電圧に駆動されるべきデータ線6に接続された出力端子31又は32の電圧が中間電源電圧VDD/2よりも低くなったことが検知されると第2モードから第1モードに切替えられる。このような動作は、中間電源電圧VDD/2より低い電圧が正専用出力段24Aの出力に印加されること、及び中間電源電圧VDD/2より高い電圧が負専用出力段24Bの出力に印加されることを確実に防ぎ、また、フルVDD出力段対が使用される時間をなるべく短くするために有効である。
【0114】
又、図14に示すように、本発明による出力アンプ回路14は、極性の切替周期が短い場合(1H反転駆動)や使用者のニーズに応じて、フルVDD出力段対(正専用出力段73A、負専用出力段73B)のみを利用する第3パタンに設定されても良い。更には、極性の切り替えがない場合、出力アンプ回路14は、更なる低消費電力化を図るため、ハーフVDD出力段対(正専用出力段24A、負専用出力段24B)のみを利用した第4パタンに設定されても良い。
【0115】
最終的な表示装置の製造者には、中間電源電圧を供給して消費電力の低減を望む製造者と、中間電源電圧を供給せずに装置構成の簡略化を望む製造者とがいる。その一方で、中間電源電圧の供給に対応した構成の表示パネルドライバと中間電源電圧の供給に対応していない構成の表示パネルドライバの両方を製造することは、それぞれの製造コストを増大させてしまう。本発明によれば、各スイッチ回路を任意に制御することでデータ線6を駆動する出力段を任意に選択することができるため、上述のような製造者の要望に応じて構成を変更することが可能となり、製造コストを低減することができる。このようなコスト低減は、表示パネルドライバの製造者にとっても最終的な表示装置の製造者にとっても好ましい。
【0116】
以上、本発明の様々な実施形態が記載されているが、本発明は、上述の実施形態に限定して解釈してはならない。例えば、正専用出力段24Aの出力トランジスタであるPMOSトランジスタMP18、NMOSトランジスタMN18のゲートを駆動する回路部分、負専用出力段24Bの出力トランジスタであるPMOSトランジスタMP28、NMOSトランジスタMN28のゲートを駆動する回路部分の構成、正専用出力段73Aの出力トランジスタであるPMOSトランジスタMP78、NMOSトランジスタMN78のゲートを駆動する回路部分、負専用出力段73Bの出力トランジスタであるPMOSトランジスタMP88、NMOSトランジスタMN88のゲートを駆動する回路部分の構成が様々に変更可能であることは、当業者には自明的であろう。加えて、差動段22A、22Bの構成が様々に変更可能であることも、当業者には自明的であろう。
【0117】
図15A及び図15Bは、本発明の他の実施の形態における、差動段22A、22B、正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73Bの構成を示す図である。図15A及び図15Bに示す正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73B、中間スイッチ回路50、出力側スイッチ回路60の構成は、図6A及び図6Bに示す構成と同じである。
【0118】
図15Aに示す差動段22Aは、ソースに電源電圧VDDが供給されるPMOSトランジスタMP15、MP16、ソースに接地電圧VSSが供給されるNMOSトランジスタMN15、MN16、ソースが定電流源I11を介して電源端子26(接地電圧VSS)に接続されるNMOSトランジスタMN11、MN12、ソースが定電流源I12を介して電源端子(電源電圧VDD)に接続されるPMOSトランジスタMP11、MP12、及び位相補償用のキャパシタC31、C32を備える。
【0119】
PMOSトランジスタMP11、MP12は差動対を形成し、NMOSトランジスタMN15、MN16は、その能動負荷を形成する。又、NMOSトランジスタMN11、MN12は差動対を形成する。PMOSトランジスタMP14、MP15と、NMOSトランジスタMN14、MN15はそれぞれカレントミラー回路を形成し、これらの出力は、NMOSトランジスタMN13、MN14のドレインに接続される。更に、入力端子43は、NMOSトランジスタMN11及びPMSトランジスタMP11のゲートに接続され、入力端子45は、NMOSトランジスタMN12及びPMOSトランジスタMP12のゲートに接続される。又、NMOSトランジスタMN16のドレインは、出力端子51を介してスイッチSW501、SW503、SW505、SW507に接続され、PMOSトランジスタMP16のドレインは、出力端子52を介してスイッチSW502、SW504、SW506、SW508に接続される。キャパシタC31は出力端子51と入力端子45との間に接続され、キャパシタC32は、出力端子52と入力端子45との間に接続される。これにより、出力端子51、52に出力される電圧の位相が補償される。
【0120】
又、図15Bに示す差動段22Bは、ソースに電源電圧VDDが供給されるPMOSトランジスタMP25、MP26、ソースに接地電圧VSSが供給されるNMOSトランジスタMN25、MN26、ソースが定電流源I21を介して電源端子26(接地電圧VSS)に接続されるNMOSトランジスタMN21、MN22、ソースが定電流源I22を介して電源端子(電源電圧VDD)に接続されるPMOSトランジスタMP21、MP22、及び位相補償用のキャパシタC41、C42を備える。構成は、差動段22Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0121】
図15A及び図15Bの構成においては、位相補償用容量であるキャパシタC31、C32、C41、C42が、出力段ではなく差動段22A、22Bに設けられている。位相補償容量を差動段22A、22Bに設ける構成は、位相補償容量の数を低減させるために有効である。図6A及び図6Bに図示された位相補償容量を出力段に設ける構成では、8つの位相補償容量が必要であるが、図15A及び図15Bに図示された位相補償容量を差動段22A、22Bに設ける構成では、4つの位相補償容量しか必要にならない。なお、位相補償容量を差動段22A、22Bに設ける構成は、図6A及び図6Bの構成にも適用可能であることに留意されたい。
【0122】
図15A及び図15Bの構成でも、基本的な動作は図5、図6A及び図6Bの構成と同じである。正専用出力段24A、73A、負専用出力段24B、73B、差動段22A、22Bの構成は、図15A及び図15Bに示されている例以外にも様々に変更可能であることは、当業者には容易に理解されよう。
【0123】
また、本実施形態では、中間電源電圧VML、VMHとして電源電圧VDD/2の半分の電圧が使用されているが、中間電源電圧VML、VMHは、厳密に電源電圧VDD/2の半分の電圧である必要はないことに留意されたい。中間電源電圧VML、VMHは、正の階調電圧のうちの最低の階調電圧VGS1より低く、負の階調電圧のうちの最低の階調電圧VGS1より高い電圧であればよい。更に中間電源電圧VMLと中間電源電圧VMHは同じ値でなくても構わない。
【0124】
更に、上述の実施の形態では、正専用出力段、負専用出力段の数をそれぞれ2つずつ(対)で用意したがその数に限らず、それぞれN個(Nは2以上の整数)用意してもよい。この場合も、N個のフルVDD出力段を利用する第1モードの間に、極性切替を行い、他の期間は、低消費電力のため、N個のハーフVDD出力段を利用する第2モードに切替えることが好ましい。
【符号の説明】
【0125】
1 :液晶表示装置
2 :液晶表示パネル
3 :ドライバ
4 :ゲート線ドライバ
5 :LCDコントローラ
6 :データ線
7 :ゲート線
8 :画素
11、21、31、32、51〜54、71、81:出力端子
11A、11B:ラッチ回路
12A、12B:レベルシフト回路
13A:正側D−Aコンバータ
13B:負側D−Aコンバータ
14:出力アンプ回路
15:階調電圧生成回路
22A、22B:差動段
24A、73A:正専用出力段
24B、73B:負専用出力段
25、26:電源端子
27:制御回路
30:出力側スイッチ回路
40:入力側スイッチ回路
41〜46、61〜68:入力端子
50、501、502:中間スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧と、前記電源電圧より低く接地電圧よりも高い第1中間電源電圧との供給を受けて、入力電圧に応じた正極性駆動電圧を出力する第1出力段と、
前記電源電圧と前記接地電圧との供給を受けて、入力電圧に応じた正極性駆動電圧を出力する第2出力段と、
前記電源電圧と前記接地電圧との供給を受けて、入力電圧に応じた負極性駆動電圧を出力する第3出力段と、
前記電源電圧より低く接地電圧よりも高い第2中間電源電圧と前記接地電圧との供給を受けて、入力電圧に応じた負極性駆動電圧を出力する第4出力段と、
表示パネルの画素に接続された第1データ線及び第2データ線を駆動する出力段として、前記第1出力段及び前記第4出力段を利用する第1モードと、前記第2出力段及び前記第3出力段を利用する第2モードとを切替える第1スイッチ回路と、
前記正極性駆動電圧の出力端子と前記負極性駆動電圧の出力端子の一方を第1データ線に接続し、他方を第2データ線に接続する第2スイッチ回路と
を具備し、
前記第1出力段は、前記第1出力段の出力端子をプルダウンする第1プルダウン出力トランジスタを備え、
前記第1プルダウン出力トランジスタは、ウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたNMOSトランジスタであり、
前記第2スイッチ回路は、前記第2モードの間に、前記正極性駆動電圧と前記負極性駆動電圧の出力先となるデータ線を切替える
表示パネルドライバ。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルドライバにおいて、
前記第1出力段は、
前記第1出力段の出力端子をプルアップするPMOSトランジスタである第1プルアップ出力トランジスタと、
前記第1プルダウン出力トランジスタのゲートと前記第1プルアップ出力トランジスタのゲートとの間にソース及びドレインが接続され、
ウェルが他のNMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたNMOSトランジスタを有する第1浮遊電流源と
を備える
表示パネルドライバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示パネルドライバにおいて、
前記第4出力段は、前記第4出力段の出力端子をプルアップする第2プルアップ出力トランジスタを備え、
前記第2プルアップ出力トランジスタは、ウェルが他のPMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたPMOSトランジスタである
表示パネルドライバ。
【請求項4】
請求項3に記載の表示パネルドライバにおいて、
前記第4出力段は、
前記第1出力段の出力端子をプルダウンするNMOSトランジスタである第2プルダウン出力トランジスタと、
前記第2プルアップ出力トランジスタのゲートと前記第2プルダウン出力トランジスタのゲートとの間にソース及びドレインが接続され、ウェルが他のPMOSトランジスタから分離され、バックゲートがソースに接続されたPMOSトランジスタを有する第2浮遊電流源と
を備える
表示パネルドライバ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の表示パネルドライバにおいて、
前記正極性駆動電圧は、前記電源電圧より低く前記接地電圧より高い共通電圧と前記電源電圧との間に定められた第1電圧範囲の駆動電圧であり、
前記負極性駆動電圧は、前記接地電圧と前記共通電圧との間に定められた第2電源範囲の駆動電圧である
表示パネルドライバ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の表示パネルドライバにおいて、
前記第1スイッチ回路は、
前記第1出力段又は前記第2出力段の一方を、差動段からの正極電圧の入力先として選択する第1スイッチと、
前記第3出力段又は前記第4出力段の一方を、差動段からの負極電圧の入力先として選択する第2スイッチと、
を備え、
前記第2スイッチ回路は、前記第1スイッチによって選択された出力段からの正極性駆動電圧の出力先となるデータ線と、前記第2スイッチによって選択された出力段からの負極性駆動電圧の出力先となるデータ線とを、極性切替信号に応じて切替える
表示パネルドライバ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の表示パネルドライバにおいて、
前記第1スイッチ回路は、所定の周期で前記第1モードと前記第2モードを切替える
表示パネルドライバ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の表示パネルドライバにおいて、
前記第1スイッチ回路は、前記第1データ線と前記第2データ線の少なくとも一方の電圧値に応じて前記第1モードと前記第2モードを切替える
表示パネルドライバ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の表示パネルドライバと、
前記表示パネルドライバによって駆動される前記第1データ線及び前記第2データ線を備える表示パネルと
を具備する
表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate


【公開番号】特開2012−42757(P2012−42757A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184359(P2010−184359)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】