説明

表示装置及びその製造方法

【課題】歩留まりの低下を防止して、製造工程の簡素化を図ることが可能になるとともに、製造コストの低減を図ることができる表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】液晶表示装置1は、アクティブマトリクス基板2とアクティブマトリクス基板2に対向して配置された対向基板3と、アクティブマトリクス基板2及び対向基板3の間に設けられた液晶層4とを備えている。アクティブマトリクス基板2には、絶縁基板6と、絶縁基板6に設けられた透明電極31と、透明電極31の表面上に設けられた反射電極32とが設けられている。そして、透明電極31の、反射電極32と接する表面に複数のディンプル33が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の反射構造を有する表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等のモバイル型端末やノート型パソコン等の各種電子機器の表示装置として、薄くて軽量であるとともに、低電圧で駆動でき、かつ消費電力が少ないという長所を有する液晶表示装置が広く使用されている。
【0003】
また、この液晶表示装置として、バックライトを必要とせず、外光の反射を利用して画像を表示する反射型の液晶表示装置が使用されているが、この反射型液晶表示装置は、外光を光源として使用しているため、暗い室内等では画像が見え難くなってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、暗い場所ではバックライトを使用し、明るい場所では外光の反射を利用して画像を表示する半透過型の液晶表示装置が使用されている。この半透過型の液晶表示装置は、透過型と反射型との両方のモードで表示する機能をもったものであり、バックライトを有するために暗い場所でも視認性が高いという透過型の液晶表示装置の特徴と、周囲光を利用するために低消費電力であるという反射型の液晶表示装置の特徴とを合わせもつものである。特に、携帯電話等のモバイル型端末においては、消費電力を低下させるために、半透過型の液晶表示装置が多く用いられている。
【0005】
また、一般的に、液晶表示装置は、複数の画素電極及びTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)がマトリクス状に配設されたアクティブマトリクス基板と、共通電極を有する対向基板と、それら両基板間に挟持されるように設けられた液晶層とを備えている。そして、各画素電極に所定の電荷を書き込むことにより、各画素電極と共通電極との間の液晶層からなる液晶容量に所定の電圧を印加し、その印加電圧に応じて液晶層を構成する液晶分子の配向状態が変わることを利用して、画像表示を行うものである。
【0006】
そして、半透過型の液晶表示装置では、画像の最小単位である画素を構成する上記各画素電極が、透明電極と反射電極とにより構成され、透明電極によってバックライトからの光を透過して透過モードの表示を行い、反射電極によって周囲光を反射して反射モードの表示を行っている。
【0007】
ここで、これらの反射型及び半透過型の液晶表示装置においては、外光の反射特性を向上させるとの観点から、反射電極の下方にディンプル(窪み)を有する構造が採用されている。より具体的には、例えば、アクティブマトリクス基板の絶縁基板に形成された透明電極と、透明電極上に形成されるとともに、光感光性樹脂からなる有機絶縁膜と、有機絶縁膜上に形成された反射電極とを備え、反射電極の下方にディンプル(窪み)構造を有する半透過型の液晶表示装置が開示されている。そして、この液晶表示装置においては、絶縁基板上に光感光性樹脂を塗布し、その塗布された光感光性樹脂を、フォトマスクを介して露光した後、現像することにより、反射電極の下方に配置された有機絶縁膜の表面に複数のディンプルが形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−347219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載の液晶表示装置においては、上述のごとく、ディンプルが形成された高価な有機絶縁膜を設ける必要があるため、液晶表示装置の製造コストが高くなってしまうという問題があった。また、有機絶縁膜を設けるとともに、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する必要があるため、製造工程が複雑化するとともに、液晶表示装置の製造コストが高くなってしまうという問題があった。更に、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する際に、異物の混入や、光感光性樹脂の塗布、膜厚差、および使用する現像液等に起因するムラが発生してしまい、液晶表示装置の歩留まりが低下するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減を図ることができるとともに、歩留まりの低下を防止できる表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1基板と、第1基板に対向して配置された第2基板と、第1基板及び第2基板の間に設けられた表示媒体層とを備えた表示装置であって、第1基板は、絶縁基板と、絶縁基板に設けられた透明電極と、透明電極の表面上に設けられた反射電極とを備え、透明電極の、反射電極と接する表面に複数のディンプルが形成されていることを特徴とする。
【0011】
同構成によれば、透明電極自体にディンプルを形成するため、ディンプルが形成された高価な有機絶縁膜を設ける必要がなくなる。その結果、表示装置の製造コストの低減を図ることが可能になる。また、有機絶縁膜を設ける工程、及び有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になるため、製造工程の簡素化を図ることが可能になるとともに、製造コストの低減を図ることが可能になる。更に、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になるため、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程における異物の混入や、光感光性樹脂の塗布、膜厚差、および使用する現像液等に起因するムラの発生を回避できる。従って、表示装置の歩留まりの低下を防止することが可能になる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表示装置であって、ディンプルは、透明電極の、反射電極と接する表面に対して水素プラズマ処理を行うことにより形成されることを特徴とする。
【0013】
同構成によれば、水素プラズマ処理という簡単な方法で、透明電極の表面にディンプルを確実に形成することが可能になる。
【0014】
また、本発明の請求項1または請求項2に記載の表示装置は、歩留まりの低下を防止して、製造工程の簡素化を図ることが可能になるとともに、製造コストの低減を図ることができるという優れた特性を備えている。従って、請求項3に記載の発明のように、請求項1または請求項2に記載の表示装置であって、反射型あるいは半透過型の液晶表示装置に好適に使用される。
【0015】
請求項4に記載の発明は、第1基板と、該第1基板に対向して配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた表示媒体層とを備える表示装置の製造方法であって、第1基板が備える絶縁基板に透明電極を形成する工程と、透明電極の表面に複数のディンプルを形成する工程と、複数のディンプル上に反射電極を形成する工程とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0016】
同構成によれば、透明電極自体にディンプルが形成されるため、ディンプルが形成された高価な有機絶縁膜を設ける必要がなくなる。その結果、表示装置の製造コストの低減を図ることが可能になる。また、有機絶縁膜を設ける工程、及び有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になるため、製造工程の簡素化を図ることが可能になるとともに、製造コストの低減を図ることが可能になる。更に、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になるため、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程における異物の混入や、光感光性樹脂の塗布、膜厚差、および使用する現像液等に起因するムラの発生を回避できる。従って、表示装置の歩留まりの低下を防止することが可能になる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の表示装置の製造方法であって、ディンプルを形成する工程において、透明電極の表面に対して水素プラズマ処理を施すことにより、ディンプルを形成することを特徴とする。
【0018】
同構成によれば、水素プラズマ処理という簡単な方法で、透明電極の表面にディンプルを確実に形成することが可能になる。
【0019】
また、本発明の請求項4または請求項5に記載の表示装置の製造方法は、歩留まりの低下を防止して、製造工程の簡素化を図ることが可能になるとともに、製造コストの低減を図ることができるという優れた特性を備えている。従って、請求項6に記載の発明のように、請求項4または請求項5に記載の表示装置の製造方法であって、反射型あるいは半透過型の液晶表示装置の製造方法に好適に使用される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光の反射構造を有する表示装置において、歩留まりの低下を防止して、製造工程の簡素化を図ることが可能になるとともに、製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の等価回路図であり、図2は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の断面図である。また、図3は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の表示部の断面図である。
【0023】
液晶表示装置1は、図3に示すように、第1基板であるアクティブマトリクス基板2と、当該アクティブマトリクス基板2に対向して配置された第2基板である対向基板3と、アクティブマトリクス基板2及び対向基板3の間に挟持して設けられた表示媒体層である液層層4とを備えている。また、アクティブマトリクス基板2及び対向基板3を互いに接着するとともに、アクティブマトリクス基板2及び対向基板3の間に液晶層4を封入するために枠状に設けられたシール材(不図示)を備えている。
【0024】
アクティブマトリクス基板2は、図1、図2に示すように、ガラス基板等の絶縁基板6と、当該絶縁基板6上に互いに平行に延びるように設けられた複数のゲート線11と、各ゲート線11を覆うように設けられたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上に各ゲート線11と直交する方向に互いに平行に延設された複数のソース線14と、各ゲート線11及び各ソース線14の交差部分毎にそれぞれ設けられた複数のTFT5と、各ソース線14及び各TFT5を覆うように設けられた層間絶縁膜15と、層間絶縁膜15上にマトリクス状に設けられ、各TFT5の各々に接続された複数の画素電極19と、各画素電極19を覆うように設けられた配向膜9とを備えている。
【0025】
また、TFT5は、図2に示すように、各ゲート線11が側方に突出したゲート電極17と、ゲート電極17を覆うように設けられたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上でゲート電極17に重なる位置において島状に設けられた半導体層13と、半導体層13上で互いに対峙するように設けられたソース電極18及びドレイン電極20とを備えている。ここで、ソース電極18は、各ソース線14の側方に突出した部分である。また、ドレイン電極20は、図2に示すように、層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホール30を介して画素電極19に接続されている。また、画素電極19は、図3に示すように、層間絶縁膜15上に設けられた透明電極31と、透明電極31上に積層され、透明電極31の表面上に設けられた反射電極32とにより構成されている。また、半導体層13は、図2に示すように、下層の真性アモルファスシリコン層13aと、その上層のリンがドープされたnアモルファスシリコン層13bとを備え、ソース電極18及びドレイン電極20から露出する真性アモルファスシリコン層13aがチャネル領域を構成している。
【0026】
また、アクティブマトリクス基板2及びそれを備えた液晶表示装置1の表示部では、図3に示すように、反射電極32により反射領域Rが規定され、反射電極32から露出する透明電極31により透過領域Tが規定されている。
【0027】
対向基板3は、図3に示すように、ガラス基板等の絶縁基板21と、絶縁基板21上に設けられたカラーフィルター層22と、カラーフィルター層22の反射領域Rにおいて、反射領域R及び透過領域Tにおける光路差を補償するための透明層23と、カラーフィルター層22の透過領域T及び透明層23(即ち、反射領域R)覆うように設けられた共通電極24と、共通電極24上に柱状に設けられたフォトスペーサ25と、共通電極24及びフォトスペーサ25を覆うように設けられた配向膜26とを備えている。なお、カラーフィルター層22には、各画素に対して設けられた赤色層R、緑色層G、および青色層Bの着色層(不図示)と、遮光膜であるブラックマトリクス(不図示)とが含まれる。
【0028】
液晶層4は、例えば、電気光学特性を有するネマチックの液晶材料等により構成されている。
【0029】
上記構成の半透過型の液晶表示装置1は、反射領域Rにおいて対向基板3側から入射する光を反射電極32で反射するとともに、透過領域Tにおいてアクティブマトリクス基板2側から入射するバックライト(不図示)からの光を透過するように構成されている。
【0030】
そして、液晶表示装置1は、各画素電極毎に1つの画素が構成されており、各画素において、ゲート線11からゲート信号が送られてTFT5をオン状態にした場合に、ソース線14からソース信号が送られてソース電極18及びドレイン電極20を介して、画素電極19に所定の電荷が書き込まれ、画素電極19と共通電極24との間で電位差が生じ、液晶層4に所定の電圧が印加されるように構成されている。そして、液晶表示装置1では、印加された電圧の大きさに応じて、液晶分子の配向状態が変わることを利用して、バックライトから入射する光の透過率を調整することにより、画像が表示される構成となっている。
【0031】
ここで、本実施形態においては、図3に示すように、反射領域Rにおいて、画素電極19の下層の透明電極31の表面が凹凸状に形成されている点に特徴がある。より具体的には、反射領域Rにおいて、絶縁基板6に設けられた透明電極31の、反射電極32と接する表面に複数のディンプル33が形成されている点に特徴がある。このディンプル33は、反射領域Rにおいて、反射特性(または、散乱特性)を向上させるために設けられるものである。
【0032】
このように、本実施形態においては、透明電極31自体にディンプル33を形成するため、上記従来技術とは異なり、ディンプルが形成された高価な有機絶縁膜を設ける必要がなくなる。
【0033】
また、上記従来技術とは異なり、有機絶縁膜を設ける工程、及び当該有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になる。
【0034】
更に、上記従来技術とは異なり、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になるため、当該ディンプルを形成する工程における異物の混入や、光感光性樹脂の塗布、膜厚差、および使用する現像液等に起因するムラの発生を回避できる。
【0035】
なお、ディンプル33は、後述するように、層間絶縁膜15上に透明電極31を形成した後、透明電極31の、反射電極32と接する表面に対して水素プラズマ処理を行うことにより形成される。このように、本実施形態においては、水素プラズマ処理という簡単な方法で、透明電極31の表面にディンプル33を確実に形成することが可能になる。
【0036】
次に、本実施形態の液晶表示装置の製造方法について一例を挙げて説明する。図4は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置における透明電極の表面に形成されたディンプルを示す電子顕微鏡写真である。なお、本実施形態の製造方法は、アクティブマトリクス基板作製工程、対向基板作製工程、及び基板貼り合わせ工程を備える。
【0037】
<アクティブマトリクス基板作製工程>
まず、絶縁基板6の全体に、スパッタリング法により、例えば、チタン膜、アルミニウム膜及びチタン膜などを順に成膜し、その後、フォトリソグラフィによりパターニングして、ゲート線11及びゲート電極17を厚さ4000Å程度に形成する。
【0038】
続いて、ゲート線11及びゲート電極17が形成された基板全体に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、例えば、窒化シリコン膜などを成膜し、ゲート絶縁膜12を厚さ4000Å程度に形成する。
【0039】
さらに、ゲート絶縁膜12が形成された基板全体に、プラズマCVD法により、例えば、真性アモルファスシリコン膜(厚さ2000Å程度)、及びリンがドープされたnアモルファスシリコン膜(厚さ500Å程度)を連続して成膜し、その後、フォトリソグラフィによりゲート電極17上に島状にパターニングして、真性アモルファスシリコン層及びnアモルファスシリコン層が積層された半導体形成層を形成する。
【0040】
そして、上記半導体形成層が形成された基板全体に、スパッタリング法により、例えば、アルミニウム膜及びチタン膜などを順に成膜し、その後、フォトリソグラフィによりパターニングして、ソース線14、ソース電極18及びドレイン電極20を厚さ2000Å程度に形成する。
【0041】
続いて、ソース電極18及びドレイン電極20をマスクとして上記半導体形成層のnアモルファスシリコン層をエッチングすることにより、チャネル領域をパターニングして、半導体層13及びそれを備えたTFT5を形成する。
【0042】
さらに、TFT5が形成された基板全体に、プラズマCVD法により、例えば、窒化シリコン膜などを成膜し、層間絶縁膜15を厚さ4000Å程度に形成する。その後、層間絶縁膜15をエッチングして、コンタクトホール30を形成する。
【0043】
次いで、層間絶縁膜15上の基板全体に、ITO膜などからなる透明導電膜をスパッタリング法により成膜し、その後、フォトリソグラフィによりパターニングして、絶縁基板6に透明電極31を厚さ1000Å程度に形成する。
【0044】
次いで、水素プラズマ処理により、反射領域Rにおいて、透明電極31の、反射電極32と接する表面に複数のディンプル33を形成する。水素プラズマ処理は、プラズマ中の高エネルギー電子を水素分子に衝突させて、原子状水素を生成する方法であり、この水素プラズマ処理としては、例えば、マイクロ波プラズマエッチング装置(400×505mm基板相当)を使用して、電源電圧を100〜5000W、圧力を10mTorr〜4Torr、水素ガス流量を100〜5000sccm、及び、処理時間を5〜120分の範囲に設定した条件下で行うことができる。なお、水素プラズマ処理は、その他のプラズマエッチング装置、例えば、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ装置や、反応性イオンエッチング(RIE)装置等を用いても良い。
【0045】
このように、透明電極31の、反射電極32と接する表面に対して水素プラズマ処理を施すことにより、図4に示すように、透明電極31の表面において、微細な凹凸が形成され、寸法が約1.0μm程度の複数のディンプル33が形成される。
【0046】
次いで、透明電極31が形成された基板全体に、モリブデン膜(厚さ750Å程度)及びアルミニウム膜(厚さ1000Å程度)をスパッタリング法により順に成膜し、その後、フォトリソグラフィによりパターニングして、反射領域Rにおいて、透明電極31の表面に形成された複数のディンプル33上に反射電極32を形成して、透明電極31及び反射電極32を備えた画素電極19を形成する。
【0047】
次いで、画素電極19が形成された基板全体に、印刷法によりポリイミド樹脂を塗布し、その後、ラビング処理を行って、配向膜9を厚さ1000Å程度に形成する。
【0048】
以上のようにして、アクティブマトリクス基板2を作製することができる。
【0049】
<対向基板作製工程>
まず、ガラス基板などの絶縁基板21の基板全体に、例えば、赤、緑又は青に着色されたアクリル系の感光性樹脂を塗布し、その塗布された感光性樹脂をフォトマスクを介して露光した後に、現像することによりパターニングして、選択した色の着色層(例えば、赤色層R)を厚さ2.0μm程度に形成する。さらに、他の2色についても同様な工程を繰り返して、他の2色の着色層(例えば、緑色層G及び青色層B)を厚さ2.0μm程度に形成して、赤色層R、緑色層G及び青色層Bを備えたカラーフィルター層22を形成する。
【0050】
次いで、カラーフィルター層22が形成された基板上に、スピンコート法により、アクリル系の感光性樹脂を塗布し、その塗布された感光性樹脂をフォトマスクを介して露光した後に、現像することにより、透明層23を厚さ2μm程度に形成する。
【0051】
次いで、透明層23が形成された基板全体に、スパッタリング法により、例えば、ITO膜を成膜し、その後、フォトリソグラフィによりパターニングして、共通電極24を厚さ1500Å程度に形成する。
【0052】
次いで、共通電極24が形成された基板全体に、スピンコート法により、アクリル系の感光性樹脂を塗布し、その塗布された感光性樹脂をフォトマスクを介して露光した後に、現像することにより、フォトスペーサ25を厚さ4μm程度に形成する。
【0053】
最後に、フォトスペーサ25が形成された基板全体に、印刷法によりポリイミド系樹脂を塗布し、その後、ラビング処理を行って、配向膜26を厚さ1000Å程度に形成する。
【0054】
以上のようにして、対向基板3を作製することができる。
【0055】
<貼り合わせ工程>
まず、例えば、ディスペンサを用いて、上記対向基板作製工程で作製された対向基板3に、紫外線硬化及び熱硬化併用型樹脂などにより構成されたシール材を枠状に描画する。
【0056】
次いで、上記シール材が描画された対向基板3におけるシール材の内側の領域に液晶材料を滴下する。
【0057】
さらに、上記液晶材料が滴下された対向基板3と、上記アクティブマトリクス基板作製工程で作製されたアクティブマトリクス基板2とを、減圧下で貼り合わせた後に、その貼り合わせた貼合体を大気圧に開放することにより、その貼合体の表面及び裏面を加圧する。
【0058】
次いで、上記貼合体に挟持されたシール材にUV光を照射した後に、その貼合体を加熱することによりシール材を硬化させる。
【0059】
以上のようにして、図1に示す液晶表示装置1を作製することができる。
【0060】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0061】
(1)本実施形態においては、透明電極31の、反射電極32と接する表面に複数のディンプル33を形成する構成としている。従って、透明電極31自体にディンプル33を形成するため、上記従来技術とは異なり、ディンプルが形成された高価な有機絶縁膜を設ける必要がなくなる。その結果、液晶表示装置1の製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0062】
(2)また、上記従来技術とは異なり、有機絶縁膜を設ける工程、及び当該有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になるため、製造工程の簡素化を図ることが可能になるとともに、製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0063】
(3)また、上記従来技術とは異なり、有機絶縁膜の表面にディンプルを形成する工程が不要になるため、当該ディンプルを形成する工程における異物の混入や、光感光性樹脂の塗布、膜厚差、および使用する現像液等に起因するムラの発生を回避できる。従って、液晶表示装置1の歩留まりの低下を防止することが可能になる。
【0064】
(4)本実施形態においては、透明電極31の表面に対して水素プラズマ処理を行うことにより、ディンプル33を形成する構成としている。従って、水素プラズマ処理という簡単な方法で、透明電極31の表面にディンプル33を確実に形成することが可能になる。
【0065】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0066】
・上記実施形態においては、半透過型の液晶表示装置を例に挙げて説明したが、本発明は、反射型の液晶表示装置にも適用することができる。より具体的には、図5に示すように、液晶表示装置1の表示部において、透過領域が規定されず、反射電極32により反射領域Rが規定された反射型の液晶表示装置1において、透明電極31の、反射電極32と接する表面に、上述した水素プラズマ処理により、複数のディンプル33を形成する構成としても良い。このような構成においても、上述した(1)〜(4)と同様の効果を得ることができる。
【0067】
・上記実施形態の液晶表示装置1の方式は、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、MVA(Multi-domain Vertical Alignment)、ASV(Advanced Super View)、IPS(In-Plane-Switching)等、どのような方式であってもよい。
【0068】
・上記実施形態においては、表示装置として、液晶表示装置を例に挙げて説明したが、他の表示装置についても、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明は、光の反射構造を有する表示装置及びその製造方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の等価回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る液晶表示装置における表示部の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る液晶表示装置における透明電極の表面に形成されたディンプルを示す電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 液晶表示装置
2 アクティブマトリクス基板(第1基板)
3 対向基板(第2基板)
4 液晶層(表示媒体層)
6 絶縁基板
31 透明電極
32 反射電極
33 ディンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向して配置された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に設けられた表示媒体層と
を備えた表示装置であって、
前記第1基板は、絶縁基板と、該絶縁基板に設けられた透明電極と、該透明電極の表面上に設けられた反射電極とを備え、
前記透明電極の、前記反射電極と接する表面に複数のディンプルが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ディンプルは、前記透明電極の、前記反射電極と接する表面に対して水素プラズマ処理を行うことにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示装置は、反射型あるいは半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1基板と、該第1基板に対向して配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた表示媒体層とを備える表示装置の製造方法であって、
前記第1基板が備える絶縁基板に透明電極を形成する工程と、
前記透明電極の表面に複数のディンプルを形成する工程と、
前記複数のディンプル上に反射電極を形成する工程と
を少なくとも備えることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記ディンプルを形成する工程において、前記透明電極の表面に対して水素プラズマ処理を施すことにより、前記ディンプルを形成することを特徴とする請求項4に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記表示装置は、反射型あるいは半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表示装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−128213(P2010−128213A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303072(P2008−303072)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】