説明

表示装置

【課題】2つの表示画面を有する表示部を備えた表示装置において、観察者の負担を軽減しつつ、2次元表示または3次元表示を選択的に表示する。
【解決手段】2つの表示画面43a、43bのなす角度αを可変するとともに、2つの表示画面43a、43bが上下方向または左右方向のいずれかに隣接するよう、表示部43を回転自在に支持する。2つの表示画面43a、43bのなす角度αおよび隣接方向βを検出し、この検出結果に基づいて、2つの表示画面43a、43bが上下方向に所定角度をなして隣接する場合に3次元表示し、左右方向に隣接する場合に2次元表示をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は隣接する2つの表示画面を有する表示部を備えた表示装置に関する。より詳しくは、2つの表示画面のうち、一方の表示画面に右目用の撮影画像、他方の表示画面に左目用の撮影画像を表示し、両撮影画像を結合する光学系を介して被写体の3次元表示を可能とする表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視差を有する2枚の撮影画像を表示することにより、被写体を3次元表示できることが知られている。特許文献1には、2つの表示画面を上下方向に隣接させ、一方の表示画面に右目用の撮影画像、他方の表示画像に左目用の撮影画像をそれぞれ表示し、両撮影画像を光学系によって結合させて乳房を3次元表示する放射線画像表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−188003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような上下方向に隣接する2つの表示画面を有する表示部を備えた表示装置において、3次元表示と2次元表示とを選択的に表示させる場合、観察者によっては、2次元表示において視線の高さを変えずに各表示画面を観察できるため、2つの表示画面を左右方向に隣接させたい場合があり得る。
【0005】
このため、2つの表示画面が上下方向または左右方向のいずれかに隣接するよう、表示部を回転可能にすると、観察者は表示画面の隣接方向が上下方向であることを確認した上で3次元表示用の撮影画像を2つの表示画面に表示させ、表示画面の隣接方向が左右方向であることを確認した上で2次元表示用の撮影画像を2つの表示画面に表示する必要があり、観察者の負担が増加する虞がある。
【0006】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、2つの表示画面を有する表示部を備えた表示装置において、観察者の負担を軽減しつつ、2次元表示または3次元表示を選択的に表示できる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による表示装置は、隣接する2つの表示画面を有する表示部を備え、右目用および左目用の2枚の撮影画像からなる3次元表示用の撮影画像のうち、一方の撮影画像を一方の表示画面、他方の撮影画像を他方の表示画面にそれぞれ表示し、両撮影画像を結合させて表示する光学系を介して被写体の3次元表示が可能な表示装置において、2つの表示画面のなす角度を可変にする角度可変機構と、2つの表示画面が上下方向または左右方向のいずれかに隣接するよう、表示部を回転自在に支持する回転支持機構と、2つの表示画面が上下方向または左右方向のいずれに隣接するかを検出するとともに、2つの表示画面のなす角度を検出する検出部と、この検出部の検出結果に基づいて、2つの表示画面が上下方向に隣接し、且つこの2つの表示画面が所定範囲の角度をなす場合に、表示部に3次元表示用の撮影画像を表示させ、2つの表示画面が左右方向に隣接するか若しくはこの2つの表示画面が略同一平面上にある場合に、2次元表示用の撮影画像を表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明の表示装置における「所定範囲の角度」とは、予め定められた範囲の角度であり、望ましくは90°以上〜180°未満の範囲、より望ましくは95°以上〜120°未満の範囲の角度を意味するものである。本発明の表示装置における「2次元表示用の撮影画像を表示」とは、2つの表示画面のうち、少なくとも一方の表示画面に撮影画像を表示する意味であり、必ずしも両方の表示画面に撮影画像を表示する場合のみを意味するものではない。
【0009】
また、本発明による表示装置は、光学系が、一方の表示画面の表示光を透過させるとともに、他方の表示画面の表示光を反射させて両撮影画像を結合させる、2つの表示画面の間で着脱自在に設けられたハーフミラーであってもよい。
【0010】
また、本発明による表示装置は、角度可変機構が2つの表示画面の間に設けられたヒンジ機構であってもよい。また、本発明による表示装置は撮影画像が医用放射線画像であってもよい。さらに、本発明による表示装置は、被写体が乳房の場合には、表示制御部が、乳房の胸壁が水平となるように2つの表示画面に3次元表示用の撮影画像をそれぞれ表示することにより、乳房を3次元表示するものであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の表示装置によれば、2つの表示画面のなす角度を可変にする角度可変機構と、2つの表示画面が上下方向または左右方向のいずれかに隣接するよう、表示部を回転自在に支持する回転支持機構と、2つの表示画面が上下方向または左右方向のいずれに隣接するかを検出するとともに、2つの表示画面のなす角度を検出する検出部と、この検出部の検出結果に基づいて、2つの表示画面が上下方向に隣接し、且つこの2つの表示画面が所定範囲の角度をなす場合に、表示部に3次元表示用の撮影画像を表示させ、2つの表示画面が左右方向に隣接するか若しくは2つの表示画面が略同一平面上にある場合に、2次元表示用の撮影画像を表示させる表示制御部とを備えたことにより、観察者が2つの表示画面のなす角度および隣接方向を確認した上で2次元表示または3次元表示に切り替える必要がなく、観察者に負担をかけずに2次元表示または3次元表示を選択的に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】放射線画像撮影表示システムの概略構成図
【図2】放射線撮影装置の一部正面図
【図3】2つの表示画面が上下方向に隣接した放射線画像表示装置の概略構成図
【図4】モニタの背面図
【図5】モニタの側面図
【図6】2つの表示画面が左右方向に隣接した放射線画像表示装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係る表示装置の一実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態である放射線画像表示装置を用いた放射線画像撮影表示システムの概略構成図である。この放射線画像撮影表示システム1は乳房Mの放射線画像を撮影して表示するものであり、図1に示すように、放射線画像撮影装置10および放射線画像表示装置40から構成されている。
【0014】
最初に、放射線画像撮影装置10について説明する。放射線画像撮影装置10は、乳房Mに所定の撮影方向から放射線を照射することで2次元撮影または3次元撮影を行い、乳房Mの2次元表示用または3次元表示用の放射線画像Gを取得し、この放射線画像Gを格納した画像ファイルGFを放射線画像表示装置40に送信するものである。
【0015】
放射線画像撮影装置10は、図1に示すように、基台11と、基台11に対して上下方向(Z方向)に移動可能であり、且つ回転可能な回転軸12と、回転軸12により基台11と連結されたアーム部13とを備えている。
【0016】
アーム部13はCの形をしており、その一端には撮影台14が、その他端には撮影台14と対向するように放射線照射部16が取り付けられている。アーム部13の回転および上下方向の移動は、基台11に組み込まれたアームコントローラ31により制御される。
【0017】
撮影台14の内部には、フラットパネルディテクタ等の放射線検出器15と、放射線検出器15からの電荷信号の読み出しを制御する検出器コントローラ33が備えられている。また、撮影台14の内部には、放射線検出器15から読み出された電荷信号を電圧信号に変換するチャージアンプや、チャージアンプから出力された電圧信号をサンプリングする相関二重サンプリング回路や、電圧信号をデジタル信号に変換するA/D変換部等も設けられた回路基板等も備えられている。
【0018】
また、撮影台14はアーム部13に対し回転可能に構成されているが、3次元撮影のときには基台11に対してアーム部13が回転した場合でも、撮影台14の向きは基台11に対し固定された向きにできる。
【0019】
放射線検出器15は、電荷信号の記録と読み出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生する、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電気信号に変換する、いわゆる間接型の放射線画像の検出器を用いるようにしてもよい。
【0020】
また、電荷信号の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチをオン・オフさせることによって電荷信号が読み出される、いわゆるTFT読出方式のものを用いることが望ましいが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
【0021】
放射線照射部16の内部には放射線源17と、放射線源コントローラ32が格納されている。放射線源コントローラ32は、放射線源17から放射線を照射するタイミングと、放射線源17における放射線発生条件(管電流(mA)、照射時間(ms)、管電圧(kV)等)を制御するものである。
【0022】
また、アーム部13の中央部には、撮影台14の上方に配置されて乳房Mを押さえつけて圧迫する圧迫板18と、その圧迫板18を支持する支持部20と、支持部20を上下方向(Z方向)に移動させる移動機構19とが設けられている。圧迫板18の位置、圧迫厚は、圧迫板コントローラ34により制御される。
【0023】
制御部30は、中央処理装置(CPU)、半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイス、入力部30aを備えている。制御部30は、各種のコントローラ31〜34に対して所定の制御信号を出力し、放射線画像撮影装置10の全体の制御を行うものである。
【0024】
また、制御部30は、2次元撮影または3次元撮影によって放射線検出器15で検出された電荷信号に所定の信号処理を施した放射線画像信号に基づく放射線画像Gを記録し、画像ファイルGFに格納して放射線画像表示装置40に送信する。
【0025】
入力部30aは、たとえば、キーボードやマウス等のポインティングデバイスから構成されるものであり、2次元撮影または3次元撮影であるか、CC(頭尾方向)や、MLO(内外斜位方向)等の撮影種類や、3次元撮影における、アーム部13が放射線検出器15の検出面15aに垂直な方向に対してなす角度である撮影角度θを含む撮影条件の入力や撮影開始の入力を受け付けるものである。
【0026】
図2は放射線画像撮影装置10の一部正面図である。放射線画像撮影装置10の作用について、図1および図2を用いて説明する。まず、放射線画像撮影装置10が乳房Mを2次元撮影する場合について説明する。撮影台14の上に乳房Mが設置され、圧迫板18により乳房Mを所定の圧力で圧迫する。
【0027】
次に、入力部30aにおいて、撮影者による乳房Mの2次元撮影の指示が入力され、2次元撮影が開始する。制御部30は入力された撮影種類を読み出し、撮影種類の情報をアームコントローラ31に出力する。なお、本実施形態においては、撮影種類としてCC(頭尾方向)が入力されたものとするが、特に限定されるものではない。
【0028】
そして、アームコントローラ31が、制御部30から出力された撮影種類の情報を受け付け、図2の実線で示すような、アーム部13が略垂直となるような制御信号を出力する。
【0029】
そして、アームコントローラ31が略垂直となった状態において、制御部30は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と2次元表示用の放射線画像(以下、2次元画像G2とする。)の読み出しを行う制御信号を出力する。
【0030】
この制御信号に応じて、放射線源17から放射線が照射され、乳房MをCC(頭尾方向)で2次元撮影した放射線が放射線検出器25によって検出され、検出器コントローラ33によって放射線検出器25から電荷信号が読み出される。この電荷信号に所定の信号処理を施した放射線画像信号に基づき、制御部30は、乳房Mの2次元画像G2を記憶し、画像ファイルGFに2次元画像G2を格納して放射線画像表示装置40に送信する。
【0031】
次に放射線画像撮影装置10が乳房Mを3次元撮影する場合について説明する。2次元撮影と同様に、撮影台14の上に乳房Mが設置され、圧迫板18により乳房Mが所定の圧力で圧迫される。
【0032】
次に、入力部30aにおいて、撮影者による乳房Mの3次元撮影の指示が入力され、2次元撮影が開始する。制御部30は入力された撮影種類を読み出し、撮影種類の情報をアームコントローラ31に出力する。なお、本実施形態においては、撮影種類としてCC(頭尾方向)が入力されたものとするが、特に限定されるものではない。
【0033】
制御部30は3次元撮影における互いに異なる2つの撮影角度θの組み合わせを読み出し、一方の撮影角度θの情報をアームコントローラ31に出力する。本実施形態において、撮影角度θは、図2示すように時計回りを正方向、反時計回りを負方向とする。なお、本実施形態においては、撮影角度θ=±2°が入力されたものとするが、特に限定されるものではない。
【0034】
そして、アームコントローラ31が、制御部30から出力された撮影種類および撮影角度θ=+2°の情報を受け付け、アーム部13が、図2に示すように、検出面15aに垂直な方向に対して+2°傾くような制御信号を出力する。ここで、図1から明らかなように、回転軸22は被写体の胸壁と略垂直であるため、放射線源17は乳房Mの胸壁に対して略垂直な回転軸で回転する。
【0035】
そして、アームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が+2°傾いた状態において、制御部30は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と3次元表示用の放射線画像(以下、3次元画像G3とする。)を構成する右目用画像GRの読み出しを行うよう制御信号を出力する。
【0036】
この制御信号に応じて、放射線源17が放射線を照射し、放射線検出器15が照射された放射線を検出し、検出器コントローラ33によって放射線検出器15から電荷信号が読み出される。制御部30が、この電荷信号に所定の信号処理を施した放射線画像信号に基づいて、右目用画像GRを記憶する。
【0037】
次に、アームコントローラ31が、制御部30から出力された撮影角度θ=−2°の情報に基づき、アーム部13が、図2に示すように、検出面15aに垂直な方向に対して−2°傾くような制御信号を出力する。
【0038】
そして、アームコントローラ31から出力された制御信号に応じてアーム部13が左側に−2°傾いた状態において、制御部30は、放射線源コントローラ32および検出器コントローラ33に対して放射線の照射と3次元画像G3を構成する左目用画像GLの読み出しを行うよう制御信号を出力する。
【0039】
この制御信号に応じて、放射線源17が放射線を照射し、放射線検出器15が照射された放射線を検出し、検出器コントローラ33によって放射線検出器15から電荷信号が読み出される。制御部30は、この電気信号に所定の信号処理を施した放射線画像信号に基づいて、左目用画像GLを記憶する。
【0040】
制御部30は、乳房Mの右目用画像GRおよび左目用画像GLを3次元画像として画像ファイルGFに格納して放射線画像表示装置40に送信する。
【0041】
次に放射線画像表示装置40について説明する。放射線画像表示装置40は、上下方向または左右方向に隣接可能な2つの表示画面43a、43bを有し、乳房Mの2次元表示または3次元表示が選択的に可能である。図3は、2つの表示画面43a、43bが上下方向に隣接した放射線画像表示装置40の概略構成図である。
【0042】
放射線画像表示装置40は、図3に示すように、コンピュータ41と、モニタ42とから構成されている。コンピュータ41には、本実施形態による表示装置として機能させるためのプログラムがインストールされている。
【0043】
コンピュータ41は、中央処理装置(CPU)および半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイス等を備えており、これらのハードウェアにより、制御部41aおよび表示制御部41bを構成している。また、コンピュータ41は不図示の入力手段を備えており、表示の開始の指示、2次元表示する2次元画像G2および3次元表示する3次元画像G3の予めの設定を受け付ける。
【0044】
2次元画像G2の設定は、少なくとも1枚の2次元画像を設定すればよく、必ずしも2枚の2次元画像G2を設定する必要はない。2枚の2次元画像G2の設定としては、たとえば、同一乳房Mについての撮影日時の異なる2枚の2次元画像の組み合わせや、同一乳房Mについての撮影種類の異なる2枚の2次元画像の組み合わせや、3次元画像G3を構成する右目用画像GRおよび左目用画像GLを2次元画像の組み合わせとして設定してもよい。または、2枚の2次元画像G2の設定としては、異なる部位ついての2枚の2次元画像の組み合わせでもよい。設定に際しては、2枚の2次元画像G2を2つの表示画面のうち、どちらの表示画面に表示させるかについても予め設定する。
【0045】
3次元表示する3次元画像G3の設定に際しては、2つの表示画面43a、43bに右目用画像GRおよび左目用画像GLをどちらの表示画面に表示させるのかを予め設定する。
【0046】
制御部41aは、放射線画像撮影装置10から画像ファイルGFを受信するとともに、コンピュータ41の全体の制御をするものである。
【0047】
表示制御部41bは、2つの表示画面43a、43bの隣接方向βおよび2つの表示画面43a、43bのなす角度αに基づいて、モニタ42に2次元画像G2を2次元表示させるか、3次元画像G3を3次元表示させるかを制御するものである。
【0048】
図4はモニタ42の背面図、図5はモニタ42の側面図である。モニタ42について図3ないし図5を用いて説明する。モニタ42は、隣接した2つの表示画面43a、43bを有する表示部43、基台44、2つの表示画面43a、43bの間に設けられたハーフミラー45、2つの表示画面43a、43bのなす角度αを可変にするヒンジ機構46、表示部43を基台44に対して回転自在に支持する回転支持軸47から主に構成されている。
【0049】
モニタ42は、2つの表示画面43a、43bの表示光を互いに直交する偏光とすることが可能である。これにより、観察者は、右目用画像GRを観察する右目用偏光レンズと左目用画像GLを観察する左目用偏光レンズを有する偏光メガネを装着し、左目用画像GLおよび右目用画像GRを左右の目でそれぞれ観察することで乳房Mを立体視できる。なお、2次元表示の際は各表示光を互いに直交する偏光にする必要はない。
【0050】
ヒンジ機構46は、表示画面43aが表示画面43bに対して図3の矢印A方向に回転することにより、2つの表示画面43a、43bが図中破線で示した略同一平面上になる姿勢と表示画面43aが表示画面43bに対して傾いた姿勢、すなわち略同一平面にない姿勢に変化するよう、2つの表示画面43a、43bのなす角度αを可変にするものである。表示部43は、2つの表示画面43a、43bのなす角度αを検出する不図示の角度センサを内蔵している。
【0051】
ハーフミラー45は、表示画面43aが表示画面43bに対して傾いた姿勢において、表示画面43aの表示光を、偏光を乱さず図中実線で示すように反射させ、表示画面43bの表示光を、偏光を乱さず図中破線で示すように透過させる。これにより、ハーフミラー45は、3次元表示する際に、右目用画像GRと左目用画像GLをハーフミラー45上で所定の視差を有するように重ねて結合させ、乳房Mを3次元表示する。なお、本実施形態では、表示画面43aが右目用画像GR、表示画面43bが左目用画像GLを表示するものであるが、特に限定されるものではない。
【0052】
また、ハーフミラー45は、図3の矢印B方向に回転可能とすることにより、右目用画像GRと左目用画像GLの重なりの調整が可能である。また、ハーフミラー45は、表示部43に着脱自在に取り付けられている。
【0053】
表示部43は、観察者の回転操作により、図4の矢印C方向に回転自在である。観察者の回転操作により、2つの表示画面43a、43bの隣接方向βが図4に示すような上下方向または図6に示すような左右方向のいずれかに変化する。ここで、隣接方向βとは、図4および図6に示すように、ヒンジ機構46を介して2つの表示画面43a、43bが隣接する方向である。また、表示部43は、前述のとおり、2つの表示画面43a、43bのなす角度αを検出できるとともに、2つの表示画面43a、43bの隣接方向βをも検出できる角度センサをも内蔵している。なお、上記の角度センサは歪センサで構成してもよいし、ジャイロセンサ等で構成するものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0054】
次に放射線画像表示装置40の作用について説明する。制御部41aは、観察者による表示開始の指示および2次元画像G2および3次元画像G3の予めの設定を受け付ける。本実施形態では、2次元画像として撮影方向が同一の左右の乳房Mの2次元画像G2が設定されたものとするが、特に限定されるものではない。
【0055】
そして、観察者からの表示開始の指示があると、表示制御部41bが、表示部43に内蔵された2つの表示画面43a、43bのなす角度αおよび隣接方向βに関する情報を入手する。表示制御部41bは、2つの表示画面43a、43bのなす角度αが所定の角度範囲であり、且つ2つの表示画面43a、43bの隣接方向βが上下方向である場合、表示部43に3次元画像G3を表示させる。
【0056】
表示制御部41bは、上下方向に隣接した2つの表示画面43a、43bが、望ましくは90°以上〜180°未満の範囲、より望ましくは95°以上〜120°未満の範囲にある場合は、予め設定された3次元画像G3を3次元表示させる。表示部43は、図3に示すように、各乳房Mが鏡像関係を有し、且つ胸壁MWが水平となる状態で左目用画像GLおよび右目用画像GRを表示する。
【0057】
ここで、胸壁MWが水平方向となるように表示するのは、前述のとおり、3次元画像G3は胸壁MWと略垂直な回転軸12で放射線源17を回転させて撮影したものであり、視差方向に合わせて表示するためである。
【0058】
そして、表示制御部41bは、2つの表示画面43a、43bの隣接方向βが左右方向であるか若しくは2つの表示画面43a、43bが平行である場合に、表示部43に2次元画像G2を表示させる。
【0059】
本実施形態において、表示制御部41bは、左右の乳房Mの2次元画像G2を図6に示すように、胸壁MWを垂直方向とし、左右の乳房Mを胸壁MW合せとなるよう、表示部43に2次元画像G2を2次元表示させる。また、2次元表示の際、ハーフミラー45は表示部43から取り外してもよく、若しくは図6の破線で示すように視線と平行な方向な向きとしてもよい。
【0060】
このように、表示制御部41bは、3次元表示中の表示部43が、観察者の操作により、2つの表示画面43a、43bが略同一平面上になった場合や、2つの表示画面43a、43bが左右方向に隣接した場合に、表示部43の3次元表示を2次元表示へ切り換える。また、2次元表示中の表示部が、観察者の操作により、2つの表示画面43a、43bが所定の範囲の角度をなし、且つ上下方向に隣接する場合、表示部43の2次元表示を3次元表示へ切り換える。
【0061】
以上の述べたとおり、本発明の一実施形態である放射線画像表示装置40によれば、2つの表示画面43a、43bのなす角度αを可変にするヒンジ機構46と、2つの表示画面43a、43bの隣接方向βを上下方向または左右方向のいずれかとなるよう、表示部43を回転自在に支持する回転支持軸47と、角度αと隣接方向βを検出する角度センサと、この角度センサの検出結果に基づいて、2つの表示画面43a、43bが上下方向に隣接し、且つ所定範囲の角度をなす場合に、表示部43に3次元画像G3を3次元表示させ、2つの表示画面43a、43bが左右方向に隣接するか若しくは2つの表示画面43a、43bが略同一平面上にある場合に2次元画像G2を2次元表示させる表示制御部41bを備えたことにより、観察者が2つの表示画面43a、43bのなす角度αや、隣接方向βを確認することなく、自動的に2次元表示または3次元表示されるため、観察者の負担を軽減しつつ、2次元表示または3次元表示を選択的に表示できる。
【0062】
また、放射線画像表示装置40によれば、ハーフミラー45が2つの表示画面43a、43bの間で表示部43に着脱自在で取り付けられているため、2次元表示の際に必要に応じて取り外すことで観察者が観察しやすくなる。
【0063】
また、放射線画像表示装置40によれば、ヒンジ機構46が2つの表示画面の間に設けられているため、物理的なスペースを必要とせず、3次元表示の際の右目用画像GRと左目用画像GLとの重なり度合いを調整や、2次元表示の際に表示画面43a、43bを略同一平面上にして観察者が観察しやすくする調整がし易くなる。
【0064】
なお、本実施形態において、放射線画像表示装置40は乳房Mを表示するものとして説明したが特に限定されるものではなく、肺や胃等の部位を表示するものであってもよい。
【0065】
なお、本実施形態においては、本発明に係る表示装置として放射線医用画像として説明したが、特に限定されるものではなく、通常のデジタルカメラ等で撮影された撮影画像を表示する表示装置であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
G2,G3 撮影画像
GL 左目用画像
GR 右目用画像
M 乳房
MW 胸壁
α 2つの表示画面のなす角度
β 2つの表示画面の隣接方向
40 放射線画像表示装置
41b 表示制御部
43 表示部
43a,43b 表示画面
45 ハーフミラー
46 ヒンジ機構
47 回転支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する2つの表示画面を有する表示部を備え、右目用および左目用の2枚の撮影画像からなる3次元表示用の撮影画像のうち、一方の撮影画像を一方の表示画面、他方の撮影画像を他方の表示画面にそれぞれ表示し、両撮影画像を結合させて表示する光学系を介して被写体の3次元表示が可能な表示装置において、
前記2つの表示画面のなす角度を可変にする角度可変機構と、
前記2つの表示画面が上下方向または左右方向のいずれかに隣接するよう、前記表示部を回転自在に支持する回転支持機構と、
前記2つの表示画面が上下方向または左右方向のいずれに隣接するかを検出するとともに、前記2つの表示画面のなす角度を検出する検出部と、
該検出部の検出結果に基づいて、前記2つの表示画面が上下方向に隣接し、且つ該2つの表示画面が所定範囲の角度をなす場合に、前記表示部に前記3次元表示用の撮影画像を表示させ、前記2つの表示画面が左右方向に隣接するか若しくは該2つの表示画面が略同一平面上にある場合に、2次元表示用の撮影画像を表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光学系が、前記一方の表示画面の表示光を透過させるとともに、前記他方の表示画面の表示光を反射させて前記両撮影画像を結合させる、前記2つの表示画面の間で着脱自在に設けられたハーフミラーであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記角度可変機構が、前記2つの表示画面の間に設けられたヒンジ機構であることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記撮影画像が医用放射線画像であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の表示装置。
【請求項5】
前記被写体が乳房の場合には、前記表示制御部が、前記乳房の胸壁が水平となるように前記2つの表示画面に前記3次元表示用の撮影画像をそれぞれ表示することにより、前記乳房を3次元表示することを特徴とする請求項4記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−95729(P2012−95729A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244180(P2010−244180)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】