説明

表面測定用プローブの使用法

測定用プローブが取り付けられる機械を用いて人工物を計測する方法。この方法は、以下のステップ、人工物の表面上の1つ以上の地点の近似的な位置を決定するステップと、この近似的な位置を用いてプローブおよび人工物のうちの少なくとも一方をそのプローブおよび人工物における所望の1つ以上の相対位置に移動させるステップと、該位置において人工物の表面上の地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、1つ以上の表面計測値が取得される間、そのプローブと人工物との間の相対移動がないステップと、その計測値からのデータを用いて、動誤差が実質的に低減されるその表面上の1つ以上の地点の位置を決定するステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面測定用プローブ用いた工作物の計測に関する。具体的には、本発明は、三次元座標測定機(CMM)(三脚または六脚などの並列機械を含む)、工作機械、手動座標計測アーム、ロボット、例えば製品検査ロボット、および単軸機械などの座標位置決め装置の上に取り付けられた表面計測プローブを用いる人工物の計測に関する。
【背景技術】
【0002】
測定用プローブは、スタイラスと被測定物の表面との間の接触の結果力の作用を受けるとき、可撓なスタイラスを有するものが知られている。表面における位置に関する情報を得るためにプローブ内の1つ以上のトランスデューサがスタイラスの偏位(撓み)(普通、3次元直角座標方向の)を計測する。使用に際して、そのようなプローブは、三次元座標測定機(CMM)、工作機械、測定用ロボットまたは他の座標位置決め装置などの機械に取り付けられる。その機械は、プローブを計測されるべき被測定物に対して移動させる。この機械は、お互いに対して移動する機械のスピンドルおよび/またはベッドを含み得る。機械内の測定装置は、プローブ自体からの出力と組み合わせられる場合、被測定物の寸法、形状、位置、表面輪郭線などに関する情報が得られることを可能にするプローブの相対位置に関する出力を与える。
【0003】
そのような測定用プローブは、そのトランスデューサの計測出力を、被測定物に触れてトリガー信号を出力するにすぎないプローブと区別して、アナログ・プローブと呼称される場合がある。それらのプローブが被測定物の表面輪郭線を走査するのに用いられることが多いので走査プローブという用語も用いられる場合がある。アナログ・プローブという用語が用いられる場合でも、トランスデューサの出力は、実際にはアナログまたはディジタルであってもよい。
【0004】
これは、パッシブプローブの一例であり、計測中、吊下げプローブ機構内のスプリングが、偏位に合致するように力を発生する。この接触力は、偏位と共に変化するが、非常に反復可能である。
【0005】
特許文献1は、一連の平行四辺形のスプリングによって支持されたスタイラスを有し、スタイラス先端部と計測されるべき工作物の間に所定の力を発生するようにモータがその中に設けられたプローブを開示している。
【0006】
このプローブは、スタイラス偏位を制御するようにモータ機構を用い、被測定部品との接触力を調節する走査用アクティブプローブの1つのタイプである。そのようなプローブにおいては、スプリングではなく、モータが、接触力を生み出す。
【0007】
非接触測定用プローブは、プローブが、キャパシタンス、インダクタンスおよび光学式などの非接触手段によって被測定物の表面からプローブまでの距離を計測するものも知られている。
【0008】
既知のシステムにおいては、計測誤差は、プローブの偏位と機械構造とによって生じる。例えば、スタイラスが撓まされるとき、例えば、スプリングによって、スタイラスは、ゼロ位置に向けて付勢されるが、これらの力は、プローブ・スタイラスの曲がり、および、機械の構造構成部分の曲がりを引き起す。小さいとはいえ、それでも、それらの偏位は、今日要求される非常に高い精度を考慮すると、計測精度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
我々の以前の特許文献2は、測定法を説明しており、そのようなプローブが被測定物の表面に接触するまで移動され、その移動は、初めの接触後、さらに限定された距離まで続けられる方法である。この移動中に、機械の測定装置の出力とプローブのトランスデューサの出力とは、複数の瞬間で同時に記録される。次に、これらの記録された出力は、プローブ・スタイラスがゼロ偏位の状態で、未だ表面と接触した状態にあった瞬間に存在していた機械の測定装置の出力値を外挿(補外)によって算出するために用いられる。
【0010】
この方法により、トリガー・プローブと同様に、機械出力の値がスタイラスが表面に接触する時点で決定されるのでアナログ・プローブがあたかも非常に正確な接触トリガー・プローブであるかのように使用可能とされる。この方法の高い精度は、部分的に、接触点を決定するために多数のデータ点が取られ、その結果誤差が平均化される傾向があるという事実に起因する。さらに、特別な利点は、決定される接触点がスタイラスのゼロ偏位、従って、スタイラスと被測定物との間のゼロ接触力に対応し、スタイラスおよび/または機械構造体の曲がりによる誤差が生じないという点にある。
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,876,799号明細書
【特許文献2】国際公開第92/20996号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,390,424号明細書
【特許文献4】欧州特許第0402440B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のように、この方法は、静的な測定力によって生じる誤差を除去する。しかし、動誤差は依然として生じる。動誤差は、速度によるもの、例えば、減衰により引き起される誤差、あるいは、加速度によるもの、例えば、振動により引き起される誤差である場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の形態は、測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられた機械を用いて人工物を計測する方法を提供するが、その場合、前記の機械はプローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、該プローブは機械出力との組合せにより人工物の表面上の地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、その方法は、
(a)人工物の表面上の1つ以上の地点の近似的な位置を決定するステップと、
(b)ステップ(a)で決定された近似的な位置を用いて、プローブおよび人工物のうちの少なくとも一方を、プローブおよび表面の1つ以上の望ましい相対位置に移動させ、前記の位置において人工物の表面上の前記の地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、1つまたは複数の表面計測値が取得される間、プローブと人工物の間の相対移動がない、ステップと、
(c)ステップ(b)からのデータを用いて、表面上の1つ以上の地点の、動誤差が実質的に低減された位置を決定するステップと、
を任意の適切な順序で有する方法である。
【0014】
表面上の地点の近似的な位置は、測定用プローブにより1つ以上の測定値を取得することによって決定されることが可能である。1つ以上の測定値は、プローブと表面の間の相対移動がある間に取得することができる。あるいは、1つ以上の測定値は、プローブが表面に対して静止している間に取得されることができる。
【0015】
ステップ(b)における計測値は、ステップ(a)における計測値よりも表面に近い位置にあるプローブで取得されることができる。プローブは変位可能なスタイラスを有することができ、ステップ(b)における表面計測値は、小さなスタイラス偏位または小さなプローブ力において取得することができる。あるいは、プローブは非接触プローブを含むことができ、ステップ(b)における計測値は、好都合なスタンドオフにおいて取得されることが可能である。
【0016】
プローブと人工物の間の相対移動がない間に1つ以上のデータ測定値を取得するステップは、多数のデータ測定値を記録するステップと、データ測定値の平均を取るステップとを含むことができる。
【0017】
表面上の地点の近似的な位置は、測定用プローブを用いて、異なるスタイラス変位、プローブ力または離隔プローブにおける2つまたはそれ以上の測定値を取得することによって決定されることができ、前記の2つ以上の測定値に関するデータは近似的な位置を決定するために外挿されることができる。その結果、静的な誤差は低減され得る。ステップ(c)は、2つ以上の表面計測値からのデータを外挿するステップを含み、ここで、前記の2つ以上の表面位置は、異なるスタイラス変位、プローブ力または離隔プローブを有する。その結果、静的な誤差は低減され得る。前記の2つ以上の表面計測値のうちの少なくとも1つは、ステップ(a)から取得されることができる。
【0018】
プローブは線形プローブを含むことができ、計測データは2つ以上の位置から取得されることができる。あるいは、プローブは非線形プローブを含むことができ、計測データは3つ以上の位置から取得されることができる。
【0019】
ステップ(a)において人工物の表面上の地点の近似的な位置を決定するステップは、被測定物の表面上の地点の1つ以上の表面計測値を、1つ以上の表面計測値はプローブと人工物との間の相対移動がない間に取得され、また、ステップ(a)における1つまたは複数の表面計測値のうちの少なくとも1つと、ステップ(b)における1つまたは複数の表面計測値のうちの少なくとも1つは、異なるプローブ力、スタイラス変位または離隔プローブにおいて収集されるような条件において取得するステップと、計測データを人工物の表面上の前記の地点の位置に対応するデータに外挿するステップと、によって実施されることが可能である。
【0020】
ステップ(a)において人工物の表面上の地点の近似的な位置を決定するステップは、被測定物の表面上の地点の2つまたはそれ以上の表面計測値を、計測値はプローブと人工物の間の相対移動がない間に取得され、2つまたはそれ以上の表面計測値は、異なるプローブ力、スタイラス変位または離隔プローブにおいて収集されるような条件において取得するステップと、計測データを人工物の表面上の前記の地点の位置に対応するデータに外挿するステップと、によって実施されることが可能である。
【0021】
ステップ(a)において人工物の表面上の地点の近似的な位置を決定するステップは、被測定物の表面上の地点の1つまたは複数の表面計測値を、1つ以上の表面計測値はプローブと人工物との間に一定速度の相対移動がある間に取得され、また、ステップ(a)とステップ(b)とにおける1つまたは複数の計測値は、同じプローブ変位、プローブ力または離隔プローブを有するような条件において取得するステップによって実施されることができ、その際、ステップ(a)とステップ(b)とにおける計測値の差が動誤差を決定する。1つ以上の表面計測値を取得するステップにおいては、1つまたは複数の表面計測値はプローブと人工物の間に一定速度の相対移動があるときに取得されることが可能であり、その際、プローブ変位はステップ(a)およびステップ(b)におけるよりも小さく、より小さなプローブ変位または力において取得された1つ以上の表面計測値が動誤差に関して補正される。
【0022】
本発明の第2の形態は、測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられた機械を用いて人工物を計測する方法を提供するが、その場合、前記の機械はプローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、該プローブは機械出力との組合せにより人工物の表面上の地点の位置を示す1つまたは複数のプローブ出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、その方法は、
(a)人工物の表面上のある地点の2つ以上の表面計測値を取得するステップであって、該計測値はプローブと人工物との間の相対移動がない間に取得され、2つ以上の表面計測値は異なるプローブ力、スタイラス変位または離隔プローブにおいて収集される、ステップと、
(b)計測データを人工物の表面上の前記の地点の位置に対応するデータに外挿するステップと、
を任意の適切な順序で有する方法である。
【0023】
プローブは変位可能なスタイラスを有することができ、プローブは少なくとも2つの位置で異なるスタイラス偏位を有することができ、計測データはスタイラスの静止位置に対応するように外挿されることが可能である。プローブは変位可能なスタイラスを有することができ、スタイラスと人工物の表面との間で、少なくとも2つの位置において異なるプローブ力があることが可能であり、計測データはゼロのプローブ力に対応するように外挿されることが可能である。プローブは非接触プローブを含むことができ、プローブは人工物の表面から少なくとも2つの位置において異なるスタンドオフにあることが可能であり、計測データは表面位置を決定するために外挿されることができる。
【0024】
プローブは線形プローブであることが可能であり、計測データは2つ以上の位置から取得されることができる。あるいは、プローブは非線形プローブであることが可能であり、その場合計測データは3つ以上の位置から取得されることができる。
【0025】
プローブと人工物の間の相対移動がない間に1つまたは複数のデータ測定値を取得するステップは、多数のデータ測定値を記録するステップとデータ測定値の平均を取るステップとを含むことができる。
【0026】
本発明の第3の形態は、測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられた機械を用いて人工物を計測する方法を提供するが、その場合、前記の機械は該プローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、該プローブは機械出力との組合せにより人工物の表面上の地点の位置を示す1つまたは複数のプローブ出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、その方法は、
(a)人工物の表面上のある地点の2つまたはそれ以上の表面計測値を取得するステップであって、前記の2つ以上の計測値は同じプローブ変位またはプローブ力を有し、1つ以上の表面計測値はプローブと人工物との間の一定速度での相対移動の状態で取得され、1つまたは複数の表面計測値はプローブと人工物との間の相対移動がない間に取得される、ステップと、
(b)ステップ(a)から動誤差を決定するステップと、
(c)人工物の表面上の前記の地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、計測値はステップ(a)における計測値よりも小さなプローブ変位またはプローブ力によって取得され、計測値はプローブと人工物との間の一定速度での相対移動の状態で取得される、ステップと、
(d)ステップ(c)の1つ以上の表面計測値を、減少された静的および動誤差をもつ計測値を与えるように動誤差に関して補正するステップと、
を任意の適切な順序で有する方法である。
【0027】
本発明の第4の形態は、測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられた機械を用いて人工物を計測するための装置を提供するが、その場合、前記の機械は該プローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、該プローブは機械出力との組合せにより人工物の表面上の地点の位置を示す1つまたは複数のプローブ出力を与える少なくとも1つの測定装置を有する装置において、コントローラを含み、
コントローラは、
(a)人工物の表面上の1つ以上の地点の近似的な位置を決定するステップと、
(b)ステップ(a)において決定された近似的な位置を用いて、プローブおよび人工物のうちの少なくとも一方をプローブおよび表面の1つまたは複数の望ましい相対位置に移動させ、前記の位置において人工物の表面上の前記の地点の1つ以上の表面計測値を、1つ以上の表面計測値が取得される間プローブと人工物との間の相対移動がないときに取得するステップと、
(c)ステップ(b)からのデータを用いて、表面上の1つ以上の地点の、動誤差が実質的に減少された位置を決定するステップと、
を任意の適切な順序で実行する。
【0028】
本発明の第5の形態は、測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられた機械を用いて人工物を計測するための装置を提供するが、その場合、前記の機械は該プローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、該プローブは機械出力との組合せにより人工物の表面上の地点の位置を示す1つまたは複数のプローブ出力を与える少なくとも1つの測定装置を有する装置において、コントローラを含み、
コントローラは、
(a)人工物の表面上のある地点の2つ以上の表面計測値を取得するステップであって、計測値はプローブと人工物との間の相対移動がない間に取得され、2つまたはそれ以上の表面計測値は異なるプローブ力、スタイラス変位または離隔プローブにおいて収集されるステップと、
(b)計測データを人工物の表面上の前記の地点の位置に対応するデータに外挿するステップと、を任意の適切な順序で実行する。
【0029】
本発明の第6の形態は、測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられた機械を用いて人工物を計測するための装置を提供するが、その場合、前記の機械は該プローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有し、該プローブは機械出力との組合せにより人工物の表面上の地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力を与える少なくとも1つの測定装置を有する装置において、
コントローラを含み、
コントローラは、
(a)人工物の表面上のある地点の2つ以上の表面計測値を取得するステップであって、前記の2つ以上の計測値は同じプローブ偏位またはプローブ力を有し、1つ以上の表面計測値はプローブと人工物の間の一定速度での相対移動中に取得され、1つ以上の表面計測値はプローブと人工物との間の相対移動がないときに取得される、ステップと、
(b)ステップ(a)から動誤差を決定するステップと、
(c)人工物の表面上の前記の地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、計測値はステップ(a)における計測値よりも小さなプローブ偏位またはプローブ力によって取得され、計測値はプローブと人工物との間の一定速度での相対移動の状態で取得される、ステップと、
(d)ステップ(c)の1つ以上の表面計測値を、減少された静的および動誤差をもつ計測値を与えるように動誤差に関して補正するステップと、を任意の適切な順序で実行する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、例示として添付の図面を参照して説明される。
【0031】
表面におけるタッチトリガー測定を行うための走査プローブを用いる既知の方法が、図1および図2を参照して説明される。
【0032】
図面を参照すると、図1は、当技術分野では周知の三次元座標測定機(CMM)2を示す。CMM2は、被測定物5がその上に取り付けられる工作台3と、工作台3に対し相対的にx、y、z方向に移動可能なスピンドル4とを有する。機械スピンドルおよび/または工作台は、機械のスピンドルおよび工作台相互間の相対移動を生ずるように移動し得る。工作台に対するスピンドルのx、y、z方向における相対位置を測定するトランスデューサ(不図示)が、備えられている。構成の変形例は、被測定物とプローブとの間の相対移動が、他の手段、例えば、プローブが静止したままで被測定物を移動させることによってもたらされるものが知られている。
【0033】
プローブ6は、CMM2のスピンドル4の上に取り付けられる。プローブ6は、工作物接触先端部8をもつ変位可能なスタイラス7を有する。トランスデューサはスタイラスの変位を計測するためにプローブ内に備えられる。そのようなプローブの一例は、特許文献3に記述されており、そこではスタイラスは、例えば、3つの直列に接続された平行なバネであり得る固定構造体に対し支持される。その固定構造体に対するスタイラスの変位は、光学式手段によって変換され、その光学式手段は、スタイラスが結合される構成部品の上に設けられる3つの光学式スケールと、その光学式スケールに隣接して固定構造体上に配置される対応する読取りヘッドとを含む。
【0034】
プローブは、機械コントローラによって被測定物に向って動かされる。この移動の間、CMMトランスデューサの測定値は、全体の機械制御システムの一部を構成するコンピュータに継続的に供給される。
【0035】
スタイラスが静止位置(すなわち、スタイラス先端部に外力が作用しないときにスタイラスが占める位置)にある間は、プローブ・トランスデューサの出力はゼロに設定される。
【0036】
スタイラス先端部が被測定物との接触によって変位するとすぐに、プローブ・トランスデューサの出力は、変化し始める。これにより、信号が機械コントローラに送られ(既知の方法で)、機械スケールの読み取りを開始し、コンピュータの値を出力する。機械におけるさらなる限定された移動量が、コンピュータによって許可され、次いで、機械は、停止され、逆方向に動かされる。その逆進移動の間、機械トランスデューサおよびプローブ・トランスデューサの出力は、同時に、間隔を置いて記録される。そのコントローラは、機械を停止させ、そのコンピュータは、測定値から測定値を通る理論的な曲線(例えば、直線)を計算して、スタイラスボールが表面に丁度接触した瞬間に存在した機械スケールの各々の測定値を求めるために後方外挿(補外)する。これは、プローブ・トランスデューサの出力が最後にスタイラスの静止位置に等しいレベルにあった場合、その地点での各々の機械スケールの測定値である。
【0037】
図2は、機械のコンピュータによって作成された計算値のグラフ表示を示す。縦軸はプローブ・トランスデューサの出力を表し、横軸は1つの軸のCMMトランスデューサの出力を表す。機械が、プローブ・スタイラスと表面が接触した後に、限定された移動を続ける間、プローブ出力はスタイラスが変位するにつれて増大する。直線10は、プローブ出力から描かれ、また、後方外挿され、ゼロを示すプローブ出力において測定用スケールの測定値を求める。この点12において、プローブ・スタイラスは静止位置にあり、従って、スタイラスと被測定物との間の力はゼロである。
【0038】
この方法は、静的な測定力(measurement force)によって生じる誤差を除去する。しかし、計測は,依然として動誤差を含む。これらは、例えば制動に引き起こされる速度による誤差、および、例えば、プローブの振動によって引き起こされる加速度による誤差を含む可能性がある。
【0039】
図3は、プローブを表面に近づく方向に、または表面から離れる方向に移動させるときに得られる異なった計測データを示す。直線14は、プローブを表面に近づく方向に移動させることによって得られる計測データを示し、直線16は、プローブを表面から離れる方向に移動させるときに得られる計測データを示す。計測データが後方外挿される場合、表面に近づく移動の間に得られたデータは、プローブ力がゼロにおいて、計測値の第1の値18をもたらし、プローブの外向きの移動における計測データを用いた外挿は、ゼロのプローブ力に関連する計測値の第2の値20をもたらす。これらの計測値18と計測値20との差は、動誤差による。例えば、反対方向へ移動中のプローブの速度は、この誤差の原因である。プローブの移動の異なる方向における異なる速度は、この誤差の算出における困難を増す。
【0040】
図4は、不十分に制動されたプローブによる誤差を示す。振動は、外挿以前に平均されなければならない計測データにおいて誤差を引き起す。制動されるプローブにおいては、振動は低い周波数を有し、従って、計測データは、十分に長い時間にわたって平均されなければならない。過剰制動されるプローブにおいては、プローブが定常状態に達する前に遅れが生じる。
【0041】
本発明が、ここで図5を参照して説明される。図5は、CMM位置に対するプローブ出力のグラフを示す。前述のように、そのプローブは、三次元座標測定機(CMM)、または、工作物に対する相対移動をプローブにもたらす工作機械などの機械の上に取り付けられる。プローブは、スタイラス先端部が工作物の表面に接触するまで工作物に向って移動させられる。プローブは、工作物に向って特定の距離だけ移動し続け、従って、プローブ・スタイラスを変位させる。プローブは逆進させられ、スタイラ先端部が表面に接触している第1の位置14において停止させられる。プローブがこの第1の位置14に静止している間に計測データが取得される。プローブは、スタイラス先端部が依然として表面に接触し、計測データが取得される第2の位置16まで逆進移動を続ける。次に、プローブは、スタイラス先端部が表面と接触しなくなるまで逆進移動を続ける。
【0042】
その第1および第2の位置において、プローブは、好ましくは、計測値が取得される前に安定させる。一旦、プローブが安定すると、プローブがこれらの位置に静止している間に幾つかの計測データが取得される。複数の計測値から得られた計測データは、平均される。これらの計測値は、プローブが静止しているときに取得されるので動誤差は存在しない。従って、振動および制動などの効果による誤差は、除去される。2つの位置で取得された平均の計測データは、スタイラス変位がゼロ、従って、プローブ力がゼロにおけるスケールの測定値を決定するように後方外挿される。外挿法(補外法)が用いられるので、静的測定力による誤差は除去される。
【0043】
地点16は外挿による値により近いので、地点16において取得された計測データの精度は、地点14で取得された計測データの精度よりも重要である。従ってプローブは、計測データの精度を確実にするようにその表面により近い位置でより長く静止したままとしてもよい。少なくとも2つの位置におけるデータが、これら位置で、計測データを直線が通るように調整するために取得されるが、他のタイプの調整に対しては、計測データは、少なくとも3つの位置で取得されなければならない。
【0044】
上記は、外向きのプローブ移動における第1および第2位置でのプローブの停止を記述しているが、プローブが、内向きの移動における同様の位置に静止しているときに、計測値が取得されることも可能である。また、プローブの内向きおよび外向き移動の両方の間に計測値が取得されることも可能である。
【0045】
この方法を使用することにより、計測データはプローブが静止しているときに収集され、複数の計測位置の中間におけるプローブの速度は計測データに影響を及ぼさないのでプローブは、速い速度で移動可能とされる。
【0046】
この方法は、また、アクティブプローブと共に用いることにも適している。この場合、プローブは、一定のスタイラス変位において被測定物の表面に対して保持され、プローブ力は、変化される。2つ以上の異なるプローブ力において、プローブ力は、そのプローブ力において幾つかの表面計測値が取得される間、一定に保たれる。これらの異なるプローブ力値において取得された計測データは、ゼロ測定力に対応するように後方外挿される。
【0047】
また、この方法は、キャパシタンスおよびインダクタンス・プローブなどの非接触プローブに対しても適している。非接触プローブは、普通、基準球面上で較正される。しかし、局部的な形態、例えば、ばり、および、面取り縁などは計測測定値に誤差を生じる可能性がある。非接触プローブは、被測定物の表面に向って移動させられる。そのプローブは、表面から2つ以上の異なる距離において停止させられ、これらの異なる位置で計測測定値が取得される。前と同じように、これらの位置における計測測定値は、表面に接触しているプローブに対応する計測値を求めるように外挿される。
【0048】
表面からのプローブの距離と計測データとの間の数学的関係は、例えば、3次多項式など、特定の表面上のプローブに対しては既知である場合がある。数学的関係が未知である場合には、この数学的関係は、外挿が行われる前に第一歩として、データから決定されなければならない。
【0049】
本発明の第2の実施形態が、ここでCMM位置に対するプローブ出力のグラフを示す図6を参照して説明される。
【0050】
この方法においては、表面計測値は、プローブが計測されるべき被測定物の表面近傍に位置するときに、プローブのただ1つの静止位置から取得される。第一歩として、静止計測のためのプローブ位置を表面に近接させることを可能にするために、表面の近似的な位置が決定される。
【0051】
表面の近似的な位置は、プローブが静止していることを必要とせずに、単一の計測値20を取得することによって決定され得る。この計測値が、誤差帯域、すなわち、ゼロのスタイラス変位、即ち、ゼロのプローブ力に対応する可能なCMM位置の帯域内の近似的な表面計測値を与える。
【0052】
次に、プローブは、プローブをどこに配置するかを決定するためにスタイラスの近似的な位置を用いて表面の内部または近傍の位置24に静止させられる。前と同様に、この位置において幾つかの計測値が取得され、平均される。プローブが静止しているときに決定された表面計測値は正確な表面計測値を与える。
【0053】
図6に示されるように、そのプローブは、データが連続的に収集される間に表面に向って移動せしめられる。プローブが、偏位(ふれ)の閾値20、例えば、300μm、を通過するとき、プローブおよび機械データは、保持される。この保持されたデータ22は、近似的な表面位置24を決定するのに用いられる。
【0054】
直線21の勾配は、プローブの較正から分かるプローブの利得から決定される。
【0055】
次に、そのプローブは、この近似的な表面位置、例えば、表面内20μmに位置する位置26に向って移動される。この位置26において、プローブが表面に対して静止している間に計測値が取得される。前と同様に、この位置において幾つかの表面計測値が取得され、平均され得る。プローブが静止しているときに作成された計測データ28は、正確な表面位置30を与える。前と同様に、直線29の勾配は、プローブの利得から決定される。利得の較正における誤差は、例えば、機械の作業範囲の異なる位置での利得の異なる値によって生じる可能性がある。表面近傍で計測値を取得するこの方法は、利得従って、勾配29の値に誤差がある場合、結果としての計測値の誤差が最小化されるという利点を有する。
【0056】
近似的な表面位置24と正確な表面位置30との間の差は、システム32の動誤差を与える。
【0057】
近似的な表面位置を決定する第一歩が、異なるプローブ偏位、プローブ力または離隔プローブにおいて、それぞれプローブが静止している間に取得される2つの表面計測値を取得するステップを含む場合、より正確な位置計測値が取得される。近似的な表面位置は、これらの2つの計測地点によって外挿することにより決定される。また、この外挿は、直線21の勾配、従って、プローブの利得をより正確に決定する。この利得は、表面近傍の計測値から表面位置を決定するために用いられる。従ってプローブの利得における誤差による計測値誤差は除去される。
【0058】
以前と同様に、プローブは、次に、前のステップで決定された表面位置近傍を除く内部位置に静止される。
【0059】
この第2の実施形態の方法は、アクティブおよびパッシブ接触プローブに対して適している。
【0060】
この第2の実施形態の方法は、非接触プローブに対しても適している。この場合、近似的な表面計測値を決定するために表面から第1の距離において非接触で第1の計測値が取得される。次に、非接触プローブは、近似的な表面位置によって決定される表面からの最適の離隔位置に移動される。例えば、キャパシタンス・プローブなど、幾つかのプローブに関して、このプローブは、表面近傍の位置であり得る。例えば、光学式プローブなどの他のタイプのプローブにおいては、このプローブは、表面からさらに遠く離れた「スウィート・スポット」の離隔位置であり得る。この第2の位置においては、表面計測値は、プローブが静止している間に取得され、多数の測定値が取得されて、正確な表面位置を決定するように平均可能とされる。
【0061】
本発明の第3の実施形態が、ここで、図7および図8を参照して説明される。図7は、CMM位置に対するプローブ出力のグラフを示し、図8は、本方法を示す流れ図である。
【0062】
前述の実施形態と同様に、工作物はCMMのテーブル上に配置され、測定用プローブはCMMのクイル上に取り付けられる。プローブは、工作物の表面に向って移動される。プローブ・スタイラスが工作物と接触し始めたとき、プローブは、所定の偏位が達成されるまで移動し続ける。プローブの移動の間、プローブ出力は、プローブ・スタイラスが表面と接触する位置において保持され、第1の計測値40が、取得されるが、この第1の計測値は、一定の速度と既知の所定の偏位(例えば、0.3mmの偏位)において取得される。
【0063】
第2のステップにおいて、プローブは工作物の表面から離れて逆進させられる。プローブが第1計測値と同じ偏位(例えば、0.3mm)に達したとき、プローブは停止させられ、プローブが静止している間に第2の表面計測値42が取得される。
【0064】
この第2の計測値は、プローブが静止しているためにゼロの動誤差を有する。しかし、プローブ力による静的誤差は存在する。
【0065】
図7において、曲線52は、較正から導かれたプローブの利得である。この曲線は、そのシステムの無限剛体を仮定している。しかし、第2計測値42からのデータが、曲線52に平行な曲線54について外挿される場合、結果として得られる表面データは、静的誤差eによる計測誤差を有するだろう。
【0066】
第1および第2計測値40、42は、同じプローブ偏位において取得されたので、それらは、同じプローブ力、従って、同じ静的誤差を受けることになる。計測値間の差は、第1計測値が取得された際の速度による動誤差eである。それゆえ、動誤差は、第1および第2計測値40、42相互間の差から決定44され得る。
【0067】
第2計測値42(または、代替的にそしてより近似的に第1計測値40)からの計測データは、工作物の表面を近似するのに使用可能とされる。これにより、小さい偏位となるであろう第3の計測位置が選択可能とされる。
【0068】
プローブは次に、工作物から離れる方向に移動させられ、第3の計測値46が一定の速度において、そして小さい偏位において取得される。このプローブは小さなプローブ偏位(例えば、10μm)にされるので、プローブ力による最小の静的誤差があることになる。しかし、一定速度でのプローブ移動による動誤差はあることになる。以前に決定された動誤差44は、計測データから差し引かれることが可能である。従って、動誤差は除去される。
【0069】
従って、補正された表面位置50は、静的および動誤差の両方に対して補正されている。
【0070】
動誤差と速度の関係が既知である限り、第1および第2計測値が同じ速度で取得される必要はない。大部分のシステムに対して、速度と動誤差の間の関係は直線的であるので追加のステップなしに導かれることが可能である。非線形な関係を有するシステムに対しては、この関係は、同じ変位において、しかし、第1計測値とは異なる速度で幾つかの計測値を取得することによって決定されることが可能である。
【0071】
プローブの実際の利得を表す曲線56は、静的誤差を考慮しているので、較正から導かれた曲線52とは異なる。曲線57は、静的および動誤差の両方を考慮にいれている。
【0072】
他の実施形態と同様に、これもまた、アクティブプローブと共に用いるのにも適している。この場合、第1および第2計測値は同じプローブ力で取得され、第3計測値は、第1および第2計測値に比べて低いプローブ力において取得される。
【0073】
これら全ての実施形態において、計算は、コントローラによって実行されることができる。これは、機械コントローラまたは別個のコンピュータ(例えば、PC)を含むことができる。
【0074】
前記の実施形態は、3軸機械上に取り付けられたプローブを説明しており、その場合、機械の移動は、プローブを静止させるために停止させられる。しかし、プローブは他の型の機械に取り付けられることも可能である。例えば、プローブは、回転軸、多軸機械、または5軸もしくは6軸工作機械の上に取り付けられることが可能である。
【0075】
プローブは、2軸周りに回転運動を有するアーティキュレーティング型プローブ・ヘッドに取り付けられることが可能である。そのようなアーティキュレーティング型プローブ・ヘッドは、特許文献4に記述されており、その文献は、プローブが好ましくは第1および第2の直交する軸の周りに回転することを可能にするプローブ・ヘッドについて記述している。この運動は、モータによって制御され、プローブ・ヘッド内に備えられているトランスデューサによって計測される。次に、プローブ・ヘッドは、例えば直線軸を有する機械に取り付けられることができる。プローブ・ヘッドは、必ずしも機械に結合されるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明が用いられるCMMの線図である。
【図2】従来技術の方法におけるCMM位置に対するプローブ出力のグラフである。
【図3】表面に近づくときとそれから離れるときの測定相互間における測定値測定値の差を示すCMM位置に対するプローブ出力のグラフである。
【図4】制動に起因した速度による誤差を示すCMM位置に対するプローブ出力のグラフである。
【図5】本発明の方法の手段を利用して取得されたCMM位置に対するプローブ出力のグラフである。
【図6】本発明の第3の実施形態を示すCMM位置に対するプローブ出力のグラフである。
【図7】CMM位置に対するプローブ出力のグラフである。
【図8】第3の実施形態による方法を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられ、該プローブの相対位置を示す出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する機械を用いて人工物を計測する方法であって、該プローブは、前記機械の出力との組合せにより前記人工物の表面上の地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する計測する方法において、
(a)前記人工物の前記表面上の1つ以上の地点の近似的な位置を決定するステップと、
(b)ステップ(a)で決定された前記近似的な位置を用いて、前記プローブおよび前記人工物のうちの少なくとも一方を、前記プローブおよび前記表面の1つ以上の望ましい相対位置に移動させ、前記位置において前記人工物の前記表面上の前記地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、前記1つ以上の表面計測値が取得される間、前記プローブと前記人工物との間の相対移動がないステップと、
(c)ステップ(b)からのデータを用いて、動誤差が実質的に減少される前記表面上の前記1つ以上の地点の位置を決定するステップと、
を任意の適切な順序で有する方法。
【請求項2】
前記表面上の地点の前記近似的な位置は、測定用プローブを用いて1つ以上の測定値を取得することによって決定される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の測定値は、前記プローブと前記表面の間の相対移動がある間に取得される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の測定値は、前記プローブが前記表面に対して静止している間に取得される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b)における前記計測値は、ステップ(a)における前記計測値よりも前記表面に近い位置で前記プローブにより取得される請求項2乃至請求項4のうちののいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記プローブは、変位可能なスタイラスを有し、ステップ(b)における前記表面計測値は低スタイラス変位において取得される請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記プローブは、変位可能なスタイラスを有し、ステップ(b)における前記表面計測値は低プローブ力において取得される請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記プローブは非接触プローブを含み、ステップ(b)における前記表面計測値は好都合なスタンドオフにおいて取得される請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記プローブと前記人工物の間の相対移動がない間に1つ以上の測定値を取得する前記ステップは、多数のデータ測定値を記録するステップと、前記データ測定値の平均を取るステップとを含む請求項1乃至請求項8うちのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記表面上の地点の前記近似的な位置は、測定用プローブにより2つ以上の測定値を取得することによって決定され、前記測定値は、異なるスタイラス変位、プローブ力、または離隔プローブにおいて取得され、前記2つまたはそれ以上の測定値に関連するデータは、前記近似的な位置を決定するために外挿される請求項2乃至請求項9のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)は2つ以上の表面計測値からのデータを外挿するステップを含み、前記2つまたはそれ以上の表面位置は異なるスタイラス変位、プローブ力、または離隔プローブを有している請求項1乃至請求項10のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記2つ以上の表面計測値の少なくとも1つは、ステップ(a)から取得される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プローブは線形プローブであり、計測データは2つ以上の位置から取得される請求項10乃至請求項12のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記プローブは、非線形プローブであり、前記計測データは、3つ以上の位置から取得される請求項10乃至請求項12のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a)において前記人工物の前記表面上の地点の前記近似的な位置を決定する前記ステップは、前記人工物の前記表面上の前記地点の1つ以上の表面計測値を取得することによって実行され、前記1つ以上の表面計測値は、前記プローブと前記人工物との間に一定速度の相対移動がある間に取得され、ステップ(a)とステップ(b)における前記1つ以上の計測値は、同じプローブ変位、プローブ力またはスタンドオフを有し、ステップ(a)とステップ(b)における前記計測値の間の差は、前記動誤差が決定されることを可能にする請求項1乃至請求項14のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、1つ以上の表面計測値を取得する前記ステップを含み、前記1つ以上の表面計測値は、前記プローブと人工物の間に一定速度の相対移動があるときに取得され、前記プローブ変位またはプローブ力は、ステップ(a)およびステップ(b)におけるよりも小さく、前記小さなプローブ変位またはプローブ力において取得された前記1つまたは複数の表面計測値は、動誤差に関して補正される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられ、該プローブの相対位置を示す出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する機械を用いて人工物を計測する方法であって、前記プローブは、前記機械の出力との組合せにより前記人工物の表面上の地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する計測する方法において、
(a)前記人工物の前記表面上のある地点の2つ以上の表面計測値を取得するステップであって、該計測値は前記プローブと前記人工物との間の相対移動がない間に取得され、前記2つ以上の表面計測値は、異なるプローブ力、スタイラス偏位または離隔プローブにおいて収集されるステップと、
(b)前記計測データを前記人工物の前記表面上における前記地点の前記位置に対応するデータを外挿するステップと、
を任意の適切な順序で有する方法。
【請求項18】
前記プローブは変位可能なスタイラスを有し、前記プローブは少なくとも2つの位置において異なるスタイラス変位を有し、前記計測データは、該スタイラスの前記静止位置に対応するように外挿される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プローブは変位可能なスタイラスを有し、前記スタイラスと前記人工物の前記表面の間の、少なくとも2つの位置において異なるプローブ力が存在し、前記計測データはゼロのプローブ力に対応するように外挿される請求項17または請求項18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記プローブは非接触プローブを含み、前記プローブは前記人工物の前記表面から、少なくとも2つの位置において異なるスタンドオフにあり、前記計測データは前記表面位置を決定するために外挿される請求項17または請求項18のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記プローブは線形プローブであり、前記計測データは2つ以上の位置から取得される請求項17乃至請求項20のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記プローブは非線形プローブであり、前記計測データは3つまたはそれ以上の位置から取得される請求項17乃至請求項20のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記プローブと前記人工物の間の相対移動がない間に1つまたは複数のデータ測定値を取得する前記ステップは、多数のデータ測定値を記録するステップと、該データ測定値の平均を取るステップとを含む請求項17乃至請求項22のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項24】
測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられ、該プローブの相対位置を示す出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する機械を用いて人工物を計測する方法であって、前記プローブは、前記機械出力との組合せにより前記人工物の表面上の地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する計測する方法において、
(a)前記人工物の前記表面上のある地点の2つ以上の表面計測値を取得するステップであって、該2つ以上の計測値は、同じプローブ偏位またはプローブ力を有し、1つ以上の表面計測値は、前記プローブと前記人工物との間の一定速度での相対移動の状態で取得され、1つ以上の表面計測値は前記プローブと前記人工物との間の相対移動がない状態で取得されるステップと、
(b)ステップ(a)から動誤差を決定するステップと、
(c)前記人工物の前記表面上における前記地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、前記計測値はステップ(a)における計測値よりも小さなプローブ偏位またはプローブ力によって取得され、前記計測値は前記プローブと前記人工物との間の一定速度での相対移動の状態で取得されるステップと、
(d)ステップ(c)の前記1つ以上の表面計測値を、減少された静的および動誤差をもつ計測値をもたらすように動誤差に関して補正するステップと、
を任意の適切な順序で有する方法。
【請求項25】
測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられ、該プローブの相対位置を示す出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する機械を用いて人工物を計測するための装置であって、し、前記プローブは、前記機械の出力との組合せにより前記人工物の表面上における地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する装置において、
コントローラを含み、
該コントローラは、
(a)前記人工物の前記表面上の1つ以上の地点の近似的な位置を決定するステップと、
(b)ステップ(a)で決定された前記近似的な位置を用いて、前記プローブおよび前記人工物のうちの少なくとも一方を、前記プローブおよび前記表面の1つ以上の望ましい相対位置に移動させ、前記位置において前記人工物の前記表面上の前記地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、前記1つ以上の表面計測値が取得される間、前記プローブと前記人工物との間の相対移動がないステップと、
(c)ステップ(b)からのデータを用いて、動誤差が実質的に減少される前記表面上における前記1つ以上の地点の位置を決定するステップと、
を任意の適切な順序で実行する装置。
【請求項26】
測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられ、前記プローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有する機械を用いて人工物を計測するための装置であって、前記プローブは、前記機械出力との組合せにより前記人工物の表面上の地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力を与える少なくとも1つの測定装置を有する装置において、
コントローラを含み、
該コントローラは、
(a)前記人工物の前記表面上のある地点の2つ以上の表面計測値を取得するステップであって、該計測値は前記プローブと前記人工物との間の相対移動がない間に取得され、前記2つ以上の表面計測値は異なるプローブ力、スタイラス変位または離隔プローブにおいて収集されるステップと、
(b)前記計測データを前記人工物の前記表面上における前記地点の位置に対応するデータに外挿するステップと、
を任意の適切な順序で実行する装置。
【請求項27】
測定用プローブが人工物に対して相対的に移動するように取り付けられ、前記プローブの相対位置を示す出力を与える少なくとも1つの測定装置を有する機械を用いて人工物を計測するための装置であって、前記プローブは、前記機械出力との組合せにより前記人工物の表面上における地点の位置を示す1つ以上のプローブ出力をもたらす少なくとも1つの測定装置を有する装置において、コントローラを含み、
該コントローラは、
(a)前記人工物の前記表面上のある地点の2つ以上の表面計測値を取得するステップであって、前記2つ以上の計測値は同じプローブ偏位またはプローブ力を有し、1つ以上の表面計測値は前記プローブと前記人工物との間の一定速度での相対移動の状態で取得され、1つ以上の表面計測値は前記プローブと前記人工物との間の相対移動がないときに取得されるステップと、
(b)ステップ(a)から動誤差を決定するステップと、
(c)前記人工物の前記表面上の前記の地点の1つ以上の表面計測値を取得するステップであって、該計測値はステップ(a)における計測値よりも小さなプローブ偏位またはプローブ力によって取得され、該計測値は前記プローブと前記人工物との間の一定速度での相対移動の状態で取得されるようなステップと、
(d)ステップ(c)の前記1つ以上の表面計測値を、減少された静的および動誤差をもつ計測値をもたらすように動誤差に関して補正するステップと、
を任意の適切な順序で実行する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−509386(P2008−509386A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524401(P2007−524401)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003095
【国際公開番号】WO2006/013387
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】