説明

複合体および該複合体を製造する方法

複合体は、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された2つの構成要素(2a、2b)を備え、前記構成要素は、それらの構成要素の間に位置する接続領域(6)において、ハンダブリッジ(4)によって、媒体密な方法で互いに接合されている。信頼できる接続を形成するために、ハンダブリッジは、少なくとも65%のwスズの重量比率と、最高で350℃の融点とを有し、かつ合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有する低融点スズ合金によって形成されることが提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
その発明は、請求項1の前提部に従った複合体および該複合体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この範疇の複合体は、例えば微小電気機械システム(MEMS)用の高断熱複合パネルまたはパッケージの形で、半導体技術において、既に広範囲に知られている。
最初に述べた用途に関して、断熱能力の実質的な改善は、真空に維持された空間をサンドイッチ状に配置された二重パネルによって行われ得る。同様の状況は複数のパネルに当てはまる。
【0003】
そのようなガラス複合体の製造については、接続されるべき構成要素、具体的にはガラスパネルを、接合プロセスによって、具体的にはハンダ付けプロセスによって、密封接合することが知られている。ほとんどの場合、ハンダ付けプロセスは大気圧で行なわれ、その後、それにより形成された空間は脱気される。
【0004】
以下に述べる4つのハンダ材が最も一般的に用いられている。
特許文献1は、2枚のガラスパネルを相互に接合するための低融点ガラスハンダの使用を記載している。接合工程は約500℃で行なわれ、典型的には数時間を必要とする。
【0005】
特許文献2は、主にスズに基づく金属ハンダの使用を記載している。典型的な融解温度は250〜450℃の範囲にある。この方法によれば、接続領域として機能する周囲領域のガラス表面を、ハンダによる良好な濡れ性を備えた表面を形成するために、最初に金属化する必要がある。さもなければ、安定したハンダブリッジを形成することはできない。
【0006】
この技術の改善は、特許文献3に記載されている。前記文書では、先に金属化することなく、活性化されたスズおよび亜鉛ハンダをガラス表面上にそれぞれ直接ハンダ付けすることが記載されている。しかしながら、それにより得られた接続は、負荷下における機械的強度および長期安定性に関係することについて陽極接続より明らかに劣っており、従って、真空断熱ガラスのためのエッジジョイントとしては、実際上、ほとんど適用されないであろう。
【0007】
特許文献4は、シールを形成するためのインジウムに基づいた低融点ワイヤーの使用を記載している。この手段により、接合工程は、200℃未満の比較的低温で行なうことができ、ガラス表面の事前の金属化は必要とされない。しかしながら、付加的な手段によって、詳細にはシーリングの外側に配置されるエポキシ接着剤によって、複合体の機械的安定性を強化する必要がある。しかしながら、そのような技術を商業的に採用することに対して最も重要な障害は、インジウムの不足である。
【0008】
述べるべきさらなる手法は陽極接合(anodischen Bondings)の技術である。
特許文献5は、高温でイオン伝導性になる酸化物材料と、液体状態にある金属との間における陽極接続の形成を記載している。この方法において、液体金属は絶縁体に対して正電位にさせられる。絶縁体を加熱すると、絶縁体の電気伝導率は著しく増大し、その結果、電流が流れ始める。例えば20μA/mmの電流密度を用いると、化学的拡散層と、それに付随して金属と絶縁体との間の接続とが、約30秒以内に形成され得る。しかしながら、前記特許文献中で提案されたハンダ金属は、高融点であるか、有毒であるか、または、その利用可能な形態において、ガラスとの機械的に耐久性がある接続を生じない。
【0009】
特許文献6には、合わせガラスパネルの製造のために陽極接合を使用することが記載されている。前記特許文献中には、ガラスパネルとスペーサーとして作用する金属フレームとを接合することが提案されている。具体的には、アルミニウム製であり、かつ2枚のガラスパネルのうちの一方のそれぞれの面に対して各脚部が当接するU字形を有する金属フレームを採用することが提案されている。その後、金属フレームとガラスパネルとの間における媒体が漏れないような(mediumdichte)(以下「媒体密」と表現する)接続は、陽極接合によって形成されるであろう。しかしながら、そのようなU字形によれば、大型の重い支柱が必要とされ、しかしながら、前記支柱は高度に望ましくない熱伝導をもたらすことが問題であることが判明している。さらに、ガラスとの均一な接触を全周に沿って達成することができないので、全周に沿って封止する陽極接合の生成は、このようにほとんど実現可能ではない。
【0010】
陽極接合はまた微小電気機械システム(MEMS)の製造のために検討されてきたが、定着はしていない。例えば、ゴヤールらは、2つのパイレックス(登録商標)基材をスズハンダによって接合する方法を記載している。前記方法では、基材は、最初に、接合されるべき領域に薄いCr/Auフィルムを設けられる必要がある(非特許文献1)。ゴヤールらは、陽極接合について序文において実際に簡潔に述べているが、様々な不都合とされる点を考慮して陽極接合を却下している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,902,652号
【特許文献2】米国特許公開公報第2002/0088842号
【特許文献3】欧州特許第EP1199289B1号
【特許文献4】米国特許第6,444,281号
【特許文献5】米国特第3,470,348号
【特許文献6】米国特許第4,393,105号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】エイ.ゴヤール(A. Goyal)、ジェイ.チェオン(J. Cheong)およびエス.タディガダパ(S. Tadigadapa)、 J. Micromech. Microeng. 、第14巻 (2004年)、819〜825頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記に述べられた種類の複合体を改善し、それらの複合体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1の特徴的な特性および請求項10に記載の製造方法によって、本発明に従って達成される。
本発明に従った複合体は、間に配置された接続領域において、ハンダブリッジによって、互いに媒体密に接合された2つの構成要素を備える。前記構成要素の少なくとも一方は、少なくともその接続領域に面した側面に、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された外層が設けられている。
【0015】
ハンダブリッジは、少なくとも65%のスズの重量比率と、最高350℃の融点とを有し、合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有する低融点スズ合金から製造されている。ここまでおよび下記において、記号%は重量パーセントを示す。ハンダブリ
ッジは、陽極接合(AB)によって、2つの構成要素のそれぞれと接続される。前記構成要素の各々は、接続領域に面した外層を有しており、該外装は高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造されている。前記合金はさらにいくつかの活性化金属を含有することができる。
【0016】
第1実施形態において、2つの構成要素の少なくとも一方は、すべて高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造されている。
さらなる実施形態において、2つの構成要素の少なくとも一方は、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された外層によって包囲された電気絶縁性コア材料から製造されている。
【0017】
さらなる実施形態において、2つの構成要素の少なくとも一方は、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された外層が少なくとも設けられた電気伝導性コア材料から製造されている。
【0018】
さらにさらなる実施形態において、2つの構成要素のうちの一方は、スズハンダによって従来通りに軟ろう接され得る材料から製造された外層が少なくとも設けられたコア材料から製造されている。
【0019】
ハンダ材料として用いられるスズ合金が低融点を有することにより、接合工程は比較的低温で行なうことができる。このようにして、構成要素の特性は悪影響を受けない。例えば、アニール処理ガラスから製造された構成要素を用いることができ、低放射層(niedrigemittierende Schichten)など、存在するいかなるコーティングも損なわれない。スズ
合金が合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有することにより、ガラス表面の液体ハンダ材料との濡れは大幅に良好になる。これは媒体密接続の形成にとって不可欠である。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に従った複合体を製造する方法が提供される。その方法は、
a1)2つの構成要素を、ハンダブリッジとして機能するスズ合金の融解温度より高い温度に加熱する工程と、前記構成要素のうちの一方は、媒体密に接続されるべき接続領域に従って予め切断されたスズ合金の層によって被覆されていることと、
a2)2つの構成要素を、該構成要素の間に接続領域を形成するように、そこに配置されたスズ合金によって接合する工程と、
a3)高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された接続領域に面した外層を有する構成要素の各々のそれに関して約300〜2,000Vの正電圧を、接続領域内に存在するスズ合金に印加することによって、液体状態における陽極接合ABを用いて、ハンダブリッジを形成する工程とを備え、前記スズ合金は、少なくとも65%のスズの重量比率と、最高350℃の融点とを有し、合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有する。
【0021】
本発明のさらにさらなる態様によれば、本発明に従った複合体を製造する方法は、
b1)2つの構成要素を、ハンダブリッジとして機能するスズ合金の融解温度より高い温度に加熱する工程と、
b2)2つの構成要素を、前記構成要素の間に媒体密に接続されるべき接続領域を空けておくように、接合する工程と、
b3)液体状態にあるスズ合金を、該スズ合金によって前記接続領域が充填されるように、与える工程と、
b4)高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された前記接続領域に面した外層を有する構成要素(2a,2b)の各々のそれに関して約300〜2,000Vの
正電圧を、前記接続領域内に存在するスズ合金に印加することによって、液体状態における陽極接合ABを用いて、ハンダブリッジを形成する工程とを備え、
前記スズ合金は、少なくとも65%のスズの重量比率と、最高350℃の融点とを有し、合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有する。
【0022】
上記に記載した2つの方法は、特に、ハンダ材料が適用される方法において異なる。第1の事例では、スズ合金の対応する事前切断部分、例えばスズの枠状の縞が、構成要素の一方の上に敷設される。続いて、2つの構成要素は、前記事前切断部分がそれらの構成要素の間にサンドイッチ状に配置されるように、接合される。第2の事例では、2つの構成要素は、ハンダ材料で充填されるべき接続領域をその間に開けておくような方法で、最初に接合される。続いて、液体状態にあるスズ合金が、2つの構成要素間に配列された前記接続領域中に充填される。
【0023】
本状況では、常に、2つの構成要素の接続について説明しているが、本発明の概念は、3つ以上の構成要素を備える構造に容易に拡張することができる。そのような場合、2つの構成要素が各々、本発明に従って互いに接続される。
【0024】
本発明のさらに好ましい実施形態は、従属請求項において定義されている。
本状況において、「活性化金属」という用語は、一般に、各構成要素の酸化物材料との接続のより容易な形成に寄与する、すなわち、スズよりも容易に陽極酸化され、さらに、界面領域において機械的に安定した酸化構造を形成することができ、かつガラスとの接続を容易に形成することができる、あらゆる金属元素を指すように意図される。
【0025】
ガラス製の構成要素については、活性化金属としてアルミニウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムまたはインジウムと合金を形成することが有益であるが、好ましくは、金属は、アルミニウム、ベリリウム、マグネシウム、ガリウム、インジウム、リチウムおよびナトリウムのうちから選択される。特に好ましいのは、アルミニウム、リチウムおよびベリリウムである。スズアルミニウム合金を用いた場合、スズハンダとガラスとの間の界面では、可視の酸化物の形成はほとんど生じないことが判明した。これは、均一かつ媒体密の接続の形成にとって不可欠である。
【0026】
好ましくは、スズハンダ中の活性化金属の重量比率は、少なくとも0.005%であり、かつ最大で5%である。
原理的には、ハンダブリッジは様々な幾何学的実施形態を有し得る。例えば、2つの構成要素は、点または縞状のハンダブリッジによって互いに接合され得る。しかしながら、2つの構成要素間に媒体密に閉鎖された内部空間を形成するためには、ハンダブリッジは、有利には、周方向に形成されるような方法で構成される。
【0027】
ハンダブリッジの厚さ、すなわち接続領域内における2つの構成要素間の距離は、基本的に広い範囲から選択することができる。完全に連続したハンダブリッジを保証するためには、下限値として約5μmの厚さが好結果であると判明した。ハンダブリッジの最大厚さは、特定の制限を受けず、典型的には約1mmである。これは、主として生産技術、安定性およびコストの理由による。
【0028】
本発明の実施形態において、2つの構成要素はガラスパネルとして形成される。これらは、特に、高真空下に維持された媒体密に閉鎖された内部空間を備えた高断熱複合パネルとしての用途のために提供される。
【0029】
本発明のさらなる実施形態において、2つの構成要素は、例えば微小電気機械デバイス
またはマイクロ電子デバイスのためのパッケージとして使用するために意図された、ガラスおよび/またはセラミックの板として形成される。
【0030】
本発明の製造方法の好ましい実施形態において、前記構成要素は、工程a1)および工程b1)それぞれの前に、またはその最中に、洗浄工程に供される。洗浄工程は、構成要素の材料および複合体の応用分野に従って選択されることが理解されるであろう。
【0031】
例えば、高断熱複合パネルの製造については、水は、たとえほんの少量であっても、ガラス表面に非常に強力に付着し、単に加熱(200℃よりもはるか高くであっても)することによっては完全に除去することができないことを考慮に入れなければならない。完成した複合パネルの空間への高度に望ましくない水の放散を避けるために、水をできるだけ完全に除去しなければならない。さらに、炭素化合物は、除去しないと、太陽の紫外線(uv)光によって小さな揮発性分子に分解することがあり得、それは望ましくない圧力上昇ももたらすので、存在する任意の炭素化合物も除去する必要がある。水および炭素化合物は、高真空下、すなわち約1ミリバールの範囲にある残留圧力において適切に行われる対応する前処理を伴う周知の方法を用いて除去することができる。この目的のために、炭素化合物は、uv光および/またはオゾンによる処理によって除去することができ、一方、水は高真空下において>250℃に加熱することにより脱離させることができる。水および炭素化合物はまた、スパッタリング(例えばアルゴンイオンによる)によって効率的に除去することもできる。
【0032】
応用分野と、とりわけ接続されるべき構成要素の領域とに応じて、2つの構成要素を接合する際に、それらの構成要素の間に少なくとも1つのスペーサーが配置されることが有益であるか、または必須でさえある。
【0033】
一般に、本発明の方法は、周囲空気下で行われ得るが、不活性ガス雰囲気中において行うこともできる。しかしながら、前記方法の好ましい実施形態によれば、工程a1)〜a3)および工程b1)〜b4)のそれぞれは、真空下、好ましくは最大10−4ミリバールの残留圧力において実行される。このプロセスにおいて、前記構成要素の加熱の際に放出される蒸気およびガスは、制限されることなく汲み出され得ることは重要である。また構成要素が互いから十分に離間していることと、とりわけ、脱気中に死容積が存在しないこととを保証する必要がある。
【0034】
真空中または不活性ガス下おいて操作する場合、少量の、例えば最大500ppmの重量比率の、活性化金属の酸化物の存在は、液体スズ合金の濡れ挙動に好ましい影響を有する。合金がいくつかの活性化金属を含有している場合、前記活性化金属のすべてまたはその一部の酸化物が存在し得る。改善された濡れ挙動は、接続領域の液体スズ合金による隙間のない被覆を容易にし、従って、例えば、周方向に連続した途切れることのない液体状態のハンダ枠の形成を可能にする。
【0035】
所望の金属酸化物は、例えば、ハンダの生成の最中に直接、または酸素含有雰囲気において高真空環境への導入の前に、明確に定義された条件(酸素濃度、温度、反応装置設計および幾何学的形状、流動条件)下で、液体状態にある活性化成分を(例えばAlからAlに)酸化することによって生成され得る。これに代わって、酸化物形成に必要とされる酸化手段を、液体(例えばH)、塩(例えばKClO)、または塩溶液として添加して、所望量の酸化物を得ることができる。
【0036】
さらに、複合パネルを製造するプロセスでは、陽極接合プロセスを行なう前に、基本的に知られているゲッタリング材料が、接続領域に包囲された2枚のガラスパネル間の領域に配される。
【0037】
以下、本発明の例について、下記を示す図面を参照することにより、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】複合体を製造する方法の第1実施形態の2枚のスナップショットを示す概略断面図。
【図2】陽極接合プロセスを示す概略断面図。
【図3】複合体を製造する方法の第2実施形態の3枚のスナップショットを示す概略立面図。
【図4】高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された2つの構成要素を備える複合体の第1実施形態を示す図。
【図5】高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された上側構成要素と、高温においてイオン伝導性である酸化物材料によって被覆された電気絶縁性コアを備えた下側構成要素とを備える複合体の第2実施形態を示す図。
【図6】高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された上側構成要素と、高温においてイオン伝導性である酸化物材料によってその上側面を被覆された電気絶縁性コアを備えた下側構成要素とを備える複合体の第3実施形態を示す図。
【図7】高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された上側構成要素と、その上側面を従来の軟ろう接材料によって被覆された下側構成要素とを備える複合体の第4実施形態を示す図。
【図8】高断熱ガラスパネルの製造を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1aおよび図1bに表わされた実施形態では、最初に、予め洗浄工程に供された2枚の平板状ガラス要素2a,2bを提供する。2つのガラス要素はほぼ水平に整合され、図1aに示すように、最初は距離d1で互いの上に配置される。距離d1は後続の脱気を問題のなく可能にするように選択され、従って、例えば約5cmであるであろう。下側ガラス要素2aにはスズ合金の層4が施されている。下記により詳細に述べるように、この文脈におけるスズ合金は、最高で350℃の融点を有し、合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有する低融点スズ合金である。層4の幾何学的形状は、媒体密に接合されるべき接続領域に従って事前に切断されている。例えば、2枚のガラス要素2a,2bの間に配置された媒体密に閉鎖された内部空間6を形成するためには、ガラス要素の縁に隣接して周方向に配置された枠状の層4が用いられる。
【0040】
続いて、2枚のガラス要素2a,2bおよびそれらの要素に施されたスズ層4は、スズ合金の融解温度より高い温度まで、例えば300℃に、加熱される。有利には、この工程は、以下の実施例に示すように、適切なチャンバ内で高真空下において行なわれる。続いて、2枚のガラス要素2a,2bは、それらの要素の間に、そこに配置されたスズ合金4を有する接続領域6が形成されるように、合わせられる。例えば、2枚のガラス要素2a,2bの間の距離d2は、約200μmに調節される。この目的のためには、初めに下側ガラス要素2b上に、対応するスペーサーが配置されると有益である。
【0041】
最後に、陽極接合により、2枚のガラス要素のそれに関して、約300〜2,000Vの正電圧を、接続領域内に存在するスズ合金に印加することによって、ハンダブリッジが形成される。実施中のプロセスは図2に示されており、2枚のガラス要素2a,2bおよびその間に配置されたスズ合金4は、2つの接地電極Eの間に挟持されており、スズ合金4は正極(+)に接続されている。液体スズ相において、活性化成分、すなわち、例えばアルミニウムは、陽極酸化され、このプロセスでは、電界の影響下でガラス中に拡散するAl+3のような金属イオンを形成する。同時に、酸素イオン(形式上はO)は液体金
属に向かって拡散する。従って、機械的接続(いわゆる「陽極接合」)をもたらす酸化拡散層が形成される。これは、2つの酸化物成分が、チャンバ中の調整された温度においてイオン伝導性であるので、唯一可能である。表面で形成された金属カチオンの移動に加えて、NaまたはKのような酸化物成分中に含有されるカチオンもまた、界面からスズ合金に向かって移動し、カソード側にごく接近したカチオンは電荷中和を保証する。このため、接合工程中の電流は、酸化物成分のイオン伝導度および温度によってそれぞれ規定される。
【0042】
スズハンダと合金を形成する活性化金属は、スズより容易に酸化するので、望ましくない酸化スズの形成に抗するが、それを完全に防止することはできない。少量の活性化金属の酸化物は、酸素の存在下、すなわち、例えば空気中での、ハンダの融解の際に、常に期待されるに違いない。少量のそのような酸化物は、全工程に好ましい効果を有することさえある。ハンダがその液体状態において2つの構成要素の間に与えられる場合、それは初期の「最小限の」濡れを保証し、それにより液状ハンダの周方向に連続した途切れることのない枠の形成を可能にする。いかなる酸化物も存在しない状態では、液状半田は、濡れが不十分であるために、液滴を形成する傾向にあり、液滴の形成は、今度は液状ハンダの周方向に連続した枠の形成を妨げる。
【0043】
図3a〜図3cに示す実施形態では、若干異なる順番の工程が行なわれる。具体的には、2枚のガラス要素2a,2bはまず加熱されて脱気される。その後、2枚のガラス要素はほぼ水平に並べられ、例えば200μmの距離d2で互いの上に配置される。これは、有利には、適切な寸法の支持体によって行われる。したがって、前記ガラス要素の間に形成された接続領域6は、初めは空けておかれる。続いて、液体状態にあるスズ合金4は、ガラス要素2a,2bの間に、適切な供給システム8により、接続領域が所望のように、すなわち、好ましくはその周囲領域に充填されるように、側方方向に導入される。例えば、供給システムは、加熱された供給容器10と、ノズル先端を備えた供給管12とを備える。状況に応じて、周方向に回転可能な供給システムを有するガラス要素の固定配置、またはこれに代わって、静止した供給システムを有するガラス要素の回転配置を用いることができることが理解されるであろう。最後に、第1実施形態について既に述べたように、ハンダブリッジは、陽極接合を用いて、2枚のガラス要素に関して約300〜2,000Vの正電圧を、接続領域中に存在するスズ合金に印加することにより形成される。
【0044】
すぐ上記で述べた配置は、本願に詳細に示されていない方法に変更することができ、それによれば、陽極接合は、スズ合金を与えている間に既に引き起こされている。これを達成するためには、一方の側面上において、スズ合金は供給中は正電圧で維持され、かつ、反対側面では、同時にグラウンド電位に維持された放電要素が、2枚のガラス要素の各々上の供給システムの先端へと延びる。そのような場合、接合工程によって濡れが連続的に引き起こされるので、酸化物を完全に含まないハンダもまた、真空中または不活性ガス雰囲気中において、用いることができる。
【0045】
図4〜図7は、ハンダブリッジの形成に用いられるような方法でそれぞれ配置された複合体の様々な基本的実施形態を示している。
図4に示す実施形態は2つの構成要素2a,2bを備え、それらは双方とも、完全に、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造されている。ハンダブリッジを形成するためには、2つの構成要素2a,2bを対応する金属電極Eによってグラウンド電位に維持しながら、スズ合金4を正電位にさせる。このように、陽極接合(anodic bonding
(AB)は、スズ合金4と、2つの構成要素2a,2bとの間の界面において生じる。
【0046】
図5に示す実施形態は、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された上側構成要素2bと、例えばセラミック製の電気絶縁性コア2i、および高温においてイオ
ン伝導性である酸化物材料から製造されたコーティング2aを有する下側構成要素2uとを備える。ハンダブリッジを形成するためには、図4に示した事例と同様に、2つの構成要素2a,2bを対応する金属電極によってグラウンド電位に維持しながら、スズ合金4を正電位にさせる。このように、陽極接合(AB)は、スズ合金4と、2つの構成要素2a,2uとの間の界面において生じる。
【0047】
図6に示す実施形態は、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された上側構成要素2bと、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造されたコーティング2aがその上側面上に設けられた、例えば金属板またはシリコンウェーハなどの電気伝導性コア2mを備えた下側構成要素2vとを備える。ハンダブリッジを形成するためには、上側構成要素2bを対応する金属電極によってグラウンド電位に維持しながら、スズ合金4を正電位にさせる。下側構成要素2vの電気伝導性コア2mは、ここでは第2対向電極として作用する。イオン伝導性成分の層2aの厚さによって、第2対向電極に存在する電位を調節する必要があり、これは図6に分圧器回路によって示されている。このように、陽極接合(AB)は、スズ合金4と、2つの構成要素2b,2vとの間の界面において生じる。
【0048】
図7に示す実施形態は、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された上側構成要素2bと、上側面を従来の軟ろう付け(soft soldering)に適した材料2fで被覆された、例えばシリコンウェーハのような任意の基材層2sを備えた下側構成要素2wとを備える。2fはまた多層系であってもよいことが考えられる。ハンダブリッジを形成するためには、上側構成要素2bを対応する金属電極によってグラウンド電位に維持しながら、スズ合金4を正電位にさせる。このように、陽極接合(AB)はスズ合金4と上側構成要素2bとの間の界面において生じ、それと同時に、スズ合金4と下側構成要素2wとの間では従来のハンダ接続が形成される。下側構成要素2wにおいて電気的電位を印加する必要はない。
【0049】
陽極接合のためのスズ合金
表1は、複合体を生成するのに有用である、活性化金属成分を含む、様々なスズを含有した基本的なハンダを示す。下記において、記号%は重量パーセントを示す。
【0050】
表1:スズを含有した基本的なハンダ
【0051】
【表1】

【0052】
これらのハンダの特定用途に向けた最適化は、添加される合金成分(例えばCu、Ag、Zn)の変更による、金属格子の微細構造および関連する機械的特性の変更を必要とする場合がある。これは、合金に加えられる活性化成分(例えばLi、Mg、Al、Ga)の効果に影響を与えてはならない。
【0053】
複合パネルの製造
複合パネルを製造する方法を図8に示す。6mmの厚さを有するフロートガラスパネルを、最初は石鹸液で洗浄し、次いで水で洗浄し、続いて、イソプロパノールで濯いで、乾燥させる。表面上のいかなる残留炭素不純物もuv/オゾン洗浄によって除去する。その後、直ちに、前記ガラスをゲートシステムを介して予備真空チャンバ内に導入する。ここで、前記ガラスは、約0.1ミリバールのチャンバ圧において、約200°Cまで加熱される。そこから、前記パネルを、さらなるゲートを介して、10−6〜10−7ミリバー
ルの背景圧力を有する高真空チャンバ(HVK)中に移動させる。ここで、前記パネルは、250°C〜300°Cの温度にさらに加熱される。この時点において、2枚のガラスは、約20cmの距離で互いの上に直接配置される。次いで、下側半分部分の上に、ゲッタ材料と、パネル間の最終的な空間を定義する複数のスペーサー(典型的には250μm)とを配置する。所望温度に到達し、かつチャンバの圧力計が<7・10−5ミリバールを示したときに、上側パネルが大部分にわたってスペーサーの上面上に位置するまで、2枚のパネルを互いに向かって移動させる。次いで、選択した液体状態のハンダ化合物(例えばSnAl 0.6%)を、回転式注入ノズルによって前記空間に注入し、それにより約1cmの幅を有する連続的につながった枠を形成する。前記枠は、ガラスの温度がハンダの融解温度を超えているので、依然として液体である。その後、陽極接合プロセスを行う。すなわち、2枚のガラスパネルの反対側面上に位置する接地電極のそれに関して約1,800Vの正電圧を約90秒間にわたって印加する。このようにして、300°Cにおいて0.6mA/cm2の典型的な電流密度に到達する。それにより生成された複合体を、228°Cのハンダの硬化点よりも低くまで冷却し、次いで、ゲートシステムによって、まずは高真空チャンバ内に移動させ、次いで周囲環境に出す。その結果として、<10−4ミリバールの内部圧力、最小限の炭素汚染、およびゲッタ材料を含むことを特徴とする密閉ガラス複合体dichtes Glasverbundobjekt(真空ガラス)が得られる。
【0054】
MEMS
半導体工業では、いわゆる「同時焼成(co-fired)」セラミックのケーシングが、半導体のパッケージング、特に微小電気機械システム(MEMS)のパッケージングに用いられている。そのようなケーシングは、そのグリーン状態、すなわち未焼成状態のセラミック材料を積層することにより、多数の層を有して生成される。パッケージという用語は、電子部品またはMEMS部品をケーシング内へ密閉することを意味する。
【0055】
少なくとも1%molの含有量のNaまたはLiを含む酸化物セラミックから製造された半導体用のケーシングは、uv/オゾン洗浄により、炭素化合物について完璧に洗浄され、その上面Oは、液体SnAgMgCu 4.0;3.0;0.5%ハンダの浴中に、約150μmの厚さを有するこのハンダの「枠」が、ちょうど上面の端に付着したままとなるように、すれすれに浸けられる。MEMS加速センサーをケーシング内に導入し、エポキシ樹脂によってケーシングの底部に接着する。続いて、従来のワイヤーボンディングによって個々の電気接続を形成する。その後、同一のセラミック材料(または、例えば、光電子部品またMEMSがパックされる場合には、フロートガラスのような光学的に透明なアルカリに富んだガラス)から製造されたケーシング用の適切に適合するカバーが付けられ、その装置は、グラウンド電位にある2つの電極の間に挟持されて、ハンダが融解する240°Cまで加熱される。次いで、前記ハンダを電気伝導性チップと接触させて、直流電圧を印加することにより、前記ハンダをグランドに関して+400Vの電位にさせる。5分後、電圧を停止し、このように陽極接合によって形成された複合体を冷ます。
【0056】
CIGS(銅インジウムガリウムジセレニド)太陽電池
72個の個別CIGSセルを備えた0.6m×1.2mの寸法を有する太陽電池パネルは、フロートガラス製の3mm厚の基材担体上に形成される。初めに、ガラス基板上に、リソグラフィーによってモリブデン電極(約9cm×9cm)を付着させ、それらの電極の接続リードを、スパッタリング工程(最初は50nmのCr、続いて500nmのMo)によって施した。その後、所望の化学量論および厚さ(1〜2μm)を有する光活性Cu(In,Ga)Se層を、第2のマスクを用いて、CVD共蒸着によって施し、それに続いて、50nmの厚さの硫化カドミウムcd製の薄箔を付着させる。最後に、ドープされたZnOで形成された導電透明酸化物層を、さらなるマスクを用いて、スパッタリングによって施す。この最後のマスクは、突出した下側Mo導電層に対する局所的なオフセ
ットにより、72個の個別セルのすべての直列回路を生成するように選択される。次いで、最初および最後のセルにおけるパネル全体への電気接続は、20μmの厚さを有するSiO層および50/200nmの厚さを有するCr/Ni層で絶縁された、幅2cmおよび厚さ約150μmの2つのAl導体細片によって形成する。次いで、完成した太陽電池パネルを、本願に記載した陽極接合プロセスのうちの1つによって密封する。
【0057】
この目的のために、パネル自体の縁と、さらに厚さ3mmのフロートガラス製の第2のカバーパネル(また、それは)の底部側にも位置する、約2cmの幅の細片を、プラズマスパッタリングによって清浄にする。次いで、給電線が外部ヘと側方方向に引き出される。その後、2つの半分部分は、窒素雰囲気において270°Cまで加熱され、0.5mmの相互距離にさせられる。続いて、SnLi0.01%のハンダを、約1cmの幅を有する均一で途切れない枠が全周にわたって形成されるように、ノズルによって側方方向に導入する。前記枠は、さらに、側方方向に通される電気接続を密閉して包囲し、封止する。陽極接合プロセスは、枠状対向電極に関して、+1000Vの電圧を印加することによって開始される。前記枠状対向電極は、各々、ガラスの反対側面に、その同一の温度レベルで配置される。8分後、電圧供給を停止し、太陽パネル複合体を冷却する。このようにして、最終製品はここで密閉される。同一の方法はまた、例えばポリマー、Si、または有機「イオン性液体」電解質を有するグレッツェルセルのような他の種類の太陽電池の密閉も可能にする。グレッツェルセルの場合には、後で充填されなければならない。
【0058】
OLED表示装置
OLED(有機発光素子)は従来の発光半導体素子の安価な代替物である。それらの有機成分の構成およびそれらの高度に特殊な表面のために、OLEDは非常に酸化に敏感である。本出願は、完全な酸素の排除を可能にし、従って、耐久性の延長につながる、OLED表示装置の不活性ガス雰囲気中における密閉パッケージングについて説明する。
【0059】
5cm×9cmの寸法を有するOLED表示装置は、酸素プラズマ処理によりSiO絶縁体層が予め設けられた0.25mmの厚さを有するn−型半導体シリコンウェーハ上に、リソグラフィーによりITO(インジウムスズ酸化物)製の透明な陽極配置を施すこと、有機層のスピンコーティング(「スピンコーティング」)、およびカソード配置の蒸着(再度、ITOからリソグラフィーによる)によって形成される。最後の調製工程として、Siウェーハの縁に、マスクを用いた100nmのTi、続いて10μmのNiの蒸着によって、約1cmの幅を有する周方向の縞部を付着させることにより、ハンダ付けに適した基部を形成する。次いで、1mmの厚さを有するフロートガラスパネルを、200μmの距離に到達するまで、完成したOLED配置に向かって降下させる。不活性ガス雰囲気において、その上側および下側において接続される対象の縁の付近に位置する約2cmの厚さを有する縞部を、2つの加熱された金属枠によって、局所的に約270°Cに加熱し、液体SnAlLi 0.4;0.2%のwハンダをノズルシステムを介して側方方向に導入することにより、周方向に連続した枠を形成する。続いて、前記ハンダを、ガラス側面に隣接した加熱された金属電極に関して+500Vの電位にさせ、4分間にわたってこのように維持する。次いで、電圧源を停止して、加熱された金属枠を除去し、完成したパッケージ化OLED表示装置を冷却する。
【0060】
さらなる備考
陽極接合の際に生じる電気化学反応は、カソード側では、イオン伝導性材料の構造中において水酸化ナトリウム(NaOH)のようなアルカリ化合物の形成を生じる。これらの物質は極微量しか形成されないが、それらの物質は陽極反応の検知のために用いることができる。複合パネルの場合には、例えば、金属フレームとは反対側の面のガラスの裏面上に位置する湿ったリトマス紙が、青−紫の着色として塩基性成分の存在を示すであろう。この着色はガラス上の他の位置では生じない。
【0061】
第2の陽極接合の検出のための非常に有力な方法は、電子顕微鏡検査法およびエネルギー分散分光法(EDS)による研磨片試料の分析である。この目的のために、約1cm×1cmの寸法を有する接続領域(ガラス/ハンダ/ガラス)断片をエポキシ中に埋め込み、平坦に磨削し、研磨し、最後に数nmの炭素層で被覆する。今度は、走査型電子顕微鏡法(REM)およびEDSによって断面を検査する。界面にごく接近した(約10μm)富化領域および欠乏領域の存在は、陽極接合が適用されたという明らかな証拠を表わす。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に位置する接続領域(6)において、ハンダブリッジ(4)によって、互いに媒体密に接合された2つの構成要素(2a,2b)を備える複合体であって、前記構成要素の少なくとも一方は、少なくともその接続領域に面した側面に、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された外層が設けられており、前記ハンダブリッジは、少なくとも65%のスズの重量比率と、最高で350℃の融点とを有し、合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有する低融点スズ合金から製造されており、前記ハンダブリッジは、前記構成要素のそれぞれと、陽極接合(AB)によって接続されており、前記構成要素の各々は、高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された、前記接続領域に面した外層を有することを特徴とする、複合体。
【請求項2】
前記活性化金属は、アルミニウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムおよびインジウムのうちから選択される、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記活性化金属は、アルミニウム、ベリリウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、ガリウムおよびインジウムのうちから選択される、請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
前記活性化金属は、アルミニウム、リチウムまたはベリリウム、特にアルミニウムである、請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記ハンダブリッジは、周方向に形成されるような方法で構成されており、それにより、2つの構成要素の間に媒体密に閉鎖された内部空間を形成する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項6】
前記接続領域における2つの構成要素の間の距離は、約5〜500μmである、請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
前記2つの構成要素はガラスパネルとして形成されている、請求項5または6に記載の複合体。
【請求項8】
高断熱複合パネルとして使用するために、前記媒体密に閉鎖された内部空間は高真空にある、請求項7に記載の複合体。
【請求項9】
前記2つの構成要素は、微小電気機械デバイスまたはマイクロ電子デバイスのパッケージングとして使用するために、ガラス板および/またはセラミック板として形成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の複合体を製造する方法であって、
a1)2つの構成要素(2a,2b)を、ハンダブリッジとして機能するスズ合金の融解温度より高い温度に加熱する工程と、前記構成要素のうちの一方(2a)は、媒体密に接続される接続領域に従って予め切断されたスズ合金の層(4)によって被覆されていることと、
a2)2つの構成要素(2a,2b)を、該構成要素の間に接続領域(6)を形成するように、そこに配置されたスズ合金によって接合する工程と、
a3)高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された前記接続領域に面した外層を有する構成要素(2a,2b)の各々のそれに関して約300〜2,000Vの正電圧を、前記接続領域(6)内に存在するスズ合金(4)に印加することによって、液体状態における陽極接合を用いて、ハンダブリッジを形成する工程とを備えるか、
または、
b1)2つの構成要素(2a,2b)を、ハンダブリッジとして機能するスズ合金の融解温度より高い温度に加熱する工程と、
b2)2つの構成要素(2a,2b)を、媒体密に接続される接続領域(6)を前記構成要素間に空けておくように、接合する工程と、
b3)液体状態にあるスズ合金(4)を、該スズ合金によって前記接続領域(6)が充填されるように与える工程と、
b4)高温においてイオン伝導性である酸化物材料から製造された前記接続領域に面した外層を有する構成要素(2a,2b)の各々のそれに関して約300〜2,000Vの正電圧を、前記接続領域内に存在するスズ合金に印加することによって、液体状態における陽極接合を用いて、ハンダブリッジを形成する工程とを備えるかのいずれかであり、
前記スズ合金は、少なくとも65%のスズの重量比率と、最高で350℃の融点とを有し、合金成分として少なくとも1種の活性化金属を含有する、方法。
【請求項11】
工程a1)または工程b1)の前、またはその最中に、それぞれ、前記構成要素は洗浄工程に供される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程a2)または工程b2)は、それぞれ、前記2つの構成要素の間に少なくとも1つのスペーサーの挿入を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
工程a1)〜工程a3)、または工程b1)〜工程b4)は、それぞれ、真空下で行われる、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記スズ合金は、濡れ挙動を改善するために、少なくとも1種の活性化金属の酸化物を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項8に記載の複合体を生成するための請求項13または14に記載の方法であって、前記陽極接合プロセスを行う前に、前記接続領域によって包囲された2枚のガラスパネル間の領域内に、ゲッタリング材料が配置される、方法。

【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−519805(P2011−519805A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502205(P2011−502205)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000107
【国際公開番号】WO2009/121196
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(500397558)
【Fターム(参考)】