説明

視界妨害現象の検出プロセス、検出装置、及びそのコンピュータプログラム

【課題】 簡単な且つ安価に車両の視界妨害現象を検出して適切な処置を可能にする検出プロセスを提供する。
【解決手段】 車両の視界妨害現象を検出する検出プロセスは、
−車両の後部からライトビームを車両に搭載されたカメラCAMの視野内に照射するステージと、
−このカメラCAMで捉えた少なくとも1つのイメージに基づいて視界妨害現象Gの存在及び性質を決定するステージとにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視界妨害の検出プロセス、及びそれを実施するための検出装置に関する。本発明は、特に自動車の分野に好適に適用しうるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の分野において、接近して後続する車両等の固形障害物の存在を監視し、この車両等が接近し過ぎると、警告を発するようになっている方策は、既に実施されており、公知である。このようなシステムは、例えば距離センサに基づいて行われている。障害物が存在し、後方のライトをスイッチオンして点灯すると、路面が濡れている場合には(実際に雨が降っているか否かには関係なく)、ライトの視認性は、車両の後輪による水しぶき等による後続車両のドライバの視界妨害により影響される。これは、後続ドライバのみならず、先行車両のドライバにとっての懸念事項である。しかし、このプロセスでは、視界妨害現象を検出することはできない。
【0003】
また、このような検出装置も公知である。例えば、特許文献1は、路面を車両のヘッドライトで照明するシステムを備え、車両の前の道路に沿う夕霧の検出プロセスを開示している。このプロセスは、路面の一連のイメージを捉え、ヘッドライトにより生じるこのイメージからのハローを取り出し、これを、直近の楕円カーブと比較して、霧の有無を推定するものである。
【0004】
特許文献2は、車両の周囲環境をスキャンするカメラ、及びこのカメラの各画素の輝度を予定値と比較するイメージングシステムにより構成され、いずれかの画素の輝度が予定値を下回るとき、霧が存在すると推定する霧検出プロセスを開示している。
【0005】
特許文献3は、赤外線放射器、検出器及び表示装置により構成された暗視装置を開示している。この赤外線放射器は、ドライバにより操作される1個以上のパルス放射ダイオードにより構成され、検出器又はカメラも同時に作動させられる。
【0006】
特許文献4は、車両に搭載され、道路の交通条件(気象条件及び障害物検出の両方)を検出するシステムを開示している。この検出システムは、可視光線ビームを照射する第1光源、及び変調可能な少なくとも1個の光源を有する少なくとも1個のライト照射器を備え、道路に沿って照射する高周波数の赤外線ビーム、及び前方の道路のイメージを捉えることが可能な少なくとも1台のカメラを備えている。
【0007】
また、非特許文献1には、複数のカメラ及びイメージプロセッシングに基づく受動霧検出システムを開示しているが、ライトビームの照射は行わない。
【0008】
非特許文献2には、複数のカメラ及びイメージプロセッシングに基づく受動霧検出システムを開示しているが、ライトビームの照射は行わない。
【0009】
特許文献5は、2台のカメラ、及びイメージプロセッシングシステムにより構成された車両のウインドスクリーンの汚れ検出装置を開示している。
【0010】
また、特許文献6は、霧のような視界を妨害する要素の存在下における距離視認性の決定装置を開示している。しかしこれは、ライトビームの照射を伴うものではない。
【特許文献1】EP1715456号
【特許文献2】EP1498721号
【特許文献3】EP1298481号
【特許文献4】EP1553429号
【特許文献5】EP1790541号
【特許文献6】FR2847367号
【非特許文献1】VDIレポート2005年第1907号のジェイ・レレビーほかの共著による「視認性センサ付きフォグランプオートメーション、ライティングオートメーションの次のステップ」
【非特許文献2】SAEワールドコングレス2006年のピー・レイラックほかの共著による「OptiVeo:ドライブ支援用ビジョンベースプラットフォーム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のような従来技術は、いずれも、簡単かつ確実に、車両の運転に影響する視界妨害現象を検出し、適切な処置を講じ得るものではなかった。
【0012】
本発明は、従来技術におけるこのような課題に鑑みなされたものであり、視界を妨害する現象を、簡単かつ確実に、検出又は検知しうる視界妨害現象の検出手段を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の検出すべき視界妨害現象の検出プロセスは、
−車両に搭載されたカメラの視野内に車両からライトビームを照射するステージと、
−このカメラで捉えた少なくとも1つのイメージに基づいて、視界を妨害する現象の存在及び性質を決定するステージとを備えている。
【0014】
本発明の検出プロセスの非限定的な第2の実施の形態においては、次の如き特徴を有している。
−視界を妨害する現象の性質は、イメージ上の当該現象の均質性及び粒度測定に基づき計算可能である。これら2つのクライテリアにより、現象が、例えば霧であるか、又は水しぶきであるかを示すことが可能である。
−この現象の性質の計算は、現象のトラッキング運動に基づいて行うことができ、これにより、霧と水しぶきを正確に識別することができる。
−ライトビームを変調することにより、かかる現象の存在の検出、及び駐車支援等の他の用途にも適用することができる。
【0015】
本発明の他の実施の形態は、次の要素を備える視界妨害現象の検出装置である。
−車両からライトビームを、車両に搭載されたカメラの視野内に照射する光源、及び
−このカメラで捉えられた少なくとも1つのイメージに基づき、視界を妨害する現象の有無を決定する制御ユニット。
【0016】
本発明の第3実施の形態は、データ処理ユニットにより実行できる1以上のコマンドのシーケンスを有し、このシーケンスの実行により、上述した特徴のプロセスを実施しうるコンピュータプログラミング製品である。
【発明の効果】
【0017】
以下の詳細説明から理解しうるように、本発明の検出プロセスによると、ビデオカメラにより捉えられたイメージ手段により、複雑な電子デバイスを必要とすることなく、簡単かつ確実に、視界妨害現象を解析しうるという効果が得られる。また、ビデオカメラの使用は、特別に高価となるものでもない。
【0018】
更に、本発明は、次の如き種々の特有の効果を奏する。
−車両の走行に重大な影響を及ぼす水しぶきを検出し、後方ライトに適切に適応させることが可能である。
−妨害現象の性質を決定することができ、これにより、霧が発生している場合には、フォグライトを点灯させ、水しぶきが発生する場合には、リアライトの光度を調節できる。
−水しぶきのように、車両の後輪により発生させられる視界妨害現象の検出が可能である。また、水しぶき(車両自体により発生されたもの)と霧(車両により発生されたものではない)との識別が可能である。
−後続車両等の障害物や、その性質の検出が可能である。
−このような障害物がない場合には、(妨害現象の検出時に)リアライトのレベルを高めることができる。
−障害物の検出時には、後続車両のドライバが、目をくらましたり、又は先行車両を見るのを阻止するように、ライトの強度レベルを上げる。これは、省エネ効果も有する。
−妨害現象と後続車両等の障害物との混同を生じさせないようにする。
−妨害現象の検出及び駐車の支援等のために、2台のカメラを使用する必要性をなくす。これにより、同じカメラで2つの機能を実行することができ、カメラの多機能化が可能である。妨害現象の検出機能は、ライトビームの発生とイメージのプロセッシングに限定され、かつ後者は駐車支援等にも使用できるので、付加コストが抑えられ、経済的である。
−(ライトの発生とカメラを)車両の本体に搭載する手段を設けることなく、サイドライトやヘッドランプ等の照明及び信号システムと簡単に一体化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。降雨又は霧の結果に拘わらず、濡れた道路では、車両(自動車、トラック又はその他の車両)の後部ライトの後続車両のドライバによる視界は、例えば車両の後部から巻き上げられる水しぶき等による他の車両の視界を妨害する現象により、影響を受けるのが一般的である。従って、視界を妨害するこの現象の存在や性質を評価し、必要に応じて、車両のライト又は信号システムを、切替及び/又は強化して、後続車両のドライバが、先行する車両の信号を容易に識別しうるようにするのが好ましい。
【0020】
本発明による上記の現象を検出しうるプロセスにより、上記のような検出が可能となり、かつ図1にその実施の形態を開示するが、この実施の形態は、本発明を限定するものではない。
【0021】
この用途において、検出は、車両Vに搭載された、詳細は後述するビデオカメラよりなる検出装置を使用して実行される。
【0022】
この検出プロセスは、図1に示す如く、次の各ステージを備えている。
−車両Vに搭載されたカメラCAMの視野内にライトビームFXを照射する(図1のステージEM(FX))、及び
−このカメラCAMにより捉えられた少なくとも1つのイメージIに基づき妨害現象Gの存在及び性質を決定する(図1のステージANAL_G(I))。
【0023】
それは、さらに次のステージを備えている。
−カメラCAMにより、イメージIを捉える(図1のステージACQ_SQ(I))。
【0024】
次に、これらのステージについて詳細に説明する。
第1ステージ1)では、ライトビームFXを車両Vからこの車両VのカメラCAMの視野内に照射する。
【0025】
本発明の一実施の形態によると、ライトビームFXは、略850nmの波長を有する赤外線ビームである。これにより、妨害現象Gの存在下でも車両の後方に何らの不都合な影響の発生を阻止可能であり、従って後続する車両のドライバに不快感を与えることはない。更に、相当に遠距離から見えるので、カメラCAMのスペクトラム検出の適合性は保証される。
【0026】
本発明の更に他の実施の形態によると、ライトビームFXは極めて細い。具体例では、その開口角度は4°である。これにより、パワーロスの可能性を最小限にする。それはまた、ライトビームFXにエネルギーを集中させ、妨害現象の検出を相当に遠距離から行うことを可能にする。
【0027】
このライトビームFXは、後述する光源DIODにより生成される。
【0028】
図2は、光源DIODにより生成され、車両VのカメラCAMの視野内に照射されたライトビームFXの一例を示す。図示の例において、ライトビームFXは、車両Vの後方に照射される。更に、2つの水しぶきG1及びG2が、ライトビームFXにより照明される。
【0029】
図3は、図2の平面図である。後部ライト内の光源DIODの位置は、2個の後部ライト間に配置されたカメラCAMの位置で一緒に見ることができる。
【0030】
本発明の一実施の形態の第1ステージにおいて、ライトビームFXの生成は、後部ライトの点灯により行われる。これにより、降雨時又は走行路面が濡れているとき、ドライバは、水しぶき等により妨害現象の検出を確実に行い、その結果、自分の車両の後部ライトの点灯を、妨害現象の性質に応じて行うようにできる。
【0031】
次に、第2ステージ2)において、車両VのカメラCAMにより、イメージIを捉える。
【0032】
ビデオカメラCAMは、図示の如く、車両Vの後部に配置されており、捉えられたイメージIは、このカメラCAMの視野内における車両Vの後方位置の環境を示す。これにより、車両Vの後方における妨害現象Gの検出が可能になる。具体例では、カメラCAMは、車両Vの後方ライトの一方の近傍に配置されている。
【0033】
これにより、後方ライトの一方から照射されたライトビームFXは、周囲のサスペンションにおける妨害現象Gによる粒子(例えば、濡れた路面を車輪が運動した後)を通過して拡散される。このライトビームの波長は、カメラCAMによりスペクトラム分析される。これらの粒子は、カメラCAMの視野内に位置する妨害現象Gをなすので、この妨害現象G内の拡散されたライト、即ち光を積分するイメージを捉えることが可能である。
【0034】
イメージが捉えられるこのステージは、上述したプロセスに含むことはできないが、上述したプロセスの前に実行される他のプロセスの一部となし得ることは明らかである。
【0035】
また、上述した第1ステージ及び第2ステージは、並行して実行することも可能である。
【0036】
次に、第3ステージにおいて、視界妨害現象Gの有無及び性質が、カメラCAMで捉えられたイメージIに基づいて決定される。
【0037】
このイメージIの解析により、次のことが可能である。
−妨害現象G(雨や霧)の有無及び性質の決定、並びにこれにより推定される後方信号システム又は前方ライト視界低減。問題となるライトや信号の強度増加による補償(例えば、ビームが車両の後方を照明するとき、後方ライトの強度増加)、フォグライトの点灯、又はヘッドライトをディップドビームからアンディップドビームへ切り替え、
−障害物、特に後続車両の存在を検出し、ライトによる付加的なエネルギーの消費(及びフィラメント電球の寿命への影響を制限)を最適化する。
【0038】
図4及び図5は、カメラCAMにより捉えられたイメージIの2つの具体例を示す。
【0039】
これらのイメージIは、細いライトビームFXによる夜間の拡散光を示す。このビームはイメージIの左及びカメラCAMの上位置にある光源DIODから照射される。
【0040】
図中の白いエリアは、ライトビームFXによる拡散された夜間光を表わし、斜線エリアBは、ライトビームFXにより照明されないカメラCAMの視野内における車両Vの周囲環境(ここでは、後方)を表わす。
【0041】
図4の例は、カメラCAMの視野CAM_V内に障害物Oがなく、降雨時における車両Vの後方環境を示す。このイメージIは、水P1及びP2のエリアを示し、車両Vの後方に生じる、エアロダイナミックタービュランスによる水しぶき等の妨害現象Gの存在を示している。
【0042】
図5の例は、障害物(例えば、後続車両)Oがある場合の、霧の存在下における車両Vの後方環境を示している。
【0043】
水のエアリアより均質であり、かつ動きの少ない霧PFの存在下では、ライトビームFXは、より連続的に見える。同じイメージ上で、外部光源は、視野内のイメージIの右に現れる。これは、例えば後続車両のヘッドライト、又は田舎の固定光源等のような障害物である。イメージ内のこの種の光源の検出は、例えば後続車両の輪郭をピックアップするように、車道の検出に基づくトラッキング法を使用することにより簡単に行いうる。これらの方法は、当業者に周知の事項であるので、ここで詳細な説明は省略する。
【0044】
この方法により、カメラCAMにより捉えられたイメージを使用して、次の検出が可能である。
−障害物Oの有無及び性質。
−妨害現象の有無及び性質。
【0045】
障害物Oの検出に関し、後続車両の有無に関する情報を使用して、車両の信号機能の強度制御の最適化に使用可能である。これにより、車両の直後を走行する後続車の有無、その他により、両後方ライトの輝度の調節(目くらましの防止)することが可能である。これにより、問題となる双方のドライバの安全性を増大する効果が得られる。
【0046】
また、車両の後方において、後方サイドライトの強度が複数の標準ポイントにより特徴付けられていることに注目されたい。あるヨーロッパ規格(EEC R7)によると、これらのポイントの強度は、ポイントに応じて、0,05cd及び最低4cdの間で変化する。単一ライトの場合の最大許容値は12cdであり、複数組のライトの場合には17cdである。これにより、もし水が検出されると、ライトの強度は増加できるが、水及び後方近傍のドライバが検出された場合には、これに応じて、ライトの強度を増加できる(即ち、後方近傍にドライバがいない場合より低くして、目くらましを生じないようにし、かつ更に離れた車両がある場合よりも低い)。
【0047】
視界妨害現象Gの検出に関しては、この現象の性質の特性は、拡散されるライトの均質性及び粒度測定に基づく。その理由は、これらのパラメータで水と霧を区別できるからである。
【0048】
水と霧を差別化することができる利点は、例えば霧が存在する場合には、特定形態の信号を作動させること、即ちフォグライトを使用すること、又は水しぶきの場合には後方ライトの強度を増加することができる。
【0049】
この現象が、水しぶき及び雨の混合であるか否かを確定する必要がある場合には、降雨センサの使用を追加することが可能である。このセンサにより、降雨が規則的であるか否かを確認することもできる。
【0050】
拡散光の均質性を決定する方法は、当業者には既知である。特定の例では、蓋然論的アプローチを使用して、イメージIのテキスチャ、即ち中身を、コオカレンスマトリクス、及び特にその均質性クライテリオン等の解析による。この方法は、当業者に既知であるので、更なる説明は省略する。
【0051】
拡散光の(テキスチャの属性である)均質性の決定も、当業者には既知である。具体例では、イメージIのテキスチャを、コオカレンスマトリクス及び/又は頻発性アプローチ、フーリエ変換、小波へのブレークダウン等による蓋然論的アプローチを使用して解析可能であるが、これに限定するものではない。これらの方法も、当業者には既知であるので、ここで更なる説明は省略する。
【0052】
この方法により、捉えたイメージI上に、妨害現象G及び障害物Oの何れもない場合には、ライトビームFXは、イメージI上に現れない。しかし、捉えたイメージI上に妨害現象Gはないが、障害物Oがある場合には、この障害物を簡単に照明して、特徴を明確にすることができる。
【0053】
もし、捉えられたイメージI上に妨害現象Gが見えるが、障害物Oが見えない場合には、妨害現象Gは照明されて視認できる。
【0054】
もし、イメージI上に妨害現象G及び障害物Oの両方が見えると、妨害現象G及び障害物Oの両方が、照明されて視認できる。
【0055】
捉えられたイメージI上に妨害現象Gが存在する場合には、ライトビームFXは、テキスチャ(粒度測定により示される)がスムーズではない非均質ゾーンを示すので、水が存在するエリア(例えば、降雨を伴う又は降雨を伴わない濡れた路面)があると、結論付けることができる。この場合、車両のライトの強度を増加できる。
【0056】
もし、捉えたイメージI上に、テキスチャ(粒度測定で示す)がスムーズである連続した均質ゾーンを、ライトビームFXが示すと、(それが水しぶきを形成しない細かい雨でない限り)霧があると結論付けることができる。ここで、フォグライトを切り替え点灯できる。
【0057】
本発明の非限定的な一実施の形態によると、捉えたイメージのシーケンスSQ上の妨害現象Gの移動を追跡して、この現象の性質を特徴付けるのを支援することができる。これにより、霧等の妨害現象Gの場合には、捉えたイメージIのシーケンスSQに移動は検出できないが、水の如き妨害現象の場合には、移動を検出することができる。このプロセスは、イメージIのシーケンスSQ上に照明されたゾーンのトラッキングを行うことに基づいている。このトラッキングプロセスは、当業者に既知であるので、ここでは説明を省略する。
【0058】
このトラッキングプロセスは、水しぶきが発生せず(例えば、細かい雨の場合)、または車両が低速走行している場合には、霧と水を区別するのに特に有効である。この場合には、捉えられたイメージIには、連続した均質ゾーンが生じる。
【0059】
第4ステージ4)において、視界妨害現象Gが一度検出され、かつその性質が確定されると、適切なプロセスCDが、車両Vについてリアルタイムで実行される。
【0060】
特定の具体例では、これは次のものを含むが、本発明は、それに限定されるものではない。
−フォグライトの輝度を増加することにより、車両Vの照明システムを、妨害現象Gの性質の指示に関して自動的に適合させ、さらに、上述の如く障害物Oの存在を考慮するか、又は
−車両のドライバに警報システムを送り、自分自身ライトの強度を、例えばフォグライトの切り替え又はフォグライトの輝度を増加するか、又は
−車両のライトを自動的に切り替える(具体例としては、後方信号システム、即ちテールライト及びフォグライト)。
【0061】
この第4ステージは、上述したプロセスにより、ビデオイメージを処理してから、実行されることに留意されたい。これにより、例えば後方ライト自動適応等の適切なプロセッシングCDが、リアルタイムで行われる。その理由は、妨害現象を検出する毎に行われ、検出は、イメージIを捉える毎に行われるからである。
【0062】
本発明によるプロセスは、図6に示す検出デバイスDISPにより実施される。
【0063】
このDISPデバイスは、次のものから構成されている。
−車両VからライトビームFXを、この車両VのカメラCAMの視野内に放出する光源DIOD、及び
−このカメラCAMで捉えられた少なくとも1つのイメージIに基づく視界妨害現象Gの有無及び性質を確立する制御ユニットUC。
【0064】
更に、この制御ユニットUCは、光源DIOD及びカメラCAMを制御するとともに、適切なプロセシングCDステージの動作を制御する(車両ライトの自動適応、車両ライトの自動切替)。
【0065】
本発明の一実施形態によると、この検出デバイスDISPは、図6に示す如く、イメージIを捉えることができるビデオカメラCAMも備えている。この場合、制御ユニットUCは、ビデオカメラCAMに内蔵することも可能であることに注目されたい。
【0066】
次に、光源DIOD及びビデオカメラCAMについて、更に詳細に説明する。
(光源DIOD)
【0067】
光源DIODは、LEDタイプのダイオードである。別の実施の形態では、それはレーザダイオード、OLED、光収束器付きハロゲンランプ、又は以下に説明するカメラCAMに適用可能なその他任意のビーム放出光源である。
【0068】
一例では、光源は車両の照明及び信号システム(具体例では、ガラス製のライトハウジングにより付加的に保護された車両のリアライト内)、車両レジストレーション場所のライティングエリア、又はリアハッチの蓋に配置される。しかし、これら全ての位置は、例えば車両の後輪により生じる妨害現象Gの有無を検出する理想的な場所である。実際に、サイズ(cm3の範囲)の観点から、ライトビーム発生器は、赤外線光源DIODと光学プロジェクションシステムよりなり、車両のライト及び信号システム、具体例では、リアライト内に容易に組み込むことができる。更に、電子制御システム(光源DIOD及びカメラCAMを操作)は、多くの場合に必要な予備空間を有するライトハウジングの後部に配置できる。
(カメラCAM)
【0069】
このカメラCAMは、例えば鮮明度が640*480(換言すると、捉えられたイメージIが640行及び480列の8ビット(ピクセル当り)のVGAタイプであり、この目的のためにレンズ(図示せず)を備えている。このようにして捉えられたイメージIは、フルリゾリュ−ションである。
【0070】
本発明の具体例によると、ビデオカメラCAMは、1秒間に10個のイメージを捉えられる。イメージのシーケンスSQは、車両Vの移動速度により、20乃至約100イメージからなる。
【0071】
異なる分解能の異なるタイプのカメラを使用しうることは明らかである。
【0072】
妨害現象Gの存在を検出するために使用されるカメラCAMは、ライトビームFXに使用される波長に敏感なものでなければならないことに留意されたい。また、具体例では、CMOSタイプ又はCCDタイプのカメラが使用可能であり、これらのカメラは、シリコンベースであり、約400nm〜1100nm(カメラにより観測される波長)の応答スペクトラムを有し、従来から自動車に使用されている。従って、この応答スペクトラムは、赤外線ライトビームFXと適合する。これにより、カメラCAMが敏感である波長範囲内にあるので、ライトビームFXを、カメラCAMで見ることができる。
【0073】
更に、カメラCAMの視野CAM_Vは、ライトビームをライトビームFXの光源DIODから、極めて短距離(1〜3m)で切る。これにより、図示の例では、車両の後方に配置され、妨害現象Gの正確な情報を得ることが可能であり、特に水しぶきの如き現象の存在を確実に得ることが可能である。更に、カメラの視野CAM_Vのレンジは、妨害現象(例えば、水しぶき)Gが生じるエリアをカバーするように決定される。このレンジは20mであるが、この値に限定するものではない。
【0074】
上述したプロセスの全てのステージは、ビデオカメラCAMにより、リアルタイムで捉えられたイメージIの1以上(シーケンスSQ)により影響を受けることに注目されたい。換言すると、カメラCAMにより、毎秒10イメージが捉えられるシーケンスの例では、これら全てのステージは、10分の1秒以上かかることはない。
【0075】
また、上述した検出プロセスの実施は、マイクロプログラムされたソフトウエアデバイス、ケーブルで接続されたロジックシステム、又はハードウエア電子部品により実行可能であることに注目されたい。
【0076】
これにより、検出デバイスDISPは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラのプロセッシングユニット、ACIC又はコンピュータの如き情報処理ユニットにより実行される1以上のインストラクションシーケンスを有するコンピュータプログラム商品TGにより構成されることが可能である。これらのインストラクションのシーケンスを実行すると、上述したプロセスを開始させる。
【0077】
このタイプのコンピュータプログラムPGは、ROM、RAM、EEPROM、又はフラッシュタイプの不揮発性メモリに格納できる。このコンピュータプログラムは、作業メモリに格納しても、ローディングしても、又はその後にローディングしてもよい。これらのインストラクションのシーケンスは、マシンインストラクションのシーケンスでもよく、又は与えられたとき、プロセッシングユニットにより解釈される制御言語のシーケンスであってもよい。
【0078】
図6に示す具体例において、コンピュータプログラムPGは、デバイスDISPの制御ユニットUCのメモリに格納されている。
【0079】
明らかな如く、このプロセスは、上述した実施の形態に限定されるものではない。他の実施の形態として、放射されるライトビームFXを、変調させてもよい。例えば、ライトをカメラCAMで捉えられた「n」個のイメージ毎に出し、その後、この変調されたライトあり、及びライトなしのイメージ間で、比較又は抽象化(単純なイメージ処理操作)を行う。これらの比較/抽象化の結果、上述の如く妨害現象Gを検討し、それを明らかにするように、ライトビームFXを差別化するのは簡単である。ここで、「n」の値が大きいと(例えば、毎秒30イメージを捉えるシステムでは、変調ライトなしの29個のイメージ及び30番目の変調されたイメージ)、妨害現象の検出機能を変更することなく、「妨害現象の検出」機能を駐車支援機能等の他の機能と重畳することも可能である。
【0080】
車両Vの後方をライトアップするために放射されるライトビームFXの上述した例は、車両の前方における視界妨害現象を検出するため、車両Vの前方をライトアップするライトビームFXにも応用可能であることは明らかである。この場合には、車両Vの前方位置に、カメラCAMが取り付けられる。
【0081】
この場合、車両Vの前方における視界妨害現象Gの検出後に、特定例では、リアルタイムで車両Vをトラッキングする適切なプロセッシングCDを、次のように作動させることができる。
−妨害現象Gの性質に応じて与えられる情報に対して、ヘッドランプの強度を増加し(ディップ又はアンディップ)、及び/又はフォグランプを作動させることにより、車両Vの前方ヘッドランプの強度を自動的に適応させる。更に、上述の如く障害物Oがあると、それも考慮に入れる。
−ヘッドランプを、ディップからアンディップに自動的に切り替える。又は
−車両Vのドライバに警告信号を送り、ドライバが自分でヘッドランプの輝度を増加させ、例えばフォグライトの効果を増加するよう切り替える。
【0082】
更に、適切なプロセッシングCDを可能にするために行う調節は、例えば道路の白線を追跡可能な前方カメラ等の車両V内の他のシステムへ検出された情報を伝送する。これによりカメラは、前方の路面が濡れていると、必要に応じて、ヘッドランプの強度を増加し、路面の白線がより明瞭に確認できるように警告する。
【0083】
以上、本発明を好適な実施の形態について詳述したが、これらの実施の形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明は、その精神や要旨を逸脱することなく、種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できると思う。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明による検出プロセスの一実施の形態を示す図である。
【図2】車両による視界を妨害する現象及び図1の検出プロセスによるその検出プロセスを説明する図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図1による検出プロセスにより検出された視界妨害現象を捉えるイメージの第1例を示す図である。
【図5】図1による検出プロセスにより検出された視界妨害現象を捉えるイメージの第2例を示す図である。
【図6】図1に示す検出プロセスを実施する検出デバイスの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0085】
V 車両
I イメージ
G 視界妨害現象
FX ライトビーム
UC 制御ユニット
CAM カメラ
DISP 検出デバイス
DIOD 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(V)のカメラ(CAM)の視野内に照射されるように、車両(V)からライトビーム(FX)を照射する段階と、前記カメラ(CAM)で捕らえた少なくとも1つのイメージ(I)に基づき、視界妨害現象(G)の存在及び性質を決定する段階とを有し、
前記視界妨害現象(G)の性質の決定は、前記イメージ(I)上の視界妨害現象(G)の均質性に基づいて行うことを特徴とする、視界妨害現象の検出プロセス。
【請求項2】
前記視界妨害現象(G)の性質の決定は、前記イメージ(I)上の視界妨害現象(G)の均質性及び粒度測定に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載の検出プロセス。
【請求項3】
前記視界妨害現象(G)の性質の決定は、前記視界妨害現象(G)のトラッキング移動に基づいて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の検出プロセス。
【請求項4】
前記ライトビーム(FX)は、変調されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の検出プロセス。
【請求項5】
車両(V)のカメラ(CAM)の視野内に照射されるように、前記車両(V)からライトビーム(FX)を照射する光源(DIOD)と、前記カメラ(CAM)で捉えられた少なくとも1つのイメージ(I)に基づき、視界妨害現象(G)の存在及び性質を決定する制御ユニット(UC)とを備え、
制御ユニット(UC)は、前記イメージ(I)上の視界妨害現象(G)の均質性に基づき、前記視界妨害現象(G)の性質を決定するようになっていることを特徴とする、視界妨害現象(G)の検出装置(DISP)。
【請求項6】
情報処理ユニットにより実行される1以上のインストラクションのシーケンスを有し、前記インストラクションのシーケンスの実行により、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセスを実施されるようになっていることを特徴とするコンピュータプログラム(PG)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−73476(P2009−73476A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−196468(P2008−196468)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】