解像深度が強化された3次元顕微鏡法のための方法及び装置
【課題】非常に強化された深度即ちZ方向の分解能を提供する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供する。
【解決手段】標本(94)についてデュアル対向対物レンズ(70、72)及び拡張インコヒーレント照明(84)を用いて向上された深度分解能を提供する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置が開示される。両対物レンズからの観察光は画像検出器(128)に入射され、ここで光路長調節器(138)によって干渉させられる。
【解決手段】標本(94)についてデュアル対向対物レンズ(70、72)及び拡張インコヒーレント照明(84)を用いて向上された深度分解能を提供する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置が開示される。両対物レンズからの観察光は画像検出器(128)に入射され、ここで光路長調節器(138)によって干渉させられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国立衛生研究所により与えられた許可番号GM25101−16及びGM31627−12の下に合衆国政府の支援により発明された。合衆国政府は本発明にある権利を有する。
【0002】
1.本発明の分野
本発明は一般に3次元光学顕微鏡法に関し、より詳細には、高レベルの解像深度を得るために標本についてデュアル対向対物レンズを使用する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術の説明
学顕微鏡法はこの10年の間に医学及び生物化学においてめざましいルネッサンスを体験した。光学顕微鏡法の重要性が増大したのは、蛍光プローブ技術が発達し、及び計算形逆畳み込み(conputational deconvolution)または走査型共焦点顕微鏡法を介して得られる定量的3次元画像データが使用できるようになったからである。
【0004】
光学顕微鏡法は非光学顕微鏡法技術より優れた幾つかの利点を提供する。光学顕微鏡法を使用することによって生体組織標本を自然な状態で観察することができる。これに比べて電子顕微鏡法の場合は顕微鏡検査の標本を乾燥して真空にさらす必要がある。更に、標本の内側は光学顕微鏡法を用いて3次元で観察して写像することができるが、走査電子顕微鏡法及び他の走査プローブ顕微鏡法は標本の表面だけしか写像できないため、標本の内側についての情報を提供することができない。光学顕微鏡法の他の利点は、特定の細胞要素を蛍光プローブで染色することによって非常に明白に識別し且つ写像することができることである。今は蛍光プローブを合成して殆どあらゆる生物分子を特定することが可能である。
【0005】
光学顕微鏡法の唯一の重大な欠点は、対物レンズが光を収集できる角度に関連して、及び最終的には光の有限波長によりその分解能が制限されることである。
【0006】
従って、光学顕微鏡法の分解能を大幅に増大する本発明のようなあらゆる技術は、細胞生物学、医療用撮像(imaging)、及び他の生物工学の分野において重要な用途を有するであろう。
【0007】
3次元光学顕微鏡には現在2つの主なアプローチがある。1つは計算形逆畳み込みとしても知られている光学セクショニング顕微鏡法であり、もう1つは走査型共焦点顕微鏡法である。
【0008】
光学セクショニング顕微鏡法において、標本のセクションを通って焦点を連続的に移動させて連続画像を得ることによって、顕微鏡法標本の一連の画像が得られる。各画像は焦平面にある標本のパーツ若しくはセクションから焦点の合った(in-focus、焦点内)情報、及び標本の他の部分から得られた焦点の外れた(out-of focus、焦点外)ぶれた情報を含む。コンピュータからの全データセットを分析することにより、標本の3次元構造の再生が可能になる。再生プロセスは、数学的アルゴリズム、及び単一の点光源により生じたぶれを記述する先に格納された基準データセットを使用する。光学セクショニング顕微鏡法は、一般に電荷結合素子アレイ(CCD)カメラによって広域画像が記録される”広視野”顕微鏡である。従って、高い光スループット及び高データ獲得速度がこの技術を使用して可能となる。
【0009】
共焦点顕微鏡法において、焦点を合わせたレーザビームが光源として使用され、光は標本中のレーザと同じスポットに焦点を当てられたピンホールを通る光倍増管によって検出される。この結合された焦点ポイントは次に標本を通して3次元で走査され、スポット位置の関数として検出された強度が標本の3次元画像を得るために使用される。このピンホールは焦点外情報を部分的に抑えて分解能を向上させるが、その代わり光の大部分を切捨てる。この光のロスによって露光時間を長く必要とし、これによって操作が遅くなり、しばしば標本の著しい漂白問題を生じる。光学セクショニング顕微鏡法で使用される広域画像撮像のために最大100万ものピクセルが平行して得られるのに対し、データピクセルが1回に1つしか得られないことによって、共焦点顕微鏡法の操作は更に減速する。
【0010】
光学セクショニング顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法のどちらにも、分解能深度即ちZ−方向の分解能が横方向即ちXY平面における分解能よりも何倍も悪いという重大な欠点がある。Z方向の分解能は、以下に詳細に記載するような基本的な幾何学的限界によって制限される。本発明は、Z方向の分解能がXY平面における分解能に等しいだけでなく、光学セクショニング顕微鏡を用いてこれまで得られたXY平面における分解能の2倍以上増大された、光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供する。光学セクショニング顕微鏡法を介して可能である高い光スループット及びデータ獲得速度を維持したまま、本発明はZ方向の分解能をこのように増大させる。
【0011】
デュアル対向対物レンズを使用した光学顕微鏡法の方法には2つのものがこれまで公知である。4Pi 共焦点顕微鏡法として公知である1つの方法は、広視野ではなくて共焦点の顕微鏡法である。4Pi 共焦点顕微鏡法には一般に3通りの使用方法がある。第一モードでは、焦点を合わせたレーザ光が両方向の対物レンズから標本を照明してこの標本で干渉するために使用される。第二モードでは、放射(emitted)された光が両方向から収集され、単一のピンホール検出器上で結合される。第三モードは、先の2つのモードを同時に組み合わせたものを含む。しかし、共焦点技術であるので、ピンホール光検出器による光のロス及びピクセル毎のデータ獲得による遅さのせいで、4Pi共焦点顕微鏡法の全てのモードは光スループットが乏しく、データ獲得時間が長い。
【0012】
2つの対向レンズを使用した第二の公知の光学顕微鏡法は、一般に定在波蛍光顕微鏡法(SWFM)と呼ばれる。この技術は一般にレーザである、時間的及び空間的コヒーレンスが非常に高い光源を要する。この空間的及び時間的コヒーレント光源は、標本空間において標本の観察域全体に広がる正弦定在波(これをもって名称とする)である干渉縞になる。
【0013】
SWFMは一般的に本発明の1つの実施の形態(本明細書中のI3M形態)と同じ様なZ分解能を達成するが、これは同様の動的装置上の走査鏡を使用して連続的に幾つかの異なる定在波パターンを組み合わせることによって、又は複数のレーザ等の複数の個々にコヒーレントなしかし相互にインコヒーレントな光源を使用することによってのみ、達成される。本発明はこのような移動部品を必要とせず、アークランプや白熱電球等の単一の空間的コヒーレント光源のみを要し、帯域制限光源が呈示する以上の時間的コヒーレントを必要とせずに、Z方向の分解能を増大させる。単一のインコヒーレント光源によって照明光の波長を自由に選択することが可能となるが、波長の制限された選択においてのみレーザが使用できる。更に、本発明の1つの実施の形態(本明細書中ではI5M形態と記載される)は、SWFMのみで可能な分解能よりも大きなZ分解能を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は全ての既知の3D顕微鏡法技術と異なり且つこれらに比べて利点を有する。単一対物レンズを用いるあらゆるモードの顕微鏡法と比較すると、本発明は高いZ分解能を提供する。SWFMに比べて、本発明はより単純な照明手段を使用し、より優れた照明波長の選択を提供し、その実施の形態の1つにおいてはより高いZ分解能を提供する。4Pi共焦点顕微鏡法に比べて本発明はより単純な照明手段、より優れた照明波長の選択、高速なデータ獲得速度、及び観察光(observed light)若しくは放射光線(emitted light)のより有効な利用を提供し、これにより著しい標本の漂白を減少することができる。
【0015】
従って、深度即ちZ方向の分解能を大幅に強化し、高い光スループットを有し、データ獲得速度が速く、及び空間的コヒーレント光源の使用を必要としない、3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置が必要となる。本発明はこれらの需要及び他の需要を満たし、公知の光学顕微鏡法装置及び方法に見られる欠陥を概ね克服する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、一般に標本について対向する対物レンズを用いる3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置に関する。本発明には3つの好適な実施の形態があり、これらは主に同じ装置を使用し、標本を一方若しくは両方の対物レンズから照明し、一方又は両方の対物レンズを通して観察及び記録する。
【0017】
本発明は一般に第一及び第二の対物レンズを含み、これらは薄い標本を挟んで互いに対向して取り付けられており、これらの対物レンズの少なくとも一方は並進調節手段を含む(これは例であって、これに限定するものでない)。照明手段、好ましくは1つ以上のアークランプ又は他の拡張空間的インコヒーレント光源によって標本を照明する。本発明は一般にビームスプリッタ及びビーム再結合器手段、好ましくはビームスプリッタ/再結合器キューブを含み、照明光を2つのパスに分割して両対物レンズを通して標本に当て、両対物レンズからの観察光若しくは放射光線を再結合して記録する。複数の調節可能ミラーによって照明光及び/又は観察光の方向を対物レンズと画像記録手段との間を行き来させることができる。画像記録手段は、好ましくはCCDカメラを含む。異なる波長を選択的に透過及び反射させる手段、好ましくは1つ以上のダイクロイックミラーが、本発明に一般に含まれる。光路長調節手段、好ましくは1つ以上のミラーが好適に配置された並進ステージによって、光路長のチューニングが可能になる。照明光と観察光若しくは放射光線との間、及び/又は照明光及び/又は観察光若しくは放射光線内の異なる波長成分の間の位相差を補償するために、色相補償手段、好ましくは色相補償板が含まれてもよい。対物レンズに対して標本を位置合わせするための位置合わせ手段が提供され、これは好ましくは移動可能ミラー及び接眼レンズを含む。また、本発明はばらつき防振プラットフォーム若しくはハウジング等のばらつき防振支持手段を使用してもよい。
【0018】
本発明の第一の実施の形態において、標本の2つの画像を同時に得るために2つの対向する対物レンズが標本に使用されるが、照明光は一般に一方の対物レンズから標本に方向付けられる。2つの対物レンズからの2つの画像は結合されて、CCDカメラ又は他の画像形成手段の上に入射される。2つの対物レンズからの2つの光路長は、標本からの放射光線のコヒーレント長よりも短い(好ましくは観察光若しくは放射光線の波長よりも非常に小さい)分だけ異なるように調節される。2つの画像は次にCCDカメラ上で干渉して標本情報を提供する。本発明によって提供された強化された深度即ちZ分解能情報は、これらの2つの画像が同じCCDカメラ上に2つの光路長を慎重にバランスを取ってコヒーレントして結合されたときに、これらの2つの画像の干渉により生じる。本発明の第一の実施の形態は、蛍光顕微鏡法に関して概して記載されるが、当業者には、この実施の形態が、明視野、暗視野、及び位相差顕微鏡法を含む他の多くのモードの光学顕微鏡法にも同様に適用可能であることが分かるであろう。本発明の第一の実施の形態は、一般に”画像干渉顕微鏡法”又はI2顕微鏡法と呼ばれ、便宜上及び明確化のために、以下I2M形態と称す。本発明のI2M形態及び以下に関連する他の実施の形態の操作は、標準の光学セクショニング顕微鏡法で使用される操作に似た方法で進められる。即ち標本の一連の画像を異なる焦平面で獲得し、点光源によってぶれが生じた先に測定された標本を用いて焦点外のぶれを取り除くために全データの計算形逆畳み込みを行う。
【0019】
本発明の第二の実施の形態(主に蛍光若しくはリン光顕微鏡法に適用される)において、拡張空間コヒーレント光源からの照明若しくは励起(excitation)光はビーム分割手段によって分割され、対向する対物レンズを介して標本を両面から照明するために使用される。光路長のバランスがとれたとき、2つの照明ビームは2つの対物レンズの焦平面で干渉する。この狭い干渉フリンジによって、焦平面を囲む標本の薄い切片又は領域において照明の強度が深度Zでばらつきが生じる。照明光の空間的構造によって標本からの蛍光放射光線が対応して変調し、この変調はZ方向の分解能を拡大するもとである。第二の実施の形態において、標本は一般に単一対物レンズを介して観察される。本発明の第二の実施の形態は、”インコヒーレント干渉照明”即ちI3顕微鏡法と呼ばれ、便宜上及び明確化のために、以下本発明のI3M形態と称される。
【0020】
本発明の第三の実施の形態では、I2M形態及びI3M形態を組合せ、本質的に同じ装置を使用して、I2M形態又はI3M形態のどちらかのみを単体で使用して可能な分解能よりもより大きいZ方向の分解能を達成する。第三の実施の形態は、I2M形態及びI3M形態の組合せを含むため、以下I5顕微鏡法又はI5M形態と称する。I5M形態において、標本はI2M形態と同じように両方のレンズを介して観察されるが、標本はI3M形態と同じように両方の対物レンズを介して照明される。照明光及び観察光の必要な位置合わせは本質的に同じであるため、同じビームスプリッタが照明光及び観察光の両方に使用されてもよい。
【0021】
本発明の目的は、非常に強化された深度即ちZ方向の分解能を提供する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、高い光スループットを有する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、高データ獲得速度を可能にする3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、コヒーレント光源の使用を必要としない3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、不必要に標本を漂白しない3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明の更なる目的及び利点は本明細書中の後続部分で明らかにするが、その詳細な説明は、本発明の好適な実施の形態を充分に開示するためのものであって、これらに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は以下の図面を参照してより充分に理解されるが、これらの図面は例示目的のみのためのものである。
【図1】図1は、本発明に従った光学顕微鏡の第一(I2M)の実施の形態の略図である。
【図2】図2は、本発明の第二(I3M)の実施の形態及び第三(I5M)の実施の形態に一般に使用される光学顕微鏡の略図である。
【図3】図3は、光学顕微鏡のI3M形態の略図である。
【図4】図4は、照明及び検出光のために共用ビーム分割光学系が使用される光学顕微鏡のI5M形態の略図である。
【図5】図5は、照明及び検出光のために別々のビーム分割光学系が使用される光学顕微鏡のI5M形態の略図である。
【図6】図6は、照明源及び画像検出器に隣接して含まれる追加のビームスプリッタを有する光学顕微鏡のI5M形態の略図である。
【図7】図7は、従来の広視野光学セクショニング顕微鏡法を通して得られるインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をグラフで表した図であり、このグラフはkYkZ平面、即ちkY及びkZ軸が張られたフーリエ空間の平面で表されており、各軸は実際の空間のY及びZ軸にそれぞれ対応する。
【図8】図8は、本発明のI2M形態を通して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図9】図9は、本発明のI3M形態及びI5M形態に使用される照明光強度の空間周波数成分の支持領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図10】図10は、本発明のI3M形態を通して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図11】図11は、本発明のI5M形態を通して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図12】図12は、標本からの放射光線のフーリエ空間における空間周波数成分若しくはコヒーレント伝達関数をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図13】図13は、図12に表されたコヒーレント伝達関数の自己相関関数又はインコヒーレント伝達関数をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図14】図14は、受光角αを有する通常の対物レンズの簡略図である。
【図15】図15は、図14の通常の対物レンズによって得られた、図12に表されたコヒーレント伝達関数の部分をグラフで表した図である。
【図16】図16は、図13に表されたインコヒーレント伝達関数の、図14の通常の対物レンズによって得られた部分をグラフで表した図である。
【図17】図17は、本発明に従った、受光角αをそれぞれ有する対向する2つの対物レンズの簡略図である。
【図18】図18は、図12に表されたコヒーレント伝達関数の図17のデュアル対物レンズ配列によって得られた部分をグラフで表した図である。
【図19】図19は、図13に表されたインコヒーレント伝達関数の、図17のデュアル対物レンズ配列によって得られた部分をグラフで表した図である。
【図20】図20は、単一の対物レンズを用いた従来の顕微鏡法システムで一般に使用される照明配列の簡略図であり、光源の単一ポイントからの光を表している。
【図21】図21は、本発明のI3M形態及びI5M形態に使用される照明配列の簡略図であり、光源の単一ポイントからの光がビーム分割手段によって2つのビームに分割された後、両方向から標本を照らしているところが表されている。
【図22】図22は、図21の点光源照明配置からの照明若しくは励起光振幅に対応するkYkZ平面からおよそ見たフーリエ空間表示をグラフで表した図である。
【図23】図23は、図21の点光源照明状態における照明光の強度に対応する、図22のフーリエ空間表示の自己相関関数をグラフで表した図である。
【図24】図24は、図22で表された領域(ポイントペア)の和集合、即ち照明源の全てのポイントをグラフで表した図である。
【図25】図25は、図23で表された領域(ポイントトリプレット)の和集合、即ち照明源の全てのポイントをグラフで表した図である。
【図26】図26は、本発明のI2M形態の平面図である。
【図27】図27は、図26に表されたI2M形態のよりコンパクトなバージョンの平面図である。
【図28】図28は、本発明のI3M形態の平面図である。
【図29】図29は、本発明のI5M形態の平面図である。
【図30】図30は、2つの画像記録装置が使用される、本発明のI5M形態の平面図である。
【図31】図31は、同じ画像検出器の異なる部分が使用される、本発明のI5M形態の平面図である。
【図32】図32は、エピ照明のために設けられた標準の倒立顕微鏡に組み込まれた本発明の簡略図である。
【図33】図33は、エピ−及び透過−照明の両方のために備えつけられる標準の倒立顕微鏡の簡略図である。
【図34】図34は、本発明のI2M形態を使用するための方法の一般的ステップを表す流図である。
【図35】図35は、本発明のI3M形態を使用するための方法の一般的ステップを表す流図である。
【図36】図36は、本発明のI5M形態を使用するための方法の一般的ステップを表す流図である。
【図37】図37は、フーリエ空間における光の2つのコヒーレントビームの振幅をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図38】図38は、図37に表されたフーリエ空間振幅の自己相関関数を、一般にkYkZ平面にあらわしたグラフを表す図である。
【図39】図39は、従来の単一レンズ顕微鏡を通して観察して得られたフーリエ空間における直接観察可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図40】図40は、本発明のデュアル対向対物レンズ配置を通して観察して得られたフーリエ空間における直接観察可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図41】図41は、4ビーム定在波顕微鏡法技術のためのフーリエ空間における光振幅分布をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図42】図42は、図41に表された関数の自己相関関数から得られた結果的な強度フィールドをグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図43】図43は、2つの照明点光源が開口部内で互いに対称に対向して配置されたときに生じる、4ビーム定在波顕微鏡法技術のためのフーリエ空間における光振幅分布をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図44】図44は、図43に表された関数の自己相関関数から生じた結果的な強度フィールドをグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図45】図45は、開口部のエッジ上の正反対の対向ポイントに配置された2つの相互コヒーレント光源のための照明振幅のためのサポート領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図46】図46は、図45に表された関数に対応する照明強度のためのサポート領域を表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図47】図47は、図45及び図46によって記載された照明配列のための、4ビーム定在波顕微鏡法技術を用いて得られたフーリエ空間の直接換算可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図48】図48は、1方の光源が開口部の中央に配置され、もう一方の光源が開口部のエッジに配置される、2つの相互コヒーレント光源の照明振幅のためのサポート領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図49】図49は、図48に表された関数に対応する照明強度のためのサポート領域を表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図50】図50は、図48及び図49によって記載された照明配列のための、4ビーム定在波顕微鏡法技術を用いて得られたフーリエ空間の直接換算可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図を更に詳細に参照すると、本発明を含む方法並びに装置、及び本発明の背後にある論理が例示のために図1〜図50に一般的に表されている。本明細書中に開示された基本的な概念から逸脱しなければ、本発明の装置はその構成及び部品の詳細について異なってもよく、本発明の方法はそのステップ及びそのシーケンスについて変化してもよい。
【0029】
図1を参照すると、本発明の第一の実施の形態、即ちI2M形態に従った顕微鏡装置の簡略図が概ね表されている。第一対物レンズ12及び第二対物レンズ14が標本16の周りに取り付けられ、対物レンズ12及び14の焦点は対向方向から標本16の1つの同じセクション又は平面に合わせられている。標本16は好ましくは薄く、2つのカバーガラスの間に挟まれている。第一及び第二対物レンズ12、14から観察された光若しくは画像は、複数のミラー18によってそれぞれパス24及び26に沿って反射され、ビーム分割及び再結合手段、好ましくはビームスプリッタ/再結合器20に向けられる。対物レンズ12、14から観察された光又は画像はミラー18及びビームスプリッタ/再結合器20によって画像検出手段22上に入射され、画像が記録される。好ましくは画像検出手段22はCCDカメラ又はそのようなものである。2つの光路24、26の光学長は、放射光線のコヒーレンス長より短い分だけ異なるように調節される。光路長の調節は以下により詳細に述べられる適切な手段(図示されていない)によって実行される。光路長24及び26が調節されると、第一及び第二対物レンズ12及び14から観察された光若しくは画像は、画像検出手段22上で干渉する。一般に、照明手段(図示されていない)からの照明光はビームスプリッタ(ダイクロイックであってもなくてもよく、またミラー18a又は18dのうちの1つとして機能してもしなくてもよい)を用いて対物レンズ12又は14のどちらかを通って標本に向けられる。干渉する観察光からの画像は画像検出手段22によって記録され、この画像検出手段22にインターフェースするデータ処理手段(図示されていない)によって格納される。
【0030】
顕微鏡装置10の操作は、標準の光学セクショニング顕微鏡法とほぼ同じように進められる。標本16のセクションの観察光又は画像が画像検出手段によって記録されたあと、対物レンズ12及び14は標本位置合わせ手段(図示されていない)を用いて新しいセクションに対応する他の画像を得るために、標本16内の他のセクション又は平面上に焦点合わせされる。標本の一連の画像は異なる焦平面で得られ、この一連の画像から標本16の所望の部分のための画像のデータセットが形成される。光学セクショニング顕微鏡法においてと同様、各画像は、第一及び第二対物レンズ12及び14の焦点が合わせられるセクション又は焦平面からの標本16から焦点の合った情報、及び焦平面の外側の標本16のセクションから焦点外の、即ちぶれた情報を含む。全データセットは演算処理され(我々が制限なく逆畳み込みと一般に称するプロセス)、点光源により生じたぶれの先に測定されたある標本を用いて、焦点外のぶれを取り除く。画像検出手段22は好ましくはマイクロプロセッサ又は他のデータ処理手段(図示されていない)にインターフェースされており、標本16からのデータセットの計算形逆畳み込みを簡易化する。
【0031】
単一の対物レンズを用いた標準顕微鏡で行われるのと本質的に同じ物理的プロセスを行うことにより、強化されたZ方向の分解能が得られる。標準の単一対物顕微鏡における分解能は、異なる方向に放射された光線同士の間の干渉により生じたものとみなされることができる。これは開口部がより大きい、即ちより広範囲の角度で光を受け取る対物レンズはより大きな分解能を有するというよく知られている事実に繋がる。本発明は、2つの対向する対物レンズを用いて”後方”及び”前方”方向に放射される光を含むようにこのプロセスを拡張する。
【0032】
顕微鏡装置10のためにミラー18の幾つかの配列が使用されてもよく、図1に図示されたミラー配列は好適な配列のうち最もシンプルなものである。ミラー18の幾つかの配列は図1に表された本発明には役に立たないことに注意されたい。なぜなら対物レンズ12、14のうち一方からの画像は他方のレンズからの画像に対して反転されるからである。
【0033】
図1に図示された本発明のI2M形態は、一般に蛍光顕微鏡法に適用可能である。しかし、当業者には、この実施の形態は明視野、暗視野、位相差、及び他のモードの光学顕微鏡法にも適用可能であることが明らかであろう。従って、本発明は、蛍光顕微鏡法若しくはリン光顕微鏡法に使用されるとき、本明細書中における対物レンズからの"観察光"という用語は標本から放出される光を一般に指し、用語"照明光"は励起光を一般に指す。非照明タイプの顕微鏡法が使用される場合、"観察光"は標本によって反射された光又は標本を透過した光を一般に指す。
【0034】
図2を参照すると、顕微鏡装置28の簡略図が表されており、これは本発明の第二の実施の形態、即ちI3M形態及び第三の実施の形態、即ちI5M形態に使用するのに適している。ここで同じ参照番号は同じパーツを示す。また図1を参照すると分かるように、I3M形態及びI5M形態は概ねI2M形態に使用されるのと同じ装置を使用し、主な違いは、一般に1つ以上のレンズ若しくはミラーを含み、レンズ32で図示された照明焦点合わせ手段によって(好ましくは空間インコヒーレント光源30からの)照明光が、I2M形態のように標本16に主に方向付けられるのではなく、主にビームスプリッタ/再結合器20に方向付けられることである。図2に表されたような本発明のI3M形態及びI5M形態は主に蛍光顕微鏡法に使用するために考慮されるが、他のモードの顕微鏡法にも使用できる。従って、I3M形態及びI5M形態において用語"照明光"は一般に励起光を指し、用語"観察光"は標本から放射された光線を一般に指す。
【0035】
図2の装置28における照明光は、ビームスプリッタ/再結合器20によって2つのビームに分割され、ミラー18によってパス24及び26にそれぞれ沿って第一及び第二対物レンズ12及び14に方向付けられる。照明光は対物レンズ12及び14によって標本16のセクション又は平面上に焦点を合わされて入射される。I2M形態において、2つの光路24及び26の光学長は、適切な手段(図示されていない)によってほぼ等しく調節される。光路長22及び24を調節することによって照明光は標本16の焦平面内に干渉する。従って、本発明のI3M形態及びI5M形態において、照明光は、I2M形態のように検出手段上で観察光が干渉するのではなく、照明光が標本16のセクションの焦平面に干渉する。しかし、3つの全ての実施の形態は、図1及び図2と比べて分かるように本質的に同じ装置を使用する。
【0036】
ここで図3及び図4を参照すると(それぞれ本発明のI3M形態及びI5M形態を表す)、I3M形態を含む装置とI5M形態を含む装置との間の主な違いは画像検出手段22の位置であることが分かる。画像検出手段22上に画像を焦点を合わせるために焦点合わせ手段(図示されていない)、一般的にレンズである、が使用されてもよい。図3を特に参照すると、本発明のI3M形態に従った装置34が概ね表されており、この中では画像検出手段22は第一対物レンズ12のみからの観察光を記録する。第一対物レンズ12からの観察光は、ここではビームスプリッタ36で表されている選択反射及び透過手段(ダイクロイックであってもよい)を介して画像検出手段22に達し、この選択反射及び透過手段は第一対物レンズ12から観察された若しくは放射された光線を選択的に画像検出手段22に透過する一方、画像検出手段22から離れた照明又は励起光を選択的に反射する。ビームスプリッタ36はI2M形態及びI5M形態におけるミラー18aと同じ位置を一般に占めるか、又は別々の構成要素であってもよい。
【0037】
特に図4を参照すると、本発明のI5M形態に従った装置38が一般に表されており、ここでは画像検出手段22が第一及び第二対物レンズ12及び14の両方からの観察光を記録するためにビームスプリッタ/再結合器20に隣接して配置される。必要であれば、レンズ等の焦点合わせ手段(図示されていない)もまた、ビームスプリッタ/再結合器20と画像検出手段22との間に含まれてもよい。本発明のI5M形態はI2M形態と同様に画像検出手段22上で干渉する画像を記録し、I3M形態と同様に第一及び第二対物レンズからの照明光を標本16内で干渉させるので、これらの2つの実施の形態の単なる組合せである。照明光を標本16のセクションの焦平面内に入射させて干渉させる同じ光路長調整により、観測光を画像検出手段22上に入射させて干渉させ、これによって、多くの場合、同じ装置は光源30を単に移動させることによってI2M形態及びI3M形態の両方に使用されることができる。
【0038】
幾つかのミラー及びビームスプリッタ/再結合器配列が本発明の各実施の形態に考えられるが、I5M形態の可能な構成がおそらく一番多いであろう。図4に表されたように、装置38は単一のビームスプリッタ/再結合器20を有し、このビームスプリッタ/再結合器20は照明光を分割し、及び画像検出手段22に検出させるために観察光を再結合する。図5に図示された装置40は、別々のビームスプリッタ/再結合器42、44を使用し、これらはそれぞれ照明光を分割し、観察光を再結合して、図4の装置38によって得られるビーム分割及び再結合効果と同じ効果を達成する。図5の別々のビームスプリッタ42、44を使用するためには追加のミラー18e、18f及びダイクロイックミラー46、48が必要である。図6に表された装置50はI5M形態に従った別々のビームスプリッタ/再結合器42、44の他の可能な配列であり、追加のミラーやダイクロイックミラーを必要としない。図4〜図6に表された配列のそれぞれの可能な利点を以下に記載する。
【0039】
図2〜図6に図示された本発明のI3M形態及びI5M形態に従った顕微鏡装置の操作は、上記のI2M形態と同じ方法で進行する。標本16のセクションの観察光若しくは画像が画像検出手段22によって記録された後、対物レンズ12、14の焦点は、新しいセクションに対応する他の画像を得るために、標本位置合わせ手段(図示されていない)を用いて標本を移動することによって標本16内の他のセクション若しくは表面に合わせられる。異なる焦平面で標本の一連の画像が得られ、標本16の所望の部分の画像のデータセットが形成される。全データセットは数学的に逆畳み込みされて、Z方向の分解能が強化された3次元標本情報が得られる。
【0040】
本発明を更に充分に理解するために、図7〜図25を参照する。これらの図面は本発明の根底にある倫理及び本発明により達成される強化されたZ方向分解能のための物理的ベースに一般に関する。図7〜図25には様々な3次元関数をフーリエ空間のkY及びkZ平面に一般にグラフで表しである。
【0041】
上記に関連して、現在使用されている光学セクショニング顕微鏡法における再生プロセスは、点光源からのぶれを記述する基準データセットを使用する。この基準ぶれは顕微鏡の”点像分布関数”として一般に知られており、その光学特性を特徴付ける。点像分布関数のフーリエ変換は、光伝達関数(optical transfer funtion)即ちOTFとして一般に知られており、標本情報の異なる空間周波数成分がどの程度データに現れるかを記述する。以下に概略で説明する理由のために、光学画像形成システムの光伝達関数は"サポート領域"と一般に呼ばれるある有限領域以外においてはどこでもゼロである。従って、サポート領域内にある標本のこれらの空間周波数のみが標本データに影響し、他の空間周波数についてのデータセットには情報は含まれない。標本についての更なる情報が入手可能であれば数学的再生はより正確になされることができるので、顕微鏡の光伝達関数のサポート領域をできるだけ大きくさせることが有利である。3次元光学顕微鏡の光伝達関数のサポート領域の大きさ及び形は、対物レンズが光を受け取ることができる角度によって決定される。本発明のI2M形態は光が収束される立体角を広げることによって分解能を増大させる。
【0042】
図7は、従来の光学セクショニング顕微鏡法を介して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をYZ平面にグラフで表したものである。従来の顕微鏡法で得られたZ方向の分解能は一般に等式、 Zres = [1−Cos(α)]/λで表される。ここでαは対物レンズが光を収束できる角度であり、λは観察光又は放射光線の標本媒体における波長である。これとは対照的に、図8は本発明のI2M形態で得られたインコヒーレント光伝達関数の対応するサポート領域であり、Z方向の分解能は等式、 Zres = 2/λで表される。ここでλは観察光又は放射光線の標本媒体における波長である。どちらのグラフもkZ軸の周りに回転対照的な3次元オブジェクトを表す。すぐに分かるように、本発明は従来の光学セクショニング顕微鏡法の状態よりもはるかに増大されたZ方向の分解能を提供する。
【0043】
本発明のI3M形態及びI5M形態の照明方法特性を導入すると、図9に表された関数を用いて図7及び図8に表された光伝達関数を畳み込みすることによって変える。図9は、本発明のI3M形態及びI5M形態に一般に使用される照明光若しくは励起光の空間周波数要素のためのサポート領域をだいたい表す。従って、I3M形態の光伝達関数は、図7及び図9に表された関数の畳み込みによって得られ、これは図10に一般に表されたサポート領域となる。従ってI3M形態は以下の等式で記載されるZ方向の分解能を提供する。
Zres = 2/λexcitation+[1−Cos(α)]/λemission
同様に、I5M形態の光伝達関数のサポート領域(図11に図示)は図8及び図9に表された関数の畳み込みによって得られる。I5M形態の光伝達関数のサポート領域は以下の等式で表される。
Zres = 2/λexcitation+2/λemission
I5M形態の光伝達関数はI2M形態で得られるZ分解能を2倍以上にするだけでなく、図8及び図10に表されたI2M形態の光伝達関数のサポート領域における"ギャップ"を埋める。
【0044】
以下のセクションでは、図12〜図25に対応して、図7〜図12におけるオブジェクトの形状の背後にある物理的理由をより詳細に記載する。蛍光顕微鏡法標本によって放射されたような準単色光視野は単一波長λemissionを有効に有し、従ってその空間周波数要素の全てはフーリエ空間の薄いシェル(半径R=1/λ)に制限される(図12にグラフで表されている)。このフィールド振幅は、図12における同じ薄いシェル内に入る標本放射振幅(及び位相)のこれらの空間周波数要素についてのみの情報を含む。このシェルは標本放射光線と電界との間のコヒーレント伝達関数とみなされることができる。しかし、インコヒーレント放射光線(例えば蛍光)標本の場合、明視野の平均強度は発光強度についての情報を含み、コヒーレント伝達関数の自己相関関数によって、関連する”インコヒーレント”伝達関数を得ることができる。図12に表されたシェルの自己相関関数は、図13に表されたように半径R=2/λの球形内において非ゼロである。
【0045】
しかし、図14に表されたように、通常の対物レンズ52は標本からの光54にはその光軸のある角度α内でしかアクセスできない。その効果は、図12に表されたコヒーレント伝達関数を切捨てて図15に表された角度αの半分の錐内に含まれる球体キャップ型関数にする。対応するインコヒーレント伝達関数(図15の球体キャップ型関数の自己相関関数)は図16に表されている。従ってインコヒーレント伝達関数は図16のフーリエ空間のドーナツ型領域内においてのみ非ゼロであり、この領域の外側からは標本についての情報は得られない。このドーナツ型領域は使用されるレンズの光学品質にかかわらず、顕微鏡の基本的な分解能の限界を表す。これが3次元光学顕微鏡法の主な限界であるということは、実験結果に対する論理的予測の類似点により明らかである。本発明のI2M形態を用いた顕微鏡法において、図17に表されたように、2つの対物レンズ52及び56は角度αの半分の2つの錐内の光がアクセスされることができるように存在する。これによって2つの球体キャップからなるコヒーレント伝達関数が提供される(図18に図示)。対応するインコヒーレント伝達関数(図18に表された関数の自己相関関数)は図19に表されている。図16に比べて図19の非常に大きな(kZ方向の)幅は、本発明で得られる増大されたZ分解能に直接関連する。図7〜図19に表されたグラフは、67°の角度αで表されており、これは現在入手可能な最も高分解能対物レンズに相当する。このようなレンズでは、I2M形態は従来技術よりもほぼ3.2ファクタだけZ方向の分解能を向上させるであろう。
【0046】
図16及び図19に表された領域の外の情報にアクセスするためのI3M形態及びI5M形態の能力は、一方で光放射の空間的構造と、他方で標本自体の空間的構造との間の区別という点で理解することができる。本発明のI2M形態の上記の記述は、標本から観察された又は放射された光の周りにアクセスできる情報に関連し、これを以下E(r)と称することとする。しかし、より興味深いことは、標本それ自体、更に詳細には蛍光顕微鏡法においては、蛍光分子群(蛍光物質)の分布F(r)である。E(r)はF(r)と以下のような関係がある。
E(r)=F(r)I(r)
ここでI(r)は局所照明強度、即ちパターンである。広視野顕微鏡法において一般的にそうであるように、照明が均一であればI(r)は一定であり、E(r)及びF(r)はあまり関係のない一定スケールファクタを除いて同じである。従って、I2M形態の上記に関連するEの制限は、Eと全く同じようにFにも適用される。
【0047】
本発明のI3M形態及びI5M形態の場合と同じように、照明が均一でなければ、状況は異なる。等式E(r)=F(r)I(r)の実空間の積は、フーリエ空間の畳み込みに対応する。I(r)が原点の外側のフーリエ成分を有する場合(これはI(r)が均一でないときに起こる)、この畳み込み操作は標本情報をフーリエ空間の新しい位置に"移動"させる。特に、これはいくつかの情報を通常の観察不可能領域からEの観察可能領域に移動させる。これは本発明のI3M形態及びI5M形態の分解能強化のための物理的ベースの本質である。しかし、上記に関連して、全ての3つの実施の形態は本質的に同じ装置を使用し、Z方向の分解能強化のための物理的ベースが異なるだけである。
【0048】
セクションからセクションにデータ獲得が進行するときに非均一照明パターンが標本に対して固定されたままである場合、標本の蛍光情報F(r)を照明パターンI(r)から見分けることはできない。言い換えれば、照明パターンは標本の一部のように見えるであろう。これにより、獲得されたデータは図7に表されたようなフーリエ空間の通常の(小さい)観察可能領域に制限されたままとなるが、標本の他の領域に属していた情報は前記獲得データに混合される。この混合データは分離することが一般に困難である。一方、照明パターンが焦平面に関して固定されたままであれば、これは”点像分布関数の一部に見える”であろう。
【0049】
この場合、獲得データはフーリエ空間のその正しい位置に留まり、代わりに光伝達関数自体が拡張される。後者(明らかに好適な状態である)は本明細書中に記載された本発明の場合である。
【0050】
アポダイゼーションによって、例えば対物レンズの後側焦平面に共役する平面において、画像形成ビーム、照明ビーム、又はその両方にマスクを導入することによって、光伝達関数の異なる部分の相対強度を変えることが可能である。照明光、画像形成光、又はその両方を単一の偏向状態に制限するために、要素の偏向が使用されてもよい。両ケースにおいて、これらの状態は同じであっっても異なっていてもよい。
【0051】
干渉顕微鏡法は、高い時間的及び空間的コヒーレンスを有する光源を一般に使用し、及びレーザの使用を一般に要する。”インコヒーレント”光との干渉をどうやって達成するかと質問されるかもしれない。これを分析する標準的な方法は、インコヒーレント光源の個々の点光源について考察すること含む。熱成長光バルブフィラメント等の空間的”インコヒーレント”光源において、異なるポイントからの放射光線はランダムに変化する相対位相を有する、即ちこれらの光線は相互にインコーヒレントである。しかし点光源はそれ自体に対して異なる位相を有することができないので、各点光源自体はコヒーレント光源と考えられることができる。従って全光源の全効果は、第一に各個々の点光源自体を考慮し、次にそのポイントのみによって生じた光の強度を計算し(各ポイントはコヒーレントであるのでボナファイデ(bona fide)干渉パターンを提供する)、これに続いてすべてのこれらの強度を加える。多くの場合、例えば標準の卓上ランプを用いる場合、様々な干渉パターンは互いに消去し合い、付加しあって円滑な強度分布になる。しかし、本発明に使用される特定の幾何学は、全ての点光源の干渉パターンが焦平面でピークを有し、従ってこれらの合計、即ち全体の強度分布もまたこのようなピークを有するように設計される。
【0052】
図20を参照すると、標準の顕微鏡法に一般に使用される照明配列はケーラー照明と呼ばれ、照明源60の各点光源58からの光はレンズ66によって標本空間及び標本平面64内で平行ビーム62に焦点合わせされ、その角度βは点光源毎に異なる。しかし、本発明のI3M形態及びI5M形態において、各点光源からの光はビームスプリッタによって分割され、図21に表されたように代わりに標本内の2つのビームに対応する。フーリエ空間でこれは図22にグラフで表されたように半径1/λexcitationの球体状の2つのポイントに対応する。(特に考察される特定の点光源からの)結果的な強度は、図23の3つのポイントによって表されているようなこれらの2つのポイントの自己相関関数であり、これは実空間においてZ軸に位置合わせされた正弦干渉パターンに対応する。標本における全光強度は、光源の全てのポイントからの強度寄与の合計である。対物レンズによって透過されることができる可能な光ビームのセットは、図24に表された2重空間キャップによってフーリエ空間に記載される。これは図18に表されたものと概ね同じであるが、図18の半径1/λemissionの代わりに図24は半径1/λexcitationを表している。光源上の各ポイントは、ある特定の角度βに上昇し(図21及び図22に表される)、従って特定の値ΔkZになり、これは=2Cos(β)/λexcitationで表される。開口照明を全開にして、全てのこのような光線、及び全てのこのような値βは、光源上のあるポイントによって生成される。従って、βは−α〜αまでの全ての値を帯び、よって、ΔkZはΔkZmin=2Cos(α)/λexcitationからΔkZmax=2/λexcitationまでの全ての値を帯びる。従って全照明強度、即ち光源上の全てのポイントからの全ての寄与の合計は、ΔkZminからΔkZmaxの間のΔk全ての値のための図23の領域の和集合によってフーリエ空間に表される。この結果の領域は図25に表されている。この領域は、図9と比較すれば分かるが、標本における全照明光のフーリエ変換のサポート領域である。この領域は図19のkZ軸の外を全て切り捨てたバージョンであると考えられる。
【0053】
例示のみのためであって限定的なものではないが、図26〜図29は本発明の可能な実施の形態を表している。図26を参照すると、本発明のI2M形態で使用するための装置68の略図が表されている。装置68の全ての構成要素はプラットフォーム又はハウジング(図示されていない)のような支持手段に取り付けられており、該手段は好ましくは防振されている。第一及び第二対物レンズ70、72は、並進調節手段を含んでもよいが、一般に第二対物レンズ72のみが並進調節手段(ここでは並進ステージ74として表されている)に取り付けられており、この手段はX、Y、Z方向に傾斜した作動スクリュー76によってXYZ方向に調整されることができる。第二対物レンズ72は傾斜可能取り付け台78等の角度調節手段によって並進ステージ74に取り付けられており、該ステージ74は調節スクリュー80等の作動手段を含む。対物レンズ70は好ましくは支持手段82に直接取り付けられている。対物レンズ70及び72は一般に、干渉が起こるような位置及び角度に注意深く位置合わせされなければならない。このような精密な調節は、並進ステージ74の位置を支持手段上で調節することによって行われる。照明手段からの照明光、例えばフィルターされた水銀アークランプ(図示されていない)等からの光は、光学ファイバ84を通して方向付けられ、照明焦点合わせ手段(レンズ86、88、90で表されている)を通して焦点合わせされ且つビームスプリッタ92上に方向付けられる。光学ファイバ84は好ましくは広いコア(1mm)を有し、空間的インコヒーレント光源として機能する。ビームスプリッタ92は第一対物レンズ70を通して照明光を標本94上に反射する。標本94は支持体96によって並進調節手段に取り付けられており(ここでは並進ステージ98として表されている)、この調節手段はスクリュー100によって並進移動させられる。観察された光、又は蛍光顕微鏡法の場合は標本からの放射光線は、第一及び第二対物レンズ70、72から現れて、ビームスプリッタ92及び光学第二ビームスプリッタ102によって選択的に透過される。前記ビームスプリッタ92、102はダイクロイックであってもよく、ここでは簡略化のためにダイクロイックミラー92、102と称すことにする。ダイクロイックミラー92によって透過された光は光路108に沿ってミラー104、106を横切り、ダイクロイックミラー102により透過された光は光路114に沿ってミラー110、112を横切る。光路108及び114に沿って方向付けられた光は、ビーム分割及び再結合手段、好ましくはビームスプリッタキューブ116によって単一ビーム118に方向付けられて結合される。ビームスプリッタキューブ116は好ましくは並進傾斜ステージ120に取り付けられており、このステージ120はスクリュー122によって移動される。ビーム118内の光はフィルタ124を通過して照明光を取り除き、最終的には焦点合わせ手段(ここでは色消しレンズ126で表されている)によって画像検出手段128(好ましくはCCDカメラか何か)上に焦点を合わせられる。レンズ126は好ましくはスクリュー132によって位置が調節される焦点合わせステージ130を含む。画像検出手段128は一般に処理手段(図示されていない)にインターフェースされ、ここで標本からのデータセットは計算形逆畳み込みのために格納される。位置合わせをするために、ビームは取り出し可能ミラー134によって接眼レンズ136及び/又は他の位置合わせ補助装置(図示されていない)に偏向されることができ、これらは正確に取り変え及び再配置ができるように運動台板(図示されていない)上に取り付けられている。光路108及び114の光路長の差は、並進ステージ138を”位相調整”して観察光及び照明光のコヒーレンス長内に微妙に調節されることができる。このステージ138にはミラー104、106が傾斜可能ミラーマウント140、142のような角度調節手段によって、スクリュー144等の作動手段と共に取り付けられている。並進ステージ138の位置はスクリュー146によって調節され、光路114に対して光路108を長くしたり短くしたりする。位相の微妙な調節は、ステージ138の正確な動作及びデータ獲得後のソフトウェアのオフラインによって行うことができる。
【0054】
画像検出手段128上の干渉パターンは、ピンホール開口フォトダイオード(図示されていない)を用いてモニターされることができる(この接眼レンズが表されている)。
【0055】
本発明に使用される全ての光学表面(ビームスプリッタ/再結合器キューブ116を含む)は、好ましくは高光学平面度、好ましくはλ/20又はそれ以上であり、異なる光線の相対位相を保持する。本発明によりZ方向の分解能が増大されるので、標本は従来の顕微鏡の現在の状態に比べてより正確に移動されなければならない。これは圧電アクチュエータ148を標本並進ステージ上に使用して行われ、このアクチュエータ148は実際の標本の位置を測定する容量センサ150からのフィードバック制御に応答する。第二対物レンズ72の位置及び/又は位相調節ステージ138を感知して修正するために、同様の位置センサ及びアクチュエータを使用することもできる。
【0056】
蛍光放射は相当広範囲の波長(〜50nm)に渡って一般に生じ、及び狭いフィルタで帯域を制限することは光が不要に切り捨てられるために望ましくないため、2つの光路長の等しさがこの帯域の全ての波長に当てはまる(トレランス内である)ように注意しなければならない。潜在的な問題は、光学物質の分散(波長への屈折率の依存性)である。従って、I2M形態が蛍光顕微鏡法に使用される場合、光が透過する全ての構成要素(即ちレンズ、ダイクロイックミラー、及び半分にわかれたビームスプリッタキューブの両方)が充分厳格なトレランス以内におさまるように2つのビーム即ち光路108、114において同じ光学的厚さを有するようにしなければならない。分散問題に対する他のアプローチは、必要であれば、効果的な厚さを変更するために傾けることができる、又はトータルの厚みが調節されることのできるように1つの補償板が屈折率整合流体によって隔てられた薄い2枚のプレートからなる、又は1つの補償板が単一の可変厚プレートを形成するように互いに擦れ違うことができる2つのエッジからなる補償板152、154、を含むことである。
【0057】
ここで図27を参照すると、本発明のI2M形態に一致した他の装置156が一般に表されており、ここで同じ参照番号は同じ部分を指す。装置156はややコンパクトであり、これは単に図26に表されたようなミラー104及び110をダイクロイックミラー158、160に置き換えてダイクロイックミラー158を通して照明光を直接標本94に当て、ダイクロイックミラー158がこの照明光又は励起光を透過して放射光線を反射することによって、コンパクトになる。装置156はよりコンパクトであるが、その対称性はやや劣る。それは、2つのダイクロイックミラー158、160は異なる角度で使用されるので、これら2つのミラーが同じであることはできず、同時に同じ位相及びそれぞれのビームに対する分光効果を有することもできない。
【0058】
図26及び図27で上記に記載されたI2M形態は、ファイバ光学系84からの照明光の位置と画像検出手段128及び焦点合わせレンズ126の位置とを単に置き換えることによってI3M形態に変えることができる。これは図28を参照すると非常に明らかである(同じ参照番号は同じパーツを示す)。従って、図28は、光学ファイバ84からの照明光若しくは励起光がビームスプリッタ/再結合器116によって分割されて、光路108、114に沿って第一及び第二対物レンズ70、72にそれぞれ方向付けられる装置162を表している。この対物レンズ70、72は、照明光を標本96の平面上に焦点を合わせる。上記に関連して、I3M形態は1つの対物レンズのみから観察された光を記録する。これは、ビームスプリッタ158(ダイクロイックでもよい)を画像検出手段128と第一対物レンズ70との間に配置して放射光線若しくは観察光がダイクロイックミラー158を通して画像検出手段128に透過されるようにすることによって実行される。或いは、装置162は本発明のI2M形態のための図26及び図27に表された装置とほぼ同じ装置であり、且つだいたい同じ様に操作され、これについて以下により明らかに記載する。
【0059】
図29を参照すると、本発明のI5M形態に一致する装置164が概して表されている。上記に関連して、I5M形態はI2M形態及びI3M形態を組み合わせたものであり、従って、I2M形態と同じように両対物レンズ70、72からの観察光若しくは放射光線を記録し、且つI3M形態と同じように両対物レンズ70、72から標本を照明する。これは図26〜図29を比較すれば簡単に明らかになる。図9の装置164において、光学ファイバ84からの照明光又は励起光はビームスプリッタ/再結合器116によって分割され、光路108、114に沿ってそれぞれ第一及び第二対物レンズ70、72に方向付けられ、ここで照明光は標本のセクション上に焦点を合わせられる。第一及び第二対物レンズ70、72によって収束された観察光若しくは放射光線は、それぞれ光路108、114を逆戻りしてビームスプリッタ/再結合器116によって結合され、画像検出手段128上に焦点合わせされる。従って、本発明のための一般的装置がI2M形態の操作のために位置合わせされると、次にI5M形態のために自動的に位置合わせされる。このときのたった1つの例外は、照明強度が焦平面で最大ではなく最少になるように2つの照明ビームの相対位相が理想的なものと反対であることである。この状態で装置164を使用することは可能であるが、信号対ノイズ比(SN比)を減少させる。この問題は、ビームスプリッタでの反射と同時に位相シフトが起こることによって生じる。これはエネルギー保存の法則により避けられない。しかし、この問題を回避する幾つかの方法がある。例えば、図5に一般に表されているように照明光のために別々のビーム分割ループを使用することができる。又は、図6に一般に表されたように放射光線が検出される同じ側からビームスプリッタキューブ上に照明光を入射させることができる。このアプローチもまた追加のビームスプリッタ/再分割器(ダイクロイックでもよい)を要する。更に他のアプローチは、照明光若しくは励起光と観察光若しくは放射光線との間の波長の差を利用して、色相補償板152、154を僅かにオフセットすることによってこれらの光の間の補償位相差を生成することである。しかし、このようなオフセットを行うと、代わりに励起光及び放射光帯域自体の中に幾らかの位相のばらつきが生じる。本発明のI5M形態に使用される装置は、両方の位相状態でのデータを獲得できるように照明光をビームスプリッタキューブ116の片側を介して誘導させる。
【0060】
上記に関連して、図26〜図29に表された各実施の形態のための2つのビームパス108、114の位相は、概ね等しくなるように調節されなければならず、これは位相調節ステージ138を用いて実行される。必要な調節量を決定するための位相測定は、蛍光マイクロビーズ等のテスト標本を用いて簡単に行われる。しかし、本発明の商業的なアプリケーションのためのより実際的な方法は、ビームスプリッタから現れた放射光線の2つのビームの両方が検出されて記録されるデュアル検出を含み、これは図30及び図31に表されている。図30において、画像検出手段166はビームスプリッタ/再結合器168の片側からの光を記録する。この光は光路170に沿って画像検出手段166に方向付けられる。ビームスプリッタ/再結合器168の反対側からの光路172に沿った光はダイクロイックミラー174によって画像検出手段176に反射される。図31において、ビームスプリッタ/再結合器168から光路170に沿った光をミラー180によって画像検出手段178の一部分に方向付け、ビームスプリッタ/再結合器からの光路172に沿った光をダイクロイックミラー174及び切頭ミラー(truncated mirror)182によって画像検出手段178の他の部分に方向付けることによってだいたい同じ効果が得られる。レンズ184、186、188は光を光路170、172に焦点を合わせ、画像検出手段178上の検出器の部分を分離する。デュアル検出により、放射光線を更に効果的に用いた良い面の効果になる。ビームスプリッタ/再結合器168から放射される2つのビームは2つの入射ビームの異なる組み合わせを表し、これは180°の位相シフトにより異なる。図30に表されたような別々のカメラ166、176のどちらかの上、又は図31に表されたような同じカメラ178の異なる部分の上で両方のビームを検出することによって、及びフーリエ空間におけるこの2つのデータセットを比較することによって、放射光路及び照明光路の両方の位相角度を推論し、もし使用されるのであれば、位相調節ステージ190及び色相補償板(図示されていない)を調節することができる。これは自動的に容易に行うことができる。
【0061】
画像形成ビーム、照明ビーム、又はその両方の、異なる相対位相を有する複数のデータセットを得たい場合もある。特に、本発明のI3M形態又はI5M形態を用いる場合、1つのデータセットは焦平面において構造的干渉を有するように照明位相を調節して得られ、又第二データセットはその反対の照明位相で得られることができ、従ってここで照明強度は焦平面で最少値を有する。これらの2つのデータセットの間の差を用いて、干渉計情報成分は強調され、背景は抑えられる。
【0062】
本発明のI3M形態及びI5M形態はケーラー照明を用いて概略的に記載されたが、幾つかの他の照明配列がこれらの実施の形態に使用するのに適している。例えば、臨界照明はあらゆる中間配列と同様にケーラー照明と同様の結果を提供するであろう。
【0063】
本発明は、第一及び第二対物レンズがX、Y、Z方向において同じ位置に焦点が合わせられることを一般に要する。これは2つの3次元テストデータセット(高速なので実際のデータセットよりも小さいかもしれない)を取ることによって行うことができる。このとき1つのデータセットは第一対物レンズのみを用い(即ち第二レンズからのビームパスのシャッターを閉めることによって)、及びもう1つのデータセットは第二対物レンズのみを用いて(データの記録中にもう一方のレンズからのパスを同様にブロックして)行われる。次に簡単な相互相関処理によって焦点及び側方オフセット誤差を決定し、これらは対物レンズの一方をもう一方のレンズに相対的に移動することによって修正されることができる。この処理は自動的に行うことができ、デュアル検出があってもなくてもI2M形態及びI5M形態に適用することができる。
【0064】
図32及び図33を参照すると、図32の顕微鏡192等の本発明の商業的実施は、その前の図が示すものより、図33に略図で表された典型的な顕微鏡のように見えるかもしれない。例えば図32に表されたように、ビームスプリッタ/再結合器196、位相調整ステージ198、レンズ200、フィルタ202、及びミラー204と同様、他の構成要素(図示されていない)が、既存の商業用顕微鏡に類似した構造206に組み込まれることができる。このとき光源208及び画像検出手段210は使用される本発明の(1つ以上の)実施の形態のために適切に配置される。
【0065】
ここで図34、図35、及び図36を参照すると、本発明の各実施の形態を用いた方法に関するフローチャートが概ね示されている。図34を参照すると、本発明のI2M形態のためのフローチャートが全体的に表されている。ステップ212で、顕微鏡標本は第一及び第二の対向する対物レンズの間に配置される。上記に関連して、顕微鏡標本は、好ましくはガラスカバースライドの間に挟まれる。蛍光顕微鏡法では、標本は選択された蛍光プローブで適切にレベル付けされる。
【0066】
ステップ214で、2つの対向する対物レンズが標本内のセクション又は表面に焦点合わせされる。焦点合わせは、好ましくは並進ステージ等の精度並進手段上で一方又は両方の対物レンズ、又は標本を移動することによって行われる。
【0067】
ステップ216で、第一及び第二対物レンズによって観察された光又は画像は、画像を記録するために第一及び第二パスに沿ってCCDカメラ等の画像検出手段に向けられ、ここでこの2つのパスからの観察光は入射させられる。このステップは、一般に複数のミラーによって実行されるが、このミラーは光を第一及び第二パスに沿ってビームスプリッタ/再分割器に向け、このビームスプリッタ/再分割器はこの2つのパスからの光を再結合して画像検出手段に方向付ける。
【0068】
ステップ218で、第一及び第二パスの光路長は、この2つの光路長がコヒーレント長よりも短い分だけ異なる、好ましくは波長よりも非常に短い分だけ異なるように調節され、これによってステップ216で画像検出手段上に入射する観察光を画像検出手段上で干渉させる。光路長調節はミラーが取り付けられた並進ステージによって一般に実行される。ステップ218で干渉する観察光又は画像は、ステップ220で画像検出手段によって記録される。画像検出手段は、好ましくはマイクロプロセッサ等のデータ処理手段にインターフェースされ、記録画像を格納させる。
【0069】
ステップ222で、第一及び第二の対物レンズは標本の他のセクションに焦点合わせされる。このステップは、好ましくは標本を対物レンズに対して並進運動させたり、対物レンズを並進運動させたり、又は標本とレンズを並進運動させたりすることによって行われる。
【0070】
標本の各セクションが上記のように観察されて記録されるまで、ステップ224、ステップ220〜ステップ222まで、又は選択的にステップ218〜ステップ222までが繰り返される。標本の各セクションから記録された画像は標本全体のデータセットを形成し、このデータセットは画像検出手段にインターフェースしているマイクロプロセッサに格納される。
【0071】
ステップ226で、計算形逆畳み込みのための手段はステップ224のデータセットに適用されて、Z方向の分解能が強化された標本の3次元画像を生成する。本明細書中に使用される用語”逆畳み込み”は、再構成方法又はアルゴリズムのあらゆる形態を意味することを理解されたい。計算形逆畳み込みは、複数のフーリエ変換アルゴリズムを用いるソフトウェアを一般に含む。及び/又は画像データもまたより簡単な処理の後であって完全な計算形逆畳み込みの全てが終わる前、又は何も始められない前にディスプレイされてもよい。これを行う理由は、データをリアルタイムでディスプレイすることである。処理されていなくても、従来の広視野顕微鏡法よりも多くの情報を送る。
【0072】
ステップ212及びステップ214の間に、対物レンズの一方を介して標本に照明光が提供される追加のステップ(図示されていない)が含まれてもよい。上記のようなケーラー照明が好適な照明技術であるが、当技術に使用される他の照明方法が考慮されてもよい。
【0073】
観察された光の色相マッチングが実施される追加ステップ(図示されていない)もまたステップ220の前に含まれてもよい。色相マッチングは好ましくは色相補償板を用いて実行される。この補償板のうち一方は、組合せの光学的厚さを変えるように一方のウェッジが他方のウェッジを過ぎて並進移動することができる2つのウェッジを含む。
【0074】
更に、第一及び第二対物レンズから観察された光を画像検出手段上に焦点合わせする追加のステップ(図示されていない)がステップ220の前に更に追加されてもよい。この焦点合わせは、好ましくは1つ以上の並進運動可能レンズによって実施される。
【0075】
また、標本が第一及び第二の対物レンズの間に位置合わせされる追加のステップが、ステップ212及びステップ214の間に更に含まれてもよい。この位置合わせは、好ましくは(1つ以上の)着脱可能ミラーによって標本を観察する接眼レンズを用いて行われる。
【0076】
図35を参照すると、本発明のI3M形態の方法を含む一般的なステップに関するフローチャートが表されている。ステップ228で、顕微鏡標本は第一及び第二の対向する対物レンズの間に配置される。I2M形態について先に記載したように、顕微鏡標本は好ましくはガラスカバースライド間に挟まれる。I3M形態は主に蛍光顕微鏡法に使用するために考慮されているので、標本は好ましくは選択された蛍光プローブで適切にラベル付けされる。
【0077】
ステップ230で、励起光又は他の照明光は、第一及び第二の対物レンズを介して顕微鏡標本のセクション上に向けられ、その上で焦点合わせされる。このステップは、照明光をビームスプリッタ/再結合器に方向付け、このビームスプリッタ/再結合器はこの光を第一及び第二パスに分割し、複数のミラーでこれらの光を第一及び第二パスに沿ってそれぞれ第一及び第二の対物レンズに方向付けることによって、一般に行われる。一般に、拡張された、空間的インコヒーレント光源が照明光を提供するのに使用される。
【0078】
ステップ232で、第一対物レンズから放出された光はCCDカメラ等の画像検出手段に向けられる。一般に、ダイクロイックミラーがこのステップで使用されるが、このダイクロイックミラーは観察された光を透過して照明光を反射する、又はその逆である。
【0079】
ステップ234で、標本に方向付けられた照明光は標本のセクション内で干渉させられる。この干渉は、第一及び/又は第二パスの光路長を調節することによって行われる。一般に光路長の調節は、ミラーが取り付けられた並進ステージを移動することによって行われる。
【0080】
ステップ236で、画像検出手段に方向付けられた、観察光又は放射光線が記録される。本発明のI2M形態と同様に、画像検出手段は複数の画像を格納するために好ましくはマイクロプロセッサにインターフェースされる。
【0081】
ステップ238で、照明光又は励起光は標本の他のセクションに向けられ、そこで第一及び第二の対物レンズによって焦点合わせされる。
【0082】
ステップ240で、ステップ236〜ステップ238、又は選択的にステップ234〜ステップ236が、標本の各セクションの記録データを含むデータセットが得られて格納されるまで繰り返される。
【0083】
ステップ242で、計算形逆畳み込み手段がステップ240からのデータセットに加えられて、Z方向の分解能が強化された標本の3次元画像を提供する。I2M形態と同様、位相マッチングステップ及び位置合わせステップ、及び観察光が画像検出手段に焦点合わせされるステップが含まれてもよい。
【0084】
図36を参照すると、本発明のI5M形態の方法を構成する一般的なステップに関するフローチャートが表されている。ステップ244で、顕微鏡標本は第一及び第二の対物レンズの間に配置される。I2M形態及びI3M形態に関連して先に述べたように、顕微鏡標本は好ましくはガラスカバースライド間に挟まれる。
【0085】
I5M形態は主に蛍光顕微鏡用に考慮されているので、標本は好ましくは選択された蛍光プローブで適切にラベル付けされる。
【0086】
ステップ246で、励起光又は他の照明光は第一及び第二の対物レンズを介して顕微鏡標本のセクション上に方向付けられ、そこに焦点が合わせられる。このステップは、一般に照明光をビームスプリッタ/再結合器に方向付け、該ビームスプリッタ/再結合器によって光を第一及び第二パスに分割して複数のミラーでこの光を第一及び第二パスに沿ってそれぞれ第一及び第二対物レンズに方向付けることによって行われる。
【0087】
ステップ248で、標本により観察された又は放射光線は第一及び第二対物レンズから第一及び第二パスに沿ってCCDカメラ等の画像検出手段に方向付けられ、ここに第一及び/又は第二パスから観察された光は入射される。標本から観察された光を画像検出手段に方向付けるために、ステップ246で使用されたのと同じミラー及びビームスプリッタ/再結合器を用いてもよいし、図4〜図6で記載したように別々のビームスプリッタ及び追加のミラーを使用してもよい。
【0088】
ステップ250で、標本に向けられた照明光を標本のセクション内で干渉させる。この干渉は、第一及び第二パスの光路長を調節することによって一般になされる。一般に、光路長調節は(1つ以上の)ミラーが取り付けられた並進ステージを移動することによって行われる。
【0089】
ステップ252で、画像検出手段に向けられて入射された観察光若しくは放射光線は、この画像検出手段によって記録される。画像検出手段は好ましくは本発明の他の実施の形態と同様に、複数の画像が格納されるようにマイクロプロセッサにインターフェースされてもよい。
【0090】
ステップ254で、照明若しくは励起光は第一及び第二対物レンズによって標本の他のセクション上に向けられてそこで焦点合わせられる。
【0091】
ステップ256で、ステップ252〜ステップ254、又は選択的にステップ250〜ステップ254は、標本の各セクションの記録画像を構成するデータセットが得られて格納されるまで、繰り返される。画像ビーム、照明ビーム、又はその両方の、異なる相対位相を有する複数のデータセットを得たい場合もある。
【0092】
特に、本発明のI3M形態又はI5M形態を用いて、焦平面で構造的な干渉を有するように照明位相を調節して1つのデータセットを得ることができ、また照明強度が焦平面で最少値を有する逆の照明位相を有する第二データセットを得ることもできる。これらの異なる2つのデータの差を用いて、干渉計情報成分を強調して背景を抑えることができる。
【0093】
ステップ258で、計算形逆畳み込み手段をステップ258からのデータセットに適用してZ方向の分解能が強化された標本の3次元画像を提供する。他の実施の形態と同様に、位相マッチングステップ及び位置合わせステップと同時に、観察光を画像検出手段に焦点合わせするステップが含まれてもよい。
【0094】
図34〜図36を比較すると、I5M形態を構成する方法は、I2M形態及びI3M形態の両方からのステップを組み合わせたものであることが分かる。これは本発明の3つの実施の形態に使用される装置の類似性を反映する。
【0095】
ステップ226、242、及び258で適用された演算アルゴリズムは、外部制約の適用を含んでもよい。このような制約は一般に逆畳み込みアルゴリズムにおける空間的拘束制約、及び本発明を蛍光顕微鏡法に使用するときには放射強度及び蛍光濃度のポジティビティー(positivity)を含む。
【0096】
本発明の開示に関連するコンセプトは、現在達成されることのできるものよりも大きなレベルにまで横方向、即ちXY分解能を拡張するために既存の顕微鏡法技術と組み合わせて使用してもよい。例えば、本発明はSWFMへの”開口合成”アプローチを用いて既存技術の定在波蛍光顕微鏡法(以下SWFMと称す)の態様と組合せて用いてもよい。
【0097】
SWFM”において、先に述べたように標本を照明するために光の2つのコヒーレントビームが使用される。フーリエ空間において、これら2つのビームの振幅は図37に表されたように2つのポイントにおいてのみ非ゼロである。図37に表された2つのポイントの自己相関又は強度は図38と関連しており、図37では図38のアウトラインの引かれた領域内のどこにでも当てはまる3つのポイントがある。
【0098】
SWFMは一般にZ方向に位置合わせされた定在波を含む。先に記載されたような本発明は、原則としてSWFMで達成されることのできるZ方向の分解能の全てを既に組み込んでいる。しかし、定在波の方向がZ方向と平行でないSWFMを用いて横方向即ちXY分解能を増大させることは可能である。特定の定在波方向及びベクトルkst.waveを有する波長では、定在波の異なる位相で3つの画像スタックが得られる。又は、異なる位相で2つの画像スタックと定在波のない基準スタックを使用してもよい。同じ基準スタックを異なる定在波角度で使用して、得なくてはならない全スタック数を減少することができる。これらの画像スタック自体はそれぞれ光伝達関数のサポート領域即ち”直接観察可能領域”の外側にはフーリエ成分を含まないが、その中の情報は標本情報の3つの異なる領域(直接観察可能領域自体、及び+kst.wave及び−kst.waveによってそれぞれそこから移されたこの直接観察可能領域の2つのコピー)に関する。これらは図39及び図40に表されている。図39は通常の単一レンズ顕微鏡で観察したときの直接観察可能領域及び移動領域を一般に表しており、図40は本発明のI2M形態のデュアル対向対物レンズ配列を介して観察したときの直接観察可能領域及び移動領域を一般に表している。図39及び図40のブラック領域は直接観察可能領域の光伝達関数を表し、+kst.wave及び−kst.waveによってオフセットされた領域は影を付けて表されている。組合せたデータセットから、標本情報のこれらの3つの成分を分離してこれらをフーリエ空間のこれらの適切な位置に計算上移動させることが可能である。異なる波ベクトルkst.waveでこの操作を繰り返すことによって、フーリエ空間の異なるパートを連続的に埋めて大きな領域をカバーすることができる。このようにアクセスすることができるフーリエ空間の領域の範囲は、生成されることができる可能な波ベクトルkst.waveのセットを用いた直接観察可能領域の畳み込みによって決定される。
【0099】
対物レンズを通して送られることのできる光の波動ベクトルのセットは、図12〜図19で先に示したような出射する放射光線と全く同じように、光の波長及び対物レンズの許容角度(開口数)によって制限される。このように、単一対物レンズシステムの可能な定在波ベクトルのセットが図7に表されており、デュアル対物レンズシステムの可能な定在波ベクトルのセットが図8に表されている。
【0100】
この中でλは文脈上λexcitationを示すと理解される。同じレンズで両方のレーザビームを送ることができないデュアル対物レンズシステムの可能な定在波ベクトルのセットが図8の副ローブによって表されており、ここではλはλexcitationである。
【0101】
上記に関連した処理は、従来の単一レンズ検出を用いるか、又は本発明のI2M形態のデュアルレンズ検出を用いて行われることができるが、従来の単一レンズ検出を用いる場合は先のパラグラフにおける位相の"直接観察可能領域"は図7に概ね表された領域を指し、デュアルレンズ検出を用いる場合は同じ位相は図8に概ね表された領域を指す。上記の定在波開口合成処理を用いてアクセスすることができるフーリエ空間の対応領域は、単一レンズ及びデュアルレンズ構成の場合で図39及び図40にそれぞれ中の白いアウトラインによってグラフで表されている。図39にはkYkZ平面の近くにディスク型領域があることに注意されたい。これはkY軸に沿った斜線領域によってグラフで表されており、顕微鏡が同じ対物レンズを介して両方のレーザビームを送ることができない限り従来の形態で上記の定在波開口合成処理によりアクセスすることはできない。図40に表されたように、本発明はそのようなことができなくてもこの領域にアクセスする。
【0102】
本発明のI2M形態を組み合わせて用いることには更に2つの利点がある。第一に、フーリエ空間のアクセス可能領域を適度にカバーするために必要な画像スタックは少なくて済む(異なる定在波ベクトルkst.waveが少なくて済む)。第二に、図40のブラック領域が図39の対応する領域よりもkZ方向に長いことから分かるように、Z分解能が増大する。事実、図40のアクセス可能領域は半径1/λexcitation+1/λemissionの球面のほぼ全体であり、この球面はあらゆる遠視野光学手段によってアクセスすることができる全ての空間情報を表す。
【0103】
本発明のI5M形態の1つと同じように、全体をカバーするために必要な画像スタックが更に少なくて済むように、上記の定在波/開口合成処理において更に大きい伝達関数を有することができる。この技術(以下4−ビーム定在波顕微鏡法と称する)は、対物レンズの後側焦平面への平面共役において、セットアップにおいて拡張された光源のために、2つの相互コヒーレント点光源の入替えを含む、或いは図4〜図6及び図29に表されたI5M形態に使用されるものと同じである。これらの相互コヒーレント点光源は、例えば焦点合わせされたレーザビーム又は単一モードの光学ファイバ出力であって、これらの両方の場合単一レーザによって供給される。ビームスプリッタが在るので、標本における結果的な照明は4つのコヒーレント平面波からなる。これらの波は干渉してZ方向及び横(X Y)方向の両方の構造を有する強度フィールドを形成する。I3M形態及びI5M形態に関して先に述べたように、Z構造は標本の基準枠内に固定されているのでZ方向の光伝達関数を単純に延長させる。横方向の構造は、以下に説明するように、上記の開口合成処理が概して直接適用されることができるように光の強度の正弦波変調から全て成る。
【0104】
図41は4ビーム定在波顕微鏡法技術のためのフーリエ空間における光振幅分布をグラフで表している。この2つの点光源は、図41の右側の2つのドットで表されたようにそれぞれ”左側の”対物レンズを通して1つの各平面波を入射させる。ビームスプリッタがあるので、2つの点光源もまた図41の左側のドットで表わしたように右側の対物レンズを通してミラー画像ビームを入射させる。図42は図41の自己相関からの結果的な強度フィールドを表す。この強度フィールドは、図41に表された4つのポイントの間の可能な異なる12個のベクトル全て、及び原点のポイントの計13ポイントに相当する。この原点はあらゆるポイント自体の異なるベクトルと考えられる。図42に表された強度フィールドは複雑なように見えるかもしれないが、13ポイント全てはkZ軸上に存在する、又はkZ軸に平行な2つのライン上に対称に存在することに注意されたい。これは光の強度が、XY平面において均一である1つの成分と、横方向に正弦波変調された(且つ異なるZ構造を有する)1つの成分との合計であることを意味する。このため、先に述べたような情報分離及び開口合成処理を用いて処理することが尚可能である。しかし変調された成分及び中央情報成分のための光伝達関数がもはや同じではないので、変調は僅かである。
【0105】
非同一光伝達関数によるミラー修正さえ必要でない特別なケースがある。これは2つの点光源が完全に対称に配置された(横平面において互いに正反対に配置された)場合に生じる。この場合、図42のポイントの幾つかは一致し、図43及び図44によって表されたように3つの同じ列になる。これは同じ”中央”及び”変調”伝達関数を生成する。
【0106】
4ビーム定在波顕微鏡法技術のための有効な光伝達関数は、後側焦平面における2つの光源の特定の配置に依存する。図45〜図47及び図48〜図50は2つの例を表している。図45にグラフで表わされているのは、開口のエッジ上の正反対のポイントに配置された2つの相互コヒーレント光源のための照明振幅のためのサポート領域である。図46は図45に対応する照度のサポート領域であり、図47は結果的な光伝達関数を表す。中央伝達関数は黒で表されており、変調によって得られる標本情報の追加領域は影を付けた領域で表されている。図48は2つの相互コヒーレント光源の照明振幅のサポート領域を表しており、ここで1つの光源は開口部の中央に配置され、もう一方の光源は開口部のエッジに配置されている。図49は図45に対応する照度のサポート領域を表し、図50は結果的な光伝達関数を表す。中央伝達関数は黒で表され、変調によって入手できる標本情報の領域は影の部分で表されている。明らかに、図47及び/又は図50に対応するタイプの非常に少ないデータスタックのみが、フーリエ空間のアクセス可能領域の大半をカバーするのに必要とされる。
【0107】
先に述べた開口合成技術の全てにおいて、未知であろう様々な定在波の絶対位相を決定する必要があるかもしれない。これらの位相は図40に全体的に表されたような情報成分がオーバーラップする領域にある異なる情報成分を、ゼロ−位相”中央”成分から連続的に比較することによって推定される。
【0108】
4ビーム定在波顕微鏡法技術への代替法として、励起光パス、画像平面への平面共役においてマスクを使用して標本照明に横方向の構造を生成することができる。これにより、上記の方法のうち1つの方法に似たコヒーレント光源を必要としない開口合成方法を使用することが可能となるであろう。これは高額であり且つ使用可能な波長の選択が制限されているために限定される。
【0109】
本発明のI2M形態、I3M形態及びI5M形態のあらゆる組合せ、及び本明細書中に記載された横方向の分解能強化のための方法が、同じ標本に連続的に使用されることができる。従って、最終的な情報がコンピュータによって結合されて単一構造にされてもよい。例えば、I5M形態を用いた顕微鏡法から得たデータを本発明の上記の定在波応用から得たデータと組み合わせたい場合もあるだろう。
【0110】
従って、本発明は広視野顕微鏡法でこれまで得られたものより深度の大きい、即ちZ方向の分解能が大きい3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することが分かるであろう。上の記述は多くの特定を含むが、これらは限定的なものではなく、本発明の好適な実施の形態の幾つかを単に例示したものである。従って、本発明の範囲は請求の範囲及びその法的同等物によって決定されるべきものとする。
【符号の説明】
【0111】
70 第一対物レンズ
72 第二対物レンズ
84 光学ファイバ
108 ビームパス
114 光路
126 レンズ
128 画像検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、国立衛生研究所により与えられた許可番号GM25101−16及びGM31627−12の下に合衆国政府の支援により発明された。合衆国政府は本発明にある権利を有する。
【0002】
1.本発明の分野
本発明は一般に3次元光学顕微鏡法に関し、より詳細には、高レベルの解像深度を得るために標本についてデュアル対向対物レンズを使用する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術の説明
学顕微鏡法はこの10年の間に医学及び生物化学においてめざましいルネッサンスを体験した。光学顕微鏡法の重要性が増大したのは、蛍光プローブ技術が発達し、及び計算形逆畳み込み(conputational deconvolution)または走査型共焦点顕微鏡法を介して得られる定量的3次元画像データが使用できるようになったからである。
【0004】
光学顕微鏡法は非光学顕微鏡法技術より優れた幾つかの利点を提供する。光学顕微鏡法を使用することによって生体組織標本を自然な状態で観察することができる。これに比べて電子顕微鏡法の場合は顕微鏡検査の標本を乾燥して真空にさらす必要がある。更に、標本の内側は光学顕微鏡法を用いて3次元で観察して写像することができるが、走査電子顕微鏡法及び他の走査プローブ顕微鏡法は標本の表面だけしか写像できないため、標本の内側についての情報を提供することができない。光学顕微鏡法の他の利点は、特定の細胞要素を蛍光プローブで染色することによって非常に明白に識別し且つ写像することができることである。今は蛍光プローブを合成して殆どあらゆる生物分子を特定することが可能である。
【0005】
光学顕微鏡法の唯一の重大な欠点は、対物レンズが光を収集できる角度に関連して、及び最終的には光の有限波長によりその分解能が制限されることである。
【0006】
従って、光学顕微鏡法の分解能を大幅に増大する本発明のようなあらゆる技術は、細胞生物学、医療用撮像(imaging)、及び他の生物工学の分野において重要な用途を有するであろう。
【0007】
3次元光学顕微鏡には現在2つの主なアプローチがある。1つは計算形逆畳み込みとしても知られている光学セクショニング顕微鏡法であり、もう1つは走査型共焦点顕微鏡法である。
【0008】
光学セクショニング顕微鏡法において、標本のセクションを通って焦点を連続的に移動させて連続画像を得ることによって、顕微鏡法標本の一連の画像が得られる。各画像は焦平面にある標本のパーツ若しくはセクションから焦点の合った(in-focus、焦点内)情報、及び標本の他の部分から得られた焦点の外れた(out-of focus、焦点外)ぶれた情報を含む。コンピュータからの全データセットを分析することにより、標本の3次元構造の再生が可能になる。再生プロセスは、数学的アルゴリズム、及び単一の点光源により生じたぶれを記述する先に格納された基準データセットを使用する。光学セクショニング顕微鏡法は、一般に電荷結合素子アレイ(CCD)カメラによって広域画像が記録される”広視野”顕微鏡である。従って、高い光スループット及び高データ獲得速度がこの技術を使用して可能となる。
【0009】
共焦点顕微鏡法において、焦点を合わせたレーザビームが光源として使用され、光は標本中のレーザと同じスポットに焦点を当てられたピンホールを通る光倍増管によって検出される。この結合された焦点ポイントは次に標本を通して3次元で走査され、スポット位置の関数として検出された強度が標本の3次元画像を得るために使用される。このピンホールは焦点外情報を部分的に抑えて分解能を向上させるが、その代わり光の大部分を切捨てる。この光のロスによって露光時間を長く必要とし、これによって操作が遅くなり、しばしば標本の著しい漂白問題を生じる。光学セクショニング顕微鏡法で使用される広域画像撮像のために最大100万ものピクセルが平行して得られるのに対し、データピクセルが1回に1つしか得られないことによって、共焦点顕微鏡法の操作は更に減速する。
【0010】
光学セクショニング顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法のどちらにも、分解能深度即ちZ−方向の分解能が横方向即ちXY平面における分解能よりも何倍も悪いという重大な欠点がある。Z方向の分解能は、以下に詳細に記載するような基本的な幾何学的限界によって制限される。本発明は、Z方向の分解能がXY平面における分解能に等しいだけでなく、光学セクショニング顕微鏡を用いてこれまで得られたXY平面における分解能の2倍以上増大された、光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供する。光学セクショニング顕微鏡法を介して可能である高い光スループット及びデータ獲得速度を維持したまま、本発明はZ方向の分解能をこのように増大させる。
【0011】
デュアル対向対物レンズを使用した光学顕微鏡法の方法には2つのものがこれまで公知である。4Pi 共焦点顕微鏡法として公知である1つの方法は、広視野ではなくて共焦点の顕微鏡法である。4Pi 共焦点顕微鏡法には一般に3通りの使用方法がある。第一モードでは、焦点を合わせたレーザ光が両方向の対物レンズから標本を照明してこの標本で干渉するために使用される。第二モードでは、放射(emitted)された光が両方向から収集され、単一のピンホール検出器上で結合される。第三モードは、先の2つのモードを同時に組み合わせたものを含む。しかし、共焦点技術であるので、ピンホール光検出器による光のロス及びピクセル毎のデータ獲得による遅さのせいで、4Pi共焦点顕微鏡法の全てのモードは光スループットが乏しく、データ獲得時間が長い。
【0012】
2つの対向レンズを使用した第二の公知の光学顕微鏡法は、一般に定在波蛍光顕微鏡法(SWFM)と呼ばれる。この技術は一般にレーザである、時間的及び空間的コヒーレンスが非常に高い光源を要する。この空間的及び時間的コヒーレント光源は、標本空間において標本の観察域全体に広がる正弦定在波(これをもって名称とする)である干渉縞になる。
【0013】
SWFMは一般的に本発明の1つの実施の形態(本明細書中のI3M形態)と同じ様なZ分解能を達成するが、これは同様の動的装置上の走査鏡を使用して連続的に幾つかの異なる定在波パターンを組み合わせることによって、又は複数のレーザ等の複数の個々にコヒーレントなしかし相互にインコヒーレントな光源を使用することによってのみ、達成される。本発明はこのような移動部品を必要とせず、アークランプや白熱電球等の単一の空間的コヒーレント光源のみを要し、帯域制限光源が呈示する以上の時間的コヒーレントを必要とせずに、Z方向の分解能を増大させる。単一のインコヒーレント光源によって照明光の波長を自由に選択することが可能となるが、波長の制限された選択においてのみレーザが使用できる。更に、本発明の1つの実施の形態(本明細書中ではI5M形態と記載される)は、SWFMのみで可能な分解能よりも大きなZ分解能を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は全ての既知の3D顕微鏡法技術と異なり且つこれらに比べて利点を有する。単一対物レンズを用いるあらゆるモードの顕微鏡法と比較すると、本発明は高いZ分解能を提供する。SWFMに比べて、本発明はより単純な照明手段を使用し、より優れた照明波長の選択を提供し、その実施の形態の1つにおいてはより高いZ分解能を提供する。4Pi共焦点顕微鏡法に比べて本発明はより単純な照明手段、より優れた照明波長の選択、高速なデータ獲得速度、及び観察光(observed light)若しくは放射光線(emitted light)のより有効な利用を提供し、これにより著しい標本の漂白を減少することができる。
【0015】
従って、深度即ちZ方向の分解能を大幅に強化し、高い光スループットを有し、データ獲得速度が速く、及び空間的コヒーレント光源の使用を必要としない、3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置が必要となる。本発明はこれらの需要及び他の需要を満たし、公知の光学顕微鏡法装置及び方法に見られる欠陥を概ね克服する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、一般に標本について対向する対物レンズを用いる3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置に関する。本発明には3つの好適な実施の形態があり、これらは主に同じ装置を使用し、標本を一方若しくは両方の対物レンズから照明し、一方又は両方の対物レンズを通して観察及び記録する。
【0017】
本発明は一般に第一及び第二の対物レンズを含み、これらは薄い標本を挟んで互いに対向して取り付けられており、これらの対物レンズの少なくとも一方は並進調節手段を含む(これは例であって、これに限定するものでない)。照明手段、好ましくは1つ以上のアークランプ又は他の拡張空間的インコヒーレント光源によって標本を照明する。本発明は一般にビームスプリッタ及びビーム再結合器手段、好ましくはビームスプリッタ/再結合器キューブを含み、照明光を2つのパスに分割して両対物レンズを通して標本に当て、両対物レンズからの観察光若しくは放射光線を再結合して記録する。複数の調節可能ミラーによって照明光及び/又は観察光の方向を対物レンズと画像記録手段との間を行き来させることができる。画像記録手段は、好ましくはCCDカメラを含む。異なる波長を選択的に透過及び反射させる手段、好ましくは1つ以上のダイクロイックミラーが、本発明に一般に含まれる。光路長調節手段、好ましくは1つ以上のミラーが好適に配置された並進ステージによって、光路長のチューニングが可能になる。照明光と観察光若しくは放射光線との間、及び/又は照明光及び/又は観察光若しくは放射光線内の異なる波長成分の間の位相差を補償するために、色相補償手段、好ましくは色相補償板が含まれてもよい。対物レンズに対して標本を位置合わせするための位置合わせ手段が提供され、これは好ましくは移動可能ミラー及び接眼レンズを含む。また、本発明はばらつき防振プラットフォーム若しくはハウジング等のばらつき防振支持手段を使用してもよい。
【0018】
本発明の第一の実施の形態において、標本の2つの画像を同時に得るために2つの対向する対物レンズが標本に使用されるが、照明光は一般に一方の対物レンズから標本に方向付けられる。2つの対物レンズからの2つの画像は結合されて、CCDカメラ又は他の画像形成手段の上に入射される。2つの対物レンズからの2つの光路長は、標本からの放射光線のコヒーレント長よりも短い(好ましくは観察光若しくは放射光線の波長よりも非常に小さい)分だけ異なるように調節される。2つの画像は次にCCDカメラ上で干渉して標本情報を提供する。本発明によって提供された強化された深度即ちZ分解能情報は、これらの2つの画像が同じCCDカメラ上に2つの光路長を慎重にバランスを取ってコヒーレントして結合されたときに、これらの2つの画像の干渉により生じる。本発明の第一の実施の形態は、蛍光顕微鏡法に関して概して記載されるが、当業者には、この実施の形態が、明視野、暗視野、及び位相差顕微鏡法を含む他の多くのモードの光学顕微鏡法にも同様に適用可能であることが分かるであろう。本発明の第一の実施の形態は、一般に”画像干渉顕微鏡法”又はI2顕微鏡法と呼ばれ、便宜上及び明確化のために、以下I2M形態と称す。本発明のI2M形態及び以下に関連する他の実施の形態の操作は、標準の光学セクショニング顕微鏡法で使用される操作に似た方法で進められる。即ち標本の一連の画像を異なる焦平面で獲得し、点光源によってぶれが生じた先に測定された標本を用いて焦点外のぶれを取り除くために全データの計算形逆畳み込みを行う。
【0019】
本発明の第二の実施の形態(主に蛍光若しくはリン光顕微鏡法に適用される)において、拡張空間コヒーレント光源からの照明若しくは励起(excitation)光はビーム分割手段によって分割され、対向する対物レンズを介して標本を両面から照明するために使用される。光路長のバランスがとれたとき、2つの照明ビームは2つの対物レンズの焦平面で干渉する。この狭い干渉フリンジによって、焦平面を囲む標本の薄い切片又は領域において照明の強度が深度Zでばらつきが生じる。照明光の空間的構造によって標本からの蛍光放射光線が対応して変調し、この変調はZ方向の分解能を拡大するもとである。第二の実施の形態において、標本は一般に単一対物レンズを介して観察される。本発明の第二の実施の形態は、”インコヒーレント干渉照明”即ちI3顕微鏡法と呼ばれ、便宜上及び明確化のために、以下本発明のI3M形態と称される。
【0020】
本発明の第三の実施の形態では、I2M形態及びI3M形態を組合せ、本質的に同じ装置を使用して、I2M形態又はI3M形態のどちらかのみを単体で使用して可能な分解能よりもより大きいZ方向の分解能を達成する。第三の実施の形態は、I2M形態及びI3M形態の組合せを含むため、以下I5顕微鏡法又はI5M形態と称する。I5M形態において、標本はI2M形態と同じように両方のレンズを介して観察されるが、標本はI3M形態と同じように両方の対物レンズを介して照明される。照明光及び観察光の必要な位置合わせは本質的に同じであるため、同じビームスプリッタが照明光及び観察光の両方に使用されてもよい。
【0021】
本発明の目的は、非常に強化された深度即ちZ方向の分解能を提供する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、高い光スループットを有する3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、高データ獲得速度を可能にする3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、コヒーレント光源の使用を必要としない3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、不必要に標本を漂白しない3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明の更なる目的及び利点は本明細書中の後続部分で明らかにするが、その詳細な説明は、本発明の好適な実施の形態を充分に開示するためのものであって、これらに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は以下の図面を参照してより充分に理解されるが、これらの図面は例示目的のみのためのものである。
【図1】図1は、本発明に従った光学顕微鏡の第一(I2M)の実施の形態の略図である。
【図2】図2は、本発明の第二(I3M)の実施の形態及び第三(I5M)の実施の形態に一般に使用される光学顕微鏡の略図である。
【図3】図3は、光学顕微鏡のI3M形態の略図である。
【図4】図4は、照明及び検出光のために共用ビーム分割光学系が使用される光学顕微鏡のI5M形態の略図である。
【図5】図5は、照明及び検出光のために別々のビーム分割光学系が使用される光学顕微鏡のI5M形態の略図である。
【図6】図6は、照明源及び画像検出器に隣接して含まれる追加のビームスプリッタを有する光学顕微鏡のI5M形態の略図である。
【図7】図7は、従来の広視野光学セクショニング顕微鏡法を通して得られるインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をグラフで表した図であり、このグラフはkYkZ平面、即ちkY及びkZ軸が張られたフーリエ空間の平面で表されており、各軸は実際の空間のY及びZ軸にそれぞれ対応する。
【図8】図8は、本発明のI2M形態を通して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図9】図9は、本発明のI3M形態及びI5M形態に使用される照明光強度の空間周波数成分の支持領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図10】図10は、本発明のI3M形態を通して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図11】図11は、本発明のI5M形態を通して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図12】図12は、標本からの放射光線のフーリエ空間における空間周波数成分若しくはコヒーレント伝達関数をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図13】図13は、図12に表されたコヒーレント伝達関数の自己相関関数又はインコヒーレント伝達関数をkYkZ平面にグラフで表した図である。
【図14】図14は、受光角αを有する通常の対物レンズの簡略図である。
【図15】図15は、図14の通常の対物レンズによって得られた、図12に表されたコヒーレント伝達関数の部分をグラフで表した図である。
【図16】図16は、図13に表されたインコヒーレント伝達関数の、図14の通常の対物レンズによって得られた部分をグラフで表した図である。
【図17】図17は、本発明に従った、受光角αをそれぞれ有する対向する2つの対物レンズの簡略図である。
【図18】図18は、図12に表されたコヒーレント伝達関数の図17のデュアル対物レンズ配列によって得られた部分をグラフで表した図である。
【図19】図19は、図13に表されたインコヒーレント伝達関数の、図17のデュアル対物レンズ配列によって得られた部分をグラフで表した図である。
【図20】図20は、単一の対物レンズを用いた従来の顕微鏡法システムで一般に使用される照明配列の簡略図であり、光源の単一ポイントからの光を表している。
【図21】図21は、本発明のI3M形態及びI5M形態に使用される照明配列の簡略図であり、光源の単一ポイントからの光がビーム分割手段によって2つのビームに分割された後、両方向から標本を照らしているところが表されている。
【図22】図22は、図21の点光源照明配置からの照明若しくは励起光振幅に対応するkYkZ平面からおよそ見たフーリエ空間表示をグラフで表した図である。
【図23】図23は、図21の点光源照明状態における照明光の強度に対応する、図22のフーリエ空間表示の自己相関関数をグラフで表した図である。
【図24】図24は、図22で表された領域(ポイントペア)の和集合、即ち照明源の全てのポイントをグラフで表した図である。
【図25】図25は、図23で表された領域(ポイントトリプレット)の和集合、即ち照明源の全てのポイントをグラフで表した図である。
【図26】図26は、本発明のI2M形態の平面図である。
【図27】図27は、図26に表されたI2M形態のよりコンパクトなバージョンの平面図である。
【図28】図28は、本発明のI3M形態の平面図である。
【図29】図29は、本発明のI5M形態の平面図である。
【図30】図30は、2つの画像記録装置が使用される、本発明のI5M形態の平面図である。
【図31】図31は、同じ画像検出器の異なる部分が使用される、本発明のI5M形態の平面図である。
【図32】図32は、エピ照明のために設けられた標準の倒立顕微鏡に組み込まれた本発明の簡略図である。
【図33】図33は、エピ−及び透過−照明の両方のために備えつけられる標準の倒立顕微鏡の簡略図である。
【図34】図34は、本発明のI2M形態を使用するための方法の一般的ステップを表す流図である。
【図35】図35は、本発明のI3M形態を使用するための方法の一般的ステップを表す流図である。
【図36】図36は、本発明のI5M形態を使用するための方法の一般的ステップを表す流図である。
【図37】図37は、フーリエ空間における光の2つのコヒーレントビームの振幅をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図38】図38は、図37に表されたフーリエ空間振幅の自己相関関数を、一般にkYkZ平面にあらわしたグラフを表す図である。
【図39】図39は、従来の単一レンズ顕微鏡を通して観察して得られたフーリエ空間における直接観察可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図40】図40は、本発明のデュアル対向対物レンズ配置を通して観察して得られたフーリエ空間における直接観察可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図41】図41は、4ビーム定在波顕微鏡法技術のためのフーリエ空間における光振幅分布をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図42】図42は、図41に表された関数の自己相関関数から得られた結果的な強度フィールドをグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図43】図43は、2つの照明点光源が開口部内で互いに対称に対向して配置されたときに生じる、4ビーム定在波顕微鏡法技術のためのフーリエ空間における光振幅分布をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図44】図44は、図43に表された関数の自己相関関数から生じた結果的な強度フィールドをグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図45】図45は、開口部のエッジ上の正反対の対向ポイントに配置された2つの相互コヒーレント光源のための照明振幅のためのサポート領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図46】図46は、図45に表された関数に対応する照明強度のためのサポート領域を表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図47】図47は、図45及び図46によって記載された照明配列のための、4ビーム定在波顕微鏡法技術を用いて得られたフーリエ空間の直接換算可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図48】図48は、1方の光源が開口部の中央に配置され、もう一方の光源が開口部のエッジに配置される、2つの相互コヒーレント光源の照明振幅のためのサポート領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図49】図49は、図48に表された関数に対応する照明強度のためのサポート領域を表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【図50】図50は、図48及び図49によって記載された照明配列のための、4ビーム定在波顕微鏡法技術を用いて得られたフーリエ空間の直接換算可能領域及び置き換えられた領域をグラフで表した図であり、一般にkYkZ平面に表されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図を更に詳細に参照すると、本発明を含む方法並びに装置、及び本発明の背後にある論理が例示のために図1〜図50に一般的に表されている。本明細書中に開示された基本的な概念から逸脱しなければ、本発明の装置はその構成及び部品の詳細について異なってもよく、本発明の方法はそのステップ及びそのシーケンスについて変化してもよい。
【0029】
図1を参照すると、本発明の第一の実施の形態、即ちI2M形態に従った顕微鏡装置の簡略図が概ね表されている。第一対物レンズ12及び第二対物レンズ14が標本16の周りに取り付けられ、対物レンズ12及び14の焦点は対向方向から標本16の1つの同じセクション又は平面に合わせられている。標本16は好ましくは薄く、2つのカバーガラスの間に挟まれている。第一及び第二対物レンズ12、14から観察された光若しくは画像は、複数のミラー18によってそれぞれパス24及び26に沿って反射され、ビーム分割及び再結合手段、好ましくはビームスプリッタ/再結合器20に向けられる。対物レンズ12、14から観察された光又は画像はミラー18及びビームスプリッタ/再結合器20によって画像検出手段22上に入射され、画像が記録される。好ましくは画像検出手段22はCCDカメラ又はそのようなものである。2つの光路24、26の光学長は、放射光線のコヒーレンス長より短い分だけ異なるように調節される。光路長の調節は以下により詳細に述べられる適切な手段(図示されていない)によって実行される。光路長24及び26が調節されると、第一及び第二対物レンズ12及び14から観察された光若しくは画像は、画像検出手段22上で干渉する。一般に、照明手段(図示されていない)からの照明光はビームスプリッタ(ダイクロイックであってもなくてもよく、またミラー18a又は18dのうちの1つとして機能してもしなくてもよい)を用いて対物レンズ12又は14のどちらかを通って標本に向けられる。干渉する観察光からの画像は画像検出手段22によって記録され、この画像検出手段22にインターフェースするデータ処理手段(図示されていない)によって格納される。
【0030】
顕微鏡装置10の操作は、標準の光学セクショニング顕微鏡法とほぼ同じように進められる。標本16のセクションの観察光又は画像が画像検出手段によって記録されたあと、対物レンズ12及び14は標本位置合わせ手段(図示されていない)を用いて新しいセクションに対応する他の画像を得るために、標本16内の他のセクション又は平面上に焦点合わせされる。標本の一連の画像は異なる焦平面で得られ、この一連の画像から標本16の所望の部分のための画像のデータセットが形成される。光学セクショニング顕微鏡法においてと同様、各画像は、第一及び第二対物レンズ12及び14の焦点が合わせられるセクション又は焦平面からの標本16から焦点の合った情報、及び焦平面の外側の標本16のセクションから焦点外の、即ちぶれた情報を含む。全データセットは演算処理され(我々が制限なく逆畳み込みと一般に称するプロセス)、点光源により生じたぶれの先に測定されたある標本を用いて、焦点外のぶれを取り除く。画像検出手段22は好ましくはマイクロプロセッサ又は他のデータ処理手段(図示されていない)にインターフェースされており、標本16からのデータセットの計算形逆畳み込みを簡易化する。
【0031】
単一の対物レンズを用いた標準顕微鏡で行われるのと本質的に同じ物理的プロセスを行うことにより、強化されたZ方向の分解能が得られる。標準の単一対物顕微鏡における分解能は、異なる方向に放射された光線同士の間の干渉により生じたものとみなされることができる。これは開口部がより大きい、即ちより広範囲の角度で光を受け取る対物レンズはより大きな分解能を有するというよく知られている事実に繋がる。本発明は、2つの対向する対物レンズを用いて”後方”及び”前方”方向に放射される光を含むようにこのプロセスを拡張する。
【0032】
顕微鏡装置10のためにミラー18の幾つかの配列が使用されてもよく、図1に図示されたミラー配列は好適な配列のうち最もシンプルなものである。ミラー18の幾つかの配列は図1に表された本発明には役に立たないことに注意されたい。なぜなら対物レンズ12、14のうち一方からの画像は他方のレンズからの画像に対して反転されるからである。
【0033】
図1に図示された本発明のI2M形態は、一般に蛍光顕微鏡法に適用可能である。しかし、当業者には、この実施の形態は明視野、暗視野、位相差、及び他のモードの光学顕微鏡法にも適用可能であることが明らかであろう。従って、本発明は、蛍光顕微鏡法若しくはリン光顕微鏡法に使用されるとき、本明細書中における対物レンズからの"観察光"という用語は標本から放出される光を一般に指し、用語"照明光"は励起光を一般に指す。非照明タイプの顕微鏡法が使用される場合、"観察光"は標本によって反射された光又は標本を透過した光を一般に指す。
【0034】
図2を参照すると、顕微鏡装置28の簡略図が表されており、これは本発明の第二の実施の形態、即ちI3M形態及び第三の実施の形態、即ちI5M形態に使用するのに適している。ここで同じ参照番号は同じパーツを示す。また図1を参照すると分かるように、I3M形態及びI5M形態は概ねI2M形態に使用されるのと同じ装置を使用し、主な違いは、一般に1つ以上のレンズ若しくはミラーを含み、レンズ32で図示された照明焦点合わせ手段によって(好ましくは空間インコヒーレント光源30からの)照明光が、I2M形態のように標本16に主に方向付けられるのではなく、主にビームスプリッタ/再結合器20に方向付けられることである。図2に表されたような本発明のI3M形態及びI5M形態は主に蛍光顕微鏡法に使用するために考慮されるが、他のモードの顕微鏡法にも使用できる。従って、I3M形態及びI5M形態において用語"照明光"は一般に励起光を指し、用語"観察光"は標本から放射された光線を一般に指す。
【0035】
図2の装置28における照明光は、ビームスプリッタ/再結合器20によって2つのビームに分割され、ミラー18によってパス24及び26にそれぞれ沿って第一及び第二対物レンズ12及び14に方向付けられる。照明光は対物レンズ12及び14によって標本16のセクション又は平面上に焦点を合わされて入射される。I2M形態において、2つの光路24及び26の光学長は、適切な手段(図示されていない)によってほぼ等しく調節される。光路長22及び24を調節することによって照明光は標本16の焦平面内に干渉する。従って、本発明のI3M形態及びI5M形態において、照明光は、I2M形態のように検出手段上で観察光が干渉するのではなく、照明光が標本16のセクションの焦平面に干渉する。しかし、3つの全ての実施の形態は、図1及び図2と比べて分かるように本質的に同じ装置を使用する。
【0036】
ここで図3及び図4を参照すると(それぞれ本発明のI3M形態及びI5M形態を表す)、I3M形態を含む装置とI5M形態を含む装置との間の主な違いは画像検出手段22の位置であることが分かる。画像検出手段22上に画像を焦点を合わせるために焦点合わせ手段(図示されていない)、一般的にレンズである、が使用されてもよい。図3を特に参照すると、本発明のI3M形態に従った装置34が概ね表されており、この中では画像検出手段22は第一対物レンズ12のみからの観察光を記録する。第一対物レンズ12からの観察光は、ここではビームスプリッタ36で表されている選択反射及び透過手段(ダイクロイックであってもよい)を介して画像検出手段22に達し、この選択反射及び透過手段は第一対物レンズ12から観察された若しくは放射された光線を選択的に画像検出手段22に透過する一方、画像検出手段22から離れた照明又は励起光を選択的に反射する。ビームスプリッタ36はI2M形態及びI5M形態におけるミラー18aと同じ位置を一般に占めるか、又は別々の構成要素であってもよい。
【0037】
特に図4を参照すると、本発明のI5M形態に従った装置38が一般に表されており、ここでは画像検出手段22が第一及び第二対物レンズ12及び14の両方からの観察光を記録するためにビームスプリッタ/再結合器20に隣接して配置される。必要であれば、レンズ等の焦点合わせ手段(図示されていない)もまた、ビームスプリッタ/再結合器20と画像検出手段22との間に含まれてもよい。本発明のI5M形態はI2M形態と同様に画像検出手段22上で干渉する画像を記録し、I3M形態と同様に第一及び第二対物レンズからの照明光を標本16内で干渉させるので、これらの2つの実施の形態の単なる組合せである。照明光を標本16のセクションの焦平面内に入射させて干渉させる同じ光路長調整により、観測光を画像検出手段22上に入射させて干渉させ、これによって、多くの場合、同じ装置は光源30を単に移動させることによってI2M形態及びI3M形態の両方に使用されることができる。
【0038】
幾つかのミラー及びビームスプリッタ/再結合器配列が本発明の各実施の形態に考えられるが、I5M形態の可能な構成がおそらく一番多いであろう。図4に表されたように、装置38は単一のビームスプリッタ/再結合器20を有し、このビームスプリッタ/再結合器20は照明光を分割し、及び画像検出手段22に検出させるために観察光を再結合する。図5に図示された装置40は、別々のビームスプリッタ/再結合器42、44を使用し、これらはそれぞれ照明光を分割し、観察光を再結合して、図4の装置38によって得られるビーム分割及び再結合効果と同じ効果を達成する。図5の別々のビームスプリッタ42、44を使用するためには追加のミラー18e、18f及びダイクロイックミラー46、48が必要である。図6に表された装置50はI5M形態に従った別々のビームスプリッタ/再結合器42、44の他の可能な配列であり、追加のミラーやダイクロイックミラーを必要としない。図4〜図6に表された配列のそれぞれの可能な利点を以下に記載する。
【0039】
図2〜図6に図示された本発明のI3M形態及びI5M形態に従った顕微鏡装置の操作は、上記のI2M形態と同じ方法で進行する。標本16のセクションの観察光若しくは画像が画像検出手段22によって記録された後、対物レンズ12、14の焦点は、新しいセクションに対応する他の画像を得るために、標本位置合わせ手段(図示されていない)を用いて標本を移動することによって標本16内の他のセクション若しくは表面に合わせられる。異なる焦平面で標本の一連の画像が得られ、標本16の所望の部分の画像のデータセットが形成される。全データセットは数学的に逆畳み込みされて、Z方向の分解能が強化された3次元標本情報が得られる。
【0040】
本発明を更に充分に理解するために、図7〜図25を参照する。これらの図面は本発明の根底にある倫理及び本発明により達成される強化されたZ方向分解能のための物理的ベースに一般に関する。図7〜図25には様々な3次元関数をフーリエ空間のkY及びkZ平面に一般にグラフで表しである。
【0041】
上記に関連して、現在使用されている光学セクショニング顕微鏡法における再生プロセスは、点光源からのぶれを記述する基準データセットを使用する。この基準ぶれは顕微鏡の”点像分布関数”として一般に知られており、その光学特性を特徴付ける。点像分布関数のフーリエ変換は、光伝達関数(optical transfer funtion)即ちOTFとして一般に知られており、標本情報の異なる空間周波数成分がどの程度データに現れるかを記述する。以下に概略で説明する理由のために、光学画像形成システムの光伝達関数は"サポート領域"と一般に呼ばれるある有限領域以外においてはどこでもゼロである。従って、サポート領域内にある標本のこれらの空間周波数のみが標本データに影響し、他の空間周波数についてのデータセットには情報は含まれない。標本についての更なる情報が入手可能であれば数学的再生はより正確になされることができるので、顕微鏡の光伝達関数のサポート領域をできるだけ大きくさせることが有利である。3次元光学顕微鏡の光伝達関数のサポート領域の大きさ及び形は、対物レンズが光を受け取ることができる角度によって決定される。本発明のI2M形態は光が収束される立体角を広げることによって分解能を増大させる。
【0042】
図7は、従来の光学セクショニング顕微鏡法を介して得られたインコヒーレント光伝達関数のサポート領域をYZ平面にグラフで表したものである。従来の顕微鏡法で得られたZ方向の分解能は一般に等式、 Zres = [1−Cos(α)]/λで表される。ここでαは対物レンズが光を収束できる角度であり、λは観察光又は放射光線の標本媒体における波長である。これとは対照的に、図8は本発明のI2M形態で得られたインコヒーレント光伝達関数の対応するサポート領域であり、Z方向の分解能は等式、 Zres = 2/λで表される。ここでλは観察光又は放射光線の標本媒体における波長である。どちらのグラフもkZ軸の周りに回転対照的な3次元オブジェクトを表す。すぐに分かるように、本発明は従来の光学セクショニング顕微鏡法の状態よりもはるかに増大されたZ方向の分解能を提供する。
【0043】
本発明のI3M形態及びI5M形態の照明方法特性を導入すると、図9に表された関数を用いて図7及び図8に表された光伝達関数を畳み込みすることによって変える。図9は、本発明のI3M形態及びI5M形態に一般に使用される照明光若しくは励起光の空間周波数要素のためのサポート領域をだいたい表す。従って、I3M形態の光伝達関数は、図7及び図9に表された関数の畳み込みによって得られ、これは図10に一般に表されたサポート領域となる。従ってI3M形態は以下の等式で記載されるZ方向の分解能を提供する。
Zres = 2/λexcitation+[1−Cos(α)]/λemission
同様に、I5M形態の光伝達関数のサポート領域(図11に図示)は図8及び図9に表された関数の畳み込みによって得られる。I5M形態の光伝達関数のサポート領域は以下の等式で表される。
Zres = 2/λexcitation+2/λemission
I5M形態の光伝達関数はI2M形態で得られるZ分解能を2倍以上にするだけでなく、図8及び図10に表されたI2M形態の光伝達関数のサポート領域における"ギャップ"を埋める。
【0044】
以下のセクションでは、図12〜図25に対応して、図7〜図12におけるオブジェクトの形状の背後にある物理的理由をより詳細に記載する。蛍光顕微鏡法標本によって放射されたような準単色光視野は単一波長λemissionを有効に有し、従ってその空間周波数要素の全てはフーリエ空間の薄いシェル(半径R=1/λ)に制限される(図12にグラフで表されている)。このフィールド振幅は、図12における同じ薄いシェル内に入る標本放射振幅(及び位相)のこれらの空間周波数要素についてのみの情報を含む。このシェルは標本放射光線と電界との間のコヒーレント伝達関数とみなされることができる。しかし、インコヒーレント放射光線(例えば蛍光)標本の場合、明視野の平均強度は発光強度についての情報を含み、コヒーレント伝達関数の自己相関関数によって、関連する”インコヒーレント”伝達関数を得ることができる。図12に表されたシェルの自己相関関数は、図13に表されたように半径R=2/λの球形内において非ゼロである。
【0045】
しかし、図14に表されたように、通常の対物レンズ52は標本からの光54にはその光軸のある角度α内でしかアクセスできない。その効果は、図12に表されたコヒーレント伝達関数を切捨てて図15に表された角度αの半分の錐内に含まれる球体キャップ型関数にする。対応するインコヒーレント伝達関数(図15の球体キャップ型関数の自己相関関数)は図16に表されている。従ってインコヒーレント伝達関数は図16のフーリエ空間のドーナツ型領域内においてのみ非ゼロであり、この領域の外側からは標本についての情報は得られない。このドーナツ型領域は使用されるレンズの光学品質にかかわらず、顕微鏡の基本的な分解能の限界を表す。これが3次元光学顕微鏡法の主な限界であるということは、実験結果に対する論理的予測の類似点により明らかである。本発明のI2M形態を用いた顕微鏡法において、図17に表されたように、2つの対物レンズ52及び56は角度αの半分の2つの錐内の光がアクセスされることができるように存在する。これによって2つの球体キャップからなるコヒーレント伝達関数が提供される(図18に図示)。対応するインコヒーレント伝達関数(図18に表された関数の自己相関関数)は図19に表されている。図16に比べて図19の非常に大きな(kZ方向の)幅は、本発明で得られる増大されたZ分解能に直接関連する。図7〜図19に表されたグラフは、67°の角度αで表されており、これは現在入手可能な最も高分解能対物レンズに相当する。このようなレンズでは、I2M形態は従来技術よりもほぼ3.2ファクタだけZ方向の分解能を向上させるであろう。
【0046】
図16及び図19に表された領域の外の情報にアクセスするためのI3M形態及びI5M形態の能力は、一方で光放射の空間的構造と、他方で標本自体の空間的構造との間の区別という点で理解することができる。本発明のI2M形態の上記の記述は、標本から観察された又は放射された光の周りにアクセスできる情報に関連し、これを以下E(r)と称することとする。しかし、より興味深いことは、標本それ自体、更に詳細には蛍光顕微鏡法においては、蛍光分子群(蛍光物質)の分布F(r)である。E(r)はF(r)と以下のような関係がある。
E(r)=F(r)I(r)
ここでI(r)は局所照明強度、即ちパターンである。広視野顕微鏡法において一般的にそうであるように、照明が均一であればI(r)は一定であり、E(r)及びF(r)はあまり関係のない一定スケールファクタを除いて同じである。従って、I2M形態の上記に関連するEの制限は、Eと全く同じようにFにも適用される。
【0047】
本発明のI3M形態及びI5M形態の場合と同じように、照明が均一でなければ、状況は異なる。等式E(r)=F(r)I(r)の実空間の積は、フーリエ空間の畳み込みに対応する。I(r)が原点の外側のフーリエ成分を有する場合(これはI(r)が均一でないときに起こる)、この畳み込み操作は標本情報をフーリエ空間の新しい位置に"移動"させる。特に、これはいくつかの情報を通常の観察不可能領域からEの観察可能領域に移動させる。これは本発明のI3M形態及びI5M形態の分解能強化のための物理的ベースの本質である。しかし、上記に関連して、全ての3つの実施の形態は本質的に同じ装置を使用し、Z方向の分解能強化のための物理的ベースが異なるだけである。
【0048】
セクションからセクションにデータ獲得が進行するときに非均一照明パターンが標本に対して固定されたままである場合、標本の蛍光情報F(r)を照明パターンI(r)から見分けることはできない。言い換えれば、照明パターンは標本の一部のように見えるであろう。これにより、獲得されたデータは図7に表されたようなフーリエ空間の通常の(小さい)観察可能領域に制限されたままとなるが、標本の他の領域に属していた情報は前記獲得データに混合される。この混合データは分離することが一般に困難である。一方、照明パターンが焦平面に関して固定されたままであれば、これは”点像分布関数の一部に見える”であろう。
【0049】
この場合、獲得データはフーリエ空間のその正しい位置に留まり、代わりに光伝達関数自体が拡張される。後者(明らかに好適な状態である)は本明細書中に記載された本発明の場合である。
【0050】
アポダイゼーションによって、例えば対物レンズの後側焦平面に共役する平面において、画像形成ビーム、照明ビーム、又はその両方にマスクを導入することによって、光伝達関数の異なる部分の相対強度を変えることが可能である。照明光、画像形成光、又はその両方を単一の偏向状態に制限するために、要素の偏向が使用されてもよい。両ケースにおいて、これらの状態は同じであっっても異なっていてもよい。
【0051】
干渉顕微鏡法は、高い時間的及び空間的コヒーレンスを有する光源を一般に使用し、及びレーザの使用を一般に要する。”インコヒーレント”光との干渉をどうやって達成するかと質問されるかもしれない。これを分析する標準的な方法は、インコヒーレント光源の個々の点光源について考察すること含む。熱成長光バルブフィラメント等の空間的”インコヒーレント”光源において、異なるポイントからの放射光線はランダムに変化する相対位相を有する、即ちこれらの光線は相互にインコーヒレントである。しかし点光源はそれ自体に対して異なる位相を有することができないので、各点光源自体はコヒーレント光源と考えられることができる。従って全光源の全効果は、第一に各個々の点光源自体を考慮し、次にそのポイントのみによって生じた光の強度を計算し(各ポイントはコヒーレントであるのでボナファイデ(bona fide)干渉パターンを提供する)、これに続いてすべてのこれらの強度を加える。多くの場合、例えば標準の卓上ランプを用いる場合、様々な干渉パターンは互いに消去し合い、付加しあって円滑な強度分布になる。しかし、本発明に使用される特定の幾何学は、全ての点光源の干渉パターンが焦平面でピークを有し、従ってこれらの合計、即ち全体の強度分布もまたこのようなピークを有するように設計される。
【0052】
図20を参照すると、標準の顕微鏡法に一般に使用される照明配列はケーラー照明と呼ばれ、照明源60の各点光源58からの光はレンズ66によって標本空間及び標本平面64内で平行ビーム62に焦点合わせされ、その角度βは点光源毎に異なる。しかし、本発明のI3M形態及びI5M形態において、各点光源からの光はビームスプリッタによって分割され、図21に表されたように代わりに標本内の2つのビームに対応する。フーリエ空間でこれは図22にグラフで表されたように半径1/λexcitationの球体状の2つのポイントに対応する。(特に考察される特定の点光源からの)結果的な強度は、図23の3つのポイントによって表されているようなこれらの2つのポイントの自己相関関数であり、これは実空間においてZ軸に位置合わせされた正弦干渉パターンに対応する。標本における全光強度は、光源の全てのポイントからの強度寄与の合計である。対物レンズによって透過されることができる可能な光ビームのセットは、図24に表された2重空間キャップによってフーリエ空間に記載される。これは図18に表されたものと概ね同じであるが、図18の半径1/λemissionの代わりに図24は半径1/λexcitationを表している。光源上の各ポイントは、ある特定の角度βに上昇し(図21及び図22に表される)、従って特定の値ΔkZになり、これは=2Cos(β)/λexcitationで表される。開口照明を全開にして、全てのこのような光線、及び全てのこのような値βは、光源上のあるポイントによって生成される。従って、βは−α〜αまでの全ての値を帯び、よって、ΔkZはΔkZmin=2Cos(α)/λexcitationからΔkZmax=2/λexcitationまでの全ての値を帯びる。従って全照明強度、即ち光源上の全てのポイントからの全ての寄与の合計は、ΔkZminからΔkZmaxの間のΔk全ての値のための図23の領域の和集合によってフーリエ空間に表される。この結果の領域は図25に表されている。この領域は、図9と比較すれば分かるが、標本における全照明光のフーリエ変換のサポート領域である。この領域は図19のkZ軸の外を全て切り捨てたバージョンであると考えられる。
【0053】
例示のみのためであって限定的なものではないが、図26〜図29は本発明の可能な実施の形態を表している。図26を参照すると、本発明のI2M形態で使用するための装置68の略図が表されている。装置68の全ての構成要素はプラットフォーム又はハウジング(図示されていない)のような支持手段に取り付けられており、該手段は好ましくは防振されている。第一及び第二対物レンズ70、72は、並進調節手段を含んでもよいが、一般に第二対物レンズ72のみが並進調節手段(ここでは並進ステージ74として表されている)に取り付けられており、この手段はX、Y、Z方向に傾斜した作動スクリュー76によってXYZ方向に調整されることができる。第二対物レンズ72は傾斜可能取り付け台78等の角度調節手段によって並進ステージ74に取り付けられており、該ステージ74は調節スクリュー80等の作動手段を含む。対物レンズ70は好ましくは支持手段82に直接取り付けられている。対物レンズ70及び72は一般に、干渉が起こるような位置及び角度に注意深く位置合わせされなければならない。このような精密な調節は、並進ステージ74の位置を支持手段上で調節することによって行われる。照明手段からの照明光、例えばフィルターされた水銀アークランプ(図示されていない)等からの光は、光学ファイバ84を通して方向付けられ、照明焦点合わせ手段(レンズ86、88、90で表されている)を通して焦点合わせされ且つビームスプリッタ92上に方向付けられる。光学ファイバ84は好ましくは広いコア(1mm)を有し、空間的インコヒーレント光源として機能する。ビームスプリッタ92は第一対物レンズ70を通して照明光を標本94上に反射する。標本94は支持体96によって並進調節手段に取り付けられており(ここでは並進ステージ98として表されている)、この調節手段はスクリュー100によって並進移動させられる。観察された光、又は蛍光顕微鏡法の場合は標本からの放射光線は、第一及び第二対物レンズ70、72から現れて、ビームスプリッタ92及び光学第二ビームスプリッタ102によって選択的に透過される。前記ビームスプリッタ92、102はダイクロイックであってもよく、ここでは簡略化のためにダイクロイックミラー92、102と称すことにする。ダイクロイックミラー92によって透過された光は光路108に沿ってミラー104、106を横切り、ダイクロイックミラー102により透過された光は光路114に沿ってミラー110、112を横切る。光路108及び114に沿って方向付けられた光は、ビーム分割及び再結合手段、好ましくはビームスプリッタキューブ116によって単一ビーム118に方向付けられて結合される。ビームスプリッタキューブ116は好ましくは並進傾斜ステージ120に取り付けられており、このステージ120はスクリュー122によって移動される。ビーム118内の光はフィルタ124を通過して照明光を取り除き、最終的には焦点合わせ手段(ここでは色消しレンズ126で表されている)によって画像検出手段128(好ましくはCCDカメラか何か)上に焦点を合わせられる。レンズ126は好ましくはスクリュー132によって位置が調節される焦点合わせステージ130を含む。画像検出手段128は一般に処理手段(図示されていない)にインターフェースされ、ここで標本からのデータセットは計算形逆畳み込みのために格納される。位置合わせをするために、ビームは取り出し可能ミラー134によって接眼レンズ136及び/又は他の位置合わせ補助装置(図示されていない)に偏向されることができ、これらは正確に取り変え及び再配置ができるように運動台板(図示されていない)上に取り付けられている。光路108及び114の光路長の差は、並進ステージ138を”位相調整”して観察光及び照明光のコヒーレンス長内に微妙に調節されることができる。このステージ138にはミラー104、106が傾斜可能ミラーマウント140、142のような角度調節手段によって、スクリュー144等の作動手段と共に取り付けられている。並進ステージ138の位置はスクリュー146によって調節され、光路114に対して光路108を長くしたり短くしたりする。位相の微妙な調節は、ステージ138の正確な動作及びデータ獲得後のソフトウェアのオフラインによって行うことができる。
【0054】
画像検出手段128上の干渉パターンは、ピンホール開口フォトダイオード(図示されていない)を用いてモニターされることができる(この接眼レンズが表されている)。
【0055】
本発明に使用される全ての光学表面(ビームスプリッタ/再結合器キューブ116を含む)は、好ましくは高光学平面度、好ましくはλ/20又はそれ以上であり、異なる光線の相対位相を保持する。本発明によりZ方向の分解能が増大されるので、標本は従来の顕微鏡の現在の状態に比べてより正確に移動されなければならない。これは圧電アクチュエータ148を標本並進ステージ上に使用して行われ、このアクチュエータ148は実際の標本の位置を測定する容量センサ150からのフィードバック制御に応答する。第二対物レンズ72の位置及び/又は位相調節ステージ138を感知して修正するために、同様の位置センサ及びアクチュエータを使用することもできる。
【0056】
蛍光放射は相当広範囲の波長(〜50nm)に渡って一般に生じ、及び狭いフィルタで帯域を制限することは光が不要に切り捨てられるために望ましくないため、2つの光路長の等しさがこの帯域の全ての波長に当てはまる(トレランス内である)ように注意しなければならない。潜在的な問題は、光学物質の分散(波長への屈折率の依存性)である。従って、I2M形態が蛍光顕微鏡法に使用される場合、光が透過する全ての構成要素(即ちレンズ、ダイクロイックミラー、及び半分にわかれたビームスプリッタキューブの両方)が充分厳格なトレランス以内におさまるように2つのビーム即ち光路108、114において同じ光学的厚さを有するようにしなければならない。分散問題に対する他のアプローチは、必要であれば、効果的な厚さを変更するために傾けることができる、又はトータルの厚みが調節されることのできるように1つの補償板が屈折率整合流体によって隔てられた薄い2枚のプレートからなる、又は1つの補償板が単一の可変厚プレートを形成するように互いに擦れ違うことができる2つのエッジからなる補償板152、154、を含むことである。
【0057】
ここで図27を参照すると、本発明のI2M形態に一致した他の装置156が一般に表されており、ここで同じ参照番号は同じ部分を指す。装置156はややコンパクトであり、これは単に図26に表されたようなミラー104及び110をダイクロイックミラー158、160に置き換えてダイクロイックミラー158を通して照明光を直接標本94に当て、ダイクロイックミラー158がこの照明光又は励起光を透過して放射光線を反射することによって、コンパクトになる。装置156はよりコンパクトであるが、その対称性はやや劣る。それは、2つのダイクロイックミラー158、160は異なる角度で使用されるので、これら2つのミラーが同じであることはできず、同時に同じ位相及びそれぞれのビームに対する分光効果を有することもできない。
【0058】
図26及び図27で上記に記載されたI2M形態は、ファイバ光学系84からの照明光の位置と画像検出手段128及び焦点合わせレンズ126の位置とを単に置き換えることによってI3M形態に変えることができる。これは図28を参照すると非常に明らかである(同じ参照番号は同じパーツを示す)。従って、図28は、光学ファイバ84からの照明光若しくは励起光がビームスプリッタ/再結合器116によって分割されて、光路108、114に沿って第一及び第二対物レンズ70、72にそれぞれ方向付けられる装置162を表している。この対物レンズ70、72は、照明光を標本96の平面上に焦点を合わせる。上記に関連して、I3M形態は1つの対物レンズのみから観察された光を記録する。これは、ビームスプリッタ158(ダイクロイックでもよい)を画像検出手段128と第一対物レンズ70との間に配置して放射光線若しくは観察光がダイクロイックミラー158を通して画像検出手段128に透過されるようにすることによって実行される。或いは、装置162は本発明のI2M形態のための図26及び図27に表された装置とほぼ同じ装置であり、且つだいたい同じ様に操作され、これについて以下により明らかに記載する。
【0059】
図29を参照すると、本発明のI5M形態に一致する装置164が概して表されている。上記に関連して、I5M形態はI2M形態及びI3M形態を組み合わせたものであり、従って、I2M形態と同じように両対物レンズ70、72からの観察光若しくは放射光線を記録し、且つI3M形態と同じように両対物レンズ70、72から標本を照明する。これは図26〜図29を比較すれば簡単に明らかになる。図9の装置164において、光学ファイバ84からの照明光又は励起光はビームスプリッタ/再結合器116によって分割され、光路108、114に沿ってそれぞれ第一及び第二対物レンズ70、72に方向付けられ、ここで照明光は標本のセクション上に焦点を合わせられる。第一及び第二対物レンズ70、72によって収束された観察光若しくは放射光線は、それぞれ光路108、114を逆戻りしてビームスプリッタ/再結合器116によって結合され、画像検出手段128上に焦点合わせされる。従って、本発明のための一般的装置がI2M形態の操作のために位置合わせされると、次にI5M形態のために自動的に位置合わせされる。このときのたった1つの例外は、照明強度が焦平面で最大ではなく最少になるように2つの照明ビームの相対位相が理想的なものと反対であることである。この状態で装置164を使用することは可能であるが、信号対ノイズ比(SN比)を減少させる。この問題は、ビームスプリッタでの反射と同時に位相シフトが起こることによって生じる。これはエネルギー保存の法則により避けられない。しかし、この問題を回避する幾つかの方法がある。例えば、図5に一般に表されているように照明光のために別々のビーム分割ループを使用することができる。又は、図6に一般に表されたように放射光線が検出される同じ側からビームスプリッタキューブ上に照明光を入射させることができる。このアプローチもまた追加のビームスプリッタ/再分割器(ダイクロイックでもよい)を要する。更に他のアプローチは、照明光若しくは励起光と観察光若しくは放射光線との間の波長の差を利用して、色相補償板152、154を僅かにオフセットすることによってこれらの光の間の補償位相差を生成することである。しかし、このようなオフセットを行うと、代わりに励起光及び放射光帯域自体の中に幾らかの位相のばらつきが生じる。本発明のI5M形態に使用される装置は、両方の位相状態でのデータを獲得できるように照明光をビームスプリッタキューブ116の片側を介して誘導させる。
【0060】
上記に関連して、図26〜図29に表された各実施の形態のための2つのビームパス108、114の位相は、概ね等しくなるように調節されなければならず、これは位相調節ステージ138を用いて実行される。必要な調節量を決定するための位相測定は、蛍光マイクロビーズ等のテスト標本を用いて簡単に行われる。しかし、本発明の商業的なアプリケーションのためのより実際的な方法は、ビームスプリッタから現れた放射光線の2つのビームの両方が検出されて記録されるデュアル検出を含み、これは図30及び図31に表されている。図30において、画像検出手段166はビームスプリッタ/再結合器168の片側からの光を記録する。この光は光路170に沿って画像検出手段166に方向付けられる。ビームスプリッタ/再結合器168の反対側からの光路172に沿った光はダイクロイックミラー174によって画像検出手段176に反射される。図31において、ビームスプリッタ/再結合器168から光路170に沿った光をミラー180によって画像検出手段178の一部分に方向付け、ビームスプリッタ/再結合器からの光路172に沿った光をダイクロイックミラー174及び切頭ミラー(truncated mirror)182によって画像検出手段178の他の部分に方向付けることによってだいたい同じ効果が得られる。レンズ184、186、188は光を光路170、172に焦点を合わせ、画像検出手段178上の検出器の部分を分離する。デュアル検出により、放射光線を更に効果的に用いた良い面の効果になる。ビームスプリッタ/再結合器168から放射される2つのビームは2つの入射ビームの異なる組み合わせを表し、これは180°の位相シフトにより異なる。図30に表されたような別々のカメラ166、176のどちらかの上、又は図31に表されたような同じカメラ178の異なる部分の上で両方のビームを検出することによって、及びフーリエ空間におけるこの2つのデータセットを比較することによって、放射光路及び照明光路の両方の位相角度を推論し、もし使用されるのであれば、位相調節ステージ190及び色相補償板(図示されていない)を調節することができる。これは自動的に容易に行うことができる。
【0061】
画像形成ビーム、照明ビーム、又はその両方の、異なる相対位相を有する複数のデータセットを得たい場合もある。特に、本発明のI3M形態又はI5M形態を用いる場合、1つのデータセットは焦平面において構造的干渉を有するように照明位相を調節して得られ、又第二データセットはその反対の照明位相で得られることができ、従ってここで照明強度は焦平面で最少値を有する。これらの2つのデータセットの間の差を用いて、干渉計情報成分は強調され、背景は抑えられる。
【0062】
本発明のI3M形態及びI5M形態はケーラー照明を用いて概略的に記載されたが、幾つかの他の照明配列がこれらの実施の形態に使用するのに適している。例えば、臨界照明はあらゆる中間配列と同様にケーラー照明と同様の結果を提供するであろう。
【0063】
本発明は、第一及び第二対物レンズがX、Y、Z方向において同じ位置に焦点が合わせられることを一般に要する。これは2つの3次元テストデータセット(高速なので実際のデータセットよりも小さいかもしれない)を取ることによって行うことができる。このとき1つのデータセットは第一対物レンズのみを用い(即ち第二レンズからのビームパスのシャッターを閉めることによって)、及びもう1つのデータセットは第二対物レンズのみを用いて(データの記録中にもう一方のレンズからのパスを同様にブロックして)行われる。次に簡単な相互相関処理によって焦点及び側方オフセット誤差を決定し、これらは対物レンズの一方をもう一方のレンズに相対的に移動することによって修正されることができる。この処理は自動的に行うことができ、デュアル検出があってもなくてもI2M形態及びI5M形態に適用することができる。
【0064】
図32及び図33を参照すると、図32の顕微鏡192等の本発明の商業的実施は、その前の図が示すものより、図33に略図で表された典型的な顕微鏡のように見えるかもしれない。例えば図32に表されたように、ビームスプリッタ/再結合器196、位相調整ステージ198、レンズ200、フィルタ202、及びミラー204と同様、他の構成要素(図示されていない)が、既存の商業用顕微鏡に類似した構造206に組み込まれることができる。このとき光源208及び画像検出手段210は使用される本発明の(1つ以上の)実施の形態のために適切に配置される。
【0065】
ここで図34、図35、及び図36を参照すると、本発明の各実施の形態を用いた方法に関するフローチャートが概ね示されている。図34を参照すると、本発明のI2M形態のためのフローチャートが全体的に表されている。ステップ212で、顕微鏡標本は第一及び第二の対向する対物レンズの間に配置される。上記に関連して、顕微鏡標本は、好ましくはガラスカバースライドの間に挟まれる。蛍光顕微鏡法では、標本は選択された蛍光プローブで適切にレベル付けされる。
【0066】
ステップ214で、2つの対向する対物レンズが標本内のセクション又は表面に焦点合わせされる。焦点合わせは、好ましくは並進ステージ等の精度並進手段上で一方又は両方の対物レンズ、又は標本を移動することによって行われる。
【0067】
ステップ216で、第一及び第二対物レンズによって観察された光又は画像は、画像を記録するために第一及び第二パスに沿ってCCDカメラ等の画像検出手段に向けられ、ここでこの2つのパスからの観察光は入射させられる。このステップは、一般に複数のミラーによって実行されるが、このミラーは光を第一及び第二パスに沿ってビームスプリッタ/再分割器に向け、このビームスプリッタ/再分割器はこの2つのパスからの光を再結合して画像検出手段に方向付ける。
【0068】
ステップ218で、第一及び第二パスの光路長は、この2つの光路長がコヒーレント長よりも短い分だけ異なる、好ましくは波長よりも非常に短い分だけ異なるように調節され、これによってステップ216で画像検出手段上に入射する観察光を画像検出手段上で干渉させる。光路長調節はミラーが取り付けられた並進ステージによって一般に実行される。ステップ218で干渉する観察光又は画像は、ステップ220で画像検出手段によって記録される。画像検出手段は、好ましくはマイクロプロセッサ等のデータ処理手段にインターフェースされ、記録画像を格納させる。
【0069】
ステップ222で、第一及び第二の対物レンズは標本の他のセクションに焦点合わせされる。このステップは、好ましくは標本を対物レンズに対して並進運動させたり、対物レンズを並進運動させたり、又は標本とレンズを並進運動させたりすることによって行われる。
【0070】
標本の各セクションが上記のように観察されて記録されるまで、ステップ224、ステップ220〜ステップ222まで、又は選択的にステップ218〜ステップ222までが繰り返される。標本の各セクションから記録された画像は標本全体のデータセットを形成し、このデータセットは画像検出手段にインターフェースしているマイクロプロセッサに格納される。
【0071】
ステップ226で、計算形逆畳み込みのための手段はステップ224のデータセットに適用されて、Z方向の分解能が強化された標本の3次元画像を生成する。本明細書中に使用される用語”逆畳み込み”は、再構成方法又はアルゴリズムのあらゆる形態を意味することを理解されたい。計算形逆畳み込みは、複数のフーリエ変換アルゴリズムを用いるソフトウェアを一般に含む。及び/又は画像データもまたより簡単な処理の後であって完全な計算形逆畳み込みの全てが終わる前、又は何も始められない前にディスプレイされてもよい。これを行う理由は、データをリアルタイムでディスプレイすることである。処理されていなくても、従来の広視野顕微鏡法よりも多くの情報を送る。
【0072】
ステップ212及びステップ214の間に、対物レンズの一方を介して標本に照明光が提供される追加のステップ(図示されていない)が含まれてもよい。上記のようなケーラー照明が好適な照明技術であるが、当技術に使用される他の照明方法が考慮されてもよい。
【0073】
観察された光の色相マッチングが実施される追加ステップ(図示されていない)もまたステップ220の前に含まれてもよい。色相マッチングは好ましくは色相補償板を用いて実行される。この補償板のうち一方は、組合せの光学的厚さを変えるように一方のウェッジが他方のウェッジを過ぎて並進移動することができる2つのウェッジを含む。
【0074】
更に、第一及び第二対物レンズから観察された光を画像検出手段上に焦点合わせする追加のステップ(図示されていない)がステップ220の前に更に追加されてもよい。この焦点合わせは、好ましくは1つ以上の並進運動可能レンズによって実施される。
【0075】
また、標本が第一及び第二の対物レンズの間に位置合わせされる追加のステップが、ステップ212及びステップ214の間に更に含まれてもよい。この位置合わせは、好ましくは(1つ以上の)着脱可能ミラーによって標本を観察する接眼レンズを用いて行われる。
【0076】
図35を参照すると、本発明のI3M形態の方法を含む一般的なステップに関するフローチャートが表されている。ステップ228で、顕微鏡標本は第一及び第二の対向する対物レンズの間に配置される。I2M形態について先に記載したように、顕微鏡標本は好ましくはガラスカバースライド間に挟まれる。I3M形態は主に蛍光顕微鏡法に使用するために考慮されているので、標本は好ましくは選択された蛍光プローブで適切にラベル付けされる。
【0077】
ステップ230で、励起光又は他の照明光は、第一及び第二の対物レンズを介して顕微鏡標本のセクション上に向けられ、その上で焦点合わせされる。このステップは、照明光をビームスプリッタ/再結合器に方向付け、このビームスプリッタ/再結合器はこの光を第一及び第二パスに分割し、複数のミラーでこれらの光を第一及び第二パスに沿ってそれぞれ第一及び第二の対物レンズに方向付けることによって、一般に行われる。一般に、拡張された、空間的インコヒーレント光源が照明光を提供するのに使用される。
【0078】
ステップ232で、第一対物レンズから放出された光はCCDカメラ等の画像検出手段に向けられる。一般に、ダイクロイックミラーがこのステップで使用されるが、このダイクロイックミラーは観察された光を透過して照明光を反射する、又はその逆である。
【0079】
ステップ234で、標本に方向付けられた照明光は標本のセクション内で干渉させられる。この干渉は、第一及び/又は第二パスの光路長を調節することによって行われる。一般に光路長の調節は、ミラーが取り付けられた並進ステージを移動することによって行われる。
【0080】
ステップ236で、画像検出手段に方向付けられた、観察光又は放射光線が記録される。本発明のI2M形態と同様に、画像検出手段は複数の画像を格納するために好ましくはマイクロプロセッサにインターフェースされる。
【0081】
ステップ238で、照明光又は励起光は標本の他のセクションに向けられ、そこで第一及び第二の対物レンズによって焦点合わせされる。
【0082】
ステップ240で、ステップ236〜ステップ238、又は選択的にステップ234〜ステップ236が、標本の各セクションの記録データを含むデータセットが得られて格納されるまで繰り返される。
【0083】
ステップ242で、計算形逆畳み込み手段がステップ240からのデータセットに加えられて、Z方向の分解能が強化された標本の3次元画像を提供する。I2M形態と同様、位相マッチングステップ及び位置合わせステップ、及び観察光が画像検出手段に焦点合わせされるステップが含まれてもよい。
【0084】
図36を参照すると、本発明のI5M形態の方法を構成する一般的なステップに関するフローチャートが表されている。ステップ244で、顕微鏡標本は第一及び第二の対物レンズの間に配置される。I2M形態及びI3M形態に関連して先に述べたように、顕微鏡標本は好ましくはガラスカバースライド間に挟まれる。
【0085】
I5M形態は主に蛍光顕微鏡用に考慮されているので、標本は好ましくは選択された蛍光プローブで適切にラベル付けされる。
【0086】
ステップ246で、励起光又は他の照明光は第一及び第二の対物レンズを介して顕微鏡標本のセクション上に方向付けられ、そこに焦点が合わせられる。このステップは、一般に照明光をビームスプリッタ/再結合器に方向付け、該ビームスプリッタ/再結合器によって光を第一及び第二パスに分割して複数のミラーでこの光を第一及び第二パスに沿ってそれぞれ第一及び第二対物レンズに方向付けることによって行われる。
【0087】
ステップ248で、標本により観察された又は放射光線は第一及び第二対物レンズから第一及び第二パスに沿ってCCDカメラ等の画像検出手段に方向付けられ、ここに第一及び/又は第二パスから観察された光は入射される。標本から観察された光を画像検出手段に方向付けるために、ステップ246で使用されたのと同じミラー及びビームスプリッタ/再結合器を用いてもよいし、図4〜図6で記載したように別々のビームスプリッタ及び追加のミラーを使用してもよい。
【0088】
ステップ250で、標本に向けられた照明光を標本のセクション内で干渉させる。この干渉は、第一及び第二パスの光路長を調節することによって一般になされる。一般に、光路長調節は(1つ以上の)ミラーが取り付けられた並進ステージを移動することによって行われる。
【0089】
ステップ252で、画像検出手段に向けられて入射された観察光若しくは放射光線は、この画像検出手段によって記録される。画像検出手段は好ましくは本発明の他の実施の形態と同様に、複数の画像が格納されるようにマイクロプロセッサにインターフェースされてもよい。
【0090】
ステップ254で、照明若しくは励起光は第一及び第二対物レンズによって標本の他のセクション上に向けられてそこで焦点合わせられる。
【0091】
ステップ256で、ステップ252〜ステップ254、又は選択的にステップ250〜ステップ254は、標本の各セクションの記録画像を構成するデータセットが得られて格納されるまで、繰り返される。画像ビーム、照明ビーム、又はその両方の、異なる相対位相を有する複数のデータセットを得たい場合もある。
【0092】
特に、本発明のI3M形態又はI5M形態を用いて、焦平面で構造的な干渉を有するように照明位相を調節して1つのデータセットを得ることができ、また照明強度が焦平面で最少値を有する逆の照明位相を有する第二データセットを得ることもできる。これらの異なる2つのデータの差を用いて、干渉計情報成分を強調して背景を抑えることができる。
【0093】
ステップ258で、計算形逆畳み込み手段をステップ258からのデータセットに適用してZ方向の分解能が強化された標本の3次元画像を提供する。他の実施の形態と同様に、位相マッチングステップ及び位置合わせステップと同時に、観察光を画像検出手段に焦点合わせするステップが含まれてもよい。
【0094】
図34〜図36を比較すると、I5M形態を構成する方法は、I2M形態及びI3M形態の両方からのステップを組み合わせたものであることが分かる。これは本発明の3つの実施の形態に使用される装置の類似性を反映する。
【0095】
ステップ226、242、及び258で適用された演算アルゴリズムは、外部制約の適用を含んでもよい。このような制約は一般に逆畳み込みアルゴリズムにおける空間的拘束制約、及び本発明を蛍光顕微鏡法に使用するときには放射強度及び蛍光濃度のポジティビティー(positivity)を含む。
【0096】
本発明の開示に関連するコンセプトは、現在達成されることのできるものよりも大きなレベルにまで横方向、即ちXY分解能を拡張するために既存の顕微鏡法技術と組み合わせて使用してもよい。例えば、本発明はSWFMへの”開口合成”アプローチを用いて既存技術の定在波蛍光顕微鏡法(以下SWFMと称す)の態様と組合せて用いてもよい。
【0097】
SWFM”において、先に述べたように標本を照明するために光の2つのコヒーレントビームが使用される。フーリエ空間において、これら2つのビームの振幅は図37に表されたように2つのポイントにおいてのみ非ゼロである。図37に表された2つのポイントの自己相関又は強度は図38と関連しており、図37では図38のアウトラインの引かれた領域内のどこにでも当てはまる3つのポイントがある。
【0098】
SWFMは一般にZ方向に位置合わせされた定在波を含む。先に記載されたような本発明は、原則としてSWFMで達成されることのできるZ方向の分解能の全てを既に組み込んでいる。しかし、定在波の方向がZ方向と平行でないSWFMを用いて横方向即ちXY分解能を増大させることは可能である。特定の定在波方向及びベクトルkst.waveを有する波長では、定在波の異なる位相で3つの画像スタックが得られる。又は、異なる位相で2つの画像スタックと定在波のない基準スタックを使用してもよい。同じ基準スタックを異なる定在波角度で使用して、得なくてはならない全スタック数を減少することができる。これらの画像スタック自体はそれぞれ光伝達関数のサポート領域即ち”直接観察可能領域”の外側にはフーリエ成分を含まないが、その中の情報は標本情報の3つの異なる領域(直接観察可能領域自体、及び+kst.wave及び−kst.waveによってそれぞれそこから移されたこの直接観察可能領域の2つのコピー)に関する。これらは図39及び図40に表されている。図39は通常の単一レンズ顕微鏡で観察したときの直接観察可能領域及び移動領域を一般に表しており、図40は本発明のI2M形態のデュアル対向対物レンズ配列を介して観察したときの直接観察可能領域及び移動領域を一般に表している。図39及び図40のブラック領域は直接観察可能領域の光伝達関数を表し、+kst.wave及び−kst.waveによってオフセットされた領域は影を付けて表されている。組合せたデータセットから、標本情報のこれらの3つの成分を分離してこれらをフーリエ空間のこれらの適切な位置に計算上移動させることが可能である。異なる波ベクトルkst.waveでこの操作を繰り返すことによって、フーリエ空間の異なるパートを連続的に埋めて大きな領域をカバーすることができる。このようにアクセスすることができるフーリエ空間の領域の範囲は、生成されることができる可能な波ベクトルkst.waveのセットを用いた直接観察可能領域の畳み込みによって決定される。
【0099】
対物レンズを通して送られることのできる光の波動ベクトルのセットは、図12〜図19で先に示したような出射する放射光線と全く同じように、光の波長及び対物レンズの許容角度(開口数)によって制限される。このように、単一対物レンズシステムの可能な定在波ベクトルのセットが図7に表されており、デュアル対物レンズシステムの可能な定在波ベクトルのセットが図8に表されている。
【0100】
この中でλは文脈上λexcitationを示すと理解される。同じレンズで両方のレーザビームを送ることができないデュアル対物レンズシステムの可能な定在波ベクトルのセットが図8の副ローブによって表されており、ここではλはλexcitationである。
【0101】
上記に関連した処理は、従来の単一レンズ検出を用いるか、又は本発明のI2M形態のデュアルレンズ検出を用いて行われることができるが、従来の単一レンズ検出を用いる場合は先のパラグラフにおける位相の"直接観察可能領域"は図7に概ね表された領域を指し、デュアルレンズ検出を用いる場合は同じ位相は図8に概ね表された領域を指す。上記の定在波開口合成処理を用いてアクセスすることができるフーリエ空間の対応領域は、単一レンズ及びデュアルレンズ構成の場合で図39及び図40にそれぞれ中の白いアウトラインによってグラフで表されている。図39にはkYkZ平面の近くにディスク型領域があることに注意されたい。これはkY軸に沿った斜線領域によってグラフで表されており、顕微鏡が同じ対物レンズを介して両方のレーザビームを送ることができない限り従来の形態で上記の定在波開口合成処理によりアクセスすることはできない。図40に表されたように、本発明はそのようなことができなくてもこの領域にアクセスする。
【0102】
本発明のI2M形態を組み合わせて用いることには更に2つの利点がある。第一に、フーリエ空間のアクセス可能領域を適度にカバーするために必要な画像スタックは少なくて済む(異なる定在波ベクトルkst.waveが少なくて済む)。第二に、図40のブラック領域が図39の対応する領域よりもkZ方向に長いことから分かるように、Z分解能が増大する。事実、図40のアクセス可能領域は半径1/λexcitation+1/λemissionの球面のほぼ全体であり、この球面はあらゆる遠視野光学手段によってアクセスすることができる全ての空間情報を表す。
【0103】
本発明のI5M形態の1つと同じように、全体をカバーするために必要な画像スタックが更に少なくて済むように、上記の定在波/開口合成処理において更に大きい伝達関数を有することができる。この技術(以下4−ビーム定在波顕微鏡法と称する)は、対物レンズの後側焦平面への平面共役において、セットアップにおいて拡張された光源のために、2つの相互コヒーレント点光源の入替えを含む、或いは図4〜図6及び図29に表されたI5M形態に使用されるものと同じである。これらの相互コヒーレント点光源は、例えば焦点合わせされたレーザビーム又は単一モードの光学ファイバ出力であって、これらの両方の場合単一レーザによって供給される。ビームスプリッタが在るので、標本における結果的な照明は4つのコヒーレント平面波からなる。これらの波は干渉してZ方向及び横(X Y)方向の両方の構造を有する強度フィールドを形成する。I3M形態及びI5M形態に関して先に述べたように、Z構造は標本の基準枠内に固定されているのでZ方向の光伝達関数を単純に延長させる。横方向の構造は、以下に説明するように、上記の開口合成処理が概して直接適用されることができるように光の強度の正弦波変調から全て成る。
【0104】
図41は4ビーム定在波顕微鏡法技術のためのフーリエ空間における光振幅分布をグラフで表している。この2つの点光源は、図41の右側の2つのドットで表されたようにそれぞれ”左側の”対物レンズを通して1つの各平面波を入射させる。ビームスプリッタがあるので、2つの点光源もまた図41の左側のドットで表わしたように右側の対物レンズを通してミラー画像ビームを入射させる。図42は図41の自己相関からの結果的な強度フィールドを表す。この強度フィールドは、図41に表された4つのポイントの間の可能な異なる12個のベクトル全て、及び原点のポイントの計13ポイントに相当する。この原点はあらゆるポイント自体の異なるベクトルと考えられる。図42に表された強度フィールドは複雑なように見えるかもしれないが、13ポイント全てはkZ軸上に存在する、又はkZ軸に平行な2つのライン上に対称に存在することに注意されたい。これは光の強度が、XY平面において均一である1つの成分と、横方向に正弦波変調された(且つ異なるZ構造を有する)1つの成分との合計であることを意味する。このため、先に述べたような情報分離及び開口合成処理を用いて処理することが尚可能である。しかし変調された成分及び中央情報成分のための光伝達関数がもはや同じではないので、変調は僅かである。
【0105】
非同一光伝達関数によるミラー修正さえ必要でない特別なケースがある。これは2つの点光源が完全に対称に配置された(横平面において互いに正反対に配置された)場合に生じる。この場合、図42のポイントの幾つかは一致し、図43及び図44によって表されたように3つの同じ列になる。これは同じ”中央”及び”変調”伝達関数を生成する。
【0106】
4ビーム定在波顕微鏡法技術のための有効な光伝達関数は、後側焦平面における2つの光源の特定の配置に依存する。図45〜図47及び図48〜図50は2つの例を表している。図45にグラフで表わされているのは、開口のエッジ上の正反対のポイントに配置された2つの相互コヒーレント光源のための照明振幅のためのサポート領域である。図46は図45に対応する照度のサポート領域であり、図47は結果的な光伝達関数を表す。中央伝達関数は黒で表されており、変調によって得られる標本情報の追加領域は影を付けた領域で表されている。図48は2つの相互コヒーレント光源の照明振幅のサポート領域を表しており、ここで1つの光源は開口部の中央に配置され、もう一方の光源は開口部のエッジに配置されている。図49は図45に対応する照度のサポート領域を表し、図50は結果的な光伝達関数を表す。中央伝達関数は黒で表され、変調によって入手できる標本情報の領域は影の部分で表されている。明らかに、図47及び/又は図50に対応するタイプの非常に少ないデータスタックのみが、フーリエ空間のアクセス可能領域の大半をカバーするのに必要とされる。
【0107】
先に述べた開口合成技術の全てにおいて、未知であろう様々な定在波の絶対位相を決定する必要があるかもしれない。これらの位相は図40に全体的に表されたような情報成分がオーバーラップする領域にある異なる情報成分を、ゼロ−位相”中央”成分から連続的に比較することによって推定される。
【0108】
4ビーム定在波顕微鏡法技術への代替法として、励起光パス、画像平面への平面共役においてマスクを使用して標本照明に横方向の構造を生成することができる。これにより、上記の方法のうち1つの方法に似たコヒーレント光源を必要としない開口合成方法を使用することが可能となるであろう。これは高額であり且つ使用可能な波長の選択が制限されているために限定される。
【0109】
本発明のI2M形態、I3M形態及びI5M形態のあらゆる組合せ、及び本明細書中に記載された横方向の分解能強化のための方法が、同じ標本に連続的に使用されることができる。従って、最終的な情報がコンピュータによって結合されて単一構造にされてもよい。例えば、I5M形態を用いた顕微鏡法から得たデータを本発明の上記の定在波応用から得たデータと組み合わせたい場合もあるだろう。
【0110】
従って、本発明は広視野顕微鏡法でこれまで得られたものより深度の大きい、即ちZ方向の分解能が大きい3次元光学顕微鏡法のための方法及び装置を提供することが分かるであろう。上の記述は多くの特定を含むが、これらは限定的なものではなく、本発明の好適な実施の形態の幾つかを単に例示したものである。従って、本発明の範囲は請求の範囲及びその法的同等物によって決定されるべきものとする。
【符号の説明】
【0111】
70 第一対物レンズ
72 第二対物レンズ
84 光学ファイバ
108 ビームパス
114 光路
126 レンズ
128 画像検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、光を生成するための光源手段(84)と、前記光源手段から前記標本までの光路(108,114)と、を含んでおり、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、前記画像形成手段は、前記標本の画像スタックを取得し、前記画像スタックには、標本情報の観察可能な移された領域が含まれ、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するための処理手段を含み、前記処理手段は、標本情報の成分を分離し、これらをフーリエ空間の適切な位置に移動させるように構成されている、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項2】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、光を生成するための光源手段(84)と、前記光源手段から前記標本までの光路(108,114)と、を含んでおり、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、前記画像形成手段は、前記標本の画像スタックを取得し、前記画像スタックには、標本情報の観察可能な移された領域が含まれ、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するためのデータ処理手段を含み、前記データ処理手段は、標本情報の成分を分離し、これらをフーリエ空間の適切な位置に移動させるように構成されている、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項3】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、光を生成するための光源手段(84)と、前記光源手段から前記標本までの光路(108,114)と、を含んでおり、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)複数の記録済み画像を格納するために前記画像形成手段にインターフェースされたマイクロプロセッサを含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項4】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するための処理手段を含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項5】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するためのデータ処理手段を含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項6】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するための計算再構成手段を含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項7】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)複数の記録済み画像を格納するために前記画像形成手段(128)にインターフェースされたマイクロプロセッサを含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項8】
前記光学的拡大手段に前記標本の焦点を合わせなおした画像を生成させるために前記標本に対する前記光学的拡大手段の焦点を合わせなおすための焦点合わせ手段(126)をさらに含み、
前記画像形成手段(128)は、多数の前記焦点を合わせなおした画像を検出・記録するように構成され、
前記処理手段は、前記標本の3次元再構成を得るために、前記画像形成手段からの前記多数の記録済み画像を処理するように構成されている請求項1又は4記載の装置。
【請求項9】
前記光学的拡大手段に前記標本の焦点を合わせなおした画像を生成させるために前記標本に対する前記光学的拡大手段の焦点を合わせなおすための焦点合わせ手段(126)をさらに含み、
前記画像形成手段(128)は、多数の前記焦点を合わせなおした画像を検出・記録するように構成され、
前記データ処理手段は、前記標本の3次元再構成を得るために、前記画像形成手段からの前記多数の記録済み画像を処理するように構成されている請求項2又は5記載の装置。
【請求項10】
前記空間的に構成された照明光の空間的構成を変更するための構成変更手段をさらに含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項11】
前記空間的に構成された照明光の空間的構成の位相を変更するための手段をさらに含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項12】
前記空間的に構成された照明光を与える手段は、前記光路に沿って配置された偏向手段をさらに含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは、少なくとも2つの互いにコヒーレントな光源から放射され、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光源は、前記光学的拡大手段の後側焦平面に配置される、請求項4〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項14】
前記空間的に構成された照明光は軸方向の構造を含み、前記軸方向の構造が前記横方向の構造と直交関係にある、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項15】
前記再構成は前記横方向の構造と直交関係にある強化された軸方向の分解能をさらに有する請求項1、2、4、5、又は6記載の装置。
【請求項16】
選択的に前記照明光を反射させながら観察光を透過させるように構成されたビームスプリッタ(168)を更に含む、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームの位相を調整するための位相調整ステージ(190)を更に含む、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項18】
前記光源手段は、空間的にインコヒーレントな光源を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の装置。
【請求項19】
前記マイクロプロセッサは、前記横方向の構造と直交関係にある強化された軸方向の分解能を提供するために、前記複数の記録済み画像に対してフーリエ変換アルゴリズムを用いる、請求項3又は7記載の装置。
【請求項20】
前記マイクロプロセッサは、前記標本の3次元再構成を得るために、前記複数の記録済み画像に対してフーリエ変換アルゴリズムを用いる、請求項3又は7記載の装置。
【請求項21】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録
するステップと、
(d)前記照明パターンを少なくとも1回変更し、その変更のたびに、前記変更された照明パターンで照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(e)前記画像を収集して標本情報の成分のデータセットにするステップと、
(f)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るための前記データセットを演算処理するステップであって、複数の標本情報の成分を分離するステップと、前記標本情報の成分にフーリエ空間内の新しい位置を採らせるステップと、前記標本情報の成分を再結合させるステップとを含む前記データセットを演算処理するステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項22】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録
するステップと、
(d)前記照明パターンの波位相を少なくとも1回変更するステップと、
(e)前記画像を収集して標本情報の成分のデータセットにするステップと、
(f)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るための前記データセットを演算処理するステップであって、複数の標本情報の成分を分離するステップと、前記標本情報の成分にフーリエ空間内の新しい位置を採らせるステップと、前記標本情報の成分を再結合させるステップとを含む前記データセットを演算処理するステップと、
(g)前記データセットに計算再構成手段を適用するステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項23】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録
するステップと、
(d)前記照明パターンを少なくとも1回変更し、その変更のたびに、前記変更された照明パターンで照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(e)前記画像を収集してデータセットにするステップと、
(f)フーリエ空間の標本情報の異なる領域に関する標本情報の成分を分離することによって、前記データセットを演算処理し、前記標本情報の成分をフーリエ空間内の適切な位置に計算上移動させるステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項24】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(d)前記照明パターンを少なくとも1回変更し、その変更のたびに、前記変更された照明パターンで照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(e)前記画像がそれぞれ複数の画像スタックを含み、
(f)前記画像を収集してデータセットにするステップと、
(g)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るための前記データセットを演算処理するステップであって、前記複数の画像スタックを分離するステップと、前記画像スタックをフーリエ空間内の適切な位置に計算上移動させるステップと、前記変更された照明パターンの各々に対する前記画像スタックを再結合させるステップとを含む前記演算処理するステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項25】
前記再結合された標本情報は、強化された横方向の分解能を有する請求項21〜請求項23の何れか1項記載の方法。
【請求項26】
前記ステップ(b)は、前記標本において少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを干渉させることによって実行される請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項27】
前記ステップ(d)は、前記照明パターンの波位相を少なくとも1回変更するステップを含む請求項21、22、又は24記載の方法。
【請求項28】
焦点ぶれを取り除くために前記データセットにデータ処理手段を適用するステップをさらに含む請求項21〜請求光24の何れか1項記載の方法。
【請求項29】
前記ステップ(d)は、前記照明パターンの波角度を少なくとも1回変更するステップを含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項30】
前記ステップ(b)は、前記標本を横方向に均一な照明で照明するステップを更に含み、
前記ステップ(c)は、前記均一な照明で照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップをさらに含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項31】
前記標本に対する前記顕微鏡の焦点合わせのやりなおしを少なくとも1回行うステップと、前記顕微鏡の焦点合わせがやりなおされるたびに、前記ステップ(b)、(c)、(d)及び(e)を繰り返すステップと、前記データステップを収集して3次元データセットにするステップと、前記標本の3次元再構成を得るために前記3次元データセットを処理するステップとをさらに含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項32】
前記ステップ(a)は、対向した第1及び第2の対物レンズを有する顕微鏡に前記標本を配置することによって実行され、前記ステップ(b)は、横方向の構造を含む照明光を提供し、前記照明光を分割して第1及び第2の構成された照明光ビームとなし、前記第1の対物レンズを通る第1の光路に沿って前記第1の構成された照明光ビームを前記標本に方向付け、前記第2の対物レンズを通る第2の光路に沿って前記第2の構成された照明光ビームを前記標本に方向付け、前記第1及び第2の構成された照明光ビームを前記標本において干渉させることによって実行される請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項33】
前記ステップ(b)は、前記標本において互いに干渉するように、少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを配置するステップを含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項34】
前記照明パターンは、波長及び波方向を有する波ベクトルによって特徴付けられる定在波を含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項35】
前記ステップ(d)は、異なる波ベクトルを有する定在波に関して前記ステップ(b)及び(c)を繰り返すステップを含む請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記定在波の波方向は、Z方向と平行でない請求項34記載の方法。
【請求項1】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、光を生成するための光源手段(84)と、前記光源手段から前記標本までの光路(108,114)と、を含んでおり、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、前記画像形成手段は、前記標本の画像スタックを取得し、前記画像スタックには、標本情報の観察可能な移された領域が含まれ、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するための処理手段を含み、前記処理手段は、標本情報の成分を分離し、これらをフーリエ空間の適切な位置に移動させるように構成されている、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項2】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、光を生成するための光源手段(84)と、前記光源手段から前記標本までの光路(108,114)と、を含んでおり、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、前記画像形成手段は、前記標本の画像スタックを取得し、前記画像スタックには、標本情報の観察可能な移された領域が含まれ、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するためのデータ処理手段を含み、前記データ処理手段は、標本情報の成分を分離し、これらをフーリエ空間の適切な位置に移動させるように構成されている、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項3】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、光を生成するための光源手段(84)と、前記光源手段から前記標本までの光路(108,114)と、を含んでおり、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)複数の記録済み画像を格納するために前記画像形成手段にインターフェースされたマイクロプロセッサを含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項4】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するための処理手段を含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項5】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するためのデータ処理手段を含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項6】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るために前記画像形成手段からの前記記録済み画像を処理するための計算再構成手段を含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項7】
光学顕微鏡法のための装置であって、
(a)標本(16)を支持するための手段を含み、
(b)空間的に構成された照明光を前記標本に与えるための手段を含み、前記空間的に構成された照明光は横方向の構造を含み、前記空間的に構成された照明光を与えるための手段は、前記標本に少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを与えるための手段を含み、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは前記標本において互いに干渉するようになされており、
(c)前記空間的に構成された照明光によって照明された標本の拡大画像を生成する光学的拡大手段(70,72)を含み、
(d)前記標本の前記拡大画像を検出・記録するための画像形成手段(128)を含み、
(e)複数の記録済み画像を格納するために前記画像形成手段(128)にインターフェースされたマイクロプロセッサを含む、光学顕微鏡法のための装置。
【請求項8】
前記光学的拡大手段に前記標本の焦点を合わせなおした画像を生成させるために前記標本に対する前記光学的拡大手段の焦点を合わせなおすための焦点合わせ手段(126)をさらに含み、
前記画像形成手段(128)は、多数の前記焦点を合わせなおした画像を検出・記録するように構成され、
前記処理手段は、前記標本の3次元再構成を得るために、前記画像形成手段からの前記多数の記録済み画像を処理するように構成されている請求項1又は4記載の装置。
【請求項9】
前記光学的拡大手段に前記標本の焦点を合わせなおした画像を生成させるために前記標本に対する前記光学的拡大手段の焦点を合わせなおすための焦点合わせ手段(126)をさらに含み、
前記画像形成手段(128)は、多数の前記焦点を合わせなおした画像を検出・記録するように構成され、
前記データ処理手段は、前記標本の3次元再構成を得るために、前記画像形成手段からの前記多数の記録済み画像を処理するように構成されている請求項2又は5記載の装置。
【請求項10】
前記空間的に構成された照明光の空間的構成を変更するための構成変更手段をさらに含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項11】
前記空間的に構成された照明光の空間的構成の位相を変更するための手段をさらに含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項12】
前記空間的に構成された照明光を与える手段は、前記光路に沿って配置された偏向手段をさらに含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームは、少なくとも2つの互いにコヒーレントな光源から放射され、前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光源は、前記光学的拡大手段の後側焦平面に配置される、請求項4〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項14】
前記空間的に構成された照明光は軸方向の構造を含み、前記軸方向の構造が前記横方向の構造と直交関係にある、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項15】
前記再構成は前記横方向の構造と直交関係にある強化された軸方向の分解能をさらに有する請求項1、2、4、5、又は6記載の装置。
【請求項16】
選択的に前記照明光を反射させながら観察光を透過させるように構成されたビームスプリッタ(168)を更に含む、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームの位相を調整するための位相調整ステージ(190)を更に含む、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の装置。
【請求項18】
前記光源手段は、空間的にインコヒーレントな光源を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の装置。
【請求項19】
前記マイクロプロセッサは、前記横方向の構造と直交関係にある強化された軸方向の分解能を提供するために、前記複数の記録済み画像に対してフーリエ変換アルゴリズムを用いる、請求項3又は7記載の装置。
【請求項20】
前記マイクロプロセッサは、前記標本の3次元再構成を得るために、前記複数の記録済み画像に対してフーリエ変換アルゴリズムを用いる、請求項3又は7記載の装置。
【請求項21】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録
するステップと、
(d)前記照明パターンを少なくとも1回変更し、その変更のたびに、前記変更された照明パターンで照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(e)前記画像を収集して標本情報の成分のデータセットにするステップと、
(f)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るための前記データセットを演算処理するステップであって、複数の標本情報の成分を分離するステップと、前記標本情報の成分にフーリエ空間内の新しい位置を採らせるステップと、前記標本情報の成分を再結合させるステップとを含む前記データセットを演算処理するステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項22】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録
するステップと、
(d)前記照明パターンの波位相を少なくとも1回変更するステップと、
(e)前記画像を収集して標本情報の成分のデータセットにするステップと、
(f)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るための前記データセットを演算処理するステップであって、複数の標本情報の成分を分離するステップと、前記標本情報の成分にフーリエ空間内の新しい位置を採らせるステップと、前記標本情報の成分を再結合させるステップとを含む前記データセットを演算処理するステップと、
(g)前記データセットに計算再構成手段を適用するステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項23】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録
するステップと、
(d)前記照明パターンを少なくとも1回変更し、その変更のたびに、前記変更された照明パターンで照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(e)前記画像を収集してデータセットにするステップと、
(f)フーリエ空間の標本情報の異なる領域に関する標本情報の成分を分離することによって、前記データセットを演算処理し、前記標本情報の成分をフーリエ空間内の適切な位置に計算上移動させるステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項24】
光学顕微鏡法の方法であって、
(a)画像検出及び記録手段を含む顕微鏡に発光標本を配置するステップと、
(b)横方向の構造を含む照明パターンで前記標本を照明するステップと、
(c)前記検出及び記録手段を用いて前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(d)前記照明パターンを少なくとも1回変更し、その変更のたびに、前記変更された照明パターンで照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップと、
(e)前記画像がそれぞれ複数の画像スタックを含み、
(f)前記画像を収集してデータセットにするステップと、
(g)強化された横方向の分解能を含む強化された分解能を有する前記標本の再構成を得るための前記データセットを演算処理するステップであって、前記複数の画像スタックを分離するステップと、前記画像スタックをフーリエ空間内の適切な位置に計算上移動させるステップと、前記変更された照明パターンの各々に対する前記画像スタックを再結合させるステップとを含む前記演算処理するステップとを含む光学顕微鏡法の方法。
【請求項25】
前記再結合された標本情報は、強化された横方向の分解能を有する請求項21〜請求項23の何れか1項記載の方法。
【請求項26】
前記ステップ(b)は、前記標本において少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを干渉させることによって実行される請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項27】
前記ステップ(d)は、前記照明パターンの波位相を少なくとも1回変更するステップを含む請求項21、22、又は24記載の方法。
【請求項28】
焦点ぶれを取り除くために前記データセットにデータ処理手段を適用するステップをさらに含む請求項21〜請求光24の何れか1項記載の方法。
【請求項29】
前記ステップ(d)は、前記照明パターンの波角度を少なくとも1回変更するステップを含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項30】
前記ステップ(b)は、前記標本を横方向に均一な照明で照明するステップを更に含み、
前記ステップ(c)は、前記均一な照明で照明された前記標本の少なくとも1つの画像を記録するステップをさらに含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項31】
前記標本に対する前記顕微鏡の焦点合わせのやりなおしを少なくとも1回行うステップと、前記顕微鏡の焦点合わせがやりなおされるたびに、前記ステップ(b)、(c)、(d)及び(e)を繰り返すステップと、前記データステップを収集して3次元データセットにするステップと、前記標本の3次元再構成を得るために前記3次元データセットを処理するステップとをさらに含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項32】
前記ステップ(a)は、対向した第1及び第2の対物レンズを有する顕微鏡に前記標本を配置することによって実行され、前記ステップ(b)は、横方向の構造を含む照明光を提供し、前記照明光を分割して第1及び第2の構成された照明光ビームとなし、前記第1の対物レンズを通る第1の光路に沿って前記第1の構成された照明光ビームを前記標本に方向付け、前記第2の対物レンズを通る第2の光路に沿って前記第2の構成された照明光ビームを前記標本に方向付け、前記第1及び第2の構成された照明光ビームを前記標本において干渉させることによって実行される請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項33】
前記ステップ(b)は、前記標本において互いに干渉するように、少なくとも2つの互いにコヒーレントな光ビームを配置するステップを含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項34】
前記照明パターンは、波長及び波方向を有する波ベクトルによって特徴付けられる定在波を含む請求項21〜請求項24の何れか1項記載の方法。
【請求項35】
前記ステップ(d)は、異なる波ベクトルを有する定在波に関して前記ステップ(b)及び(c)を繰り返すステップを含む請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記定在波の波方向は、Z方向と平行でない請求項34記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【公開番号】特開2009−223348(P2009−223348A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161873(P2009−161873)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【分割の表示】特願平8−523706の分割
【原出願日】平成8年1月30日(1996.1.30)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【分割の表示】特願平8−523706の分割
【原出願日】平成8年1月30日(1996.1.30)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】
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