説明

触覚センサ、把持装置、及びアクチュエータシステム

【課題】構造が簡素な触覚センサ等を提供する。
【解決手段】触覚センサ70は、第1電極73aと第3電極73cとの間の第1静電容量と、第2電極73bと第3電極73cとの間の第2静電容量と、に基づいて、受圧部72に加わった押付力(X軸方向の力)又は押付力によって生じる把持力(Y軸方向の力)を検出する。これにより、3つの電極のみで、押付力、把持力等の力を検出することが可能になる。そのため、構造が簡素な触覚センサ70、この触覚センサ70を備えた把持装置及びアクチュエータシステムを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚センサ、把持装置、及びアクチュエータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や電子部品を生産する工場では、生産の効率化の観点から、産業用ロボットが使用されている。このような産業用ロボットのアームの先端部等には、ワークを把持するために、グリッパ(把持装置)が取り付けられる。このグリッパは、一対の把持部を押し付けることによりワークを把持し、これらの把持部とワークとの摩擦により、ワークを持ち上げる。そのため、この押付力が大きすぎる場合には、ワークの表面に傷がついたり、ワークが変形したりするので、ワークを適切な押付力で押し付けることが望まれる。しかしながら、ワークの材質、形状、表面性状、及び作業環境等によっても、適切な押付力は変化するため、作業前に適切な押付力を設定するのは困難である。
【0003】
これに対し、下記特許文献には、グリッパの把持部に触覚センサを取り付け、この触覚センサの検出結果である把持力(摩擦力)に基づいて、適切な押付力でワークを押し付けるグリッパが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−60629号公報
【特許文献2】特開平8−5452号公報
【特許文献3】特開2004−264172号公報
【特許文献4】特開2009−294140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の触覚センサは比較的大きなものである。このため、例えば、小型のグリッパには、これらの触覚センサを取り付けることは困難である。
【0006】
上記特許文献3、4には、メムス(MEMS 、Micro Electro Mechanical Systems)を適用することにより、小型の触覚センサとしたものが開示されている。しかしながら、メムスを適用することによって、触覚センサの構造が複雑になり、製造コストが高くなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、構造が簡素な触覚センサ、把持装置、及びアクチュエータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点の触覚センサは、
第1部材と、
前記第1部材に対して所定のギャップを隔てて設けられ、力が加わることによって、前記第1部材に対して、前記第1部材に接近する第1軸方向及び前記第1軸方向と直交する第2軸方向のうちの少なくとも一方の方向へ相対移動する第2部材と、
前記第1部材の前記第2部材に対向する面に、前記第2軸方向に隣接して配置される第1電極及び第2電極と、前記第2部材の前記第1部材に対向する面に配置される第3電極と、を有する電極ユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0009】
前記触覚センサは、
前記第1電極と前記第3電極との間の第1静電容量と、前記第2電極と前記第3電極との間の第2静電容量と、に基づいて、前記受圧部に加えられた前記第1軸方向の力、及び前記第1軸方向の力によって生じる前記第2軸方向の力のうちの少なくとも一つの力に応じた信号を出力する回路ユニットを備えていてもよい。
【0010】
前記第3電極は、前記第1電極及び前記第2電極と対向してもよい。
【0011】
前記第1部材と前記第2部材との間には、複数の前記電極ユニットが配置され、
前記回路ユニットは、前記電極ユニットそれぞれの第1静電容量の平均値及び第2静電容量の平均値に基づいて、前記第1軸方向の力及び前記第2軸方向の力のうちの少なくとも一つの力に応じた信号を出力してもよい。
【0012】
前記回路ユニットは、前記第2静電容量から前記第1静電容量を減じた第1の値を算出するとともに、
前記第2静電容量に前記第1静電容量を加えた第2の値を算出し、
前記第1の値を前記第2の値で除した第3の値に基づいて、前記第2軸方向の力に応じた信号を出力してもよい。
【0013】
前記第1部材と前記第2部材との間には、弾性部材が配置されていてもよい。
【0014】
前記弾性部材は、板状に形成されていてもよい。
【0015】
前記第2部材の前記第1部材に対向する面には、凹部が形成され、
前記第1部材の前記第2部材に対向する面には、前記弾性部材を介して、前記凹部に嵌め込まれる凸部が形成されており、
前記弾性部材は、前記凸部の前記第2軸方向の両側の面それぞれと、前記凸部の第1軸方向側の面と、に配置されていてもよい。
【0016】
前記弾性部材は、円柱形状に形成されていてもよい。
【0017】
前記第1部材の前記第2部材に対向する面と、前記第2部材の前記第1部材に対向する面とには、溝が形成されており、
前記溝には、前記弾性部材が配置されていてもよい。
【0018】
前記第2部材の前記第1部材に対向する面には、凹部が形成され、
前記第1部材の前記第2部材に対向する面には、前記弾性部材を介して、前記凹部に嵌め込まれる凸部が形成されており、
前記溝は、前記凸部の前記第2軸方向の両側の面それぞれと、前記凸部の第1軸方向側の面と、に形成されていてもよい。
【0019】
前記溝は、V形に形成されていてもよい。
【0020】
本発明の第2の観点の把持装置は、
ワークを把持する把持装置であって、
モータユニットと、
前記モータユニットによって移動し、前記ワークを把持する一対の把持部と、
前記把持部に配置された本発明の第1の観点の触覚センサと、
を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の第3の観点のアクチュエータシステムは、
本発明の第2の観点の把持装置と、
前記触覚センサの検出結果に基づいて、前記モータユニットを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0022】
前記制御手段は、
前記触覚センサの検出結果の微分値がマイナス又はプラスの場合は、前記把持部と前記把持部との間が狭くなる方向に、前記把持部を移動させ、
前記微分値が、±0の場合は、前記把持部と前記把持部との間の幅を維持させてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の触覚センサは、第1電極及び第2電極と、これらの電極に対して相対移動する第3電極の少なくとも3つの電極から構成することができる。したがって、装置の構造を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る把持装置を示す斜視図である。
【図2】把持装置を示すXY断面図である。
【図3】(A)は、触覚センサを示すYZ断面図である。(B)は、触覚センサを示すXY断面図である。
【図4】電極ユニットを示すXY断面図である。
【図5】触覚センサのブロック図である。
【図6】(A)は、触覚センサを示すXY断面図である。(B)は、触覚センサを示すYZ断面図である。
【図7】(A)及び(B)は、触覚センサの動作を説明するためのXY断面図である。
【図8】(A)、(B)及び(C)は、電極ユニットの動作を説明するためのXY断面図である。
【図9】把持装置及びコントローラのブロック図である。
【図10】把持装置の使用例を示すXY断面図である。
【図11】把持装置等の使用例を示す斜視図(その1)である。
【図12】(A)は、把持装置等の動作を示す断面図(その1)である。(B)は、把持装置等の動作を示す断面図(その2)である。
【図13】把持装置の動作を示す斜視図である。
【図14】(A)は、本発明の第2実施形態に係る触覚センサを示すYZ断面図であり、(B)は、触覚センサを示すXY断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る触覚センサを示すXY断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る把持装置10について、図1〜13を参照しながら説明する。なお、理解を容易にするため、X軸を把持装置10の側面方向、Y軸を鉛直方向、Z軸を把持装置10の正面方向とするXYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0026】
把持装置10は、例えば、産業用ロボットのアームの先端部等に取付けられ、ワークを把持するために用いられる。把持装置10は、図1に示すように、把持装置本体20と、把持装置本体20の下方に突出する一対の把持部44,54を備えたモータユニット30と、それぞれの把持部44,54の先端にアタッチメント61,62を介して取り付けられた触覚センサ70,80と、を有している。
【0027】
把持装置本体20は、略円筒状の形状に形成されている。また、図2に示すように、把持装置本体20の+X側の開口20a及び−X側の開口20bには、蓋部21、22が取り付けられている。把持装置本体20には、モータユニット30が収納されている。
【0028】
モータユニット30は、リニアモータとして構成されている。このモータユニット30は、固定部31(磁石ユニット)と、固定部31の外周に配置された可動部40,50と、可動部40,50を動作させるためのドライバと、を有する。また、モータユニット30は、把持装置10やリニアアクチュエータ等を制御するコントローラに接続される。このコントローラには、触覚センサ70,80も、同様に接続される。
【0029】
固定部31は、例えば、非磁性体から構成される円筒体と、この円筒体の中に配置された複数のマグネットと、から構成される。円筒体の外周面は、平滑な面に形成されている。マグネットは、円柱状に形成されており、X軸方向にN極とS極とが交互に配置されるように、円筒体に挿入されている。N極とS極とが交互に配置されることにより、マグネットの同極が相互に接している。また、固定部31の+X側及び−X側の端部は、蓋部21,22に形成された凹部21a,22aに嵌め込まれている。この固定部31の端部が凹部21a,22aに嵌め込まれることにより、固定部31は把持装置本体20内で固定される。
【0030】
可動部40は、円筒形状の可動部本体41と、可動部本体41に固定されたコイル42と、可動部本体41の内周面に形成された滑りガイド43と、を有している。
【0031】
可動部本体41は、略円筒状の部材であり、−X側の端部から径方向に張り出したフランジ部41aを備えている。このフランジ部41aには、−Y方向に突出した把持部44が形成されている。把持部44は、把持装置本体20に形成された開口20cを通って、把持装置本体20の外部に突出している。
【0032】
コイル42は、例えば、絶縁材料で形成されたボビンと、ボビンに巻かれた銅線とから構成される。
【0033】
滑りガイド43は、円筒形状に形成され、可動部本体41内に圧入されている。この滑りガイド43の内周面は平滑な面に形成されている。そして、滑りガイド43は、外周面が平滑な面に形成されている固定部31に対して摺動する。
【0034】
可動部50は、可動部40と同等の構造を有し、固定部31に対してX軸方向に移動可能に取り付けられている。この可動部50は、可動部40と同様に、フランジ部51a及び把持部54を備えた可動部本体51と、可動部本体51の+X側の端部に固定されたコイル52と、可動部本体51の内周面に形成された滑りガイド53と、を有している。また、可動部50は、可動部40に対向して、固定部31に嵌め込まれている。
【0035】
把持部44,54には、アタッチメント61,62がボルト及びナットによって固定されている。アタッチメント61,62は、Y軸方向を長手方向とする直方体板状の部材であり、把持部44,54を−Y方向に実質的に延長するために用いられる。このアタッチメント61,62の形状は任意である。把持するワークの形状、大きさ、材質等によって、別の適切な形状のアタッチメントに付け替えることも可能である。また、アタッチメント61,62の対向する面には、触覚センサ70,80が取り付けられている。
【0036】
触覚センサ70は、把持装置10がワークを把持したときの把持力Fを検出する。この把持力Fとは、ワークと触覚センサ70との間に生じる摩擦力(Y軸方向の力)であって、ワークを把持するために有効な摩擦力のことを言う。図3(A)は、触覚センサ70を示すYZ断面図であり、図3(B)は、XY断面図である。さらに詳しくは、図3(A)は、この図3(B)のA−A線におけるYZ断面図である。触覚センサ70は、図3に示すように、基部71と、ワークを把持したときのワークからの押付力Nを受ける受圧部72と、基部71と受圧部72の間に配置された電極ユニット73及び弾性部材74と、を有している。
【0037】
基部71は、アタッチメント61の−X側の面に固定されている。また、基部71の−X側の面には、凹部71aがZ軸方向に沿って形成されている。
【0038】
受圧部72は、基部71の−X側の面に配置されている。また、受圧部72の+X側の面には、凸部72aがZ軸方向に沿って形成されている。この凸部72aは、複数の弾性部材74を介して、凹部71aに嵌め込まれる。
【0039】
電極ユニット73は、Y軸方向に沿って、等間隔に3つ配置されている。この電極ユニット73は、図4に示すように、第1電極73aと、第2電極73bと、第3電極73cと、を有している。第1電極73a、第2電極73b、及び第3電極73cは、Z軸方向を長手方向とする金属板から構成されている。また、第1電極73a及び第2電極73bは、凹部71aの底面に配置されており、第3電極73cは、凸部72aの+X側の面に配置されている。
【0040】
弾性部材74は、図3に示すように、ゴムから構成され、基部71と受圧部72との間を所定のクリアランスで保持しつつ、受圧部72を固定する。詳しくは、弾性部材74は、シート状に形成されており、受圧部72の凸部72aの+Y側の面と−Y側の面とに1つずつ、+X側の面に2つ配置されている。そして、弾性部材74は、基部71と受圧部72とに接着されている。この4つの弾性部材74によって、受圧部72は、基部71に対して、X軸方向及びY軸方向に相対移動可能に配置されるとともに、第1電極73a及び第3電極73c、第2電極73b及び第3電極73cは、所定範囲内のクリアランスに保持される。
【0041】
触覚センサ70は、図5に示すように、基部71内に配置された回路ユニット75をさらに有している。
【0042】
回路ユニット75は、第1電極73aと第3電極73cとの間の静電容量C1、及び第2電極73bと第3電極73cとの間の静電容量C2に基づいて、所定の演算を行い、その演算の結果をコントローラに通知する。なお、電極ユニット73は3つ配置されているため、回路ユニット75は、それぞれの静電容量を平均し、この平均した静電容量に基づいて、所定の演算を行う。回路ユニット75は、静電容量電圧変換部76a、76bと、演算器77a、77b、78、79と、を有している。
【0043】
静電容量電圧変換部76aは、静電容量C1を、電圧に変換し、電圧として出力する。同様に、静電容量電圧変換部76bは、静電容量C2を、電圧に変換し、電圧として出力する。
【0044】
演算器77aは、静電容量C2から静電容量C1を減算する。そして、この減算して得られた値(C2−C1)を出力する。
【0045】
演算器77bは、静電容量C2に静電容量C1を加算する。そして、この加算して得られた値(C2+C1)を出力する。
【0046】
演算器78は、演算器77aから出力された値(C2−C1)を、演算器77bから出力された値(C2+C1)で除算する。そして、この除算して得られた値{(C2−C1)/(C2+C1)}を出力する。
【0047】
演算器79は、演算器78から出力された値{(C2−C1)/(C2+C1)}を微分する。そして、この微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtを出力する。
【0048】
図6(A)は、触覚センサ80を示すXY断面図であり、図6(B)は、YZ断面図である。なお、図6(B)は、図6(A)のB−B線におけるYZ断面図である。触覚センサ80は、触覚センサ70と同様に、図6に示すように、基部81と、ワークを把持したときのワークからの押付力Nを受ける受圧部82と、基部81と受圧部82の間に配置された電極ユニット83及び弾性部材84と、を有している。また、触覚センサ80は、基部81内に配置された回路ユニットをさらに有している。そして、触覚センサ70と同様に、値{(C2−C1)/(C2+C1)}を微分して、この微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtを、コントローラに出力する。
【0049】
次に、上述した回路ユニット75が行う演算の内容について、図7及び図8を参照して説明する。
【0050】
把持装置10がワーク300を把持すると、図7(A)に示すように、触覚センサ70の受圧部72にワークからの押付力Nが+X方向に作用する。同様に、触覚センサ80の受圧部82にもワークからの押付力Nが−X方向に作用する。この押付力Nが作用しているときに、後述するリニアアクチュエータ等によって、ワーク300を把持する。把持装置10を+Y方向に移動させると、図7(B)に示すようにワーク300と触覚センサ70,80との間に摩擦力Ffが生じる。ここで、ワーク300と触覚センサ70,80との間の摩擦係数をμとすると、摩擦力Ffは、次の式(1)で表される。
W/2=Ff≦μ×N …(1)
したがって、式(1)は、次の式(1)’のようにも表される。
W/(2×μ)≦N …(1)’
【0051】
ワーク300が、把持装置10からすべり落ちずに、把持装置10に把持されている場合、ワーク300の重さWは、次の式(2)で表されるように、ワーク300の+X側及び−X側に作用している押付力Nを合算し、摩擦係数μを乗じた値以下となる。
W≦2×μ×N …(2)
【0052】
したがって、重さWが、2×μ×Nよりも大きければ、把持装置10はワーク300を把持しきれずに、ワーク300は、把持部44と把持部54との間からすべり落ちてしまう。また、押付力Nが大きすぎる場合には、ワーク300の表面に傷がついたり、ワーク300が変形したりするおそれがある。そのため、次の式(3)で表されるように、2×μ×Nが、重さWとほぼ同等であれば、把持装置10は、もっとも小さな押付力Nでワーク300を押し付けることができる。
W=2×μ×N …(3)
また、ワーク300を把持するために有効な摩擦力Ffを把持力Fとした場合、把持力Fを用いて表すと、式(3)は、次の式(3)’になる。
W=2×F …(3)’
【0053】
また、静電容量Cは、以下の式(4)のように定義される。
C=ε×(S/d) …(4)
式(4)におけるεは電極間の誘電体の誘電率であり、また、図8(A)〜(C)を参照するとわかるように、Sは電極の有効面積、dは電極73a,73bと電極73cとの間のX軸方向の距離である。
【0054】
静電容量Cは、受圧部72にワーク300からの押付力Nが作用すると、凸部72aの+X側の面に配置された弾性部材74が圧縮されて、図8(B)に示すように、受圧部72が+X方向に移動する。このため、距離dが小さくなる。この場合の静電容量Cは、次の式(5)で表される。
C=C×d/d …(5)
ただし、dは、受圧部72が+X方向に移動する前のX軸方向の距離であり、Cは、受圧部72が+X方向に移動する前の静電容量である。
【0055】
また、静電容量Cは、受圧部72にワーク300の重さWが作用すると、凸部72aの−Y側の面に配置された弾性部材74が圧縮されて、図8(C)に示すように、受圧部72が−Y方向に移動する。このため、電極の有効面積Sが変化する。この場合の静電容量Cは、次の式(6)で表される。
C=C×S/S …(6)
ただし、Sは、受圧部72が−Y方向に移動する前の電極の有効面積である。
【0056】
以上の式(5)、(6)から、押付力Nと重さWとが同時に受圧部72に作用した場合の静電容量Cは、次の式(7)で表される。
C=C×(d・S)/(d・S) …(7)
【0057】
本実施形態においては、電極ユニット73の第1電極73a及び第2電極73bは、基部71の−X側の面に配置されており、電極ユニット73の第3電極73cは、受圧部72の+X側の面に配置されている。そのため、受圧部72が−Y方向に移動した場合の、第1電極73aと第3電極73cとの有効面積の変化量Δと、第2電極73bと第3電極73cとの有効面積の変化量Δとは同一である。したがって、静電容量C1、C2は、次の式(8)、(9)で表される。
C1=C×{d・(S−Δ)}/(d・S) …(8)
C2=C×{d・(S+Δ)}/(d・S) …(9)
【0058】
静電容量C2に静電容量C1を加算して得られた値(C2+C1)は、次の式(10)で表される。したがって、値(C2+C1)は、有効面積Sの変化量Δに関わらず、第1電極73a及び第2電極73bと第3電極との間の距離dによって定まる。
C2+C1=2C×(d/d) …(10)
【0059】
静電容量C2から静電容量C1を減算して得られた値(C2−C1)は、次の式(11)で表される。また、この値(C2−C1)を値(C2+C1)で除して得られた値{(C2−C1)/(C2+C1)}は、以下の式(12)で表される。
C2−C1=2Δ×C/S×(d/d) …(11)
(C2−C1)/(C2+C1)=Δ/S …(12)
【0060】
式(12)からわかるように、値{(C2−C1)/(C2+C1)}は、第1電極73a及び第2電極73bと第3電極との間の距離dの変化量に関わらず、有効面積Sの変化量Δによって定まる。このため、この値{(C2−C1)/(C2+C1)}に、弾性部材74の弾性係数に比例する定数であるKを乗じることによって、把持力Fが、次の式(13)のように定まる。
F=K×{(C2−C1)/(C2+C1)} …(13)
【0061】
以上、説明したように、回路ユニット75は、静電容量C1、C2に基づいて、値{(C2−C1)/(C2+C1)}を演算する。これにより、把持力Fを求めることができる。
【0062】
上述した把持装置10には、図9に示すように、コントローラ150が接続される。コントローラ150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、主記憶部、補助記憶部、表示部、入力部、及びインターフェイス部等を含んで構成されている。このコントローラ150は、触覚センサ70,80から通知された演算結果に基づいて、把持装置10の可動部40,50のコイル42,52に流す電流Iを調整する。また、コントローラ150は、把持装置10のモータユニット30や、把持装置10が取り付けられたリニアアクチュエータ等を制御する。
【0063】
取り付け部11は、図10に示すように、把持装置本体20の上方に、ボルト12a、12bによって固定されている。また、取り付け部11には、リニアアクチュエータ等の産業用ロボットに固定するための、取り付け孔13a,13bが形成されている。この取り付け孔13a,13bにボルト201a,201bで締結することによって、把持装置10は、図11に示すように、リニアアクチュエータ200のスライダ200Aに取り付けられる。このスライダ200Aは、図11に示すように、Y軸方向に移動可能に配置されている。また、リニアアクチュエータ200は、リニアアクチュエータ210のスライダ210Aに取り付けられる。スライダ210は、X軸方向に移動可能に、リニアアクチュエータ200に配置されている。
【0064】
把持装置10、リニアアクチュエータ200,210は、コントローラ150によって制御される。動作の内容は、コントローラ150に接続されたティーチングペンダント等によって設定される。
【0065】
上述のように構成された把持装置10の動作について、図11乃至13を用いて説明する。
【0066】
コントローラ150は、先ず、図11に示すように、リニアアクチュエータ200,210によって、把持装置10を、ベルトコンベア310上のワーク300近傍の所定位置まで移動させる。そして、把持装置10を、ワーク300近傍の所定位置まで移動させると、把持装置10の可動部40,50のコイル42,52に所定の電流Iiを流す。コイル42に電流Iiを流すと、コイル42に電流を流れることで発生する磁束によって、可動部40は、図12(A)に示すように、−X方向に移動する。同様に、コイル52に電流Iiを流すと、コイル52に電流を流れることで発生する磁束によって、可動部50は図12(A)に示すように、+X方向に移動する。
【0067】
可動部40が−X方向に移動するとともに、可動部50が+X方向に移動すると、把持部44と把持部54との間の距離が小さくなり、ワーク300の+X側の面及び−X側の面に、触覚センサ70,80が接触する。これにより、把持装置10は、電流Iiに対応した押付力Niで、ワーク300を把持する。
【0068】
把持装置10がワーク300を把持すると、コントローラ150は、リニアアクチュエータ200によって、把持装置10を+Y方向に移動させる。把持装置10を+Y方向に移動させると、図12(B)に示すように、ワーク300と触覚センサ70,80との間に、押付力Niに対応した把持力Fiが発生する。
【0069】
このとき、ワーク300の両側の把持力の合計(2×Fi)が、ワーク300の重さWに対して小さい場合には、ワーク300は、触覚センサ70と触覚センサ80との間から−Y方向にすべる。この場合、コントローラ150は、コイル42,52に流す電流Iを大きくする。
【0070】
コイル42,52に流れる電流Iを大きくすると、把持部44,54がワーク300を押し付ける押付力Nも大きくなっていき、これに伴い、把持力Fも大きくなる。把持力Fが大きくなると、触覚センサ70,80から出力される微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtは、プラスになるが、コントローラ150は、この微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtがプラスから±0になるまで、コイル42,52に流す電流Iを大きくする。そして、微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtが、プラスから±0に変わったら、コントローラ150は、コイル42,52に流す電流Iを、プラスから±0に変わった時に流している電流Iに保持する。
【0071】
コイル42,52に電流Iが流れているときの、ワーク300の両側の把持力Fの合計(2×F)は、ワーク300の重さWとほぼ同等であるため、ワーク300は、過剰な押付力Nを排除した適切な把持力Fで把持される。
【0072】
一方、コイル42,52に所定の電流Iiを流したときのワーク300の両側の把持力の合計(2×Fi)が、ワーク300の重さWに対して大きい場合には、ワーク300は、触覚センサ70と触覚センサ80との間から−Y方向にすべらない。この場合、コントローラ150は、コイル42,52に流す電流Iを小さくする。
【0073】
コイル42,52に流れる電流Iを小さくすると、把持部44,54がワーク300を押し付ける押付力Nも小さくなる。そして、触覚センサ70、80から出力される微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtが、±0からマイナスに変わるまで、コントローラ150は、コイル42,52に流す電流Iを小さくする。そして、微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtが、±0からマイナスに変わったら、コントローラ150は、コイル42,52に流す電流Iを少し大きくし、プラスから±0に変わった時の電流Iに保持する。そして、微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtが±0に維持されるように、微分値d{(C2−C1)/(C2+C1)}/dtがマイナス又はプラスになった時は、電流Iを大きくして±0に変わるよう制御する。
【0074】
コイル42,52に一定の電流Iが流れているときの、ワーク300の両側の把持力の合計(2×F)は、ワーク300の重さWとほぼ同等であるため、ワーク300は、過剰な押付力Nを排除した適切な把持力Fで把持される。
【0075】
把持装置10によって、適切な把持力Fで把持されたワーク300は、図13に示すように、リニアアクチュエータ200,210によって、ベルトコンベア310上から、別の所定の位置まで移動される。
【0076】
以上、説明したように、本第1実施形態に係る触覚センサ70の電極ユニット73は、3つの電極(第1電極73a、第2電極73b、第3電極73c)を有し、これらの静電容量C1及び静電容量C2に基づいて、触覚センサ70は把持力Fを検出している。これによれば、3つの電極のみで、把持力Fを検出することが可能になる。したがって、製品の大型化を抑制しつつ、構造が簡素な触覚センサ70,80、把持装置10、及びアクチュエータシステムを提供することができる。
【0077】
また、触覚センサ70,80の3つの電極ユニット73,83は、Y軸方向に等間隔に配置され、触覚センサ70,80は、それぞれの電極ユニット73,83の静電容量C1及び静電容量C2を平均化してから、把持力Fを検出している。これにより、適切な把持力Fを正確に検出することができる。
【0078】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態に係る触覚センサ70Aについて、図14を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略化する。また、図1〜13と同様に、理解を容易にするため、X軸を触覚センサ70Aの側面方向、Y軸を触覚センサ70Aの鉛直方向、Z軸を触覚センサ70Aの正面方向とするXYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0079】
図14(A)は、触覚センサ70Aを示すYZ断面図であり、図14(B)は、XY断面図である。なお、図14(A)は、図14(B)のA−A線におけるYZ断面図である。触覚センサ70Aは、第1実施形態に係る触覚センサ70と同様に、図14に示すように、基部71と、ワークを把持したときのワークからの押付力を受ける受圧部72と、基部71と受圧部72の間に配置された電極ユニット73及び弾性部材90と、を有している。この弾性部材90は、第1実施形態の弾性部材74とは異なり、円柱形状に形成されている。
【0080】
基部71の凹部71aの+Y側の面には、V字状の溝91がZ軸方向に沿って形成されている。また、受圧部72の凸部72aの+Y側の面には、V字状の溝92がZ軸方向に沿って形成されている。この溝91及び溝92には、弾性部材90が配置されている。この弾性部材90を介して、受圧部72は、基部71に係合されている。
【0081】
同様に、基部71の凹部71aの−Y側の面には、V字状の溝93がZ軸方向に沿って形成されている。また、受圧部72の凸部72aの−Y側の面には、V字状の溝94がZ軸方向に沿って形成されている。この溝93と溝94には、弾性部材90が配置されている。この弾性部材90を介して、受圧部72は、基部71に係合されている。
【0082】
弾性部材90によって、受圧部72は、基部71に対して、Y軸方向及びX軸方向に相対移動可能に配置されるとともに、第1電極73a及び第3電極73c、第2電極73b及び第3電極73cは、所定範囲内のクリアランスで保持される。
【0083】
以上、説明したように、本第2実施形態に係る触覚センサ70Aの受圧部72は、2つの弾性部材90によって、基部71に配置されている。これにより、第1実施形態に係る触覚センサ70と比べて、弾性部材の数を減らすことができ、コストを低減させることができる。
【0084】
《第3実施形態》
次に、本発明の第3実施形態に係る触覚センサ70Bについて、図15を参照しながら説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一又は同等の構成については、同一の符号を用いるとともに、その説明を省略又は簡略化する。また、図1〜14と同様に、理解を容易にするため、X軸を触覚センサ70Bの側面方向、Y軸を触覚センサ70Bの鉛直方向、Z軸を触覚センサ70Bの正面方向とするXYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0085】
触覚センサ70Bは、触覚センサ70,70Aと同様に、基部101と、ワークを把持したときのワークからの押付力を受ける受圧部102と、基部101と受圧部102の間に配置された電極ユニット73及び弾性部材90と、を有している。この弾性部材90は、円柱形状に形成されている。
【0086】
基部101は、直方体状に形成されている。また、基部101の−X側の面には、第1実施形態に係る基部71と異なり、凹部が形成されておらず、V字状の溝103がZ軸方向に沿って形成されている。
【0087】
受圧部102は、直方体状に形成されている。また、受圧部102の+X側の面には、第1実施形態に係る受圧部72と異なり、凸部が形成されておらず、V字状の溝104がZ軸方向に沿って形成されている。
【0088】
弾性部材90は、それぞれの溝103と溝104との間に挟み込まれるように配置されている。この弾性部材90を介して、受圧部102は、基部101に係合されている。
【0089】
この2つの弾性部材90によって、受圧部102は、基部101に対して、Y軸方向及びX軸方向に相対移動可能に配置されるとともに、第1電極73a及び第3電極73c、第2電極73b及び第3電極73cは、所定範囲内のクリアランスで保持される。
【0090】
以上、説明したように、本第3実施形態に係る触覚センサ70Bの受圧部102は、2つの弾性部材90によって、基部101に配置されている。これにより、第1実施形態に係る触覚センサ70と比べて、弾性部材の数を減らすことができ、コストを低減させることができる。
【0091】
また、基部101、受圧部102は、第1実施形態及び第2実施形態の基部71、受圧部72のように、凸部や凹部などが形成されていない。これにより、第1実施形態の触覚センサ70や第2実施形態の触覚センサ70Aとは異なり、弾性部材90を均等に加圧させることができる。具体的には、例えば、第2実施形態の触覚センサ70Aは、凸部71aが凹部72aに嵌め込まれているため、受圧部72の自重により、−Y側の弾性部材74Aが圧縮してしまう。しかしながら、本第3実施形態の触覚センサ70Bにおいては、基部101には凸部が形成されていないため、受圧部72Bの自重により、−Y側の弾性部材90が圧縮してしまうことはない。
【0092】
また、基部101、受圧部102には、凸部や凹部などが形成されていないため、触覚センサ70BのX軸方向の厚みを薄くすることができ、触覚センサ70Bの小型化に寄与することができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0094】
上記各実施形態においては、触覚センサ70,70A,70B,80は、上述の式(13)に基づいて、把持力Fを検出しているが、これに限らず、上述の式(1)及び式(13)に基づいて、特に式(10)に基づいて、押付力Nを検出してもよい。
【0095】
上記各実施形態においては、電極ユニット73は、3つの電極(第1電極73a、第2電極73b、第3電極73c)を有しているが、これに限らず、4つ以上の電極を有していてもよい。
【0096】
上記各実施形態に係る把持力センサ70は、3つの電極ユニット73を有しているが、これに限らず、1つ又は2つの電極ユニットを有していてもよいし、4つ以上の電極ユニットを有していてもよい。
【0097】
上記各実施形態においては、第1電極73a及び第2電極73bは、基部71,101に配置されており、第3電極73cは、受圧部72、102に配置されている。しかしながら、これに限らず、第1電極73a及び第2電極73bは、受圧部72、102に配置され、第3電極73cは、基部71,101に配置されていてもよい。
【0098】
上記各実施形態においては、回路ユニット75は、基部71内に配置されているが、これに限らず、把持装置本体20内に配置されていてもよい。
【0099】
上記各実施形態においては、触覚センサ70,80は、把持装置10の把持部44,54に、アタッチメント61,62を介して取り付けられているが、これに限らず、把持装置10の把持部44,54に直接取り付けてもよい。
【0100】
上記第1実施形態及び第2実施形態においては、基部71には凹部71aが形成され、受圧部72には凸部72aが形成されている。しかしながら、これに限らず、基部71に凸部が形成され、受圧部72に凹部が形成されていてもよい。
【0101】
上記第2実施形態及び第3実施形態においては、溝91,92,93,94,103,104は、V字状に形成されているが、これに限らず、凹状に形成されていてもよい。
【0102】
上記各実施形態においては、触覚センサ70,70A,70B,80は、略矩形状であるが、これに限らず、円柱形状や円錐台形状でもよい。
【0103】
上記各実施形態においては、弾性部材74,90は、ゴムから構成されるが、これに限らず、樹脂から構成されてもよい。また、スプリング等から構成されてもよい。
【0104】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0105】
10 把持装置
11 取り付け部
12a、12b ボルト
13a、13b 取り付け孔
20 把持装置本体
20a、20b、20c 開口
21、22 蓋部
21a、22a 凹部
30 モータユニット
31 固定部
40、50 可動部
41、51 可動部本体
41a、51a フランジ部
42、52 コイル
43、53 滑りガイド
44、54 把持部
61、62 アタッチメント
70、70A、70B 触覚センサ
71、101 基部(第1部材、第2部材)
72、102 受圧部(第1部材、第2部材)
73 電極ユニット
73a 第1電極
73b 第2電極
73c 第3電極
74、90 弾性部材
75 回路ユニット
76a、76b 静電容量電圧変換部
77a、77b、78、79 演算器
80 触覚センサ
81 基部
82 受圧部
83 電極ユニット
84 弾性部材
85 電極ユニット
91、92、93、94、103、104 溝
150 コントローラ
151 ケーブル
200、210 リニアアクチュエータ
200A、210A スライダ
201a、201b ボルト
300 ワーク
310 ベルトコンベア
C1 第1静電容量
C2 第2静電容量
N、Ni 押付力(第1軸方向の力)
Ff 摩擦力(第2軸方向の力)
F、Fi 把持力(第2軸方向の力)
W 重さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に対して所定のギャップを隔てて設けられ、力が加わることによって、前記第1部材に対して、前記第1部材に接近する第1軸方向及び前記第1軸方向と直交する第2軸方向のうちの少なくとも一方の方向へ相対移動する第2部材と、
前記第1部材の前記第2部材に対向する面に、前記第2軸方向に隣接して配置される第1電極及び第2電極と、前記第2部材の前記第1部材に対向する面に配置される第3電極と、を有する電極ユニットと、
を備えることを特徴とする触覚センサ。
【請求項2】
前記第1電極と前記第3電極との間の第1静電容量と、前記第2電極と前記第3電極との間の第2静電容量と、に基づいて、前記受圧部に加えられた前記第1軸方向の力、及び前記第1軸方向の力によって生じる前記第2軸方向の力のうちの少なくとも一つの力に応じた信号を出力する回路ユニットを備えることを特徴とする請求項1に記載の触覚センサ。
【請求項3】
前記第3電極は、前記第1電極及び前記第2電極と対向していることを特徴とする請求項1又は2に記載の触覚センサ。
【請求項4】
前記第1部材と前記第2部材との間には、複数の前記電極ユニットが配置され、
前記回路ユニットは、前記電極ユニットそれぞれの第1静電容量の平均値及び第2静電容量の平均値に基づいて、前記第1軸方向の力及び前記第2軸方向の力のうちの少なくとも一つの力に応じた信号を出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の触覚センサ。
【請求項5】
前記回路ユニットは、前記第2静電容量から前記第1静電容量を減じた第1の値を算出するとともに、
前記第2静電容量に前記第1静電容量を加えた第2の値を算出し、
前記第1の値を前記第2の値で除した第3の値に基づいて、前記第2軸方向の力に応じた信号を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の触覚センサ。
【請求項6】
前記第1部材と前記第2部材との間には、弾性部材が配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の触覚センサ。
【請求項7】
前記弾性部材は、板状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の触覚センサ。
【請求項8】
前記第2部材の前記第1部材に対向する面には、凹部が形成され、
前記第1部材の前記第2部材に対向する面には、前記弾性部材を介して、前記凹部に嵌め込まれる凸部が形成されており、
前記弾性部材は、前記凸部の前記第2軸方向の両側の面それぞれと、前記凸部の第1軸方向側の面と、に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の触覚センサ。
【請求項9】
前記弾性部材は、円柱形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の触覚センサ。
【請求項10】
前記第1部材の前記第2部材に対向する面と、前記第2部材の前記第1部材に対向する面とには、溝が形成されており、
前記溝には、前記弾性部材が配置されることを特徴とする請求項9に記載の触覚センサ。
【請求項11】
前記第2部材の前記第1部材に対向する面には、凹部が形成され、
前記第1部材の前記第2部材に対向する面には、前記弾性部材を介して、前記凹部に嵌め込まれる凸部が形成されており、
前記溝は、前記凸部の前記第2軸方向の両側の面それぞれと、前記凸部の第1軸方向側の面と、に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の触覚センサ。
【請求項12】
前記溝は、V形に形成されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の触覚センサ。
【請求項13】
ワークを把持する把持装置であって、
モータユニットと、
前記モータユニットによって移動し、前記ワークを把持する一対の把持部と、
前記把持部に配置された請求項1乃至12のいずれか一項に記載の触覚センサと、
を備えることを特徴とする把持装置。
【請求項14】
請求項13に記載の把持装置と、
前記触覚センサの検出結果に基づいて、前記モータユニットを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするアクチュエータシステム。
【請求項15】
前記制御手段は、
前記触覚センサの検出結果の微分値がマイナス又はプラスの場合は、前記把持部と前記把持部との間が狭くなる方向に、前記把持部を移動させ、
前記微分値が、±0の場合は、前記把持部と前記把持部との間の幅を維持させることを特徴とする請求項14に記載のアクチュエータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−127764(P2012−127764A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278650(P2010−278650)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(391008515)株式会社アイエイアイ (107)
【Fターム(参考)】