説明

試料保持機構及び試料加工・観察装置

【課題】温度変化によって膨張、収縮したとしても保持している試料の位置を変化させること無く、正確に位置決め、保持することが可能な試料保持機構、及び、この試料保持機構を備えた試料加工・観察装置に提供する。
【解決手段】試料加工・加工観察装置1は、試料保持機構20を備えている。試料保持機構20は、試料Sを保持する試料ホルダ21と、試料ホルダ21を着脱可能に支持するベース22とを備える。これらの間には、回転可能に支持する回転支持部27と、回転中心27aからX方向に向って摺動可能に支持するスライド支持部28と、X方向及びY方向に摺動可能に支持する当接支持部とが、着脱可能に設けられている。上面21aには、回転中心27aからY方向及びX方向に沿って配置され、試料Sの一辺S1及び他辺S2に当接するX方向位置決めピン31及びY方向位置決めピン32が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板状の試料を位置決め、保持する試料保持機構、及び、試料保持機構を備え、試料の加工、観察を行う試料加工・観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶などのフラットパネルディスプレイの製造や半導体製造の露光工程において使用されるフォトマスクは、集束イオンビーム装置などによって修正が行われてきた。このようなフォトマスク、あるいはフォトマスクによってパターニングされる基板などの試料を正確に加工、観察するには、集束イオンビーム装置などの装置内部において試料を正確に位置決めする必要があるとともに、装置内外の温度変化などによる試料の収縮、膨張の影響を解消する必要がある。このような問題に対応するべく、例えば、試料である基板にパターニングする露光装置として、外部から装置内に搬送される経路にあるプリアライメント室において、プリアライメント室の雰囲気を昇温する手段を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、このような露光装置によれば、プリアライメント室において、基板をプリアライメントする工程の間に、昇温手段によって基板を昇温させておくことができる。このため、装置内の雰囲気を真空状態にする際に、気体の断熱膨張によって基板の温度が変化したとしても、外気温と等しい温度となるように調整し、基板の歪みを解消することができ、また温度調整に係る時間を別途設ける必要が無いとされている。
【特許文献1】特開2005−32906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、同一の大きさを有する試料のみを搬送する場合には、上記のように一定の規格を有する搬送システムによって試料を直接搬送することが可能であるが、様々な大きさの試料に対応するには、同一の搬送条件となるように試料ホルダで保持させる必要がある。また、例えば、フォトマスクのような薄板状の試料を外部と装置内部との間で搬送する際には、試料の撓みを防止し、また、正確に位置決めさせるために、試料ホルダに保持させて試料を搬送する必要がある。試料ホルダは試料を保持する必要性から、剛性の高い、例えば金属材料などで形成されるので、試料と比較して熱膨張率が高く、温度変化による歪みが大きい。また、熱容量が大きく、周囲の温度環境と熱的に平衡となるのに時間を要する。このため、特許文献1のように、プリアライメントする工程の間のみで温度調整をしたとしても、熱容量の大きな試料ホルダを熱的に平衡とすることはできない。すなわち、装置内部において試料ホルダが温度変化によって膨張、収縮し、試料ホルダに保持されている試料の位置が変化(ドリフト)してしまい、正確な加工及び観察を行うことができなくなってしまう問題があった。
【0004】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、温度変化によって膨張、収縮したとしても保持している試料の位置を変化させること無く、正確に位置決め、保持することが可能な試料保持機構、及び、この試料保持機構を備えた試料加工・観察装置に提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、上面に薄板状の試料を載置して保持する試料ホルダと、該試料ホルダを着脱可能に支持するベースとを備えた試料保持機構であって、前記試料ホルダと前記ベースとの間には、前記試料ホルダを前記ベースに対して回転可能に支持する回転支持部と、前記試料ホルダを前記ベースに対して、前記回転支持部の回転中心から所定のX方向に向って摺動可能に支持するスライド支持部と、前記試料ホルダを前記ベースに対して、前記X方向及び前記X方向に直交するY方向に摺動可能に支持する少なくとも一つの当接支持部とが、それぞれ着脱可能に設けられ、前記試料ホルダの前記上面には、前記回転支持部の前記回転中心から前記Y方向に沿って配置され、前記試料の一辺に当接して前記試料を前記X方向に位置決めするX方向位置決め部材と、前記回転支持部の前記回転中心から前記X方向に沿って配置され、前記試料の前記一辺と隣り合う他辺に当接して前記試料を前記Y方向に位置決めするY方向位置決め部材とが設けられていることを特徴としている。
【0006】
この発明に係る試料保持機構によれば、試料の一辺をX方向位置決め部材に当接し、他辺をY方向位置決め部材に当接することで、試料を、ベースから離脱した試料ホルダの上面に位置決めして、搬送することができる。そして、この状態で所定の位置に設けられたベースに試料ホルダを装着する。試料ホルダは、ベースに対して、回転支持部、スライド支持部及び当接支持部の少なくとも三点で支持されることによって、確実にベースに支持された状態となる。また、回転支持部によってX方向及びY方向の移動が規制され、スライド支持部によってベースに垂直な軸回りの回転が規制されているので、試料ホルダはベースに位置決めされた状態となる。ここで、ベースに試料ホルダが装着された状態においては、試料ホルダのX方向位置決め部材は回転支持部の回転中心からY方向に沿って配置され、Y方向位置決め部材は回転支持部の回転中心からY方向に沿って配置されている。このため、試料は、ベースに試料ホルダが装着された状態においては、一辺がY方向に沿って配置され、他辺がX方向に沿って配置されるとともに、一辺と他辺との交点が回転支持部の回転中心と平面視略等しくなる位置で位置決めされた状態となる。
【0007】
また、試料ホルダを搬送する際、さらに試料ホルダをベースに装着した直後には、その周辺環境の変化によって、試料ホルダの温度が変化して、試料ホルダ自身が膨張あるいは収縮する。試料ホルダは、ベースに対して、回転支持部によって回転可能に支持されている。さらに、スライド支持部によって回転支持部の回転中心からX方向に摺動可能に支持されていて、また、当接支持部によってX方向及びY方向に摺動可能に支持されている。このため、試料ホルダは、温度変化に伴い、反力が作用すること無く、回転支持部を中心として自由に変形することができる。また、試料ホルダの上面に設けられたX方向位置決め部材及びY方向位置決め部材も、回転支持部の回転中心に向ってそれぞれ、Y方向及びX方向に変位する。すなわち、試料ホルダが温度変化によって膨張あるいは収縮したとしても、X方向位置決め部材及びY方向位置決め部材は、それぞれ当接している試料の一辺及び他辺に対して摺動するだけである。このため、試料は、一辺がY方向に平行で、他辺がX方向に平行であるとともに、一辺と他辺との交点が回転支持部の回転中心と平面視略等しくなる位置を、常に保つことができる。
【0008】
また、上記の試料保持機構において、前記試料ホルダの下面と前記ベースの上面のいずれか一方には、前記回転支持部、前記スライド支持部及び前記当接支持部のそれぞれと対応する位置で、凸部が突出して設けられているとともに、前記試料ホルダの下面と前記ベースの上面の他方には、前記回転支持部と対応する位置で前記凸部に対して回転可能に嵌合する嵌合凹部が、前記スライド支持部と対応する位置で前記凸部に対して前記X方向に摺動可能に嵌合する嵌合溝が、さらに、前記当接支持部と対応する位置で前記凸部に当接する当接面が、それぞれ形成されており、前記回転支持部は前記嵌合凹部及び対応する前記凸部で、前記スライド支持部は前記嵌合溝及び対応する前記凸部で、前記当接支持部は前記当接面及び対応する前記凸部で、それぞれ構成されていることがより好ましいとされている。
【0009】
この発明に係る試料保持機構によれば、回転支持部を構成する凸部と嵌合凹部とを嵌合させ、スライド支持部を構成する凸部と嵌合溝とを嵌合させ、さらに、当接支持部を構成する凸部と当接面とを当接させることで、試料ホルダは、容易に着脱可能であるとともに、正確に位置決めされた状態でベースに支持される。
【0010】
さらに、上記の試料保持機構において、前記回転支持部、前記スライド支持部、及び前記当接支持部のそれぞれの前記凸部の表面形状は、球面に形成されているとともに、前記回転支持部の前記嵌合凹部は、前記凸部に嵌合可能な円錐状に形成され、前記スライド支持部の前記嵌合溝は、前記凸部に嵌合可能な断面V字状に形成されていることがより好ましいとされている。
【0011】
この発明に係る試料保持機構によれば、凸部の表面形状が球面に形成され、また、対応する嵌合凹部が円錐状に、嵌合溝が断面V字状に形成されていることで、凸部に対して嵌合凹部及び嵌合溝をより容易に嵌合させることができるとともに、ベースに対して試料ホルダをより正確に位置決めすることができる。
【0012】
また、上記の試料保持機構において、前記ベースの前記上面には、前記凸部が四箇所に正方状に配置されているとともに、前記試料ホルダの前記下面には、前記凸部と対応して、一つの前記嵌合凹部、一つの前記嵌合溝及び二つの前記当接面が正方状に配置されていることがより好ましいとされている。
【0013】
この発明に係る試料保持機構によれば、ベースの上面に四つの凸部が正方状に配置されているとともに、試料ホルダの下面に嵌合凹部、嵌合溝及び二つの当接面が対応して正方状に配置されている。このため、嵌合凹部を嵌合させる凸部を選択することで、試料を90度毎に異なる向きにすることができる。すなわち、試料全体の少なくとも四分の一の範囲について加工、観察可能であるならば、試料の向きを90度ずつ変えることで、試料全体について加工、観察することができ、試料が大型化しても小さい加工、観察範囲で全体を加工、観察することができる。なお、ベースに凸部が設けられ、試料が保持されている試料ホルダに回転支持部を構成する嵌合凹部が形成されていることで、試料の向きを変えても、回転支持部の回転中心の位置と、試料の一辺と他辺との交点の位置とを、常に平面視略等しい位置にすることができる。このため、温度変化によって試料ホルダが膨張、収縮したとしても、温度変化によって位置が変化しない回転支持部の回転中心を基準点として、常に試料の正確な位置管理を行うことができる。
【0014】
さらに、上記の試料保持機構において、前記ベースの前記凸部が正方状に配置された中心には、上下方向に進退して前記ベースに支持された前記試料ホルダを押し上げるとともに、押し上げた前記試料ホルダを前記ベースに対して垂直な軸回りに回転させることが可能な昇降・回転手段を備えていることがより好ましいとされている。
【0015】
この発明に係る試料保持機構によれば、昇降・回転手段によって試料ホルダを押し上げることによって、ベースに対して試料ホルダを容易に離脱させることができる。さらに、この状態で試料ホルダを90度ずつ回転させて下降することで、試料を90度ずつ異なる向きとして、試料ホルダをベースに容易に装着することができる。
【0016】
また、本発明は、上記の試料保持機構を備えた試料加工・観察装置であって、前記試料保持機構が収容された試料室と、該試料室の内部に配置された前記試料保持機構を水平方向に移動させる二軸ステージと、前記試料保持機構の前記試料ホルダに保持された前記試料を加工・観察を行う加工・観察手段を備えていることを特徴としている。
【0017】
この発明に係る試料加工・観察装置によれば、試料保持機構の試料ホルダで試料を保持して、試料室の内部に搬送し、試料保持機構のベースに装着することで、試料を試料室内部の所定の位置に正確に位置決めすることができる。この際、試料室の外部と内部との温度が異なっている、あるいは試料室の内部を真空状態にすることによる気体の断熱膨張などによって、試料ホルダの温度が変化しても、試料を回転支持部の回転中心を基準とする位置に常に保つことができる。すなわち、回転支持部の回転中心を基準に位置管理を行い、二軸ステージを駆動させることで、加工・観察手段によって試料の所定の位置を正確に加工あるいは観察することができる。
【0018】
また、上記の試料加工・観察装置において、前記加工・観察手段は、前記試料に荷電粒子ビームを照射可能な鏡筒であることがより好ましいとされている。
この発明に係る試料加工・観察装置によれば、温度変化の影響を受けずに、正確に所定の位置に鏡筒から荷電粒子ビームを照射して、試料を加工することができる。さらに、荷電粒子ビームを照射することによって発生する二次電子等を検出することによって、試料の表面を正確に観察することもできる。
【0019】
また、上記の試料加工・観察装置において、前記加工・観察手段は、前記試料の表面を走査可能なプローブであるものとしても良い。
この発明に係る試料加工・観察装置によれば、温度変化の影響を受けずに、試料の表面の所定の位置に正確にプローブを走査させることができ、正確な加工を行うことができ、また、正確な観察像を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の試料保持機構によれば、ベースに対して試料ホルダを回転支持部、スライド支持部及び当接支持部によって支持し、また、試料ホルダに対して試料をX方向位置決め部材及びY方向位置決め部材によって位置決めすることで、温度変化によって試料ホルダが膨張、収縮したとしても試料の位置を変化させること無く、試料を正確に位置決め、保持することができる。このため、異なる温度環境下で試料を搬送したとしても、試料ホルダを熱的に平衡にするための設備、あるいは時間を別途必要とすることが無く、省スペース化、省時間化を図り、かつ、正確な試料の位置管理を行うことができる。また、このような試料保持機構を備えた試料加工・観察装置によれば、装置内外の温度変化の影響を受けることが無く、省スペース化、省時間化を図り、かつ、正確な加工、観察を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1に示すように、試料加工・観察装置である集束イオンビーム装置(FIB)1は、薄板状の試料Sに荷電粒子ビームである集束イオンビームB1を照射することによって、試料Sの表面の加工、観察を行うものである。本実施形態においては、試料Sとして、フラットパネルディスプレイの製造や半導体製造の露光工程に使用されるフォトマスクを例に挙げ、所定の位置を加工することでフォトマスクの修正を行う。以下、本実施形態における集束イオンビーム装置1の詳細について説明する。
【0022】
図1に示すように、集束イオンビーム装置1は、試料Sが収容される試料室2と、照射位置B1において試料Sに集束イオンビームBを照射可能な鏡筒3を備える。試料室2の内部2aには、試料Sを位置決め、保持する試料保持機構20と、試料保持機構20を水平面上に移動させる二軸ステージ4とが設けられている。また、試料室2には、開閉可能な仕切りバルブ5が設けられており、ロードロック室6と接続されている。さらに、ロードロック室6には、開閉可能な仕切りバルブ7が設けられており、外部8と接続されている。なお、試料室2及びロードロック室6には、それぞれ図示しない排気手段が設けられており、内部2a、6aを真空雰囲気にすることが可能である。
【0023】
図1に示すように、試料保持機構20は、上面21aに試料Sを載置して保持する試料ホルダ21と、試料ホルダ21を着脱可能に支持するベース22とを備えている。図2及び図3に示すように、ベース22の上面22aには、表面形状が球面に形成された四つの凸部23が突出して設けられている。これらの凸部23は、ベース22が二軸ステージ4に設置された状態において、水平面上の一方向であるX方向及びX方向と直交するY方向に一致するように四箇所に正方状に配置されている。また、図2及び図4に示すように、試料ホルダ21の下面21bには、凸部23と対応する位置において、一つの円錐ブロック24と、一つのVブロック25と、二つのフラットブロック26とが、正方状に配置して設けられている。円錐ブロック24には、凸部23に嵌合可能な円錐状に形成された嵌合凹部24aが形成されている。また、Vブロック25は、円錐ブロック24と隣り合う位置に配置され、凸部23に嵌合可能な断面V字状の嵌合溝25aが形成されている。また、嵌合溝25aは、円錐ブロック24の嵌合凹部24aの中心24bに向って延設されている。また、フラットブロック26は、他の二箇所に配置されており、凸部23が当接可能な当接面26aが形成されている。そして、図2に示すように、円錐ブロック24の嵌合凹部24aに凸部23の一つが嵌合することで回転支持部27を構成している。また、Vブロック25の嵌合溝25aに凸部23の他の一つが嵌合することでスライド支持部28を構成している。さらに、二つのフラットブロック26のそれぞれの当接面26aに他の二つの凸部23が当接することで二つの当接支持部29を構成している。
【0024】
そして、試料ホルダ21は、これら、一つの回転支持部27、一つのスライド支持部28、及び二つの当接支持部29の四点支持によって、ベース22に支持されている。なお、図1及び図2に示すように、初期設定においてベース22に対する試料ホルダ21の向きは、Vブロック25の嵌合溝25aがX方向に延設されるように設定されている。そして、この状態において、回転支持部27は、凸部23に円錐状の嵌合凹部24aが嵌合しているだけなので、着脱可能な状態であり、X方向及びY方向への移動を規制するとともに、ベース22に対して垂直な軸回りに回転可能としている。また、スライド支持部28は、凸部23に断面V字状の嵌合溝25aが嵌合しているだけなので、着脱可能な状態であり、回転を規制するとともに、嵌合溝25aが延設されているX方向のみに摺動可能である。さらに、当接支持部29は、凸部23に当接面26aが当接しているだけなので、着脱可能な状態であり、回転可能であるとともに、X方向及びY方向に摺動可能である。
【0025】
また、図1及び図2に示すように、試料ホルダ21の上面21aには、上面21aに載置される試料Sを支持する複数の支持ピン30が突出して設けられている。さらに、試料ホルダ21の上面21aには、試料Sの一辺S1に当接して試料SをX方向に位置決めする二つのX方向位置決めピン31と、試料Sの一辺S1と隣り合う他辺S2に当接して試料SをY方向に位置決めするY方向位置決めピン32とが突出して設けられている。試料ホルダ21がベース22に支持された状態において、二つのX方向位置決めピン31は、回転支持部27の回転中心27aからY方向に沿って配置されている。また、一つのY方向位置決めピン32は、回転支持部27の回転中心27aからX方向に沿って配置されている。すなわち、試料ホルダ21の上面21aに載置された試料Sは、一辺S1がY方向に平行に配置され、他辺S2がX方向に平行に配置されるとともに、一辺S1と他辺S2との交点S3が回転支持部27の回転中心27aと平面視略等しくなる位置で位置決めされる。
【0026】
また、図1に示すように、ベース22には、上下方向であるZ方向に設けられたシャフト33と、シャフト33をベース22に対して上下に進退可能に、かつ、シャフト33の軸回りに回転可能に外嵌する回転直進ガイド34と、シャフト33をZ方向に進退させる直進駆動部35と、シャフト33を軸回りに回転させる回転駆動部36とを有する昇降・回転手段37が設けられている。シャフト33は、ベース22の凸部23が正方状に配置された中心Oに設けられている。
【0027】
次に、集束イオンビーム装置1及び試料保持機構20の作用について説明する。図1に示すように、まず、試料保持機構20の試料ホルダ21とベース22とを離脱した状態として、試料ホルダ21のみ試料室2の外部8に配置して、上面21aに試料Sを載置する。上述のように、試料Sの一辺S1をX方向位置決めピン31に当接し、他辺S2をY方向位置決めピン32に当接することで、試料Sは、試料ホルダ21において位置決めされ、保持される。このため、試料ホルダ21は、試料Sとの相対的位置を保持したまま、試料Sを撓まないように搬送することができる。まず、仕切りバルブ7を開放して、試料S及び試料ホルダ21をロードロック室6の内部6aまで、図示しない搬送ロボットによって搬送する。次に、仕切りバルブ7を閉鎖して、図示しない排気手段によってロードロック室6の内部6aを排気し、真空状態とする。この状態で、仕切りバルブ5を開放して、図示しない搬送ロボットによって、試料S及び試料ホルダ21を試料室2の内部2aに搬送する。そして、試料室2の内部2aにおいて、二軸ステージ4上に設置されたベース22に試料ホルダ21を装着する。すなわち、試料ホルダ21の円錐ブロック24の嵌合凹部24a及びVブロック25の嵌合溝25aを、ベース22の凸部23のそれぞれに嵌合させ、また、二つのフラットブロック26の当接面26aをベース22の他の凸部23のそれぞれに当接させる。
【0028】
この際、凸部23の表面形状が球面に形成され、対応する嵌合凹部24aが円錐状に、嵌合溝25aが断面V字状に形成されている。このため、搬送ロボットによる試料ホルダ21の位置設定が多少ずれていたとしても、嵌合凹部24a及び嵌合溝25aを容易に凸部23に嵌合させることができ、また、試料ホルダ21をベース22に対して正確に装着することができる。そして、試料ホルダ21は、嵌合凹部24a及び対応した凸部23による回転支持部27と、嵌合溝25a及び対応した凸部23によるスライド支持部28と、当接面26a及び対応した凸部23による二つの当接支持部29との4点支持によって確実にベース22に支持された状態とすることができる。また、回転支持部27によってX方向及びY方向の移動が規制され、スライド支持部28によってベース22に垂直な軸回りの回転が規制されているので、試料ホルダ21はベース22に対して位置決めされた状態となる。さらに、上述のように、試料Sは、一辺S1がY方向に沿って配置され、他辺S2がX方向に沿って配置されるとともに、交点S3が回転支持部27の回転中心27aと平面視略等しくなる位置で位置決めされた状態となる。すなわち、試料ホルダ21に保持された試料Sは、試料ホルダ21をベース22に装着することで、回転支持部27の回転中心27aに位置する交点S3を基準点P1として正確に位置管理することができるようになる。
【0029】
そして、試料ホルダ21の装着が完了したならば、次に、図示しない排気手段によって試料室2の内部2aを排気して、さらに高真空状態となるようにする。そして、図1及び図2に示すように、この状態で鏡筒3によって集束イオンビームBを試料Sに照射して、試料Sの加工を行う。基準点P1を基準とする位置情報に基づいて二軸ステージ4を駆動させることで、照射位置B1が所定の加工位置となるように正確に位置調整することができる。
【0030】
ここで、集束イオンビーム装置1が具備している図示しないモータ等から発生する熱や、試料室2の内部2aを真空状態にするときの気体の断熱膨張などによって、試料室2の内部2aと、外部8との温度環境は異なっている。このため、試料ホルダ21を外部8から試料室2の内部2aへ搬送する際、また、試料ホルダ21をベース22に装着した直後において、試料室2の内部2aの温度環境と熱的に平衡となるまで試料ホルダ21の温度は変化して、試料ホルダ21自身が膨張あるいは収縮する。この際、試料ホルダ21は、ベース22に対して、回転支持部27によって回転可能に支持されている。また、スライド支持部28によって回転支持部27の回転中心27aからX方向に摺動可能に支持されている。さらに、当接支持部29によってX方向及びY方向に摺動可能に支持されている。このため、試料ホルダ21は、温度変化に伴い、反力が作用すること無く、回転支持部27を中心として自由に変形することができる。
【0031】
また、試料ホルダ21の上面21aに設けられたX方向位置決めピン31及びY方向位置決めピン32も、回転支持部27の回転中心27aに向ってそれぞれ、Y方向及びX方向に変位する。すなわち、試料ホルダ21が温度変化によって膨張あるいは収縮したとしても、X方向位置決めピン31及びY方向位置決めピン32は、それぞれ当接している試料Sの一辺S1及び他辺S2に対して摺動するだけなので、試料Sは、一辺S1がY方向に平行で、他辺S2がX方向に平行であるとともに、一辺S1と他辺S2との交点S3が回転支持部27の回転中心27aと視略等しくなる位置を、常に保つことができる。このため、この集束イオンビーム装置1においては、試料ホルダ21が温度変化によって膨張あるいは収縮したとしても、試料Sの交点S3を基準点P1として、正確に位置管理を行い、また、試料の位置が変化してしまうドリフトなどの現象を発生させずに正確に試料Sの加工を行うことができる。
【0032】
なお、図2に示すように、一回目の工程として、二軸ステージ4によって試料Sの全体に対して、四分の一のより若干大きい範囲である範囲A1について試料Sを移動させて、加工を行う。そして、範囲A1についてすべての加工が完了したら試料Sを90度回転させる。すなわち、図5に示すように、昇降・回転手段37の直進駆動部35を駆動させ、シャフト33を上方へ移動させる。そして、シャフト33の上端部に設けられた支持板33aを試料ホルダ21の下面21bに当接させて、試料ホルダ21を押し上げ、ベース22から離脱させる。次に、回転駆動部36を駆動させて、シャフト33を中心Oにおいて右回りに90度回転させる。そして、再度直進駆動部35を駆動させて、シャフト33を下降させる。四つの凸部23は、ベース22の上面22aに正方状に配置されており、その中心Oにシャフト33が設けられている。また、凸部23と対応する嵌合凹部24a、嵌合溝25a及び当接面26aも対応して正方状に配置されている。このため、図6に示すように、昇降・回転手段37のシャフト33によって試料ホルダ21を90度回転して、下降させることによって、試料ホルダ21の嵌合凹部24a、嵌合溝25a及び当接面26aは、それぞれ、異なる凸部23と嵌合及び当接して、位置決めされた状態となる。
【0033】
なお、この際、試料ホルダ21に回転支持部27を構成する嵌合凹部24aが形成されていることで、回転支持部27の回転中心27aの位置と、試料Sの交点S3との位置は常に平面視略等しい位置に保つことができる。このため、昇降・回転手段37によって試料ホルダ21を回転させたとしても、温度変化による影響を受けて、試料Sが変位してしまうことが無く、回転後の試料Sの交点S3の位置を新たな基準点P2として、試料Sの位置管理を行い、範囲A2について正確に試料Sの加工を行うことができる。なお、範囲A1を加工する際の基準点P1であるのに対して、範囲A2を加工する際の基準点P2であるように、範囲A1と範囲A2とでは基準とする位置が異なってしまうが、両者のX方向及びY方向の距離を予め測定しておくことで相関性を保つことができる。
【0034】
図7に示すように、同様にさらに90度回転することで、基準点P3を基準として試料Sの位置管理を行い、範囲A3の加工を行うことができる。また、さらに90度回転して、基準点P4を基準として範囲A4の加工を行うことで、試料Sを4つの範囲A1、A2、A3、A4に分けて試料S全体の加工を行うことができる。
【0035】
以上のように、試料保持機構20によれば、ベース22に対して試料ホルダ21を回転支持部27、スライド支持部28及び当接支持部29によって支持し、また、試料ホルダ21に対して試料SをX方向位置決めピン31及びY方向位置決めピン32によって位置決めすることで、温度変化によって試料ホルダ21が膨張、収縮したとしても試料Sの位置を変化させること無く、試料Sを正確に位置決め、保持することができる。このため、異なる温度環境下で試料Sを搬送したとしても、試料ホルダ21を熱的に平衡にするための設備、あるいは時間を別途必要とすることが無く、省スペース化、省時間化を図り、かつ、正確な試料の位置管理を行うことができる。また、このような試料保持機構を備えた集束イオンビーム装置1においては、外部8と試料室2の内部2aの温度変化の影響を受けることが無く、省スペース化、省時間化を図り、かつ、正確な加工を行うことができる。
【0036】
また、一つの回転支持部27、一つのスライド支持部28及び二つの当接支持部29が正方状に配置されて試料ホルダ21を着脱可能に支持していることで、試料S全体の少なくとも四分の一の範囲を加工可能であれば、四回の工程に分けて試料Sの全体を加工することができる。このため、二軸ステージ4による移動範囲を縮小し、試料室2及び二軸ステージ4の小型化を図ることができるとともに、近年大型化しているフォトマスクに対応することができる。また、昇降・回転手段37を備えることで、容易に試料ホルダ21を回転させて、ベース22に装着することができる。
【0037】
図8は、本実施形態における変形例を示すものである。この変形例における集束イオンビーム装置40は、試料保持機構20を備えるとともに、二次電子検出器41及び二次イオン検出器42が集束イオンビームBの照射位置B1に向って設けられている。このような集束イオンビーム装置40においては、試料Sに集束イオンビームBを照射した際に、照射位置B1から発生する二次電子Eの強度を二次電子検出器41で検出することができ、また、照射位置B1から発生する二次イオンIの強度を二次イオン検出器42で検出することができる。そして、検出された二次電子Eの強度、あるいは、二次イオンIの強度によって、試料Sの表面を正確に観察することができる。
【0038】
なお、本実施形態においては、鏡筒3から荷電粒子ビームとして集束イオンビームBを照射可能な集束イオンビーム装置1、40を例に挙げたが、これらに限ることは無く、電子ビームを照射可能な、例えば走査電子顕微鏡においても試料保持機構20を備えることによって同様の効果を得ることができ、温度変化の影響を受けずに試料の正確な観察像を得ることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図9は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
図9に示すように、試料加工・観察装置である走査型プローブ顕微鏡50は、試料保持機構20を備えるとともに、加工・観察手段としてプローブ51を備える。プローブ51は、試料室2に固定された支持部52と、基端部において支持部52に片持ち梁状に支持されるカンチレバー53と、カンチレバー53の先端部において下方に突出する探針54とを備える。また、カンチレバー53の上方には、カンチレバー53の変位を測定する検出部55が設けられている。そして、二軸ステージ4を駆動させることによって、試料Sに対してプローブ51の探針54を相対的に走査し、その際のカンチレバー53の変位を検出部55で測定することで、試料Sの表面を観察することができる。
【0041】
このような走査型プローブ顕微鏡50においても、試料保持機構20を備えることにより、第1の実施形態同様に、温度変化の影響を受けずに試料Sを正確に位置決めすることができるので、試料Sの表面の正確な観察像を得ることができる。また、探針54を利用して、試料Sの表面を加工することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0043】
なお、試料加工・観察装置として、集束イオンビーム装置1、40、走査電子顕微鏡、及び走査型プローブ顕微鏡50を例に挙げたが、これらに限るものでは無い。少なくとも、薄板状の試料Sを正確に加工、あるいは観察する装置において、試料保持機構20を備えることで同様の効果を期待することができる。
【0044】
また、試料保持機構20において、試料ホルダ21は、回転支持部27と、スライド支持部28と、二つの当接支持部29との四点支持によって支持されているとしたが、これに限ることは無い。少なくとも、一つの回転支持部27と、一つのスライド支持部28と、少なくとも一つの当接支持部との三点で支持されていれば、試料ホルダ21を確実に支持するとともに、温度変化に伴って回転支持部27を中心として試料ホルダ21を自由に変形させることができる。また、回転支持部27、スライド支持部28及び当接支持部29のそれぞれの一方を構成する凸部23がベース22に設けられ、他方の嵌合凹部24a、嵌合溝25a及び当接面26aが試料ホルダ21に形成されているとしたが、逆とする構成としても、ベース22に対して試料ホルダ21を支持し、温度変化に伴って回転支持部27を中心として試料ホルダ21を自由に変形させることができる。
【0045】
さらに、凸部23の表面形状は球面に形成され、対応する嵌合凹部24aが円錐状に、嵌合溝25aが断面V字状に形成されているものとしたが、これに限るもので無い。例えば、凸部の形状を、嵌合凹部24aをなす円錐の頂角及び嵌合溝25aの断面をなすV字の底角よりも鋭角な頂角を有する円錐としても良い。また、嵌合凹部24aとしては、例えば、凸部23に対して3点当接するものでも良いし、凸部23と対応する曲率の球面としても良い。また、嵌合溝25aも同様に、例えば、凸部23と対応する曲率の断面円形の溝としても良い。
【0046】
また、試料ホルダ21に試料Sを位置決めするものとして、二つのX方向位置決めピン31及び一つのY方向位置決めピン32を備えるものとしてが、これに限るものでは無い。例えば、回転支持部の回転中心からY方向及びX方向に沿って段部が形成されるものとしても良い。少なくとも、一方が試料Sの一辺S1に当接して、一辺S1をY方向と平行とし、他方が試料Sの他辺S2に当接して、他辺をX方向と平行とするとともに、一辺S1と他辺S2の交点S3を回転支持部27の回転中心27aと平面視略等しい位置にするものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置の側面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の試料保持機構の平面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態のベースの斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施形態の試料ホルダの斜視図である。
【図5】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置の説明図である。
【図6】この発明の第1の実施形態の試料保持機構の説明図である。
【図7】この発明の第1の実施形態の試料保持機構の説明図である。
【図8】この発明の第1の実施形態の変形例の集束イオンビーム装置の側面図である。
【図9】この発明の第2の実施形態の走査型プローブ顕微鏡の側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1、40 集束イオンビーム装置(試料加工・観察装置)
2 試料室
2a 内部
3 鏡筒(加工・観察手段)
4 二軸ステージ
20 試料保持機構
21 試料ホルダ
21a 上面
21b 下面
22 ベース
22a 上面
23 凸部
24a 嵌合凹部
25a 嵌合溝
26a 当接面
27 回転支持部
27a 回転中心
28 スライド支持部
29 当接支持部
31 X方向位置決めピン(X方向位置決め部材)
32 Y方向位置決めピン(Y方向位置決め部材)
36 昇降・回転手段
50 走査型プローブ顕微鏡(試料加工・観察装置)
51 プローブ
B 集束イオンビーム(荷電粒子ビーム)
S 試料
S1 一辺
S2 他辺
S3 交点
X 方向
Y 方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に薄板状の試料を載置して保持する試料ホルダと、該試料ホルダを着脱可能に支持するベースとを備えた試料保持機構であって、
前記試料ホルダと前記ベースとの間には、前記試料ホルダを前記ベースに対して回転可能に支持する回転支持部と、
前記試料ホルダを前記ベースに対して、前記回転支持部の回転中心から所定のX方向に向って摺動可能に支持するスライド支持部と、
前記試料ホルダを前記ベースに対して、前記X方向及び前記X方向に直交するY方向に摺動可能に支持する少なくとも一つの当接支持部とが、それぞれ着脱可能に設けられ、
前記試料ホルダの前記上面には、前記回転支持部の前記回転中心から前記Y方向に沿って配置され、前記試料の一辺に当接して前記試料を前記X方向に位置決めするX方向位置決め部材と、
前記回転支持部の前記回転中心から前記X方向に沿って配置され、前記試料の前記一辺と隣り合う他辺に当接して前記試料を前記Y方向に位置決めするY方向位置決め部材とが設けられていることを特徴とする試料保持機構。
【請求項2】
請求項1に記載の試料保持機構において、
前記試料ホルダの下面と前記ベースの上面のいずれか一方には、前記回転支持部、前記スライド支持部及び前記当接支持部のそれぞれと対応する位置で、凸部が突出して設けられているとともに、
前記試料ホルダの下面と前記ベースの上面の他方には、前記回転支持部と対応する位置で前記凸部に対して回転可能に嵌合する嵌合凹部が、前記スライド支持部と対応する位置で前記凸部に対して前記X方向に摺動可能に嵌合する嵌合溝が、さらに、前記当接支持部と対応する位置で前記凸部に当接する当接面が、それぞれ形成されており、
前記回転支持部は前記嵌合凹部及び対応する前記凸部で、前記スライド支持部は前記嵌合溝及び対応する前記凸部で、前記当接支持部は前記当接面及び対応する前記凸部で、それぞれ構成されていることを特徴とする試料保持機構。
【請求項3】
請求項2に記載の試料保持機構において、
前記回転支持部、前記スライド支持部、及び前記当接支持部のそれぞれの前記凸部の表面形状は、球面に形成されているとともに、
前記回転支持部の前記嵌合凹部は、前記凸部に嵌合可能な円錐状に形成され、
前記スライド支持部の前記嵌合溝は、前記凸部に嵌合可能な断面V字状に形成されていることを特徴とする試料保持機構。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の試料保持機構において、
前記ベースの前記上面には、前記凸部が四箇所に正方状に配置されているとともに、
前記試料ホルダの前記下面には、前記凸部と対応して、一つの前記嵌合凹部、一つの前記嵌合溝及び二つの前記当接面が正方状に配置されていることを特徴とする試料保持機構。
【請求項5】
請求項4に記載の試料保持機構において、
前記ベースの前記凸部が正方状に配置された中心には、上下方向に進退して前記ベースに支持された前記試料ホルダを押し上げるとともに、押し上げた前記試料ホルダを前記ベースに対して垂直な軸回りに回転させることが可能な昇降・回転手段が設けられていることを特徴とする試料保持機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の試料保持機構を備えた試料加工・観察装置であって、
前記試料保持機構が収容された試料室と、
該試料室の内部に配置された前記試料保持機構を水平方向に移動させる二軸ステージと、
前記試料保持機構の前記試料ホルダに保持された前記試料の加工・観察を行う加工・観察手段を備えていることを特徴とする試料加工・観察装置。
【請求項7】
請求項6に記載の試料加工・観察装置において、
前記加工・観察手段は、前記試料に荷電粒子ビームを照射可能な鏡筒であることを特徴とする試料加工・観察装置。
【請求項8】
請求項6に記載の試料加工・観察装置において、
前記加工・観察手段は、前記試料の表面を走査可能なプローブであることを特徴とする試料加工・観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−213956(P2007−213956A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32146(P2006−32146)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】