説明

試料冷却装置

【課題】極低温に冷却した時、測定基準面に対し、試料ないしはウェハーが、振動やドリフトをすることのない装置を提供すること。
【解決手段】(a)測定基準面を形成するテーブルを有するハウジングに設けられた、断熱部材を介して支持され真空容器内に配置した試料ホルダと、(b)前記ハウジング内に配置されたフレームであって、前記ハウジングと前記フレームとの間が第1緩衝機によって支持されたフレームと、(c)前記フレーム内に配置した冷凍機であって、該冷凍機が、該フレームと、前記真空容器の方向に冷凍機ヘッドを向けた該冷凍機との間に配設された第2緩衝機によって支持され、かつ、該冷凍機の該冷凍機ヘッドが、前記試料ホルダと該冷凍機ヘッドとの間に配設した可撓性熱伝導部材によって、該試料ホルダに接続してなる、試料冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料ないしはウェハーを極低温に冷却し、顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光伝導特性評価又は伝導特性評価を行うための試料冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料ないしはウェハーを冷凍機により極低温に冷却する場合、冷凍機を振動源とする振動が、試料ないしはウェハーに伝わり、試料ないしはウェハーが、測定基準面に対し、振動あるいはドリフトするため、顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光伝導特性評価又は伝導特性評価を行う場合、その精度を低下させるという問題があった。
【0003】
一方、従来から、真空容器と冷凍機を、防振アダプタなどを介して接続する方法(特許文献1〜5)が提案されている。確かに、防振アダプタがある方が試料の振動やドリフトは少ないが、高空間分解の測定にはまだまだ不十分である。
【0004】
これに付随して、冷凍機に錘を固定し振動を減じさせる方法(特許文献6、7)や、冷凍機を床面に強固に固定させ振動を減少させる方法(特許文献8)が考案されている。確かに、この方がさらに試料の振動やドリフトが少なくなるが、1ミクロン以下の高空間分解能を必要とする測定には不十分である。
【0005】
また、冷凍機の振動部に測定系を固定することで、試料と測定系の相対運動をゼロにする方法(特許文献9)も提案されている。しかしながら、振動部は加速度的に振動するため測定系や測定系を固定している部材が変形するので、実際は、相対運動はゼロにはならい。
【0006】
これらに対し、空気やヘリウムガスないしは液体ヘリウムを介して試料を冷却し、冷凍機の振動を直接試料に伝わらせない方法(特許文献10〜12)が提案されているが、試料を保持する部材を通して冷凍機の振動が間接的に試料に伝わるため、実質的な効果は低い。
【0007】
また、測定中に一旦冷凍機を停止させる方法(特許文献13)も提案されているが、温度が一定せず、試料のドリフトも大きいので、精密測定には不向きである。
【0008】
【特許文献1】特開平05−243042号公報
【特許文献2】特開平07−84058号公報
【特許文献3】特開平09−50910号公報
【特許文献4】特開平11−87131号公報
【特許文献5】特開平11−512512号公報
【特許文献6】特開平09−229997号公報
【特許文献7】特開2006−41259号公報
【特許文献8】特開2005−24184号公報
【特許文献9】特開平05−245395号公報
【特許文献10】特開平05−297092号公報
【特許文献11】特開平06−74819号公報
【特許文献12】特開平06−109821号公報
【特許文献13】特開2002−277086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決することを目的とするものであり、試料ないしはウェハーを極低温に冷却した時、測定基準面に対し、試料ないしはウェハーが、振動やドリフトをすることのない装置を実現することを目的としている。特に、試料ないしはウェハーの温度が20K以下で、試料ないしはウェハーの振動やドリフトを0.2μm以下にすることが好ましく、それにより、極低温でかつ空間分解能の高い精密な試料評価が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の試料冷却装置は、上記課題を解決するために、(a)測定基準面を形成するテーブルを有するハウジングに設けられた、断熱部材を介して支持され真空容器内に配置した試料ホルダと、
(b)前記ハウジング内に配置されたフレームであって、前記ハウジングと前記フレームとの間が第1緩衝機によって支持されたフレームと、
(c)前記フレーム内に配置した冷凍機であって、該冷凍機が、前記フレームと、真空容器の方向に冷凍機ヘッドを向けた冷凍機との間に配設された第2緩衝機によって支持され、かつ、前記冷凍機の冷凍機ヘッドが、試料ホルダと前記冷凍機ヘッドとの間に配設した可撓性熱伝導部材によって、前記試料ホルダに接続してなる、
ことを特徴としている。
本発明において、測定基準面を形成するテーブルにおいて、測定基準面は、該テーブルの上面の位置とすることができる。
【0011】
以下に、本発明の試料冷却装置の好ましい実施態様を説明する。
測定基準面を形成するテーブルの一側に真空容器を、他側にフレームを配置することが好ましい。
【0012】
前記ハウジングにおいて測定基準面を形成するテーブルに貫通孔を形成し、該貫通孔の上方に下方が開口した断面コ字状の真空容器を、下方に上方が開口した断面コ字状のフレームを配置し、該真空容器内に冷凍機の冷凍機ヘッドが、該冷凍機ヘッドより下側部分がフレーム内に位置するように該冷凍機を配置し、該冷凍機の側部を密封状に覆う密封部材の上部と該真空容器の下部を可撓性真空ベローズで接続することが好ましい。
【0013】
本発明の試料冷却装置において、複数個のフレームと複数組みの緩衝機を用い、多段ないしは多重構造で構成することが好ましい。
【0014】
試料ホルダ、可撓性熱伝導部材及び冷凍機の冷凍機ヘッドを該冷凍機の中間冷却部に接続された熱輻射シールドにより覆うことが好ましい。
【0015】
試料の振動及びドリフトの値をそれぞれ0.2μm以下、かつ、試料の温度を20K以下とすることが好ましい。
【0016】
前記の第1及び/又は第2緩衝機が、能動除振機能を有することが好ましい。複数個のフレームと複数組みの緩衝機においても、緩衝機の全部又は一部に能動除振機能を有することが好ましい。
【0017】
真空容器が着脱式ないしは開閉式の光学窓を有することが好ましい。光学窓を通し、試料を観測することや光学測定を行うことが可能となるが、光学窓を開けた際、試料交換を行うことも可能となる。
【0018】
熱輻射シールドが光学測定用の穴を有することが好ましい。
【0019】
熱輻射シールドが着脱式ないしは開閉式の蓋を有することが好ましい。
【0020】
熱輻射シールドが熱を通さない光学窓を有することが好ましい。
【0021】
試料もしくはウェハーに電線、プローブ電極、カンチレバー又は光プローブ部材を接続または近接できる機構を設置することが好ましい。
【0022】
少なくとも2つ以上の梁で断熱部材と真空容器を固定することが好ましい。
【0023】
梁が、熱輻射シールドを貫通する構造を有することが好ましい。
【0024】
梁が、真空容器の外側から穴に挿入され断熱部材に固定されるボルト状の形状を有し、該ボルト状の梁のヘッドを該真空容器の真空カバーで覆い、該真空容器と該真空カバーとの間の真空漏れをOリングで防ぐ構成とすることが好ましい。
【0025】
梁が、真空容器の外側から穴に挿入され断熱部材に固定されるボルト状の形状を有し、該ボルト状の梁の円柱状側面が該真空容器穴に密着され、該梁の該円柱状側面と該穴の側面との間の真空漏れをOリングで防ぐ構成とすることが好ましい。
【0026】
梁6本ないしは8本により該試料ホルダの位置ないしは傾斜を測定基準面に対し調整できる機構を有する構成とすることが好ましい。
【0027】
断熱部材が円筒状ないしは棒状の構造を有することが好ましい。
【0028】
試料もしくはウェハーを試料ホルダに固定する際、リングあるいはメッシュ状の板を該試料上に設置し、該リングあるいは該メッシュ状の板をネジあるいはクランプで該試料ホルダに固定する構成とすることが好ましい。
【0029】
試料ホルダが、静電吸着機能を有することが好ましい。
【0030】
可撓性熱伝導部材が、銅線、銀線、銀メッキした銅線、金メッキした銅線、金メッキした銀線、銅製リボン、銀製リボン、銀メッキした銅製リボン、金メッキした銅製リボン又は金メッキした銀製リボンから作製されることが好ましい。
【0031】
真空容器に試料もしくはウェハーを交換するためのゲートバルブとロードロックを設置ことが好ましい。
【0032】
ロードロック内あるいは該ロードロック外に試料もしくはウェハーを交換するための単一あるいは複数の試料を保持するカセットを有することが好ましい。
【0033】
手動アームないしは自動アームにより試料もしくはウェハーを交換する構成とすることが好ましい。
【0034】
測定基準面を有するテーブルないしは該測定基準面を有するテーブルに固定された部材を光学定盤とする構成とすることが好ましい。ここで、前記光学定盤やテーブルは、ハウジングを形成する部材の1つである。
【0035】
測定基準面を第二の測定基準面に対し移動ないしは微動させる機構を備えることが好ましい。
【0036】
冷凍機として、GM式冷凍機あるいはソルベー式冷凍機あるいはジュールトムソン式冷凍機あるいはピストン管式冷凍機あるいはヘリウム循環式冷凍機を用いることが好ましい。
【0037】
試料の顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光応答特性評価、光伝導特性評価又は伝導特性評価の試料冷却装置として利用されることが好ましい。
【0038】
試料の顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光応答特性評価、光伝導特性評価又は伝導特性評価をウェハー状態で行える構成とする試料冷却装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
このように、本発明では、試料ないしはウェハーを極低温に冷却しても、測定基準面に対して、試料ないしはウェハーの振動やドリフトがほとんど無い状態にすることが可能となる。例えば、試料ないしはウェハーの温度が20K以下で、試料ないしはウェハーの振動やドリフトを0.2μm以下にすることができる。
【0040】
したがって、極低温下における試料ないしはウェハーのより精密な顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光応答特性評価、光伝導特性評価又は伝導特性評価が可能となる。
精密な顕微鏡観察ないしは顕微観察もしくは顕微分光は、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、近接場走査型光学顕微鏡(NSOM)又は他の種々の走査型プローブ顕微鏡(SPM)によって行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明に係る試料冷却装置の実施の形態を図面を参照して、以下に説明する。
【0042】
図1は、本発明に係る試料冷却装置の構成の概要を一部を縦断面図、一部を正面図で示す正面図である。この図1に示すように、本発明に係る試料冷却装置は、測定基準面1を形成するテーブルに固定された真空容器2内に断熱部材4を介して試料ホルダ5を固定するとともに、測定基準面1を形成するテーブルに第1緩衝機6を介してフレーム7を設置し、フレーム7に第2緩衝機8を介して支持されるとともに真空容器2内に冷凍機ヘッドが臨むようにして冷凍機11を設置し、冷凍機11の冷凍機ヘッド12を可撓性熱伝導部材13を介して試料ホルダ5に接続してなるものである。
【0043】
測定基準面1を形成するテーブルは、水平に設置された平板状部材からなり、底板60から立設した縦壁61により支持されており、中央部に貫通孔62が形成されている。
図1に示す試料冷却装置においては、測定基準面1を形成するテーブルの上方に下方が開口した断面コ字状の真空容器2が、測定基準面1を形成するテーブルの下方に冷凍機11を支持するところの上方が開口した断面コ字状のフレーム7が配置されている。図1中、ハウジングは、測定基準面1を形成するテーブル、縦壁61、及び底板60からなる。
【0044】
冷凍機11は、冷凍機ヘッド12が真空容器2内に位置し、冷凍機ヘッド12より下側部分がフレーム7内の空間に位置するように配置されており、冷凍機11の側部を密封状に覆う密封部材10の上部と真空容器2の下部を可撓性真空ベローズ9で接続し、真空容器2内の空間と連続した真空空間を形成している。図1の場合、冷凍機11の中間冷却部14は、可撓性真空ベローズ9内に位置している。
冷凍機11は、側部を密封状に覆う密封部材10とフレーム7の内側壁との間に数カ所設けられた第2緩衝器8、及び、フレーム7の底壁に設けられた第2緩衝器8を介してフレーム7により支持されている。
【0045】
水平状に配置された平板状の試料ホルダ5の下側に円筒状の断熱部材4が接続され、断熱部材4が真空容器2から延びた梁3により支持されている。平板状の試料ホルダ5及び円筒状の断熱部材4により形成される下側開口のコ字状空間内に冷凍機11の冷凍機ヘッド12が位置しており、冷凍機ヘッド12、可撓性熱伝導部材13及び試料ホルダ5を覆うように、冷凍機11の中間冷却部14から上方に延びた円筒状の熱輻射シールド15が設けられている。
【0046】
ここで、冷凍機11をフレーム7の内側に配置することで、本発明による試料冷却装置を小型化することができる。
【0047】
また、真空容器2を測定基準面1の上に配置することで、本発明による試料冷却装置の組み立て、メンテナンス又は試料交換が容易になる。
【0048】
なお、真空容器2を測定基準面1の下側に配置することで、その上部の空間に他の測定装置などを配置することが容易になる。
【0049】
さて、冷凍機11及び冷凍機の側部を密封状に覆う密封部材10は、冷凍機11の稼動中に振動を発生させるが、冷凍機11及び密封部材10とフレーム7との間に設けられた緩衝機8によりその振動が減衰されて、フレーム7に僅かに伝わる。
【0050】
ここで、フレーム7が、基準面1に対し第1緩衝機6により浮かされ、自由に振動できる構造となっており、さらに、第2緩衝機8により、冷凍機11及び密封部材10に接続されているため、フレーム7は、冷凍機11の動きに遅れて動く。
【0051】
そのため、冷凍機11の振動とフレーム7の振動の位相がずれ、フレーム7は、冷凍機11及び密封部材10の振動を打ち消すように作用する。
【0052】
フレーム7に伝わった僅かな振動も、さらに、第1緩衝機6により減衰されるため、結果として、冷凍機11及び密封部材10の振動は、測定基準面1ないしは測定基準面1に固定された部材には、ほとんど伝わらないばかりか、元の冷凍機11及び密封部材10の振動を押えることが可能となる。
【0053】
一方、上記で説明した冷凍機11及び密封部材10の減じられた振動も、可撓性真空ベローズ9の可撓性により、測定基準面1にはほとんど伝わらない。
【0054】
また、試料17ないしは試料ホルダ5は、可撓性熱伝導部材13を介して冷凍機ヘッド12により冷やされるが、可撓性熱伝導部材13の可撓性により、冷凍機11の振動は、試料ホルダ5ないしは試料17にはほとんど伝わらない。
【0055】
このような構成とすることにより、試料17を極低温に冷却しても、測定基準面1に対して、試料17の振動やドリフトがほとんど無い状態にすることが可能となる。
【0056】
第1緩衝機6及び/又は第2緩衝機8が能動除振機能を有するようにすると、測定基準面1に対して、さらに、試料17をより無振動、無ドリフト状態に近づけることが出来る。
ここで、能動除振機能とは、まず、元の振動を検出し、ついで、その振動とは逆位相で同じ振幅の振動を発生させることで、元の振動をフィードバック的に相殺し、結果的に振動を元の振動より減衰させる機能を意味する。
【0057】
なお、真空容器2に光学窓16を設置することにより、試料17の観察や、光学測定が可能となる。
【0058】
熱輻射シールド15に熱を通さない光学窓18を設置することにより、試料17を外部から観察しても試料17の温度上昇を押えることが可能となる。また、試料17に電線、プローブ電極、カンチレバー又は光プローブ部材を接続または近接できる図示しない機構を設置してもよい。
【0059】
ここで、熱輻射シールド15は、図1に示すように、断熱部材4の内側および外側に設置されるよう分岐する構造にすると、熱輻射シールド効果が高くなる。
【0060】
少なくとも2つ以上の梁3で断熱部材4と真空容器2を固定することにより、試料17を測定基準面1に対して強固に固定し、相対運動を減じることが可能となる。
【0061】
この場合、梁3は、熱輻射シールド15を貫通する構造となる。
【0062】
また、梁3が、真空容器2の外側から挿入され断熱部材4に固定されるボルト状の形状を有し、ボルト状の梁3のヘッドを真空容器2にOリング19を介して密着された真空カバー20により覆うことにより、試料17を測定基準面1に対して強固に固定し、かつ、真空容器2内の真空を保つことができる。
【0063】
この場合、ボルト状の梁3の閉め具合により、断熱部材4、試料ホルダ5および試料17の位置を微動させることが可能であるが、別途、梁3を測定基準面1に対し移動あるいは微動させる図示しない機構を追加してもよい。
【0064】
なお、Oリングは、ボルト状の梁3のヘッドの下部で、ボルト状の梁3の円柱側面に設置してもよい。
【0065】
さらに、梁6本ないしは8本にすることで、断熱部材4、試料ホルダ5及び試料17の位置又は傾斜を測定基準面1に対しより精度よく調整することができる。
【0066】
断熱部材4は、円筒状又は棒状の構造とすることで強度が増加し、試料ホルダ5ないしは試料17を測定基準面1に対し強固に固定できる。
【0067】
なお、試料17を試料ホルダ5に固定する際、接着剤で固定することもできるが、図示しないリングあるいはメッシュ状の板を試料17上に設置し、該リングあるいは該メッシュ状の板をネジあるいはクランプで試料ホルダ5に固定することで、試料の固定や試料の交換が容易になる。
また、この際、試料17を、別途、図示しない板状の部材に固定し、該板状の部材を試料ホルダ5に着脱する機構にしてもよい。
【0068】
なお、試料ホルダ5が、静電吸着機能を有すと、試料17の着脱がさらに容易になる。
【0069】
可撓性熱伝導部材13として、銅線、銀線、銀メッキした銅線、金メッキした銅線、金メッキした銀線、銅製リボン、銀製リボン、銀メッキした銅製リボン、金メッキした銅製リボン又は金メッキした銀製リボンを用いることができる。
【0070】
真空容器2に試料17を交換するための図示しないゲートバルブとロードロックを設置すると、真空容器2内の真空を維持しながら、試料17の交換をすることができる。
【0071】
ロードロック内あるいは該ロードロック外に試料もしくはウェハーを交換するための単一あるいは複数の試料もしくはウェハーを保持するカセットを設置すると、複数の試料もしくはウェハーを連続して測定することが可能となる。
【0072】
その際、手動アーム又は自動アームにより試料17を交換すると迅速に試料交換が行える。
なお、この際、試料17を、別途、板状の部材に固定し、該板状の部材ごと交換してもよい。
【0073】
測定基準面1を形成するテーブルを光学定盤とする構成とすると、光学定盤に設置した光学系を用いて試料17を測定することが可能となる。なお、測定基準面1ないしは上記光学定盤に対し、冷凍機、フレーム、真空容器などを横に寝かせる配置や上下を反転した配置で固定しても良い。
【0074】
測定基準面1を図示しない第二の測定基準面に対し移動又は微動させる機構を備えると、第二の測定基準面に設置した測定系を用い、試料17の面内分布の測定が可能となる。
【0075】
冷凍機11として、GM式冷凍機、ソルベー式冷凍機、ジュールトムソン式冷凍機、ピストン管式冷凍機又はヘリウム循環式冷凍機を用いることができる。
【0076】
試料17の顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光応答特性評価、光伝導特性評価又は伝導特性評価の試料冷却装置として利用することが可能である。
【0077】
試料17の顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光応答特性評価、光伝導特性評価又は伝導特性評価をウェハー状態で行える試料冷却装置の構成とすることにより、ウェハーの検査が可能となる。
【0078】
図2は、本発明に係る試料冷却装置の構成の概要を示す正面図である。この図2は、図1に類似しているが、図2では、2個のフレーム(7、7−1)と複数組みの緩衝機を用い、2段ないしは2重構造で構成してなるものであり、2段で振動が伝わらないようにすることで、より振動が伝わり難くしたものである。なお、複数個のフレームと複数組みの緩衝機を用い、3段以上の多段ないしは3重以上の多重構造で構成することで、さらに振動を伝わり難くすることも可能である。緩衝機の全部又は一部が能動除振機能を有することも可能である。また、図2に示すように、フレーム7に設置した梁105で可撓性真空ベローズ9を支えることにより、より除振効果を増すことも可能である。なお、図2において図1と同符号は図1と同じものを意味する。
【実施例1】
【0079】
以下に本発明を実施例に基づき図面を参照して説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明中、各図の説明中で同符号は図1及び図2を含めて、同じものを示す。
【0080】
本発明の試料冷却装置の実施例1を、図3に示す。この実施例1の試料冷却装置は、本発明の特徴とする真空容器2、梁3、断熱部材4、試料ホルダ5−2と、第1緩衝機6、6−2、フレーム7、第2緩衝機8、可撓性真空ベローズ9、密封部材10、冷凍機11、可撓性熱伝導部材13、および、熱輻射シールド15を図1において説明したように、測定基準面1を形成するテーブルに固定された部材22に配置して成るものである。
なお、図3には、緩衝部材51と、ばね付き緩衝部材52と、支持具53、54、55及び56と、密封部材10とからなる密封手段26、梁3のヘッドを真空カバー20により覆ってなる密封手段27、並びに試料17と光学窓16からなる密封手段28を、それぞれ拡大して模式的に図中に対応して示した。
【0081】
なお、実施例1では、測定基準面1が光学定盤21上に設定されており、測定基準面1を形成する光学定盤21上に固定された部材22に真空容器2が固定されている。
【0082】
また、光学定盤21は、柱23により、床24に固定されており、部材22や床23に接続された第1緩衝機6又は第1緩衝機6−2を介して、フレーム7が設置されている。
【0083】
なお、光学定盤21や柱23に別途除振機能を持たせてやってもよい。
図3中、ハウジングは、光学定盤21、部材22、柱23、及び床24からなる。
【0084】
冷凍機11又は密封部材10は、フレーム7に第2緩衝機8又は第2緩衝機8−2を介して設置され、密封部材10は、可撓性真空ベローズ9を介して真空容器2に接続されている。
【0085】
ここで、冷凍機11又は密封部材10をフレーム7の内部に設置しており、全体のサイズをコンパクトにするよう配置している。
【0086】
また、第1緩衝機6は、ゴム、樹脂、ゲル又はばねなどの緩衝部材を用いており、第2緩衝機8や8−2は各空間方向に主な役割を分けて担わせた緩衝部材の組合せを緩衝機と成すよう配置した例であり、第2緩衝機8は、立て方向の振動を緩衝させる緩衝部材51と水平方向の振動を緩衝させるばね付き緩衝部材52を支持具53、54、55および56により支持する構成としている。
【0087】
また、第2緩衝機8−2は、第2緩衝機8の機能の4つ分を一つにまとめて構成した構造である。
【0088】
なお、緩衝部材の組合せは、この例に限定される必要はなく、他の組合せでも良い。
【0089】
一方、試料ホルダ5−2は、真空容器2に梁3により固定された断熱部材4上に固定され、その下部が、可撓性熱伝導部材13を介して、冷凍機ヘッド12に接続されている。
【0090】
また、熱輻射シールド15は、冷凍機11の中間冷却部14に接続されており、冷却ヘッド12、可撓性熱伝導部材13及び試料ホルダ5−2を覆い、外界からの熱輻射を防いでいる。
【0091】
なお、この実施例1では、試料17は、側面から観測可能なように配置されており、側面の光学窓16からより近くに観測できるように、熱輻射シールド15を貫通して配置されている。
【0092】
この実施例1では、試料17の温度を10K以下に冷却でき、かつ、測定基準面をなす光学定盤21または部材22に対して、試料17の振動およびドリフトを0.1μm以下に押えることが出来た。
【0093】
また、フレーム7にキャスター25を付けておくと、装置を移動させる際に便利であった。
【実施例2】
【0094】
図4は、本発明の試料冷却装置の実施例2を示す。この実施例2は、上面から試料を観測できるように構成している。
【0095】
熱を通さない光学窓18のついた熱輻射シールドの蓋34および真空容器の蓋33を開け、固定リング35を外すことにより、試料17を交換することができる。
【0096】
なお、梁3は、真空容器2の外部から挿入され、断熱部材4の内側の止め具31にねじ止めされているが、その際、熱輻射シールド15に明けられた穴を貫通している。
【0097】
また、可撓性熱伝導部材13は、熱伝導部材32を通して冷凍機ヘッド12に接続されているが、可撓性熱伝導部材13の両端には、試料ホルダ5と熱伝導部材32に接続するための部材が接続されている。
【0098】
なお、試料17は、ウェハー状態で、固定リング35を用いて、試料ホルダ5に固定することが可能であるが、試料ホルダ5に静電吸着機能を持たせると試料交換がより簡便である。
また、試料17を、別途、図示しない板状の部材に固定し、該板状の部材ごと交換してもよい。
【実施例3】
【0099】
図5は、本発明の試料冷却装置の実施例3を示す。この実施例3は、顕微分光装置41に設置された対物レンズ42により、側面から試料を観測ないしは顕微分光あるいは顕微光応答測定できるようにしている。
【0100】
測定基準面は光学定盤21上に設定されており、光学定盤21に本発明の試料冷却装置および顕微分光装置が固定されているため、試料の温度を10K以下にした状態で、試料の振動やドリフトを0.1μm以下に押えた高精度の顕微鏡観察、顕微分光又は顕微光応答測定が可能であった。
【実施例4】
【0101】
図6(A)及び図6(B)は、本発明の試料冷却装置の実施例4を示す。この実施例4は、試料の光伝導特性または伝導特性を測定できるようにしている。図6(A)は試料冷却装置の使用状態の説明図、図6(B)はICソケット75に差込む試料固定部材78を拡大して示す模式図である。
【0102】
ここで、試料固定部材78において、試料17はICパッケージ71に接着され、ICパッケージ71の電極パッド72に電線73で電気的に接続している。
【0103】
また、ICパッケージ71は、試料ホルダ5−2に設置されているICソケット75に電極端子74を差込み固定する。
【0104】
ここで、電線73−2をICソケット75の各電極端子に接続すると、試料固定部材78上の試料17と電気測定装置76を電気的に接続することができるので、試料の光伝導特性ないしは伝導特性を測定することが可能となる。
【0105】
なお、試料カバー77をICパッケージ71に被せることで、試料17の温度を安定化させることができる。
【0106】
勿論、多少不便ではあるが、ICパッケージやICソケットを用いなくても、試料に電線を接続させることは可能である。
【実施例5】
【0107】
図7は、本発明の試料冷却装置の実施例5を示す。この実施例5は、試料の光伝導特性、伝導特性を測定できるようにした別の例である。
【0108】
ここで、試料ホルダ5に設置された試料17は、プローブ電極81により電気測定装置と電気的に接続されるが、プローブ電極81を移動ステージ82で可動すれば、試料17の複数の電気経路に対する電気測定が可能である。
なお、プローブ電極81、又はプローブ電極81をカンチレバー又は光プローブ部材に置き換えたもので、近接場顕微鏡観察又は近接場分光をすることが可能である。
【実施例6】
【0109】
図8は、本発明の試料冷却装置の実施例6を示す。この実施例6は、試料の交換を容易にした例である。
【0110】
この実施例6では、真空容器2にゲートバルブ91とロードロック92が設置されており、真空容器2とロードロック92内の真空を維持しながら、ゲートバルブ91を、ゲートバルブ開閉機構91−2を操作することにより、開け、アーム93を真空容器2内に出し入れすることにより、試料17を真空容器2からロードロック92に、あるいは、ロードロック92から真空容器2内の試料ホルダ5に移動することができる。
【0111】
この際、試料ホルダ5を低温に維持しながら試料交換することも可能であるので、測定時間の一層の短縮につながる。
【0112】
なお、アーム93は、手動でも良いが、自動で動作させると正確かつ迅速に試料交換が行える。
【0113】
一方、ロードロック92内に試料を交換するための単一あるいは複数の試料を保持するカセット94を設置すると、真空を維持しながら、複数の試料を連続して測定することが可能となる。
【0114】
なお、カセット94は、カセット移動機構94−2により可動できるが、試料又はカセット94は、ロードロックの扉92−2を開けることで、ロードロック92の外に取り出すことができる。
【0115】
また、カセット94は、真空容器2内に設置してもよい。その際、カセット移動機構94−2は真空容器2に設置する。
【0116】
試料ホルダ5が、試料押え機構又は静電吸着機能を有すと、試料17の着脱が確実に行え、冷却効率も良くなる。
なお、試料を別途板状の部材に固定し、該板状の部材を試料ホルダ5に着脱する機構にしてもよい。
【実施例7】
【0117】
図9は、本発明の試料冷却装置の実施例7を示す。この実施例7は、測定基準面1または試料17を第二の測定基準面101に対し、移動ないしは微動させる機構を設置した例である。
【0118】
ここで、試料冷却装置103は、移動ステージ102に設置され、第二の測定基準面101に対し、試料冷却装置103または試料17の相対位置を変えることができる。
【0119】
この実施例を用いれば、第二の測定基準面101に固定した光学測定系などを用い、移動ステージ102により、試料冷却装置103を移動させることで、貫通孔104から、試料17の面内分布特性などの測定が可能となる。
【0120】
以上、本発明の試料冷却装置の最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の技術的事項の範囲内で、いろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上の構成から成る本発明によれば、従来問題であった、試料ないしはウェハーを冷凍機により極低温に冷却する場合、冷凍機を振動源とする振動が、試料ないしはウェハーに伝わり、試料ないしはウェハーが、測定基準面に対し、振動あるいはドリフトするため、顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光伝導特性評価又は伝導特性評価を行う場合、その精度を低下させてしまうということがないため、試料ないしはウェハーの極低温下における高精度な測定を必要とする用途に適用できる。
【0122】
例えば、試料ないしはウェハーの極低温下における顕微鏡観察や顕微分光ないしは顕微光伝導特性の測定や、近接場顕微鏡観察または近接場分光等にきわめて有用である。
【0123】
特に、本発明の試料冷却装置を、ウェハー検査装置に用いた場合、簡便に極低温下の高分解能測定ができるため、より信頼性の高いウェハーの品質管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明に係る試料冷却装置の構成の概要を示す正面図である。
【図2】本発明に係る試料冷却装置の構成の変更態様の概要を示す正面図である。
【図3】本発明の試料冷却装置の実施例1を示す正面図である。
【図4】本発明の試料冷却装置の実施例2を示す正面図である。
【図5】本発明の試料冷却装置の実施例3を示す平面図である。
【図6(A)】本発明の試料冷却装置の実施例4の要部を示す正面図であり、試料冷却装置の使用状態の説明図である。
【図6(B)】図6(A)中のICソケット75に差込む試料固定部材78を拡大して示す模式図である。
【図7】本発明の試料冷却装置の実施例5の要部を示す正面図である。
【図8】本発明の試料冷却装置の実施例6の要部を示す正面図である。
【図9】本発明の試料冷却装置の実施例7を示す正面図である。
【符号の説明】
【0125】
1 測定基準面
2 真空容器
3 梁
4 断熱部材
5、5−2 試料ホルダ
6、6−2 第1緩衝機
7、7−1 フレーム
8 第2緩衝機
9 可撓性真空ベローズ
10 密封部材
11 冷凍機
12 冷凍機ヘッド
13 可撓性熱伝導部材
14 中間冷却部
15 熱輻射シールド
16 光学窓
17 試料
18 熱を通さない光学窓
19 Oリング
20 真空カバー
21 光学定盤
22 部材
23 柱
24 床
25 キャスター
31 止め具
32 熱伝導部材
33 真空容器の蓋
34 熱輻射シールドの蓋
35 固定リング
41 顕微分光装置
42 対物レンズ
51 緩衝部材
52 ばね付き緩衝部材
53、54、55、56 止め具
60 底板
61 縦壁
62 貫通孔
71 ICパッケージ
72 電極パッド
73、73−2 電線
74 電極端子
75 ICソケット
76 電気測定装置
77 試料カバー
78 試料固定部材
81 ブローブ電極
82 移動ステージ
91 ゲートバルブ
91−2 ゲートバルブ開閉機構
92 ロードロック
92−2 ロードロックの扉
93 アーム
94 カセット
94−2 カセット移動機構
101 第二の測定基準面
102 移動ステージ
103 試料冷却装置
104 貫通孔
105 梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)測定基準面を形成するテーブルを有するハウジングに設けられた、断熱部材を介して支持され真空容器内に配置した試料ホルダと、
(b)前記ハウジング内に配置されたフレームであって、前記ハウジングと前記フレームとの間が第1緩衝機によって支持されたフレームと、
(c)前記フレーム内に配置した冷凍機であって、該冷凍機が、該フレームと、前記真空容器の方向に冷凍機ヘッドを向けた該冷凍機との間に配設された第2緩衝機によって支持され、かつ、該冷凍機の該冷凍機ヘッドが、前記試料ホルダと該冷凍機ヘッドとの間に配設した可撓性熱伝導部材によって、該試料ホルダに接続してなる、
ことを特徴とする試料冷却装置。
【請求項2】
測定基準面一方の側に真空容器を、他方の側にフレームを配置することを特徴とする請求項1に記載の試料冷却装置。
【請求項3】
前記ハウジングにおいて測定基準面を形成するテーブルに貫通孔を形成し、該貫通孔の上方に下方が開口した断面コ字状の真空容器を、下方に上方が開口した断面コ字状のフレームを配置し、該真空容器内に冷凍機の冷凍機ヘッドが、該冷凍機ヘッドより下側部分が該フレーム内に位置するように該冷凍機を配置し、該冷凍機の側部を密封状に覆う密封部材の上部と該真空容器の下部を可撓性真空ベローズで接続してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の試料冷却装置。
【請求項4】
試料ホルダ、可撓性熱伝導部材及び冷凍機の冷凍機ヘッドを該冷凍機の中間冷却部に接続された熱輻射シールドにより覆うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項5】
試料又はウェハーの振動及びドリフトの値をそれぞれ0.2μm以下、かつ、該試料もしくは該ウェハーの温度を20K以下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項6】
第1緩衝機及び/又は第2緩衝機が能動除振機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項7】
真空容器が着脱式又は開閉式の光学窓を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項8】
熱輻射シールドが光学測定用の穴を有することを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項9】
熱輻射シールドが着脱式又は開閉式の蓋を有することを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項10】
熱輻射シールドに熱を通さない光学窓を設置することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項11】
試料もしくはウェハーに電線、プローブ電極、カンチレバー又は光プローブ部材を接続または近接できる機構を設置することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項12】
断熱部材を少なくとも2つ以上の梁で真空容器に固定することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項13】
梁が、熱輻射シールドを貫通する構造を有することを特徴とする請求項12記載の試料冷却装置。
【請求項14】
梁が、真空容器の外側から穴に挿入され断熱部材に固定されるボルト状の形状を有し、該ボルト状の梁のヘッドを該真空容器の真空カバーで覆い、該真空容器と該真空カバーとの間の真空漏れをOリングで防ぐことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の試料冷却装置。
【請求項15】
梁が、真空容器の外側から穴に挿入され断熱部材に固定されるボルト状の形状を有し、該ボルト状の梁の円柱状側面が該真空容器穴に密着され、該梁の該円柱状側面と該穴の側面との間の真空漏れをOリングで防ぐことを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項16】
6本乃至8本の梁により試料ホルダの位置又は傾斜を測定基準面に対し調整できる機構を有することを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項17】
断熱部材が円筒状又は棒状の形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項18】
試料もしくはウェハーを試料ホルダに固定する際、リング又はメッシュ状の板を該試料上に設置し、該リング又は該メッシュ状の板をネジ又はクランプで該試料ホルダに固定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項19】
試料ホルダが静電吸着機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項20】
可撓性熱伝導部材が、銅線、銀線、銀メッキした銅線、金メッキした銅線、金メッキした銀線、銅製リボン、銀製リボン、銀メッキした銅製リボン、金メッキした銅製リボン又は金メッキした銀製リボンから作製されることを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項21】
真空容器に試料もしくはウェハーを交換するためのゲートバルブとロードロックを設置したことを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項22】
ロードロック内あるいは該ロードロック外に試料もしくはウェハーを交換するための単一あるいは複数の試料もしくはウェハーを保持するカセットを有することを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項23】
手動アーム又は自動アームにより試料もしくはウェハーを交換することを特徴とする請求項1乃至請求項22のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項24】
測定基準面を形成するテーブルが光学テーブルであることを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項25】
前記測定基準面を第二の測定基準面に対し移動させる機構を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の試料冷却装置。
【請求項26】
冷凍機として、GM式冷凍機、ソルベー式冷凍機、ジュールトムソン式冷凍機、ピストン管式冷凍機又はヘリウム循環式冷凍機を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項25のいずれか1項に記載の試料冷却装置。
【請求項27】
試料もしくはウェハーの顕微鏡観察、顕微分光、近接場顕微鏡観察、近接場分光、光応答特性評価、光伝導特性評価又は伝導特性評価の試料冷却装置として利用されることを特徴とする請求項1乃至請求項26のいずれか1項に記載の試料冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(A)】
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【図6(B)】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−298506(P2007−298506A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101158(P2007−101158)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】