説明

認証装置、認証方法、および、認証プログラム

【課題】他人により認証のための入力手順が推定される可能性を低減させる。
【解決手段】認証装置10は、画面20上に複数の分割領域22を含む入力領域21を設定する設定手段11と、設定手段11が設定した複数の分割領域22それぞれの位置を操作者に案内するものであって、識別情報を持たないガイド23を、画面20上に表示する表示手段13と、画面20の押下による入力を受け付け、画面20上における押下の位置を検出する検出手段12と、検出手段12が検出した押下の位置に基づいて、設定手段11が設定した複数の分割領域22のうち押下された分割領域を特定する特定情報を算出し、算出した特定情報を検出手段12が受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段15に格納する算出手段14と、記憶手段15に格納された特定情報を照合情報と照合する照合手段16と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、認証装置、認証方法、および、認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関に設置されたATM(Automated Teller Machine)等の端末装置は、操作者を認証するための認証装置を有している。認証装置は、操作者により入力された数字等の識別情報からなるパスワードを、予め登録されたパスワードと照合することにより認証を行う。
【0003】
このような認証装置には、画面に入力案内を表示し、この入力案内に従って操作者が画面を押下することで、パスワードが入力されるものがある。入力案内の表示方法には、様々な方法が提案されている。
【0004】
なお、入力案内を画面に表示する方法としては、例えば、画面上に表示されたホットスポットの位置を操作者に把握させるため、ホットスポットの選択を補助するための補助標識を画面上に表示する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−267281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パスワードは生年月日や電話番号等の個人情報に基づいて設定されている場合があり、他人により容易に推定されてしまう可能性がある。このため、パスワードを用いて認証を行う方法では、他人により認証のための入力手順が推定されてしまう可能性がある。
【0007】
このような点に鑑み、開示の認証装置、認証方法、および、認証プログラムは、他人により認証のための入力手順が推定されてしまう可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために以下のような認証装置、認証方法、および、認証プログラムが提供される。
この認証装置は、画面上に複数の分割領域を含む入力領域を設定する設定手段と、設定手段が設定した複数の分割領域それぞれの位置を操作者に案内するものであって、識別情報を持たないガイドを、画面上に表示する表示手段と、画面の押下による入力を受け付け、画面上における押下の位置を検出する検出手段と、検出手段が検出した押下の位置に基づいて、設定手段が設定した複数の分割領域のうち押下された分割領域を特定する特定情報を算出し、算出した特定情報を検出手段が受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段に格納する算出手段と、記憶手段に格納された特定情報を照合情報と照合する照合手段と、を有する。
【0009】
また、この認証方法は、画面上に複数の分割領域を含む入力領域を設定し、設定した複数の分割領域それぞれの位置を操作者に案内するものであって、識別情報を持たないガイドを、画面上に表示し、画面の押下による入力を受け付け、画面上における押下の位置を検出し、検出した押下の位置に基づいて、設定した複数の分割領域のうち押下された分割領域を特定する特定情報を算出し、算出した特定情報を受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段に格納し、記憶手段に格納された特定情報を照合情報と照合する。
【0010】
また、この認証プログラムは、コンピュータを、画面上に複数の分割領域を含む入力領域を設定する設定手段、設定手段が設定した複数の分割領域それぞれの位置を操作者に案内するものであって、識別情報を持たないガイドを、画面上に表示する表示手段、画面の押下による入力を受け付け、画面上における押下の位置を検出する検出手段、検出手段が検出した押下の位置に基づいて、設定手段が設定した複数の分割領域のうち押下された分割領域を特定する特定情報を算出し、算出した特定情報を検出手段が受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段に格納する算出手段、記憶手段に格納された特定情報を照合情報と照合する照合手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
開示の認証装置、認証方法、および、認証プログラムによれば、他人により認証のための入力手順が推定される可能性を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る認証装置の一例を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係る認証装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係る認証装置の機能の一例を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態に係る画面上に設定された入力領域の一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るガイドの一例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係るガイドの一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る照合情報の一例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る認証装置の入力領域設定手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る認証装置の認証手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る角度情報の算出方法の一例を説明するための図である。
【図11】第2の実施の形態に係る入力手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る認証装置の一例を示す図である。
【0014】
認証装置10は、設定手段11と、検出手段12と、表示手段13と、算出手段14と、記憶手段15と、照合手段16とを有している。
設定手段11は、認証装置10に接続された画面20上に複数の分割領域22を含む入力領域21を設定する。
【0015】
表示手段13は、設定手段11が設定した複数の分割領域22のそれぞれの位置を操作者に案内するものであって、数字や記号等の識別情報を持たないガイド23を、画面20上に表示する。
【0016】
検出手段12は、操作者による画面20の押下による入力を受け付け、画面20上における押下の位置を検出する。
算出手段14は、検出手段12が検出した押下の位置に基づいて、設定手段11が設定した複数の分割領域22のうち押下された分割領域22を特定する特定情報を算出する。さらに、算出手段14は、算出した特定情報を、検出手段12が受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段15に格納する。
【0017】
照合手段16は、記憶手段15に格納された特定情報を照合情報と照合する。
次に、認証装置10による処理手順について説明する。
まず、設定手段11が、画面20上に複数の分割領域22を含む入力領域21を設定する。
【0018】
次に、表示手段13が、ガイド23を画面20上に表示する。
次に、検出手段12が、画面20の押下による入力を受け付け、画面20上における押下の位置を検出する。
【0019】
次に、算出手段14が、検出手段12が検出した押下の位置に基づいて、複数の分割領域22のうち押下された分割領域22を特定する特定情報を算出する。
次に、算出手段14が、算出した特定情報を、検出手段12が受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段15に格納する。
【0020】
次に、照合手段16が、記憶手段15に格納された特定情報を照合情報と照合する。
このように、認証装置10では、表示手段13が、設定手段11によって画面20上に設定された複数の分割領域22のそれぞれの位置を操作者に案内するものであって、数字や記号等の識別情報を持たないガイド23を、画面20上に表示する。
【0021】
これによれば、操作者は画面20上に表示されたガイド23に従って入力を行うこととなるが、このガイド23は数字や記号等の識別情報を持たないため、入力手順は数字や記号等の識別情報には基づかないものとなる。
【0022】
これにより、他人は、生年月日や電話番号等の個人情報に基づいて入力手順を推定することはできない。
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態の認証装置10をより具体的にした実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0023】
図2は、第2の実施の形態に係る認証装置のハードウェアの一例を示す図である。
認証装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス109を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0024】
RAM102は、認証装置100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0025】
バス109に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、カードリーダ107、および通信インタフェース108がある。
【0026】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、認証装置100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0027】
グラフィック処理装置104には、モニタ31が接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ31の画面に表示させる。モニタ31としては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0028】
入力インタフェース105には、タッチパネル32が接続されている。入力インタフェース105は、タッチパネル32から送られてくる信号をCPU101に送信する。
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク33に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク33は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク33には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0029】
カードリーダ107は、ID(IDentification)カード34に記録されたデータの読み取りを行う。IDカード34には、例えば、磁気テープやICチップ等の記録媒体が付されている。
【0030】
通信インタフェース108は、ネットワーク40に接続されている。通信インタフェース108は、ネットワーク40を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0031】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。
図3は、第2の実施の形態に係る認証装置の機能の一例を示すブロック図である。
【0032】
認証装置100は、入力領域設定手段110と、ガイド設定手段111と、表示手段112と、検出手段113と、角度算出手段114と、記憶手段115と、照合手段116とを有している。
【0033】
検出手段113は、操作者による画面210の押下による入力を受け付ける。さらに、検出手段113は、画面210上における押下の位置を検出する。
入力領域設定手段110は、照合情報格納手段311に格納された照合情報、および、検出手段113が検出した押下の位置に基づいて画面210上に入力領域を設定する。入力領域には、複数の分割領域、および、中心領域が含まれる。ここでは、入力領域の形状は円である。
【0034】
ガイド設定手段111は、入力領域設定手段110が設定した入力領域および複数の分割領域に基づいて、ガイドを設定する。また、ガイド設定手段111は、設定したガイドの解除を行う。ガイドは、入力領域設定手段110が設定した複数の分割領域それぞれの位置を操作者に案内するものであって、数字や記号等の識別情報を持たないものである。
【0035】
表示手段112は、入力領域設定手段110が設定した入力領域の外周を示す円を、画面210上に表示する。さらに、表示手段112は、ガイド設定手段111が設定したガイドを、画面210上に表示する。
【0036】
角度算出手段114は、検出手段113が検出した押下の位置と、入力領域設定手段110が設定した入力領域の位置とを比較する。さらに、角度算出手段114は、検出手段113が検出した押下の位置を角度情報に変換する。さらに、角度算出手段114は、変換した角度情報を検出手段113が受け付けた入力の順番と対応付けて、記憶手段115に格納する。
【0037】
照合手段116は、照合情報格納手段311に格納された照合情報と、検出手段113が受け付けた入力の回数とを比較する。さらに、照合手段116は、照合情報格納手段311に格納された照合情報と、記憶手段115に格納された角度情報とを照合する。
【0038】
次に、入力領域設定手段110により画面210上に設定された入力領域の一例について説明する。
図4は、第2の実施の形態に係る画面上に設定された入力領域の一例を示す図である。
【0039】
ここでは、入力領域211の形状は円である。入力領域211の画面210上における位置は、操作者が画面210を押下した位置が中心となるように設定される。
中心領域213の形状は円であり、入力領域211の中心に位置している。複数の分割領域212は、中心領域213を包囲するように放射状に配置されている。なお、分割領域212の数は、これに限定されるものではない。
【0040】
次に、画面210上に表示されたガイドの一例について説明する。
図5、図6は、第2の実施の形態に係るガイドの一例を示す図である。
図5(A)に示す例は、画面210上に、8つの分割領域が設定されている場合である。ガイドは、複数の円214により構成されており、複数の円214のそれぞれは、各分割領域に対応する位置に表示されている。複数の円214のそれぞれは、同じ大きさ、同じ形状により構成されている。なお、図面中の円215は、入力領域211の外周を示す円である。また、画面210上には、数字や記号等の識別情報は表示されていない。
【0041】
図5(B)に示す例は、画面210上に、4つの分割領域が設定されている場合である。この場合、円215は、図5(A)に示す例と比べて小さいが、ガイドを構成する円214は、図5(A)に示す例と同じ大きさである。
【0042】
図6に示す例は、画面210上に、8つの分割領域が設定されている場合の他の例である。この例では、複数の円214に加えて、分割領域の境界線に対応する位置に、線216が表示されている。線216が表示されることで、操作者は、分割領域の位置をより認識しやすくなる。
【0043】
次に、照合情報格納手段311に格納される照合情報の一例について説明する。
図7は、第2の実施の形態に係る照合情報の一例を示す図である。
照合情報311aには、個人IDと対応付けられて、分割数、入力回数、認証角度が格納されている。ここで、分割数とは、入力領域設定手段110が、画面210に設定する分割領域の数を決定するためのものである。認証角度は、回数と対応付けられて複数個格納されている。
【0044】
照合情報311aは、IDカード34の磁気テープやICチップ等の記憶媒体に格納されており、カードリーダ107がIDカード34を読み込んだ段階で、照合情報格納手段311に格納される。
【0045】
次に、認証装置100による入力領域設定手順について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る認証装置の入力領域設定手順の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は、検出手段113が画面210の押下による入力を受け付けることで開始される。なお、照合情報格納手段311には、照合情報311aが予め格納されているものとする。
【0046】
[ステップS100]入力領域設定手段110が、検出手段113が検出した押下の位置に基づいて基準点を決定する。
[ステップS101]入力領域設定手段110が、照合情報格納手段311に格納された照合情報311aから、対象の個人IDに対応付けられた分割数を取得する。ここで、対象の個人IDは、例えば、カードリーダ107が読み込んだカード情報により取得することができる。
【0047】
[ステップS102]入力領域設定手段110が、ステップS101で取得した分割数に基づいて、画面210上に設定する入力領域のサイズを決定する。具体的には、入力領域設定手段110は、取得した分割数の値が多ければ、入力領域を大きくし、取得した分割数の値が少なければ、入力領域を小さくする。ここで、入力領域の形状は円であり、入力領域のサイズは、例えば、半径により認証装置100内で定義される。
【0048】
[ステップS103]入力領域設定手段110が、ステップS102で決定したサイズに基づいて、画面210上に入力領域を設定する。入力領域は、ステップS100で決定した基準点を中心とする円により設定される。すなわち、入力領域設定手段110は、検出手段113が検出した押下の位置に基づいて、相対的に入力領域を画面210上に設定する。
【0049】
[ステップS104]入力領域設定手段110が、ステップS103で設定した入力領域内であって、入力領域の中心に、中心領域を設定する。
[ステップS105]入力領域設定手段110が、ステップS103で設定した入力領域内に、ステップS104で設定した中心領域を包囲するように、複数の分割領域を放射状に設定する。ここで、入力領域設定手段110は、分割領域の数を、ステップS101で取得した分割数に基づいて決定する。なお、ステップS103〜S105の処理の順番は、入れ替えることも可能である。
【0050】
[ステップS106]表示手段112が、入力領域設定手段110が設定した入力領域の外周を示す円を、画面210上に表示して処理を終了する。
次に、認証装置100による認証手順について説明する。
【0051】
図9は、第2の実施の形態に係る認証装置の認証手順の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、検出手段113が画面210の押下による入力を受け付けることで開始される。
【0052】
なお、画面210上には、入力領域設定手段110により、入力領域、中心領域、および、複数の分割領域が予め設定されているものとする。また、照合情報格納手段311には、図7に示す照合情報311aが予め格納されているものとする。
【0053】
[ステップS200]角度算出手段114が、検出手段113によって検出された押下の位置が、入力領域設定手段110によって画面210上に設定された入力領域内であるかどうかを判定する。入力領域内である場合、角度算出手段114は、処理をステップS202に進める。入力領域内ではない場合、角度算出手段114は、処理をステップS201に進める。
【0054】
[ステップS201]角度算出手段114が、入力領域内での押下を促すメッセージを表示し、処理をステップS200に戻す。
[ステップS202]角度算出手段114が、検出手段113によって検出された押下の位置が、入力領域設定手段110によって画面210上に設定された中心領域内であるかどうかを判定する。中心領域内である場合、角度算出手段114は、処理をステップS203に進める。中心領域内ではない場合、角度算出手段114は、処理をステップS207に進める。
【0055】
[ステップS203]ガイド設定手段111が、入力領域設定手段110によって画面上に設定された入力領域および複数の分割領域に基づいて、ガイドを設定する。
[ステップS204]表示手段112が、ステップS203でガイド設定手段111が設定したガイドを、画面210上に表示する。
【0056】
[ステップS205]ガイド設定手段111が、ステップS203から所定時間経過した後、設定したガイドを解除する。ここで、所定時間とは、画面210上に表示されたガイドを、操作者が認識できる程度の短い時間である。
【0057】
[ステップS206]表示手段112が、画面210上に表示しているガイドを消去して処理をステップS200に進める。
[ステップS207]角度算出手段114が、検出手段113が検出した押下の位置を角度情報に変換する。
【0058】
[ステップS208]角度算出手段114が、ステップS207で変換した角度情報を検出手段113が受け付けた入力の順番と対応付けて、記憶手段115に格納する。
[ステップS209]照合手段116が、照合情報格納手段311に格納されている照合情報311aから、対象の個人IDに対応付けられた入力回数を取得する。
【0059】
[ステップS210]照合手段116が、検出手段113が受け付けた入力の回数が、ステップS209で照合情報311aから取得した入力回数に到達しているかどうかを判定する。照合手段116は、入力回数に到達している場合、処理をステップS211に進める。照合手段116は、入力回数に到達していない場合、処理をステップS200に進める。
【0060】
[ステップS211]照合手段116が、照合情報格納手段311に格納された照合情報311aから、対象の個人IDに対応付けられた認証角度を取得する。
[ステップS212]照合手段116が、記憶手段115に格納された角度情報を、取得した認証角度と照合する。ここで、照合手段116は、記憶手段115に格納された角度情報を、その角度情報に対応付けられた入力の順番に該当する認証角度と照合する。
【0061】
照合の手順としては、まず、照合手段116は、照合情報格納手段311に格納された照合情報311aから、対象の個人IDに対応付けられた分割数を取得する。そして、照合手段116は、この分割数に基づいて、複数の角度範囲を設定する。すなわち、複数の角度範囲のそれぞれは、360度を分割数で割った角度に設定される。ここで、複数の角度範囲のそれぞれは、画面210上に設定された各分割領域の範囲を指している。
【0062】
そして、照合手段116は、記憶手段115に格納されている角度情報と、照合情報311aから取得した認証角度とが、同じ角度範囲にあるときは一致と判定し、異なる角度範囲にあるときは不一致と判定する。
【0063】
例えば、分割数が8の場合、角度範囲は、入力領域の真上を起点として時計回りに、0度以上〜45度未満、45度以上〜90度未満、90度以上〜135度未満、135度以上〜180度未満、180度以上〜225度未満、225度以上〜270度未満、270度以上〜315度未満、315度以上〜360度未満と設定される。
【0064】
このとき、例えば、記憶手段115に格納された1回目の角度情報が85度であり、照合情報311aから取得した1回目の認証角度が80度であった場合、角度情報と認証角度とはいずれも45度以上〜90度未満の角度範囲に属するため、一致と判定される。
【0065】
また、例えば、記憶手段115に格納された2回目の角度情報が60度であり、照合情報311aから取得した2回目の認証角度が120度であった場合、角度情報は45度以上〜90度未満の角度範囲に属し、認証角度は90度以上〜135度未満の角度範囲に属することとなり、角度情報と認証角度とは属する角度範囲が異なるため、不一致と判定される。
【0066】
[ステップS213]照合手段116は、ステップS212で照合した角度情報が全て一致しているかどうかを判定する。全て一致している場合、照合手段116は、処理をステップS214に進める。全て一致していない場合、すなわち、1つでも不一致がある場合、照合手段116は、処理をステップS215に進める。
【0067】
[ステップS214]照合手段116が、照合正常判定を行って処理を終了する。
[ステップS215]照合手段116が、照合異常判定を行って処理を終了する。
次に、上述したステップS207における角度情報の算出方法の一例について説明する。
【0068】
図10は、第2の実施の形態に係る角度情報の算出方法の一例を説明するための図である。
検出手段113が検出した押下の位置を(X2,Y2)とし、入力領域設定手段110が決定した基準点を(X1,Y1)とした場合、次式が成立する。
【0069】
1=X2−X1
1=Y2−Y1
1=(x12+y121/2cosθ
1=(x12+y121/2sinθ
すなわち、角度情報として、例えば、sinθを、次式で求めることができる。
【0070】
sinθ=y1/(x12+y121/2
次に、認証装置100における入力手順の一例について説明する。
図11は、第2の実施の形態に係る入力手順の一例を示す図である。まず、図11(A)に示す例を説明する。
【0071】
[ステップS300]操作者が、認証装置100の画面210を押下すると、押下した位置を中心とする円215が画面210上に表示される。
[ステップS301]操作者が、円215の中心領域を押下する。
【0072】
[ステップS302]画面210上に、複数の円214から成るガイドが一定時間、例えば、5秒間、表示される。
[ステップS303]操作者が、ステップS302で表示されたガイドに従って、所定の分割領域に対応する位置を選択して押下する。このとき、画面210上にはガイドは表示されていない。ステップS303を所定回数繰り返すことにより、認証のための入力が行われる。なお、複数の円214の位置がわからなくなった場合には、操作者は、ステップS301〜S303を繰り返す。
【0073】
次に、図11(B)に示す例について説明する。この例では、画面210上にガイドが自動的に表示される。
[ステップS400]操作者が、認証装置100の画面210を押下すると、押下した位置を中心とする円215と、複数の円214および複数の線216から成るガイドとが画面210上に表示される。なお、ガイドについては、一定時間表示された後、画面210から消える。
【0074】
[ステップS401]操作者が、ステップS400で表示されたガイドに従って、所定の分割領域に対応する位置を選択して押下する。このとき、画面210上にはガイドは表示されていない。
【0075】
[ステップS402]画面210上に、複数の円214から成るガイドが表示される。なお、ガイドについては、一定時間表示された後、画面210から消える。
[ステップS403]操作者が、ステップS402で表示されたガイドに従って、所定の分割領域に対応する位置を選択して押下する。このとき、画面210上にはガイドは表示されていない。
【0076】
上記ステップS402,S403を所定回数繰り返すことにより、認証のための入力が行われる。図11(B)に示す例では、画面210上にガイドが自動的に表示されるため、画面210上にガイドを表示させるために、操作者が画面210を押下する手間を省くことが可能となる。
【0077】
なお、図11(B)に示す例は、例えば、図9に示すフローチャートにおいて、ステップS207〜S209の間に、ステップS203〜S206と同じステップを追加することで実現することが可能となる。
【0078】
以上説明してきたように、認証装置100では、ガイド設定手段111が、入力領域設定手段110が画面210上に設定した複数の分割領域のそれぞれの位置を操作者に案内するものであって、数字や記号等の識別情報を持たないガイドを設定し、表示手段112が、ガイド設定手段111によって設定されたガイドを画面210上に表示する。
【0079】
これによれば、操作者は画面210上に表示されたガイドに従って入力を行うこととなるが、このガイドは数字や記号等の識別情報を持たないため、入力手順は数字や記号等の識別情報には基づかないものとなる。
【0080】
これにより、他人は、生年月日や電話番号等の個人情報に基づいて入力手順を推定することはできない。
さらに、認証装置100では、入力領域設定手段110は、検出手段113が検出した押下の位置に基づいて基準点を決定し、この基準点を基準にして入力領域を画面210上に設定する。すなわち、入力領域設定手段110は、検出手段113が検出した押下の位置に基づいて、相対的に入力領域を画面210上に設定する。
【0081】
これによれば、入力領域の位置が、操作者による画面210の押下の位置に応じて変動するため、例えば、操作を他人に盗み見られた場合でも、操作者による押下位置を他人が特定することは難しくなる。これにより、他人により認証のための入力手順が推定される可能性はさらに低減される。
【0082】
さらに、認証装置100では、表示手段112は、ガイドを画面210上に所定時間表示した後、ガイドを画面210上から消去する。
これによれば、例えば、操作を他人に盗み見られた場合でも、ガイドが画面上に表示される時間は短いため、他人が操作者による押下位置と分割領域の位置とを対応付けることが難しくなり、操作者による押下位置を他人が特定することはよりいっそう難しくなる。
【0083】
さらに、認証装置100では、入力領域設定手段110は、画面210上に設定する分割領域の数を、個人IDに応じて設定する。
これによれば、画面210上に設定される分割領域の位置が、操作者に応じて変動するため、例えば、操作を他人に盗み見られた場合でも、操作者による押下位置を他人が特定することはよりいっそう難しくなる。
【0084】
さらに、認証装置100では、入力領域設定手段110は、画面210上に設定する分割領域の数に応じて、画面210上に設定する入力領域のサイズを決定する。
これによれば、分割領域の数が多い場合は入力領域を大きくし、分割領域の数が少ない場合は入力領域を小さくすることで、いずれの場合においても、各分割領域の大きさを同じにすることができる。これにより、操作者が分割領域を選択して押下する際の操作性を向上することが可能となる。
【0085】
さらに、認証装置100では、入力領域の外周を示す円を画面210上に表示し、円の中心を空けるようにして、円の周辺領域にガイドを表示している。さらに、空けた円の中心に、ガイドを画面210上に表示させるための押下領域に設定している。
【0086】
これによれば、操作者が、ガイドを表示させるための押下領域の位置を、容易に特定することができ、操作性を向上することが可能となる。すなわち、入力領域の外周を示す円が、入力領域のみならず、ガイドを表示させるための押下領域である円の中心の特定にも寄与している。
【0087】
また、入力領域の外周は入力領域の設定に応じて決められればよく、特に円に限らない。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、認証装置100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0088】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0089】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0090】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0091】
10,100 認証装置
11 設定手段
12,113 検出手段
13,112 表示手段
14 算出手段
15,115 記憶手段
16,116 照合手段
20,210 画面
21,211 入力領域
22,212 分割領域
23 ガイド
31 モニタ
32 タッチパネル
33 光ディスク
34 IDカード
40 ネットワーク
101 CPU
102 RAM
103 HDD
104 グラフィック処理装置
105 入力インタフェース
106 光学ドライブ装置
107 カードリーダ
108 通信インタフェース
109 バス
110 入力領域設定手段
111 ガイド設定手段
114 角度算出手段
311 照合情報格納手段
311a 照合情報
213 中心領域
214,215 円
216 線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上に複数の分割領域を含む入力領域を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した複数の分割領域それぞれの位置を操作者に案内するものであって、識別情報を持たないガイドを、前記画面上に表示する表示手段と、
前記画面の押下による入力を受け付け、前記画面上における押下の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した押下の位置に基づいて、前記設定手段が設定した複数の分割領域のうち押下された分割領域を特定する特定情報を算出し、算出した特定情報を前記検出手段が受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段に格納する算出手段と、
前記記憶手段に格納された特定情報を照合情報と照合する照合手段と、
を有することを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記検出手段が検出した押下の位置に基づいて、相対的に前記入力領域を前記画面上に設定すること、
を特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記画面上に、複数の分割領域を放射状に設定し、
前記算出手段は、前記検出手段が検出した押下の位置を角度情報に変換することで特定情報を得ること、
を特徴とする請求項1または2記載の認証装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記画面上に、中心領域を設定し、かつ、複数の分割領域を中心領域を包囲するように設定し、
前記表示手段は、前記設定手段が設定した中心領域における押下を前記検出手段が検出すると、これに応答して前記ガイドを前記画面上に表示すること、
を特徴とする請求項3記載の認証装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記ガイドを前記画面上に所定時間表示した後、前記ガイドを前記画面上から消去すること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の認証装置。
【請求項6】
前記設定手段は、操作者の識別情報に応じた数の複数の分割領域を、前記画面上に設定すること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の認証装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記画面上に設定する分割領域の数に応じて、前記画面上に設定する入力領域のサイズを決定すること、
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の認証装置。
【請求項8】
画面上に複数の分割領域を含む入力領域を設定し、
設定した複数の分割領域それぞれの位置を操作者に案内するものであって、識別情報を持たないガイドを、前記画面上に表示し、
前記画面の押下による入力を受け付け、前記画面上における押下の位置を検出し、
検出した押下の位置に基づいて、設定した複数の分割領域のうち押下された分割領域を特定する特定情報を算出し、算出した特定情報を受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段に格納し、
前記記憶手段に格納された特定情報を照合情報と照合する、
ことを特徴とする認証方法。
【請求項9】
コンピュータを、
画面上に複数の分割領域を含む入力領域を設定する設定手段、
前記設定手段が設定した複数の分割領域それぞれの位置を操作者に案内するものであって、識別情報を持たないガイドを、前記画面上に表示する表示手段、
前記画面の押下による入力を受け付け、前記画面上における押下の位置を検出する検出手段、
前記検出手段が検出した押下の位置に基づいて、前記設定手段が設定した複数の分割領域のうち押下された分割領域を特定する特定情報を算出し、算出した特定情報を前記検出手段が受け付けた入力の順番と対応付けて記憶手段に格納する算出手段、
前記記憶手段に格納された特定情報を照合情報と照合する照合手段、
として機能させることを特徴とする認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−159927(P2012−159927A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17866(P2011−17866)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】