説明

認証装置

【課題】生体のアクセス方向によらず認証できる認証装置を実現する。
【解決手段】複数の方向からアクセスが可能な認証装置10であって、生体から生体情報を取得する生体情報取得手段220と、生体のアクセス方向を検知する検知手段250と、認証用のテンプレートをあらかじめ記憶する記憶手段136と、前記検知した生体のアクセス方向情報と生体から取得した生体情報と前記テンプレートを用いて前記生体を認証する認証手段110とを備える。認証手段110は、前記生体のアクセス方向情報を用いて、前記テンプレートが取得されたときのアクセス方向と認証時の生体のアクセス方向を一致させるように、取得した生体情報またはテンプレートの変換を行って認証を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体認証によりドアの施錠・解錠を制御する認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を用いて入退出管理を行う装置として、ドアの内側と外側の両側に認証装置を有する装置(特許文献1)、あるいは、認証装置を1カ所に限定し装置を物理的に回転させてドアの内側と外側の双方から使用可能とする装置(特許文献2)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平2−64764号公報
【特許文献2】特開2005−194820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ドアの内側と外側の両側に認証装置を有する装置では1つのドアに2つの認証装置が必要となりコストがかかるという課題がある。認証装置を物理的に回転させる装置では回転のための駆動部が必要となり装置が大きくなるという課題がある。
【0005】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するための発明されたものであり、生体のアクセス方向によらず認証できる認証装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る認証装置は、複数の方向からアクセスが可能な認証装置であって、生体から生体情報を取得する生体情報取得手段と、生体のアクセス方向を検知する検知手段と、認証用のテンプレートをあらかじめ記憶する記憶手段と、前記検知した生体のアクセス方向情報と生体から取得した生体情報と前記テンプレートを用いて前記生体を認証する認証手段とを備える。本発明の第1の態様に係る認証装置によれば、生体のアクセス方向を検知し、アクセス方向に基づいて生体から取得した生体情報とテンプレートを照合する。その結果、生体のアクセス方向によらず1つの認証装置で認証できる。また、認証装置の低コスト化が図れる。
【0007】
本発明の第1の態様に係る認証装置において、前記認証手段は、前記生体のアクセス方向情報を用いて、前記テンプレートが取得されたときのアクセス方向と認証時の生体のアクセス方向を一致させるように、取得した生体情報またはテンプレートの変換を行って認証を実行することが好ましい。本発明の第1の態様に係る認証装置によれば、テンプレートが取得されたときのアクセス方向と認証の生体のアクセス方向が一致するように生体情報またはテンプレートの変換を行うので、生体のアクセス方向によらず1つの認証装置で認証できる。また、認証装置の低コスト化が図れる。さらに、認証装置自体を回転させる必要がないので認証装置の小型化が図れる。
【0008】
本発明の第1の態様に係る認証装置において、前記記憶手段はアクセス方向に応じた複数のテンプレート情報を記憶し、前記認証手段は前記複数のテンプレートのうち前記生体のアクセス方向情報と一致するアクセス方向のテンプレートを前記記憶手段から読み出して前記生体を認証することが好ましい。本発明の第1の態様に係る認証装置によれば、生体情報またはテンプレートの変換を行わないので、認証時間を短くすることができる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る認証装置において、生体を測定位置に固定するための固定手段を備えることが好ましい。本発明の第1の態様に係る認証装置によれば、測定位置が固定されるため、生体情報の生成時にデータがシフトしにくくなりテンプレートとの照合が容易になる。
【0010】
本発明の第1の態様に係る認証装置において、さらに、前記固定手段に生体の挿入方向を検知する検知手段を備えることが好ましい。本発明の第1の態様に係る認証装置によれば、生体の固定手段に生体の挿入方向を検知する検知手段を備えているので、他に生体のアクセス方向の検知手段を備える必要がない。したがって、認証装置の低コスト化が図れる。
【0011】
本発明の第1の態様に係る認証装置において、さらに、前記生体のアクセス扉と、前記アクセス扉の開閉検知手段とを備えることが好ましい。本発明の第1の態様に係る認証装置によれば、アクセス扉の開閉検知手段を備えているので、他に生体のアクセス方向の検知手段を備える必要がない。したがって、認証装置の低コスト化が図れる。
【0012】
本発明の第1の態様に係る認証装置において、さらに、一の方向から生体がアクセスされた場合に他の方向からの生体のアクセスを防止する、アクセス防止手段を備えることが好ましい。本発明の第1の態様に係る認証装置によれば、2つの生体が同時にアクセスすることを抑制できる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る認証装置は、複数の方向からアクセスが可能な認証装置であって、生体から生体情報を取得する生体情報取得手段と、アクセス方向に応じた複数の認証用のテンプレートとをあらかじめ記憶する記憶手段と、生体から取得した生体情報と前記記憶手段に記憶されている複数の認証用のテンプレートとを照合することにより用いて前記生体を認証する認証手段とを備える。本発明の第2の態様に係る認証装置によれば、記憶手段はアクセス方向に応じた複数に認証用のテンプレートを記憶しているので生体のアクセス方向によらず1つの認証装置で生体の認証ができる。さらに生体のアクセス方向の検知手段を備えないので、低コスト化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1および図2を用いて本実施例に係る認証装置の概略構成について説明する。図1は本実施例に係る認証装置10のブロック図である。図2は生体画像データおよび本実施例に係る認証装置10に記憶されているテンプレートを説明する説明図である。図2(a)が生体画像データを示し、図2(b)が符号化後のデータを示す。本実施例に係る認証装置10は例えばセキュリティエリアとセキュリティエリアの外部とを仕切るドアに用いられる。
【0015】
認証装置10は制御部100と、生体情報取得部200とドア制御部300とキーボード400とマウス410とディスプレイ500を備える。
【0016】
制御部100は認証装置10の中枢であり、生体情報取得部200で取得した生体情報とあらかじめ記憶している認証用のテンプレートとを比較して認証を行う。なお、本実施例において、テンプレートとは、「事前に採取・登録された情報」をいう。制御部100はCPU110とメモリ120とハードディスク130とドア用インターフェース150とネットワークインターフェース160と入力インターフェース170と出力インターフェース180を備える。
【0017】
CPU110は認証装置10の全体の動作を制御する中央処理装置である。CPU110は認証を行う。CPU110は認証プログラム134を実行し、生体情報取得部200で取得した生体情報とハードディスク130から読み出した認証用のテンプレートとが同じ挿入方向のデータとなるように生体情報について回転処理を行った後、生体情報とテンプレートとが一致するか否かを判断する。メモリ120は不揮発メモリであるROM122とランダムアクセス可能な揮発メモリであるRAM124を備える。RAM124は例えばCPU110が演算中のデータを一時記憶する。
【0018】
ハードディスク130は例えばOS132と認証プログラム134と認証データファイル136を記憶する。OS132は認証装置10の基本動作を管理する基本プログラムである。認証プログラムは生体情報取得部200で取得した生体情報とハードディスクから読み出した認証用のテンプレートとが一致するか否かを判断するためのプログラムである。認証データファイル136は例えば認証用のテンプレートが書き込まれたデータファイルである。本実施例では認証用のテンプレートには所定の方向から指を挿入したときの生体情報を登録している。
【0019】
ドア用インターフェース150はドアに設けられる生体情報取得部200とドア制御部300を接続するためのインターフェースである。ネットワークインターフェース160は制御部100をネットワーク600に接続する。入力インターフェース170は例えばキーボード400とマウス410を接続する。出力インターフェース180は例えばディスプレイ500を接続する。
【0020】
生体情報取得部200は認証を実行するために生体の特徴を測定して生体情報を取得する。生体情報取得部200は光源210と生体情報取得センサ220と画像処理部230とコントローラ240と挿入方向検知センサ250と挿入口鍵260とを備える。本実施例では、例えば、光源210は生体に近赤外線を照射する近赤外線光源であり、生体情報取得センサ220は近赤外線センサである。指に近赤外線を照射すると指の静脈中の赤血球の還元ヘモグロビンは近赤外線の波長の光を吸収する。その結果、生体情報取得センサ220は透過光を測定することにより図2(a)に示すような静脈部分が黒く映る生体の画像データを取得することができる。
【0021】
画像処理部230は、生体情報取得センサ220が取得した生体の画像データから生体情報を生成する。生体情報の生成は例えば以下のように行なわれる。画像処理部230は血管部分が黒、他の部分が白になるように画像データを白黒2値のデジタルデータに変換する。画像処理部230は図2(b)に示すように例えば特徴点の種類(例えば、分岐点、端点)とその位置を抽出し、特徴点の種類と位置からなる生体情報を生成する。画像処理部230は特徴点の種類とその位置を抽出する際に例えば測定精度よりも荒い精度で抽出することが好ましい。例えば体調の変化等により測定した画像データにわずかな違いが生じるような場合でも、同じ被認証者からは同じ生体情報を生成できるからである。なお画像処理部230は生体画像データをCPU110がデータ処理できるように白黒2値のデジタル化のみを行い、CPU110がデジタル化されたデータを用いて特徴点の種類とその位置を抽出するようにしてもよい。画像処理部230に汎用的な画像処理デバイスを利用できるので、認証装置10のコストを下げることができる。なお、本実施例では、生体情報として特徴点の種類とその位置を用いているが、他の生態的特徴を用いてもよい。
【0022】
コントローラ240は光源210、挿入方向検知センサ250、挿入口鍵260の動作を制御する。挿入方向検知センサ250は生体の挿入方向を検知する。挿入口鍵260は生体が挿入されていない方の生体の挿入口を閉じてロックする。
【0023】
ドア制御部300は制御部100の認証結果に基づいてセキュリティドア700のドアロックを制御する。ドア制御部300はセキュリティドア700のロックを制御するためのドアロック制御部310を備える。
【0024】
キーボード400およびマウス410は例えば制御部100に指示を与えるための入力装置である。ディスプレイ500は例えば、認証結果をモニタするためのディスプレイである。
【0025】
図3を用いて生体情報取得部200が取り付けられたセキュリティドアの断面構造について説明する。図3は生体情報取得部200が取り付けられたセキュリティドア700の断面構造を模式的に示す説明図である。
【0026】
セキュリティドア700は生体測定室710と光源210と生体情報取得センサ220と画像処理部230とコントローラ240とドアロック制御部310とドアノブ720とを備える。
【0027】
生体測定室710はセキュリティドア700を貫通するように配置される。生体測定室710は生体挿入用扉730と挿入口鍵260とスライドパネル740とレール750とストッパ760と生体支持台770とを備える。
【0028】
生体挿入用扉730は生体測定室710の入口に設けられるアクセス用の扉である。認証時には、生体挿入用扉730から例えば指を挿入する。挿入口鍵260は生体挿入用扉730をロックするための鍵である。挿入口鍵260はかんぬき262を備えており、生体挿入用扉730にかんぬき262を突き出して生体挿入用扉730をロックする。
【0029】
スライドパネル740は生体の侵入により生体に押されて移動する。レール750はスライドパネル740を支えると共にスライドパネル740が移動する際のガイドとなる。ストッパ760はスライドパネル740が一定以上移動しないように止める。生体の位置が一定になるため、データのシフトが抑制される。その結果、照合が容易に実行される。ストッパ760には生体の挿入方向検知センサ250が配置され、スライドパネル740が挿入方向検知センサ250に接触することにより指の挿入方向が検知される。コントローラ240は指の挿入方向を検知すると、生体が挿入されなかった方の生体挿入用扉730をロックし、双方の生体挿入用扉730から生体が同時に挿入されることを抑制する。生体支持台770はセキュリティドアの両側に突き出ており、生体測定室710に挿入される生体を下から支える。その結果、生体指示台770は測定時に生体が上下に揺れることを抑制することができる。したがって、測定精度を向上することができる。
【0030】
セキュリティドア700は生体測定室710の下に生体情報取得センサ220と画像処理部230を備える。また、セキュリティドア700は生体測定室710の上に光源210とコントローラ240を備える。なお、生体情報取得センサ220を生体測定室710の上に配置し、光源210を生体測定室710の下に配置してもよい。また、生体情報取得センサ220及び光源210を生体測定室710の下に配置し、生体からの反射光を利用して生体画像を取得してもよい。
【0031】
図4から図6を用いて認証装置10の動作について説明する。図4は認証装置10の動作を説明するフローチャートである。図5は認証装置10に指を挿入した時ときの状態を模式的に示す説明図である。図6は認証時の画像データの処理を模式的に示す説明図である。
【0032】
認証を受けようとする者(以下「被認証者」という。)は認証装置10の生体挿入用扉730から指を挿入する。被認証者は、スライドパネル740がストッパ760により止まるまで、指先でスライドパネル740を押す。スライドパネル740が停止した位置が指の測定位置となる。挿入方向検知センサ250は指の挿入方向を検知する(ステップS100)。
【0033】
コントローラ240は指の挿入方向を検知すると指の挿入側と反対側の生体挿入用扉730をロックする(ステップS105)。これにより他方の生体挿入用扉730からの生体の侵入が抑制される。
【0034】
生体情報取得センサ220は生体の画像データを取得する(ステップS110)。図6(a)に取得した画像データを示す。画像処理部230は画像データから生体情報を生成する(ステップS115)。図6(b)に画像データから生成した生体情報を示す。
【0035】
CPU110は画像処理部230により生成された生体情報とハードディスクに記憶されている認証用のテンプレートとが同じ挿入方向のデータとなるように生体情報の変換を行う(ステップS120)。CPU110は、挿入方向検知センサからの信号により、指の挿入方向を検知する。CPU110は、認証時に、認証用のテンプレートの取得時のアクセス方向と異なる方向から指が挿入された場合には、生体情報と認証用のテンプレートを比較するために、生体情報または認証用のテンプレートを回転させて指の挿入方向を一致させる。例えば本実施例ではCPU110は生成された生体情報に対して回転処理を行う。図6(c)に回転処理後の生体情報を示す。CPU110は認証時に取得した生体情報について回転処理を行う方が、回転処理が1回で済むので好ましい。なお、本実施例ではCPU110は生体情報の方を回転処理しているが、認証用のテンプレートの方を回転処理するようにしてもよい。本実施例においては、生体情報の挿入方向が認証用のテンプレートを測定したときの挿入方向と同じになるように、生体情報あるいはテンプレートのいずれかのデータの回転処理を行うことを正規化処理という。また、本実施例では生体情報を生成した後で正規化処理を行っているが、画像処理部230は、生体情報の生成(ステップS115)前に、取得した生体の画像データを回転する処理を実行してもよい。画像処理部230が画像データの回転処理を行うので、CPU110の負担を減らすことができる。CPU110は正規化処理した生体情報をRAM124に書き込む。なお、認証時の指の挿入方向と認証用テンプレートの取得時の指の挿入方向が同じ場合には、CPU110は生体情報の正規化処理を行うことなく生体情報をRAM124に書き込む。認証時の指の挿入方向と認証用テンプレートの取得時の指の挿入方向が同じなので、正規化処理を行う必要がないからである。
【0036】
CPU110はハードディスク130から認証用のテンプレートを読み込む(ステップS125)。CPU110はRAM124に書き込んだ生体情報と認証用のテンプレートを比較して照合を行う(ステップS130)。
【0037】
CPU110はRAM124に書き込んだ生体情報と認証用のテンプレートが一致しなかった場合には(ステップS135、N)、ハードディスクに登録されている全ての認証用のテンプレートと比較したか判断する(ステップS140)。CPU110は全ての認証用のテンプレートと比較していない場合には(ステップS140、N)、別の認証用のテンプレートを読み込んで(ステップS125)同様に生体情報との比較を行う。CPU110は全ての認証用のテンプレートと比較している場合には(ステップS140、Y)、認証結果を表示する(ステップS145)。CPU110はRAM124に書き込んだ生体情報と認証用のテンプレートが不一致の場合には、例えば警告ランプ(図示せず)を点灯させたりメッセージによる警告を行ったりすることにより認証結果を表示する。CPU110は、認証結果を表示した後は、次の認証が要求されるまで(ステップS100)待機する。
【0038】
CPU110はRAM124に書き込んだ生体情報と認証用のテンプレートが一致した場合には、ドアロック制御部310に対して、セキュリティドア700の鍵を解錠させる(ステップS145)。セキュリティドア700が一旦開いた後閉じた場合には、CPU110はドアロック制御部310に対してセキュリティドア700の鍵を施錠させる(ステップS150)。なおCPU110はドアロック制御部310にセキュリティドア700の鍵を解錠させた後所定の時間内にセキュリティドア700が開かなかった場合には、ドアロック制御部310に対してセキュリティドア700の鍵を施錠させるのが好ましい。いつまでも解錠状態を続けるのはセキュリティ上好ましくない。
【0039】
以上、本実施例によれば、CPU110は、生体情報取得時のアクセス方向がハードディスクに記憶されている認証用のテンプレートを取得した時のアクセス方向と一致するように取得した生体情報に対して回転処理を行った後認証を行う。その結果、複数のアクセス方向からの生体の認証要求に対し、1つの認証装置で認証することができる。
【0040】
また、本実施例によれば生体情報取得部200が1つでよいので認証装置100の低コスト化が図れる。さらに、認証装置の回転機構が不要となるので、認証装置100の小型化が図れる。
【0041】
本実施例では生体情報取得部200をセキュリティドア700に設けているが、セキュリティドア700を挟む双方のエリアからアクセスできればどこに配置してもよい。例えば、生体情報取得部200をセキュリティドア700の近傍の壁に設けてもよい。
【0042】
なお、本実施例では、指の静脈の血管パターンを測定しているが、例えば指の指紋・掌の形状・掌の血管パターンを測定するようにしてもよい。また測定には近赤外線を用いているが他の測定方法を用いてもよい。例えば、指の指紋を測定する場合には例えば静電容量を測定するようにしてもよい。
【0043】
本実施例ではストッパ760に指の挿入方向を検知する挿入方向検知センサ250を設けているが、例えば図7に示すように生体挿入用扉730に隣接する位置に挿入方向検知センサ250を設けてもよい。図7は変形例に係る認証装置10に指を挿入した時ときの状態を模式的に示す説明図である。変形例に係る認証装置10は生体挿入用扉730に隣接する位置に挿入方向検知センサ250を備えている。その結果、生体挿入用扉730の開閉を検知して指の挿入方向を検知できる。
【0044】
本実施例では生体測定室710への他方からの生体の挿入を、生体挿入用扉730をロックすることにより抑制しているが、スライドパネル740を移動しないようにロックしてもよい。
【0045】
本実施例では1つの生体についての認証用のテンプレートは一方向から生体を挿入したときのデータを記憶しているが、図8に示すように生体の挿入方向ごとに複数の認証用のテンプレートを記憶するようにしてもよい。図8はテンプレート生成時の画像データおよび認証データファイル136に記憶されている認証用のテンプレートを模式的に示す説明図である。例えば、図8(a−1)、図8(a−2)はそれぞれ図3に示すセキュリティドア700の左方から指を挿入したときの画像データおよび符号化により生成されるテンプレートであり、図8(b−1)、図8(b−2)はそれぞれ図3に示すセキュリティドア700の右方から指を挿入したときの画像データおよび符号化処理により生成されるテンプレートである。認証データファイル136はどちらの生体挿入口から生体を挿入した時の認証用のテンプレートをも記憶しているので、CPU110は測定画像データの回転処理、あるいは測定画像データの符号化後のデータの正規化処理を実行しなくてもよい。したがってデータ処理時間を短縮することができる。一般的に、90度あるいは180度以外の角度の場合はデータの処理に時間がかかるので、生体の挿入方向ごとに複数の認証用のテンプレートを記憶することは有用である。なお、生体挿入方向を検知しているため、比較する認証用のテンプレートは同じ方向から生体を挿入したときの認証用のテンプレートだけでよい。したがって、CPU110が比較する認証用のテンプレートの数は変わらない。すなわち、データ処理時間を短縮した分、認証時間を短縮することができる。
【0046】
本実施例では、生体挿入方向を検知する挿入方向検知センサ250を備えているが、挿入方向検知センサ250を備えずに生体の挿入方向ごとに複数の認証用のテンプレートを記憶するようにしてもよい。いずれの方向から生体が挿入されても、認証装置10は対応する認証用のテンプレートを記憶しているため、挿入方向を検知する挿入方向検知センサ250を備えなくて認証対象者を認証できる。その結果、挿入方向検知センサ250を備えなくてもよいので、製造コストを下げることができる。
【0047】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施例に係る認証装置のブロック図。
【図2】生体画像データおよび本実施例に係る認証装置に記憶されているテンプレートを説明する説明図。
【図3】生体情報取得部が取り付けられたセキュリティドアの断面構造を模式的に示す説明図。
【図4】認証装置の動作を説明するフローチャート。
【図5】認証装置に指を挿入した時ときの状態を模式的に示す説明図。
【図6】認証時の画像データの処理を模式的に示す説明図。
【図7】変形例に係る認証装置に指を挿入した時ときの状態を模式的に示す説明図。
【図8】テンプレート生成時の画像データおよび認証データファイルに記憶されている認証用のテンプレートを模式的に示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
10…認証装置
100…制御部
110…CPU
120…メモリ
130…ハードディスク
134…認証プログラム
136…認証データファイル
150…ドア用インターフェース
160…ネットワークインターフェース
170…入力インターフェース
180…出力インターフェース
200…生体情報取得部
210…光源
220…生体情報取得センサ
230…画像処理部
240…コントローラ
250…挿入方向検知センサ
260…挿入口鍵
300…ドア制御部
310…ドアロック制御部
400…キーボード
410…マウス
500…ディスプレイ
600…ネットワーク
700…セキュリティドア
710…生体測定室
720…ドアノブ
730…生体挿入用扉
740…スライドパネル
750…レール
760…ストッパ
770…生体支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の方向からアクセスが可能な認証装置であって、
生体から生体情報を取得する生体情報取得手段と、
生体のアクセス方向を検知する検知手段と、
認証用のテンプレートをあらかじめ記憶する記憶手段と、
前記検知した生体のアクセス方向情報と生体から取得した生体情報と前記テンプレートを用いて前記生体を認証する認証手段と、
を備える、認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載の認証装置において、
前記認証手段は、前記生体のアクセス方向情報を用いて、前記テンプレートが取得されたときのアクセス方向と認証時の生体のアクセス方向を一致させるように、取得した生体情報またはテンプレートの変換を行って認証を実行する、認証装置。
【請求項3】
請求項1に記載の認証装置において、
前記記憶手段はアクセス方向に応じた複数のテンプレート情報を記憶し、
前記認証手段は前記記憶手段から読み出した前記生体のアクセス方向情報と一致するアクセス方向のテンプレートを用いて前記生体を認証する、認証装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の認証装置において、
生体を測定位置に固定するための固定手段を備える、認証装置。
【請求項5】
請求項4に記載の認証装置において、さらに、
前記固定手段に生体の挿入方向を検知する検知手段を備える、認証装置。
【請求項6】
請求項4に記載の認証装置において、さらに、
前記生体のアクセス扉と、
前記アクセス扉の開閉検知手段とを備える、認証装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の認証装置において、さらに、
一の方向から生体がアクセスされた場合に他の方向からの生体のアクセスを防止する、アクセス防止手段を備える、認証装置。
【請求項8】
複数の方向からアクセスが可能な認証装置であって、
生体から生体情報を取得する生体情報取得手段と、
アクセス方向に応じた複数の認証用のテンプレートとをあらかじめ記憶する記憶手段と、
生体から取得した生体情報と前記記憶手段に記憶されている複数の認証用のテンプレートとを照合することにより前記生体を認証する認証手段と、
を備える、認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−197712(P2008−197712A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29231(P2007−29231)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】