説明

誘導性負荷を接続するための方法、及び、その方法を実行するための接続回路

【課題】最小限の突入電流の発生にとどめることを課題としている。
【解決手段】
本発明は、誘導負荷、特に発電機(12)の巻き線(13)を所定の交流中間電圧に接続するための方法に関し、誘導負荷は、ブレーカー(17)を用いて中間電圧に接続されている。突入電流を減少させるために、中間電圧が所定の位相にある場合に、接続がなされるように調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機電力発電の分野に関する。誘導性の負荷、特に、発電機のステータコアに巻かれる巻き線を、請求項1の前提部のように、所定の交流中間電圧に接続するための方法に関する。この方法を実行するための接続回路にも関している。
【背景技術】
【0002】
発電機のステータ上で、ハイフラックス試験を実行するために、6−10kVの中間電圧が、機械的にかつ電気的に、ステータコアに巻かれ、5−12個の巻き線の中間電圧を備えたコイルまたは巻き線に接続されている。現在まで、中間電圧は、従来の中間電圧をスイッチボードから遮断する遮断機を密閉することによって接続されていた。この方法のための配置は、原理的に図1で示されている。図1の試験配置10において、発電機12の巻き線13は、接続回路11を介して、中間電圧スイッチボード14に接続されている。
【0003】
このように、一時的な直流電流成分による極めて高い突入電流が、スイッチングボードやステータコアの高磁束残留磁場でおきる。これは、突入電流が、流入中間電圧スイッチボードにおいて、過電流トリップの制限値を超えた場合に、回路遮断機がクローズに保たれるという深刻な問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許第3122280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、それゆえ、従来の方法の不利益を回避し、最小限の突入電流の発生によって区別される、中間電圧に誘導負荷を接続させるための方法を提供することである。
【0006】
目的は、請求項1及び8の全ての特徴によって達成される。本発明の本質的な特徴は、突入電流を減少させるために、中間電圧が所定の位相の場合に、接続が効力を生じるように調節されることである。
【0007】
本発明による方法の実施例は、中間電圧が最大相を通過する場合に、接続がなされるように調節されていることを特徴としている。
【0008】
本発明による方法の他の実施例は、時間に対しての中間電圧の特性がサンプリングされ、前記所定の位相を通過する前に、所定期間に達する代表値を中間電圧が想定している場合に構築されることを特徴としている。
特に、中間電圧の前記代表値は、ゼロクロスである。
【0009】
他の実施例は、ブレーカーは、自身の遅れ時間を有しており、ブレーカーの遅れ時間より長く、所定の期間がとられていることを特徴としている。
【0010】
本発明による方法の他の実施例は、中間電圧スイッチボードの遮断機は、ブレーカーとして用いられることを特徴としている。
【0011】
本発明による方法の他の実施例は、6−10kVの中間電圧が用いられることを特徴としている。
【0012】
方法を実行するための本発明による接続回路は、ブレーカーを介して互いに接続されている、中間電圧と、誘導負荷を接続するための巻き線接続部とを備え、第1の電圧変圧器は、中間電圧接続部とブレーカーとの間に配置され、第1の電圧変圧器の出力は、ゼロクロス検出器の入力に接続され、かつ、ゼロクロス検出器は、下流の遅延回路を介して、ブレーカーを制御することを特徴としている。
【0013】
本発明による接続回路の実施例は、遅延回路(23)の遅延時間が調節可能であることを特徴としている。
接続回路の他の実施例は、制御パネルが備えられ、該制御パネルを用いて、ゼロクロス検出器と遅延回路とが準備状態に置かれることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】発電機のステータのハイフラックス試験のための試験装置の非常に単純化した図面である。
【図2】本発明の例示的な実施例による図1における試験装置のための接続回路の構造を示したものである。
【図3】図2の第1の回路ブレーカーの前後の、測定電圧の時間に対する特性を示したものである。
【図4】本発明による方法の例示的な実施例によるスイッチングプロセスを電圧―時間図で示したものである。
【図5】図4のスイッチングプロセスのフロー図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の根底となるアイデアは、ハイフラックス試験(高磁束試験)が実行される間に発生する突入電流を第1の近似値に最小化する場合に実行され、関連した巻き線を中間電圧源に接続する関連したブレーカーは、時間の適切な時間で閉じられる。特に、中間電圧源の交流電圧の最大相が時間の適切な時間としてみなされる。
【0016】
本発明の方法を実行するための特に適切な、対応接続回路11の内部構造は、図2で表されている。入力側で、接続回路11は、使用される中間電圧が印加される2つの中間電圧接続部15a、15bを備えている。中間電圧接続部15a及び15bから、接続ケーブルが2つの巻き線接続部21a及び21bに走り、この巻き線接続部21a及び21bは、出力として配置され、かつ、試験される発電機12の巻き線13(ステータコアに巻かれる中間電圧ケーブルの巻き線)が接続される。巻き線接続部21a及び21bとの供給が絶たれ、アースする、アイソレータ(断路器)19が、接続ケーブルに内臓されている。
【0017】
実際のスイッチオンプロセスを制御するブレーカー17は、アイソレータ(断路器)19と中間電圧接続部15a及び15bとの間挿入されている。ブレーカー17は、中間電圧接続部15a及び15b上に存在する中間電圧の時間特性に応じて制御されている。この交流電圧は、電圧変圧器16を介して、タップオフされ、かつ、電圧変圧器16の出力信号は、交流電圧のゼロクロスを検知し、遅延回路23に適切な信号を通過させるゼロクロス検出器22に供給される。時間遅れした検出器の信号は、ブレーカー17を制御するために用いられる。時間遅れした検出器信号の1つが、ブレーカー17を閉じることを可能にするために、ゼロクロス検出器22と遅延回路23は、まず、制御パネル24からの適切な信号(許可命令)によって、準備状態に置かなければならない。これが生じたとき、ゼロクロス検出器22からの次の検出器信号が、遅延回路23での適切な遅延後、ブレーカー17をスイッチオンするために用いられる。
【0018】
ブレーカー17とアイソレータ19の間に配置された更なる電圧変圧器18は、スイッチオンの間の出力電圧の挙動を監視するために用いられる。加えて、電流変圧器20がスイッチオンプロセスの間に流れる電流をチェックするために用いられる。
【0019】
スイッチオンの間、2つの電圧変圧器16及び18を用いて検出された電圧VT1及びVT2が、図3で示されたように、時間に関する特性を持っている。スイッチオンの時点まで、ブレーカー17後の変圧器電圧VT2はゼロであり、一方で、入力地点での電圧(VT1)は、フルに印加されている。ブレーカー17が閉じられたとき、ブレーカー17後の変圧器電圧VT2は、現在印加されている中間電圧に対応する電圧の値の大きさにジャンプし、その後、変圧器電圧VT1と同一になる。
【0020】
セットアップモードで、ブレーカー17とアイソレータ19は、最初開いている。それから、ブレーカー17が閉じられ、プロセス中、変圧器電圧VT1及びVT2の電圧特性は、同時にオシロスコープで記憶される(図3参照)。遅延回路23の遅延時間は、調節され、その結果、設定された遅延時間(図4のT1)と内在するブレーカー17の遅延時間の合計が、交流電圧が相最大値に達するときに、交流電圧が巻き線接続部21a及び21bで現れるのに十分に大きい。
【0021】
遅延時間が設定された場合、接続回路11は、発電機のハイフラックス試験(高磁束試験)を実行するために用いられることが可能である。この目的のために、アイソレータ19は、永久に閉じており、試験のスタート時(図4の時間t1)に、準備信号が、制御パネル24からゼロクロス検出器22や遅延回路23に送られる。ゼロクロス検出器22によって、次のゼロクロスが検出された場合(図4のt2)に、ブレーカー17は、設定された遅延時間T1と内在する遅延時間T2の終了後に閉じられ、それから、変圧器電圧VT2が、変圧器電圧VT1の特性に従う。
【0022】
このプロセスの対応するフロー図が図5において示されている。フロー図は、5のセクションFC1−FC5を備えている。第1のセクションFC1は、アクティブテストモードへの移行が示されており、このアクティブテストモードにおいて、アイソレータ19は閉じられる、一方で、ブレーカー17はまだ開いている。それから、装置22及び23が第1の命令k1によって、準備状態に置かれる。第2のセクションFC2で、電圧変圧器16の変圧器電圧VT1の次のゼロクロスが検出される。第3のセクションFC3で、検出器信号が、回路23の第1の時間遅れに従う。ブレーカー17は、第2の命令k2によって、スイッチオンの命令がなされる。ブレーカー17は、実際には、ブレーカーの内在遅れ時間が過ぎた後に、閉じられる。
【符号の説明】
【0023】
10 試験装置
11 接続回路
12 発電機
13 巻き線(発電機のステータコアに通じる中間電圧ケーブルの巻き線)
14 中間電圧スイッチボード
15a、b 中間電圧接続部
16、18 電圧変圧器
17、19 パワースイッチ、ブレーカー
20 電流変圧器
21a、b 巻き線接続部
22 ゼロクロス検出器
23 遅延回路
24 制御パネル
VT1、VT2 変圧器電圧
t1、t2、t3 時点
T1、T2 遅延時間
FC1−FC5 フローチャートセクション
K1、K2 命令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導負荷、特に発電機(12)の巻き線(13)を所定の交流中間電圧に接続するための方法であって、
誘導負荷(13)は、ブレーカー(17)を用いて中間電圧に接続される方法において、
突入電流を減少させるために、中間電圧が所定の位相にある場合に、接続がなされるように調節されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
中間電圧が最大相を通過する場合に、接続がなされるように調節されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
時間に対しての中間電圧の特性がサンプリングされ、
前記所定の位相を通過する前に、所定期間(T1+T2)に達する代表値を中間電圧が想定している場合に構築されることと、
接続が所定期間(T1+T2)の終りに行われることと、
を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載されている方法において、
中間電圧の前記代表値は、ゼロクロスであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の方法において、
ブレーカー(17)は、自身の遅れ時間(T2)を有しており、
ブレーカー(17)の遅れ時間(T2)より長く、所定の期間(T1+T2)がとられていることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の方法において、
中間電圧スイッチボード(14)の遮断機は、ブレーカー(17)として用いられることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法において、
6−10kVの中間電圧が用いられることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の方法を実行するための接続回路(11)であって、前記接続回路(11)は、ブレーカー(17)を介して互いに接続されている、中間電圧と、誘導負荷を接続するための巻き線接続部(21a、21b)とを備え、
第1の電圧変圧器(16)は、中間電圧接続部(15a、15b)とブレーカー(17)との間に配置され、
第1の電圧変圧器(16)の出力は、ゼロクロス検出器(22)の入力に接続され、かつ、
ゼロクロス検出器(22)は、下流の遅延回路(23)を介して、ブレーカー(17)を制御することを特徴とする接続回路。
【請求項9】
請求項8に記載の接続回路において、
遅延回路(23)の遅延時間は、調節可能であることを特徴とする接続回路。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の接続回路において、
制御パネル(24)が備えられ、該制御パネル(24)を用いて、ゼロクロス検出器(22)と遅延回路(23)とが準備状態に置かれることを特徴とする接続回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80759(P2012−80759A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−193631(P2011−193631)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】