説明

調整可能なターゲットを有する物理気相堆積チャンバ

本発明は、回転可能な基板ペデスタル及び少なくとも1つの移動可能な傾斜ターゲットを有する物理気相堆積(PVD)チャンバに関する。本発明の実施形態によれば、均一性の高い薄膜を堆積させることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般に、半導体基板処理システムに係る。より詳細には、本発明は、半導体基板処理システムの物理気相堆積チャンバに係る。
【0002】
関連技術の説明
[0002]物理気相堆積(PVD)又はスパッタリングは、集積回路及びデバイスの製造において最も普通に使用される処理の1つである。PVDは、負にバイアスされたターゲット(典型的に、マグネトロンターゲット)が比較的に重い原子を有する不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)又はこのような不活性ガスを含むガス混合物)のプラズマに対して曝されるような真空チャンバにて行われるプラズマ処理である。ターゲットを不活性ガスのイオンで衝撃すると、そのターゲットの材料の原子が放出させられる。これらの放出させられた原子は、ターゲットより下方に配設された基板ペデスタルに置かれた基板上に堆積膜として蓄積されていく。
【0003】
[0003]PVD処理の1つの重要なパラメータは、堆積膜の厚さ不均一性である。この膜不均一性を減少させるために多くの改良がなされてきている。このような改良は、従来においては、ターゲットの設計(例えば、ターゲット材料組成、マグネトロン構成等)真空チャンバの設計に関していた。しかしながら、このような手段だけでは、厳しさを増してきている膜均一性の要件に応えることができない。
【0004】
[0004]従って、当業分野では、改良されたPVDチャンバが必要とされてきている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明は、一般に、均一性の高い薄膜を堆積するためのPVDチャンバである。このチャンバは、回転可能な基板ペデスタルを含む。1つの実施形態では、ペデスタルは、膜堆積中に、毎分約10回転から100回転の角速度(RPM)で回転する。更に別の実施形態では、1つ又はそれ以上のスパッタリングターゲットが、そのペデスタルの上方に移動可能に配設される。ペデスタルに対するターゲットの配向は、横方向、又は垂直方向、又は角度的に調整できるようにしてもよい。1つの実施形態では、ターゲットは、ペデスタル回転の軸に関して約0度から約45度の角度の間で調整できるようにする。
【0006】
[0006]本発明の前述した特徴を詳細に理解できるように、簡単に概略的に前述した本発明について、添付図面に幾つかを例示した実施形態に関して、以下により特定して説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示するものであり、従って、本発明の範囲をそれに限定しようとしているものでなく、本発明は、その他の同様に効果的な実施形態を含みうるものであることに注意されたい。
【詳細な説明】
【0007】
[0013]理解を容易とするため、可能な限り、各図に共通な同一の要素を示すのに、同一の参照符号を使用している。
【0008】
[0014]本発明は、一般に、均一性の高い薄膜を堆積するためのPVDチャンバである。膜堆積の均一性の改善は、少なくとも部分的に、回転可能な基板支持ペデスタルによって可能である。
【0009】
[0015]図1は、回転可能な基板ペデスタル126を有するPVDチャンバ100の1つの実施形態を示している。図3Aは、基板ペデスタル126の部分横断面図である。図3Aの横断面図は、基板ペデスタル126の半径に沿って取られたものである。図1及び図3Aの図は、分かり易くするため簡単化されており、一定の尺度で描かれていない。本発明の実施形態を最も理解するには、図1及び図3Aを同時に参照されたい。
【0010】
[0016]このPVDチャンバ100は、一般的には、蓋アセンブリ102、主アセンブリ104、運動制御ユニット170、サポートシステム160及びコントローラ180を備えている。1つの実施形態では、蓋アセンブリ102は、ターゲットアセンブリ110及び上方包囲体122を含む。ターゲットアセンブリ110は、ターゲットベース112(例えば、水冷ベース)内に配設された回転可能なマグネトロンパック114、ターゲット118及びターゲットシールド120を含む。マグネトロンパック114は、駆動装置116に機械的に結合されており、この駆動装置116は、動作時に、そのマグネトロンパックを所定の角速度にて回転させる。本発明に対して効果的に適応することのできる1つのマグネトロンパックは、A. Tepman氏に対して2003年11月4日に発行された米国特許第6,641,701号に開示されているものである。ターゲットアセンブリ110は、RF、DC、パルス化DC等の電力源の如きプラズマ電力供給源(図示していない)に電気的に結合される。
【0011】
[0017]1つの実施形態では、主アセンブリ104は、チャンバ本体128、回転可能な基板ペデスタル126、チャンバ本体128の周辺に取り付けられた反転シールド136及び複数の輻射加熱器134を含む。シールド136は、一般的には、チャンバ本体128の上方部分からペデスタル126の方に向かって下方且つ内方へと延びている。基板ペデスタル126は、互いに結合される基板プラテン154及びカラムモジュール150を含む。蓋アセンブリ102と主アセンブリ104との間の真空密結合(Vacuum tight coupling)は、Oリング132として示された少なくとも1つのシールによって与えられるように例示されている。
【0012】
[0018]基板130(例えば、シリコン(Si)ウエハ等)は、チャンバ本体128のスリット弁124を通してPVDチャンバ100内へ出し入れされる。輻射加熱器134(例えば、赤外線(IR)ランプ等)は、一般的に、基板130及び/又はチャンバ100の内側部分を特定のプロセスレシピによって決定される温度まで予熱するのに使用される。輻射加熱器134はシールド136の下方に配置されているので、これら加熱器134は、スパッタされるターゲット物質がそこに堆積しないようにされ、もし、そのようになると、加熱器の性能に悪影響が及ぶことがある。
【0013】
[0019]動作において、プラテン154は、上方処理位置(図示されたような)又は下方移送位置(点線で示されたような)に選択的に配設することができる。ウエハ処理(即ち、スパッタ堆積)中に、プラテン154は、ターゲット118から所定の距離のところに位置する上方位置へと上昇させられる。基板130を受け取ったり解放したりするために、プラテン154は、基板のロボット移送を容易とするスリット弁124と実質的に整列した下方位置へと移動させられる。
【0014】
[0020]図3A及び図3Bに示された実施形態を参照するに、プラテン154は、このプラテン154の上方基板支持面306に配設された少なくとも1つのポリマー部材を含む。このポリマー部材は、適当なプラスチック又はエラストマーであってよい。1つの実施形態では、このポリマー部材は、溝304に配設されるOリング302である。動作において、基板130とOリング302との間の摩擦により、ウエハは、回転するプラテン154の基板支持面306に沿って滑らないようにされる。図3Bのペデスタル126の上面図には、リフトピンホール316の間に離間させて3つのOリング302が示されている。他に、図3Aに示されるような単一のOリング302を支持面306の周囲に沿って配設して、基板が処理中の基板の回転につれて滑らないようにすることもできる。
【0015】
[0021]プラテン154は、付加的に、支持面306から上方に延びる環状周辺リム308及び環状周辺上向きトレンチ310を含む。リム308は、プラテン154のより高い角速度での基板の滑りを阻止する付加的手段としての基板受けポケット312を支持面306に画成する。更に別の実施形態(図示していない)では、リム308は、面取りされ、角度付けされ、丸み付けされ、又はその他の仕方で、基板130がプラテン154の中心から最小のずれでもって位置決めされるように基板130を案内するように適応させておくこともできる。
【0016】
[0022]1つの実施形態では、基板ペデスタル126の上方部分において、周辺トレンチ310は、反転シールド136の下方延長内側リップ314と入り組み合い、スパッタされたターゲット物質の周辺フラックスのためのトラップを形成する。このようなトラップは、スパッタ堆積から輻射加熱器を保護し、加熱器(例えば、IRランプ)の動作寿命を延ばす。トレンチ310は、底面部材360及び上方延長フィンガー362を含む。底面部材360及びフィンガー362は、オプションとして、交換可能な部材364(点線で示されるように)プラテン154に結合できるようなものとすることもできる。
【0017】
[0023]別の実施形態(図示していない)として、プラテン154は、クランプリング、静電チャック、埋込基板加熱器、バックサイド(即ち、熱交換)ガス及び/又は冷却流体のための通路、無線周波数電極及びPVD処理を高めるために知られたその他の手段を備える。バックサイドガス、冷却流体、電気及び無線周波数電力の各源(図示していない)への結合は、当業者に知られた従来の手段を使用して行うことができる。
【0018】
[0024]図1に戻って、運動制御ユニット170は、一般に、ベローズ148、磁気駆動装置144及び変位駆動装置140を含み、これらは、チャンバ本体128に取り付けられたブラケット152に取り付けられるように例示されている。ベローズ148は、このベローズの底面プレート192に回転可能に(矢印156で例示されるように)結合されたカラムモジュール150に対して拡張可能な真空密シールを与える。ブラケット152とチャンバ本体128との間の真空密界面は、例えば、1つ又はそれ以上のOリング又はクラッシャブル銅シール(図示していない)を使用して形成することができる。基板ペデスタル126を通して延長するリフトピンを制御するため、リフトピン機構138を、運動制御ユニット170又はその他の場所に結合させることができる。
【0019】
[0025]カラムモジュール150は、シャフト198及び磁気駆動装置144に近接配設される複数の磁気素子142を含む。動作において、磁気駆動装置144は、磁気素子142を磁気的に回転させて、カラムモジュール150及びプラテン154を回転させるように、選択的に付勢される複数のステーターを含む。1つの典型的な実施形態では、基板ペデスタル126の角速度は、毎分約10回転から100回転の範囲において選択的に制御される。磁気駆動装置は、ペデスタルを回転させるのに適したその他のモータ又は駆動装置に置き換えることも考えられる。
【0020】
[0026]動作において、ターゲット118からスパッタされる物質のフラックスは、ターゲットの材料組成の変動、ターゲット上への異物(例えば、酸化物、窒化物等)の蓄積、蓋アセンブリ102の機械的不整列及びその他の要因により空間的に不均一である。PVDチャンバ100における膜堆積中に、基板ペデスタル128の回転運動により、スパッタ物質のフラックスのこのような空間的不均一が補償され、回転基板130上に均一性の高い膜が堆積される。例えば、ターゲット118の異なる領域からのスパッタ物質の変動は、基板130の回転に従って基板130に亘って平均化され、堆積される膜の厚さの均一性が高められる。
【0021】
[0027]変位駆動装置140は、ベローズ148の底面プレート192に硬く結合され、動作において、基板ペデスタル126を下方位置(即ち、ウエハ受取/解放位置)と上方位置(即ち、スパッタリング位置)との間で移動(矢印184で例示される)させるようにする。変位駆動装置140は、エアシリンダー、油圧シリンダー、モータ、直線作動装置又はペデスタル126の昇降を制御するに適当なその他の装置であってよい。
【0022】
[0028]サポートシステム160は、PVDチャンバ100の機能を集約的に行わせる種々な装置を備える。例示すると、このサポートシステム160は、当業者に知られているような1つ又はそれ以上のスパッタリング電力供給源、1つ又はそれ以上の真空ポンプ、スパッタリングガス及び/又はガス混合物の源、制御機器及びセンサ等を含む。
【0023】
[0029]コントローラ180は、中央処理装置(CPU)、メモリ及びサポート回路(いずれも図示していない)を備える。インターフェイス182を介して、コントローラ180は、PVDチャンバ100の各構成部分に結合され、それら構成部分を制御し、且つそのチャンバにて行われる堆積処理を制御する。
【0024】
[0030]図2は、回転可能な基板ペデスタル及びこのペデスタルの回転軸に対してある角度をなして配設されたスパッタリングターゲットを有するPVDチャンバ200の別の実施形態を概略的に示している。図2は、例示の目的のため簡単化されており、一定の尺度では描かれていない。
【0025】
[0031]このPVDチャンバ200は、一般的に、蓋アセンブリ202、主アセンブリ104、運動制御ユニット170、サポートシステム160及びコントローラ180を含む。PVDチャンバ100及び200に実質的に共通の構成部分については、図1及び図3Aに関して前述した。
【0026】
[0032]蓋アセンブリ202は、一般に、ターゲットアセンブリ110、傾斜上方包囲体204、及び任意的なものとして、その包囲体204とチャンバ本体128との間に取り付けられる少なくとも1つのスペーサー206(1つのスペーサーが図示されている)を備える。例示として、蓋アセンブリ202、スペーサー206及び主アセンブリ104の間の真空密結合は、1つ又はそれ以上のシール208を用いて与えられている。
【0027】
[0033]ターゲットアセンブリ110は、ターゲット118のスパッタリング面220と回転可能な基板ペデスタル126の支持面186(又は基板130)との間に角度214が形成されるように傾斜させて上方包囲体204に取り付けられている。スパッタリング面220の中心は、基板130から垂直に距離292だけ離間させられている。スパッタリング面の中心は、付加的に、基板130の中心から横方向に距離218だけ離間させることができる例えば、その距離218は、約0mmから約450mmまでの間で選択的に設定することができる。上方包囲体204のトップパネル222は、一般的に、角度214が約0度から約45度までの範囲内に選択されるように、配向されている。このような傾斜ターゲットによれば、スパッタ物質が、基板に、ある傾斜した入射角(即ち、直角でない)で衝突させられ、それにより、堆積の均一性が改善される。ペデスタルが堆積中に回転するので、堆積物質は、基板面に360度に亘って堆積させられる。最適角度214は、各タイプのターゲット材料及び/又は基板面形態について、例えば、事前テストにより決定することができる。最適角度が決定されるとき、蓋アセンブリ202(及びターゲット118)は、各堆積処理動作毎に適当な角度に傾斜させることができる。
【0028】
[0034]スペーサー206は、ターゲット118と基板130との間の最適垂直距離(矢印210で例示されている)を定めるのに利用できる。1つの実施形態では、任意のスペーサー206の組合せ高さ216は、約0mmより大きい高さから500mmの高さまでの範囲内に選択することができる。こうすることにより、基板ペデスタル154が上昇処理位置にあるとき、ターゲット118の中心と基板130との離間距離292を約200mmと約450mmとの間に選択することができる。ターゲットの傾斜角と同様に、スペーサー208は、異なるターゲット材料及び/又は基板形態に対して最良の処理結果が得られるように基板とターゲットとの間の最適間隔を決定するのに調整することができる。それらの最適距離が決定されるとき、各処理動作毎に最適な堆積結果を得るため、適当な数及びスラック高さのスペーサー206を利用することができる。
【0029】
[0035]更に別の実施形態では、蓋アセンブリ202は、堆積性能を高めるようにターゲット118と基板130との間の横方向のオフセットを調整するため、主アセンブリ104のフランジ224に沿って(矢印212で例示される)移動させることができる。1つの実施形態では、PVDチャンバ200内に大気圧が回復された後、蓋アセンブリ202は、低摩擦チップ又はボールを有する複数のプッシャー226を使用してフランジ224の上方へと上昇させることができる。別の仕方として、プッシャー226は、低摩擦材料(例えば、テフロン(商品名)、ポリアミド等)で形成することができ、又は、そのような低摩擦材料を含むことができる。
【0030】
[0036]1つの実施形態では、アクチュエーター290が、プッシャー226を主アセンブリ104の上面より上方へと選択的に延長させるため、主アセンブリ104に結合される。このアクチュエーター290は、蓋アセンブリ202を主アセンブリ104から離すためプッシャー226を変移させる流体シリンダー、電気モータ、ソレノイド、カム又はその他の適当なデバイスであってよい。アクチュエーター290は、主アセンブリ104に結合されるように示されているが、このアクチュエーター290は、蓋アセンブリ202に結合されてもよく、又は、蓋アセンブリ202を主アセンブリ104から引き上げるようにプッシャー226を蓋アセンブリ202から下方へ延長させる構成としてもよい。
【0031】
[0037]その上昇位置において、蓋アセンブリ202は、フランジ224に沿って所定位置まで移動させられ、そこで、プッシャー226が下降させられ、蓋と主アセンブリとの間の真空密結合が回復させられる。1つの実施形態では、蓋アセンブリ202のスライド移動の距離(又はオフセット)218は、約0mmから500mmまでの範囲にて選択的に制御することができる。角度及び高さ(間隔)調整と同様に、ターゲット118と基板との間のオフセットは、異なる材料及び基板形態について堆積結果が最適化されるように、角度及び高さと共に、選択できる。
【0032】
[0038]一般的に、回転可能な基板ペデスタル126に関してターゲットアセンブリ110の空間的位置を集約的に定め、従って、スパッタされるターゲット物質の原子の入射角及び運動エネルギーを定める角度214、高さ216(間隔292)及びオフセット218の最適値は、処理固有のものである。動作において、ターゲットアセンブリ110が処理固有の最適空間位置に置かれるとき、最良の特性(例えば、最小の厚さ不均一性)を有する膜を基板130上に堆積させることができる。従って、所定の堆積物質及び/又は基板形態に対して最適な角度、間隔及びオフセットが知られるとき、蓋アセンブリ202及びターゲット118の配向は、所定の処理動作について所望の処理結果を得るための予め定められた向きに設定することができる。例えば、図2A及び図2Bは、異なる角度214′、214″、垂直間隔292′、292″及び横方向オフセット218′、218″を有する蓋アセンブリ202を示している。
【0033】
[0039]1つの典型的な実施形態として、本発明は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社によるEndura CL(商品名)集積半導体ウエハ処理システムのPVDチャンバの構成要素を利用することによって実施された。この実施形態では、毎分約48回転で回転する300mmシリコン(Si)ウエハ上に、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、銅(Cu)及びニッケル-鉄(Ni-Fe)合金膜が、それぞれのマグネトロンターゲットを使用して、堆積された。角度214、高さ218(間隔292)及びオフセット218を、それぞれ、約30度、340−395mm及び300−400mmの処理固有の範囲内で最適化することにより、次の表に示されるように、堆積膜ついて約0.17−0.35%(1σ)の厚さ不均一性が達成された。
【0034】
【表1】

【0035】
[0040]図4A及び図4Bは、本発明の更に別の実施形態による複数の蓋アセンブリ(4つのアセンブリ402A−402Dが例示的に示されている)を備える別のPVDチャンバ400の概略斜視図及び断面図を示している。図4Aの図は、例示の目的で簡単化されており、一定の尺度では描かれていない。蓋アセンブリ402A−Dは、前述した蓋アセンブリ202と同様である。従って、図2及び図4A、図4Bを同時に参照されたい。
【0036】
[0041]PVDチャンバ200及び400に実質的に共通の構成部分は、図1及び図2に関して前述した。ここでは、特定の装置の間の区別をするのに適当なときには英数字の添字を付している以外は、同様の構成部分については同じ参照数字を用いて示している。
【0037】
[0042]PVDチャンバ400において、蓋アセンブリ402A−Dが、主アセンブリ104の回転可能な基板ペデスタル126(図4Bに示されている)の周りに、共通フランジ404上に配設されている。共通フランジ404は、蓋アセンブリ402A−D及び主アセンブリ104と真空密接触している。1つの実施形態では、蓋アセンブリ402A−Dは、基板ペデスタル126に関して、実質的に対称的にフランジ404上に配設されている。更に別の実施形態では、各ターゲットアセンブリ410A−410Dの空間位置は、図2の蓋アセンブリ202及びターゲットアセンブリ110に関して説明したように、それぞれの蓋アセンブリ402A−Dを調整することにより、選択的に最適化される。
【0038】
[0043]PVDチャンバ400によれば、堆積膜の特性を更に最適化することができ(例えば、厚さ不均一性を最小化することができ)、又、複合膜構造(例えば、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)構造等)のその場で(in-situ)製造を行うことができる。例えば、ターゲットアセンブリ410A−410Dが異なる材料で形成されたターゲット118を備えるようなPVDチャンバ400は、そのような物質又はそれらの混合物の均一性の高い膜からなる多層膜スタックをその場で(in-situ)堆積するのに使用することができる。更に又、この装置400における各ターゲットアセンブリ410A−Dの空間位置(即ち、角度414A−D、高さ416A−D及びオフセット418A−D)は、回転基板ペデスタル126に対して個々に最適化できるので(即ち、角度414A−Dは必ずしも等しくなくてもよく、高さ416A−D及びオフセット418A−Dについても同じである)、異なる物質及び膜スタックを、膜厚さの不均一性を最小としてその場で堆積させることができる。
【0039】
[0044]本発明の実施形態について前述したのであるが、本発明の基本的範囲を逸脱せずに本発明のその他の別の実施形態を考えることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】回転可能な基板ペデスタルを有するPVDチャンバの一実施形態の概略断面図である。
【図2】回転可能な基板ペデスタルを有するPVDチャンバの別の実施形態の概略断面図である。
【図2A】異なる処理位置にターゲットを有するPVDチャンバの概略断面図である。
【図2B】異なる処理位置にターゲットを有するPVDチャンバの概略断面図である。
【図3A】図1の回転可能な基板ペデスタルの部分横断面図である。
【図3B】図1の基板支持ペデスタルの上面図である。
【図4A】回転可能な基板ペデスタルの周りに配設された複数の斜めとされたスパッタリングターゲットを有する別のPVDチャンバの概略斜視図である。
【図4B】図4AのPVDチャンバの概略断面図である。
【符号の説明】
【0041】
100…PVDチャンバ、102…蓋アセンブリ、110…ターゲットアセンブリ、112…ターゲットベース、114…マグネトロンパック、116…駆動装置、118…ターゲット、120…ターゲットシールド、124…スリット弁、126…基板ペデスタル、128…チャンバ本体、130…基板、132…Oリング、134…輻射加熱器、136…反転シールド、138…リフトピン機構、140…変位駆動装置、142…磁気素子、144…磁気駆動装置、148…ベローズ、150…カラムモジュール、152…ブラケット、154…基板プラテン、160…サポートシステム、170…運動制御ユニット、180…コントローラ、182…インターフェイス、186…支持面、192…底面プレート、198…シャフト、200…PVDチャンバ、202…蓋アセンブリ、204…包囲体、206…スペーサー、208…シール、214、214′、214″…角度、216…高さ、218、218′、218″…距離(オフセット)、220…スパッタリング面、222…トップパネル、224…フランジ、226…プッシャー、290…アクチュエーター、292、292′、292″…距離(間隔)、304…溝、306…上方基板支持面、308…環状周辺リム、310…環状周辺上向きトレンチ、312…基板受けポケット、314…下方延長内側リップ、360…底面部材、362…上方延長フィンガー、364…交換可能な部材、400…PVDチャンバ、402A、402B、402C、402D…蓋アセンブリ、404…共通フランジ、410A、410B、410C、410D…ターゲットアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ本体と、
上記チャンバ本体に配設された回転可能な基板ペデスタルと、
異なる処理位置の間で調整可能な蓋アセンブリに結合された少なくとも1つのスパッタリングターゲットと、
を備え、
上記蓋アセンブリは、上記ペデスタルに対して処理位置間で横方向に移動可能である、物理気相堆積チャンバ。
【請求項2】
上記少なくとも1つのスパッタリングターゲットは、上記基板ペデスタルの基板支持面と平行でない、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
上記ターゲットは、約0度と約45度との間の角度で配設される、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項4】
上記チャンバ本体から選択的に延長して上記蓋アセンブリを上記チャンバ本体から離間させる複数のスライダーを更に備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項5】
上記ターゲットは、約0度と約45度との間の角度で配設される、請求項4に記載のチャンバ。
【請求項6】
上記蓋アセンブリは、上記ペデスタルの回転軸に対して処理位置間で垂直方向に移動可能である、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項7】
上記ターゲットは、約0度と約45度との間の角度で配設される、請求項6に記載のチャンバ。
【請求項8】
上記少なくとも1つのスパッタリングターゲットは、上記基板ペデスタルの周りに配設された複数のターゲットである、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項9】
上記スパッタリングターゲットのうちの少なくとも2つは、異なる材料からなる、請求項8に記載のチャンバ。
【請求項10】
上記チャンバ本体に結合されて上記ペデスタルの方へ内方且つ下方に延長するシールドを更に備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項11】
上記チャンバ本体の上記シールドより下方の領域に配設された少なくとも1つの基板加熱素子を更に備える、請求項10に記載のチャンバ。
【請求項12】
上記シールドは、上記ペデスタルと入り組み合う(interleave)、請求項11に記載のチャンバ。
【請求項13】
上記基板ペデスタルは、更に、環状周辺上向きトレンチを備える、請求項12に記載のチャンバ。
【請求項14】
上記ペデスタルは、更に、上記ペデスタルが上昇位置にあるとき、上記ペデスタルの上記トレンチに係合する内側リップを備える、請求項13に記載のチャンバ。
【請求項15】
上記基板ペデスタルは、更に、基板支持面と、上記支持面から延長して基板受けポケットを画成する環状周辺リムと、
を備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項16】
上記基板ペデスタルは、更に、基板支持面と、上記支持面に配設される少なくとも1つのポリマー部材と、
を備える、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項17】
チャンバ本体と、
上記チャンバ本体に配設された回転可能な基板ペデスタルと、
処理位置の間で調整可能なスパッタリング面を有し、少なくとも1つの処理位置における上記スパッタリング面は、上記ペデスタルの基板支持面と平行でないような少なくとも1つのターゲットと、
上記チャンバ本体上に配設され、上記スパッタリングターゲットを結合させている蓋アセンブリと、
を備え、上記蓋アセンブリは、上記ペデスタルに対して処理位置間で横方向に移動可能である、物理気相堆積チャンバ。
【請求項18】
上記ターゲットのスパッタリング面は、上記支持面に対して約0度より大きく約45度までの角度で配設される、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項19】
上記チャンバ本体から選択的に延長して上記蓋アセンブリを上記チャンバ本体から離間させる複数のスライダーを更に備える、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項20】
上記蓋アセンブリは、上記ペデスタルの回転軸に対して処理位置間で垂直方向に移動可能である、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項21】
上記少なくとも1つのターゲットは、上記基板ペデスタルの周りに配設される複数のターゲットである、請求項17に記載のチャンバ。
【請求項22】
上記スパッタリングターゲットのうちの少なくとも2つは、異なる材料からなる、請求項21に記載のチャンバ。
【請求項23】
上記チャンバ本体に結合され上記ペデスタルの方へ内方且つ下方に延長するシールドを更に備える、請求項18に記載のチャンバ。
【請求項24】
上記チャンバ本体の上記シールドより下方の領域に配設された少なくとも1つの基板加熱素子を更に備える、請求項23に記載のチャンバ。
【請求項25】
上記シールドは、上記ペデスタルと入り組み合う、請求項24に記載のチャンバ。
【請求項26】
上記基板ペデスタルは、更に、環状周辺上向きトレンチを備える、請求項25に記載のチャンバ。
【請求項27】
上記シールドは、更に、上記ペデスタルが上昇位置にあるとき、上記ペデスタルの上記トレンチに係合する内側リップを備える、請求項26に記載のチャンバ。
【請求項28】
上記基板ペデスタルは、更に、基板支持面と、上記支持面から延長して基板受けポケットを画成する環状周辺リムと、
を備える、請求項18に記載のチャンバ。
【請求項29】
チャンバ本体と、
上記チャンバ本体に配設され、上向きトレンチを有する回転可能な基板ペデスタルと、
上記チャンバ本体に結合され、上記ペデスタルが上昇位置にあるとき、上記ペデスタル及び上記ペデスタルの上記トレンチの方へ内方且つ下方へ延長するシールドと、
上記基板ペデスタルに結合され、該基板ペデスタルを回転させるように適応された第1の駆動装置と、
上記ペデスタルに結合され、上記チャンバ本体内における該ペデスタルの昇降を制御するように適応された第2の駆動装置と、
処理位置の間で調整可能なスパッタリング面を有し、少なくとも1つの処理位置において上記スパッタリング面が上記ペデスタルの基板支持面と平行でないような少なくとも1つのターゲットと、
上記チャンバ本体上に配設され、上記スパッタリングターゲットを結合させた蓋アセンブリと、
を備え、上記蓋アセンブリは、上記ペデスタルに対して処理位置の間で横方向に移動可能である、物理気相堆積チャンバ。
【請求項30】
上記ターゲットのスパッタリング面は、上記支持面に対して約0度より大きく約45度までの角度で配設される、請求項29に記載のチャンバ。
【請求項31】
上記蓋アセンブリは、上記ペデスタルの回転軸に対して処理位置間で垂直方向に移動可能である、請求項29に記載のチャンバ。
【請求項32】
上記チャンバ本体から選択的に延長して上記蓋アセンブリを上記チャンバ本体から離間させる複数のスライダーを更に備える、請求項31に記載のチャンバ。
【請求項33】
上記少なくとも1つのターゲットは、上記基板ペデスタルの周りに配設された複数のターゲットである、請求項29に記載のチャンバ。
【請求項34】
上記スパッタリングターゲットの少なくとも2つは、異なる材料からなる、請求項33に記載のチャンバ。
【請求項35】
物理気相堆積のための方法において、
蓋アセンブリに結合されたターゲット及び第1の配向にて配設された基板支持体を有するチャンバにおいて第1の物理気相堆積処理を行うステップと、
蓋アセンブリに結合されたターゲット及び第2の配向にて配設された基板支持体を有するチャンバにおいて第2の物理気相堆積を行うステップと、
を備えた方法。
【請求項36】
チャンバ本体と、
上記チャンバ本体に配設された回転可能な基板ペデスタルと、
異なる処理位置の間で調整可能な蓋アセンブリに結合された少なくとも1つのスパッタリングターゲットと、
上記チャンバ本体から選択的に延長して、上記蓋アセンブリを上記チャンバ本体から離間させ且つ上記蓋アセンブリのスライド移動を行わせるための複数のスライダーと、
を備える物理気相堆積チャンバ。
【請求項37】
上記少なくとも1つのスパッタリングターゲットは、上記基板ペデスタルの基板支持面と平行ではない、請求項36に記載のチャンバ。
【請求項38】
上記ターゲットは、約0度と約45度との間の角度で配設される、請求項36に記載のチャンバ。
【請求項39】
上記蓋アセンブリは、上記ペデスタルに対して処理位置間で横方向に移動可能である、請求項37に記載のチャンバ。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2008−519163(P2008−519163A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540128(P2007−540128)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/040259
【国際公開番号】WO2006/052873
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】