説明

調理器

【課題】確実な入力が可能となる信頼性の高い操作スイッチを備えた調理器を提供する。
【解決手段】トッププレート50上にガラス−金属接合された固定接点55aと、固定接点55aの上方位置に配置され同じくトッププレート50にガラス−金属接合された可動接点56aと、配線57a、58a、配線孔対59aで構成し、操作スイッチ51aの操作の有無を制御手段61で検知して、加熱手段60のオン、オフ、加熱量の制御をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器の操作スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器、洗濯機、クッキングヒータなどの家庭用電化機器には、これらの機器を操作するための操作スイッチが集中して取り付けられており、また、調理器においては防滴機能を有するパネル型の操作スイッチが備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来の調理器のスイッチ操作装置の側断面図である。
【0004】
図5に示すように、調理器本体の外殻1に設けられた操作パネル装着部6に、あらかじめ防水フィルム9を表面に一体成型した操作パネル5を接着し、内部の制御回路基板4上のプッシュスイッチ2を、スイッチ操作ボタン14を介して操作ボタン部10より操作することにより、内面への水密性が確保できるとともに、表面は滑らかな質感があり、調理時の熱にも充分耐えうる構成となっている。
【0005】
この防水フィルム9は弾力性を有する電気絶縁材、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂性のフィルムで、撓みをもたせて成形すれば、常時は中央部が弾発しており、押圧すると下方に反転し、押圧を解くと反転して元に復帰するため、プッシュスイッチ2のバネ力のみによるものより、明確なスナップ機能を有する。
【0006】
また、機械的作動部分を必要とせず、操作感が軽快で、機密性をより高くした静電容量式や光学式の加熱調理器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、タクトスイッチと呼ばれる4mm以下の極小の反転可動接点を有するスイッチ部品も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
図6は、特許文献2に記載された(a)従来の加熱調理器の本体斜視図(b)従来の加熱調理器の操作部の断面図である。
【0009】
図6に示すように、誘導加熱式の調理部24,25を、トッププレート22上において使用者が調理を行う手前側左右に配置し、ヒータ加熱式の調理部26を中央奥側に配置する。これらの加熱調理部24,25及び26に対応する操作・表示部27,28及び29を加熱調理部24,25及び26の手前側に設けて、その接触部27a,28a及び29aをプレート22の表面側から使用者が接触することにより、プレート22の下方に配置された静電容量式のスイッチ43が操作可能となるように構成されている。
【0010】
静電容量式のスイッチ43は、操作回路基板42上に銅泊で形成された平面状電極43a(図示せず)と、この平面状電極43aの周囲を取り囲むシールド用電極43b(図示せず。操作スイッチ43の接触範囲を確定するために設けられ、アースされている)とで構成されている。
【0011】
操作手段が存在する位置に対応する強化ガラス製のプレートの表面に直接、スイッチ機能を配することができると共に、操作子、操作釦などの突起物が無い平面状にすることができ、清掃などがより容易となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−209849号公報
【特許文献2】特開平10−214677号公報
【特許文献3】特許第3247496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記従来の調理器の構成では、防水フィルムを一体成型した操作パネルや、抵抗被膜方式のタッチパネルでは、フィルム材料の耐熱温度の制限から、調理中に高温(炒め物時は最高350℃)となった鍋を直置きすることはできない。
【0014】
また、静電容量式のスイッチでは、プレート上に調味液や水が大量にこぼされた場合にも、操作入力ありと誤って受け付けるという課題を有していた。
【0015】
また、光学式のスイッチでは、人指以外の反射物体、例えば、布巾や紙といったものが、キースイッチ操作面に誤って置かれた場合にも、操作入力ありと誤って受け付けるという課題を有していた。
【0016】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、確実な操作入力が可能となる信頼性の高い操作スイッチを有した調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記従来の課題を解決するために、本発明の調理器は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段とからなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレートにガラス−金属接合された固定接点と、固定接点よりも上方位置に配置される可動接点とを備えたものである。
【0018】
これによって、スイッチの押圧操作により加熱手段の開始及び停止、火力調整を行うことが可能となり、信頼性の高い調理器とすることができる。
【0019】
また、本発明の調理器は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段とからなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面にガラス−金属接合された可動電極と、トッププレート下面に印刷された固定電極パターンとを備え、押し下げ操作前後の可動電極と固定電極間の静電容量の差を検出して、操作入力を行えるようにしたものである。
【0020】
これによって、トッププレート上から制御手段までの配線が省け、コストダウンが図れると共に、防汚性、耐久性を向上した調理器となる。
また、本発明の調理器は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段からなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面に磁性材料をガラス−金属接合した可動電極と、前記操作スイッチ群近傍のトッププレート下面に配置された磁気センサとを備え、鍋以外の物体による可動電極の押し下げ操作を検出し、操作入力を行えるようにしたものである。
【0021】
これによって、大きな鍋を操作スイッチ群の上にずらして置かれた時に、誤って、スイッチを受け付けるこのもなく、信頼性の高い調理器とすることができる。
【0022】
また、本発明の調理器は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段からなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面に磁性材料をガラス−金属接合した可動電極と、前記操作スイッチ群近傍のトッププレート下面に配置された照度センサとを備え、鍋で操作スイッチ群が覆われていない状態での可動電極の押し下げ操作を検出して、操作入力を行えるようにしたものである。
【0023】
これによって、大きな鍋を操作スイッチ群の上にずらして置かれた時や、鍋以外の物を置かれた時に、誤って、スイッチを受け付けることもなく、信頼性の高い調理器とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の調理器は、クリック感を有する操作スイッチをトッププレート上に構成することが可能となると共に、水や調理時の吹きこぼれ物が触れただけでは加熱されない、操作が確実で信頼性の高い調理器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における調理器の平面図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における調理器の要部断面図(b)本発明の実施の形態1における操作スイッチの可動接点と固定接点の斜視図
【図3】(a)本発明の実施の形態2におけるシステムキッチン組込型調理器の要部断面図(b)本発明の実施の形態2におけるシステムキッチン組込型調理器のトッププレートと固定用金具フレームの斜視図
【図4】(a)本発明の実施の形態3における調理器の要部断面図(b)本発明の実施の形態3における調理器の操作スイッチの斜視図
【図5】従来の調理器のスイッチ操作装置の側断面図
【図6】(a)従来の加熱調理器の本体斜視図(b)従来の加熱調理器の操作部の断面図
【図7】本発明の第4の実施の形態における調理器の要部断面図
【図8】本発明の第5の実施の形態における調理器の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の発明は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置された操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段とからなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレートにガラス−金属接合された固定接点と、固定接点よりも上方位置に配置される可動接点とを備えたことにより、クリック感を有しつつ、突起物が無い平面に近く、清掃などがより容易で、且つ、調理で高温(炒め物時は最高350℃)となった鍋を直置きすることもできる操作部にすることができる。
【0027】
第2の発明は、特に、第1の発明の操作スイッチ群からの配線をトッププレート端側面を介して、制御手段まで接続し、トッププレート上の配線部分は、トッププレートを載置する金属フレームで覆うことにより、防水性、防汚性、耐ノイズ性を向上することができる。
【0028】
第3の発明は、特に、第1の発明の固定接点及び可動接点を薄肉のチタンで成形し、押し下げた時に接触する部分に導電性の高い金属を塗布して、耐久性を向上したものである。
【0029】
第4の発明は、特に、第1の発明の固定接点及び可動接点を薄肉のアルミで成形し、押し下げた時に接触する部分以外に絶縁性を有する金属を塗布して、耐久性を向上したものである。
【0030】
第5の発明は、特に、第1の発明の固定接点及び可動接点を薄肉のSUSで成形し、押し下げた時に接触する部分以外に絶縁性を有する金属を塗布して、耐久性を向上したものである。
【0031】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明の操作スイッチ内部の空気の熱膨張、及び、押し下げ時に体積減少を緩和する、水を通さない直径の空気抜き孔を可動接点、もしくは固定接点側に形成したことにより、よりクリック感が出やすくすることができる。
【0032】
第7の発明は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段とからなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面にガラス−金属接合された可動電極と、トッププレート下面に印刷された固定電極パターンとを備え、押し下げ操作前後の可動電極と固定電極間の静電容量の差を検出して、操作入力を行えるようにすることにより、トッププレート上から制御手段までの配線が省け、コストダウンが図れると共に、防汚性、耐久性が向上した調理器とすることができる。
【0033】
第8の発明は、特に、第7の発明の可動電極を薄肉のチタンで成形し、電極部は導電性の高い金属を内側に塗布して、耐久性を向上したものである。
【0034】
第9の発明は、特に、第7の発明の可動電極を薄肉のアルミで成形して、耐久性を向上したものである。
【0035】
第10の発明は、特に、第7の発明の可動電極を薄肉のSUSで成形して、耐久性を向上したものである。
【0036】
第11の発明は、特に、第7〜第10のいずれか1つの発明の操作スイッチ内部の空気の熱膨張、及び、押し下げ時に体積減少を緩和する、水を通さない直径の空気抜き孔を可動電極側、もしくは固定電極側に形成したものである。
【0037】
第12の発明は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段からなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面に磁性材料をガラス−金属接合した可動電極と、前記操作スイッチ群近傍のトッププレート下面に配置された磁気センサとを備え、大きな鍋が加熱領域(加熱コイル上)からずれた状態で置かれて、誤って可動電極が押し下げられた時の操作入力を、受け付け禁止とすることにより、信頼性の高い調理器とすることができる。
【0038】
第13の発明は、調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段からなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面に磁性材料をガラス−金属接合した可動電極と、前記操作スイッチ群近傍のトッププレート下面に配置された照度センサとを備え、鍋以外の物体により可動電極が押し下げられた時の操作入力を、受け付け禁止とすることにより、信頼性の高い調理器とすることができる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0040】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における調理器の平面図、図2(a)は本発明の第1の実施の形態における調理器の要部断面図、図2(b)は本発明の第1の実施の形態における操作スイッチの可動接点と固定接点の斜視図である。
図1、図2において、外郭を構成する本体49の上面に被加熱物を載置する透光性の耐熱強化ガラス等からなるトッププレート50が設けられ、トッププレート50上には、操作スイッチ群51と、加熱電力量の表示手段52を有している。
【0041】
操作スイッチ群51の操作面には調理器の制御内容を示す絵柄(アイコン)が印刷されており、使用者はこの中の一つのアイコンを選んで、指54で押し下げることで調理器を操作するものである。
【0042】
この操作スイッチ群51は、ダウンスイッチ51a、加熱入/切スイッチ51b、アップスイッチ51cを備えており、それぞれのスイッチは、トッププレート50上にガラス−金属接合された固定接点55a〜55cと、固定接点55a〜55cの上方位置に配置され同じくトッププレート50にガラス−金属接合された可動接点56a〜56cと、配線57a〜57c、配線58a〜58c、配線孔対59a〜59cで構成している。
【0043】
また、本実施の形態においては、操作スイッチ群51のダウンスイッチ51a、加熱入/切スイッチ51b、アップスイッチ51cのそれぞれのスイッチの接点構成は同じであり、それぞれのスイッチに対応する配線57a、57b、57c、配線58a、58b、58c、配線孔対59a、59b、59cの構成もそれぞれ同じである。
【0044】
したがって、図2においては、ダウンスイッチ51aに関し、固定接点55a、可動接点56a、配線57a、配線58a、配線孔対59aについて記載しており、他の加熱入/切スイッチ51b、アップスイッチ51cについての記載は省略している。
【0045】
また、トッププレート50の下部には加熱コイル(図示せず)と、加熱コイルへ高周波電流を供給するインバータ(図示せず)からなる加熱手段60と、操作スイッチ群51のダウンスイッチ51a、加熱入/切スイッチ51b、アップスイッチ51cの操作の有無を検知して、加熱手段60のオン、オフ、加熱量の制御をする制御手段61とが設けられている。
以上のように構成された調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0046】
まず、加熱入/切スイッチ51bを押し下げると、制御手段61が加熱手段60を制御して、(図示していない)加熱コイルへインバータから高周波電流を供給して、加熱コイルから誘導磁界が発せられ、トッププレート50の加熱領域53上に裁置された鍋等の被加熱物が誘導加熱される。
【0047】
この誘導加熱によって鍋等の被加熱物内の調理物の温度も上昇し、調理が行われる。ダウンスイッチ51a及びアップスイッチ51cは、加熱コイルへ供給する高周波電流を増減して、調理中の加熱量を適宜調整するために用いる。
【0048】
なお、可動接点56aは、薄肉の金属材料、例えば、チタン、アルミ、又は、SUSで成形して弾性を持たせ、押し下げ操作時のクリック感、もしくは押し込み感を使用者が感じられるようにしている。
【0049】
また、可動接点56aの下側の固定接点55aと押し下げ時に接触する部分、及び、配線57a、配線〜58aまでの経路には導電性の高い異種の金属を塗布(或いは蒸着)して、接触抵抗が経年変化等により劣化しないようにして、安定して接点としての機能をするようにしている。
【0050】
このように、トッププレート50に直接、ガラス−金属接合することにより、トッププレート50から可動接点56aの最頂点までの高さを1〜2mm程度に低くすることが可能となり、突起物が少ない概平面状の操作部とすることができる。
【0051】
従って、清掃などが容易となると共に、調理中に高温となった鍋を直置きすることも可能となる。
【0052】
また、水や調理時の吹きこぼれ物が触れただけでは加熱されないため、操作が確実で信頼性の高い調理器とすることができるものである。
【0053】
なお、熱膨張係数のほぼ一致した異種金属、あるいは金属とセラミックスやガラスを直接接合する各種の技術(ダイレクト封着接合法、陽極接合法、摩擦接合法、パルス通電接合法など)は既に確立されおり、専門メーカーより提供されている。
【0054】
これらの技術による接合では、ガラスと金属とを、他の金属を間に介在させることなく接合することが可能であるため、ガラスあるいは金属本来の耐熱性を損なうことはなく、精度、強度も高い。
【0055】
接合界面にのみ溶融させて接合させる接合法では、接合温度もガラスの結晶化温度以下で、接合時間も数秒と短く、十分に量産にも対応できる。
【0056】
また、金属コバールとコバールガラス等の接続物を介在させて接合する技術はそれ以前に公知であるが、トッププレート面積が広く、厚みが大きいため、均一な接合を行うには技術的に困難を伴うものであるとともに、コスト面でも直接接合法に劣る。
【0057】
なお、接合に替え、接着する工法も考えられるが、耐久性を考慮すると接合による工法の方が優れているのは明らかである。
【0058】
また、配線孔対59aはトッププレート50の強度を低下させないように、直径3mm以下とすることが望ましい。
【0059】
なお、可動接点を押し下げるストロークが数mmの場合は、固定接点55aの中央に、配線孔対59aと同径以下の空気抜き孔(図示せず)を開けておくことにより、スムーズな操作感を持たせることができる。
【0060】
また、押し下げるストロークを数百μm程度に低背化した場合には、固定接点との空間
に存在する気体の量は少ないので、空気抜き孔は必ずしも必要ではない。また、封入する気体を熱膨張率が少なく、腐食性の少ないアルゴン等にすれば、さらに望ましい操作性、耐久性を持った調理器とすることができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態では、押し圧感を持たせた操作入力が行えるとともに、操作部の汚れに対しても強く、信頼性の高いものとすることができる。
【0062】
(実施の形態2)
図3(a)は、本発明の第2の実施の形態におけるシステムキッチン組込型調理器の要部断面図。図3(b)は本発明の第2の実施の形態におけるシステムキッチン組込型調理器のトッププレートと固定用金属フレームの斜視図である。
【0063】
なお、第1の実施の形態における調理器と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
なお、操作スイッチ群66、67、68の構成はそれぞれ同じであり、図3(a)においては、図3(a)では操作スイッチ群66のダウンスイッチの要部断面図を示したものである。
【0065】
図3(a)(b)において、トッププレート50を固定する金属製の固定用金属フレーム62、トッププレート50上に印刷された加熱可能領域を示す加熱エリア63、64、65、3つの加熱領域に対応した操作スイッチ群66、67、68及び加熱量表示手段76、77、78、固定接点72aからの配線69a、可動接点75aからの配線71aで構成している。
【0066】
配線69aと配線71aの両者は接することのないような形状、すなわち、配線69a、を通す部分だけ、配線71aに切り欠け部を設けてある。(平面図は図示せず。図3要部断面図では配線の経路を強調するために、模式的に両者を分離して記述してあるが、実際の断面図では奥行き方向に重なって見える。)
さらに、3つの加熱コイル(図示せず)に高周波電流を供給する加熱手段80a、80b、80c、操作スイッチ群66、67、68の操作の有無を検知して、加熱手段80a、80b、80cのオン、オフ、加熱量の制御をする制御手段81を備えている。
【0067】
操作スイッチ群66は、ダウンスイッチ66aと、入/切スイッチ66bと、アップスイッチ66cからなり、制御手段81に接続され、加熱手段80aの加熱を制御することができる。
【0068】
操作スイッチ群67は、同じく制御手段81に接続され、加熱手段80bの加熱を制御をする。
【0069】
操作スイッチ群68は、加熱手段80cの加熱を制御をする。
【0070】
本実施の形態では、操作スイッチ群66〜68から、制御手段81a〜81cへの配線69a〜69cと、配線71a〜71cをトッププレート50端側面を経由して接続することにより、配線孔対が不要となり、より安価な調理器とすることが可能となる。
【0071】
さらに、トッププレート50上の配線部分を、酸化被膜等の絶縁物を介して、トッププレート50を固定する固定用金属フレーム62で覆うことにより、防水性、防汚性、耐ノイズ性を向上させることもできる。
【0072】
以上のように、本実施の形態では、押し圧感を持たせた操作入力が行えるとともに、操作部の汚れに対しても強く、信頼性の高いものである。
【0073】
(実施の形態3)
図4(a)は、本発明の第3の実施の形態における調理器の要部断面図である。(b)は本発明の第3の実施の形態における調理器の操作スイッチの斜視図である。
【0074】
なお、第1の実施の形態における調理器と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図4(a)、(b)において、操作スイッチ群84はトッププレート50上部にガラス−金属接合された可動電極87aと、トッププレート50下部に印刷された固定電極89a、遮蔽電極90aと、静電容量変化検出回路91と、制御手段80a、加熱手段92とで構成されている。
以上のように構成された調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0076】
使用者が指54により、操作スイッチ87a,87b,87cのいずれかを押し下げると、押し下げられた可動電極と対向する固定電極間との静電容量の変化分が大きくなり、静電容量検出部91は操作されたことを検出する。
【0077】
そして、制御手段80aへ該当する操作スイッチのオン・オフ状態の信号を出力する。制御手段80aは、この信号を入力して、加熱手段92のオン/オフ、及び、加熱量の制御をする。
【0078】
図4(b)操作スイッチの斜視図に示すように、ダウンスイッチ87a、入/切スイッチ87b、アップスイッチ87cは金属薄膜をプレス成形したものをガラス−金属接合によりトッププレート50に接合しており、各スイッチに対向する固定電極89a、89b、89cと、遮蔽電極90a、90b、90cがトッププレート50下面に印刷されている。
【0079】
図4(a)に示すように、ダウンスイッチ87aを押し下げると、可動電極87aと対向する固定電極89aとの間隔が近づくため、その間の静電容量Cswが増加する。
【0080】
人体は対地間容量Cgを持ち、各電極、静電容量検出部91、配線もそれぞれ対地間容量を持っており、これらがCswに対して直列の容量として入る。ここでCswに対して直列に入る容量が十分大きければ検出容量の変化はCpあるいは、CswとCgの直列容量になり、操作の有無を検出することが可能となる。
【0081】
以上のように、本実施の形態では、突起物が少ない概平面状の操作部とすることができる。従って、清掃などが容易となると共に、調理中に高温となった鍋を直置きすることも可能となる。また、水や調理時の吹きこぼれ物が触れただけでは加熱されないため、操作が確実で信頼性の高い調理器とすることができるものである。トッププレート上から制御手段までの配線が省け、コストダウンが図れると共に、防汚性、耐久性が向上する調理器とすることができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、安価な静電容量式としたが、技術的には、電界を検出する方式や、電極に替えて、コイルパターンを設け、インダクタンスの微小変化を検出する方式とすることも可能である。
【0083】
(実施の形態4)
図7は、本発明の第4の実施の形態における調理器の要部断面図である。なお、上記第1から第3の実施の形態における加熱調理器の調理器と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0084】
図7において、調理鍋100を載置するトッププレート101と、前記調理鍋100を加熱する高周波電流を供給するインバータ103aと加熱コイル103bとからなる加熱手段103と、前記調理鍋100の温度を検知する温度センサ105と、トッププレート101上面にガラス−金属接合された可動電極群106と、トッププレート101下面に印刷された固定電極群107aと、遮蔽(ガード)電極群107bと、静電容量変化検出手段108と、前記固定電極107a群の近傍に設けた磁界センサ109と、制御手段110とで構成されている。(可動電極群106と、固定電極群107aと、遮蔽電極群107bで、操作スイッチ群を構成している。)
以上のように構成された調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0085】
使用者が可動電極群106の中の一つを押し下げると、押し下げられた可動電極と対向する固定電極間との静電容量の変化分が大きくなり、静電容量変化検出手段108は操作されたことを検出する。そして、制御手段110へ該当する操作スイッチのオン・オフ状態の信号を出力する。一方、温度センサ105は鍋100の温度を出力し、磁界センサ109は可動電極群106の近傍に磁性を有する金属体が有るか無いかの情報を出力する。制御手段110は、これらの信号を入力して、温度センサ105が検知した温度が所定の温度以下で、且つ、操作スイッチ群の近傍に磁性金属体がない時に、加熱手段103のオン/オフ、及び、加熱量の制御をする。加熱コイル103bに、インバータ103aより高周波電流が供給されると、加熱コイル103bから誘導磁界が発せられ、トッププレート101上の鍋100が誘導加熱される。この誘導加熱によって鍋100の温度が上昇し、鍋100内の被加熱物が調理される。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、突起物が少ない概平面状の操作部とすることができると共に、水や調理時の吹きこぼれ物が触れただけでは加熱されず、鍋等の金属体では動作しないため、操作が確実で信頼性の高い調理器とすることができるものである。
【0087】
なお、加熱調理中に、磁界センサ109が磁性金属体を検知した場合に、鍋ズレ等が想定されるので、安全のために加熱を停止するように、制御手段105にプログラムしておくことも可能である。また、磁気センサとしては、ホール素子が安価で使い易い。
なお、磁気センサの替わりに、金属の存在を検出する誘導形近接センサ、金属および非金属物体の存在を検出する静電容量形近接センサを用いても良い。(誘導形近接センサは電磁誘導により金属体に発生する渦電流を用いて検出する方式である。静電容量形近接センサは、検出体の接近による電気的な容量の変化を捉える方式である。)
なお、インバータ103aの動作波形による小物検知機能も、操作スイッチ群が使用者の指以外のもので押されたのではないことの判断材料となるのは、当然である。
【0088】
(実施の形態5)
図5は、本発明の第5の実施の形態における調理器の要部断面図である。なお、上記第1から第4の実施の形態における加熱調理器の調理器と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図8において、前記固定電極群107aの近傍に照度センサ111を設けてある。
以上のように構成された調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0090】
可動電極群106の中の一つを押し下げると、押し下げられた可動電極と対向する固定電極間との静電容量の変化分が大きくなり、静電容量変化検出手段108は操作されたこ
とを検出する。そして、制御手段110へ該当する操作スイッチのオン・オフ状態の信号を出力する。一方、照度センサ111は操作スイッチ群の近傍上方の明るさの変化を検知して、制御手段110へ出力する。これらの信号を入力して、温度センサ105が検知した温度が所定の温度以下で、且つ、照度センサ111の検知した明るさが、操作スイッチ群が、鍋100や、まな板、料理ブックといった使用者の指以外の物で押されたのではないと判断した時に、加熱手段103のオン/オフ、及び、加熱量の制御をする。加熱コイル103bに、インバータ103aより高周波電流が供給されると、加熱コイル103bから誘導磁界が発せられ、トッププレート101上の鍋100が誘導加熱される。この誘導加熱によって鍋100の温度が上昇し、鍋100内の被加熱物が調理される。
【0091】
以上のように、本実施の形態では、突起物が少ない概平面状の操作部とすることができると共に、水や調理時の吹きこぼれ物が触れただけでは加熱されず、鍋やまな板を置いても誤動作しないため、操作が確実で信頼性の高い調理器とすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明にかかる調理器は、クリック感を有する操作スイッチを備え、不用意に触れただけでは作動せず、信頼性が高く、且つ、防塵・防水構造が容易に実現できるので、家庭用電化機器のみならず様々な産業用機器等の用途にも適用ができる。
【符号の説明】
【0093】
50 トッププレート
51 操作スイッチ群
55 固定接点
56 可動接点
57,58 配線
60 加熱手段
61 制御手段
62 固定用金属フレーム(金属フレーム)
85〜87 可動電極
88〜89 固定電極
90a〜90c 遮蔽電極
91 静電容量変化検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段からなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレートにガラス−金属接合された固定接点と、固定接点よりも上方位置に配置される可動接点とを備えた調理器。
【請求項2】
操作スイッチ群からの配線をトッププレート端側面を介して、制御手段まで接続し、トッププレート上の配線部分は、トッププレートを載置する金属フレームで覆った請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
固定接点及び可動接点を薄肉のチタンで成形し、押し下げた時に接触する部分に導電性の高い金属を塗布して、耐久性を向上した請求項1または2に記載の調理器。
【請求項4】
固定接点及び可動接点を薄肉のアルミで成形し、押し下げた時に接触する部分以外に絶縁性を有する金属を塗布して、耐久性を向上した請求項1または2に記載の調理器。
【請求項5】
固定接点及び可動接点を薄肉のSUSで成形し、押し下げた時に接触する部分以外に絶縁性を有する金属を塗布して、耐久性を向上した請求項1または2に記載の調理器。
【請求項6】
操作スイッチ内部の空気の熱膨張、及び、押し下げ時に体積減少を緩和する、水を通さない直径の空気抜き孔を可動接点側、もしくは固定接点側に形成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項7】
調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段とからなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面にガラス−金属接合された可動電極と、トッププレート下面に印刷された固定電極パターンとを備え、押し下げ操作前後の可動電極と固定電極間の静電容量の差を検出して、操作入力を行えるようにした調理器。
【請求項8】
可動電極を薄肉のチタンで成形し、電極部は導電性の高い金属を内側に塗布して、耐久性を向上した請求項7に記載の調理器。
【請求項9】
可動電極を薄肉のアルミで成形して、耐久性を向上した請求項7に記載の調理器。
【請求項10】
可動電極を薄肉のSUSで成形して、耐久性を向上した請求項7に記載の調理器。
【請求項11】
操作スイッチ内部の空気の熱膨張、及び、押し下げ時に体積減少を緩和する、水を通さない直径の空気抜き孔を可動電極、もしくは固定電極側に形成した請求項7〜10のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項12】
調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段からなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面に磁性材料をガラス−金属接合した可動電極と、前記操作スイッチ群近傍のト
ッププレート下面に配置された磁気センサとを備え、鍋がずれた状態で置かれて可動電極が押し下げられた時の操作入力を、受け付け禁止とした調理器。
【請求項13】
調理器の外郭を構成する本体と、前記本体の上面に設けたトッププレートと、前記トッププレートの下方の本体内に設けた加熱手段と、前記トッププレート上に複数配置されたクリック感を有する操作スイッチ群と、前記操作スイッチ群の押下操作により、前記加熱手段のオン、オフ、火力調整を行う制御手段からなり、前記操作スイッチ群は前記トッププレート上面に磁性材料をガラス−金属接合した可動電極と、前記操作スイッチ群近傍のトッププレート下面に配置された照度センサとを備え、鍋以外の物体により可動電極が押し下げられた時の操作入力を、受け付け禁止とした調理器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−81910(P2011−81910A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216653(P2009−216653)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】