説明

貼付用シート

【課題】断続的な切り込みによって形成された接着用シートを被着体に貼付することに適した貼付用シートを提供すること。
【解決手段】シート基材S1の片面側に接着剤層Aが設けられているとともに、所定間隔ごとに略閉ループ状の軌跡に沿う断続的な切り込み11によって接着用シートS2が形成される。接着用シートS2の外側は不要シート部分S3として形成され、当該不要シート部分S3には、切り込み11に連なる引裂部12が形成されている。接着用シートS2をウエハW等に貼付するときは、貼付用シートSを幅方向外側にエキスパンドして引裂部12が引き裂かれるようにすることで、断続的な切り込み11を形成する非切り込み部11Bが切り込まれ、接着用シートS2と不要シート部分S3と分離することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貼付用シートに係り、更に詳しくは、片面側に接着剤層が設けられたシート基材に断続的な切り込みを形成し、当該切り込みで囲まれる内側を接着用シートとして被着体に貼付することに適した貼付用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単に、「ウエハ」と称する)等の板状部材は、その処理工程において、ダイシングテープを介してリングフレームにマウントされたり、ウエハ回路面に保護シート等が貼付されたりすることが行われている。
【0003】
前述したダイシングテープの貼付方法としては、帯状のダイシングテープを繰り出す途中で、当該ダイシングテープが仮着されているセパレータ(剥離シート)を剥離し、当該ダイシングテープをリングフレームとウエハに貼り付けた後にリングフレームの面内で閉ループ状に切断を行い、その外周側の不要テープ部分を巻き取って回収する、という構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、帯状のベースシート(剥離シート)に仮着された帯状のテープ基材を繰り出す際に、当該テープ基材に閉ループ状の切り込みを形成して所定形状のダイシングテープとし、当該ダイシングテープをピール移動の先端でベースシートから剥離してリングフレームとウエハに貼付するという方法が知られている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−257898号公報
【特許文献2】特開2006−073920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシート貼付方法にあっては、リングフレーム上でカッター刃を移動させてダイシングテープを略円形に切断するものであるため、カッター刃がリングフレームを傷つけてしまう他、カッター刃自体の使用寿命を短くしてしまう、という固有の問題がある。この点、特許文献2に記載された方法は、ダイカットローラを用いてリングフレーム外形に略対応する閉ループ状の切り込みを形成し、当該切り込みで囲まれるシート領域をダイシングテープとして貼付するものとなっているため、特許文献1の方法固有の問題は解消し得るものとなる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されたシート貼付方法においては、シートの片面側に設けられた接着剤層に剥離を必要とするベースシートが仮着された帯状の原反が用いられるものであり、原反の層構造において、ベースシートが必須となって無駄を生ずる、という不都合がある。これは、テープ基材に形成される切り込みが連続した閉ループ状であるため、切り込みで囲まれる内側のダイシングテープをベースシート上に仮着させておかなければならないからである。また、ベースシートが必須であるため、ロール状の原反を用いたときの当該ロール径が大きくなりすぎる不都合の他、ロール径の小さい原反を用いた場合には、当該原反の消費サイクルが短くなり、原反の支持手段への装着作業が頻繁となって作業効率を低下させる、という不都合を招来する。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、シートの片面側に接着剤層を設けただけのシンプルな層構造となるシート基材を用い、当該シート基材に閉ループの軌跡に沿う断続的な切り込みによって形成された接着用シートを被着体に貼付することに適した貼付用シートを提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る貼付用シートは、片面側に接着剤層が設けられた帯状のシート基材の延出方向に沿って所定間隔毎に位置するとともに、所定の被着体に貼付される領域をなす接着用シートと、当該接着用シートの外側に位置する不要シート部分とを備え、前記接着用シートは、略閉ループ状に形成された断続的な切り込みにより形成され、当該断続的な切り込みは、切り込み部と、非切り込み部とが前記閉ループの軌跡に沿って交互に設けられ、前記不要シート部分を所定方向に引っ張ることにより前記接着用シートと不要シート部分とが分離可能に設けられる、という構成を採っている。
【0009】
前記貼付用シートにおいて、前記不要シート部分には、前記切り込みに略連続する引裂部が設けられ、前記不要シート部分を引っ張ったときに前記引裂部が破断する構成を採用するとよい。
【0010】
また、前記引裂部は、各接着用シートを形成する各切り込み間に位置するミシン目若しくはスリットにより構成することができる。
【0011】
更に、前記非切り込み部は、前記接着用シートと不要シート部分とを分離するときの抵抗を小さく保つ長さに設定されている。
【0012】
また、前記非切り込み部の内側及び/又は外側に、前記不要シート部分が接着用シートから分離される際に、前記閉ループの軌跡から外れた方向に向かう破断を堰き止める破断防止用切り込みが形成される、という構成を採るとよい。
【0013】
更に、前記破断防止用切り込みは、前記非切り込み部の長さよりも長く設定されている。
【0014】
本発明における被着体は、リングフレーム及びウエハの他、表面保護が必要なガラス等の各種対象物を含む。リングフレームの内周側にウエハを配置してこれらを被着体として一体化する場合の各接着用シートの間隔は、前記被着体に対して接着用シートに押圧力を付与するローラが、隣接する接着用シート領域に干渉することがない範囲で決定される。従って、押圧ローラの直径が30mmであると仮定した場合には、各接着用シートの間隔は少なくとも30mm以上必要となる。また、断続的な切り込みの間隔、すなわち、非切り込み部の長さは、0.1〜10mmが好ましい。0.1mm以下では、貼付用シートを繰り出す時の張力によって意図しない分離が生じる一方、10mm以上では、不要シート部分を引っ張ったときに、接着用シートと不要シート部分との綺麗な分離が期待できなくなるためである。なお、接着用シートの形状は、被着体の平面形状若しくは輪郭に略対応する形状とされ、前述したリングフレームとウエハとを一体化させる場合のシート形状は、リングフレームの内径よりも幾分大きい略円形となり、例えば、内径が300mmのリングフレームであれば、300mm以上であって、リングフレームの外径以下となる略円形のシート形状となる。
【0015】
前記引裂部は、シート基材に引張力が加えられる方向に対し、平面内で交差する方向に延びていることが好ましく、前記引張方向と略直行する方向に延びていることが一層好ましい。この引裂部は、隣り合う接着用シート間、すなわち、先行する接着用シートと後行する接着用シートを形成する各切り込みの間にそれぞれ一個ずつ設けられていればよい。従って、切り込みが略円形の閉ループに沿って形成されている場合には、接着用シートの周方向略180度間隔を隔てた位置に、引裂部がそれぞれ位置して各接着用シートの回りに2個の引裂部が位置することとなる。なお、引裂部は、接着用シートの中央部に対して対称配置されていることが好ましく、各接着用シートに対応する引裂部の数は、4以上の正数倍とすることもできる。
【0016】
隣り合う接着用シート間には、それぞれの接着用シートに対応する引裂部が位置することになるが、これら引裂部の間隔は、接着用シートをシート基材から分離するための引張力を付与したときに、先行又は後行する接着用シートに対応する引裂部に引き裂きが及ばない間隔内で決定される。従って、各接着用シートの間隔を100mmと仮定して引裂部の長さを40mmと設定した場合には、隣り合う引裂部間には、20mmの間隔が形成されることとなる。
【0017】
前記破断防止用の切り込みは、前記切り込みを形成する閉ループと相似形状となる内周側の仮想閉ループ線上であって、前記非切り込み部の内側に設けられる。この破断防止用の切り込みは、非切り込み部にそれぞれ対応して形成され、その長さは、非切り込み部の長さよりも長く設定されていればよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、貼付用シートは、片面側に接着剤層が設けられたシート基材に切り込みを形成して構成されているため、つまり、接着剤層側に剥離シートを設けない構成であるため、貼付用シートをロール状に巻回して繰り出す構成としたときに、ロール径が極端に大きくなることがなく、また、剥離シートを有する同径のロールに比べてロール交換頻度も低減して貼付効率を向上させることができる。不要シート部分を引っ張ることにより断続的な切り込みを連続的なものとして接着用シートと不要シート部分との分離を容易に行うことができる。
【0019】
更に、不要シート部分に接着用シートを形成する切り込みに略連続する引裂部を設けた構成では、不要シート部分を引っ張ったときに、引裂部が破断して開くようになり、不要シート部分が接着用シートから離れ易くなりスムースなる分離を行うことが可能となる。
【0020】
また、前記引裂部をミシン目若しくはスリットにより構成した場合には、接着用シート領域を形成する切り込みの形成と同時に行うことができる。
【0021】
更に、接着用シートと不要シート部分とを分離するときの抵抗を小さく保つ程度に非切り込み部の長さを設定した場合には、切り込み部が前記閉ループの軌跡に沿って繋がるようになり、接着用シートを不要シート部分から分離したときの当該接着用シートの外縁形状を綺麗に保つことが期待できる。
【0022】
また、破断防止用切り込みを形成した場合には、仮に、切り込み部の端部間を繋げるように非切り込み部が切れない場合が生じても、切り込み部の端部と破断防止用切り込みとが繋がるように切れるようになり、接着用シートの内側や外側に向かって破断するようなおそれを回避することができる。この際、破断防止用切り込みが非切り込み部の長さよりも長く設定されていれば、切り込み部の端部と破断防止用切り込みとを繋ぐようにシートが確実に切れるようなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1には、本実施形態に係る貼付用シートSの概略斜視図が示され、図2には、図1のA−A線矢視拡大断面図が示されている。また、図3には前記貼付用シートSが適用されるシート貼付装置10の概略斜視図が示されている。これらの図において、貼付用シートSは、帯状に延びるシート基材S1と、このシート基材S1の片面側に設けられた接着剤層Aとからなる二層構造とされている。シート基材S1の延出方向に沿う所定間隔を隔てた位置には、略閉ループ状の軌跡に沿う断続的な切り込み11によって接着用シートS2が形成されている一方、当該接着用シートS2を除く外側領域が不要シート部分S3として形成され、当該不要シート部分S3の領域内において、シート基材S1の幅方向略中央部には、貼付用シートSの繰り出し方向に沿ってミシン目若しくはスリットからなる引裂部12が形成されている。この引裂部12は、隣り合う閉ループ状の切り込み11間に直線状に延びているが、それら引裂部12は連続しないように一定の間隔をおいて形成されている。本実施形態における貼付用シートSは、シート基材S1の片面側に前記接着剤層Aを積層した二層構造とされているが、当該層構造に限定されるものではない。すなわち、貼付用シートSをロール状に巻回したときに、シート基材S1の表面に前記接着剤層Aが接着してしまう材質からなるシート基材S1が用いられる場合には、当該シート基材S1の表面に、非接着処理面(剥離剤層)を設けることができる。また、シート基材S1と接着剤層Aとの間にプライマー層を設けて接着剤層Aの脱落(界面剥離)を防止する層構造も採用し得る。従って、本発明は、剥離シートのような剥離を必要としない限り、層構造としては、二層以上の層構造であってもよい。なお、前記シート基材S1の材料としては、樹脂製シートの他、紙製シートが好適に用いられ、接着剤層Aとしては、アクリル系、ゴム系等の感圧接着性若しくは感熱接着性の接着剤が例示できる。
【0025】
前記切り込み11は、切り込み部11Aと、非切り込み部11Bとが略円形の軌跡に沿って交互に連続し、非切り込み部11Bは、接着用シートS2と不要シート部分S3とを分離するときの抵抗を小さく保つ短い長さ、例えば1mmに設定されている。換言すれば、非切り込み部11Bの長さや形成数は、剥離シートを有さない貼付用シートSから接着用シートS2が不用意に抜け出て脱落することがなく、しかも、後述する引張力を付与したときに、容易に分離することができるように設定されていればよい。本実施形態では、非切り込み部11Bの内側に破断防止用切り込み11Cが形成されている。この破断防止用切り込み11Cは、引き裂き力が付与されたときに、接着用シートS2の内側領域に大きく破断が及ぶことがないように破断を堰き止めるためのものであり、非切り込み部11Bが隣り合う切り込み11Aの端部間に繋がるように切り裂くことができれば、破断防止用切り込み11Cが直接的に作用することはない。なお、破断防止用切り込み11Cは、非切り込み部11Bの長さよりも長く設けられ、これにより、引裂力を付与して非切り込み部11Bが切り込まれない場合があっても、接着用シートS2の内側領域に及び得る破断を堰き止めることが可能となっている。
【0026】
前記シート貼付装置10は、図3ないし図5に示されるように、本実施形態では、被着体としてのウエハW及びリングフレームRFを一体化させるマウント装置としての作用をなすものとして構成されている。このシート貼付装置10は、図示しない繰出装置から繰り出された貼付用シートSを押圧して前記接着用シートS2をウエハW及びリングフレームRFに貼付する押圧ローラ15と、ウエハW及びリングフレームRFを支持するテーブル16と、前記切り込み11及び引裂部12に引き裂き力を付与して接着用シートS2と不要シート部分S3とを分離する引き裂き手段18とを備えて構成されている。
【0027】
前記押圧ローラ15は、前記テーブル16の側方位置において、貼付用シートSの繰出方向に沿って延びる単軸ロボット20に支持されている。この押圧ローラ15は、単軸ロボット20を介して略水平方向に移動可能に設けられているとともに、当該押圧ローラ15が貼付用シートSの図3中上面側となる非接着剤層側に接しながら回転して接着剤層AをウエハW及びリングフレームRFに貼り付けるようになっている。ここで、単軸ロボット20の一端側(図3中左端側)には、ガイドローラ21が回転可能な状態で固定され、当該ガイドローラ21の上方に配置される図示しない巻取装置を介して不要シート部分S3が巻き取られるように構成されている。
【0028】
前記テーブル16は、前記リングフレームRF及びウエハWを吸着保持可能な上面構造を備えた昇降テーブル25と、当該昇降テーブル25の下面側に位置するベーステーブル26とからなる。ベーステーブル26の中央部には、図5に示されるように、エアシリンダ(以下「シリンダ」と称す)27が設けられているとともに、各コーナー近傍にはガイドシャフト28がそれぞれ設けられ、シリンダ27におけるロッド29の先端(上端)は昇降テーブル25の下面に連結されている。これにより、ロッド29の進退により、昇降テーブル25は接着用シートS2を貼付することのできる高さ位置に対し、前記ガイドシャフト28に沿って昇降可能とされている。
【0029】
前記引き裂き手段18は、前記テーブル16に配置され、貼付用シートSの幅方向両側に一対配置とされている。この引き裂き手段18は、前記不要シート部分S3の接着剤層A側にそれぞれ位置する移動部材30と、不要シート部分S3の非接着剤層側(上面側)に位置して当該不要シート部分S3を移動部材30との間にそれぞれ挟み込むクランパ31と、前記移動部材30とクランパ31とを引き裂き方向、すなわち、貼付用シートSの幅方向に沿って離間する方向に駆動して当該貼付用シートSを幅方向にエキスパンドするシリンダ33(図5参照)とを含んで構成されている。移動部材30は、昇降テーブル25の上面側に位置する平面部30Aと、当該平面部30Aの外側端部から下方に向けられた垂下面部30Bとからなる側面視略L字状に設けられ、当該垂下面部30Bにシリンダ33のピストンロッド33Aが固定されている。これにより、ロッド33Aが進退することにより、一対の移動部材30が相互に離間、接近可能となり、離間したときに、貼付用シートSを幅方向にエキスパンドすることとなる。なお、前記移動部材30における平面部30Aの上面は、フッ素樹脂加工、エンボス加工等の表面処理が施されており、これにより、不要シート部分S3が平面部30Aに強力に接着してしまうことを防止している。
【0030】
前記クランパ31は、移動部材30の平面部30Aとで不要シート部分S3を挟み込む側面視略L型のクランプアーム35と、当該クランプアーム35を回転可能に支持する回転移動装置37とにより構成されている。このクランパ31は、前記接着用シートS2をウエハW及びリングフレームRFに貼付する際に、前記押圧ローラ15に干渉しない位置、すなわち、図5中二点鎖線で示されるように、昇降テーブル25の側面側に退避可能となっている。
【0031】
次に、本実施形態における接着用シートS2の貼付方法について図6ないし図10をも参照しながら説明する。
【0032】
先ず、図示しない繰出装置から帯状シートSを繰り出し、接着剤層Aが前記テーブル25の上方に相対する向きでガイドローラ21を経由して図示しない巻取装置に帯状シートSのリード端を固定する。そして、図4に示されるように、昇降テーブル25の上面に、適宜な搬送アーム等を介してリングフレームRFとウエハWが所定位置に載置され、吸着保持されて準備が完了する(図6参照)。このとき、押圧ローラ15は、図6に示されるように昇降テーブル25の右側に位置し、テーブル16は、昇降テーブル25が下降限にあってリングフレームRF及びウエハWが接着剤層Aには接触しない位置を保つとともに、移動部材30が相互に接近し、且つ、クランパ31が図5中二点鎖線で示される位置に保たれる。
【0033】
貼付用シートSの繰り出しが開始されて接着用シートS2がリングフレームRF及びウエハWの上方に位置したことが図示しないセンサ等により検出されると、貼付用シートSの繰り出しが停止される。そして、図7に示されるように昇降テーブル25が上昇してリングフレームRF及びウエハWを接着用シートS2の接着剤層Aに接近させた後、図8に示されるように、押圧ローラ15がガイドローラ21方向に移動し(図8中実線で示す)、再び初期位置(図8中二点鎖線で示す)に復帰して貼付用シートSをリングフレームRF及びウエハWに貼付する。
【0034】
このようにして貼付用シートSの貼付が終了すると、図9に示されるように、クランパ31が退避位置から回転して不要シート部分S3を平面部30Aとの間に挟み込んだ後、一対の移動部材30が相互に離間するようにシリンダ33によって駆動される。この駆動により、貼付用シートSが幅方向にエキスパンドされ、このとき、前記切り込み11及び引裂部12に引き裂き力が付与され、接着用シートS2と不要シート部分S3とが分離されることとなる。
【0035】
そして、クランパ31を退避状態に戻した後、図10に示されるように、昇降テーブル25を下降させると、リングフレームRF及びウエハWに接着用シートS2のみが貼付されて付随する状態となる。なお、前記平面部30A上は、非粘着処理が施されているため、下降するテーブル16によって不要接着シート部分S3が下方へ引っ張られることはない。この状態で、図示しない搬送アーム等を介して一体化されたリングフレームRF及びウエハWを昇降テーブル25から取り出して次工程若しくは所定のストッカに搬送し、新たなリングフレームRF及びウエハWを昇降テーブル25上に移載する。そして、上記同様の動作を繰り返すこととなる。
【0036】
なお、前述した引き裂き力の付与によって、切り込み部11Aの端部間の非切り込み部11Bは、隣り合う切り込み部11Aを相互に繋がるように引き裂かれて破断することになるが、何らかの要因によって、そのような破断が形成されない場合には、接着用シートS2に破断が及び得ることとなる。しかしながら、この場合でも、切り込み部11Aの端部は、破断防止用切り込みC1に繋がることになるため、当該破断は、破断防止用切り込み11Cで堰き止められることとなり、接着用シートS2の内側深くには及ぶことはなく、接着用シートS2の貼付精度に大きな影響を与えることはない。
【0037】
従って、このような実施形態によれば、剥離シートを設けることなく接着用シートS2をリングフレームRF及びウエハWに貼付することができ、経済性と、貼付効率に優れた貼付用シートSを提供することができる。
【0038】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0039】
例えば、前記実施形態では、破断防止用切り込み11Cが非切り込み部11Bの内側に形成された場合を示したが、この破断防止用切り込み11Cは、外側に設けることを妨げない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る貼付用シートの概略斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う矢視拡大断面図。
【図3】接着用シートを被着体に貼付するシート貼付装置の概略斜視図。
【図4】被着体を保持した状態を示すテーブルの概略斜視図。
【図5】テーブルの一部断面図。
【図6】接着用シートを被着体に貼付する初期段階を示す側面図。
【図7】昇降テーブルが上昇した状態を示す側面図。
【図8】押圧ローラで接着用シートを被着体に貼付する状態を示す側面図。
【図9】貼付用シートを幅方向にエキスパンドした状態を示す斜視図。
【図10】接着用シートを被着体に貼付して昇降テーブルを下降させた状態を示す一部断面図。
【符号の説明】
【0041】
10 シート貼付装置
11 切り込み
11A 切り込み部
11B 非切り込み部
11C 破断防止用切り込み
12 引裂部
A 接着剤層
S 貼付用シート
S1 シート基材
S2 接着用シート
S3 不要シート部分
RF リングフレーム(被着体)
W 半導体ウエハ(被着体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面側に接着剤層が設けられた帯状のシート基材の延出方向に沿って所定間隔毎に位置するとともに、所定の被着体に貼付される領域をなす接着用シートと、当該接着用シートの外側に位置する不要シート部分とを備え、前記接着用シートは、略閉ループ状に形成された断続的な切り込みにより形成され、当該断続的な切り込みは、切り込み部と、非切り込み部とが前記閉ループの軌跡に沿って交互に設けられ、前記不要シート部分を所定方向に引っ張ることにより前記接着用シートと不要シート部分とが分離可能に設けられていることを特徴とする貼付用シート。
【請求項2】
前記不要シート部分には、前記切り込みに略連続する引裂部が設けられ、前記不要シート部分を引っ張ったときに前記引裂部が破断することを特徴とする貼付用シート。
【請求項3】
前記引裂部は、各接着用シートを形成する各切り込み間に位置するミシン目若しくはスリットにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の貼付用シート。
【請求項4】
前記非切り込み部は、前記接着用シートと不要シート部分とを分離するときの抵抗を小さく保つ長さに設定されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の貼付用シート。
【請求項5】
前記非切り込み部の内側及び/又は外側に、前記不要シート部分が接着用シートから分離される際に、前記閉ループの軌跡から外れた方向に向かう破断を堰き止める破断防止用切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の貼付用シート。
【請求項6】
前記破断防止用切り込みは、前記非切り込み部の長さよりも長く設定されていることを特徴とする請求項5記載の貼付用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−115259(P2008−115259A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299013(P2006−299013)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】