説明

路側通信システム、車両側通信システム、及び路車間通信システム

【課題】車両が対応する通信メディアを路側通信システムが把握できるようにする。
【解決手段】車両V側との通信を行うことができる複数種類の通信メディア1,2を有する路側通信システムであって、車両Vへのデータ送信を制御する制御部5と、前記複数種類の通信メディア1,2のうち車両が対応している通信メディアを示す対応メディア情報を、前記複数種類の通信メディア1,2のいずれかによって当該車両Vから取得する対応メディア情報取得手段と、を備え、前記制御部は、取得した前記対応メディア情報に基づいて、前記複数種類の通信メディアの少なくともいずれか一の通信メディアによるデータ送信を制御することを特徴とする路側通信システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側通信システム、車両側通信システム、及び路車間通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
路側の通信機から、道路を走行する車両に対してデータを送信する技術としては、VICS(Vehicle Information and Communication System)が普及している。VICSでは、路側に設置されたビーコン(光ビーコン又は電波ビーコン)とよばれる通信機によって、リンク渋滞情報、リンク旅行時間等の交通情報(サービス情報)を、車両に提供する。
【0003】
一方、車車間の通信にも利用できる無線通信の方式として、UHF帯及び5.8GHz帯において、米国のDSRCに類する無線メディアを用いたCSMA型のアクセス方式が検討されており、本方式によって路車間の無線通信を行う方式が検討されている(例えば、非特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE802.11p
【非特許文献2】IEEE802.11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、路側機と車両との間の通信(以下、「路車間通信」という)には、複数の通信メディア(光ビーコンと無線通信機)が検討されている。
そこで、本発明者らは、車両へのデータ送信のために、複数種類の通信メディアを共用するという着想を得た。
しかし、車両に複数種類の通信メディア全てに対応した通信機(車載機)が搭載されるとは限らず、いずれかの通信メディアにしか対応していない通信機しか有しない車両が存在することも想定される。
【0006】
したがって、車両との通信のために複数種類の通信メディアを共用しようとする場合には、車両がいずれの通信メディアに対応しているのかを把握し、対応する通信メディアに応じて車両へのデータ送信を制御することが肝要となる。
【0007】
そこで、本発明は、車両が対応する通信メディアを路側通信システムが把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、車両側との通信を行うことができる複数種類の通信メディアを有する路側通信システムであって、前記複数種類の通信メディアのうち車両が対応している通信メディアを示す対応メディア情報を、前記複数種類の通信メディアのいずれかによって当該車両から取得し、取得した前記対応メディア情報に基づいて、前記複数種類の通信メディアの少なくともいずれか一の通信メディアによるデータ送信を制御する制御部を備えていることを特徴とする路側通信システムである。
【0009】
上記本発明によれば、路側通信システムが、車両が対応する通信メディアを把握でき、車両が対応する通信メディアによって車両へのデータ送信を制御することができる。
【0010】
(2)前記複数種類の通信メディアは、所定の局所エリアに存在する車両に搭載された第1車載通信機との通信を行う局所通信メディアと、前記局所エリアよりも広いエリアであって、前記局所エリア近傍の又は前記局所エリアと重複する広域エリア、に存在する車両に搭載された第2車載通信機との通信を行う広域通信メディアと、を含むのが好ましい。
【0011】
(3)前記制御部は、前記局所通信メディアによって車両から取得した対応メディア取得情報に基づいて、前記局所通信メディアによる前記車両へのデータ送信を制御するのが好ましい。この場合、車両が局所通信メディアのほか、広域通信メディアに対応しているか否かによって、局所通信メディアによる車両へのデータ送信を制御することができる。
【0012】
(4)前記制御部は、車両の混雑状況に応じて、前記局所通信メディアによる車両へのデータ送信を制御するのが好ましい。車両が混雑していると広域通信メディアでの通信信頼性が低下するため、車両の混雑状況に応じて局所通信メディアによる車両へのデータ送信を制御することで、適切な通信が行える。
【0013】
(5)前記制御部は、車両から送信された送信パケットの単位時間当たりの数を集計して車両の混雑状況を求めるのが好ましい。
【0014】
(6)前記制御部は、前記広域エリア内又は前記広域エリア近傍に設置された車両感知器(光ビーコンの車両感知機能含む)によって検出された車両数を集計して、前記広域エリアにおける車両の混雑状況を求めるのが好ましい。
【0015】
(7)前記制御部は、車両が要求するデータを示す要求データ情報を、前記複数種類の通信メディアのいずれかによって当該車両から取得し、取得した前記対応メディア情報及び前記要求データ情報に基づいて、前記複数種類の通信メディアの少なくともいずれか一の通信メディアによるデータ送信を制御するのが好ましい。車両が要求するデータは路側通信システムが提供可能なデータの全てではない場合があるため、車両が要求する要求データ情報を取得し、それに応じて提供されるデータを制御することで、必要のないデータ送信を省略することができる。
【0016】
(8)前記制御部は、前記車両の速度に応じて、前記局所通信メディアによる車両へのデータ送信を制御するのが好ましい。車両の速度によって車両が局所エリアに滞在する時間が変化するため、車両の速度に応じて、局所通信メディアによる車両へのデータ送信を制御することで、適切な通信が行える。
【0017】
(9)前記制御部は、車両から送信された送信パケットに含まれる車速情報に基づいて車両の速度を求めるのが好ましい。
【0018】
(10)前記制御部は、前記局所エリア内又は前記局所エリア近傍に設置された車速感知器を用いて車両の速度を求めるのが好ましい。
【0019】
(11)前記制御部は、取得した対応メディア情報が示す車両の対応通信メディアが複数ある場合には、送信の優先度が高いデータを、当該車両が対応する複数の通信メディアによって重畳的に送信させるよう制御するのが好ましい。この場合、送信の優先度が高いデータを、より確実に車両に受信させることができる。
【0020】
(12)前記制御部は、取得した対応メディア情報が示す車両の対応通信メディアとして、前記局所通信メディアは含まれているが、前記広域通信メディアが含まれていない場合には、前記局所通信メディアによって送信すべきデータのうち、送信の優先度が低いデータの送信を抑制しつつ、送信の優先度の高いデータの送信を前記局所通信メディアに繰り返し行わせるよう制御するのが好ましい。この場合、広域通信メディアに対応していない車両であっても、局所通信メディアによって、より確実に送信の優先度の高いデータを受信することができる。
【0021】
(13)前記制御部は、取得した対応メディア情報が示す車両の対応通信メディアが複数ある場合には、当該車両が対応する複数の通信メディアのうちの一の通信メディアで送信すべきデータの付加データを、当該車両が対応する複数の通信メディアのうちの他の通信メディアによって送信させるよう制御するのが好ましい。この場合、複数の通信メディアに対応する車両は、より多くのデータを取得することができる。
【0022】
(14)他の観点からみた本発明は、車両に搭載された車両側通信システムであって、前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載の路側通信システムにおける複数種類の通信メディアのうち、前記車両が、いずれの通信メディアに対応しているかを示す対応メディア情報を前記路側通信システムに送信する手段を備えていることを特徴とする車両側通信システムである。上記本発明によれば、路側通信システムに、車両が対応する通信メディアを把握させることができる。
【0023】
(15)さらに他の観点からみた本発明は、路側の複数種類の通信メディアが、車両との通信を行うよう構成された路車間通信システムであって、前記車両は、複数種類の通信メディアのうち、当該車両が、いずれの通信メディアに対応しているかを示す対応メディア情報を送信する手段を備え、前記対応メディア情報を、前記複数種類の通信メディアのいずれかによって当該車両から取得し、取得した前記対応メディア情報に基づいて、前記複数種類の通信メディアの少なくともいずれか一の通信メディアによるデータ送信を制御する制御部を備えていることを特徴とする路車間通信システムである。上記本発明によれば、車両が対応する通信メディアによって車両へのデータ送信を制御することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、路側通信システムが、車両が対応する通信メディアを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】路側無線通信システム及び路側無線通信システムから車両に提供されるデータを示す概略図である。
【図2】路側通信システム及び車両側通信システムのブロック図である。
【図3】第1実施形態における光ビーコン制御フローチャートである。
【図4】第2実施形態における光ビーコン制御フローチャートである。
【図5】第2実施形態における路側無線通信機制御フローチャートである。
【図6】第3実施形態における光ビーコン制御フローチャートである。
【図7】第4実施形態における光ビーコン制御フローチャートである。
【図8】第5実施形態における光ビーコン制御フローチャートである。
【図9】第6実施形態における光ビーコン制御フローチャートである。
【図10】第7実施形態における光ビーコン制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
〔システムの全体構成〕
図1及び図2は、路側の通信機として、局所通信機(局所通信メディア)である光ビーコン1と、広域無線通信機(広域通信メディア)である路側無線通信機2とを複合的に備えた路側通信システムを示している。この路側通信システムは、高度道路交通システム(ITS)における通信システムの一部として用いられ、道路を走行する車両Vに対して、安全支援などのための各種データを提供するために使用される。
この路側通信システムは、車両Vに設けられた車両側通信システムとの間で、光ビーコン及び/又は路側無線通信機によって通信を行う。
つまり、路側通信システムと、車両側通信システムとによって、路車間で通信を行う路車間通信システムが構成されている。
【0027】
路側通信システムは、光ビーコン1及び路側無線通信機2に接続された路側制御機(制御部)5を備えている。路側制御機5は、公衆電話回線網を介して、情報提供センタ(交通管制センタ)内の装置6に接続されている。
【0028】
前記光ビーコン1は、車両が通過する道路の上方に設置されており、車両Vに搭載された光ビーコン用車載機(第1車載通信機)3との間で光の送受信を行い、車両Vを感知できるほか、路側通信システムから車両Vへ情報を提供したり、車両Vから路側通信システムへ情報を送信することができる。なお、車両感知は、光ビーコン1とは別の車両感知器で行っても良い。なお、光ビーコン1と光ビーコン用車載機3との間の通信を、「路車間局所通信」という。
【0029】
光ビーコン1が光ビーコン用車載機3と通信可能なエリアは、車両Vが1台しか存在できない程度の比較的狭い局所エリアA1であり、具体的には光ビーコン1の直下であって車両進行方向長さが3.5m程度の範囲である。つまり、光ビーコン1は狭いエリアへのスポット通信を行うものであり、車両Vは、局所エリアA1を通過したときだけ、光ビーコン1との通信が可能である。光ビーコン1の場合、通信エリアである局所エリアA1には、通常、1台しか車両が進入できないため、個々の車両Vごとに帯域が確保でき、秘匿性に優れる。
【0030】
前記路側無線通信機2は、例えば、交差点に設置され、車両 Vに搭載された無線通信用車載機(第2車載通信機)4との間で無線通信(電波による通信)を行い、路側通信システムから車両5へ情報を提供したり、車両5から路側通信システムへ情報を送信することができる。
【0031】
路側無線通信機2が無線通信用車載機4と通信可能なエリアは、路側無線通信機2の周囲の比較的広い広域エリアA2であり、具体的には、路側無線通信機2の周囲の数十〜数百メートルの範囲である。したがって、車両Vの無線通信用車載機4は、広域エリアA2内を走行している間は、連続して路側無線通信機2との通信が可能である。
また、広域エリアA2は、比較的広いため、多数の車両Vが、当該広域エリアA2内に存在することができる。
【0032】
図1に示す本実施形態においては、局所エリアA1は、広域エリアA2の境界付近であって、広域エリアA2の車両V走行方向上流側に設定されており、車両Vは、広域エリアA2に進入する直前において、局所エリアA1に進入することになる。なお、局所エリアA1と広域エリアA2との位置関係は、図1のものに限定されるわけではない。例えば、局所エリアA1は、広域エリアA2の境界付近であって、広域エリアA2の車両V走行方向下流側に設定されていてもよい。また、隣接する通信エリアは各通信メディアに対して1つずつと限られたものではなく、例えば、局所エリア、広域エリア、局所エリアというように同一通信メディアのエリアが複数隣接してもよい。
また、図1において、局所エリア1と広域エリアA2とは隣接しているが、両エリアA1,A2は重複していてもよいし、離れていても良い。
【0033】
なお、無線通信用車載機4は、路側無線通信機2との通信(以下、「路車間広域通信」という)と同じ周波数帯域を用いて、無線通信用車載機4同士の通信(以下、「車車間通信」という)、路側無線通信機2同士の通信(以下、「路路間通信」という)も行える。車車間通信は、車両V間で安全運転支援に役立つ情報を相互に提供し合うこと等を行うものである。路路間通信は、路側機間の送信タイミング制御や情報共有等を行うものである。
【0034】
路側無線通信機2が信号送信する時間(路側用スロット)と、無線通信用車載機4が信号送信する時間(車両用スロット)とは、時分割によって分けられている。複数の路側無線通信機2は、路側無線通信機2に割り当てられた時間(スロット)においてTDMA方式乃至はCSMA方式によって信号送信を行い、複数の無線通信用車載機4は、無線通信用車載機4に割り当てられた時間(スロット)において、CSMA方式によって信号送信を行う。
【0035】
図2に示すように、光ビーコン1は、送受信データの変復調を行うデータ変復調部11と、送受信データの加工を行うデータ加工部12とを備えている。
また、路側無線通信機2も、送受信データの変復調を行うデータ変復調部21と、送受信データの加工を行うデータ加工部22とを備えている。
【0036】
路側制御機(制御部)5は、送信データ処理部51及び受信データ処理部52を備えている。送信データ処理部51は、光ビーコン1及び/又は路側無線通信機2から送信すべきデータを処理し、当該送信データを光ビーコン1及び/又は路側無線通信機2に与えるためのものである。
受信データ処理部52は、光ビーコン1及び/又は路側無線通信機2からデータを受信し、当該受信データを処理するためのものである。
また、路側制御機5は、情報提供センタの装置6からのデータの変復調を行う変復調部53を備えている。この変復調部53は、交通信号機7とも接続されており、路側制御機5は、情報提供センタ(交通管制センタ)の装置6からの指令に基づいて、交通信号機7の動作を制御することができる。
【0037】
また、車両Vの車両側通信システムは、前記光ビーコン用車載機3及び前記無線通信用車載機4のほか、これら車載機3,4に接続された車載制御機8を備えている。
前記光ビーコン用車載機3は、送受信データの変復調を行うデータ変復調部31と、送受信データの加工を行うデータ加工部32とを備えている。
また、無線通信用車載機4も、送受信データの変復調を行うデータ変復調部41と、送受信データの加工を行うデータ加工部42とを備えている。
【0038】
車載制御機8は、送信データ処理部81及び受信データ処理部82を備えている。送信データ処理部51は、光ビーコン用車載機3及び/又は無線通信用車載機4から送信すべきデータを処理し、当該送信データを光ビーコン用車載機3及び/又は無線通信用車載機4に与えるためのものである。なお、送信データ処理部51は、車両Vに設けられた車速センサ12と接続されており、車両Vの速度情報を取得することができる。
受信データ処理部82は、光ビーコン用車載機3及び/又は無線通信用車載機4からデータを受信し、当該受信データを処理するためのものである。なお、受信データは、車載制御機83の記憶部83に記憶可能である。
【0039】
また、受信データ処理部82は、車両Vに搭載されたカーナビゲーションシステムのためのナビゲーション処理部9と接続されており、当該ナビゲーション処理部9から情報を取得することができる。なお、ナビゲーション処理部11は、操作部10及び表示部11を備えており、各種操作を受け付け、様々な情報を表示することができる。
【0040】
さて、路側通信システムでは、車両Vに送信すべきデータ(サービスデータ)を、他装置6又は車両Vから受け取ったり、あるいは自ら生成するが、そのような送信データ(サービスデータ)を車両Vへ送るための通信メディア(通信機)としては、前述のように、局所通信メディアとしての光ビーコン1と、広域通信メディアとしての路側無線通信機2の2つが備わっている。
一方、車両Vには、光ビーコン1と路側無線通信機2という2つの通信メディアに対応すべく光ビーコン用車載機3及び無線通信用車載機4の双方を有する路側通信システムを備えた車両V1と、光ビーコン用車載機3を有するが無線通信用車載機4を有しない車両V2と、無線通信用車載機4を有するが光ビーコン用車載機3を有しない車両V3とがある。
【0041】
ここで、本実施形態の路側通信システムでは、複数の車両Vに共通して提供される基本的なサービスデータ(車両への提供情報)として、A,B,C,Dという4つの情報が設けられているものとする。例えば、データAは車両の右直情報であり、データBは交通信号機の情報であり、データCは交通情報であり、データDは、左折捲き込みに関する情報であるものとする。また、これらのデータA〜Dは、全車両Vが路側通信システムから受け取る必要のある最低限の情報であるものとする。
【0042】
本実施形態の路側通信システムは、上記4つのサービスデータ及び必要であれば他のデータを送信するために、2つの通信メディア1,2を用いる。
ただし、図1に示すように、上記データA〜Dは、主として、路側無線通信機2によって車両V側へ送信され、無線通信用車載機4によって受信される。また路側無線通信機2からは、接続認証がなされた車両(接続認証車)のみ解読可能な個別サービスデータも送信される。個別サービスデータは、認証を実施した車両Vのみが読み取ることができる情報であり、例えば、経路上の渋滞情報、娯楽系情報などである。
【0043】
一方、光ビーコン1は、低容量サービスデータA’〜D’、又は、事前接続情報を選択的に送信することができる。低容量サービスデータA’〜D’は、上記共通サービスデータA〜Dと同じ種類の情報であるが、データ量が少ないデータである。
例えば、通常のサービスデータA〜Dが、右直情報などを音声データ及びアニメーションデータ(映像データ)で示したものであるとすると、低容量サービスデータA’〜D’は、アニメーションデータを含まず、音声データだけからなるものである。
【0044】
つまり、通常のサービスデータA〜Dも低容量サービスデータA’〜D’も、情報の種類は同じであるが、低容量サービスデータA’〜D’では情報の詳細度が低くなっている。
【0045】
また、光ビーコン1から選択的に送信される前記事前接続情報は、無線通信用車載機4が、広域通信メディアである路側無線通信機2と暗号化通信を行って、個別サービスデータを取得するための事前接続処理を行うための情報である。
【0046】
以下では、光ビーコン1から送信されるデータのうち、低容量サービスデータA’〜D’を含むデータを「第1光ビーコンデータD1a」といい、事前接続情報を含むデータを「第2光ビーコンデータD1b」という。
また、路側無線通信機2から送信されるデータであって、共通サービスデータA〜D及び個別サービスデータを含むデータを「無線データD2」という。
【0047】
図3は、第1実施形態の路側通信システムにおける路側制御機5の処理(光ビーコン制御)を示している。図1に示すように、両メディア1,2(又は光ビーコン1のみ)に対応した車両V1(又はV2)が、光ビーコン1の通信エリアA1に位置すると、当該車両V1の車両側通信システムの車載制御機8は、その車両V1の車両IDと対応メディア情報を、光ビーコン用車載機3によって、光ビーコン1に送信する(ステップS11)。
【0048】
ここで、車両IDは、車両V1を特定するための情報であり、対応メディア情報は、当該車両V1が、いずれの通信メディアに対応しているかを示す情報である。これらの情報は、予め、車載制御機8の記憶部83に設定されている。
本実施形態では、両メディア1,2に対応する車両V1は、対応メディア情報として、光ビーコン1及び路側無線通信機2との通信に対応していることを示す情報(光ビーコン用車載機3及び無線通信用車載機4を有していることを示す情報)を送信する。
なお、光ビーコン1にだけ対応する車両V2は、対応メディア情報として、光ビーコン1だけに対応していることを示す情報を送信する。
【0049】
また、本実施形態では、車両側無線通信システムは、光ビーコン用車載機3から対応メディア情報を送信するが、無線通信用車載機4から対応メディア情報を送信してもよい。
【0050】
路側制御機5は、車両V1の対応メディア情報を取得すると(ステップS11)、取得した対応メディア情報に基づいて、当該車両V1が対応する通信メディア1,2を識別する(ステップS12)。路側制御機5が、光ビーコン1にて車両を感知したが対応メディア情報を取得できなかった場合は、当該車両は路側無線通信機2だけに対応している車両V3か、いずれのメディアにも対応していない車両であり、この場合、本実施形態では、特別な処理はしない。なお、路側無線通信機2を介して路側無線通信機2だけに対応している旨の対応メディア情報を取得した場合も、特別な処理は必要ない。
【0051】
車両Vが対応する通信メディアが、光ビーコン1だけであった場合、路側制御機5は、光ビーコン1から送信するデータとして、第1光ビーコンデータD1a及び第2光ビーコンデータD1bのうち、低容量サービスデータA’〜D’を含む第1光ビーコンデータD1aを選択し、当該第1光ビーコンデータD1aを光ビーコン1から車両Vの光ビーコン用車載機3へ送信させる(ステップS13)。
なお、この第1光ビーコンデータD1aには、低容量サービスデータA’〜D’の他、両メディア1,2に共通する共通データ(時刻データ、路側通信システムのID等)も含まれている。
【0052】
光ビーコン1にだけ対応する車両V2の車載制御機8は、データ量が小さいが、車両にとって必要最低限の情報が入った簡易的な低容量サービスデータA’〜D’を受信できるため、路側無線通信機2に対応していなくても、必要最低限のサービスデータを得ることができる。つまり、光ビーコン1にだけ対応する車両V2は、広域エリアA2に進入しても、路側無線機2から通常のサービスデータA〜Dを取得することはできないが、光ビーコン1から簡易的な低容量サービスデータA’〜D’を受信することができる。
【0053】
車両Vが光ビーコン1及び路側無線通信機2の双方に対応している場合、路側制御機5は、光ビーコン1から送信するデータとして、事前接続情報を含む第2光ビーコンデータD1bを選択し、その第2光ビーコンデータD1bを、光ビーコン1から車両の光ビーコン用車載機3へ送信させる(ステップS14)。
この第2光ビーコンデータD1bには、事前接続情報の他、両メディア1,2に共通する共通データ(時刻データ、路側通信システムのID等)や、サービスの属性情報(図示せず)も含まれている。サービスの属性情報は、路側無線通信機2にて提供されるサービスデータA〜Dの情報種別、データ量、伝送レート、サービスデータを提供する路側無線通信機2のIDなどからなる。
【0054】
事前接続情報やサービスの属性情報が、車両V1の無線通信用車載機4と路側無線通信機2との通信の前に、光ビーコン1によって送信されることで、路側無線通信機2では、それらの情報を送信しなくても、個別の車両V1との通信(暗号化通信)が可能である。したがって、路側無線通信機2で送信すべき情報の量を減らすことができるため、無線帯域を節約することができる。
【0055】
そして、局所エリアA1通過後、広域エリアA2に進入した車両V1又はV3は、路側無線通信機2から送信された無線データD2を、無線通信用車載機4によって受信することができる。これにより、車両V1又はV3は、無線データD2に含まれる通常のサービスデータA〜Dを取得することができる。
【0056】
さらに、光ビーコン1との通信にも対応している車両V1の無線通信用車載機4は、第2光ビーコンデータD1bに含まれる事前接続情報によって、路側無線通信機2との事前接続処理(接続認証処理・暗号化処理)が行われているため、無線データD2に含まれる個別サービスデータを読み取って取得することができる。
一方、路側無線通信機2に対応しているが光ビーコン1に対応していない車両V3は、認証処理が行われていない状態で、広域エリアA2に進入するため、無線データD2に含まれる個別サービスデータを解読できず、個別サービスデータを取得できない。
このように、路側無線通信機2では、送信するデータの内容を特に変更することなく、車両V1と車両V3とで、取得可能なデータに差を付けることが可能である。
【0057】
以上のように、本第1実施形態によれば、光ビーコン1だけに対応した車両V2は、最低限の情報として低容量サービスデータA’〜D’を取得でき、路側無線通信機2だけに対応した車両V3は、より詳細なサービスデータA〜Dを取得できる。さらに、両メディア1,2に対応した車両V1は、全車共通のサービスデータA〜Dに加えて、個別サービスデータも追加的に取得できる。
このように、両メディア1,2に対応した車両V1はより詳細かつ多くの情報を取得できる一方、一部のメディア1,2に対応していない車両V2,V3でも必要最低限の情報を取得できる。
【0058】
[第2実施形態]
図4及び図5は、本発明の第2実施形態に係る路側通信システムにおける路側制御機5の処理(光ビーコン制御及び路側無線通信機制御)を示している。なお、第2実施形態及び以降の実施形態において、特に説明をしない点については、第1実施形態と同様である。
【0059】
第2実施形態では、路側制御機5は、光ビーコン1によって取得した対応メディア情報が、車両Vが光ビーコン1及び路側無線通信機2の双方に対応していることを示すものであった場合(ステップS12)、路側無線通信機2の通信エリアである広域エリアA2において車両Vが混雑しているか否か(無線帯域が逼迫しているか否か)を判定する(ステップSS24)。
【0060】
広域エリアA2における車両Vの混雑状況は、車両Vの無線通信用車載機4から送信された送信パケット(車車間通信用の送信パケット又は路車間無線通信用の送信パケット)を路側無線通信機2にて受信し、路側制御機5が、受信した送信パケットの単位時間当たりの数を集計することで求めることができる。つまり、路側無線通信機2が受信する送信パケット数が多ければ車両Vが多く、混雑していることを示し、送信パケット数が少なければ車両Vが少なく、閑散としていることを示す。
なお、車両Vの無線通信用車載機4から送信された送信パケット数の観測は常時行われ、混雑状況の算出は、車両Vが広域エリアA2を通過するのに要する程度の時間間隔で周期的に行われる。
【0061】
また、車両Vの混雑状況は、図示しない車両感知器又は光ビーコン1の車両感知機能によって検出された車両数を集計することで求めても良い。車両数が多ければ、混雑しており、車両数が少なければ閑散としていることになる。なお、広域エリアA2における混雑状況を求めるため、図示しない前記車両感知器又は車両感知器としての光ビーコン1は、広域エリアA2内又は広域エリアA2近傍に設置されているのが好ましい。
【0062】
上記のようにして、路側制御機5は、広域エリアA2における車両Vの混雑状況を求め、ステップS24の時点で、混雑状況を示す値が閾値よりも大きく、混雑していると判定される場合には、光ビーコン1の通信エリアに車両が滞在する時間が閑散時に比べて長いことが予測される、つまり、光ビーコン1により通信可能な情報量が閑散時に比べて多く許容されるため、光ビーコン1から送信する第2光ビーコンデータD1bとして、事前接続情報だけでなく、サービスデータA〜D(又は低容量サービスデータA’〜D’)の一部を含め、その第2光ビーコンデータD1bを、光ビーコン1から送信させる(ステップS25)。
一方、混雑状況を示す値が閾値よりも小さく閑散としていると判定される場合には、第1実施形態のステップS14と同様に、事前接続情報を第2光ビーコンデータD1bとし、その第2光ビーコンデータD1bを、光ビーコン1から送信させる(ステップS26)。
【0063】
さらに、図5に示すように、路側制御機5は、逐次算出される混雑状況に基づいて、広域エリアA2が混雑していると判定した場合(ステップS27)、無線データD2に含まれるサービスデータA〜Dのデータ量を少なくして路側無線通信機2から送信させる(ステップS28)。つまり、広域エリアが混雑している場合には、光ビーコン1からサービスデータA〜Dの一部が送信されるため(ステップS25)、路側無線通信機2では、サービスデータA〜Dのうち、光ビーコン1から送信されるサービスデータを除いて、残りのサービスデータを送信する。
【0064】
なお、ステップS27において、広域エリアが混雑しているとは判定されなかった場合、通常のデータ容量(サービスデータA〜D全部を含む無線データD2)が、路側無線通信機2から送信される。
【0065】
以上のように、第2実施形態では、広域エリアA2の混雑時においては、路側無線通信機2から送信すべきデータ量が少なくなり、混雑時において逼迫しやすい無線帯域を有効活用することができる。
なお、ステップS24において広域エリアA2が混雑していると判定された場合、ステップS25では、サービスデータA〜Dの一部を第2光ビーコンデータD1bに追加して光ビーコン1から送信させるようにしたが、第2光ビーコンデータD1bに含まれる事前接続情報等の代わりに、サービスデータA〜Dの一部を第2光ビーコンデータD1bに含めても良い。
【0066】
[第3実施形態]
図6に示すように、第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態における車両Vの光ビーコン用車載機3が、車両ID及び対応メディア情報のほか、要求データ情報を、光ビーコン1に送信する(ステップS33)。
要求データ情報は、光ビーコン1又は路側無線通信機2が提供可能なデータのうち、車両Vが要求するデータの種類を特定するためのものである。
【0067】
ここで、車両Vは、全てのサービスデータA〜D(A’〜D’)を必要としない場合もある。例えば、車両Vの車載制御機8において、サービスデータA〜D(A’〜D’)のうち、サービスデータA,B(A’,B’)だけが必要であると設定されている場合、車載制御機8は、光ビーコン用車載機3から、サービスデータA,B(A’,B’)だけを要求する要求データ情報を、光ビーコン1に送信させる。なお、要求データ情報は、無線通信用車載機4から送信しても良い。
【0068】
前記要求データ情報を取得した路側制御機5は、対応する通信メディアが光ビーコン1だけである車両V2に対し、低容量データA’〜D’(音声データのみ)ではなく、通常のサービスデータA,B(音声データ+アニメーションデータ)を選択し、そのデータを光ビーコン1から送信させる(ステップS33)。このように、車両Vに対してサービスデータの一部A,Bだけを送信すればよい場合、低容量サービスデータよりもデータ容量の大きい通常のサービスデータであっても、光ビーコン1から送信することができ、情報の詳細度を上げることができる。
【0069】
また、要求データ情報を取得した路側制御機5は、ステップS33において、光ビーコン1から低容量サービスデータA’,B’だけを選択し、そのデータD1aを繰り返し送信させてもよい。低容量サービスデータA’,B’だけであれば、低容量サービスデータA’〜D’全体よりもさらにデータ容量が小さくなるため、局所エリアA1内の車両Vに対して、低容量サービスデータA’,B’を繰り返し送信したり、低容量サービスデータA’〜D’全体の送信時よりも繰り返し回数を増やしたりすることができる。これにより、低容量サービスデータA’,B’が車両Vによって受信される確率が高まり、通信の信頼度(通信達成度)を挙げることができる。
【0070】
また、前記要求データ情報を取得した路側制御機5は、対応する通信メディアが両メディア1,2である車両V1に対し、事前接続情報のほか、サービスデータA,B(A’,B’)を第2光ビーコンデータD1bとして追加的に選択して、光ビーコン1から送信させてもよい(ステップS34)。
【0071】
[第4実施形態]
第4実施形態では、第1〜第3実施形態における光ビーコン1から送信されるデータ種別又はデータ量を、車両Vの速度に応じて、選択・調整する。
ここで、車両Vが局所エリアA1内に滞在する時間は、車速によって変化する。つまり、車両Vの高速走行時は、局所エリアA1内での滞在時間が短くなるため、データを確実に車両Vに受信させるには、データ容量が少ない方が好ましく、車両Vの低速走行時は、局所エリアA1内での滞在時間が長くなるため、データ容量が多くても、データを車両Vに受信させることが可能である。
そこで、第4実施形態の路側制御機4は、車両Vの速度を取得し、当該速度に応じて、光ビーコン1から送信されるデータ種別を選択してデータ量を増減したり、同一種別のデータのデータ量自体を調整してデータ量を増減する。
例えば、図7のステップS43において、車両Vの高速走行時は、第1光ビーコンデータD1aとして、低容量サービスデータA’〜D’を送信して通信の信頼性を確保し、車両Vの低速走行時は、第1光ビーコンデータD1aとして通常のサービスデータA〜Dを送信することで、詳細度を上げることができる。
また、図7のステップS44において、車両Vの高速走行時は、事前接続情報を送信するが、車両Vの低速走行時は、第2光ビーコンデータD1bとして、事前接続情報に加えて低容量サービスデータA’〜D’又はその他を付加して送信することができる。
【0072】
ここで、路側制御機5は、局所エリアA1を通過する車両Vの速度は、車両Vの光ビーコン用車載機3又は無線通信用車載機3から送信された送信パケットに含まれる車速情報に基づいて、求めることができる。このように、車両Vが車速情報を送信することで、路側制御機5は、容易に車両Vの速度を取得することができる。
また、路側制御機5は、局所エリア内又は局所エリア近傍に設置された車速感知器を用いて車両Vの速度を求めても良い。
【0073】
[第5実施形態]
図8に示すように、第5実施形態では、第1〜第4実施形態の路側制御機5において、通常のデータよりも、送信の優先度が高い高優先度情報E(前方事故を示す情報、天災発生を示す情報、緊急車両通過情報など)が送信すべきデータとして発生した場合(ステップS54)、高優先度情報Eを、車両Vに対して、路側無線通信機1から送信させるだけでなく、光ビーコン1からも重畳的に送信させる(ステップS55)。
つまり、高優先度情報Eが存在しない場合は、路側制御機5は、ステップS14などと同様に、事前接続情報を第2光ビーコンデータD1bとして光ビーコン1から送信させるが(ステップS56)、高優先度情報Eが存在する場合には、第2光ビーコンデータD1bに高優先度情報Eが含められる。
高優先度情報Eを送信する場合、当該高優先度情報Eは、光ビーコン1から送信すべき他のデータ(事前接続情報、サービスデータ、サービス属性情報(情報E以外の属性情報))に加えて又は代えて送信される。
【0074】
第5実施形態によれば、複数通信メディア1,2に対応する車両V1は、複数通信メディア1,2による情報取得機会を得るため、緊急度の高い情報Eの通信信頼度が上がる。
【0075】
[第6実施形態]
図9に示すように、第6実施形態は、第1〜第5実施形態の路側制御機5において、車両Vが、光ビーコン1だけに対応した車両V1であるときに、通常のデータよりも、送信の優先度が高い高優先度情報Eが送信すべきデータとして発生した場合(ステップS63)、その高優先度情報Eの低容量データE’を、光ビーコン1から繰り返し送信させる(ステップS64)。
高優先度情報が発生した場合、より優先度が低いデータA’〜D’を送信しないか又は一部しか送信しないようにして、優先度が低いデータの送信を抑制しつつ、情報E’を繰り返し車両Vに提供することで、車両Vが光ビーコン1だけにしか対応していなくても高優先度情報を確実に取得することができる。
なお、高優先度情報が存在しない場合には、ステップS13などと同様に、低容量サービスデータA’〜D’が送信される(ステップS65)。
【0076】
[第7実施形態]
図10に示すように、第7実施形態は、第1〜第6実施形態の路側制御機5において、車両Vが、両メディア1,2に対応した車両V1であるときには、光ビーコン1では、後続の路側無線通信機2で提供されるサービスデータA〜Dのサービス属性情報等以外に、サービスデータA〜Dの付加データを送信する(ステップS74)。
【0077】
例えば、路側無線通信機2で提供されるサービスデータAが、路側通信システムがある路線のリンク旅行時間情報であり、同じくサービスデータBが、路線上にある店舗情報(店舗所在地、店舗の広告情報)であるとする。
この場合、路側制御機5は、サービスデータAの付加データとしてのデータαと、サービスデータBの付加データとしてのデータβを光ビーコン1から送信させる。データαは、例えば、路側通信システムがある路線の先のリンク旅行時間情報とし、データβは、店舗の駐車場情報(駐車場の空き情報、駐車料金情報)とすることができる。
【0078】
サービスデータAの付加データとしてデータαを車両V1が取得することで、当該車両V1の車載制御機8は、路側通信システムがある路線の先の脇道のリンク旅行時間から、リアルタイムに目的地への最適な迂回路を選択することが可能となる。
また、サービスデータBの付加データとしてデータβを車両V1が取得することで、当該車両V1の車載制御機8は、店舗の所在などに加え、その店舗の駐車場の空き状況や料金を取得でき、その情報を表示部11にて表示することで、駐車場選択の支援を行うことができる。
【0079】
このように、第7実施形態によれば、路側無線通信機2だけでは得られない付加データ(付加サービスデータ)を車両が得られるため、より機能の高い車載機3,4を搭載する車両V1のユーザに対して、機能の低い車載機を搭載する車両V3のユーザよりも、優良なサービスを提供することができる。
【0080】
また、本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、路側制御機5が、対応メディア情報に基づいて行うデータ送信制御は、車両に提供されるデータ種別の選択、車両に提供されるデータ数の調整、各データのデータ量の調整、に限らず、伝送レートなどの制御であってもよい。
また、上記実施形態では、光ビーコン1によって対応メディア情報を取得し、当該対応メディア情報に基づいて、主に光ビーコン1から送信されるデータを制御したが、対応メディア情報は、路側無線通信機2によって取得してもよいし、対応メディア情報に基づいて、路側無線通信機2から送信されるデータを制御してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 光ビーコン(局所通信機)
2 路側無線通信機(広域通信機)
3 光ビーコン用車載機(第1車載通信機)
4 無線通信用車載機(第2車載通信機)
5 路側制御機(制御部)
A1 局所エリア
A2 広域エリア
V 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側との通信を行うことができる複数種類の通信メディアを有する路側通信システムであって、
前記複数種類の通信メディアのうち車両が対応している通信メディアを示す対応メディア情報を、前記複数種類の通信メディアのいずれかによって当該車両から取得し、取得した前記対応メディア情報に基づいて、前記複数種類の通信メディアの少なくともいずれか一の通信メディアによるデータ送信を制御する制御部を備えていることを特徴とする路側通信システム。
【請求項2】
前記複数種類の通信メディアは、
所定の局所エリアに存在する車両に搭載された第1車載通信機との通信を行う局所通信メディアと、
前記局所エリアよりも広いエリアであって、前記局所エリア近傍の又は前記局所エリアと重複する広域エリア、に存在する車両に搭載された第2車載通信機との通信を行う広域通信メディアと、
を含む請求項1記載の路側通信システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記局所通信メディアによって車両から取得した対応メディア取得情報に基づいて、前記局所通信メディアによる前記車両へのデータ送信を制御する請求項2記載の路側通信システム。
【請求項4】
前記制御部は、車両の混雑状況に応じて、前記局所通信メディアによる車両へのデータ送信を制御する請求項2又は3記載の路側通信システム。
【請求項5】
前記制御部は、車両から送信された送信パケットの単位時間当たりの数を集計して車両の混雑状況を求める請求項4記載の路側通信システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記広域エリア内又は前記広域エリア近傍に設置された車両感知器によって検出された車両数を集計して、前記広域エリアにおける車両の混雑状況を求める請求項4記載の路側通信システム。
【請求項7】
前記制御部は、車両が要求するデータを示す要求データ情報を、前記複数種類の通信メディアのいずれかによって当該車両から取得し、取得した前記対応メディア情報及び前記要求データ情報に基づいて、前記複数種類の通信メディアの少なくともいずれか一の通信メディアによるデータ送信を制御する請求項1〜6のいずれか1項記載の路側通信システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記車両の速度に応じて、前記局所通信メディアによる車両へのデータ送信を制御する請求項2〜6のいずれか1項に記載の路側通信システム。
【請求項9】
前記制御部は、車両から送信された送信パケットに含まれる車速情報に基づいて車両の速度を求める請求項8記載の路側通信システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記局所エリア内又は前記局所エリア近傍に設置された車速感知器を用いて車両の速度を求める請求項7記載の路側通信システム。
【請求項11】
前記制御部は、取得した対応メディア情報が示す車両の対応通信メディアが複数ある場合には、送信の優先度が高いデータを、当該車両が対応する複数の通信メディアによって重畳的に送信させるよう制御する請求項1〜10のいずれか1項に記載の路側通信システム。
【請求項12】
前記制御部は、取得した対応メディア情報が示す車両の対応通信メディアとして、前記局所通信メディアは含まれているが、前記広域通信メディアが含まれていない場合には、前記局所通信メディアによって送信すべきデータのうち、送信の優先度が低いデータの送信を抑制しつつ、送信の優先度の高いデータの送信を前記局所通信メディアに繰り返し行わせるよう制御する請求項2〜9のいずれか1項に記載の路側通信システム。
【請求項13】
前記制御部は、取得した対応メディア情報が示す車両の対応通信メディアが複数ある場合には、当該車両が対応する複数の通信メディアのうちの一の通信メディアで送信すべきデータの付加データを、当該車両が対応する複数の通信メディアのうちの他の通信メディアによって送信させるよう制御する請求項1〜12のいずれか1項に記載の路側通信システム。
【請求項14】
車両に搭載された車両側通信システムであって、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の路側通信システムにおける複数種類の通信メディアのうち、前記車両が、いずれの通信メディアに対応しているかを示す対応メディア情報を前記路側通信システムに送信する手段を備えていることを特徴とする車両側通信システム。
【請求項15】
路側の複数種類の通信メディアが、車両との通信を行うよう構成された路車間通信システムであって、
前記車両は、複数種類の通信メディアのうち、当該車両が、いずれの通信メディアに対応しているかを示す対応メディア情報を送信する手段を備え、
前記対応メディア情報を、前記複数種類の通信メディアのいずれかによって当該車両から取得し、取得した前記対応メディア情報に基づいて、前記複数種類の通信メディアの少なくともいずれか一の通信メディアによるデータ送信を制御する制御部を備えていることを特徴とする路車間通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−170322(P2010−170322A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12065(P2009−12065)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】